検証・評価・企画委員会(第9回)日 時:平成27年3月20日(金)10:00〜12:00 場 所:中央合同庁舎4号館 1208特別会議室 出席者:
○中村座長 おはようございます。ただいまから第9回になります「検証・評価・企画委員会」を開催いたします。 御多忙のところ、お集まりをいただいて、ありがとうございます。 今日は、「コンテンツの海外展開」というテーマで議論を行う予定となっておりまして、平副大臣にも御出席いただいております。冒頭、副大臣から御挨拶をいただければと存じます。 ○平副大臣 皆さん、おはようございます。本日は、御多忙の中、有識者の皆様、また各省庁の皆さん、お集まりをいただきまして、ありがとうございます。 本日のテーマである「コンテンツ産業の海外展開」は、クールジャパンの中核を占めるものでございます。安倍政権が掲げる成長戦略の実現にとって重要なものでございます。本日と次回の2回にわたって集中的に議論をお願いしたいと考えております。 本テーマについては、昨年度、海外展開に取り組む代表的なコンテンツ分野として音楽産業を取り上げて議論を行わせていただきました。海外展開を「点」から「線」、「面」へと広げ、ファン層の取り込みを進めること、さらには、日本ブランドの構築により、周辺産業やインバウドへの波及といった「立体」的な取組にしていくことが必要との御提言をいただいたところでございます。 今年の委員会では、このような提言やJ-LOPの助成事業等、これまでの政府の取組状況を踏まえつつ、日本のコンテンツ、特にアニメ、ドラマ、放送番組といった映像コンテンツに焦点を当てて検討いただくことを考えております。日本のコンテンツがより一層海外に展開・浸透し、具体的な経済成長に結びつけていくための主要な課題を整理いただくとともに、今後進めるべき取組の方向性について御意見をいただきたいと思っております。 そのため、集中討議においては、テレビ局、キャラクター管理会社等のコンテンツホルダーの皆さんや、海外との共同制作の御経験を有する企業等、コンテンツ海外展開の第一線で活躍されている皆様にも有識者として御参加いただいております。 我が国のコンテンツ海外展開に向けた包括的な検討がなされ、知的財産推進計画2015や成長戦略に盛り込まれるすばらしい成果が得られることを期待しております。 なお、今日は最後まで参加させていただく予定でございましたが、私、沖縄の担当をしておりまして、本日、沖縄の法案採決ということで途中退席させていただきますので、御了承いただければと思います。 それでは、今日はよろしくお願いいたします。 ○中村座長 よろしくどうぞお願いいたします。 今日出席いただいている委員の方は、座席表のとおりですので、御確認いただければと思います。 なお、日本放送協会木田委員の代理で加藤様に、それから日本レコード協会斉藤委員の代理で畑様にお越しいただいております。よろしくどうぞお願いいたします。 また、今日は参考人といたしまして、伊藤忠商事株式会社通信・モバイルビジネス部の荒巻様、それから日本テレビ放送網株式会社海外ビジネス推進室君嶋室長、株式会社藤子・F・不二雄プロの篠田常務取締役、北海道テレビ放送株式会社国際メディア事業部橋谷様、日本経済団体連合会産業政策本部三ツ石主幹、シンガポール法人CROONER社の宮野CEOに御出席いただいております。どうもありがとうございます。 では、議論に移ります。 まず、事務局から配付資料の確認をお願いします。 ○中野参事官補佐 お手元の資料を御確認ください。 事務局提出の資料として、資料1「コンテンツ海外展開を巡る課題と検討の方向性」、参考人の方々からのプレゼン資料として、資料2として、日本テレビ放送網株式会社様から「コンテンツの海外展開の課題」、資料3として、伊藤忠商事様から「国際共同制作展開事例について」、資料4として、北海道テレビ様から「LOVE HOKKAIDO」をいただいております。 また、参考人である経団連三ツ石様からの御提出資料として、参考資料1−1から1−3を配付させていただいております。 不足等ございましたら、事務局までお知らせください。 資料2は、メインテーブルのみの配付とさせていただいておりますが、御了承いただければと思います。 ○中村座長 よろしいでしょうか。 では、今日はたくさんの方にお越しいただいておりまして、後ほどプレゼンをいただくのですけれども、海外展開を巡りましては、これまでも議論を重ねてきましたし、いろいろな施策も講じられてきました。後ほどプレゼンをしていただく前に、事務局からその議論に関する論点について紹介をお願いします。 ○中野参事官補佐 それでは、資料1をご覧ください。「コンテンツ海外展開を巡る課題と検討の方向性」ということで、これまでの委員会での御議論、あるいは事務局による有識者のヒアリングをもとに、コンテンツ海外展開の現状・課題と今後の方向性について、本日の御議論のたたき台として御用意させていただきましたものでございます。資料自体は十数ページと枚数が多くなっておりますが、本日は会議時間も限られているということで、ポイントのみ説明させていただきたいと思います。 資料をめくっていただいて、前半は現状の分析、これまでの政府の取組の紹介ですので、説明は割愛させていただきます。 ページ番号7ページ、「6.映像コンテンツを中核とした海外展開促進の方向性」をご覧いただければと思います。 今後の取組の方向性として、事務局として大きく3つに整理してございます。 1つ目は、三角形の左側になりますが、海外展開しやすいコンテンツ制作・確保ということでございます。海外にたくさんのコンテンツを、しかもスピーディーに出していくということが大事である。そこの品ぞろえをまず確保するといったところをしっかりやっていくことが重要だと考えております。 2点目として、そのコンテンツを継続的に海外市場に展開していくという視点でございます。コンテンツが海外市場で認知されていくためには、一定の時間がかかる、短期的にやってもなかなか成果が出ない、中長期でやっていくとしっかり成果が出てくるといった御意見をこれまでもいただいているところ、継続性の確保といったことが重要な視点であると考えております。 3点目として、右下になりますが、コンテンツと関連産業の連携ということでございます。コンテンツを海外展開して、コンテンツだけで収益を上げていくというところも大変大事でございますが、コンテンツにひもづいて、あるいはコンテンツをきっかけとして、非コンテンツ産業も海外に展開し、より大きな経済効果を狙っていくということが国の戦略として重要な視点であると考えております。 8ページ目以降、これら3つの方向性について、どのような課題があり、対応の方向性として何が考えられるかといったところを整理してございます。 まず、8ページ目の7ポツですが、海外展開しやすいコンテンツの制作・確保の段階でございます。 課題として、国内市場がとても大きいこともあって、コンテンツ産業全般として海外展開を視野に入れたコンテンツ制作が持続的になされることになっていないのではないかという課題。 あと、海外展開するときにスピードが命で、時間があくと、すぐ海賊版が出てしまうといことがございますが、現地化の処理や権利処理といったところをいかにスピーディーにやっていくかというところが課題と整理しております。 これに対する対応の方向性として、3つの案を書かせていただいております。 1点目は、海外向けのコンテンツをつくっていくきっかけとして、海外との共同制作を経験する等の取組促進が必要ではないかということ。 時間の面ということで、翻訳等の現地化費用について。これは、J-LOPという形でこれまでも公的支援をやられておりますが、そういったところの継続が必要ではないかという論点でございます。 また、権利処理については、特に放送コンテンツについて、これをさらに迅速化・効率化するといった仕組みが必要ではないかと考えてございます。 めくっていただいて下のページでございます、権利処理の迅速化・効率化については、放送コンテンツについて、これまでも精力的な取組がなされてきてございます。権利の関係として、レコードの関係と実演家の関係と、それぞれございますが、いずれについても実証的に窓口を一元化するということで、迅速化・効率化ということを進められてきているわけでございますが、このような取組のもとに、さらに加速化していくためにはどういったことが必要かといったところを御議論いただくタイミングになっているかなと考えており、資料を準備してございます。 めくっていただいて11ページ目でございます。視点の方向性の2つ目として、海外市場への継続的な展開をどのように確保していくかというところでございます。 この課題として2つ書かせていただいております。 1つは、初期投資の負担というのをどういうふうに考えるかというところ。コンテンツの販売だけでは、海外展開に必要なコストをなかなか賄えないという構造的なところ。 あとは、海外のパートナーとの協力関係をどうつくっていくか。日本企業だけでは、一時期的に宣伝してもなかなか定着しないといったところ、海外のパートナーとうまく協力関係をつくっていかなければいけないという課題について、何が考えられるかということで、下3つでございます。 海外展開の効果は目に見えるまで時間を要するということで、初期費用の一部について、こちらもJ-LOPや総務省の事業ということで、いろいろ公的支援をやられておりますが、そういったことを継続してやっていくということが必要ではないかというところ。 2点目として、市場性が低い国々、官民が出し合ってというところでも開拓がなかなか難しいような国については、これも国際交流基金等でこれまでも日本コンテンツの展開ということをやっていただいておりますが、そういった仕組みをさらに戦略的に使っていくことが重要ではないかと考えております。 最後に、海外企業とのパートナーシップのつくり方について、企業だけではなかなか難しいところを、何らかの助言を受けられるような仕組みということが考えられないかという問題提起をさせていただいております。 最後に、12ページ目、視点の3つ目、コンテンツと関連産業の連携ということでございます。 連携の中にも2種類、課題があるのかなと考えております。 1つ目として、コンテンツ間の連携といったところ。 2点目として、コンテンツと非コンテンツ産業の連携といったところ。 いずれも大事ということはよく言われているのですが、実践例がなかなか多くないといったところについて、どのような対応をしていくかということで、下に幾つかアイデアを書かせていただいております。 コンテンツ間の連携ということでは、業界単位でのイベント、共同出展等をさらに推し進めていくということ。あるいは、キャラクター、歌手の方等、わかりやすいブランドイメージを持てるような方を海外に出していくことも大事ではないかというところ。 非コンテンツ産業との連携については、マッチングの場、プロジェクト生成の場等が必要ではないかといった問題提起をさせていただいております。 駆け足で恐縮ですが、事務局からの論点説明は以上でございます。 ○中村座長 今の資料で言いますと、上の数字の6ポツのページを皆さんにちょっと念頭に置いていただいて、これからのプレゼンをお聞きいただければと思います。 この知財本部での議論からも、いろいろな成果といいますか、ツールは出てきましたけれども、そういったものが十分なのか。例えば権利処理で言うと、aRmaあるいはJ-LOP、クールジャパン機構、BEAJ等、いろいろありますけれども、そういったもので十分なのか、何が不足しているのか、成果はどうなのか、あるいはこれからの重点課題はどうなのかといったことを検証することと、それを次の知財計画に落とし込んでいくというのが私どものミッションでありますし、右下のコンテンツと関連産業の連携のあたりは、これも平副大臣が主導しておられるクールジャパン政策ともどのように連携をとっていくかということにもつながってくることかと思います。 さて、それでは委員、参考人の皆様によるプレゼンテーションに移りたいと思います。今日は、4名の方から御説明いただく予定となっておりますが、大変恐縮でございますけれども、議事進行のために、お一人10分以内での発表をお願いしたいと思います。残り1分でベルを1回、時間になりましたらベルを2回、事務局が鳴らすということですので、発表時間の目安としていただければと思います。順番で言いますと、君嶋さん、荒巻さん、橋谷さん、そして齋藤委員の順でお願いしたいと思います。 では、初めに君嶋参考人から御発言をお願いいたします。 ○君嶋参考人 皆様、日本テレビの君嶋と申します。今日は、貴重なお時間をいただきありがとうございます。 私のほうからは、日本テレビが日頃行っておりますコンテンツの海外展開の現状、それから、その課題についてお話ししたいと思っております。 日本テレビは1960年代から、ご覧のようなさまざまなジャンルの番組を海外に販売しております。その一部を御紹介いたします。 まず、ドラマです。日本テレビでは、台湾、香港、タイ等のアジアや欧米等に広くドラマを販売しております。アジアで人気のある番組は、明るいラブコメディーということで、複雑なストーリーというのは正直あまり好まれない状況です。また、アジアではドラマは1タイトル30話程度のエピソードというのが一般的ですので、弊社で言いますと、例えば「ホタルノヒカリ」とか「ごくせん」とか、シリーズ物になっているものが人気です。 最近の作品ですと、「花咲舞が黙ってない」は、台湾、香港、ベトナム等アジアやアメリカの日本語放送に出しておりますが、こちらは今年度の実証実験案件として、日本での放送から10日後に放送して好評を得ております。 バラエティ番組は、主にアジアを中心に販売しております。日本でも人気の「世界の果てまで行ってQ!」は、台湾、香港、タイや欧米の日本語放送等で幅広く放送され、そして愛されております。また、ゲームショーも人気ですが、日本で「TORE!」という名前で放送されている番組は、海外ではセットのイメージから「Pharaoh!」と名前を変えて放送されたりしています。また、動物ものは世界的に人気で、「天才!志村どうぶつ園」は、アジアやアメリカ等で幅広く放送されております。 バラエティ番組は、番組のコンセプトやスタジオセット等を組み合わせて売るフォーマットという形式で販売し、現地で制作するのも人気です。「¥マネーの虎」は、2001年から2004年、日本で放送されましたけれども、2005年からイギリスのBBCで「Dragon’s Den」、そして2008年からアメリカのABCで「Shark Tank」、(こちらはサメですね。)という名前で放送されておりまして、イギリスでは10年たっておりますけれども、いまだに人気シリーズとして続いております。また、その他世界30を超える国と地域で制作・放送されている番組です。一昨年には、アメリカ版がエミー賞を受賞いたしました。 フォーマットは、一旦ヒットすると、その国に溶け込み、長いこと愛される番組になっていくという特徴があると思います。 また、日本で人気の「仮装大賞」や「はじめてのおつかい」といった番組も、欧米やアジアで現地版がつくられ、愛されております。 アニメーションは世界中に販売されて愛されているコンテンツです。アニメーションの強みは、放送と一緒にゲームやグッズ等の周辺商品に広がりがあるということです。 最近、放送が検閲等で実際難しい中国等では、インターネット配信が盛んです。「寄生獣」は、中国の配信サイト「Youku Tudou」というサイトを利用する若者が選ぶ人気No.1のアニメに選ばれております。 また、番組販売以外にも、日本テレビは共同制作を積極的に行っております。メーカーの海外進出と同様、コンテンツの海外進出にも3段階あると思います。まず、日本でつくったものをそのまま海外に販売する。次に、現地のニーズに合わせて変更版をつくる。さらに、現地のニーズに合わせたものを現地でゼロからつくる。この3段階だと思います。 国際共同制作は、この2段階目、3段階目に当たると思います。弊社で言いますと、例えばタイのカンタナ等と一緒に行った「TORE!」の現地版制作は、日本の番組をベースに現地版をつくり、そして広告枠等も一緒に現地でセールしました。 また、今年度のBEAJ案件に採択していただきました「Welcome to the Railworld」日本編は、マレーシアの地上放送局Media Primaの番組を共同で制作し、日本でその番組のロケを行いました。日本全国の観光地100カ所以上を紹介し、また新幹線等の日本のすぐれた商品、テクノロジー等を番組内で紹介しています。 こうした取組で生まれたコンテンツは、現地の人により受け入れてもらいやすいという利点もありますが、その一方で、双方の価値観の違いから、綿密なコミュニケーションをとる必要があります。また、東南アジア等では日本の番組制作費のギャップ等があるため、民民の共同出資ではビジネスが成立しづらいという課題があります。そういう意味で、初期段階の投資に政府の御支援をいただけることは、大変ありがたいと思っております。 さて、海外のコンテンツ販売を伸ばしていくために、2つのキーワードがあるのではと思っております。 1つ目は、スピードです。インターネット等が発達している今、日本で放送されたものは、3日以内に現地で字幕をつけて放送されているというのが現状です。10年前までは、日本で放送した番組を2カ月後に販売してもあまり問題ありませんでした。残念ながら、今はそのスピードでは商品価値がほとんどなくなっているのが現状です。CODA等で海賊版対策にいろいろ取り組んでいただき、状況はかなり改善しておりますが、肝心の本物のコンテンツが出ていかない限り、根本的な解決にはならないと思います。そういう意味で、日本での放送からあまり時間を置かず、海外での放送・配信をしていくことが今後重要になってくると思います。 日本テレビでは、「金田一少年の事件簿」の香港編、マレーシア編といったドラマを同日放送で行い、現地で好評を得ました。また、アニメは、日本での放送の3時間後に海外で配信するというのが徐々に一般的になってきています。こういった例をどんどん増やしていくために、権利処理のスピードをさらにアップさせることが今後重要になってくると思います。 今、実演家については、CPRA、音事協所属の出演者の皆さんの場合、所属をチェックする仮申請、またその後の実演家の許諾を得る本申請と、通常合わせて3週間程度かかっております。aRma、CPRA、音事協の皆さん、権利者団体の皆さんには、日ごろ、膨大な申請を最速で処理していただいて、本当に感謝申し上げております。ただ、現状販売先が、放送局のみならず、ネット、携帯電話会社等と多様化し、申請件数も年々増加しております。こういったことを考えますと、aRma側も、それから申請者側も作業量が少なく済むような、よりシンプルな仕組みを考えられないかと思っております。 もう一つのキーワードは、ネット配信も含めたオールメディアでの露出、これが海外では一般的になっているということです。欧米では言うに及ばず、最近、東南アジア等でも、放送と同時に番組をネットで流す同時ストリーミングや、キャッチアップサービスのように、放送から期間限定で番組をネットで見られるストリーミングサービス等が一般的になっています。こうしたサービスに対応できないと、コンテンツを商品として棚に並べてもらえないというのが現状です。 また、インターネットや携帯を使ったコンテンツ配信は、より手軽に日本のコンテンツを知ってもらう手段にもなっているのではないかと思います。先ほどお話をしたスピードという部分も勘案すると、海外でのコンテンツ展開を拡大するには、放送とほぼ同じタイミングでネット配信等の権利も権利処理ができるという仕組みづくりが大事になってくるのではと思います。実演家や原盤権について、今実証実験が進んでおりますが、そこでの経験からも、申請者側、また権利者団体側双方にとって、もう少しシンプルに使える仕組みづくりの構築が今後重要になってくるのではと思います。 海外のコンテンツ展開は、単に番組を販売するビジネスというだけではありません。皆様御存じの韓国の例では、まずドラマブームが起こり、それで関連グッズが売れ、その後、皆さんが韓国の商品を買うようになり、最終的に国に興味を持つという流れになりました。そういう意味で、コンテンツ販売はその国を理解してもらう大きなきっかけになると思います。またそれが最終的に日本のブランド力アップにまでつながっていくのではと考えております。そのためには、すぐれたコンテンツをより早く、より多く、いろいろな形で海外に出していくということを目指して、今後も努力を続けていきたいと思っております。 御清聴ありがとうございました。 ○中村座長 ありがとうございました。 続きまして、荒巻参考人から御発言をお願いいたします。 ○荒巻参考人 伊藤忠商事の荒巻と申します。今回は、貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございます。インドネシアにおける現地地上波放送局との共同制作についての事例紹介ということで、プロジェクトの概要と背景を中心に説明させていただきます。加えて、これまでに実現できたことと、これからに向けての課題と政府支援等への期待についても、僣越ながらお話しさせていただこうと思っております。 まず、1ページ目、プロジェクト概要というところですけれども、我々、コンテンツの海外展開を目指すに当たり、日本のコンテンツを輸出するという視点だけではなく、現地でヒットする放送コンテンツを軸に、どのような事業を目指すかというところが起点にございます。こちらについては、ASEANでこれから番組を起点に事業展開するに当たり、日本のノウハウを生かしながら、周辺産業と連携した長期的な事業に育てていくということを念頭に、キャラクターライセンスビジネスを輸出することを目指したものでございます。 インドネシアとの共同制作で、タイトルは「BIMA Satria Garuda」という放送コンテンツになりますけれども、こちらを2013年6月から半年間にわたり、放送させていただきました。結果、完全にローカライズした番組でしたので、現地の視聴者に受け入れられ、続編シリーズ「Satria Garuda BIMA-X」というタイトルで制作し、2014年9月から1年間に放送期間を拡大し、今なお現地で放送されているような状況でございます。 こちらの図にございますとおり、放送コンテンツを軸に、毎週継続的に発信するという状況のもと、販売促進やコミック、玩具、イベント、店頭のタイアップ等に広く活用していただくことを今後も拡大させていきたいと思ってございます。 続きまして、プロジェクトの背景に移りますけれども、制作に当たっては、多くの対話をもとに共同で企画をつくり上げてきております。現状に至るまでの結果としては、パートナーのプロモーションに関する多大な尽力もあり、多くの視聴者がこの時間、この番組を楽しみにしているという状況がつくれているのではないかと思ってございます。 対話の中から出てきた課題としましては、現状のインドネシア、特に地上波の放送局の持つ課題として、3点挙げております。 ドラマの制作力については、現地のインドネシア人キャストを中心に非常に人気があるコンテンツに成長したのですけれども、その制作力をもっと他にも活用したいという思いがありました。 また、ドラマについては、毎日、週に5日、週に7日放送しているようなドラマがあり、そちらに関しては視聴率を非常に重視するため、どうしても放送局として発信したい優良なメッセージだけにとどまらない視聴者の反響に応えざるをえないというところで、子供向けにはもう少し違う優良なメッセージを発信したいという思いがございました。それをするにも、当然、ドラマ等々はスポンサーからの支援があっての制作ですので、そうしたものにとらわれないビジネスモデルを構築できないかという課題がございました。 それに対して、我々、コンテンツを発信する日本側は、継続的にコンテンツが発信されないと、その先の広がりを作りづらいというところを感じてございます。単純にコンテンツの売買だけでは、現地の放送局から十分なプロモーションを引き出すような事業モデルがつくりにくかったということもございます。新しい海外コンテンツビジネスを構築するにはと考えたときに、双方の中の結論として出てきた答えが、特撮番組の共同制作というものでございました。 我々がその当時から狙ったものとして、日本の原作というのは非常に歴史もありますし、実績もあります。海外での放送実績もあり、知名度も業界の中にはありますので、そうした強みを生かした事業体制をつくることで、新しいものを生み出そうとしました。波及効果、発展性についても、現地のメディアと共同制作をすることで、将来に向けての投資としてプロモーションをつくっていけると思っております。そして、コンテンツの中身としては、日本の原作を現地でローカライズすることによる文化融合の側面もあるのではないかと思ってございます。 周辺産業との連携と効果については、次のページに記載させていただきました。我々日系の持つ強みとか特色を生かすために、これだけのことをコンテンツの中、周辺で展開しております。 日系メーカー等との商品化・販促タイアップというのは、我々が目指したライセンスビジネスの一つの形でございまして、番組連動の玩具を中心とした商品販売、プロダクトプレイスメントで、本編中に企業のロゴやサービス等、商品を露出するような仕組みの導入をさせていただいております。 日本人アーティストの楽曲採用、こちらはセカンドシーズンから展開できていることでありますけれども、日本のクオリティーをあらわす形として、日本語のエンディングテーマを入れてみないかという協議をした結果、これが今、採用されております。 撮影に関しては、日本のノウハウを活用する、また守るというところも含めまして、日本人スタッフの撮影隊への登用もされてございます。技術指導、演出ノウハウに関しては、言葉の問題も多々ありながら、現地の制作のほうで通訳をつける等、いろいろな工夫をしながら試行錯誤してございます。 日本人ゲストの特別出演、これも現地の企画を放送局側と対話する中でできているアプローチですけれども、シーズンを通してはインドネシア人キャストが撮っていますので、その中の3話程度のエピソードの中に特別なキャラづけをして、日本人のタレントさんが出演して、日本語、英語、その場で教えるようなインドネシア語を使ったような演出にも挑戦させていただいております。また、そこで撮影のためにインドネシアに訪問された際に、その同じ局が持っている生放送番組で、その方自身のPRをするというプロモーションの連携等も、実現してございます。 最後、政府関連で、クールジャパン関連のイベント等を海外でもよくやっていただいていると思いますけれども、その中に我々展開しておりますBIMAというキャラクターも、集客のプロモーションとして右の写真にあるような形で出演させていただきました。またCODA、著作権侵害に対する啓蒙も、BIMAというキャラクターを使って意識づけをすることができております。 発展的な展開としまして、この玩具の模倣品が出回ったのですけれども、そちらに関しても警察の強制捜査を現地メディアで取り上げ、現地の伝統市場の中から模倣品を一掃するようなことを共同で展開する等、我々としても正規品を売っていこうというところに関して、これからますます努力していかなければいけないところだなと感じてございます。 最後になりますが、課題および政府支援への提言と書かせていただいております。 我々、現場でこの事業を担当する者としまして、これまでの政府の支援については、コンテンツの制作から放送枠の確保、ローカライズ、プロモーションに至るまで、多岐にわたって、多くのコンテンツ関連企業がこれまで以上に海外進出を検討するきっかけになっていると実感しておりまして、非常に感謝しておるところでございます。 ただし、こうした取組を一過性で終わらせないようにするためには、まだまだこれから検討されていくような企業もたくさんいらっしゃる中で、コンテンツによって海外で稼ぐというビジネスモデルをイメージして、これを関連業界の方々と共有するという取組を中長期的な視点で、計画的かつ戦略的に政策へ落とし込むということに対して期待を申し上げます。 我々としましては、コンテンツの海外展開については、このプロジェクトの根底にあるのが現地での人気と考えております。この人気をどうやって高めていくかというところには、プロモーションの影響力が非常に大きくあると思っておりますが、こちらは現地でのパートナーの課題に対応するようなコンテンツづくりや、そのコンテンツづくりをした先にある事業モデルが重要だと思っております。 コンテンツの進出自体は、先ほど申し上げましたが、周辺産業が市場参入を進める重要な鍵になると、確信しております。コンテンツの継続においては、その逆もまたしかりで、周辺産業との連携でビジネスモデルをうまく回せるかどうかというのが重要な鍵になっていると考えてございます。 支援の方向性としましては、コンテンツ制作については、当初から海外における人気を意識したような番組づくりをしていくような取組に対する支援、そして、その関連する周辺産業に対しての助成・補助としましては、海外で放送されているコンテンツを積極的に活用することに対するインセンティブとか支援ということをぜひ期待したいと考えてございます。 コンテンツ制作の担い手と周辺産業の進出というのは、相互に影響し合うと考えております。特にASEAN市場、それぞれの業界、市場の規模がまだ日本と同等の水準にはなっていないので、ハードルが高いと思いますけれども、その最初の一歩を踏み出すときの支援ということに対しては、お互いにこの先にあるビジョンというのを共有しつつ、展開できるのが理想だと考えてございます。 最後ですけれども、J-LOPに関しても、共同制作に関しても、この成果が上がってきていると実感してございます。これから2020年に向けて、世界中から日本のブランドに対する注目が高まってくる中で、例えば2015年から20年までの5年間を集中的な期間として、政府としてもコンテンツ制作に関するコミット、予算の拡大・継続について努めていただきたいと、我々のほうでは感じてございます。 簡単ですが、以上でございます。ありがとうございました。 ○中村座長 ありがとうございました。 続きまして、橋谷参考人から御発言をお願いいたします。 ○橋谷参考人 北海道テレビ放送株式会社の橋谷と申します。本日は、弊社の取組に関しまして報告の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。私からの報告は、「LOVE HOKKAIDO」という番組はどういう番組で、どういう展開がなされているか、その道内企業様、関連産業とのかかわりを中心に御報告させていただきます。 表紙をめくっていただきまして1ページ目ですけれども、この番組は2013年2月に放送を開始いたしまして、この3月末までに102本、制作・放送しております。 外国に関しましては、資料の下段、シンガポールを皮切りに、現在、インドネシアまで放送あるいは配信の展開、字幕・吹替、さまざまな形で放送がなされていて、3月から5月にかけまして、タイ、それと中国CCTVのウェブ放送CNTVでの配信について、最終調整中でございます。4月から5月の終わりごろには、全部で9カ国・地域での展開が予定されております。 2ページ目に参りますが、番組は30分番組でして、前半16分が北海道の食あるいは文化、魅力をお伝えする特集。後半の5分、少し小さいコーナーですけれども、こちらがさまざまな街のネタをアナウンサーがお伝えするということで構成されております。 番組のMCは外国人、中国上海出身のリさん、17年、札幌に住んでいらっしゃいますので、日本語はほとんど母国語並みにお話しになります。あと、アイシスさん、こちらはカナダ御出身で、日本語はもちろんお上手にお話しになります。こういう外国人の視点で北海道の魅力を伝えるというのが、この番組でございます。 番組制作の工夫ということで、2ページ目の下に書いてございます。この番組は、最初に弊社北海道テレビ、HTBで放送しますけれども、他方で海外に展開することを前提とした番組でございますので、工夫というか、現場でさまざまなことをやっております。 その1つが、国内・海外で放送あるいはVODといったあらゆる使い方のできる楽曲あるいは音源を最初から選択しているということ。 2点目が、取材協力者、例えばインタビューを受けてくださった会社あるいは農家の方とか、さまざまな方に御協力いただいているわけですけれども、国内・海外であらゆる形で放送あるいはインターネットで出ていきますよということを御説明して御了解いただくこともいたしております。 3つ目は、権利の話ではありませんけれども、吹替版をつくりたいというニーズに対応するために、吹替ができるような形で音声分け、チャンネル分けしたものを、きちんと素材として準備する。これも非常に手間がかかる話ですけれども、こういうものを準備する。あるいは、完全台本、MCのリさんなり、アイシスさんなりが現場のカメラの前でお話になっている対話は、吹替あるいは字幕の原稿にできるように、全て文字化しておくという準備もしておかないと、海外で番組を展開していくのはなかなか大変だということでございます。 3ページ目から5ページ目までは、具体的な特集の内容を簡単に御紹介しております。 3ページ目は、滝川市の特集、4ページ目は今月放送いたします十勝あるいはオホーツクの内容、こういうものを取り上げているということです。 5ページ目は、後半の5分のミニコーナーですけれども、札幌にも東急ハンズ様がございますが、昨年7月に4週にわたっておすすめ商品を御紹介するという企画もございました。 6ページ目に参ります。関連産業とのかかわりに関してです。この番組、本編の終了後に30秒の告知を可能とする構成をとっておりまして、具体的にシンガポールあるいは上海で視聴者用に30秒の告知を使いまして、番組の中で、例えば産地情報あるいは取扱商品を取り上げて、例えばシンガポールでしたら、シンガポールの明治屋様にあるサテライトショップでアイスクリームを御購入いただけますとか、上海ですと、今年1月にデパ地下がオープンいたしました上海大丸様は5月がグランドオープンですが、こちらで十勝のアイスクリームを買えます。これは、今、実際に上海で放送しているものですけれども、番組の中で産地を紹介して、そういう商品が外国で買えますといったことを弊社の番組が外国で伝えているということでございます。 7ページ目からは、番組をつくって放送するだけではなくて、例えばウェブサイト、番組の公式ホームページも多言語化しております。あるいは、弊社はローカル放送ですので、見逃し配信は弊社の「HTB北海道onデマンド」で、こちらも全て無料でご覧いただけるような形で準備しているということでございます。 8ページ目、facebookも丁寧に対応いたしております。 9ページ目は、中国に向けましたSNSの情報発信です。ウエイボー、ウィーチャット、ヨウクを使いまして、中国に向けて番組の内容を丁寧に紹介していくということで、これは番組の出演者、MCのリさんに発信していただいております。 10ページ目に参ります。北海道、全部で179市町村ございまして、この番組のMC、リさんとアイシスさんが自身で取材を始めた2014年4月から今年2月まで、まだ36市町村しか回っていないので、まだ2割ぐらいでございます。ですので、あと5年ぐらいかかるのではないかと思いますけれども、伝えることが山ほどありまして、北海道は非常に広いですから、引き続きさまざまな魅力を伝えていきたいと思っております。 11ページ目に参りますが、冒頭、ちょっと御紹介いたしました、弊社北海道テレビを含めて、中国のCNTVでのウェブ放送を含めますと、おおむね10カ国・地域でこの番組は放送あるいは配信されています。番組販売あるいは国際共同制作、コープロですね。さまざまな手法を組み合わせて、本日、御出席の宮野様にも大変お世話になりながら展開しているところでございます。 J-LOPの支援で申しますと、「LOVE HOKKAIDO」に対して助成していただいているJ-LOPのローカライゼーションあるいはプロモーション支援の金額はとても大きいですから、こういった支援は「LOVE HOKKAIDO」の多国的な展開にとって極めて重要なものでございます。 12ページ目、このプラットフォームと申しますか、「LOVE HOKKAIDO」を軸として、弊社の目指すところですけれども、これは人とか物とか文化の交流でございます。北海道物産フェア、イオンASEAN様、こちらは総務省の補正予算事業を使いまして、イオン北海道様と弊社が協力して、マレーシア、タイ、ベトナムで具体的に道産のホタテとかみそを販売した、それを放送で紹介したといった事例もございます。こういったものを「LOVE HOKKAIDO」の中でも展開していって、ここに書いてございますヒト・モノ・文化の交流をさらに進めていきたいと思っております。 駆け足になりましたが、御清聴ありがとうございました。 ○中村座長 どうもありがとうございました。君嶋さんからは、コンテンツを海外で売るというモデル、それから荒巻さんからは、コンテンツでキャラクター、その他ビジネスを広げるというお話がございました。橋谷さんからは、コンテンツとローカルの地方創生あるいはインバウンドに関わるお話をいただいたと思っておりまして、それぞれのモデルを御紹介いただきました。 今日は、もうお一方、齋藤委員からのプレゼンをお願いしているところですけれども、資料の表示がうまくいかない。申しわけありません。技術や機材がネックとなって、知財がうまく活用できないという課題があるということを共有させていただきまして、映り次第、プレゼンをしていただければと思います。 ということで、ここまでの話をもとにして自由討議に入りたいと思いますけれども、その前にシンガポールを拠点として日本のコンテンツの海外展開を手がけておられる宮野さんに、海外市場の現状等について御発言を先にお願いできますでしょうか。 ○宮野参考人 ありがとうございます。よろしくお願いします。 2003年より広告代理店の駐在員としてシンガポールに駐在しておりまして、アニメフェスティバルアジアというアニメの見本市の立ち上げにかかわり、2年前に独立して日本のコンテンツの海外進出をサポートするという業務をやっております。 今日は、簡単に3つのことを皆さんにあえてお伝えしたいなと思っています。1つは、東南アジアの生活者の今のコンテンツの現状、囲まれている現状。2つ目は、日本のコンテンツ業界の露出について。3番目は、現地の日本企業の最近の態度の変化についてという部分です。 まず最初に、東南アジアの生活者に関しましては、これからの成長市場、若者が多い市場ということで、世界中のコンテンツ業界の方がかなり入ってこられています。コンテンツ過剰という状態で、今まで日本はよく韓国を成功ケースに考えておりますが、今はアメリカのコンテンツが東南アジアではNo.1のコンテンツが多いですし、台湾、インド等も大きく出てきています。例えばインドネシアでは、今、人気のドラマは全部インド製のドラマです。 そういうふうに、韓国だけではなくて、他の国も対応しているエリアなので、そこにおける日本も、今、もちろん露出は非常に増えていますが、さらにそれぞれの国が自国コンテンツも強くなり、日本も先ほどのBIMAとかJKTとかが非常に強くインドネシアで頑張っているのですけれども、もうインドネシアの人たちは、BIMAは自分たちの国のコンテンツとして見ておられるので、そう考えると日本の強い敵でもあるという感じに、どんどんコンテンツが過剰に強くなっていると思います。 その背景には、出す場所が非常に増えてきていて、タイでもこの間、ケーブル局が一気に増えましたけれども、数が倍々に増えていくとか、ネットで強いメディアがどんどん欧米から東南アジアに進出してくるという現状。それに比べると、勢いは遅いのですが、イベント会場等もどんどん増えてきまして、同じ日に欧米のトップスターと韓国のトップスターと日本のトップスターがライブをやっているという、狭い市場の中での取り合いみたいなものも生まれてきております。 一方で、アジアの生活者は、どこの国で調査しても、日本大好きという方が非常にいっぱいいらっしゃいます。その背景にあるのは、食と旅行とアニメとキャラクターという4つが牽引している部分がまだまだ強いと思っています。シンガポールはラーメンが1杯2,500円ぐらいする国ですけれども、みんな喜んで昼間、行列をつくっていますし、旅行に関しては若者の1人旅がどんどん増えている中で、情報が皆さんどんどん欲しくなりまして、先ほどの「LOVE HOKKAIDO」とかをメモを持って見て、そこに行こう、あそこに行こうとメモを書いて、自分の北海道ツアーの企画をつくるみたいなことが普通になってきています。 アニメのファンは、日本と温度感、はやるもの、はやるタイミングは全部一緒ですし、キャラクターというものもいろいろとビジネスが大きく広がっているところです。 次の点の日本のコンテンツ業界の、我々、海外にいる側から見ている現状ですけれども、まず各社の組織強化というものがこの2年間、J-LOPが始まってから非常に強く見てとれます。今までキー局ばかりが出張でシンガポールに来られていたのですけれども、この2年間はローカル局の皆様の出張を非常に多く受けることがございます。HTB等は、97年からずっと海外展開の準備をされていましたが、ローカル局の中にはまだ国際部がないところもございまして、そういうところから仕事を一緒にやりませんかというお声がけをいただくことが非常に多くなってきております。 露出という面でも、2年前から一気に増えてきていまして、J-LOPが2年間で3,600案件、今まで申請を認可されていると思うのですが、私、数は知らないですけれども、多分その中でタイ、インドネシア、シンガポールみたいなところの案件は非常に多いのだと思います。それによって、テレビとイベント、非常に多く、数が増えていまして、毎週、何とか物産展というのをシンガポールで見るようになりました。そして、我々の運営しているアニメフェスティバルアジアでも出展者が3年間で倍増しております。 そういった中、クールジャパン機構が出資されているWAKUWAKU JAPANとかが出てきていますので、それによって、今までアジアの人が知らなかった日本の番組がどんどん露出できるようになっていますので、それとビジット・ジャパンとか物産展みたいなものの連携がだんだんうまくとれてきているかなと思います。 今後は、J-LOPがなくなったらどうするかというところまでは、皆さん、考えていらっしゃらないところも多いので、中長期のコミットメントによって体制とか投資の計画を各社がうまく立てられるようになるのが非常に重要だと思いますし、コンテンツとビジット・ジャパン、物産展みたいなもののさらなる連携が必要になると思います。 最後の点です。現地の日本企業が、今まで実は日本のコンテンツがそんなに人気がないと思って、あまり協力してくれないというケースがございました。例えば、私が広告代理店としてクライアントに、日本のあるアーティストが来るのでライブのスポンサーをしてくださいと言っても、そのスポンサーでは断られたのですけれども、K-POPフェスティバルのスポンサーになってしまう日本企業が多かったのが事実です。ですが、最近は連携をとることに非常に意義を感じておられて、クールジャパンで今、日本全体が動いているというニュースによって、自分たちも重い腰を上げて、意識を変えなければと思っていらっしゃる企業が非常に多くなっています。 先日もシンガポールのベスト電器という大きな家電量販店の社長さんに呼ばれて、自分たちがクールジャパンをやるために何かマッチングのお勧めがありますかというお声がけをいただきまして、今までこちらからノックしていても、何年間か難しかったのですけれども、そういうものが今はどんどん声がかかってくるようになりました。 1つだけ最後に、手前味噌なのですけれども、現地企業がそういうふうに意識を変える、シンガポールにおいてはきっかけになったなと思っていますのは、昨年、弊社でシンガポールの企業、シンガポールの商業施設でドラえもんのクリスマスツリーというのをつくらせていただきました。藤子・F・不二雄プロにお世話になって許可していただいて、ドラえもんのクリスマスツリーをつくったところ、日経新聞、産経新聞、ニューヨークタイムズ、ロシアの新聞にまで出て、数千万円の企画だったものが6億円以上のPR効果をウェブでバズをつくることができました。 そういう日本のコンテンツの強いものをうまく使うと、企業様にとってプラスが出るということを、こういう成功事例がありますと皆さんに説明しやすいので、今後も我々のような会社は好事例をもっとつくって、各社にハードルを下げていただくことに邁進していきたいと思っております。 御清聴ありがとうございました。 ○中村座長 ありがとうございました。 さて、齋藤委員のプレゼンの準備が整いますでしょうか。出ました。 ○齋藤委員 株式会社トーセの齋藤でございます。弊社では一昨年、フィリピンにゲームソフトコンテンツの企画開発、ローカライズ、運営、そしてASEAN諸国のキャリアを通じて配信する子会社を設立しました。現在は、日本企業とASEANの現地企業をつなげ、日本からゲームだけでなく、テレビ番組やキャラクター、イベント、ライブ等、あらゆるコンテンツをASEANへ持っていく仕事を行っています。 今回は、昨年5月にタイで開催されました「コミコン」という大規模なイベントのVTRを見ていただきたいと思います。弊社も主催のメンバーの1社です。去年は、300名ほどのアーティストやモデル、プロレスラーが日本から参加されました。初年度でしたが、3日間で約30万人の動員があり、大好評でした。今年も5月に開催されますので、私も現地を訪れる予定です。先ほどコンテンツと連動したイベントの実例が少ないというお話がありましたので、ぜひこちらのVTRを見ていただきまして、ASEANでの日本のコンテンツの人気を実感していただければと思います。 よろしくお願いします。 (ビデオ上映)
○齋藤委員弊社ではタイの映像制作プロダクション会社のKantanaと組み、日本のキャラクターのおもちゃを作ったり、日本で人気のアーティストのライブを行ったり、テレビ番組を放映したりとコンテンツのアウトバウンドをしています。 センターにいらっしゃる方は、KantanaのJareuk Kaljareuk会長です。 余談ですが、プロレスラーは40℃の暑い中試合を行いましたので、ふらふらになっていました。 でんぱ組.incや仮面ライダーGIRLSのライブの観客は、皆さん、振り付けをインターネットで見て全部覚えていまして、日本のコンサートと同じように踊っていたというのが印象的でした。テレビ番組では、昨年の秋から「クレヨンしんちゃん」を放映し始めましたが人気があります。先ほど映っていた女の子も今、タイの雑誌の表紙に採用されて、人気を博しているようです。タイでの日本のコンテンツの人気の勢いを実感していただければいと思い、VTRをご覧いただきました。 以上でございます。 ○中村座長 どうもありがとうございました。 では、意見交換に移りたいと思います。今日は、藤子プロの篠田さん、経団連の三ツ石さんもお越しいただいていますので、自由に御発言いただければと思いますし、平副大臣初め、関係省庁の皆さんも御自由に発言をいただければと思います。いかがでしょうか。どうぞ。 ○平副大臣 途中で退席してしまうので、基本的な質問で恐縮ですけれども、齋藤委員にお伺いしたいのです。今みたいなイベントは、入場料で取るのか、出展料で取るのか、スポンサーで取るのか、物販で取るのかということと、そのイベント自体で採算がとれるのか、そこから先の展開として、事業展開を見据えて回収するモデルになっているのか。あと、民間のお金だけでできるのか、ざっくりと構造だけお伺いしたい。 ○齋藤委員 開催にあたり、国からJ-LOPの補助金をいただいています。大変ありがたく思っています。詳細は、弊社の担当者よりお話させていただきます。 ○株式会社トーセ中筋氏 私は、トーセの中筋と申します。先ほどのイベントを担当していますので、齋藤に代わりお話させていただきます。今の御質問に関しまして、基本的にチケットの収入は1人60バーツです。日本円に換算しますと約180円ですが、チケット収入はあまり考えていません。また、伊藤園を含めた日本の企業にスポンサーになっていただいています。今年5月の開催に関しましては、去年と同様に、スポンサーに御援助いただきますが、スポンサーからは大きな収益を見込んでおりません。 ただ、このイベントに関しまして、1つポイントを置いています。それは、タイでのビジネスを、その後も、日本の企業に継続的に進めていただきたいということです。イベントを皮切りにタイでのビジネス発展をしていただくという点をポイントに置いています。ご覧いただきましたVTRに出ていたプロレス、アイドル、それ以外のキャラクター等は、このイベントの後、テレビ放送、興行を計画中で、基本的には今後のASEANでのビジネスでの収益を求めていくということで考えています。 以上になります。 ○中村座長 ありがとうございます。 ○齋藤委員 タイでは、東京ガールズコレクションも開催されています。 ○中村座長 いかがでしょう。重村委員、お願いします。 ○重村委員 今の、トーセさんのような例。本来、我々もこういう場で紹介していかなきゃいけないだろうと思います。 例えばNHKと民放連が、総務省、経産省の一部の方の御協力を得て、「国際ドラマフェスティバル」というのをやっているのですが、その一環としてタイで昨年秋、その前の年と、J Seriesというイベントをやっています。サイアム・パラゴンというバンコクの中心にある会場で、滅多にこの手のイベントに出てくれないジャニーズ事務所から、一昨年はKAT-TUN、昨年は滝沢秀明、あと、女優のほうは、川口春奈とか菅野美穂を連れていきました。 それと同時に、SMEはじめ音楽業界と組んで、日本のタレントでも東南アジアで受けているアーティストに出演してもらっています。例えば、ピコというタレントは我々は知らないですけれども、向こうへ行くと物すごい人気なのです。さらに、タイの人気MCを二人使って全体のイベントを構成して、そこの中に日本のNHK、民放各局の、先ほど君嶋さんからも話がありましたけれども、今、売りたい番組を30分にわたって紹介していくという形をやっています。1回目のときは疑心暗鬼でやったのですけれども、非常にお客さんの集まりがよくて、会場に入れないという状況で、外にモニターを設けて見せるという状況でした。 昨年のケースは、JETROとJNTOと協力しまして、ほぼ同一の会場で、下では例えばJNTOの物産展、いわゆる観光展をやる、JETROが音楽の商談会をやるという形で連携しました。この3者を組み合わせたことで、向こうのメディアへの露出は予想を超えました。こういう話は、民が先行しながら、国がそれを助成していくという形で継続させることが大事で、先ほど資金の話が出ましたけれども、我々のやっているJ Seriesに関しては、NHKと民放各局が負担金を出して基本的なベースをつくって、総務省の助成金とかJ-LOPの協力を得てやっているという構造をつくっているわけです。 一番大事なことは、これはちょっと我々も反省ですが、個々に皆さん、いろいろやっているのですけれども、この情報が一元化されていない。いろいろな団体が何かをやるといったときに、そこの間で連携ができていれば、あるいは情報がどこかに集まっていれば、時期を合わせてやることも可能です。今、我々はインドネシアでJ Seriesのインドネシア版をやろうと6月に準備しているのですが、いろいろ調べていくと、音制連も、レコ協も、いろいろなイベントをやろうとしている。 これがばらばらにやっていて、先ほど齋藤さんや宮野さんの話がありましたけれども、向こうの会場を押さえるという問題は、大変です。それなりの規模のものを押さえる。したがって、そういう他の団体同士の連携ができていれば、時期を一緒にしていろいろな形ができる。それは、コンテンツだけではなくて、JETROや観光庁とやったようなビジット・ジャパン、クールジャパンとリンケージしてコンテンツを展開していくことができると思うのですね。 ところが、各省庁にはいろいろ連絡が行っていたり、各権利団体には情報があるのかもしれないですが、それを一括して情報を共有して、それを各団体とか事業体に流すという作業がないのです。たまたまいろいろ作業をやっている最中にインドネシアに行ってみると、実は何月に音楽のあれがありますよという話があって、向こうへ行って、はじめて知る。したがって、こういう作業というのは、どこかに「情報が共有できるような組織」と「流す組織」というのが必要なのではないかということを、今のトーセさんのお話を聞いて感じました。そういう点、御検討いただきたいと思います。 ○中村座長 では、瀬尾委員、お願いします。 ○瀬尾委員 今、齋藤委員からおっしゃられたこと。私もジャパコンでいろいろなことを発信していて、クールジャパンについてはかなりいろいろな成果が上がってきている、情報もかなり浸透していると感じています。それと、先ほどのAFAにも実際に人をやり、現場の温度も感じ、かつ、例えば北海道テレビは今度ジャパコンでいろいろプロモーションさせていただいたり、かなりいろいろな広がりを持ってきているし、J-LOPの資金が本当に浸透してきていると思っています。 ただ、今日の施策の最初のペーパーの中でも、実は情報の共有とプロモーションということについて、それが逆に死活問題になるぐらい大きなポイントであるというところは、私はちょっと視点が欠けていると思っています。つまり、今のばらばらにイベントが起きる件もそうですし、例えば国内のコンテンツ系の企業、非コンテンツ系の企業がもっと意欲を持たないと出ていかない。つまり、やろうという気になかなかなってくれないのを、集中して国内にも国外にもプロモーションすることで、これが初めて日本の個々の企業の意欲になっていくと思いますし、あと、海外での効率ということも出てくるのではないかと思います。 もう一つ、プロモーションと一口で言いますけれども、1つは情報について。つまり、いかに発信するかということと、いかに集めて共有するかということ、これが一つのプロモーションであって、ジャパコンはこれについてかなり力を入れてやっているというか、メーンでそれをやらせていただいています。また、今、総務省からいただいている映像のプロモーションのサイトというのも、地方局とか制作会社には、自分たちの海外展開のツールとして物すごく反応がいいです。つまり、前までは海外へ出ていくというのは全然できなかったというレスポンスしかなかったところが、私たちもこれを使わせてもらおうかという反応が出てきた。 つまり、浸透と土台が出てきていることを感じているのですが、もう一つ重要なのは、実際に海外に出ていくときに、例えばそこの国の放送はどんな形で、どんな人がどんなふうに聞いているのか、そういう現地の情報が非常に重要になってくる。それについては、集中的にみんなで知らないと、こちらの思い込みで行くと、現地でなかなかうまくいかないのです。JAPACONの初めのときに思ったのは、頭で考えて、ネットが世界を覆うようなイメージがあって、ネットだけでしているのですけれども、ネットだけでは全然だめで、現場の肌感覚とネットの情報が合わさって初めて効果が出てくるというのを実感しています。ですので、先ほどのAFAとかにも人を出して、現場の温度感を拾っていく。それと情報を合わせていくということです。 そういうことをして、facebookにしても、今、おかげさまで43万いいね!まで、コンスタントに増えてきています。ジャパコンがどこをやったらいいのかは別にしても、少なくともこの全体の施策の中で、プロモーションのポジションと効果というものをきちんと使っていかないと、2020年に向けて集中していく時期にあるというのは、私も全くそのとおりだと思います。 もう一つ重要なのは、2020年以後をきちんと考えないと、オリンピックだけでお祭りになって、それが終わってしまったらどうするのというところをきちんと地方にフィードバックする。そのためには、分厚い情報の共有とプロモーションがぜひ必要。それは物すごく感じております。 ですので、経産省、総務省、いろいろ御支援いただいてジャパコンも進んできていますけれども、こういう知見とかが蓄積されてきていますので、これをより広げて、そしてJAPACONにくれとは言いませんけれども、どこでも結構ですけれども、きちんと進めていかないと、私は単発で2020年お祭りで、祭りの後の寂しさというのは言いようもなくなってしまうことを大変恐れますので、ぜひ今からそういうことについては各省庁も真ん中にお取り組みいただいてもいいのではないかとすごく思っております。 以上です。 ○中村座長 ありがとうございます。 では、奥山委員、お願いします。 ○奥山委員 大変すばらしいプレゼンテーション、成功事例だと思うのですけれども、見せていただいて非常に感銘を受けたのですが、これで全然問題ないみたいな印象もあるのですが、日本テレビの君嶋さんが御指摘いただいた権利処理の問題は、ある意味終わりのない闘いだと思います。 aRmaをつくっていただいて非常に進んでいるということですが、著作権法はなかなか大変なのですけれども、直すべきところは直して、より迅速な権利処理ができるようにしていかなければいけないというのは、大事なポイントではないかと思います。 孤児著作権・著作物についても議論したのですけれども、世の中の早い動きをきちんと著作権法に反映していくという視点も非常に大事なのではないかと感じました。 以上です。 ○中村座長 どうぞ。 ○三ツ石参考人 経団連の三ツ石でございます。本日は、このような機会をいただきまして、どうもありがとうございます。皆様方には、当会の活動に御指導と御協力をいただきまして、どうもありがとうございます。 私のほうから、皆様、これまでの御発言と重なるところもありますけれども、ポイントとしては、一体性、継続性、議論の深化ということについてお話申し上げたいと思います。お手元に参考資料として3点お配りしておりますけれども、こちらは後ほどご覧いただくということでお願いしたいと思います。 先ほど宮野さんのほうから、大企業の行動が変わってきているというお話をいただきましたけれども、これまで日本の大企業というものは、自社ブランドとか製品のスペックとか営業力といったもので勝負している、そういったところに誇りを持っているというところがありましたけれども、今や世界経済が発展している中で、どこの国でも大体同じようなものがつくれる。その背景にあるストーリーとか国に対する好感度というものが重要というのが認識として広がってきているのではないかと思っております。国と国とのイメージの競争というフェーズに入ってきているところがあると思います。 そうした中で、冒頭、座長のほうからツールがそろってきたというお話がございました。私どももそのように認識しております。J-LOP、クールジャパン機構、BEAJ、JNTOのビジット・ジャパン・キャンペーンの執行機関化、それからJAPACON、ジャパン・ハウスといったものもございますけれども、そういったツールというのはそろってきたということは非常に心強いなと思っております。 ただ、国の成長戦略とか、あるいは本日の資料を拝見しましても、各省の施策をホチキスどめしたというイメージというのがまだ正直ございまして、こういういろいろな幅広いツールがそろってきたということについて、残念ながら、この企業だったらこれとこれが使えるのではないか、この企業とこの企業が結びつけば、これが使えるのではないかという情報共有というものがまだ十分に図られていないところがあるのではないかと思います。 まず、国のほうにお願いしたいのは、いろいろそろってきたということを、成長戦略の中で、このツールを国としてどうやって使っていくのかということについて、もう少し整理していただいて、PDCAサイクルを回していただきたいということでございます。 一方で、経団連といたしましても、コンテンツの企業に限らず、日本の企業の海外展開を支援するいろいろな施策について、幅広い企業が情報共有して、それから活用を図っていくということをしていく必要があると考えておりまして、2012年には知財事務局に御協力いただきまして、国家ブランドの強化に向けた各省庁の施策を紹介させていただき、また活用事例を紹介するような説明会を開催させていただきましたけれども、またこのような説明会を開催して、企業の連携、官民の連携、機運を盛り上げていきたいと考えているところでございます。 それから、継続性のところでございますけれども、例えばJ-LOPにつきましては、2014年度補正予算、60億円確保していただきまして、どうもありがとうございます。ただ、今のところ補正でつないでいるというところがございまして、それが決まるまでは企業としても事業計画がなかなか立てづらいというところもございます。先ほどオリンピック・パラリンピックまでの集中期間というお話もございましたけれども、中長期的に企業が計画を立てやすいような施策というものを進めていただければと思います。また、国あるいは官民挙げての海外展開ということについて、中長期的な計画を立てていくということでございましたら、経団連もそのような場に積極的に参加していきたいと思っております。 それから、議論の深化のところでございますけれども、コンテンツの海外展開というお話、今日、これがテーマでございますけれども、資料のほうには、例えばロケの誘致ということもございました。また、共同制作というお話もございます。コンテンツの海外展開の機運を盛り上げていくためにも、例えば日本でコンテンツをつくろうとか、日本のコンテンツの展示会とかネットの配信とか、つまりさまざまなツールについて国内のイベントというものも盛り上げていく必要があるのではないかと思います。 そういった意味では、国際会議とか展示場といったものについて強化していくというのは、先ほど海外展開の際にさまざまな企業が連携していかなければいけないというお話がございましたけれども、国内における展示場とか情報発信につきましても、そのような連携を図っていく必要があるのではないかと思っております。そちらにつきましても、私どもでできることがありましたら御協力を検討してまいりたいと思っております。 ありがとうございました。 ○中村座長 ありがとうございます。 後藤委員、お願いします。 ○後藤委員 いろいろお話を伺って、最近の状況がとてもよくわかりました。 それで、事務局から配られた資料の1ページ目のコンテンツの海外展開の状況というところの日本コンテンツ輸出額の推移を見ていて、今日の御発表との落差を非常に感じたのです。これは2012年で切れてしまっているから、こういうふうになっているのかもしれないのですけれども、2004年にコンテンツ産業の振興を国が始めてから、それよりも2012年は少なくなっているわけですね。そうすると、補助金を出して振興してきたのに減っているというのが客観的な状況なのだろうと思います。 今日のお話は、非常に成功しているという事例が、数字はなしに御発表されたわけですけれども、実際、13年、14年とどういうふうに数字としてはなっているのか。そういう成功事例があるにもかかわらず、そんなに全体として増えているのですかというのも気になりましたので、おわかりの範囲で結構ですので、教えていただければと思います。 それと、お話を伺っていてもう一つ感じたのは、どこに国もコンテンツ過剰なぐらい出してきているということで、非常に競争が激しいというお話があったと思うのですけれども、今後ますます競争が激しくなる。そして、コンテンツというのは移ろいやすいですから、すぐあきられるものもたくさん出てくると思うのです。そうすると、全体としてどういう大きな戦略を持ってやっていくかということが、個々のコンテンツが頑張るというだけじゃなくて大事なのかなと思っています。 経団連等は、現地でのプロモーションの補助金をもっと出すべきだというか、続けて出してくださいと要望が出されているのですけれども、ちょっと変な見方かもしれませんけれども、この補助金が出ると広告代理店とか商社のほうにお金が入るのかもしれないですけれども、大きな戦略としてはどうなのか。目標としては、地域経済にそれが波及していくというところが挙げられていると思いますので、もう少しそこに踏み込んだ議論あるいは大きな戦略というのは必要ではないかと思いました。 ○中村座長 今、御質問ありましたけれども、どうぞ。 ○三ツ石参考人 たびたび済みません。経団連の三ツ石でございます。 コンテンツの輸出額について御発言ございました。私どもも知財事務局との会合の中で、ここのところが話題になったのですけれども、輸出額だけではなくて、他の側面も見ていく必要があるのではないかという指摘を企業のほうからさせていただいたところでございます。例えばゲーム会社が海外に子会社をつくって、その海外の子会社がまた売り上げを上げているという場合に、それはコンテンツの輸出額にはカウントされないと思われます。 ですので、日本発あるいは日本企業が連結ベースでつくっているコンテンツというのが、どれくらい国に対して富をもたらしているのかにつきましては、輸出額のところじゃなくて、他の側面も見ていく必要があるのではないかと思っておりまして、ここは私どものほうで数字を持ち合わせていないものですから、知財事務局のほうに御検討をお願いできればというのを、先日、お話させていただいたところでございます。 ○中村座長 ありがとうございます。 事務局、何かありますか。 ○中野参事官補佐 このマクロの数字については、御指摘、大変正鵠を射ているかなと思っております。正直申し上げて、コンテンツ関係の統計というのはなかなか整備がされてございませんで、この輸出額についても各業界団体が集計しているものを合算してつくっているものでございます。したがいまして、何をもってコンテンツ産業の展開とその成果と捉えるのかによっても、考え方がかなりばらばらになっております。例えばテレビ番組ですと、番組放送権は入っておりますが、その後の商品化や周辺のところは統計には入ってこないとか、アニメについてもキャラクターのところは入ってこないとか、そういったところで波及効果は数字でなかなか見えにくいというところがあるかと思います。 それを、キャラタクーの部分を切り出して、この数字に急に乗せることができるかというと、なかなか難しいなというところもあるのですが、コンテンツの数字を見るときには、その点、必ずしも企業の活動全てを数字で捉えることはなかなかできないというところは、共通認識としてさせていただければと思います。 ○中村座長 恐らく問われていることは、この知財本部、コンテンツの海外展開を目指そうといったときの政策目標といいますか、指標は何なのかということが問い続けられていて、今日も君嶋さんがプレゼンしてくださったのは、そういう意味で言うと、コンテンツの海外展開したときの売上高をどう捉えましょうか、利潤をどうしましょうかというビジネスのモデル。伊藤忠さんがおっしゃったのは、コンテンツを先兵に出していて、いろいろな周りのビジネスがあって、そこを大きくしていきましょうという、コンテンツでどうするかという外部波及効果を最大化しましょう。 では、ここでのこれからの政策目標は何でしょう。かつては、海外コンテンツ売上高を1兆円にしましょうとか、何倍にしましょうという議論もあったのですけれども、最近の議論はその両方がなされていて、どの数字を目掛けて、どうしましょうかというのは、確かに戦略として整理はまだされていないという状況にあるのかなという感じが私もしています。だから、今日の議論では、そういう意味で言うと、いろいろなモデルはあります。みんな海外に行くのに熱心になってきました、ツールもそろいましたですけれども、それをどのような方向に持っていきましょうかというのは再整理が要るのかなという感じで聞いておりました。 他にいかがでしょうか。湯本さん。 ○湯本課長 今、コンテンツの輸出額ということが話題になりましたので、当省で調査して出している数字というのを御紹介させていただきますと、お話の出た放送のコンテンツについては、番組放送権そのものは2010年以降、ほぼ横ばいでございます。ただ、先ほど君嶋さんからのお話等でもございましたように、ここ二、三年、大きく変わっているのが、いわゆる放送番組についてのネットの配信とか、ビデオ、パッケージ等のDVD、その他フォーマット、リメークといった部分が大幅に増えております。これは、放送コンテンツの関連の輸出額として考えていいと思いますけれども、それがここ2年ぐらいで大きく増えております。 具体的な数字で言いますと、2011年、合計で71億円だったのが、2012年で87億円、一昨年、2013年度はまだデータがないのですけれども、そこについては105億円となっていまして、前年度比15%ぐらいの伸びを示しているので、この分野の市場規模自体は拡大しているということは言えると思います。 ○中村座長 君嶋さん。 ○君嶋参考人 今、湯本課長がおっしゃったのと全く同じお話と、それから海外番販に関して言うと、取引に関してはドルベースのものが結構多いので、実は同じものであったとしても、為替によって若干変動したりという原因もあります。ただ、一番大きいのは、先ほども申しましたフォーマットとか商品化展開等の分野です。この辺がないとアニメは売れない、逆にそちらのほうがメーンになってきているという状況です。そこをきちんと反映した数字にしないと、コンテンツの海外展開というのは正しくならないのかもしれないというのが最近感じているところであります。 私の実感としては、むしろ最近コンテンツの海外販売が伸びていると思います。特にアジアを中心にネット配信、先ほどありました中国等ものライセンス料も高くなっており、以前の3倍、5倍といったレベルで上がってきていますので、そこを商機として捉えていこうということでやっております。 ○中村座長 はい。 ○齋藤委員 先ほどの日本のコンテンツ輸出額の推移、これはテレビゲームと家庭用ゲーム、アニメ、映画をごちゃ混ぜにするからちょっとわかりにくいと思います。家庭用ゲームの出荷額というのをネットで見たのですけれども、07年をピークにどんと下がっているのがもろに影響しています。だから、ゲームが3,000億円と聞いているので、ゲームのぶれだけでこれが変わってしまうこともあって、個別に出したほうがわかりやすいかなという気がします。 ○中村座長 どうぞ。 ○後藤委員 済みません、やはりもう少し統計データをきちんと出して客観的に議論しないと、今後、どういうふうに大きく戦略を立てていくのかという議論ができないような気がするのです。だから、放送ではなくてネット配信が伸びているのだとすれば、そちらの方向に向かっていくのかということで、またビジネスモデルも違った方向に力を入れていかなきゃいけないと思いますので、研究の立場から言っても、とにかく日本はデータがなかなか得られない国になっていまして、国際比較とか掘り下げたデータ分析がなかなかしにくい国なのです。だから、もう少し統計データを整備していただいて、統計分析に基づいた議論ができると、戦略もよりよいものになるのではないかと思います。 ○中村座長 重村委員、お願いします。 ○重村委員 先ほどの座長のお話とか、今までの皆さんのお話の中に出ているのですが、この会議自体の目標のところで整理が必要なのではないかと思っています。実は、日本の文化とか作品、すなわち日本でつくられた放送コンテンツを海外に出していく。日本ブランドというものを海外に認知してもらう、日本の文化・伝統を理解してもらうという部分があると思うのですが、ここへ来て大きい問題として出てきているのは、クールジャパン、ビジット・ジャパンと連動させようという話になるわけです。 そうすると、日本向けにつくられたコンテンツを海外に売るということよりは、先ほどありましたフォーマットライツの問題とか、例えばBEAJ等が今回、採択の方向としてやっていたのは、アジアの各局の編成担当者が日本を題材にしたとき、どういう番組をつくりたいか。それは、自分たちでつくりたいという状況で、それに対して日本が協力していく。それが、ついてはアジアの国の人間は日本のどこを知りたいか、どういう産業を知りたいかということを紹介できるわけですから、クールジャパン、ビジット・ジャパンにつながるという構造でやってきているわけです。そうすると、それはお金の多寡では出てこない問題だと思います。 だから、そういう部分において、いわゆるコンテンツの海外展開というものが目指していく部分というのは、ある意味で2つの方向性があって、数字だけで物を見るということはなかなか難しいのではないかと思います。 ○中村座長 ありがとうございます。 どうぞ。 ○篠田参考人 藤子プロの篠田でございます。弊社はドラえもんで有名なわけでございまして、我々、ドラえもんに関しましては、1980年代から漫画が、もともとは海賊版で広まって、その後正規版に変えていった歴史がございます。そして、1990年代から台湾・香港を初めとして、アジア各国、あとヨーロッパのほうで正式に許諾して放送をやっておるのですけれども、日本のコンテンツといっても、私どものドラえもんは既に日本のコンテンツではなくて、各国のコンテンツになりつつあります。昨年、ドラえもんの100体のイベントを各国でやりまして、台湾では有料でございますけれども、170万人が来場しました。これは1カ所ではなくて、台北、台中、高雄と3カ所でやりまして、トータルで約170万人。これは、たしか台湾の人口の6%ぐらいになるそうです。 また、台湾ではCTSという地上波及びケーブルテレビで放送していまして、特にCTSでは、ニュース、ドラマ、全てをあわせた中でドラえもんが一番のレーティングをここ10年以上、継続しています。ここでは申しませんけれども、かなり高い金額で売れております。それを自慢するわけではないのですけれど。ただ、先ほどのビジット・ジャパンとかのお話も私どもドラえもんにもありまして、そういう作業も今、しておりますけれども、170万人、台湾で来たというのは、実は台湾の方だけではなくて、台湾に来る観光客もおり、台湾に対するインバウンドでドラえもんを使ったことの効果があったのだと思っています。 これは、上海等でも同じくらい来ていますし、マレーシアは御存じのとおり、かなりインバウンドのビジット・マレーシアですか、やっていまして、マレーシアのほうでそういう施設をつくってほしいみたいなことも来ています。タイのほうも来ていますので、我々のドラえもんに関しましては、どこが本拠地なのかということが非常にわかりづらくなっています。 一つの例で、尖閣列島の問題があったときに北京でイベントを開催する予定でございましたのが、公安のほうから、オープンの前日に尖閣列島の問題がございましたので、最初の日に、やめなさいという命令が出たのですけれども、すぐ次の日に、逆にやれという命令が来ました。 日本側では、今やっていいのかということを言う関係者もいたようですけれども、藤子プロとしてはやっていただいて結構ですということでやったのですが、この理由は、中国の北京の方々は、それを日本のコンテンツだとか、尖閣列島に結びつけていなくて、みんなチケットを買って待っていた人の暴動が起きるのでやってほしいと。 ですから、最初の日の中止は尖閣列島のことを確かに危惧したのですが、見ていますと、周りにいっぱい人が来てしまって、開けろというので、開けたということがあったと聞いておりますので、クールジャパンと言っても、アニメに関しては、顔が日本人なのか中国人なのかわからないものが多いものですから、特に非常に浸透しているということは言えるのではないかと思います。 あと、コンテンツ市場の数字のことですけれども、先ほど君嶋さんもおっしゃっていて、ドル建てでやっているから下がっているというのもあるのだと思います。確かにアニメだけを言うと売値が下がっている部分があるようですから、金額だけではなくて、作品数、本数でカウントしていただかないと、コンテンツの場合、どれぐらい売れているのかというのはわからないのではないかと思います。 あと、私ども、J-LOPには大変お世話になっておりまして、今、中国語と英語の漫画の素材をつくらせていただいておりまして、北米と中国のほうで漫画の配信を行っております。これも我々、1社の1作品だけやっていてもなかなか難しいので、国としてはコンテンツのクラウド化をしていただいて、あるいはクールジャパン・ウィキみたいなものをつくっていただいて、情報を一括して、一つのクラウドとか棚をつくっていただきたいと思います。1万2,000ページありますので、かなりの量ですけれども、1作品ではまだまだ弱いと思いますので、そういうタッグを組むような推進役を国でやっていただければと思います。 以上です。 ○中村座長 ありがとうございました。 他に。瀬尾委員、お願いします。 ○瀬尾委員 先ほどの評価のお話ですけれども、今日経団連もいらっしゃっていて、前からこれはお話ししていたかもしれませんが、コンテンツだけを輸出して、それによって非常に大きく収益を上げるということは、なかなか困難なのではないかなと私は思っております。もちろん、それで収益を上げることは重要なのですけれども、投資額と回収額を考えたときに、それでどんどんもうかっていくようなスキームではないのではないかという感じがします。それに対する波及もありますし、そこの国に対する輸出もありますし、ある意味でいえば、非コンテンツ系の企業がこのコンテンツを広げた後に、いかに現地で浸透していかれるか。これがないと、本当の意味での経済政策にはならないような気がします。 ですので、私はこの知財戦略本部のこの委員会での目的というのは、日本の知財を中心としながら、日本の経済政策を考えるという視点ではないかと思っておりますので、単純にコンテンツをできるだけ多く売ることだけがこの委員会の目的ではないと理解しております。ですので、例えばコンテンツの伸びだけではなくて、総合的なその国に対する輸出額とか、実際本数とかもありましたけれども、多角的なことをしないと、どうしても矮小化して、コンテンツだけどうやって売ったらいいのだろうと、単純にそれに集中されてしまうと、逆に詰まってしまうのではないかという気がいたします。 この最初の表がばっとコンテンツで出てきているということがございますけれども、今回はコンテンツの海外展開を巡る検討なのであったと理解していますが、サイクルをきちんと回していくためには、この評価の部分は非常に重要ですので、そのコンテンツだけに限らない評価。もっと言ってしまうと、アジアにおいてのいろいろな友好関係、国民同士の友好性みたいな部分にまで影響する施策ですので、多角的な、できるだけ多くのデータを集めていただきたいということがあります。 このコンテンツの海外発信については、クールジャパンから地方創生という今の施策の中で、どれだけ役に立てるかということもきちんと考えた上でやることが、この委員会の目的なのかなと、私はそう理解していますので、評価についてはあまり一方的にならない、多面的な評価と検証をできるだけ考えていくべきではないかと考えております。 以上です。 ○中村座長 では、齋藤委員。 ○齋藤委員 今回ご出席の皆様方が積極的にコンテンツを海外へ持っていき、海外で人気が高まり、結果的にインバウンドにつながることは、日本にとって大きなメリットだと思います。人気が出ているから、現在、タイからも観光客が日本へ多く来られていますし、日本でキャラクターいろいろグッズ等を買われているのだと思います。このようなかたちで海外で人気が出たものに対して、日本へのインバウンドにどれほどの影響をもたらしているかというデータはなかなか無い気がしますので、それを調査してまとめていただければありがたいと思います。 ○中村座長 どうぞ。 ○宮野参考人 今のお話、私もいつも体験していることなのですけれども、私のように地方局の番組とかを販売している者からしたら、日本のためにいっぱい出せと言われるのであれば、局にお願いして安い価格で出したい。でも、収益を考えますと、もともと安く売ろうとしているものをさらに値切られていくと、どんどん収益がない状態になってしまいます。ただ、韓国等のグローバルIPの考え方というのは、最初、ただで出して、シーズン1でヒットしたらシーズン2から高いお金を請求する。 例えば、韓国のダイエット本が日本で、1作目は角川にグローバルIP、ただで、権利の部分はミニマムギャランティーを政府が補助するから、ただでいいよと言って出してもらって、日本で何十万部のヒットになったら、2作目、3作目がちゃんと課金されているというモデルがあるのです。私自身も、いつもJ-LOPの支援を受けながら海外に回している番組を紹介しているときに、何年間かは利益度外視で数をまず出しましょうとか、日本のコンテンツへのニーズが高まって、それぞれの国の消費者が日本のコンテンツがなければ物足りないと思うようになってから、ある時点からお金を目指しましょうみたいな中長期の目標が必要になるのかなと思っていました。 ただ、これは日本全体が一つの目標を持っていてもしようがないもので、今の時点でドラえもんとかポケモン等は、コンテンツとして、もう強いものもございますので、コンテンツを段階に分けて、この段階の人たちは今の数だけでいけばいいみたいな目標を与えられると、それぞれのミッションが明解になるのではないかと思いました。 ○中村座長 重村さん、お願いします。 ○重村委員 コンテンツの海外展開の話ですけれども、例えばアニメがドラえもん等、非常に好調に出ているわけですけれども、ドラえもん、ドラゴンボール、ワンピース以降、日本のアニメで海外に出られるものがほとんどないのです。海外に通用する日本のコンテンツに対する育成策をきちんとやっていかなければいけない。特にアニメに関しては、深刻だろうと思います。 これは非常にわかりやすい言い方ですけれども、日本のプライムタイムの地上波のテレビ局のアニメ枠がどんどん減っているわけです。はっきり言えば、日本のクライアントニーズから言うと、アニメというのはあまり好ましくないという形になる。したがって、実態としては、かつて当たったアニメというものは海外で非常に活躍しているけれども、その後続するものが出てきていない。それを育てない限りにおいては、これからは厳しい。 アニメに関して言えば、「ドラえもん」とか「ポケモン」という子供向けのアニメというものは全世界的な売れ方をするわけですけれども、「エヴァンゲリオン」以降、日本で受けるアニメというのは、いわゆる高校生・大学生から上の世代で、これはあまり海外で生きていないのですね。日本のアニメはほとんどそういう構造になったものですから、テレビ局の深夜帯で放送されている。では、次の時代になったときに日本が輸出できるアニメがあるかというと、非常に大きい不安があるわけで、そのことに対する助成みたいなこともこれから考えていかないと、「海外展開」はうまくいかないだろうと思っております。 ○中村座長 お願いします。 ○横尾局長 今のこの会議の目標の議論なのですけれども、今までこの会議で、それを当然前提にしてやってきているので、今、そういうふうに広く捉えるべきか否かという議論は、ここでする必要はないと思っています。 というのは、資料の3ページの説明を省略してしまったのですけれども、今回の全体の資料の構成からしても、コンテンツだけの輸出を我々はターゲットにしているわけではなくて、これは今までの議論からもそうなので、とりわけ波及効果があるからコンテンツに着目しているので、したがって最も波及効果の多い映像コンテンツにフォーカスしようというのが全体の思想ですので、その思想がいいのかどうかという議論を今、する必要はなく、そのためにどうするかという各論の議論をぜひしていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。 ○中村座長 どうぞ。 ○三ツ石参考人 ありがとうございます。 そういたしますと、参考としてちょっと御紹介させていただきたいのですけれども、参考資料1−3でお配りした「国家ブランドの構築に向けた提言」でございますけれども、こちらの8ページで、我々、クールジャパンというと伸びたり縮んだりすることがあるものですから、ジャパン・ブランド戦略と言いかえさせていただいております。こちらのほうで、政策を議論する上では、何か指標等の数字が必要だろうということで、中で議論した際に出てきたものを書いております。 1番上のところでございますけれども、資料にビジット・ジャパンにつなげていくのだという御紹介がありましたけれども、そういった意味では、訪日外国人旅行者数、高度外国人材や外国人留学生の数、農林水産物・食品の輸出額、対日直接投資額、放送コンテンツ関連の海外市場売上高、それから国内での国際会議・国際的見本市の開催件数、日本語の学習者数、論文の被引用者回数やシェア、さらにはということで各種の国家ブランドとか競争力の指標というものをKPIにしてはどうかということを提言させていただいておりますので、御参考までに。 ○中村座長 ありがとうございました。 他にいかがでしょうか。では、後藤委員、お願いします。 ○後藤委員 済みません、今のような指標も必要で、そういうものがないと、どれぐらい波及しているのか、どうやって波及させるのかという議論ができないと思うのですけれども、それに加えて、ここは知財の委員会なので、例えばコンテンツを知財として見た場合に、知財としてどれぐらい収益が上がっているのか。あるいは、先ほどのドラえもんの話のように普及して浸透していっているとすれば、それでライセンス料というものが増えているのかどうかということ。 それから、今、齋藤さんに見せていただいていたのですけれども、ドラえもんとゲーム企業が組んでドラえもんのスタンプを売っていらっしゃって、すごい売り上げだとおっしゃっているのですけれども、そういうネットを通じたビジネスでキャラクターがどれぐらい販売額が上がっているのか。多角的に見ないと、波及というのを感覚だけで判断していては、戦略というか、そこにつながらないのではないかという気もしますので、今すぐ統計データを出すというのは難しいかもしれないですけれども、既にある部分だけでも、もうちょっと客観的なデータがあると議論が深まるのではないかと思います。 ○中村座長 では、瀬尾委員、お願いします。 ○瀬尾委員 蛇足かもしれませんけれども、アニメについてお話が出たので、私が専門外でこういうことを申し上げるのもちょっとどうかと思いますが、感じていることの中で、ポケモンのヒットの時というのは、比較的トリガーが偶発的にたまたまヒットしたものを伸ばしていったようなイメージが私はある。ただ、今、妖怪ウォッチがすごくヒットしてきていて商品にも波及していますけれども、そこでは最初から計画されている販売計画を物すごく感じます。ということは、それだけアニメのつくり方とかマーケティングが成長しているのかなというイメージを私は持っています。 ということは、それだけ成熟してアニメをツールとして使えるとすると、この表でもわかるとおり、非常に受けやすいし、浸透率も高いし、日本のブランディングの中では非常に武器になる分野だとすると、先ほど齋藤委員もおっしゃられたように、特に重点的にこれを育てていって商品化していく方向というのは、比較的あり得るのかなと思いますので、アニメというものの受けと費用対効果、育て方を考えたときには、私は大変有望かつ即効性のあるものとして、カンフル剤的にその分野を押していくことも必要なのかなとちょっと感じました。 ○横尾局長 アニメですけれども、日本はこれからの課題としては重村さんがおっしゃったようなことがあるのですが、今、アニメは過去の遺産もあって、割と出ている、他方でドラマはあまり出ていません。どちらのほうが波及効果があるだろうかというと、私よりもっと上の世代でしょうけれども、アメリカのホームドラマを見て、アメリカの生活にあこがれました。韓国の放送もほとんどドラマですね。したがって、どちらかというとドラマというか、アニメじゃない実写のほうが波及効果はあるのではないかというのが、何となく肌感覚としてはあるのですけれども、その辺はどういうふうに考えるかですけれど。 ○篠田参考人 今、藤子プロなものですから門外漢ですけれども、以前はアジアのほうにずっと駐在しておりまして、ドラマも販売していたのです。それは、90年代ずっとやっていたので、そのときは日本のドラマが非常に売れていたときだったのです。ただ、その後、韓国のディストリビューターというか、ほとんどただみたいな金額で売り始めた。 そうしたら、特に、ベトナムは韓国に対するイメージが非常に悪いのです。ベトナム戦争のときの韓国兵の残虐行為がイメージに非常に残っておりまして、とにかく韓国のブランド、LGとか韓国産のメーカーもなかなか入ってこられないときだったのですが、そのときはドラマだけじゃなくて、ドラマに登場した俳優とか歌手が来て、コンサートとかイベントをほとんど無料でいろいろなところでやった。そのときに当然、韓国の企業が全部スポンサーをしてやった。これは、韓国も国を挙げて、ベトナムに関してはやったところ、現在では韓国のブランドのほうが日本のブランドよりも、特に家電と車に関しては売り上げが多いという話も聞いております。 ですので、ドラマを売るだけではなくて、その周辺のものを一緒にやって、今おっしゃったように、日本の文化あるいは芸能界あるいはミュージックに追随して、日本の文化の先にある商品というものが出てくるのではないかと思います。 ○瀬尾委員 事務局長のお話で、私が考えますのは、今、クールジャパンとかビジット・ジャパン、トータルでの波及効果は、私はドラマとかだと思います。ただ、先ほどちょっと申し上げたように、即効性のある、つまり、それが受けたら、それがついているキャラクターが売れるとか、効果の上がりやすいものとしてはアニメがあるのではないか。例えば1つヒットしたら、それのグッズが売れる、食品が売れる。そこにキャラクター関係、もしくはそこに出てくる、例えば妖怪ウォッチの玩具が売れるとか、そういう非常にダイレクトな意味では、ばかにならない金額とばかにならない内容で即効性がある。 ただ、今、ここで目的としているインバウンドに結びつけるような大きな戦略として、当然、私はドラマがないと厳しいと思っていますから、正攻法のまさに真ん中としてドラマがありつつも、その即効性のある部分として硬軟織り交ぜていくような戦略の中で、アニメという分野はちょっと特別に考えてもいいのではないかという形のことを申し上げたという意味でございます。 ○重村委員 最後に一言だけ、ドラマに関して言うと、現地語でどう吹き替えるかというのが一番大きい問題です。韓国もそうですけれども、一番受けているのはハリウッドの作品であって、ハリウッドのものは必ず現地語化されている。そういう意味で言うと、クールジャパン機構が今度SDIメディアを買収しました。あのようなローカリゼーションの機能を手に入れることによって、クールジャパン機構等のやっている作業と、我々のコンテンツ事業をどうリンケージさせていくかというのが、これから局長がおっしゃったように、ドラマ等をもう一回大きな我々のアセットにできるかどうかということだろうと私は思っています。 ○中村座長 ありがとうございました。 今日は、映像を中心として海外展開策をどうするかということを御議論いただきまして、それが今後、アニメなのか、実写なのか、ドラマなのか、戦略としてどうするという大きなタマであります。どう考えるのかというのは、また次回でも議論できればいいと思います。 また、皆さんからさまざまな課題も提案・提出していただきました。例えば業界内、まだまだばらばらではないか、あるいは業界と他の分野との連携もうまくできていないのではないか、情報が分散しているのではないかというのが1つ。 もう一つは、ツールはいろいろそろってきたとしても、その継続性はどうなのかという問題。 3つ目が、ベースとなる権利処理をどのように今後も円滑化していくか。他にもあると思いますけれども、これを知財計画としてどのように落とし込んでいくかということも、次回議論いただければと思います。 ということで、次回、もう一度、この海外展開策について議論いただく予定になっておりまして、その後、次の計画の骨子づくりに入るという運びとなるかと思います。 ということで、今日の時間が参りましたので、このあたりにしたいと思いますけれども、最後に横尾局長から総括をいただけますでしょうか。 ○横尾局長 今日は、大変有意義な議論をいただきまして、ありがとうございます。今、中村先生からラップアップしていただいたので、あまりつけ加えることはないのですけれども、実はさっきのKPIの話で1つだけ。今の成長戦略、日本再興戦略で書いてあるコンテンツのKPIは、2018年までに放送コンテンツを3倍に増やすというのだけあるのです。 なぜコンテンツに関して、クールジャパンに関してこれだけなのだという議論が実はありまして、別途の農産物の輸出の目標とか観光客の誘致の目標は、それはそれであるのですけれども、コンテンツとして、あるいはより広くクールジャパンとしてKPIをどうするかというのは、もう一個別の課題としてあって、これは次の6月の知財計画なり成長戦略に向けて、並行して検討していく課題になっています。そういう意味でも、統計は確かに整備されていないので、これはこれで大きい課題かと私自身も思っていますので、これは各省とも連携しながら考えていかなきゃいけないなと思います。 それと、中村先生がおっしゃったところですが、ツールなりは相当そろっているので、これをどうまとめて情報を共有して、かつ民間の方のプロジェクト間で共有するようなプラットフォームとか仕組みづくりみたいなものが物すごく大事なのだろうなというのは、実はクールジャパンのほうの別の会議でも同じような議論がありまして、そこをどうしていくかというのが1つコアかなと思っていますので、事務局でさらに今日の議論を踏まえ、あるいは有識者のいろいろな先生方の御意見を踏まえて、もっと詰めたものを次回は提示していきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。 今日はありがとうございました。 ○中村座長 では、次回の会合を事務局から連絡いただけますか。 ○中野参事官補佐 次回委員会は、4月7日木曜日の午後2時からということで、コンテンツ海外展開をテーマに開催させていただきます。詳細は、決まり次第、事務局より御連絡させていただきます。 ○中村座長 では、閉会といたします。どうもありがとうございました。 |