検証・評価・企画委員会(第8回)日 時:平成27年2月26日(木)10:00〜12:00 場 所:中央合同庁舎4号館 第2特別会議室 出席者:
おはようございます。ただいまから第8回の「検証・評価・企画委員会」を開催いたします。 朝からお集まりをいただきまして、どうもありがとうございます。 本日は、前回に引き続いて「アーカイブの利活用促進に向けた整備の加速化」というテーマのもと議論を行うこととしております。 本日、御出席いただきます委員の方は、座席表のとおりですが、大ア委員の代理で仲川和宏様、木田委員の代理で加藤久仁様に、参考人として御出席をいただくこととなっております。 また、参考人といたしまして、生貝直人東京大学大学院情報学環特任講師、今村哲也明治大学情報コミュニケーション学部准教授、杉本重雄筑波大学図書館情報メディア研究科長、高野明彦国立情報学研究所コンテンツ科学研究系教授、山崎博樹秋田県立図書館副館長に御出席をいただいております。 ありがとうございます。 よろしくどうぞ、お願いいたします。 では、開催に先立ちまして、知財事務局長から御挨拶をいただきたいと思います。 横尾局長、お願いいたします。 ○横尾局長 おはようございます。事務局長の横尾でございます。 今日は、御多忙な中、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。 前回に引き続きまして、アーカイブの議論を2回の集中審議で一応今日で当面のアーカイブの方向性については出したいと思っております。 後ほど、御説明をさせていただきますが、事務局案として、実施体制、役割分担と権利処理の円滑化について御議論をいただきたいと思っております。 アーカイブはコンテンツをはじめ、文化的、経済的な価値のあるものをためて、それを活用していくという、その活用に意味があるというのが、多分大事なことだろうと思っております。 そういう意味では、昨年度と今年度14年のタスクフォースに続きまして、今回、この本委員会で方向性を出せればと思っておりますので、中村座長をはじめ、委員の皆様方のぜひ忌憚のない御意見を頂戴できればと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。 ○中村座長 ありがとうございます。 それでは、議事に入ります。 まず、事務局から配付資料の確認をお願いします。 ○中野参事官補佐 お手元に資料1から資料6まで御準備してございます。 不足等ございましたら、事務局までお知らせいただければと思います。 ○中村座長 では、アーカイブの全体像に関して、議題1ですね、実施体制と役割分担についての議論に入りたいと思います。 このテーマについては、前回も議論がなされましたので、それを踏まえた今後の取組について、事務局から説明をお願いします。 ○中野参事官補佐 知財事務局の中野と申します。 よろしくお願いいたします。 お手元の資料1に沿って御説明をさせていただきます。 まず、資料をめくっていただいて、3ページ目が総論としての全体像になりますが、これまでの検証・評価委員会等での御議論を踏まえて、アーカイブを巡る課題と取組の方向性を整理しております。 課題については、大きく3点と整理してございます。 1点目として、個々の期間、分野ごとに取組というものは進められてきておりますが、その連携というものが不十分であるというところと。このため、デジタル化した資料を一元的に使えるという環境になっていないというところがございます。 2点目として、分野ごとに取組が進んでいるということを申し上げましたが、その取組状況を分野ごとに見てみるとばらつきがあるというところでございます。特に、映画、アニメ等のいわゆるコンテンツ、新しい文化的な活動については、なかなか体系的に取り組むという組織、機関もないということで、資料の滅失が懸念される状況ということが挙げられております。 3点目として、制度面の課題ということで、個々のアーカイブ機関が保存のためにデジタル化をしようとしたり、あるいはそのデジタル化した著作物を発信、利活用するという際に、著作物ということで、著作権の処理が必要になるというところの手続の負担が大きいという大きく3つの課題があると整理をしてございます。 これに対して、スライド3ページ目の下部分ですが、3本柱での取組ということが必要と考えております。 真ん中の@として、連携・横断の基盤を作っていくというところ。 左側でA各分野の取組を進めていくというところ。 右側としてB制度面の対応ということを進めていくというこの3つをさらにそれぞればらつきがないように、連携させていくような関係省庁の意思疎通の場ということを設けることが必要であると考えております。 4ページ目ですが「目指すべきアーカイブ全体像」というところです。これもこれまでの御議論を踏まえて整理をさせていただいております。 まず、一番下の段階として、資料を集めて、デジタル化をするという収集・保存をする場というのが必要であると。これについては、ある程度分野ごとに進められていくイメージと整理をしております。 それが、分野ごとに閉じた形ではなく、横断的に使えるということで、真ん中に連携・横断の場、検索ポータルということを設けていく。 その連携・横断したコンテンツを利活用ということで、利活用もイメージ、大きく2通りに分かれるかなと思っておりまして、この左側でコンテンツ自体を使っていく二次利用、美術品の画像データを出版物に載せていくというようなものが典型例かと思いますが、コンテンツ自体がもう一度使われていくという場合と、あとは右側として、どこに何があるかと、ここに行くとこういう文化財、こういうコンテンツがあるよといったことをデジタル環境で発信をしていくということによって、集客、宣伝といったことに使っていくという大きく2つの利活用ということを目指して、下の例案の取組を進めていくというのがアーカイブ全体像であると整理をしてございます。 それでは、実際に何をやっていくのか、当面の取組ということで2ポツからでございますが、めくっていただいて右下に6ページと書いてあるところが連携・横断に関する取組でございます。 まず、その連携・横断の場を作るということで、ポータルサイトをどこに置くかということですが、我々政府としての整理として、国立国会図書館において、既存のポータル、NDLサーチというポータルサイトをもとに、より分野横断的なコンテンツ検索を実現していくということ。 さらに、そこのポータルサイトにさまざまな分野がつながっていくというための連携のための仕様(インタフェース)を明確化ということを進めていくということを考えてございます。 また、その下のレイヤーになりますが、分野ごとの束ね役、アグリゲーターを明確化ということを考えてございます。 これは、一番下のレイヤーになりますが、アーカイブ機関、これは地方や民間も含めて多様な主体が活動をしているという中、それを取りまとめる中核的なところがないと、なかなか議論が進まないということで、中核的なものを主要分野ごとに決めていこうという考えでございます。 アグリゲーターとしては、4分野について、案を提示させていただいております。 書籍等については、国立国会図書館、文化財、メディア芸術等については、今は中核的なアーカイブ機関がないということで、まずは文化庁に行って対応をするということ。 放送コンテンツについては、実際にアーカイブ活動をやっている放送番組センター、NHKアーカイブスという2つを中核として進めていくということを考えてございます。 また、上の取組を前提として、横の取組、縦の取組というところの連携を図るために、関係府省、実務者の協議会といったものを設置して、連携の実際の進め方等の課題について、議論をしていくということを今後は検討してまいりたいと思います。 次の7ページ目からは、分野ごとの課題ということで、3分野について、整理をさせていただいております。 まず、文化財分野ということでございますが、情報発信・インバウンド強化に向けて、文化遺産オンラインという文化遺産を取りまとめているポータルサイトを拡張していくということを考えてございます。 具体的には、今後、文化庁でやっていく日本遺産という取組の中で、指定、構成していくような文化財ですとか、あるいは地方に存在する文化資源についても、こちらの文化遺産オンラインに集めていく、データの拡充を図っていくということとともに、利活用に向けた多言語化ということも推進をしていく。 さらには、文化財に閉じたということではなく、文化財以外のデータベースとの連携ということも進めてまいりたいと考えてございます。 8ページ目が、映画等メディア芸術に関する取組ということでございます。 こちらについては、なかなか体系的な収集・保存がされていなかったということで、今年度まで、文化庁の予算事業ということで、国が主体となって、メディア芸術のデータベース全体像を把握するためのデータベースというものを整備してきてございます。 こちらは、本年3月中に文化庁ホームページで公開がされていくということになっておりますが、それを使いながら、どうこの分野を発展させていくかというところでございますが、2ポツ「今後の取組について」に記載をしております。 まず、幾つかの視点がございますが、@と書いているのが、上記に書かれている分野以外にも取組を進めていくためのモデル事業の実施というものでございます。 国が主体となって4分野についてやってきたわけですが、ここにとどまらない分野について、民間主体でのアーカイブ構築を促進するためのモデル事業ということを実施していくというものでございます。 またABについては、でき上がったメディア芸術データベースに対して、情報を追加したり、使い勝手を向上したりということで、しっかり活用していくというもの。 また、映画については、これまでの東京国立近代美術館フィルムセンターにおいて収集ということがされておりまして、それを引き続き実施していくということを考えてございます。 最後に、放送コンテンツ分野ということでございますが、放送番組については、他の分野と違って、かなり組織、関係するところが限られているという分野でございまして、実際にその番組を公開しているアーカイブとして、今、放送番組センターとNHKの番組公開ライブラリーと2種類ということになってございます。 この2種類について、その場で、あるいはそこから地方にコンテンツを発信する等して、放送コンテンツ、アーカイブの利活用ということを進めていくとともに、この放送に限らず、他の分野等の連携についても、連携のあり方を含めて、今後、検討をしていくということを考えてございます。 以上、横断的な取組と今後の取組という御説明を申し上げました。 この次に、著作権に関する制度の取組ということがスライドとしてつくと整理として美しいのですが、著作権については、本日の後半の議論で詳しく御説明として議論をいただくという場を設けておりますので、御説明は割愛させていただきます。 事務局からの説明は以上になります。 ○中村座長 ありがとうございました。 誰が何をどうするのかということの整理と方向性を打ち出してくださいましたが、これについては、後ほど皆さんで議論をいただくことといたしまして、この全体像について検討するに当たって、今日、参考人4名の方から御発言をいただきたいと思っております。 まず、高野参考人からEuropeanaの最新動向と、それを踏まえたアーカイブの実施体制と役割分担に関する御意見をいただければと思います。 ○高野参考人 高野と申します。よろしくお願いいたします。 実は、2週間前にパリでのBNFでEuropeanaのテックカンファレンスというものが5年ぶりに開かれまして、そこへちょっとプログラムコミティーで関わったり、パネルに出たりしてまいりましたので、その印象も含めて簡単に御説明いたします。 お手元の資料2というものに、表紙だけ貼ってきたのですけれども、上の赤い表紙「We transform the world with culture」ということで、これをスローガンとして、今後、また5年間走っていきたいということで、Europeanaのメンバーは考えています。 過去5年は日本でもいろいろ取り上げられていますけれども、割とメタデータを収集すると。先ほどの中野さんのお話にもありましたけれども、ヨーロッパ全体としての文化財の情報についてのポータルサイトを立ち上げて、グーグルを引くかわりにこちらを引いてもらえるようなサイトを立ち上げるのだということが、まず、Europeanaの1つの目標でありました。 それで、集めるところはかなりうまくいきまして、3,000万ないし4,000万とおっしゃっていましたけれども、2週間前に4,000万件に達するぐらいのデータが集まってきたと。ただ、量としてはかなりあるということです。 そのうちのこの2枚目のスライドにちょっと書いてありますけれども、大体35%ぐらいは、何らかの形で再利用可能と。小さなサムネイルが使えるというのもカウントされているのですけれども、何か自由に使っていい素材が集まってきたということで、これは無視できない分量でグーグルも驚いているというような状況かなと思います。 グーグルの人には余り聞いてないですが。 ところが、一方で、例えばルーブルのコンテンツが見えるかとか、大英博物館のアイテムが全部見えるようになったかと言いますと、そういうことは全然なくて、個々が発信を十分できる組織については、余りメタデータをわざわざEuropeanaに入れてくるというようなことは行われていないようです。 そこが、Europeanaのジレンマでありまして、どうしてもフリーで使える何らかサムネイル等のものがあるものを登録してくださいということで呼びかけておりますので、これはちょっとフリーに出したくないねと、あるいはライセンスをきちんとまだ決めたくないというようなものについては、どうしても博物館、美術館が抱え込んでいるという状況も一方であります。 次の5年をどうするのかというので、Europeanaの5年間、EUから大分お金をもらって、うまく回ってはきたのですけれども、スポンサー側がいろいろチェックしたところ、件数は確かに増えたけれども、ほとんどの人は、Europeanaを調べるわけではなくて、グーグルなり、何なり、他のサイト経由で美術館にたどり着いてしまっているということで、Europeanaは何のために集めて、何を提供しているのかというのは、非常に不明確であるということが言われているわけです。 実際、自分たちの子供を見ても、Europeanaを使っているのは1回も見たことがないとか、いろいろなことを言われて、委員会の席でも、随分困ったというようなことを聞いております。 そこを次の5年は、集めるところはそれなりに集まったから、次は活用だろうということで、集めたものがこのように使えれば、面白いねと言うことによって、今なかなか出し渋っているような組織からもプレシャスなものが集まってくるという状況をつくりたいというのが今のヨーロッパの雰囲気であります。 その時に、どうやっておもしろい活用、それはEuropeanaの本部が、今、オランダの国立図書館に間借りしていたり、つい2カ月前にそこから独立したビルに出たりしているのですけれども、1カ所にある、オランダの一角にある本部が全部を取り仕切るということはとても無理だということで、これはやはり人のネットワークでやりましょうということで、EuropeanaラボというものをEuropeanaの脇につくりまして、電子的ですけれども、Europeanaのリソースをいろいろなアイデアで使ってくださいと。使ったものをショーケースにして、皆で共有していきましょうと。あるいは一部は商用のサービスとして展開してもらっても構わないと。それはもちろん使うデータについてはそういうものが許諾されたものに限ると思うのですけれども、そういう形で、活用の展覧会ではないですけれども、常設のラボみたいな、仮想ラボみたいなものを作って盛り上げていくということを考えております。 それについて、いろいろなプロジェクトを提案したら、ECとしてお金をつけていくとなるかと思います。 これは、日本を振り返ると、1枚めくっていただくと、上下にうちの研究所あるいは研究室で取り組んできたいろいろなシステムを一覧にしているのですけれども、こういう試みをして、一部がやはり社会としておもしろいねということでピックアップされていくということがありましたので、全部が全部生き残って今でも盛んに使われているというわけではないのですけれども、幾つかはやはりそういうトライの中から、おもしろいものについては、ちゃんと外の資金がつきまして、維持されていくという状況があります。 ですから、日本のこういう文化のアーカイブを考える時に、もちろんアーカイブですから集めたものは消さないようにするとか、そういう責任ある組織があって、ずっとやり続けるということは重要なのですけれども、その一方で、いろいろなトライを認めるような形、あるいはそれを認めるためにはどういう権利処理が必要であるかと、そういうことについての議論を多分、中野さん等はいろいろ考えておられると思うのですが、具体的に進めていく必要があるだろうと思います。 1枚開いた右上の「新システムのビジョン」というところで、ポンチ絵をかいてきましたけれども、これが上下で1組になっています。 結局、ここで私たちが幾つかの分野について取り組んできたのですけれども、皆さん、御存じだとすれば、文化遺産オンラインというのをずっと10年間ぐらい裏方をやってシステムを維持しています。 それから、Webcat Plus、これはNDLサーチのライバルだと思って、一方的にライバルだと思ってやっているサービスがあるのですが、これは本を国会図書館の本も、大学の図書館1,000館分の本も全部引けると。それから、日本の古本屋という古書店等の連携をしておりまして、そちらの本もちゃんと探しに行けるというようなサービスをしているのですが、そういうものというものを僕らはやってきたのですが、そうやってきた結果、大体将来的にある分野の、先ほどで言えば、アグリゲーターですかね。ある分野について、かなりコミュニティーからもサポートされていて、どういうデータはどう整理したらいいかという知見もあるようなグループができた時に、そのグループとしてどのようなシステムを作って持っておくと、今後いいかなという話を考えたのが、このシステムのビジョンです。 今、具体的には、これは電通系のアドミュージアム東京というコマーシャルのデータベースを維持したり、それを使ってミュージアムの運営をされているところが汐留にあるのですけれども、そこの裏方のシステムを、今、私どもが作り直しておりまして、その過程でもう一回考え直してみようということで作った絵です。 左下に、「ダークアーカイブ」として点線で囲ってありますけれども、これは消えない場所をこうやって作っていくというのが非常に重要であろうと。このデータがここにあると。 そこに寄せていくデータというのは、利活用的な意識で作られる部分とマスターDBと、これは消してはいけないものです。ここに入っているから安心できるというような世界とちょっと分けて考えていこうと。 もちろん、この情報は利活用だけ、この情報はマスターにだけ置くというようなものがはっきり分かれるわけではないのですけれども、そういうものを含めて考えていく。 そういう左下に倉庫がきちんとできましたら、それを使って、上のほう、虹のようになっているところに、上から登録処理Platformと右側の利活用支援Platformというようなプラットフォームを提供しまして、その上に幾つかの活動が乗ってくる。瀬尾さん等が熱心に取り組んでおられる権利情報を一元管理して、ここに聞きに行ったら、全て、どこまで使っていい、どういう目的に使っていいということがわかるというような場所を上のほうに作っていくと。そこがかなりはっきりしてくると、右側にだんだん時計の針のように進んできまして、最初は多分、展示というのは、著作権法上も非常に緩やかですので、限定されたオーディエンスに対して、ある限定機関だけお見せするというようなことで、他の活用は進むだろう。 その次は、きっと教育で、先生が持って教室で使うとか、学生にある期間だけ使わせるというのは、非常に容易なことなので、それができるだろう。 それで、多分それをクリアできたら、いずれウエブ上での発信と、本当の意味でのオープン化してくるというようなことがきっとできるだろうということで、だんだん一気に全部とか、全部できないものは一切保存もしないというような、極論ではなくて、グラデーションを持って社会的な活用が進むようなものというのを意識してシステムを作らなければいけないし、制度も多分、そういうものだと思うのです。今、どうしても議論にあるのは、利活用が本当にできるものだけ集めますというふうに、例えばEuropeanaも最初そう振ってしまったので、本当にいいものが集まらなくなってしまって、では今集まった4,000万件、件数は多いのですけれども、その中で、ある画家のスクールの歴史を書こうと思うと、非常に重要な作品が抜けているわけです。ルーブルが出していないのでそこが抜けてしまっているとか、これはドイツが絶対出してくれないとかということが起きてしまっているのですが、だから、そういう意味では、利活用のほうに最低限欠かせないものというものをお金を払ってスカウトをしてでも何か教材がつくれるというような仕組みがきっと必要だろうというのがこの絵の趣旨であります。 最後のページにいきますが、これは文化庁が昨年やった有識者会議というものがありまして、文化関係資料アーカイブについて議論する有識者会議というものがあって、私が座長でやったのですが、そこでの議論で出てきた絵ということで、文化庁がオーソライズした絵ではないということで、ちょっと御了解いただきたいのですけれども、3つのプラットフォームみたいに、今言ったことと同じですが、アーカイブに資する部分と、それを利活用していく部分、その間にきっと利活用のための知識というものを皆で共有するレイヤーというものがきっと必要だろうと。そこはある組織が全部抱えるというのではなくて、プラットフォームは提供するかもしれないのですけれども、個々の知識については、できるだけオープンに、できるだけフリーにしていく、あるいはあるサイトが世の中に対して打って出る機関はそのサイトがきっと独占するのですが、ある例えば企画展のようなものが終わってしまう。あるいは東京オリンピックに向けた何々サイトが終わった後でも、そこでつくられた知識みたいなものは、ちゃんとどこかに溜まっていくということ、それが後世につながっていくということを考えるべきだろうと思います。 下の絵が、ナショナルアーカイブの全体像ということで、これはぐちゃぐちゃしているのですが、これはNDLのメンバーとか、私たちの仲間でアーカイブについていろいろ考えている人たちに集まってもらって、ブレストみたいなことをしているのですが、その中では、このぐらいに大きく風呂敷は広げられるねということでかいた絵です。ここも、誰もオーソライズしているような絵ではないので、ここの席上限りぐらいにしていただければと思います。 というのが、私からの報告です。 この利活用を考えた、あるいは利活用した活動の結果、生まれた知識がこの国にちゃんと溜まって後世に伝わっていくようなことを考えるべしという話でした。 以上です。 ○中村座長 ありがとうございました。 次に、山崎参考人から、地方におけるアーカイブ活動の経験に基づいた御意見をいただければと思います。 ○山崎参考人 秋田県立図書館の山崎です。 私は、御存じない方も多いと思います。ちょっと私のことを最初にお話ししてから提言をしたいと思います。 私自身、平成4年から秋田県立図書館に勤めておりまして、平成7年からはデジタルアーカイブの仕事をしております。 その当時はIPAで実証実験等を行っていた時期でしたので、その委員も務めてまいりました。 平成15年、16年は国立国会図書館関西館のほうに出向をしまして、ここではレファレンス共同データベース、私が提案したものなのですけれども、電子情報の中長期の保存研究、それから資料のデジタル化の手引というものの執筆者の1人です。 その後、秋田に戻りまして、アーカイブの仕事をしておりますけれども、3年ほど前からはNTTデータのアムラッドという仕組みからバチカンでも動いているものですけれども、それの最初の投入館ということで、これは地域連携型のアーカイブというものを作っております。これは、現在、50万件ほどのデータが入っております。 資料3をご覧ください。 「地方におけるデジタルアーカイブズの課題」ということで、私は地方の人間ですので、そういう点から提言をしたいと思います。 5点、提言をしたいと思います。 1点目は「データベースの作成及びメタデータの統合について」という点ですが、ここに書いてあるとおりなのですが、もう少し加えて言えば、地方機関にある程度のデジタル化の予算がついております。これは補助金なり、一定の期間ですね。ただ、通年でついているわけではありません。 ただ、それらのデータがどういう状況になっているかと申しますと、必ずしも公開されているわけではないということです。多くはロッカーの中にあります。CD-ROMとDVDになって。体がよければもう少しいくと、館内でパソコンにおいて見せる程度です。 さらに進むと、ウエブ上に公開ということになりますが、これはかなりむしろ少数に値すると思います。 ほとんどのところは、時間外のサービスの中で館内の中で使っているという状況だと思います。 その原因というのは、ノウハウの問題、それから、システムを構築するための予算というものもあるのですが、もう一つはメタデータの問題がかなり大きいと思います。 私どもも、前回、そのメタデータの統合ということを考えた時に、例えば、博物館であれば、博物館の中でも、幾つにもメタデータは分かれている。 美術館と図書館のデータは全くメタの用い方が違いますので、これを統合するということが、今までなかなか難しい問題があって、手間がかかりますから、作り直しということもあり、簡単には進まないという条件がありました。 私どもの場合、今、マッピングという方法を使って、ある程度吸収する仕組みで、今提供しています。 2番目は「地方人材の育成について」という点です。 御存じのように、地方では、予算が先ほどお話ししたように、単発的につきますので、長期的に仕事を割り振ることができません。 ですから、1年間だけ担当する。あるいはその時だけ担当するということで、ノウハウを蓄積する余裕がないわけですね。 そうすると、体系的に事業化はできませんから、知識の専門家が育たないという現状になります。 そのため、現行では、ほとんどの機関は、業者が出してきた仕様をそのまま使います。私のところにも、実は多くの県から問い合わせがあります。私自身は、今、総務省の地域情報化アドバイザーの仕事もしておりまして、ここ2年間で十数県訪れましたけれども、やはり基本的なことから教えないといけない。 つまり、図書館では仕様が書けませんので、業者から出てきた仕様を見ても、仕様の数値がわからないのですね。その状況で、今、デジタル化が始まっています。 これは大学等、今、教育の中でも一部の機関でなければまだこの点を教えていないということも1つ原因にあるかと思います。 それから、3点目としては、著作権の課題というものがあります。 これは議論がされると思いますけれども、これも地方の観点から見ると、著作権処理をするということは地方にとってはとても重いことです。 裁定処理をするために費用もかかりますし、お金を乗せるということ自体も、そういう予算をとることはほぼ不可能だと思っております。 やはり、フェアユース的な考え方をしていかなければ、今、膨大に眠っているもの、特に地方で集められたものは、数多くありますので、それらは国会図書館にはほとんど納入されていませんので、そういうものは失われる可能性があると思います。 それから、4点目としては「デジタル化した資料をどのように活用するか」という点です。 どうしても、先ほどお話したように、館内での閲覧のように限られていることが多いので、その点もありますが、もう一つは地方であれば、特に単独のシステムで提供していても、ディスカバラビリティが低いわけですね。つまり、外部からは発見されにくいわけです。 例えば、秋田で10も20もサイトを立ち上げても、それを個別に見るというのはとても厳しいことですから、やはりまとめたサイトというのが、地方にも必要になるわけです。 それから、現行で、図書館、博物館等では、他のサービスとリンクして、このアーカイブという仕事をやっているわけではないのです。 お金がついた時だけ担当者が決まって、その仕事をするという状況ですから、例えば、図書館では、レファレンスサービスという仕事がありますから、地方の人が、国のアーカイブをどう利用するかという点でも、いきなり利用できるわけではないのですね。 ですから、そういう来館者にこういうサイトがあるということを紹介するという仕事でも、やはり地方で担っていかなければやはり国民全体に差が出るということが難しいのではないかと思います。 最後の5点目です。 「地域アーカイブの必要性」という点でお話ししたいと思います。 ここにありますように、国の機関とか、団体等では、数多くのアーカイブというものが既に予算を多く投入されて作成されている状況です。 ただ、全ての資料が国に集まっているわけではありません。 先ほどお話ししたように、地方ではたくさんの資料があって、デジタル化されていないという状況もありますので、そう考えれば、やはり、地方ならではの資料もデジタル化しなければいけない。 もう一点は、地方でデジタル化した場合には、それを活用するのはやはり身近な人間になりますが、地域ビジネスとか、観光支援等にかなり有効な例が多く見受けられます。 例えば、地元のもので作ったものを、江戸時代から地元にあったものをコンテンツを使って、それを商品のパッケージに埋め込む等は、既に秋田でも実例があるわけですけれども、そういうものは、やはり地方から発掘して、地方の中で提供していくという仕事が必要だと思います。 また、地方機関においては、地元の人との密着した関係がありますので、著作権処理、ある意味でいくと簡単な面もあります。 私どもも、来年度は1,000万ほどのデジタル化の予算を獲得できたのですが、既に著作権者との交渉を開始しておりますが、やはり普段からのつき合いが大事です。 ですから、簡単に電話1本でまずお願いができるわけです。先週もこの件でお願いしましたけれども、電話で「お願いします」と言えば、普段から付き合っていることから、いきなりお話しするわけではないので、後で書面を送りますからということで話がついてしまう。こういう点も、地方でのデジタル化のメリットかと思います。 いずれ、今、全体的なシステムというのが提言化されていて、簡単に言えば、お金がそんなにかからず、導入はできる状況にはなりつつあるのですが、私も全国回って歩く感じで、なかなかそれが進まない。 どこに行っても、今検討していますということがとても多いのですが、実際になかなか取り組めないのです。 むしろ、検討すればするほど取り組めないという状況になっています。 つまり、わからなくなるのです。 それを、全体的に支援する機関というものが、日本の中にはありませんので、基本的に知っている人を頼りに口伝えで調査に入ってくるという状況なのです。 ですから、私の場合だと、笑いはしないのですけれども、業者とそれから図書館両方から、同じところから質問がくる。図書館はどう書けばいいでしょうと。業者は何か変な仕様が出てきたので、これはどちらをとったらいいのでしょうというようなことですね。両方から来て、困惑することがあります。 そういう状況の中で、デジタル化というのが行われていることを少し御理解いただければなと思います。 私の話はこれで終わります。 ○中村座長 ありがとうございました。 次に、この議題に関して委員の方から資料を提出いただいているものがありますので、それを先に御発言をお願いしたいと思います。 まずは、大ア委員の代理である仲川参考人、お願いできますでしょうか。 ○仲川参考人 御紹介をいただきました。吉本興業の仲川でございます。 資料に沿いまして、簡単に説明をさせていただきます。 吉本興業は、皆さん御存じのように、エンターテインメントの会社ということなので、直接、今、議題に上がっていますアーカイブ化について、何かアーカイブ化を進めているということではないのですが、弊社のほうで、本拠地であります大阪の圏内で一緒にお仕事をさせていただいておりますが、お手伝いをさせていただいている分野で、もしかすると皆様の御参考にしていただけるような事例もあるということなので、弊社の大アのほうから、これは皆様に御紹介してみたらどうかということで、資料をお持ちしました。 弊社の劇場が大阪のミナミの難波、千日前というところに、なんばグランド花月という大きな劇場があるのですが、その真向いのところに、大阪府が運営をしております「ワッハ上方」、正式には上方演芸資料館というちょっと小さな博物館といいますか、今、規模が縮小されまして、資料室並み的なものになってしまってはいるのですけれども、そういう施設がございます。 こちらは、この資料1ページ目の左側のところに少し小さい字で申しわけないのですが、まとめさせていただきましたが、上方演芸に関する資料を収集・保存・活用することを目的とした文化施設として、当初立ち上がりました。 設立は、平成8年、1996年です。そこから数年間は、この状態でやってきておったのですけれども、その時には、館内に資料を閲覧できる資料スペースの他に、館内に劇場スペースがあり、また展示物、収蔵物は実際に体験的に見ていただける博物館的な場所もあったのですが、その後、経費等々の削減の問題とかも出まして、現在は、ワンフロアに縮小されてしまっております。 ただ、今まで運用されてきた流れの中で、ここには上方演芸、漫才、落語、その他を含めまして、大衆芸能としての上方演芸に関わるさまざまなコンテンツでありますとか、道具類であるとか、あるいは協力をしていただいている在阪のテレビ各局の皆様から御提供いただいた、あるいはラジオ局から御提供いただいた映像コンテンツ、音声コンテンツですね。こういったものが約6万点収蔵されております。 こういったものの活用に関して、ここ何年かいろいろな試みもなされてきたのですが、当局である大阪府を含め、関係各国の皆様のほうから、この活用というものに関して、今後、どうするのかという課題も最近上がってきているような状況になっております。 ワッハ上方自体は、現状としては、この左の部分に示したようなワンフロア、資料室並みというような状況になっておりますが、真ん中のところにちょっと緑で書いています。これはまだ確定ということではなくて、今後、どうしようかということで、関係各社の調整を図るために課題、方向性を検討したいということで、今、挙がりつつある点を整理しております。 大阪固有の文化である上方演芸を後世に伝える、そのための資料の整理であるとか、それから、園芸の魅力を伝えられるための資料館づくり、場所づくりということを目指してはどうなのだろうかということも、これから課題に挙がりつつありますが、こういった流れの中で、どうしてもそのデジタル化、アーカイブ化というテーマは無視できない話として出てきているようでございます。 アーカイブ化を一気に推し進めるというところまでまだ行っていないのですが、そういった問題に関しては、今後、この資料館としての上方演芸資料館はどういう方向で向き合っていくべきなのか、あるいは、それを進めていきたいねとなった時に、今、この収蔵物に対して御提供いただいている例えばテレビ局であるとか、それから御提供いただいているそれぞれの権利者の皆さんとの御調整を含めた話し合いというものは一体どうしたらいいのだろうかということも、課題には挙がりつつあります。 ちょっと今日実は、お話ししたかったのは、現状というよりは、右側の部分ですね。ちょっと済みません。これは仮定に仮定を重ねている話ですので、夢のある話というぐらいに聞いていただければと思ってはいるのですけれども、今、御説明をしたワッハ上方、上方演芸資料館があります。これは時代の流れとともに、もしくは収蔵している6万点に及ぶ収蔵物の有効活用ということを課題に挙げた時に、今後、どうしていかなければいけないかということで、変化の時期は迎えてはいるのですけれども、そういった課題の解決、これも関係各社の皆様からの御意見をいただいた上で、進んでいった時にという仮定のもとでの話ではあるのですが、例えば、弊社のような協力会社が、このワッハ上方が今後変わっていくのだと、次の時代に向けて進化していくのだというような方向性が定まった時には声をかけていただければ、ここに書いているような、先ほど申し上げたように、目の前にグランド花月、弊社の基幹劇場がございますし、最近おかげさまで人気のアイドル系のNMB48というアイドルグループが活動拠点としているシアターもございます。 それから、近隣には、ちょっと立地の状況をまた皆様のほうでお帰りになった時に地図でも見ていただければと思うのですが、近隣には南海通り商店街であるとか、それから大阪らしい道具類を売っている道具屋筋商店街があるとかということを含めて、商店街の中心に位置しているような立地なのですね。 そういった立地を考えた時に、ただ単にワッハ上方という資料館がデジタル化、アーカイブ化を進めていくその資料の集積がされている場所ということだけではなくて、そういったものがある場所を含めて、お客様が来ていただきやすいような街のにぎわいづくりであるとか、呼び込みであるとか、ここに来ればこういう楽しいものがある、あるいは遊びに来られたお客さんにちょっとそのついでに横にあるような資料館ものぞいてみてくれないかと、そこには皆さんがきっと興味があるものがありますよというような誘導を含めて、総合的なエリアづくりという形で進めていくことができないだろうかという御提案はできるだろうと我々は考えています。 ここで、あえてこのことを挙げましたのは、そのアーカイブ化、もしくはそのアーカイブ化された資料の利活用ということが、当然問題としては出てくるのですけれども、それと同時に、そういった地域ならでは、地方ならではのアーカイブもしくは資料、データというものを活用していく流れの中で、他の政府施策であります地方創生であるとか、地域活性化といった問題に関しても、何らかのアプローチが同時にできるのではないかなというのが我々の考え方です。 そこには、当然、そういう形で人集め、集客、にぎわいを作っていくことで、できるアーカイブ化の利用促進ということに跳ね返ってくる部分も当然出てくるかと考えています。 また同時に、そのようなことで、ただ単にアーカイブが成立しましたと。その集積物があります。利用できる状態になっておりますだけではなくて、それを例えばイベントであるとか、例えばアミューズメントであるとか、例えば、エンターテインメント系の何かの活用であるとかということを通して、話題性を作っていくことで、そのアーカイブがある、もしくはそのアーカイブの内容そのものをジャパンコンテンツ、ここでは済みません。ちょっと勝手に上方コンテンツと書きましたが、そういった情報があるのだということ。その内容物に関してのふれこみをアジア諸国を含む海外に対して発信するというようなチャンネルも開いていくことができるのではないか等と考えております。 当然、そういった情報が外に出ていけば、そういったものがあるのだと、おもしろいねと興味を持つ方は必ず潜在的にもおいでになるはずですので、そういった方たちを海外観光客として日本国民へのインバウンドに結びつけるというような方策も、立体的に考えることができるのではないかと思っております。 これらのことは、関西だけではなくて、各地方でも出ておりますけれども、我々が日常的にやりとりをさせていただいております近畿の経済産業局の皆さんであるとか、他の運輸局の皆さんであるとかのほうからも、やはり海外観光客のインバウンド増大に向けて、何か時間帯に縛られずに楽しめるような場所であるとか、新しいエンターテインメントの開発というようなことも課題としては数年前から非常に取沙汰もされております。 こういった屋内施設であるとか、あるいはある程度開館時間にもよるとは思うのですけれども、場所を選ばない、もしくは時間帯を選ばずに楽しめる場所というものも1つこのアーカイブ施設の機能ということを考えながら、進めていくというのはどうだろうかというのは我々もちょっと意識をしている状況でございます。 2ページ目以降は参考につけさせていただきましたので、お時間のある時にご覧をいただければと思います。 ここにつけましたのは、先ほど、予算の関係もありまして、縮小してしまいましたという、ちょっと詮無い話をさせていただきましたけれども、2ページ目の左側のところですね。以前、縮小される前に、その展示スペースがあった、本当に博物館なりをしていた時のこの上方演芸資料館の中の様子でございます。 アーカイブ化、デジタル化を進めていくという話の中で、この実際の博物館スペースというか、見学スペースの話を持ち出すのは、ちょっと時代に逆行するのかという御意見もあるかとは思うのですが、実際には、こういった楽しめる場所というのも、何らかの形で作っていく、もしくはその資料館の中に置けないのであれば、先ほど申し上げたような形で、周辺のエリアにそういった楽しむ場所を作っていくというのも1つの方策ではないかと考えております。 3ページ目は先ほど申し上げた提案が出始めておりますところのこれは済みません。書きましたように、関係者間の今後の協議の指針を検討するための準備団体のものでございますので、こういった点に注目をしながら、今、この上方演芸資料館の関係者は考えを進めようと努力をしているのかなという参考にでもしていただければと思っております。 雑駁な話で申しわけございませんが、1つの例としてお取り上げいただければと思います。 ○中村座長 ありがとうございました。 次に、久夛良木委員の随行であります福永参考人からお願いいたします。 ○福永参考人 ソニー・コンピュータエンタテインメントの福永と申します。 本日は、よろしくお願いいたします。 私のほうからは「プレイステーション」のフォーマットにおけるゲームコンテンツのデジタルアーカイブ化に関する私どもの取組の現状について御説明させていただきたいと思います。 弊社は1994年にビジネスを開始しまして、20年経過をしております。 その間に発売しましたソフトウェアのタイトル数というのは、全世界で延べ3万タイトルに達しようという勢いでございます。 データにつきましては、パッケージとして発売したものを開示しておりますが、近年はネットワーク専用のダウンロードタイトルも増えてきております。例えば、プレイステーション4ですと、このパッケージで出されているものの半分近くのタイトル数のダウンロード専用タイトルが出ており、どんどんこの数が増えておりますので、近々パッケージの数と並んで追い越していくものと思います。ただ、ダウンロードタイトルは、小さなコンテンツからパッケージのタイトル等に匹敵するような複雑な作りのものまでいろいろなものがあります。本日のデータにはダウンロード専用タイトルは入れておりません。 弊社のアーカイブ化に向けた取組ですが、プレイステーション4、ヴィータ等のネットワークネイティブのフォーマットにつきましては、コンテンツを制作してマスターデータを作る過程の中で、私どものサーバにゲームのデジタルデータが自動的に保管されるスキームを構築しております。 しかしながら、プレイステーション等の初期のフォーマットにつきましては、CD-ROM、DVD-ROMといった光ディスクのROMで保管しておりまして、年月の経過により、腐食等の劣化が進んでおり、社内のアーカイブとしても失われつつあるところです。 これまで社内の保管データがなくなってしまった場合には、家庭用ゲームビジネスでは中古品の流通という結構大きな市場がありまして、古いタイトルも入手できる環境がありました。しかしながら、近年、東アジア地域の海賊版の取り締まりが非常に強化され、海賊版を扱っていた業者が日本の中古品を大量に購入して、海外で中古ソフトを販売するということが行われており、日本国内にあったパッケージもどんどん消えていってしまうという状況が起きております。私どもでも、傍観しておりますと、過去のプレイステーションの貴重なタイトルが永遠に失われてしまいますので、やはり、今、アーカイブ化のために手を動かしていかないといけないと思い、ゲームのデジタルデータ化に着手をしております。 また、ゲームの場合には、データやパッケージを保管しているだけでは余り意味をなさず、それを将来にわたって利用可能な状態にしていくということが重要であります。これは現在のクラウドを使った技術で解決可能となっておりますので、後ほど御紹介させていただきたいと思います。 「ゲーム資産のデジタルデータ化」ですけれども、今、私ども取り組んでおりますのは、下に写真を載せておりますけれども、ゲーム自体のデジタルデータだけではありません。加えてDiscのレーベル面、それからパッケージに同梱されております取扱説明書といった紙類等もデジタルデータとして保存しておこうという取組をしております。 さらにゲームは、ネットワーク化の推進とともに、追加コンテンツの販売、あるいは発売した後に機能を追加するというようなことが行われておりますので、そういった追加データやネットワーク配信パッケージも全て残しておこうという取組をしております。 また、既に私どもの販売サイトでもそれなりに過去のゲームの重要情報、要素情報、すなわちタイトル名、発売会社、データ容量等、それなりのデータを集めているWebサイトがありますので、これも将来の検索に役立つものと思い、そのタイトルの販売が終了してもデータを消去せずにこれも保存しておくという体制をとっております。プレイステーションビジネス、最近ビジネスを展開し始めましたプレイステーション4やプレイステーションヴィータも含めまして、将来的にどれぐらいの容量が必要になるかという表を作成しました。 これもネットワーク専用のタイトルが、どれぐらい増えるか、またその容量も小さいものからすごく膨大なものまでわたりますので、予測が難しいため、その数字は入れておりません。パッケージで販売されているものということで、見積もっております。 私ども家庭用ゲーム機のビジネスでは比較的後発ですが、これ以前にビジネスを展開されていた会社の皆様のゲームのデータを保存した場合、プレイステーションフォーマットでも、最近のゲームフォーマットに比べると5TBという寂しい数字でありますが、このことからプレイステーション以前のゲームデータは、さらにデータ容量を必要とすることなく、アーカイブできるものと考えられます。弊社のデジタルデータ化の進捗ですが、プレイステーション、プレイステーション2から始めており、それぞれのフォーマット、30%ぐらいの進捗状況で、来年度中には完了する予定で作業を進めております。「利用可能な状態にすること」という部分ですが、ゲームの場合はゲーム機というハードウェアがソフトとセットで残っていませんと、動かすことができません。ただ、残念ながらゲーム機というハードウェアは、半導体等の部品が確実に劣化していきますので、「物」として保存しておいたとしても、可動する機械としての保存には限界があります。 利用可能な状態にするための解決策ですが、クラウドサーバーを利用し、クラウド側に仮想のマシンを置く、つまりクラウド側にゲームのデータ、プログラムとエミュレーターを置いておくという方法で実現できます。そこから長いコードが家庭のテレビコントローラにつながるようなイメージなのですけれども、クラウドベースでゲームを利用可能な状況にすることが現在の技術で可能となっています。こうしますと、端末につきましては、ゲーム機に限らずに、PCやタブレット、テレビ等、さまざまな機器に対応することが可能であります。そのことからも、とにかく今、ゲームをデジタルデータ化してアーカイブすることを開始したとしても、将来の利用にわたって、何ら制約が加わることではありません。まずは、デジタルデータ化に着手することが重要と考えております。 「アーカイブ実現に向けた課題」ですが、これまで説明しましたのは、パッケージの形態で端末側に提供されるタイプのものですけれども、現在はネットワークを利用したサーバ型のゲームが増えております。 これについては、弊社にはノウハウがありませんので、広くそうしたビジネスを展開しているソフトメーカーにも声をお掛けすることが必要かと思います。 最後に、今後の利用における課題ですが、近時、世間で普通に使われている検索エンジンの精度がどんどん上がっています。このため検索に関する一般の方々の最低限の期待もどんどん上がっていると思われます。ゲームの場合、プレイステーションという正式な名前ですが、ユーザーの皆さんが独自にプレステという愛称をつけて呼んだり、というようなことが起こり、むしろ愛称のほうが認知度が高くなるということも起こっています。このようなユーザー間の情報も検索のために取り込むということは非常に重要になってくると思われます。 また、文字情報だけではなくて、ゲームのプレイ画面を共有するということもネットワークの進歩とともに行われてきておりますので、こうした画像・音楽・音声等も将来の検索のためには重要になってくると考えております。 以上で、御説明を終わりにさせていただきます。 ○中村座長 どうもありがとうございました。 では、このテーマについて、御質問、御意見をいただければと思いますが、いろいろと話題を提供していただいているのですが、特に今日、資料1、2にあります施策の方向性が整理できればいいなと思っているところであります。 委員の皆様だけでなく、参考人の皆さん、そして関係省庁の皆さんも御自由に発言をいただければと思います。 いかがでしょうか。 どうぞ。 ○加藤参考人 アーカイブス、それから著作権を担当しておりますNHKの知財センターの加藤と申します。 資料1の9に放送に関しての資料を御用意いただいていますので、若干補足と、それから課題について申し上げたいと思います。 この中で、「放送番組センター」と「NHKアーカイブス」が併記して書かれておりますけれども、基本的には目的が全然違いまして、「放送番組センター」は、放送法にも「収集・保存」の他に、「公衆への視聴」というものがしっかり位置づけられているということでありまして、NHKもこれには当然協力をしております。 ここに書かれておりますように、全体の3割はNHKの番組、残りの7割が民放の番組ということで、NHKアーカイブスと保存されている番組が一部重複しています。 「NHKアーカイブス」は、基本的には民放にもありますが、いわゆるアーカイブですので、保管庫、倉庫でございまして、本来は放送したものをとっておいて、また次の放送等に活用するために用意してある倉庫なのですね。 10年前に川口にアーカイブスを充実いたしまして、公共放送の理解促進等のサービスということで公開をしておりますが、これは番組は全てそうですけれども、放送の権利はあるのですけれども、それ以外に利用する場合には、また別な権利をクリアしなければいけない。これはいろいろな分野で同じだと思います。 放送は特に権利の塊でございまして、著作権がNHKにある番組でも、レコード会社、実演家の方、出演者の方等、全ての許可を得ないと放送以外に活用することはできません。 特に、次の議題になるかもしれませんが、ネットに展開する場合には、ネット許諾権というものがまた別に必要になるというような問題も日本の場合はございます。 そういうことがありまして、そのクリアをしたものだけが公開されていますので、全部で85万本ある中での9,000本だけが権利をクリアして、NHKの施設で見るということを前提として、公開しているというようなものだということをまず御理解いただきたいと思います。 その他に、例えば報道系のものにつきましては、事態が変わりますので、変わるたびに、人権等の問題を配慮しなければなりません。例えば容疑者だったけれども、その後に無罪になったというように事態が変わる場合があります。 NHKでは、今、保存していて公開はしていないのですけれども、600万項目あるニュース項目は、全て、最低でも1年後には全部チェックをし直して人権等の配慮、また事態が変わったものについては、閲覧ができない等の措置をとるというようなことをしております。 こういう手間をかけるのは、やはり取材、放送した自分のところでしかできないというようなことがあります。 ですから、今回提起されました全体的な連携というのは私も賛成ございますけれども、そういう配慮をどこまでしていくか、先ほど、高野先生のお話にもありましたけれども、目的を明確にしていかなければいけないと思います。 できるだけ広範なものを集めるという魅力で利用者を引きつけるということであれば、その連携がしやすいような形にしていただけないといけません。例えば一例挙げますと、今回は国会図書館を中心にとここで書かれておりますけれども、NHKも民放も報道機関ですので、国会図書館に提供するということに関しては、例えば、もの自体を提供することに関しては抵抗があります。 過去にもそういう議論がありますので、そういうようなことについても、慎重に考えていただいた上で検討していくべきものと思います。 例えば、先ほど話がありましたAPI連携、メタデータでの情報提供というようなことであればハードルも下がりますので、ある程度理解が得られて、出せるものも増えると思いますけれども、そうでなくなると逆に今度は出せるものが減ってくるということになって魅力を失うことになる。 または、もっとディープなもの、あるジャンルを決めて、ディープなものを集めるということであれば、例えば、文化財に関しては、放送にしても出版にしても全て集めるのだというようにするのであれば、今度は逆に人権上の問題ですとか、そういうことに関してのケアをきっちりとやった上での展開というようなことが必要になるのではないかと思います。 以上でございます。 ○中村座長 よくわかりました。 ありがとうございます。 他にいかがでしょうか。 瀬尾委員、お願いします。 ○瀬尾委員 非常に広範な取りまとめをいただきまして、大変よく取りまとめられていると思います。 ちょっと幾つか参考人の皆さんのことと本文の資料1とを行ったり来たりしてしまうのですが、高野先生がおっしゃっていたEuropeanaが、現在、ポータルプラットフォームへという方向を目指していらっしゃるということがあって、これは必然で、本当は、ナショナルアーカイブはプラットフォームからポータルへ行くということが私は正しいのではないかと思っていて、日本では、やはりプラットフォームから作るべきではないかということをこれまでも何度かお話しいたしました。 ただ、実際の経緯を見ていくと、具体的にプラットフォームというのが全く大きいものから作るのは難しいのかなということもちょっと最近ちょっと考えております。 この中で、今回の取りまとめの中で、いろいろ感じたことは、幾つかにこのようなグランドデザインの中で、経済的な関わりのある部分を切り出して、ここの場で検討して実行するとパーツパーツでやっていきながら、あちこちで組み立てていくような方式がよいのではないか思います。いきなりプラットフォームという大きなものに取り組むと、この前、事務局長がおっしゃったような、ここの掌握範囲がはみ出してしまうこともあるのかなということを考えました。 それでいきますと、単純にデータを生成すること。それからもう一つは、今、分散して各地に散らばって使えないデータを集めて、使えるようにすることそして、今回のポータルサイトということがあるかと思います。 ただ、今、NHKからもございましたけれども、ポータルサイト、一応、NDLの主催で作るとなっている部分については、位置的には非常に適当であろうと思うのですが、そのポータルサイトの性格と、人を集めるという機能をNDLが行うことは難しいのではないでしょうか。 これについては、民間を活用するべきだと思います。 つまり、「ちゃんと人を集められるポータルサイトができる専門の企業と思い切って組んでしまう。これは公平性とか何とかいますけれども、1社ときちんと組んで、成果を出すことについては、私は企業に対してのえこひいきでもなく、それはきちんと公正で選べばいいのではないかと思っています。かなり慎重にポータルサイトの実用化をしないとポータルサイトはできました、誰も来ません、誰もおもしろくありませんということが多々起こり得ると思っています。 ですので、そこら辺のところについては、もう一つお考えが必要なのかなと思います。 あと、先ほどのデータを作ること、集めることについては、権利承認の話と関わってきますので、あとで文化庁の御説明をいただいた上で発言をしたいと思います。 最後にもう一つは、今、申し上げたここでの切り分けをもとにして、少なくとも2020年のオリンピックまでにこういう東京の中でアーカイブを活用したきちんと皆がわかりやすい成功モデルを作るというのを今からしていかないと、せっかくの東京のオリンピックと経済効果というのが起爆剤であるその大きなイベントに対して、このプロジェクトが資することのないという状況だけは避けなければいけないと思います。 ですので、今のような切り分けの中で、ここで考えることというのは、今、申し上げたこと、そして最終的には東京オリンピックでの効果をきちんとできる施策を打てるということが必要ではないかと考えています。 最近、自分の分野何だか最近よくわからなくなってきていて、この前、コンテンツの人とかと言われて、私はコンテンツの人なのかという、ちょっとショックを受けましたけれども、あともう一つだけ付け加えさせていただくと、写真分野のことです。この資料1の8ページに文化庁のメディア芸術の取組ということがあって、実は写真もビネガーシンドロームが非常に喫緊な問題で、今、写真保存センター設立に取り組んでいます。 これは文化庁には、調査研究費を御支援いただいて、進捗をしております。 これについては大変感謝を申し上げるところなのですけれども、実は映画分野においてビネガーシンドロームは踏み込んで取り組む状況ができてきているのですが、写真分野の重要性というのは、我々が社会に訴求することが弱かったという自己批判も含めて、あまり取りざたされておりません。ビネガーシンドロームについて必ず映画分野は書いてあるけれども、写真分野は全てのどこにも書いていないという現実があります。 日本の写真の文化というのは、カメラ企業が日本に集中していることからもおわかりになるとおり、非常に重要な基盤だと思っています。 この中で、フィルムセンターを含めて、写真の保存アーカイブも少々の進捗はありますが、これについては、決して分野エゴを申し上げるわけではなくて、公正に考えたときに、写真を今からきちんとアーカイブ化して保存することについては、タイミングとしてお取り上げいただきたいと思います。 映画だけで写真が埋もれてしまうということについては、いささか不公平な感情を受けているのが正直なところですので、これまで以上のここについては御支援をいただきたいというのは、ぜひこれは文化庁にはお願いしたいと考えております。 ちょっと長くなりましたが、以上でございます。 ○中村座長 他にどうでしょうか。 どうぞ、齋藤委員、お願いします。 ○齋藤委員 先程プレイステーションの話が出ましたが、確かにゲームソフトも保存しなければ、古いものから無くなる傾向にあります。弊社が開発に携わったプレイステーション関連のゲームソフトだけでも数百タイトルありますが、弊社でも1タイトルにつき1個しか商品を残していません。 そのため、その1個を提供して欲しいと言われても困りますので、早めにアーカイブ指定をして、きちんとデータベースとして残していかなければならないと思います。 一方で、サーバからのダウンロードやオンラインで提供されるゲームソフトへの対応も急務です。現在人気ゲームのパズドラやモンスターストライクのようなスマホのソーシャルゲームがそれにあたりますが、完成形がなくて、常に内容が進化し続けています。それをどの時点でどのように残していくかという統一ルールを早めに決めなければいけないと考えます。 さらにオンライン型のゲームの中には、人気が出ずに2、3週間で消えていくものもあります。そのようなことから、特に古いタイトルと新しいタイトルについては、早急にルールを決めて実行しなければならないと思います。 ○中村座長 ありがとうございます。 野口委員、お願いします。 ○野口委員 大変重要な御指摘がいろいろ出ていると思うのですけれども、ちょっと1つやはり不明確かなと思うのは、国がやるべきことと、例えば、今、齋藤委員から御指摘があったようなガイダンスづくりのようなものは、国が作るというよりは、ゲーム業界の方が多分一番知見がおありで、お考えもおありなのだと思うので、その専門家グループにむしろ委ねるべきことというのがあると思うのですね。 それの整理をきちんとするということが非常に重要で、そしてその限られた国の予算を一体どこにフォーカスしていくのかということがぼやけてしまうと、非常に迷走するような気がします。 そういう意味では、例えば、むしろ次に御説明いただく法律の整備では、国しかできないことですから非常に重要だと思うのですけれども、それ以外に、こういうようなスキームを作る時に、例えば、この山崎様の資料とか、これは地方だけに限らず、非常に大きい絵を描いていただいている資料だなと思うのですけれども、何が特に国がやらなければいけないことなのか、著作権の課題は明白だとして、それ以外に例えばメタデータをどんどんアーカイブがそうは言っても、デジタル化が進んでいく中で、メタデータの不統一の問題というのはどんどん同時並行で進んでいっているところを、どう根本的に直すのか、それをまた国が飛びついて、国が基準をつくればいいのかというと、必ずしも国が一番この正しい技術的理解をしているとも限らないわけですから、そこをまた専門家に委ねるなり、もしくはそれを国がむしろ口出すことではなくて、自主的な団体のその規制に委ねるべきで、そこに例えば資金的援助をするにとどまるのがいいのか、何かそういうところの整理が欠けたまま、いろいろなポンチ絵を作って、いろいろな人がスキーム出して戦い合うというのも、何か根本的な視点が欠けているような気がして、そういう意味では、例えば、高野先生とか、山崎様とか、そういうところを長くお考えの方々に御意見をぜひ聞いてみたいなと思っております。 ○中村座長 何かそれについて御発言ありますか。 ○高野参考人 今日Europeanaの話が出たので、それを例にとりますと、EuropeanaがEDM(Europeanaデータモデル)というのを提案しまして、それで、ヨーロッパの今まで発信もしっかりしていないような2,000ぐらいのところからデータを集めるわけですから、せっかくならこの形に入れてくださいということで、決めて、それで集めている。 ところが出す側は、当然そんな準備ができていないところも多いので、アベレージで出して、それをEuropeana側が受けて、研究者はピサ大の研究者と組んでいるわけですけれども、そこが変換をして上げてくるというようなことをしているという現状があります。 ただ、いいのはEuropeanaに集まったものは、Europeanaデータモデルにまずは固まったということが非常に重要で、まだいろいろ不十分な部分があるので、それが、今、バージョン2とか3とかどんどん上がっていくと思うのですが、そういう形で、ひとつ集めると同時にそういうメタデータについての1つの標準ができてくるというのが、今回、すごくよかったことだと思います。 これは1国が決めたわけでもないし、ECが上から決めたわけでもなくて、コミッティーでやはりやっているということで、その重要な国から委員が集まりまして、事情を勘案した上でプロが決めるということをやっていると。 ですから、野口さんが今おっしゃったように、やはり、本当に知見のある人たちがそのテーブルについて、実質的に頭を働かせるというような国際規格を作る時は大体そうですけれども、そういうようなプロセスがきっと重要だろうと思います。 それがDPLAという、デジタル・パブリック・ライブラリー・オブ・アメリカですか。 アメリカの同じような取組でも採用しましょうということで、握手をして、お互いデータなり、ツールなりが同じスキームのもとでやりますということをやられています。 それが、ニュージーランドに広がったり、今回、私が行ってきて、文化遺産オンラインもそれを今後採用して、きちんとつなぐ方向でやりますよということをメッセージとしては伝えてきたのですが、非常に向こうも喜んでいるということで、ある意味では、そういう世界標準というのが、文化財の部分では、結構できている。それから、図書館については、もともとそういうものがあったということです。 メタデータのオープン化というようなことがちょっとうたわれていると思うのですが、その標準化とオープン化というのは、やはりペアでこないと意味がなくて、標準的に発信すること、発信されたデータを皆が自由に使えると加藤久仁さんがおっしゃっていたように、番組そのものはとても出せないけれども、どんな番組が存在するよと、それはどこに行ったら、どういう人だったら見ることができる、この範囲では使えるよというようなことがちゃんと追いかけられるそういうデータについては、できるだけオープンにしていく。オープンが原則であるということが進むとうれしいと思います。 それを、こういうテーブルでの議論で推し進めるには何をやるかというと、やはり税金をかけていろいろやっているデータ、文化庁であれば、修復をずっとやっているわけですが、どういうものがどのように修復されたというデータはオープンになっていません。 そういうものこそ、国のアクティビティーがそういうメタデータの形でも見えるようにしていく、これはオープンガバメントとか、そういうものとつながると思うのですけれども、そういうものが起爆剤になって、本当にこの国として意味のあるデータについてそういう整備が行われていって、標準化が行われるというのを夢見ています。 以上です。 ○中村座長 どうぞ。 ○杉本参考人 メタデータのことをずっとやってきていますので、その視点から申したいと思います。 1つは先ほどポータルの話が出てきましたけれども、国立国会図書館としてのポータルというのは、ある種ラストリゾートとしてのポータルとして非常に重要な役割を持つと思うのですけれども、ポータルが国に1個あればいいという、そういう話ではないと思います。ですから、ポータルというのを作りたいと考えるコミュニティーがつくれるようにしておくことのほうが重要であると思っています。 それともう一つ、広く集めようとすればするほど、メタデータ的にはごく一般的なことしか書けなくなってきます。それは、逆に言うと、万能は無能ということに近くなるということです。例えば、放送コンテンツに特化した内容でもって探したいのだけれども、放送コンテンツに特化した内容は検索には使えないといったことが生じてくることになります。 ということは、結局、メタデータの世界統一版のようなもの、それで何でもできるというものは、ある種あり得ないことになってきますので、それぞれのコミュニティーがそれぞれのニーズに合ったスキームを作り、それの上で共通の部分というのはどうすればいいのだろうかということを考えていかないといけないと思います。 ですから、ラストリゾートとしての国立国会図書館のアーカイブというのは、そういう高い汎用性を持つレベルで働くところであろうかと思います。 それともう一つ、先ほどの高野先生のオープンデータ化が、非常に大きく、かつ大事な部分だと思います。メタデータ自身もオープンでなければいけなくて、かつメタデータ自身も長期にわたって安定して使えるようでないといけないのです。 メタデータそのものは、実際に我々が使う言葉の上にできているものですが、言葉というのは時間がたつとともにその意味や使い方が変わっていきます。ということは、意味が変わるということを前提に考えることになります。 そうすると、例えば、50年後には50年前のメタデータが検索できないということもあり得るわけです。 そうすると、メタデータを長期間使えるように支えていく基盤は国がやっていかないといけないということになっていくと思うのです。 メタデータは基盤ですので、オープンで安定した標準を使うあるいは作るということと、それを長期にわたって維持していくというのは、国が果たすべき大きな役割であろうと思っています。 それに加えて、それに係る人材育成ですね。人がいないと何もできなくなりますので、そこのところも支えていくのはやはり公的な機関であろうかと思っています。 以上です。 ○中村座長 ありがとうございます。 話をもう一度元に戻しますと、この資料の1の最初の3ページ目に、では課題は何なのかとこれはずっと議論してきました。連携が足りない、分野ごとにばらつきがある、権利処理が大変だ、どう解決するのかということを事務局のほうで整理していただいて、例えば、今しがたから話が出ているポータルサイトというのは必要だという点、その下の@のところに書かれておりまして、APIの公開、ここでもうちょっとメタデータとか、オープンとか、標準とかそういったことも書かなければいけないのかもしれませんが、そのようなことが課題になっていますということで整理されていて、次のページでは、それぞれの分野のアーカイブというのが進められているのは横断的に進め、かつ利活用をどうしましょうかということをもう解決しないといけないですねという整理がなされていて、6ページ目のところに、ではそれは誰がどういう形でやるのかということまで、今回、落とし込みたいというのが事務局提案であります。 先ほど来、では民間の方の知見も入れてとか、プロに入ってもらってという意味だと思いますけれども、一番右下のところに協議会というものをつくりましょうということで、ここにでは誰にお入りいただくのかというのが非常に大きなポイントになろうかと思っておりまして、今回、この議論を進めた上で、また全体会合の中で、次の知財計画にこれをどう書き込んで落とし込んでいくのかというところに差しかかっておりまして、今日提出いただいているこのような方向性でいいのか、大幅に直さなければいけないのかということを御意見あればいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。 どうぞ。 ○山崎参考人 先ほどから出た統合ポータルというものだけでは、杉本委員が言ったように足りないという話、私ももっともだと思います。 やはり、企業も必要でしょうし、地方でもやはり必要です。その観点が少し抜けていますので、やはり、ある一定のところの地方でも、ポータルというのが必要だと思うのですね。それはやりやすい部分もありますし、その一定のポータルからさらに統合ポータルへ提携してというやり方があると思います。 私どもの場合ですと、NDLサーチとか、連携型の仕組みを持っていますので、県内の各図書館で集まってきたデータを一旦アムラッドに入れて、アムラッドから連携してNDLサーチに入れるという仕組みになっています。 そうすると、スムーズに地方の隅々の機関で持っているものが一旦集中されて、それをまた国全体で集中するという仕組みができますので、その視点も少し入れていただければいいのかなと思いました。 ○中村座長 他にどうでしょう。 瀬尾さん、お願いします。 ○瀬尾委員 たびたび発言して申しわけないですが、このペーパーについて私はこれは非常によくできていると最初申し上げましたけれども、そう思いますが、1点不安がある。 それは何かというと、実際の役割分担をする時に、また前年と同様に国立国会図書館においてという囲みがつくられております。 去年も散々国会図書館にいろいろお世話になったり、いろいろ伺った挙句、一言も報告書に載らなかった。なぜならば、ここの掌握範囲外であるからということがありました。 これはもうしょうがないことだと思っていますけれども、ただ、今回、一番上の部分において、NDLということが出ているので、この部分をぼかすのか、どうするのか、ちょっと私、わかりませんけれども、ここをどう書き込んでいくのか、そして今後、国会図書館の役割というのは、もう否定できないこのアーカイブについては役割があるわけですよね。ここでさわれないという不文律があったとしても、ここの指揮下に入るというわけではなく、ただ、国会図書館が必要であるということは私はこの会議でも言えると思っているのです。 ですから、これが書かれていることに対して、一抹の不安があるのと同時に、でき得れば、この会議の中で国会図書館に例えば期待するべき部分が多いとか何とかそういうような微妙な表現で結構ですけれども、ともかく名前を確実に書き込んでいただくようなことができるのかどうか。私は書き込んでいただきたい。 山本一太元大臣もそれはここではないのでと、この前会って済みませんねとおっしゃっていたけれども、ぜひそこをしていただけたらと思います。 あと、この関係府省実務者協議会を設置しという部分は大変重い、ここは重いと思いますので、ここの方向性は前から話し合っていたここのカバーできない部分まで含めたことも可能とする部分ですので、ぜひ実現の方向で書き込んでいただけたらと思います。 全体についてはそのようなことを感じました。 ○中村座長 勝手にいろいろなことを書くと国会図書館に叱られるかもしれないのですが、国会図書館はどうですか。 ○中野参事官補佐 国立国会図書館を書き込むということについては、知財計画2014でも国立国会図書館等の関係機関等と連携しつつ促進するということで、ちょっとわかりにくいのですが書いておりまして、それは今年度の議論を踏まえた形で表現ぶりは工夫をさせていただきますが、国立国会図書館というプレイヤーがやはり大事だということはコンセンサスだと思いますので、きちんと書いていきたいと考えております。 ○大場国立国会図書館電子情報企画課長 今のお話のとおりでよろしいかと思います。 今までの知財計画の中でも、「国立国会図書館」が出てくる時と出てこない時が確かにあるのですけれども、関係の省庁の皆さんと協力して進めていくようにということで、これまでにも何度も書き込んでいただいています。今回はもうちょっと踏み込んだ書き方ができるのかどうかも含めて調整を進めていきたいと思います。この辺は、国会と行政の壁というものがあるのかもしれませんが、それを飛び越えてやはりアーカイブは推進していくべきものだと思いますので、そこは協力しながら調整していきたいと思います。 ○中村座長 ありがとうございます。 書かせていただきます。 どうぞ。 ○久夛良木委員 先ほど、ソニー・コンピュータエンタテインメントから、ゲームのアーカイブ化についての取組例について、皆さんに簡単に御説明させていただきましたが、この資料1の6ページにあるように、ゲームは多分「メディア芸術・映画」の中に含まれるのだろうという認識で今までお話をされていると思いますが、他のメディアと違いまして、ゲームはインタラクティブなコンテンツであるわけで、基本的にはプラットフォームというか、対応したゲーム機が保全されないとゲーム自体が動作しないということと同時に、ゲームコンテンツ自体がスタティックなコンテンツではないので、どうアーカイブとして将来にわたって固定するかは、今後とても大事なことだと思います。 同時に、当然その中にはゲーム音楽も入り、写真や動画もあり、それからゲームキャラクターがあるということで、ありとあらゆるコンテンツとかIPがその中に含まれているわけです。それらについての包括的なデジタルアーカイブ化が当然求められるわけですが、この1〜2年の取組の中で、多分、文化庁の資料だと思いますが、いろいろ御説明があった中で、ゲームタイトルの所在も含めたデータベース化といったやり方だけでは、今後を見据えたアクションとしても、まだまだ不足なのではないかということを、ぜひ御理解いただきたいと思います。 以上です。 ○中村座長 ありがとうございます。 後ほど、もし時間があれば、こちらに立ち戻っていただいて結構なのですけれども、今日はもう一つの大きなテーマがあります。これは「アーカイブ機関における権利処理円滑化について」であります。 これもちょっとこの後したいと思いますので、これは文化審議会の場で議論がなされていることでございますので、その取組を文化庁著作権課から御説明をいただければと思います。 よろしくお願いします。 ○森文化庁著作権課長 それでは、著作物等のアーカイブの促進について、著作権制度の課題についての検討状況を御説明させていただければと存じます。 お手元の資料6になりますけれども、こちらで御説明をさせていただければと思います。 表紙と目次をめくっていただきまして、2ページに、まず、その検討経過を簡単に御紹介しますけれども、知財計画2014において、諸外国の取組等も参考としながら、アーカイブの促進に向けて制度の導入を含めて検討を行うということを指摘されたということを受けまして、今年度、文化審議会著作権分科会において法制・基本問題小委員会における検討課題として検討を進めてまいりました。 2ページにございますように、これまで4回議論をしてまいりまして、アーカイブ施設からのヒアリングを行い、諸外国の制度についての調査を行い、その上で論点を整理し、議論を重ねてきたというところでございます。 具体的には3ページ以降でございますけれども、アーカイブ機関からヒアリングでの御要望ですとか、諸外国での取組等を対比、参考とした場合に明らかになる課題について、保存面、そして活用面、両面について検討してまいりました。 まず、大きな1点目として、1ポツにございます。保存に関する課題でございますけれども、アーカイブ機関が著作権者の許諾を得なくても、資料の保存のために必要な複製を行えるように、必要な措置を講ずるということでございます。 著作権法では、資料の収集、公衆の利用提供等を目的とする図書館ですとか、博物館、美術館等の施設において、著作物の複製を認める規定がございまして、特に国立国会図書館については、この※印にありますように、資料の納本後、直ちに保存のための複製ができるということになっておりますけれども、国会図書館以外の公共図書館、美術館、博物館において、どういった場合にこの複製ができるのかということが必ずしも明確でない部分がございます。 そこで、この3ページにございますように、例えば、地方公共図書館に所蔵されている郷土資料等、入手困難な貴重な資料を保存のために複製するということですとか、美術館・博物館等の所蔵作品、映画フィルム等についての保存の複製でありますとか、新しい媒体への変換、複製といったことが可能となるよう、必要な措置を講ずべきではないか。現行法でできるのか、仮に現行法でできないとすれば、制度的な措置をすることが必要ではないかといったことについて議論をいただいているところでございます。 それから、4ページでございますけれども、大きな2点目として、活用に関する課題でございます。 (1)に掲げておりますのは、アーカイブのために保存をした著作物をいかに活用するかという観点でございまして、この4ページにございますのは、まず、国立国会図書館が公共図書館に対して行っている送信サービスについて、拡充を図るために必要となる検討課題でございます。 上のほうにありますのは、公共図書館等が所蔵する資料で、国会図書館に所蔵されていないようなもの、貴重な資料について、公共図書館から国会図書館が提供を受け、それを国会図書館の送信サービスを通じて、各地の公共図書館に発信できるようにするための措置を講ずるということでございます。 それから、下半分にございますのは、この送信サービスの対象は現在、国内の公共図書館等に限られておりますけれども、これを海外の国会図書館、国立図書館や大学図書館等にも拡大するということについて、検討するという、そういった課題でございます。 それから、5ページでございますけれども、ここにございますのは、アーカイブされたこれも同じく保存のされたものの活用に関する課題でございますけれども、アーカイブされた美術の著作物等について、それを解説したり、紹介するといったために行う行為に関する問題でございまして、上半分にございますように、美術の著作物、写真の著作物等を所蔵する施設において、電子端末等で観覧車に解説等を提供するために複製するということができるようにするということでございます。 点線囲いにございますように、従来から、こういった観覧車への紹介のための著作物の複製というものは、パンフレット、小冊子への掲載というものは認められているわけでございますけれども、これを電子端末に拡大するということで、美術館、博物館等のデジタル化に対応できるということでございます。 それから、下半分にございますのは、アーカイブ機関において、こういった美術の著作物等がアーカイブされているということを広く紹介するために、このサムネイル画像等をネット送信できるようにするために必要な措置を講ずるということで、それによって効果的な紹介ができるようにするというための措置を講ずるというものでございます。 それから、6ページでございますけれども、これは活用に関する課題の2つ目(2)といたしまして、権利者不明著作物等の活用に関する課題を掲げております。 ここの四角囲いにございますように、EUにおいて導入をされている孤児著作物指令を参考として、我が国の裁定制度について、どの措置を講ずるかということでございますけれども、7ページをご覧いただきますと、簡単に日本の制度とEUの指令とを比較をしておりますけれども、日本では、左側にございますように、権利者不明、同一著作物の利用について、裁定制度というものが設けられております。 権利者不明等の場合に、相当な努力を払っても、権利者と連絡をとれないという場合に、裁定を受け、保証金を供託するということによって、著作物を適法に利用することができる制度でございます。 これに対して、EUにおきましても、公共図書館等がその著作物等について、入念に調査をへても権利者が不明であるという場合に、これを複製し、公衆に提供するということを認める制度が導入されつつあるところでございます。 この両者を比較いたしますと、日本の制度のほうが、例えば初対面に限定がないですとか、目的や対象著作物利用保護についても限定がないといった点で広い面もかなりあるわけでございますけれども、EUの指令に基づく制度のほうが、例えば利用者から見た場合に、この下のほうにございます。補償金の事前支払が必ずしも義務づけられていないでありますとか、既に孤児著作物として登録をされたものについては、改めて再度調査をする必要はないといった点で、いわば利用者にとっての使い勝手がいい面もございますので、こうしたことを参考に、我が国の裁定制度についての見直しを行おうという課題でございます。 具体的には6ページにございますように@としてございます。日本においてはこの補償金というものを事前に支払うことが必要でございますけれども、例えば公的機関についてはこの不明著作物を利用する場合の補償金の支払いというものを権利者が現れた後での事後払いにすればよいというようなことにするという課題が1つございます。 またAにございますように、第三者による権利者不明著作物の利用について、日本では裁定を受けた著作物であったとしても裁定を受けたもの以外の利用方法で使うという場合には、改めて権利者捜索の上で裁定を受けるという必要がございますけれども、EUでは既に登録をされたものについては、そういった調査は必要ないという制度がございますので、日本におきましても、一度裁定を受け、権利者不明状態が継続されているというものについては、この捜索要件を緩和するというようなことをしてはどうかということを検討しているということでございます。 最後、(3)でございますけれども、流通促進のための権利処理の円滑化という課題でございまして、権利者が不明な著作物については、裁定制度等を活用するという道があるわけですけれども、権利者がいる者についての権利処理を円滑にするということについて、例えば、著作物等の権利処理の前提となる権利情報の集約を図るといったことも検討課題として現在、検討進めているというところでございます。 今後の予定でございますけれども、本年度内に、このアーカイブ化の促進に係る制度上の課題について、一定の整理を行いまして、そこで方向性の出た課題につきましては、関係者意見を踏まえつつ、具体的な措置のあり方について、検討をし、可能なものから順次、精読を進めていきたい、必要な措置を講じていきたいと考えているところでございます。 以上でございます。 ○中村座長 ありがとうございました。 今の説明に関連して、今日は今村参考人にお越しいただいているのですが、御発言お願いできますでしょうか。 ○今村参考人 明治大学の今村でございます。 この今、著作権課からの資料で御紹介がありました部分につきまして、私のほうから2、3、コメントをさせていただきたいと思いますが、まず、資料6の3ページ目の保存に関する主な課題という部分でございます。 私のほうからは、この具体的な提案がどうかという前に、まず、これが国際的な観点から見て、この案が慎重なものなのか、それを超えているのか、それとも諸外国並みなのか、その点をまず確認をしていきたいと思います。 国際条約の観点から見ると、このアーカイブと図書館に関する権利制限の問題については明確に定めたものは特になく、WIPOの著作権等常設委員会のほうで、今、議論をしているところであります。 先だって、2008年と2014年にWIPOから報告書が出されているのですけれども、その報告書においてケニー・クルーズ博士が調べた189カ国の中で、図書館等の保存に関する例外規定を持つ国が189のうち100カ国で、交換については89カ国あったということで、全ての国が有しているわけではないが、大部分は有しているという状況にあります。 我が国の図書館の保存等に関する規定に関しては、31条1項2号に図書館資料の保存のために必要がある場合という、非常にシンプルな規定があるのですが、このようなシンプルな規定を有する国も、我が国の他、幾つかあるという状況です。 国際条約が統一的な何らかスタンダードを定めていないので、諸外国はいろいろな基準で保存または交換の例外規定を認めています。 つまり、要件が国によってまちまちでありまして、どこまで許されるのか、どこまで許されないのかということが、それほど明確ではないという状況であります。 ただ、諸外国で保存のためのアーカイブ等の複製としてよく定められている要件としては、複製の個数が1個なのか、複数まで認められるのか、損傷等の、著作物状態の程度、あるいは図書館に常時している展示物なのか、一時的に借り受けているものはだめであるとか、そういうことについて定めるなどしています。 一番重要な要件として、アーカイブ化する予定の資料が、市販とされているとか、市場において、合理的な価格で入手できるようなものはアーカイブ化、保存のために複製してはいけないというような規定が設けられていることが多いです。 最近、いろいろな国でこのアーカイブに関する法改正もされているのですけれども、恐らくこの部分については、割としっかりと規定している国が多いので、この文化庁の提案につきましても、市場における作品の購入可能性というか、合理的な価格で入手できるかというような点が一つ重要な部分となってくると思います。 逆にそれに反しないものであれば、3ページ目にあるように地方公共図書館で所蔵されている郷土資料の絶版等の理由で入手困難のようなものについて、主体を拡大するとかということで認めるというようなことは、恐らく解釈論ないし立法論としても支障が特にないのではないかと思います。 ただ他方で、美術館、博物館等に媒体変換を伴うものは認めるということについて、これも一概には言えませんが、既にデジタルバージョンが売られているものをあえてデジタル化するということは市場で競合するので、これはちょっと認めがたいという考え方もあるかもしれません。 4ページ目の海外への発信を可能とするという点に関してですが、現行の著作権法の31条2項と3項の規定は、国立国会図書館であれば納本直後に資料を保存できる、地方図書館に公衆送信することができるという規定で、かなり厳格な条件がありますけれども、これは諸外国と比較してもかなり先進的な規定なので、これを拡大するかどうかということに関しては、議論があると思います。 国際条約との関係ではある程度柔軟に規定しうるのですが、諸外国と比べてそれらの最小公倍数にするのか、最大公約数にするのかという方向性については課題があると思います。 孤児著作物の問題についても、お話しさせていただきたいと思うのですけれども、EUの法制度と比較表がありますが、私が最近調べたイギリスでは、イギリスはEUの加盟国ですから、2014年に、EUの指令に基づく法制度に加えて、日本と同じ制度を導入したのですね。後者の点について、若干コメントさせていただきたいのですけれども、イギリスの孤児著作物に関する強制許諾制度と呼んでいるのですが、特に、手続的な面なのですけれども、オンラインで申請して、オンラインでライセンスを得ることができる。つまり、全部オンラインで手続できるようになっています。 実際に、サイト上で、著作物の種類だとか、利用方法だとかをクリックすると、最終的に手数料は幾ら、ライセンス料は幾らという形で示されますので、手数料を支払う等して申請します。審査を受けて入念な調査等がなされているということを認められると、申請を認めますということで、ライセンス料を払えば、ライセンスが電子的に発行されて、孤児作品を使えるようになります。 日本の場合には、まだそのようなシステムにはなっていませんが、全部を電子的に処理できるようなシステムを日本でも導入することはたいへん魅力的であるのではないかと思います。 ○中村座長 ありがとうございました。 では、このテーマも含めて、今日のアジェンダ全体について議論をしていただければと思います。 いかがでしょうか。 後藤委員、お願いします。 ○後藤委員 まず、孤児著作物の件について質問したいのですけれども、日本でこの文化庁長官の裁定制度というのは、EUの指令が出る前から存在していて、制度としてはあったのですけれども、余り活用されていなかったという実態があったと思うのですね。 それで、使い勝手が悪いからということで、ざくっとEUと比べてEUでは使いやすそうだけれども、日本では使いにくそうだというところを改めるという議論のようなのですけれども、お伺いしたいのは、なぜ余り活用されていなかったかということについて、日本の事情をどう分析検討されたのか、つまり、単にEUと比較するということではなくて、日本固有の事情でなぜ使われなかったかということをどう分析されましたかというのが質問の1点目です。 それから、今まで使われたとして、商業利用も可能とか、利用方法に制限がないというのは、非常に寛大なのですけれども、それにもかかわらず使われていなかったということなのですけれども、実際、使った方というのは、商業利用が多いのか、それとも非営利目的の申請が多かったのか、どちらが多かったのかお聞きしたいというのが2点目です。 ○中村座長 どうぞ。 ○森文化庁著作権課長 まず1点目の御質問でございます。 なぜ活用が進んでいなかったのかという点でございますけれども、現行制度、裁定制度は、裁定制度制定当時からあるわけでございますけれども、これまで利用が進んでいなかった面として、とにかく権利者を創作するための努力が求められる相当な努力というものがかなり過大であって、それに必要な手続的なコストが大変多いというところが大きな課題としてあったと思ってございます。 この点につきましては、昨年の8月ですけれども、この裁定の申請に当たって必要な相当な努力というものの要件をかなり緩和する取組もしているところでございまして、この6ページのところに書かせていただきましたけれども、こうしたことによって、この裁定制度の申請のためのハードルを下げるというところをまずやったところでございますけれども、先ほど御説明をいたしましたように、EUの指令と比べますと、その際、保証金を事前に払わなければいけないといったことですとか、既に誰から捜索をして孤児著作物であるということが明らかになっているにもかかわらず、別の人が使おうとした時に、改めて調査をしなければいけないというところが課題としてあるということから、こうした課題について対応するということを、今、検討しているという状況でございます。 それから、商業利用と非商業利用、どちらが多いのかということでございますけれども、申請の件数で最近の例を見ますと、例えば、平成25年度ですと、放送事業者から2件、出版社から32件、その他が3件ということで、多くは商業利用で、申請の件数としては、商業利用が多いということでございますけれども、ただ、1つの申請において、複数の著作物の利用について申請ができるという形になっておりまして、件数ベースでいいますと、国会図書館ほうから御申請をいただいている件数が、圧倒的多数を占めているということでございまして、そういう意味では、非商業的な利用というものが、著作物の件数から見ると多いということが言えようかと思っております。 以上でございます。 ○後藤委員 あといいですか。 ○中村座長 どうぞ。 ○後藤委員 済みません。ありがとうございました。 それで、前のほうの議論にちょっと戻るのですけれども、高野先生が作ってくださった資料の8ページ目のところで、これは私案ですからとおっしゃっていたのですけれども、どう利活用していくかというところで見ると、この利活用の目的が国際文化交流とか、教育研究活用、それと地域活性化、新産業創出という4つありまして、大きくわけると非営利とそれからビジネスというか営利と分かれると思うのですね。 それぞれやはり目的が違うので、どちらにもたくさん活用してもらえるような統一的なポータルを作る必要があると思うのですけれども、その場合に高野先生がおっしゃっていたのは、余りEuropeanaは見られていないとか、ルーブルとか大英博物館というのは、実際には重要なものは載せてこないといったようなことで、結局はポータルの魅力がないので見ないのだというようなお話があったと思うのですけれども、それと同じような状態になっては、せっかくやるのですから、まずいと思いますので、どうしたらこのビジネス利用あるいは商業利用にも非常に使われ、非営利のほうにも使われかつ重要なものも載って来て、多くの人が見るというというサイトができるのか、高野先生の御意見をもう一度お伺いしてみたいと思いました。 ○高野参考人 多分、先ほど瀬尾さんがおっしゃったことが1つのヒントだと思うのですけれども、あるいは杉本先生がおっしゃったのもそうなのですが、ポータルサイト1つで全部というようなものは、多分幻想だと思うのですね。 むしろ今日の提案であれば、アグリゲーターの部分に当たるある分野についてかなり影響力のある人たちが協力しましょうと言って、集まったところで、そういうところがメタデータなり何なりのレベルで公開する部分を意識的に作っていくということですね。それを理由にしてさらに上位に分野横断的な何でも入っているポータルサイトというものができてもいいのですけれども、杉本先生がおっしゃったように、そういうポータルをいろいろなポータルをいろいろな目的で作りやすくする、データを解き放ってあげるほうが本質的だからメタデータのオープン化というのが非常に重要だろうというのが私たちの直感です。 ○中村座長 どうぞ、野口委員。 ○野口委員 幾つか御質問です。 まず、孤児著作物のほうなのですけれども、非常に緩和に向けて一歩を踏み出していただいているということは素晴らしいことだと思っていて、本当に重要なことだと思うのですけれども、今の御質問でもあるとおり、ここが公的機関と民間等を問わず、民間の中でも、非常にこの文化の保存については、重要な役割を果たしているところがたくさんあるわけで、アーカイブという視点から言えば、そこと公的機関をわざわざ差別化する理由も余りないと思うので、むしろそこは営利か非営利かというところが重要なのではないかというのが私の個人的な考え方で、できれば、補償金も非営利の場合は、例えばそこの認定をきちんとするなり、非営利と言っておいて、営利にしたら後で損害賠償を取るとか、そういうことも含めて、別に対策をしてもいいと思うのですけれども、非営利でやる場合は、例えば、補償金は積まなくてもよいとか、もしくは営利の部分はアーカイブ等はできるとしても、(3)にあるような権利処理のシステムにつなげていって、孤児著作物も含めて例えばちゃんと権利処理をして、そこの部分をまた文化予算に当てていくとかというような仕組みを一部ヨーロッパでも取り入れられていますけれども、そのあたりもきちんとリンクをさせる制度にもしできれば素晴らしいのかなと。 あと、保存に関するものなのですけれども、今、今村先生のほうからも御紹介があったとおり、危機的なものだけしか権利処理なしで保存はできないというのが一応の趨勢と理解はしているのですけれども、一方で、高野先生からも御指摘のあったとおり、まずはこの永久保存をするデータベースというものは、公開しない、利用しないまでも、まずそれがないと何も始まらないわけでありまして、そういう意味で、保存目的の他に、たくさんコピーをしないとか、もしくは公開しないという条件で、保存をするだけであれば、そこは長期的に見た時に、非常に重要な課題だと思うので、積極的に進めていただければなと思いました。 以上です。 ○中村座長 竹宮委員、お願いします。 ○竹宮委員 孤児著作物の問題というものがここで挙げられているわけですけれども、私自身は現在、著作権を持っている者として一言申し上げたく思います。 自分の死後、孫にまで自分の著作権を継がせたい人もいれば、そうでない人間もいます。著作権についてよくわからない親族に任せるより、公的なところに著作権付きで管理してもらうことが可能ならば、そうしたい。 できれば、どこかでパブリックドメインにしたいと思っている部分もあるわけですね。 このアーカイブに意識的に入れれば、そこから何年後まで著作権は発生するけれども、何年後以降はパブリックドメインにするとか、そういう形でおさめることができるような形というのも、ぜひ一緒に考えていただきたいと。 今すぐにそれは発生しそうなことでもあるわけです。 私たちの世代が非常に独身が多いということもありまして、もう継いでもらうべき人がいないということがあったりしますので、そういうものも入れてもらえる形というものも考えていただきたいなと思っております。 全く関係ないことで申しわけないです。 ○中村座長 どうぞ。 ○瀬尾委員 実は、今、竹宮先生と同じような話を数日前に、同じような話を聞きまして。 ちょっと別ですが、孤児作品について、今回の文化庁の取りまとめについては、さすがに正直プロだなと。複雑な情報の中にナショナルアーカイブで出せることが織り込まれているということが理解できますし、こういう可能性はあるかなと思います。 ただ、これからそれを一般の営利目的の利用としていくためにはまた別のシステムが要るのかなと思います。 それと、権利制限の中でも、それをどんどん拡張していくのがいいのかどうかはありますが、裁定制度というオールマイティーカードを無制限に私は拡張すべきではないと思っています。つまり、ババは1セットに2枚で十分という考え方ですので、裁定が頻繁かつ軽微な利用にも全て利用されていくような状態が私は望ましいとは思っておりません。 ですので、全ての利用に、裁定制度を拡張していくという議論がございますけれども、やはり、ナショナルアーカイブからの頻繁かつ軽微な商用利用については、別のシステムも考えるべきではないかというのが私の考えです。 それと、今、竹宮先生の話もそうなのですが、今、権利者団体で、実はこのことについて話を始めています。いろいろなことを皆で話したりしています。 これは一部有志で話しているのですけれども、死後50年の保護期間があったとしますけれども、大体4世代生きるのですよね。孫までというのがあれなのですが、大体権利者として24人から48人が想定されます。これは妻1人、子2人の想定で、文芸家協会はそれには当てはまらない方も多いと言われました。写真もわからないのですが。ただ、時間が経過するとそれだけ権利者が拡散するという事実があります。 まず、権利の相続の時に、例えば父親が創作者であって、その人が亡くなったとします。大概子供たちがその父親の創造物がお金を生み出すことを知っていれば、分割協議もしますし、きちんと継承して、権利者も決めてお金を分配します。ところが、ほとんどの場合、90%以上といえると思いますが、子供たちがその父親の著作物がお金になるとは思っていないし、逆にそれを価額評価して遺産継承すると、単純に相続税の対象になってしまいます。また、どのように算出してとかということについては、非常に難しくなってくるために、あえて分割協議もせずに、著作物については放置します。これを4世代続けるとどうなるかというと、実際に先ほど申し上げたような人数が権利者になります。例えば、長子長男に相当する人たちが4世代にわたって私が権利者ですと言っても、全く根拠がありません。協議されていないからです。関係ない人が出てきて私も権利者ですと言われた時には、これについては反論するなり何なりするということは非常に難しい。これはその人の責任で中でやってくださいと言っても、使う側にしてみれば非常に問題があります。 こういうことを考えた時に、どのようにして、では著作した者が亡くなった後、権利処理をするべきなのか、そしてそれについてどのような対応をするべきなのか、例えば使わせたくても、それを継承した長男、長男でも使っていいですとは言えないし、使う側にしてみれば、完全に法的な処理をするとなると、全員に許諾をとらなければいけなくなるという、これは実質上不可能であるというのがはっきり言って権利者側からも思われていることです。 こういうことの上に成り立って、著作権の継承と死後の権利処理が行われるとすると、それにまた先ほどのお話ではないですけれども、私の著作物はいいと言っている人たちも結構います。そういう人たちも継承が行われませんから放置されるわけですね。 このような権利処理というものをきちんとどうしていくのかということについて考えていかなければいけないということです。また、その議論の中で出たのは、権利があって、権利者と利用者がいる場合、権利者の許諾なく、ただでこの著作物が使われたら、権利者は損をしてしまう、そして利用者は得をしてしまうという考え方があります。この論理については、必ずしもそうは言えない、という話が出ました。 つまり、誰も使えない、権利者も許諾ができない、利用者も許諾がとれない状態で、死後、全て寝かしておくとその著作物の経済価値は二度と再発見されることがないのですね。でも例えばこれはナショナルアーカイブに載りました、それを見て誰かが使いました、100に1つ、1,000に1つかもしれないけれども、もしたまたま当たったものがあったら、そこでお金がきちんと遺族に払われるシステムさえあれば、逆にその著作物は生き返るのです。個人的な理由から埋めておきたいコンテンツは別にしても、そのような流通は、権利者にとって、死後使われることがマイナスばかりではないということも確認されています。 つまり、どうやって皆できちんとコンセンサスを得て使おうかという議論をしていかなければいけないのが、今の孤児作品の問題だと思うし、それについては、先ほど申し上げたように、まず、ナショナルアーカイブに入れるところがまず1段階、それから商用利用するのは次の段階、この2つについて、きちんとした施策を持っていくべきかなということを考えています。 いろいろなことがありますけれども、単純に今言った、著作者は使わせないことにインセンティブを感じ、利用者はただで使うことにインセンティブを感じるという、余りに一般的な図式がこの孤児作品については当てはまらない。また、駅前に自転車を放置したら、それを勝手に持っていくのかという孤児作品に関してのいろいろな比喩がありますけれども、それについても反論はあります。それは全く私たちは違うと、そのロジックは当てはまらないという理由もいろいろ考えておりますので、やはりこれは著作者側からきちんと言っていかなければいけないことかなと思います。 ただ、文化庁がここまで踏み込んでくださったことに関しては大変評価できるのだと思いますので、ぜひこれからさらに次のステップまでを含めて孤児作品の対応というのが継続していくことを希望したいと思います。 以上です。 ○野口委員 済みません。簡単に2点。 1つ目は今の瀬尾委員の御発言は共有の問題だと思うので、海外のように共有者が1人でも許諾が出れば、長男一人見つかればそれでクリアできる問題なので、本来的にはそことリンクする問題なのだろうなというのが1点と。 最後に、文化庁に御質問なのですけれども、これ必要な措置を随時講じていきたいとあるのですが、具体的に例えば法改正をいつごろに狙っていらっしゃるとか、そういうものはあるのでしょうか。 ○森文化庁著作権課長 今の御質問でございますけれども、まだ小委員会において検討中の課題でございますので、まずはその方向性をまとめていただくということが次のステップになると思っています。 そこで方向性が示されたものについて、関係者と意見を交換しながら、具体的な制度化の措置の詰めを行った上で、必要なものについては法改正を随時進めていくと考えています。 具体的な措置についての内容が整ったものから順次制度化を進めてまいりたいと考えております。 ○中村座長 ありがとうございました。 竹宮委員、瀬尾委員がおっしゃった仕組みというのはひょっとすると著作権法の範囲を超えていて、その周りの仕組みを作るということなので、ここで引き取らないといけないかもしれないですね。それも含めてちょっとまた考えてまいりたいと思いますし、制度の話については、文化庁文化審議会の議論が進んでいるので、そちらの進展を期待したいと思います。 というところで、時間がまいりました。 このアーカイブの議論については、前回もやりました、今日もやりましたので、それを踏まえて知財2015の計画にどのように反映させるかというのを事務局で調整をしてもらって、4月以降の検証・評価・企画委員会でそれをまた皆さんでたたいてもらうということにしたいと思います。 それで、引き続き委員の皆様、参考人の皆様からもこの意見、コメント等ありましたら、メール等で事務局に御連絡をいただければと思います。 最後に、次回の会合について事務局からお願いしたいと思います。 ○中野参事官補佐 次回の会合ですが、集中討議のもう一つの柱であるコンテンツ海外展開ということで、3月中旬に開催予定でございます。 日程については追って事務局より御連絡させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。 ○中村座長 局長、どうぞ。 ○横尾局長 今日は有益な議論をありがとうございました。 前者のアーカイブの体制と役割分担のところは、実は事務局の中でいろいろな議論があって、もう少し曖昧の資料だったのですが、もう少しはっきり書かないとわからないだろうと言って、田口参事官以下、うちのコンテンツチームで各省と議論していただいて、今日の資料を作らせていただきました。 大きい方向性は大体コンセンサスがあったかなと思います。レイヤーの整備ですね。 したがって、これをベースに今日いただいた議論、レイヤーごとの役割分担というのは、国と民間の役割分担、それから地方の視点等、さらにつけ加えるべき点があれば、それをつけ加えてその過程で委員の皆様方からいろいろなお知恵を拝借したいと思いますが、2015の計画に書けるような格好にさらにブラッシュアップをしていきたいと思います。 それから、後段の権利処理の問題については、文化庁で大変よく考えていただいて、審議会で議論をしていただいておりますが、中村先生から最後ありましたとおり、先ほどの瀬尾さんと竹宮さんと野口さんの御意見、まさにそうなのですが、このアーカイブに限らない著作権全般の問題もあり、さらにはそれを超えた問題もあるので、それはまたこの委員会で別途取り上げるべき価値のあるテーマかなと思って伺っておりました。 いずれにせよ、2015の計画は従来もそうですけれども、工程表をつけますので、そういう意味では、誰がいつまでにというのは極力具体的に書き込むということでありましたので、先ほど野口さんからもございましたが、なるべく具体的な計画になるように、今後、さらに皆さん方と一緒にブラッシュアップをしていきたいと思いますので、どうぞ引き続きよろしくお願いしたいと思います。 ○中村座長 ありがとうございました。 では閉会といたします。 ありがとうございます。 |