検証・評価・企画委員会(第3回)



日 時:平成26年11月26日(水)10:00〜12:00

場 所:中央合同庁舎4号館 123会議室

出席者:
【委 員】 木田委員、喜連川委員、久夛良木委員、後藤委員、斉藤委員、重村委員、瀬尾委員、竹宮委員、中村座長、宮川委員
  
【各 省】
総務省岡崎情報流通振興課長
文部科学省 森文化庁著作権課長、石垣文化庁芸術文化課支援推進室長、佐藤文化庁国際課長、酒井情報教育課情報教育振興室長、望月教科書課長
経済産業省柏原文化関連情報産業課長、鈴木模倣品対策室長
   
【外部スピーカー】

国立国会図書館 大場電子情報企画課長

  
【事務局】 横尾局長、増田次長、作花次長、田川参事官、田口参事官

  1. 開会
  2. 議事
    (1)知的財産推進計画2015策定に向けた検討
      @「デジタル・ネットワークの発達に対応した法制度等の基盤整備」
      A「アーカイブの利活用促進に向けた整備の加速化」
      Bその他重要事項
        (「模倣品・海賊版対策」、「教育の情報化」、「ビッグデータの利活用」)
  3. 閉会





○中村座長 おはようございます。ただいまから第3回「検証・評価・企画委員会」を開催いたします。
 本日、雨そぼ降る中、御多忙のところ御参集いただきまして、どうもありがとうございます。
 本日、主に「デジタル・ネットワークの発達に対応した法制度等の基盤整備」「アーカイブの利活用促進に向けた整備の加速化」というテーマのもとで、知財計画2014の検証について議論を行いたいと考えております。
なお、本日は、予定のある方に加えて、急遽体調を崩された方も多くて、井上委員、大ア委員、角川委員、川上委員、それから当初の齋藤委員、迫本委員、日覺委員、野口委員、長谷川委員、松本委員、山田委員、山本委員からは御欠席の連絡を受けています。
喜連川委員と奥山委員は、遅れて見えるということを聞いております。
そして、今日は文部科学省、文化庁、総務省、経済産業省、国立国会図書館の関係者の方にも御出席をいただいております。どうもありがとうございます。
では、開催に先立ちまして、横尾局長から御挨拶をいただきたいと思います。

○横尾局長 皆様、おはようございます。知財事務局長の横尾でございます。
今日は、雨の中お集まりいただきまして、ありがとうございます。
まず最初に、先週金曜日に衆議院が解散されたものですから、そういう事情もありまして、今日は大臣以下、政務が誰も出席できなくて、まずはおわび申し上げたいと思います。
今、中村座長からございましたが、去年のビジョンと今年の2014の計画に基づく取組状況について、第1回目の検証・評価・企画委員会での先生方の御意見、その他を踏まえまして、テーマを抽出して、今日はどちらかというと仕組みないし基盤に当たる事項、次回は進行に当たる事項を取り上げて議論したいということでございます。両者は関連しますので、相互にフィードバックし合いながら、この2回の議論を踏まえてさらに論点を絞り込み、あるいはつなぎ合わせる格好で、来年以降、2015に向けた議論をしていきたいという全体の流れを考えております。
今日は各省からまさに取組状況を説明してもらいますが、委員の皆様方には言ってみれば批判的な検証をいただきたいと思っておりまして、3つの方向かなと思うのです。
1つは、方向性が妥当であれば後押し、あるいは遅いというのであれば加速をしろというお話をいただければと思います。
2つ目に、もし方向性が妥当でないということであれば、問題点なりを指摘いただきたいですし、相互に施策の連携不足、不整合があれば、その点も御指摘いただければと思います。
3点目には、むしろ今日のプレゼンにないあるべき取組があるのであれば、それも御指摘いただければと思っております。
そういう意味では、あるべき姿を目指して、ぜひ率直かつ建設的な御意見を賜りたいと思いますし、役所側との双方向の議論をできれば進めていきたいと思いますので、中村座長にはイニシアティブ、どうぞよろしくお願いをしたいと思います。
今日は雨の中でございますが、2時間じっくり率直かつ忌憚のない意見交換をできればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○中村座長 ありがとうございました。
 では、議論に移りたいと思いますが、まず事務局から配付資料の確認をお願いします。

○田口参事官 それでは、事務局から配付資料の確認をさせていただきます。
 配付資料につきましては、お手元の議事次第の下のほうに記載がございます。資料1から資料6までと参考資料1でございます。不足する資料があるようでしたら、お近くの事務局までお申しつけくださるようお願いします。
以上でございます。

○中村座長 よろしいでしょうか。
 では、知財計画2014の検証に入りたいと思います。
 まず、「デジタル・ネットワークの発達に対応した法制度等の基盤整備」についての議論です。
議論に先立って、事務局から論点について説明をお願いできますでしょうか。

○田口参事官 論点につきまして、資料1をご覧ください。資料1の前半部分について説明をさせていただきます。
 「デジタル・ネットワークの発達に対応した法制度等の基盤整備」ということで、「第一回委員会等での主な意見」というものをまず挙げさせていただいております。放送番組の海外展開に当たって、権利処理ということについての発言。
 また、著作物の二次利用を行うため、契約を最初からするよう商習慣を変えていく必要があるという御指摘。
 アーカイブ化に関しても権利処理がネックになっている。孤児著作物を含めて権利処理の体制をつくるということが重要である旨の指摘。
教育のオンライン化、IT化といったことに関しても、著作権の問題も正面から取り組む必要があるという御指摘。
主な論点としましては、情報活用サービス等の促進、クリエーターへの適切な対価還元のため、さらなる取組についての論点。
2番目としまして、孤児著作物も含めた著作物の利活用の円滑化に関する論点。
3番目として、教育のIT化の進展を受けて、教材等の活用が円滑に行われるようにするための取組についての論点。
上記以外、ビジョン等で指摘されていた利用方法等に関する対応のための取組についての論点といったものがございます。
事務局からの説明は以上でございます。

○中村座長 ありがとうございます。
 では、このアジェンダ関しまして、文部科学省、文化庁の取組の説明を10分程度でお願いできませんでしょうか。

○文化庁著作権課(森) 文化庁著作権課の森と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、お手元の資料2に沿いまして、著作権法制の検討状況について、御説明を申し上げたいと存じます。
 表紙をおめくりいただきまして、2ページをご覧いただければと思います。クラウドサービス等と著作権、クリエーターへの対価還元ということでございますけれども、知財計画2014では、ここにございますように、クラウドサービス等の促進のため、権利制限規定の見直し、あるいは円滑なライセンシング体制の構築等について、文化審議会の議論を加速化させ、今年度のできる限り早期に結論を得ること、そして、こうした検討とあわせて、クリエーターへの適切な対価の還元についても検討することが求められているところでございます。
 その検討状況でございますけれども、3ページにございますように、文化審議会著作権分科会において集中的に議論を進めてまいりました。今年度は、右側にございますように、月2回のハイペースで議論を進めてきたところでございます。
 議論の内容でございますけれども、4ページ、まず「クラウドサービス等と著作権について」でございます。この問題について、事業者側から議論の対象とするよう求められたサービスは多岐にわたりますが、1ポツ、2ポツにありますようなサービスでございました。
こうしたサービスについて、実態の把握や、著作権法との関係、ライセンシング体制の構築に当たっての課題等の検討を行ってまいりました。
1ポツのロッカー型クラウドサービスについてまず検討し、その後、2ポツのその他のサービスについて検討を行ったという段取りでございます。
このうちロッカー型クラウドサービスにつきましては、5ページをご覧いただければと思いますけれども、まずロッカー型クラウドサービス、クラウド上のサーバーをいわばロッカーとして、そこにコンテンツを保存し、ネットを介して利用者の様々な端末にコンテンツを送信して利用できるようにするといったサービスですが、こういったサービスを2つの視点から4つのタイプに分類いたしました。
左側の縦軸にございます視点1、プライベート型、共有型とございますけれども、ロッカーに保存されるコンテンツに誰がアクセスできるのか、1人の利用者のみなのか、多数の利用者がアクセスできるのかといった観点での分類でございます。
もう一つの観点は、上の横軸にございますように、配信型、ユーザーアップロード型とございますが、ロッカーに保存されるコンテンツを誰が用意するのか。クラウド事業者なのか、利用者なのかという観点での分類でございます。
こうした観点から4つに分類いたしまして、次の6ページでございますけれども、それぞれのタイプについて、そのサービスで行われている著作物の利用行為について、権利者の許諾を必要とするべきかどうかといったことを議論してまいりました。
検討経過を説明いたします。
まず、タイプの1、3、4については権利者の許諾が必要であって、契約等により対応すべきサービスであるという見解で一致したところでございます。
タイプ1、3と申しますのは、配信型とございますように、コンテンツを事業者が用意して提供するというサービスでございます。
タイプ4は、利用者がコンテンツを用意するわけですけれども、それを利用者自身だけではなくて、多数の者が共有できるというサービスでございまして、こうしたサービスを提供する場合には権利者と契約等を結んで行うことが原則であるということでございます。
一方、タイプ2については、こうしたサービスが著作権法上適法となる「私的使用目的の複製」の範囲内で行われていると考えるのか、それともこうしたサービスに事業者が関与し、利益を得ていることに鑑みて、権利者の許諾が必要と考えるか争いがございましたので、重点的に議論をしてまいりました。
その結果を説明いたします。7ページにございますように、タイプ2のロッカー型クラウドサービスについては、当初権利者側、事業者側、利用者側の主張に大きな隔たりがございましたけれども、検討の結果、タイプ2については、基本的には著作物の利用行為主体は利用者であって、その場合にはこのサービスで行われる著作物の複製は私的使用目的の範囲内であり、権利者の許諾は不要であるという意見で一致したところでございます。
一方、こうしたタイプ2を超えるサービスを提供する場合、例えば私的使用の範囲を超えて一定の範囲で共有することが許容されるようなサービスを提供するといった場合などが考えられますが、こうした場合について、そうしたサービスを円滑に実施するための方策についても議論を行ってまいりました。
これについては、事業者側からサービスを提供するための契約のコストを低減すべきというニーズが出されたことを受けまして、権利者側から「集中管理による契約スキーム」の案が示されました。
8ページをご覧いただければと思います。
まず、事業者がサービスを提供するために契約を権利者と結ぼうという場合に、これまでであれば、上半分にございますように、楽曲の管理事業者ですとかレコード各社といった各権利者と個々に契約を結ぶ必要があるわけでございますけれども、今般提案された新たなスキームと申しますのは、下半分にございますように、音楽の集中管理センターを設立し、相談・協議に応じたり、利用者側からのライセンスの申請に対するワンストップの窓口となる、そういった役割を担うという構想でございます。
7ページにお戻りいただければと思いますが、こうしたスキームが実現すれば、契約コストの低減につながり、また、事業者がリスクヘッジとして容易に契約することが可能となることから、このスキームの有用性を評価する見解で委員の意見がおおむね一致したところでございます。
9ページ、ロッカー型クラウドサービス以外のサービスの検討状況でございます。
事業者側から左側にございますような9つのサービスの検討が求められているところでございますが、このうちの下2つについては、著作権分科会のほかの小委員会で検討するということで、残り7つのサービスを主に議論いたしました。
これまでに出された意見の状況でございますけれども、@からC、そしてDからFの一部のサービスは、利用者が著作物の表現を享受する形でサービスを提供するものでございますので、契約によってサービスを実施することが原則であるといった御意見ですとか、仮に権利制限を行うとすると、権利者のビジネスへの影響が大きいという意見が多数示されておるところでございます。
一方、DからFの一部のサービスについては、利用者が著作物の表現を享受しないという形の利用もあり得るわけですけれども、実際に事業を行っている事業者からの御意見をお聞きしますと、現行法の中でできる、あるいは権利者との契約によって事業を行えるといったことから、特段問題はないといった御意見も示されているところでございます。
さらに、契約によって実施すべきサービスを円滑に展開するために、集中管理の促進でありますとか、具体的な話し合いをするための環境整備等を行うことが重要であるといった御指摘もなされているところでございます。
10ページ、クリエーターへの適切な対価の還元についてでございます。
右下にございますように、この問題も並行して検討を進めてまいりましたが、これまでのところ、私的録音録画に関する実態調査の結果についての発表、そしてそうした結果を受けての権利者団体からの分析結果についての発表を行ってきたところでございます。
これらの問題について、今後の予定でございますが、11ページにございますように、一定程度議論が熟したと考えられるため、事務局において審議の取りまとめを作成した上で、小委員会においてさらに議論をいただくことを予定しているところでございます。
12ページ、アーカイブ化の促進についてでございます。知財計画では、ここにございますような裁定制度の見直し、新たな制度の導入の検討といったことが求められておりました。
まず、裁定制度についての検討状況でございますが、13ページにございますように、裁定制度について、今年の8月に制度改正、運用改善を行ったところでございます。
この裁定制度におきましては、「相当な努力」を払っても権利者と連絡をとることができないことが必要でございまして、その「相当な努力」の具体的な内容については、これまで左側に掲げたアからカの全ての方法をとって権利者と連絡をとるための措置をとることが求められておりました。
これを手続の簡素化、迅速化の観点から、右側にございますような改正を行ったところでございまして、例えば@にございますような権利者情報を掲載している資料の閲覧について、これまでの名簿の閲覧、ネットの検索のうちいずれか一方で良いということといたしましたほか、Aにございますような権利者情報を保有している者への照会についても、エにありますような同種の著作物等の販売等を行う事業者への照会は必要ないといった改正を行ったところでございます。
このほか、右下にございますような運用改善も行っているところでございます。
14ページは、アーカイブ化の促進についてでございます。これまで文化審議会の著作権分科会におきまして、国会図書館や東京国立近代美術館のフィルムセンターなどのアーカイブ化に取り組んでいる機関から御報告をいただき、また、諸外国の取組について有識者からの御発表をいただいたところでございます。
今後の予定でございますが、審議会において著作物等のアーカイブ化の促進に係る著作権制度上の論点を整理し、その上で引き続き検討を行ってまいりたいと考えているところでございます。
最後に、教育の情報化の推進について、15ページをご覧いただければと思います。
知財計画の記述を受けまして、今年度の審議会における検討課題の一つとして、教育の情報化の問題を提示いたしました。
小委員会では、教育現場における具体的なニーズを調査し、論点整理をした上で検討すべきといった御意見が出されたところから、3ポツの今後の予定にございますように、まず今年度は、我が国におけるICT活用教育に係る著作物等の利用実態、そして諸外国の関連する制度等について調査・研究を行いたいと考えておりまして、その上で、来年度になりますけれども、その調査・研究の結果を踏まえて、教育の情報化に対応した制度の在り方などについて具体的な検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。
御報告は以上でございます。よろしくお願いいたします。

○中村座長 ありがとうございました。
 文化審議会等での進捗状況を御報告いただきました。クラウド対価の還元とアーカイブと教育という3つのテーマについて御報告をいただいたのですが、アーカイブと教育のところは、今日の後の2つのテーマにも対応するところかというふうに認識しております。
では、このアジェンダについて、御意見、コメントのある方は挙手をしていただければと思います。いかがでしょうか。では、後藤委員、お願いします。

○後藤委員 御説明ありがとうございました。
 質問が3点ほどあるのですけれども、著作権不明者の裁定制度に関する要件を緩和されたということなのですが、まだ期間が短いので、どういう効果があったかということはわからないかもしれないのですけれども、もしおわかりになるようであれば、緩和をしたことをよってどの程度の効果があったのかということを教えていただきたいというのが質問の第1点です。
 2点目は、アーカイブ化を促進するのだということなのですが、個々にアーカイブ化していくことは望ましいことなのですけれども、1つのサイトから一元的に検索をしていって深層ウェブまで行き着けるという大きな体系がないと、なかなか検索にひっかからないということもあると思うので、全体としてアーカイブというものをどういうふうに構築していこうとされているのかということをお聞きしたいというのが2点目。
 3点目は教育のところなのですが、大学生でも今はあまりパソコンを使わなくなっている現状があるのですね。それで、どういう端末を想定してデジタル教科書などについて検討していらっしゃるのかというのを教えていただければと思います。

○文化庁著作権課(森) 御質問にお答え申し上げます。
まず、裁定制度の緩和の効果という御質問でございますが、先ほど申しましたように、今年の8月に制度の改正、運用の見直しを行いまして、日が浅いものですから、具体的な件数の伸びという形で顕著にあらわれているかといいますと、まだそういった段階にはございません。
ただ、裁定制度を利用する事業者の方の御意見をいろいろとお聞きしますと、裁定を申請するにあたっての事務的な負担については、かなり軽減されたと御評価をいただいているところではないかと思っております。ですので、裁定制度の申請にあたっての事務的なハードルがかなり低くなったのではないか、そうしたことから、今後この裁定制度をより御活用いただくことが可能になってきたのではないか、裁定件数も増えていくのではないか、と期待しているところでございます。
2点目の、アーカイブについて一元的に検索できる体系が必要ではないか、全体としてどのように構築していくかということでございますけれども、この議題は、恐らく2点目の「アーカイブの利活用促進に向けた整備の加速化」のところとも関わってくるかとは思いますが、著作権の関係で申しますと、先ほど申しましたように、これまでアーカイブ化に取り組んでおられる個々の事業者からのヒアリングなどを実施いたしまして、具体的な御要望等を把握しているところでございますので、まずはそうした御要望への対応に優先的に取り組んでまいりたい、その上で、後ほど御説明があるかと思いますけれども、アーカイブの全体像についての議論が進んでおりますので、全体像の検討とあわせて著作権制度についても検討を進めてまいりたい、と考えているところでございます。
それから、デジタル教科書がどんな端末を想定しているかというところですが。

○中村座長 そうですね。それも今日の3つ目のアジェンダで、非常に重要な論点かと思いますので、後ほどそこは議論させていただければ。
今、3つお出しいただいた論点の、アーカイブの全体の構想というのとデジタル教科書、デジタル教育、教育情報化、どういうシーンを想定するのかというのは、今日の後の2つの重要なテーマかと思います。
ほかにいかがでしょうか。瀬尾委員、どうぞ。

○瀬尾委員 今、検討の状況を拝見させていただきまして1つ言えると思いますのは、実は文化審議会の著作権分科会において、どうしてもこういう問題の解決は法改正によって全てを解決する方向にあるような気がします。ただ、今後のいろいろな問題については法改正も一つのツールであって、ほかに制度、システム、組織、そういった総合施策として解決していかないと、なかなか解決しない問題が多くなってきているのではないかなと思っております。
 今の報告書を拝見いたしますと、これまでとはちょっと違った制度とか民間の運用とか、そういったものに踏み込んでいるということがあるのではないかなと考えられます。私は、それについては非常にいい方向だなというふうに評価できると思っております。
ただ、これからますます法制度の改正だけではなくて、より民間の取引とか、そういった体制、システムによる解決策を審議会でぜひ御検討いただきたい。そうしないと、単純に利用者への対価還元についても法制度を変えただけで解決するというものではないと思っております。
また、今後のクラウドも、今回はそういった意味では法律から一歩踏み込んだ運用の中での解決ということでよろしいと思いますけれども、ネット上、アーカイブ、デジタルの利活用についてはもう少し大きな施策をどんどん審議会で展開していっていただいて、その中の一つとして法改正があるという位置づけの中で総合的な解決をぜひ進捗していっていただければ、より結果が出るのではないかなと思い、期待いたします。これについては評価させていただきますが、より一層の進捗をお願いしたいということで、意見とさせていただきます。
以上です。

○中村座長 ありがとうございます。
 今の御指摘は私も非常に強く同意するところでありまして、ぜひとも文化審議会のほうでも総合的な政策に広げていっていただければということを私からもコメントさせていただきます。
 ほかにいかがでしょうか。では、木田委員、お願いします。

○木田委員 アーカイブスのほうについては、後ほどお話しする機会があると思いますけれども、クラウドについての報告の中で、8ページに音楽集中管理センターの構想が語られています。こういったものの存在を早くつくってほしいというのは、現場でいろいろな権利処理に当たっていた人たちからつとに言われていたことでありますが、今回のこの報告で「将来」とは書いてありますが、具体的なイメージがこういう形で出されていることは非常に心強いことだと思います。
ただ、構想は非常にわかるし、みんなが欲しがっていたものなのですが、実際にこれを設立し、なおかつ仕事を調整していくというのは相当大変なことだろうと思うのですけれども、著作権分科会的にはこういったものが必要だという提言ではあると思いますが、各省庁とかでいつぐらいに実現していくというか、将来と言っても、そんなに10年も20年もかかるわけではないと思うのですけれども、どのような展望をお持ちなのでしょうか。

○文化庁著作権課(森) お答え申し上げます。今、御指摘のように、集中管理センターといったものが実現することが著作物の利用等について非常に大きな効果をもたらすということで、関係者からも期待が大きいというふうに思っております。
 審議会では、いろいろなサービスの提供に当たって、単に契約が必要だというだけにとどまらずに、その契約を円滑に進めるためにはどうしたらいいかということに特に力を入れて議論をしてまいりました。その一つの成果として音楽集中管理センターの提案というものが権利者団体のほうからあったというところでございます。
 今後、先ほど申しましたように、小委員会としての審議の取りまとめをするに当たって、こうした集中管理センターの取組を評価し、今後いかに実現していくかといったこともまた議論になってくると思います。権利者団体の取組にまずは期待するところですけれども、事業者側、利用者側がどのようにかかわっていくのか、そして私ども行政としてどのようなサポートができるのかといったことをしっかりと議論をしてまいりたい、その上で、早期にこうしたセンターの取組が実現するように取り組んでまいりたいと考えております。

○中村座長 斉藤委員、お願いします。

○斉藤委員 今、お話が出ましたワンストップの管理センターの話ですが、私たち権利団体としては、これを比較的早目に立ち上げることについては各団体ともそういう調整をしておりますので、あとはどのぐらいの量があるかとか、そういう物量の問題によって、ここのセンターの規模とかいうことが決まっていくと思います。これが早目に立ち上がって、幾つかの試行錯誤をしながらも有効なものにしていきたいと思っていますので、そんなに時間をかけるつもりはありません。早目にやりたいなと思っております。

○中村座長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょう。よろしいですか。
 後で時間があれば、このテーマにもう一度立ち戻ることもできるかと思いますので、ひとまず先に進めましょう。
 次に、「アーカイブの利活用促進に向けた整備の加速化」についての議論です。
 議論に先立ちまして、これも事務局から論点の説明をお願いします。

○田口参事官 それでは、再び資料1にお戻りいただきたいと思います。資料1の2ページ目からのところが「アーカイブの利活用促進に向けた整備の加速化」についての論点等でございます。
まず、「第一回の委員会等での主な意見」というところでございますが、国が支援しているアーカイブ、こういったものに抜けているものがないのか、さらにどういう連携をしていくべきかという御意見をいただいております。
また、アーカイブに関して、2020年の東京オリンピックに向けてという目標を据えるべきであるという御意見。
海外アーカイブとの連携、国産アーカイブの海外展開やローカライズ等の検討をすべきだという御意見。
ゲームのアーカイブ化を考えるときに、遊べる形でアーカイブ化を進めるべきという御意見。
また、予算等にかかる御意見をいただいていたところでございます。
「主な論点」についてでございますが、アーカイブの整備・拡充に関しては、まず分野ごとにどのような課題があるのかという点。
ページをめくっていただきたいと思いますが、従来、アーカイブの整備が遅れていた分野等について、今後どのように取り組んでいくことが期待されているのかというような論点。
さらに、最初からデジタルで作成された作品をどのように保存等していくのかというような論点。
アーカイブに係る技術的課題に関する論点といったものがございます。
アーカイブの利活用促進に関しましては、様々な提言をタスクフォースからいただいているところでございますが、どのような課題を優先的に取り組むことが必要であるのかという論点。
また、利活用と資料の充実の好循環という将来像の具体化に関する論点や、それに係る費用負担に関する論点といったところがございます。
アーカイブに関しましては附属の資料を後ろに添付してございます。「アーカイブに関するタスクフォース」に関して1枚、めくっていただきますと、「日本のコンテンツのアーカイブの現状」ということで、分野ごとにそれぞれどういう整備状況であるのかということを整理しておりますので、議論の際に御参考にしていただければと思います。
以上でございます。

○中村座長 ありがとうございました。
 この論点については、文部科学省、総務省、経済産業省、国立国会図書の方から取組の説明を順にお願いしたいと思います。
まず、文部科学省からお願いできますでしょうか。

○文化庁芸術文化課(石垣) 文化庁芸術文化課の石垣と申します。資料3−1につきまして御説明させていただきます。恐縮でございますが、座ったままでさせていただきます。
資料3−1につきまして御説明申し上げます。文化庁の取組状況でございます。
1ページめくっていただいて、2ページ目でございます。
知的財産推進計画2014におきましては、メディア芸術分野における取組の加速化、各種アーカイブ、アーカイブ関連人財の育成等が求められたところでございます。
これを踏まえまして、下にございます実施状況でございますが、まずメディア芸術分野(マンガ、アニメ、ゲーム等)につきましては、アーカイブ化を推進するためのデータベースを今年度中に構築する予定でございます。
また、作品の所在情報等、これはデータベースのことを申しますが、それの運用・活用や民間におけるアーカイブ化の支援等を実施する「メディア芸術連携促進等事業」につきまして概算要求中でございます。
2つ目としまして、文化関係資料が散逸・消失することがないよう、アーカイブの構築の望ましい仕組みの在り方について調査研究を実施しているところでございます。
3番目でございますが、文化遺産オンラインの文化財情報の英訳に取組中でございますとともに、「e国宝」のスマホアプリを配信中でございます。
各事業につきまして中身を御説明申し上げます。3ページでございます。
メディア芸術の振興ということで、私どもはメディア芸術の一層の振興のため、創造・発信支援と人材育成支援の2つを実施したところでございます。
創造・発信支援の中で、ちょうど赤枠で囲ってございますが、メディア芸術連携促進等事業、これは新規要求でございますが、27年度で5億7,700万円要求してございます。
この中身につきまして、4ページでございますが、メディア芸術デジタルアーカイブ事業ということで、平成22年度から平成26年度まで実施したものでございます。
事業概要でございますが、ここに書いてございますとおり、メディア芸術作品の全体像(作品情報及び所蔵情報)についてのデータベースを構築するというものでございます。「これまでの事業実績」と中ほどにございますが、このアーカイブ事業が対象としている分野は、マンガ分野、アニメーション分野、ゲーム分野、メディアアート分野の4部門でございます。
個々に申し上げます。
マンガ分野につきましては、国立国会図書館、明治大学米沢記念図書館、京都国際マンガミュージアムなどの協力をいただきまして、平成26年度までに単行本約25万冊、情報・雑誌約12万冊につきまして基礎データを作成いたしました。
同様に、アニメーション分野におきましては、日本動画協会等々の協力をいただきまして、9,000タイトルにつきまして基礎データを作成いたしました。
ゲーム分野につきましては、立命館大学のゲーム研究センターなどの御協力をいただきまして、ゲームタイトル約3万5,000件について基礎データを作成したところでございます。
メディアアート分野でございますが、慶應義塾大学のアート・センターなどの協力をいただきまして、展覧会等の催事約1万件、作品情報約2万5,000件につきまして基礎データを作成させていただきました。これが26年度までの取組でございますが、26年度末の情報がその下にございます。
こういったデータベースを今年度中に構築、公開する予定にしてございます。あわせまして、メディア芸術デジタルアーカイブガイドラインの作成をさせていただいて、これもあわせて提供させていただこうと思っております。
27年度でございますが、メディア芸術連携促進等事業ということで、ここに書いてございますとおり、所蔵情報、これはデータベースでございますが、運用・活用、それと各研究機関等におけるメディア芸術作品のアーカイブ化に係る取組への支援を今、概算要求させていただいているところでございます。
次のページでございます。文化関係資料のアーカイブの構築に関する調査研究でございます。文化関係資料につきましては、「現状」のところに書いているような課題があるというふうに認識したところでございます。
このため、歴史的、文化的価値のある我が国の貴重な文化関係資料が散逸・消失することのないよう、アーカイブの構築に向けた資料の保存及び活用を図るための望ましい仕組みの在り方について調査研究を行っているところでございます。
名称は「文化関係資料アーカイブ検討会」となってございますが、正式には「文化関係資料のアーカイブに関する有識者会議」というものを開催させていただいているところでございます。座長は、国立情報学研究所の教授でございます高野先生にお願いしてございます。
この有識者会議では文化関係資料のアーカイブの基本的な考え方、今後の文化関係資料、アーカイブの取組の方向性について、まず御検討いただいたところでございます。
この御検討を踏まえまして、ここに「新規」と書いてございますが、普及啓発のためのシンポジウムの開催、各分野の中核拠点の形成をモデル的に支援いたしますアーカイブ中核拠点形成モデル事業ついて、来年度の概算要求をしているところでございます。
また、この有識者会議では、引き続き議論が必要な事項ということで、関係機関のアーカイブとの連携、アーカイブにかかわる人材育成のための具体策などを整理させていただいたところでございます。
 次が文化遺産オンライン構想の推進でございます。概要に書いてございますとおり、全国の博物館・美術館等の所蔵品、国指定文化財につきまして、画像等の情報を国内外に発信するポータルサイトでございます。平成20年3月から正式公開してございます。
 現状と課題につきましては、ここに書いてあることと認識してございます。
 続いて、平成27年度事業内容でございます。一番下にございますが、継続事業とともに、A登録情報制作業務委託事業ということで、提供館にデジタル化、著作権処理、英訳等を業務委託する経費を要求させていただいたところでございます。
 7ページは、e国宝でございます。これは、独立行政法人国立文化財機構に所属いたします4館が所蔵する、全ての国宝とほぼ全ての重要文化財を、デジタル高精細画像と解説で紹介するものでございます。
 対応言語としましては日本語、英語、フランス語、中国語、韓国語になります。また、平成22年度にiPhoneアプリ公開、23年度にはiPad対応、24年度にはAndroidアプリ対応済みという形になってございます。
 次が最後の8ページでございますが、フィルムセンターの取組でございます。正式名称は「東京国立近代美術館フィルムセンター」という形になります。このフィルムセンターは、我が国唯一の国立映画機関として昭和45年に東京国立近代美術館の映画部門の機能充実という形で開館いたしました。
こちらに事業を並べてございます。収集でございますが、日本映画、外国映画問わず残存フィルムを可能な限り収集することを原則といたしております。平成26年3月末の所蔵フィルム数は合計で7万2,290に上ってございます。
真ん中の保存・復元でございますが、劣化や損傷等の複製作業を行い、長期保管のための保存を実施してございます。
また、フィルムの復元ということで、小津安二郎監督のカラー4作品をデジタル復元、また、日本アニメーション映画のカラー作品を初めて復元してございます。
それ以外に教育普及、上映展覧会等々を実施しているところでございます。
以上でございます。

○中村座長 ありがとうございます。
 では、続いて、総務省の取組の説明をお願いします。

○総務省情報流通振興課(岡崎) 続きまして、総務省におけるデジタルアーカイブに関する取組について、御説明いたします。
資料を1枚めくっていただきますと、目次になっております。本日の説明事項としまして、まず総務省の取組の全体像を御説明した後、それぞれの項目について簡単に御説明いたします。また、資料の最後に参考もつけてございます。
 次の1ページを見ていただきたいと思います。知財計画2014では、総務省に関係する施策として大きく3つ挙げられております。1つ目は、アーカイブに関する基盤技術の開発等。2つ目がアーカイブ関連人材の育成等。3つ目がアーカイブの利活用促進のための環境整備等です。
それぞれ工程表に落とし込まれておりまして、基盤技術の開発等については、実際の研究開発と人材、専門家の派遣等の支援が内容になっております。アーカイブ関連の人材の育成については、専門家の派遣等になっております。
利活用促進のための環境整備については、放送番組の利活用を促進するため、放送番組の権利処理に係るデータベースの構築・整備が内容となっております。
具体的な総務省関連の施策としましては、まず研究開発に関しては、分野横断的な検索を可能とする大規模情報利活用基盤に関する技術研究開発を行っております。
人材の育成に関しましては、デジタルアーカイブ支援ネットワークによる専門家育成のためのワークショップを開催しております。
放送コンテンツの二次利用に関しては、aRmaの権利処理データベースの構築の整備を行っております。
最後のaRmaの権利処理については、第5回の委員会にて詳しい説明を行うと聞いておりますので、今回は簡単に説明させていただきたいと思います。
次のページをおめくりいただきたいと思います。
2ページです。様々な分野にまたがるアーカイブの横断検索を可能とする大規模情報利活用基盤に関する技術の研究開発。要するに、様々なアーカイブがある中、1つの検索用語で網羅的、横断的に検索できる技術を開発するということです。現在、総務省下の独立行政法人である情報通信研究機構(NICT)において研究開発を進めております。
現段階では様々な科学データアーカイブを対象とした横断的な検索だけですが、今後、科学技術情報関連アーカイブ機関と連携して、研究者向けのデータ利活用システムへの応用、あるいはほかの種類のアーカイブデータについても広げていくということで検討を進めております。
次のページに行きたいと思います。デジタルアーカイブ支援ネットワークによるワークショップの開催ですけれども、総務省では平成23年2月から「知のデジタルアーカイブに関する研究会」を開催しており、同研究会にて、ワークショップを開催していくべきという提言をいただきました。それを受けまして、筑波大学知的コミュニティ基盤研究センターと共同でワークショップを年に2回ほど開催しております。
これまでの実績ですけれども、既に半年ごとに計5回開催しておりまして、次回第6回ワークショップも来年1月から3月の間に東北地方で開催するということで調整中です。
内容は、主な参加者が右下に出ておりますけれども、地方自治体のアーカイブの関係者、美術館、博物館、図書館、公文書館の実際のアーカイブの担当の方、地元のベンダーの方など専門家が30人から50人程度参加しておりまして、活発にワークショップを行っております。
続きまして、4ページは、放送コンテンツの二次利用に関する権利処理データベースの構築ですが、これについては、題が示すとおりでございまして、詳細につきましては次回というふうに聞いております。
5ページは、知財計画、工程表の実際の文言がどのようになっているかという参考資料がついております。
6ページです。今まで申し上げたものは、知財計画に記載されている総務省のアーカイブ関連事業ですが、そのほかに総務省がこれまで力を入れてきたものとしまして、被災自治体における震災アーカイブ構築事業というものがございます。これにつきましては、震災後に全国の震災情報、アーカイブを検索、閲覧できる「ひなぎく」と呼ばれるポータルサイトを構築しました。現在は国立国会図書館に移管しておりまして、そちらで運営していただいております。
また、この「ひなぎく」につなげるための被災自治体が構築するアーカイブにつきましては、やはり復興がまず優先ということで、比較的被害の軽い自治体からアーカイブに取り組んでおり、徐々に復興が進んでいきますと、そのほかの自治体も手を挙げてきております。平成25年度、26年度にて、個別の自治体あるいは複数自治体による連携として、アーカイブを構築しております。これについては来年度も続けていく予定になっております。
総務省の施策としては以上でございます。

○中村座長 ありがとうございます。
 では、続いて、経済産業省の御説明をお願いします。

○経済産業省文化情報関連産業課(柏原) 経済産業省の柏原と申します。よろしくお願いいたします。お手元の資料3−1に沿って御説明申し上げます。
 ページをおめくりいただきまして、2ページのところに知財計画で指摘された事項を記載しておりますけれども、当省に関連しますところとして、コンテンツを分野横断的に照会するためのプラットホーム構築に係る取組を支援するということ。
 アーカイブを通じて海外への発信を強化し、ユーザーコミュニティーと連動したポータルサイトの整備等を促進するということになってございまして、こうした指摘事項に対応いたしまして、経済産業省としては産業界と連携し、これを支援させていただくという形で、具体的にはコンテンツ・ポータルサイトでありますJAPACONとの連携を図り、コンテンツの海外向け情報の蓄積と発信の強化に取り組んでいるというところでございます。
3ページ目でございます。斉藤委員、瀬尾委員の前で私からお話しするのも僣越ではございますが、コンテンツ・ポータルサイトJAPACONと申しますのは、多数のコンテンツホルダーが参画をされて、我が国のすぐれたコンテンツ情報をウェブ上で海外に発信をしてきているといった民間主導の取組でございまして、これを経済産業省としても評価をし、連携を強化させていただいているというところでございます。
特に平成24年度に抜本的にリニューアルがなされておりますけれども、それ以降、JAPACONの運営主体であるコンテンツ・ポータルサイト運営協議会との連携を強化いたしまして、JAPACONで発信をする情報の充実というところで支援をさせていただいております。
具体的には3ページの真ん中の図ですが、当省ではコンテンツの海外展開を支援するJ-LOP事業というものを行っておりますけれども、J-LOP事業でコンテンツのローカライズ支援、すなわち吹きかえをしたり、字幕を付与したりということを支援しておりますが、こういったJ-LOPの事業でローカライズ支援を受けたコンテンツにつきましては、全てJAPACONのデータベースに登録をするという形で、JAPACONのデータベースの充実を図っているところでございます。
また、当省でCoFesta事業、コンテンツフェスティバルに関する事業を推進してきておるわけでございますけれども、今年度からの取組といたしまして、このプロモーション活動をJAPACONに担っていただくという形でも連携をしておりまして、したがって、JAPACONではコンテンツの書誌的情報だけではなくて、こういったコンテンツのイベント関係の情報についても海外にタイムリーに情報発信するということが可能となってきているということでございます。
経済産業省としましては、引き続きJAPACONの運営協議会と連携を密にしながら、コンテンツの海外展開支援に努めてまいりたいと思っているところでございます。
4ページ目は参考資料でございますので、割愛させていただきます。
以上です。

○中村座長 ありがとうございます。
 では、次に国立国会図書館の説明をお願いいたします。

○国立国会図書館電子情報企画課(大場) 国立国会図書館電子情報企画課長の大場と申します。
 国立国会図書館は立法府に属する機関でございまして、いわゆる知財計画の対象に直接にはならないのですけれども、行政府の皆様といろいろ協力しながら進めていくところが最近増えておりますので、このような場で報告の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。
 それでは、資料3−4をご覧ください。
まず、2ページ目をご覧ください。前半では、国立国会図書館におけるデジタルアーカイブ事業について簡単に御紹介をいたします。後半では、海外の状況について我々の把握しているところの御紹介と、それから国立国会図書館の視点から見てアーカイブの推進に関する課題にどんなものがあるかということについて御紹介をしたいと考えております。
まず、国立国会図書館におけるデジタルアーカイブ事業ですけれども、2つ柱がございまして、1つはコンテンツの拡充でございます。こちらはまだデジタルになっていないものをデジタルにするというのと、既にデジタルで流通しているものを集めるという2つの柱がございます。
2つ目は、デジタル化資料の利活用の促進についてです。こちらはいろいろ検索を便利にすること、あるいは二次利用等を可能にするような、そういったところについての試みを御紹介したいと考えております。
では、3ページ目をご覧ください。こちらは紙の資料を中心にデジタル化の経緯を簡単にまとめたものになります。予算についての経緯と、法律、特に著作権に関する整備という2つの柱についてまとめております。
予算については、見ていただければ一目瞭然かと思いますが、21年、22年度の補正予算で大きな金額がついたということで、かなり推進ができたというところがございます。
ただ、お金の面だけではなく、左側の箇条書きで書いてありますとおり、例えば平成21年の著作権法の改正では、著作権処理を要さずに複製であるデジタル化ができるようにしていただきました。もちろん、保存目的という限定ではありますけれども、そういったところで非常にデジタル化が進んだというところがあります。
また、24年の著作権法の改正では、こういった形でデジタル化したものを全国の図書館で利用できるようにするというところの整備をしていただきました。
これらの成果が4ページ目になります。インターネットで公開している部分につきましては、これは著作権が切れているもの等を中心に公開をしております。
また、先ほどお話しした図書館向けに提供しているもの、これは絶版等で市場に流通していないものに関して131万点を送信しております。
それに加えて、国会図書館の中だけで利用できるものも加えますと、国会図書館に来ていただければ、全体で250万点規模が利用できるということになってきております。
5ページ目をご覧ください。こちらは利活用の促進ということで、デジタル化したものを活用していただくために、著作権が切れているものについては手続を簡略化したほか、著作権がまだ切れていないものについては、著作権の処理をしていただければ、デジタルデータを提供するという試行を開始しています。ただ、画像データの試行提供の部分は、著作権の処理のハードルが高いのか、まだあまり問い合わせをいただいていないというところでして、今後の状況を見ながら改善策を検討していきたいと考えております。
続いて、6ページ目をご覧ください。こちらは既にデジタルになっているものを集めるという部分でございます。2つ柱がございまして、1つはウェブサイトをそのままコピーする形で収集するというもので、インターネット資料収集保存事業(WARP)と呼ばれているものです。公的機関につきましては、こちらもいろいろ法制度を整備させていただきまして、許諾なく当館のほうで集めることができるようになっております。
ただ、私立大学であるとか、あるいは民間のイベント等に関しましては許諾を得た上で収集するということになっております。
また、これに加えて、民間のものに関しましては、オンライン資料と呼んでおりますけれども、いわゆる電子書籍、電子雑誌等々のうち、無償で公開されておりまして、DRM、技術的な保護手段が付されていないものに関しては当館で収集させていただくというような制度を整備させていただきまして、昨年の7月から収集を開始しておるところです。
7ページ目は、デジタル化の状況について数字をまとめたものですので、後ほどご覧ください。
 8ページ目です。いろいろなものをまとめて検索できるサービスといたしまして国立国会図書館サーチというものを提供しております。図書館が中心ですので、紙の本も多数入っておりますけれども、デジタルデータを含めまして100のデータベース約1億件のメタデータを検索できるようになっております。
具体的な対象につきましては、9ページをご覧ください。図書館であるとか学術情報機関、博物館、美術館、公文書館などを含めて連携を進めておるところです。
10ページ目をご覧ください。後ほども御紹介しますけれども、Europeanaというヨーロッパの取組では、中間の取りまとめ機関であるアグリゲーターという存在がありまして、そういったものを国内でも整備を進めていって、そういったところが取りまとめたデータを国立国会図書館サーチでさらにまとめて検索できるようにするということを推進できないかというところを考えております。
また、利活用に関しましては、まだまだ図書館界以外の認知度が低いというところがございますので、いろいろイベント等を考えております。
11ページ目は、東日本大震災アーカイブということで、先ほど総務省様の報告の中でもありましたとおり、総務省と連携して構築したものですけれども、現在は国立国会図書館で運営をしております。震災に関する情報をまとめて検索できるポータルサイトということで、いろいろ情報を集めているところです。
こちらにつきましては12ページ目のほうで、利活用も含めてのイメージをまとめておりますので、ご覧ください。
続きまして、海外の状況について簡単に御報告をさせていただきます。13ページ目はヨーロッパの状況についてまとめたものです。Europeanaという形で欧州内の様々な文化資源の総合ポータルの構築が進められております。2,300以上の機関を集めまして、3,000万件以上のデジタル文化資源にアクセスが可能という状況になっています。中間になるアグリゲーターが150あるということで、そういったところの仕組みがうまく回っているのかなと感じています。
ただ、お金等の問題では課題があり、また、孤児著作物指令と呼ばれるような著作権に関するいろいろな制度の改善等についてもヨーロッパでは取り組まれているというところでございます。
続いて、14ページ目をご覧ください。こちらは中国と韓国の事例について簡単に御紹介しています。中国のほうはいわゆる学術情報が中心になりますけれども、大学が中心となりまして中国関係の資料を国際的に連携してデジタル化するプロジェクトが進められております。最初から中国と米国が連携してやっておりまして、インターネットアーカイブの協力を得まして、1カ月で2,100万ページのデジタル化が可能というようなデジタル化拠点を各地に構築をしているということで、非常にデジタル化が推進されているということでございます。
また、韓国に関しましては、国立中央図書館による韓国内外の公共機関、民間団体のデジタル資源と連携したポータルの構築が進められておりまして、こちらも我々と同様、約1億件以上のメタデータが検索できるというような状況まで来ております。
さらに、これは国の機関の情報源である、「国家知識ポータル」という形で進められていたのですけれども現在は「国家共有資源ポータル」という、国がまとめている様々な情報源とも連携する形で取りまとめが進められているところです。これは国立国会図書館サーチとも連携をさせていただいております。
また、関連動向としてGoogleアートプロジェクトについて触れておりますけれども、こちらはGoogleが博物館・美術館の情報をデジタル化して、いろいろな展示会形式で公開するようなプロジェクトです。Googleの紙の本に関するデジタル化に関しては非常に反発が大きかったのですが、こちらは日本の博物館・美術館が次々と参加しており、非常に好意的に迎えられている感じているところです。
最後に、15ページ目をご覧ください。こちらは国立国会図書館の視点からということになりますけれども、デジタルアーカイブ促進に向けた課題というふうに考えられるところを幾つかポイントをまとめさせていただきました。
まず1つ目は、国立国会図書館自体のデジタル化もまだまだ継続する必要があるということです。
それから、国立国会図書館以外の図書館等においてもデジタル化を促進する必要があるだろうということで、先ほど金と著作権の話というのを国会図書館が解決したところで進んだということがありましたように、そういったところをサポートすることができればというところが1つあります。
また、各図書館ではデジタル化のお金がついたとしても、その後、保存したり、提供したりするというところがなかなか難しいというところもあります。そこで国立国会図書館が一定の役割を果たせないかなということも考えているところでございます。
また、博物館・美術館に関しましては、やはり中核機関というような取りまとめの機関と当館とで連携ができると良いと考えております。
また、利活用の促進につきまして、出版社等における二次利用の促進に関しましては、やはり孤児著作物の利用促進に向けた課題というのを解決していく必要があるだろうと思っております。
また、海外の図書館に向けても、国内の図書館と同様に絶版等資料の送信ができればと考えております。日本文化の発信の強化になるところもございますので、検討していきたいと思っているところです。
テキスト化データは、検索に関しまして非常に大きな力がありますので、そういったところの利用であるとか、研究目的の利用など、そういったところについても整備ができればなと考えております。
以上、ちょっと駆け足になりましたけれども、国立国会図書館からの報告とさせていただきます。

○中村座長 ありがとうございました。
 では、このアジェンダにつきまして、委員の皆様から質問、コメント、御意見をいただければと思います。いかがでしょうか。久夛良木委員、お願いします。

○久夛良木委員 デジタルアーカイブについて集中的な議論、どうもありがとうございます。
 この部分についての取組の強化もされているということで、非常に心強い限りですが、この中にゲームも含んでいただいて、今後、我々業界も含めて積極的に取り組んでいかなくてはいけないというふうに思っているのですが、今日御説明いただいた資料の中で、まず文化庁のほうの4ページ目、ゲーム分野のところで、主に立命館大学が3万5,000件の基礎データを作成されておられるというふうに記述されていますが、この中に「ファミリーコンピュータ、ニンテンドー3DS、アーケードゲーム、PCゲーム」とありますが、約40年間の日本のゲームの歴史の中で、これは全体ではなくて、その中の一部であると思うのですが、どのぐらいのカバレッジが現在、立命館、文化庁のほうで進んでいる、もしくはデータベースとして構築が進んでいるというふうにお考えになっているか、それをお聞きしたいのが1点。
それから、国立国会図書館でゲームの納本制度ということで、一部ソフトメーカーが納められているということですが、ヒアリングした限りにおいては、積極的に国立国会図書館に納本されている方もいれば、全くやっておられないという方もあると思うので、この辺の状況がよくわからないということも含めて、今日、ちょうどいい機会なので、現在の状況等をお聞かせ願えれば幸いです。よろしくお願いします。

○文化庁芸術文化課(石垣) 文化庁の石垣でございます。
 先ほどお話がございました、どれだけカバーしているのかという状況ですが、大変恐縮でございますが、数字は持ち合わせておりません。私どもは平成22年度から26年度までやってきたわけでございますが、トータルとして3万5,000件でございますけれども、それに関しては大変申しわけございませんが、数字を持ち合わせておりません。

○国立国会図書館電子情報企画課(大場) 国立国会図書館ですけれども、申しわけないですが、私も数字を持ち合わせておりません。お話にありましたとおり、実際に納本されているところ、されていないところ、かなり差が大きいというふうに認識をしております。
 もう一つは、我々のほうでゲームを提供する環境を整備するのがなかなか難しいというところがございまして、研究目的でゲームを提供するというのをどういう形でやればいいのかというところについて、まだまだ我々としても経験が足りないところがあります。むしろ御指導をいただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○中村座長 どうぞ。

○久夛良木委員 この件に関して、私が属していたソニー・コンピュータエンターテインメントのプレイステーションというゲーム・プラットホームを20年間やってきているのですが、ざっと調べたところ、国内、国外、仕分けはできていないのですが、約2万8,000タイトルのゲームソフトが今までリリースされている。これは昨年末までの数字です。ですから、最近はもうちょっと増えていると思うのですが、このゲームタイトルというのは、それぞれメディアに固定されているわけです。CD-ROMであるとかDVD-ROMとか。その前のPCゲームはフロッピーであるとか、現在だとネットワークですが、古くは任天堂、セガも含めてROMカートリッジに固定されていた。メディアが本当にばらばらになっていて、これをどういう形でアーカイブしていこうかという議論を我々だけでなくて、CESA(Computer Entertainment Software Association)という団体にも御協力を願って、今、ちょうどファクトファインディングを行っているのと、今後何ができるかという議論を始めて半年ぐらいたっているのですが、ぜひこういった議論をここでされているということも含めて、今後、特に文化庁であるとか、経済産業省、総務省の皆さんの積極的な御協力とサポートをよろしくお願いしたいと思います。
ちなみに、今、ゲーム業界というのは、皆さん御存じのように、メディアもどんどん変わっている、プラットホームも変わっている、またネットワークへの拡大も進んでいるということで、今まで数十年間のゲームソフトに関する資料であるとか、もしくは現物そのものがほとんど滅失しかかっているという状況であることと、今、手元にありそうな過去のゲーム資産でも、場合によっては、この間、新聞にも載りましたが、一部どこかの方か、どこかの国かわからないですが、積極的に買いあさられて、ゲームの中古市場からなくなってしまいつつあるというのもあって、ソフトメーカーそのものに何かしらオリジナルがあるかというと、それもないとか、今、非常に危ない状況になっておるので、我々としても危機感をちょっと募らせているので、ぜひこれを加速したいと思っております。
これをどういう方法で皆さんのフレームワークの中に入れていただくかということも含めて、ぜひ議論させていただきたいのですが、先ほどメディアアーカイブ事業というのもありましたが、あの中にでもぜひ取り上げていただく、もしくはまぜていただければ、皆の意識が合って加速できるというふうに思うので、よろしくお願いいたします。
以上です。

○中村座長 ありがとうございます。
 では、重村委員、お願いします。

○重村委員 久夛良木さんの御意見にちょっと近いところもあるのですが、実を言うと、
一番消滅しているというのは放送コンテンツだと思うのです。実は70年代以前の作品に関しては、各放送局がほとんど消去してしまったという実態があって、現実的に70年代以前の放送コンテンツがどの程度保存されてこの国の中にあるのか。個人が持っていらっしゃるケースもあるとは思いますが、実際に残存している放送コンテンツがどれだけあるかという実態そのものが非常につかみづらいのです。こういう点については、文化庁とか総務省が調査をするように、指示をするということをおやりになったことがあるのかどうかということです。
それから、もし今後こういうものをやるとすれば、実態調査をやる中心は一体どこがやるべきなのかと。民は民できちっとやりなさいという問題はあるかもしれませんけれども、何か中心になる組織というのが必要なのだろう。我々の捉え方から言うと、これは文化庁の問題なのか、総務省の問題なのかということがはっきりしていないという問題があるので、今後御検討いただきたいのが第1点です。
それに付随して第2点として、コンテンツそのものは消去されてしまっているという形になったとしましても、期待できるのは脚本であるとか構成台本という形になるわけですね。これから日本のコンテンツを海外展開する場合、重要な部分というのは、フォーマットライツの販売であるとか、作品のリメークであるとかという問題になるわけです。そういう場合には、脚本あるいは放送台本というものがあれば、ある意味で今後商売になっていくという問題もあるわけです。
脚本アーカイブスコンソーシアムという形で東大の吉見先生とか早稲田の演劇博物館の岡室さんなどが一生懸命おやりになっていますし、国立国会図書館も御協力いただいているのですが、これはもともと市川森一さんと山田太一さんが提唱されておやりになっている民間事業なわけです。
ボランティア的に学者の方々などがおやりになって、できる限り放送関係等でそういうものを保存している方は提供していただきたいという言い方をしていますけれども、現実的にどういう形で今後やっていくかということと、それに対する助成をどういう形でやるかということを考えていただきたい。今、ちょうどその時期に来ていると思うのです。段々、テレビ第一世代の方々がお亡くなりになっていっていますので、この際、そういうものを保存するような形をシステム化していただければというふうに思います。
以上です。

○中村座長 前段の質問についてはいかがでしょうか。

○文化庁芸術文化課(石垣) 文化庁の石垣でございます。
 今、お話がございました放送脚本ですとか台本につきましては、一般社団法人日本脚本アーカイブズ推進コンソーシアムというのがございまして、そちらのほうに私どもが支援申し上げているという形になってございます。そちらは約5万冊の脚本、台本を持っていらっしゃいまして、それの半分を国立国会図書館さん、残りの半分を川崎市の市民ミュージアム等々で保管するような形で御支援申し上げている状況にございます。

○中村座長 総務省のほうから何かありますか。

○総務省情報流通振興課(岡崎) 放送番組につきましては、本日、私どもの資料は準備していないのですけれども、最初に内閣官房から提出された資料1の最後のページを見ていただきますと、日本全体のアーカイブの記載がございます。総務省としては、従来から民放関係につきましては、放送番組のところに出ております放送番組センターにおいて自主的に可能な限り所蔵していただいております。
また、NHKについては、NHKのアーカイブをつくっておりまして、そちらで保存されております。
それが過去の放送番組のどの程度を占めるのかと言われますと、正直申し上げますと総務省のほうでは把握しておりません。、放送番組センターにおいても全ての番組がおさめられているわけではないと聞いておりますので、もし調べるのであれば、一から、現状の在庫整理みたいなところからさせていただかないと、なかなか把握が困難であると考えております。

○中村座長 このような調査をする、調査以外にもいろいろ仕事があるのですが、するとしたときに、文化庁でやるのか、総務省であるのか、共同でやるのか、あるいはどこでやるのかという御指摘をいただいたのです。それは知財本部も入って調整、議論をしていただければと思います。
 ほかにいかがでしょう。瀬尾委員、お願いします。

○瀬尾委員 たくさんコメントすべき論点があって整理しているのですが、実は先ほど経産省から御報告いただきましたJAPACONにつきまして、私も運営側におりますし、ここにいらっしゃる斉藤委員に会長をお願いしており、その観点からちょっとコメントを述べさせていただきます。
 JAPACONといいますのは、もともと経団連が主体になり、経産省、総務省、文化庁、皆さんの御協力をいただきながら、もともとデータベース発信ポータルとしてつくられたものです。いろいろ紆余曲折がありますけれども、リニューアルを数年前にいたしまして、現在フェイスブックと具体的なホームページを持って運用しています。
海外への情報発信ということで、イベントからクールジャパンに関する情報、食、ファッションまで含めた情報発信をしているということです。
フェイスブックに関しましては、今、35万「いいね!」、Likeという評価をいただいているのですが、ほぼ99.9%国外の若い子たちが主になっている。これは年代分析できるので、どれくらいかというのはわかるのですが、その中で今後、例えば放送関係、またはクールジャパンでの展開関係でアジアへどういうふうなものが受けるのかとか、そういうリサーチをすることが大分可能になってきております。
具体的に申し上げますと、35万「いいね!」というのは、通常オフィシャルなサイトでは大体数千の「いいね!」しかないのが現状です。実際の民間では100万を超す「いいね!」がありますが、それはタレントさんとか、そういうところにおいてオフィシャルな蔵出しの情報を扱っているところとしてはかなり効果を上げている状況だと申し上げてもよろしいかと思います。
ここのところに今、情報を集中させていただいて、各省庁からの御支援と政策にのっとった運用ということでやっておりますが、今後、ここのところで、重村委員が運営委員会委員長をやっていらっしゃるBEAJとかその他、たくさんの海外展開もしくは国内の地方でのコンテンツの情報、またイベント情報等を集めて海外に発信していくということで、かなり順調に進んできているということですので、これにつきましては、皆様、何かの折には、ツールですので、ぜひ利用していただいたらいいのではないかなと思っております。これはJAPACONについてでございます。
本来のアーカイブについてなのですけれども、先ほどの文化庁の文化財アーカイブ、国会図書館のデータの集中化、もしくは総務省のベースになるシステムの研究等、進んできているとは思うのですけれども、実は去年のアーカイブのタスクフォースでも申し上げましたが、全体的な統合施策をどこが担って、誰がそれを運用するのかが実は余り見えないのですね。データベースというふうに申し上げていいのかどうかわかりませんが、去年のアーカイブタスクフォースでも申し上げたところというのは、これはネットワークシステムなのだと。このネットワークシステムというインフラの上にアーカイブが各所に点在し、それはたくさんのアーカイブが連携をしていく。まさに総務省のやっていらっしゃる共通検索などは、そういうことが非常に重要だという認識のもとだと思うのですけれども、その担当部署というのが、知財では結論が出ても、どこが持つのかがなかなかわかりにくいし、進捗が難しいということがあると思います。
ですので、クールジャパン、ジャパンブランド政策、これは海外への展開とオリンピック・パラリンピックに向けた国内の経済政策、それから地方創生。今、選挙がないので、この政策がどこまで継続するのかわかりませんけれども、日本の現状についてきちんと言及しているものだと思います。このためのインフラとしてどういうふうに実現していくのかについては、より具体的な統合策がないとオリンピック6年はすぐ来ます。
ですので、この1〜2年、それはこの会議、もしくは何らかのほかのレイヤーでも構いませんが、はっきりした主体を定めていただいて力強く進めないと、統合的な施策にはならないし、経済効果もなかなか見込めないという状況があると、非常に困ったことになるのではないかなと思っております。
ですので、中心となる組織もしくは担当部署、統括するところについて御検討いただいたり、もしくはこの場で御議論いただいたりしたいと思います。
最後にもう一つだけ。フィルムセンターの話が出ましたが、私の出身母体であります写真という分野がございまして、その中で写真のフィルムも調査研究として文化庁さんから御支援をいただいております。ただ、写真は物すごく多いのです。非常に貴重な資料もあり、利活用の可能性が高い。つまり、1枚の写真は非常にハンドリングが楽なので、これについて、大分ビネガーシンドロームでフィルムがやられてしまっている状態にあります。私は、写真分野としてこれを残していただきたいということはもちろん申し上げたいのですが、コンテンツの可能性として写真をきちんと利用者するというのは、実は大きな可能性があると思います。
先ほどからのデジタルアーカイブの件なのですが、単純にデジタルアーカイブにするというのは何かというと、我々が今、生きている時代というのは、アナログの資産からデジタルの資産へ移行する非常に特殊な時期、合間の時期だという認識があります。ですので、いかにアナログ時代の資産をデジタル時代に持っていかれるのか、そしてそれを利活用できるのかというのは、いろいろな分野にとって大変重要なテーマだと思います。
写真を一例にとりますと、それが非常に膨大であり、利活用の可能性がたくさんあるので、お使いになったら絶対いいですよとは申し上げられますが、ほかの全ての分野についても、次のデジタルの時代にアナログ時代のいいものを利活用できるようにする。これがアーカイブシステムとそのインフラの大きな目的になるのではないだろうかと思います。それできちんとした経済活性化につながれば、これが戦略として成立するのかなということを考えております。
ちょっと長くなりましたが、統合する先ほどの組織の部分とか細かな部分の進捗というのを加速していただきたいということを申し上げて、以上とします。

○中村座長 では、木田委員、お願いします。

○木田委員 今の御意見に全く同感であります。
 先ほどの資料2の著作権課からのリポートのところに戻るのですけれども、14ページに今後、基本問題小委員会等でアーカイブ促進にかかわるいろいろ議論を行う予定だとありますので、そのときにぜひ議論していただきたいと思いますのは、著作権処理の抜本的な簡素化、あるいは考え方の変更をお願いしたいと思います。
ここには著作権処理が大変だという資料はいろいろあるのですけれども、では、実際どれぐらい時間がかかって、手間がかかって、お金がかかるものかという現場実態というのがなかなかつかみにくいのではないかと思いますので、一例をうちのアーカイブスで言いますと、NHKのアーカイブスには現在85万番組。番組だけですと、85万本あります。これをNHKの放送局の中で公開できるというレベルの権利処理をするのに10年でようやく1%です。9,000本弱です。全部このペースでやろうと思ったら、あと1000年近くかかる勘定になります。このままのペースかどうかわかりませんけれども。別にこれはサボっていたわけでも何でもないのです。相当にお金も要員もかけて権利処理をしているのですけれども、現在の権利のクリアの考え方からいくと、こうならざるを得ないのです。特に過去の番組ですから。
 実はデジタル化に当たっては、85万本を残り4年ぐらいで全部デジタル化してしまいます。ですから、デジタルアーカイブまではできるのですが、その後ネットワークで公開して、皆さんに利活用していただくためには1000年かかってしまうということを一体どうクリアしていくのか。2020年まで残り6年しかない段階で、NHKだけのことですけれども、そういった問題が本当に大きな問題としてあります。
ですから、これは僕の考えですけれども、全ての著作権者のオーケーをとる。文化庁長官の裁定制度もありますが、これはあくまでも相当の努力をして、どうしてもだめな場合という方法だと思いますが、その方法でずっとやっていくのは無理があるのではないかなと。ここは、EUで新しく出されていますけれども、ある程度のところで、あとは事後に任せる。著作権者の方から何らかの申し出があった場合は、その後で処理をするというようなぐらいのところまで行かないと、デジタルアーカイブネットワークというのは、どの分野についても成立しないのではないでしょうか。
というような問題意識がありますので、ぜひ基本問題小委員会等でも検討していただければなと思います。
以上です。

○中村座長 どうぞ。

○後藤委員 1つ前の御発言と重なるのですけれども、そして先ほども御質問申し上げたところなのですが、国会図書館のほうの資料の9ページを見ましても、いかにたくさんばらばらにデータベースがあるかということがわかるかと思います。約100と書いてありますけれども、このほかに、今日御説明いただいたように、科学技術情報についてはJSTがデータベースを持っているとか、経産省のほうからJAPACONの話も出ましたので、とにかく多岐にわたってばらばらにあるというのが現状なのだと思います。
 これはよほどその分野のことに周知している方でないと検索しきれないということもありますし、例えば文化遺産オンラインとe国宝と2つあって、どれがどう違うのかといったようなことについては、一般の方がぱっと見てわかるようなことでもないと思うのですね。
だから、前の御発言にもあったように、どういうふうに全体を構築して検索できるようにするのかというのを本当に真剣に考えないといけないと思います。その際に資金もかかることなので、民間のインターネット関連の企業とどういうふうな連携ができるのかといったようなビジネスとの連携というような視点。それから海外から検索する際には、例えばEuropeana、日本のことを検索しようと思ったら、「ジャパン」としか入れないわけですね。それでばーっと検索していくというふうなことになるので、海外からの検索したときにいかにわかりやすく検索できるのかといったようなことも含めて、ぜひ掘り下げて検討していただきたいなと思います。
もう一点は、どなたもおっしゃっていないのですけれども、デジタルですから劣化をしていきます。これは何年たったら劣化して、更新しないといけないのかというのは、まだ研究途中のようなのですが、デジタル情報が劣化していった場合のアーカイブの更新ということについて御検討されているところがあれば、ちょっと教えていただきたいと思います。

○中村座長 最後の質問について、いかがですか。答えのある方はおられますか。どうぞ。

○国立国会図書館電子情報企画課(大場) 今、お話がありました最後の部分、データの更新に関しましては国立国会図書館でも長く調査をしているのですが、まだまだ決め手がないというのが実際のところです。
特に媒体に保存した場合に、媒体自体が劣化していってしまう場合、定期的にデータを移しかえなければならないのですけれども、こちらをどの程度の頻度でやればいいのか、また、そのためのコストを予算計上してやっていくということになると、それをどういうふうにスケジューリングしていけばよいのかというところについて、これから我々としてももうちょっと検討を進めていきたいと考えているところです。
問題としては認識をしているのですが、まだ正解というのでしょうか、こうやればできるというところまでたどり着いていないというのが現状です。

○中村座長 ありがとうございます。
 ほかにいかがですか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 私も2点ばかりコメントをさせていただきたいのですけれども、先ほど来のお話でゲームの取組あるいは放送の取組、民間の取組の話がありました。また、JAPACONも民間で進めておられるのを経産省との連携でここまで持ってきたというのがあって、各省の取組を進めていただいているのですが、民間独自でやっているというものもこの場にお出しいただいて、それと官民の連携をどうするのかというのは非常に重要なテーマになっているなと感じましたというのが1つです。
それからもう一つ、国立国会図書館のアーカイブの取組で、平成21年度の補正予算、127億円と著作権法の改正でぐっと進んだという話がありました。これはハード、ソフト両面の政策で進んだ例だと思います。私は、日本をアーカイブ大国にしようとすれば、そのようなどーんとした取組をあと3ラウンドか5ラウンドぐらいやらなければだめなのではないかと思います。
今日、アーカイブ関係省庁あるいは機関の取組のお話をいただきましたけれども、冒頭、横尾局長から正しい取組は加速して、だめなものはたたけという話がありましたが、これは加速すべきで、それは各省庁に頑張れとか速くしろと促すだけでなくて、恐らくこういった政策の優先順位を政府の中で上げていってもらわなければいけない。そのためには、我々委員も関係省庁に言うだけでなくて、この会議室の外に向けて声を高めていくということが大事かなと思います。ですから、その声が政治とか、あるいは財務省とかにちゃんと届くように私自身も努めたいと思います。
ひとまず私のコメントは以上です。
 さて、今日はもう一つのアジェンダがあります。その他の施策として模倣品・海賊版の対策、教育の情報化、ビッグデータの利活用について。これも各省から取組状況の説明をいただきたいと思います。
 まず、模倣品・海賊版対策について、事務局から説明をお願いできますか。

○田口参事官 模倣品・海賊版対策につきまして、この取組を行っておりますのは非常に様々な省庁、関係機関に及ぶということがございますので、模倣品・海賊版対策に関する全体像につきまして、事務局のほうからかいつまんで説明をしたいと思います。
資料を1ページめくっていただきますと、「模倣品・海賊版対策@」とタイトルがついたページがございます。知財計画2014においては、侵害発生国でのエンフォースメントの強化、違法コンテンツの削除と正規コンテンツの流通促進、水際・国内での取り締まり強化等々、様々な事項について記述があるところでございます。
1ページ目は、主に物の流通ということを念頭に置いて、関係省庁がどのような取組を行っているのかということをまとめたものでございます。
一方、ページをめくっていただきまして3ページは、「模倣品・海賊版対策A」とタイトルをつけたものでございますが、インターネットを通じてどのような損害が生じているのか、それに対して関係省庁がどのような取組を講じているのかということを提示させていただいております。
最後のページになりますが、検証・評価・企画委員会等で委員からどのような御指摘がこれまでなされているのかということで、主なものを幾つか取り上げさせていただいております。
初めに、違法コンテンツの対策として、権利者がISPに対してサイトブロッキング等を裁判所に請求できる仕組み等が効果的なのではないかということ。
また、民民による対策だけでは限界がある。
海外の侵害コンテンツは、その国の認証機関に削除してもらうような方策等を考えるべきではないかという指摘。
そして、正規版の利用を図っていくべきである。エンドユーザーへの普及啓発は重要であるという指摘等々いただいているところでございます。
事務局からの総括的な説明は以上でございます。

○中村座長 ありがとうございます。
 では、本件について、経済産業省、文部科学省からの説明を順にお願いいたします。

○経済産業省模倣品対策室(鈴木) 経済産業省模倣品対策室の鈴木でございます。資料4−2に基づいて御説明をさせていただきます。
模倣品・海賊版対策につきまして、まず模倣品・海賊版の被害の現状及びその対策として、今年度の取組状況について、コンテンツ分野を含めまして御説明をさせていただきます。
まず、2ページになりますけれども、現状でございます。私どもの政府の一元的相談窓口に寄せられておりますいわゆる情報提供を含めた相談ですが、本年10月末までに延べ9,379件に上っております。特に権利者を中心とした一般的な相談事案というのは年々増加しておりまして、本年は10月末現在で既に236件と過去最高となっております。
 また、右の円グラフでございますけれども、製造国が判明しております相談案件の6割以上というのが香港を含めた中国の事案ということになっております。
さらに申し上げれば、先ほど事務局の資料にもございましたけれども、中国国内での被害というよりも、中国で製造された製品がASEAN、インド、あるいは中東を経由地として新興国に及んでいるといったような状況もうかがえます。
また、内容につきましては、下の図のように、特にインターネット取引に関するトラブルといったものが増えております。全体の約83%を占めるような状況でございます。
こうした状況を背景といたしまして、3ページ、4ページになりますけれども、やはり対策の中心、基本というのは、中国対策ということになります。1つは政府間の対話、もう一つは産業界と連携した制度の改善要請と協力のマッチングということが基本になっております。残念ながら政治情勢を背景に政府間対話、幾つかはここ数年交流が途絶えておりますけれども、民間を中心といたしました交流は継続しておりまして、中国の取組もいわゆる制度的にはかなり充実してきたというのが印象でございます。
むしろインターネット関連で言えば、プラットホーム事業者に対する義務、具体的に言えば例えば出店業者に対する身分確認義務などといったものは徹底しておりまして、我が国のように刑事罰しかないところと違いまして、行政摘発が進むという強みもうかがえるというような状況がございます。
こうした状況でございますけれども、広い中国でございますので、実行ならしめるためのエンフォースメントの強化というものが課題ということで、そちらに力点を置いた要請ベースを心がけているという状況でございます。
冒頭申し上げましたけれども、昨今は中国発の新興国での被害ということが顕在化しておりまして、こうした地域では第2の中国化というよりは、まずは中国の模倣品等の流入を防ぐという視点で、水際対策ということで、資料の5ページになりますが、現地での真贋判定セミナーを中心としたいわゆる知財保護セミナーを20カ所ぐらいで毎年実施しております。今年もここに記載しておりますような国々を対象に適時行っているよう状況でございます。
また、権利者との協力を得て実践的なノウハウを提供するためにも、いわゆる招聘事業というものも順次進めている状況でございます。
次に、コンテンツ、特にマンガ、アニメの海賊版対策の取組について御説明させていただきますが、7ページになります。我が国のアニメ、テレビ番組あるいはゲームといったコンテンツ産業の市場規模というものは約12兆円と言われていますが、これらの産業を保護し、さらに飛躍する環境を整備するために、深刻化する海賊版被害の対策ということで、経済産業省の呼びかけに賛同した出版社、あるいはアニメの関連企業によります対策協議会を発足し、具体的には海賊版の効率的な削減、正規版への誘導、内外視聴者等に対する普及啓発といったものを課題として、戦略的なプロジェクトを推進しております。
この3つの課題に対する具体的な取組状況につきましては、8ページ以降に簡単に記載させていただいておりますが、まず海賊版の大規模削除につきましては、8月1日よりマンガ約500作品、アニメ約80作品につきまして、約5カ月間にわたる集中的な削除を開始し、10月末現在でサイト例が示しますように、194サイトを対象に25万376件の削除を実施しております。
また、正規版のリンクサイト、URLを公開し、正規版への誘導を図るとともに、反発を招くような、頭ごなしに海賊版利用を禁止するというような形ではなくて、オンラインの海賊版ユーザーの利用に対する価値観というものを認識した上で、ポジティブに正規版の利用を促すような普及啓発というものに努めております。
世界的に人気の高い日本コンテンツの潜在力に応じた適正な利益が日本企業に還流されるように官民一体となって取り組んでおります。
また、御参考でございますけれども、これからクリスマス、年末商戦を前に、今年も恒例となっております特許庁によります模倣品・海賊版キャンペーンというものを実施することにしておりまして、参考までに資料を添付しておりますので、御参照いただければと思います。
私からは以上でございます。

○中村座長 どうぞ。

○文化庁国際課(佐藤) 文化庁国際課の佐藤でございます。資料4−3をもとに御説明させていただきます。
 おめくりいただきまして、2ページでございます。知財計画では基本的には海賊版の取り締まりの強化を各国に要請すること、侵害発生国政府による著作権の普及啓発活動を支援すること、海外権利処理団体の育成を図っていくことが主に掲げられているかと思っております。
3ページでございますが、文化庁の取組でございます。右のほうに項目ごとに分けて、このような取組をしているところでございます。
次のページに取り組んでいる状況を書いてありますので、まず4ページをおめくりいただきたいと思います。特に諸外国の海賊版の生産・流通を防ぐためには、我が国の権利者がその国における民事・刑事のシステムを活用して迅速に対抗措置を講ずることが重要であると思います。そのための環境整備が政府としての役割かと思っております。
まず第1は政府間協議の実施ということで、これまで中国、韓国と政府間協議等を定期的に行っておりましたが、24年度よりインドネシア、マレーシア、タイ、ベトナムに対象を拡大しているところであります。今後は日本のコンテンツがどんどん出ていくと思われるところでございますので、そこでの関係構築を結ぶとともに、個別の権利者の方が権利を執行しやすいように取り締まりの強化を申し入れるという対策、仕組みを今、つくっているところでございます。
ポツの2番目にありますように、近々、ベトナム著作権当局との間での覚書を締結する予定にしているところでございます。
5ページを見ていただければと思います。グローバルな著作権侵害への対応ということで、基本的に侵害発生国における権利執行の法制面、あるいは最近、特にASEAN地区での要望が強いのですが、権利者団体の育成というのがどうも大きな課題になっているということで、特に集中管理団体の政府の管理監督、あるいは権利者団体自体の能力育成というのは喫緊の課題ということで、そこら辺を中心に、今年度はインドネシア、マレーシア、タイのそういう団体を日本に呼んで研修する、あるいは特にベトナムあたりでは、本年度は向こうに行ってJASRAC、レコ協、CRPA等、権利者団体等の協力を得ながら、向こうで集中管理団体に関するセミナー等を実施するというような形を考えております。
特に二国間協議を拡大して、今年度はマレーシアの知財公社の幹部がスタディービジットに来たいというふうな要望も来ておりまして、そういう中でしっかりネットワークをつくっていくというような形にしていきたいと思っています。
6ページでございます。特にトレーニングセミナー、真贋判定セミナーというのを税関の取り締まり等の対象にして、それは著作権分野で実施しておりますが、海外で展開しているアジアの、MPAとか権利者団体とも協力しながら、これまで中国を中心にやってきたのですが、昨年度はインドネシアのジャカルタで試みていまして、今年度はインドネシアの地方都市でも実施してみようというような形で進めているところでございます。
7ページでございます。特にASEAN諸国を中心に、短期的には海賊版対策をしっかりやっていきたいというのがあるのですが、中長期的には一般国民への著作権の普及啓蒙をしっかり進めていきたい、どうしていったらいいのだという強い要望がございますので、それを踏まえまして、2番目に掲げてありますタイでは権利者団体自体がどういう形で取組をするかということで、日本の権利者団体との意見交換の場を設けて権利者団体のノウハウを伝えていく、インドネシアですと、政府自体がどういう取組をするかを一緒に考えて取り組んでいく、そんな仕組みをモデル的にやって、ASEAN諸国でも同じような課題がありますので、できればASEANのほうにそういうベストプラクティスを普及していく、というような形でできないかと思っております。
最後、8ページ、真ん中の赤いところで書かれていますが、今年度の概算要求の中で、特に我が国の企業等の権利者が諸外国での権利執行ができやすいような形にするため、インターネットに特化した形の著作権侵害に対する権利者向けのハンドブックを作成したいと考えておりまして、これのための予算要求をしているところでございます。
以上でございます。

○中村座長 ありがとうございます。
 では、次に教育の情報化について、これも文部科学省から説明をお願いします。

○文部科学省情報教育課(酒井) ありがとうございます。文部科学省情報教育課の酒井でございます。よろしくお願いいたします。資料はお手元の5を御覧いただければと思います。
教育の情報化の取組といたしまして、2点御説明いたしたいと思います。
1点目はクラウド等の先端技術、2点目はデジタル教科書教材等の検討でございます。
資料の1ページ目をお開きいただきたいと思います。
まず、ICT技術を活用しました教育の情報化につきましては、これまでも平成23年度から25年度にかけまして「学びのイノベーション事業」で、1人1台のタブレットPC等の情報端末、そして各教室に各1台ずつの電子黒板や無線LANが整備された環境で、ICTを効果的に活用した教育の実証研究を行ってきたところでございます。そこでは1つの学校の中での取組でございましたけれども、「学びのイノベーション事業」で得ました成果を踏まえまして、1つの学校内の取組だけではなくて、複数の学校での取組ということで、クラウド等の最先端技術によって学校間、それだけではなく学校と家庭が連携した指導方法の開発や検証、さらに学校間における教材や指導事例の共有、蓄積、活用という研究をしているところでございます。その中には当然ながら地域内の学校が相互に活用できる教材の蓄積、提供が含まれているところでございます。
実証地域と実証校につきましては、1ページ目の右下の隅にございますように、3地域12校で行っているところでございます。
進捗の状況でございますけれども、2ページ目をご覧いただければと思います。こちらはクラウド等の最先端の情報通信技術の活用ということでございますけれども、平成26年度に公募を開始いたしまして、27年、28年、3年間かけてこういった実証に取り組みたいと考えているところでございます。
続きまして、3ページ目を御覧いただきたいと思います。2点目でございますが、デジタル教科書・教材等の検討でございます。これまでの取組といたしまして、先ほどの「学びのイノベーション事業」においてもモデルコンテンツを開発してきたところでございますが、そこで抽出されました技術的な課題を踏まえまして、先ほど後藤先生もおっしゃっておりました「どのような端末か」ということと関連しますが、OSに依存しない多様な情報端末での利用を可能とするような技術的条件の検討を行っているところでございます。
整理すべき課題といたしましては5点ほどあるのではないかと考えております。
1つは概念の整理ということで、デジタル教科書の範囲というのは一体何を指すのかということの概念整理が必要かと思います。
教育効果の検証ということで、紙媒体の教科書に代替し得るのか、しないのか、そして健康面への影響についても果たして心配がないのかということでございますし、使用義務の関係もございます。紙媒体の教科書と併用するものとするのか否か、あるいは一斉に全ての学校にこういった使用義務をかけるのかどうかといったことがあるかと思います。
また、教科書には教科書検定がございます。動画や音声といったデジタル特有の機能を有したデジタル教科書についてということでございます。
そして、義務教育教科書無償との関係でございます。デジタル教科書について無償措置をどのように考えるのか、情報端末の無償措置についてもどのように考えるのかということが整理すべき課題と考えております。
本年度中にこういった課題について、省内において整理をしているところでございまして、平成28年度(2016年度)までに専門的な観点から検討を行い、結論を得ることとしているところでございます。
以上でございます。よろしくお願いいたします。

○中村座長 ありがとうございました。
 では、次にビッグデータの利活用について、事務局から説明をお願いします。

○田口参事官 ビッグデータの利活用に向けた政府の取組状況について、資料6に基づきまして説明をさせていただきます。
表紙をめくっていただきますと、推進計画2014におけるビッグデータに関する記述ということで、公共データの二次利用の促進・ビッグデータビジネスの振興等について記載があるところでございます。
それに対応した政府の取組ですが、ページをさらにめくっていただきますと、「@公共データのオープン化の取組状況」とタイトルをつけたところでございます。平成25年度に各府省のデータの案内、横断的な検索を可能とするポータルサイトということですが、データカタログサイトの試行版が立ち上げられておりますが、このデータカタログサイトは本年の10月に本格的な運用が開始されております。データとしては1万件以上のデータセットがこれにより提供されているというところでございます。
そのデータの利用につきましては、自由な二次利用を認める利用規則、具体的にはクリエーティブ・コモンズ・ライセンスの表示、CC-BYという表示でございます。CC-BYという表示は、原作者のクレジットを表示することを主な条件として、改変はもちろん、営利目的での二次利用も許可される最も自由度の高いクリエーティブ・コモンズ・ライセンスのマークでございます。
また、本年6月にはこのような原則二次利用を可能とする利用規約のひな形というものが各府省CIOの連絡会議において決定されております。この標準利用規約におきまして、出典の記載方法や、第三者は権利を侵害しないようにすること、また、禁止している理由などについて表示をされているというところでございます。
1ページめくっていただきますと、いわゆるビッグデータ、ユーザー情報、センター情報等の利活用に関する政府の取組に関してまとめさせていただいております。
真ん中から少し下のところでございますが、利用価値が高いと言われている個人の行動・状態等に関するデータ(パーソナルデータ)の取り扱いに関しまして、環境整備をしていくことが必要でございます。
そのために、IT総合戦略本部においてはパーソナルデータに関する検討会を設置し検討を進め、パーソナルデータの利活用に関する制度改正大綱を取りまとめております。そして、これに基づきまして、次期通常国会へ法改正提出に向けて準備が進められているという状況でございます。
ページをめくっていただきますと、リサーチデータのオープン化に関する取組でございます。一番最後のページに「第1回検証・評価・企画委員会での関連意見」が記載されておりますが、この際、複数の委員から学術的なデータに関する取組について、どういうふうになっているのかという指摘、そしてその重要性についての指摘があったところでございます。
この点に関しましては、政府部内において研究開発予算を担当する各府省、資金配分機関等において個別に取組が進められていたというところでございますが、今後、総合科学技術会議、イノベーション会議を中心に国際的な動向を踏まえ、論文、研究データのオープン化の在り方について検討を本格的に進める予定でございます。
事務局からの説明は以上でございます。

○中村座長 どうもありがとうございました。
 残り数分しかないのですけれども、今の3点を含めて自由にコメント等をお出しいただければと思います。宮川委員、お願いします。

○宮川委員 ありがとうございます。
 私は、模倣品・海賊版対策について、仕事をしている関係から少しコメントをさせていただきたいと思います。
 事務局が御用意いただいた資料4−1の最後のところに、サイトブロッキングあるいはアクセスコントロール等を裁判所に請求できる仕組みが効果的なのではないかというような提言をさせていただいているものでございます。ここでは違法コンテンツに関して発言させていただきましたが、皆様も御承知のとおり、例えばEUでは知的財産権のエンフォースメント指令というものが出されておりまして、そこでは著作権に限らず、知的財産権一般の侵害について、仲介者、インターミディアリーと呼ばれていますが、仲介サービスを提供している方が自分のサービスが侵害に使用されていることを知っている場合は、その権利者は仲介者、仲介サービスの提供者に対して差しとめ命令を裁判所に請求することができるという指令がございます。
 ところが、各国がそれをどのように国内法に入れ込んでいくかというのはそれぞれ温度差がありまして、例えばイギリスでは著作権、コピーライトについては、そのような仲介サービス業者に対する差し止めは認めるように明文になっておりますが、その他の知的財産権については法律が今でもないという状況です。
 ところが、今年の10月にイギリスの高裁が、国内法には明文の規定がないにもかかわらず、商標権侵害品、いわゆる模倣品を販売しているサイトのアクセスブロッキングの命令を出したという報告を受けております。
これはどういうサイトかといいますと、日本でもよくあるのですが、中国にサーバーがあって、複数の国を経由して日本人向けに日本語で有名ブランドの模倣品を販売しているものです。イギリスの裁判ではカルティエラブとかいうことで、原告はカルティエ、モンブラン、リシュモンという有名なグループですが、その会社がイギリスの主要なインターネットサービスプロバイダーに対してサイトブロッキングの申し立てをし、それが認められたということでございます。
いろいろな議論もあるとは思いますが、サイトブロッキングという手段も海賊版、模倣品対策の一つの選択肢としてい、いろいろ要件を検討して、提供していくべきではないかと考えております。
少し長くなりましたが、今は模倣品・海賊版対策は、海外での日本のコンテンツを守るという視点がやや強いように見えますが、日本国内でもこのようにきちんと模倣品・海賊版対策ができているのだと。私たちを見てごらんと言えるような状況で海外の方にいろいろな指導やアドバイスをするべきだと思いますので、海外の方の模倣品・海賊版対策を指導したり、教育すると同時に、日本国内の海賊版、模倣品対策についてもさらに検討していただきたいと思っております。
以上です。

○中村座長 ほかにいかがでしょうか。
 では、どうぞ。

○竹宮委員 ありがとうございます。
全体を見ておりまして、これが国単位のというか、国が行っているアーカイブ事業であるということが、それぞれの部分でちゃんと効率的に自覚されるようになっているだろうかということにちょっと疑問を感じます。
こういうアーカイブの事業を行っていくところは、民間が最初始めているわけでして、そうではなくて、国の形で行っていくのだということをもう少し看板として与えるといったらおかしいですけれども、そういう強さを持っていったほうがいいのではないか。そうでないと、それぞれが本当にじりっじりっと上がってくるというような形でしか進捗を確認できない。木田委員が10年どころか、1000年かかるかもしれないということもおっしゃっていましたので、それを速く進めるためにはオールジャパンの感覚というものをもっと持てるように旗を振っていただきたいなと思います。大きなプロジェクト名を付けるとか。
あるいは民間にただ助成金を出すということだけではなく、国が旗を振っているのだ、それに従ってやっているのだということがあるほうがアーカイブも集まってきやすいですし、そこのルールづくりをもっと速く進めてスピード化されるように。そこにアーカイブされるということがそれぞれのコンテンツにとって非常に重要であり、あるいは安心であるというような形をもっとつくっていかないといけないのではないかと思いました。

○中村座長 では、喜連川委員、お願いします。

○喜連川委員 ちょっと遅刻をして大変恐縮です。
最後の資料6、一番最後でも結構ですが、ビッグデータをつけていただきまして、どうもありがとうございます。
先日、英国大使館が主催して英国の動きを見てくる機会があったのですが、向こうはInnovate UKという施策の中でいろんな意味でビッグデータ施策をしています。この中では政府の中のデータのオープン化がされていまして、それに対応するものはODI(Open Data Institute)と言われて、バーナーズ・リーが入っているということで、皆さん着目しているのですけれども、英国側からの施策量というのはそれほど大きくはないのです。デジタルキャピタパルというのがありまして、ビッグデータを動かす、つまり、国益につながっている部分、経済活性につながっている部分というのは非オープンなもの、そこをいかにスティミュレートしているかというのが第三の矢に結びついていくところの非常に大きなドライバーになっているのではないかなと感じました。
先日、フランス大使館も同じような試みをやっています。そういう意味で、ここに概算要求額が何を書いていないのですけれども、我が国としても遅れることのないような施策を打っていくことが必要ではないかと思っています。
それから、リサーチデータに関してのポイントがございましたが、リサーチデータで一番大きな問題はビッグサイエンスです。ノーベル賞をとる学問では全部ビッグサイエンスになります。ビッグサイエンスイコール彼らがハンドリングしなければいけないのはビッグデータになります。したがいまして、サイエンスのためのデータの基盤づくりをどうやってつくっていくのか、すごく参入障壁が高くなるのです。そこら辺は先ほどの企業も同じですけれども、ここら辺の御支援を国家として少し配慮していくことが必要ではないかなと思います。
それから、教育に関しましては既に議論が過ぎたのかもしれませんけれども、最近では論文のカット・アンド・ペーストが随分増えてきてしまっているということで、いかにそういうものを気にするかというのがビジネスになってきているようなところがあります。
東京大学でもかけようというようなところですが、こういうことをいろいろ考えていきますと、あるいは前回も申し上げましたようなeラーニングのオンデマンド視聴みたいなものも考えていきますと、やはりある程度のフェアユース的な概念を著作権の中に入れていくということをもう一度御検討していただくのもいい時期ではないのかなという気がいたしまして、私の意見を終えたいと思います。
どうもありがとうございました。

○中村座長 どうもありがとうございました。
 というところで予定の時間が参りましたので、本日はこのあたりで閉会をしたいと思います。時間不足で消化不良の点もあろうかと思いますので、またどこかでこのような議論ができる機会を設定できればなと思っておりますけれども、もし皆さんからも言い足りないこと等ありましたら、事務局のほうにメールでもLINEでも何でも結構ですのでお届けいただければと思います。
ということで、最後にまた横尾局長から総括をいただけませんでしょうか。

○横尾局長 今日は、様々な御意見、ありがとうございました。
 最後に喜連川先生からの著作権の話がまた出たのですが、今日は著作権に関心のある委員の先生方は若干御欠席だったので、最初の議題は割と議論が少なかったかもしれませんが、アーカイブとも絡んで制度の問題というのが引き続き検討していくべき課題だろうと思っています。
アーカイブについては、実は13のビジョンにはほとんど数行しか書いていないのです。その後、今年タスクフォースをやって一定の成果を得て、14の計画につながっているのですが、今日議論が出たように、必ずしも全体が統合的にいっていない、これをどうしていくかというのがまさに課題だろうと思っています。
そういう中で、今日は国立国会図書館の課長にもお見えいただいたのですが、日本のアーカイブを最もやっている国立国会図書館が行政の外にあることの難しさというのが、政府としてどこまでやるかということと裏表になっておりますので、そういう意味では、まさに行政と国会とよく連携をしてどうしていくかというのが今後の大きい課題だろうと思いますので、この点は引き続き皆様方のお知恵を拝借して取り組んでいきたいと思います。
 最後に宮川委員から御指摘のあった点は、かつて知財本部でインターネット上の侵害の対策について、ワーキンググループをつくって2010年ぐらいに検討したことがございます。その結果、現状においてどうかというのは、確かにレビューをする必要があろうかと思いますので、この点も引き続き検討していきたいと思います。
今日、最後のテーマはちょっと時間が足りなかったかもしれませんので、次回も含めて引き続きこの場で議論を深めていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

○中村座長 では、次回の会合について、事務局からお願いします。

○田口参事官 次回委員会は12月9日火曜日午後3時からコンテンツの海外展開等をテーマに会合を開催させていただきますので、よろしくお願いします。

○中村座長 では、閉会いたします。どうもありがとうございました。

○横尾局長 どうもありがとうございました。