検証・評価・企画委員会(第12回)日 時:平成27年4月28日(火)15:00〜17:00 場 所:中央合同庁舎4号館1階 108会議室 出席者:
○渡部座長 ただいまから第12回「検証・評価・企画委員会」を開催させていただきます。 本日は、御多忙中のところ御参集いただきまして、誠にありがとうございます。 本日は、タスクフォースにおける検討状況及びその他の重要検討事項について議論を行うこととしております。 本日は、山口大臣に御出席いただいております。また、平副大臣は、遅れての御出席と連絡を受けております。 それでは、山口大臣から御挨拶をいただければと存じます。 ○山口大臣 皆様こんにちは。 大変遅くなりました。今日はお忙しい中、有識者の皆様方にお集まりいただきまして本当にありがとうございます。 実は、14日に開催されました知財の戦略本部におきまして、安倍総理からは知財の推進計画2015に向けた重点検討事項として、「地域中小企業の知財戦略強化と地方における産学・産産連携の促進」及び「知財の紛争処理システムの活性化」について、検討を加速するようにという御指示がございました。 本日の会合におきましては、この御指示と関連をしております「地方における知財活用促進タスクフォース」及び「知財紛争処理タスクフォース」における検討状況や、その他の重要検討事項について御議論いただくと考えておるところでございまして、この夏に策定予定の「知的財産推進計画2015」に向けまして、どうかこれまで以上に更なる活発な御議論を賜りまして、成果につながりますことを心から期待をさせていただきまして、御挨拶にさせていただきます。 どうぞよろしくお願いいたします。 ○渡部座長 山口大臣、ありがとうございました。 本日、御出席いただいている委員、有識者の方は座席表のとおりでございます。 本年3月に知的財産戦略本部の本部員に就任いただきました山田様に、今回、産業財産権分野を取り扱う会合について御参加いただいております。 また、事務局として、4月1日付で着任された磯谷次長にも今回から参加いただいております。 ○磯谷次長 磯谷です。よろしくお願いします。 ○渡部座長 なお、小林委員及び日覺委員は、本日所用のため御欠席されておりますけれども、小林委員の代理で正木泰子様、日覺委員の代理で吉沢浩明様に参考人として出席をしていただいています。 それでは、知的財産推進計画2015に向けて、検証・評価・企画委員会では、参考資料3のとおり「地方における知財活用促進タスクフォース」と「知財紛争処理タスクフォース」の2つの検討体を設置し、本年2月から検討を行ってまいりました。 そこで、本日は、両タスクフォースにおける検討状況について、事務局から説明をいただいた後に、議論をいただきたいと存じます。 それでは、まず「地方における知財活用促進タスクフォース」における検討状況について、事務局から説明をお願いいたします。 それでは、よろしくお願いいたします。 ○北村参事官 お手元の資料1−1と1−2をご覧下さい。 1−1「まとめ表」というA3の紙になってございます。全体像をまずこちらで御説明申し上げた後に、資料1−2の本文の方に御説明を移したいと思います。 資料1−1「地方における知財活用促進タスクフォースの議論の整理」でございます。 こちらのタスクフォースは、これまで4回開催をいたしまして、この欄の一番左、大企業の知財を活用促進するという、いわゆる産産連携と、あと大学の知財活用促進、いわゆる産学連携、それと中小企業の知財戦略強化、この3分野について議論を行いました。 議論に当たって、中小企業と一口に言っても、少なくとも2つのカテゴリーに分けて考えるべきではないかという御意見を委員の方々からいただきまして、便宜的にカテゴリーA、Bと分けてございます。 カテゴリーAの方が表の上段ですが、自社の知財を意識して活用し、自社製品を主体的に開発・生産して、海外展開も視野に入れた挑戦的な活動を行っている中小企業と仮に定義をしてございます。 その下のカテゴリーBですが、自社の知財やそれに対する意識が薄く、生産する製品、取引先も固定され、多くは下請け的立場であるけれども、次の一歩を踏み出したいという意識を持っている中小企業と定義をさせていただいております。 この全体の整理に基づきまして、資料1−2、こちらの文章に基づいて御説明をさせていただきます。 資料1−2、1ページ目の真ん中、まず「1.中小企業による大企業の知財活用促進(産産連携)」でございます。 こちら「背景」ですけれども、知財を介したビジネスマッチングが最近注目を集めているということで、その保有特許を活用したい大企業と、自社製品を開発して下請け脱却を目指す中小企業を結び付ける活動でございます。 川崎市の知財交流事業というものが有名でございまして、成果を上げているとところですが、まだまだ十分な成果とは言い難く、積極的に関与する大企業も数が限られているという状況でございます。 こうした取組、主にカテゴリーBの中小企業にとって、次なる一歩を踏み出すためにこういう取組が期待されているというところで、委員の方から御意見をいただきながら課題を探ったところでございます。 2ページ目ですが「(2)意見と課題」ということで、タスクフォースの委員の方々からいただいた意見を集約してございます。 この知財ビジネスマッチングの課題ということで、主に3点ほどあるのかなと思っております。 まず、@として、大企業へのインセンティブでございます。 知財ビジネスマッチングを成功させるためには、特許を多数保有する大企業が積極的にその開放特許を提供するということが必要である。そのためには何らかの大企業側へのインセンティブが必要であるのではないかという御意見がございました。 具体的には、例えば実施許諾をする用意があると特許料を減額するというライセンス・オブ・ライトという制度や、税制優遇という金銭的なインセンティブという御意見、むしろ非金銭的なインセンティブ、例えば、表彰などのビジネスコンテストのようなものが良いのではないかという御意見がございました。 なお、こういう活動をCSR的な活動として捉えるべきというような御意見もございました。 また、2つ目の御意見ですけれども「橋渡し・事業化支援機能の整備」が必要ではないかというところでございます。 このマッチングの成功には、大企業と中小企業をつなぐ橋渡し・事業化支援機能の整備が必要という御意見を多数いただきました。ビジネスを創り出すプロデューサー的な人材が必要であるという御指摘、中小企業は大企業に対して、警戒心を抱きやすいので、それを回避する意味で、自治体が中心となる、あるいは公設試験研究所がその橋渡しを行うということの重要性も指摘されたところでございます。 3ページ目に参りますけれども、地域対抗のビジネスコンテストのようなアイデアも役立つのではないかという御意見や、このような橋渡し・事業化支援人材の育成に当たっては、フィールドワークが有用であるというような御意見もいただいたところです。 3つ目の御提案として「インフラの整備」ですけれども、このような橋渡し・事業化支援人材が活躍するためには、例えば、開放特許データベースの充実や、知財流通マーケットの構築といったものも必要ではないかという御意見をいただいております。 なお、<カテゴリーAの中小企業に関連する課題>ということで、産産連携の中で、その大企業からカーブアウト等で起業した企業に親企業の知財の活用を、円滑にさせてあげるべきではないかというような御指摘もいただいたところです。 2つ目のテーマ、産学連携ですが、3ページの下から4ページ目にございます。 産学連携活動は、一定程度定着しておりますけれども、まだまだであるというところの御指摘もございました。 また、大学の特許は、企業と共願、共有の特許になっているというところで、その共願特許の問題も指摘されたところでございます。 こうした中小企業が、地域の「知の拠点」である大学の知を活用するということで、新たな市場・製品を生み出していくことが期待されるというような背景がございます。 委員の方からいただきました「(2)意見と課題」、4ページの中ほどにございますが、まず、第1として「大学の知財戦略強化」、すなわち大学には、地域の「知の拠点」として機能して、自ら知財戦略を打ち立てて活用を推進していくべきであるという御意見をいただきました。 中小企業による大学、特許の活用を促進するために、例えば契約手続の簡素化とか、そういったような御意見もいただいたところです。 次に、2つ目の御提案としまして「橋渡し・事業化支援機能の整備」、4ページ目から5ページ目にかけてでございますけれども、中小企業との産学連携促進のためには、大学の産連本部や、TLOの橋渡し・事業化支援機能の整備が必要であるということで、このためには、活動の評価の在り方について見直しをするとか、TLOの統廃合、公設試などの機能の充実、等の観点が挙げられているところであります。 また、大企業、中小企業をつなぐプロデューサー的人材が必要であるという御意見を多くいただいたところでございます。 3つ目の御意見として「インフラの整備」が挙げられます。 こちらについては、いわゆる概念実証、Proof of Conceptの実現ということで御意見をいただいておりますが、大学の研究成果の事業化に向けた支援を行うべきということで、要するにその原石である基本技術をもう少し磨いて、一歩その事業化に近づけるという、こういうものを概念実証と呼びますけれども、これを行えるような仕組みというものを導入すべきではないかという御提案をいただいております。 また、共有特許の活用の円滑化ということで、大学の特許は企業との共有が多いということに関連して、これを行い易くするために特許制度について見直しをしてはどうかという御意見もいただいたところでございます。 続きまして、6ページ目「3.中小企業の知財戦略強化」でございます。 中小企業に対する知財の支援については、これまでも知財総合支援窓口を中心に資金、人材、情報の観点から色々行っており、特に、この1年では窓口のその機能強化や、営業秘密に関するワンストップの支援体制強化、知財金融の促進といったところで取り組んできたところでございます。 また、標準化に関しても、中小企業が標準化を迅速に進めることが可能となる、後ほど経産省から御説明があろうかと思いますが「新市場創造型標準化制度」も創設されたというところでございます。 こうした中で、そのカテゴリーAの中小企業にとっては、自らの知財を事業化する際に、その知財だけでなく、ビジネスの視点にも立ったアドバイスをする機能がまだ十分でないという御指摘、特に地方においてそのようなアドバイスを得られないという御指摘もございます。 また、カテゴリーBの中小企業にとっては、そもそもそうした窓口、知財総合支援窓口の利用に至っていないというところで、啓発が足りないのではないかというような御指摘もいただいておるところです。 「意見と課題」ですけれども、カテゴリーA・Bに分けてございます。 まず、カテゴリーAの中小企業の知財戦略強化ですけれども、人的支援については、先ほど申し上げましたように、知財とビジネスとの両面からアドバイスできる人材が不足しているとか、特許や技術だけではなくて、ブランドやデザインに関する支援を行うことも、特に地方の方にとっては有用ではないかというような御意見もいただいております。 このため、例えば、広域のブロック単位でその専門家によるチームを作ることや、民−民でのサポートを行うことも有用ではないかということで御意見をいただいておるところです。 7ページ目、資金面での支援ということで「知財ビジネス評価書」等を活用した融資における知財の活用や、特許料金の減免等についても、御意見をいただいたところでございます。 また、カテゴリーBの中小企業に対する支援ですけれども、まず、その中小企業自身に対する知財啓発はもちろんなのですが、金融機関や中小企業診断士、地方自治体などの中小企業を支援する関係者への啓発が必要なのではないかという御意見もいただきました。 なお、中小企業のホームドクターである「認定支援機関」における知財の啓発・相談が重要なのではないかというような御意見もいただいたところでございます。 以上が、こちらのタスクフォースにおける議論の整理でございます。 ○渡部座長 御説明ありがとうございました。 それでは、ただいまの御説明に関して、意見交換に移りたいと存じます。 今の資料はタスクフォースの意見の集約でございますけれども、タスクフォースを御担当されていない委員の方から、是非積極的に御意見を賜ればと思います。 どなたからでも結構でございますが、いかがでしょうか。 それでは、荒井委員。 ○荒井委員 日本商工会議所の知財委員長をやっておりますので、その立場からお願いしたいと思いますが、各地域で地方創生の観点から、こういう知財の活用が非常に大事になってきているという認識でございまして、特に今、色々な国立大学のカテゴリーを3つに分けて、地域拠点大学にするという取組がありますので、是非その地域拠点大学が各地域の中小企業と連携をするのをもう一度作り直していただいて、従来とは違ったステージに入っていただきたい。 地方の大企業の工場は、国際化で海外へ行ってしまった。大学も3つに分類されるということですから、大学と地方の企業の関係を作り直すいいチャンスであります。またそれをやらないと、地方創生は実現しないのではないかという危機感も持っております。是非、タスクフォースの議論を具体的に実現していただきたいというお願いです。 そのための1つの事例は、中小企業の特許料金の割引です。アメリカの場合には、中小企業の料金が全部半分になるのです。日本の場合には、難しい要件があって、余り使われていないということですから、アメリカ並みに半分にするということをやって、それをPRしていただくと、中小企業に対する啓発にもつながると思いますので、お願いします。 ○渡部座長 ありがとうございます。 妹尾委員。どうぞ。 ○妹尾委員 ありがとうございます。 この地域における知財活用促進というのは大変良い事だと思いまして、是非応援したいと思います。 ただ、ここで3点ほど、一部は既に書かれていることかもしれませんけれども、強調したいことがありますので、申し述べさせていただきます。 1つ目は、整理学上のことです。やはり大企業の知財を活用してもらう、つまり、大から中小へという一方通行的な意味合いがあるのですが、実際には、中小を大企業が利用するとか、中小企業の力を大学が利用するという反対側の矢印もあるはずです。だから、大学と中小企業と大企業の3者が地域の相互技術活用システムとして動くような基盤の俯瞰的なイメージを作っていただくと、もっとダイナミックになるのではないかと思います。 大きいところを開発するのは大企業、大学だけではなくて、中小企業でも逆の方向が出るということがあるので、是非それを入れていただきたいというのが第1点目。 第2点目は何かというと、この中に、地方を強調するならば、2つの組織を入れて、もっとクローズアップしてほしいと思います。 1つは中堅企業です。地場における中堅企業というのは、地域の中の名士であり、そしてかなり実力を持っている方々です。その方々が大企業まではいかないけれども大いなる可能性がある、あるいは中小企業の支えになっているという実態が非常に多い。ですから、中小企業か大企業かという二分法ではなくて、是非中堅企業を入れていただきたいということがあります。 もう一つは、公設試、公営の公設試験場です。これは都道府県によって役割が大分違いますけれども、公設試の出した技術が非常に生かされているという例もあるし、単純にだだ漏れしているだけの場合もあるし、県内での抱え込みで共倒れを起こしている場合もあります。 公設試は、地場に沿った良い技術を開発している場合は、それを中小企業を経由して、県外でも利用していただく。場合によっては、海外にも利用していただくみたいなものも、中には例としてあるわけですから、是非中堅企業とともに公設試もクローズアップをしていただきたいと思います。 第3点は、人材育成です。どうしても知財の委員会だと、知財の視点のみならず、ビジネスの視点もという言い方になるのですが、本来は違うはずです。ビジネスの視点に立って、知財のアドバイスをするというのが本来的な意味なので、是非ビジネスの視点に立った上で、知財のアドバイスができるようなアドバイス人材を育ててほしい。知財権のことに関してアドバイスできるプロの方はたくさんいらっしゃるのだけれども、ビジネスの視点に立って知財マネジメントをアドバイスできる方は意外と少ないので、こういう活用人材ではなくて、啓発人材といっても良いですけれども、実践活用人材とともに啓発人材を是非育成するような施策、政策を立てていただけたらありがたいと思います。 以上です。 どうもありがとうございます。 ○渡部座長 ありがとうございます。 いかがでしょうか。 杉村委員、どうぞ。 ○杉村委員 この中小企業のタスクフォースの報告書におきましては、主に特許を中心に書かれていると思いますが、中小企業、特に地方の中小企業のイノベーションを促進して、地方産業を活性化するには、意匠を糸口にした知的財産の活用は重要ではないかと考えております。 日本では、今、3万件弱に出願件数が減りましたが、韓国では6万件、中国では無審査の関係もございまして60万件ございます。 もっと日本も意匠の積極的な活用促進を図っていくべきではないかと考えます。 特に、意匠は登録から20年と権利期間が非常に長いということが特徴でございます。 周知となった登録意匠から周知の立体商標に係る商標権への転換が図れるような新しい施策・制度の構築を検討してくことで、地方の産業、地方の企業の製品を長く守ることができるのではないかと思っております。 それから、知財紛争処理タスクフォースでも出ましたが、特許でのポートフォリオを中小企業が構築するというのは、非常に大変なことでございますが、例えば、意匠におきましては、関連意匠を活用し、中小企業が意匠という視点を持って知的財産権のポートフォリオを構築することは比較的容易にできると思います。 これによりまして、自社製品を包括的に守ることができますので、中小企業の活性化のためにも、意匠という視点を重要視していただきまして、ポートフォリオが構築できるような施策を考えていただきたいと思っております。 また、現在は、意匠の権利期間に関しましては、関連意匠が本意匠に従属するような形になっておりますが、その登録の費用等につきましては、それぞれの登録意匠毎に同じように支払わなければならないという点もございますので、中小企業が意匠を活用してポートフォリオを構築しやすいように、費用の面、それから権利行使するための権利範囲の考え方、こういうものについて、検討、見直しが必要ではないかと思っております。 産学官連携につきましても、今までは理工学部や薬学部、医学部等の技術的な学部との連携に視点が置かれていたかと思いますが、今後は、意匠の活用ということで、地方の美術大学、デザイン大学等と提携して、新しい産学官連携の形を積極的に生み出していくような仕組みを構築していくのが良いのではないかと思っております。 以上です。 ○渡部座長 ありがとうございました。 他の方はいかがでしょう。 長澤委員、お願いします。 ○長澤委員 ありがとうございます。 二点発言させていただきます。 一点目は妹尾委員がおっしゃったことにかなり近いですが、知財とは、時には武器であり、時には薬であり、その武器をどう使って良いか分からない、この薬をどう飲んで良いか処方箋が分からない、ということはよくありがちです。 そのため、知財戦略とは、もはや単なる知財の戦略ではなく、経営戦略そのものだと私も思っています。そのため、経営の中でどのように知財を生かすのかを考えるようにしています。そこで一番大事なのは、経営を見据えた契約です。その契約が失敗すると、いくら武器を持ったとしても、それが全部、水泡に帰してしまうぐらいのパワーがありますので、やはり契約でミスをしないことが非常に大事になります。 これをいわゆる一般法務の観点のみで締結してしまうと、安全サイドに振り過ぎて、いわゆる経営にはつながりません。是非その辺の経営契約ができる人材を配してほしいと思います。 二点目は、最初に大企業のインセンティブについての話がありましたが、出願費用の軽減等だけでは地方にブランチを置こうという計画に繋げるのは難しいと感じます。 例えば、地方の会社と組んで何かを成し遂げたときには、税制優遇がある等の思い切った仕組みがあれば、我々も地方にブランチを置き、そこに知財部員を派遣し、先ほどの検討の面倒から全て見て、事業を成功させようという意欲が湧くような気がします。 以上です。 ○渡部座長 ありがとうございます。 よろしいですか。では、山田委員、お願いします。 ○山田委員 はじめまして。東北電子産業の山田と申します。 今回、初めてこの会議に参加させていただきます。 前回、本部会合の方で発表させていただいたのですけれども、地方の中小企業というと、知財はなかなかどう作ったら良いか分からない。どう活用して良いのか分からない。特許を書くだけでしたら、例えば、特許事務所にお願いすれば書くことはできるのですけれども、それをいざビジネスにつなげていこうと思うと、なかなかつなげることはできないと、そういうことをアドバイスしていただける人材、支援者を育成していただきたいというお話を前回の本部会合でさせていただいたのですけれども、本日、この報告書を読ませていただいたら、全部網羅されていると思いましたので、これはどういう形で実行に移していただくのが良いのかというところを是非具体的に決めていっていただけると良いと思いました。 今も何回かお話が出ておりますけれども、やはり地方企業の知財活用というお話がありますが、最終的にはどうやって売上を上げるかでありまして、売上につながらないものは、いくら特許を出しても仕方がないのです。 ですから、やはりビジネスセンスのある支援人材、企業自体ももちろん持たなければいけないのですけれども、ビジネスにつなげられる人材という育成をしなければいけないだろうと思います。 このA3の資料で、カテゴリーAとBという分け方をされているのは、非常に良いと思っていまして、中小企業を一くくりではもちろんなくて、Bの方はやはり何が自分の技術の中で知財になるのかとか、何をどうつなげていったら商品になるのかという、その気付きの部分を教えていただける支援人材が、まず必要でして、もしかしたらこの技術はこういう製品につながるかもしれないとかは、会社の中にいると気付かないのです。ですから、それを製品化したらこう売れますよというのを気付かせてくださる人材というのが、まず、居ていただけると非常に助かると思います。 カテゴリーAの方は、自分たちで何とか知財も多少作ろうと思っても、その知財をどう変えたらいいのか、弊社もそうなのですが、とりあえず特許を書いても、ビジネス特許までどう入れ込んだら良いのかとか、もっと言うと、このパッケージデザインはどうしたら良いかとか、ネーミングはどうしたら良いかとか、そこまでなかなか考えが及ばないことが多くて、そこまでトータルでアドバイスをしていただける方がいらっしゃると非常に良い、そこが人材育成としてお願いしたいポイントです。 それから、人材育成をしていただいたその人材がどこにいるのかですけれども、どこに相談に行ったら良いかという窓口で、ワンストップ支援窓口というものがありましたが、今は少なくともワンストップにはなっていなくて、例えば、仙台の場合ですと、仙台市産業振興事業団、宮城産業振興機構、中小機構、それから都道府県経済産業局、仙台市、もろもろ言っていくと10個ぐらいあるのです。その10個の中で一体どこに相談に行ったら良いのだろうかというのがありまして、私の場合は、とりあえず片っ端から行くのですけれども、そこの中で、ああこの方だったらちょっと聞いていただけるとか、この方の方向性だとやっていただけるとか、最後は人なのですけれども、その人に当たれば、今度はその人にいろいろ相談をして、また更に深掘りして行くという形なのですが、そうではない場合に、一体どこに相談に行ったら良いかというのは、非常に悩むと思いますので、是非ワンストップではなくても、何カ所か看板を掲げていただけると、非常に良いのかなと思います。 以上です。 ○渡部座長 ありがとうございます。 では、相澤委員、お願いします。 ○相澤委員 出願段階においても、大企業と中小企業の協力はあると思います。 それから、人材育成をするために、研究教育組織というものがまだ十分ではない。前から申し上げておりますけれども、政策研究大学院大学のような、きちんとした組織があって教育ができるのではないかと思います。 それから、意匠制度については、1物品1意匠という旧態依然たる制度がそのままで、中小企業にとって使い易い制度とはなっていないと思います。 また、先般改正でも、電子デザインについての保護が進んでいないので、これも進めていただきたいと思います。 中小企業とか、ベンチャーの推進のためには、効果的な権利を取り易い制度が必要であると思います。また、日本では権利が取れないが、米国では権利が取れるというような状況はなくしていかなければいけないと思います。 ○渡部座長 ありがとうございます。 他の方はいかがでしょう。よろしいでしょうか。 大体意見をいただいたかと思いますが、もしよろしければ、次のタスクフォースの方に移らせていただきますがよろしいでしょうか。 知財紛争処理タスクフォースにおける検討状況、これを事務局から御説明いただければと思います。 ○北村参事官 お手元の資料2をご覧ください。 「知財紛争処理タスクフォースの議論の整理」でございます。 こちらのタスクフォースはこれまで4回開催いたしました。知財の価値を高め、イノベーション創出の環境を強化するという観点で検討をいただいたものですけれども、主に7つの観点に分けて御議論いただきましたので、1つずつ御説明を申し上げます。 まず、1ページ目の真ん中「証拠収集手続」とございます。 こちら特許権の侵害訴訟において、証拠が原告側ではなく、被告側に偏在しているということで、立証が困難であるということで、以前、法改正を行ったりもしたのですけれども、なかなかその機能が十分機能しておらず、更なる改善の余地があるのではないかという御指摘をいただいたところでございます。 具体的には、2ページ目「意見と課題」の真ん中から下ほど「現状において」というところにありますが、証拠収集が難しい要因として指摘されたのが、@からBまであります。 その訴訟の冒頭の争点整理手続が十分に機能していない場合があるのではないかと。 Aとして、侵害の事実を立証するための手段になる文書提出命令が十分に機能していないのではないか、 Bとして、そのための秘密保持命令制度が機能していないのではないか、という御指摘がございました。 方向性としましては、4ページ目に飛びますけれども、4ページの「(3)今後の方向性」というところで、侵害行為、特にその製法特許の場合とか、証拠が相手側にございますので、そういった場合の立証に必要な証拠収集が難しい状況にあることに鑑み、欧米における手続なども参考にしながら、原告、被告間のバランスを考慮しつつ、証拠収集がより適切に行われるような手続の見直しに向けて検討を進めるべきということで、多くの委員の方々から御意見をいただいたところでございます。 次に「2.権利の安定性」ですけれども、これは特許権侵害訴訟において、権利者が訴えたときに、逆にその権利は無効であると言われてしまうという問題でございます。 こちらは平成16年の特許法改正で導入されました無効の抗弁である104条の3という規定ですけれども、こちらについての問題提起でございます。 5ページ目の方ですけれども、104条の3、導入についての評価もされる一方で、被疑侵害者側を有利にする規定ではないかとか、あと技術的な知見が求められる特許の有効性判断は、裁判所というよりは、一義的にはその特許庁が行うべきではないかという御意見が出たところでございます。 5ページ目の真ん中「(2)意見と課題」のところですけれども、方向性というか、見直すべき理由として、真ん中あたりに書いてございますが、以前は特許庁の無効審判の審理が遅かったということがありましたけれども、それが改善されているとか、あと、26年法改正で付与後異議の申立て制度が導入されたということで、この104条の3のその必然性が少し低下しているのではないかという御意見。 あと進歩性の判断においては、産業の成熟度合い等を勘案しながら行政がその進歩性のレベルを微調整すべきではないかというような御意見がございました。 方向性としましては、6ページの方にございます 6ページの上の方ですけれども、104条の3を見直す方向として、行政の判断をより尊重し易くするために、少し制限をすべきではないかということで、その判断事由、無効の抗弁の理由から、進歩性や記載要件を除外するとか、明らかな場合のみその裁判で無効にできるという要件を入れるとか、権利の有効性を推定して裁判においてその権利が倒れ難くする、こういった方向性について御意見をいただいたところでございます。 3点目「損害賠償額」ですけれども、こちら6ページ目に書いてございますが、損害賠償額が低過ぎるのではないかという問題意識の下、平成10年に特許法を改正いたしましたけれども、依然として、損害賠償額が低額なのではないかという御指摘がございました。 7ページ目の方ですけれども「(2)意見と課題」といたしまして、特許の価値を高めるために、損害賠償額を引き上げるような方策を採る必要性があるのではないかという見解を多くいただいたところでございます。方向性としましては、7ページ目の真ん中少し下に@〜Bとございますが、102条の規定の課題であるとか、寄与率という概念の課題。あと民法709条の特別規定としての性質に係る課題ということで、論点を指摘いただいたところでございます。 「(3)今後の方向性」は8ページから9ページに書いてございますけれども、原告、被告双方のバランスを考慮しながら、ビジネスの実態を反映した望ましい損害賠償額の実現に向けた方策について、検討を進めるべきという御意見をいただいたところでございます。 あと4点目「差止請求権」でございますけれども、こちら特許の保護のために非常に重要な手段であるという一方で、特に標準必須特許とか、パテントトロールの問題に関しては、その差止めについて少し考えても良いのではないかというような背景でございます。 こちら方向性については、10ページ目の真ん中あたりに書いてございます。「(3)今後の方向性」ですけれども、差止請求権の行使については、原則制限すべきではないとする一方で、標準必須特許など一定の場合には制限されるべき場合もあるということで、慎重に検討を進めるべきということで、委員の方々から御意見をいただいたところでございます。 以上、1番目から4番目が主に審理、あと制度、運用等に関わるところですが、以下「5.中小企業支援」ですけれども、こちら10ページの「(1)背景」のところにも書いてございますが、同じ侵害訴訟であっても、大企業が提起した場合に比べると、中小企業が侵害訴訟を提起すると、なかなか勝てないということがデータ上も示されてございます。 この「(2)意見と課題」、11ページ目に書いてございますけれども、問題として2点指摘されまして、1つは訴訟代理人の選択、あと2つ目が権利の取得に問題があるのではないかということでございます。 「(3)今後の方向性」ですけれども、12ページ目に書いてございますが、中小企業の権利行使と訴訟遂行を支援するため、人的リソース、どういう代理人にアクセスしたら良いか分からないというところもございますので、人的リソースとか、経費、費用の観点から必要な施策を検討すべきということでまとめてございます。 「6.情報公開・海外発信」ですけれども、こちら一定程度の情報公開は裁判所からなされておりますけれども、まだ足りないのではないかと。例えば、その訴訟期日とか審理経過等々について、もう少し情報公開があってもいいのではないかという御意見とか、あと海外発信もより強化すべきではないかということで御意見をいただいておるところでございます。 「(3)今後の方向性」につきましては、13ページ目に書いてございますけれども、情報公開・海外発信は更に拡充していくべきというところで、公開することの弊害とのバランスも考慮した上で、具体的に検討すべきということで書いてございます。 あと最後「7.地方における知財司法アクセス」ですけれども、御案内のとおり、10年前の民事訴訟法の改正によりまして、今、特許の第1審は東京地裁及び大阪地裁に侵害訴訟を集約されてございます。 これを地方の観点からどう捉えるかというところで、種々御意見をいただいたところでございます。 「(2)意見と課題」のところで、テレビ会議システム等を使った司法アクセスの向上などもあるのではないかというようなところもいただいておりまして、同様の趣旨のことを「(3)今後の方向性」のところにそのテレビ会議システム等ITの活用を使った知財の地方からのアクセスの向上ということで、方向性として示したところでございます。 事務局からは以上です。 ○渡部座長 ありがとうございました。 こちらの知財紛争処理タスクフォースの方は、相澤委員に座長を務めていただいております。 何か補足等ございましたら、お願いします。 ○相澤委員 議論の経過を説明していただきありがとうございました。 ○渡部座長 ありがとうございます。 それでは、意見交換に移りたいと存じます。 タスクフォースの委員の方の御意見が集約されていると思いますが、タスクフォースを御担当されていない委員の方から是非積極的に意見をいただければと存じます。 いかがでしょうか。 どなたでも結構でございます。 いかがでしょう。 荒井委員。 ○荒井委員 特許とか商標とかは知的財産、つまり財産ですから、財産として守られるかどうかが重要です。ちょうど先ほどの議論のときにビジネスとして意味があるかという議論がありましたが、同じ議論がここにあると思いますので、この財産として守られているかどうかということ、つまり守られなければ、何をやっても意味はないということだと思いますので、是非そういう観点から見ていただきたい。 もう一点は、その際には、やはり国際的に見ることが大事です。日本では、権利の安定性に関し、無効になることが多いとか、賠償額が非常に低いとか、そのことの結果、知財の訴訟が少ないということです。国際的なビジネスとして、うまくいっているのかということから見ると、ここに書いてあることは非常に問題が多いと思います。是非そういう観点で、今回、改正をしていただきたいと強く思います。 以上です。 ○渡部座長 ありがとうございました。 いかがでしょうか。 よろしいですか。 宮川委員、お願いします。 ○宮川委員 私も知財紛争処理タスクフォースの委員として、議論に参加させていただきましたが、資料にまとめていただきまして、ありがとうございました。 この資料については、議論の経過をまとめていただいていると思いますが、このように上手にまとめてくださいましたが、色々な問題点については、委員が全て同じ方向で議論をしていたわけではなく、やはり数量的な問題を指摘して損害賠償額が少ないということを強調される委員もいれば、私のように、もう少しきちんと数字を見るべきではないかといった委員の意見もありますし、全てここに書かれている方向で、皆が諸手を挙げて賛成意見を言ったわけではなく、非常に難しい議論をされ、このような問題点を洗い出し、更なる検討を進めていこうというところで一致したと理解しております。 以上でございます。 ○渡部座長 ありがとうございます。 長澤委員、何かありますか。 ○長澤委員 観点は大きく分けて2つあると思います。1つはどういう権利を活用させるかという、権利の質の問題が1つ。もう一つは、活用できると決めた権利でどの程度強い権利行使をさせるかということです。 タスクフォースでも申し上げましたが、このまま円安で進むと、日本は企業にとって重要な生産基地になってくるはずです。 その際の副作用及び日本の知財力が新興国の知財力より勝るという現実を考えると、権利化される特許の品質の閾値を下げ、何でも使えるようにするのには私は否定的です。 ただ一方で、閾値はある程度のレベルに保った場合には、その活用を促すことには大賛成であり、そのような権利は強い権利行使ができるようにしたいと思います。 そのため、個人的には、104条の3項の廃止については、権利の質を下げることになるため、反対です。 ただ、損害賠償や、差止請求権の中のパテントトロール等は別にして、権利行使を強くすることについては、どちらかというとポジティブに考えています。 宮川委員がおっしゃったように、色々な方が色々な意見を出されたと思うので、一方的に走らず、この国にとって何が得なのかということを考えた上で次の一歩を踏み出したいと思っています。 ありがとうございました。 以上です。 ○渡部座長 ありがとうございます。 いかがでしょう。 相澤委員、どうぞ。 ○相澤委員 改革は、いつまでも検討していると前に進みません。 それから、事件数とか、勝訴率とか損害賠償額という指標が出ています。 評価指標を何に使うかということについては、議論があるとは思いますが、指標が適切ではないというご意見を出されるならば、それに代えてどのような指標を使ったら適切なのかということを提示していただかないと、議論にならないのではないかと思います。 仮に、日本、ドイツ、アメリカで侵害が起こっているという場合に、企業はどこで訴訟することを考えるのだろうかということを考えてみる必要があると思います。その場合に、何らかの指標を基準に決定をしていると考えられます。そうすると、損害賠償がいくら取れて、どのぐらい勝てるのだろうかということは、当然、企業行動の指標になっていると考えられます。 他の基準で企業が決めているというならば、指標になるものがあれば出していただければ、議論ができると思います。 数字を指標とするのは反対だというだけは、どのように議論をすれば良いのかということになると思います。例えば、GDPの計算の仕方は問題があるとしても、GDPがマイナスになれば、大きな問題だと認識されます。 したがいまして、必ずしも、コンセンサスではないと思いますが、議論を進める上での課題があると理解しています。 ○渡部座長 議論の整理というペーパーでございますが、以上のようなことかと思いますが、他の方、いかがでしょうか。 奥山委員、どうぞ。 ○奥山委員 取りまとめありがとうございます。 色々な意味で議論が非常に深まって、私の個人的理解も非常に深まったということで感謝しておりますが、これまでの知的財産戦略本部の動きと重ね合わせてみても、やはり、知財紛争処理の局面にまた議論が入ってきたということは、非常に重要なことだと思っております。 ここで、やはり何かを変える、それはもちろん良い方向に変えていかなければいけないということが極めて大事だと思っています。 その他の特に権利取得の部分では、色々な改革、それから特許庁の努力もあって、非常に進んできたと思うのですが、それを実のあるものにするのは、やはり知財紛争処理をどうするかということに尽きてしまいますので、非常に重要な局面にあって、これを是非とも強力に推し進めていただきたいと思っております。 以上です。 ○渡部座長 ありがとうございます。 よろしいでしょうか。 タスクフォースを2つやらせていただいて、これは知財戦略計画の中の重要トピックとしてどうまとめていくかということでございますが、2件については、引き続きその辺検討するということで、今回、検証・評価・企画委員会では、産業財産権分野を取り扱う会合、今まで合同会議を含めて4回開催しまして、今回、御紹介したタスクフォースにおける議論以外にも、様々な分野について御議論いただいております。 本日は、これまで議論していない分野で、重要と考えられる事項につきましても、各省から説明をいただき、この後、御議論をいただきたいと存じておりますが、そちらの方に進めさせていただきたいと存じます。 まず、最初ですけれども「特許審査体制の整備・強化」ということについて、特許庁から説明をお願いしたいと思います。 よろしくお願いいたします。 ○澤井課長 ただいま御紹介に預かりました特許庁調整課の澤井といいます。 どうぞよろしくお願いいたします。 昨年の3月に特許庁の迅速性目標である長期的な10年目標が実現できたところでございますが、その後、どこに特許庁が向いていくのかということにつきまして、簡単に紹介してほしいということを事務局からいただきましたので、簡単な資料を用意してまいりました。 まず、私たちが進めようとしていることは3つでございます。 1つ目は、昨年3月に実現しましたこの迅速性をさらにこれを堅持しつつ進めていく。 2つ目は、質の高い特許権を設定していく、すなわち安定的でそして可能な限り広く、また内外において役に立つ「強く・広く・役に立つ特許権」を設定していきたいと考えております。 また、3つ目といたしましては、海外特許庁との連携・協力を強化して、一層のグローバル化に備えていきたい。 特に、我が国の企業が海外で予見性を持って権利を取得できるように、そのような環境を整えていきたいと考えております。 まず、第1点の迅速性でございますが、これまで着手の時期を目標としておりましたけれども、最終的には権利の付与の時期、これをしっかりと目標にして、さらに前に進めていきたいと思っております。 加えまして、特に急ぐ必要のある、そういうニーズが強いものにつきましては、ここに書いてありますように、早期審査というものを、今、充実させております。 実施を予定している。あるいは外国に出そうとしている、また中小・個人、大学の出願、あるいはグリーン出願あるいは震災関連、いずれの条件でありましても、早期審査を受けつけるようにしております。 現在、この早期審査を受け付けたものにつきましては、平均2カ月でファーストアクションをしております。 また、実施予定でかつ海外にも出すつもりだというものをスーパー早期審査として行っておりまして、これが23日で現在着手しているところでございます。 なお、早期審査の申請費用でございますが、我が国は無料にさせていただいております。 一方、アメリカではAIAが成立いたしまして、現在、これは4,000ドル、約50万円、また韓国におきましても、それに比べるとはるかに低廉とは言いましても20万ウォンを取っていると聞いております。現在、1万7,000件、この右の下のグラフに書いてありますように、早期審査の申請は大きな伸びを示しているところでございます。 次に、クオリティー、品質でございます。 先ほども申し上げましたように「強く・広く・役に立つ特許権」、これを設定するために、種々の施策を行っているところでございます。 特に、この3つ目のビュレットに書いてありますように、品質管理体制の充実や品質管理の充実等々を行っておりますが、ユーザーニーズをしっかりと踏まえた上での特許審査を実施していこうということで、ここ数年、右真ん中ぐらいの円グラフと少しグラデーションのかかったグラフがあるかと思いますが、これはユーザーの皆様、約700者の方々にユーザーアンケートを行った結果でございます。 最終回収率が9割を超すという、ユーザーの方々からも非常に高い関心を持っていただいている調査でございます。 円グラフに書いてありますように、普通以上の評価は9割を超すということで、一定の評価を受けておりますが、個々の個別の観点につきまして、詳しく聞いてみますと、これは横軸に評価、5段階の評価の平均値をそれぞれ色々な観点でつけていただきましたが、3.0にも満たない、ちょうど普通よりも下というものが「バラツキのない審査」、あるいは「外国特許文献の調査」、こうしたものがちょうど3.0あるいはそれよりちょっと低いというところでございますので、こうしたことに対しても、日々の協議の充実やあるいは決裁、監査の充実、また外国特許文献調査の充実などを通じ、進めております。 また、ユーザーニーズを踏まえた特許審査、これにも力を注いでいるところでございます。 最後に、国際化でございます。我が国特許庁、日本が2005年に提唱してまだ10年しかたっておりませんが、特許審査ハイウェイ、これが大変多くの国々に評価を受けておりまして、この4月の段階で34カ国にまで参加国が増えております。各国の主権を尊重しつつ、ダブルチェックができるという意味で、品質政策としても評価をされているところでございます。 また、日米との間の審査協力、これをさらに深化していきたいと。先ほどのPPHでもありましたように、日米で進めたことは広く世界からも評価されています。このため、現在、日米での協働調査、またISAの管轄をアメリカにも広げるというような日米での審査協力の強化も進めているところでございます。 加えて6ページ目でございますが、日本の審査官を諸外国に派遣し、日本の考え方あるいは日本の制度あるいは日本の審査基準、こうしたものを理解してもらい、日本の企業の方々が諸外国で予見性を持って権利を取得できるような、そうした環境づくりにも努めているところでございます。 先ほど申し上げましたように、迅速性並びに質、そして国際化、この3点を一層進めていきたいと思っております。 以上でございます。 ○渡部座長 ありがとうございました。御意見等は後でまとめていただきます。 次に「国際標準化・認証への取組」について、経産省からご説明いただければと思います。 ○佐藤課長 基準認証政策課の佐藤と申します。 よろしくお願いいたします。 今日は資料4とパンフレットも用意させていただきましたので、こちらにつきましても御紹介させて頂きたいと思います。 結論を申し上げますと、パンフレットに書いてありますとおり「標準化をビジネスツールに」ということで、私どもは是非標準化活動をビジネスにつなげていただきたいということで活動をしております。このパンフレットは事例集で、日本商工会議所と一緒に作らせていただき、現在、2万数千部全国に配布してきております。 資料4で、標準化について、最近の動き、事例を2つほど御紹介させていただきます。1ページですが、真ん中の大成プラスは中小企業で、プラスチックと金属の接合技術を開発されたのですが、企業に売り込みに行くと、品質の保証ができないということで、大変苦労をされました。 そこで、その評価の方法、試験の方法を標準化し、国際標準を取ることによって、国際標準に則った評価ができ、品質保証ができるようになり、ビジネスに成功されて、ここにありますとおり、ソニーの製品などにも採用されているということです。右の根本特殊化学は、夜光塗料の開発をされ、この塗料自体は自らのノウハウ、技術でありますが、それを際立たせるような評価方法、試験方法が国際標準に採用されて、これによって、非常にビジネスがし易くなった。そして、この時計メーカーなどでは、夜光時計のシェアを非常に高く取られているという状況です。結論を申し上げると、知財あるいは技術ノウハウを際立たせるような標準化活動というものも併せて行うことによって、それが正にビジネスにつながっていくことになるということです。 先ほどから御議論いただいておりますとおり、知財戦略それから標準化戦略そして研究開発戦略は、これは事業戦略と極めて一体的であるということについて2ページの図で示させていただいており、これらを総合的に考えた上で、それぞれのパートをしっかり進めていくことが大事ではないかということです。標準化の部分については、左側に書いてありますとおり、官民で一緒にいくつかのことを取り組んできております。 3ページ以降が、その取組項目です。先ほど申し上げたような個別の標準は今まではなかなかできませんでしたが、個別の企業あるいは中小企業それから複数の業界にまたがるような分野についても標準化を進めていこうということで、先ほどありましたとおり、新市場創造型標準化制度を昨年から導入しております。 約1年間PRをさせていただいたところ、現在、相談件数が30〜40件となっており、これまで手づくりでPRをしていますが、それでもそれだけのものが拾い上げられているということで、これから更に組織的に標準化の案件発掘を行っていくことが必要ということで、課題として最後の方で書かせて頂いております。 そして、資料にもありますとおり、これまで業界団体で作っていたものを企業、グループが規格協会のサポートなどを得て、早ければ2、3カ月から1年ぐらいで国際提案をできるような、そんな形に持って行きたいと考えております。 4ページで、その相談体制として、現在、日本規格協会で総合的な相談を受け付けているということを御紹介させて頂いております。また、5ページにつきましては、民間企業の方々にも、こういった取組を総合的に行っていくことをお願いしてきており、私どもは標準の切り口から、Chief Standardization Officerというものを作られたらいかがかということを申し上げ、書いてありますとおり、現在、60社程度から、こういった知財と標準と研究開発、それから事業戦略を総合的にお考えいただくような方々を登録していただいているところです。 6ページにつきまして、こういった活動をやるに当たっては、やはり人材の育成が非常に重要であるのは、知財分野と全く同様で、大学等での教育、それから企業の人材の教育、それから業界ごとの教育というものをお願い、あるいは私どもがやっているところです。7ページから9ページが今日の課題と問題提起で、地域の技術を標準化を使って、出口につなげていくにあたって、組織的にどのように支援していくかが非常に大きな課題であり、それから先ほども御議論がありましたが、地域での掘り起こしをするに当たっては、標準化を担う人材とともに、ビジネスを計画してアドバイスできるような人材をどうやって育てていくかということが、同じく課題になっているところです。 8ページですが、その一案として地域の産業支援機関などをうまく使うということが重要と考えており、ここに対して、例えば日本規格協会や経産省がきちんとした研修などをやらせていただいて、一定の知識を付与した上で、実際には具体の案件の標準化については規格協会、経産省でしっかりと取り組んでいくという仕組みを構築して実施していきたいと考えているところです。実際にKPIも入れておりまして、できれば2020年までに100件ぐらいをこういった制度で取り組んでいきたいと考えております。 9ページは人材育成ですが、これまでの取り組みについて、さらに拡大して取り組んでいきたいと考えておりますとの間で委託契約書を交わします。 図の真ん中のところに青い矢印が通っていると思いますけれども、プロジェクト期間中及びプロジェクト終了後も含めまして、知財運営委員会を設置しまして、プロジェクトの目的に沿った知的財産マネジメントを行っていただきます。 最後に、6ページでございますが、ガイドラインの構成を示しております。皆様には別添を付けてございますけれども、説明しました内容を文章化しまして、本ガイドラインに適用した場合の後、各種の書類について、作成及び解説を行ってございます。 説明は以上でございます。 ○渡部座長 ありがとうございました。 それでは、最後に「模倣品・海賊版対策」につきまして、経済産業省及び農林水産省から説明をお願いしております。 まず、経済産業省からお願いいたします。 ○鈴木室長 経済産業省模倣品対策の鈴木でございます。 資料6に基づきまして、現状及び今後の方針について御説明をさせていただきます。 めくっていただきまして、2ページでございます。 私どもの方は、経済産業省の模倣品対策室と同時に、政府の総合対策窓口をしております。そこに寄せられたいわゆる相談案件、左下の図でございますけれども、2014年には過去最高の302件、黄色い部分でございますけれども、これが相談件数でございます。 残りの部分は、いわゆる消費者からの一般情報提供ということで、警察庁や関税局、権利者団体やプラットフォーム事業者の方に情報提供させていただいたというものでございます。 その中で、最近は権利者が大半の144件を示しておりますけれども、実は警察とか、消費生活センター、弁護士からの御相談というものも増えているという状況でございます。 中身につきましては、(2)でございますけれども、やはり商標権に関するものが最も多い状況で、特に著作権、不正競争に関する相談も近年、増加しているということ。 それから(3)でございますけれども、やはり中国、香港を含んでおりますけれども、やはりそこを発生地とする問題が多いということでございます。 また、最近は、インターネット取引に関する相談件数が増えておりまして、特にオークションそれから通信販売サイトです。いわゆるプラットフォームを中心とした問題提起というものが多くなっております。 こうした状況を踏まえまして、私どもは中国政府等に働き掛けを行っているわけですけれども、実は、私ども経済産業省としましては、商務部と覚書を結んで政策対話というものを設けておりますけれども、ここ3年半、なかなか開催されなかったのですけれども、この5月に3年半ぶりに開催するということで、経済産業省及び中国の商務部を窓口にしまして、関係機関による対応を再開するということでございます。 こうした背景で、具体的に中国に対してどのような働き掛けをしていくかということでございますけれども、中国はやはり模倣対策についてもそれなりの取組をしております。制度的には、かなりの制度、むしろ例えばインターネット取引については、日本はいわゆる行政罰がございませんけれども、許認可ということで、いわゆる行政摘発はできる仕組みを持っております。 したがって、正にそういったところで強みがあって、取締りが行われるわけなのですけれども、やはりそういったものは地方レベルの執行がうまくいかないといったような問題がありますので、そういった地方レベルの問題解決に力を注ぐような形で要請をしていきたいと考えております。 具体的には、いわゆる政策あれば対策ありというのが中国でよく言われますけれども、罰則はあっても、罰金が少ないために、利益を上回るということで、再犯がなかなか収まらない。それで、厳しいところから、厳しくないところに逃げてしまうということで、中国は数字的には右肩上がりで摘発が行われております。逆に言えばそれだけ減らないということです。 したがって、数字に満足しているような中国ですので、そうではないというところを力説しながら、自治体のエンフォースメントを強化していくということを行っていきたいと考えております。 また、中国の製品が第三国、日本にもそうですけれども、第三国に流れて被害を及ぼすという傾向が強い状況がございます。 したがいまして、対策としては、これまでの中国対策に加えて、例えばASEANあるいは貿易の中継地である中東等の税関職員等に対するエンフォースメント強化についてのセミナーを開催する。あるいは、そういった職員を招聘してキャパビルを行うというような点について力を注いでいきたいと考えております。 以上でございます。 ○渡部座長 ありがとうございます。 続いて、農水省の方からお願いします。 ○都築課長補佐 農林水産省でございます。 資料7を使って、農林水産省が行っている模倣品対策等について御説明いたします。 まず、1ページを御覧ください。 「農林水産・食品知的財産保護コンソーシアムの取組」でございます。 真ん中ほどにある緑色の丸の中です。主に都道府県ですとか農業団体、こういったものをメンバーといたしますコンソーシアムを組織しておりまして、これに対して事務局から中国等における地名が商標登録されてしまう問題に対する商標の監視、地方のセミナー、海外現地調査、国別に担当者を設置して相談に対応するといった取組を行っております。 これによって、日本のブランドの海外展開を応援していきたいということを行っております。 続いて2つ目の取組、2ページでございます。 「地理的表示の保護制度」これは今度6月1日から施行される新しい法律でございます。 地理的表示とは、農林水産物・食品等の名称であって、その名称から当該産品の産地を特定できて、産品の品質などの確立した特性がある地域と結び付いている、そういった場合にその名称を登録することによって、不正な使用から防止するというものでございます。 特徴は、行政が不正使用を取り締まるといったところ、それから産品の品質に国が「お墨付き」を与えるといったところでございます。 この地理的表示のときに併せて2ページの右側のところにございます。日の丸と富士山が重なったようなマークがございますけれども、これは地理的表示マークというものを必ず登録産品に張り付けるというルールになってございます。 このマークは、国内はもとより、主要な輸出先国においても商標登録を行いました。このマークを活用して、不正な地理的表示産品の出回りを防ぎたいと思っております。 3ページ、地理的表示法の概要でございます。 ポイントは、黄色い四角の中の下の方に「不正使用」それから「地理的表示の不正使用を知った者」というものがあります。不正使用があった場合には、誰でも農林水産大臣に通告をすることができると。これを受けましたら、農林水産省が不正使用の調査に入るという仕組みになっております。 最後に4ページ、農林水産分野の重要な知的財産でございます。 植物の品種の保護について。日本国内では大体守られているのですけれども、周辺国、日中韓それからASEAN、この13カ国の中では、植物の品種制度、まだ整備されていない国もございます。 こういった国で品種保護制度がしっかりと整備されるよう、それから運用が徹底されるようにということで、平成20年から東アジア植物品種保護フォーラムというものを日本のイニシアチブによって設立をして、活動を続けております。事業の内容といたしましては、技術者の訓練、それから政策の意思決定ができる局長クラス以上への啓発活動、こういったものを行っております。 今年は韓国で7月に開催する予定でございます。 以上です。 ○渡部座長 ありがとうございました。 ただいま、各省から説明をいただきましたが、これらの事項につきまして、委員の皆様から御意見をいただければと思います。 どなたからでも結構でございますが、いかがでしょう。 山本委員、お願いします。 ○山本委員 日本版バイ・ドール制度の運用見直しで、委託研究開発における知的財産マネジメントに関する運用ガイドラインについてなのですが、例えば、NEDOのプロジェクトで実際にあったのが、革新的新構造材料等研究開発なのですが、委託者が組合で、大学が委託者から再委託を受けた場合に、どんなことが起こっているかというと、バックグラウンドIP、つまりプロジェクト以前から大学が持っている特許に関しては、そのプロジェクトの目的期間は試験研究開発のために自由で無償で使わせてほしいと提示される。また、フォアグラウンドIPで、そこの再委託でできたもので、大学が単独でできたものも、低額、実際は大学規定の補償金相当額で譲渡することが義務づけられるみたいなことが提示されていたりします。 実際、このガイドライン自体はしっかり話し合ってくださいということになっているのですが、これだと、大学が特許をとるメリットは全然ないわけですよ。大学が出願費用、維持費用を払って、それよりもはるかにお金にならない金額でただ同然で譲渡しないといけない話になるということ自体が、実際のガイドラインと運用という部分です。こういうことが起こっているということで、8大学の産学連携本部長会議というものがありますが、ここでもこれは実質の大学の知的財産マネジメントを弱体化させるということで問題視されております。 なので、こういったことが現場で起こっているというのは少し御理解いただきたい。 それで、どうするかというのを考えていただきたいというのが1点と、そもそもバイ・ドールがうまく活用されていない原因は、やはりこういったファンディングが護送船団方式なのです。1個の目的で同業他社がいっぱい集まってやってくださいと。競合が集まったところで、やはり本当にやりたいことなど言わない。やはり表面的に自社でやるのはちょっとどうかと思います。自社のお金を使ってまで開発するのはどうかというのをやってくれるのであれば乗ろうということでやるという話が一番の根本的問題で、同業他社がいたら、本当にやりたいことはやれないので、国のお金の使い方ということで議論はあろうかと思いますが、1社と例えば1大学、あるいは1社と複数大学でもいいと思います。大学や研究機関は自ら実施しないので、そこで本当にその会社がやりたいことに対してお金を出していくことになれば、もっと実効性は上がると思っております。 3点目は、そのバイ・ドールが続きますが、3点目は大学がバイ・ドールで知的財産を得た場合は、反論はあろうかと思いますが、独占権を海外の企業にライセンスをするときにはやはりそこで了解を得ないといけないというのがありますが、本当にオープンイノベーションを促進するという観点で考えたら、それは一定期間、例えば5年なら5年と決めて、どんどん自由にライセンスをさせるということを行えば良いと思います。うかうかしていたら海外にいい技術が行ってしまうということで、本当の意味で日本の企業も積極的にオープンイノベーションに取り組もうという機運ができるのではないかと思っておりますので、その点も御検討いただければと思っています。 以上です。 ○渡部座長 ありがとうございます。 いかがでしょうか。 どのトピックスでも結構でございます。 妹尾委員、お願いします。 ○妹尾委員 何点かあります。 1つは、今、山本委員が御発言されたバイ・ドール法のガイドラインなのですけれども、どう読んで良いのかよく分からない。確かに知財委員会を事前にセットしてやるのは良いのだけれども、その結果になると、その委員会でどういう結果になるか分からない。つまり、完全なる後出しじゃんけんではないけれども、後から後出しじゃんけん的になるリスクは非常にあるものだと思います。 それがこういう形で出てくるのが良いのかという懸念の声を随分聞きます。なので、そこのところはどうなのか。 いやいやこれはガイドラインですというお話は確かにありますが、ガイドラインというものは基本的に法律ではないけれども、法律に基づく指針、方針を確認するようなものです。なので、やはりこれがガイドラインだと言いながら、ガイドラインを遵守することがNEDOやその他では自己目的化することになります。 そうすると、逆に参加する企業を縛りかねないという懸念があるので、そこのところをどうやるのだと。そこは運用だと言われるのだけれども、運用自身についてのガイドラインの話になっていってしまうので、ここのところをどう見るかというのが極めて重要だと思います。 それからもう一つ、よく企業の方々に伺うと、これの報告義務がこんなにたくさん何年も後々まで続くのは現実的だろうかというこの話です。 企業に入ってほしいと言いながら、企業の負担を非常に強いるような部分があるので、そこのところの配慮はやはり必要なのではないかという点があります。 渡部座長、他のものについて発言してもよろしいのですか。 ○渡部座長 どうぞ。 ○妹尾委員 では、続けて発言させていただきます。 国際標準化の取組です。私は大変進んだと思っており、以前、この知財戦略本部で国際標準化戦略タスクフォースを何年もやっていたときに比べると、随分動いたと思います。これは大変良い動きだなと思って感心をしております。 ただ、やはり国際標準化と知財が別だというこの観点を少し修正したらどうかと思います。 知的財産を公知化するのか、権利化するのか、秘匿化するのか、あるいは標準化するのかというのが知財マネジメントの基本ですから、権利があるところの話と標準化というのは実は分けて語るということはできません。 ところが、今、秘匿については営業秘密で経産省のあるところでやっている。標準化については、経産省のあるところでやっている。権利化については特許庁がやっているというこのバラバラをどうやって整理するのかというところがあります。それがこの内閣官房の知財戦略本部の仕事だろうとは思いますけれども、どうしても縦割りのところがあるので、いかにすり合わせるか、この次の段階は是非入っていただきたいと思います。 標準化というのは、特にテクノロジーシェアードのようなことをやるわけですから、オープン&クローズのときには、オープンだと見られがちですが、実はこれは逆に標準によって別のやり方をやることもある。標準化は参入促進のように一見見えて、参入障壁にもなりうる。特に基準認証はそうなります。 だから、そこをよく周知しないと、標準化を中小企業の人たちにやろうというとき、下手すると技術情報のだだ漏れ状況を起こすとか、あるいはそれで妙なものまで標準化してしまうので、かえってリスクになるとかがあるので、そこの啓発には是非全体像を示しながらやっていただくことが良いかと思います。 それで、1点だけちょっと懸念を申し上げますと、先ほど佐藤課長がご発言されたことを非常に私は力強く受けとっているのですが、100件を目標にするとおっしゃっいました。ああまずいな、また件数目標が立ったと。これは特許何件という目標を出すがゆえに、日本の技術がだだ漏れを起こしたということがあるわけで、やはり件数というものは下手をすると自己目的化しがちなので、標準についても、100件目標と言った途端に何でもかんでも標準にすれば良いという話になりかねないので、そこのところは十分御注意をいただければと思います。 以上です。 ○渡部座長 ありがとうございました。 荒井委員、お願いします。 ○荒井委員 特許審査の品質は、非常に大事な点だと思います。これが最初の方のテーマにありました紛争処理システムの基本になっています。質の良い特許になっていれば、現在のように裁判所で多くの特許が無効になったりすることがないわけです。特許庁が品質向上することは大事です。 しかし、特許にするのは、発明をした出願人、代理人の弁理士、審査をする特許庁の三者の共同作業です。この3者が共同で品質を向上するのだと発想を変えたら良いと思います。 出願人の方には、色々良い出願をしてくださいということで、その会社ごとの合格率を発表しています。 弁理士についても出願の成績を発表したら良いと思います。今回、弁理士法の改正がなされ使命条項が入ったわけですので、一層良い出願代理人になって頂くよう努力をして頂くし、それを社会的に評価をしたら良いと思います。良い出願書類を出してくれれば、特許庁も無駄な審査をしなくて済みます。 特許庁の審査基準ももっと分かりやすくする。出願人と弁理士が立派な内容の出願にする。三者が共同で品質向上運動をすることが必要だと思います。 ○渡部座長 ありがとうございます。 いかがでしょうか。 では、長澤委員。 ○長澤委員 二点発言させていただきます。 一点目は模倣品についてです。弊社の模倣品も今はほとんどインターネットを介して売られているため、昔のように、どこかのウエアハウスに行き、クリミナルアクションをとって一網打尽、ということがほぼできなくなってきております。 彼らは、模倣品を郵便で送っています。その郵便の注文はインターネットを介して行われておりますが、ブローカーはどんどんクレバーになっており、パッケージと本体を別々の手段で同じ場所に送り、そこで模倣品を完成させる手法をとり、本体は商標侵害品ではなくパッケージは郵送することで税関で止められるリスクを低くしています。 例えば、本体に弊社のロゴがついてない場合は、模倣品とは言えません。また、意匠で押さえようとしても非常に難しい。そのため、パッケージとロゴがついていない本体を分けて送り、消費地で家内産業のようにパッケージングすることで模倣品を完成させ、そこから注文者に郵便で送られるという、非常に権利活用が難しい仕組みになっています。 その模倣品の活動費については、我々も毎年何億円か予算化し、絶え間なく活動しておりますが、以前中国の弁護士と話をした際に、インターネットにおけるルールについては中国の方が進んでいるような印象を持ちました。私の勉強不足で間違っていたら申しわけないのですが、是非日本においても、例えばインターネットサイトに偽物が出た場合のルールを作る等、中国等他の国の良いところを模倣して取り入れていただけたらと思います。 また、特許庁様は、迅速と質と海外という観点を挙げておられますが、先ほどの紛争処理の話からしても、「質」というものが非常に大事だと思っております。審査スピードを早くしていただいたのは非常にありがたいのですが、審査品質管理小委員会にて挙げられた品質管理体制を是非品質管理官の抜き取り審査だけではなくて、実際の審査の過程においても管理職のチェック体制を強化できるようにしていただきたいと思います。 また、質の高い審査を実現するためには、今の審査官の人数では少ないのではという心配もございます。少々お金がかかってでも、審査官の数の面でも充実させていただければいいのではないかと個人的には思います。 また、PPHに関しましては、日本で登録になった件をPPHでアメリカに出願しても、約65%が拒絶されてしまっている状況です。アメリカの代理人に聞いてみますと、意地がある等の理由で拒絶しているようですが、これは是非日米で共同していただいている中で、徐々に理解を合わせていただき、PPHに関しては、日本で登録になった件は、アメリカに出願した際も、余程のミスがない限り直ぐに権利化できるようにしていただければありがたいと思います。 以上です。 ○渡部座長 ありがとうございます。 他の方はいかがでしょうか。 妹尾先生、どうぞ。 ○妹尾委員 今、長澤委員が模倣対策を模倣しようとおっしゃったので、大変おもしろいなと思いました。その状況になったということは私には感慨深く、5年前にたしか特許庁に頼まれて、北京で大議論をやった記憶があります。そのときには、中国は「国内法を取り締まれないので、こういうものは…」ということで、私が漢字を書いて「一国遵法他国脱法」と書いたら、向こうは理解してくれました。要するに知財のオフショアロンダリングではないかと申し上げて、それは今からお互いに手を打とうよと言ったのだけれども、中国側から我々は法治国家だから駄目だと言われてしまいました。「ほうち」の字が違うのではないかと言ったら、通訳の人に先生はお国へお帰りになりたいですよねと言われたので、吃驚して帰ってきたという記憶があります。あれから5年ですごく進んだのだなということがあります。ただ、やはりこれは第三国を使うもの、一種のオフショアロンダリングの形なので、そこへどういう網を張るかとこれは大変なお仕事だと思います。これは極めて重要になってくる。ただし、中国ももう模倣国ではなくて、いわば模倣される側に入りつつあるので、そういうところはどこかで協調しながら、競争と協調をするようなことを進めていただければ良いなと思いました。これは是非応援すべきことなので、頑張っていただきたいと思います。 ○渡部座長 他の方はいかがでしょうか。 相澤委員、どうぞ。 ○相澤委員 バイ・ドールですが、ガイドラインに、妹尾委員の御指摘のように、かえって、うまくいかないという面があるとすれば、何のために作ったのか分からないので、円滑に進むようにしていただきたいと思います。 ただ、山本委員がご指摘の海外へのライセンスについては、日本政府の予算が使われているとすると、日本の予算を使ったものを海外企業に移転することについては、説明が必要だろうと思います。 それから、標準戦略につきましては、標準に関連した特許権により、製品を差別化することがないと、収益に繋がりません。何のために標準化をやっているのか分からなくならないようにしていただきたいと思います。 それから模倣品対策ですが、今は中国が圧倒的に多いようでありますが、今後、発展途上国が経済発展をしてくると、模倣品の輸出国が広がって行くということもありえますので、EPAとFTAを用いて。通商政策で模倣品を防いでいくことも、今後、考えていかなければいけないと思います。 それから、インターネットと模倣品については、モノの流通が良くなったので、模倣品の流通も良くなっているという状況かと思います。これは地道な努力を続けていかなければいけないと思います。物品の円滑な流通にも関係しますので、税関当局は一生懸命やっていますが、効果的な摘発も検討しなければならないと思います。 地理的表示については、これから、農水省が不正な地理的表示のものを取り締まって国民の理解を得るか、消費者が日本の地理的表示は信頼できるという体制ができないと、農業の発展につながりません。例えば、フランスで、ICAOという組織をつくって一生懸命やって、国民が信頼をして物を買うという状況を形成しようとしています。日本の農林水産業の今後の発展にかかわりますので、充分な措置をお願いします。 ○渡部座長 ありがとうございます。 宮川委員、どうぞ。 ○宮川委員 模倣品・海賊版対策について申し上げます。 先日、コンテンツ系の委員会のときにも模倣品、海賊版対策の色々なプレゼンテーションがありましたし、今回は知的財産侵害部分に対する対策と理解しておりますが、こちらのいただいた資料6の2ページにありますように、やはり長澤委員、それから妹尾委員、相澤先生も御指摘いただいたように、インターネットという取引手段によって模倣品・海賊版が拡散している時代になりますと、もちろん税関の方に入ってくるのもパッケージが小さくて、小口の取引で来ますので、対応が大変だと思いますし、権利者の方もインターネットをキーワードあるいは特別なサーチエンジンで検索して、自社の侵害品が販売されているサイトを探す、それからオークションも探すという、非常に手間と費用と労力が必要なサーチを行って、それらに対策をとっているということで、非常に御苦労されている様子を私も間近で見ております。 そういう意味では、中国の模倣品対策が進んでいるのであろうという話ですが、色々な対応も考えられますが、そのような悪質な侵害品だけを売っているような、全面的に汚染されているようなサイトは、著作権侵害物品、海賊版あるいは模倣品というものだけを売っているということで、そのサイト自体、アクセスをブロックできるような、そんな方策も外国では実施された例を知っているのですが、そのような対応については、経産省だけではなく、総務省その他関係各省もかかわる問題になってきてしまうと思いますが、インターネット時代の模倣品・海賊版対策ということで、色々な手段を御検討いただけたらと思っております。 以上です。 ○渡部座長 ありがとうございます。 いかがでしょう。 参考人の方も含めて何かあれば。 よろしいですか。 では、杉村委員、どうぞ。 ○杉村委員 特許庁の澤井課長から御説明いただきました世界最速・最高品質の特許審査についてですが、以前と比べますと、早く審査が行われていることについては感謝しております。ご説明いただきましたペーパーの中の「強く役に立つ特許権を生み出す」についてですが、「役に立つ特許権」といいますのは、企業側から見ますと、その企業の事業に合致しサポートとなる特許権だと思います。 その意味におきまして、早く権利化をしてほしいという一方で、基礎的な研究につきましては、事業化まで若干時間がかかりますので、自己の事業の見通しがついてそれに合致したような特許権を創出できるような制度があった方が、「役に立つ強い特許権」が生まれるのではないかと思っております。審査を最速にする一方で、韓国のような一定期間、審査を遅らせるような制度の導入等も検討していただければと思っております。 また、最終的に「強い特許権」を生み出すという方向性を考えたときに、今の補正、訂正の要件の緩和等も御検討いただけると助かると思いますので、よろしくお願いします。 それから、模倣品の対策でございますが、特に、中小企業にとりましては、中国は大きな市場である一方、模倣品が出回りますと、企業の存続にも関わる事態になってしまいます。中小企業が率先して模倣品の対策について、中国に訴えることはできませんので、官が主導して積極的な模倣品対策を先導していっていただければと思います。 特に、模倣品は中国ではなくて、例えば、アジアの新興国、ベトナム、それから中東、こういうところにも多く発生しております。 この中で、先ほども御説明がございましたように、エンフォースメントというものも重要でございます。アジアの新興国が、我が国の権利行使のあり方、紛争処理制度や考え方について、これらのアジア新興国で導入していただけるような点も一緒に含めて検討すべきではないかと思っております。 企業は原告だけではなくて、被告という両方の立場になりますので、両者のバランスを考えて日本の知財紛争処理のシステムを更に検討し、これがグローバルスタンダードとなるような観点で検討していっていただければと思っております。 最後になりますが、先ほど、本日は特許庁、経済産業省、それから農林水産省の方に色々御説明をいただきました。 実は2月27日に総務省から携帯電話に関するリサイクルについて新しい政令が出ております。リサイクルと知的財産権の権利行使との関係は複雑でございます。今日、この場にいらっしゃった省庁以外の省庁とも、今後、連携をとっていただいて、知的財産権の面で擦り合わせをしていっていただければと思いますので、よろしくお願いします。 ○渡部座長 ありがとうございました。 相澤先生が手を挙げていらっしゃいます。どうぞ。 ○相澤委員 模倣品のところを補足させていただきますと、2つの法律上の問題があります。1つは個人輸入が、法律上は輸入差止対象にならないということです。もう一つは、並行輸入が認められているので、模倣品と並行輸入品が混ざってやってくるという問題です。 それから、有効な権利の取得については、補正や訂正に加えて、それから分割出願も課題です。有効な権利の取得という面で、現行法の在り方を検討していただきたいと思います。 ○渡部座長 妹尾委員、どうぞ。 ○妹尾委員 農水省の地理的表示、これは素晴らしい話だと思うのですけれども、是非お願いしたいことがあります。もう考えてはいらっしゃると思いますが、地理的表示と地域団体商標をどう組み合わせたときに良いのかとか、どう使い分けると良いのかとか、これは実際の地域の方々は分かり難いので、どうすればこれが相互補完関係になる、あるいはどうすれば相乗関係になる、どうすれば下手すると相殺関係になってしまう、というところを是非ガイド、ガイドラインというとまた先ほどのガイドライン化という問題になってしまうのだけれども、ガイドかマニュアルか、案内みたいなものを整備していただくと良いなと。 これはおそらく消費者庁が今度、機能性表示を出し始めているので、それとも絡んで、多分、地域ブランドを作るときの大きな力になるだろうと思います。 その意味で、地域ブランドを攻めに使うのと、それと地域ブランド自体を守るということを大胆にやっていただきたいなという気がします。 それで、これと関連するのですが、地方における知財活用の中身が、基本的に工業的なものばかりだったのですけれども、地域創生でやはり大きいのは、地域の地場の農産品と食産業です。 ですので、農産品、食産業が、地理的表示だとか、地域商標だとか、あるいは機能性表示だとか、あるいは全体のブランド力とかを活用して進行されるというところを先ほどの地方における知財活用の中にも、是非一言加えて、農林水産省を応援して差し上げたらという感じがします。 是非頑張ってほしいところです。 以上です。 ○渡部座長 ありがとうございます。 前半を含めてタスクフォースの方で言い忘れたことも含めて、全体を通じて何か言い残されたことがあれば。 よろしいですか。 参考人の方も御意見よろしいですか。 色々御意見いただきました。今日御発表いただきました各省庁の施策についても御意見いただきましたので、ちょっとコメントいただければと思いますが、特許庁からいかがですか。 ○澤井課長 どうもありがとうございます。 また、多くのコメントをいただきありがとうございます。 まず、荒井委員からございました出願人、代理人、特許庁審査官、しっかりと共同してというお言葉、御指摘のとおりと存じます。 私たち実は先ほどお示ししました資料の3ページ目でございますが「事業戦略対応まとめ審査」というものを、今、進めております。これが正に荒井委員からいただいた御指摘に全てが答えられているものではありませんけれども、近いものかと思っています。 少し簡単に御紹介させていただきますが、例えば、ここに書いてある電気自動車、ここにはモーターであったり、電池であったり、あるいは製造技術であったり、制御装置であったり、種々の技術が包含されているものでございます。また、場合によってはデザインやロゴ、そういう意匠、商標も含まれておりまして、多くの審査官に関連をするものでございます。 特許庁といたしましては、出願人の方からの申請がありましたら、この「事業戦略対応まとめ審査」という施策の中で、出願人の方から、あるいは代理人の方からこの製品や事業の戦略を聞きながら、同時にバラツキのないような審査を複数の技術分野の審査官が話を聞きながら進めていくというようなことも進めております。 また、先ほど荒井委員の方から審査基準の公表も、という指摘もございました。 実は、審査基準、公表しております。英語版も出し、内外のユーザーに御理解いただけるような形でしておりますけれども、委員からご指摘をいただき、十分にPRが足りていないなと思っておりますので、今後、しっかりとそのPRに努めていければと思っております。 また、長澤委員から品質向上のための審査体制の強化という言葉をいただきました。御指摘のとおり、例えば1980年代、日本の特許庁の審査官とアメリカの特許庁の審査官の人数というのはほとんど同じでございましたが、今、アメリカは我が国の5倍ぐらい、約8,500人の審査官がおります。また、日本の特許制度に100年遅れてできました中国でございますが、今ではこのアメリカの審査官とほぼ同じような数の審査官を擁しております。御指摘いただきましたように、品質向上あるいは国際協力また迅速性の堅持、いずれを行う上でも、この審査体制の整備・強化に努めていかなければいけないと思っております。 また、杉村委員からございました役に立つ特許をとる上で、権利付与の時期について、多様な要請があるということを私たちもよく承知しております。 先ほど御紹介させていただきました事業戦略対応まとめ審査、あるいは面接審査、そうしたことを通じながら、また相澤委員からもありました種々の制度をうまく活用しながら、柔軟な対応が図られるように努めていければと思っております。 以上でございます。 ありがとうございました。 ○渡部座長 ありがとうございました。 国際標準認証の方はいかがですか。 ○佐藤課長 御意見ありがとうございます。 妹尾先生、相澤先生からいただきました国際標準と知財を一体的に考えるべきとの御指摘、そのとおりでございまして、冒頭申し上げましたとおり、いかにビジネスで稼ぐかというところから入っていくというのが私どもの基本的スタンスです。そのためにどこで稼ぎ、そしてその稼ぐためにどこを標準にしておくべきかという、そのようなアプローチでこれからも進めていきたいと考えております。 それと、あと件数目標に関する御指摘につきまして、今まで実は逆に中小企業の皆様の標準化にどうもヘジテートしているのではないかという印象を対外的に与えているケースもあるかと、私どもとしましてはそちらを懸念しておりまして、十分やる気があるということを、外に対して示していきたいと考えております。 ただ、標準化の失敗事例について、私どもも理解も深めておりまして、先ほど30〜40件相談が来ていると申し上げましたが、実際には、直ぐにものになるのは1、2割となっております。やはりビジネスを、しっかり儲かるということを、主な観点に精査をした上で、標準化をやるべきものはやり、やらない方が良いものはしっかりとアドバイスをしていくということで、やる気は見せつつも、その辺については精査をして進めていきたいと考えております。 以上でございます。 ○渡部座長 ありがとうございました。 藤河室長。どうぞ。 ○藤河室長 御意見いただきありがとうございました。 山本先生、妹尾先生、相澤先生から様々な御意見をいただきまして、我々、このガイドラインをつくる際に、もちろん大学の関係者の方々であるとか、あと民間の企業の方々からも御意見をいただきまして、余り過剰に縛ると泳ぎがきかなくなるのでやり難いとか、そういった意見もいただきまして、余り決め打ちしないように作ったつもりでございます。 そもそも、このガイドラインの根本思想としまして、それぞれのプロジェクトごとに柔軟に知財管理を行いましょうということを記載してございます。 当然ながら委託事業でございますので、事業化につなげていただく必要はあるのですが、片やきちんとプロジェクトに企業なり大学が参加していただかないことには進みませんので、そういったインセンティブに配慮するようにというのは説明したとおりでございます。 特に、山本先生からございました大学側にメリットがないと、成果を全部召し上げられたら困るという話もありましたので、それに関しましては、ガイドラインでは、一律に成果を譲渡するような話ではありませんで、それぞれのプロジェクトごとに適切な一番事業化につなげられる方がお持ちいただけるようにすることができるというような書き方をしてございます。 それから、護送船団方式のお話がございました。 これは一重に知財の話だけでする話ではないのだと思いますけれども、昨年、国のこういう研究開発プロジェクトにつきまして、抜本的に見直しをしましょうという話があり、これまで単年度で予算をとって、あまり時間をかけられずに企画を作って、強引にプロジェクトをやるような事例もありましたので、数年かけてフィージビリティ・スタディーなどをやりまして、事業化、そろそろプロジェクトにするかどうかという判断を行った上で、実際のプロジェクトを走らせると、そういったような改革を進めてまいりたいと思っているところでございます。 引き続き、このガイドラインによって、プロジェクトの知財マネジメントが硬直的な運用になりまして、色々なその参加者が参加し難くなるようなことがならないように、きちんと運用してまいりたいと思ってございます。 どうもありがとうございました。 ○渡部座長 ありがとうございます。 経産省の模倣品対策室、鈴木室長。どうぞ。 ○鈴木室長 妹尾委員、長澤委員ほか、多くの委員の方から模倣品、特にインターネット取引にかかわる御指摘をいただいております。また、妹尾委員がおっしゃいましたように、中国の場合、いわゆる政策あれば対策ありということで、いわゆる小規模化、巧妙化している。実際に、先ほどの省庁をまたがって取り締まりできない。そういった情報がないものですから、イタチごっことのその生命力というか、繁殖力が強い中国の模倣品業者は、叩いて叩いて叩きのめすということしかないと考えておりまして、中国に対しては、そういった横の連携をとりながらエンフォースメント強化を進めていただくというようなことを引き続き要請していきたいと思っております。 また、インターネット取引については、私ども相当悩んでおります。 実際に、業者もいわゆる削除要請すれば、応えて削除していただけます。ただし、それが特定の商品、特定のサイトとなれば容易なのですけれども、複数の商品の中に1つだけあるといったようなものにはなかなか対応できない。あと検索エンジンも、そういった業者が上位に来ないような取組をしております。 これを例えば法規制でやるとなると、なかなか特商法みたいに業務停止となったら正に先ほどあった円滑化とか流通の大問題にもなってしまうわけであって、なかなか適切な処置が打てない中で、消費者庁も含めて色々な関係機関が相談しておりますけれども、なかなか難しいといった状況で、引き続きいい案を検討させていただければと考えております。 それから、オフショアロンダリングの問題ですけれども、これは正に第三国でなる問題でございまして、ここは正に今年度もそうですけれども、積極的に第三国と税関等を巻き込んで対策を講じていくということを進めておりますので、引き続きそういったことを進めていきたいと考えております。 以上でございます。 ○渡部座長 ありがとうございました。 農水省、お願いします。 ○都築課長補佐 相澤委員、妹尾委員から御指摘をいただきました。 ありがとうございます。 御指摘を踏まえて、地域の役に立ち、信頼される制度にするよう、取り組んでいきたいと思います。 ○渡部座長 よろしいでしょうか。大体時間がまいりましたので、本日の会合はこれで閉会したいと思いますが、最後、全体を通じて、横尾局長、お願いします。 ○横尾局長 今日はありがとうございました。 最初の2つのタスクフォースについては、当初のもくろみは報告書という格好にしようかと思ったのですが、議論の整理という体裁にして、この委員会に検討状況を御報告して、御意見をいただいた後に、報告書にしようとちょっと考えを変えましたので、今日、色々な御議論をいただきましたので、これを踏まえて、連休明けに報告書の格好にしたいと思います。 そういう意味では、この報告書が言ってみれば、2015の当該パートの原型になるようなことになろうかと思いますので、引き続き、色々お知恵を拝借したいと思います。 それから、その他の課題については、2015に書くであろうことを念頭に置きながら、各省の取組、今後の方針を今日御披露いただいて、色々な意見を頂戴しましたので、これを踏まえて2015に向けてどう変えていくか、各省とも相談をしながら、またお知恵を拝借したいと思います。 今日は誠にありがとうございました。 ○渡部座長 ありがとうございます。 次回以降の会合の予定については、事務局からお願いいたします。 ○北村参事官 次回会合では、これまでの議論を踏まえまして、事務局において取りまとめた推進計画2015の骨子について御議論いただく予定でございます。 開催日時とか詳細は、決まり次第、事務局から御連絡を差し上げます。 ○渡部座長 本日は御多忙中のところ、たくさんの御意見をいただきまして誠にありがとうございました。 これで閉会とさせていただきます。 |