検証・評価・企画委員会(第11回)



日 時:平成27年4月27日(月)13:00~15:00

場 所:中央合同庁舎4号館 1208特別会議室

出席者:
【委 員】 大﨑委員、奥山委員、喜連川委員、久夛良木委員、後藤委員、齋藤委員、
迫本委員、重村委員、瀬尾委員、中村座長、野口委員、宮川委員、加藤参考人
【政 務】 平副大臣
【各省等】 総務省     湯本情報通信作品振興課長
財務省     米山関税局業務課知的財産調査室長
文部科学省 匂坂文化庁国際課長、
          森文化庁著作権課長、
          俵文化庁著作権課著作物流通推進室長、
          石垣文化庁芸術文化課支援推進室長 経済産業省 柏原文化関連情報産業課長
国立国会図書館 大場電子情報企画課長
【事務局】 横尾局長、増田次長、磯谷次長、田川参事官、田口参事官、廣重企画官、
中野参事官補佐

  1. 開会
  2. 集中討議 議論の整理
    ① 「アーカイブの利活用」
        ・意見交換
    ② 「コンテンツの海外展開」
        ・意見交換
  3. その他
    ① 「模倣品・海賊版対策」
        ・経済産業省、文化庁、財務省からの説明
        ・意見交換
    ② 「デジタル・ネットワークの発達に対応した法制度等の基盤整備」
        ・文化庁からの説明
        ・意見交換
  4. 自由討議
  5. 閉会



○中村座長
 では、ただいまから第11回「検証・評価・企画委員会」を開催いたします。
 今日は前半と後半に分けまして、前半ではこれまで実施をしてきた「アーカイブの利活用」と「コンテンツの海外展開」の2点の集中討議について議論の整理を行っていただきます。
 後半には「その他」の議題としまして、1つ目が「模倣品・海賊版」、もう一つが「デジタル・ネットワークの発達に対応した法制度等の基盤整備」の2点について議論を行っていただきたいと思っております。
 知財計画の取りまとめ前の会議ということになりまして、次回から取りまとめに入りますので、政府は何をすべきなのかという点について論点を全て出し切っていただければと思います。
 本日も平副大臣に御出席をいただいておりますので、冒頭御挨拶をいただければと思います。

○平副大臣
 皆さん、こんにちは。
 本日は、また御多忙の中お集まりいただきまして、ありがとうございます。
 先般、4月14日でございますが、「知的財産戦略本部会合」を開催いたしました。安倍総理大臣からは、我が国の成長を確かなものとするために知財戦略の再構築を図る必要があること、豊かな文化コンテンツなどの新たなビジネスの創出や拡大に結びつけることが大切であると述べられました。また、「知的財産推進計画2015」の策定に向けて、議論をより一層加速化するよう指示があったところでございます。
 本日は、これまで2回ずつ行ってまいりました集中討議「アーカイブの利活用」「コンテンツの海外展開」について、議論の整理と推進計画2015において柱となる「模倣品・海賊版対策」や「デジタル・ネットワークの発達に対応した法制度等の基盤整備」を議題として取り上げてまいります。
 これまでの集中討議では、「アーカイブの利活用」についての実施体制と役割分担について、私も出席をいたしました前回の「コンテンツの海外展開」の集中討議では、コンテンツ産業と他産業との連携、官民一体となった海外イベント等の実施などについて、取組の方向性をお示しいただきました。
 こうした共通認識のもと、本日は「知的財産推進計画2015」の策定に向けて、政府の今後実施すべき施策について、知財政策を加速させる御意見をいただければと思っております。
 本日の議論により、知的財産推進計画2015や成長戦略に盛り込まれるすばらしい成果が得られることを期待いたしまして、中村座長にお渡しいたします。
 今日もよろしくお願いいたします。

○中村座長
 どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。
 今日出席をいただいている委員の方は、座席表のとおりでございます。なお、日本放送協会、木田委員の代理で加藤様に参考人として御出席をいただいています。よろしくお願いいたします。
 では、議論に移る前に、事務局から配付資料の確認をお願いします。

○中野参事官補佐
 事務局でございます。
 本日は8点資料を御用意してございます。
 まず資料1、資料2として「集中討議 議論の整理」という縦置きの紙でございます。
 また、資料3~6については、パワーポイント横置きのものを4点御用意してございます。
 参考資料として、1枚紙を2種類つけてございます。
 参考資料1として安倍総理の知財本部会合での御発言、参考資料2として、竹宮本部員からの御提言ということで御用意をしてございます。
 お手元、御不足等ございましたら事務局までお申しつけください。

○中村座長
 よろしいでしょうか。
 では、議論に入ります。
 本日は、先ほど副大臣からもありましたように、これまで2つのテーマで集中討議をやってきました。アーカイブと海外展開です。それについて、まず事務局で作成された議論の整理案について説明をいただいた後で、さらに具体化すべき取組ですとか、追加すべき取組といったものがあるのかどうか、そのような観点から意見、コメント、議論を頂戴できればと思います。
 まず、その中の1つ「アーカイブの利活用」について、事務局から説明をお願いします。

○中野参事官補佐
 御説明させていただきます。お手元の資料1をご覧ください。
 こちらについては、2月に実施させていただきました集中討議2回を踏まえて、「現状と課題」「今後取り組むべき施策」を事務局として整理をしたものでございます。これをもとに本日御議論いただき、また関係省庁と調整をしていき、知財計画2015をつくっていくたたき台としてお考えいただければと思います。
 それでは、内容の説明に移らせていただきます。1ページ目の冒頭になりますが、まずアーカイブというものは何なのかというところで、文化の保存・継承、文化発展の基盤になるというだけではなくて、コンテンツの二次的な利用、国内外の発信をするという基盤になる取組であり、欧米で推進されているところでございます。
 日本でも2000年代前半から取組は進められてきておると考えております。分野ごとの取組というところ、さらには国立国会図書館で100のデジタルアーカイブと既に連携するなど、分野ごと、あるいは連携という面で、我が国のデジタルアーカイブは一定の充実を見つつあると整理をさせていただいております。
 2ページ目と3ページ目の頭については、これまでの集中討議等で出された資料、ファクトを提示させていただいております。
 3ページ目の真ん中上からまた文章が書かれておりますが、「その一方で」というところでございます。いろいろやってきているところではございますが、全体を通じたアーカイブシステムの方向性、あるいは海外発信を含めた利活用については十分に検討されてきたと言えないのではないかというところで、これはもう一昨年度になりますが、「アーカイブに関するタスクフォース」を設置して議論をし、取組の推進というところもやってきております。また、さらに必要だという議論をいただきまして、昨年度2回にわたり集中討議を実施して、今後の取組の方向性、課題を整理させていただいたところでございます。集中討議を通じて共有された課題は大きく3点、3ページ下側から整理をしてございます。
 1点目として、アーカイブ間の連携がやはりまだ足りないのではないかというところで、分野ごとの束ね役(アグリゲーター)を明確化した上で、一元的に利用できる環境をつくっていく必要があるというところでございます。
 2点目として、分野ごとの取組状況にばらつきが出ている。アニメ等の新しい文化資産についても、利活用の取組を展開することが重要という視点でございます。
 3点目として、ページがまたがりますが、めくっていただいて4ページが著作権の権利処理の負担の大きいというところで、諸外国の取組も参考に、さらに緩和ということが必要ではないかというところでございます。
 また、4ページ目の上側2つ目のパラグラフですが、利活用の実態についても集中討議でヒアリングをさせていただいたかと思います。利活用として大きく2点、コンテンツ自体の二次利用というところと、情報発信への活用という2つの方向性を目指すというふうに整理させていただきました。
 こういった方向性を念頭に置きつつ、3つの課題に対応するための取組を進めていくということで、①としてデジタルアーカイブについて分野横断的な横断を可能とする基盤の構築を進めるということ、2つ目として、分野ごとの束ね役(アグリゲーター)を中心とした取組を進めるということ、3つ目として保存や利活用に係る制度面での対応を進めるという、これらを総合的に進めるということと、ばらばらにならないような関係府省での情報共有の場を設定することが必要と考えております。
 その下のパラグラフについては、官民の役割分担についても認識を共有すべきだというところで、少し考えを整理させて書かせていただいております。官においては、ルールの整備、あるいはアグリゲーターの明確化等、国にしかできない部分、基盤的な取組を重点的に行うことがまず一義的に必要ではないかということで書いてございます。ただ、国だけで全てができるというわけではございませんので、民間企業が保有するコンテンツをもとにしたアーカイブ構築、そういった動きを取り込んでいくようなことに配慮しつつ取組を進めるということが必要と整理をしてございます。
 4ページ下からは、以上の考え方を踏まえて何をやっていくかというところについて、3つの柱で取組を整理して御提示してございます。
 5ページ目の上から項目をかいつまんで説明させていただきます。一番上が「アーカイブ間の連携・横断の促進」ということで2つの施策、国立国会図書館のサーチをベースとした統合ポータルをつくっていくというところと、関係府省の連絡の場をつくっていくという2点でございます。
 2つ目の柱「分野毎の取組促進」については、5つの項目を挙げさせていただいております。
 1つ目として「分野ごとのアグリゲーターの明確化」というところで、書籍、放送コンテンツ、メディア芸術、文化財といった主要分野についてアグリゲーターを明確にするという点、その下は、それぞれの主要分野について取組をどのように進めていくかということを書いてございます。
 「書籍分野」については、国立国会図書館の収蔵のみならず、公共・大学図書館の資料のデジタル化、文化財については文化庁が中心となって文化資源に関するデータの集約、多言語化等の取組を進めてまいります。
 6ページ目の上側の「メディア芸術分野」は、文化庁については昨年度作成した「メディア芸術データベース」といったものを使って、さらに内容の充実を図っていくというところ、あるいは映画における取組を引き続き実施する、3つ目として、民間主体のアーカイブ構築を促進するというモデル事業の実施等を考えております。
 放送コンテンツ分野については、放送番組センター等の民間が主体となってやっていくということで、教育目的の利用や遠隔地での利用といったところを引き続き進めるということを考えてございます。
 最後の柱として「アーカイブ利活用に資する基盤整備」ということで、5点挙げさせていただいております。
 1つ目は著作権制度の整備ということでございます。
 2つ目について少し詳しく説明させていただきますが、「利用に係る著作権者の意思表示」ということで、こちらについては前回の集中討議の際に、竹宮本部員から御発言のあったことでございます。著作者の死後の著作物の利用について、よりよい仕組みを考えられないかといった御発言をいただいており、こちらについては4月14日の本部会合でも竹宮本部員から同様の御発言をいただいております。また、本日は委員会に出られないということで、先ほど御紹介しました参考資料2において同様の趣旨の御提言をいただいております。
 こういう一連の御提言を踏まえて、死後の利用に関してどういった課題があるのか等を含めて検討を行うということで、まだ具体化はこれからでございますが、方向性として書かせていただいております。
 資料1に戻っていただいて、最後に7ページの上から「分野別ポータル構築環境の整備」ということで、国立国会図書館以外のポータルというものも民間等が主体となってつくりやすくするための仕組みというところで、メタデータのオープン化ですとか、データセットを抽出する機能の普及等を取り組んでいくということでございます。
 また、「アーカイブ関連人材の育成」ということで、シンポジウム開催、あるいは司書や学芸員等の教育課程におけるアーカイブ関連の教育の充実といったところを考えております。
 最後に、地方における取組の支援ということで、地方においてもアーカイブ構築が支援できるような既存の施策と関連しつつ、取組を進めてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。

○中村座長
 ありがとうございました。
 では、今の事務局からの説明を受けて、御意見のある方は挙手をお願いします。いかがでしょうか。
 久夛良木委員、お願いします。

○久夛良木委員
 今の御説明の資料の中で、民間との取組と官との協業ということも改めて書いていただき、本当にありがとうございます。
 ゲーム分野においては、デジタルアーカイブはまだほとんど進んでいないという中で、将来滅失してしまう危険性もあるので、業界も含めてなるべく早く取り組んでいきたいと思いますので、関係省庁の皆さん、ぜひよろしくお願いいたします。
 以上です。

○中村座長
 ありがとうございました。
 ゲーム分野の取組で、今何か簡単に教えていただけるものはありませんか。

○久夛良木委員
 いろいろなメディアがあちこちに散逸しているということで、ゲームタイトルの目録、書誌情報については非常によくまとまりつつあると思うのですが、その実態そのものと、ゲームをする環境、ゲームはインタラクティブなコンテンツなので実際に遊べないといけないということで、それぞれ継続的にずっと未来に引き継げる形で、コンテンツとプラットフォーム両方をアーカイブしていくということを、業界関係者の皆様と一緒に協調して案をつくっている最中です。
 それと同時に、今すぐにできること、民間の方でやっていけるところはやっていってしまおうということで、そういった進捗と同時に、それぞれ官のほうでおやりになっているさまざまな取組とも同期をさせていただいて、ゲームコンテンツが将来にわたって利用できるように取り組んでいきたいと考えています。
 以上です。

○中村座長
 ありがとうございます。よろしくどうぞお願いいたします。
 他にいかがでしょうか。
 瀬尾さん、お願いします。

○瀬尾委員
 今回、ポータルサイトの重要性ということが明記されていることは非常に重要だと考えています。私も前からお話ししたように、アーカイブがあってもそれを利活用するポータルがないと、実際には使われずに、ただ溜めておくだけでは全くどうしようもない、という点が非常に重要だと思います。ポータルサイトということで、各分野、もしくは総合的なポータルサイトをイメージしたときに、ただ単に検索入り口があるということであれば、今、NDLもありますし、いろいろなところにあるのですけれども、BtoB向けなのか、BtoC向けなのか、そこに人をどれだけ集めて、何を狙うのか。つまり文化的な学術研究のための窓口であるならば、これはかなり探していらっしゃるからいいのですけれども、本当の意味での利活用を考えると、一般に対してどれだけ開かれて、アクセスとかそういったことがなど実用的なことを考えることが、大変重要になってくると思います。
 そこのところを、何となくポータルサイトをつくれば、そこに人が来るかのような幻想を持ちがちなのですが、実際開けただけではほとんど来ません。ただ単に何かあって、そこから行かれるという、いわゆる棚ざらし状態になってしまうということが多々これまで見られますので、ポータルサイトを誰のためにどのように経済化するのかということ、特に今回、経済施策ですので、どのような効果を上げるのかをしっかり見きわめた上で、民間と思い切って協力をして、そして民間のそういったポータル業者さんと一緒に成果の上がるポータルを最初から考えていかないと、どんなアーカイブをつくっても結局は使われなくなってしまう。そこの点で言うと、ポータルサイトが結果を出すための最も重要な関門になりますので、ここの部分に関しては、もう少し具体的かつ実務的な踏み込みというのが私は必要だと思いますので、そこについて進めていただければと思います。書きぶりに関しては、これが明記されたことによってその方向が出ましたので、非常に結構だと思っています。
 以上です。

○中村座長
 ありがとうございました。
 他にいかがでしょうか。
 では、重村さんお願いいたします。

○重村委員
 放送番組のアーカイブについて、放送番組センターとNHKアーカイブスを中心に展開をするということに関しては、我々も異論はありません。ただ現実的な部分でお話ししますと、例えば放送番組センターに関しては、放送法の168条で、いわゆる収集・保管をすると同時に公衆に視聴させるという公開原則みたいなものがついているのですね。
 どの著作物も一般公開が原則であるという形になると、各著作権者あるいは放送局というのは二の足を踏んでしまうという問題があるわけです。あくまでもアーカイブスの問題というのは、第一段階で著作物の保管をする、あるいは収集をするということが大事ですけれども、その後公開する、あるいは経済的活用を行うということは少し分けて考えなければいけないのだろうと思います。
 今一番大事な部分というのは、いわゆる孤児著作物も引っくるめて、放送コンテンツをどれだけ収集して指定されたアーカイブに集めることが可能であるかという問題だと思いますので、放送法の168条の運用に関しては慎重に考えていただきたい。それがあれば、放送番組センターの利用価値は随分違ってくるだろうと思います。
 もう一つは今後の課題なのですが、いわゆるパッケージとして制作されたものと、ライブのいわゆる報道、情報系の番組というものをどういうふうに切り分けて考えていくかという問題も大事だと思います。ドキュメンタリーもそうなのですが、肖像権であるとか人格権、そして「表現の自由」という問題も出てくるわけです。現実的に個人が絡む話というのは非常に難しい部分があるので、そこの部分を今後もう少し踏み込んで考えていく必要があるのではないかと思っております。

○中村座長
 ありがとうございました。
 前半おっしゃった放送法の話は新しい論点ですね。ですから、今回それをどこまで計画に反映できるのか、限界がどのあたりにあるのか、あるいは特区などをかませて何かできることがあるのかみたいなこともちょっと検討させていただければと思います。
 他にいかがでしょう。
 野口さん、お願いします。

○野口委員
 アーカイブを進めていくということは、大変意義のあることだと思います。私の観点から見ると、持続可能なアーカイブであるということ、そして、先ほど瀬尾委員から御指摘があった通り今後のさらなる利活用を考えていったときには、アーカイブ運営や利活用のコストを安くかつスムーズにできるための制度整備というのが非常に大事だと思います。その意味で、6ページの基盤整備の1つ目と2つ目のところで、制度整備を挙げていただいているのは大変意義深いことだと思いますし、やるのであれば抜本的に、長期的な視野に立って、2回も3回も制度を変更しなくていいようにぜひやっていただければと思っております。
 特に2点目のところで、孤児著作物の対策を挙げていただいていて、補償金の供託の見直しですとか、再利用についても挙げていただいているのですけれども、本当にこの点を見直すとはっきり書いていただいたことは大変意義深いことだと思います。特に再利用のことを考えたときには、裁定の第三者効も含めて、ぜひこれらの点の簡素化を検討をしていただければなと思っております。
 以上です。

○中村座長
 ありがとうございます。
 他によろしいでしょうか。
 この点はよろしいですか。
 事務局がまとめてくださったのは基盤、ポータルをつくるという点、それから分野別に取り組むためのアグリゲーターの明確化、制度面の問題、政府関係者による場づくり、そのあたりが柱になっていて、そのあたりが次の知財計画2015の柱になってくるだろうと思われますけれども、そのあたりで十分かということと、その辺の先ほど来議論がありますようなメリハリは効いているかということだろうと思います。
 よろしいでしょうか。

 ありがとうございました。
 では、次のテーマに進みたいと思います。「コンテンツの海外展開」についても議論を重ねてまいりましたけれども、これについて事務局から説明をお願いします。

○中野参事官補佐
 こちらについては、資料2をご覧いただければと思います。資料1と同じ体裁で集中討議の取りまとめということで、事務局で御用意させていただきました。内容について簡単に御説明させていただきます。
 まず1ページ目の「現状と課題」というところで整理をしております。まず、コンテンツの海外展開というのは、コンテンツの海外売上高を増加させるだけでなく、異業種の海外展開への寄与、あるいは日本イメージの向上を通じた訪日観光客の増加など、コンテンツ産業にとどまらない経済的・文化的波及効果を有する、と単なるコンテンツ産業の振興策ではないということをまず頭の整理というか、大前提として書かせていただいております。
 それが実現できているかというところで「しかしながら」でございますが、海外市場において日本のコンテンツが十分定着しているとは言いがたいという評価をさせていただいております。ASEAN等東南アジア諸国においても、アニメ等を除いてなかなか存在感を発揮できていないというところが現状かと思います。
 ただ、図の下の「翻って」のところでございますが、日本のコンテンツ産業に力がないかどうかというところについては、これは評価が難しいところではございますが、国内市場の大きさという12兆円という市場を考えて、そこに対して毎年コンテンツをこれだけリッチに提供しているというところを考えると、十分力はあるのではないか、十分な成長の余地があると書かせていただいております。
 2ページ目の上のほうは「国内市場の状況」、グラフは上下していますが、多いときで13兆円、直近は12兆円という巨大市場でございます。
 下側の図ですが、「海外輸出の状況」ということで、その12兆円に対してどれだけかというところですが、ゲームを除いた主要な映像コンテンツ、映画、テレビ番組、アニメといった3つを合わせて250億円程度というところで、12兆円のうち映像関係が4.5兆ですので、4.5兆と250億というと、やはり潜在力を十分発揮しているとはなかなか言えないのかなという整理をしてございます。
 こうした中で、ここの生かしたいというか、成長させたいという思いの中で、政府としてはこれまでも一貫して取組をやってきたと考えております。代表的なものを幾つか載せておりますが、aRmaによる権利処理の円滑化、効率化といったところ、また翻訳、吹き替えといったローカライズ、あるいは海外での宣伝活動といったところについて、J-LOPの形で2年間で3,800件の案件を支援してきたというところ、さらには放送番組、テレビ番組の海外展開促進として、3ページ目の上側ですが、昨年から今年にかけて、アジア6カ国において放送枠の確保とテレビ番組の提供といったところを総務省のモデル事業としてやってきてございます。
 このような動きをさらに加速させるという観点から集中討議2回をやってきたと整理をしております。集中討議の中で、大きく3つの取組の方向性を共有させていただいたと考えております。
 4ページ目の冒頭のパラグラフでございますが、方向性として3つ、①海外現地で受け入れられるコンテンツの制作・確保、②海外市場への継続的な展開、③コンテンツ間や関連産業・地域との連携を一体的に進めることが重要であるというところでございます。
 その下のパラグラフで少し詳しく書いてございますが、時間の都合上割愛させていただいて、4ページ目の下側、なお書きのところも簡単に触れさせていただきます。前回の委員会でこうした取組、海外展開を進めていく際には、双方向性に配慮することが必要であるといった御意見が何名かの委員からございましたので、押しつけではないWin-Winの関係を築いていくことが重要というところ、またその際に人材の果たす役割が重要であるといったところについて考え方として記載をさせていただいております。
 5ページ目の一番上については、その中で政府の果たす役割ということで、これも議論で出てきたものをまとめているものでございますが、施策の充実については評価されるというものですが、継続性の確保、あるいは施策に関する情報共有、どういう指標を持って政策達成目標とするのかといったところが不明というところで、こういったところについてもできるところから迅速に対応を進めていくことが重要であると考えてございます。
 5ページ目から何をやるかというところを整理してございます。こちらについては4つの柱で取組を整理してございます。
 1つ目の柱として「海外展開しやすいコンテンツ制作・確保」、3つの項目を載せてございます。青字の部分をご覧ください。
 1つ目として「現地ニーズに即したコンテンツの制作」。
 2つ目として「既存のコンテンツの現地化支援」でございます。
 6ページの一番上ですが、3つ目として海外展開に必要な権利処理をさらに迅速化、効率化していくという取組でございます。
 2つ目の柱として「海外市場への継続的な展開」。継続性をいかに確保するかといったところについて、こちらは5項目載せております。
 1つ目として「海外でのプロモーション支援」というところ、放送枠の確保ですとか、あるいは広告の出稿ですとか、そういったところについての支援ということを取組として書かせていただいております。
 2つ目の項目として「市場性が低い国における日本コンテンツの露出」ということで、外務省・国際交流基金が主体となって、途上国にテレビ番組を出していくという取組でございます。
 3つ目として、中小企業等が海外に出やすいようにということで、海外に実績のあるプロデューサーとのマッチング等の支援、あるいはジェトロを中心とした海外展開支援を進めていくものでございます。
 7ページ目の上2つについては、前回の集中討議を踏まえて、項目として新たに記載したものとなっております。文章量が少ないのはこれから具体化をしていくというところで、まだ見出しというものでございますが、一番上は海外市場の情報が極めて大事という御意見を踏まえまして、そういったところの情報収集を行っていくという方向性、2つ目として、こちらは前回、税制あるいは会計制度などの基盤的な制度の課題についてもしっかり検討すべきという御意見がございましたので、そういったことも検討を進めていくということを書かせていただいております。
 次の3つ目の柱として「コンテンツと関連産業の連携」については5項目を載せてございます。
 コンテンツ関連の取組間の連携ということで、イベント情報の収集、共同開催のコーディネイト等。
 2つ目として、実演家、アーティストを海外にもっと出していくという動き。
 3つ目として、コンテンツ以外の分野とも連携をしていくというための取組について書かせていただいております。
 最後の8ページ目の一番上、こちらについても前回の御意見を踏まえた、文章として書くのは新しい項目になりますが「海外の日本ファンとの連携」ということで、日本通の留学生、あるいは海外にいる外国人の方とさらに協同を進めていくという考え方を書いてございます。
 また「地域との連携」ということで、地域が主体となったコンテンツ制作・発信、あるいはロケ地の紹介等といった取組を進めていくというものでございます。
 最後に4つ目の柱として「共通的な課題への対応」ということで2項目、施策の普及啓蒙、どんなものがあるかなかなかわかりにくいという中で、しっかりわかるように発信をしていくということと、指標・目標をもう少し明確化していくといったところについても、できるところから進めていきたいと考え、記載をしてございます。
以上でございます。

○中村座長
 どうもありがとうございました。
 私なりに簡単にまとめると、aRma、J-LOP、BAEJ、クールジャパン機構、いろいろと施策は積み上がってきましたが、それを続けろということと成果を示せということだろうと思います。そのためには、コンテンツをつくるというのと広めるというのと横連携するというのが柱になっているかと思います。
 この点について、同様に御意見のある方は挙手をお願いいたします。いかがでしょうか。
 後藤さん、お願いします。

○後藤委員
 いろいろな施策を行って海外展開を支援してきたということなのですけれども、数字で見ると余り輸出が増えていると言えない状況なのですけれども、どういう施策が具体的に非常に有効で、どういう施策は余り有効ではないという分析をもししていらっしゃれば、成果が出ないと言っているだけではなくて、なぜ出ないかとか、なぜ政策が有効ではないかとかという点にちょっと踏み込んで教えていただきたいという質問が1点です。
 それからもう一つ「海外の日本ファンとの連携」というところなのですけれども、実は私は大学で、海外の大学院生などから、日本の企業でインターンシップをしたいという要望を受けたりするのですけれども、日本語ができないとインターシップをさせてもらえないとか、日本に一旦留学していないとインターンシップさせてもらえないといって、かなり壁があって、見つけるのが難しかったということがございます。もう少し英語だけでもOKというふうにインターシップの門戸を開いて、海外の日本ファンとの連携ということが考えられないのかなと思うのですけれども、ちょっと飛躍しているかもしれませんけれども、お願いでもあるのですが、御検討いただければと思います。

○中村座長
 1点目の御質問、施策と成果との関係について、これは何か事務局なり関係省庁の方でお答えになる方はおられますか。

○中野参事官補佐
 前の議論でもなかなか統計がないので難しいというところもあったのですが、一つ言えるのは、2ページ目に書かせていただいている「海外輸出の状況」は2012年までの数字になっているかと思います。それに対して最近の施策が、J-LOPは本格的に始まったのは13年度、14年度と、BEAJについても同様に14年度ということで、ここ2~3年海外展開の動きが加速化してきたのかなというところがあって、まだ数字をとり切れていないのではないかというところの考察は一つあるかと思います。もちろんとった結果、上がっているかどうかといったところはまた別の話だと思いますので、そういった考えを常に置いておくということは大事かと思いますが、現時点でこれは成果があった、これはなかったというのは難しいのかなという認識でございます。

○中村座長
 私も感覚として、施策を打ち出したところと成果が出てくるところのタイムラグの問題なのかなと思っているのですが、そこは私自身データを持っておりませんけれども、これは総務省や経済産業省でそのようなデータなり、感覚なりでも結構ですので、何かコメントいただけることはないでしょうか。

○総務省湯本課長
 総務省でございますが、今、事務局からお話があったとおり、まず役所として本格的にし始めたのがこの数年間であるということと、あと実際に前回の委員会で申し上げましたが、放送コンテンツについては、いわゆる旧来型の番組輸出だけではなくて、さまざまなパッケージだとか、ネット配信とかを含めると増えている。比較的効果が上がったものとしては、こちらでもありますが、予算の施策以外にやはり著作権の処理がかなり円滑化してきたというのは多分事実で、これは放送会社と権利者団体双方の努力によってaRmaも整備されて進んできて、そのあたりは比較的ダイレクトに短期間で効果が上がってきたのではないかなとは思っているところでございます。以上です。

○中村座長
 柏原さん、お願いします。

○経済産業省柏原課長
 経済産業省でございます。
 J-LOPのこの2年間を振り返ってみますと、3,800件ほど支援してきている中で、成果としましては、例えば今まで出ていっていなかった国に新しく出ていったとか、同じ見本市に出展するのでも新しい形、あるいはもっと大がかりに出展をすることができたとか、あるいはローカライゼーションの質にしましても、字幕をつけるというだけではなくて、より質の高い吹き替えまですることができたとか、そういった意味でいい事例というのはたくさん出てきておりますけれども、今後の課題というところで申し上げれば、1つは、事例として出てきていますけれども、やはりコンテンツ産業と他産業との連携の部分や地域の産業の活性化に資するような取組というところは、まだこの2年間で十分に成果が出てきたとは言いがたい部分もあるように思っております。今年から実施しておりますJ-LOP+でも、例えば地域に対するリーチを強めるということで、説明会も何度も丁寧に開催し、相談にも丁寧に応じるというような改善も行っているところでありますので、またそういった新しい仕組みの効果がどのように出てくるかというところも今年度見守ってまいりたいと思っております。
 以上です。

○中村座長
 はい、齋藤さん。

○齋藤委員
 例えば台湾やタイのLINEスタンプの売上だけでも数十億円あるのではないかと思われます。LINEスタンプの人気もプラスに働いて、日本のファンが非常に増えているという実感があります。
 前回DVDでプレゼンテーションさせていただきました、『THAILAND COMIC CON』が今年も4月末より開催されます。今回の開催は2回目となりますが、J-LOPの助成を使わせていただき、大変感謝しております。これからも日本のコンテンツを海外に発信していくために、J-LOPには継続してお世話いただきたいと考えています。
 また、資料2の1ページのブルーの箇所を見ていただくと、やはり日本のファンは確実に増えていることが分かりますし、これからも間違いなく増えていくと思われます。
 今、ASEANでAEC(Asean Economic Community)が発足されようとしています。このことからも東南アジアが発展していくと想像できますので、コンテンツの事業者にとって今が重要な時期だと思います。

○中村座長
 ありがとうございます。
 他にどうでしょうか。
 野口さん。

○野口委員
 以前の委員会でもデータについては少し申し上げた記憶があるのですけれども、これらの施策はまだ始まったばかりで、これから効果が効いてくるというのはそのとおりだと思うのですが、実際にそれぞれの施策で、何に幾らを使って、例えばその入場者数が増えたか否かなどの、具体的な数字をぜひ出していただきたいという話を何度かさせていただいていると思うのです。例えば2014年度の実態の調査も、これが初年度なのか、もしくはその前の同じようなものがあって比較ができるのかなどの点も含めて、できるだけ数字が見えるような資料を提出していただけると、我々も見やすいかと思いますので、よろしくお願いいたします。

○中村座長
 よろしくお願いいたします。
 はい、重村さん。

○重村委員
 今の成果の部分なのですが、これは先ほど座長がおっしゃったようにタイムラグがあるのですが、こういう公的な場でお話をするのはいいかどうかわからないのですけれども、先週、ある製作会社がタイの放送局から発注を受けたという話がありました。日本の放送局がそこに番組を売り込もうと思ってもなかなか受け入れてくれなかった、タイでは一番人気のある放送局から時間枠を提示されたと。
 今回BEAJが6カ国10作品を決めたときに採択の基準にしたのが、日本の作品を向こうに出すということよりも、現地ニーズに即した形で日本側が協力していくということだったのですが、先方の話を聞いてみると、「こういうつくり方をしてくれるのならばぜひ発注したい」という話になったようです。
 どういう形かというと、先ほどのインターンシップの話とも兼ね合うのですけれども、BEAJが非常に注力した部分というのは、日本側が勝手につくって向こうに出すのではなくて、向こうの制作会社、放送局のディレクターやプロデューサーが日本に来て、日本の放送局の人間と協力してつくっていく。そうすることによって、向こう側の立場から言うと、日本の持っているノウハウを吸収できるし、日本の側から言うと、現実的に我々が頭の中で考えているのとは違って、アジアの国々の人間が現在日本に対して持っている興味というものは、我々が考えているものとギャップがあるのだということが実感としてわかるのです。
 したがって今回、現地ニーズに即したコンテンツの制作を挙げていただいたことは大変結構なことだと思います。
 それから、もう一点だけお願いとして言いたいのですが、BEAJはスタートしたばかりなのですが、民間から出された金額というのは年間3,000万円に足らない金額です。あと、その部分を補正予算で補っていただいてやっている構造なのです。こういうものは継続が大事だという形になりますと、やはり本予算でもってきちんと予算をつけていただきたい。事務局にしていたビルの家賃も出ない。事務局のメンバーも全部民間から出向なのです。
 やはりこの手の事業を本格的にやるためには、組織をきちんとつくって、その裏づけになる予算というものを民間と協力してつくっていくということを考えていかないとなかなかうまくいかないのではないかと思っております。
 以上です。

○中村座長
 ありがとうございます。
 瀬尾さん、お願いします。

○瀬尾委員
 3点ほど申し上げます。
 1つは非常に大きな話で、これは今回の戦略ということには入らないかもしれないのですが、ぜひお考えいただきたいのは、先ほど双方向性ということが出ました。双方向性というのはどういうことかというと、私はシステムだと思っていて、ナショナルアーカイブシステムというのは、実はパッケージにして海外に売っていって、日本と海外をつないで双方向性を保つためのインフラになり得ると考えています。つまり日本でアーカイブシステムをつくったときに、今非常に意欲的に内部の構造とか制度を改革しているアジアの国にもそのパッケージを安く売って、そこでつなげて、そして向こうの情報もそこに蓄えていただく。日本もそこに情報を蓄える。そしてそこで双方向性をもって情報の共有を行うというのが、非常に大きなお話ですけれども、私が昔から思っていたいわゆるヨーロピアーナに対応するにはパシフィカアーカイブ群を日本が主導して構成していくということが大きな戦略の底にあってもいいのではないかなと私はかねがね思っています。そういうことによってナショナルアーカイブとクールジャパンはある意味で合致していくのかなと思います。
 そんな考え方もありますし、アーカイブは孤立していては意味がございませんので、より連携していく。その連携のシェアにASEANアジアの国々の先まで見通していくということも私は有効なのではないかなと思っています。これは大変大きな話なのですが。
 あと2つ。1つは、先ほどの総務省もおっしゃられました権利者が歩み寄っていると。私も権利者団体で写真の分野というのもございますけれども、決して権利者団体を殊さら擁護するわけではございませんが、JAPACONというプラットフォームの中で海外へ情報を発信していく中で、実は権利者団体の皆様が非常に協力してくださって、大きな歩み寄りがあります。これまでなかなか難しいと私も思っていましたけれども、JAPACONの中で海外へ放送番組を展開するに当たっては、決して権利者の皆さんも守っているだけではなく、きちんと協力して、流れなかったら結局使う側も、放送局も権利者も一蓮托生ということはきちんと理解されているのではないかな、非常にいい方向づけなのではないかなと思っていますので、ぜひその権利者さんの方向性というのを認めた上で、より協力して進めていかれればいいのではないかなと。JAPACONにつきましても、今年はそれの成果をきちんとお出しできるのではないかと考えております。
 3点目なのですが、これは今幾つも御意見をいただきました評価についてです。プロモーションの中で、例えば今、フェイスブックというのが結構いろいろなところではやっているのですが、JAPACONもフェイスブックをやっています。なぜうけているのか、というと数字が見えるのですね。何人「いいね」と押したかとか、どこの誰が何をしたか見えるのですね。通常プロモーションというのはそんな形では見えません。ですけれども、フェイスブックでは見えるということが非常に大きかった。
 それは逆説的にどういうことを言うかというと、プロモーションの成果を全て数字で上げることは実はできないし、もっと逆説的に言ってしまうと、全体に効くプロモーションは個々の数字にあらわれません。より大きく捉えると全体が進捗するだけです。より小さな施策は小さな数字に反映されます。
 ですから、ここは難しいのですが、小さな数字をきちんと把握することと、全体に効くプロモーションと混ぜていかないと、小さな数字だけでも大きな効果だけでもだめになってしまう。つまり大きな効果だけだととけてしまって、有効性が検証できなくなる。小さな数字だけやっていると、それこそ1年サイクルの小さな施策でプロモーションだけしていたら、いわゆる本筋が進まない。ここが非常に重要です。
 私が思いますに、これは現場の調査が必要だと思います。毎年必ず評価のために現場の景況感というか動向感とかを各分野できちんとヒアリングする調査、そしてその各分野の増減をきちんと数字で拾い上げるような調査を、これはどこの省庁がなさるかはまた別にしても、必ず評価というのは1個立ててあげることが必要で、これまである出来合いの数字を拾ってやっているだけでは絶対に無理です。
 ですので、今後の特に円安とオリンピックというのが追い風になってもいますけれども、インバウンドについてはものすごい勢いがあります。これをきちんと増勢させるためにもプロモーションを有効に使う。そのためには今言ったような調査を早く始めて、そして1年ではほとんどその数字は絶対数でわかりませんので、継続してとることによって、このオリンピックまでの5年間、特により有効に使う施策をしていかないと、多分難しいと思っております。
 ただ、この評価については、非常に難しい問題であるけれども、この評価のやり方を考えていくということが確実な将来につながっていく施策をできる基礎になると思いますので、今言ったような大きな効果と小さい効果をある意味で分けて考えていくということで、ぜひこれは進捗していただきたいと思います。
 以上です。

○中村座長
 ありがとうございます。
 喜連川さん、お願いします。

○喜連川委員
 どんな施策も一般には時間がかかりますので、それは慎重にゆっくりおやりになられるのがいいかと思いますし、指標というのが目的化するというのは、我々大学におりましても余り芳しくないことがほとんどですので、そのオブザーブをするといいますか、客観的に判断する素材としてそういうものを役立てるという立場でいいのではないかなと思っております。自動販売機とかたこ焼き機ぐらいでしたら、ソーシャルメディアの解析で十分とれるのではないかなと思いますので、ITを活用したそういう解析はぜひお進めいただけたらと思います。
 先ほど施策がどう伸びているのかわからないという話があったので、私はちょっと素人質問で恐縮なのですけれども、この2ページの図でぐっと上がってすっと落ちているのですけれども、ぐっと上がったのはなぜなのかというのがわかれば、それと同じことをすればいいでしょうし、ずっと下がったのがなぜなのかわかれば、それを二度と繰り返さなければいいだけな気もするのですけれども、こういう過去の解析というのは十分なされているものなのでしょうか。

○中野参事官補佐
 海外輸出のほうはゲームが落ちているということでございます。
 国内市場のほうは、大きなものが静止画、書籍、雑誌系と動画で75%の数字を実は占めていまして、そこが恐らく落ちているのだと思いますが、時期的に考えてパッケージが落ちたというのが大きいのではないかと思うのですが、今、手元に冊子がなくて、ファクトがないので正確なところが申し上げにくいので、後でフォローさせていただきます。

○喜連川委員
 海外に比べると国内のほうがはるかに大きい市場になっているわけですので、施策は常に何で過去こうなったのかというものをベースに次がなされているのかなと思いましたので御質問させていただいた次第です。

○横尾局長
 私の推測ですけれども、国内は多分パッケージ化がうまくいかなくなると、音楽なりいろいろな数字はきっと減りますよね。海外はほとんどゲームなのですね。これは久夛良木委員に解説いただいたほうがいいかもしれませんけれども、ゲームは輸出が減っているのですが、この前もあったように海外での生産、海外でやっているものもあるから、多分輸出だけでは余りいい指標ではないのかもしれないのですけれども、数字的には減っているのはほとんどゲームだというのが実態です。

○野口委員
 御質問なのですけれども、そういう意味では、この輸出入額にはライセンス収入は入っていなくて、パッケージの流通のみが対象となっているという理解でしょうか。

○中野参事官補佐
 基本的には物の売り上げ、デジタルコンテンツも入っているかとは思いますが、売り上げにかかるものをとっているというものでして、御指摘のとおりライセンス料については入っていないものになります。

○齋藤委員
 補足的に、左下の図で説明しますと、パッケージ型のゲームの海外輸出が減ってきている一方で、ソーシャルゲームの売上が非常に大きく増加しています。しかし、そのソーシャルゲームはほとんど国内向けで、海外輸出はあまりできていないことが右肩下がりになっている原因と考えられます。ですから、ソーシャルゲームの海外輸出に取り組めば、大きく成長させられる可能性があると思います。

○喜連川委員
 そうすると、グロスが得になっているのか、損になっているのかという全体を合わせて現況感がどうだというのは一体どの図を見ればわかるのでしょうか。

○中野参事官補佐
 コンテンツ産業全体については、国内市場の状況は上のほうが圧倒的に数字は大きいので、景況感という意味では恐らく上が効いてくるのかなと。今の時点で下の数字は、結局一番高いときでも1兆にいかないという数字でございますので、上と1桁違うものになっているという点は申し添えさせていただきます。

○中村座長
 どうぞ。

○野口委員
 しつこく申し上げて恐縮なのですが、ここで議論する施策としては、海外展開がどれぐらいうまくいっているのか、いかないのかということを評価するということですから、海外で展開しようとしている努力にどういうものがあって、それが全体の中でどうなっているかということが概観できる資料が是非必要だと思います。喜連川委員の御指摘は、それが増えたり減ったりしていることの要因がどうかという点の分析などが必要ということかと思いますが。数字の分析だけに振り回されることがよいとは思わないのですけれども、我々の議論の前提になるもの、もしくは政策をつくるに当たっての前提になるものだと思いますので、そういう意味でも少し全体感のわかるものを出していただけるといいかなと思います。

○中村座長
 ありがとうございます。
 他にいかがでしょうか。
 大﨑さん、お願いします。

○大﨑委員
 少し話は戻るのですけれども、テレビ番組の共同制作なのですけれども、いわゆるこれは日本の放送局さん、制作会社さんもいろいろ番組販売、あるいはフォーマット販売というのはなさってきたのですけれども、非常に少額で、ビジネスとまだ呼べないような形だと思うのです。私たち日本がまだ知らない、いわゆるハリウッドのビジネスモデルというのが、もちろん迫本委員などは映画のことで御専門でしょうけれども、テレビに関しては日本にまだ全く知らされていないハリウッドモデルというのが存在するのだと思います。
 それは私たちも、断片的ですけれども、例えばアメリカのテレビドラマシリーズは、1時間1話が2~3億円でそれが20数話続く。日本のキー局の地上波の放送テレビドラマならば、2,000~3, 500万円ぐらいです。ゼロが1つ違うのです。それは、アメリカのテレビ局さん、あるいは制作会社、あるいはエージェントがつくって、プリセールでヨーロッパにも売って、そのプリセールの中でも6~7割の売り上げが見込める、そういう形だと思います。
 そこのところを多分日本の放送局さんも、もちろん20~30年前からニューヨークにもロスにもパリにもロンドンにも支局をお持ちなのですけれども、いわゆる報道ベースで、コンテンツビジネスモデルベースでは全くないので、その辺が放送局さんといえどもまだ十分に把握なさっていないというのが現状だと思います。
 手前どももこの4~5年、東京、大阪の放送局さんと特別番組を共同制作させていただいて、ハリウッド経由で世界販売をしようということをチャレンジしましたが、日米両国の間に入って理解がなかなか得られずに、タイで少し売れました、ミャンマーでも流れているらしいぐらいのことになっています。
 結局はハリウッドが日本に教えないのだということだと思います。いわゆるその番組の販売ルート、権利のシェアの仕方、もちろんドラマのつくり方、監督ということもあるのですが、もちろん語学の問題、言葉の問題ということもあると思いますけれども、日本がまだ知らされていないのだと思います。なので、クールジャパン風の日本の紹介をしました、海外からディレクターが来ます、あるいはこちらから行きましたというところで、残念ながらビジネスとしてはまだ日本的というか、細かくなってきているのだと思います。
 こういう時代ですから、いわゆる宣伝プロモーションと販売促進とSNSを兼ねたものの数字というのを、日本国内でもそうでしょうけれども、アジア各国も含めて、そういう数字のつかみ方をそろそろやるべきだと思いますし、それはLINEだとか、ツイッターだとか、ツイッターの動画とかと番組とを連携、あるいは各メーカーの販促と一緒にどうビジネスをやっていくかというのがこれからの、あるいは今年ぐらいからの課題だと思いますので、もう一度その辺の数字における検証といいますか、データづくりというのが要るのではないかなと思っています。
 以上です。

○中村座長
 ありがとうございます。
 他にどうでしょう。
 奥山さん、お願いします。

○奥山委員
 取りとめのない話になってしまうかもしれませんけれども、この用意していただいた資料の最後に「達成目標・指標の明確化」ということを書いていただいているのですけれども、もうちょっと具体的に書いていただかないと、あるいはどういうふうにアプローチするのかはっきりさせていただかないと難しいのかなという気がいたします。
 これまでの皆様の御議論でも、データが集まっていないということが評価・検証するということの非常に大きな妨げになっているように思いますので、ここは難しいとは思うのですけれども、きちんと予算なり人なりを確保して、手をつけるということを明確にしていただきたいと思います。
 もう一つは、前回から申し上げているのですが、欧米とのベンチマーキングというのもそこに加えていただきたいと強く思います。これまでどうも東南アジアに売り込むということにすごく力点を置かれているような印象を受けているのですけれども、欧米にも売り込まなければいけないのは明らかですので、もちろんいろいろな努力をこれまでもされてきているのですが、それも数値化していただいて、どういうふうに進んでいるのか、どういうバランスで欧米とアジアを見ていくのかということも検討していただきたいなと思います。
 双方向性ということで4ページに書いていただいているのですが、前半と後半、2つのパラグラフがページのボトムのところにあるのですけれども、何かちょっと違うのではないかなという印象を受けておりまして、先ほどの瀬尾委員のお話にあるような双方向性と、その下に書いてある、もちろんすばらしい取組だとは思うのですが、これはやはりプッシュして日本を理解してもらうということなのですけれども、日本のほうに入ってきてもらうというか、向こうの人たちが入ってきたいと思えるような環境をつくるという方向性も大事なのではないかと思いますので、そういう視点でもう一度考えていただくというか、深く掘り下げた提案をしていただけるとすごくおもしろいのではないかと感じました。

○中村座長
 ありがとうございます。
 政策の目標としては、かつてこの場でも海外向けのコンテンツの売り上げを数年後に1.数兆円延ばしましょうという目標が立てられたこともありますし、コンテンツの売り上げに占める海外市場の比率、アメリカが17%程度あるのに日本は3~5%ぐらいしかなくて低いので、それを高めましょうという議論はありました。
 それを今回また政策目標をきちんとしましょうということで、しかも他の分野、横連携も図って、そちらの拡大を目指しましょうということであれば、もう一度過去に立てた目標や一旦は旗が上がったものを今どういう扱いにしていて、それをどう整理するのかという整理も必要かと思いますので、それも次回までには整理をしておく必要があるかなと思います。
 他にいかがでしょうか。
 はい、どうぞ。

○平副大臣
 今の議論を聞いていますと、やはりしっかり定量的に評価するのが大事なので、J-LOPとかJAPACONとかBEAJとか、いわゆる補正予算で措置しているので、これを安定した予算にすべきだというときに、その定量的な評価がないとなかなか本予算に入ってこない。
 今、政府は地方創生などで約1,800の自治体にKPIとかPDCAと言っていて、市町村レベルでもそういうものを要求しているにもかかわらず政府ができていないという非常に情けない状態になっているので、ミクロとマクロでどういうKPIが適切なのか、あとPDCAを回さないと財務当局と議論にならないから、そういうKPIの設定、どういうKPIがふさわしいのかというのとPDCAを回す仕組みみたいなものは、やはり有識者の方も入れてきちんと議論しないとなかなか先に進めないと思いますので、これは宿題として把握しておいてください。

○中村座長
 ありがとうございます。宿題をいただきました。
 今後これを知財計画に落とし込んでいくわけですけれども、どういう項目を書き込んでいくのかということは、大体は項目は挙がってきたかと思います。問題は、それをどこまで踏み込んでここに書くことができるのか。補正予算を本予算へということを書きたいわけですけれども、それはなかなか壁が厚くて難しいかもしれませんし、そこには担当省庁の名前も明記されますので、それぞれ責任も出てくるということで、ではどこまで我々として書けるのかというのが1つ。
 それはそれで、書いたら今後またこの場で検証・評価するというのが私どもの本望でありますので、調査をして数字を上げるということも含めて我々の任務になってきますので、そのあたりも踏まえて今後の深掘りになってくるかと思います。
 野口さん。

○野口委員
 KPIということで言いますと、非常に重要なことは、KPIを高く設定するということです。よくありがちなのは、KPIを達成できなかったということになると自分の責任問題になるので、確実にできることを狙ってKPIとする、という思考に陥りがちです。そうなっていけばなっていくほど、つまらないプロセスになる、いっそKPIなどやらないほうがよかった、ということになってしまうと思います。弊社では、KPIは高めに設定することが重要だと言われており、KPIが100%達成できたのであれば、それは目標がやさし過ぎたのではないか、と逆に問われるのです。逆に、100%達成できることは相当困難であるような難しい課題をKPIとして設定して、その実現に向かって全力投球することの重要性がよく言われるのです。別にそれをまねせよということを申し上げているわけではないのですけれども、やはりKPIは高めに目標を設定しないと物事が進んでいかないというのは事実だと思います。その上で、評価の段階では、7~8割しか達成できなかった、目標によっては2~3割しか達成できなかったとしても、その達成できなかった要因がどこであるのかということが把握でき、対策が分かれば次につなげていけますので、その過程全体における努力や評価のプロセスこそが大切であり、KPIの達成という結果のみに着目してのでは失敗します。そのためには、KPIのプロセス全体を客観的に評価し、成果が上がれば100%の達成ではなかった点については罰せずに実施していくことが非常に重要かと思います。

○中村座長
 さすがグーグルは厳しいですね。ありがとうございます。
 他にいかがでしょうか。
 後藤さん、お願いします。

○後藤委員
 繰り返しになりますけれども、データで示すというときに、先ほど野口さんもちょっとおっしゃっていましたけれども、物として、形として売れたものだけではなくて、ライセンス収入であるとか、ここは知財の委員会ですから、知財としてどれぐらい収益があったのかということも何とかしてデータにとれないかということを御検討いただきたいと思います。

○中村座長
 ありがとうございます。
 ひとまずよろしいでしょうか。
 ありがとうございました。宿題もありますので、そのあたり関係省庁とも議論をしていただきながら、できるところまで進めていただきたいと思います。
 では、後半戦に入ります。これは2点あります。
 まず「模倣品・海賊版対策」に関する討議については、経済産業省、文部科学省、財務省から、それぞれ取組の説明をお願いしたいと思います。
 まず、経済産業省からお願いいたします。

○経済産業省柏原課長
 経済産業省の柏原でございます。
 お手元の資料3、横長のパワーポイントの「経済産業省におけるマンガ・アニメ海賊版対策の取組について」という資料に沿って簡単に御説明申し上げます。
 まず1枚目で、「マンガ・アニメ海賊版対策」と題しておりますが、当省では昨年、平成25年度の補正予算事業としまして、通称MAGPと呼んでおりますけれども、マンガ・アニメ海賊版対策というプロジェクトを実施してまいりました。この業界で初めて出版業界とアニメ業界のトップが一堂に会しまして、共通の課題に取り組むという「マンガ・アニメ海賊版対策協議会」というものを経済産業省が主導して立ち上げました。
 その中で、左下の表の真ん中ですけれども、昨年は「①海賊版の大規模削除」、この削除のみならず、「②正規版リンク集サイトへの誘導」「③海賊版対策に関する広報・普及啓発活動」という3本を一体として展開をしてまいりました。
 それぞれにつきまして、今後の課題はございますけれども、例えば広報・普及啓発ですと、海賊版はいけない・だめということではなくて、むしろポジティブなメッセージを発して、愛好者の方々を一緒にやろうということで取り込んでいく、そういうコンセプトで実施をいたしまして、広告換算値ベースでも高い成果を上げるなど、一定の成果を出してきているところだと思っております。
 何より、出版・マンガ両業界から、今回初めて一緒になって取り組んでみた中で、大変よかった、モグラたたきの印象がある海賊版対策の中で、潮目が変わったように感じるといったポジティブなコメントをいただいているところでございます。
 今年度でございますけれども、そういった一定の成果を踏まえまして、この①の大規模削除、②の正規版サイトへの誘導、③の広報・普及啓発活動といったところはさらに参加企業を拡大しつつ、基本的には民間ベース、協議会主体で実施をしていただくということで調整をしてございます。
 一方で、国、経産省といたしましては、むしろ周辺対策ですとか、新たな課題として浮上した部分について支援をさせていただいて、全体として一体として取り組んでまいりたいと考えております。
 次のページのCODA(一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構)でございます。この社団法人を通じて、私どもが従来より実施してきております海賊版対策事業でございます。
 今年度につきましても、ここに書いてございます1.から4.までの施策につきまして、関係者と連携しつつ、特に前のページで御説明申し上げましたマンガ・アニメ業界との連携を図りながら進めていく所存でございます。
 特筆すべきは「4.周辺対策」の部分でございますけれども、個々の権利者の権利を行使するという部分ではない周辺の部分で、例えば違法サイトへの広告出稿を停止するように要請していくとか、あるいは検索エンジンに検索結果が表示されないように停止の要請をしていく、侵害対策のフィルタリングをかけていく、あるいはアプリ対策、それからモールでありましたら銀行口座の凍結をしていく、そういったところを従来26年度もやっておりましたけれども、今年度はさらにこの辺を重点的に取り組んでまいりたいと思っているところです。
 簡単ですが、以上でございます。

○中村座長
 ありがとうございました。
 続いて、文部科学省の説明をお願いします。

○文化庁匂坂課長
 文化庁国際課長の匂坂でございます。
 資料4に基づきまして、文化庁における海賊版対策について御説明いたします。
 2ページ目で知財計画2014における記述を抜粋させていただいております。
 その次の3ページ目で「文化庁における海賊版対策関連施策」ということで、全体図を示しております。時間もありませんので、その説明は割愛させていただいて、次ページから具体的に説明させていただきます。
 4ページ目、まず二国間協議でございます。中国とは平成14年度から、韓国との間では平成18年度から、著作権・著作隣接権に関する連携強化のために、政府間協議等を定期的に行っているところでございますが、平成24年度からはインドネシア、マレーシア、タイ、ベトナムと対象を広げております。
 昨年度実施した事業といたしましては、韓国との日韓著作権協議及びフォーラム、ベトナム文化・スポーツ・観光省との間で「著作権・著作隣接権に係る協力に関する覚書」の締結の他、タイ、インドネシア、マレーシアの知財部局と各国における課題や今後の協力について協議を行っております。
 今年度におきましても、引き続き中国、韓国をはじめとしたこれらの国々との二国間協議を進めてまいります。
 5ページ目の「グローバルな著作権侵害への対応」について御説明いたします。侵害発生国におきましては、著作権法制面での権利執行の強化、また、特にASEAN地域におきましては、集中管理制度の整備及び団体の育成が大きな課題になっております。
 これらの課題に対しまして、著作権当局幹部を招聘し、日本の制度についての説明や関係機関の訪問を通じた意見交換を行ったりする他、ASEAN地域における著作権当局や集中管理団体職員などを対象に、集中管理制度整備についての研修を権利者団体の協力を得ながら行っているところでございます。
 昨年度におきますと、9月にインドネシア、マレーシア、タイの集中管理団体職員等を対象に研修を行いました。また、3月にはマレーシアの知財公社の幹部職員を招聘いたしまして、関係機関への訪問を含めた意見交換などを行っております。
 今年度はインドネシア、マレーシア、そして新たにベトナムを対象として、集中管理に関する研修を予定しております。著作権当局幹部の招聘につきましては、インドネシア、ベトナムは一昨年、マレーシアは昨年実施いたしましたので、今年度はタイ商務省知的財産局の幹部職員を招聘することを予定しております。
 また、この他に著作権侵害等に関する実態調査も行っておりまして、昨年度はインドネシアについて調査を実施し、近々結果を公表予定でございます。今年度はマレーシアかベトナムを対象にと考えているところでございます。
 6ページ目のトレーニングセミナーについてでございますが、著作権分野の侵害取締り強化の一環といたしまして、侵害発生国等の税関、警察、裁判所等の職員を対象として実施しております。昨年度は中国、香港、インドネシアなどの8都市で計約450名の参加者を対象に実施しております。今年度はマレーシアなども対象に加える予定でございます。
 下段の「権利行使の支援等」についてでございます。我が国の企業などの権利者が諸外国でスムーズに権利行使ができるよう、権利者向けのハンドブックの作成を今年度新規で行う予定でございます。我が国の権利者が侵害申し立てなどの権利行使する際の支援になるようなハンドブックを目指していきたいと思っております。
 最後のページでございます。ASEAN諸国におきましても、海賊版対策においては、制度整備・強化や権利執行の強化だけではなく、普及啓発活動に対する支援の要望が寄せられています。これを踏まえまして、昨年度はASEANにおける普及啓発活動としてのASEANアニメコンテストへの支援、タイで著作権関係団体等との意見交換の実施、インドネシアでは知的財産総局と共催で大学生等を対象とした著作権普及啓発イベントを開催いたしました。ベトナムでは、著作権に関する教材をベトナム語に訳して提供しております。
 今年度も引き続き、ASEAN諸国のニーズを踏まえて普及啓発事業を実施する予定でございます。
 以上でございます。

○中村座長
 ありがとうございました。
 では続いて、財務省の説明をお願いします。

○財務省米山室長
 財務省の米山と申します。よろしくお願いいたします。
 では、お手元の資料5に基づきまして、財務省・税関におけます模倣品・海賊版対策について御説明させていただきます。
 表紙裏の2ページ目が「平成26年の税関における知的財産侵害物品の差止状況」を示しております。この表の下に書いてございますように、日本の税関では特許権、商標権、著作権・著作隣接権等、幅広い知的財産権を対象に輸出してはならない貨物、または輸入してはならない貨物として、覚醒剤、危険ドラッグ、拳銃と同じようなレベルで、水際で取締りを行ってございます。
 その取締りの実績でございますが、上の四角の枠の中に記載があるとおり、平成26年の税関における輸入差止件数は3万2,000件超と、3年連続で過去最高を記録しております。また、差止点数は、90万点弱でございました。
 また、過去最高を記録したということに関しましては、財務省といたしましては、権利者の方々と財務省・税関で密接に連携をとって、しっかり取り締まったと評価しておりますが、一方ではまだまだ需要があるということで、由々しき事態ということでしっかりと対応していかなければならないと考えているところでございます。
 次に、右のグラフでございますが、どこから来たかということでございます。一目見ておわかりのとおり、中国からのものが9割を占めているということでございまして、この状況を踏まえまして、私どもとしては、中国税関当局に対して、国際会議の場などにおきまして、知財侵害物品の水際取締の強化を要請するとともに、中国税関の職員を含めた途上国税関職員への技術支援も行っているところでございます。
 次のページは、それぞれどんなものが来ているのかを分析したものでございます。知財の侵害物品と申しますと、有名ブランドの偽バッグというのが典型的なものでございますが、最近ではスマートフォンのケースだとか、爪を装飾するために貼るシールにブランドの偽の商標が入っているもの、また、コンピュータのソフトウェアなども来ているところでございます。
 次のページに、具体的にどんなものがあるかということでございます。この右側でございますが、私どもといたしましては、最近偽物の中には国民の皆様方の健康や安全を脅かす危険性がある物品が多々含まれておるということを強調させていただいているところでございます。
 例えば、右下の抱っこひもは、有名ブランドで今大変人気がある抱っこひもなのでございますけれども、このメーカーのホームページによりますと、バックル部分が弱くて、赤ちゃんが急に落ちてしまう可能性があったり、お母さんやお父さんが前にかがむときに赤ちゃんがすぽっと落ちてしまう可能性があるという粗悪なものがまいっております。
 最後に5ページの「財務省・税関における取組み」でございます。
 第1点目といたしましては、これまで御説明した状況を踏まえまして、水際取締りをしっかりと強化していく。具体的には集中取締りを実施したり、権利者の方々から情報をいただきまして、それをもとにしっかりと水際取締りをしていく。また、税関職員が偽物、本物をしっかりと識別できるように、権利者や弁理士の方にも御協力いただいて、真贋識別研修をしっかりしていく。また制度面でもしっかりと権利者の方々の御意見を聞きつつ、利便性向上を図っていくということでございます。
 そして、まだまだ日本には偽物が入ってくるという状況を踏まえまして、広報活動も積極的に展開しているところでございますし、国際的な面におきましても、外務省、経済産業省、文化庁、ジェトロなどとも協力しながら、途上国の取り締まり当局職員に対して協力を実施しているところでございます。
 以上でございます。

○中村座長
 ありがとうございました。
 この分野は、政府もかなり力を入れて仕事をしていいただいているわけですけれども、この件について質問、コメントなどありましたらお出しいただければと思います。いかがでしょう。
 どうぞ。

○宮川委員
 宮川でございます。
 最近も大阪税関の外郵から、毎日のように侵害品侵害品が見つかったということを御連絡いただいて、認定手続を開始する前の打ち合わせをいろいろさせていただいているのですけれども、私が仕事上感じておりますのは、非常に小口で大量の偽造品が入ってきております。例えば1回に5個とか、3個とか、そういうもので来るということで、税関の方もそれを全部取り締まっているのは大変ですし、権利者も5個や3個というものをそのたびに対応させていただいているわけでございますけれども、もっと根本的な対策がとれないのかと思います。税関の方は本当にやれることを一生懸命やってくださっておりますし、メールで写真を送ってくださって、「もう少し見やすい写真ありませんか」とお願いすると、こちらの要望を受け入れていただいて判断資料を送ってくださるので、わざわざ大阪まで私どもが伺わなくても、写真できちんと判断して、非常に迅速に対応できることもあって、そういう意味ではとても助かっているのですが、何といっても手間もかかりますし、それから数量も多いということで、最大の模倣品、海賊版輸出国であります中国に対しましては、現状を踏まえまして、引き続き働きかけを進めていっていただきたいと思っております。
 それから、海外のコンテンツの侵害品に関しても同様に、今の時点で啓蒙あるいは教育、そしていろいろな施策を行うことで、ひどくなってしまう前に早く各国のレベルを上げていっていただき、権利者の方たちが海外で安心して本物を販売していけるようにしていただきたいと思っております。
 最後に、インターネット通販とか、インターネットのダウンロードサイト、海外から日本に向けて発信しているサイトの問題ですが、まだこれは警察で逮捕された段階ですので、どういう結果になるかわかりませんが、最近、FC2というアメリカのネバダ州にある会社で、なかなか日本の警察も手が出せなかったものを日本で実質的に運営している人間がいるということで逮捕されたという報道がありました。
 今回のFC2の場合は日本に足がかりがあるということで、日本の警察が動けることになり何とか対応できますが、外国から日本に向けて海賊版や模倣品を発信しているようなインターネットサイトについては、なかなか法的な対策が難しゅうございますので、その点も引き続き検討していただきますようお願いいたします。

○中村座長
 ありがとうございました。
 他にいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 この海賊版対策で二国間協議、あるいはマルチの協議というのは、これぞ政府の仕事でありまして、ぜひ引き続き強化をお願いしたいと思います。ありがとうございました。
 続いて、最後のアジェンダになります「デジタル・ネットワークの発達に対応した法制度等の基盤整備」に関する討議でございます。
 これについては、文部科学省での取組の説明をお願いします。

○文化庁森課長
 それでは、資料6に基づきまして御説明をさせていただきます。
 知財計画に掲げられた課題についての検討状況でございますけれども、まず1点目として、2ページにございますクラウドサービスと著作権、そしてクリエーターへの対価還元の問題でございます。
 文化庁の審議会におきまして集中的に検討を進めてまいりまして、2ページの一番下にございますように、クラウドサービス等と著作権についての課題につきましては、今年の2月に報告書をまとめたところでございます。
 その概要でございますけれども、3ページにございますように、事業者の方から御要望のあったさまざまなサービスを検討させていただいたわけですけれども、そのうち①にございますロッカー型クラウドサービスにつきましては、このページにございますように2つの観点から4つに分類をして検討いたしました。そして、この4分類で言いますと、左側の配信型というようなコンテンツを事業者側が用意するという形態、また下半分にございますように、コンテンツを多数の者が共有をするという形態については、権利者と事業者の間で契約を結び、ライセンスという形で実施すべきであるということで整理をいたしました。
 一方、右上にございますようなユーザーが用意をしたコンテンツをユーザーのみが使うというサービス形態について議論がございましたので、ここを重点的に検討いたしました。
 その結果が4ページでございますけれども、こうしたサービス形態についてさまざま御意見がございましたけれども、ユーザーが用意をし、ユーザー限りで使うということであれば、基本的にはこういったサービスにおける著作物の利用行為主体は利用者自身であると。したがって、こういった著作物の利用行為については著作権法上の私的使用目的の複製ということで、権利者の許諾なく行うことができるということで一致をいたしたところでございます。したがって、これについての法改正を伴う制度整備の必要性はないというのが結論でございます。
 一方で、こうした範囲を超えるサービスについては許諾が必要になるということになるわけでございますけれども、事業者の方からそうしたサービスの実施に当たっての契約コストを低減してほしいという御要望があったことから、権利者団体の側から集中管理による契約スキームという御提案がございました。
 このスキームについては、契約コストを下げるということで高く評価をされたわけでございますけれども、具体的には5ページにございますように、これまででございますと、上半分にございますように、音楽を使う場合であれば楽曲、レコード、実演等の権利者と契約を結ぶということがそれぞれ必要であったわけでございますけれども、今般の構想といいますのは、下半分にございますように、音楽集中管理センターというものを設置し、ここが権利処理の相談・協議に応じ、ライセンス申請の窓口になるということで、契約処理コストを低減していくという取組でございます。
 現在、権利者団体を中心として検討が進められているところでございまして、文化庁といたしましても、こうした関係者の取組が円滑に進むように必要な協力をしてまいりたいと考えてございます。
 それから、この他事業者の方から検討の御要望がありましたその他のサービスについても検討いたしました。この6ページにあるようなさまざまなサービスでございますけれども、実際にサービスを行っている事業者の方、また関係する権利者の方の意見聴取をし、検討いたしました。
 その結果が7ページで、こうしたいずれのサービスも基本的には著作物の表現を利用者が享受をする、著作物を利用するサービスであるということから、他人が著作権を有するような著作物を利用する場合には、著作権者と契約を結び許諾を得ることが必要であるということとなりました。ただ、一部のサービスについては、方法によっては著作物の表現を享受しないと評価できるサービスもあるとの意見もございましたけれども、こうしたサービスを実際に行っている事業者の方から御意見をお聞きしますと、現行法のもとでできる、あるいは契約によってできるという御意見も表明されたことから、具体的な改正の御要望が示されなかったわけでございます。このため、一番下にございますように、現時点においては法改正を行うに足る明確な立法事実は認められないというところでございます。
 ただ、こうした新しいサービスの発展のためには、円滑なライセンシング体制を構築するということが重要でございますので、関係者の取組の動向を注視いたしますとともに、今後現行法で対応できないニーズが明らかになれば、それを踏まえて検討してまいりたいと考えております。
 8ページのクリエーターへの対価の還元についても、あわせて検討いたしましたけれども、これまでの取組としましては、録音・録画の実態調査などをした上で、関係する権利者から意見表明をいただき、事業者側、使用者側の代表の方と意見交換を行ってきているところでございまして、今年度も引き続き検討を行ってまいりたいと考えております。
 9ページの「電子書籍に対応した出版権の整備」でございます。平成26年の法改正によりまして、出版権制度を電子書籍に対応したものになるように整備をいたしました。この趣旨の周知を知財計画で求められておりましたので、対応状況でございますけれども、文化庁ホームページに改正法の概要、Q&Aなどを掲載し、それとともに関係団体に周知をいたしました。また、関係団体でも出版契約のひな形の作成周知の他、この書籍の活用を促進するための出版情報登録センターの立ち上げに向けた準備、さらには出版社と著作権者の契約を円滑に進め、トラブルを解消するためのADRの設立に向けた取組が進んでいるところでございます。
 最後に10ページの「教育の情報化」でございます。知財計画を踏まえまして、インターネットを活用した教育の情報化に伴う著作権上の課題について審議会での検討課題といたしました。
 まずは教育現場における具体的なニーズを把握した上で検討しようということでございまして、昨年度におきましては、調査研究を実施し、我が国のICT教育における著作物の利用実態、さらに諸外国の制度、運用実態等についての調査を実施しているところでございます。現在その結果の取りまとめ中でございますけれども、今後その結果を踏まえまして、審議会の場で検討を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

○中村座長
 どうもありがとうございました。
 今、説明をしていただいたものは、例えばクラウドでの著作権の明確化とか円滑化とか、そういったものについては、かつてもこの知財本部の場で議論が重ねられて、それが知財計画となって反映をされて、その検討を文化庁でお願いをしてきているという経緯がありまして、現時点でのこのような結論、現時点での検討の状況を挙げていただいているところでございますが、これについて質問、コメントなどありますでしょうか。
 喜連川さん、どうぞ。

○喜連川委員
 ちょっとお伺いしたいのですけれども、理研の問題に始まって早稲田大学のドクター論文の取り消し、東京大学の論文の取り消しというのがどんどん出てきているわけですが、この論文作成の盗作検証支援サービスというのは、先ほどの海賊版とほとんど同じようなものだと思うのですけれども、これは今、東京大学でも他の大学でもほとんどそうですけれども、全部海外のサービスを使っていると思うのですが、このサービスはやはりフェアユースで機動的にそういうビジネスが立ち上がっているのではないかと思うのですけれども、国内のサービスをされておられる方に、先ほどのお話ですと、意見聴取をされて十分やっていけると御返事をいただいた、そういう理解なのでしょうか。

○文化庁森課長
 論文作成・盗作検証支援サービスについてでございますけれども、審議会では、こうしたサービスを実施している事業者の方、今回の審議会で検討すべしと御要請があったサービスを実際にされている事業者の方にお願いをしまして、意見表明をしていただきました。
 その結果、その事業者の方が行っているサービスに関しては、現行法の範囲内でサービスを実施していると。また、現行法を超えるサービスを提供するということになれば、それは必要な権利者と契約を結ぶことによって実施をすることを考えているという御意見の発表がございまして、そうしたことを踏まえて審議会で検討し、整理をしたという経緯でございます。

○喜連川委員
 御質問差し上げていますのは、ほとんど旧帝国大学がサブスクライブされているサービスは海外のサービスだと思うのですが、今の質問に対してのお答えをいただきたいのですけれども。

○文化庁森課長
 実際に審議会で意見を表明していただきましたのは国内の事業者の方でございまして、今御指摘の多くの大学で活用されているという海外の事業者から意見表明をいただいたということではございません。

○喜連川委員
 そうすると、多分カバレッジが非常に少ないのではないのかなという気がするのですね。コンテンツのカバレッジが一番大きなフェアユースのついているアメリカのそういうサービスを利用するというのが当り前になってきているところで、日本の国内サービスというのはそれと同じぐらいのレベルまで達しているという理解でよろしいのでしょうか。

○文化庁森課長
 実際に論文作成・盗作検証支援サービスにおいて、データとしてどういった業者がどの程度のシェアを持っていたというところを私どもは把握をしているわけではございません。
 今回、国内の事業者さんにお声がけをいたしましたのは、もともとこの審議会の検討を開始するきっかけ、経緯といたしまして、国内のさまざまな事業者が新しいサービスを提供しようという場合に、現行、日本の国内における著作権法の解釈適用に必ずしも明確でない点があるということが新しいビジネスを展開しようという事業者さんに抑止効果、萎縮効果が働くという指摘がございましたので、実際にそういった国内の事業者さん、そういったサービスを現に実施し、さらにビジネスを発展させていこうという御意向を持っていらっしゃる事業者さんがどういった問題意識を持っていらっしゃるかということを把握したいということで、国内の事業者さんにお声がけをしたという経緯でございます。

○喜連川委員
 カバレッジが高くなかったら誰も利用できないですので、そういう観点で御検討をいただけると大変ありがたい。実質的に、どこの大学もやはり一番ここが今ヘッドエイクなのですね。しかも、中国は教育上悪いことだと思っていない場合が非常に多いわけですので、すごく大変で、それを国内にいる外国の留学生に対してもそういう教育をいかにするかというのは結構しんどい話にもなっています。ちょっと細かくなりますが、検索エンジンが導入するのにものすごく時間がかかって、それで日本のビジネスがほとんどクラッシュしたわけですね。技術はグーグルと対して変わらなかった、同じレベルまでいっているのにもかかわらず、ビジネスができなかったと。この学術コンテンツというのは、今後オープンサイエンスをやる上で極めて重要な国家のキードライバーになりますので、ここに関しては、産業育成の面からぜひ一歩フェアユース的なものを御配慮いただけると、機動的な動きができるという意味で重要だと理解しております。
 もう一つは、ITによるエデュケーションの問題なのですけれども、これに関しましても、現行の著作権法上では同報通信のみということで、いわゆるオンデマンド系に関しましてはほとんど配慮されていないのは極めて大きな問題ではないかということは、昨年度随分御指摘させていただいたとおりだと思うのですけれども、ここに関しましては、どうなっていると理解すればよろしいのでしょうか。

○文化庁森課長
 教育の情報化につきましては、10ページに若干書かせていただきましたけれども、まず我が国におけるICT活用教育における著作物の利用の実態を把握するための調査をしているところでございます。今、御指摘がございましたように、著作権法では、対面の授業、そしてその対面の授業と同時に行われる異なる場所への送信といったことについては権利制限が認められているわけでございます。実態調査の結果でございますけれども、いろいろとアンケート調査なりヒアリングを行いますと、そうした使用形態にとどまらず、オンデマンドによる配信であるとか、あるいは教材を教員間で共有するといった取組であるとか、さまざま取組が進められておりまして、現行の著作権法でカバーできない部分については、契約をして活用したり、あるいはそういった処理が必要ないように、他人が著作権を有するような著作物の利用を控えるといった実態もあるということが今挙がってきているところでございます。そういった実態を踏まえて、今後しっかりと検討してまいりたいと考えているところでございます。

○喜連川委員
 ぜひ積極的にお考えいただければありがたいと思います。イギリスはもう5歳からIT教育を始めています。イスラエルも非常に早い時期からのIT教育をやっています。これが国力の源泉になっておりますので、こういうところで足かせにならず、MOOCもxMOOC からcMOOCに動いています。そういうITの30年間で100万倍の変化というものに匹敵するように、法整備をできるだけアジャイルに動いていただければと思います。ありがとうございます。

○中村座長
 今の喜連川委員の御指摘、前段のクラウドのところは、もともと同じようなクラウドサービスを提供するのに、アメリカはフェアユースがあってどんどんできるのに、日本は著作権制度がネックになって立ち上がらない、これをどうするのかというのが議論の出発点でありました。文化庁のほうで著作権制度の観点でいろいろと議論をしていただいて、現時点での結論はこうやって出ているのですけれども、それがこの知財本部ではより広い、産業政策も含めてどうすべきかというところで、これでいいのかというのは我々として引き受けてもう一度議論をする必要があろうかと思いますというのが1つ。
 それから、教育の情報化については、私からも補足をしますと、デジタル教科書を正規教科書にしようとすると、3つの法律改正が必要になっておりまして、学校教育法と教科書発行法と著作権法の3つの定義をデジタルを含むという形で改めないといけないのですけれども、この検討は前回の知財計画において2016年度までに検討を得て必要な措置という年次が切られたというところで一歩前進なのですが、私の個人的な意見としては非常に遅いと思います。これをきちんと検討しますというのが明記されたのが2012年の知財計画のことですので、3年たっておりまして、まだきちんと検討が始まっていないという状況ですので、私からもこれを強くスピードアップをして、制度的な措置をとっていただけるようにお願いしたいと思います。
 他にいかがでしょうか。
 はい、野口さん。

○野口委員
 今のお話が本当に象徴的だと思うのですけれども、著作権の例外規定というのは、幾つかの複雑な要素が一つに入っているものだと思います。その要素の一つに、経済的外部効果、特にプラスの外部効果があり、教育などはその最たるものだと思います。もちろん一方でライセンスをして契約をすれば、きちんとした権利者の意思が反映された契約条件なり、対価が得られるということはあると思うのですが、その一方で、それに時間がかかればかかるほど、我々国民がより時代に適した教育を受けるというプラスの効果を失われるわけでありまして、政策的にどちらを優先するのかというと語弊があるかもしれませんけれども、そこを政策的に考えていくというのがまさに政策の肝であると思います。
 そういう意味で、今の審議会はどうしてもステークホルダーの皆様を一堂に集めてコンセンサスを得ていくという運営の仕方をしているので、反対をする方がいると、機動的に決定をするということがなかなか難しいというところが構造的にあると思うのですけれども、そのコンセンサスを得ることに長い時間を使っていて、国にとって重要な決断が迅速にできないということは、本当に問題だと思います。そういう意味では、例えば、教育の文脈でも、日本において、教材が紙であるかデジタルであるかという議論をしている間に、世界では、教育のあり方はどうなのかとか、いろいろな先の議論が起こっていると理解をしています。例えば、フリップド・クラスルームと言って、家でデジタル教材で予習してきて、わからなかったところを授業で先生に聞くというスタイル、つまり、授業を家で受けて、復習を先生のいる教室で行うほうが学習効果が高いのではないか、デジタル教材であれば、どこで子供が躓いているかもすぐに把握できて先生も教えやすい、教室でも子供同士で教え合うとか、いろいろな形で教育のあり方が発展しています。人工知能が二千何年には人間の知能を超えるということを言われている中で、人間に今後求められる能力というのは何かということも含めて、教育の世界では議論をすべきであって、その大前提に、教育に使える情報としてこの教科書などの議論があるのだと思うのですけれども、日本ではその議論の入り口のところで躓いていて、その問題を解決するのに3年も4年もかかって結論が出ないということでは非常にゆゆしい問題ではないかと思っています。
 そこを突き詰めると、立法事実の捉え方の問題になるのかもしれません。数年前に日本版フェアユース、つまり一般例外規定の導入の話があったのですけれども、あのときも立法事実はあるのかないのかということが最終的に非常に重視されました。立法事実をきちんと詰めるということはとても重要なことで、もちろんニーズのないところに無駄な法律をつくっていくということはよくないことですので、そこを考えるということはとても重要なプロセスなのですけれども、例えば教育であっても、クラウドであっても、先ほど喜連川先生の御指摘のあった論文も含めた新しいサービスであっても、それはニーズがあるからこそそれが議論の場に出てきているのにもかかわらず、政府の審議会なり内閣法制局なりが捉える、いわゆる鍵括弧つきの「立法事実」という定義に当てはまらないということで、必要なニーズが立法対応からこぼれていくというのはどうなのだろうかということについては、問題意識を持っております。例えば、新しく出てくるサービスに迅速に対応するといったような、非常に抽象的なレベルであっても、それは十分に立法事実にならないのかということです。今のように、新しいサービスとはどういうサービスですか、ということを挙げていって、それぞれのどういうサービスがそれぞれ今どういう課題に直面しているのでしょうかと、その事業者の方が契約できますとおっしゃったからいらないです、といったような、個別具体的なサービスの内容に立法事実を押し込めていくと、イノベーティブな国には絶対なれない気がするのですね。そこのところをもう少し大きな観点で捉えていただければいいなと思っております。

○中村座長
 ありがとうございます。
 はい、瀬尾さん。

○瀬尾委員
 私も審議会を10年以上出させていただいて、いろいろ議論をさせていただいて、今、野口さんが隣で言われて、痛いですけれども、ちょっと幾つかあります。
 まず最初のクラウドサービスから始まったこの中なのですけれども、確かにこの1つの検討結果のメディア変換サービス、特にこのアナログからデジタルの時代に変わっている状況、例えば映像だけにしてもVHS、ベータ、LD、DVD、ブルーレイとどんどん変わってきている中で、全くメディア変換というのができない、見られなくなってしまうものがあるという時代に特別なことが考えられてもいいのかなと思いますが、一番問題なのは、やはり前から話がでている孤児作品に結びつきますけれども、契約したくても相手がわからない場合、これはメディア変換ができないし、相手から許諾がとれないということなので、私はここら辺は本当の意味での孤児作品対策というのをどうしていくかということでかなりの部分は改善するかと思っております。
 「(2)クリエーターへの適切な対価還元」ということで、最高裁の判決とかいろいろなことも含めてございますけれども、ただ1つだけ私がここで申し上げたいのは、個人の財産の権利を国が制約するわけなので、個人のお金を国が制約することの意味というのは非常に重いということ。例えば、国のために個人は財産を供出しなさいということを本人たちがどこまで納得してどうするのかということは根本的にあると思っていただきたい。これは単純に国の施策なので、個人は個人的財産を投げ出すべきであると、単純にそうはならないのではないかなと思います。
 ただ、ここにある問題は、前にあります録音・録画という昔からのものなのですけれども、今は家庭の中でどんなものでも完全な複製に近いものがどんどんできます。つまり30条という私的制限はものすごく大きいのですね。私は世界的に最も大きな権利制限ではないかと思っているのですけれども、家の中ならやり放題というのはすごいなと思います。昔は複写でも何でも大してできなかったからこういうことがあったでしょうし、把握できないし、課金できなかったからこういうのがあります。ただ、この状態になったときには、単純に私はこの録音・録画の補償金制度の問題はこのままではなくて、もっと違ったたくさんのステークホルダーがいるべきだと思います。
 例えば、権利者仲間でもよく話しますけれども、どんなものでも、本でも丸ごと家の中で簡単にコピーができてしまう時代になります。そういう機械も出てきています。そうしたら、例えば図書館で本を借りてきて、お家で丸ごと電子データにして、そしてその本を1日で返したら、図書館の無料貸し出し制度というのは根本的に崩壊するのではないでしょうか。出版社はそれで生き残れるのでしょうか。いろいろな問題が出てきています。これに対応するための制度が30条に対してどう対応するかという問題だと思います。ですので、これについては、これまでの議論の経緯も若干伝聞で伺っていますけれども、今までのような考え方をするのではなくて、基本的な再構築をして、新しいデジタルの時代の家庭内でどう便利に使ったらいいかという問題についてお考えいただきたい。
 また、さらに1つ言いますと、この議論は相当急がないと、前の補償金の金額で言いますと、年間で40~60億の補償金があったわけですね。それが今はゼロです。複製がなくなったからゼロなのかというと、そうではないです。つまり、この場合は録音・録画の権利者の皆さんですけれども、年間60億円ずつもう10年ぐらい損しているのですね。これが決まらないことによって600億円、権利者ははっきりって損害を受けているのです。この事実というものは決して軽いものではないし、軽い金額ではないと思います。
 ですので、私はこの問題というのは少なくとも早急に検討して、これまでとまた違った枠組みの中で新しい時代の中での何らかのものが必要かなと思っております。
 あともう一つは、フェアユースという言葉が出て、皆さんアメリカのフェアユースというのを非常にイメージされておっしゃっているのはわかるのですけれども、日本でフェアユースと言うと、いろいろな思惑が今動いていることがあって、私はアメリカのフェアユースという法律はわかりますけれども、日本では単純にフェアユースというよりも、何かもうちょっと違う言い方をして、日本的なのりしろのある法律論みたいなものでいかないと、何となく先入観でまずオミットされてしまう。これは実感でございますけれども、そういうこともございますので、もっと日本の実態に即した日本の法律として諸外国を鑑みながら、制定するときに何らかの制度と法律を考えることは結構ですが、きちんとそういう事実を踏まえた上で、早急にかつ個人の財産に関する制約であるということを御理解いただいて、進めていただけたらと思います。
 以上です。

○中村座長
 ありがとうございました。さまざまなアジェンダについての皆さんからのコメントといいますか、論点が大体出てきたかと思いますので、今後これを次の知財計画にどう落とし込んでいくのか、どこまで踏み込むのか、明確化するのかということを事務局サイドでまた整理をしていただければと思いますし、宿題もいただきましたので検討していただければと思います。
 いろいろと議論がありましたけれども、最後にまた平副大臣から総括をいただければと思います。

○平副大臣
 活発な御議論をいただきましてありがとうございました。
 アーカイブについてもいろいろ御議論いただきましたが、統合ポータルの構築などもやはりちゃんと使ってもらえる仕組みをあわせてしっかり考えないといけないと思います。
 コンテンツの海外展開については、先ほど申し上げましたけれども、定量的評価とPDCAの仕組みは本当に重要だなと思っております。後藤委員からも指摘がありましたけれども、政府も経済の指標をそろそろGDPではなくてGNIにしようという話になっているので、著作権も入ってくるお金をトータルで評価できるような仕組みをやはり考える必要があるのだろうなと思っております。
 本日いただきました貴重な御意見は、知的財産推進計画2015や成長戦略の策定に生かしていきたいと思います。引き続きどうぞよろしくお願いします。今日はありがとうございました。

○中村座長
 では、次回の会合について事務局から連絡をお願いします。

○中野参事官補佐
 次回委員会ですが、5月下旬にこれまでの議論を踏まえ、事務局において取りまとめた知財計画2015の骨子ということで御議論をいただく予定でございます。コンテンツだけでなく、競争力も含めた議論と次回はさせていただく予定です。詳細は、決まり次第事務局よりまた御連絡させていただきます。

○中村座長
 これにて閉会いたします。
 どうもありがとうございました。