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第8回 権利保護基盤の強化に関する専門調査会 議事録 | ||
1. | 日 時: | 平成16年5月7日(金)10:00〜12:00 |
2. | 場 所: | 知的財産戦略推進事務局内会議室 |
3. | 出席者: | |
【委員】 | 阿部会長、伊藤委員、久保利委員、下坂委員、高林委員、竹田委員、中川委員、野間口委員、吉野委員 | |
【本部員】 | 中山本部員 | |
【事務局】 | 荒井事務局長、小島事務局次長 | |
4. | 議事 | |
(1) | 開会 | |
(2) | 模倣品・海賊版対策の強化について | |
(3) | 知的財産の関連人材の育成について | |
(4) | 閉会 |
○阿部会長 それでは、皆さんにお集まりいただきましたので、少し早いですが、第8回の専門調査会を開催させていただきます。御多忙中のところをお集まりいただきましてありがとうございました。以後、座ったまま進行させていただきます。
○小島事務局次長 それでは、資料1に沿いまして、御説明をいたします。資料1「模倣品・海賊版対策の強化について(とりまとめ)(案)」でございます。
○阿部会長 ありがとうございました。各委員の御発言を基に大分整理が進んだというふうに思いますが、章ごとに確認をさせていただきたいと思います。
○野間口委員 3ページ目の(2)のBですが、私、4月の初めに北京に行きまして、ここで報告いただいたJETROの北京事務所、対策室を訪問したんですけれども、「おーいお茶」とか「十六茶」から電気製品、オートバイまで、あらゆる範囲にわたっております。その国自身が何とかしようとする動きが今少しずつ出ており、こういう形でそれを強力にサポートするという取り組みが大変重要かと思いますので、是非ここも主官庁と言いますか、外務省か経済産業省かは知りませんけれども、中心になるところを決めていただいて、取り組んでいただきたいと思います。このアンダーラインは主にやるところですね。
○阿部会長 どこかに経済産業省と書いたところがありましたけれども、この点については。 ○小島事務局次長 原案を作成した段階では、これはあらゆるルートで、あらゆる形でやった方がよかろうということで、特に主官庁を決めていないわけですけれども、リーダーシップを取ってこういうことを進めるという意味では必要かとも思いますので、関係省庁と相談して、そういう形にしたいと思います。 ○阿部会長 ありがとうございました。事務局の方でよろしくお願いします。ほかの点はいかがでしょうか。
○藤原財務省関税局審議官 藤原でございます。前回に引き続きまして、また、このような場で意見を申し述べさせていただく機会を与えられまして、大変ありがとうございます。 先ほど事務局の方から御説明がございましたけれども、これにつきましては、1つは、仮処分命令があった場合の税関長の侵害認定との関係など、今後、慎重な検討を要する事項も含まれておりますけれども、本日は時間も限られておりますので、2点に絞りまして、申し述べさせていただきたいと思います。
○阿部会長 ありがとうございました。今、要約をさせていただきますと2つ、新しい審議機関をつくることについてと、個人輸入についての御発言であります。何か委員の先生方、御意見をどうぞ。 ○竹田委員 今の2点について、私の意見と疑問を述べさせていただきます。
だから、設けるとしたら、かなりな要件を厳しく設定しないと、簡単に模倣品の個人所持は不当だからと言って、すぐに立法措置を講ずるところにはいけないのではないか。そこはもう少し慎重に対応すべきだし、その点の表現が何か入ってしかるべきではないかと思います。
○阿部会長 ありがとうございました。2点について、藤原審議官の御発言にかなり近い御意見もあったわけですが、どうですか。事務局という話も出ましたけれども。 ○小島事務局次長 事務局の方で委員の方々を回ったところでは、権利法で対処すべきという御意見と、関税定率法でという両方の御意見があったことから、今のような形に整理しております。 ○阿部会長 それは後者の方ですね。個人の方ですね。 ○小島事務局次長 個人の方です。(11)(12)(14)の関連の商標権のところですが、権利法で対処すべきという御意見と、関税定率法で対処すべきする御意見と、それから、その組み合わせで対処すべきという御意見と、いろいろ御意見がありましたので、それぞれについてどれが適当かというのを今後検討していただいて、ベストミックスと言いますか、1つになるかもわかりませんけれども、それで決めればいいということで、権利法と関税定率法との関係法律について検討し、必要に応じ制度改正するということで、ここで整理させていただいたものです。また、いろいろな組み合わせが考えられ得るので、1つの場合もあるし、組み合わせの場合もあるということで、そこはそういうことで並べて整理しているという趣旨でございます。 ○竹田委員 今のでははっきり言って答えにならないと思うんです。つまり、商標法は全くいじらないで、関税定率法だけ改正して、個人の模倣品所持を水際措置で排除することが立法的に可能なんですか。それが疑問だから、お尋ねしているわけなんです。 ○小島事務局次長 そういう御意見もあったものですので、また、可能だという御意見もあったので、その点も含めて今後検討してということだと思います。 ○高林委員 私は、関税定率法1本だという説を取ったつもりはありませんけれども、必ずしも国内における商標権侵害品でなければ、水際で止められないというふうには考えておりません。わいせつ物等と同じように刑法上の概念と関税定率法の概念を分けるという議論ができるかどうかもわかりませんし、わいせつ物に関する最高裁の判例がどのような射程範囲なのかも問題があろうかとは思います。けれども、今、竹田委員がおっしゃったとおり、商標法の中だけであれば非常な限定を加えていかなければなりません。一般的に業としてでない商標の使用も全部商標権侵害だと言っていくのは難しいだろうと思いますので、著作権の場合に、侵害品を知って所持して、更にそれを譲渡するとかのいわゆる間接侵害の場合と同じような規定を商標法に置くとか、その辺をぎりぎりやっていくということが1つ考えられるし、それができない場合に、そのぎりぎりのところで水際だけで差止めるということも私は不可能ではないのではないかと思っております。 ○久保利委員 要するに、8ページの(14)のところで、必要に応じ、商標法、関税定率法等の関係法律を改正するなど云々とというところが今議論されているわけですね。私はどちらかというと、少なくともニセ物の認識を持って商標権侵害品を持っているというものについては、規制をするべきだと思います。だまされて、真正品だと思って偽物をつかまされている人は被害者なわけですから、その人が持っていることを処罰するということは本来おかしな話で、むしろ詐欺の被害者と言うべきなんで、それは別です。そういうふうに考えていくと、商標法を含めて関税定率法等を制度整備するんだというのであれば、決して間違いではないのではないか。
○阿部会長 ありがとうございました。どうぞ。 ○藤原審議官 事実関係のところだけ御説明申し上げます。
○阿部会長 どうぞ。 ○中山本部員 (E)の税関内審議機関、私は、個人的にはこれはなくてもいいというか、かえって非効率になると思うんですけれども、仮に置くとしても、この文章だと一体何を置くのかわからない。例えば、山田委員の意見を見てみますと、裁判所は、どうもお金がかかって大変だ、時間もかかって大変だから、何か簡単にやってくれる行政機関を置いてほしいという趣旨だと思うんですけれども、しかし、ここでやることは侵害認定なんですね。したがって、裁判所と違うことをやっては逆に困るわけで、結局、もしそこで審議機関を置くとすれば、民訴のような重い手続を行わない限りは侵害認定できないんですね。結局二重になってしまうというだけで、これは一体どういうことなのか、職権でやろうというのか、それとも裁判所と同じことをここでやろうというのか、その辺をきちんと書かないと、ここの文章を読んだだけでは、一体何をやるのかというのがわからない。場合によっては、何か役所が出ていって、勝手に侵害を証拠調べしてくれ判断してくれ非常にいい機関であるという誤解も与えかねない。
○阿部会長 独立性の高い審議機関については、いろいろ御意見がありますが、これは是非置くべきであるという御意見は、どうぞ。 ○下坂委員 是非というところまで強くは言っていないんですが、(E)は、当初、ITCのようなものということで御提案をさせていただきまして、その変形でだんだん弱まってきているというふうに考えられるんですけれども、Aは現行法上できることで、Bは今後是非進めていただきたいと思っておりますし、CはAの延長線上にあるもので、これも現在おやりいただいていると聞いております。そうしますと、結局A、Cのみでは余り現状と変わるところがない。それから税関の方、これらに沿って誠心誠意おやりいただいているという点は非常に高く評価しているところではございますけれども、この際Fだけでなく、行政側の手続整備というものも体系見直しの上では必須ではないかと思っております。 それで、このEのところも含めて、ここでは、今、中山本部員がおっしゃったような司法手続との重複や、費用対効果等の問題を指摘する意見があるということは承知しておりますし、更に慎重な検討が必要であるということも述べられておりますので、御検討いただけるという前提でD、Eというのは、行政側の手続整備という意味、もしくは体系見直しという意味で、是非お残しいただきたいというふうに考えております。 ○阿部会長 とりあえずよろしいですか。ほかの委員の方で、是非この審議機関を設けるべきだと、あるいはそういう方向の御意見の方は。 ○久保利委員 私も趣旨としては同じ意見です。 ○阿部会長 わかりました。そうしたら、中山先生の御意見もこれだけでは中身がわからぬということですから、検討していただくのは構わないですね。 ○中山本部員 勿論いいんですけれども、一応提案として案として出す以上は中身がわかるような案にしていただかないと困るのではないかと、こういう意見です。 ○阿部会長 それはどうですか、事務局はどの辺まで。 ○小島事務局次長 先ほど下坂委員から御発言がありましたように、経緯的にはアメリカのITCのようなものをという議論がなされたわけですが、米国ITCのような準司法的機関ということですが、この場を始めとして、米国型のITCということについては、非常に違和感を覚える方が多かったので、だんだんトーンダウンしていったわけでございます。そういうことでいろんなことが消えているので、説明的に書くということは問題ないと思います。その上で、ここでの議論を踏まえて更に慎重な検討をしていただくということだと思います。 ○中山本部員 私の言っているのは、経時的な説明ではなくて、トーンダウンしてしまったら、民事と同じことをえらく簡単な簡略な行政手続でやってしまうと、そのことの整合性とか、そういうことを書いてほしい。こういう理由でこうなったということではなくて中身です。 ○阿部会長 そういう御意見だということですけれども。 ○小島事務局次長 したがって、準司法的な手続をやるという機関だと、準司法的な手続を持った独立性の高い審議機関だということを書くという趣旨です。 ○中山本部員 民事と同じようなことをここでやるという趣旨なんですか。 ○小島事務局次長 準司法的な手続ということであり、民訴と同じというかどうかは別にして。 ○中山本部員 基本的には当事者が訴えを提起して、当事者主義で証拠も出して、職権主義は採用しないということですね。 ○小島事務局次長 行政手続としてやるということでございます。その行政手続に対するニーズがあるということで、今も、御意見がありましたように。だから民訴を、訴訟をやるのではなくて、行政手続の中で準司法的な手続でやるということが、ここの(E)の趣旨でございます。 ○中山本部員 恐らく、行政でやってほしいというのは、もっと簡略に官庁が何か証拠調べして、もっと自分はお金も時間もかけないでやってほしいという意見ではないかと思うんです。それができるかどうかという議論なんです。一方で裁判という民事があって、それと同じことを、そんな簡略な手続でやってどういう意味があるか、整合性があるかと、そのことをきちんと書かないと提案にならないんじゃないかという意見なんですけれども。 ○中川委員 山田委員がおっしゃっている裁判所の敷居が高いというのは、恐らくまさに裁判所よりも使いやすくあってほしいということだと思うんです。提案者には、今ある侵害認定手続とEがどう違うのかということを、まず御説明いただいて、その上で、なお裁判所よりも使いやすいんだという説明があるとEのイメージがよくわかるんです。準司法的手続だというだけでは、恐らく裁判所に比べて変わらない、今の公正取引委員会なんかもそうですけれども、えらく時間がかかりますし、恐らく弁護士さんに頼まなければいけないというので、余り変わらないんじゃないかなという気がします。 ○中山本部員 ちなみに、アメリカのITCだって、ものすごい金もかかるし、この前あるアメリカの専門にやっている弁護士に聞いたらば、30人か40人ぐらい弁護士をそろえて一挙にやらなければいけないと、時間が短いだけに大量な弁護士を投入してやるということでした。つまり侵害事件ですから、簡単にできない、簡単にやるということは、どっちかに不利になるということですから。 ○阿部会長 今日の段階で、今、先生がおっしゃったようなことも含めて、具体的な議論をするのは時間がないんです。ですから、そういうことを含めて検討してもらうのはだめですか。しかし、これを消してしまうのは、まずいと思うんです。いろんな御意見がありますから、消してしまうわけにはいかないので。 ○中山本部員 提案者はどういうイメージでいるかと。 ○阿部会長 ですから、そういうことも含めて、現実的に先生が言われたようなことも含めて検討してもらうのはだめですか、そうじゃないと消さなければいけないことになります。 ○下坂委員 是非お願いしたいと思います。 ○阿部会長 先生、何か御意見ありますか。 |
○伊藤委員 ここはいろいろな御意見があって、恐らく今の会長の御発言もそれを踏まえたものと理解します。私は、こういう考え方が述べられたことはありますから、これはこれでいいと思うんです。ただ、中山さんが言われたのは、意見の趣旨としては、むしろ簡易に迅速な救済に重点が置かれていたのではないかということです。ですから、ここの2行で書かれていることに付け加えて、簡易、迅速な救済を実現するためとか、そういった文言を入れていただければいいのではないでしょうか。 ○阿部会長 今の伊藤委員の御提案はいかがでしょうか。それで、検討してもらうことですから、設けるということの少し手前になるかもしれませんけれども、どうですかそういうことで、そこで中山先生が言われたようなことをよく議論していただくと。 ○久保利委員 結構じゃないですか、今の伊藤先生のお話で結構だと思います。 ○阿部会長 いいですか。 ○久保利委員 はい。私も中山先生とそんなに違っているわけではなくて、「そんなものがあるか」と先生はおっしゃっていて、「あるんじゃないの」と私は言っているわけで、あるかないかをよく検討した上で、こういうものができますよというのだったら、それでよろしいということだと思います。 ○阿部会長 では、そういうことで整理をさせていただくことにいたしたいと思います。 それから8ページに移っていいでしょうか。 ○中川委員 6ページでまだ議論を。特に今日は議論になっていませんが、Fの仮処分のところですけれども、今から申し上げることは最近2〜3日前に事務局にお伝えしたばかりなので、今まで出ていない論点かと思います。仮処分があったからといって、それに基づいて税関がクロ認定するのではなくて、むしろ問題は解放請求権が発生した後でもまだ止める方法はないのかということだと思います。仮処分が出たんだから、税関ではまだ侵害認定をやっているんだけれども、かなり日数がたって、解放請求権が発生しているという事態にどう対応するかです。しかし、仮処分が出ているんだから、ある種の共助という言葉を使っていいのかわかりませんけれども、裁判所がそう言っているんだから、税関で止めるだけ止めましょうというような制度づくりはできないものでしょうか。とりまとめ案では仮処分の侵害認定部分に基づいてクロ認定というふうに話が行っていますけれども、むしろ仮処分の保全の必要があると、つまり輸入禁止に仮にしておく必要があるという部分をとらえて、税関でもクロ認定までするのではなく、通関をもう少し止めましょうというふうな仕組みにした方がよりすっきりするんではないかなという気がしていまして、やはり仮処分は所詮仮処分ですので、仮の権利侵害の判断にすぎないものに基づいて、行政としては最終決定であるクロ認定というのは、ちょっとバランスが悪いような気がします。論点をずらした方がいいのかなと。もしかしたら、民事保全の観点からおかしいという御指摘があるかもしれませんが、もう少しそういうふうな幅を持たせた案にした方がいいんではないかなと考えました。 ○阿部会長 今の御提案について、いかがでしょうか。 ○高林委員 私もそのような考えを持っております。とりまとめ案中にそういう言葉を入れるべきと提案するわけではありませんが、一応仮処分というのは暫定的な命令ですので、仮処分のみで最終的に廃棄とかの手続きまで進むというのでは、むしろ、先ほどのお話のように、裁判手続が長くかかるとか、慎重審理になってしまうということにつながるように思います。ですから、あくまで暫定的な措置であるということで押さえておけば、仮処分自体の手続も簡略してやっていけるのではないかと思っております。
○阿部会長 ありがとうございました。いかがでしょうか。 ○高林委員 それから、細かい言葉の問題なのですけれども、7ページの。 ○阿部会長 今のところについていかがでしょうか。何か、これは非常にふわっと書いてあるんですね。仮処分命令と侵害認定の法的関係についてさせに検討する必要があると言っているわけですから。 ○竹田委員 多分、ここのところを詰めていくといろいろな意見が出てきてしまうから、その点は最終的には審議会でいろいろ議論するんでしょうから、そこに委ねましょうということで、私の意見は今まで言ってきたので繰り返しませんけれども、このような形にしておけば、できるだけの総意を盛り込むことになるので、ここは私は原案でいいのではないかと思っています。 ○阿部会長 では、今いろいろ御意見があったことを、きちんと記録にとどめておいて、今後の検討に役立てていただくということで、では高林委員、7ページを。 ○高林委員 11と12を比較しますと、先ほど審議官からお話がありましたが、11の方は一旦切除すると書いてあるんですけれども、これは一旦という趣旨というのは、一旦切除した後でくっ付けるという意味がここに入っているように読めるんですね。
○小島事務局次長 余り深い意味はありません。 ○高林委員 一旦というのは、なんか後からくっ付けますよという趣旨があるように見えますけれども、先ほどの話でマーク自体は、そもそも今でも焼却してしまうというか、没収してしまうということですね。 ○阿部会長 12と同じように書くと何か問題があるんですか。 ○荒井事務局長 では取ります。 ○久保利委員 一旦というのは、脱法行為に立ったときでしょう、一旦切除をしておいて通関させてしまうという脱法行為。 ○高林委員 12も同じですよ。 ○久保利委員 だから、一旦でなかったら脱法行為でないということになってしまうから。 ○高林委員 それはこの趣旨としては、税関の手続に入る際には両方くっ付いていて、それを外したと、前回久保利委員がおっしゃったとおり、まさに脱法行為的なものだから、ここで押さえてあるという趣旨と私は理解しました。ですから、一旦であれ、何であれ、外したものはだめだという趣旨なのかなと思いましたけれども。 ○久保利委員 一旦は要らないでしょうね。 ○阿部会長 ありがとうございました。それでは、8ページに移っていいでしょうか。 ○中山本部員 7ページでよろしいでしょうか。 ○阿部会長 どうぞ。 ○中山本部員 13番です。この形態模倣の取締強化の意味がよくわからないんですけれども、この文章というのは、関税定率法21条に不競法違反の物品を入れるという趣旨ですか。すると、不競法自体の、例えば形態模倣の期間を3年から5年に変えるとか、そういう強化も含むんですか。それとも両方なんですか。 ○小島事務局次長 13は、この冒用とか、混同を惹起する製品の輸入取締等の問題です。 ○中山本部員 ということは、つまり関定法21条に不競法を加えるという趣旨ですか。 ○小島事務局次長 趣旨はそういうことです。これは不競法及び関定法と書いてあるのは、関定法で税関で止めるためには、不競法で禁止措置が講じられる必要があるというこです。 ○中山本部員 講じられているわけです。 ○竹田委員 ですから、中山先生の言うとおりだと思います。不競法の3年の期間を、例えば5年にするとか、保護を強化することと、それから関税定率法の禁制品に不正競争行為に当たるものも禁制品としする両方の面から検討しましょうというのが、この趣旨だと思いますけれども。 ○小島事務局次長 この趣旨は、特許法及び関定法を入れた趣旨は、冒用製品なんかの規制といいますか、あれは不競法に入っているんですが、刑事罰の対象にはなっていませんね。混同惹起製品、冒用製品については。刑事罰を入れるということです。 ○中山本部員 なっているのもあるんです。形態模倣と著名表示はなっていないけれども、周知表示の混同はなっている。 ○小宮経産省知的財産政策室長 これも中山先生御存じのことですけれども、1号しか刑事罰が入っていないわけですが、関定法で禁制品にするためには、国内法で刑事罰がかかっていることが条件になっていまして、したがって、前回の種苗法を改正して、刑事罰を入れて禁制品にもしたということは、去年の改正でやっていますが、同様に、ここに書いてある意味は、例えば形態模倣品の2条1項3号についても刑事罰を導入した上で関税定率法を改正して禁制品にするということを意味しています。 ○中山本部員 それならそれをはっきり書いていただきたい。これはものすごい大問題です。これに刑事罰を加えるということは、学界を挙げて大議論になりますので、それならそれをはっきり書いてください。そうしないと何を言っているかわからない。その上で検討が必要であるというのならわかりますけれども。 ○竹田委員 私の記憶でも、そういう形でこれをやるという議論が、今までなされていないような気がするんですね。そういうことを検討するというのであればそのように書いていただきたい。 ○中山本部員 形態模倣とか、著名表示を刑事罰を入れるとなったら、これは大変な、特に著名表示は範囲が広いですから、大変ですよ、恐らく困る業界はいっぱい出てくると思いますけれども、それを議論して、なおかつもっと検討が必要だというのなら勿論入れてもいいんですけれども、竹田委員のおっしゃったように、刑事罰について1回も議論した記憶がないと思いますけれども。 ○小島事務局次長 ここの形態模倣品や著名、混同惹起製品の取締強化というのは、(13)のところはこれまでもあって、このように書いてあったんですが、ここの場で刑事罰のところまでは特に議論がなかったということは確かです。
○阿部会長 これはどうなんですか、表現を改めればいいんですか。 ○中山本部員 大問題過ぎるんではないかと思うんですけれども。 ○下坂委員 それも含めて大問題を認識されていないから。 ○中山本部員 この推進計画に、意見が出たから全部入れよと、検討と書いてあるからいいんだということではないと思うんですね。やはり国家戦略として何をやるかということを、まず述べなければいけないので、何でもかんでも、ここで意見があれば突っ込んでしまえばいいというものではないので、国家戦略として、やはり何かと議論をして、なおかつ検討が必要なものだけを入れると。 ○阿部会長 勿論そうですけれども、今日はとりまとめですから。 ○中山本部員 でも議論していないことを入れるというのは。 ○阿部会長 議論していないことは入れない方がいいと思いますけれども、だから文章の修正で済むんでしょうかというのが、うまい修正があれば。 ○久保利委員 そもそも初めの2行ですね。「強化するため」までは、これはみんな異存がないんではなかったでしょうか。 ○下坂委員 議論が前に出ていたと思うので、ここのところは。 ○久保利委員 そうすると、形態模倣とか、周知表示の混同惹起製品云々かんぬん、これを強化するという目的は、多分だれも異存がなくて、そのときに不正競争防止法に刑事罰を、その部分について認めるかどうかというのは、今、中山先生は大議論になりますよという話をおっしゃっているわけで、そうだとすれば、この不正競争防止法と関税定率法について検討を行いという、ここが問題なんで、その後に必要に応じ法改正等、改善すべきであることは、これまたみんな異存はないわけですね。
○中山本部員 形態模倣を強化してほしいという意見はあっても議論はしてないと思います。これはそもそも形態模倣を不競法に入れるときも大議論が起きたわけです。形態模倣というのは特段の要件なく模倣を禁止する制度ですから、要するに、実用新案法上の進歩性、意匠法上の容易創作性に該当する要件なく保護する制度です。容易に創作できるものも保護してしまう制度なのです。ですから、これを強くするということは、意匠法とか実用新案法を、ある意味では無にしてしまうことも意味するわけで、これは知的財産法の根源に関わる問題で、議論した記憶はないんです。大いに議論をした結果3年になって意味があるわけです。あれを伸ばしてしまったら、意匠法の意味がほとんどなくなってしまう。 ○下坂委員 でも、多分今までの法改正というものは、ものすごい議論をしてやっておりますね。 ○中山本部員 しているのもある。 ○下坂委員 だから、その議論をしたからということをもって、あと何もできないというのは、おかしいと思います。 ○中山本部員 今までの議論を前提にしてほしい、どういう議論をしたかということを知って、それでその次にこういう問題があるということを言ってほしい。つまり全く議論をゼロから始めるんじゃなくて、土台に議論してほしいという話をしているんです。 ○下坂委員 だから、よろしいんじゃないですか。検討を行えば、そこのところに議論が出てくれば。 ○中山本部員 さっき言ったように、ここで検討してないものを、だから検討しろというだけでいいかという問題です。推進計画は国家戦略として書くわけですから、もう少し慎重にになる必要があります。 ○阿部会長 それは一般論としてはそのとおりですが、しかし、今日はまとめですが、余りまとめにふさわしくない御意見はちょっと御遠慮いただかないと。 ○小島事務局次長 この(13)のところは、先ほど申しましたように参考人からこういう御指摘があって、これは問題提起、それから全体のとりまとめ案というところで、2、3回御議論の対象になっていて、刑事罰のところまで指摘があったかと言えばなかったのは事実ですけれども、全くここが議論の対象ではなかったということではないと思います。当初からこれは問題提起があったのでここに掲げていますので、突然出てきたものではございません。 ○阿部会長 久保利委員の御提案は、いかがですか。 ○下坂委員 2種類あったと思うんですが、法律を消すというのと、等を入れるというのがあったと思いますが、どちらですか。 ○久保利委員 どちらでもいいんじゃないですか。ただ、基本的に形態模倣品の取り締まり強化をしてくれというニーズはものすごく多くて、これは何らかの形でしなければいけないということについては、コンセンサスがあったと思うんです。だとすれば、これはやはり削除するわけにはいかない話で、だとすればこれを残すのに中山先生の御議論をどうこの中に盛り込むかということですから、削除してもいいし、等でも構わないし、検討は行うんですから。この場で行うんじゃなくて、今後検討を行えというふうにここでは決めたわけであって、検討の中身は今後また議論すればいいわけですから、ソフトに言うならなどという等を入れればいいのかなと。これは中山先生のおっしゃる期間について3年、5年の話などを、何もクリアーに書くことはないと思います。 ○阿部会長 関税定率法等ということですか、そういう御提案はいかがですか。 ○野間口委員 私はやはりこの種の検討を、日本としてきっちりやるべきだなと思います。ちょっとこの問題からずれてしまいますが、例えば日本のメーカーが取り扱う製品に対して、日本における環境基準とか何かという規制もあるわけです。海外から来る製品に対して、そういう日本のルールを適用するのが、非常に遠慮がちだと感じます。いろんな日本自らつくった障壁があって、自由な貿易を阻害しているんじゃないかというようなクレームに対して非常に弱いというところがありますから、やはりこれはどうなるかは別にして、一度こういうのを検討して、その結果やはりこれは先ほどおっしゃいましたように、確かに商標権とかほかにあるんだから、そちらの方でやれるならばやってもらえばいいし、そういうことも含めてこの機会に検討の価値は大きにあると思います。 ○阿部会長 いかがですか。久保利案で。 ○野間口委員 ですから、久保利案でいいんじゃないでしょうか。 ○阿部会長 すっきりしない御意見の人もいるかもしれませんが、ではそうさせていただきます。
○下坂委員 5ページでよろしゅうございますか。四角の中なんですが、「基本認識」のところで、ささいなことなことなんですが、日本国内に流入し始めておりと、始めてがあるんですが、次のところなんかでは取り締まり当局の努力にかかわらず大量に流入していると。海賊版・模倣品なんですが、これ特許や商標は今、始まったというような印象を受けるんですけれども。 ○阿部会長 何行目ですか。 ○下坂委員 5ページの四角の一番上の中の基本認識の1行目の右側です。「始めて」という言葉は、あえてここで使われているのかどうか。もう既にたくさん入ってしまっているのではないかと思ったので、ちょっと御検討いただければと思います。 ○阿部会長 それでは、検討させていただきます。言葉が実態に合えばいいということですね。それでは、時間の関係もありますので、8ページにいきたいと思いますが、8ページに2つありまして、「個人使用目的による偽ブランド品の所持の禁止及び税関での輸入の禁止について検討を行い」ということと、それ以後の2つについて御意見があったと思いますが、前半についてはこのままでいいですか。後半については、商標法、関税定率法の関連で、竹田委員からも御意見がありましたけれども、これは法律論の世界ですので、私にはわからないので、併せて検討していただければいいのかなという程度しか意見がありませんが、まずその前半のところは少し強過ぎるというか、例えば、竹田委員のお話ですと、全く偽物を意識的に所持していない場合も罪になるのかどうかというようなことを心配されている御意見がありましたけれども。 ○竹田委員 これは過失の推定も受けますし、刑事罰まであるわけですから、ここに何らかブレーキをかける表現を入れてほしいと思うんです。文章の「個人使用目的による偽ブランド品の所持の禁止」ではなくて、そこに悪意を持ってとか、故意にとか、何かそういう言葉を入れないと、本当に国民が困ると思いますよ。自分で本物だと思って買ってきて持っていたら、それは刑事罰まで科せられるのは商標権侵害だということになったら、そこはもっと慎重な表現にしてほしいと思います。 ○阿部会長 いかがですか。今の御提案。 ○野間口委員 こういう書き方だと、年金未納問題なんかと似てますね。 ○阿部会長 それでは、事務局で工夫してください。それから、後半の「必要に応じ」以降はどうでしょうか。これも竹田委員の御指摘があったわけですが、それを踏まえて検討してもらうということでいいか、あるいは。 ○竹田委員 商標法等の関係法律とするのであれば、全然問題はないだろうと思いますけれども、関税定率法が入っていたので、商標法の方と関係なしに、関税定率法がどういう形で改正できるか、私、具体的にイメージが湧かなかったものですから、禁制品で商標権侵害にはならないけれども、なお禁制品になるというような規定を設けるということが、果たして可能なのかと思いましたので、関税定率法までここに出すことはないのではないかと思ったのですけれども。 ○阿部会長 そういう御提案ですが、是非出すべきだという御意見の方ございますか。商標法等と、等を入れた方がいいですか。今の御提案は、関税定率法というのをカットして、商標法の次に等を入れるということでいかがかという御提案ですが、どうでしょうか。
○久保利委員 10ページの17について、私が言い出しっぺだったものですから、17ということでとりまとめていただきまして、大変ありがとうございました。御礼を申し上げたいと思います。 ○阿部会長 そういうことですか。 ○中山本部員 さっきの国内の形態模倣は(16)に出てきますね。やはりさっきのは税関だけの話ですね。 ○小島事務局次長 はい。 ○阿部会長 それでは、とりあえず次に移られていただきます。11ページの中小企業の支援でございます。これは11ページだけですね。特段の御意見がありましたらちょうだいしたいと思います。よろしいでしょうか。
○吉野委員 これはこの前、総合窓口というのがなかったかな、経済産業省に設けるというふうにはっきり書いていただきまして、ありがとうございました。 ○阿部会長 御礼ですか。よろしゅうございますか。
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○下坂委員 11ページの中小企業に戻りまして、中小企業、随分御丁寧にお書きいただきまして、ありがとうございます。中小企業が推進計画全体の中で占めるページ数というのは、必ずしも大きくないんですが、日本国にとりましては中小企業というのは非常に重要でございまして、また今の大企業も何十年か前はベンチャー企業であり、中小企業であったということもありますので、是非今後とも力を入れてやっていただきたいと。積極的に取り組んでいただきたいと思います。これは要望でございます。 ○阿部会長 ありがとうございます。ほかいかがでしょうか。
○阿部会長 それでは、事務局、何点かありましたので、そこを関係の先生に再度調整してください。ありがとうございました。
○小島事務局次長 はい。それでは、資料3に基づきまして御説明します。資料3「知的財産の関連人材の育成についての課題」ということで、1ページ目には、冒頭に現状認識として3点記載しております。
○阿部会長 ありがとうございました。これまで各方面からの指摘を事務局で整理をしてもらったのが今の資料であります。これにつきまして、若干今後の予定を先に申し上げたいと思いますが、次回はここの委員の先生方、いろんな点で知財人材の育成にお取り組みをいただいていますので、それについて是非お聞かせをいただきたいということを考えております。
○阿部会長 今日は、いろいろこれから御意見をいただきたいと思いますが、実は次回、伊藤先生と中山先生が御欠席ということなんで、できれば今日お話を伺えればありがたいと。ほかの委員の方も御発言いただきたいと思いますが、できたらお願いいたします。 ○中山本部員 一般的にここに書いてあることは、これでよろしいと思うんですけれども、一番問題なのは3ページの3番の専門職大学院、これは多分理念として反対する人はいないと思うんです。これは大事ですねと言うこと自体は結構なことです。実はこの一番下の行に書いてある履修モデルについてとりまとめたというのは、文科省で私が委員長でとりまとめたんですけれども、やってみますと実はものすごく難しい。
○阿部会長 我々は、先生の委員会でも具体的なイメージがまとまらなかったと。 ○中山本部員 一応はつくりましたけれども、しかし、私が思うには、やはりあれはいろんな意見の寄せ集めで、どういう人間をつくって、それは将来どうなるのかと。つまり、ロースクールなら弁護士になるとか、何か明確なあれがないんです。こんなところを出て、本当に企業は採っては出るのかと。それでは、企業の知財マンを養成するのか。何を養成するのかという、そこをまず議論しないと実際問題できないだろうと思うんです。 ○阿部会長 私も実は、この知的財産専門職大学院の話が出るたびに、先生が言われたことと同じような、よくわからないことでそのまま今まで、いつも質問だけしているということが続いているんです。 ○中山本部員 次のページのMOTは、ここで知財をもう少し頑張ってというのはよくわかるんです。こっちは、書くのは勿論いいんだけれども、もうちょっと具体化して。 ○阿部会長 多分、これは短い時間で議論をして具体的な目標設定というのは難しいですね。 ○中山本部員 さんざん議論したけれども、やはり難しいです。さっきの問題にも関係する、みんな難しいことを書いて検討してくださいという、何か物足りないです。 ○阿部会長 先生が言われることは私はおっしゃるとおりだと思います。専門職大学院について、何か御意見ございますでしょうか。 ○下坂委員 専門職大学院に関して中山先生と久しぶりに意見が合いまして、大変感謝しているのでございますが、ここでまだ1校も設立されていないというところがございます。その設立の困難性、現実に設立いただこうということでいろんなお話を伺ったりしていると、今、中山本部員がおっしゃったような、どういう学生をどう集めていくか、本当に集まるかどうかとか、学校といえども企業ですから、採算が必要ですので、いろんな面で大変難しい面が出てきております。
○久保利委員 中山先生、一つ質問ですが、弁理士試験の予備校化をするとどうしていけないんですか。 ○中山本部員 そんなものは、もし必要ならば普通の民間の予備校に任せておけばいい。大学という非常に重い組織なんです。これは本当に重い組織です。これは1回つくるとなかなか運営も大変ですし、金もかかります。 ○久保利委員 というより、予備校は既にありますね。 ○中山本部員 あります。それと競争するものをあえて大学院としてつくる必要はないという話です。 ○久保利委員 ということは、要するに専門職大学院が弁理士試験の予備校化をするのではなくて、予備校にもかなわない存在になると。だから、意味がないということなんですか。 ○中山本部員 そうです。つまり、受験テクニックで競争すれば、大学は必ず予備校に負けるんです。何で競争するか、という問題です。学問で競争するなら勝つけれども、受験テクニックで競争したら絶対にかないません。 ○久保利委員 自信を持っていますね。 ○中山本部員 受験勉強は、受験のプロがいるんです。ですから、そういうものを大学としてつくる必要はない。こういうことだけです。 ○久保利委員 逆に私が考えたのは、例えばロースクールで知財の弁護士になりたいと思う中で、学部は理学部だとか工学部の人が来ています。一部は大学院を出た人もいるんですけれども、逆に法学部とか文学部を出た人で、その人が知財の弁護士になろうと思ったときに決定的に理科系の部分が弱いわけです。この専門職大学院があると、そこで理科系の学科がもし学べるんだとすると、そこで理科系の大学院クラスのことを何か学んで、バイオでもいいんですけれども、そしてプラス法科大学院でリーガルの部分を学んで、合わせて一本となるんです。今の日本の法科大学院には法律科目しか原則にないわけです。
○中山本部員 これも勿論検討したんですけれども、理系の大学とやればいい。これをもしここでやりますと、それではバイオはどうだ、コンピューターはどうだとかいろいろなものができまして、結局虻蜂取らずになる。これという専門がないんです。1年や2年程度のカリキュラムでは、もうつくることは不可能。もしバイオの弁護士になりたかったら、どこかのバイオの大学と提携をするしかないし、その方が正確です。
○久保利委員 例えば、専門職大学院同士の単位互換はあり得ても、先生がおっしゃっているような理科系の大学で学んでも、多分、それはロースクールでの単位互換には入ってこないという文科省の指導があるのではないかと思った次第です。そうなってくると、そこが専門職大学院であるということで意味を持つのかなと。それはむしろ、文科省の単位互換の制度を変えればいいのであって、専門職大学院をわざわざつくることはないという御議論になるのかもしれません。 ○下坂委員 法科大学院をつくりますときに、司法試験の予備校化するのではないかというような危惧がありましたが今は進んでおります。だから、ある試験の予備校化をするのではないかというのはその一面であって、そこで教えることが日本の知財の人材に貢献するようなことであれば、別に一部予備校化したような形になったとしても、それは致し方ないのかもしれないと思います。知財の場合にはあれもこれも全部入れますとまとまりがつきませんので、専門職ですからそれぞれどういうところに目的を持って、どのようなインセンティブでいくかというようなものをもって分類していってやることもできるのではないかというふうには考えているんですが、今日は時間がないと思いますので、また将来のディスカッションで是非にと思っております。 ○阿部会長 一つだけ、本部会合でポスドクの方に知財の分野にどんどん進んでほしいという御意見があって、そういうのは、あるいはポスドクというのは主として理系だと思いますけれども、理系のある程度以上の水準に達している人が知財の仕事に将来就きたいというときに、例えばこういうのが役に立つのかと思って御意見を伺っていました。それでは、どういうカリキュラムにすればいいかとか、そういうことを考えているわけではありませんので、どこまでうまくいくかわかりません。 ○中山本部員 それも勿論いいんですけれども、ただ、知財というか法律は一般にそうなんですけれども積み上げ的要素が強くて、知財だけ学んでもわからないので、民法も民訴も行政法も勉強して、最後に知財が来るという感じなんです。
○下坂委員 でも先生、専門職大学院にそのようなカリキュラムを入れればあり得ないことはないと思いますけれども、入れられないんですか。 ○中山本部員 いや、何年も掛ければ可能ですが、一定の時間の枠内に入れようと思うと、要求ばかり多く、結局虻蜂取らずになる。民法も必要、行政法も必要、民訴も必要、あるいは会計学も全部必要なんです。そうなってくると、どうやってカリキュラムをつくるか。 ○下坂委員 ただ、最終の人材のでき上がりをどのような形で見るか、置くかということで、活用の方は既に法科大学院はできておりますので、保護の方をもうちょっと重点的に考えて、そこに必要な民法や民訴ということでもいいと思います。これは中身、カリキュラムになりますと将来的なものになるんです。 ○竹田委員 ちょっと下坂委員にお聞きしたいんですが、将来の活用の道ができているとはどういうふうに活用されるんですか。 ○下坂委員 道ができている。 ○竹田委員 というふうに言われたのではないんですか。知財専門職大学院を出たら、その人たちはどういう道を歩むか。まさに、その展望も理念もないのではないかというのが中山先生の御意見だと思うんです。 ○下坂委員 それもあるんです。そこらにいろいろ、大体ビジネス、マネージメント、マーケティングと、4ページとかに出ております。4ページにもありますし、それから勿論、2ページの弁理士のところもありますし、いわゆる幅広い知財人材をつくっていく。あと、会社にそのまま弁理士試験なんかを受けないで就職なさる方、官庁にお入りになる方とかいろんな方ができてくる。その知財に理解を持った人材をそこで育成していくということがあるんです。知財といった場合、すごい広いですから。 ○竹田委員 法律的素養の下に、そういう知財の応用部分を重ねるのであれば、大学を出て3年間でそういうものをすべてやるのは困難だというのが、中山先生の委員会で検討した結果ですということなのではないんですか。 ○下坂委員 どの程度の法律の素養をお考えなのか、弁護士並みの素養をお考えなのか。それならば法科大学院を出て、また知財専門職大学院を両方とも出なくてはいけない。 ○中山本部員 だから、どういう人が入って、どういう人材を養成するのかという理念をまず決めていただかないと、水準も決まらないんです。 ○下坂委員 そうです。それはもう数限りなく、方向性はあると思うんです。だから、その方向性の中で今つくるのはこういうものだというのを一つひとつ考えていく必要があると思っております。
○阿部会長 これはどうですか。継続的に御審議をいただくということに今日のところはさせていただいて、伊藤先生、ほかの点でも結構でございます。 ○伊藤委員 私も、主として申し上げたいのはただいま御議論があった点で、是非慎重に御検討いただきたいと存じます。 ○阿部会長 ほかはよろしゅうございますか。それでは、是非ほかの委員の方、もしなければ、今の続きでもいいです。 ○野間口委員 先ほど、ポスドクの話が出ましたけれども、これは人材育成というより人材活用という意味だと思うんですが、推進計画の中で期限付き審査官の増強というか拡充というのが審査の迅速化でございました。役目が終わったああいう方々の日本国としての活用も、やはり人材という面で見ておく必要があるのではないか。あれは何年か期限があり、その後、活用するんだということになっていましたね。
○阿部会長 おっしゃられるとおりで、どちらかというと日本の場合にはポスドクは研究者にならなければいけないようになっているところがきつ過ぎると思うんです。
○荒井事務局長 今の点は、その点と任期付き審査官の増強と。 ○野間口委員 両方です。ポスドクだけではなくて、ミッションが終わった後の任期付き審査官活用の選択肢を。 ○阿部会長 それでは、吉野委員。 ○吉野委員 これは量、質ともに拡充が必要だということなんですが、大まかな需要予測だとか需給のギャップみたいなものは大体イメージとしてありますか。 ○阿部会長 これは、弁護士とか弁理士とかいろんな数字があるんですけれども、ここでは数字は検討していないですけれども、どうですか。 ○小島事務局次長 我々の方でも、いろんな知財人材、企業の中にいる人も含めて知財人材マップ等、いろいろ現状どのぐらいいるかというのをやってみたんですが、まだお出しできるようなものができていないのですが、いずれどういう分野にどういうレベルのどういう人が必要かというのをもう少し積み上げてみて検討してみる必要があると思います。 ○阿部会長 どうぞ。 ○高林委員 法科大学院の技術的素養を持つ人がどのぐらい入っているかということの調査をするということでしたけれども、私の大学でも実感としまして、技術的バックグラウンドを持っている者が法科大学院に進んでいる割合というのは非常に高い印象を持っております。ですから、この辺は十分調べていただいて、その辺が将来、知財人材としてどの程度育っていく余地があるのかということを十分踏まえていただきたいということ。 それから法律的な素養しかなく、かつロースクールで知財を学んでいった者に技術的素養を加味していくということについては、先ほど中山先生からもお話がありましたけれども、やはり理工学部といいますか、理系の学部、私の大学ですと総合大学ですから、そういう学部と連携しながらそちらの方の授業に参加するとか、サテライト的な授業になるのかもしれませんけれども、そういう形を持ってやっていくというのはいい方法だろうと思っております。それと比べて専門職大学院がどうなのかというのは、私は余り具体的に専門職大学院のイメージが湧きませんけれども、その意味で法律的なバックグラウンドがある者に技術的素養を加味して、知財弁護士にさせていくという道も、かつ技術的バックグラウンドがある者をロースクールで知財教育をして知財弁護士にしていくという道も、両方拡充していく必要があるんだろうというふうに思います。 ○阿部会長 先生の場合にはどうなんですか。法科大学院で理系の経験者というのは、学部卒とか社会人とか、いろいろあると思うんですが。 ○高林委員 社会人が多いです。これは久保利委員の大学と違いまして、私の大学は昼間の開講ですから、皆さんは職を辞して来ておりますので、そこら辺は非常にリスクが高いと思いますけれども、社会人経験を持った理系の出身者というのは割合的に、これは調査していただいてまとめていただければと思いますけれども、かなりの割合がいると思います。
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○久保利委員 ざっくり大宮で100 人、昼が50、夜が50ですけれども、社会人経験者、現在は社会人であったり、ついこの間の3月まで社会人であったという人の割合が7割5分ぐらいあるんですね。逆に言うと新卒の学生が2割ちょっとしかいない。そのうちの夜については、ほとんど全員が今、社会人で、その社会人の中で理科系の出身者というのはイメージ的に言いますと、多分半分以上理科系です。例えば、11名お医者さんがいますけれども、これは理科系ということになってきます。それから、特許庁からお見えになっている夜の人たちも、これもみんな理科系ですね。弁理士さん3名も理科系です。
○阿部会長 東大の状況について、少し御紹介いただければ。今の問題もあると思いますけれども、その入学者がどういう専門になっているかも、おわかりになる範囲で御紹介いただければと思います。 ○伊藤委員 まだ、きちんとその辺りのデータを整理していないんですが、たまたま私ども、未修者という、要するに3年制ですね。これが大体100 人程度で2クラスに分けてやっておりまして、私はたまたまその1クラスのクラス担任というのを仰せつけられて、ときどきコンパとかそういうところで話をするんですが、印象としてはさっき高林さんがおっしゃったように、未修者の方は大体8割近くが社会人経験がある人。そのうちの半分には行かないけれども、かなりの理系出身者がいるという、これはあくまでそういう意味での印象だけなんですが、そうでございます。正確には、もうちょっときちんとした形でいずれお話ができるようなことになるかと思います。 ○阿部会長 未修者というのはどういう定義ですか。 ○伊藤委員 要するに、イメージで言えば法学部ではなくて、他学部を卒業して、初めて法律を勉強するというタイプの人ですね。 ○久保利委員 大宮は全員3年未修者ということなんで、したがって法学部を経ている人が非常に少ないということは言えるわけですが、ただ、法学部を出たらみんな2年コースの既修者かというと、そうではないと。要するに、実際上はロースクールの1年生が終わったのと同程度の力を持っているという人を既修者というふうに認定すると、早稲田のように既修した認定者は非常に少なくなるというのが実態だと私は思うんです。 ○阿部会長 東大は既修者というのは1クラスなんですか。 ○伊藤委員 いえ、これは既修者の方が200 名。 ○阿部会長 既修者の方が多いんですか。 ○伊藤委員 そうです。もうちょっとクラスが多くなります。 ○高林委員 ちなみに早稲田は300 人で、既修者は20人しかいないんです。未修者が二百何十人ということですね。大分違うかと思います。 ○久保利委員 神戸はどうですか。 ○中川委員 同じような傾向ですね。やはり理科系あるいは社会人は想像を超えてたくさん。志望の段階では多分5割は超えていたと思いますけれども、試験に合格して実際に入学した人はまた違ってきて、もう少し社会人は減ったような気がします。しかし、未修者はほとんど社会人、8割ぐらいは社会人。そのうちの3割か4割ぐらいは理科系の人ですので、最初、我々が心配していた全部法学部出身になるのではないかというのは、全く杞憂であったというのが、恐らく全国的な傾向ではないかなという気はしています。 ○阿部会長 ありがとうございました。
○高林委員 それは国立に限らず、私立でも、私の大学でも夜間開校というのは、俎上に上ったことはありますけれども、非常に難しいです。特に知財ですと教える方の人材も少ないですし、それから設備等の問題もありますし、これは私立国立を問わず、非常に難しいことであることは間違いありません。 ○中川委員 学部を抱えた上で、しかも学部も最近は法学部なら法学部の専門科目だけではなくて、学部の1、2年生の教養科目、それも各学部から供出しろというので、教養も教えつつ各専門科目も教える。既存の大学院もある。社会人大学院とかですね。それに法科大学院ですから、これにまだ夜間となると、もう一個純増になって、ちょっとこれはかなり今、アップアップしていますので、人的な負担、授業負担も限界だろうということですね。 ○阿部会長 そういうことですか。 ○中山本部員 68のロースクールで知財を教える人がいたというのは不思議なぐらいですね。ちょっと考えられないくらいのことなので、それにプラスして今度は夜間となると、これはもう絶対的にないですね。したがって、将来は別として、当面は人、予算の関係でまず無理でしょうね。 ○阿部会長 そろそろ12時近くなりましたけれども。
○中山本部員 ポスドクの利用もそうなんですけれども、一般的にやはり優秀な人材をこの世界に呼び込むには一番いいのは資格ですね。弁護士はロースクールで今言ったようなことで理科系の人が行くので、それはいいんですけれども、もっともっと行ってほしい。また弁理士資格はもっと取りやすくして欲しい。
○阿部会長 そうですね。調査も含めてお願いします。 ○小島事務局次長 はい。 ○竹田委員 この一番最初の新司法試験の問題ですけれども、やはり現実に法科大学院の学生が知財に対する指向をどのくらい持つかは、知財法が司法試験科目の選択科目になるかならないかで、かなりの程度違うと思うんですね。だから、これは是非推進する、知財を目指す弁護士を育てるのであれば、これは是非とも入れなくてはならないと思うんですが、私は1つだけ懸念するのは、知財法と言っても、ものすごく広いですね。ほかの選択科目に比べてもどうでしょうか。知的財産法概論と仮に言ったとしても、それは大変な範囲になってしまって、さりとて特許法、商標法、意匠法、不競法、著作権法、全部選択科目なんていうことはなかなか望まれないとしたら、やはり例えば、特許法に絞るとか何かそういうこともその辺のところに御関係になる方々にちょっと御尽力していただいた方が通りやすいかなということを感ずるんですけれども。 ○久保利委員 私は逆に特許法に絞るのではなくて、おっしゃるとおり、非常に広いので1つでは大変だと思いますが、例えば、特許法とコンテンツというふうな形に絞って、これは言わばコンテンツの著作権も商標等々も入ってくるというふうな形で2つ分けて、それぞれを別個の選択科目として取れるというふうにしていかないと、特許だけ盛んになってコンテンツ系がだれも志望しないというのも難しいというなんで、この辺はいろいろ要望はあるんですけれども。 ○阿部会長 どこまで入っていくかですね。この中には司法試験に御関係の先生もおられると思いますので、よろしくお願いします。 ○下坂委員 先ほど、中山本部員からパイを増やすのを是非というお話がありまして、それ自体はよろしいんですけれども、そのときに是非、質の問題、資質の向上というのもくっ付けて、それをどのようにやっていくかというのも同時にお考えいただく文章にしていただきたいと思います。 ○久保利委員 知財専門の大学院を出ないと弁理士にならないようにすればいいんでしょう。 ○下坂委員 ありがたいですね。 ○久保利委員 それで弁理士はどんどん増やすようにすれば、両方とも解決する話なのではないですか。さっき中山先生はそれを資格の要件にはできないからというふうにおっしゃったんですね。 ○中山本部員 いや、不可能とは言っていない。事実上難しい。 ○久保利委員 では、それはだれが反対するんですか。弁理士会が。 ○中山本部員 誰が反対ということではなく、無理だろうということです。つまり、今の弁理士になる人が、2年ぐらいその大学院に全員が行くかという話なんですね。受験生の多くが企業や事務所に勤めているわけですね。学校を出ても2年間ここへ行って、しかもそれで受験ということを希望するか。そういう話なんですね。ですから、私の予測違いでニーズが大いにあるというなら、それはもう全然問題ない。 ○久保利委員 だって、弁護士はロースクールに3年行って研修所に1年行って、その間に司法試験を受けたりするのだって5年ぐらいかかってしまうんですよ。 ○中山本部員 現にニーズがあるんです。だから、それはそれでいいんです。 ○久保利委員 弁理士会もあるのではないですか。 ○下坂委員 弁理士の場合も職を辞めて浪人をやっていて、そのためだけに専心するというので、先が見えないで5年、6年とかかっているというのもおります。 ○中山本部長 あと、もう一つは、ロースクールの場合もそうなんですけれども、それに見合った学校を一挙につくる。68は要らないけれども、幾つか知りませんけれども、弁理士試験だったら司法試験の2分の1程度でしょうか。10や20ぐらの大学を一挙につくる必要があります。受験資格ですから、これはばらばらにつくるわけにはいかないんですね。これもまた実際にやってみると極めて難しいですね。 ○阿部会長 ありがとうございました。先生は何か。 ○中川委員 2ページの(3)ですけれども、これは恐らく弁護士のリカレント教育ということだと思いますけれども、リカレントにはツーステップあると思うんです。そのうちのワンステップだけしか書かれていないような気がするんですが、ここで書かれているのは弁護士会での3日間の研修であるとか、あるいは法科大学院での授業を聞く。これは要するに、全然知財を知らない弁護士が多少、体系的な知識を初めて得たという意味で、これでは知財に強い弁護士ではなくて、「知財を知らないわけではない弁護士」という、まず第1ステップだと思うんですね。
○阿部会長 どうもありがとうございました。それは工夫させていただきます。 ○高林委員 今の点で1分だけですけれども、よろしいですか。 ○阿部会長 どうぞ。 ○高林委員 知財についてロースクール68校すべてで開講されていると書いてありますが、この一覧表を見ますと2単位の授業があるだけとか、そういうようなロースクールが割合的には多いわけです。今の中川委員のお話ですけれども、このロースクールで2単位の授業を受けた人がどの程度の知財の素養と言いますか、教養的なレベルなのかわかりませんけれども、携えたローヤーにやれるのかというのは、やや私は不安なわけです。久保利委員もおっしゃったことですが、アメリカではジョージ・ワシントン大学もそうでしょうし、特色のあるロースクールというものがあるわけですから、68すべてに知財の講座があるからよしというわけではなくて、やはり今お話にあったとおり知財に非常に重点を置いているロースクールにあっては、そのようなところに特色を持たせていくことが大切かと思います。 ○阿部会長 人材育成については、次回も引き続き御意見をちょうだいしたいと思います。時間がまいりましたので、本日はこれで終了させていただきますが、先ほど申し上げましたように、本日並びに次回の御議論を踏まえて、知的財産推進計画の見直しに何らかの反映をさせていただきたいと思いますので、事務局によろしくお願いいたします。
(「はい」と声あり)
○阿部会長 それでは、そうさせていただきたいと思います。次回は、5月13日木曜日午後2時から、この場所で開催いたします。
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