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第7回 権利保護基盤の強化に関する専門調査会 議事録 | ||
1. | 日 時: | 平成16年4月8日(火)15:00〜17:00 |
2. | 場 所: | 知的財産戦略推進事務局内会議室 |
3. | 出席者: | |
【委員】 | 阿部会長、久保利委員、下坂委員、高林委員、竹田委員、中川委員、山田委員、吉野委員 | |
【事務局】 | 荒井事務局長、小島事務局次長 | |
4. | 議事 | |
(1) | 開会 | |
(2) | 参考人からの意見聴取 | |
財務省関税局 藤原審議官 | ||
(3) | 模倣品・海賊版対策の強化について | |
(4) | 閉会 |
○阿部会長 それでは、先生方お見えになりましたので、ただいまから「権利保護基盤の強化に関する専門調査会」第7回を開催させていただきます。
○藤原財務省関税局審議官 ただいま、御紹介に預かりました藤原でございます。座って御説明させていただきます。
○阿部会長 ありがとうございました。現状と、これからの取り組みの仕方について御説明をいただきました。御意見、御質問をいただきたいと思います。
○中川委員 法制的な質問ですけれども、最初に2点お願いします。
○藤原審議官 不要でございます。 ○中川委員 では、何を特定するんですか。 ○藤原審議官 むしろ、どういう物品につきまして、どういう権利があって、それにつきまして侵害のおそれがあるというところを疎明していただければということでございます。 ○中川委員 物品だけ特定すればいいわけですか。 ○藤原審議官 物品と、それについての侵害のおそれがあるというものです。 ○中川委員 そうすると、なんか一般排除命令の申立てに近いイメージでしょうか。私はてっきり輸入者も特定しなければいけないと理解していたのですが、違うんですね。 ○藤原審議官 輸入者がだれであっても、それに該当するようなものが来ましたら、それから認定手続を始めて、差止をするということでございます。 ○中川委員 これは、むしろ一般排除命令の申立てに近いというふうに理解してよろしいんでしょうか。 ○藤原審議官 一般的な申立て命令とお考えいただければと思います。 ○中川委員 わかりました。
○藤原審議官 先生がおっしゃったのは、多分侵害認定のときだろうと思いますけれども、これが侵害であると認定いたしまして通知をするわけですけれども、そういたしますと、それによりまして輸入ができなくなるわけでございます。
○中川委員 侵害認定である旨の通知があって、その取消訴訟になるわけですね。わかりました。
○藤原審議官 目安としては1か月程度というところを目安といたしております。大体その間に終了しております。 ○中川委員 今までの平均値とかないんですか。 ○藤原審議官 平均という形ではとっておりませんけれども、ほとんどがその中で収まっております。 ○中川委員 長いとこのぐらいというのはありませんか、半年とか。 ○藤原審議官 そんなにかかったという例は聞いておりません。 ○中川委員 わかりました。ありがとうございます。 ○阿部会長 それでは、下坂委員お願いします。 ○下坂委員 認定手続の場所、地域性についてお伺いしたいんですけれども、輸入貨物というのは動かすわけにはまいりませんものですから、現在、恐らく税関の8つの本関と、それから沖縄の方でもおやりいただいておられます。
○藤原審議官 必ずしも前提がよいかどうかはわかりませんけれども、もしそういうことであれば、そういうことになるかもしれません。ただ、それよりは外部の専門家の方々の方がいいと、先ほども申し上げました。 ○阿部会長 それでは、高林委員。 ○高林委員 認定手続取りやめというところに関する質問ですけれども、どのような場合に、このような道に進むのでしょうか。 ○藤原審議官 これは、TRIPS協定上規定があるわけでございますけれども、特許権、あるいは実用新案権、意匠権等につきまして、商標権等よりも恐らく判断が難しいだろうという考えだと思いますけれども、一定期間内に、侵害かどうかの判断が付かないとき、輸入者の方から通関解放を求める権利が認められているわけでございます。
○高林委員 そうすると、認定手続を取りやめになりますと、権利者といいますか、差止申立人は、別途訴訟でも起こすということですか。 ○藤原審議官 民事の方ですね。通関開放について付け加えて言いますと、これは日数の制限がございますが、途中で権利者が税関に対しまして特許庁への意見照会を要請いたしますと、税関が特許庁に意見照会を出しまして、特許庁の回答を待つということでございまして、それによりまして、通関開放の権利発生までの期間が延びるということでございます。 ○高林委員 輸入差止申立人が申立てを撤回するとか、そういう手続はあるのでしょうか。 ○藤原審議官 どの段階でございましょうか。 ○高林委員 この段階でございます。 ○藤原審議官 輸入差止申立ての方は、一般的には2年ごとに区切っておりまして、何もなければそのまま継続可能でございまして、権利の存続期間まで可能なわけでございますけれども、その期間ごとに期限が来ましたら判断することになろうかと思いますけれども、具体的な有効申立て期間内に申立ての撤回の申出がありました場合には、それは当然認めることになりますし、撤回を受け付けましたら、それが各税関に通知されるということでございます。 ○高林委員 撤回を認めましたら。 |
○藤原審議官 撤回を認めますと、それは当然認められるわけでございまして、それが全国の税関に通知されるということでございます。 ○高林委員 差止めを認めるか否かという手続きは職権で行われるわけですけれども、それと差止を申し立てている人の撤回とはどういう関係にあるのでしょうか。申立人は単なるきっかけを与えるだけであって、その後は、申立人が撤回しようが、撤回しまいが手続は進んでいくものなのかと思ったのですが、いかがなのでしょうか。 ○藤原審議官 そもそもいろんなケースがあろうかと思いますけれども、輸入者と権利者の間で話が付いてしまって、もう輸入を認めてもいいということであれば、それはそもそも侵害物品ではないわけでございますので、輸入許可されるべきものと思いますし、それからそもそも職権での取締りと、輸入差止申立てに基づく取締りがそんなに矛盾したりするようなケースというのは、あまり今のところは生じておりません。 ○高林委員 今後の議論にかなり重要だと私は思っているものですから、お伺いしているのですけれども。 ○藤原審議官 輸入差止申立てを基に取り締まりを行っております。 ○高林委員 当事者で合意ができて、和解ができてしまったときには。 ○藤原審議官 それは、そもそも侵害ではなくなってしまいます。 ○高林委員 侵害ではなくなるのですか。 ○藤原審議官 はい、ですからそれは輸入許可をするということになります。当事者が認めるのであれば、侵害物品ではなくなってしまいますから。 ○高林委員 当事者から合意ができれば、侵害品でなくなるということですね。 ○藤原審議官 当事者により輸入が認められればですね。 ○高林委員 わかりました。 ○阿部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
○小島事務局次長 資料2でございます。「模倣品・海賊版対策の強化について(とりまとめ(案))」を御説明いたします。
○阿部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまのとりまとめ案につきまして議論に入りたいと思います。
○久保利委員 久保利ですが、この外国市場対策、私は全体として誠に当然だし、もっともだと、特に中国の問題というのは、ここに書いてありますように、なかなか根の深い問題があると思います。基本的には私は、米国とスタンスを合わせて、日本だけではなくて、米国の中国に対する取り組みという、2ページの右側の参考に書いてありますような、こういう流れと平仄を合わせて、中国政府に対する要望を行っていくということが必要ではないかというふうに思います。
○阿部会長 ありがとうございました。今の点は、あまり書いていないですね。なるほどと思いますが。 ○久保利委員 経産省も、「経済的価値に着目した肖像の保護と利用に関する研究会」という立派な研究会がありまして、一生懸命やっておられるんですが、この辺の政策的な踏み込み、あるいは刑事罰に対する取り組みという辺りが今一つかなという感じもしますので、是非こちらの調査委員会からもそういうお願いをしたいと思いまして発言いたしました。 ○阿部会長 わかりました。では、ほかの方の御意見をちょうだいしたいと思います。
○吉野委員 外国市場対策のポイントは、やはり在外公館がどれぐらいちゃんと絡んでいただけるかということだと思うんです。
○阿部会長 そこは是非多面的に、制度整備も含めてお願いをして、いろんな方の御要望も全く同じだと思います。
○山田委員 同じですね。特に中小企業の場合、海外でそういうことがあった場合に、全くどこへ行っていいかわからないという状況だと思いますから、是非、今おっしゃったような本当に担当の窓口の方を置いていただくとか、明確にそういう形をつくっていただくとありがたいと思います。 ○阿部会長 今まで出てきたものですと、JETROとタイアップしていただくとか、そういう案もありましたので、その辺も含めて強いというとあれですけれども。 ○吉野委員 そうですね、JETROさんは能力はおありになると思うんです。ただ、相手に対してのオーソリティーというような感じだと、やはりJETROさんはやや官そのものではないですからね。 ○阿部会長 ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。
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○竹田委員 5ページから6ページにかけて水際措置についての具体的な提言が書かれておりますが、この中には、いわゆる運用で解決できる問題と、立法的な措置を必要とするものとがあると思います。
○阿部会長 ありがとうございました。今、5ページの(7)につきまして、(A)(B)(C)(D)(E)(F)、それから(8)(9)について立法措置が必要なもの、運用でいくべきもの、それから審議機関については、必ずしも現時点で設置する必要はないんではないかという御意見等がございましたが、これらについて、ほかの委員の先生方は、いかがでしょうか。
○下坂委員 竹田先生御提案のものなんですが、例えばグレーの部分について件数は少のうございましても、裁判所で仮処分ということになりますと、例えば特許と実用新案とかについては、大阪地裁、東京地裁ということに、将来的にもしなったとしますと、その仮処分もそこでということになるんでございますか。 ○竹田委員 これは、通常の民事訴訟法の規定に従って行うことになると思いますけれども、特別の制度を設けるというのではないということになると思います。 ○阿部会長 よろしいですか。 ○下坂委員 はい。 ○阿部会長 では、中川委員お願いします。 ○中川委員 今、竹田先生がおっしゃったこととほぼ結論が一緒でありまして、ただ仮処分のところだけ少し違うかもしれないんですが、少し付け加えさせていただきます。
次のページの(E)なんですが、竹田先生と同じ感想を持ちまして、選択肢としてはこういうのがあると思いますが、ここで言う専門的な判断というのが、事実に関する専門的な判断であれば、その前の(C)や(D)でできるわけですね、専門家の意見を聞けばいいと。
○阿部会長 ちょっといいですか、あまりたくさんあると、今のところで切っていいですか。 ○中川委員 はい。 ○阿部会長 これは事務局に対する質問が、今の「基づいて」と、それから先ほどの(E)のところの専門的な判断のところがどういう中身かということでしたが、何かお答えいただく必要はありますか。 ○小島事務局次長 まず(E)の税関内の特別の審議機関というのは、これまでの議論で出された米国のITCの議論、あるいは下坂委員からの御提案では、この専門家というのは技術的専門家、法律的専門家が入った審議機関という位置づけでございます。
○中川委員 そこのところを決めないと、なかなか条文にするのは難しいんではないかなと思うんですけれども。 ○阿部会長 では竹田委員、ほとんど似ていると思いますけれども、論点のところだけお願いします。 ○竹田委員 私は(F)の「侵害判断に基づいて」というのは、それに拘束されるという意味に考えて、だから立法事項だと。中川先生が言われたような趣旨で、これを参考にというか、強力な参考にというのか、それで判断するというのであれば、立法の問題ではなくて運用の問題でいいと思うんです。
○阿部会長 その点については、これからまとめる段階で、今のところは若干ファジーになっているということですね。
○小島事務局次長 ちょっとその点を付言させていただきますと、先ほどの関税局から御説明がございましたけれども、権利者からの輸入申立て制度で特許権が導入されたのは、まだ1年前ぐらいのことですので、そういう意味では、今までは特許権に関わる侵害判断というのは、税関ではあまりされていなかったということです。
○阿部会長 竹田委員がおっしゃるのは、その辺の様子を見ながらということをおっしゃったんだと思いますので、どのくらい迅速に対応していくかというのは、実績との関連というのは当然あるだろうと思いますが、そこはまたもう少し詰める必要があるんではないかと。
○中川委員 ちょっと竹田先生がおっしゃった(F)の論点について、一言だけ。私の考えは、行政と司法は競争させた方がいいと思うんです。つまり、仮処分に基づいて行政が動くのであれば、恐らく行政は遅くなる。しかし、独立に判断できるとなると、行政に来てくださいということで、先に判断する可能性がある。仮処分に拘束されてということになると、権利者としては結局裁判所と税関両方やらなければならないんではないかと、何か手間が増えてしまうような気がします。むしろ別々にしておいて、司法ものんびりやっていると税関が先に出してしまうよというような競争関係を持たせた方がより有効な水際になるんではないかと思っております。
○小島事務局次長 ここで書いた意味は、中川委員がおっしゃられた後者の方で、意見を聞く手続に関して、一般的には2週間程度なんですが、明らかに一旦黒認定されたものについては2週間待たずとも、その半分にするとか、短い期間で処理するというような運用の改善をするということが簡便、迅速な制度改善として想定されています。 ○中川委員 今の侵害認定手続にある手続保障というか、意見を言うという機会などは、それ自体は残されるわけですね。それをもっと早くやれという意味ですね。 ○小島事務局次長 そういう意味で書かれています。 ○阿部会長 ありがとうございました。ほかの委員の方、どうぞ久保利委員。 ○久保利委員 この(F)の議論ですけれども、基本的に私は、やはり運用よりは法律改正でいくのがよろしかろうと。その法律改正と併せて、裁判所の仮処分を活用するのはよろしかろうと思うんですが、今、中川先生がおっしゃったとおり、競争させるのは大変よろしいわけですが、逆に二度手間になるのと、今度司法が真面目に早くやるという保証もないわけで、まちまちになって、要するにお互いにもちもちになって、行政も判断しない、裁判所も判断しないというのでずるずるといく危険が一番高いのではないかと。あえてサボタージュという言葉を使えば、両方ともサボタージュする危険があって、片方だけがするというふうなことではないかもしれない。
○竹田委員 私も当然、期間の制限ということは考えていまして、どのぐらいの期間が適切かという問題があるのと、これは裁判所の審理期間を縛るわけにはいきませんので、あまくでも対象貨物の留め置きの期間で縛りを付ける以外にないと思うんです。
○久保利委員 今の一定期間内に仮処分が出た場合には、竹田先生のお考えでは税関長は拘束されるという発想ですね。
○竹田委員 今の点ですけれども、確かに裁判所迅速化法で2年を目途とするという規定がありますけれども、やはり司法手続法でそれをやるのだったらできると思いますけれども、行政に関する法律でそういう縛りをかけるということは、やはりできないことだろうと思います。
○久保利委員 私が考えたのは、中川先生がおっしゃったのをちょっと拡大解釈かもしれません。関税定率法の改正と書くだけではなくて、関連法令というふうに言う中で、裁判所の迅速化法の問題も含めて視野に入れて検討したらどうかというくらいのことまでは考えたわけでありますけれども。 ○阿部会長 それでは、ここはまた事務局の方で少し整理していただいて、また先生方に御意見を伺って、ある賢明なる、そういう人に、できるだけ持っていっていただくことにして、今の件ですか。 ○山田委員 今の件というか、今の水際取り締まりの件ですが。 ○阿部会長 では、どうぞ。 ○山田委員 これが終わるんだと思ったんですが、違うんですか。 ○阿部会長 そろそろ商標のところに行かないと時間が間に合わなくなるので、どうぞ、水際の件で一つ。 ○山田委員 ずっと方法論が話されていましたけれども、基本的に権利社会は何が目的かといったら、早く結論を出してくれと、判断してくれというのが目的なんです。
○阿部会長 必要なお金はかけていくべきだと思いますから、この案でどこを検索されたらいいかと。 ○山田委員 これは、いろんな種類がありますけれども、私が言っているのは、模造品のパターンを分けて、ルートを分けて、そのルートに対してそれぞれ防御の方法を考えると。 そのときに、権利者はどこに行くかといったら、一番最後に書いてある政府の窓口に、ちゃんと一本化した窓口であって、私はどこに行けばいいんですかと、それはAパターンですと、Bパターンですというのをちゃんと一本化してできれば非常に権利者としては有効だと思いますね。 ○阿部会長 その辺は法律というよりも、運用の問題が大きいかもしれませんけれども、そういうある種のきちんとした整理をここでしておくということは、場合によっては極めて有効かもしれません。その辺も含めまして。 ○高林委員 サンプル解析のことで、ちょっとプリミティブな質問ですけれども、左側の文章を読むと「権利者が税関からサンプルの提供を受け、解析を行う」という文章と、「外観から侵害判断ができないような貨物については、税関においても税関長の職権で分解検査を行う」というふうになっていますが、現在の運用として、もの自体の分解検査を職権で税関長自らがやるということは、全然できないことなのでしょうか。 ○阿部会長 事実確認という意味で御発言いただければ大変ありがたいです。 ○藤原審議官 点検とか、見本の検査とか、そこをどの辺まで読むかによると思いますけれども、ごく簡単なものであれば、それは非常に安価なものであるとか、少量のものであるとか、それは当然できるかと思いますし、ものによっていろいろ限界は出てくるかもしれません。 ○高林委員 こういう分解検査というものは、権利者ではなく職権で税関長がやるのであっても、法改正が必要であるということですか。 ○藤原審議官 職権でやる場合に、それが法改正が必要かというと、必ずしもそうではないかとは思います。 ○竹田委員 ちょっと待ってください。私の認識とは全然違うんですけれども、現行法では、そういうことが行うことができないからやりませんというのが、税関の基本的態度だと私は認識しているんですけれども、そうじゃないんですか。現行法でも分解して解析することが税関長の権限だったらできるんですか。 ○藤原審議官 実際問題として、今までそこまで必要なケースが少なかったということだと思います。 ○中川委員 本当は令状が必要なぐらいですね。 ○竹田委員 そうですね、これができるというのは、ちょっと信じられない議論ですから。 ○藤原審議官 いろんなケースがあろうかと思いますけれども、ごく簡単な安い場合もあれば、先ほどおっしゃっていましたように、非常に高価なものもあろうかと思いますし、元に戻せる場合もあるし、そうでもない場合もあります。 ○高林委員 権利者に渡して、権利者に分解させるというならば、法律改正をしなければならないでしょうね。私の質問は、職権でも現行法でもできるところと、法律改正が必要なところを、ちゃんと分けて議論しないといけないのではないかということです。
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○小島事務局次長 表現上、ちょっと不十分なところがあったかもしれませんけれども、ここでは分解検査、分解解析と両方同じ意味で使っていますので、前者は権利者が取得して、要するに権利者じゃないと分解できないような、ただネジを開けるだけではできないようなもの、あるいは壊れてしまうようなものがありますので、そういうものは権利者が取得して分解検査をするという意味で書いたものです。
○高林委員 いや、後者は外観から侵害判断ができないような貨物についてですよ。 ○小島事務局次長 外観からは侵害判断ができないが、ふたを開けただけで判断ができるようなもの、例えば、この会議でもバンダイが説明していました缶バッチ製造機みたいなおもちゃがありましたけれども、あれはふたを開けさえすれば、特許侵害だというのがわかるというものです。だけれども、現在は、ふたを開けて見るということをしていないので、特許侵害で止められなかったわけです。そういうような類いのものが後者でできるのではないかということです。 ○高林委員 なるほど、職権でできるものは積極的にやっていくと、できないものについては第三者にゆだねて法律改正した上で分解検査していくと、そういう趣旨ですね。 ○小島事務局次長 そういうのが(B)の趣旨でございます。 ○阿部会長 ここは文章がちょっとわかりにくいかもしれないですね。では、そこはよろしくお願いします。
○山田委員 これは、前にも申しましたように、買う人がいるからいけないんであって、売るのも買うのも違法だということで、あるいは持つのも違法だということをちゃんと法律で決めてしまえば、買えなくなりますから、ここは非常に有効だと思いますね。 ○阿部会長 7ページについて御意見を ○山田委員 7ページだけですね。 ○阿部会長 ええ、とりあえず。
○久保利委員 (11)番のマーク切除の話ですけれども、これの基になっているのは、恐らく大阪地裁の昭和57年の判例だと思いますけれども、もう20年以上も昔の判例ですし、しかも地裁段階の判例で、まさにこの判例でずっとマークを切除して許してきたという方がおかしいと思いますので、是非脱法行為の取り締まり強化、これは是非法律改正も含めてお願いしたいというふうに思います。 ○阿部会長 どうぞ。 ○中川委員 質問なんですが、(14)の問題ですが、侵害品かどうかは権利者が争うかどうかによって、変わってくるという理解でよろしいんでしょうか。 ○阿部会長 もう一回お願いします。 ○中川委員 つまり、商標権侵害品を個人が持ってはいけないという制度をつくる場合、これが侵害品なのかどうかというのは、だれが決めるんでしょうか。例えばこれは刑罰をかけるというふうなイメージですか、それとも輸入だけで禁止するということですか。 ○小島事務局次長 ここに書いてあるのは両方のイメージです。 ○中川委員 両方ですね、刑罰であれば裁判所が判定するはずですね。これでは、商標権の侵害かどうかは、権利者が争っているかどうかとは無関係に決めるんですか。
○小島事務局次長 取り締まり運用の詳しいことはわかりませんが、現実に路上で売られているものや、スーパーとかディスカウントショップで売られているものは、現に警察が取り締まって、逮捕、没収しているわけなので、それと同じことを想定しています。 ○中川委員 そうすると、先ほどの輸入差止申立てですか、あれも当事者が争わなくたって輸入は止められるということになるんですかね。これは繰り返し出てきている問題で、知財侵害品の水際取締制度を禁制品のところに置くのがいいのかどうかという根本問題なんですけれども。 ○阿部会長 特にこれは個人が知らないで持ってくる場合もあるわけですね。本物だと思ってね。 ○小島事務局次長 知ってか、知らないでかとか、そういうのは法律の構成要件をどうするかというところで決めればいいかと思います。 ○阿部会長 そういうことですね。今の中川委員の御指摘のところは、整理しておく必要があるように、私のような素人でも思いますが、いかがですか。 ○久保利委員 それは、麻薬でも常に同じ問題があるわけで、そうとは知らないで持っていましたというのを所持罪でやろうという。 ○中川委員 大麻というのは、これは一律に決まるんですね。でも、侵害品かどうかは一律に決まるものと考えていいのか、それとも権利者が争うときに侵害品と考えるのか、ちょっとその根本をどこかで整理しておかないといけないのではないか。差止の話になると権利者が争うかどうかで決まると、しかし、個人使用になると、これはもう何か一律に決まっているものなんだと、それは果たして全体で整合的なのかどうか、これは知財の問題ですので、私は専門家ではありませんが。 ○竹田委員 これは、特許法でも商標法でも権利侵害になるのは、業としてという要件があるわけですね。だから、個人の使用とか所持というのは、これは原則的に言えば、業としてとは言えませんので、侵害にはならないわけですね。侵害にならないものの所持を禁止するというのは、これは本来の知財法の概念とは、また別の秩序維持的な考えで、何らかの立法的措置を講じる問題だというふうな視点でとらえないと、知財法の体系と基本的に違うものを持ち込むことになってしまうんではないかと思います。 ○小島事務局次長 (14)で取り上げているのは、その右側の(14)−Cで、フランスの知財法を引用してありますけれども、あるいはこの場でユニオン・デ・ファブリカンの方が御紹介されていたわけですけれども、フランスの知財法、商標法の扱いにならって、今の法律を改正したらどうかという御提案でしたので、その法律改正を前提とした提案でございます。 ○高林委員 その法律改正というのは、知財法の商標に絡む法律だけを改正するという趣旨なんでしょうか。 ○小島事務局次長 別に商標法だけではなくて、ほかの法律が適当ならば、ほかの法律でもいいと思いますが。 ○高林委員 今日は、中山先生もいらっしゃらないし、知財の学者は私と竹田先生だけですので、言わなければいけないのかもしれませんが、繰り返しになりますけれども、この問題は知財法全体に関わるものであって、そこだけを簡易に動かすことというのは、知財法全体の体系から見てふさわしい改正だとは思えません。
○久保利委員 脱法行為ですからね。 ○小島事務局次長 ここで書かれているのは、(11)(12)は、税関ではがしたり、部品を取り外すという脱法行為について、それを取れば通関できるという運用になっていることが問題で、その脱法行為を放置するのはいかがかという御意見があったことを踏まえて書かれていますので、ここは税関での切除、取り外しに関するものについてであります。 ○高林委員 そうすると、輸入する前にマークを外してばらばらにしてから輸入するのは、全然カバーしていないというわけですね。 ○阿部会長 高林委員の前半については、どういう法整備をするかよく整理していただいて、御指摘のような懸念にならないようにお願いしたいと思います。
○阿部会長 それでは、III の国内の取り締まりについて、10分ぐらいで御議論を賜われば大変ありがたいと思います。いかがでしょうか。
○山田委員 先ほどの個人所有とか、あるいは輸入が取り締まられれば、当然、模造品の販売ということをインターネットの中で販売しても、それは違法であるというふうな形になると思うんです。これは是非やっていただきたい。
○小島事務局次長 今の点は不正競争防止法で、国内で秘密を漏洩した場合は刑罰の対象になりますが、同じ人が国外でやった場合には、刑罰の対象にならないと承知しております。日本の国内法ではですね。 ○久保利委員 国外犯を特に罰するという規定がない限りはそうではないわけですから、少なくとも不正競争防止法にその規定はないと思います。 ○小島事務局次長 欧米の法律では、国外犯を処罰する規定があるようでありますけれども、現時点で日本ではこの問題に関する国外犯の処罰規定はございません。 ○山田委員 外へ行かれて話をされても漏れるのは同じですからね。 ○吉野委員 今の出張の話以外に、やはり中国企業、韓国企業は、スカウトがすごいですから、だから向こうへ連れて行って、向こうで仕事をしてもらうというケースが非常に多いですね。特に定年後とかね。
○阿部会長 それは、どうして法律で許しているんですか。 ○荒井事務局長 今まではだめなもの以外は許しているというやり方ですから、こういうものはよくないというふうになれば、そういう形に。 ○阿部会長 単にそういうことですか、ではよくないと。 ○久保利委員 私の記憶するところによると、むしろ逆に韓国等においては、国外で営業秘密を漏洩した場合には、むしろ刑罰が重くなるという規定があるということを聞いたことがありまして、本当かどうかまだ確認しておりませんけれども、それは十分あり得る話ではないかと。内部で漏らしっこしているのは、国益からするとまだあれだけれども、外国に漏らすのはいかぬという、この間の理研遺伝子スパイ事件のアメリカとの関係ではありませんけれども、そういう問題は私はあり得ると思います。
○阿部会長 ありがとうございました。ほかの点はいかがでしょうか。 ○荒井事務局長 ちょっと新しい御指摘ですので、追加させていただきます。 ○阿部会長 よろしゅうございますか。それでは、次のIVの中小企業の支援というところ、これも10分程度御議論賜わればありがたいと思います。 ○山田委員 これは中小企業のところですから代表して、本当に日本の産業を支えるのは、中小、ベンチャー、アメリカも半分ぐらいが、それが支えているというような形になっていますから、でも実質的には彼ら、我々も含めて本当に海外で特許とか、戦う力はまだないんです。それに対して支援とか、ここに書いてある助成とか、そういったものを厚くやっていただけると、それが大きく成長してお返しができるようになると思いますので、是非よろしくお願いいたします。 ○阿部会長 ありがとうございました。ほかに、いかがでしょうか。特になければ、次に移ってもよろしゅうございますか。
○阿部会長 それでは、V番目の官民の体制強化について、最後になりますが、御議論を賜わりたいと思います。
○吉野委員 もう一つ、これは国内の下の方のグレーというか、ブルーのところを相談という矢印が来ていますけれども、これは難しい話なんだけれども、このままでは全然だめですね。かといって、何か機関をつくってといってもワークするかどうかわからなくて、何かいい知恵が必要なところですね。 ○山田委員 窓口を一本に絞ってほしいですね。後で各機関が連携するのは御自由に連携してもらって、窓口はまず一本に絞って。 ○吉野委員 これは、今、どういうイメージで書かれているんですかね。 ○小島事務局次長 10ページ目の右側の絵のイメージは、左側の(ア)というところにありますけれども、問題があった権利者は、関係の深いところにどこでも行ってくださいと。関係の深い、例えば経済産業省だ、農水省だと。そしてそれぞれの省に支援担当窓口が設置されるので、どこでも行ってくださいということです。
○吉野委員 そんなうまくいくと思いますか。 ○山田委員 責任窓口というか、それを明確にして、最後まで面倒を見てくれる窓口を明確にして。 ○吉野委員 最後まで面倒は見切れないと思うんですね。やはり領域がそれぞれ専門性があるからね。 ○山田委員 ただ、それが例えば特許庁に行っていないとか、そういったことは、そこにクレームが付けられると、どうして行っていないんですかというような、そういった形じゃないとワークしないんではないかと思いますね。 ○吉野委員 やはり知財立国と言っているんだから、知財担当大臣ぐらい指名して、その下にやはりスタッフがいて、そのスタッフが推進機能を持つとか、何かないと、こんなんではどうしょうもないという感じがしますね。何か知恵がもう少しほしい感じがしますね。だけど、日本も何とか立国というのが多いが、知財立国と言っているわけでしょう。 ○荒井事務局長 言っています。これは一生懸命やりたいと思います。 ○阿部会長 1つは、事務局がこういう役割を負うという考え方があるんですが、事務局は実務をやらない組織のようですので、なかなか難しいんですが、事務局が束ねることはできるかもしれませんけれども。しかし何か良い、それこそ効果的なものにしないといけないので、知財大臣でも、そこの事務局はこういう実務をやっていただかないと窓口の一本化はできないですね。
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○中川委員 弁護士会での相談窓口というのも、あれもある種のワンストップサービスなんでしょうか。つまり、相談が来て、これはこの人に行ってくださいとか、こういう紛争はこっちと、何か同じようなものが、ここの事務局にホームページか何かでやれないでしょうか。とりあえずこんな相談内容です、どこへ行けばいいんですかという相談であれば、とりあえず、まずは領域別に文科省とか農水省に行くと。更にそれが訴訟もやろうかとか、水際とかになると、こういうふうな手続がありますよということを教えてくれるような、1か所に行けば、その後、振り分けてくれるというような仕組みがあればかなり違うと思うんですけれども。ちょうど弁護士会の相談窓口みたいに。 ○久保利委員 基本的に弁護士会の場合には、総合と個別のものとダブるであるわけです。ですから、総合のところへ行かれますと、例えばクレサラ問題ですと言ったら、クレサラのところへ紹介して、そこへ行きなさいというふうに割り振りができるわけです。逆に、今、クレサラと思ってクレサラのところへ行くのも勿論ありですけれども、そういうどこか集約的な総合窓口、ここにも書いてありますけれども、総合相談窓口というのが、では一体国のどこにあるんですかと、何丁目、何番地に行って、ビルの何階に行ったらいいんですかというのが、実はないのにこれを書いているわけですね。つくろうという話なのかもしれませんが。 ○吉野委員 民の場合には、場合によっては死活問題なんだね。ところが官はインセンティブがないんだね。それがビルトインされない限り大変難しいと思いますね。 ○久保利委員 弁護士会だって、これはある意味で言うと、弁護士の営業窓口という発想があるから一生懸命受けて分けるわけですから、この窓口は忙しくなる一方で、何のメリットもないと思えば、官は働かないですね。それでは、困るわけですから、何かいいインセンティブを与えながらやる方法を考えるしかないですね。 ○阿部会長 なかなか難しいですが、是非知恵がありましたら、勿論事務局にも考えてもらいますけれども。インセンティブですね。国のためというのはインセンティブにならないですか。 ○久保利委員 いや、本来はなるはずなんですけれども。 ○山田委員 さっき吉野委員がおっしゃったように、知財立国というんだったら、やはりそういう知財相をつくるなり、そういうのも一つのあれかもしれないですね。 ○阿部会長 実務をやるところをつくらないとね。 ○山田委員 これは現状を絵で、丸で結んだという感じですね。 ○阿部会長 ありがとうございました。やはりそこが決め手でしょうね。あとは官民の体制強化で御意見ございますでしょうか。
○下坂委員 先ほどの水際での取り組みの5ページの辺りなんですが、これは今後どのようにまとめられていくのかが、ちょっと読めないんではございますけれども、(A)〜(F)までいろんなアイデアがございまして、先ほど仮処分のところをかなり審議されて、それらをまた書き加えられるというお話で、いずれにいたしましてもたくさん出ておりまして、それぞれ一長一短はございますけれども、例えば(A)でしたら、特許庁への意見照会、これは現状ですけれども、この意見照会なさるようなところに、例えば、今は特許庁ということになっているところにADR機関の活用ということもお考えいただければ、民民で今、ADRをいろいろ活性化しようということで審議されているところでございますので、そこに例えば仲裁センターなどを持ち込むのはどうかと考えます。
○阿部会長 これは事務局いかがですか。 ○荒井事務局長 6ページの(9)でADRの関係はまとめて書いてございまして、それぞれの項目、例えば税関長で判断するときに、ADRに行って当事者で話し合いという形がいいのかどうかというのは、いろんなケースがあると思いますので、ちょっと明示的にこういうところにADRと書くのがいいかどうかは、検討させていただきたいと思います。 ただ、御趣旨としてADRを活用するとか、そういうことは(9)でまとめて書いてあると、そういうことになっておりますので、ちょっと個別に入れると、性質が違ったものが入ってきたという面があると思いますので、行政手続でやっている話と、ADRの当事者間の紛争問題を直接リンクさせていいのかのどうか、ちょっと検討させていただきます。 ○高林委員 そこのところで、私も先ほどの審議官の御説明にもありましたけれども、当事者間で和解ができれば、侵害品でないので、それが輸入を認めるということは、制度としてはそうはなっていないと思うんですね。実際に職権でやるべきことであるわけですから、そこは現実にはそういうふうな運用がされているんだとは思うんですけれども、ADRというのは、まさにそういうものであろうかと思うわけです。
○阿部会長 具体的には、難しい問題がたくさんあるかもしれませんね。
○竹田委員 関税局に質問ですけれども、当事者間合意があれば、例えばADRを使うときには、結構時間がかかりますね。そのときに輸入者と権利者との間でそういう手続に使いましょうという場合には、その留め置き期間というのは、無制限、あるいはかなり長期間ということは可能なんですか。 ○藤原審議官 認定手続の中で、当事者同士で話し合いましょうという気運が出てきまして、そこで話し合いが行われている間、認定を先に延ばすというのは、実際問題としてはできると思います。そこで、話しがついてどっちかになればということです。 ○竹田委員 その話合いの実態として使うということは、十分可能性がありますね。 ○阿部会長 どうぞ。 ○久保利委員 8ページのインターネットオークションの話ですけれども、左側の(15)のAとしてお書きになっているんですが、関係する省庁がさっきの総合窓口の話とも絡みますけれども、警察庁から経産省まで7つか、8つの省庁が絡むわけです。
○阿部会長 ありがとうございました。久保利先生の御発言を伺うと、いつも深刻に受け止めざるを得なくなりますが、そういうつもりで是非お願いします。
○荒井事務局長 事務局からお願いがあります。いろいろ今日御指摘をいただいておりまして、これを更にまた御意見をお伺いしながら、よりよい案にしようと思いますが、是非日本の企業の方、あるいはいろんな方の財産がいっぱい侵害されている、そういう深刻な状態であるということと、今のいろんなお話がございましたように、いろんな問題が新しく起きていますので、私どもの法律の知恵だけだとなかなか不十分ですので、是非こういう形で直せばいいとか、積極的な御提案を、いっぱい問題があるのは承知はしているんですが、何とか、現実はそういうニーズが非常に強いということなので、従来の法律では法律の考え方だけだと、相当まだまだ足りないと思いますので、是非いろんな解決すべき案をいっぱい出していただければ、私どもも参考にしてやっていきたいと思います。お願いでございます。 ○阿部会長 それでは、時間になりましたので、そろそろ締めたいと思いますが、模倣品・海賊版対策の強化につきましては、実は3回にわたって専門調査会で御議論をいただきまして、また多くの参考人からの御意見をいただいて議論を重ねてきたわけであります。 本日も、更に有益な御指摘をたくさんいただきましたが、事務局におかれましては、最終的なとりまとめの作成を行っていただきたいと思います。
(「はい」と声あり)
○阿部会長 それでは、本日はこれで閉会させていただきますが、次回は、5月7日金曜日、午前10時からここで開催させていただきたいと思います。
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