トップ > 会議等一覧 > 知的財産戦略本部 > 権利保護基盤の強化に関する専門調査会 | [印刷用(PDF)] | ||
模倣品・海賊版対策に関する意見募集の結果について |
I.実施期間 | ||||
2004年1月13日(火)〜1月27日(火) | ||||
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II.実施方法 | ||||
首相官邸ホームページへの掲載によって周知を図り,模倣品・海賊版対策について,電子メール,FAX及び郵送によりコメントを募集しました。 | ||||
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III.提出されたパブリックコメントの件数 | ||||
52件(うち個人20件、団体32件) | ||||
※その他、模倣品との関連が特定できない個別事件に関するもの1件あり。 | ||||
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IV.パブリックコメントの結果 | ||||
模倣品・海賊版対策について,別添1(団体)及び別添2(個人)のとおりご意見をいただきました。 | ||||
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V.意見の概要 | ||||
(パブリックコメントで寄せられた主な意見を知的財産推進計画の項目に則って整理) | ||||
1. | 外国市場対策を強化する | |||
(1) | 我が国の企業の諸外国での権利取得及び権利行使を支援する | |||
○ | 日本企業の個別事件の解決を政府が支援すべき。 | |||
○ | 海外において知的財産権侵害訴訟を行っている企業に対し、訴訟費用の面、法的執行の面などで支援する体制を確立すべき。 | |||
○ | 被害者支援の総合窓口として模倣品支援対策センターを設立し、侵害状況の把握、対策の調査研究等を実施すべき。 | |||
○ | 中国で開催される国際見本市では、デッドコピー品が展示されることがあるので、日本の政府や公的機関が国際見本市会場で模倣品相談窓口を開設すべき。 | |||
○ | 海外での模倣品・海賊版の取締りを効果的に行うため、日本ブランドの統一マーク(団体商標)を制定し、この団体商標を各国で登録させるよう推進すべき。 | |||
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(2) | 官民の連携を強化する | |||
1) | 模倣品・海賊版に係る情報ネットワークを構築する ○ 警察庁、外務省、文部科学省、経済産業省並びに日本貿易振興機構(ジェトロ)や日本の海外大使館や領事館が、国際商標協会(International Trademark Association)等の組織と連携を強化し維持すべき。 | |||
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2) | 官民連携による模倣品・海賊版対策を講ずる ○ 国際知的財産保護フォーラム等を活用し、官民一体となって関係当事国に働きかける仕組みをより強固にすべき。 ○ 官民合同ミッションにより、中国政府当局へ制度・執行改善要請を行ったが、まだまだ改善の兆候が見られない。中国政府・地方当局に対する継続的なフォローが必要。 | |||
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(3) | 侵害の発生している国への政府の取組を強化する | |||
○ | 最近は四輪完成車にも意匠のデッドコピーが出現。さらに、商品の特徴部分だけを模倣して組み合わせた巧妙な模倣品へと拡大している。「意匠の審査制度導入」、「部分意匠制度の導入」等の法整備、「組合せ意匠の排除基準」や「類比判断基準」等の運用面での対策強化を中国に要請すべき。 | |||
○ | 最近、中国では、著名商標等に似せた紛らわしい類似商標権、類似意匠権、類似商号などを第三者が登録し、これを使用する事件が発生している。第三者による模倣権利の登録を取り消す制度を設けるよう要請すべき。 | |||
○ | いわゆる冒認出願を防ぐため、特許及び意匠の新規性の判断基準に世界公用を導入するよう中国に要請すべき。 | |||
○ | CASIOに似せた、CASILI、KADIO、CASINE等の商標を登録して形状類似の時計等に使用する事件が発生している。これを避けるためには、中国において著名商標の登録が必要であるが、日本企業を含めた外国企業には認められていない。外国企業にも広く認めるよう要請すべき。 | |||
○ | 意匠権が無くてもデザインのデッドコピーに対抗できるよう、形態模倣の禁止規定を不正競争防止法に盛り込むよう中国に要請すべき。 | |||
○ | 被害事例の8割が再犯。再犯者に対する損害賠償の高額化や営業停止、刑事罰の強化、再犯者のブラックリスト化等、再犯に対する厳格な取締りを要請すべき。 | |||
○ | 悪質な模倣犯や再犯防止には公安の取締りが効果的だが、摘発事例は未だ少数。公安が出動する基準を緩和する等、中国公安の取締りを一層強化するよう要請すべき。 | |||
○ | 中国の税関取締りにおいて、担保の提供や鑑定書提出の期限が短い、担保の金額が大きい等、権利者に重い負担が課されているので、改善を要請すべき。 | |||
○ | 模倣品・海賊版を排除するための制度の整備と共に、模倣しないマインドを育てる啓蒙活動を侵害発生国で推進すべき。 | |||
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1) | 二国間での取組を強化する | |||
○ | 相手国政府の自助努力を引き出すことが重要。知的財産権侵害国に対する経済制裁まで実施することができる「日本版スペシャル301条」を制定すべき。 | |||
○ | 政府が、各関係国・地域での侵害及びその対策状況に関するレポートを定期的に作成し、当該関係国・地域へ配布するとともに、改善状況を継続的にチェックすべき。 | |||
○ | 日・シンガポール経済連携協定(EPA)の知的財産権に係る規定では不十分。米・シンガポール自由貿易協定(FTA)の知的財産権に係る規定にならって、今後、FTAやEPAの締結を進めるべき。 | |||
○ | 海賊版・模倣品製造の被害を受けている各国政府と連携をとり、罰則の強化・海賊版取締り要請、意匠・商標出願審査速度の向上の要請及び支援を侵害発生国に継続的に要請すべき。 | |||
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2) | 多国間での取組を強化する | |||
○ | 日本政府は、WTOのTRIPSやWIPO等の国際機関を通じた知的財産権保護の要請をさらに強化し、これらの要請が適切に履行されているか否かを慎重にレビューすべき。 | |||
○ | アジア太平洋経済協力(APEC)の知的財産権サービスセンターをスタンドアロンとせず、ネットワーク化すべき。 | |||
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3) | ODA政策における知的財産制度の整備・執行への強化への支援の位置付けを強化する | |||
○ | 政府開発援助(ODA)の資金がアジア諸国の知的財産制度設計・運用のレベルアップにつながるよう、関係省庁を横断した効率的な中・長期に亘る投入政策を立案すべき。 | |||
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4) | アジア諸国の模倣品・海賊版対策の能力構築を支援する | |||
○ | アジア地域の著作権管理団体の管理体制を確立し、海賊版撲滅の実効性を高めるため、研修生の受け入れや、ノウハウの提供、事務機器の整備等、該団体を支援すべき。 | |||
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2. | 水際及び国内での取締りを強化する | |||
(1) | 知的財産権侵害品の個人輸入を抑制するよう国内法制を構築する | |||
○ | 個人輸入と称して模倣品を海外から輸入し、国内で販売する等の事件が2003年刑事事犯の54%を占めるという報告がある。個人使用目的による侵害品の個人輸入を禁止すべき。 | |||
○ | フランスでは、所謂ロンゲ法なるものが存在していて偽造品の所持そのものを禁止している。同様の法律が日本に存在したならばその効果は絶大である。 | |||
○ | 真に個人輸入であり、しかも取り締まらなければならない事案がどれだけ存在するのか、実態を十分に調査して検討すべき。 | |||
○ | 輸入先で組み立てて初めて権利侵害の模倣品が完成されるケースも発生している。このようなケースでも侵害摘発可能な法整備をすべき。 | |||
○ | 意匠法を改正し、意匠権の保護範囲をあらゆる物品に及ぶものとし、この仕組みを世界共通のルールとしてパリ条約やTRIPsの改正を提案すべき。 | |||
○ | 半導体の電子回路を模倣し、国内で販売する事件が発生しているが、現行の不正競争防止法ではこれを取り締まることができない。製品の内部設計の模倣を禁止すべく不正競争防止法を改正すべき。 | |||
○ | 現行の不正競争防止法では、商品の形態模倣を禁止しているが、その商品が最初に販売された日から3年間しか保護されない(2条1項3号)。この3年の縛りを排除すべき。 | |||
○ | 日本の特許に侵害する半導体を台湾企業が日本に輸出した事件があったが、この台湾企業を被告として国内で訴訟を提起できなかった。真の模倣者を被告にするために、日本国内でも外国企業に対する訴訟を提起できるようにすべき。 | |||
○ | タレント等の氏名・肖像を無断で使用した者を罰するよう、肖像・パブリシティ権に関する国内法を整備すべき。 | |||
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(2) | 効果的な水際、国内取締りを行うべく一層の対策強化を行う | |||
○ | 税関における認定手続きにおいて判明した輸入者、輸出者、製造業者等の氏名、住所等を開示することに賛成。 | |||
○ | 模倣品・海賊版の輸送形態として、国際郵便を利用した小口貨物事案が増加している。1回の通関申請の個数は1個でも、数ヶ月で百、千の単位で通関申請がかけられれば、日本への模倣品・海賊版の流入は継続される。国際郵便を利用した小口貨物を含め侵害物品の輸入を差し止めるべき。 | |||
○ | 税関において、梱包を開けてチェックできるようにする等、検査手続においても、より効果的な取締りが可能となるよう改善すべき。 | |||
○ | 税関当局と警察庁との間の情報交換を強化することに賛成。また、税関と警察と特許庁との間の横断的な訓練及び教育を行うべき。 | |||
○ | 税関において、侵害認定をした場合には、当該物品の輸出元の税関当局に連絡し、輸出国でのチェックが働くようにする等、各国の税関当局との情報連絡・連携を一層強化すべき。 | |||
○ | アジア諸国の税関当局・警察当局との経済的、行政的な連携だけでなく、司法的連携を行い、証拠となるべき書類の引渡要求や日本の法定で証人尋問のための出頭要求などが可能となるような法的協定を締結すべき。 | |||
○ | 並行輸入した真正品であると称して偽造品が多量に市場に侵入している。このため、並行輸入業者に、商品が真正品であることの立証責任を負わせるべき。 | |||
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(3) | 水際で当事者の主張を基にした迅速な侵害判断ができる仕組みを早期構築する | |||
○ | 侵害品の輸入阻止のメインターゲットは、意匠権や商標権の侵害品から特許権の侵害品にシフトしつつあるので、米国ITC(国際貿易委員会)を参考にした新たな行政審判機関を設立すべき。 | |||
○ | 特許権侵害については、司法または行政において、技術と法律の双方がわかる人材を活用し、当事者の主張をもとに侵害か否かの判断を迅速に行う仕組みを導入し、その結果をもとに、税関がその侵害品を輸入者にかかわらず差止めるようにすべき。 | |||
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(4) | インターネットを利用した侵害への取締りを強化する | |||
○ | 株式会社Aのインターネットオークションサイトに出品されている商品の80%以上が偽造品であるとの調査結果が示すように、インターネット上では模倣品販売が野放しである。これに対処するため、権利侵害が明らかな場合には、サイト運営者が出品者の情報を開示しても賠償責任が問われないようプロバイダー責任法を改正すべき。 | |||
○ | ネットワーク化に伴う創作手段・利用手段の拡大・普及に対応し、権利侵害の未然防止に向けた対策を推進すべき。 | |||
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(5) | 国民への啓発活動を強化する | |||
○ | 中小企業の多くは、権利取得、権利行使の方法など基本的なノウハウを有しておらず、海外での模倣品対策を放置している。中小企業への啓蒙、権利取得、権利行使の支援を強化すべき。 | |||
○ | 知的財産権の侵害に危機感を持ち、教育を始めたのは大学や一部の企業、法曹界に留まっている。義務教育の段階から知的財産教育を行うべき。 | |||
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3. | 官民の体制を強化する | |||
(1) | 政府の体制を強化する | |||
○ | 不正商品対策が政府全体として効率的に行われるよう、各省庁間の専門係官の連携組織を構築すべき。 | |||
○ | 検察や各都道府県警察に専門官等を配置するなどして人的環境を強化すべき。 | |||
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VI.ご意見の取扱いについて | ||||
いただいたご意見は,専門調査会での今後の検討の参考とさせていただきます。 |