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第5回権利保護基盤の強化に関する専門調査会議事録 | ||||
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1. | 日 時: | 16年2月18日(水)15:00〜17:00 | ||
2. | 場 所: | 知的財産戦略推進事務局内会議室 | ||
3. | 出席者: | |||
【委員】 | 阿部会長、伊藤委員、久保利委員、下坂委員、高林委員、竹田委員 中川委員、野間口委員、山田委員、吉野委員 | |||
【本部員】 | 中山本部員 | |||
【事務局】 | 荒井事務局長、小島事務局次長 | |||
4. | 議 事 | |||
(1) | 模倣品・海賊版被害の現状について | |||
(2) | プレゼンテーション | |||
(委員) | ||||
吉野浩行委員 | ||||
野間口有委員 | ||||
(参考人) | ||||
富士写真フィルム株式会社 | 三川秋一専務執行役員 | |||
株式会社バンダイ | 高須武男代表取締役社長 | |||
フランス公益社団法人ユニオン・デ・ファブリカン | ローラン・デュボア日本代表 | |||
(3) | 自由討議 | |||
(4) | 閉 会 |
○阿部会長 それでは、少し時間の前ですけれども、皆さんお見えになりましたので、これから第5回の権利保護基盤の強化に関する専門調査会を開催させていただきたいと思います。座ったまま進行をさせていただきます。
○小島事務局次長 それでは御説明いたします。
○阿部会長 ありがとうございました。御質問もあろうかと思いますが、後でまとめてお願いしたいと思います。
○吉野委員 実際に今日は毎日、模倣品と闘っております知財部長を連れてきておりますので、部長の方から説明をさせていただきます。 ○本田技研工業株式会社久慈直登氏 それでは、吉野委員の資料を御説明させていただきます。
○阿部会長 大変生々しい事例の御紹介をいただきましたが、また後ほどまとめて御議論いただくことにいたしまして、続きまして野間口委員からお願いいたします。 ○野間口委員 ホンダさんの方からメーカーとしての立場のお話がありまして、私どもも全く一緒なんですが、私どもは特に外に製品として見えないものですから、なかなかそういう面で深く静かに潜行するような模倣品問題で苦労しております。テレビとかエアコンのように外からぱっと見てわかればすぐわかるんですが、工場とかオフィスの中に組み込まれるようなものの模倣品問題に苦労しておりまして、その例を少し説明させていただきたいと思います。
○阿部会長 ありがとうございました。ホンダさんと類似の点と違った特色、特徴をわかりやすく御説明いただきました。
○三川参考人 富士フィルムの三川でございます。「模造品・海賊版に対する水際対策」ということで、私どもの実態と、それから要望ということでお話をさせていただきます。 私どものケースは、「写ルンです」というカメラ、レンズ付きフィルムと呼んでいるんですが、場合によっては使い捨てカメラと言われることもありますけれども、そのケースでございます。
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○阿部会長 ありがとうございました。また後ほど御議論をいただくことにしまして、続きまして高須参考人からお願いいたします。 ○高須参考人 バンダイの高須でございます。この映像をごらんになりながら、お手元にも資料があると思いますが、それを参照していただきながらお話を聞いていただきたいと思います。
○阿部会長 ありがとうございました。後ほどまとめて御議論をいただくことにいたしまして、最後になりますが、デュボアさんから御説明をいただきたいと思います。お願いします。 ○デュボア参考人 フランス公益社団法人のユニオン・デ・ファブリカン日本代表のローラン・デュボワです。ただいまより、偽ブランド品の国内流通状況ほかの御報告をさせていただきます。
○阿部会長 ありがとうございました。4つのメーカーの方と、最後に偽ブランド排除活動を行っておられる団体からのお話を伺いました。4つのメーカー、ホンダさん、三菱電機さん、富士フィルムさん、株式会社バンダイさんのお話を伺っておりますと、共通の問題点もありますが、製品の特性に基づくそれぞれの御苦労というものがまた別にあるように拝見いたしましたし、御提言もそういうことにわたっていたように拝見いたしました。 いずれにしましても大変深刻なお話を御報告いただいたわけでありますが、これから残った時間は意見交換にさせていただきたいと思います。どなたでも結構でございますので、御発言いただきたいと思います。
○山田委員 今、皆さん模造品は全部先方がつくっているわけですね。富士フィルムさんの場合は御社のケースを外してフィルムだけ入れ替えるということですね。そのケースの流通経路というのはどうなっているんですか。御社が回収するんじゃないんですか。 ○三川参考人 これは、回収ルートがあります。途中でこれを横流しする業者がいまして。 ○山田委員 どうしてほかのものみたいにケースを自分たちでつくらないんですか。どうしてケースそのものを模造しないんですか。 ○三川参考人 これが一番安いんです。ここを外してフィルムを入れるだけでできてしまいますので、コストが一番安いわけです。 ○山田委員 やはりつくられたら違反になりますか。 ○三川参考人 特許の侵害にはなります。 ○下坂委員 富士フィルムさんがそれを出されました当時、市場では回収段階で使用済レンズ付きフィルムを店に皆、持ってくる。店には廃棄の箱がありまして、そこにぽんぽんと入れますけれども、富士フィルムのだけではなくてコダックから何から全部入れていく。最近は何か分類してそれぞれがお持ち帰りと聞いているんですが。そこでケースをちょっと取り替えまして、ケースで紙がかぶっている部分などを印刷してフィルムを入れ替えるということで販売をしていて押さえられたということがあったのでございますけれども、その特許権の効力でございますね。店に箱があって、そこに廃棄した。そこのところで廃棄物になるのか、それとも特許権の効力はリバイズしたときに生き返るのか、その辺りがどこら辺までかというのはその当時、大分問題ではあったんですが、その点につきましていかがですか。 ○三川参考人 その点につきまして、日本では消尽論という考え方です。それからアメリカではインプライド・ライセンスと言いまして、黙示の実施許諾ということがございます。この黙示の実施権というのは、購入した製品を継続して使用するために修理を行うというような場合には、これは特許侵害にならないというふうに言われています。
○竹田委員 今の点についてですが、この事例そのものかどうかわかりませんけれども、先ほどのITCでそれが特許権侵害に当たると言った後に、CAFCが今おっしゃられた禁じられた再生産には当たらないということで消尽原則の枠外だということで特許権侵害にならないと判断したのではないんですか。 ○三川参考人 もっと詳しく言いますと、ある非常に限られた場合だけ特許権侵害にならないという判断が出て、多くの場合は侵害であるという私どもの主張は認められました。 ○竹田委員 そうするとCAFC段階でも幾つも判例があって、そういう限られた範囲内では侵害にならないけれども、多くの場合は侵害になるという判断が出ているわけですか。 ○三川参考人 そうです。 ○中川委員 ITCの話が出ましたので、今度は手続きの面で御質問させていただきたいんですが、先ほどITCで一般排除命令をもらったというときに、たしかメーカーのリストを添附されたというふうにおっしゃったと思うんですが、そのことをお話になった後に日本の水際制度に関する要望ということで、輸入者あるいは製造の捕捉は難しい。だから、それを問わず輸入の差止めをお願いしたいとありました。そうすると、これは権利侵害をしたと思われるメーカーあるいは輸入者について、どの程度まで特定をすれば十分とお考えになっているのでしょうか。 ○三川参考人 私は舌足らずで申し訳なかったんですが、メーカーを特定してやらないといけないんです。といいますのは、正規の普通私どもがライセンスを与えてつくっているメーカーがございます。そういったものが入ってくる。これは外見では、本当にはぐってみないとわからないわけですから、そういうことでメーカーを特定して、このメーカーのものはいいけれども、このメーカーのものはだめだというふうにしないと、やはり排除するものが明確にできないということになります。 ○中川委員 そうすると、それらのリストは知る限りどんと付けてしまえば、つまり相手が被告側として出てこなくても、その名前さえ挙げておけばいいというふうな簡易な手続きでやることをご希望ということなんでしょうか。 ○三川参考人 そうです。ただ1つだけ、今度は差止めをされた方が異議を申し立てるということができます。それは、さっき私はステイというふうに申し上げたんですが、お金を積みます。相当の金を積むんですが、そうした場合にはある期間、輸入をまだ続けることができる。その代わり、もしそれがやはり特許侵害だと認められますと、その金は没収されるというようなシステムです。 ○下坂委員 三菱電機の野間口委員にお伺いしたいんですが、資料6の4ページのところに「感電事故、火災事故の発生」、「人命・身体への危険」とか、模造品でいろいろなことが起こります。その場合、偽物で故障や事故の場合のこちらの権利者としての対応というのは、偽物ですからうちのものではありませんということでそのままつっぱねますと、ブランド力の問題とか信用の問題もあると思うんですが、その辺りの対応というのはどのようにされていますか。 ○野間口委員 基本的にはそれで突っ張り通すということです。それで、こういうものが出たところは割とそこを明確にアピールしますと、表現は悪いんですけれども、慣れておられるといいますか、これは悪いものをつかまされたんだということで、ではやはり正規のものに取り換えようと、そういうことにしっかりしたユーザーさんは変わります。 それで途中の流通、例えば私どもは日本国内ではこの問題はほとんどないんです。途中で工事屋さんとか流通業者さんが品質を非常に重視しまして、エンドユーザーさんのために悪い品物を使ってはいけないということははっきりしていますのでほとんど起こらないんですね。それで、海外ではそれが往々にして起こるというのは、エンドユーザーさんの例えば国とか行政機関のようなものでもどんな業者さんがそれを使ったか、どういうルートで調達したか、わからない。そういうものに対するリスクなども結構あるんです。
○久保利委員 バンダイの高須社長にお伺いしたいと思います。大変御苦労されておられるようで、私はコンテンツの方の専門調査会も担当をしているので、本当に大変だろうなと考えますが、この8枚目のところに「中国に求めたい事項」と「日本政府にお願いしたい事項」というものがございましたね。この中で「上記はいずれも1企業では実現不可能。二国間交渉や大使館のフォローにより、早期の実現を希望します」と、誠にごもっともだと思いますし、是非そうしていただきたいと思うんですが、率直なところ、例えば中国における日本大使館の能力あるいはスタッフのマンパワー等々で余りお役に立てていないというのが実態なんでしょうか。 ○高須参考人 お役に立っていないというか、結局我々みたいな業界はある意味で主要産業ではありませんから、そういう意味でどうしても後回しになるというようなことは当然ありますね。
○久保利委員 本当によくわかります。それで、逆に今のコンテンツなり、そういうものの保護のためにどんな体制をその大使館がとっていただけたらいいのか、何か具体的なアイデアがございますか。 ○高須参考人 まずその事実をきちんと聞く窓口をつくっていただきたいというのが私どもの気持ちでございます。例えば、小さなことでもこういうことを見つけました、こういうことがありました、こういうものが売っていましたみたいなことを、我々としてはそういう窓口をつくっていただければ、その都度御報告をさせていただきます。そうしますと、中国側の対応などが目に見えて、要するにどういうところが弱いのか、どういう意思があるのか、どういう意思がないのかということが目に見えてくると思います。ですから、そういう事実を聞く窓口、事実を集めてもらう窓口、あるいはそういう御担当の方を1人か2人でもいいですから、各大使館の窓口に置いていただくと、我々は現場で動き回っているわけですから、当然のことながらそれなりの情報を持っています。ですから、その情報を集めて国として国に対応するような窓口をつくっていただけるとありがたいと思います。 私はさっき御説明しましたけれども、実はバンダイのようなおもちゃ会社は95%全部中国生産なんです。偽物をつくっている隣の工場で本物をつくっているんです。これが事実なんです。ところが、何で中国の国内で我々の商品が売れないかというと、我々は中国から見ると輸出業者ですから国内販売の権利はもらえていないんです。そうすると、国内のものを中国で売ろうとすると、中国でつくったものを一たん香港に出して、それで香港から逆輸入して中国で売らざるを得ない。そうすると値段が10倍になってしまうんです。せっかく中国でつくっているのに何で中国で売れないのということになって、結局そういう状態があるので中国で安い値段で売れない。一たん輸出して輸入するから、税金がかかったり仲介業者が入ったりして値段が上がってしまう。隣では偽物をつくっています。それは10分の1です。
○久保利委員 わかりました。ありがとうございました。
○吉野委員 ちょっと違うんですけれども、私たちがやったのは本当の意味でのコピーメーカーということでは必ずしもなくて、よく似たようなものはつくっている。それで、向こうもパートナーになってしまったから余り悪口は言えないんですが、先々こんなことばかり続けていてもしようがない。もっと技術的に進化を遂げなければいけないというので、一緒にやりませんかというようなことで始めたわけです。
○阿部会長 さっきバンダイさんの方で、中国でつくっても即は売れないので一たん香港に出してというお話がありましたけれども、オートバイ、自動車は……。 ○吉野委員 我々の場合は合弁で50・50という制限はあるんですけれども、合弁であれば向こうで売れます。 ○高須参考人 我々は100%ローカルのメーカーにつくらせていますから、彼らが国内販売権があるわけです。ですから、彼らはバンダイの承認を得てつくったものは全部100%国内で売ります。ですから、彼らの販売ルートで我々の商品を流す。 ○阿部会長 コンテンツは実は別な専門調査会の担当なんですけれども、我々としてもできるだけ久保利さんのもう一つの方に今日のお話を伝えていただいて、中に溝が出ないようにお願いしたいと思います。 ○久保利委員 結局、今のバンダイさんのお話を承っても、では大使館、あるいは総領事館に具体的にどういうものをつくっていただいて、どんな人がいたらいいかという権利保護なり何なりの制度の問題と、コンテンツをつくっていくというあちらの調査会とは不可分だと思うんです。ですから、制度面で、例えば大使館にそういう知的財産権の担当官を置くというふうなことを具体的にもし提言していただけると、コンテンツ専門調査会の方でも喜ぶと思うし、バンダイさんを始めとする日本のこれからの主要産業になってくる部分が、かなり国の力も借りながらハッピーになれるんじゃないかと思ったものですから。 ○中山本部員 違う話ですが、三川さんに先ほどの一般的な排除命令についてお伺いしたいんですけれども、確かにあれをやらないとモグラたたきできりがないし、やれば絶大な効果はあり得ると思いますが、逆に副作用もあるので、日本の場合、具体的にどういうスキームを御提案なんでしょうか。 ○三川参考人 私どもが要望1で申し上げていることは、米国におけるITCと類似の制度が欲しいということです。 ○中山本部員 日本版ITCをつくってほしいという御要望ですか。 ○三川参考人 今まではどうかわかりませんが、今の税関で判断をしていただく場合に大変時間がかかるということを心配しているわけです。それから、一個一個のメーカーごとに判断をしていただかなければいけないということも実際には効果が余りない。そういう話が起きますと、すぐにメーカーは名前を変えて別の形で売り出すということになりますので、その2つの対応が欲しいということでございます。 ○中山本部員 よくわかるんですけれども、場合によっては防御の機会を与えられていない者の争う権利を奪ってしまうことにもなりかねないわけで、スキームをうまくやって何とかうまく止める方法があればいいと思うんですけれども、日本はどういうスキームがあるかということが一番問題になると思うんですが。 ○吉野委員 お隣に質問があるんですが、このユニオン・デ・ファブリカンというのは公益社団法人となっているんですが、政府との何か関係というのはあるとすればどういうことなんですか。 ○デュボア参考人 関係はないです。公益社団法人ということは政府が認めているんですけれども、完全に民間の組織です。 ○高林委員 私もユニオン・デ・ファブリカンのデュボアさんにお伺いしますけれども、先ほど業としての輸入でなければ個人輸入は侵害とならないという法律が悪用されているというお話がありましたが、それは個人の名前を騙って、実は業としてやっているものが多いという趣旨なのか。それとも、日本もフランスの制度のように、規範的あるいは象徴的にであったとしても個人が本当に個人的に輸入するなり、所持するなりすることも取り締まるべきであるということをおっしゃっているのか、いずれなのでしょうか。脱法行為をやるのを取り締まれという御趣旨だけだったのでしょうか。 ○デュボア参考人 個人輸入の場合は、自分で使用するためだけというのもありますね。でも、それはいいかどうかは別にして、今の状態でこういうような制度があるので、これを利用してすごくオーガナイズされ業として行われているのが実態ですよね。だから、そんな理由で今の段階で全部100%差し止めればいいと思っています。 ○高林委員 実際問題は、それを口実に大量に輸入している者がいるのが現状だということですね。 ○デュボア参考人 もう一つ個人輸入で言えば、これは税関関連の法律で偽造品は輸出禁止と書いてあるんですよね。だから、入るときに入っていてもいいということになるとおかしいじゃないかと思っているんです。それは、基本的には偽物は輸入できないというふうになれば、消費者にはすごく影響が大きいと思います。 ○伊藤委員 今のこととの関係でデュボアさんに、ロンゲ法について伺いたいと思います。
○デュボア参考人 例えば、フランスの場合は消費税は割に高くて2割です。だから、消費者もフランスの国内に入るときに消費税を払うはずです。払わない場合は違反になりますから、それが本物ならば、例えば20万円の時計ならば消費税はすごく高くなります。でも、これは偽物だから安くしてくださいということは言えないですね。本物としての消費税を申請しない場合は何かの悪意がある、偽造品だと知っていることも推定できる場合もあります。
○阿部会長 その代わり20%払わなければいけない。 ○デュボア参考人 本物だと思うとやはりちゃんとした値段で申告して払うはずですね。安い場合は本物と思っていないということですから。 ○阿部会長 消費税と連動して。 ○竹田委員 先ほどの日本版ITCのことなんですけれども、三川さんを始め産業界の方には日本でも是非アメリカのITCのような機関を設けてほしいという要望はかなりあると思うんですが、富士フィルムの資料の15ページにも「ITCの限界」ということでの御指摘がありますし、ITCを使うこと自体にそういう意味での限界はあると思いますし、法的性格から言えば行政機関委員会だと思いますので、三権分立の建て前から言って私的な紛争に行政機関が関わることはどうかという問題もあろうかと思うんですが、もっと端的に例えば裁判所で仮処分を得て、その差止めの仮処分を得れば税関はそれを差し止めなければならないというふうにした方がよほど端的で手間暇がかからないし、今の行革の時代に新たな行政審判機関をつくることのいろいろな難問を考えたら、その方がよほど直裁だと思うんですが、そういうような点はいかがお考えでしょうか。 ○三川参考人 先ほど私は申し上げたんですが、スピードが早いということが大事だと。判決が出るのに長くかかると、その間にどんどん輸入されてくる。これが満たされるとすれば、そういう方法がいいのかなと思います。 ○阿部会長 要するに、ITCの代わりになるようなもので、かつ1年以上と長いものをもっと短くして。 ○竹田委員 いわゆる本案訴訟でやったら、今の裁判所は非常に早くなってはいますけれども、それでも限度があるということはあると思います。仮処分でやるというのにはまた別の意味で、私人間の紛争で、私人同士で得た仮処分で行政機関である税関がそれに拘束されるのはまた問題があるという一面がないとは言えないと思うんですけれども、そういうものが可能だったら手続的にはその方がよほど簡便で問題が少ないかと思うんですけれども。 ○中山本部員 仮に日本版ITCをつくった場合も、そこでやはり特許権侵害かどうかを判断するわけですね。その判断は裁判所の判断と同じでなければおかしいですね。しかも、行政機関だから終審になり得ないです。そうすると、結局裁判所と同じことをやる行政機関をつくるということになるわけですか。 ○三川参考人 今アメリカのITCはおっしゃったとおりのようなことだと思います。きちんとした専門知識を持った判事が判断をするということになっています。 ○中山本部員 日本の場合はいい加減にやるというわけにはいかないですが、やはりそれは日本版ITCで当然侵害かどうかを判断するわけですね。そうするといろいろな法律問題が全部出てきますから、普通の裁判と同じになりませんか。 ○三川参考人 私も専門家ではないのでわからないんですが、やはり行政が判断するというのはさっきおっしゃったように私も最初は、おやっという感じはいたしました。本当は行政でない方がいいのかもしれないと思いました。
○中川委員 それは、例えばこういう制度でもいいということでしょうか。裁判所で仮処分をもらって、その仮処分をもらったよということを持って税関の今ある輸入差止め制度を使って申し立てて、その際に裁判所で使った資料がそのまま税関で使えることにする。そうすると、恐らく同じ結論になるだろうという形で、直ちに輸入停止とか、そういうふうな制度であってもよいということでしょうか。 ○高須参考人 スピードですよね。特に、先ほどおっしゃったコンテンツなんてもう2、3か月で終わってしまうわけです。それで、判決が出たころにはとっくにそんなものはなくなってしまっていてだれも見なくなってしまうわけです。だから、本当にスピードが問われている。特にコンテンツの場合ですね。 ○久保利委員 したがって、中川先生がおっしゃったようなことが現実に裁判で仮処分でできるのならばいいけれども、これは竹田先生の領分ですが、基本的に裁判所が仮処分で行政機関まで拘束しようとする決定を出そうとすれば、こういう証拠を持ってこい、ああいう証拠を持ってこいと言うに決まっていると思うんです。その証拠収集能力というのがそもそも民間の人たちには余りないわけです。しかも、その相手先が次から次へと社名も変えてしまう、姿も変えてしまうとやられたら、その法人格が同一かどうかということを証明するだけで相当へとへとになるわけです。
○三川参考人 おっしゃるとおりだと思います。私ども、これは特許侵害だということを立証しなければいけないわけです。ところが、そのサンプリングが許されていないんです。それで市場のどこかへ消えていきますから、私どもはこれは特許侵害ですと申し上げることができないという、まずそれが一つの大きな壁になっています。 ○阿部会長 要望の2番ですね。 ○三川参考人 はい。ですから、そういうものについてある一部を使って調べてもよろしいというようなことをしていただけると、特許侵害かどうかということを我々としても調べて申し上げることができるということです。 ○吉野委員 それから、もう一つさっきから話題になっているのは分野によって違うんでしょうけれども、日本での被害と、それからグローバルな時代ですからそれ以外の国での被害、これはやはり対応の仕方が相当変わりますよね。
○三川参考人 確かにおっしゃるとおり、日本では私どもの模造品というのは大体3から5%くらいしかユーザーの方は買わないということです。アメリカのウォールマートとか、ああいうところに行くと20%とか、そのくらいの割合ということになります。 ○阿部会長 富士フィルムさんの売上げと同じくらいとか、さっきおっしゃっていましたね。 ○山田委員 私は金型産業にいるんですけれども、模造品をつくろうと思っても絶対に金型が必要なわけですね。中国ではその金型をつくっている。だから模造品ができる。実際に去年の国会でも問題になりましたけれども、金型の図面が向こうに流出する。一回流出したもので何をするかといったら、中国で同じ金型をつくるわけです。それ自体が本来は模造なんです。日本の知識を図面として出して、更に向こうでつくる。金型構造そのものを全部知らせるわけですね。ここ何十年か日本が培ってきた技術をそのまま図面として魂を渡すわけです。これ自体も模造だということで、その形状というのは金型の中の形状違いだけなんです。一たんつくってその金型構造がわかると形状を変えても同じなんです。この中身はつくれるわけです。
○高須参考人 金型は、例えば我々メーカーは非常に真剣に神経をとがらせて管理をしています。 ところが、最近先ほど申し上げましたガンダムのプラモデルなどは、かつては本物をパーツに崩して分解して、そこから金型を逆につくっていく。だから、偽物は例えば零点何ミリか大きかったんです。ところが、今は3Dの技術が発達してしまっていますから、本物の金型ができてしまうんです。だから、大きさも全く変わらないんです。 ○山田委員 図面を出しているわけですか。 ○高須参考人 金型の図面は一切出していません。本物から金型を3Dで起こしてしまうんです。今はそういう時代になっていますから、金型の管理については図面も含めてきちんとやっていますけれども、一般的に物があればそこから金型が起こせる時代になっているんです。 ○山田委員 それはかなり難しい金型で今、日本では、これは経済産業省の調べですけれども、依然として42%くらい世界でもつくっているという調べがあるんです。数字が合っているかどうかは別の話ですけれども、世界のシェアがほとんど落ちていないんです。だから、日本は十分複雑な金型をつくることはできるんです。それが出て行くと危ないですよという話をしているんです。そういう意味ではおもちゃとか、そういった形の金型とはまた違う金型があると思いますから。 ○高須参考人 もちろんそうです。我々がつくっている金型の方がもちろん単純だと思いますけれども、我々のような商品の金型というのは既に現物から金型を起こせるまで技術が上がってきているんです。 ○株式会社バンダイ小薗江健一氏 使われているものは3次元デジタイザーといいまして、実際に新製品を直接読み取りまして、それを変換して金型データに置き換えるということを既にやっていますので、要するに図面がなくても本物があれば模倣品ができるという状況になっております。 ○高須参考人 今、そういう時代になりつつあるということです。 ○阿部会長 金型は非常に大切なんですが、今日の4つのメーカーは、バンダイさんは謙遜をされて主要産業ではないとおっしゃいましたけれども、実は主要産業でして、もっと主要産業でない中小企業であるとかベンチャーなどの知的財産権をどういうふうに守っていくかというのは、今日は出てきませんでしたけれども、これはおっしゃるように視野に入れておかなければいけない部分ですので、どういうふうに我々として提言していくかというのはまた別に考えるとして、そのことは是非視野に入れたいと思います。
○吉野委員 この場では多分、権利というものをどう守るか、模倣させないかということなんでしょうけれども、実際にリアルなワールドではノウハウみたいなものはどんどん流出していくわけですね。これは日本の企業が向こうへ行って生産をするものだから、しかもパートナーがいて向こうの従業員を使ってやるわけですから、どんどん流れていきます。それから、当然日本の技術者が退職した後、向こうへ行ってどんどん支援をしていきますから、どんどん向こうでは育っていくということは大きなトレンドですね。したがって、権利があるものをどうするかということがまず最初で、権利という形にはなっていないものをどう日本として新たな発想を持って、ノウハウなどをきちんと規定して守っていくかというような2種類あるのではないでしょうか。 ○阿部会長 重要な御指摘ありがとうございました。これは今日で終わりということではございませんで、とりあえず時間がまいりましたので本日の議論はここまでとさせていただきたいと思います。今日はいろいろ御提言も含めて御議論をいただきましたので、引き続き模倣品、海賊版対策について御議論をいただくために、また事務局に申し訳ないのですが、本日の議論、パブリックコメントもありましたので主要な論点の整理を次回までにしていただいて、それをたたき台にして御議論をいただくということをお願いしたいと思いますが、よろしゅうございますか。
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