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第4回 権利保護基盤の強化に関する専門調査会 議事録 | ||
1. | 日 時: | 平成15年12月11日(木)15:58〜16:48 |
2. | 場 所: | 知的財産戦略推進事務局内会議室 |
3. | 出席者: | |
【委員】 | 阿部会長、伊藤委員、久保利委員、下坂委員、高林委員、竹田委員、中川委員、山田委員、吉野委員 | |
【事務局】 | 荒井事務局長 | |
4. | 議事 | |
(1) | 開会 | |
(2) | 知的財産高等裁判所の創設について | |
(3) | 特許審査を迅速化するための総合施策について | |
(4) | 閉会 |
○阿部会長 それでは、委員の先生方おいでになりましたので、ちょっと早いですが、ただいまから「権利保護基盤の強化に関する専門調査会」の第4回会合を開催させていただきます。座ったまま進行させていただきたいと思います。
○荒井事務局長 それでは、お手元の配付資料を確認させていただきます。
○阿部会長 ありがとうございました。
○荒井事務局長 それでは、資料1に基づきまして、御説明させていただきます。資料1は今、阿部会長からも御説明がございましたように、これまでの御議論を踏まえますとともに、事前に各委員の御意見をお聞きして、委員の皆様の御意見を最大公約数的にとりまとめたものでございます。委員の皆様に活発に御議論をいただきましたので、前回までの御議論を通じて、知的財産高等裁判所の必要性とその意義につきましては、かなり明確になったと思います。「I 創設の必要性とその意義」では4つの視点からそれを整理してございます。
また、T案の場合でも、竹田委員から御説明ありましたとおり、東京高裁の中に設置する知財高裁は法律によって根拠づけられる裁判所ですし、司法行政面での法的措置が講じられるということですので、2の文言の範囲になると思っております。
○阿部会長 ありがとうございました。事務局にお願いをして、最大公約数的というか、共通部分をまとめていただいたわけでありますが、それととりもなおさず委員の先生方の御意見で、入っていない部分が山ほどあるということにもなりますので、そこは是非お認めいただければと思います。
○伊藤委員 こういう形でまとめていただいた事務局の努力に敬意を表する次第でございます。私どもの検討会といたしましても、この提言を尊重しながら、合理的な制度設計についての検討を更に進めさせていただきたいと思います。
○阿部会長 御意見というよりは、今後のために尊重してくださるというお話ですが、いかがでしょうか。
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(「異議なし」と声あり)
○阿部会長 それでは、確認をさせていただいたことにいたします。ありがとうございました。
○荒井事務局長 それでは、お手元の資料2に沿いまして、説明させていただきます。 特許審査の迅速化につきましては、前回特許庁から滞貨一掃に向けた総合施策について、説明をいただくとともに、委員の方からは、目標設定や計画を立てて、それを検証しながら迅速化に取り組んでいくべきと言った御意見もいただきました。資料2は、それらを踏まえまして、特許審査を迅速化するための総合施策という形でとりまとめてものであります。
○阿部会長 ありがとうございました。事務局から説明のありましたとりまとめ案は、審査の迅速化の目標を立てて、それを実現するための手段として各種の施策を総合的に講じていくということで、全体が資料2にありますように、総合施策についてということでまとめていただいたものでございます。おおむね妥当かなと思いますが、御意見、御質問でも結構ですので、お願いいたします。 ○竹田委員 3ページに「法律の手当が必要なものについては、特許審査迅速化法案(仮称)として2004年度通常国会に提出すべきである」とありますが、4ページの2.が具体的な政策になると思いますが、この中には一見しただけでも、これは特許法の改正の必要性のあるもの。実用新案法の改正の必要があるとものというのがわかるものと、協力を要請するというような、特許行政のレベルの問題のものも、いろいろと含まれているわけですけれども、それを2004年の通常国会にどういう形で、例えばこの中からどんなものが法律事項に親しんで、特許審査迅速化法という法律案に盛り込まれるのか。その辺については具体的にどう考えているのかについて、御意見をお聞きしたいと思います。 ○荒井事務局長 特許庁から説明させていただきます。 ○高倉特許庁特許審査第一部調整課長 4ページの「目標を実現するための各種施策」のうち、法律改正が必要だろうと思われる事項について、若干御説明いたします。
○竹田委員 今の御説明ですと、幾つかの法律にまたがった改正が必要だということになりますが、そういう幾つかの法律にまたがる改正の全体をもって特許審査迅速化法と名付けるという趣旨に理解してよろしゅうございますか。 ○荒井事務局長 3ページ、4ページに書いてあるのを、厳密な意味などれが本当の法律事項か。それとどういう体系にしていくかというのをこれから法技術的に詰める必要がございまして、今の考えでは全体を一緒に改正してやっていく必要があるということで、ここでは全体を一緒にしたものを特許審査迅速化法(仮称)と呼んでおります。 ○竹田委員 わかりました。 ○阿部会長 ほかに御意見、御質問ありますか。 ○吉野委員 私、前回欠席したものですから、議事録等は一応目を通しましたが、その中に出ていないことで質問をします。
○荒井事務局長 数字的なものはあとでコメントいただきますが、全体の流れは、今まで日本の場合は44万件出願していただいていて、大部分は会社の方なんです。大学の先生の場合には、個人で出される方は一部おられますが、大部分は企業の方と組んで出してこられる。大学として出してこられるのは、たしか年間数百件というオーダーで、44万件に比べたら本当にわずかだったんで、これが会社のように何万件までいくかの。それとも今アメリカでも大学の件数が6,000 件くらいなんです。ですから、44万件の問題と、こちらのオーダーがどうかというのは、補足説明してもらいます。
○吉野委員 ある意味では評価の1つの要素にしようみたいなことになってくると、どどっという感じもないではないんです。したがって、数千件程度を見ておられるのか、あるいはもうちょっと。 ○高倉調整課長 今の荒井事務局長の説明で大体尽きておりますが、一昨年の実績で出願人が大学またはTLOであるものが、約数百件であります。しかし、これは実はすべての大学発特許出願ではなくて、大学の先生が発明者になって、出願人は企業、例えばホンダとか松下に差し上げるというケースも実はたくさんあるわけで、この数というのは、特許の出願書類を見ただけでは直ちに把握はできません。発明者が大学の先生であるということは、特許公報からは必ずしもはっきりしておりませんので、把握できません。
○阿部会長 今の点は大学関係者の立場で見ますと、吉野委員がおっしゃるように、どんどん増えてくる条件が一方では確実にあるわけです。
○吉野委員 来年はまだね。 ○阿部会長 それがブレーキ要素なんです。ですから、多分変わってくるとすると、数年後ではないかなという気がします。
○吉野委員 何年後に数千件くらいの感じなんですかね。 ○阿部会長 多分、そんなものでしょうね。今日の議論は、5年後辺りに議論するともっと違った議論をしなきゃいけないかもしれませんで、そこは弾力的にやっていく必要がある。重要な御指摘なんですけれども、なかなか読みにくいところがある。 ○吉野委員 もうちょっと厳しくなるのかという感じはしているんです。 ○荒井事務局長 件数は、大学の先生は改良特許というよりも基本特許かなということで、件数はそんなに増えない。しかし、難しいのは増えてくる。 ○吉野委員 大学部と言っても、工学部などはかなり応用的なものは多いと思うんです。 ○高林委員 私は早稲田大学で知的財産本部に関与したり、発明審査員をやったりしておりますけれども、今、会長からお話があったとおり、創立当時はかなりいっぱい出そうという傾向でしたけれども、最近は非常に厳選していこうという傾向でして、月々せいぜい10件程度の審査をやっております。したがって、出願件数が今後飛躍的に伸びていくという状況ではないのかなと、私のところはそう思っております。只今、ご指摘のありましたように費用的なこともありますので。 ○吉野委員 力のあるところは厳選できるんです。地方にものすごくいっぱいあるわけだから、猫もしゃくしもそう言っているんです。だから、慣れない人たちが出してくるという部分もあるしね。 ○阿部会長 1つはいろいろ議論があるように、いい特許をどうやって早くピックアップできるかということですね。
○下坂委員 弁護士の先生方と違って、工業とか産業の少ない地域というのがありまして、それを前提にしました場合、弁理士の偏在がなかなか直らないので、少し助力しながら知財の掘り起こしをして、弁理士がまんべんなくいきわたるようにしたいと、今、プランしているところでございます。 ○阿部会長 今の吉野委員の御指摘は、戦略本部としても経年的にウォッチしていくべきものなので、施策を立てていただく必要があると思います。 ○荒井事務局長 そうですね。大事な御指摘だと思います。 ○阿部会長 それから、竹田委員の御質問に関連して申し上げますと、そもそもできるだけ立法化したいという考えがありましたね。法律か法律でないか。その辺は是非特許庁といろいろネゴシエーションしていただいて、この間の議論ですと、かなり精神的なものも、法律化したいという御希望、勿論ふさわしくないものもたくさんあると思います。私はその辺のことは素人でわかりませんが、その精神を生かすとすれば、是非、灰色の部分はできるだけ法律にしていただいて、法律に向かないものは勿論、別扱いになる。 ○荒井事務局長 今の点、ちょっとだけコメントさせていただきます。これは委員の先生からも御指摘があって、日本のたまっている特許の待ち時間が長いというので、個別の審査は勿論、質は下げない。むしろ質を上げるような方針でやっていかなきゃいけないわけですが、とにかく待ち時間は短くして、技術開発もスピードアップしている訳ですので、そういう方向でやっていこうと。そのためには、特許庁も頑張ると同時に、企業の方、あるいは弁理士の先生の御協力とともに、政府全体でもいろいろ体制整備とか仕組みをつくったりやっていかなきゃいけないので、できるだけ国全体でそういうことに取り組むという意味で、ここにあります特許審査を迅速化するという意思統一、これは国会も含めてやったらどうかという気持ちでやっておりまして、今、会長から御指摘がありましたように、できるだけそういうことになるようにしたいと思います。
○久保利委員 今、事務局長おっしゃったとおり、法律事項としてなじまないものはしようがないかもしれませんけれども、そうなり得るものは、なるべく法律事項にしていただいた方がいいのではないか。特に今、いろんな分野で目標を定めて、その目標に到達しているかどうか検証をして、その検証する主体は第三者評価機関だというのは、大学も何もみんな含めて、そういう流れになっているわけです。
○阿部会長 ほかにいかがでしょうか。 ○小島事務局次長 ただいまの久保利委員の御指摘について補足いたしますと、先ほど3ページで事務局長が御説明しました1.でございます。「目標・計画の策定とその検証のための枠組みの構築」ということで、先ほどございましたように法制的になじむもの、なじまないものいろいろございまして、ここで最初のパラグラフに書いてありますように、目標の設定、それを実現するための実施計画の策定、その達成状況を検証するための枠組みというものを、昨年成立しました、この本部の設置根拠にもなっております知的財産基本法の中の第3章に推進計画というのがございまして、その中で設定する。そしてそれを(2)にありますように、毎年1回知的財産戦略本部で報告する。それを本部において、総合的かつ多面的な検証を行うという形で、法律に基づいた目標の設定と検証のメカニズムを構築するということで、今、久保利委員がおっしゃられましたようなことを確立していこうというのがこの案でございます。 ○阿部会長 これは文章がすっと入ってこないところがあるんですが、法律に書けないところは推進計画をリバイズするというふうなことになりますね。そこで、その作業は法律の作業と並行して行われることになるんでしょうか。 ○荒井事務局長 作業自身は今の予定では、知財推進計画、これは毎年見直すようになっておりますので、今度の見直しのときに、法律にならないものについては、3ページに書いてあったメカニズムはきちんと推進計画に、法律に基づく推進計画に入れようという考えでございます。 ○阿部会長 何かほかに御質問、御意見ございますでしょうか。
○荒井事務局長 これは全く案ですが、入れるとすれば、例えば4ページの(1)のAのところに、大学との関係で、協力というかサポートというか、逆に言うと余り厳選じゃなくて、余り出過ぎないようにということですか。 ○阿部会長 大学とうまくマッチした特許迅速化の体制をつくるというか、そういう趣旨のことになりますね。とういう文章がいいかわかりませんけれども、いかがですか。 ○吉野委員 具体的な各種施策の4ページの中に企業との絡みが少し入っているんです。したがって、産学官の絡みみたいなものが多少欲しいかなという感じはしますね。 ○荒井事務局長 産学官連携に対応したいろんな体制、早期審査制度とかあるから、そういうものでしょうか。 ○高倉調整課長 そうですね。もともと全体のタイトルが特許の審査の迅速化に向けた総合施策ですから、吉野委員の御提案のうち、関係するとすれば、大学発の出願については、早期審査を一層PRをし、充実もしていくという書き方であればどこかに入れられるかもしれません。 ○吉野委員 法律に関係することはないと思うんです。だから、背景か、あるいは何か具体的にそこにちょっと注目をするというだけの話だと思います。 ○高倉調整課長 そうであれば1又は2ページのところに入るかもしれませんね。 ○阿部会長 そこは考えさせていただくことにいたしましょうか。
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(「異議なし」と声あり)
○阿部会長 それでは、そうさせていただきたいと思います。資料2の扱いは、そのような形で、それでは御承認いただいたものとさせていただきます。
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