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第3回 権利保護基盤の強化に関する専門調査会 議事録 | ||
1. | 日 時: | 15年11月28日(金)10:00〜12:17 |
2. | 場 所: | 知的財産戦略推進事務局 会議室 |
3. | 出席者: | |
【委員】 | 阿部会長、伊藤委員、久保利委員、下坂委員、高林委員、竹田委員、中川委員、野間口委員、山田委員 | |
【事務局】 | 荒井事務局長 | |
4. | 議事 | |
(1) | 開会 | |
(2) | 法科大学院の状況について | |
・参考人からの報告 | ||
文部科学省 小松親次郎主任大学改革官 | ||
(3) | 「知的財産高等裁判所の創設」について | |
(4) | 「特許審査迅速化法(仮称)」について | |
・参考人からの意見聴取 | ||
特許庁 小野新次郎特許技監 | ||
特許庁 迎陽一総務部長 | ||
(5) | 閉会 |
○阿部会長 時間になりましたので始めさせていただきます。
○荒井事務局長 本日の議事の進め方について御説明いたします。
○阿部会長 このようなプログラムで今日は御議論をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○小松主任大学改革官 御紹介いただきました、文部科学省で法科大学院等を担当いたしております小松でございます。御報告させていただきます。
○阿部会長 ありがとうございました。
○久保利委員 要望だけ1点。
○阿部会長 ありがとうございました。
○小松主任大学改革官 ありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。 ○阿部会長 それでは、継続課題でございます知財高裁の創設についての意見交換に入らせていただきます。
○荒井事務局長 それでは、説明させていただきます。
○阿部会長 ありがとうございました。
○竹田委員 それでは、簡単に御説明いたします。
○阿部会長 ありがとうございました。資料5の御説明に加えて、最近の弁護士会等の状況について御意見をいただきました。
○久保利委員 このT案というのは、たぶん竹田先生のTだと思いますけれども、いろいろわかりすく分析をしていただきまして、具体的な私案を出していただいて大変ありがたいと思います。
○阿部会長 ありがとうございました。
○中川委員 ちょっと確認させてください。
○阿部会長 はい。 ○中川委員 それは要するに、Aをとるとどういういいことがあるか、Tをとるとどういう悪いことがあるかというお話だったと思うのですが、その観点が、その前のページの2ページから12ページあたりまで挙がっているわけですが、2ページから12ページまでのこういう目標を達成するために、13ページのAかTのどちらがよりよいかというお話の組み立てということでよろしいですね。 ○阿部会長 はい。 ○中川委員 その中で、特に今2点おっしゃられたように思うのですが、一つが2ページの知財重視の国家的意思表示。もう一つが司法行政といいますか、人事・予算の独立。ということで、2ページと10ページの点でA案とT案は差が出てくるというお話であったと伺ったのですが、それでよろしいでしょうか。 ○久保利委員 私が申し上げたのはそういう観点です。 ○中川委員 2ページは国家意思表明です。これは前回の議論の確認ということになると思うのですが、6ページにスピード解決、7ページに専門性という2点が挙がっています。この点は、別にAでもTでもあまり差はないということでしょうか。 ○久保利委員 逆に、審議の点を考えていくと、例えば7ページの技術専門性の対応という部分も影響は出てき得ると。同じようにやることは、制度的にこっちだったらできてこっちはできないということではないと思いますけど、逆に、そういうふうに存分にやるためにはA案の方が優れていると思います。しかし、今の段階の私の発言では、そこまで踏み込まないで、明らかに差がつくところだけ申し上げました。
○中川委員 3の問題と専門性の問題は人事の方に収れんするということですね。 ○久保利委員 はい。 ○中川委員 スピードの方は特に言及はなかったのですが。 ○久保利委員 スピードそのものは、私自身としては、どっちがどうなのかと。少なくともA案がT案に劣るとは思いませんけど、T案でもそこそこのスピードでできるかもしれないと思います。 |
○中川委員 では、論点は1と4といいますか、知財重視の国家的意思表明と人事の独立性ですね。そして、人事の独立性ということは、要するに、裁判官のパフォーマンスが上がるようなことができるかということだと思いますが。
○阿部会長 その前に伊藤先生に教えていただきたいのですが、さっきの竹田先生のお話でも、法曹関係の方はA案に対してネガティブな御意見が多いということでしたが、その辺かいつまんで、先生の検討会は法曹関係の方がたくさんおられますので。あわせて、今の中川委員の御疑問も議論させていただきたいと思いますので、御紹介していただければと思います。 ○伊藤委員 この問題についての私自身の意見は、後ほど申し上げることにいたしまして、ただいま会長から御指示がございましたので、私どもの検討会におけるこの問題について第3巡目(11月10日)の検討状況を御紹介させていただきたいと思います。
○阿部会長 A案批判の一番大きなところはどんなところでしょうか。 ○伊藤委員 これは、指摘された問題点としては、ここの場でも御紹介があったかと思いますが、職分管轄の点で、A案を採用したときに、事件の取扱いが硬直的になるのではないか、例えば専門技術性のない事件も知財高裁で扱わざるを得ないような事態が起きてきて、かえって知財高裁本来の機能が損なわれ、その結果として迅速な解決についての当事者の期待や利益が損なわれるのではないかということが中心かと思います。 ○阿部会長 ありがとうございました。
○下坂委員 中川委員が、先ほど、例えばA案でまだできていないようなものに対して実証する場合、前回の議事録から見て、もっと実証していくべきだということですが、客観的にどのような実証データを取れば御納得いただけるのでしょうか。 ○中川委員 具体例だと思います。 ○下坂委員 ないものに対する具体例ですか。 ○中川委員 いいえ。例えば、アメリカのCAFCが一つの例として挙がっているようですが、これは歴史的な沿革ですが、特許に関する高裁はアメリカでは昔からあったのですが、そのころは別にだれもそんなことは言っていなかった。たまたまCAFCができたときと、アメリカの知財戦略の重視という時代が重なっているだけではないかというのが私の歴史認識です。それに、CAFCだからみんなが注目しているのではなくて、アメリカだから注目しているのではないかと、私は素朴な疑問を持っているところです。 ○下坂委員 その場合も立証はないですよね。先生はお思いになっているけど、立証はない。 ○中川委員 そうです。私はそう思っているのだけれども、そうではないとおっしゃる方もいて、どちらもきちんとだれかに研究してもらったわけでも何でもなくて、僕の感想にとどまっているわけです。だから私自身もちゃんと責務を果たしていないのですが。それでは専門調査会と言うには足りないのではないかと、自省を込めてということです。 ○下坂委員 引き続き、私の考えを述べさせていただきます。
○阿部会長 ありがとうございました。
○高林委員 大演説を聞いた後ですから、短くといいましても、どこまで短くできるかわかりませんが、3点だけ申し上げたいと思います。
○下坂委員 T案もそうでしょう。 ○高林委員 T案は、新たな職分管轄を設けるという案ではございません。通常裁判所という説ですので、T案はその辺の問題は回避しています。 ○阿部会長 それは、15ページのT案ですね。 ○高林委員 はい。15ページのA案は、知財高裁は東京高裁管内の著作権関係の控訴事件だけを扱うということで、特別の職分管轄を設けているものですから、A案は憲法上の問題があるのではないかと私は考えております。T案は、通常裁判所として位置付けられているわけですから、そのような問題は生じないと思います。
○阿部会長 実は、やはり知的財産戦略で一番のユーザーは産業界なものですから、産業界がどうお考えになっているのか、そこをぜひお話しいただき、私としては、結論を出すのは次回まで延ばさせていただきたいと思います。 ○野間口委員 私は前回も意見を申し上げましたが、前回と全く変わっておりません。基本的にはA案でやるべきだと思います。ただし、伊藤先生をはじめ、今の高林先生の著作権の話もありますけれども、硬直的に考えるのではなくて、いろいろ工夫するところがあれば、T案といいますか、司法制度のところで検討されているB案とか、そこのよいところを取り入れて、検討することができるのではないかと思います。しかし、基本的な旗印としてはAとしておいて、その不都合なところをどんどん見直して形でやっていただいた方が全体的な合意もできるし、国民的な納得も得られるし、また、内外に対してきちんとした姿勢を示すという意味でも、いいのではないでしょうか。
○阿部会長 山田委員、何かプラスしていただくことがありますか。 ○山田委員 今おっしゃったように、私も前回と同じように、知財重視の国家姿勢を示すことにおいては、明確に独立した高等裁判所をつくるというA案の方が、より強く内外に国の意思を示すことができると思います。
○阿部会長 ありがとうございました。 ○久保利委員 高林先生がおっしゃった司法行政上の問題ですが、これは裁判所法の20条で、高裁については、裁判官会議で、総括するのは高裁の長官だと書いてありますので、これはやはり高裁長官が偉いわけですから、知財高裁をつくって、そこの長官を9人目の長官にすべきだと考えます。
○伊藤委員 基本的視点は、私は久保利さんと一緒です。利用者の利益を見据えて、国民の視点から制度の在り方を検証しなければならないと思います。A案についての問題点は、竹田委員や高林委員からお話があったとおりで、私自身も検討会の議論を御紹介しましたので詳細は省略します。
○阿部会長 先ほど申し上げましたように、今日は結論を控えさせていただきまして、次回には、できればまとめたいと思いますが、私も意見を全く申し上げないのは無責任ですので、先ほど中川委員からいろいろ問題提起がありましたので若干申し上げたいと思います。
○荒井事務局長 はい、わかりました。 ○阿部会長 それでは、少し頭を切り換えて、もう一つの議題であります特許審査迅速化法についての御議論を始めさせていただきたいと思います。
○荒井事務局長 お手元に資料6をお配りしてありますので、これに沿ってお話させていただきます。
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○阿部会長 ありがとうございました。
○迎総務部長 それでは、私から、できるだけ手短に特許迅速化法の関係について御説明したいと思います。お手元の資料7に沿って御説明させていただきます。
○阿部会長 ありがとうございました。
○竹田委員 第1回の委員会で事務局長から御説明をいただいたのは、さきに成立した裁判の迅速化に関する法律のような、いわば精神規定的なものをこの特許審査迅速化法に盛り込むのだという趣旨の御説明を聞いていたと思います。今の特許庁が考えている審査迅速化法は、そういうものとは違っていて、具体的に13ページにまとめられているのでしょうけれども、こういう具体的なものを盛り込んだ審査迅速化法をつくるという趣旨であると理解してよろしゅうございますか。 ○迎総務部長 そうです。 ○荒井事務局長 言った立場から申し上げますと、今は特許庁からそういうお話があったのですが、知財推進計画をつくるときにこういう議論が出てきて、そのときの考え方は、裁判迅速化法というものが出て、今までは日本の裁判は非常に時間がかかっているということだったので、それで裁判迅速化法をつくって、関係者がみんなで協力して裁判を早くしようということでできて、それが非常に効果を上げ始めているということがございましたので、特許についても、そのアナロジーで特許審査迅速化法をつくって、そしてみんなで協力する体制をつくっていったらいいのではないかということで推進計画になったわけでございます。したがいまして、精神規定だけでつくるということではなくて、裁判迅速化は2年以内という目標があって、そこに向かってやっていくということでしたので、特許審査迅速化法もそういう目標を作って、そこに向かってみんなで協力していくという考えです。
○竹田委員 特許庁の方にもう一つ御質問したいのですが、今、荒井事務局長からの話にもあったと思いますけれども、裁判の迅速化に関する法律というのは、訴訟手続きを2年以内のできるだけ短い期間で終了させるということがあるわけですね。そのような規定を特許庁がイメージしている具体的な総合施策の中に盛り込むことについては、どうお考えになっていますか。 ○迎総務部長 その点については、私どもも何か目標を持って取り組むべき重要課題だという点については全く異存はないわけでございます。したがいまして、先ほども申し上げましたように、まず24か月をゼロにするという大きな目標を持ってあらゆる努力を傾けていかなければならないと思っているわけでございます。
○野間口委員 先ほど滞貨の話が出ましたけれども、私どもは滞貨を増やしている原因をつくっているのであれですが、私どももそれなりに努力しているつもりですし、ここ何年か特許庁の方で改革・改善をやっていただいて、許された範囲内で創意工夫をいろいろやっていただいたと私どもも思っておりました。その結果を踏まえて、具体的な構想を出していただいたことは、我々としては評価しております。
○迎総務部長 これは、我々が請求されたものの審査を始める前に、記載されておりますように、指定調査機関にサーチを依頼するというものでございます。 ○野間口委員 それでは、出願人が事前に行ったものと、特許庁で独自におやりになるものと、両方の先行技術調査をもって審査されるということでしょうか。 ○迎総務部長 今現在は、出願人が御自身または外のサーチ機関等をお使いになってされたもの出願されてくるわけですけれども、それを、我々としては、指定調査機関でさらにしているというのが現実でございます。そこを、今提案しておりますのは、見直し後の方では、我々が信頼できるサーチレポートをつくっていただける指定調査機関に、もし、そういう余裕が出てきた場合、そちらに出願人が直接依頼して、そのレポートをお持ちになった場合は、品質等が信頼できるならば、我々もそれを利用できるということがございますので、それに相応した分の料金の減額等を検討していきたいということで御提案しております。そのためには、やはり指定調査機関を複数化し、そういうところを日本国内に増やすことが重要であるということで、今、それについて検討しているわけでございます。 ○野間口委員 将来的に、日本国として、両者の連携、データベースの充実が図られていくと、抜本的な解決につながるのではないかという希望が持てるなと思って聞かせていただきました。 ○迎総務部長 基本的には、こういう調査をやる機関が、これとこれとは同一の機関と思っておりまして、まさに、今、工業所有権協力センターなり特許庁がやっているような先行技術調査のデータベース、あるいは、やり方が、より日本に広く普及していって、それで出願される方も同じように調べて、ということでノウハウが均一化してくると、審査もスムーズにいくと考えております。 ○小野特許技監 1点付け加えさせていただきますと、IPCC等は日本の公報の検索が中心ですが、今回、そういう法改正をしたときに、実は、外国のデータベース、例えば化学メーカー、製薬メーカーがよく使っております、化合物が新しいものかどうかということを調べるデータベースは世界共通でございます。そういうものは、我々がやっても、恐らく企業の方も同じようにやられていると思いますので、その検索の標準化ができ、それに基づいた調査ができる組織ができますれば、そういうところは我々も出願人も自由に使えると考えられます。
○阿部会長 それでは、竹田委員、どうぞ。 ○竹田委員 今のお答えでわかりました。質問としてはありません。 ○阿部会長 それでは、ほかの委員の方、どうぞ。 ○久保利委員 今の御説明に関連してですけれども、確かに、目標とか進路の進み具合をコントロールすることは難しいかもしれないのですけれども、精神規定だけ書いて、例えば裁判迅速化法でも、2年という目標が書かれなかったら、たぶんあまり意味がある法律とは言えなかった。逆に、そういう点で言うと、何年でこれくらいにというのは、どこまで正確に書くかは問題ですけど、やはり目標を書かない法律では、特許審査迅速化法にはならないのではないかと思います。したがって、私としては、その目標をどうつくるかというのは、もちろん特許庁の意見も聞かなければいけませんけれども、これまた特許庁が一所懸命におやりになっていても、今のような状態になっているのを変えようという国家的戦略ですから、これも大変心苦しいのですが、やはり特許庁もまな板の上のコイではないか。
○阿部会長 ほかにどうぞ。 ○竹田委員 特許庁が提示している具体的な施策は、それはそれで意味があると思っていますけれども、今、久保利委員がおっしゃったことに関連して申し上げますと、具体的にこれらの施策が全部スムーズに実現できるかどうか。例えば、予算上、そういう措置をとれといっても、実際上、それで予算上の措置がとれるものではない。法律で書けばとれるものだったら、定員法の改正でも何でも、私は総合科学技術会議で前から言っているのですけれども、審査会の質の向上と量の増加が不可欠だと。では、定員法を改正して増員すればいいではないかといっても、実際上はそれがなかなかできないわけです。ここで審査官の定員を、これは臨時的な 500名ということですけれども、これを恒常的に定員それだけ増やすことを迅速化法で書けば当然増えるものだったら、それは大変結構だと思いますが、そういうことは今の日本の法制度の中ではまず不可能であることは、久保利委員もよく御承知のことだと思います。そういう意味では、具体的な施策がどこまでできるかということが問題であり、現実の見通しが立たない状況で期間を限定するという考え方には反対です。
○荒井事務局長 審査待ち期間をゼロにするという目標自体は大事なことで、私も賛成です。ただし、日本の場合、審査請求制度があって、さらにまた3年げたをはいているというか、ほかの国よりも遅れぎみになるということも一つの事実としてあると思います。
○阿部会長 ほかにいかがでしょうか。 ○下坂委員 14ページに、審査官の大量採用ということがありまして、今、手段として提示されましたいろいろな方策があって、特許庁には大変がんばっていただいておりまして、私どももできる限りの協力を弁理士としてもしなければないというところです。
○迎総務部長 息の長いものをどう持続するかというのは、そもそも知財基本法という法律があって、そういう中で、政府全体としての推進計画も受けて、私どもとして、こういう迅速化のための総合施策をつくっていく、なおかつ、法律を提出して国会にも説明するということであるわけですから、それが途中で、人も10年ということで来ていただくわけですから、朝令暮改みたいに方針が変わるとか、そういうことは、現実問題としてもあり得ないし、許されないことだと思います。
○久保利委員 そういうお気持ちはわかりますけれども、なじまないというなら、裁判を2年でやれというほどがよほどなじまないわけです。あのなじまないものも、みんなで努力して、何とかそこに持っていこうよということでやっているわけですから。なじむ、なじまないというのは、やってみなければわからない。やらなければいけないことだったら、もちろん正確な、何年でこうするということはなかなか難しいと思いますけれども、努力目標でもいいわけですが、目途とか、例えば、これまでにこれくらいの計画をつくって、この計画についての審議あるいは審査はこういう組織が見るとか、何かそういう、第三者機関もかませて、評価もしながらやっていこうという立法が必要です。
○迎総務部長 すぐに裁判とパラレルに考えられるのですが、裁判というのは、まさに裁判手続きの期間ですね。それは、我々特許で言えば、特許の審査官が、滞貨で待ち時間があって、始めてから1人がだらだらと抱えるのはけしからんというのはわかりますが、待ち時間の滞貨の話は、それは裁判とはちょっと違うのではないかということが一つ。
○久保利委員 今の、冒頭におっしゃった2点については、裁判で言えば、今のようなケースは、第1回の口頭弁論の期日が入らないで2年たつようなものでありまして、最低な状況だと思います。
○阿部会長 ほかにいかがでしょうか。 ○中川委員 今のことに関連した質問です。要するに、この案が出てきたということは、裏返すと、審査期間、あるいは、審判請求があったときの不服申立ての審理の期間が長いかどうかは、特に問題ではないと認識されているということですか。 ○迎総務部長 そうです。 ○中川委員 待ち時間だけが問題であって、審査時間は十分に短い、待ち時間だけだということですか。 ○小野特許技監 補足させていただきますと、2点の問題がございまして、中川委員が御指摘のように、確かに今は待ち時間が長うございます。請求されるものに対して審査能力が足りないということで、今、増員をお願いしているわけです。
○中川委員 待ち時間だから、これは特許庁がいくらがんばっても不可抗力の部分がある、だから目標年限は出せないという御主張だと理解してよろしいですか。 ○小野特許技監 そのように考えております。 ○山田委員 私も、方策は出ていて、非常にいいと思いますが、企業の経営者として感じるのですけれども、費用対効果といいますか、それを明確にしていただいた方がいいと思います。効果は目標ゼロということですけれども、それに対して、 500名採用してどう速くなるか、いつからどのような効果が出るのかとか、ゼロ目標はいつの時点で達成されるのかということを、法律でうたうかどうかはわからないのですが、企業だと、そうしたものが出てこないと稟議を通らないと思います。そういったものを定量的に示していただいた方がいいと思います。 ○阿部会長 だいぶ時間が過ぎたのですが、特に御発言ございますか。 ○高林委員 審査というのは、始まってしまうと非常に速いというお話がありましたが、今、裁判官の判断と裁判所調査官の補助という関係が、司法制度改革でも議論されておりますので、審査官と外注の指定調査機関との関係についてお伺いしたいと思います。只今のお話では、外注の指定調査機関は、今は一つしかないものを、今後は民間に委託していこうということでしたが、出願前に調査する機関と、出願後に調査する機関も共通であって民間のものもあって、そこから審査官にレポートが提出されるわけですが、そのレポートというのは、先行技術の調査ということですけれども、例えば新規性とか進歩性とかいう問題になりますと、新規性や進歩性があるかないかという辺までかなり踏み込んだものになる可能性があるのか、ないのかということをまずお尋ねしたいおと思います。それと、仮にそれがあるとして、最終的に審査官は裁判官のような判断者の立場になるのであれば、それとレポートの作成機関が民間の調査機関であるということとの関係といいますか、その辺をどのようにお考えになっているのかをお伺いしたいと思います。 ○小野特許技監 今現在行っているICPPに対するサーチ外注の基本的な考え方は、今、御指摘のように、まず新しいかどうかということ、これは、何を調べるか、どういう調べ方をするかという標準化が確立しております。その中で最大限探していただくということです。
○阿部会長 時間がだいぶ過ぎましたので、若干まとめさせていただきますと、これにつきましては、特許審査迅速化法案(仮称)を2004年の通常国会に提出することが推進計画ですので、問題は、どういう中身の、どういう内容の法律にするかということを御審議いただくということで来ているわけですが、その確認でよろしゅうございますね。
○迎総務部長 どうもありがとうございました。 ○阿部会長 若干確認をさせていただきますと、先ほど申し上げましたが、知財高裁の創設につきましては、本日の御議論も含めて、論点がほぼ出そろっているのではないかと思いますので、次回の最終的なとりまとめを目指して事務局に整理をお願いするという大きなお仕事を先ほどお願いしましたが、それが1点。それから、今の迅速化法(仮称)につきましては、先ほど申し上げましたようなことで、事務局で案を整理していただくといことで、次回御議論を願う形にさせていただきたいと思います。個別にいろいろ御相談があると思いますので、よろしくお願い申し上げます。
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