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第8回 医療関連行為の特許保護の在り方に関する専門調査会 議事録 | |||
1. | 日 時: | 平成16年6月30日(水)9:58〜12:14 | |
2. | 場 所: | 知的財産戦略推進事務局 会議室 | |
3. | 出席者: | ||
【委 員】 | 】井村会長、秋元委員、片山委員、北村委員、見城委員、野中委員、平田委員、広井委員、森下委員 | ||
【参考人】 | 中島審議官、小野特許技監 | ||
【事務局】 | 荒井事務局長、小島事務局次長 | ||
4. | 議 事: | ||
(1) 開会 | |||
(2) 医療関連行為の特許保護の在り方について | |||
(3) 討議 | |||
(4) 閉会 |
○井村会長 おはようございます。「医療関連行為の特許保護の在り方に関する専門調査会」に、お忙しい中を御出席いただきまして、ありがとうございました。第8回の会合を今から始めさせていただきます。
○小島事務局次長 それでは、前回の会合の御議論を踏まえまして、改めて整理しました資料について御説明します。
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○井村会長 前回いろいろ出ました議論につきまして、もう一度で事務局で検討し、今日それらをとりまとめて、全体像を、今、説明してもらいました。
○野中委員 私は途中から参加さていただきましたけれども、確かに8回もやられたんですから、そろそろ結論を得たいという気持ちは十分よくわかります。しかし、医療は医師と患者との信頼関係に基づくものなので、それに対する悪影響についての皆さん方の、特に特許保護を進めたいという方々の悪影響というものに対する認識がまず低いと思いますので、その点に関しては、もう一回御考慮いただきたいと思います。
○井村会長 特許全体を問題にして、それが医療にどういう悪影響が及ぶのかということも1つあると思うんですね。もう医療関係の特許は一切認めない、それも一つの立場ですね。
○野中委員 それはむしろ皆さん方が悪影響というものがないかどうかということをもっと徹底的に言うべきであり、私たちが言うべきことではありません。この会議は悪影響に配意しつつとなっているんですから、その立証責任は私たちのだれにがあるんでしょうか。それは、むしろ進めたい皆さん方が、こういう悪影響に対して、私たちはこういう配慮をするという視点が必要だということです。 ○井村会長 かなり議論してきたつもりなんですが。 ○野中委員 ですから、それが独占と排他と活用という部分がごちゃごちゃになっているということを私は言っているわけですよ。活用というんだったら、これぐらい医療コストがかかる、手を貸すと。でも独占と排他のときには、本当にそうでしょうか。 ○井村会長 その辺はもうちょっと議論をいただきたいと思いますが、特に日本の医療においては、医療費を企業が決めているわけではありません。だから、独占と排他によってどういう悪影響が出るかということは、一概には言えない問題ではないかと思います。 ○野中委員 一概に言えないということは、御認識がないということですよ。 ○井村会長 いや、そんなことはないですよ、やはり日本の医療費は、すべて国が決めている。 ○野中委員 いや、医療費の話をしているわけではなくて、独占、いわゆる医薬品とか、そういうものに対して認めたことは、それはそれで私はいいと思います。
○井村会長 それは事務局の方でフォローアップをしているわけですか。 ○小島事務局次長 1976年の物質特許導入時については、資料3にも書かれておりますし、前々回でしたか御説明があったかと思いますけれども、医療コストへの影響というのは、フォローアップ調査をしているというのは、資料3の7ページにも書かれているところでございます。 ○井村会長 それで特に問題点はなかったということですか。 ○小島事務局次長 はい。 ○野中委員 医療費のことだけで問題点がないと言いきるのはいかがなものかと思います。もうちょっと深く掘り下げて検証すべきじゃないですか、何も問題が起きていないから悪影響がありませんという話ではないはずです。
○井村会長 それは、この委員会で相当検討をしたつもりです。だから、いろんな有識者の方に来ていただいて、その辺りのことをいろいろ議論していただいたつもりです。 ○野中委員 でも、私は前の議事録を見たときに、それは活用という部分でお話になっています。独占と排他の部分ではありません。 ○片山委員 特許そのもののとらえ方の問題だろうと思うんです。活用と独占と排他というものが、どういう関係にあるかということだろうと思うんです。
○野中委員 私は、やはり1つは特許というものの部分が、いわゆる対象者が患者さんでありますから、それは一般の消費者とは違うわけですから、そこの部分の悪影響というものは、より慎重にお考えになるべきであり、その中に独占と排他と活用という部分を十分お考えくださいというふうに言っているわけですよ。
○井村会長 それはフォローアップ体制をつくるということを言っていますけれども、それでは不十分だということですか。 ○野中委員 それでは、不十分ではないでしょうか。 ○井村会長 では、何をつくったらいいと思いますか。 ○野中委員 ですから、むしろ私たちが提案するよりも、そのことを進める方々が、自分たちはどういうふうにするかということの御提案が必要だと言っているわけです。 ○井村会長 委員からいろんな意見を出していただきたいということを申し上げているわけです。 ○野中委員 それはそうです。でも、私はこの議論の中で皆さん方のお話を聞いていると、いつも活用で、デメリットな部分をやると、その部分を今まで提案されてないんです。 ○井村会長 フォローアップ体制をつくるということは提案しています。 ○野中委員 フォローアップ体制というものが、この中の資料3にあるようなものだけで本当にいいんでしょうかということです。私は、その辺のフォローアップ体制というだけの認識だけでは、むしろ医療に対する悪影響というものを全く認識してないのと同じだと思っています。 ○井村会長 もう少し御意見をください。ほかの方。片山委員、どうぞ。 ○片山委員 現状のままに維持することによる悪影響というのも当然あるわけでございます。それの悪影響が非常に、特に先端医療を考えた場合に、その悪影響が大きいんではないかと。したがって、特許制度を活用すべきなんじゃないかということが、もともとの事の発端だろうと思うわけです。
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○井村会長 どうぞ。 ○見城委員 いろいろ御説明ありがとうございました。私の以前からの質問に対しての御回答をいただいたので、大変わかりやすくなってきたと思います。
○井村会長 私の知っている範囲でお答えしますと、これは医療制度そのものの問題の方が大きくて、特許の問題ではないと思っています。アメリカでは御承知のように、国による保険がないわけです。だから、メディケア・メディケード以外全部民間なんです。16%ぐらいの人は何も保険を持ってない。
○見城委員 アメリカは大前提が日本のような国民皆保険ではありません。この様に最初の条件が違うという事。その違うアメリカがこれだけ特許を認めていますが、現実に医療が行われる段階で、この様な医療行為への特許の意味がないとか、批判や反省等出ていませんか。 ○井村会長 どうぞ。 ○小島事務局次長 1点補足説明させていただきますと、資料4の参考で日米欧の制度の比較があったと思いますが、その中で米国の制度があったと思いますが、米国の制度は医療方法全般について特許を認めるという制度ですが、この中で医師等の医療行為については、適用除外ということになっているわけです。1950年ぐらいから医療方法を無条件で特許対象にしていたわけですが、1993年に有名なパリン事件というのがございました。ここでも御紹介がありましたけれども、医師が訴えられるという事件があって、その後1996年に法改正がなされて、この医師の医療行為に対しての適用除外という制度が導入されたということで、アメリカにおいても医療方法特許、50年ぐらいの中でそういう見直しが行われたということでございます。それで、現在は医師の行う医療行為については適用除外になっているということです。 ○見城委員 結局、医師が医療行為をするのは適用除外だというのも、今回の基本条件になっておりますが、アメリカの場合それでその適用除外を設けた上で、現特許法で行われているわけですが、それが医療行為に対して、どういう悪影響を及しているのか。医師が医療行為は免除されているけれども、それ以外ではどういうメリットが現実に出ているのか。結局、日本が目指そうとしているのはそこにメリットがあるからですね。 ○井村会長 アメリカのまねをしようとしているわけでは決してないわけです。 ○見城委員 それは確認させていただきました。アメリカに向かうのではないと。 ○井村会長 それは、アメリカはもう概念的に方法すべてにかけられるわけです。だから、極めて幅広い特許も成立し得るわけですけれども、そういうことを我々は考えているわけでありません。 ○見城委員 これもずっと前回からの議論でわかっております。 ○小島事務局次長 今、見城委員が御指摘になった、これはアメリカでどうかというのは、この場で特許庁等からヒアリングをしたときも、その後の状況について特に問題になった事例は、報告されてないということです。 ○井村会長 どうぞ。 ○秋元委員 見城委員に味方するわけではないんですが、アメリカで遺伝子診断というのが非常に問題になったことがあります。それを自由にしようということで法案が出ました。でも、マジョリティーはまだそれに賛同してないから否決されています。
○井村会長 乳がんの遺伝子情報の診断についてもめているわけですね。そういう極端な例は確かにありますが、一般論で言えば、非常に日本とアメリカの医療制度の違いが大きくて、なかなか一般化して考えにくいところがあるわけです。例えば、薬の値段なんかでも、日本は厚生労働省が決めますけれども、アメリカは製薬企業が決めるわけですから、だからいい薬を出せばどんどん製薬企業は収入が入ってくる。では特許が悪いかというと、そうも言えない。 ○見城委員 その問題は、また時間を使ってしまって悪いと思いますけれども、私は一つの懸念として、ヨーロッパはなぜ健診するとか、そういったところのみで止まっているのかというのが、まだ依然としてそこのところは疑問です。
○井村会長 インフォームドコンセントの問題は、非常に幅の広い問題であって、特許はほんの一部にすぎないわけです。 ○見城委員 ただ、活用するに当たっての懸念に対してこういう答えが出ていますので、一応インフォームドコンセントと。 ○井村会長 インフォームドコンセント全体に今おっしゃったような問題点があるのは、それは医師の側も十分気が付いているわけです。
○小島事務局次長
○井村会長 それでは、今の問題は、また後で議論があれば。 ○見城委員 これは特許庁の方からも伺いたいです。法的に不安定ということですので、一つひとつ明快にしていかないと、前へ進めないものですから。 ○井村会長 それでは、簡単にお願いします。 ○小野特許技監 資料5−2で御説明いたしますと、前回議論のありました組合せ物で、組み合せるところに特徴があるものは、ここにございますように、キット、組合せ物として許しております。これは日米欧とも全く同じ許し方をしていることが現実だということです。
○井村会長 ちょっとほかの委員の方が手を挙げておられますので、広井委員、お願いします。 ○広井委員 今のに関連することにもなるかと思うんですが、今回の最終的な提案が医療機器、医薬の特定の使用方法というふうになっているんですが、これの意味がまだ十分理解できていません。つまりもともと先ほどの御説明にもありますように、物か方法かという2つのカテゴリーがあるわけですが、今回の医療機器、医薬の特定の使用方法というのは、第三のカテゴリーのようなものをつくることになるのか、方法の方に大きく踏み出したということになるのか、それとも例えば資料4の御説明などを見ますと、資料4の真ん中の医療機器、医薬の特定の使用方法の下の説明のところでは、括弧の中に最終的には医療機器、医薬に化体される技術的要素、つまりこれはあくまで物に集約されると言いますか、連関を持ったというか、より物との関連性にアクセントが置かれたニュアンスがあるんですけれども、今回の案の意味が十分よくわからない。
○井村会長 どうぞ。 ○小島事務局次長 まず、幾つかの視点があるかと思いますので、順番に御説明しますと、今までの議論の中から今回事務局で提出したのは、そういう意味ではアメリカでもなければヨーロッパのものでなく、日本独自のものだということだと思います。
○井村会長 少し追加いたしますと、この専門調査会を始める前に、実は総合科学技術会議の中で、知的財産の専門調査会をやりました。この中にもそのとき委員を務めていただいた方がおられると思います。これは単に医療だけではなくて、すべてを含む特許の在り方について、日本の現状と問題点を指摘して、こういう点は改めないといかぬだろうということになったわけです。
○広井委員 今の御説明はかなりよく理解できたんですが、そうするとあくまで物の方法ということになると、例えば、ヨーロッパのような、ベースはものに置きながら、医薬であれば用途というような、それに技術的には限りなく近いといいますか、そういう印象も持ちますし、そうであれば何かそういう形の、あくまで物をベースにという方が起こり得べきいろいろな弊害を考えると、望ましいようにも思うんですけれども、そこら辺りは。 ○小島事務局次長 2つあるかと思いますが、1つは先ほど申しましたように、物の発明なのか方法の発明なのかというのは、発明したときに、発明の本旨が物に着目したものか、あるいは方法論なのかというという、発明の本旨、それを生かすということで、その発明の本旨が方法論だったら、その発明の本旨の方法論をできるだけ保護してやると、ちょっとしたものの改変で特許が侵されないということが必要ではないかというのが一点。
○広井委員 機器に関しては、私の方で多少誤解があるのかもしれないですけれども、機器というのはもともと人工物ですので、用途の新規性がある場合は何らかの形で物の新規性もあるんではないかというのが、非常に素朴なイメージとしてあるんですけれども、そこはあくまで物に着目したもので特許というものでは対応できないものなのでしょうか。 ○井村会長 どうぞ。 ○小野特許技監 広井委員の機器の話に関してちょっと説明させていただきます。資料5−1の例を、先ほど事務局から御説明していただいたものを補足させていただきます。事例の1でございますが、この場合、どこが欧州特許庁の運用と違うかというところを御説明いたします。事例1の場合は(1)の「RFコイルによって患者組織からのNMR信号を受信し」という記載がございます。これはある意味では人体からのデータの取得であり、先ほど資料1で事務局から御説明がありましたように、患者から直接データを取るというところは、今、欧州特許庁では争点になっている点でございます。ここは動作という意味で単に受信するということではありますが、現在の日本の運用では、人間の診断方法であるとして、特許にしておりません。
○井村会長 ここで今までの議論があったことを少しまとめてみますと、機械だけではなくて、方法に特許がかかりますと、それによってまた新たな技術開発が起こってくるという例を、例えば北島さんなんかがちょっと言われたと思いますが、そういうことはやはり方法を認めないとできない。機械だけでは無理ということだったと思います。
○北村委員 野中委員が挙げられた、原則的なものが各論的な議論とごちゃごちゃになっているんですけれども、野中先生に申し上げたいと思うのは、やはりこの特許でたくさんの医薬品が開発されて、それが患者に被害を与えた一面があるでしょうが、特許があることが今の医学、あるいは医療に弊害になったことと、メリットになったことを相殺すると、やはりこれは企業が開発し、研究者が開発するという、経済的ではありますけれども、大きなインセンティブなんですね。ここのところをなくしてしまったら、医学、医療というのは、現在より更に現代までのレベル、あるいはそれ以上に発展してきたかというと、決してそうは考えられずに、やはり最近になってどんどん新しい医療機器、しかもインテリジェントと言われる医療機器、そして新しい創薬が進んでいるということは、やはり研究者、あるいは企業への大きなインセンティブとしての特許、そして経済的裏付けというものを与えることに進んできている。そして各国が、競争的、あるいは共同的にやってきているわけで、この部分を無視して医療がもっとよくなるのかということに対しては、私もはなはだ疑問でありまして、やはり新しいインテリジェントなディバイスの開発、並びに新しい創薬ということに目を向けると、規制緩和の必要な部分はあろうかと思う。その点で各論的なものに入るならば、私はまず第一点は、具体的な事例も挙がっているんですが、今の医療機器案によりますと、やはり資料5−1ですけれども、書いてあることは作動と動作の字がひっくり返っていると、そしてその説明のところに作動によりと書いてあるところと、動作させることによりとなっておると。動作させるのはだれなのか、動作させる機械が外にあるからかという意味なのか、医師が作動せるのか、技術者が作動させるのか、事例を見ても、広井委員が言われたようにはなはだしくわかりにくいのは事実だと思うんです。
○井村会長 最後のポイントはおっしゃるとおりで、もうちょっと書き込み、文部科学省、厚生労働省できちんとガイドラインをつくってほしい。これは基本的な線だけでいいと思うんです。アメリカでもそういう基本ラインをまずつくって、後は大学が若干それをモディファイする。それぞれ違いがありますからね。だから、そういうことは書き込んだ方がいいと思っております。
○秋元委員 この例を引用されて、0.1から10ミリは何ぞやというようなお話があったかと思うんですが、またいつ特許を出すのかという話もありましたが、これは非常に初期の段階で、恐らく動物実験あるいはそういうものから推定した値であって、私どもが現在、使用方法について投与間隔とか投与量、これについて特許を認めてほしいというのは、こういうような範囲ではなくて、これは私のプレゼンでもあったかと思うんですが、高度という説明がいいかどうかわかりませんけれども、単剤であっても、例えば、認可されているのとは別なところで効果が出てくると。そうであれば、それはやはり特許保護すべきではないかと。
○井村会長 しかし、方法として、なぜ、投与量、投与間隔が問題になるかという辺り。 ○秋元委員 それは単剤でも起こり得るということなんですね。これは今言ったように、二剤の組み合わせということで、ここの。 ○井村会長 いや、単剤でも起こり得るわけですけれども、どうして必要かという辺りが、北村委員の今の質問だったと思うんです。 ○秋元委員 実際には、この前も。 ○北村委員 これはやはり、既に承認されている薬の場合でもあり得るとおっしゃっていたので。 ○秋元委員 あるいは、その範囲内程度の使い方でという。 ○北村委員 そこでもう既にある種の用量、用法は提示されたものとしてあるわけですね。それが全く違った用途になるという場合に、この事例はなっていないですね。この事例の書き方を見ますと、これは秋元委員が関係されているのかどうか知れませんけれども。 ○秋元委員 これはたまたまアメリカで特許になっているという事例を持ってきたから、確かに御指摘いただいているように、実際の治療というか、お医者さんの立場で考えたら、非常におかしなことになっているのは確かだと思うんです。 ○北村委員 こういうものを特許であるとしながら、あと、それを0.1使うか100倍の範囲でだれに使うのかは医者任せで、問題が起こったら特許を取った企業は知らぬ顔できるのか。非常に医者のやることと医者の技量というものと、難しさが出てくるというものだと思いますね。 ○秋元委員 これはこの前、申し上げましたように、例えば、臨床であるとか、あるいは臨床に相当するような別な方法できちんと証明されたような、それで相乗効果とか予想外の効果とか副作用低減であるとか、そういうものが出てきた場合に認めてほしい。 |
○北村委員 それなら、そのように予想外のものとかいう明確な形での特許を申請が可能であるという形でしていただいたらよいので、投与間隔、投与量を考えれば特許になるんだという、この四角の枠の書き方では、やはり疑問を感じざるを得ないですね。 ○秋元委員 これは象徴的に多分こう書いてあるんだと思うんですが、言葉足らずかもしれませんが、私自身プレゼンをさせていただいているときには、常にそういう方向でプレゼンテーションをさせていただいているということでございます。 ○井村会長 極めて特殊な例というのはないですか。投与間隔を変えたことによって新しい薬効が出てきたとか。タキソールがちょっと議論になりましたね。 ○秋元委員 これにつきましては、欧州の場合に、消極的ではあるけれども、新規性がないということで裁判では否定されていますけれども、この投与間隔については議論されていなくて、否定はされていないということでございます。だから、積極的に肯定したわけではないけれども、一旦特許になって否定はされていないという状況です。 ○見城委員 例えば、その個体差というものが非常にあって、私たちが実際にお薬を投薬していただくときには相当、先生の裁量で、たまたまこれを一緒にやると多分効くからやってごらんなさいとか、そういうことが随分組み合わせ等もあるものですから、非常にそれを実際の特許として認めるというのは、私はどうしても特許とは何ぞやというところに戻ってしまうほど、これは意味がないのではないかと。 ○秋元委員 いつも議論に出でいるかと思うんですが、お医者さんがやられる場合には、その使用する範囲が通常は厚生労働省にもう許認可を得た形のものを使います。そうではないときに、自由にいろいろ組み合わせるのは、これは自由診療としても、やはり認められています。ただ、そうであると、その自由に認めて効果が出る、出ないというのは、先ほど言われるように個体差もあるだろうし、先生のやり方もあるだろうし、いろんなやり方がありまして、それが広く国民の皆さんに伝わるのは、やはり非常に時間がかかってしまう。その先生御自身の主義に基づいてしまう。あるいは、自由裁量にも基づいてしまう。それは何回もここで議論が出たのではないかと思います。 ○北村委員 しかし、現実は、例えば、ここの事例にも似ていますが、このエースインヒビターと今、盛んに使われているレセプターのブロッカーとの併用が、どのくらい効くかななどというのは世界中が臨床研究として医師が論文に発表して、ポジティブなデータが出てくれば、すぐにそれは週刊誌並みの医学誌に載って、それを採用して我が国でも日本人でも本当に効果があるのかというのは始めておるわけですけれども、この2つの組み合わせを特許を取るとなりますと、特許の承認までは論文発表をするなというような抑えが入ってきて、実際にその2つが有効であるというような場合のものは、むしろ医師が行う医療行為として論文を媒体として普及することも少なくない。今、個人とおっしゃいましたけれども、医学会と考えていただきたい。個人の先生が自分で調合をして、この人にはこんなにしてみようという1人の医者と1人の患者の対応ではなくて、医学会のレベルで考えたときに、その併用がある企業がこれとこれの併用を特許を取る、したがって、一切論文にしたり発表しては困るというのと、現在行われているように、週刊誌並みの雑誌に競うように論文が出て、それが評価され、医師が我が国ではどうかと、ここは本当にアメリカの言うとおりになるのかということにいち早く取り組むという、この姿勢を崩さないかという心配があるんですね。既存薬の併用ということまで拡大してしまいますと。 ○秋元委員 お医者さんの方が発表をしないという意味ですか。 ○北村委員 発表をしてくれるなという圧力がかかるんではないですか。特許を取ろうとするところは。今でもそうです。今でも学会に行きますと、特許のために詳細は申し上げられませんという報告がございまして、聴衆の中ではお前ら帰れと怒鳴る人が出てくるぐらい何の発表なんだということで、既存の薬を併用して、それまで特許をかけることによって発表を遅らせるとか。 ○秋元委員 企業が圧力をかけているかどうかは私ちょっとわかりませんが。 ○北村委員 それは、もう医学会の仕事であると考えてしまうんですけど。 ○秋元委員 ただ、お医者さんがやること、お医者さんが発表すること自体は特許があろうとなかろうと何にも関係ないので、ただ、企業が発表するな、どうのこうのとはちょっと別の問題、現実にはそういうことあるのかもしれませんが。 ○北村委員 いやいや、たくさんあります。 ○森下委員 ただ、先生既存薬だと恐らくないと思うんです。だから、既存薬ならば。 ○北村委員 既存薬の場合どうするのか。 ○森下委員 逆に言うと、既存薬だと医者が勝手に使えますから、そうすると製薬会社の人が物を提供するしないという話がありませんので、製薬会社サイドがそれを抑えるということは実質できないですし、それは多分ケースとしてないだろうと。 ○北村委員 だから、それは特許にならないんだな、そういう場合は。 ○森下委員 ならないと思います。恐らく、先に発表してしまいますので。 ○井村会長 例えば、アンジオテンシンレセプターのアンタゴニストを使うと糖尿病の発症が予防できるというような報告が出だしているんです。今までは血圧下げるために使っていたんです。ところが、それを使うと糖尿病のいわゆる予備軍の人が発症がうんと低くなるという報告がもしあれば、これは特許になるのではないですか、やはり用途特許に、用途を拡大するという特許になる。 ○森下委員 それを製薬会社の方が最初に見つければ、多分特許にされますし、医者が現場で見つけて論文出してしまえばそれで終わりだと思います。 ○野中委員 でも、それは特許があるからインセンティブが働くわけではないですね。 ○井村会長 今の場合はネ。それは、医者の方が自分の興味というか関心を持ってやっていることであって、それは特許の問題ではないと思います。 ○野中委員 だから、特許だけがインセンティブを働かすということではないわけです。北村先生が言われたように特許が科学を進歩させる。それは、十分よくわかります。だからこそ、私言っているのは、悪影響に対する物差しを持っておられない中で、規制緩和をすればこれができるというだけで本当に進めていいのでしょうかということを言っているだけで、私はそれを収めてくれなんて言っているわけではないし、今、会長が言われたことはむしろ、特許ではないインセンティブで、つまり医師がいろいろな観察の中で見い出したものに関して特許というものをどう考えるかということは、私は有効な部分もあると思いますけれども、そこは慎重に悪影響という物差しをもうちょっと拡大しながら、配慮してくださいということを言っているわけです。 ○見城委員 薬に関しては、だからそこのところもう一度、先ほど私お願いしましたように、現特許の中でできることと、そこに秋元委員がずっと主張していらっしゃることは、やはりどの程度から入らなくて、では、それ入れるべきかどうかということは確認できる形でどうでしょうか。やっていただけないでしょうか。そうでないと、進まない。その進まないということをすごくこちらに突き付けられますと、無用な議論をしていると思われるのも大変困るんですが、現行の特許でできるといわれていること。何かがあれば、それは用途特許に入っているということが出てくるということは、そこを次までに明らかにしていただいて、それでもなおかつ秋元委員がおっしゃっている部分で、製薬業界としてのインセンティブが働かないとか、それによる私たち患者側が恩恵をこうむらないと、もっと治る薬が組み合わせで出るのにというようなことがあるんでしたら、それはもう一度明快な形で言っていただきたいと思います。 ○秋元委員 資料2をごらんになられると、一覧表がもう出ておりますから、それは明快にわかるのではないかと。 ○見城委員 でも、その例として。 ○秋元委員 だから、その治療方法について北村委員が言われるように何でもかんでも認めるのはおかしいのではないかと。お医者さんがやることもあると。それで、私どもが言っているのは、前からプレゼンしているように、そうではなくて、表現がいいかどうかわかりませんが、高度なという形で認めてほしいと。 ○見城委員 済みません。法律に関して高度なという、そういう大まかな表現は。 ○秋元委員 それは、先ほど言いましたように。 ○片山委員 ちょっとよろしいですか。特許法的に言いますと、今の議論すべて新規性とか進歩性の問題。要するに、何か新しいものをこの医療行為で云々しようとしているのであれば、まさに伝統的な新規性、進歩性の問題だろうと思うんです。つまり、お医者さんがそれまでやっておられているんだったら、それはもう新規性がない、その範囲であればテーラーメイドでやっておられたら、それはそれで新規性がない話になるので、それを超えたところでないと特許は取れない。 ○北村委員 いや、新規性あるんです。世界初のリポートで動くわけですから。 ○片山委員 先生おっしゃったのはちょっと区別して議論したいんですけれども、見城先生がおっしゃったのは、新規、進歩性の議論で恐らくはすべてこなされるんだろうと思うんです。ですから、よほど意外なもの、ある範囲を超えたものでないと特許にはならない。これは伝統的な考え方で、そのとおりだなと思います。
○北村委員 薬の方ですか。薬の方は既存薬の併用で意外な投与方法で時間の間隔というようなものを特許とする問題。 ○片山委員 レポートがどんどん出るのを抑えることになるのではないかと。 ○北村委員 これは時代に逆行していると思う。今はテーラーメイド、一人ひとりの患者さんについて、投与法・投与間隔を探ろうとしてやっている最中に、平均値でもって、その投与方法をベストとして特許を取るということが。 ○片山委員 なるほどね。ただ、それは恐らく、先ほどの進歩性の問題で、この程度ではだめですよという、その程度の問題を実際の審査実務でどの程度の置くかという話ではないでしょうか。 ○北村委員 そこはどう判断するか、最終的にはそこにかかってくるね。 ○小野特許技監 はい、そこは非常に難しゅうございまして、それはむしろ、私どもが教えていただきたいところでございます。最後の投与量、投与間隔の場合ですと、個体差、事実差があるといったときに、これは日米欧でも許されているのではないかと思うのですが、我々が許すとすると今ここに出ているような動物実験のようなもので、つまり、必ずしも臨床実験にない状況で、いかに進歩性を高くしたとしても、多分この程度で審査実務上は許さざるを得ないのではないかと思います。と言いますのは、事実差があるからといって、これは国際的には全部出願されていますので、運用のハーモナイゼーションの問題があり、この分野だけ特別扱いすることはできないからです。また、アメリカの臨床データが日本で使えるかとか、いろんな複雑な問題があって、審査基準でどう対応するかというのは非常に難しいのではないかと思います。ですから、我々としては、片山委員がおっしゃったように、今の医薬の審査基準の中で運用するしかないとないといった場合に、先ほど、北村先生が言われましたように、個体差がある、事実差があると言ったときに、それが日本人だけに通用する話にするか、どうするかという辺りを審査基準でつくれるのかどうかというのは非常に難しいなというのが直感です。これはむしろ教えて頂きたく思います。もし、これを許すべきだという話になったときは、むしろ医学会なりで御指針を出していただかないと、なかなか運用上は今みたいな点が問題があると言われますように、非常に難しいなというのが直感でございます。 ○井村会長 作動、動作はちょっと問題ですね。 ○小島事務局次長 北村委員から御指摘のあった、資料5−1の作動方法、動作方法。ちょっとこの言葉遣いは若干ちゅうちょがあったんですが、違いを提示した方がいいと思って、こうしたわけですけれども、医療機器の使用方法ということで、機能とかシステムが、電気的あるいは機械的信号によって動くという意味では、両者は全く同じです。
○井村会長 予定の時間がもう過ぎてしまったので、少しまとめをしたいと思います。
○北村委員 先生、もう一つ。先生もおっしゃっていただきました基本的なルールづくりのところを。 ○井村会長 利益相反については、知財本部から文部科学省及び厚生労働省に要請して決めてもらう、これは大学だけではないですから。 ○中島審議官 今のお話については、文科省、厚労省だけではなくて、やはり特許問題そのものに関係しますので、十分特許庁ともお話させていただいた上でというふうに思っております。 ○井村会長 特許だけではないんですけれども、産学連携問題もやはり同じように利益相反を起こしてまいりましすし、大学が非公務員型になったわけですから、そういう中できちんとしたルールがないと、世の中から指弾されるようなことがあってはいけませんので、その辺はもうちょっと具体的に書き込むということにしたいと思います。
○森下委員 是非、それはお願いしたいと思います。なかなか大学独法化というので、一応国からは言いづらいという話は聞いておりますけども、正直大学の中で議論するには人材がたくさんいらっしゃる分野ではないので、非常に難しいと思いますので、むしろ国レベルでやっていただいた方が、それはいいのではないかと思います。
○井村会長 それは、冒頭にそういうことも書き込む必要があると思います。
○平田委員 特にございません。 ○井村会長 そうですか。ほかに何かございますでしょうか。どうぞ。 ○広井委員 ある意味では、今の森下委員とちょっと違う面になるかもしれませんが、一方では発明の本旨を重視するというのは、非常に重要な点だと思う反面、大きく方法に踏み出すことに対する懸念というのがあって、そういう意味では医療機器も含めて何か物の用途という、その現状の延長線上での何か対応が案として考えられないものなのかというのをちょっと考えております。 ○井村会長 それは、広井委員の御意見として伺っておきたいと思います。 ○見城委員 やはり、これ医療行為、話がどんどんいろいろ複雑になってきますが、基本的に医療行為に部分的ではあれ、何であれ、医療行為そのものに特許を認めるのかというところでの議論で行われていると思いますので、徐々に話の中である部分だけであるとか、特別に枠を設けるとかだんだん話が各論になってくるんですけれども、その基本をやはり外すことはできないと思いますので、常にこのことが医療行為、たとえ免責になるとしても医療行為に特許が与えられるかどうかという、これは大きな分かれ目ではないかととらえているんですが、どうでしょうか。 ○井村会長 これは、先ほども申し上げましたように、方法というものに特許を与えるべきだということが、もともとこの専門調査会の発足するときの一つの理念としてあったわけです。同時に免責条項を明確にして、医療の現場に悪影響が及ばないようにするということもあったわけです。だから、それをここで議論していただいてきたわけです。先ほどから発明の本質というような話が出てましたけれども、本当はアイデアが非常に大事だということがあるわけで、そうすると物だけでなくて、方法にもかけ得るだろうと考えます。
○野中委員 ただ、医行為に対しては従来は特許はそぐわないという原点があって、それをだからその次に一歩進むとなれば、なぜそぐわないかと。そのことを十分に慎重に対処しなければいけないということだろうと思います。それを進めようとするためにはどうしたらいいかというのと、なぜ進めなければいけないのかということは私は違うと思います。 ○井村会長 その辺り何か答えられるのであれば。 ○北村委員 産の方に返すことによって、より多くの患者さんが救われるという部分においてのみやろうというので、初めから私が申していましたように医師が免責されるのではなくて、医師のやる行為は特許にならないと。免責でなくて特許にはならないものであるという位置付けをしてくださいという形でお願いしています。免責ではない、アメリカは免責としているそうですけれども。そして、あとそれを医師が発明しようが企業が発明しようがとにかく産に戻すことによってより普遍的に発展、促進させられるもの。そして産に戻すときにはやはり経済的な裏付けをしてやらない限りできないわけです。 ○野中委員 だから、そのことは十分に認識します。一歩進むんですから。 ○北村委員 ですから、産に戻す部分だけでいいのではないですか。 ○野中委員 だから、そこはもっと慎重に議論してくださいと私は言っているわけであって、それを否定しているわけではないです。 ○見城委員 では、最終的な確認ですけど、北村先生のお話では、産に戻すということは従来の物の特許、それに用途も含まれているわけですが、物というのは用途が付かなければ意味がないわけです。ただの物になってしまう。つまり、何でそれが特許になるかといったら、こういうふうに使えるから、それは物として特許になるわけなんで、そのことと産に返すということは大きな違いがあるわけです。私、そこのところが非常に。 ○北村委員 医療機械については、新しいインテリジェントな機械というものと直結する部分は多いですけれども、薬については先ほどおっしゃられたように、二剤あるいは三剤によって、今までとは全く違った効能が出てくるような場合、それを有効性を証明するには莫大な費用が投じなければならないと。そういうときに、たとえ既存の薬であっても三剤を併合するということに、何らかの分子的メカニズムが考えられて、これとこれとこれとはこういう面白いよく似た構造のところに、3つとも同じところに集まってくっ付くぞというような理論に基づいて、今ある薬はどれだとしたら、これとこれが見つかったと。この三剤を併せてみて動物実験をしてみたら、思わぬ効果が出たと。そうしたら、これを人に使えるのではないかという時点で特許を取りたいと。これは認めていいのではないかと思います。
○見城委員 それはわかります。それは、薬の特許の中にきっちりそれが書き込まれれば、明快になるでしょうと私も最初の質問と提言で申し上げたんです。そのことと、またほかの機器の問題とまた一緒に一つの解釈として理解していこうとか進めようとするからなかなか進まないので、薬の部分はそれだということで、次までにまとめてください。 ○井村会長 まだまだ、ここで議論しておりませんけれども、これから出てくるものとして再生医療が非常に進んでくると思うんです。そうすると、またそれ辺りは新しい方法特許が必要になってくるのではないか。ちょっと今日は上田委員が来られなかったので、上田先生、森下先生辺りが一番初めに議論された辺りはそれです。そういうこともあって、その基本的に方法に一定の限度で認めるべきであろうというような展開になっているわけです。
○小野特許技監 資料1では、今回の大きな方向性が示されており、我々もそういうことだと思っております。ただ1点、もし制度設計をするときに、一番下の特許の効力が及ぶ範囲ということで、注のところがございますけれども、お医者さんとかは免責してほしいという要望があるので、これは検討すべき事項として当然考慮に入れることになると思いますが、恐らく間接侵害的な議論というのは、日本でも初めてですし、外国でも理論的に詰めるのは初めてであると思いますので、この辺りはいろいろ法的な課題があるというように我々認識しております。この辺は少し詰めた上で御議論を進めていただき、また事務局等とも御相談したいと思います。 ○井村会長 それは、ちょっと我々もわからないところがありますから、いろいろ検討していただいて、また片山委員なんかの御意見も伺っていただいてと思いますが、そういうことでよろしゅうございますか。
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