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第4回 医療関連行為の特許保護の在り方に関する専門調査会 議事録 | |||
1. | 日 時: | 平成16年2月5日(木)16:00〜18:15 | |
2. | 場 所: | 知的財産戦略推進事務局 会議室 | |
3. | 出席者: | ||
【委 員】 | 井村会長、秋元委員、上田委員、片山委員、見城委員、澤委員、田村委員、平田委員、広井委員、森下委員 | ||
【参考人】 | 上田技術総括審議官、小野特許技監 北島慶応義塾大学医学部長 中尾京都大学大学院医学研究科教授 相田審査基準室長 | ||
【事務局】 | 荒井事務局長、小島事務局次長 | ||
4. | 議 事: | ||
(1) 開会 | |||
(2) 先端医療技術を巡る現状と課題について | |||
(3) 討議 | |||
(4) 閉会 |
○井村会長 定刻までまだ1分ございますが、今日田村委員は雪で飛行機が大分遅れているということでございますので、ただいまから始めさせていただきます。 「医療関連行為の特許保護の在り方に関する専門調査会」第4回の会合でございます。御多忙のところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。
○小島事務局次長 それでは、資料2の論点整理のペーパーをごらんください。この論点整理のペーパーでは、1回〜3回の専門調査会の会議で出されました、主な意見を基に論点を要約、整理したものでございます。資料は3つのパートに分かれておりますけれども、太字の部分が会議で出されました意見を基に、項目ごとに論点を要約したものでございます。細字の部分が、それに関係する主な御意見、御指摘でございます。以下、太字で書かれました論点の部分を御説明いたします。
○井村会長 今までの御議論をできるだけまとめたものでありまして、それぞれの項目で全く正反対の意見も書いてあります。それは全部の意見をできるだけここへ掲載したということでございます。後でまた時間があれば、これについていろいろ御議論をしていただくことにしたいと思います。
○北島参考人 慶応義塾大学の北島でございます。それでは、今日お招きいただきまして、私の個人的な意見といいますか、私が実際に行っている医療を通じての御意見を述べさせていただきたいと思います。
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○井村会長 どうもありがとうございました。いろいろ御質問があろうかと思いますが、少し温めておいていただいて、あとで議論をしていただくことにしたいと思います。
○中尾参考人 京都大学の中尾でございます。ただいま外科の方から非常に目に見える形の発表がございまして、内科医は目に見える対象が分子レベルとか、細胞レベルになりますので、少し見えにくいところがございますので、御質問を後でいただければと思います。 私の立場を明確にするために。 (PW)
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○井村会長 ありがとうございました。お二人の参考人から、外科及び内科の領域での方法特許の必要性のお話をいただいたわけであります。
○相田室長 ただいま御紹介をいただきました、審査基準室長の相田でございます。前回の専門調査会におきまして、欧州におけます医療方法の取り扱いの動向について、それから、現時点での日本とヨーロッパにおける診断方法の審査実務の相違につきまして、資料に基づいて御説明をさせていただきます。
1つの段階は、データ収集段階、医学的な検査、試験を実行し、データを収集する段階。
○井村会長 ありがとうございました。それでは、続きまして、日本医師会常任理事、澤倫太郎委員から「医療関連行為の特許保護について」と題して御説明をしていただきます。 ○澤委員 座って失礼させていただきます。 (PW)
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○井村会長 ありがとうございました。それでは、あと40分ほど時間がございます。今日は最初お二人の参考人から御意見をいただきまして、お二人とも方法特許を認めるべきだという考え方でありました。澤委員の方は、逆にそれに対する批判的な意見であったと思います。
○秋元委員 特許庁さんの方にお聞きしたいですが、多少誤解を与えるといけないと思うので、先ほども澤委員もヨーロッパの方が狭いというお話でしたが、今度第二用途のクレームが認められる。これは早くても2006年ぐらいから施行されるでしょうけれども、第二用途のクレームのときには、恐らくこれは確実なんでしょうが併用療法、これはまず認められるだろうと。それから、投与タイミングの問題、投与スケジュール、これの問題については今グレーであると。しかしながら、ヨーロッパの製薬企業はヨーロッパ特許庁にそういう形でもう既にどんどん出しているということでございます。
○井村会長 どうですか。○が二重○ぐらいになってしまうんですか。 ○秋元委員 現在でもスイス型の製造法のクレームで、ほぼ日本と同等に認められているのが事実でございます。それに加えて、更に治療法というものが認められない代わりに、それを含むような形でかなり広く運用されるんではないかと聞いておりますし、企業も既にそういう動きをしているということでございますが、そうしますと特に薬の使用方法、重要な併用療法に関してはヨーロッパが狭かったという話にはつながらないように思います。 ○井村会長 特許庁の方から何かわかりませんか、それではその辺次回までにできれば調べてみてください。ほかに、どうぞ。 ○澤委員 特許庁にお伺いしたいんですけれども、もう一回確認なんですが、欧州特許クレームというのは、例えばこれは出して、欧州特許庁が出した審判に関して、出願人がクレームを付ける。それに対してジャッジメントを集めたということなんですか? ○相田室長 違います。これは通常の審査の実例でございます。 ○澤委員 特許クレームというのは。 ○相田室長 特許請求の範囲を、英語でクレームと言います。 ○澤委員 そうですか。例えば、この島津製作所の場合というのも、これは方法なんですが、この一個一個の小さな個別の機械に関して、物の特許は取れているんですか。 ○相田室長 今回は請求項1を引用してまいりましたけれども、請求項2は装置を書いてございます。請求の範囲には発明を複数記載することができまして、この件では最初の請求項が方法の発明として記載されております。 ○澤委員 そうすると、その物をどう使用するかというのを、補完的に申請しているというとらえ方でもいいんですか。 ○相田室長 そうですね。1番目の請求項に関する場合には、そのとおりです。 ○澤委員 このクレーム2の場合は、これは全く方法だけですか。 ○相田室長 後ろの方の例は方法だけでございます。アメリカからの出願でございますので、アメリカの慣行に合わせて方法で出願したと考えるのが、最も自然なのかなと個人的には思います。 ○澤委員 わかりました。ありがとうございました。 ○井村会長 どうぞ。北島参考人。 ○北島参考人 特許庁にお伺いしたいんですが、既に平成14年4月11日の東京高裁で、御存じだと思いますが、医療行為に関する特許出願を拒絶したという東京高裁の判決がございましたね。約二年近く前に、東京高裁のコンセプトとしては、医療行為が人の生存、あるいは尊厳に深く関わり、人類のために広く開放すべきであるならば、特許の対象とすることにその発達を促進し、それが最終的には大きく人類に貢献すると考えるべきであると述べています。そして、少なくとも医薬や医療機器に特許性を認めながら医療行為のみに否定するのは一貫性がないというようなコンセプトを、平成14年4月11日に既に判決として下されているわけです。
○相田室長 そうですね。東京高等裁判所の判決につきましては、私も承知しておりますけれども、判決文自体はかなりニュートラルな書き方をしているのではないかと私どもは理解をしております。勿論、判決の理解はいろんな仕方がございますので、御指摘のような理解も可能だと思いますが、少なくとも患者に直接タッチしているステップを含む特許出願につきまして、それを産業上利用できないとして拒絶した特許庁の審決が支持されたわけでありますから、結果においては裁判所は特許庁の判断を支持していると思います。 ○北島参考人 法的にはそうですけれども、東京高裁のコンセプトは、要するに特許庁が免責等を与えれば、それが使用できるということであったと思います。 ○小野特許技監 今の先生の御指摘に関しまして、先ほど澤委員の方からも御質問がございましたように、産業構造審議会の知的財産政策部会で、一昨年前から1年間かけまして、医療方法自体の特許保護の在り方について、ご指摘の裁判所の判決も踏まえまして、どうすべきであるかということを御議論いただいたわけでございます。
○北島参考人 今の御発言の中で、安全性という言葉が出たんですが、中尾参考人も言われたように、特許の中に安全性というコンセプトを含めて考えなければいけないというのが、特許庁のお考えなんでしょうか。 ○小野特許技監 特許庁の意見ということではなく、その審議会で指摘された意見ということでございます。そういう指摘が澤委員等から指摘されたということでございます。特許法自体は、個別の案件に関しては、薬であっても、特許要件を規定して、その後の安全性については、厚生労働省の認可を得るという形になっておりますが、ただ個別の案件ではなくて、技術全般、医療行為全体を特許保護の対象とするかという検討を行う場合には、その安全性の観点からも議論すべきだという御指摘でございまして、それが実はテーマと ○井村会長 我々は、次回も多分この問題が議論になると思うんですが、今日参考人で来ていただいたお二人の方からもうちょっと御意見を追加で伺えればと思います。
○中尾参考人 まず、安全性と特許の問題ですが、恐らく具体的に安全性と申しますと、新規の方法なり、それから薬剤が開発されたときに、その安全性が証明されるためには、はるかにそれからそういうアイデアができ、知的財産ができてから、更に時間が要求されますから、現実的にはそのような条件の中で縛られますと、私どものような活動している人間に知的財産が得られるチャンスはほとんどなくなるというのが現実でありまして、そのときに何が起こるかといったら、そのチャンスがあるところの人たちのアドバンテージになるというだけでございますので、私どもが申し上げている視点は、少なくと共通の土俵に上げてほしいという視点でございます。
○井村会長 北島参考人、何かございますか。 ○北島参考人 私は先ほど外科医の立場でいろいろお示ししたと思うんですが、実際に今、患者さんが要求している医療というものは、先ほど3つのキーワード、安全で低侵襲、先端医療というものを挙げました。御存じのように、今、胆のうの手術、例えば1つの例を取りますと、九十数%が内視鏡下手術で行っているわけです。患者さん自身もそれを要望されているのが現状です。しかも、その医療材料というのはほとんどアメリカからの輸入に頼っているのが現状です。では、なぜアメリカなんでしょうか。これは、要するにアメリカでつくられた機械しか、日本でもヨーロッパでも使っていてつくられてないわけです。
○井村会長 どうぞ。 ○澤委員 先生おっしゃるとおりで、先生は安全性を確認できる別な制度があるのは、物でつくるからです。医薬品や医療機器としてつくるから。それは先生おっしゃるとおりなんだと思います。ただ、医療のプロセスになると、なかなかそれをつくる制度が今はないですね。薬事法でも。 ○北島参考人 医療のプロセスというのは、何ですか。 ○澤委員 方法です。こういう手術をするであるとか、こういう手術の方法とか。それから、私が一番最初に言ったんですけれども、いわゆる医行為、医師法に定められたお医者さんしかできない行為、これを特許にするということは、結局医師の免責を前提に考えると、無意味な議論ではないでしょうか。 ○北島参考人 医師の行為に、医療材料とか医療器具というのは、必ず伴うわけです。 ○澤委員 器具は物ですね。 ○北島参考人 薬ということですね。 ○澤委員 医療器具もそうです。ですから、物は今の日本でも大丈夫ですね。 ○北島参考人 物は大丈夫です。ただ、そこにやはり発展性を示すためには、そういう全体の技術を含めたときに特許性を与えて、やはり物ということに私はこだわってしまうんですが、そこでマスプロダクションすることによって低価な、しかも安全性の高い医療を国民、患者さんに提供できるという利点があるということです。 ○澤委員 物に関しては先生おっしゃるとおりだと思います。ただ、方法に関しては、そこを区別して、どうしても一緒になってしまうんですけれども、区別して慎重に。 ○北島参考人 そうすると、医療技術とか、そういう物に関する医療行為には先生は賛成なんですか。 ○澤委員 もともと日本はそれで行っているわけですから、安全性に関しても物に関しては。 ○北島参考人 物ではなくて、医療行為を含めた場合です。先ほど私がお示しした腹腔内から物を取り出す操作、あれはアメリカでは医療行為としてパテントになっているんです。そういうことには御賛成ですか。 ○澤委員 いやいや、それはですから先ほどのヨーロッパのところでもそうなんですけれども、医療のものの特許を出すときに、その用途特許を更に補完的に出すというのはたくさんあることだと思うんです。ただ、私も腹腔鏡やりますので、私も実際に何回もあれをやっています。婦人科ですから非常に多ございます。実際のところ、やはりあれは物があって初めて用途特許としても一緒に出されているというのが、私の認識です。 ○北島参考人 それは、物と医療行為と別々ですか。 ○澤委員 はい。だから、物でやるのはいいんでしょうか。それの行為そのものに関しては、ヨーロッパのように用途特許で補完的にやるというのは、ある程度わかるんですけれども、既に特許になっているものを、こうやって使いますといった用途の話と、それと医療行為に対する特許というのは区別しなければいけないし、医師の免責ということになれば、医者しかできないことに特許を適応されても。
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○井村会長 何かございます。 ○北島参考人 今、ちょっと論点がずれたと思います。 ○井村会長 それでは、田村委員、どうぞ。 ○田村委員 今、医療方法に特許を認めて、医師で免責すると無意味ではないかという澤先生からのお話がありまして、ちょうど澤先生の資料6の7ページに関係すると思うので、確認をしておきたいと思うのですけれども、澤先生御自身が既に提示していただいているように、医師は免責されます。やはり、ここは間接侵害が最も重要でして、間接侵害ということになりますと、結局、当該特許が取られた方法に関する医薬品の提供であるとか、当該特許保護に使用する装置の提供について特許の効力が及ぶということになります。
○井村会長 北島先生のお話になった内視鏡で胃切除をするという場合に、内視鏡手術で胃を切除するということ自体が特許の対象になるだろうということなんですね。
○北島参考人 例えば、先ほど1つの例として胃がんを局所切除し、内視鏡的に取り出します。そしてその内視鏡的に取り出すということが、もし特許になれば、あの取り出す方法論というのは、既にアメリカで医療技術としても特許になっているわけです。それを取り出して、終わった後、いわゆる見張りリンパ節の同定は、内視鏡的にディテクターを用いるわけですが、この機械自身は、既にアメリカで特許になっているわけです。
○井村会長 どうぞ上田委員、それから片山委員。 ○上田委員 私は、医療技術の開発を担当する大学の現場からのお話を、ちょっと観点を変えてお話をしたいと思います。先ほどと同じ例を繰り返すことになるかもしれませんが、抗がん剤のイオン導入法というのが開発されたときの話を、今、思い出していたんです。あれは金属のメッキの技術を応用しているわけですね。細胞はマイナスにチャージしているので、プラスの電化を持った抗がん剤をつくって、局所にまさしく低侵襲性に、がん細胞の中に入れる方法です。これは北島先生がおっしゃった低侵襲治療というものなんですね。 ところが、イオン導入法による抗がん剤の投与方法は、特許が取れていないわけですね。実際に使うとすると、金属のメッキの装置をそのまま応用することができません。一般的にメッキということになると、自動車であるとか、そういったことに利用されている中で、細胞の一個一個に、イオンを使って薬剤を入れるというアイデアは非常に奇抜で、おおいに独創性があったと思うんです。当然それを達成するためには、研究をし、データを整え、データが出てくる。この研究をしている研究室が大学にもあったとしますね、医工連携をしていて。
○井村会長 片山委員、手を挙げておられましたか。 ○片山委員 論文と特許の話が出ましたので、ちょっとその点についてお伺いしたいんですが、一般の企業では、競争のように特許出願を、大発明もあれば、ほんのちょっとした改良もあって、それが非常にたくさんの特許出願となって出てきまして、逆にそういうふうなたくさんの特許出願がありますと、これは公開されますので、次の研究分野を模索していくときに、それが1つの大きなデータベースになって、更に技術の進歩をドライブしていくというような、そういう構造が、特許制度にはあるんですけれども。
○井村会長 中尾参考人。 ○中尾参考人 私は、医療の形は何も変わらないと。研究者のあり方が変わってくる可能性はあると思います。
○片山委員 仮に開発をしていて、何人かのお医者さんが、あるいは研究者の方が特許出願をされると、何か副作用といいましょうか、デメリットということは考えられましょうか。 ○中尾参考人 それに関して、完全に100 %私が今コメントできるかどうかわかりませんが、今、私はこのCNPというもので非常に難病の方の治療ができるというふうに考えております。
○井村会長 どうぞ。 ○北島参考人 今、中尾先生が言われたように、医療の状況は変わらないと思うんですが、やはりそのような発明に対して、今、日本が求めているのは、その先の企業のバックアップによる迅速な製品化ということであり、各大学、あるいは各施設でTLO、あるいは知的財産センター、慶應でも清水教授を中心にやっているわけです。このような一連のシステムが医療への接点となって、産業化を進めていくわけです。医療技術を含めた特許は最終的には中間のフォローアップ、あるいは評価、こういうものをすべて含めた組織の構築が、今、現実に日本では進行していると思います。 ○井村会長 森下委員どうぞ。 ○森下委員 基本的にどちらの立場もよい医療を国民に提供したいという点では皆さん同じ意見だと思うんです。
○井村会長 どうぞ。 ○澤委員 森下先生、多分御存じだと思いますが、アンドリックス社というのは有名なんですね。アンドリックス社は、基本的にはプロトコルで随分もうけているんですけれども、向こうの製薬、医療会社に行くとすごく悪名が高い。違法ぎりぎりですぐゾロをつくって、それを組み合わせて利益を上げているんですね。
○井村会長 特許が医学の進歩を阻害したり、あるいはまた、患者さんの負担を増やしたりするということが起これば、これは大問題だと思います。
○秋元委員 弊害が起こるかどうかというよりも、企業としての実情を考えますと、確かにものを見つけるというのは大事でございますけれども、ものが見つかってから製品になるまでにはさらに非常に長い時間がかかります。
○澤委員 光があれば影があるんであって、そのバランスを見なければいけないということを出したつもりだけども。
○森下委員 ベンチャーの中で、今、我々がつくる薬に、やはり保険は認めてほしいんですよ。別に自由診療しろとは一言も言っていないんですよ。
○澤委員 やはり、私もそこを重要視したいんですけれども、新しい医療は、今、制度的にもあるんですね。ここの中にも何ページかにあったと思うんですけれども、それぞれのところで、これはどんどんやらせて、23ページがそうですかね、私飛ばしたんですね、済みません。
○森下委員 それは、そのものによりますね。例えば新しいタイプの薬をつくろうとしているケースであれば、先ほど中尾参考人が言われたように、やはり特定療養費というのは、ある病院でしか認められないんです。
○澤委員 いや、これがそういうシステムですよ。 ○森下委員 いや、いわゆる高度先進医療ではそうはならないでしょうね。医療費の場合は、薬価が下がるという形で、どんどん安くなりますけれども、高度先進医療の場合は、各病院ごとしか認められませんから。 ○澤委員 いや、それで問題がなければ、保険適用に行くための手段なんだよ、これは。高度先進医療止まりではなくて。 ○森下委員 薬とか、遺伝子とかであれば、それを提供するのは、ではだれがするんですかという話なんですよ、これは企業しか提供できないですよ、大学病院でつくったものを提供するというのは、阪大がつくるものと、京大がつくるもの、慶応がつくるものが同じ品質だという保証がないんですよ。それを何とかしようというのが製薬企業の努力であって、それを実際に保険として認めて、広く多くの方に利益を与えようというのが、今の制度だと思うんです。
○井村会長 どうぞ。 ○広井委員 私としては、今日の特許庁の資料の6ページをちょっと見ていただいて、やはり、オール・オア・ナッシングというより、何か多少折衷的な発想なのかもしれませんが、私としては、日欧の相違の図なんですけれども、やはりあらゆる面で、まず前提として、アメリカとヨーロッパの医療に限らず、社会システムというか、モデルの違いが非常に顕著になっているというのが、最近の状況ではないかと思っていまして、そういう視点からすると、6ページの方法の部分ですね、この水色の部分を一気にアメリカと同じように特許の対象にするという、そこに一足飛びに飛ぶということについては、日本の医療の持ついろいろないい面が失われるというようなことも含めて、かなりリスクが大きいのではないかと。
○井村会長 ちょっと予定の時間が過ぎてしまいました。これは非常に重要な問題なので、また次回に議論を続けてやっていく必要があると思っております。
○中尾参考人 先ほど森下委員の方からも出ましたこと、それから澤委員の方からも出ましたことに関する私の見解ですが、日常診療におきましては、医師会等を含めまして、最近の日本のきめ細かな診療というのは、国際的に、例えば大規模研究などをやりますと、日本の研究の方がはるかにきめ細かいフォローアップができていて、診療の質に関しましては、医師会の活動に負うところが大きいと思います。
○井村会長 北島参考人どうぞ。 ○北島参考人 今、中尾委員がお話になりましたように、いわゆる一般的な疾患に関して、アメリカの医療に比べて、むしろ日本の医療の方が私の経験では、やはり繊細にまた計画的に医療を提供していると確信しております。
○井村会長 ありがとうございました。先ほどからお話をうかがいながら、実は1か月ほど前でしたか、文部科学省関係のある会合で、人材育成が問題になったんですが、日本は平均レベルは高いと思うんです。ところが、突出した人材が生まれなくなってしまっている。それをどうしたらいいのか。平均レベルを下げないで、それを上げながら同時に突出した人材をつくるのはどうしたらいいのかというのは大問題だと思っているんですが、医療の方もそうでありまして、平均レベルは高い、それは間違いがないと思います。
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