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第2回 医療関連行為の特許保護の在り方に関する専門調査会 議事録 | |||
1. | 日 時: | 15年12月5日(金)10:00〜12:00 | |
2. | 場 所: | 知的財産戦略推進事務局 会議室 | |
3. | 出席者: | ||
【委 員】 | 井村会長、秋元委員、上田委員、片山委員、北村委員、見城委員、澤委員、田村委員、平田委員、広井委員、森下委員 | ||
【参考人】 | 岩尾医政局長、小野特許技監、岡野東京女子医科大学教授、大野旭メディカル技術最高顧問 | ||
【事務局】 | 荒井事務局長 | ||
4. | 議 事: | ||
(1) 開会 | |||
(2) 先端医療技術を巡る現状と課題について | |||
(3) 討議 | |||
(4) 閉会 |
○井村会長 おはようございます。それでは、ただいまから「医療関連行為の特許保護の在り方に関する専門調査会」第2回の会合を開催させていただきます。
○岡野参考人 岡野です。よろしくお願いいたします。 ○井村会長 それから、旭メディカル株式会社の大野邦夫技術最高顧問です。 ○大野参考人 大野でございます。よろしくお願いいたします。 ○井村会長 お二人には、後ほど説明をしていただいて、また討議にもできたら参加をしていただきたいと考えております。
○片山委員 弁護士の片山でございます。よろしくお願いいたします。
○井村会長 ありがとうございました。今、最後におっしゃったポイントが、実はこの専門調査会の大変大きな課題ではないかというふうに思っております。
○平田委員 平田でございます。私は、協和発酵の会長をしておるわけですけれども、今回この委員に選ばれたことを考えますのに、1つには井村先生のやっておられるバイオテクノロジー戦略会議の委員をやらせていただいていたこと、また弊社の場合主に医療に関する領域では、医薬品が中心でございますが、診断薬部門の事業もやっているということがございます。
○井村会長 ありがとうございました。
○北村委員 国立循環器病センターの北村でございます。私は、ライフサイエンスとか医療に関する知的財産の専門家ではございませんが、医療のモノとしてではなくて、医療プロセスの特許というものを検討しようということですが、この問題がモノに比して非常に遅く出てきているということは、人を対象にした医療というものの特殊性と、こういう特許というものの組み合わせにかなり難しい問題があるがゆえと存じます。こういう委員会が開かれ、かつ各国々でも違った対応になってきているのはその結果だと思います。私個人の医師としての立場からの意見ということを申せということでございましたけれども、人の意見もその立場によって影響を受けることは事実でございますので、少し国立循環器病センターの取り組み、その他をちょっと御紹介させていただきつつ、私の考え等々を申し述べさせていただきたいと思います。
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○井村会長 どうもありがとうございました。
○岡野参考人 東京女子医大の岡野でございます。今、先端医療ので、どんなことが起きているか。また、細胞が薬になるような時代になってきましたので、医療が変わり始めているわけです。少しそんな話をさせていただきながら、この国に今、先端医療を使って治らない患者を治すような社会をどうしたら実現できるかという観点で、少し私の考え方を紹介させていただきます。 (PW)
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○井村会長 どうもありがとうございました。最先端の話をしていただいたわけですが、次に大野さん、お願いします。 ○大野参考人 旭メディカルの大野でございます。私は、人工臓器とか血液浄化システムのような、人工臓器の分野で、特許問題も含めて、長年技術開発に従事してまいりまして、最近は人工臓器や移植医療に取って代わる可能性のある再生医療の実現に、産業界の立場で今、取り組んでいるものでございます。 (PW)
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○井村会長 どうも大変ありがとうございました。時間を短縮していただいて申し訳ありませんが、ここで少し議論をお願いしたいと思います。
○澤委員 岡野先生にちょっとお伺いしたいんですけれども、ザルツマン変性症12例、もう既におやりになってということで、これはもう制度の上では、高度先進医療にも入っているんでしょうか。 ○岡野参考人 まだ、医師の治験ということで、手術室の横に培養室をつくって、そこで医師が自分で細胞を培養して自分で治療する。すべてを医師が負担してやっている段階です。
○澤委員 それは何か国の補助か何かを受けてやっておられる研究ですか。 ○岡野参考人 今のこれに関しては、開発段階までは国のいろいろな研究援助は受けております。 ○澤委員 それで、院内のIRBだけでやっているということですね。 ○岡野参考人 そういうことです。 ○澤委員 もう一つお伺いしたいのは、これは生物由来製品に後々なるんだろうと思うんですけれども、ドナーの方、一番最初の細胞を得られた方というのは、これが知的財産を将来的に持つであろうというようなこともきちんと説明なさってもらっているんですか。 ○岡野参考人 そうですね。 ○澤委員 わかりました結構です。 ○井村会長 ほかはいかがですか。先生の心筋再生を人でやるとすると、心筋の細胞をどこから取られるのか。現在では、一人の患者さんでの一連の医療行為になりますね、さっきの角膜もそうですけれども、そうすると日本ではまだ特許の対象にはならないだろうと思うんですが、その辺は。 ○岡野参考人 最初の臨床は、今、筋芽細胞、シングルセルをダイレクトに注射していますが、シートにして入れますと、100 %有効に移植できます。ですから、細胞シートを利用すると表面に張り付けることができますので、きわめて効果的な再生治療ができます。また、心筋細胞に関しては、今、骨髄から誘導かけたり、ESから取るとか、細胞ソースのところと、将来リンクさせてというふうに考えております。 ○井村会長 いかがでしょうか、どんな問題でも結構です。
○田村委員 北村先生が5ページの下の方で、特定の一連の技術開発には、莫大な努力、経費が必要であるけれども、一旦完成すると、その後、別個のDDS、ナノデバイスの開発が容易になるというふうにお書きになられています。これは、方法特許になるかどうかが今議題になっている、ある特定の治療方法を誰かがファーストランナーとして開発したときに、その後、それに関連する医療機器などについては、セカンドランナーは割と容易に参入できることを北村先生が提示なさっているのですが、具体的に岡野先生や大野さんの方で、こういった御自身の経験、あるいは御自身の周辺の経験でセカンドランナーの方が割と容易に入ってきたようなケースがあるかどうかお知らせいただけると大変参考になるのですが。 ○岡野参考人 新しいコンセプトというか、新しい手法で治療するときには、やはり安全性を確かめたり、膨大な実験をやっていきます。そうしますと、培養した細胞がどのぐらい安全かとか、そういうことを見ること自身に、やはりお金をものすごく使うのですが、2番手になれば、それは既に安全が確認されていることに関しては追いかけられますので、1番手にはやはりものすごい負担がかかります。特に新しいことをやろうとしたときには負担がかかるというふうに思います。 ○大野参考人 私の場合ですと、資料の10番がそのケースに当たるかと思いますが、新しい概念による、そういう方法特許して基本特許がつくられた場合、この場合は、体外遺伝子治療の特許でございますけれども、これは請求範囲が書いてありますように、かなり広範な範囲になっているということはおわかりになると思いますが、これを使っていろんな疾患に応用するという研究がその後もどんどん出てまいります。これは大学でもアメリカの主な大学がほとんど参画している。
○井村会長 ほかにありますか、どうぞ秋元委員。 ○秋元委員 岡野先生と大野先生にお聞きしたいんですが、プレゼンの内容は非常に私どもと似通ったというか、非常に同じような立場かもしれませんが、1つ岡野先生にお聞きしたいのは、先端ということに限定されて特許を与えるべきだろうと。
○岡野参考人 私は、日本にいろんなテクノロジーがあるのですが、特にエレクトロニクスは日本はものすごく強いわけです。でも、1台のペースメーカーもできないという社会をつくってしまったわけです。やはり、そういう技術統合が全くできない国にシステム上なってきてしまったわけです。そこをつなげることを手当てできるようになったらいいなというふうに考えています。
○大野参考人 私が先端医療分野における発明の特許保護についてと言っていますのは、これは先端医療分野について特に重要であるという意味で、先端医療分野という言葉を使っておりますが、実際にこういった方法特許を発明されて、出願される立場、それをまた審査される立場からいいますと、何が先端で何が先端でないかという区分けは、実際上、私は難しい、ほとんど不可能だと思います。
○井村会長 さっき黄斑変性症のプラズマーフェレーシスが特許になっているというお話だったんですが、プラズマーフェレーシスそのものは昔からやられているものです。
○大野参考人 この場合、アメリカの特許法における医師の免責条項がございますが、その中にバイオテクノロジー特許等は、そのまた例外で、お医者さんにも権利効力が及ぶということになっていますが、今の事例の場合に、それが米国特許法において、お医者さんに対する権利行使の例外に入るのか、あるいは例外にないのか、私はそこまで実は詰めておりません。
○井村会長 どうぞ片山委員。 ○片山委員 医療機器メーカーと、お医者様との間の共同研究というんでしょうか、これをデマンドの方から見て、どういうことをやればいいかというインプットをする、そういうお話があったように思うんですが、その場合に、それでうまく開発ができて、仮に方法特許として成立したという場合なんですけれども、何ていうんでしょうか、開発をされる病院側、お医者さん側のインセンティブといいましょうか、それは岡野先生がちょっとおっしゃっているように、報酬請求権のようなものがあれば、その報酬請求権で将来お金が入ってきて、更にその次の開発にお金が投入できるということになると思うんですが、そうではない場合、医師の行為はすべて免責されるというふうにした場合に、医師側のそういう共同研究をするインセンティブというのは、どこにあるというふうになるんでしょうか。 ○岡野参考人 やはり目の前の患者を治すということが、ある意味では医師にとっては、至上命題と思います。もうけるとか、何かよりも、目の前の困っている患者を治したいと、それがあるわけです。だけど、そのときに、やはり膨大な資源を投入しないと、それをコンファームしていけないときに、産業化できるとか、ほかに頑張った人にリワードのシステムができていれば、新しい治療に取り組む医師や研究者にいろいろな支援する仕組みができ多様化するわけです。アメリカは、やはりそういう多様な支援システムをつくって、目の前の患者と同時に5年後10年後の患者を治すことに挑戦し、頑張る人を支援するということをやっていると思います。
○井村会長 どうぞ。 ○上田委員 今の御質問に対するお答えになるかもしれません。
○片山委員 こんな考え方でもよろしいんでしょうか。例えば、現在はそういう研究費というのは国からの補助だとか、そういうものでかなりの部分が賄われている。
○岡野参考人 もう少し全体的に見ますと、アメリカのNIHが3兆円程度使っているわけです。日本は科研費とかで、最近は2,000 億ちょっと超えたぐらいになっていると思いますが、それがここ1年だけではなくて、何十年もそういう時代が続いて今日に至っております。
○井村会長 しかし、今の質問と関連して、特許がもし取れれば、それがやはり企業なりベンチャーが参入するインセンティブにはなり得るわけですね。 ○岡野参考人 それはものすごい強いインセンティブになると思います。 ○井村会長 どうぞ。 ○見城委員 大変すばらしいプレゼンテーションをありがとうございました。勉強になりました。
○岡野参考人 そうではなくて、日本はPL法というのがありまして、何か問題が起きたらつくった人が責任を取らなくてはならないのです。
○見城委員 では、まず、製造者の責任という、その問題がどう制度として確立できるか、ある意味ではフリーハンドで、企業とか、ベンチャーが入っていって、できれば新しいものをつくろうという意欲にそれが結び付くかというところが1つあるわけですね。
○岡野参考人 そういう領域が、今、日本の中にたくさんあります。ですから、個人的に医師の特別措置の範囲の中で、自分の患者だけを治すということから、それを産業にして、日本中の人を治すためには、やはり社会的な仕組みが必要なのです。
○井村会長 どうぞ。 ○大野参考人 2つ申し上げたいんですが、1つは先ほどおっしゃられた、なぜペースメーカーが日本で生まれなかったかというのは、勿論特許の問題もあろうかと思いますが、今、一番大きな問題は、そういったペースメーカーに使われるような、いろんな半導体ですとか、そういう材料ですね、そういう部品材料を供給するメーカー、これは日本は大変高い技術力を持っています。そういうものを扱えば、ペースメーカーはできるはずなんですが、実際にそういったものをつくろうとして、医療機器として埋め込みで使うものをつくるということで、そういった部材のメーカーに供給を求めますと拒絶されます。やはりPLのリスクというものを恐れて、経営者は特に風評被害を恐れますね、企業としての信用を失墜ということを恐れて、そういったものには使わないでほしいと。したがって、研究までは出すけれども、商業化の段階では供給できないというような態度を取るところは多うございます。こういう問題は一つ解決する必要があるだろうと思います。ただ、これは特許の問題とは直接の関係はございません。
○見城委員 そうしますと、ノーベル賞などを取られる方が、結局、ほかの分野ですけれども、日本では研究をこれ以上できないのでといって、例えばアメリカへ渡ってしまいますが、現在、やはり医療の先端技術、またはそういったドクターとしてなさる医療行為の方でも皆さん出てしまわれる方は多いんでしょうか。 ○大野参考人 医療行為として、お医者様が海外に行かなければいけないケースというのは、特許法による制約ということではないと思います。そういう問題としてはないと思うんですが、実際にそういったものを事業としたい、実用化してビジネスにしたいと考えておられる人の中には、日本でやっていたんではだめなので、アメリカの方に行ってやられているというベンチャーは私は知っておりますし、森下先生のところも既にアメリカの方でいろいろ活動を開始されていると、そういったことは既に行われていると思います。 ○井村会長 それでは、森下委員、平田委員、北村委員の順番でお願いします。 ○森下委員 ちょっとこれに関係してなんですけれども、私自身は、基礎研究のレベルは日本もアメリカも余り変わらないと思うんです。ペースメーカーを含めて、機械工学というのも確かに後れはあるんですが、先端的レベルは高いと。
○見城委員 1つだけ、今のはみんな提供する側からの話であったと思います。リスクを負わないで、みんなベンチャーがやってくれて、開発できればという提供してくださる側のお話だったんですけれども、患者の側からですと、このままでいく、治療代ですね、最新のいろんなものをやっていただく場合と、ベンチャーが入って日本が特許を取って生産できるようになって、治療していただくのとでは、やはり治療費等が安くなるんでしょうか。それから治療が受けやすくなるということでしょうか。 ○森下委員 2つあると思います。1つは、やはり値段として安くなると思います。もう一つは、アメリカで受けられる治療が今まで日本では受けられないことが非常に多いんですね。というか、アメリカへ出たものをだれかが日本に入れない限り、日本人の患者さんが受けられないわけです。
○井村会長 医療費の問題はショートレンジで見るとの、ロングレンジで見るのとかなり違いますね。新しい技術だと高いということはあるだろう。それによって、だらだらと長い間治療しなくてもよければ、結局、いろんな社会的損失とかいろんなものを含めると、安くつくということもあるわけです。その辺は単純には言えませんね。 ○見城委員 数字だけではないということですね。 |
○井村会長 そうですね。介護とかいろんなことでお金が要るわけで、例えば森下先生の治療法で歩けない、介護が必要だという人が、もし血管を再生させることによって歩けるようになったら、介護費用は要らなくなりますから、かなりオーバーオールで考えないといけない。1つだけ見てこれは高いとか安いとかいうのは、問題があるだろうと思うんです。 ○平田委員 知的財産権を付与するということには皆さんからいろいろ出ましたように、当然新しい技術開発を促進すると同時に、フェアな競争関係もつくり、そして、大きな課題ですが投資リスクも一応ヘッジするということが必要になると思います。
大野参考人への質問ですけれども、先ほど新しい基本特許を付与することによって、むしろ下流のいろんな研究が促進されると言われましたけれども、私が危惧するのは、こういう上流に基本的な概念特許がありますと、当然特許というのは法的に排他力があるわけですので、下流について実施できないという、要するに法的な侵害リスクがあるわけです。 私は上流の基本特許については一定の対価で実施できるという仕組み、例えば裁定実施権というようなものの必要性について、知的財産のいろんな委員会で申し上げているんです。先ほどのご説明の場合にはそういう排他性という弊害はむしろなかったというふうにお聞きしたんですけれども、具体的にはそういうことでよろしいんでしょうか。 ○大野参考人 基本的にはそういった弊害よりもプラスの面の方が大きいと思います。ただ、このアメリカの先ほど挙げました体外遺伝子治療方法の特許と申しますのは、たまたま最初の特許の出願人がNIHであったということで、基本的にはライセンスを受けやすい状況であったと思います。実際にここからライセンスを受けてやっているベンチャーが幾つもあると聞いております。
○平田委員 確かに基本特許を覆す新しい技術を生み出せばいいんですけれども、往々にして侵害リスクがある場合、そこを避けて違うことをやろうということになりがちです。 ○大野参考人 それは3つくらいあるかと思いますが、避けるか、あるいはつぶすか、あるいは買うか。そういったことでいろいろ考えなければいけないところがあると思います。 ○井村会長 その辺が医療の現場にいる者にとっては非常に心配なところなんです。特許をコンセプトでかけられてしまうと非常にやりにくくなるということで心配なんです。北村委員、手を挙げてられましたが。 ○北村委員 井村先生おっしゃったことに似ているんですけれども、結局、先ほども申しましたけれども医療手法というものはどんどん組み合わせと、現場では特に医師は何をしても免責になるという、どんどん新しく更新し、変革する。そうすると、どのレベルで新しいとして、また上流特許に対抗するために特許申請を取りたくなりますね。どういう基準を設けるかということは、これをつくっていただくときに、非常に大事なことだと思うんです。
○井村会長 特許の範囲をどうするかというのが1つの課題になりますね。 ○北村委員 先ほどのペースメーカーの岡野先生の事例は、余りこの会議では適切ではないのかと。今、大野さんも言われましたけれども、多くの違う問題が包含されていて、いわゆる包括特許、技術特許、司法特許という領域の問題とは限らないんです。 ○岡野参考人 私が言いたかったのは、今、何も手を打たなければ、これからこの国で出てくる先端医療は実現されないということです。 ○北村委員 しかし、それは特許を取ってもね。 ○岡野参考人 ですから、特許のこととか、PLのこととか、新しい治療開発に総合的に取り組むことが重要と考えています。 ○北村委員 周辺のことの改善を含めてということであればよく分かります。 ○岡野参考人 この特許の問題はチャレンジする人に対するインセンティブを上げる社会にしていく中の1つのことだと私は考えているのです。
○澤委員 一番最初に北村委員が、世界医師会宣言のことを触れられた。「医療プロセス特許に関するWMA声明」は1999年にアメリカ医師会からの提出で採択されています。その世界医師会の中に社会科学部会という機構がありまして、それが調査しますと、やはり医療費は上がるんです。アメリカでは体験上上がっていると。これは当たり前の話で、新しい技術が入るということは、ライセンス料やロイヤリティ以外に特許裁判費用を保証するための医師の保険費用などの新しいコストが発生するということ。それは患者さん側の負担になるか、あるいはやっている側の負担になるかの差だけの違いで、医療費そのものは間違いなく上がっていくということ。
○井村会長 それは特許の問題とダイレクトには関係ないわけで、むしろ産学連携とかベンチャーということと非常に関係が深いわけです。その辺りについては、別途にいろんなところで議論がなされていて、利益相反もかなり厳しく考えないといけないということは言われております。 ○澤委員 続けていいですか。 ○井村会長 あと2人意見を言っていただかないといけないで後でお願いします。 ○澤委員 すぐ済みますよ。どうしてもお聞きしたい。やはりどれだけのことを、提供する患者さんに対してあるいは被験者に対してもそうなんですけれども、どれだけのことを現在の研究者たちがきちんと説明しているかどうか、ドナーや被験者がどれくらい知財に関して理解しているかどうかということはものすごく大事なことなんじゃないかと思うんです。
○井村会長 それは前回北村委員も指摘された点でして、引き続き議論をしたいと思いますが、とりあえず今日は前回の続きとして、上田、森下両委員に準備をしてきていいただいているので、そのお話を伺った上で、また時間があればもう一度議論をいただくということにしようかと思います。
○上田委員 ただいまのお三方の医療行為特許に関する総論、その背景について、伺ったわけですけれども、私は各論について、再生医療の、特に培養皮膚の移植方法に関する具体的事例について御報告申し上げます。
○井村会長 これは全体に特許がかけられているんですか。この機械だけではなくて。 ○上田委員 違います。全体でございます。 ○井村会長 それでは森下委員。 ○森下委員 私の方は前回の説明で不十分でわかりにくい点があったかと思いましたので、資料5を見ていただければと思います。
○井村会長 ありがとうございました。それでは、どうぞ。 ○小野特許技監 特許庁の小野でございます。先ほどから先生方の御議論をお聞きして、今回のワーキング・グループの目的でございます、方法そのものに特許を与えるかどうかに関して、いろいろな御議論があるということが大変よくわかりました。
○井村会長 森下先生の場合には筋肉内に投与するという方法に関しては、日本では特許は認めていないわけですね。 ○小野特許技監 そういうことでございます。 ○井村会長 その辺が違う。 ○小野特許技監 ただ、疾患を特定して、幾つかに分けて特許を取らなければならないという御指摘がございましたけれども、もし、先行技術がなければ、そのような必要はなく、広い機能で特許を取得することができます。 広範で概念的で、包括的な特許が取得できるかどうかということに関しては、カテゴリーの問題なのか、基本的な発明か改良発明かに起因する問題なのかという点は分けてお考えいただきたいということでございます。我々としては、治療方法としてどうなのかということを検討することでございますが、本質的な問題は、今ある物や方法、用途の発明でも同じような問題があるということだけを御指摘させていただきます。
○井村会長 ほかに何かございますか。 ○森下委員 確認なんですけれども、小野技監の方にお願いしたいんですが、特許の条件として、北村先生の御指摘の中で、私自身は特許になりにくい要件を言われたんじゃないと思ったのが、1つは再現可能性の欠如です。再現ができないものに関しては、特許が取れないと私自身は理解しているんですけれども、それで正しいかどうかという点。
○小野特許技監 1点目でございますけれども、再現性に関しましては、第三者が再現することができれば特許は与えられるわけでございまして、再現率が高いかどうかということは問題ではないと理解しております。
○井村会長 安全性の問題も非常に重要な問題だと思いますが、これについては、また別の参考人の方からいろいろ御意見を伺って、我々としてまとめていきたいと思っております。
○小島次長 事前に委員の先生方には日程を調整させていただいておりますが、資料6のとおり、3回目、4回目、5回目の日程と時間を一応設定させていただいていますが、これでよろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○小島次長 ありがとうございました。 ○井村会長 これは一応設定してあるわけですね。資料の6ですね。よろしゅうございますか。何か予定につきまして、なければ本日の専門調査会これで終わらせていただきます。次回は12月18日、かなり押し詰まってから申し訳ありませんが、午後1時から、この場所で開催いたしますので、できるだけ御出席をいただきたいと思います。
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