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第10回 医療関連行為の特許保護の在り方に関する専門調査会 議事録


1.日 時:平成16年10月13日(水)9:30〜11:43
2.場 所:知的財産戦略推進事務局 会議室
3.出席者:
【委 員】】井村会長、秋元委員、上田委員、片山委員、北村委員、見城委員、野中委員、広井委員、森下委員
【参考人】二川厚生労働省医政局経済課長、小野特許技監
【事務局】荒井事務局長、小島事務局次長
4.議 事:
(1) 開会
(2) 「医療関連行為の特許保護の在り方について(とりまとめ)(案)」について
(3) 討議
(4) 閉会


○井村会長 おはようございます。早朝からお集まりいただきまして、ありがとうございました。
 本日は、田村、平田両委員は御欠席でございます。
 それから、片山委員、野中委員が、少し遅れてお見えになるということでございますので、出席予定の方はすべておそろいになりました。
 したがって、ただいまから「医療関連行為の特許保護の在り方に関する専門調査会」第10回の会合を開催いたします。本日は、お忙しい中ありがとうございました。また、時間を急速に変更しまして、御迷惑をおかけしたんではないかと思いますが、御協力をいただいて感謝しております。
 それでは、早速議事に入らせていただきます。前回の会合では、医療関連行為の特許の在り方について、とりまとめに向けて議論をしていただきましたが、意見の一致を見るまでには至りませんでした。そこで、事務局が委員の方々にお会いして、御意見を伺うという形で調整を進めてまいりましたが、残念ながら本日の段階では委員の方の意見が集約されておりません。
 したがって、本日は更に議論をいただいて、意見の集約に向けて委員の方から御意見を伺いたいと思っております。委員の皆さんにおきましては、それぞれの案について賛否をできるだけ明確にしていただいて、その上で議論を深めたいと思います。
 最終的にどういうふうにまとめるかにつきましては、今日の議論の成り行きを見ながら考えていくことにしようと思っております。
 そういうことでございますから、本日欠席の田村委員、平田委員には、私からお願いをして、キーポイントに関する御意見は伺っておりますので、それは後で御紹介いたしますけれども、席上に既に配布をしております。ごらんをいただければと思います。
 それでは、まず事務局から、本日の資料について簡単に説明をしていただきたいと思います。

○小島事務局次長 それでは、資料1に基づきまして、御説明いたします。お手元の資料1は、前回の会合で御議論いただきました資料に、前回の会議での御議論、それからその後の各委員からのコメント等を踏まえまして、修正を加えたものでございます。時間の制約もございますので、修正した箇所のうち、主な点を御説明します。
 資料1の1ページから11ページの1.から4.につきましては、基本的に内容は変わっておりませんが、表現が冗長であったり、不明確であった部分を修正して、全体としてスリムにわかりやすくしたつもりでございます。
 10ページ以降を中心にポイントだけ御説明いたします。
 まず、10ページの真ん中辺りでございますが、(2)の@でございます。ここでは、本専門調査会で、まず医師の行為に係る技術については、「医療」の特質にかんがみ、医師の行為に係る技術を特許の対象とすることには慎重な配慮が必要であり、現時点では特許の対象から除外することとしたということが、この真ん中のパラグラフに書かれております。
 そして、その下の(2)のAについては、「物」に由来する技術である、以下に示すような「医療機器の作動方法」と「医薬の製造・販売のための医薬の新しい効能・効果を発現させる方法」とを検討の対象とすることとしたということでございます。「i)『医療機器の作動方法』」でございますが、この用語の定義について、前回の会議で医師の行為との区別にあいまいさが残るという御意見もございましたので、その点を10ページの欄外の脚注20でございますが、「『医療機器の作動方法』は、機器が一定の目的のためにどのように動くかという仕組みを表すものであり、機器が人体の特定の部位をどのように切開・切除するかとか、どのような手順で縫合するかといった、機器の人体に対する作用は含まない」というふうに、その定義を明確にしております。
 次の11ページの「ii)『医薬の製造・販売のために医薬の新しい効能・効果を発現させる方法』」でございますが、前回の資料では、この発現させる方法の名称を、医師に提示する医薬の用法、用量となる、医薬の新しい効能・効果を発現させる方法という表現で表わしておりましたけれども、これについても、医師の行為との区別をより明確にし、更にこれらの技術の実現は、主として企業が行うものであることを端的に表わすために、その名称を「医薬の製造・販売のために」という文言を付加して、これにより新しい効能・効果を発現させる方法の主体及びその権利範囲を限定して、医師の行為との区別を明確にしたということでございます。
 この10ページ、11ページの特許の対象の定義で、まず今回拡大される新しい方法の特許について、医師の行為との差別化を図ったということでございます。その上で、11ページの第2のパラグラフに書かれておりますように、これらの新しい方法の特許は、最終的には医療機器や医薬の形をとって具現化されるものであり、医療の現場に提供される前に、薬事承認、それから診療報酬制度によって、安全性や有効性の確認や価格設定がされるという、安全性や価格面での医療への影響がチェックされるということがここに書かれております。
 そういう意味で、この10ページ、11ページで、特許の対象の面で限定するとともに、こういう薬事承認、診療報酬制度という面でもチェックを受けるということで、医療への悪影響の問題は二重にチェックされるということでございます。
 続きまして、12ページに移らせていただきますが、5.がただいまの「医療機器の作動方法」と「医薬の製造・販売のために医薬の新しい効能・効果を発現させる方法」についてでございます。
 12ページの一番上の「(1)特許保護を拡大する場合の影響や懸念に対する具体的対応」という部分でございますが、前回の資料では、「@医師の行為への影響」の項について、医師の行為に係る技術は特許の対象としないこととした後に、人の病気の診断、治療または予防のために行う医師の行為には、特許権の効力が及ばないことを法律上担保すること、ここで議論になっておりました、いわゆる医師の行為の免責、あるいは効力除外ということが書かれておりましたけれども、その後委員の方々から、医師の行為に係る技術を特許の対象にしないということであれば、医師の行為の免責とか効力除外の話というのは分かりにくいのではないかという御指摘もございました。確かに、手術方法のように医師が自ら直接に使用することはないという意味で直接的には関係はございませんので、@のその部分は削除してございます。
 それから、この会議の場で、参考人の竹田弁護士を始め、何人かの委員の方から、現在でも医療機器や医薬の特許侵害品についての医師の使用による特許侵害の問題というのは起こり得るので、それについての対処というのが必要ではないかという御議論がございました。また、これらの新しい方法も医療機器などの形をとることによって医師に使用されることとなりますので、同様の問題が生じうるわけでございます。その点につきまして、@の上、(1)のなお書きの部分でございますが、「なお、医療機器・医薬の医師による使用と特許侵害との関係の取扱いについては、別途、関係者において検討することが必要である」と書いてあります。これは今回新たに出てきた新しい問題ということではなくて、現在でも問題がございますので、その旨を記しております。
 そのほかは、この(1)の部分、11ページ、12ページ、13ページの上までございますが、全体として表現ぶりを簡素にしましたけれども、内容的には変更はございません。
 14ページ「(2)『医療機器の作動方法』の特許保護について」でございます。この(2)の部分は、@〜Bの部分は、基本的には前回と同様でございます。
 15ページのCでございますが、ここが前回の議論から継続しております、医療機器の作動方法について、どのような案をもって特許保護をしていくかということについて、先ほど井村会長からお話がありましたように、前回の議論を受けて、委員の方々と御相談させていただきましたけれども、現時点ではこれらの3つの案を提示しております。
 案の1は「医療機器がどのように機能的・システム的に作動するかという『医療機器の作動方法』を特許の対象とすべきである」というもの。
 案の2は「欧州よりも広い領域を認めるのは性急であり、欧州と同様に『検査方法の一部(診断方法を構成する3段階(@データ収集段階、A比較段階、B医療決定段階)のうち、@とAの段階に留まる方法)』のみを特許の対象とすべきである」というもの。
 案の3は、特許という独占と排他による医療への悪影響についての検討が不十分であるとの意見がございましたので、それを反映させたものが案の3でございます。
 同じページの「(3)『医薬の製造・販売のために医薬の新しい効能・効果を発現させる方法』の特許保護について」でございますが、これも同様に@〜Bについては、基本的には変わってございません。
 17ページのCは、医薬についての特許保護の在り方についての案として、これもやはり委員の間に考え方に隔りがございますので、3つの案を提示しております。
 案の1は「複数の医薬の組合せや投与間隔・投与量等に特徴がある『医薬の製造・販売のために医薬の新しい効能・効果を発現される方法』を特許の対象とすべきである」とするもの。
 案の2は「方法の特許はどう表現しようと医師の行為と区別し難いので、上記のような技術も物の特許として保護すべきである」とするもの。
 案の3は、先ほどと同様、特許という独占と排他による医療への悪影響についての検討が不十分であるということを反映したものでございます。
 以上が資料1の御説明でございます。
 続きまして、その下に資料2、1枚紙のポンチ絵でございますが、資料2を用意してございます。このポンチ絵は、ただいまの報告書で御説明しましたことを、模式的にわかりやすく表わしたものでございますけれども、ただいま御説明しましたように、本専門調査会の議論では、上段の医師の行為に係る技術は、医療の特質にかんがみて、今回の検討の対象からは除外するということでございましたので、この部分は色を薄くしております。
 そういうことで、今回はこの太い線の下、前回の会議の用語を借用しますと、太いルビコン川の下の領域、濃い字で表わされておりますけれども、この下段の部分の領域、すなわち物に由来する技術、主として医療を支援する企業や産業が担う領域、この部分に特許の対象を絞り込んだということでございます。そういう意味で、先ほど申しましたように、医療への悪影響というものは、まず医師の行為に由来する技術と物に由来する技術のうち、物に由来する技術、企業が担う部分の技術だけに限定したということで、まず大きく遮断されるということでございます。
 そして、その技術の領域に、先ほどの医療機器の案の作動方法、検査方法、それから医薬の新効果発現方法、あるいは医薬の拡大というものが、いずれもこの領域に入っているわけでございます。
 それで、この下段の領域のものは、作動方法、新効果発現方法、あるいは医薬については、いずれもその右に、ちょっとベルリンの壁のようなものが出てきますけれども、薬事承認・診療報酬制度というもののチェックを受ける、それで安全面、価格面からの確認を受けるということで、医療への悪影響がそこでも改めて遮断されるということで、先ほど述べたこの太いルビコン川とベルリンの壁で、二重の安全弁が付けられた、主として企業や産業が担う医療を支援する産業の領域だけに、今回は限定するということでございます。案の1、案の2、いずれを取りましてもそういうことが御理解できるかと思います。
 資料の説明は以上でございます。

○井村会長 どうもありがとうございました。それでは、議論に移りたいと思います。もう何度も説明をいただいており、今の説明の趣旨については、おわかりだろうと思いますので、質問は省きたいと思います。
 それから、先ほど言うのを忘れましたが、参考人として、厚労省から岩尾医政局長に出ていただいておりましたが、今日は急用のため、二川経済課長が出席をしておられます。
 前回の会合では、医療機器の方にかなり時間を取り、医薬についての議論が少し足りなかったと思いますので、今日は順序を少し変えて、医薬から入っていきたいと思います。資料の17ページをごらんいただきたいと思います。いろんな委員の方の意見を入れて、3つの案を示しております。そこで、今日はすべての委員の方の御意見を伺いたいと思いますので、一人ひとりこの3つの案でどれがいいということを言っていただいて、その上で議論をする。そして、まとめ方を考えるということにしたいと思います。
 1番目は、今まで議論してきたような形で、投与法、あるいは併用とか、そういうことで新しい効能・効果が発揮させられる方法は対象にする。
 2番目は、医行為との区別が難しいので、物の特許で代用する。拡大解釈と言いますか、そういう形で今までここは認められていなかったところを認めていこう。
 3番目は、一切だめ。
 その3つでございます。そこで秋元委員から、右の回りで順番に御意見を言っていただいて、そしてお二人の御欠席の方も意見を出していただいておりますので、意見を言っていただいた上で、議論をするということにしたいと思いますが、いかがでしょうか。それでよろしいですか。
 それでは、どうぞ。

○秋元委員 最初に言うのは、ちょっとはばかられますが、私は1案が最適だというふうに考えております。その理由は、何度も申し述べておりますように、発明の本質は方法である。したがって、物に化体するというところでは、どうしても無理が生じてしまう。更に、特許というのは、実際には権利行使をするわけですが、その権利行使のところが、どうしても不透明になるということで、まず発明の本質が方法であるということです。
 もう一つは、日本、アメリカ、ヨーロッパという考え方ではなくて、やはりIPであろうと、経済であろうと、これはグローバルに展開していくということでございます。そういうことでありますと、世界の60%近くを占めているアメリカと競争していかざるを得ないということですので、やはりアメリカ型で考えるべきであろうと思います。
 3番目は、従来日米の競争力等を含めていろいろな懸念がございましたけれども、昭和50年法の製法特許から物質特許への変更を契機として医薬品産業というものが、新しい制度を導入することによって飛躍的に成長してきたわけです。そういうことで、今回もやはり新しい技術発明、こういうものがどんどん日本から創出されてくるということは、私どもは可能であろうと考えております。そういうことをやることによって、結果として、高度な医療、これを日本の国民に早く、安く、広く、そういう形で提供できるんではないかということです。私は今、申しました理由により、1案ということが最適であろうと思っております。

○井村会長 ありがとうございました。
 それでは、上田委員、お願いします。

○上田委員 既存の薬剤であろうと、時間ファクターが加味された投与の方法、組み合わせによって、既存の薬効以外の優れた機能を発現するということがあり得るのであれば、特許として承認されるべきだと思います。
 したがいまして、結論としては、1になるわけですけれども、これは細胞療法にも同じことが言えるのであって、全く違った種類の細胞を、ある間隔を置いて、複数回投与することによって臓器をつくるというのは、明らかに新規性があり、そういったものは発明に該当すると思います。
 そういうことを仮に認めないとするならば、そこの部分に払われた工学的な努力が保護されてないということになりますので、新たな工学的支援が大変得にくくなるだろうと思いますので、総論としては1が妥当であると思いますし、各論の部分で弊害が除き得ていると事務局案には見えますので、1案が妥当かと考えます。

○井村会長 片山委員は、10時ごろにお見えになるということですので、お見えになったら伺おうと思っております。
 それでは、北村委員、お願いします。

○北村委員 現時点では、私は第2案が妥当であろうと思います。それは、発明の本質は方法であるというのは、秋元委員言われたように、それはもっともなことでございますが、やはり医療行為と分けるということの不可能性が残ります。これは、現場における判断にも引き続いてくることではないかと思いますし、はっきり言うと横線を引かれて医療行為と分けるという概念でスタートするならば、やはり投与間隔、投与量というものを明記した形の第1案は適切なものではないと思います。
 もし第1案的にものを考えるならば、なぜ画期的な手術方法でも、特許として認められないという大前提がこの委員会にあるのかが、大変疑問になってしまいます。
 ですので、医師の行為と分離するということを大前提に置くのであれば、1案の投与間隔、投与量は、医師の行為と分離は非常に難しくなる。そしてこれは審査の段階においても、やはり引き続いた大きな問題として、特許をつくった場合の特許崩しとか、そういった逆の問題が発生してくる可能性を大きく含んでいると現状では考えてしまいますので、私はやはり結果的にはアメリカとの競争をおっしゃったのも理解はできますけれども、そうしたら手術法も含めたアメリカ式にして医師免責にするのか、その案は事務局の方からはもうないという明確な御回答が今日ございましたので、それに基づくならば、第2案になろうかというふうに考えます。

○井村会長 議論はまた後でお願いしたいと思います。
 見城委員、お願いします。

○見城委員 私も第2案です。ずっとこの委員会で議論がされてきまして、私がずっと疑問に思っておりました、従来ある特許の保護と、それから新たに加えなければならない部分というのが、なかなか明快にならなかったんです。本来、従来ある特許保護の枠の中で、これができるんではないかと考えられる部分と、それから、秋元委員がおっしゃるような、新しい組み合わせは特許保護にならないとおっしゃる部分とが、医薬の場合はかなりはっきりしていたんですが、はっきりしているだけに、もしその新しい組み合わせというのをこれで認めた場合には、今度、医師の医療方法の方に話がつながってきますので、そうなると矛盾が起きます。そういうことからも、医師の医療行為はいけない、特許外であるというふうに決まっている以上は、現段階ではこの第2案の方法の特許はどう表現しようと医師の行為と区別し難いのでと、ここの部分において、私は第2案を支持いたします。

○井村会長 それでは、広井委員、お願いします。

○広井委員 私の結論としては、この案2を支持したいと思います。私自身の立場としては、特定の分野、業界というものではありませんので、できるだけ国民、あるいは市民の視点から見てどうかということで考えようとしてまいりましたけれども、1つは、医療システムとして見た場合に、アメリカの医療システムはいろいろな問題を抱えているわけで、それに対する日本の医療システムの優れた面、そういったことを考慮しますと、できるだけ特許の方法の可否に当たっては、ある程度慎重でなければならない。
 医薬に関しましては、前回の参考資料なども拝見した上で、この医薬の新しい効能・効果を発現させる方法というのは、全体から見ると比較的限られた領域、これの特許を認めるために物の発明から方法の発明へと大きく一歩を踏み出すことには、かなり慎重でなければならないというふうに判断いたしまして、物の特許の範囲にとどまるという案2が妥当ではないかというふうに考えた次第です。
 以上です。

○井村会長 森下委員、お願いします。

○森下委員 私は、結論から言うと案1に賛成です。理由としては、秋元委員が言われたように、発明の本質は方法であって、特許の本質に照らした場合、やはり方法を特許の対象とすべきであるというふうに思っております。本来はもっと範囲を幅広く取るべきであると思っておりますが、今回いろいろな議論等で、皆様方の御懸念はわかりますので、最低限のラインとして案1というのを、私個人的には必ずしも満足ではありませんけれども、案1を支持したいと思っております。
 やはり現在は変えることの弊害よりも、今回の特許に関しては変えないことの弊害の方が、現在の日本の医療条件に与える影響は考えておりまして、ここで特許の本質に従ったような特許の解釈をすべきであると考えています。

○井村会長 それでは、田村委員と平田委員からは、書面で回答をいただいておりますので、事務局から説明をお願いします。

○小島事務局次長 まず、田村委員からの意見書でございますが、資料3でございます。医薬については、下の方の2.でございます。
「2.医薬について
 投与間隔、投与量等に特徴がある場合についてまで、物の発明と観念して保護することは概念上、無理が有ることは否めないので、本来は、案1が望ましい。ただし、案2との優劣は、基本的には概念整理の問題に止まるようにおもわれる。いずれにせよ、医療機器に関して述べたように、医療の処方、投薬が特許権によって妨げられることのないよう、免責規定を設けることが望まれる」。
 ということでございます。
 それから、平田委員の意見書でございますが、資料4でございます。1.のところの(2)で、医薬については案1に賛成と、その下の2.のところで「意見」が書いております。少し省略致しますけれども、一番上に製薬・バイオ産業の立場としては、学術活動及び産業を活性化し、国民がより優れた医療を享受するためには、医療関連行為については幅広い特許保護が是非とも必要と考えます。
 それから、第3パラグラフの末尾ですけれども、技術及び市場における最大のライバルである米国では、これらは使用方法特許として広く認められており、研究開発、ベンチャー設立、資本投資等における大きなインセンティブになっています。
 その下で、我が国医療産業の規模は世界有数とはいえ、特に先端医療分野では技術・特許面で米国に大きく差を付けられており、このままではその差は更に拡大してしまう可能性が高いと言わざるを得ません。多くの日本企業が先端技術分野でグローバルな競争を避けて通れない現実を直視した場合、産業政策の基盤となる特許制度において、権利保護面で特に米国と比べて大きなハンディがある部分については、その改善を強く規模するものです。米国と同じ土俵で競う必要があるのです。
 下から2番目でございますが、医薬、医療機器の分野では、許認可を含めて多くの法律・制度の下に、製品毎に製造、販売、市販後の副作用に至るまで厳格に管理されています。したがって、特許制度の改正自体が医療行為及び患者に対して一般的な悪影響を及ぼす危険性は現実的には想定しにくいと考えます。また、権利拡大する場合は、権利濫用は当然避ける必要があり、画期的な発明のみを保護対象とすべきことは言うまでもありません。
 というのが、平田委員からの御意見でございます。

○井村会長 ちょうど片山委員と野中委員がお見えになりましたので、改めて議論を続けたいと思います。今日はお手元の資料1にありますように、委員のすべての方々の御意見を伺って、それを盛りながら複数の案を事務局から提示していただきました。医療機器に関しましても、また薬の投与方法に関しても、複数の意見を提示していただいております。
 前回医薬が十分議論できませんでしたので、今日は医薬から始めておりまして、17ページをごらんいただきたいと思いますが、案の1、これは方法に特許を認めるということでございます。ただし、これは医師に情報を提示するためにこういう研究をする場合に方法の特許を認めるということであります。
 2番目は、方法の特許はやはり医師の行為と区別し難いので、したがって、物の特許で保護すべきだという意見。
 3番目は、特許保護の拡大に伴う医療への悪影響について、更に検討する必要があるとの意見。
 この3つの案を出していただきまして、今日は欠席の方からも、私から特に要望して御意見をいただいて、全員の意見を聞くことにいたしました。
 これで、お二人の委員がお見えになる前に、一応今日出席の方の意見を聞きました。それから欠席のお二人、資料3と4にありますように、田村委員、平田委員からも御意見をいただきました。
 そういうことで、今までの御意見をまとめますと、案1、すなわち医薬の製造・販売のために新しい効能・効果を発現させる方法に特許を認めてもいいという方が5名、それから2番目、すなわち物でやるべきだというのが3名ということでございます。私は、意見は現時点では差し控えさせていただきたいと思っております。
 そこで、お見えになってすぐで申し訳ありませんが、片山委員と野中委員から意見を伺いたいと思うんですが、何かその前に御質問とかがありましたら、急に議論にキャッチアップできないかもしれませんので。
 どうぞ。

○野中委員 事務局がいろいろ検討してくださり、私ども日本医師会の医療に対する主張を、大幅に理解をしてくださったことは、私は評価したい部分がございます。最終的に私にはこの3案であります。私は特許の拡大は、まだまだ医療の現場には適しない。特許には独占と排他と、活用という部分があり、今まで活用という部分に関しては、十分検討されていると思いますが、独占という部分、排他という部分で、医療を受けられる方々にとって、不利益になる悪影響に対しては、現在のところまだ十分に検討されていない状況なので、第3案で、なお検討が必要であるというのが私の意見です。
 私は、皆さん方がここで十分検討された、それから、この委員会が10回も開催されたと言われますが、その10回でも、まだまだ独占と排他という部分に関しても、活用は十分検討されたと思いますけれども、独占と排他ということに関しては、まだまだ検討が不十分で、第3案です。拡大する必要があると検討することに関しては、ある程度理解はしますけれども、活用という部分の検討だけで、独占と排他という部分が、まだまだ今回の議論では理解できないので、第3案です。よろしくどうぞ御了解いただきたいと思います。

○井村会長 片山委員は、何か御意見ございますか。

○片山委員 これは医薬の方ですね。

○井村会長 はい、17ページです。

○片山委員 わかりました。結論といたしましては、案の1を私としては支持します。田村委員がお書きになった理由と、私自身の意見も御意見に近こうございます。
 基本的には、やはり発明の本質にできるだけ合ったような保護の仕方をするべきではないかと思いますので、案2の物でどれぐらいいけるかという議論はあろうかと思うんですけれども、もっと素直に方法の特許として認めていけばいいんではないかと思います。
 それから、どういうような悪影響を及ぼすかということについては、私はこれまでこの委員会で伺った議論から言いますと、悪影響はないと思います。むしろ現段階では、この特許制度を使った技術の進歩ということに向けて、やはり一歩踏み出すべきではないかという気がいたします。
 また、懸念される悪影響というものについて、もし懸念があれば、それについては法的な措置でもって十分対応ができるであろうというふうに考えます。
 以上です。

○井村会長 ありがとうございました。
 一通り御意見を伺いまして、幾つかポイントが明確になったと思います。1つは、特許保護を拡大することによって、医療に悪影響が出るか出ないかという問題。
 もう一つは、医師の行為との関係が不明確ではないかと、これには、医薬の製造・販売のためにという条件が付いていますから、医師が自分でいろんな処方をすることには関係はない。ただ、製薬企業が医師に情報を提供するために、いろんな新しい方法を特許化した上で開発をしたいということになるわけで、そこのポイントが2番目のポイントだと思います。
 その2つについて議論をいただきたいんですが、1番目の議論について、小島さんからもう一遍資料2の医療への悪影響が問題ですから、資料2をごらんいただきたいと思いますが。

○小島事務局次長 資料1の報告書の中に詳しく書かれておりますけれども、この考え方は、資料1の報告書の10ページで、まず特許の検討対象として、先ほど野中委員がおっしゃられた、医療の特質にかんがみて、医師の行為に係る技術は、特許の対象の検討範囲から除外しようということで、この太い線の上の部分については、今回はこれを除外したということでございます。
 そういう意味では、直接医師の行為に係る部分についての悪影響はこれで遮断されます。したがって、この下の段のものに由来する技術部分、すなわち企業や産業が医療を支援する部分でございますが、その部分について、この作動方法、検査方法、あるいは新効果発現方法、いずれもここの真ん中にあります薬事承認・診療報酬制度という形で、そのものが直接医療の現場に出るということではなくて、薬事承認・診療報酬制度というスクリーン、チェックを経て出るものであるということです。
 それから、先ほど片山委員からもお話がありましたけれども、仮にそういうチェックを受けて、医療の現場に出るものの、それが安定供給を妨げられるとかいった公共の福祉に反するような問題があれば、特許の裁定制度もあるということです。このように特許の対象から医師の行為を除外し、更に薬事承認・診療報酬制度というチェックを受けるというダブルの安全弁がある、更に特許の裁定制度というものがあるということで、医療への悪影響ということは、これで完全に遮断されるのではないかというのが、今の考え方でございます。

○井村会長 どうぞ。

○野中委員 確かに、特許の裁定制度があるからということを条件にされるのはわかるんですけれども、今まで特許の裁定制度がどういうふうに発動されていたのか。それから、いわゆる薬と言われるものの中で、それが従来そういうもので発動されていたのか、その手順はどうやってやるのか、それは私は被害者が出てから起きるということしか思えないので、被害者が出るということは、それはやはり悪影響だろうと私は思っていますので、その特許の裁定制度がどういう手順なのか、それがすべて安全弁なのかどうかということが、私には理解できない。
 それについて御説明いただければと思います。

○小島事務局次長 特許の裁定制度の手順については、今日はちょっと出ていませんけれども、前回の資料の中で、特許の裁定制度の運用要領というのがあって、そこで運用の仕方についての手順が定められております。
 それから、この特許の裁定制度というのは、特許を持っている権利者がその製品を不当に供給制限をして公共の利益を害するとかいう場合に発動されるわけですが、現在までその事態は生じていなかったということで、伝家の宝刀ではありますが、現在まで発動されていません。

○野中委員 私の言いたいのは、メーカーが故意的にそうやったことを言っているわけではなくて、発明には活用があることは十分私も理解しますけれども、そこにおのずから独占と排他という部分が当然出るわけですから、それがその特許の裁定制度とは、私は本質的には違うものだろうと思います。そのものに対する悪影響というものが、これがあるからといって悪影響が除かれるということではないと思うんです。

○小島事務局次長 私の説明が悪かったかもしれませんけれども、伝家の宝刀としての特許の裁定制度はあるということですが、その前にこの案の1、案の2、いずれの案も、医療機器とか医薬の形を取って市場に出るもので、それが市場に出る前には必ず薬事承認・診療報酬制度というバリアを通って出るので、そこは特許を取ったから医療現場に直接出て何か悪影響を及ぼすということではなくて、薬事承認・診療報酬制度でまずチェックされ、それで確認されて初めて市場に出るということがあるということです。
 それに加え、異常事態が生じた場合には、特許の裁定制度もあるということを申し上げたわけです。

○井村会長 それから、更にフォローアップもこれからやっていくということを、これは書いてありますね。

○小島事務局次長 はい、14ページの5.の(1)のIで書いてあります。

○井村会長 それから、もう一つ、やはり医師の行為との関係で、あるいは、それ以外の理由もあったかもしれませんが、3人の方が懸念を表明されましたが、その辺りについて少し御意見があれば伺いたいと思います。

○北村委員 資料3に付いております田村委員の御意見のところでございますけれども、片山委員の御指摘にもよく似ているとおっしゃったんですが、「2.医薬について」の一番最後のところには、やはり免責規定を設けることが望まれると書いてございます。ですので、先ほどの事務局案からはこれは削除したと、今回の検討では、ということを明言された以上、それが望まれたこの案というのは、どう取り扱うかということで、やはりこの1案が望ましいとおっしゃっておられるけれども、ここのようにはっきりと線分けをして分けるということの上に立って、なおかつ免責規定を設けることが望ましいという条件付きの第1案というのは、どう考えたらよいのか。
 やはり田村委員も、あるいは片山委員はちょっとわかりませんが、やはりそこの問題は残っているとお考えになるがゆえに免責を設けるという条件を付けておられますね。

○小島事務局次長 お答えします。田村委員のご意見には、確かに免責規定が望まれると書いてありますけれども、昨日この意見が届きましたので、田村委員とお話しをしてないので、この趣旨はわかりませんが、現在17ページの案の1で提示しているものは、医薬の製造・販売のために発現させる方法ということで、権利の範囲が医薬の製造・販売にしか及ばないような制度を考えておりますので、医師は医薬という形では使用しますが、手術方法のように医師が自ら直接この方法を使用するということはありません。したがって、医師が製造とか販売とかするためにこの方法を自ら使用することではないので、医師に対する免責とか効力除外ということをしなくても医師に及ぶことはないという意味で、手術方法のように免責規定なり効力除外規定を設ける必要がないということを、私が申し上げたかったわけです。
 ここのところについて、先程冒頭で田村委員には確認していないと申し上げましたが、田村委員が、今回の案の医薬の製造・販売のためにということを意識してこう書かれたのかどうかはわかりません。医薬の製造・販売のために行うことにしか権利範囲が及ばない権利であると構成すれば、それを自ら行うことのない医師については免責規定の問題というのは直接は関係ないのではないかと思っているということです。
 それから、1点、先ほど北村委員が同様の趣旨でおっしゃった、医師の行為との区別が付かないのではないかということについては、今、申しましたように、医薬の製造・販売のためにしか行使できない権利として構成する、制度設計するということであれば、医師の行為と混同しようがない権利となってくるので、その懸念には及ばないのではないかと思います。

○井村会長 免責規定につきましては、ここでも入れた方がいいという意見もいろいろあったわけです。だから、これについては引き続き検討するということです。

○北村委員 そうしたら、1案を承認の上、免責規定を設けるというのを、もう一遍浮上させるということですか。

○井村会長 更に検討するということですね。

○北村委員 しかし、免責規定を設けるということと、この医行為との区別ラインとは矛盾はいたしませんか。

○井村会長 一応矛盾はするわけですね。どうぞ。

○秋元委員 むしろ、この案1、2について免責、あるいは除外規定を設けるということではなくて、どういう案についても基本的に考える問題だと思います。

○北村委員 ただ、田村委員とは。

○秋元委員 わかりました。これも同じだと思うんです。どういう案にしても、竹田弁護士が言われたように、結局特許法で決めるんではなくて、裁判に持っていったときに、現在でも医師の行為が免責、あるいは除外になっているとは限らない。そういうことで、案1であろうと2であろうと3であろうと、とにかく現状でそういう侵害になる可能性があるということを裁判所が言っておられるんですから、どの案にかかわらず医師について免責、あるいは除外を設けた方がいいというふうに私は理解しているんです。
 確かに、いろんなボーダーラインの問題が現在でも起こり得るわけです。医師が新しい治療法をどんどんやりたいと、ところがそれがもう既に特許になっているけれども、しかし、患者さんのためにやりたいと言ったときにやってしまえば、特許の侵害になる可能性があるわけですが、それが患者さんを救うための医療行為であれば、やはり免責あるいは除外されるべきだろうということは現状でもあるんじゃないかと思うんです。その辺いかがでしょうか。

○小島事務局次長 そこのところは、先ほど御説明しましたけれども、12ページの(1)の柱書きのなお書きで記載しております。

○井村会長 森下委員、どうぞ。

○森下委員 私は最初から言っておりますように、今の特許の制度の中では、先ほど秋元委員言われたように、もう医師の権利が十分守られていないと。これは、やはり免責規定を求めて、本来はそこのところをはっきりさせるべきであって、その前提の上で案1、案2というお話に本来はなるべき筋書きだったのではないかと思っています。
 確かに、今回の規定上は、医薬製造のためということで外れておりますけれども、ただ全体の特許制度の中の矛盾というのが外れているかというと、それは残ったままですので、ここのところは免責規定というのは、少なくともはっきりさせた方がいいんじゃないかと思います。現行の矛盾を解決するという意味では必要ではないかと思っています。

○井村会長 それは、竹田弁護士がかなり強く発言されましたし、その前の総合科学技術会議の特許の専門調査会でも、やはり医師の免責はきちんと入れた方がいい、そうでないとそこがあいまいなままになっているので、やはり問題が起こる可能性があるということの主張があったと思います。
 どうぞ。

○野中委員 医師の行為というのをある程度理解することはいいと思うんですけれども、私はやはり医療というのは、医師と患者さんとの一体的な行為ですから、そこにいつも医師の行為はというふうに言われるということは、それは逆にすることも、その危険性がはらんでいるんです。
 ですから、医師の行為、医師の行為という話は、やはりおかしいんであり、医療に対して提供する部分の両方に、医師、患者さんにとって悪影響とか、その部分を考えるべきであり、医師が免責されるから、それがいいという話では、決してないと思います。
 ですから、医師さえ免責されていればいいのかという話になると、私は十分危険な要素があると思いますので、十分医療の本質を是非理解していただきたい。
 その医療の本質を理解しないで、ただ単に活用という部分だけを議論するときには、大きな弊害があると思います。ですから、是非そこを御理解の上、医療というものが理解されない上でそんな話をされると、おかしな方向に行くと思います。

○井村会長 それは、医師、患者関係が尊重されぬばならないというのは、大前提です。だから、医師がもし特許を侵して何かやったとしても、それは患者さんのためにやるわけですから。

○野中委員 現在のところは、特許を侵すことはないわけですね。

○井村会長 それはあり得ると思います。
 どうぞ。

○片山委員 本質的には、現在医薬は勿論特許になっているわけですが、医薬の使用というのは、これは特許の実施行為として、常識的に考えますと、それがお医者さんがやられようと侵害行為であるということになると思います。学説の多数説はまず間違いなくそう言うと思います。
 家庭で使うとか、そういうものは除外されているんですけれども、業としてという縛りがかかりますので。ただお医者さんが投薬される行為が、業としてでないと言えるかというと、今、裁判所に持っていったら、それは業としてだと言うんだと思います。
 ですから、そういう意味から言うと、私も除外規定を、この立法とは無関係に現状の姿が結論としておかしいということについて、皆さん御一致があるようですから、そうであればやはり除外規定を設けるべきではないかと思います。

○野中委員 だから、それは医師が患者さんを治すということにおいて、それを特許を問われるということ自身が悪影響じゃないんですか。

○片山委員 だって、現状はそうです。

○野中委員 現状がそうだからって、それは。

○片山委員 だから、除外規定を設けたらどうですかと申し上げています。

○野中委員 それは、除外規定のことかもしれませんけれども、私の言っていることは、特許というものがどういうものであるかということです。

○井村会長 どうぞ。

○北村委員 何かまた元に戻っていっているような気もいたしますが、結局この医療行為と線ではっきり分けられたところを、もう一度やろうかというふうにも思えるわけですけれども。

○井村会長 いや、そうではないと思います。そうではなくて、今、議論になっているのは、現在の特許制度の中でも医師が処方したときに、それは特許の侵害だと言われる場合があり得るということです。

○北村委員 そうしたら、私は手術方法にも特許を認めて、医師の免責をしていただきたいとむしろ思ってしまうんです。最近でも、本当に画期的というか、驚くような手術方法、不整脈を直す手術方法等々が出て、それに付随する医療機器は、いろんな種類のエネルギーを使用した機械がどんどん開発されて、どれが優劣かを競っている時代であると言えますけれども。

○井村会長 それは、最初からここの議論だったんですが。

○北村委員 それを免責という形でやるならば、なぜ手術方法が。

○井村会長 いや、手術方法はちょっと。

○北村委員 まだ、決める方向ではなくていいんですか。

○小島事務局次長 北村先生のおっしゃっている手術方法というのは、これはまさに医師が直接行う行為、この医療方法というところでございますけれども、今、問題になっているのは、医療機器、医薬の特許侵害品を医師が使用した場合に特許侵害に当たるか、免責が必要かという部分です。2つは別の次元の問題だと思いますが。

○北村委員 でも、今は医療機器業界が医師に提言できる新しい手術方法は、幾らでも出てきているんです。新しい医薬品の使用方法に向かって、医薬品業界が医師に対して提言できると、前回なっていましたね。そういうことはやはり医療機器でも言えると思います。

○小島事務局次長 御説明しますと、医療方法、手術、診断、治療方法ではなくて、現在でもという議論があるのは、ここの医療機器、医薬について、これが特許侵害品をお医者さんが使用した場合には、それが特許侵害に当たるかどうかという議論です。それは片山先生がおっしゃられましたように、医師でも特許侵害品を使用した場合、コピー薬を使ったり、模倣した医療機器を使ったりした場合、特許侵害に当たるということ、その部分は免責しなければいけない、今でも起こるということを言っていて、その問題とこの手術方法を認めるかというのは、全く別問題でございます。

○井村会長 大前提として、特許侵害の免責条項というのは要るというのが、専門家の方の意見です。だから、どう変えようと、現時点でも必要なんだという考え方だと思います。
 それでは、簡単にお願いします。

○小野特許庁特許技監 特許庁の場合は、案1、案2のどちらがいいかという立場にはございませんが、ただ1点だけ、今の御議論の中でありました免責条項は別といたしまして、医行為との切り分けができるかどうかという議論に関しまして、ご発言させていただきたいと思っております。
 前回申し上げましたように、特許出願を審査する場合、やはり発明の表現にとらわれず発明の実体を見るということになりますので、医薬の新しい効能・効果を発現させる方法と言いましても、実際上、効能・効果を発現させるためには、人体内に投薬して、初めて効能・効果を発現させることができると我々考えております。
 そうしますと、やはり医行為、お医者さんが行います投薬と実質的に区別し切れないのではないかという懸念を有しております。
 もう一点で、医薬の製造・販売のためにということで、区別できるのではないかという点に関しても、これはあくまでも目的を示しただけでございますので、発明の実体を規定する文言ではないと考えております。したがって、この場合は、特許対象となる発明の実体は変わらないのではないかという懸念がございます。
 ですから、私どもと致しましては、ここでの御議論で、案1の方向で進めるというコンセンサスが得られるのであれば、そういう対応はできますが、考え方としては、やはり医行為とは区別できないけれども、それでもその方向で進めるという整理が必要だと思っております。

○小島事務局次長 一言補足しますと、まず製造・販売のためにという目的だけだとおっしゃいましたが、それは権利範囲を法律的に確定するものなので、それは重要な文言であって、権利範囲は製造・販売のためにのみあると構成するので、医師とは全く関係ないということにおいては、法律的には完全に区別できるものと考えています。
 それから、前段で申しました、実体を見るということで、人体内に投与するということですけれども、それは、例えば、物である医薬であっても人体内に入ってどういう効能が出るかということであり、それは物である医薬だって同様のことですし、特許審査においてはそこまで見てないと思いますので、今おっしゃられた事柄は、誤解を招く説明ではないかと思います。

○小野特許技監 1点だけ、それはあくまでも末尾が物の発明の場合ですと、人体への作用が記載されていたとしても、それはあくまで物の目的又は機能を示しているだけですので、物自体と医行為との切り分けはできると思いますが、末尾が方法の発明ということになりますと、やはり人体への作用が方法の一工程として直接含まれてきますので、そのような方法と医行為との切り分けは困難になるという懸念を我々としては持っております。特許審査の立場、国際的な特許庁の運用を見ても同じような懸念があると思っている点だけを発言させていただきたいと思います。

○井村会長 大体、1案が6名、2案が3名、3案が1名ということでございました。それをどういうふうに取り扱うか、後で最後に御相談をしたいと思いますが、その前に医療機器の問題について、もう一度議論をしておきたいと思います。15ページをごらんいただきたいと思います。やはり3つの案が書かれております。
 第1案は、作動方法の特許を認めるということです。ただし、医師の行為の及ぶ範囲外のところの作動方法の特許を認めるということ。
 第2案は、すべて見るのは早いので、診断方法だけにしろというのが第2案です。
 第3案は、やはり医療への悪影響について、更に検討するべきだという3つの案が書いております。今度は反対回りに御意見を伺おうと思ったんですが、秋元委員がちょっとお立ちになるので、先にどうぞ。

○秋元委員 所用があって申し訳ございません。先ほど申しましたように、発明の本質ということ。それから、グローバルのところで競争する。新しい技術を広く、早く、安く国民に提供する。そういうことを考えますと、私は1案でございます。先ほどの医薬とまるっきり同じ意見でございます。

○井村会長 ありがとうございました。
 それでは、森下委員から、どうぞ。

○森下委員 私も1案に賛成です。先ほど、北村委員の手術行為までという御意見を聞いていて、やっと北村委員と同じ意見について立ったのかなというふうに思っていたんです。この1案に関して、本来はもっと広く取るべきだという意見なんですが、けれども、皆様の意見等の御懸念もわかりますので、1案というのが最低限のラインかと思っております。
 2案に関して、欧州なみにということを書かれておりますが、欧州と比較して日本が同じである意味というのがよくわかりませんので、なぜ欧州並みなのかという説明ができない以上、発明の本質に従って1案というのが妥当ではないかと思っております。
 以上です。

○井村会長 広井委員、どうぞ。

○広井委員 私は、案2を支持したいと思います。正直なところ、医薬に比べて判断基準、その線引きに迷う部分が大きいというのが正直なところなんですけれども、やはり先ほどの医薬の場合と同じように、医療システムとして見た場合に、アメリカ型のものに一気に向かうことに関しては、非常に慎重であるべきではないかという考えがあります。
 一方、確かに欧州のこういった線引きが果たして、どのような正当な、合理的な根拠があるものかについて、更に整理するべき点があるということも考えるわけですけれども、先ほどのような理由から案2を支持したいと考えております。

○井村会長 野中委員、どうぞ。

○野中委員 今、森下委員が言われたように欧州という2案の、1案は私としてはもう承服できない部分でございますので、いわゆる新しい医療が展開されて、そして新しく治療ができるということに関しては、十分評価したい部分はございますけれども、その中にはやはり、私はそれは活用という部分で評価しているわけでありまして、独占と排他という部分に対する配慮というものが、これに対してはまだまだ私は不十分だろうと思います。
 第2案に関しましては、日本独自のものを考えればいいわけですから、そこには欧州という言葉とか、そういうものが必要であるかどうかは、第2案の言葉として、内容の中ではなくて、私は第2案もそれはちょっと違うかなと思います。
 最終的には、私は、先ほど述べましたように、やはり発明という部分で、現状としては物の発明というふうになっていますけれども、それに対して本当に悪影響というものを十分検討したとは過去に思えないので、その辺の部分に関しては悪影響という部分の検討が必要だということで、第3だということでございます。よろしくお願いいたします。

○井村会長 見城委員、どうぞ。

○見城委員 私は、実は医薬の場合と医療機器の場合とを、同じようなレベルで、第1案、第2案、第3案としていること自体に疑問を感じております。もうここでこの3つの中から選ぶようにということ自体が、私自身にはちょっと無理があります。
 医薬の場合は、大変不明瞭な部分があると思うんです。投与の時間とか、そういったものと医師の配慮、患者さんを目の前にして、これが一番いい投与の方法であろうと。

○井村会長 そういう医師のは除外されていますから。

○見城委員 ですから、そういうふうなことがあって、そういう考えがある医薬のものと、それから、この機器という物が基本にあって、しかも医師は免責になるということが今まで付いていたわけですか、現在ある状況でカバーできないのかということが、まだ疑問として残っているんです。物の特許としてできないのかというところが。
 ここをどうルビコンで仕切られても、この物に由来する技術というところで、作動方法ということが入ってきますので、この形で切った場合に、では1案、2案、3案の1案はどれなのだと考えますと、どれなんでしょうか。
 この資料2のポンチ絵でルビコンで仕切られて、この物でいった場合に、15ページの特許保護の在り方としての案1、案2、案3というのがありますけれども、これに比較するとどういうふうに解釈したらいいか教えていただきたいと思います。

○小島事務局次長 ここのルビコンの下の作動方法というのが案の1、検査方法というのが案の2です。

○見城委員 ここで分かれるということですか。

○小島事務局次長 作動方法は診断、治療、手術機器も含めた医療機器全般についての方法で、検査方法というのは、検査機器関連の方法ということです。

○見城委員 済みません、判断するのに特許庁の小野技監にもう一回だけ教えていただきたいんですけれども、前回、私の表現がまずくて理解していただけなかったんですが、上田先生のお考えがあって、双子の弟さんの話を出して、皆さんがちょっとわからなかったとおっしゃったんですが、あの意味は、医師が発案して特許を願い出た場合と、全く医師ではない同じ考えを技術者なら技術者、ものをつくるだけの技術者が考えて特許を願い出た場合に、結果として、物として特許が与えられたけれども、それは医療機器として、上田先生なら上田先生のように、医師が同じように使われると、そういう場合はどうなるんでしょうか。このことがはっきりしないために次の段階に進めないんです。

○小野特許技監 物で特許を取った場合ですか、それとも方法で取られた場合ですか。

○見城委員 物と方法と何度も言われてきているんですが、物というのは、ただここに穴の空いた物体があるんではなくて、この物というものは、このお茶わんであれば、この物は方法がここに入って、ここに液体が注がれて、こぼれないで、しかも口の中にうまく入るという方法が付随して、これがもし高度なものであれば特許によって保護される、これを考えた方法、案を、それが形としてここに物があると思うんです。
 ですから、私にとっては、申し訳ないんですけれども、方法の特許ですか、物の特許ですかと言われても、物には常に方法が付随してあるんではないかと思いますから、医師が医療の方法として特許を申請する場合ではなくて、技術者がある考えがあって、物を思いついて、これはこう使ったらこう動いて、こういうことに使えるんではないかと。それを特許を申請していった場合に、しかし、双子の弟さんと言った意味は、全く医師が考えたことと同じこと。それで、実際にできた物に関しては、それを医師が、こういうものがほしかったんだと、これはこう使いたかったんだということで、即医療機器として最先端医療機器として使われていく、こういうことというのは特許としてはどうなるんですか。
 このことがもう少しわかりますと、新たな特許の枠組みを拡大して、今、ここで議論されている特許を認めるかどうか、第1案にすべきか、第2案にすべきか、検査方法だけにとどめるべきかと、こういったことがもう少しわかりやすくなると。

○小野特許技監 発明者が、お医者さんであろうが、技術者であろうが、我々が審査するときは発明者を区別して審査しているわけではございません。
 あと、今、御指摘の点で、技術者が考える場合は、やはり物をつくるということに繋がると思いますが、そのときに、必ずしも物というのは構造で規定しなくても機能で、例えば水を収容できるような形の機能を有するものとして、特許を取得するということはできます。
 ですから、物と言っても非常に範疇が広うございまして、ソフトウェアも物でございます。システムも物として取り扱っています。その場合、やはり機能とか、先ほど言いましたように、経時的な要素を含む方法的な記載で物を規定するということは認めております。

○井村会長 こういう例をちょっと挙げてみたらどうでしょうか。例えば、悪性腫瘍をレントゲンで治療する。治療機器はもう特許を通っていて、それは売られているわけです。
 ところが、そのときにどういう照射をするのが一番いいのか、患者さんへの影響を少なくする、だから方法がそこで入り得るわけです。そういう新しい画期的な方法が出てくる可能性はあるわけです。それに対して特許を付けよう。それは、医師がやる行為ではなくて、機械にそういうことを内臓させるとか、そういうことが可能になってくるわけですね。
 ちょっと考えておいていただいて、またもう一度意見を伺おうと思います。
 それでは、北村委員どうぞ。

○北村委員 医療機器の場合は薬よりも、もう一つ私にも難しい点があって、14ページには医師の行為に係る技術とは本質的に異なる技術であり、現在では医師の行為に係る技術と区別されることなく特許庁の方でも余り対象にしてこられなかったと書いてあるので、やはり機械については、人体侵襲を加える部分の作動というものについては、これは医師の行為だとなってしまうと思うんです。
 今回のように、先ほどから何度も申していますが、医師の行為ときれいに切り分けた線を引くという考え方に立てば、侵襲をする部分の行為は医師しかできないわけですから、医師しか認められていないので、そこのところが完全に区別できているのであれば、1案でもいいのかと思いますが、それをよりはっきりとした形で出しているのが、欧州の検査の段階にとどめて、治療というものに踏み込むのは、まだ少し早いんではないか。つまり、医師の行為との区別が明確にできない点が、侵襲というところの医療機器の部分ではあるんではないかと思います。
 ただ、特許庁の御意見も、そういった非侵襲といいますか、医師の行為とは無関係な部分の方法については、現在の物特許でもカバーできているというお話もございましたし、上田委員の説明のときにもそういう御回答もあったので、実際、非常に迷っているところです。どの案が現在では一番推進するのかと、認めるのかという答えに対しては、最初は検査方法等は承認してもいいと。侵襲的なものと治療というものとが、医師の行為として明確に振り分けるということがあるのであれば、1案と2案の中間のようなものもあり得るんではないかという気はしておりますけれども、物としての特許の整備という方向から入るので、できる範囲ではないかなという気がどうしてもしてしまうんです。
 その説明は14ページの@、Aに書いてありますけれども、このように本質的に異なる技術と医師の行為に係る技術ということなんですが、これが具体的に何を意味しているのかがどうしても難しいですね。

○小島事務局次長 先ほど御説明しました10ページの脚注の20に、その点は記載してあります。

○北村委員 ですから、今でもCTのような画期的な技術が、その方法論を含めた特許というのはないんですか、CTの機械だけができてきたらそれが特許であって、理論自身はどうなっているんですかね。

○小野特許技監 いわゆる機構とか、システム、それからプログラム的な考え方自体が発明のポイントであるものについては、全体としてこういう機能や作用を行うところ自体は特許の対象にしております。
 あと、内部制御的な考え方は当然、今、先生の御発言にありましたように、侵襲行為が入らないような形になっておりますので、方法の発明として認めているということがございます。

○北村委員 そうすると、ここでの問題は、侵襲が入る部分のことが、いわゆる医師の行為と分離できた機械の作動と解釈するか、医師の行為とするのかという点になってくるんですかね。

○井村会長 どうぞ。

○小島事務局次長 先ほどの10ページの脚注の20で御説明しましたように、そういう侵襲行為そのものは、新しい方法の特許には含まないと書いてあるので、それを例えば、井村会長がお話になったような、レーザー照射をどうするか、そのときにどうすればピンポイントで照射できるかという、そのときの仕組みをどうするとかということです。

○北村委員 それは理論と、それをそうさせる。

○小島事務局次長 そういう方法論が確立したとき、その方法論をどう認めるか。だから、人間の体には寸止めで触らないというところまでを機械の機能として作動方法ということで認めるということなので、北村先生の御懸念は、侵襲が入るか入らないかということですが、新しい制度としてはそれは入らない、寸止めで止める作動方法にするというのがこの定義なので、そこは御懸念に及ばないということだと思います。

○北村委員 そうしたら、2とどう違ってくるかということですけれども。

○井村会長 これは診断だけでしょう。

○北村委員 診断ですね、触らない、人体寸前までということであれば。

○井村会長 いやいや治療でも入ります。

○北村委員 放射線は入っても構わないものになるわけですから、手術じゃないわけですからね。

○井村会長 手術でも機器の作動に関しては認めるということでしょう。

○小島事務局次長 はい。

○井村会長 ただ、それを実際に手術に適用するのは医師の行為ですけれども。

○北村委員 しかし、その作動をさせるというのは物の特許で取れているわけでしょう。

○小島事務局次長 いや、物の特許で取れている部分もありますが、先生のおっしゃった理論的なものといいますか、機能的なものというか、仕組み的なもの、その考え方の特許をここで方法として認めようということです。

○北村委員 だからCTの議論というものは特許にはならなかったと。

○小野特許技監 いわゆる内部制御方法の形ですと、方法の特許で認めております。

○北村委員 例えば、たくさんの方向から同時に写真を撮ると、こういう画像が、多面から立体像的にできるという機械の前の理屈という方法ですね。こういうものをつくればできるという理論の特許はなかったわけですね。

○小野特許技監 広い意味で、それが初めて発明されたときは、機能的に書いて物の形態等を規定する必要がないことは、ある程度可能でございました。

○井村会長 名古屋大学の高橋さんが、断層写真をたくさん撮ってやればCTができるというアイデアは出しているんですね。多分特許にはなっていないと思います。恐らく、特許化したのは、EMIが機械をつくって、それにコンピュータを内臓してました。

○北村委員 そういう領域の特許であれば、私はそれは認めてもいいと思いますけれども。

○見城委員 私が先ほどから言っているのもそこなんです。

○北村委員 それを方法で整理されるかどうかね。

○小野特許技監 ですから、先ほど事務局から御説明ございましたように、前回と違う整理として、一切侵襲的な行為は入らないということで、新たに作動方法が再定義されたということならば、今、議論されたのは恐らく機器のメカニズム、機能のことだと思いますので、そういうものを方法の発明として記載できるようにするということで、コンセンサスが得られるのであれば、特許対象とする可能性は出てくると思います。

○井村会長 ちょっと皆様の意見を聞いてしまいたいので、その上で議論としたいと思いますので、北村先生は、そうすると2と1どちらに。

○北村委員 第一段階では2でもいいかなと思いますけれども、今のようなところが明確で、そういう理論を含めたものを方法としてやるのは、やはりその理論自身は知的財産だと思いますね。ですから、その知的財産は保護されていいんではないか、医療行為と完全に区別できるという@の最後の方に書いてあることが正しく行われるならば、医師の行為と区別ができるというものであれば、1でもよいかと思います。

○井村会長 片山委員お願いします。

○片山委員 私は案の中では1を推します。ちょっと皆さんの議論を伺っていますと、特許に対するイメージといいましょうか、特許を認めると禁止されるんだというとらえ方をされているのが、若干違和感がありました。
 と言いますのは、特許というのは、基本的には技術の豊富化、進歩を目指しているわけで、その豊富化という意味で、物、方法というのは、それはやはり本質に基づいていずれでも、あるいは両方認めるという方が正道であろうと思います。
 それから、もう一つの禁止されるかどうかという話なんですけれども、我々が議論しているのは、こういうことで、こういう特許を認めれば、そこに対する投資が盛んになって、新しい技術がどんどん進歩していくではないかということですので、お医者さんのお手元、あるいは患者さんの手元には、そういう進歩した技術がそのことによってどんどん流れてくる。したがって、より高度な医療がアベーラブルになる。私はそういうイメージでおります。
 したがって、何ら心配することは要らないわけで、より高度なものが来るという、むしろ積極的な影響の方を重視したいと思いますので、そういう意味から言うと、この案の中では1がよろしいのではないかと思います。

○井村会長 上田委員どうぞ。

○上田委員 結論を先に言うと、勿論第1案ですけれども、北村先生がおっしゃった意味で、より広く解釈して知財を確保するべきだと思います。
 私がずっと専門調査会で議論をしてきた前提になっているのは、今日、注目されている先端医療というのは、工学的な技術、あるいはシステム、材料の支援なしには成り立たなくなっている時代なんだろうということです。
 それを前提に、工学的な技術がどの程度先端医療に貢献していて、それに特許性を認めるかどうかということが論点だったように、私は解釈しました。
 過去に医療以外の、例えば通信機器だとか、交通手段に対する工学的貢献を議論するときは、疑問が余り発生しませんから特許が成立し得たと思うんです。
 医療というのは、非常に特殊な領域ですから、慎重になり、かつ医療は産業ではないという大前提から行くと、特許は除外されてきたというのも当然だろうと思うんです。
 しかし、今の医療の中で、工学的な成果が含まれていることは歴然たる事実でありまして、そういったことを最も的確に活用したのは先端医療だろうと思うんです。
 であるがゆえに医工連携ということの必要性が言われてきて、医学を進歩されるために、工学者の知識と成果を活用しようと、そういうふうな考え方の結果が医工連携であると。
 しかし、医工連携というのは、言われているほどはうまくいっていないんですね。そのうまくいっていない理由というのは、学問としての医学と工学というのは、もともと大学の中にある、医は医学部、工は工学部であって、利益追及を目的としない学問の場であるから、学問としてはなり得るんですね。だけど、それが一旦実用化ということになったときに、企業の持っている技術力であったり、能力が活用されない限り、実用化にはかなり難しい面が出てくる。
 その場合に、企業の持っている論理は、原則として利益追及ということになるわけですから、そこで初めて工学ではなくて企業というものが全面に出てきますから、ポリシーのずれが生じるわけです。
 そのときに、企業の協力を得られなくてもいいと考えるのか、あるいは企業の協力を得たことによってより患者さんに低侵襲で短期の入院で済むような治療が開発されるんだとすれば、そこは工学だけではなくて、企業の技術も活用するべきだと私は思います。
 企業の技術等を活用するためには、やはり特許保護をしないと、企業の基本的なポリシーに反してしまいますから、私は医者の努力目的と、企業の目的達成意欲は違うところにあるので、ここで一種の衝突というか、それが起こっているんだと思います。
 だけど、ここはポジティブな面を見ることによって、医療現場の研究者としては、非常に大きな進歩が予測されるので、否定するよりは肯定した方が患者さんにとっては得だと、社会にとっても得だという意味で第1案を推したいと思います。

○井村会長 ありがとうございました。そうしたら、あと田村委員と平田委員の意見を。

○小島事務局次長 事務局から御紹介いたします。
 先ほどの資料3が、田村委員の御意見でございまして、「1.医療機器について」ということで、医工連携を推進し、高度の医療技術を開発するためには、案1のような形で広く特許の保護を認める方が望ましいだろうということで、「ただし」以下は免責規定のことが書いてあります。
 資料4、平田委員の御意見ですが、1.の「(1)『医療機器の作動方法』:案1に賛成」ということで、御意見の方は先ほど御紹介したのと同様でございます。
 以上でございます。

○井村会長 ありがとうございました。これで一とおり皆さんの御意見を伺ったんですが、少し見城先生は保留になっていますけれども。

○見城委員 ですから、今、上田先生がおっしゃったように、ある工学的な機器が開発されていくと。そのことによって新たな治療法が開発されていく。これは、例えば患者側、治療を受ける側にとっては大変恩恵を被ることだと思います。
 それから、知的財産権に関しては、片山委員が何度もおっしゃったのはよくわかります。世界の中でどのように日本の企業が出ていくべきかということで考えれば、取れるものなら先に特許を取って、それできちんとした知的財産として活用するべきだと。
 これもわかった上で、どうしてもそこに引っかかりますのは、今のお話を全部総合しても、またわかりずらいかもしれませんけれども、医療機器となると、そこでブレーキがかかってしまうというのか、そこのところだけはどうしても特許の在り方として、まだ疑問が晴れないんです。

○北村委員 医療機器と医薬品とは違いますね。それは業界の人たちが、やはり2つは同じようなものではないという考えで整理しているので。

○見城委員 済みません、そういう意味では、大変物の特許としてはあるべきだと思っていますし、それを使うときの医師が特許によって阻害されるのは全くいけないことですから、なしと、これは徹底して最初から変わらないんです。
 ただ、そのことが現行法の中を整理することによって、もう少し明確にならないのか。ならないと言うならば、そこは考えるべきだと、私の立場は一貫してこのままです。

○上田委員 同じことを言っているんですよ、現行法でカバーできない部分に先端医療が踏み込んでしまっているので、せめてそこの部分だけを保護してほしいと。それは第1案の最低ラインだと思います。
 もともとのアイデアは、医者が患者を見ている最中に、こうあってほしい、こういう機械がほしい、こういうふうにすれば、患者さんの侵襲は少ないというようなことがアイデアとしてはあるんです。それをかつてのオールド・サージャリーというか、かつての医療技術の分野では、お医者さんのアイデアが、自分の大学の中の工場みたいなところで、工夫と工作によって具現化できたんです。
 ところが、今はそれができないんです。それは工学部の人にもできなくて、企業の人の力がない限り、非常にすてきなアイデアで実用化できない。だから、このすてきなアイデアに、特許と知財を認めてほしいといいたいわけです。そうすれば、企業の人たちの協力が得やすくなりますので、得やすくなる理由はもうさんざん説明したとおりでありまして、そういったことを申し上げたいわけです。

○二川厚生労働省医政局経済課長 厚生労働省は医療行政を所管しておりますとともに、医薬品産業と医療機器産業の振興ということも任務としております。
 そういった立場で、医療機器産業界の意見を私ども承知しておりますので、ここで御紹介だけさせていただきたいというふうに思っております。
 今回、医療機器の案が、前回出たものと案の形が少し変わっておりますので、この案について、1案、2案どれがいいかということは、必ずしもわかりませんけれども、医療機器の作動方法ということを特許の対象にしていくといたしましても、機器が動くと言っても、やはり医師の行為の結果動くということなのか、そこの区別が明確にされないと、産業界としても大変困る、とこういったことでございまして、業界の意見については十分考えていただきたいということでございます。
 したがいまして、今回の案の1が前回提出されたものとちょっと変わっておりますものですから、これに関してどうかわかりませんが、少なくとも2案であれば問題はないというのが医療機器産業界の意見であると、私どもは承っております。
 一応、御紹介だけさせていただきます。

○井村会長 医療機器の方から私のところへも来ておりまして、そこには現段階で意見の一致を見ていないのが現状であるというふうに書いてあります。だから、中でいろんな意見がまだあるんだろうと。
 ここへは一度参考人で来ていただきましたね。だれでしたか。

○小島事務局次長 大野さんです。

○井村会長 どうぞ。

○野中委員 私は上田委員が、今、説明されたことは非常によくわかるんです。ですから、進歩のためにということはよくわかるんです。ただ、そこで本当にそのことだけでいいのかということが、そこを私は十分注意しなければ、そこはまさに上田委員とか、医療の最先端におられる方が真摯に検討されて、その意見をまとめられたことは十分わかるんです。
 しかし、現場で、そういうことに対する弊害が本当にないのかということを十分私は考えていただきたいということで言っているわけでありまして、何も進歩を阻害したいということを言っているわけではないんです。
 また、片山委員が言われていることもわかる部分もあるんですけれども、ただ私は片山委員から本当に独占と排他が全く心配ないと言われる根拠が、私は一番知りたい部分です。片山委員から聞きたいんです。片山委員は、いつも活用のことを言われるのは、十分よくわかります。ただ、そこに一番片山委員が、いわゆる今までの御経験の中から独占と排他という部分をもうちょっと明確に説明していただけないと、このことに対する理解というか、悪影響というものを私は十分検討したことにならないような気がするわけです。

○井村会長 それでは、片山委員お願いします。ちょっとすれ違っているところがあると思います。

○片山委員 特許の本質的な話だろうと思うんです。発明をした人に独占権を与える、そのことが技術の進歩と、それから技術の普及に大いに役立つという一見矛盾したようなことになるのかということがあります。つまり独占ですので、独占と普及というのが果たして矛盾しないのかということです。
 これは、歴史的に見てみると、矛盾しないですねという、それが恐らく人類がここ何百年か知りませんけれども、やってきた結論だろうと思うんです。
 それは、やはりある人が独占するというインセンティブをもらったら、そこで一生懸命発明をしようという、あるいは発明をするためにお金をかけようという気になって、そこで独占権が得られる。
 その独占権を、さて、どうやって活用しますかといったときに、勿論もらった人は一番利益が大きくなるような利用の仕方をしようとするわけです。
 昔、特許がない時代であれば、それを自分の家の秘伝として手元に置いて、一人が製造するのでそんなにたくさんは売れませんけれども、でもずっとそれが何百年も秘伝として伝わって、いいものとして家宝のように扱われるというような時代が多分あったんだろうと思います。
 一方でそういうふうにやられる方と、今は企業化の時代ですので、一体どうやったら利益をマキシマイズできるかということを考えたときに、それはたくさん売れた方がいいですね。たくさん売れるためには、必ずそういう技術については競合する技術というのがあります。競合する製品、これまでその発明がなされる前にある製品というのがあります。それとの比較でもってどのぐらいの価格帯を選んで、どうすれば今までのものよりも勝てて、より市場でのシェアを拡大できるだろうかというふうに、普通にはそういう企業行動が取られるわけです。それは勿論、公正な競争がなされているという前提が必要ですが、その場合、そういう企業行動がなされるわけです。
 そのことによって、できるだけたくさん売ろうとして、売れる価格帯が選択されて、その医療機器であれば、お医者さんのお手元に届いていくということになるわけです。
 そこで、果たして本当に市場での自由競争の原理が働くかどうかという御懸念があると思います。それは本当に独占権なんだから、とてもお金持ちでないと手が届かないような金額を付けて、そこで独占してしまったら、結局は国民の福祉のためにならないじゃないかというお考えも十分あると思います。理屈の上ではそのとおりだと思います。
 ただ、現実にはそうなっていません。それはなぜかと言いますと、多分2つあると思います。
 1つは、先ほど来出ております法的な伝家の宝刀ということで、そういう事態になったら、さすがに公共の福祉のための実施権をくれというところが出てくるというのが1つあります。
 現実に、それが過去に起こっていないのは、そういう場合にどうするかというと、まず第一にそういう極端な行動を取ろうとする企業家がほとんどいないということです。それはそのことによって利益が極大化できないからですね。
 第二に、仮に偏屈な人がいて、そういうことをやったとしますと、何が起こるかといいますと、それを回避するための技術というのを一生懸命ほかの人が努力して、それもやはり特許になりますので、一生懸命回避しようとして、そのことによって新しい技術が、それを迂回できるような技術ができてきて、結局はその製品の競合品が出てきて、価格競争力をもって出しますので、前の人も、それではしようがないから、結局は新しい価格水準に落ちてきて、結果的には技術の豊富化に貢献できたと、結果としてみればそうなったというようなメカニズムが恐らく働いて、新しい技術がよりたくさんの人の手元に届くということになるのではないかと思います。
 ただ、もしそこのところで独占を与えないという制度にしたらどうなるかということでございますが、勿論、これはお医者様は患者さんが目の前にいらっしゃいますので、そこで何とか助けたいから一生懸命新しい方法を開発されるというのは、それはずっと歴史上そのとおりだったんだろうと思います。
 ただ、そうやってその形でずっと持っていくのと、ここで特許を認めて、より企業の投資活動というものを導入するのとで、どれぐらい違うだろうかと考えてみますと、これはだれも歴史の「たら」というのはよくわかりませんので、正確には予測できないけれども、今まで伺っている先端医療の話からすると、それはお金が要る、やはり投資をしなければいけないということからすると、これは相当な差が出るんではないかなという感じがいたします。
 そんなことでお返事になっていますでしょうか。

○見城委員 今の御説明プラスで、もう一つやはり疑問が残るのは、上田先生がおっしゃった、あるアイデアが浮かぶ、それを現在ではその辺のものをメカニズムではつくれない。それで産業との連携が必要であると、ここまではよくわかるんですが、その場合2点あるんです。
 1点は、今の医療機器産業界というのは、そういったアイデアを持っている医師と組んで新しいものに挑戦していこうという気持ちはないのかということ。
 もう一つは、先ほど小野技監が方法の特許があるということをおっしゃっていましたね。それは、やはり今の上田先生がおっしゃったような、こういうふうな形でメーカーが動いていってくれれば、より治療しやすい、高度な治療ができるという方法が浮かんだ場合、そのことでその機器自体ができ上がっていなくても、図面化するとか、建築の方で言うと図面を書いて、そこに家が建っていなくても設計しますから、図面化してこういうものであると。現在ではそういうもので特許というのは認められないんですか。

○小野特許技監 今の点でございますけれども、やはり特許の場合は、アイデアが浮かんだだけでなく、ある程度、実施可能性というものがありませんと、特許になりません。それはアメリカでも全く同じです。
 しかし、そうかと言って、アイデアを具現化したというものに限定する必要はありません。初めてのアイデアの場合は、考え方の大きな枠に機能等を示して、もう少し広い形で権利化できると思います。
 ただ、アイデアそのものだけで、具体的に実現する方法がないということになると、実施可能性の要件は、世界中の特許制度に入っておりますので、特許を認めることは無理だと思います。

○上田委員 産業界の方が、そういった機器開発に対して努力を惜しむとは私は思いません。ただ、個々人のお考えとしては、そういったことを惜しんでいる人は一人もいないということです。それは医者が患者さんの治療だけを目的に生活しているのと同じことだと思います。医療機器に携わっている方、皆さんそう思っていらっしゃいます。
 しかし、団体としてのポリシーというのがありますので、そういった意味での会社、企業のポリシーにそれが勝ると、つまり、個人の情熱、あるいは志が勝るとはちょっと思えない。
 もう一つは、私が出したスプレー型皮膚の移植方法というのは、これはかなり具体的なイメージがあるんですけれども、工学の専門家でなければ絶対に思いつかないようなものすごく優れたアイデアとか、技術がどこかに存在するとしますね。私らの知らないところで企業に存在したと。
 その人たちが、この方法を使うと患者さんに非常に低侵襲で効率よく細胞が移植できるなんていうことを普通の状態では思いつかないと思うんですよ。そこに医療応用というふうな目標が入ってきて、初めて思考をぎゅっと凝縮していくことで具体的な姿が出てくると思うんです。
 そのときの駆動力になっているのは、やはり何らかの意味での自分が考え出したことに対する評価、それは知財という形で評価されることを望んで当然ではないかと思うのです。私は将来のことを論じたいと思うんです。
 現在までの具体化されたイメージで、私が提示したアイデアは、既存の法律内でも特許ができるじゃないかということがあるでしょう。しかし、もっと先のことを考えますと、未知の発明が起こる可能性があるんです。もっともっとそれを進歩させて技術の開発能力を促進するという意味では、総論としては、やはり方法に認めていただいて、各論でそれを障害してしまって、利益より不利益の方が大きくなるようなことをブロックすればいいのであって、本調査会においては、そういった総論で認められているような第1案というのを私は強く推したいと思います。
 今後の検討項目として、阻害要因を十分検討するというふうなことは、私は野中先生がおっしゃったとおりだと思いますけれども、総論としてここを否定してしまうと、次のステップに進めないと思うんです。
 そうすると未来に、今、私らが全然わからない、例にも出せないようなものまでも果たしてつぶしてしまわないかというふうな懸念をしております。

○見城委員 もう一つ質問ですが、例えば工学系で言うとカメラとか、機器で言うと車メーカーとか、実際に御自分がA級ライセンスのドライバーでなくても、どうしたらスピードアップするのかとか常に研究されて、技術者レベルで発案をし、むしろこういうものがあれば、車はより早く走るんではないかとか、テレビであれば液晶、更に液晶をもっときれいにできないかということは、テレビの関係者が現場でテレビカメラを動かす方ではなくて、業界がむしろテレビの動きを見てもっとより高度なものができないかと、さらなる液晶の次を見て行くわけですね。
 医療機器産業界自体はどうなっているんでしょうか、医師の発案とかがなくても、むしろ医療機器の方からの発案があり、アイデアがあり、そういう先駆性というのは、医療機器産業界にのみないというのはおかしいと思うんですが、その辺があるならば、医療機器産業界の方が先駆性を持って、より検討して特許を取っていくということをされているんではないかと思うんです。

○上田委員 医療目的ではない形で特許化されていると思います。最終的には医療を現場で行っている医者の最終目的、それにかなう方法というものが入ってきて、初めて意味を持つものだろうと思うんです。だから、それは別の目的で既存の技術かもしれません。だけど、そういったものが医療目的になるところにアイデアであり、方法というものが存在するんだろうと思います。目的がはっきりしている。そこの部分を肯定してもらいたい。

○井村会長 やはり、医療の場合は他の産業とかなり違う要素がありますね。というのは、さっき野中先生が言われたように、医療というものは医師患者関係が非常に重要ですし、医師が一番そのことはよく知る立場にあるわけです。だから、普通の産業とはかなり違った要素があると思います。それだけに、日本の企業は医療へ入っていくことに関してやや二の足を踏んでいる。そこに難しさがありますから、それが現状だと思います。

○見城委員 ですから、現場の医師との連携プレーが特許ということで、きっちりと連携プレーができるならば、医療産業界がほかの機器メーカー、さまざまな産業がございますが、そういった先駆性のあることで特許を取っていかれるほかの産業と同じように、もう少し活性化するということですか。

○井村会長 それを期待しているんですね。今、日本は御承知のように、ほとんど機械はほとんど輸入でしょう。特に治療用の機器は90%ぐらい輸入です。

○見城委員 それは何度も聞いているんですけれども。

○野中委員 私は上田委員の意味もわかるし、ただし、井村会長が言われたように、医療の部分では特殊というのは、私はおかしいと思う。そこはやはり治療とか、患者さんの生命とか尊厳が優先されるわけですね。そのことを十分考える。だから上田委員が言われていることは、だからその悪影響というのが本来何なのかとか、そういうものを研究すべきだと言っているわけであって、上田委員の言っていることを私は否定をしているわけではないですよ。
 特許に対して弊害をもっと、事例を集めてみるとかが必要ではないでしょうか。それを特許の裁定制度だけであるからといって、これが本当にそれでいいのかということは、片山委員はすぐそこで活用という部分があると、だけどそれは私は一般論だろうと思うんです。
 だから、片山委員には医療産業に独占と排他が本当にあるのか、ないのかということを十分検討していただきたい。

○片山委員 現在、方法についての議論をしているわけですが、既に存在している医薬という特許があるわけですね。それで新薬がこのところ、数はだんだん少なくなってきたとは言いますものの、非常にすばらしい薬が毎年生まれているわけですね。それには当然特許があるわけです。
 その特許がある薬について、この特許製品が十分行き渡らないから、あるいは高過ぎて手に入らないから、もっと特許制度を変えるべきではないかと、あるいは裁定実施権をやるべきではないかというような議論が日本で出てきているんでしょうか。私はそういう話は余り聞いたことがないんです。それは、やはり自由競争で、現実の経済の中で処理され尽くされているんだろうという感じがするんです。現状での医薬の話と全く同じではないかと思うんです。

○北村委員 実際、薬では医薬の特許つぶしという裁判がたくさんありますね。専門家の弁護士さんとかがおられまして、他社の特許はおかしいというので、取られている特許をつぶして自社の製品が入り込むというようなことが、それ専門の弁護士さんがたくさんおられるわけです。そういうのも、一方では現実があると。
 ちょっと別の件でもよろしいですか。小島次長さんにちょっとお伺いしたいのは、やはり田村委員の資料3の1.の医療機器のところで、田村先生の手紙では、2行目からですけれども「財産件にすぎない特許権に人の生命身体に関わる医療行為を阻止する権能を付与するべきではなく」と書いておられますね。この考え方は、先ほど小島次長さんが言われたように、人への侵襲の直前までだという御説明と矛盾するように思うんですけれども、これは田村委員がおられませんが、この点は誤解されているというふうに理解してよろしいんでしょうか。

○小島事務局次長 先ほど申しましたように、この趣旨を田村先生にクラリファイしていませんので、わかりませんが、今日御説明したように、10ページの脚注に寸止めであるということと、この作動方法の実施というか、使用ということは、医師が手術方法を使用するということと同じ意味で、医師が自ら物理的に直接作動方法を使用するということはありませんので、直接は関係ないと思いますということです。
 ただし、先ほど来出ている、医療機器の使用による特許侵害という問題は、現在でも物の特許についてもございますし、新しい方法についても医師は医療機器の使用を通じて特許侵害をする可能性もありますので、もしその点を言っているとしたら、それは12ページのなお書きで書いてありますけれども、今でもある問題として、そちらの手当は検討する必要があるということはあろうかと思います。
 それから、どちらのことについておっしゃられたのかわかりませんが、先ほども申し上げたとおり、医療機器の使用による特許侵害という問題と、人体に侵襲するとか作用するとかいうこととは全く別の次元の問題であるということです。

○北村委員 ディスカッションの土台になっているベースとしての、次長さんが御説明になった立場から言うと、これはちょっとずれていると。

○井村会長 田村委員は、ロースクールが始まって非常に忙しくなって出てこられないので、最近の議論を必ずしも十分御存じない点があるわけです。
 だから、初期にはもっと幅広くやろうとしていましたから、そうすると当然免責というのが問題になったんですが、いろんな皆さんの懸念等を勘案して、かなり範囲を縮小していますから、その点をちょっと御存じない、だからそこは一度確認してみます。

○北村委員 先ほどのところが担保できるという条件付きであれば、私は1案でもいいかなと思いますけれども。

○井村会長 それで、多数の方は1案を御支持いただいたように思っております。問題は、これからどう進めていくかということですが、前からお諮りしているように、パブリック・コメントをしてはどうかというふうに考えているんですが、それにつきまして、パブコメなんて要らないという意見もあるかもしれないし、やるんだったらこういう点に注意しないといけないよという意見もあろうかと思います。
 それで、私は何人の方が1案で、何人の方が2案とか、そんなことは書かないで、多数意見はこうであったと、ただ、こういう少数の意見もありましたということにして、パブコメにかけてみるということを考えているんですが、その辺について御意見があれば伺いたいと思います。
 それでは、野中委員からどうぞ。

○野中委員 議論が何回かずっとやっていますので、その辺はお気持としては、よくわかるわけですけれども、しかし、私としては、繰り返しになりますけれども、とりまとめ案のいい点は十分よくわかるんですけれども、この図が事務局からはいろいろ説明されているんですけれども、本当にそれが現状と何が違うのかどうかがまずわからない。
 さまざまに悪影響があると思いますけれども、そのことに関して、先ほど上田委員が言われたような活用の部分は十分よくわかりますけれども、独占と排他には、こういうことが懸念されるという部分が、本来不十分と思っていますので、まだこの状況でパブコメをかけることは、適切に判断することが不可能だというふうに思います。よろしくお願いします。

○井村会長 北村委員どうぞ。

○北村委員 多数意見という形のときに、医薬品の場合もどちらが多数意見かと、一票でも多ければ多数意見として出されるのかどうか。

○井村会長 医薬品の場合には、6、3、1でした。

○北村委員 しかし、田村委員の御意見はちょっとわからぬですね。

○井村会長 その点は確認しますけれども。なんでしたら今日の議事録も一緒に公開してもいいですよ。今日議論されたことは、これには盛り込まれていませんからね。
 どうぞ。

○森下委員 私自身は、この委員会は、野中先生から10回が多いのか、少ないのかという話も出ていますけれども、正直議論としては、かなり出尽くしたんではないかと感じています。ここ数回聞いておりましても、やはり同じところを堂々巡りしているだけで、新しい展開というところの理解は余り深まっていないのかなというふうに思っています。
 その意味では、一般の方を含めて、実際にどのような御意見をお持ちなのかというのは、虚心坦懐にパブリック・コメントの形でお聞きした上で、もう一度議論してもいいんじゃないかと思います。先ほどの医療機器業界も御意見が割れているところでもありますし、やはりいろんな業界で御意見があるんではないかと。
 実際に期間としては十分長くやっておりますから、一度ここで少し外部の声も聞いて、その上でもう一度意見とりまとめができるかどうかという話をした方が、このまま続けても余り問題点としては深掘りができないんではないかと思いますので、良いかと思います。
 その中で逆に野中先生が言われたように、弊害等の新しい面から、こういうところが問題なんじゃないかという御意見等も出てくれば、またその議論もできますし、少し委員会として虚心坦懐に外部の方の御意見を聞く時期に来ているんではないかというふうに思っておりまして、その意味で井村先生が言われていますパブリック・コメントをここで行うということに私は賛成したいというふうに思います。

○野中委員 もう一回済みません、この過程はわかりますけれども、ただ私は、このとりまとめ案が何回読んでも、それから議論がどうしてもそこでぐるぐるしているというのは、むしろ悪影響、独占と排他という部分を十分検討していないからそれになるわけであって、やはり独占と排他という部分をもうちょっと事務局に調査してほしいというのがお願いです。

○井村会長 どうぞ。

○見城委員 患者が、より先進的な医療を受けるためにと、このことがまず大前提であるということを明快にしていただいて、もしパブリック・コメントとして問いかけるのであれば、まずそれをきちんと出していただきたいんです。
 そうでないと、受ける側は何のための議論で、何のためのパブリック・コメントなのかわかりません。
 もう一点は、事務局側の小島さん等の頭の中では、はっきりとこのことが分かれてよくわかっていらっしゃるんでしょうけれども、私が、もしこのものをパブリック・コメント等に、文字にしろ、具体的な図面として出たとした場合に、わかるのかどうかという疑問があります。非常に微妙なところです。私は、微妙なために堂々巡りをしているんだと、委員が幾ら一生懸命やっても堂々巡りせざるを得ないというのは、特許というものがもともとなければもっと明快なんですが、既にあるという部分に更にどう加えたらいいのか、是非その辺を書いていただきたいのは、既存の特許では、認められないという部分。

○井村会長 それは方法です。

○見城委員 ですから、それをこういうところが認められないために、今、このような意見が出ているということが明解でなければ、対象をどこにするかもありますが、パブリック・コメントを読む意味がないと思います。

○小島事務局次長 今の点を御説明いたしますと、まず、患者がより先進的な医療を受けられるために、これを検討しているというのは、1ページ目の(1)のところに元々、この専門調査会が開かれた趣旨に書いてありますし、それからその検討の背景として、5ページ目の2.のところでは、いろいろ書いてありますけれども、例えば第2パラグラフの冒頭でこういう要請があってということが書いてありますし、それから9ページ以降のところでも、今も述べたような観点から検討してきたと、そういう趣旨が、それ以外にも、再三その点については触れていますので明確になっているかと思います。
 それから、この図については、説明の便宜のために模式的にしたものなので、これが不適切であれば、別にこれはここの場だけの資料ということでもよろしいかと思います。
 3番目の既存でできない部分はどこかというお話ですが、これは14ページ以降、それぞれ医療機器の作動方法、それから医薬の新効果発現方法の中で、本日の説明では@からBは省略したんですが、新しいニーズとして、あるいは方法論の特許が必要だという要請と、それがどうしてできないかというのは、ここの@からABのところにそれぞれ詳しく説明しておりますので、今できないのはどういう部分か、できる部分はどういう部分かというのは書かれております。

○井村会長 見城委員が言われたことは、どうせいパブコメするんなら前文を付けますから、その前文でももう一度書いておいた方がいいかもしれませんね。

○見城委員 私は14ページのAの部分というのが一番核心であり、なおかつ堂々巡りをしている理由であり、大変議論をわかりづらくしている部分ではないかと思いますので、ここをもう少しポイントアップするというか、結局ここがたくさんの文章の中に紛れてわからなくなるよりは、ここをもう少し章立てして強調していただくか、ここは重要なポイントになると思います。

○井村会長 特許制度というのも人間がつくった制度ですから、完璧なものではないし、野中委員がおっしゃるように、問題もあり得るわけです。
 例えば、一番典型的なのはエイズの薬でしょうね。アフリカ諸国にどうするのか。これについては、限定された範囲で特許の侵害を認めて、それで途上国用の薬をつくるという解決をしたわけです。だから完璧なものではないと私も思っています。
 しかし、他方では、やはり特許があったために、非常に医学が進歩したという面があるのも否定できないわけでありまして、恐らく現在の医療機器なんかも、最初は特許で押さえられて、それで開発を進めてどんどんいいものにしていったと。そういうことではないかと思います。
 そこで、この専門調査会でお諮りしたかったことは、今までは物の特許だった、機械とか薬の特許だった。それをだんだんと拡大解釈して、方法もここに入れてやるんだというのは、やはり法制度としては無理があります。しかもこれからどんどん新しい医療が出てくる、それは先ほど上田委員が言われたように、我々の頭では想像できないような新しいものが出てくる可能性がある。
 その中で、方法にも特許をかけられるようにいたしましょうというのが、この専門調査会が発足した発端であったわけです。ただ、これは医療の特徴と言いますか、それは十分認識しないといけないし、医師の手を縛ってしまうということがあっては、日本の医療を歪めてしまうということで、ごく限定された範囲で方法の特許を認めるというのが大体の趣旨ではないだろうかと思っております。

○野中委員 例えば、審査技術の方で、ある程度検討することによって、それが解決できないだろうかと。あるいは、今、会長が言われたエイズの話も、実際のところでは、こういうふうな弊害があったけれども、それをどう解決するか。これは新しい技術とか物が発明されれば、その恩恵を被る人が出てくれば、必ずその人たちがあまねく治療を受けられなければいけないわけです。治療が受けられることが、新しい技術がかえって弊害されるということも考えられるわけですから、そういうふうな部分をどう解決していくかどうかという考え方を、こうやって悪影響を排除するんだということを入れていただかないと、それに関してはいつまでたってもそのものが前に進めない現状だろうと。
 私は、1案、2案が理解できる部分はありますけれども、その1案、2案の部分の中に悪影響というものをその中で、こうやって我々はそういうものに対して排除するんだとか、そういう視点を是非入れるべきであるし、従来もそういうことをどうやって克服していったのだろうか、それがまず専門調査としては、陰に隠れた悪影響をある程度調べてみたら、こういうことになっていたということを、そして、もしも片山委員が言われたように、まさにないんだということであれば、それは私は十分理解します。
 ところが、今までの議論の中では、私はその議論が、どうも調査もされていないということが一番懸念していることでありまして、いろいろ会長を始め、森下委員が言われることは、ある面では私は医師という仕事をしていますから十分理解はすることですけれども、やはり医療の現場の中で、患者さんに対してそういう新しい技術ができたからこそ、それが今度は悪影響にならないかということはいつもあるわけですから、そこを十分説明していただきたい。

○井村会長 それは、今までいろんな参考人の意見を聞く段階である程度は議論してまいりました。
 一番の悪影響として心配だったのは、医療費を高くするんではないかということだったわけです。しかし、これについては、参考人の慶応大学の先生でしたけれども、非常に狭い視点で見れば、そういうことはあり得るかもしれない。しかし、それによって、例えば患者さんの入院期間が短縮できるとか、あるいは寝たきりにならないで済むという効果まで入れて、いろいろケース・スタディーをやっておられるんですが、そうすると決して新しい医療技術が日本全体に悪影響を及ぼしているということはないという結論でした。

○野中委員 それは十分よくわかります。今、先生が言ったのは、それは活用なんですよ。

○井村会長 しかし、先ほどからるる説明しましたように、勿論特許というものは独占と排他があるわけです。それがなければ特許じゃないわけですから。ただ、それが医療の現場に及ばないようにする仕組みをいろいろ考えたつもりなんです。
 どうぞ。

○小島事務局次長 1点補足させていただきますと、仕組みの上で悪影響を遮断するということを考えたことに加えて、12ページ以下、5.の(1)ですけれども「特許保護を拡大する場合の影響や懸念に対する具体的対応」ということで、ここの場でもいろいろ議論がありました。ここでは、@からIまで10項目の影響、懸念についてどういうふうに対応すべきか、特許保護を拡大した場合にこういう対応をきちんとしていかなければいけないということを整理してありますし、特に運用体制の問題で「基準作成や審査実務などに対する医師による助言体制の整備」とか、これは13ページのHにありますし、更に、まだ現時点で予測できないような影響や懸念が出てくるかもわかりませんので、それは14ページのIでフォローアップ調査をきちんとした体制を組んで、産業界も関係省庁も協力した体制を組んでフォローアップ調査を実施して、それに対処していこうということで、悪影響について、あるいは懸念についてどうするかというのも、ここに特許保護の拡大と一緒に対応しようというのが基本的な考え方です。
 それから、野中先生から冒頭にご指摘のあった審査基準で対応できないかということですが、先ほど井村会長が方法論について特許保護を拡大していくという部分で、ここは制度的にとおっしゃられましたけれども、制度的にどういうふうに変えていく必要があるかというのは、別に法律改正ですべてしなければいけないということではなくて、現在の運用あるいは審査基準を変えていくということでも十分対応できるものもございます。その意味で、制度的な改革が必要だということは、必ずしも法改正、法律で対処するということと同義ではなくて、運用あるいは審査基準、その他で対応していくということも含んだ意味でございます。

○井村会長 予定の時間を少し過ぎてしまいまして、皆さん御都合もあろうかと思いますので、一応パブコメをやらせていただきたい。それで今日皆さんがおっしゃった御意見をできるだけ前文に生かしながら、パブコメができるようにしたいというふうに考えておりますが、あとは私に一任をしていただけるでしょうか。

○野中委員 前提条件というのが非常に大きな意味を占めています。パブコメというのは、だれがどういうふうに意見を言うのかどうか、それはわかりません。ですから、私はもう一回案1、案2、案3と、その辺の部分をどういうものをかけるのかどうかを各委員にもう一回確認をしていただかないと、その中の文章とか、その部分がどうも適切であるか、不適切であるかということが。

○井村会長 もし、御意見があれば事務局へ寄せていただいたらどうでしょうか。勿論、パブリック・コメントというのは、参考にするだけであって、どういう方がどれだけ理解して言っていただけるのか、それはわからないと思います。ただ、一般の人がどう考えておられるかということも知った上で、最終的に我々が意見をまとめるということは非常に重要なことでありますから、そういう意味でパブコメをやらせていただきたい。
 もしも今の文章でまだ問題点があれば、それは事務局へお寄せいただいて、書いた方がいいと私も事務局と相談して判断すれば書かせていただきます。

○見城委員 もう一回だけ確認させていただくと、上田先生がおっしゃっているアイデアが出たときのと、これが保護されないと言っていることは、14ページのAの表現では違うと思うんですけれども、こういう表現でよろしいんですか。

○井村会長 いや、アイデアは今のところはまだ認めていないんです。そういうふうにしたいというふうに上田先生はおっしゃったんだけれども、皆さんの意見を伺って、余り一気に広げるのはいかぬということで、そこは認めていないんです。

○見城委員 おっしゃっていることは「医師の行為に係る技術」という表現でよろしいんですか。新しい治療方法を具現化するアイデアとか、それを実際に新しい医療機器と結び付いていけば、今の流れでできると思うんですが、ここで「医師の行為に係る技術」という表現になるとNGが出るんだろうと思いますので。

○上田委員 今回の議論全体をながめたときに、これしか仕方がないだろうという意味です。

○井村会長 上田委員、森下委員なんかはもっと広くやれという御意見だったと思います。しかし、いろんな方の御意見をいろいろ伺って少し後退しているわけです。そこは医師の医療行為はきっちり線を引いてしまって、そこには影響しないようにしようということで後退していますから、さっき上田先生の言われたのは願望であって、今すぐではないと。しかし、そういうふうにしてほしいというのが上田委員の意見ではないかと。

○上田委員 そうです。

○見城委員 こういうふうな治療方法ならよりいいのにと考えることと、医療行為とは別でしよう。そう思うんですけれども、ここでは全部それが医療行為と言われるから、すべてここでストップしてしまうんではないかと思うんです。

○井村会長 それは医者がやらないといけないとなると、今のところは特許の対象にはならないわけです。機械屋さんがやるんだったらいいですよ。

○見城委員 アイデアを出して申請することはできると。

○井村会長 そうです。

○小島事務局次長 ですから、今、上田先生がこういうアイデアでこうやったらいい治療ができるというアイデアを、その治療方法そのままを特許にしようとすると、これは米国が行っているわけですが、これは今回はやらないということにしたということです。
 ただ、それを機能の形にして、あるいは機械の作動方法にして、あるいは医薬の方法にして置き換えたらいいことにすべきかどうかを議論してきたわけです。

○井村会長 限界が非常にあるんです。
 それでは、あと小島事務局次長から。

○小島事務局次長 事務的な連絡ですが、次回は11月22日の月曜日、午後4時から本日と同じ場所で行います。
 それから、先ほどパブリック・コメントの関係で、本日の議事録も一緒に公開して、本日の議論を反映させるということがございました。次回までにパブコメを行って整理するという時間の制約がございますので、議事録の確認は超特急でお願いしたいと思います。1週間ぐらいで仕上げないとパブコメの時間が取れませんので、超特急でお願いします。事務局から再三催促が行くかと思いますが、よろしく御容赦のほどお願いします。

○井村会長 それでは、予定の時間を大分過ぎまして申し訳ありませんでした。これで終わります。