インターネット上の著作権侵害コンテンツ対策に関するワーキンググループ
(第7回)

 
平成22年5月18日(火)
15:00〜17:00
於:知的財産戦略推進事務局会議室
議 事 次 第

 

1.報告書(案)について

(配布資料)
【資料1】インターネット上の著作権侵害コンテンツ対策について 報告書(案)
(参考1)インターネット上の著作権侵害コンテンツ対策について 中間取りまとめ
     (3月24日策定)


午後3時00分 開会
○土肥座長
 ちょうど時間でございますので、ただいまからインターネット上の著作権侵害コンテンツ対策に関するワーキンググループ第7回の会合を開催いたします。
 本日はお忙しい中ご参集いただきまして本当にありがとうございます。
 本日は、その他の論点ということで、最終報告書(案)を事務局から説明していただきまして、その後、この資料に基づいて意見交換を行いたいと思います。
 それでは、早速でございますけれども、その他の論点について最終報告書(案)を事務局から説明をお願いいたします。

○奈良参事官
 それでは、ご説明いたします。
 資料1をごらんください。
 参考1のほうにつきましては、これまで既に中間取りまとめという形でご議論いただいたものでございます。
 資料1をごらんいただきたいと思いますけれども、まず最終的な報告書の形としては、まず「T.はじめに」といたしまして、これまでアクセスコントロール、それからプロバイダの責任のあり方について議論をしてきた、そして中間取りまとめを行った、その他の課題ということで以下の3点のことについて論点整理を行ったということを書いてございます。
 2ページ目にまいりまして、このTとWの間には先ほどのプロバイダとアクセスコントロールが入りますけれども、その他の課題ということでWを始めてございます。
 まず最初に、「リーチサイトによる著作権侵害への対策について」ということで、個別の著作権侵害の問題について述べております。四角囲いのところが今回書きおろしました全体の要約ということでございます。
 読み上げますと、「別のサイトにアップロードされた違法コンテンツへのリンクを集めたリーチサイトが、違法コンテンツへのアクセスを容易にし、著作権侵害を助長・拡大している。これらの一定の行為については、著作権侵害に該当する場合があると考えられるが、その範囲の明確化を図ることが重要である。このため、著作権の間接侵害についての議論の中で当該行為の位置づけを整理していくことが必要である。また、特に悪質で違法性が明確と考えられるサイトについては、プロバイダと権利者が協同して進める侵害対策措置の一環として、削除等の値策を検討することも必要である」ということでまとめてございます。
 まず、具体的には(1)といたしまして「問題の所在について」ということでございますけれども、これは前回の素案の段階から大きく変更点はございませんけれども、このようなものが著作権侵害の拡大あるいは助長しているということ、それからリンクの様態としてはさまざまなケースがあり、トップページに飛ぶものから直接飛ぶもの、あるいはその対応といたしまして、一見、動画共有サイトと同様に見えるようなものでありますとか、あるいは本人自身がサーバーを持ち、サーバーにアップロードし、そしてサイトも設けるというような形態など、いろいろあるということでございます。
 3ページにまいりまして、このような現状といたしまして、まずサーバーでございますけれども、サイトは海外じゅうに置かれたサーバーにあるということ、なおかつ外部から発見されにくいということで、これらを取り締まることが難しい状況にあるということでございます。
 一方、そのリンク行為自体でございますけれども、一般には著作権侵害には該当しがたいということでありますけれども、しかしながらこの著作権侵害の上で誘導経路として必要不可欠の役割を果たしていると、場合によっては利益を得ている場合もあるということを書いてございます。そこで、このような行為の規制につきまして論点を整理したということでございます。
 (2)の現行制度のところでございますけれども、前回の議論を踏まえまして、まず現行制度上、差しとめ請求が認められるか否かということが明確でないということ、それから損害賠償請求に関してでございますけれども、著作権侵害の不法行為あるいはその幇助ということで構成することが可能であるということで整理をいたしました。
 それから、プロバイダ責任制限法の運用上でございますけれども、一般的には侵害性が明確となっていないリンク行為については、その削除の対象になっていないということではございますけれども、3ページから4ページのところでございますけれども、最近では一部権利者からプロバイダに対して削除要求が行われ、一部のプロバイダでは削除に応じるケースもあるということについて述べてございます。
 そして、(3)の国際的動向でございますけれども、ここは米国におけます一般的な間接侵害に対する考え方について新たに記載をしてございます。
 そこで、(4)の問題の整理のところでございますけれども、一定のリンク行為については著作権侵害に大きな役割を果たしているということでありますけれども、その範囲というものが明確でないことから、その明確化を図っていくことが重要であるとしております。
 例えば、いろいろなケースを述べてございますけれども、例えば上記(1)の(B)であって@のケースというのは、具体的には直接リンクをしておって、動画共有サイトと一見変わらないような例、こうしたものについては実質的な発信者とみなして公衆送信権の侵害ととらえるということが可能であると考えられるというふうに幾つか例を述べておりますけれども、いずれにしろ著作権侵害となるケースが明確ではないということがございます。
 それから、5ページにまいりまして、他方、反対の観点から、いわゆるリンクを張りつける行為ということが一般的によく行われているということで、こうした行為に対しまして、萎縮を招かないようにするという観点からも明確化する必要性があるということでございます。
 それから、著作権侵害として認められる要件のイメージといたしましては、違法サイトへの誘導を目的としていることが客観的に明らかであること、また各リンクによる侵害を認識しているというふうに認められるということなどが考えられるのではないかというふうに思っております。
 それで、最終的にはまとめといたしましては、こういった一定の行為については現在検討が行われている著作権の間接侵害の要件や差しとめ請求権のあり方の議論の中で位置づけを整理していく必要がある。また、特に悪質で違法性が明確と考えられるものについては、削除等の対策を検討することも必要であるということでまとめております。
 それから、6ページ、次の2つ目の課題といたしまして、全般にわたる救済の問題ということで、損害賠償額の算定を容易にする方策について述べてございます。これまでの意見の集約ということで、四角囲みの中でございますけれども、インターネット上の著作権侵害については、特にファイル共有ソフトを経由した場合にはどの程度拡散したかが不明であるなど、損害額の算定が困難であるという問題がある。
 原告の立証負担の軽減あるいは効率的な訴訟の進行の観点から、例えば一定額を法律上定め、原告が訴訟提起に当たり、定額の賠償を選択することを可能とする制度については一定の合理性が認められる。しかしながら、我が国の法体系全体の中での整理あるいは現行制度の検証等についてさらに検討する必要があるということでまとめてございます。
 なお、現行制度のもとでも損害賠償額の算定を容易にするために、流出した場合の拡散状況あるいは販売額への影響度合いについての調査等を通じ、判例が蓄積されるということも重要であるということでまとめてございます。
 まず、(1)の問題の所在のところでございますけれども、特にインターネット上ではどの程度の規模が第三者にダウンロードしたかということを把握することが現実的に困難、またみずからの金銭的利益を目的としない場合も多いということでございます。
 特に最近、P2Pによる被害が依然として終息の兆しが見えないということがございますし、また高精度の動画のファイル交換も可能になっているというような状態がございます。
 現行制度でございますけれども、6ページから7ページのところでございますけれども、現行著作権法第114条第1項において、ごらんのような推定規定がある。あるいは、第114条の5におきまして、裁判所が相当な損害額を認定することができるというような規定があるわけでございます。
 (3)の国際的動向でございますけれども、アメリカ、カナダ等において法定損害賠償制度というものが設けられているということでございます。
 そこで、問題の整理でございますけれども、まず最初の丸といたしまして、インターネットの著作権侵害の算定に当たっては、受信数が不明など、性格上大きな混乱を伴うという現状がございまして、何らかの方策を検討する必要があるとしております。
 8ページにまいりまして、まず現行著作権法114条の5等から柔軟に対応することは可能であるという声もありますけれども、その算定根拠を整理していくということが必要で、引き続き立証負担の問題が存在しているということでございます。
 なお、こういった観点につきましては、実損額の算定が難しいという問題につきましては現行法でも対応可能であって、あとは当事者が工夫して訴えを提起すべきという意見もあったところでございます。
 それから、2つ目の丸のところでございますけれども、また具体的な金額があらかじめ明らかになっているということで、一定の抑止効果が働きやすくなるという指摘もございました。一方で、この点につきましては、懲罰的要素を含めることになるので、我が国の法体系からはなかなか難しいという意見もございました。
 それから、3つ目の丸として、積極的なご意見として、損害額の算定が当然難しいということ、それから訴訟コストの問題から、侵害につきましては、侵害者のし得になっているという指摘もございました。
 それから、現行の114条の5でございますけれども、実際に認定するに当たってはなかなか難しい面があるという指摘もあったところでございます。
 以上、まとめのところでございますけれども、一定の合理性は認められるということではございますけれども、なおさまざまな課題について検討する必要があるということでございますけれども、例えば一定の損害賠償額ということを定めた場合の根拠、それから民法の損失補てんとの関係あるいはほかの法律とのバランス、こういったものについて整理して引き続き検討する必要があるというふうに整理をしてございます。
 それから、9ページのところでございますけれども、制度化に至らない実質的なアプローチということで、業界単位で調査を行い、拡散状況あるいは販売額の影響度合いについて調査すると、これによって損害賠償請求を行って判例が蓄積されていくということも重要だということでまとめてございます。
 それから、最後、3点目のインターネット上の反復的な著作権侵害行為ということで、いわゆる諸外国で3ストライク制度というような制度が導入されていることについてどう考えるかということでございます。
 四角囲みの中でございますけれども、フランスや韓国などでは、インターネットへの接続の制限、これはフランスでございますけれども、あるいはそのアカウントの制限ということが導入されているところでございます。
 こういった常習的な悪質な侵害者に対して社会全体で取り組むということは重要な課題であるという認識がございましたけれども、またこうした制度というのは特にファイル共有ソフトを通じた侵害には有効な対策ということでございました。
 しかしながら、実効性の確保の観点、それから自由の一定の制約とのバランスの観点、さらには現行制度における警察の取り締まり効果、それから諸外国においてもまだ始まったばかりでございますので、その効果等を見きわめながら、さらに検討を行う必要があるということでまとめてございます。
 それから、直接、法律に基づく制度ではございませんけれども、一部プロバイダにおきましては自主的な取り組みとして、契約約款におきまして、侵害行為者に対して接続制限等の必要な措置をとることを定めているところでございますので、こうした自主的な取り組みというのが重要でございますけれども、通信の秘密との関係で許容範囲が明確でないということがございますのでその明確化、あるいは手続も含め、検討する必要があるということでまとめてございます。
 (1)の問題の所在につきましては、特に今P2Pによる被害が深刻化しているという点で、フランス等でこういったものへの対策が検討されているところであります。
 そして、10ページでございますけれども、ここでは特にインターネットによる接続の制限の措置ということについて論点整理を行ったということで整理をしてございますけれども、まず(2)の現行制度のところでございますけれども、まず差しとめ請求ということについて言えば、将来に向けたすべてのインターネットへのアクセスを制限するということは一般的には難しいと考えられている。
 2つ目の丸で、電気通信事業法上、ユーザーの利用行為停止を命令する仕組みはないということでございます。
 それから、前回のご意見を踏まえまして、類似の警告を無視した場合にどのように対処するかということについては、現時点ではスキームが固まっていないということで、1回目の警告の後に、次には刑事告訴あるいは民事訴訟ということで、中間的な措置が必要という意見もございました。
 これにつきましては、当該侵害が何回目の侵害となるのかということが把握できないということがその一因であるという指摘がございました。
 それから、一部のプロバイダにおきましては、規約を整備しているところもございますけれども、利用の公平性あるいは通信の秘密、具体的にはIPアドレス、タイムスタンプと特定個人への割り当ての記録の照合といったところが通信の秘密等の問題が生じ得るということで、その範囲が明確になっていないというのが現状でございます。
 (3)の国際的動向につきましては、フランスにおきましてインターネットを接続する制度、あるいは韓国におきましてサービスへのアカウントの停止ということなどが設けられているということについて整理してございます。
 そこで、(4)の問題の整理ということでございますけれども、先ほど申しましたとおり、ここで前回のご指摘も踏まえまして、インターネットへの接続を制限する措置ということ、それからそのサービス、例えばそのアップロード等のインターネットサービス、例えば動画共有サイト、こういったもののアカウントの利用する制限の措置ということを区別すべきではないかということがございまして、特にその接続の遮断ということについて言えば、P2P対策の観点から実効性が高いということがございますので、以下はインターネットへの接続の遮断の制度の可否について特に検討、整理してございます。
 そこで、12ページでございますけれども、まず法的構成というところでございますけれども、制裁的措置の可能性ということでございますけれども、2段落目のあたりでございますけれども、抑止的効果ということを期待しているものとしては第一に刑罰があるということでございますけれども、近年は警察の取り締まり強化によってある程度執行されているということで、新たな刑罰を導入する必然性は必ずしも高くないという指摘もございました。
 そこで、我が国においてこういったことを構築するという場合には、現行の取り締まりで言えば刑罰では実効性が期待できない、そのために新たな制裁措置を必要とする、足るに相当の理由があるかどうかという観点から検討する必要があるということで整理をしてございます。
 それから、2点目の「差止的措置としての可能性」ということでございますけれども、これは、仮にこういう制度を設けますと、個別の著作権侵害の是正を超えて、広く私人の行為を制限するという性格でございますので、慎重な検討が必要だということで整理をしてございます。
 また、3点目といたしまして実効性の確保の問題でございますけれども、12ページから13ページということで、ほかのプロバイダへ乗りかえが可能、あるいはほかの手段によってインターネットを使うことが可能であるんじゃないかということ、それからそういったことを防止しようとすれば、ブラックリストの作成ということが考えられるわけでございますけれども、この点については個人情報保護等との関係から慎重な手続が必要だということ、また仮にブラックリストを作成しても成り済ましが容易であるということで、全く完全に停止するということはなかなか現実上難しいという問題がございます。
 それから、仮に制度を設けても、実際には謙抑的に対応せざるを得ないということもございます。
 それからまた、接続を遮断するということになりますと、だれが何回侵害したかというようなことを公的な機関によって一元的に収集するという必要もございますので、その社会的負担ということも必要になってまいります。
 そこで、総合的な考察ということで、こういった著作権侵害に対しまして、常習的な悪質侵害者に対しまして社会全体として取り組んでいくということは重要な課題だと。特にP2Pによる著作権侵害については、接続の遮断ということが限られた有効な対策の一つであるというふうに言えるということでまとめてございます。
 他方、先ほど申しましたとおり、実効性確保の問題、それから14ページにまいりまして、その実効性を有するに値するような、そういった行政機関を設置する必要性があるのかどうかというようなこと、それから警察による取り締まりとしての比較、それから自由との制約とのバランスというようなさまざまな観点から検討する必要があるということでございます。
 このため、現時点で直ちに導入について結論を出すということは時期尚早であるというふうに考えられますけれども、今後の被害の深刻度合い、あるいは既存の対策の実効性、それからフランスや韓国におきましてもまだ始まったばかりということでございますので、その効果というものを見きわめながら、今後とも引き続き検討する必要があるというふうにまとめてございます。
 そして、法律上の話ではございませんけれども、さらに当事者間の契約ということの問題といたしまして、一部の接続プロバイダにおきましては契約約款においてアクセス接続の制限等が規定されているところでございます。
 しかしながら、一方で利用の公平性あるいは通信の秘密の問題につきましては、そもそもIPアドレス情報とアカウント情報の照合が通信の秘密に該当し得るのか、仮に該当するとしてもどこまで正当業務行為として許容されるのか、こういった点について必ずしも明確になっていないということがございますので、許容範囲の明確化、必要となる手続も含めて検討する必要があるということで整理をしてございます。
 そして、さらに補足でございますけれども、アカウントの停止でございますけれども、これにつきましては、インターネットへの接続の遮断と比較しては非常に自由度の制約が少ないということがございます。また、オークションサイト等においては既に実施をされているところでございますので、これにつきましては規約の整備、そして的確な実施を促進するということが必要であるというふうにまとめているところでございます。
 以上でございます。先生方のご意見をお伺いできればというふうに思っております。よろしくお願いいたします。

○土肥座長
 どうもありがとうございました。  それでは、今のご説明に基づきまして意見の交換を進めていきたいと存じます。
 3つございましたので、順番にまいりたいと思います。
 まずは、リーチサイトによる著作権侵害への対策についての部分についてご意見をいただければと存じます。資料の2ページから6ページまでの範囲でご意見をいただければと。
 北山委員、お願いします。

○北山委員
 まず、1の括弧の中のアプローチの仕方として、著作権の間接侵害についての議論の中でどういう位置づけに整理していくかが必要だというまとめがあります。
 それと、以下の説明の中で、著作権の直接的な侵害と間接的な侵害、4ページのところで、問題の整理のところで「直接的にせよ間接的にせよ著作権侵害となるケースもあり得る」と。
 それから、同じく4ページの「なお」のところで「直接的な侵害か間接侵害か否かという区別は相対的な区別に過ぎず」、つまり括弧の中では、間接侵害からアプローチするんだと言っておきながら、説明の中では、直接的か間接的かというのは非常に微妙なんだと、こう言っているわけで、括弧の中と以下の説明の中に整合性がないのではないかという疑問が1点でございます。
 これは、私は、要するに説明の括弧の中ではなくて、説明の中の、つまり直接的か間接的かというのは相対的なものであるし、直接的な場合もあるし間接的な場合もあるという、そちらの説明のほうが正しいというように思います。
 それからもう一点は、3ページの「現行制度について」のところで、これはちょっと小さい問題なんですが、最初の丸なんですが、「ケースによっては、著作権侵害の共同不法行為或いはその幇助」、つまり「或いはその幇助」ということは共同不法行為の幇助ということになるわけですが、幇助は共同不法行為の一態様ですから、ここは著作権侵害の共同不法行為として「(民法719条・とりわけ幇助)」というようにしたほうがいいのではないかというふうに思います。2点です。

○土肥座長
 ありがとうございました。
 2点目はそういうことと思いますけれども、1点目ですね、括弧書きのところですが、この書き方は、間接侵害については議論の中でという、これは場面を言っている、ステージを言っているんだろうと思うんです。そういう検討する場があると、そういう場の議論の中でこの問題の位置づけを整理していくことが必要であると、そういうことではないかと思っているんですけれども、そういうことからすると特にどうでしょうかね、委員のご懸念というのは。

○北山委員
 そうすると、著作権の間接侵害についての別のワーキンググループでやっている議論の中で、それが直接侵害の場合もあるし間接侵害もあるんだというようなことがそこで議論されるからそれでいいんだと、こういうことですね。

○土肥座長
 そこで整理していくことが必要であると、そこで議論してもらうことが必要であるというのがこのペーパーの考え方というか、事務局、何かありますか、今のところ。

○北山委員
 このリンクは、余り間接侵害にそれほどこだわらなくても、別にリンクも共同不法行為で直接侵害の場合が多々あるわけですから、間接侵害の場面だけから検討するという必要はないのではないか、それは要するに共同不法行為になって、それが直接侵害か間接侵害かというのは、それは瑣末な問題じゃないかというふうに私は思いますけれども。

○奈良参事官
 この点につきましては、まず今、著作権の間接侵害の中で、著作権の間接侵害ということで、どういう要件の場合に差しとめ要求が認められるかということについてまさに議論をしている最中でございまして、そういった場の中ではこういったケースも視野に入ってくる。そういったものが整理されれば、これは該当する、該当しないということがおのずと整理されてくるのではないかということで、議論する場として、まずここの場で検討するのが適切ではないかというのが皆様のご意見だったというふうに私は理解をしてこのように整理をしたところでございます。

○北山委員
 それで、そうすると間接侵害の中で検討した結果、こういう要件がある場合は間接侵害だというように決まりますね。しかし、その間接侵害から漏れた直接侵害の場合に共同不法行為として、少なくとも差しとめは別にして損害賠償請求の対象になる場合があるというケースは残るんじゃないんですか。

○戸渡次長
 今、先生からご指摘いただいたとおりだと思います。
 それで、今の著作権法の中でも、いわば直接侵害の部分については差しとめ等も可能になっていると。そうじゃないような部分について、リンク行為が直接侵害ではないというような場合にも、差しとめとか、そういった対象にできるような部分としてどういうところがあるのかという、そういうことについて、今、著作権について検討いただいている間接侵害についての整理の議論の中で、こういうリーチサイトのような事例も対象として整理していただきながら、どこまでが間接侵害になるのかというような整理をしていただければ、現行法でも直接侵害に該当するような場合については対応できるし、間接侵害の範囲を明確化することによって、よりその外縁がはっきりしてくる。そういう中で、このリーチサイトの問題についてもあわせてご議論をしていただいてはどうかというご趣旨だったかということでこういう整理をしてございまして、著作権の間接侵害についての議論の中でというのは、議論の場においてという、そういう趣旨で書いた記述をしておりますけれども、わかりにくければまた修正をさせていただきたいと思いますが。

○近藤局長
 今のお話を伺っていて、ここにもうちょっと言葉を補って、著作権の直接侵害の場合には今でもいろいろなことができるんですと。ただ、間接侵害の場合にどこまでできるかということについて、いろいろな議論があるという観点の中でリーチサイトをどこまで、間接侵害であってもどうとらえていくかという観点においてはこうなるんですということをもうちょっと言葉を補って、それでやれば正しく理解していただけるんじゃないですかね。
 すみません、私ももうちょっとよく読んでおけばよかったんですが、今ご指摘を伺っていてまことにそのとおりだとも思うので、ここのところにもうちょっと、もう1行ぐらい言葉を補って、ちょっと丁寧に案をつくって、座長にも見ていただいてというのをちょっと考えてみたいと思います。

○土肥座長
 いずれにしても、直接侵害と言う以上は、そこで複製とか何か公衆送信とかが行われている、そういうケースを想定するんだろうと思うんですけれども、あくまでもこれはリーチサイトの話ですので、したがってやっぱり議論のアプローチからすると、いわゆるここで言う間接侵害の議論とのほうから攻めていくというのがどちらかと言えば筋じゃないかと思うんですけれども。
 どなたかこの点、山本委員、どうぞ。

○山本委員
 この四角で囲んだところの表記の仕方が、ご指摘のようなちょっと誤解されるところがあると思うんですけれども、表記の仕方はそれにあわせて変える必要はあるとは思うんですが、ここでの意図はここで議論されたことの反映だと思いますので、その文脈で申し上げると、このリーチサイトの問題をどういうふうにアプローチしていくのか、特にリーチサイトだからというような特別な規制の枠組みを立てるのかというとそうじゃなしに、この直接侵害や間接侵害という従来の、従来といいますか通常の枠組みの中で処理されていく問題だという、そういう議論があって、それがここで著作権の間接侵害についての議論の中でというような表記に落ちついたんだろうと思いますので、もしそのご懸念のような点があるのであれば、多少の表記は変えても、趣旨的にはそういうことですので問題ないのかなというふうに思います。

○土肥座長
 いずれにしても、ここの議論の中でというのは、これは私、確認をしていただきたいと思うんですけれども、法制小委の中のワーキンググループの中で、ワーキングチームで検討していただいている間接侵害のそこでの議論という認識なんですけれども、ここは皆さん違いますんでしょうか。
 どうぞ。

○山本委員
 私はそのワーキングチームの中におりますので申し上げますと、別にリーチサイトの場合はどうかというような議論はやっておりません。ですから、リーチサイトだからどうかとかいう問題ではなしに、もっと一般的な間接侵害についてのアプローチの仕方というのは検討しております。
 ですから、そういう意味では間接侵害についての議論の中でリーチサイトの問題も検討すべきだという意味だったら、それはやっておりませんので事実に反することになります。

○土肥座長
 だから、やっていただきたいと、そういうことになるんですけれども。

○山本委員
 だから、ここでの議論も申し上げたように、リーチサイトの問題は別に考えるべき問題なのかというとそうじゃなしに、一般的な間接侵害の責任範囲をどう考えるのかという問題であって、リーチサイトを別に累計的にやらないといけないというような問題じゃないように思います。

○土肥座長
 ほかにどうですか。

○北山委員
 余り大したものじゃないんですけれども、間接侵害の場面に持っていくと、議論が非常にわかりにくくなるというマイナス面が僕はあると思うんですよね。リーチサイトでは、要するに原則は幇助ですから、直接的にいけば民法719条の共同不法行為で直接の不法行為なんですよ。だから、そっちからいったほうが本当はわかりやすくて、その幇助的な行為を例えば著作権法なら著作権法で特に間接侵害とかいって規定しているわけですね。
 だから、その規定の間接侵害の規定の仕方のわかりにくさよりも719条ですぱっといったほうが非常にわかりやすいというところがあるものですから、ちょっと僕はこだわっているわけですが。

○土肥座長
 どうぞ。

○山本委員
 共同不法行為ですぱっといけるのはおっしゃるとおりなんですが、それは損害賠償という局面であって、差しとめについては、共同不法行為だから差しとめを認めるというのは一般的な意見じゃございませんので。

○北山委員
 それは当然。僕は損害賠償請求に関して言っているわけだから。

○山本委員
 ここではその損害賠償だけではなしに、差しとめについてもこれは議論の対象になっていると思いますので、その局面については、やっぱり間接侵害の問題として差しとめについても検討しないといけないということに当然なるんだろうと思います。

○北山委員
 それはそのとおりです。

○土肥座長
 ほかに何かございますか、この点。

○北山委員
 何しろ間接侵害については、私の聞いているところによると何かもう4年ぐらいとにかく議論しているというように聞いているんですよ。それぐらい難しい問題だというように外から見ていると思うわけですよね、それぐらいかかっているわけですから。
 だから、今言われたように、差しとめと損害賠償という問題があるんですけれども、もちろん差しとめの関係では著作権侵害に持っていかなきゃいけませんから、共同不法行為のみではだめですから、損害賠償に関して言えば、やはり719条でいったほうが非常に素直だというのが僕の考えなんです。

○土肥座長
 委員ご指摘のところの部分について、恐らくこの委員の中でその部分については皆同じ、同一の見解だと思うんですね。
 問題は、そういうまとめサイトなりこういうリーチサイトというようなものをとめるという、そういう場合に、やはり権利侵害という、そこのところが必要になってまいりますので、著作権のですね。

○北山委員
 その間接侵害を外せと私は言っているわけではなくて、今、近藤局長がおっしゃったような訂正の仕方をしていただければそれでいいかなというふうに思います。

○土肥座長
 わかりました。その部分については修正するようなことで考えてみたいと思っております。
 ほかにございますか。
 いずれにしても、そういう場で議論していただく重要性というのは、それはもう皆さん共有していただいたと思っておりますので、そこは生かすような形にいたしたいと存じます。
 ほかにございませんか、このリーチサイトの問題として。
 北川委員、どうぞ。

○北川委員
 これは表題的にリーチサイトというふうに書いてあるんですけれども、リーチサイトを定義することが私は非常に難しい、あるサイトがあったと、これがリーチサイトかどうなのか、非常に難しいというふうに感じるんですけれども、一般的には違法コンテンツがずらりと並んだものをリーチサイトと呼びましょうということにした場合に、これはどんどんあるルールを決めると、それを逃れるような行為がどんどん行われるということは容易に想像ができて、例えば違法のリンクでないものを非常にたくさんそこへまぜて、違法なものをまぜてやると、それは個人のレベルでも幾らでもできるわけですね。
 例えばブログでYouTubeにリンクするなんていうことはみんなやっているわけで、その中にまぜてしまうとか、あるいはリンクといってもリダイレクトみたいなものがあるわけですし、いろいろな形でこのリーチサイトを定義しようとしたときに、その定義を逃れる行為というのは次から次へと発生してくると思うんですが、そのあたりをとらえることというのは果たしてできるのでしょうか。
 その切り分けが非常に難しいという印象が私にはあるんですけれども、そうなるとリーチサイトを特別に取り上げてやるということ自体はなかなか難しいかなという意味で、山本委員がずっと言っておられることに対して、ちょっとそういうのが本心なのかなという気がするんですが、そのあたりはいかがなものでしょう。

○土肥座長
 今の山本委員に対するご質問ということにもなりますか。

○北川委員
 ええ、そういう意味からしても、一般的な枠組みで扱う以外ないのではないかなという気がするんですけれども、そのあたりについては、やっぱりこれはリーチサイトだと今はわかりますけれども、リーチサイトを取り締まり始めた途端にいろいろなことが起こってくることは容易に想像できますので、そのあたりがなかなか難しいかなと思うので、逆に言えば、そういう間接侵害、直接侵害の枠組みの中で一般的にとらえておいたほうが法的な道筋というか、解釈の仕方としては有効性が逆に高いのではないかというような気がするんですけれども。

○土肥座長
 これ、リーチサイトにお詳しい方、どなたか今のことにフォローしていただければと思いますけれども。
 事務局は何かありますか、今のところ。つまり、いろいろな態様のものを検討していくというようなことは当然想定されるんだけれどもという。

○奈良参事官
 委員ご指摘あったとおり、ここにも書いてございますけれども、リーチサイトの様態にもいろいろなケースがあるということは前回お示しをさせていただいたところでございますし、いかようにリーチサイトということを言ったとしても、それを定義すると、どこまでが違法なリーチサイト、これはオーケーということを明確に定義するということはなかなか難しいのではないかなというふうに思っておりまして、しかしながら一般的な要件として、例えば客観的にこういうようなケース、あるいは主観的な要件、こういったことをおおむね定めていけば、ある程度少し類型化なりはできるのかなというふうには思っていますけれども、いずれにしろ、できるだけその範囲というものを狭めるといいますか、そういう努力をするということは必要ではないかというふうに思っております。

○土肥座長
 ここの本日検討していただいているその他の課題というのは、これまでの2つの問題とは少し違って、今、北川委員がご指摘のようなそういう問題点の整理といいますか、リーチサイト一つ取り上げたとしても、それをどう定義といいますか、性格付けるか、そういったことも議論の前提として非常に重要な問題であると、そういう論点整理的な性格の非常に強い部分でございます。じゃそれから具体に一定の方向性を伴って今後どういうふうに議論すべきであるとまでは考えておりません。
 したがいまして、今のようなご意見というものも踏まえてこの案をまとめていくということになろうかと承知しております。
 ほかにございますか。よろしゅうございますか、1の点は。いわゆるリーチサイトについてという部分についてよろしければ、6ページ以降の損害賠償額の算定、定額賠償制度の部分についてのご意見を承れればと思います。9ページの頭までということでございます。
 山本委員、どうぞ。

○山本委員
 この四角の枠の中の最後のなお書きのところなんですけれども、ここの意味がわかりませんのでちょっと教えていただきたいと思います。
 ここでは「違法コンテンツが流出した場合の拡散状況や販売額への影響度合についての調査等を通じ」と書いてあるんですけれども、これ、後ろのほうを読むと、業界によるその調査の話なんですけれども、それを通じて判例が蓄積されることも重要であるというのは、その調査と判例の蓄積がどういうふうに結びつくのかが、実際に裁判をやっている実務家の側から言うと、これは何を言いたいのかよくわかりませんので、何が重要なのかもよくわからないんですけれども、調査でわかるのは実態であって、判例を積み重ねるといっても、そのルールについて積み重ねられるというようなことはあると思うんですけれども、この調査、だから事実の問題と判例、つまりルールの問題と、趣旨がそういう意味でよくわかりません。

○土肥座長
 ご指摘のところはよくよくわかりました。その部分についてこの時点で何か山本委員はこのつながりについてご意見ございますか。

○山本委員
 このなお書き、そういう意味では要らないんじゃないのかなと。重要だと言われても、重要な中身がわからないのであれば無意味ですので、やめておいたほうがいいんじゃないかなというふうに思います。

○土肥座長
 いやいや、これがかなり損害賠償額の算定を容易にする方策として、今後検討される上での一つの問題点の指摘の部分になるはずのものでありますので、とるというよりも、ここのところは残す形でまとめていただいたほうがいいのかなというふうに思います。
 つまり、要するに現実問題としてネットに例えばあるコンテンツを乗っけて、それが1回乗っけられたことによってどういう拡散状況をするかというのはわからないわけですよね。それが、例えば10回ダウンロードされたので掛ける10というようなそういう逸失利益、そういったものの算定にもつながっていくんだろうと思うんですけれども、乗っけられただけではちょっとそういうところはわからないものだから、そういうところへの調査、何らかの前回の北川委員で言うところの世論調査でなくて、そういうような国勢調査というようなことをおっしゃっていただきましたけれども、いずれにしても、そういうある程度具体的な数値の積み重ねみたいなものが今後にとって役に立つのではないかという、そういう議論がここで行われたように思っておりますが、いかがでしょうか。

○山本委員
 まず、調査をやるというのは、それはそれなりの意味があると思いますけれども、しかし実際にその裁判を考えた場合に、実態の調査があって、多く利用されているものはこういうものです、中くらいはこれぐらいです、少ないものはこれくらいですというような実態の調査はあるかもしれません。しかし、裁判上は、問題になっている原告の著作物がどれだけ利用されたのか、つまり今のやつで言うと多いのか少ないのか中間なのか、それを立証する必要があるわけであって、この調査というのが別にそれ自身、証明が不要になるわけではありませんし、そのこととこの判例の蓄積というのはどういうふうに結びつくのかが全く私にはわからないんですが。

○土肥座長
 だから、個別のケースについて、そういう今おっしゃったような立証ができて、裁判の判断が一つ出ると、そういう判断が幾つか繰り返されていって、一定の蓄積がなされると、こういうつながりだろうと私は思っておりますけれども。

○山本委員
 個々の権利者といいますか、訴訟をやる当事者としては、自分の著作物についてはどれだけ侵害があったのか立証しないといけないというときに、過去の事例でこういうのがいっぱいありますと、いっぱいあることが重要だというふうにここは指摘されているんですけれども、いっぱいあるからといって、それが自分の事件に役立つのか、ルールの問題として判例理論ができるのであれば役立ちますけれども、事案として別の問題について判例の蓄積として役立つというのはちょっと考えられないんですけれども、私には。

○土肥座長
 どうぞ、宮川委員。

○宮川委員
 確かにご指摘のとおり、括弧書きのところは少しはしょっているかなという印象で、今のご指摘を受けてもう一度読み直して、「調査を通じて判例が蓄積」というのではないということはよくわかりましたが、9ページの上の1、2、3行あたりを読めばご趣旨もはっきりしますので、そういう方向で書いていただければよろしいんじゃないかなと思います。実際、弁護士として、私ではないですけれども、ほかのいろいろな先生方がいろいろな数字を使って、およそこうだろうということで山本先生がご指摘になったような問題点を乗り越えようと努力されているようなことも仄聞しておりますので、この程度はやはり入れていただけたらなとは思うんですけれども。

○土肥座長
 ありがとうございます。
 ほかに何かこの点に関してご意見ございますか。森田委員。

○森田委員
 ただいまの宮川委員の意見に私も同感ですけれども、囲みの中の「調査等を通じ判例が蓄積される」というところの説明が欠けているので、そこに一定のものが補われなくてはいけないと思います。結局、この種の損害額の算定ルールというのは、例えば、人身損害については、現在判例のルールというのがある程度確立しているわけですけれども、これは昭和40年代に交通事故や公害といった人身損害に関する事件が出てきて、多数の訴訟が提起され、特に東京地裁交通部などの専門部を通じて裁判例が蓄積された結果、一定のルールというのが形成されてきたわけです。そうなりますと、こういうケースではこういうふうに算定されるということが予測できるようになりますので、別に訴訟をやらなくても、裁判外で保険会社などが示談代行等でも算定できるようになっているわけです。そういう損害額の算定ルールが現に存在しているわけですが、これも法律に書いてあるわけではなくて、すべて判例法として形成されているものでありまして、そういうルールが形成されてくれば、法律に規定されていなくても事前に予測できるような形で明確になっているわけであります。それができるようになるためには一定数の判例が蓄積していなければいけないわけですが、判例が蓄積するためには、当事者が訴えを提起して損害賠償請求を行って、その訴訟活動の中で一定のデータを援用した損害額の主張立証を行う必要があり、またそれに応じて裁判所のほうも相当な損害額の算定についてさまざまな工夫、こういう算定のやり方があるのではないかといったように、ある種の概括的な認定をするという判決が幾つか積み重なっていく中で一定のルールが形成されてくるわけです。この囲みの中で述べられていることも、そのような判例の蓄積のプロセスを促すような努力を関係当事者がすべきであるという趣旨だろうと思います。それであれば、よく理解できることでありますので、そういうふうな理解ができるように、囲みの中の文章を多少補っていただければ結構かと思います。

○土肥座長
 ありがとうございました。
 ほかに。北山委員、どうぞ。

○北山委員
 結論的には同意見です。
 例えば、ここの販売額への影響度合いについて例えば原告側が立証した場合、裁判所がその判決理由を書くときに、例えば弁論の全趣旨によると、この件の損害は10万円であるという判決理由と、販売額への影響度合いがこれだけであること及び弁論の全趣旨によると1カ月10万円であると書いた場合には、後者のほうが当事者及び上級審に対する説得力は強いと思いますから、そのほうがベターであると。
 この前も言いましたように、相当な損害額、裁判所に何も資料がなければ、えいやとやらんと仕方がないんですが、そのえいやとやるときに少しでも根拠があれば、非常に判決理由が説得力を持つようになりますから、それはないよりもあったほうがいいというように私も思います。

○土肥座長
 ありがとうございました。
 ほかにございますか。
 それでは、山本委員のご指摘の部分も踏まえて必要な所要の訂正等をやった上で、この部分は生かす形で取りまとめてもらいたいと思います。
 それでは、最後の9ページ以降の反復的な著作権侵害行為への対策の部分でございますが、この点についてご意見ございますでしょうか。
 特にございませんか。よろしゅうございますか。
 特にないようであれば、こういう問題点を指摘して、ここでのワーキンググループでの取りまとめというふうにしたいと思いますけれども、よろしゅうございますか。
 それでは、1のリーチサイト、それから定額損害賠償額制度の記載部分については所要の見直しをしたいと存じます。
 以上の点について含めて、皆様のご意見はほぼ集約が図られておるというふうに思いますので、そのリーチサイトと損害賠償額の問題については、本日の議論を踏まえ、最終的な取りまとめというふうにしたいと思っております。
 具体の盛り込み方につきましては、座長であります私に一任いただきたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。

(「異議なし」の声あり)

○土肥座長
 ありがとうございます。
 それでは、皆様のご了解をいただきましたので、必要な修正を行った上で本ワーキンググループとしての報告書に取りまとめていきたいと思います。
 それでは、本日は第7回、最後ということでございますので、最後に近藤事務局長からごあいさつをいただきたいと存じます。

○近藤局長
 近藤でございます。
 土肥座長を初め、委員の先生方におかれましては本当にお忙しい中を7回にわたりまして、非常にタイトなスケジュールの中で、かつ非常に高い出席率でご審議をいただいたことを改めて感謝をし、お礼を申し上げます。
 この会議には、総務省、法務省、文部科学省、経済産業省からも出席をしておりまして、こういった形で突っ込んだ議論ができたことは本当に有意義だったと心から感謝を申し上げる次第でございます。
 3月の中間取りまとめ以降も非常に、さらに厳しい、難しい議論をしていただきました。法律論の突っ込んだ議論でございましたので、私も恥ずかしながら法学部の卒業なので、何か久しぶりに法律論をやったというか、自分も法学部を卒業したなと30年ぶりぐらいに今思っているところでございます。
 きょうの議論も非常に有意義な議論をしていただきまして、おかげさまで総合的な提言をまとめていただくことができたと思います。これを今度はいただいたご提言を踏まえて、実効性のある侵害コンテンツ対策を進めていくということで、私どももこれをしっかりと受けとめさせていただきたいと思っております。
 知財本部に最終的にはつながっていくわけでございますけれども、知財の本部は、まだ正式に言ってはいけないそうでありますので、正式ではなく言いますけれども、今週金曜日に夕刻開く予定でございます。総理出席のもとで有識者、それから全閣僚が出席をした形で議論してまいります。
 こういった形でこの問題も一歩一歩進めていきたい、非常に重要な問題でありますので、関係各府省とも連絡をしながら、一歩一歩着実に進めていきたいと、こんなふうに思っている次第でございます。
 改めまして、各委員の皆様方のこの非常に真剣なご討議に心から感謝を申し上げ、また土肥座長のご労苦に感謝を申し上げながらお礼のごあいさつにさせていただきます。本当にありがとうございました。

○土肥座長
 近藤局長、どうもありがとうございました。
 それでは、全体で7回ほど開きましたけれども、インターネット上の著作権侵害コンテンツ対策に関するワーキンググループ、これを閉会したいと思います。
 本日はご多忙のところありがとうございました。
午後3時53分 閉会