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コンテンツ強化専門調査会(第7回)議事録 |
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議 事 次 第
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○中村会長 では、ただいまからコンテンツ強化専門調査会第7回会合を開催いたします。ご多忙のところをお集まりいただきましてどうもありがとうございます。 今日は、「知財計画2010」の取りまとめに向けた最後の会合となりますので、仕上げをしたいと思います。活発なご議論をお願いいたします。 今日は、谷口委員と大多委員がご欠席だと伺っています。また、津村政務官は遅れて参加されるということです。よろしくどうぞお願いいたします。 この議論に入ります前に、以前にも中間報告をしていただいたんですけれども、インターネット上の著作権侵害コンテンツ対策に関するワーキンググループにおける検討がほぼまとまったと聞いております。その内容についてワーキンググループの土肥一史座長にご報告をいただきたいと思います。 よろしくどうぞお願いいたします。 ○土肥WG座長 それではご報告いたします。資料1というのが机の上にございますでしょうか。それをご覧いただければと思います。 今ご紹介ございましたように、3月にもこの場で中間報告をさせていただいたわけでございますけれども、インターネット上の著作権侵害コンテンツ対策に関するワーキンググループの、3月に中間報告をさせていただいたその後の報告を本日させていただきたいと思います。ただ、最終的なワーキンググループの取りまとめというのは来週火曜日、18日になる予定でございます。したがいまして、その点をお含みおきの上お聞きいただければと存じます。 表紙をめくっていただいて、1ページでございますが、ここで検討経緯を述べてございます。要は、インターネット上の著作権侵害コンテンツの氾濫と、それに伴う産業に多大な影響を与えておる、このことを踏まえてどのように今後考えていくべきかということで、3月の時点では、アクセスコントロール回避規制の在り方とプロバイダの責任の在り方、この2点について相当程度方向性というものを意識しながら取りまとめを進めたということがございました。 その後、1ページの半分から下、「4月以降」と書いてありますけれども、以下、その他の課題として3点、「リーチサイトによる著作権侵害への対策」「損害賠償額の算定を容易にする方策」「インターネット上の反復的な著作権侵害行為への対策」、この3点についての論点整理という観点から検討を行いました。つまり、これまでの2点についてはある程度方向性というものを意識したわけでございますけれども、今回のものは論点整理という意識でございます。 1枚めくっていただければと存じます。2ページ目、検討課題の(1)として「リーチサイトによる著作権侵害への対策について」というテーマでございますけれども、リーチサイトというのは、まとめサイトとか呼ばれておりますけれども、2ページ目のところにあるポンチ絵のように、リーチサイトは日本に所在するわけでございますが、実際のコンテンツは様々世界中に分散するその地のサーバにアップされておって、その所在からリンク等を張ってユーザーにアクセスさせるようにしています。 これはいろんな態様があるようでございまして、6ページ目に、リーチサイトというものにつきましてより詳細なポンチ絵がございます。要は、リーチサイトでどのようにリンクを張っていくかということで、リンクの態様ですね、直接トップページに飛ぶ場合、それからサイトの深度、深いところに飛ばす、あるいは直接違法データに飛ばせる、様々なものがあるようでございます。 それから、通常は具体的な態様の(例1)にあるようなものが多いのだと思いますけれども、場合によっては、本人が別のサイトに違法なファイルをアップロードした上で、さらにリーチサイトにリンクを張りつけるというような、1人で2つやってしまうと、そういう推測をされるようなケースもあるようでございます。 こういうリーチサイトは、世界中に散在しております侵害コンテンツというものをまとめて侵害を誘導させるということになるわけでございまして、こういうものについてどのように考えるべきかということでございます。アップしている者が著作権侵害行為をやっているということについては、もちろん異論はないわけでございますけれども、そういうものにリンクを張って誘導するといいますか、しかも侵害コンテンツをまとめてこういう形でサイトを設け、さらにそれに伴い、場合によっては営利の目的を実現するというようなこともあるように聞いております。 これについての問題を若干議論したわけでありますけれども、現在のところ著作権の間接侵害の議論の中でまず考える必要があるのではないかという問題意識ですね。その中で、このまとめサイト、リーチサイトというものについて検討を進めていただくという整理が有力でございます。ただ、よほど悪質なサイトについては今後議論になると思われますけれども、様々な侵害対策の一環として、権利者等と関係者で一定の侵害対策というものを検討されていくということもございますので、そういう関係者の中で一定のこういう削除についての対策として有効な方法を検討していただくということも必要なのではないか、そういう議論の整理になるのではないかと思われます。 これが1つでございます。 それから、またページを1つめくっていただいて、2番目として損害賠償額の算定を容易にする方策でございます。これはかなり以前から議論のあるところでございまして、特にインターネット上の著作権侵害の場合、損害額の算定が非常に難しいということがあるわけでございます。アップしてそれがどのようにダウンロードされたかというようなことを捕捉することがなかなかできなかったりする。カウンターなんかがついているという場合もあるようでございますけれども、見るだけであれば著作権侵害というわけにはまいりませんものですから、いずれにしてもネット上に様々なコンテンツをアップする、そういうことに伴う損害賠償額の算定というのは従来より問題があるということが指摘されておったわけでございます。今回こういうものをどのように考えるかというのがここでの議論でございます。 ワーキンググループの中のヒアリングにおいても、関係団体からこういったものを考えてほしいという要望もございまして、例えばここにある例:1件10万円のようなことで希望されるような団体もあったわけでございます。ご案内のように、知的財産法には、民法の一般原則以上に様々な損害賠償額の推定規定というものが設けられておるわけでございます。さらに、加えてこういうものが必要になるのかということについては、一気に合意はなかなか難しいなというのが私の感想でございました。 ともかく、ある意見によれば、鶏が先か卵が先かわからないけれども、いずれにしても法定賠償額、損害賠償額というものを大体1件幾らぐらいにするかということについては、ある程度事例の蓄積というものも必要なのではないか、そういう一定の相場観というものができ上がれば、そういったものを基にまた議論が一つ前に進むのかもしれないというようなところがございます。 こういう法定損害賠償額のような制度というのは民法の中になじみがないものでありますから、こういうものを入れるとなると、そのあたりの従来の法理論といいますか、法的な伝統的な考え方といったものとの関係でいろいろ議論が出るだろうと思います。しかし、委員の中に裁判に詳しい委員の方もおいでになりましたけれども、こういうものがあるということは裁判官も一定の結論を出しやすいのではないかという前向きな意見を申される方もおいでになったわけでございます。いずれにしても、これについては継続的に検討をしていただくというような方向になろうかと思っております。 それからまた1ページめくっていただいて4ページでございます。これは非常に近時世間の耳目を集めているところのテーマかもしれません。「インターネット上の反復的な著作権侵害行為への対策について」と、こういうことになるわけでありますが、その対策として、極めて悪質な、いわば反復的な著作権侵害行為を行う者に対して、インターネットの接続を遮断する、あるいはアカウントを停止する、そういう制度が外国で導入されておるということでございます。こういったものを我が国でも参考にすることができるのではないか、こういう議論でございました。 これは非常に重たい、大変重大な問題になるわけでございまして、例えばフランスあるいは韓国といったところでも、4ページの右側のほうの四角の枠囲みの中に簡単な紹介が出ておりますし、あるいはまた1枚めくっていただいた後に、参考として比較的詳細な両国の制度の紹介があるわけでございます。いずれにしても、フランスにしても韓国にしても独立の行政機関、これはHadopiというんでしょうか、そういう機関と裁判所というものの連携の中でこういう仕組みを考えておるようでございますし、韓国の場合は、日本で言うと文化庁長官になるんでしょう、文化体育観光部長官、こういった者が一定の委員会の意見を徴した上で、そのアカウントの停止を命ずるという仕組みを考えております。 こういうものは確かに遮断してしまうわけでございますので、これを日本の法秩序の中にどういうふうに位置づけるか。例えば刑事罰との関係で位置づけるのか、あるいは民事的な、民事罰と申しますか、そういう差し止めの問題として位置づけるのか、そういうところから議論がなされるということになろうかと存じます。しかし、刑事罰ということになりますと、従来にないものということになりますし、こういうことで考えていくというのはなかなか難しいのだろうと思われます。 また、民事上の差し止め請求の問題ということで考えますと、これは著作権の場合も、著作権の侵害の排除にその他必要な措置を命ずることができる、求めることができるということになっておりますので、その他必要な措置としてこういうものがどう位置づけられるかという議論がございますけれども、一方で過剰な差し止め、行き過ぎた差し止めというものも十分慎重に考えなければならない、そういう非常に難しい問題があるという指摘が今出ておるところでございます。 4ページの下の薄茶色の長四角の中で書いてあるところが、現在の論点整理として出てきておるところだと思っておりますけれども、1つは、常習的な悪質な侵害者を放置するというわけにはもちろんならないわけでありまして、社会全体の仕組みの中で実効的な措置を検討していくというのは重要なテーマだというふうに考えております。アカウントの停止という問題と接続を遮断するという問題は大きく違うわけでありまして、韓国はアカウントの停止をやっておりますし、フランスはインターネットへの接続の遮断をやっておるわけでありますけれども、一気にインターネットへの接続を遮断していくということが考えられるのかということなんですが、P2Pによる著作権侵害の問題、あるいはそれによる被害の問題がどのくらいかによっては、こういったことも当然有効な対策の一つとして上がってくるだろうという意識が一つ上がっております。 それから、2つ目は、先ほど申し上げましたように、自由を大きく制約するという問題がございますので、そのバランスをどのように図っていくか。そういうことからいたしますと、フランスなんかでもいろいろ議論があるやに仄聞しますけれども、外国における実施状況やその結果といったことも勉強しながら、検討を継続する必要があるのではないか。 それから、3つ目でございますけれども、「一部プロバイダ」と書いてございますけれども、プロバイダと利用者の間には契約約款が当然あるわけでありまして、その契約約款の中で侵害行為をやる、一定の事由があれば契約に違反したということで契約を解除するという形の中で、インターネットへの接続を切断すると、そういう契約の問題として考えることもまだ可能なわけでございます。したがって、侵害対策措置の中で様々なプロバイダの態様があり、サービスが様々あるということは認識をしておりますけれども、そういう対策の中で1つこういう問題も考えていただくというふうにワーキンググループでは考えておるということでございます。 こうしたことは、来週火曜日に最終的には議論がなされることになろうと思いますけれども、今現在、私の認識しておるところでは、おおよそ以上のような点が皆様にご報告申し上げる報告事項ということになろうと思います。 以上でございます。 ○中村会長 ありがとうございました。 では、ただいまの報告に関しまして、質問、コメント等ございますでしょうか。 ○川上委員 リーチサイトなんですけれども、実際のユーザーの行動からすると、リーチサイトを見つけるときというのは、例えばコンテンツの名前とかをGoogleとかで検索すると、正規のコンテンツよりもそういう違法コンテンツのほうがリンクの上位になったりだとか、1ページ目には多く含まれるというような実態があるんですけれども、その検索サイトにおいて、違法コンテンツとかが検索しやすくなっているような状況についての議論というのはされていないんでしょうか。 ○土肥WG座長 そういう実態があるのかもしれませんけれども、検索エンジンとの関係でリーチサイトの問題を扱ってはおりません。むしろそういう問題については、ここにおいでになる委員の方のほうがお詳しいのではないかと思いますけれども、ここでの議論は専ら責任を問うという話になるわけでございますので、要するにリーチサイトを運営する者以外に、さらに検索エンジンの運営者についてまで責任を問うかということになると、恐らく大変な話になってくるだろうと思いますので、そういう議論はしておりません。 ○中村会長 他にいかがでしょうか。 私から質問ですが、先ほどの3つ目の3ストライク制度ですが、フランス、韓国ではそういったものになりつつあるということですが、そもそも著作権の法制度上で日本とフランス、韓国などで違いというのはあるんでしょうか。 ○土肥WG座長 詳細は承知しておりませんけれども、基本的にベルヌ条約とかWIPOの著作権条約とか、そういった条約に基づいて、各国の著作権の基本的な内容は共通しております。フランスの著作権法、それから韓国の著作権法について、私、恐縮なんですけれども、十二分に承知しておりません。 ただ、この2つの国において、フランスは特にこういうネット上における著作権なり商標権なり、そういったものについての侵害行為というのは敏感な国であるというふうに私としては認識しておりますし、韓国というのは、デジタルコンテンツに関しては国を挙げて日本以上に取り組んでおるというふうに承知しておりますので、そういうデジタルコンテンツというものを広い観点から、ネット上の問題にとどまらず広くこういう問題をその一つとして扱っているのではないかというふうに思っております。 細かい著作権法上の規定の違いということについては、申しわけないんですけれども、お答えすることができない状況でございます。 ○中村会長 私がちょっと気になりましたのは、ここで書かれているような著作権の侵害行為が日本であったとしたら、それは処罰の対象になるわけですよね。 ○土肥WG座長 もちろんそうです。もちろん誰が処罰の対象かというのはアップした人とそれから……、あっ、アップした人の話ですね。反復的に著作権侵害行為を繰り返した人はもちろん刑事罰、著作権侵害罪という問題になりますので。 ○中村会長 ということは、3ストライク制度を日本に持ってくるとしたら、その人を処罰して、つかまえてさらに3ストライクを上に科すということになるんですか。そこがよくわからない。 ○土肥WG座長 もちろん、刑事罰として考えるか、民事的な責任の問題として、権利者の権利が侵害されたので、その救済として考えるかによって変わってくるんだろうと思いますけれども、民事の話ということでこういうものを構成していくとすれば、民事と刑事はまた別な話になりましょうから。これは具体の形がまだでき上がっておりませんので何とも言えませんが、法の理屈から言えば民事と刑事は別なので、当然それは重畳するということになろうかと思います。 ○大﨑委員 私、全く詳しくないんですけれども、それは、その大前提として、国の文化資産とかジャーナリズム等々を国としてどう守るかということの、日本やフランスや韓国の違いみたいなものがあるんですか。 ○土肥WG座長 今、委員はジャーナリズムとしてということでおっしゃったわけですけれども、多分そういうことではないんだろうと思うんですね。つまり、韓国なんかは日本よりも相当早くデジタルコンテンツの重要性ということを言っておりますよね。それで、こういう3ストライクのようなことも様々な議論の一つとして検討したんだと思うんですけれども、5ページ目の参考として挙げてある「フランス、韓国における制度の詳細について」というところの最後のところの「特記事項」に1つだけ書いてあるわけですけれども、包括的な制度改正の一つとして導入したというふうに紹介されておるわけであります。ですから、これは全体の中の一つで、その目的としてはデジタルコンテンツというものを国を挙げて保護すると、そういう議論の中でやっているというふうに私は認識をしております。 ○大﨑委員 フランスの場合もということですか。 ○土肥WG座長 フランスはそうではないんだろうと思います。フランスの場合は、インターネットというもの、5ページの左側のところに「2010年1月「インターネットと創造」法」という紹介が出ておりますけれども、この法律のタイトルから推測されるように、ネット上の行為というものを中心に検討しておるはずでありまして、著作権侵害だけではなくて、商標権侵害とかオークションとか、そういったものも視野に入れての議論ではないかというふうに思います。 ○大﨑委員 3ストライクというか2ストライクというか、どのタイミングでどの強さの負荷をかけてシャットダウンするかというのは、要は個人のプライバシーというか、人権問題みたいなことにもかかわってくるということではこういうのがあるよということですか。 ○土肥WG座長 そういうことでございます。そういう問題を意識しなければならないと。要するに通信の自由という問題は、この問題を考える上で検討すべき重要な考慮要素であるということだと思います。 ○角川委員 著作権法の問題としてこの問題があるのではないということですか。著作権法で あれば本来刑事 罰がありますよね。1,000万円以下の罰金、10年以下の量刑というのがありますけれども、今度のこの3ストライク制度というのは、それとはまた別だと。 ○土肥WG座長 まだ日本の場合にどういう形でやるかというのは、やるかというか、要するに勉強しているという段階でございまして、もしやるとすれば刑事罰の中の話としてやるというのは一つ考えられることは考えられるわけですけれども、3ストライクを刑事罰として考える場合、こういったものは従前の刑事罰からすると極めて異色なものになりますので、勉強はしますけれども、そういう中で議論をするというのは、例えば法務省あたりは恐らくすごく慎重になるだろうと思います。 それから、要するに権利者は自分の権利が侵害されていることは確かなわけですから、権利が侵害されている場合に、現行法上、著作権侵害の場合に差し止め請求、損害賠償請求ができるということは既にあるわけですから、そういう差し止め請求の中で何ができるかという文脈の中で、この3ストライクというものを位置づけるということが考えられていると。2つはあろうと思いますけれども、思うところでは、恐らく民事上の問題として考えるのではないかと思いますが。 もちろんそれをここでかませるとすれば、フランスでも韓国でも行政機関というものが重要な役割を果たすわけですね。それと、フランスの場合は裁判所が判断するということになっていますので、行政機関が侵害の、例えば3ストライクであれば、3回違法行為をやったねというようなカウントについては、それは行政機関でやるという仕組みをとっていると思います。それを受けて裁判所がアクセスの切断を命ずるという仕組みですね、フランスの場合は。 韓国の場合はもちろんそうではなくて、行政機関が一貫してやるわけですけれども、日本の場合、行政的なペナルティーとしてやるのか、民事的なペナルティーとしてやるのか、あるいは刑事的なと、そういう分けていった議論をしているわけではなくて、それぞれ今現在考えられるとすればどういう問題があるかという論点の整理ということで、やるという方向性のもとでの議論ではありません。 ○奈良参事官 ちょっと事務局から補足させていただきますけれども、フランス、韓国いずれも文化の重要性には最近力を入れているところだと思いますけれども、著作権法という観点で見た場合には、日本とはかなり事情が違うところがあって、先ほど角川委員からご指摘あったとおり、我が国では著作権法で刑事罰が科せられて、懲役も科せらされることになっているということがございまして、近年、特に警察の取り締まり強化によってある程度執行されているんだろうというふうに思われます。 一方で、必ずしもフランスのほうはそうなっていなくて、フランスも今回この制度をつくったということで、ある意味抑止的な効果、実際にやるかどうか別にして、かなり抑止的効果を求めるというようなことがあるというふうに伺っております。そうしますと、日本の場合は、極端に言えば懲役で牢屋に入れることも可能なわけですから。そういう観点で見ると、必ずしも今すぐ日本にそれを導入しなければいけないということには至っていないのではないか、そういう認識であるというふうに理解しております。 一方、韓国のほうでございますけれども、これは日本以上に現在著作権侵害が非常に氾濫しているというふうに言われておりまして、そこで強化策をいろいろ打っている、その中でこの一つが出ているということかと思います。なおかつ、これは切断ではなくて、アカウントの停止ということで、実効性についてはいろいろ問題があるところかもしれませんけれども、少なくとも韓国ではそれを導入しなければいけないような状況であるということで導入したと伺っておりますので、そこは国の事情の違い等もあるのだろうなというふうに思います。 ○角川委員 誤解を恐れずにワーキンググループの座長にちょっとお願いしたいんですけれども、何年か前に知財で映画館盗撮防止法というのを成立するように働きかけていただいた経緯があります。その折に、当時映画『ダ・ヴィンチ・コード』の盗撮映像が日本からネット上に、映画館のコンテンツが日本から世界に流れました。日本語字幕がついていたものですから、日本から流れたことが明確になっちゃったんです。そのことが国会でも非常に重要視されて、外国の映画、アメリカのハリウッドの映画が日本から違法コンテンツとして流れるのは問題があるといって、全党一致して成立に動いた経過があります。 その後も映画のネット上の流出というのは結構まだ残っております。それを問題にするとなると、誤解を恐れずというのはそういうことなんですけれども、映画のような大きなお金をかけてリッチコンテンツとしてつくって、世界的に影響を与えてしまうようなものと、個人でつくったものの侵害、CGMの時代ですから、そういうことも大いにあり得るわけですけれども、一つの制度でそういうものを同じように扱うのもどうなのか。逆に言うと同じように扱わなければいけないという点と、処罰されるという場合に同じように扱うのはどうなのかと。結果的にそういう議論があっていいんじゃないかなと思います。 そうしなさいということではないんです。そうしなさいということに多少誤解が生まれると困るんですけれども、CGMのコンテンツと、それから先ほどお話ししたようにハリウッドの映画が、日本で上映したときにネット上に流出して、そして日本にはもうハリウッドの映画コンテンツは流さないというふうなことになっては困るわけですけれども、何か幅があっていいのではないかなというふうな気もするんです。いかがでしょうか、そこら辺は。 ○土肥WG座長 そういう被害の場合の実態といいますか影響、そういうものを考慮しながらというのは委員がおっしゃるとおりだろうと思いますけれども、我々として考えるのは、ネット上で著作権侵害というものが行われていると、それによってどういう社会的な被害が生じているのかということを考えました場合に、著作物の中で私人がおつくりになったような映像の著作物、それからハリウッドでつくられたような大変な資本を投入してつくった著作物というものについて、分けた法規制というのが考えられるのかどうか、これは非常に難しゅうございまして、まずは考えるとすれば、著作権という憲法上承認された財産権が侵害されるという場面の中で、あとはそれを利用されるところで被害の大小というもの、影響の大小というものを考えていただくと、そういうふうに分けて議論をせざるを得ないということでございます。 委員のご意見については、機会がございましたら、ワーキンググループでも紹介するようにいたします。 ○中村会長 他にいかがでしょうか。 はい、どうぞ。 ○川上委員 リーチサイトに対する議論というのはかなり前進した議論だと思って、重要なものだと思っているんですけれども、2ページのグラフにあるものだと「リーチサイトは日本に所在」というふうに書いていますけれども、これは今、規制されていないから日本に所在されているだけなんですね。これが「日本に所在」というふうに限定されて書かれているのは、例えばこれが日本ではだめだということになった場合に、海外のサイトにリーチサイトが移転した場合に、何かそれの実効的な対策というのがとれるのかどうか、そういった議論というのはどうなっているかお教えください。 ○土肥WG座長 それは、リーチサイトに限らず、委員のご指摘の点は大変大きな問題になるわけでありますけれども、著作権侵害をどこで見るかということだと思うんですね。複製で見るというところで見れば、そういう複製された行為が外国でなされているのであれば、それは日本の法が及ばないということになりましょうけれども、送信という行為で見て、送信をするという局面と受けるという局面と2つ出てくるわけですけれども、受けるほうについても、公衆送信権の問題というふうに見れば、それは今の法律のもとでも日本の著作権法を適用することは可能だと思うんですね。放送の場合の発信国主義、受信国主義、いろいろあって、どっちで昔の放送という公衆送信権の行使を見るかという議論につながっていくわけであります。 したがって、そういう国際私法上の議論は国際私法上の議論として非常に重要な問題でございますので、そういう場で議論をするということが必要だろうと思います。例えば、著作権分科会の中でもそういう国際的な場面における権利侵害等を議論するようなところがございますし、また著作権分科会以外の場面においてもそういう議論があるところでございます。したがいまして、我々のワーキングチームはネット上の著作権侵害ということで考えておりまして、基本は国際私法上の問題というのは検討の直接の対象にはしておりません。 ですから、例えば公衆送信というものをどっちで見るか。送るほうで見るのか、受け取るほうで見るのか、両方でもいいのか、そういうような議論からすれば関係が出てくるということになります。したがって、そういう問題も今後検討していただく場面の中で申し継いでいきたい、引き継いでいきたいというふうには思います。 ○中村会長 どうぞ。 ○吉羽委員 法律的な議論も非常に大事だと思うんですけれども、著作権侵害で特にインターネット上の著作権侵害というのは、被害を受けた著作権者の側が大変苦労をして侵害者を突きとめても、逃げられてイタチごっこという状態で、著者の方々が非常に痛みを感じているわけなので、被害を受けている人の痛みというのを是非感じ取って、これからのワーキンググループに反映させていただきたいなというふうにお願いしたいと思います。 ○土肥WG座長 はい。伝わらなかったのかもしれませんけれども、そういう状況はワーキングチームとしても十分認識しながら検討を進めていると思っております。再度といいますか、もう残り少なくなりましたのであれなんですけれども、十分そういうことを認識しながら、今後何かの場面で委員のご意見を思い出しながら検討を進めたいというふうに思います。ありがとうございました。 ○角川委員 最後になりますけれども、もう一つだけ考慮に入れていただきたいのは、最近は日本のアニメの「NARUTO」とか「ワンピース」が、日本で放映されると同時に海外に流れていってしまうということがあって、これが結構問題になっている。海外で販売するためには時差が、半年間ぐらい、字幕をつけるとかいう作業や準備があって、それが今回の大きな知財のテーマである海外で収益を上げていくという構造に非常に影響しているものですから。 今回、角川でも「涼宮ハルヒの憂鬱」の最新刊を文庫で出すときに、中国版と英語版と両方出そうというふうなことまで討議されるようになってました。日本のアニメ、それからそういうサブカルチャー系のコンテンツの海外流出のスピードが速くなっているものですから、そこら辺を是非考慮していただいて、知財の本来の目的のところに合致しているテーマとして受けとめていただければありがたいと思います。 ○土肥WG座長 ありがとうございました。3月にここでご報告させていただいたときも、そういう状況を認識して、プロバイダの責任問題、アクセスコントロール回避規制の問題の中で、そういう問題状況を受けつつ検討しておるということをご報告させていただきましたので、またそういうことは今後に引き継がれていくものというふうに認識しております。 ○中村会長 どうもありがとうございました。土肥座長におかれましては、取りまとめ、大変なご苦労があろうかと思いますけれども、是非どうぞよろしくお願いいたします。 ○土肥WG座長 どうもありがとうございました。 ○中村会長 さて、では続きまして「知的財産推進計画2010」に盛り込むべき事項について議論をいたします。 まずは事務局から資料のご説明をお願いいたします。 ○奈良参事官 それでは、今日は最後の会合でございますけれども、本日の会議で最終的に提言ということでおまとめいただきまして、それを来週以降、総理のもとで開催されます知財本部に報告いたしまして、その上で「知財計画2010」というものが決定される予定になっております。 資料2をご覧ください。これまで骨子ということで議論いただきましたけれども、最終的に「盛り込むべき事項について」ということでおまとめいただければというふうに思っております。骨子の時点との主な変更点は黄色でハイライトしておりますので、そのあたりを中心にご議論いただきたいと思いますけれども、骨子の時点で非常に多くの施策を盛り込んでいただきましたので、新たに盛り込んだ事項はそれほど多くないわけでございますけれども、目標指標などにつきましては、高い目標としたところ、あるいは数値化できるところをできる限り具体化する、そういった修正を加えたところでございます。 まず、1ページ目のところでございます。総論のところでございますけれども、このあたりについては特に変わってございません。海外展開、それから人材育成、デジタル化・ネットワーク化の推進、このあたりを強化していくということでございます。1ページ目、2ページ目は同様でございます。 3ページ目、最初の大きな柱でございますけれども、海外展開というところでございます。このあたり、特にアジア市場を中心としながら、またニッチ市場の確保、こういったところを念頭に置きながらやっていくということでございます。 4ページ目にまいりまして、施策といたしましては、既に盛り込んでございますけれども、例えばファンドの設置でありますとか、あるいは国際共同製作、それから撮影誘致のインセンティブ、また国際共同製作協定、こういったものを進めながらやっていくということでございます。ここの目標指標のところでございますけれども、世界的ヒット、日本が権利を有するようなものが、年間海外売り上げ50億円以上、これは10年後、2010の姿でございますけれども、年間5本となる。現在は該当する作品はほとんどないわけでございますけれども、こういったところを目標にしながらやってはどうかというふうに考えているところでございます。 それから、5ページ目にまいりまして、世界に対して総合的に発信するという点では、コフェスタ、あるいは国内外の有名イベント活用、こういった事柄を盛り込んでいるわけでございますけれども、これによりまして、目標指標といたしましては、今後10年間でアジアのコンテンツ市場が大体30兆円伸びるというふうに言われておりますので、そのうち1億円を獲得するということを目標としてはどうかということで金額を入れているところでございます。 6ページは飛ばしまして、7ページからは人材育成の観点でございます。総論のところは変わってございませんけれども、これまで余り着目されていなかったところについて着目させていただいたということで、高等教育あるいは裾野を拡大する意味での教育の充実、このあたりを盛り込んでいるところでございます。 8ページ目にまいりまして、人材育成のためにも制作機会の創出が重要だということで、デジタル教科書の推進でありますとか、あるいは新たなメディア、クラウドコンピューティングの環境も含めましたそういったインフラ整備等も盛り込んでいるところでございます。目標指標といたしまして、デジタル教科書の観点では児童生徒が1人1台の端末を使えるようにしようということで目標を掲げているところでございます。 9ページでございますけれども、人材育成の観点で、海外への派遣あるいは海外からの受け入れということでの整備、それから(3)のところで、裾野の拡大という観点で、ワークショップへの支援でありますとかクリエーターの学校訪問、それからショートフィルム、映画祭への支援、それからパロディ等の権利処理ルールの明確化、10ページにまいりまして、ネット上におけるルール形成、それからアーカイブ化の推進、このあたりを既に盛り込んでいるところでございます。 目標指標といたしまして、ワークショップの参加者数、既存の事業で3万5,000人集めているものがございますので、10年後に約10倍ということで目標を設定させていただいたところでございます。また、クリエーターによる小中学校訪問機会も、現在の事業では2,000件に満たないわけでございますけれども、5倍程度にふやすということで高い目標を設定しているところでございます。 11ページでございますが、最後のデジタル化・ネットワーク化の促進のところでございます。成果イメージのところでございますけれども、近年のネットビジネスは年間10%程度伸びておりますけれども、様々な施策をこれから講じるということで、15%伸ばすことを目指し、7兆円ということを目標にさせていただいおります。 それから、これまでご議論ありましたけれども、この分野はコンテンツを核とした産業の振興に大きく貢献するという点について特に記載してございますし、またクラウドコンピューティングの環境整備の点も強調して記載しているところでございます。 それから、12ページにまいりまして、この中で前回も様々なご意見をいただきまして、今後これは具体化をしていくということでございますけれども、魅力的な場となるように短期で進めていくということでございますし、また繰り返しになりますけれども、新たなメディアのインフラ整備ということを盛り込んでいるところでございます。目標指標といたしまして、新たなメディアによるコンテンツ市場が、現在はまだ実証実験段階でございますけれども、これを1兆円に拡大するという目標設定にしてございます。 それから、12ページから13ページにかけまして、様々な分野の電子配信の促進ということで、目標指標といたしまして、今後の書籍・放送番組の約8割程度が電子媒体でも配信されるということで、置きかわるということではなくて、共存共栄しながらということで表現を修正してございます。 それから、13ページのところ、これも前回様々ご意見をいただきましたけれども、重要なプラットフォームを獲得するということが必要であるということ、またプラットフォーム間の競争を促すということが重要であるということで、その旨の施策は既に盛り込んでいるところでございます。目標指標といたしまして、コンテンツのプラットフォームの国際標準を獲得するということで盛り込んでおります。これにつきましては、政府として、今、特定戦略分野をどうするかということで議論しているところでございますので、後ほど補足してご説明をさせていただきたいと思っております。 それから、14ページにまいりまして、先ほどご議論いただいた著作権侵害の問題でございます。海外対策、国内対策、双方を進めていくということでございまして、海外対策では特に、今、新しい条約の策定を進めているところでございますので、特にアジアなどの新興国をターゲットに置きながら締結し、加盟国を拡大していくということ、あるいはネットで日本のコンテンツを海外に発信するビジネスを確立し、売り上げが1,000億円規模となるような配信ビジネスを確立するということを目標にしてございます。 それから、15ページでございますけれども、違法対策でございますけれども、規制あるいは新しいサービスの展開ということで総合的に進めることとしてございますが、目標指標といたしまして、本来であれば著作権侵害を撲滅するというところを目標とすべきところでございますけれども、約8割程度10年後減少させるということを目標に取り組んではどうかというふうに考えているところでございます。 最後、16ページでございますけれども、デジタル化・ネットワーク化時代に対応した著作権制度の整備ということで、様々な課題について検討していくということにしてございますけれども、特に前回文化庁から説明いたしました権利制限の一般規定、いわゆる日本版フェアユースでございますけれども、これにつきまして早急に具体案をまとめて措置を講ずるということ、あるいは先ほどのリーチサイトのところにも関連いたしますけれども、間接的に著作権を侵害しているような場合について、その範囲を明確化していくということにつきまして新たに記載をさせていただいたところでございます。 盛り込むべき事項につきましての説明は以上でございます。 それから、参考資料2をご覧ください。2は目標指標でございますが、これについて詳細な考え方について記載をしたものでございますので、適宜ご参照いただきたいというふうに思っております。 それから、参考資料3でございますけれども、先ほどのプラットフォームのところの議論と関連いたしまして、現在、国際標準化戦略のタスクフォースというものを立ち上げて議論しているところでございます。前回も3Dなどのコンテンツメディアについてご意見をいただきましたけれども、知財本部のもと、タスクフォースが設置されまして、政府として国際標準化に向けて取り組むべき特定戦略分野を選定する作業というものを今進めているところでございまして、ここで来週中に特定戦略分野の案を策定していただきまして、最終的に知財本部会合において戦略分野を決めていただくと。それを盛り込んだ形で最終的に「知財計画2010」が決定されるということになってございます。この中でこれまでご意見いただいたコンテンツメディアについてもご議論されているところでございますので、途中経過でございますけれども、ご報告をさせていただきたいというふうに思っております。 以上でございますけれども、まだまだこれから実施、具体化、中身を詰めていかなければならない部分もありますけれども、あとはいただいたご提言をどう具体化していくか、実行していくかということでございますので、先ほどの目標指標とあわせながら、きちっと評価のサイクルというものを確立いたしまして、政府全体として取り組んでいくということで、これから取り組んでいくということでございますので、また引き続き委員の皆様にもご支援、ご協力をお願いできればというふうに考えているところでございます。 以上でございます。 ○中村会長 では、議論を進めます。 全体についてご意見を伺えればと思いますけれども、特にデジタル化・ネットワーク化の箇所で新たに追加された項目があります。著作権権利制限の一般規定、あるいは間接侵害の項目、あるいは黄色で数字が変わっているような目標指標などについてもしご意見等があれば、それも含め全体についてご意見等があればお願いをいたします。いかがでしょうか。 はい、どうぞ。 ○杉山委員 全体にはいいと思っているんですが、ちょっと細かい文言で気になったところがございまして、8ページの(1)の目標指標の(ロ)で「児童生徒が1人1台の各種情報端末、デジタル機器の活用」と書いてあるところなんですが、1人1台、各種情報端末と書いてしまうと、携帯を持っていれば、それでできるのではないかみたいになってしまうので、もうちょっと何か言いようがあるのかなというふうな。学校が持つんですかね、それとも教育の中で。1人1台の各種情報端末、デジタル機器というのをある意味もう持っているんじゃないかなという気もするので、今の児童は。 ○大﨑委員 電子教科書みたいなものでしょう。 ○杉山委員 だから、これはちょっとあいまいですよね、この言葉も。そうしたら、親も「うちの子は携帯を持っているからいいじゃん」みたいになってしまうのではないか。もうちょっと何か書きようがあるのかなという気がちょっとしました。これは目標設定なので。 ○奈良参事官 これにつきましては、今、文科省が教育内容という観点、それから総務省のほうで技術的な観点から議論をし始めたところでございまして、具体的にどういうような端末を与えるのかというところ、またその中でのコンテンツをどうしていくのかと。全体パッケージで議論を始めているところでございますけれども、今の時点でこれをすべきと言うことはなかなか難しいんですけれども、決して単に既存の携帯ということではなくて、教科書であるとか教材といったものを単に紙の媒体でやるのではなくて、より理解が進むような形のコンテンツをつくっていくということかと思います。 ○杉山委員 いや、意図はよくわかっているんですけれども、これだけ読むとそんな気がするということ、文章的にという意味です。 ○中村会長 何か工夫はありますかね。確かにそういう意味で言うと、以前も申し上げたかもしれませんけれども、情報提供をしておきますと、デジタル教科書教材協議会というのを今立ち上げる準備をしておりまして、今月の27日に設立の準備会を開くんですが、そこでも恐らく、学校現場で今後使われるデジタル教科書やそのハードウエアはどういう姿のものがよいのかという議論から入ると思うんですね。 その際に、タブレットPCがよいという人もいるでしょう、iPadのようなものがいいという人もいるでしょうし、あるいはキンドルのようなものがいいという人もいるかもしれないし、京都のある小学校では電子黒板と任天堂のDSを全部wifiでつないで授業をやったりしているところもあるし、大学ではiPhoneを配り出しているところもありますねと。そうすると、iPhoneはひょっとするとデジタル教科書なのかもしれない。けど、じゃガラケーはどうよということになってくるかもしれなくて、今おっしゃったことは結構本質で、ここをどう書き込むか、ちょっと頭を悩ませる必要があるかもしれません。 もしコメントがあればお聞きした上でちょっと考えてみたいと思いますが。 ○角川委員 今、iPadがちょうどブームなものですからiPadを想定いたしますと、13ページの一番下の黄色い色がついているところに目標指標として「重要なコンテンツのプラットフォームの国際標準を獲得する」というのがあります。iPadのアイブックストアもiTunes Storeに含まれますので同じ店なんですけれども、アメリカの巨大小売店とも言えるiTunes Storeにコンテンツの販売が独占されていくような事態というのが想定されると思うんです。 私はiPadもさわってみると良い端末だなと個人的には思っているんですけれども、そういう点でiTunes Storeに独占されていて、そこでの出版の自由、言論の自由がかなり今問題になってきています。角川グループのアスキー・メディアワークスから出したGoogleの本が、iTunes Storeではジョブスの本は一切扱わせないということがあって削除されたんですね。及ばずながら私の本ももしかするとiTunes Storeでは排除されるということになるのかもしれません。 それから、非常に倫理コードがあいまいで、アップルがつくった倫理コードに基づいて雑誌の排除がされるということもありますので、私は独占ということが気になるんですね。ですから、3つぐらいの端末があって、そこで競争原理が働けば、健全性が保てるのではないかなと、そのことを非常に尊重してもらいたいと思います。 それからまた、学校に配るとなると、出版社として言えば、今は、キンドルにしてもiPadについても縦書き表示ができないんですね。縦書き表示ができなくて、ルビが振れない。ですから、それは個人が選択する分には横書きでもいいんだということになると思いますけれども、国が関与するということになると、縦書き表示ができないという、日本文化の多様性が失われるということになりますので、そこら辺を念頭に置いてまた選択されていくべきではないかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 ○中村会長 おっしゃるとおりだと思います。ありがとうございます。 他にいかがでしょう。 ○角川委員 それと全体の感じ、よろしいでしょうか。 ○中村会長 はい。 ○角川委員 私も本部員をつとめて7年になりまして、この知財では古ダヌキみたいになってきたんですけれども、改めて今回の2010年の資料を拝見して、"2010年の"推進計画になっているなと思いました。現状のこういうiPadも含めて電子情報端末の新たな登場、あるいはクラウドコンピューティングというこれも新たな問題がきちっと知財で取り上げられるようになってきて、従前の推進計画とは違うものになってきているというふうな感じがして、総論としては非常によろしいのではないかなというふうに思いました。 ○中村会長 最後のところに、日本版フェアユース、それから間接侵害についての項目が入ってきておりますけれども、このあたり皆さんコメントはありませんでしょうか。よろしいですか。項目として新たに入ったものとしてはここが一番大きいですかね。あとは目標指標の変更だと思いますけれども、いかがでしょう。 ○角川委員 間接侵害というのをちょっと説明してもらいたいのですが。 ○中村会長 事務局、もう一回詳しくおっしゃってください。 ○奈良参事官 わかりやすく言いますと、例えばカラオケ屋がありまして、そこで許可を得ずに勝手に歌を歌うということになりますと、著作権を侵害している者は実際に歌っている者なのでございますけれども、カラオケ屋が責任を負うのかどうかということで、いわゆる直接ではない間接者に対して差し止め請求が認められるかどうかというところでいろいろ議論があるところでございます。 カラオケ屋につきましては、最高裁の判例もありまして、一定の管理支配性などがあれば責任を負うということがあるわけでございますけれども、例えばネット上でP2Pファイルを提供するようなものだとか、あるいは最近ですとテレビ番組を外国に転送するというサービスがございまして、実際に録画しているのは海外にいる人なのですが、その機器を国内で提供している。その人は単に装置だけ提供しているので間接な侵害ではないかと。これについて例えば判例が分かれているということでありまして、権利者の側からすればこれは違法じゃないかということでありましょうし、ビジネスされる方から言えば、一体どこまでが正当なことなのかということでいろいろ議論があるところなので、そういったことからその範囲を明確にしてほしいということがあり、今、文化庁で議論しているところでございますので、こういった問題も今のデジタル化・ネットワーク化の中で早く結論を出してほしいということがあり、先ほどのリーチサイトのような問題も、直接的な侵害者じゃないということでこういった視野に入ってこようと思っておりまして、そういったことの結論を早く出してほしいということでございます。 ○中村会長 はい、どうぞ。 ○杉山委員 フェアユースのところですけれども、文科省の中でどんな感じで進んでいるのでしょうか。というのは、このフェアユースの問題というのはそう簡単に決められなくて、一般の生活者として暮らしているときの、この2010年においての常識みたいなものが反映されて、これはフェアユースであり、これは間接侵害だよねみたいなことが決まっていくので、かなり広くいろいろな立場の意見を聞かないと案もまとまらないのではないかなと思っているのですが、こういうのをもうちょっと大きく国民的に討論していくようなことをすると、多くの人がもっと知財についても理解すると思いますので、フェアユースというのはすごくいい盛り上げになるはずなのではないかなと。これまでのような形で専門家みたいのだけが集まって議論していても、常識というか、一般人の感覚みたいなものも含めて考慮したほうがいい面がすごくあるのではないかなと常々思っているんですけれども、どうでしょうか。 ○中村会長 今の検討の状況を教えていただければと思います。 ○奈良参事官 皆さんの席上に前回の資料を配付させていただいておりますけれども、昨年以来、文化審議会著作権分科会の法制問題小委員会におきまして議論をずっと重ねてきたところでございまして、4月23日に中間まとめという形で報告をさせていただいているところでございます。これの中間まとめに至るに当たりましては、多くのヒアリングでありますとか、あるいは更にはワーキングを作って具体的に検討するということで、今、中間まとめの段階に至ったところでございます。 4ページのところを覧いただきたいのでございますけれども、現在、いろいろ事例を分けまして、今の中間まとめにおきましては、次のAからCの類型の利用行為をいわゆる権利制限の対象とすると。つまり、著作権の許可を得なくてもコピーできるよというものにしてはどうかという議論でございます。例えば、写真や映像にたまたま写り込んでしまったような場合でございますとか、あるいはどうしても不可避的にコピーをしてしまうような場合でありますとか、あるいは見る、聞くということではないのですが、ネットワーク上で例えば検索サービスのようなものもありますけれども、こういったものでどうしても情報ネットワーク産業の中ではコピーをせざるを得ないというような様態、こういったもので権利者の利益を不当に害しないもので許容できるものということで整理をしているところでございます。 これにつきましては、今後またパブリックコメントなり、更に文化庁の中で中間まとめの段階から様々なご意見をいただいて、検討して結論を出すというふうに伺っておりますので、様々な国民の声もその中で反映していくということになろうかというふうに思っております。 ○中村会長 はい、どうぞ。 ○吉羽委員 まさにそのCのところが慎重に議論していただきたいのは、結局Googleが図書館のものを全部スキャンしたというのはインターネット上の検索の利便に供するためということで、フェアユースであるということの主張を譲っていないわけです。譲っていないのですが、とりあえず権利者が余りうるさいので60ドルぐらい払っておくかというようなところに落ちついて、更にうるさいところのヨーロッパなどは外してしまえということになっているわけなんですが、このあたりで、結局フェアユースを楯にとっておのれのビジネスをやるところに、それが不正なのか悪なのかというのは議論が分かれると思うんですけれども、非常に恣意的に運用されてしまう部分があるのではないかということを恐れますので、このあたり慎重な議論を進めていただきたいというふうに思います。 ○杉山委員 慎重に議論してほしいというか、ここにも書いてありますけれども、「社会通念上」と書いてありますよね。社会通念とは今の2010年の社会通念のことを言うんでしょうから、いろいろなここでの世代差もあるし、いろいろ話を聞かないと、これはフェアユースで、これはそうじゃないよというのがなかなか決めにくい面もあるかなというふうにはいつも思います。 ○中村会長 この問題については、知財本部でもそうでしたし、文化庁の審議会でもそうでしたが、ずっと議論なさってきて、そろそろ結論ということかと思います。 事務局に伺いたいんですけれども、ここで言っている「必要な措置を早急に講ずる」のイメージは、来年の通常国会に法案提出と、そういう感じでしょうか。 ○奈良参事官 法案提出の時期について明言しているわけではございませんが、いずれにしろ現在中間まとめという段階でございますので、早く最終的な成案というものを得ていただきたいと、少なくとも最低限成案を得ていただきたいという意味でこのように記載させていただいているところでございます。 ○中村会長 恐らくこのフェアユースの問題というのは、仮に成案を得て著作権法の改正法案ができて制度導入に至ったとしても、まだそこから続いていくということだろうと思いますので、我々知財本部側としても、その状況もきちんとチェックしていかなければいけないんだろうと思いますね。 どうぞ。 ○川上委員 フェアユースについてなんですけれども、多分その是非はいろいろ議論があるかと思うのですが、現実問題、Googleを中国みたいに日本から追い出すのか、そこまでの覚悟が日本にあるのかという話になると思うんですよね。結局のところ、そこの部分はどちらでもいいと思うんですけれども、フェアユースを導入してアメリカと同じビジネス環境で戦いに行く、もしくはアメリカを締め出す、どっちでもいいと思うんですよ。 それを決めないで、ただフェアユースの議論の決着を先送りするというのは、結局、開放されたときにGoogleに全部持っていかれるだけです。これは返って日本のコンテンツ産業の首を締めるだけの話になると思うんです。どちらにせよ、フェアユースによって権利侵害が更に拡大される恐れというのは十分あると思います。であれば、もっと戦う準備というのを、消極的な戦いでなくて、もっとアクティブな戦いというのを日本はやらなきゃいけないのではないかなというふうに思います。 ○中村会長 恐らくフェアユースの制度をどうするのかというのを文化庁の審議会できちんと議論されていると思うんですけれども、今、川上委員がおっしゃったような国の決意とか戦略とかということを検討すべき場が多分ここで、ですから今おっしゃったような、じゃ日本はどうするんだというようなことも、今回の計画はこれで取りまとめられようとはしておりますけれども、今後もそういったことをこの場に持ち込んで議論していくということが必要なんじゃないですかね。 どうぞ。 ○久夛良木委員 今ちょっとわからなかったんですが、国としてどうやるかを議論するのはここ、とおっしゃったんですか?それとも、ここではないとおっしゃったんですか? ○中村会長 ここ、これがそれにふさわしい場ではないかと私は思っています。 ○久夛良木委員 そうであるならば、まだ全然議論がされていないように思うんですけどね。もし、ここがその場だとするならば、もっと具体的にタンジブルに議論したほうがいいと思うんですよ。先ほどの著作権侵害の話も権利侵害も、周りのところから真綿で締めるように話をされているんだけれども、肝心要の真ん中がよくわからない。今、川上委員がおっしゃられたように、例えば有名な動画サイトを見てみると、かなりの長さのテレビ番組やミュージックビデオが視聴可能になっています。例えば「イーグルス」と引くと「ホテル・カリフォルニア」が一曲まるまる動画で視聴可能でありますし、アニメでも「鋼の錬金術師」が番組のかなりの部分が載っています。 ほとんど多分許諾をとっていないのではないかと思われます。どうしてかというと、画面上に何かしらの許諾マークがついている訳では無いですし、どうやら個人でアップロードしている。パッケージでも相当な値段で売っているものが、ネット上で網羅されている。これが現実ですね。多分かなりの人がテレビを見るよりも動画サイトを見て楽しんでいる、これが現実です。今日のこの資料の4ページの権利制限のところで、(1)のA、B、Cとありますね。これはどっちかというとユーザーに見えないところの話ですね。例えば、検索エンジンが検索をさせるためにデータベースをどういうふうに用意してくるかというところの話であったりする。実は議論したいのは、ユーザーが見えるか利用できるところ。その辺の話が全然抜けている。 毎回お話をしていますが、例えば違法にアップロードされた動画ではなく、何らかの形でコンテンツを照会をする方法、例えばコンテンツに関わる静止画の一部であったり、動画の一部であったり、ちゃんと引用する場合は一定の長さ、例えば8秒と10秒とかはいいですよと明快に著作権利者に言ってほしいわけです。もしくは、権利者側から素材を提供するから、これは使ってくださいと明快に提示して頂ければと考えています。そこで更にクリックすると、当該サイトに飛んでいって、きちんとしたコンテンツをちゃんと正規に楽しむことができる。それがなくて、片方で、今起こっている海外の動画サイトに関して、あれほど全部ほとんどのコンテンツが違法にアップロードされていることに対して、国としても著作権者としても誰も何も言わず、いや言っているかもしれないとしても、日々それらのサイトのコンテンツの充実度が上がっている現状をどう捉えるか。 そういう状態においてこういう議論を重ねているのはむなしいわけです。一体ここで何を議論しているのかなとずっと思っていて、今日が最終回なので、もうこれでこの調査会も終わりかと私は思っていた中で、今、議長のほうから、そういった議論はここでやるべきだというふうにおっしゃられたわけで、そうであったのなら全然今まで本質的な議論がやれていないな、ということが1つと、私が問題提起したことですら1行も入っていないのはなぜなんだろうと感じた。例えば、具体的に音楽だったらどのぐらい、映画だったらどのぐらい、どういったふうな形だったら使えますかということをもうちょっと議論しましょうと提案させて頂いたつもりでしたが、1行も明示されていないじゃないですか? それはどういうことなんだろう?というのが、最後に至ってかなり違和感を持ってお話ししたいことです。 ○中村会長 少なくとも今ご指摘になったことについて、この中で盛り込む工夫ができるかどうかちょっと検討してみたいと思いますが。 ○久夛良木委員 事務局にも具体的にお話ししているんですが、落とされたとしか思えないわけですよ。 ○近藤局長 ちょっとよろしいですか。この紙は文化庁の検討の資料なんですよ。 ○久夛良木委員 いや、「盛り込むべき事項」のほうにも入っていないです。 ○近藤局長 いや、まずこの紙の中でのいろいろな議論をするのであれば、これは文化庁でやっている議論ですから、ここの点については、文化庁に対してもっとこういうことも検討すべきだということを我々が言う用意はありますけれども、ここの中についてどうこうということはここで、ここの中にどれを書くかというのは私たちの責任範囲ではないんです。 ○久夛良木委員 議長が「ここでやるべきだ」というお話をおっしゃったのは何なのでしょうか? ○近藤局長 いやいや、それは私が忖度して申し上げるだけですが、議長は文化庁に対して何らかの検討をすべきだということを言おうじゃないかと、我々はこれを文化庁に対してきちんと検討しろということを言い、しかもその検討のペースをアクセレレートしろといって指示をしているんです。そういう意味では我々が議論すべき項目なんだろうと思います。 それから、今の「盛り込むべき事項」の中に書き込むべきところは、もしそこをもう少しこういうことを書こうというのであれば、それはもちろん盛り込む用意はございます。 ○久夛良木委員 そうですね、今、5回ぐらい見直したんですけれども、どこにも入っていないですね。 ○戸渡次長 久夛良木先生からご指摘をいただいている、どれくらいであれば利用できるかといったようなことをもっとルール形成等を作っていくべきではないかという部分の、ちょっと明確な形と認識できなかったというご指摘だと思いますが、趣旨といたしましては、「盛り込むべき事項」の10ページのところにございます最初のポツでございますけれども、「インターネット上におけるコンテンツの部分的引用やネット上の放送に関し、民間における関係者間のルール形成が促進されるよう支援する」ということで、どれくらいの量あるいは秒数とか内容であれば自由に使っていいよというような、そういうルール形成を促していこうという趣旨で書かせていただいております。 ○久夛良木委員 この最後の16ページに入れていただきたいですよね。 ○戸渡次長 これは著作権制度の整備という法制度の整備の部分の記述でございますが。 ○久夛良木委員 結局、何でやられていないかというと、皆さん萎縮効果が効き過ぎなのか、もしくは本当にやってはいけないんだ、何から何までだめなんだと、そこまで考えておられるからか、どっちかなんですよね。やっていいのか?いけないのか?と。普通は書いていないものはどんどんやるというようなはずなのに、全くこの国で行われていないのは何かしらの問題があるんですよね、きっと。 ○角川委員 今の質問に答えているかどうかわからないんですけれども、僕なりの理解でよろしいでしょうか。 フェアユースについては、去年の推進計画の中でフェアユースを導入するということが入っていて、それが継続されて文化庁で検討されて、今回導入するということになったんだと思います。去年の推進計画の中にフェアユースの導入というのは入っておりますので、その継続だというふうに思います。 私は、フェアユースというか、今度のGoogleの問題でも、先ほども土肥先生からもお話があったように、著作権法というのは基本的には財産権だと思うんですね。ですから、幾らを払えば掲載していいという明快な経済行為として、例えばGoogleがそういう検索をするのはけしからんとかいって、やめろというふうな権利ももちろんあるかもしれませんけれども、載せたら幾ら払うべきだというような交渉ができるような、そういうことが確立していくと、もっともっとネット上のそういう久夛良木さんがおっしゃったような動画サイトも生まれてくるのではないかなと思うんですね。 それが、日本の著作権法は人格権というのがあって、何しろ嫌なものは嫌なんだというふうなことになるものですから、みんな萎縮効果があって、嫌なものは嫌だと言われたくないなといってやめちゃうわけです。1980年ごろは日本は海賊版がいっぱいあったものですから、当時のレーガン大統領も中曽根さんに、余りにも日本はひどいじゃないかということで、著作権法を文化庁が一生懸命1年に2本ぐらいの改定をして、著作者の権利を強化してきたわけです。その結果、今、日本は世界でもまれに見る著作権強化の、著作権者を保護する法律になっていると思います。 ですけれども、そういう面では、極力これからの著作権法というのは、これからネットにおいてもっと産業振興、知財は産業振興のためにやるわけですから、産業振興という視点に立つと、著作権者の強化というよりは、先ほどからお話があるように、ネット上の海賊版を取り締まって、ネット上の正規の事業者が利益を得るような、そういうふうな見直しにいくべきだというふうに思っています。そんな点で、私個人としては知財のこの会もその方向で検討されるのを望みたいと思います。 ○中村会長 はい。 ○久夛良木委員 また別の意見ですけれども、「盛り込むべき事項」の13ページに「今後の書籍、放送番組の約8割程度が電子媒体でも配信される。」この全体の8割がいいかどうかというのは私もちょっとはっきりわからないところですが、例えばこれはこれとして、過去のものはどうなんでしょうか? つまり、我が国の文化というのは今後のものだけではなくて、過去のものがたくさんあるわけですね、いろんなところに。 書籍の場合はいろいろな皆さんがご検討されていると思いますが、映像資産、例えば映画であるとか、それから数十年間に及ぶ放送コンテンツであるとか、それについては何も記述がないんですね、デジタル化について、もしくは利用についても。何も今後のものだけではなくて、今までのもの、我が国の大事な文化的な資産についても何らかの言及が欲しいというふうに思うんですが。 ○奈良参事官 まず、書籍につきましては、過去のものについて、非商業分野において、国立国会図書館におけるアーカイブ化の促進ということも盛り込んでおりますし、現に進めているところでございます。それから、映像等のデジタルアーカイブの件でございますけれども、これも10ページのところでございますけれども、既にいろんなところでそういった資産を持っておりますので、アーカイブのネットワーク化、それから映像のアーカイブ化への支援を通じてアーカイブを整備するということを盛り込んでいるところでございますので、この中で具体化をしていくということになると思っております。 ○久夛良木委員 それが余りにもジェネリックで具体策に欠くと思うんですよ。どうしてかというと、例えば映画ですと日本で一体年に何本つくられているかと。それ掛ける何十年、それをどうやってデジタル化するかという具体策が必要だと思うんですね。特に放送局の場合というのは、何局キー局が、いやキー局だけではなくて、地方に何局もあって、365日ほとんど24時間流しているわけで、そのビデオテープの総量というのはすさまじい量があるわけですね。それを本当にデジタル化するというような具体的な計画がありますか? それは物理的に可能ですか? それから予算的にも多分、まだ余り考えられていないのではないか?と思うんですよ。特定の番組を選んでという事であれば、何かしらの方法でデジタル化することはされているとは思いますよ。だけど、我が国の文化の基本を織りなす様々な映像コンテンツ全体においてどうするか?というのはどこかで議論されているんでしょうかね。 ○中村会長 よろしゅうございますか。 例えば放送番組については、総務省などの場でも過去の放送番組をいかに電子流通させるかという議論をずっとなされてきていて、もちろんそこはビジネスも絡むものですので、例えば実証実験もやってみましょうとか、あるいはNHKのオンデマンドサービスが展開できるように計らいましょうということはやってきたということはあろうかと思います。ただ、それはご指摘のようにまだまだ十分なものではないと感じますので、ここでも、例えば12ページの下のほうに、放送番組の電子配信を促進するための権利処理の一元化などを進めるといった記述をしておりますけれども、それはまだ十分なものではないかもしれません。 目標のところも、私も個人としては過去の放送番組なども含めて数値を書き込んでみたいなとは思ったんですけれども、果してどれぐらいまで自分たちとして目標値を掲げられて、そこに今この時点で十分な支援措置とか構造的な改革みたいなものを書けるかなということがちょっとしっかりとは思い浮かばなかったものですから、ひとまずここでは「今後の」ということは書いてあります。 ○久夛良木委員 それはすごく大事なことだと思うんですね。例えばそれをどういうふうにマネタイズするか、利用するかについて各放送局で事業として検討をするのはいいんですが、ここは国として集まって議論しているわけです。国としての貴重な文化をアーカイブする。例えば美術館であるとか博物館であるとか、まさにそういった話であるのではと思っているわけです。 今まで我が国において放送された、もしくは制作された映像というものは、我が国の国民の貴重な文化的資産の一つだと思っているんですね。その文化的資産をどういうふうにデジタル化するか?ということが今問われているわけで、お金をそこで儲けるか儲けないかをここで話しているわけではないですね、放送局の事業計画審議会ではないので。前者の、どうやって我が国の貴重な映像資産を後世の為にデジタル化していくか、どのぐらいの時間をかけて、どういうふうな予算をかけて、それは主体は誰なのか、もしくは官民一体となってやるべきことなのかということを、ここで少なくとも具体的な数値を入れるのが今の時点で無理としても、是非問題提起をしていただきたいと思います。 ○津村政務官 私も久夛良木さんと同じような印象を実は持ちました。というのは、たしか前回ここで座ったときに、国立電子国会図書館みたいなものはできないのかとか、そういう国があるのかという話と、あとNHKという言葉が出てきているんですけれども、オンデマンドのサービスというのは今どこまでやれ得るのか。そこは国のガバメントリーチの範囲内だと思いますので、そういうことを促すよう取り組むとかではなくて、ここはどこまでやると言い切れる部分なのではないかなというふうに思ったものですから。 国立国会図書館も出てきますけれども、これは書籍の電子配信という書籍の話なので、映像のアーカイブというか、今どうなっているんですかね。本を出したら国立国会図書館に、1冊か2冊か知りませんけれども、納入することになっているんですよね。それと同じような感じで、映像を流すからには、それは国立の映像図書館に必ず、DVDか何かわかりませんけれども、出さなければいけないみたいな仕組みを作るとかということも、それを二次利用、三次利用したら著作権の話が出てくるのかもしれないけれども、少なくとも知の蓄積としてはできるのではないかなど、そういう種類の話を今初めてしているのではなくて、私も前回したつもりだったんですけれども、これだと久夛良木さんのお話とどこまでかぶっているのか、ちょっと正確ではないかもしれませんが、大分かぶっているような気がしているのですが、不十分な印象を持っています。 ○近藤局長 頭の整理をもう一回いたしますと、「盛り込むべき事項」ということでこの専門調査会でこういうことを検討すべしということを言っていただく。これを受けた形で、知財本部で計画を作る。知財本部で作る計画の中には、一番後ろに工程表というのを全部付けまして、それぞれの項目について、2020年ぐらいに向けて、2010年にはこれをする、2011年にはこれをする、2012年から13年の間はこうするなんていうのを全部書き込んだものを作るんです。それぞれの項目が2020年に向けてこういうことをやっていくんですというのを盛り込んだものを最終的には決めるんです。 今ここで議論しているのは、そういう項目をちゃんと作りなさいということを言っているので、今ここで指摘をしておいた形が知財本部の工程表の中に反映されると。それで、その中で責任を持った省庁がいろんな検討をしていくときに、これでは足りないとか、もっと前倒しをしてやれとか、そういうことを指摘していくのがこの場なんです。その中で各省に対する指摘が足りないという指摘であれば、それはおっしゃるとおりでありますから、更に各省に対してもっと指示をするような文章に変更することは可能でありますが、ここの中に何から何まで、何と何を何年までにどうやってこうやるということを全部書くという趣旨では必ずしもないということはご理解いただいたらいいと私は思います。 ○津村政務官 私が整理できていなかったら話にならなくて本当に申しわけないんですけれども、あるとき私こう申し上げたと思うんですね。今日最後の挨拶でも言おうと思ったんですけれども、PDCAサイクルが回せるような検証可能なものをつくらないと、何とかを将来的に推進しますとかというのはほとんど何の意味も無い。将来というのはいつか、推進というのは何かというのを答えないと、いついつまでにどこどこまで到達していますというものを、要するにその後は我々が縛られるし、それができなかったら我々にはね返ってくるんですけれども、そういう私たちを縛ってくれるものを作ってくださいというお願いをしているわけです。 ここに短期、中期、長期という言葉が入っているのは、これまでのご説明では、短期は1、2年、中期は3、4年、というふうに、そういう定義もきちんとしているし、総務省だとか経産省だとかと書いていて、ここのどこかに座っていらっしゃるんでしょう、多分。各省庁の人はオーケーをもらっているから黙っていらっしゃるんでしょう。だから、例えばさっきのNHKだったら、総務省は1、2年以内に先端的なサービスを促すよう取り組むという言葉に恥じない状況を作るということをここでマニフェストとして言っているわけですよね。 ただ、そのマニフェストが、今私たち民主党もマニフェストを作っているんですけれども、多分これでは全然だめなんですよ、できたかできなかったかがどうとでもとれてしまうから。それは国民の皆さんに見せられないので、今、数字を入れろ、いつまでかはっきりさせろとやっているんですよ。それは大体は4年以内じゃないと話にならないと、次の選挙までじゃないと検証できないからと。これだってやっぱり1、2年というからには1、2年間でここまでやったらできたと誰もがうなずけるような数字を入れていかないといけないという話をしていて、それは工程表だとおっしゃるのかもしれないけれども、少なくともここにいらっしゃる皆さんが、今日が一たん最後だと、区切りだとおっしゃっているときに、そこの話ができていなかったら、それはないんじゃないですかということになってしまいますよね。 もう一回、工程表のときにお集まりいただきますか。工程表のときにお集まりいただくわけではないんだとすれば、ここでお約束しないと。 ○近藤局長 次長、工程表の中で、今例えばここはどういう表現をしているかというのをご説明してください。 ○戸渡次長 今、工程表につきましては調整中ではございますけれども、先ほど10ページのところにもある部分ですが、日本のポップカルチャーに関する様々なアーカイブのネットワーク化あるいは映像のアーカイブ化等への支援ということにつきましては、短期、2010年度の早い段階で、メディア芸術デジタルアーカイブ事業、あるいはフィルムという部分では、東京国立近代美術館のフィルムセンター等の整備を進めていくと記載しております。 それから、その後、短期の中でメディア芸術の情報拠点、コンソーシアム構築事業を充実するとともに、デジタルアーカイブ事業、それから東京国立近代美術館のフィルムセンター事業におけるアーカイブ事業を進めていくということ、またNHKが制作した映像等については、そういった番組の戦略的活用について検討を短期前半で進めていくといったような形で、アーカイブの推進という部分につきましては、書籍以外の映像分野等も含めまして記載しております。 ○近藤局長 「要回収」で配りましょう。委員長のご了解をいただいて配って、後のことがあるので、メーンテーブルだけ配付し、後で回収をさせていただきますが、見ていただきましょう。 ○中村会長 どうぞ。 ○佐藤委員 工程表等の話、各論、テクニカルなところに関してではなく、今のお話というのは先ほどの川上委員からのご発言を中村先生が受けられてのところから端を発したと思います。私も確認をさせていただきたいのですが、私自身も、川上委員からあった、まず環境をしっかり整備してから戦うという体制にするのか、それとも中国のように我が国のルールはこうですということにするのかというのが仮に本質的な論議だとすれば、そういう論議をする場だという理解を十分私はできておりませんでした。 あと、先ほど出ていた各論の話かもしれません。1点だけ。今、フィルムセンターという話が出ました。過去の資産というところの映画、映像の資産に関しましては、デジタルアーカイブ化以前の問題として、既にネガ等の原版に関して大変危機的な状況にあります。ご支援はいただいております。ただ、国民の文化資産というのが全部網羅されているかどうか、それだけの体制が整備されているかどうかということに関しては、いささか疑問ではないかというふうに思います。 ○中村会長 これは私の認識なんですけれども、この知財本部というものが内閣官房に置かれて、そして各省横断で力を及ぼし得るという立場に民間の方々が入ってこういうことが議論できる。ここで国として知財の問題をどうするのかということを議論すべき場であるべきであろうとずっと思っておりましたので、そういうことができればよいと思っておりましたが、そこで国としての重要なポイントが今、今日まとめようとしております計画案の中に盛り込めていないとすれば、それは座長である私の力が不備であったということでお詫びを申し上げるところです。 ただ、今後もこういった議論をずっと続けていくことになりますし、今後もこれがもっと重要なテーマではないか。2010はこれであるかもしれないが、もっと大きな柱があるのではないかとか、国としてはこういうことを考えなければいけないのではないかという提案もありましたら、今日是非お出しいただきたいと思います。例えば先ほどの映像のアーカイブの件でも、誰かからも少し話がありましたけれども、フランスでは放送法で放送された番組をINAにアーカイブ化ということは規定されているんですね。つまり、国としてそのような映像の資産をためるという文化政策といいますか、そういう放送政策をとっているんですけれども、そういった大きな政策に日本も向かっていこうとするのか、そうではないのかといったことを議論していく場としてはふさわしいのではないかと私は個人的には考えております。 もう一つなんですけれども、先ほど具体的に久夛良木委員などがご指摘になったところを今日どう扱うか、例えば10ページの上の部分をもう少しブレークダウンするのか、別の場にも書くのかですとか、先ほど政務官がおっしゃったようなところもどう直すのかということについてもちょっと整理をすべきかと思いますので、もし何か発言できることがあればと思います。 ○大﨑委員 何回か前の津村政務官のご挨拶というかご発言の中で、国としてというのはもちろん当然のことで、ご発言の中で知財をどう守り促進していくかみたいなお話があったように僕は記憶しているんですけれども。そういう意味で言うと、前提として、会長がおっしゃったように国としてというところの議論の場だとは僕も認識していたんですが、川上委員がおっしゃったように、アメリカと同じ土俵を作って戦うんだというところの認識を本当にしているのかしていないのかというところは、そっちのほうに行くんだろうなと思って僕はこの会議に前回も出ていたんですけれども、その場合に何かすごくずれているなと思っているところがあって、ずれているというか、ポイントがはっきりしないなというところがあって、それは僕の勉強不足かもしれないのですが、例えば国立国会図書館におけるデジタルアーカイブは、デジタルアーカイブ化をしてどうするんだというのがどうもぴんときていなくて、図書館に行って検索して見るというだけにするのか、後々それを全国の、あるいは世界中の図書館や学校、公共物のところにもネットワークとしてつながるのかつながらないのか、あるいはそれを民間と共同利用していくのかというところが、私が個人的にわかっていないだけなのか。例えばそういうところの方向づけまであって、大前提として国としてということがあるんならば僕も意見は言えたんですけれども、意見を言いたいんだけれども、言えないなと思って、前回も今回もほとんど黙っておったんですけれども、例えばそういうところが私自身は非常にわからない。 もちろん番組のことなどで言いますと、過去のアーカイブといっても、ちょっとわからないですけれども、テレビが始まって五十数年ですが、この10年、15年ぐらいは残しているでしょう。しかしそれ以前のテープというのはもう残していないですし、対応もできていないし、残していないし、それをアーカイブ化することでどうするんだということとか、テレビの放送と生配信をどうしていくのか、あるいは1週間以内まで見られるようにするのかどうかということも含めて、前提とそういうところ辺が見えないので、こう書かれて、(短期・中期)と書いてあるから、短期、中期でもう決定しているんだなと。その辺のところは今後何かの情報で知らなきゃいけないのかなぐらいのことで、今回、前回は過ごしておるんですけれども、その辺で土肥座長にも、そこはちょっと僕は質問の相手が違ったかもしれないんですけれども、文化とか芸能とかジャーナリズムみたいなものをどう守るのか守らないかみたいなところがはっきりしないと、次の議論というか質問がすごくやりにくくなった気がしていたんですけれども。 だから、細かい工程表を見せていただくのはありがたいですけれども、その前提のところのそもそも国としてというところが見えないんですよね。例えば国会図書館のデジタルアーカイブをして次どうするんだというのが、ネットワーク化するのか、民と一緒に利用するのかしないのか。結局のこのこ歩いて出かけていって、そこでデジタルで見るだけなのか。紙でぺらぺらめくるのではなくて、デジタルで見るだけなのかというのも僕はわからないので、次の議論のこれがいいか悪いかというのも、税金の使い方としてこれがいいかどうかというのもわからなくなってきているんですが。 ○戸渡次長 すみません、事務局から補足で恐縮でございますけれども、いわゆる文化の多様性等を確保しながら、我が国として、過去の映像あるいは書籍等についても、しっかりそれを保存しながらも、デジタルアーカイブ化して適切な利活用ができるような、そういう環境を作っていく。そういう意味で我が国の文化面での重要な部分をしっかり国としても保存・保護しながら、それが新しい時代の中でより活用されるようなことを仕組みとしてしっかりやっていく、そういうスタンスでご議論をいただき、整理をいただいてきたかと思っておりますけれども、最後のところで今ご指摘ありました国会図書館について言えば、まずはデジタル化がされていないというものについてデジタルアーカイブ化を進める。それをどういう形で利用し、経済的な面でも活性を図っていくかという点については、ここは既存の書籍関係者あるいはネットワーク関係者等との話の中で、どういう形でそれを活用していくということが我が国にとって重要であり、次の知的資産形成につながっていくかという観点で、この工程表の中には細かく書いてあるかと思いますけれども、いわゆる関係者が集まってご協議をいただく場というのが既につくられておりまして、そこで技術的な問題、それから実際の利活用の在り方についてのルール形成の問題というのを、これは経済産業省、総務省、文部科学省一体となった形でそういう協議の場を作って、現在協議が行われているという状況でございまして、そういった方向をより進めるべしということを、今回の「2010」の中でその方向性というものを盛り込ませていただいて、具体的な進め方というのは、今お配りいたしました工程表という中で、関係省庁がどういうことをしっかりやっていくかというものを示しながら、それを知財推進本部としてしっかりフォローアップをし、段階、段階でチェックをして進捗状況を確認して、各省に取り組みを更に促していくという形の整理ということで、今整理を進めさせていただいているところでございます。 ちょっと話が戻りまして恐縮ですが、先ほど久夛良木委員からご指摘のございましたネット上における部分的引用等の関係でございますけれども、ご提案という形でございますが、まずご趣旨を反映するということで、11ページ目のネットワーク促進のところの基本的考え方を整理しておるところの3つ目の丸の「また、」のところでございますけれども、「また、民間の取組の促進に向けた」ということで書いてございますけれども、「また、インターネット上におけるコンテンツの部分的引用やネット上の放送の利用の円滑化が図られるよう、民間の取組の促進に向けた施策を基本としつつ」云々ということで、このところに「インターネット上におけるコンテンツの部分的引用やネット上の放送利用の円滑化が図られるよう、民間のルール形成、著作権制度の在り方についても検討することが必要である。」という文章にさせていただいた上で、一番最後のページ、16ページのところですが ○津村政務官 久夛良木さん、「盛り込むべき事項」の11ページの3つ目の丸のところについてです。 ○戸渡次長 「盛り込むべき事項」のほうの話でございます。申しわけございませんでした。11ページ「盛り込むべき事項」のほうの本文でございますが、先ほど久夛良木委員よりご指摘いただいた趣旨を反映させていただくということで、11ページ目でございますけれども、「世界をリードするコンテンツのデジタル化・ネットワーク化を促進する。」というところの基本的考え方を述べております部分、3つ目の丸の「また、」以下の部分でございますが、現在は「また、民間の取組促進に向けた」ということで文章になっておりますが、そこに「また、インターネット上におけるコンテンツの部分的引用やネット上の放送利用の円滑化が図られるよう、民間の取組促進、著作権制度の在り方についても検討することが必要である。」という文章を、総論について書いてあります11ページ目の3つ目の白丸でございますけれども、その第2段落目に追記することでよろしいでしょうか。 ○久夛良木委員 それより、工程表の5ページの20ですね。 ○戸渡次長 これは工程表ではそこが該当するかと思いますけれども、「盛り込むべき事項」の本文のほうにつきまして、久夛良木委員のご趣旨を反映させていただく修正案のご提案ということでございますが、11ページ目の本文の総論のところの3つ目の白丸の「また、」以下のところに「インターネット上におけるコンテンツの部分的引用やネット上の放送利用の円滑化が図られるよう、取組の促進とともに、デジタル化・ネットワーク化時代に対応した著作権制度の在り方についても検討することが必要である。」という文章に総論を訂正させていただいた上で、一番最後のそれに該当する施策の部分につきまして、先ほどの「インターネット上における」ということで、「盛り込むべき事項」の10ページにございます「コンテンツの部分引用やネット上の放送に関し、」「関係者間のルール形成が促進されるよう支援する。」ということを再度こちらのほうにも再掲させていただくという形で整理をさせていただくことでいかがかと考えておりますが、いかがでございましょうか。 ○久夛良木委員 1つ皆さんに再認識していただきたいことがあるんですが、本は酸性紙を使っていない限りは大体100年でも200年でも持つんですね。映画のフィルムにしても冷温保存をしていれば、数十年は間違いなく保全可能でしょう。それにひきかえ、録画されたビデオテープというものは、再生する装置にしてもテープ本体にしても、多分あと10年か20年程度しかもたないんではないだろうかと危惧されている。記録可能なCD-ROMあたりでも、実際に10年ぐらいで読めなくなるものがある。これは一回、新しいディスクに焼直してリフレッシュしてしまえばいいんですけれども、ビデオテープはまず再生する昔の装置自体が、多分放送局の中でさえもあまり残っていないと思います。アナログの時代ですね。 ビデオテープは磁性体がバインダーでテープ表面に溶剤で固定されているので、時間が経過すると、保存状態の悪いものは、それが溶解してほとんど読めなくなるケースが多発している。局の方はしようがないからそれらを廃棄されているケースもあるようです。、でも、その時代その時代にいる人は、こんなものは毎日見ているものだから残してもしようがないなと思うかもしれませんが、何十年か経つとこれがまた民族的・文化的資産になるわけです。実は、待ったなしの状況になっている。しかし、恐ろしくて誰も話を持ち出せないのか言い出せないんですね。私が一番危惧している点はそこでありまして、膨大な数の録画資産が、あと10年か、楽観的に見ても20年たったら多分絶対再生できなくなるかもしれない状況が放置されたままになっているという事態です。録画テープ自体を国会図書館に入れたところで、それはあくまで再利用不可能なメディアが倉庫に入れられているのであって、その後デジタル化するであるとか、ネットに乗せる以前のところで完全に再生不可能になってしまう可能性がある。あと数年とか10余年の限られた時間の中で、何億本どころか何十億本のテープを、どういうような工程表で我が国の文化的資産としてデジタル化するのか? そこにもプライオリティーをつけないと、当然、救えるもの、救えないものが出てくると思うので、是非官民一体となってそこの議論をするようなサブコミッティーか何かの場がないと、そのままなくなってしまいかねない事を危惧しているわけです。 ○中村会長 さて、そろそろ時間が迫ってまいりました。他にも個別にいろいろご意見あろうかと思いますが、これだけは言っておきたいということがもしございましたら是非どうぞ。 ○角川委員 映画も一言言わせてください。 過日の前回か前々回の会議のときに私は映画のデジタル化についてもお話をしたんですけれども、今、文化庁ではフィルムセンターでフィルムを保存していただいているんですけれども、これは「これ以上フィルムが劣化しないという保存」をしているんです。今の議論はデジタル化するという話ですので、文化庁はまだ映画資産のデジタル化についてはほとんど手をつけていないはずです。そのときもそういうお話をしたと思いますけれども、『羅生門』の4Kデジタル化については1本で4,000万かかってしまったんです。そういうふうな状況もありますので、角川映画で言うと、大映映画のライブラリーなんですけれども、1,600本あって、これを全てデジタル化するというのは気が遠くなるようなお金がかかるんですね。 それで、前回申し上げたのは、パブリックドメインになるのを5年間延長するから、各社の努力でもってデジタル化したものについては5年間の延長を認めるとか、何かインセンティブをつけることによって民間のデジタル化への意欲を高めたらどうかという話をしたと思います。恐らく国が日本映画の全てをデジタル化したら、予算が膨大になり過ぎてどうなのかということを本当に検討されないと、なかなか短絡的にデジタル化をしようという決断にはならないのではないかなというふうには思っております。 ○中村会長 ありがとうございました。 よろしいでしょうか。 先ほど政務官からいただいた指摘もありますし、また皆さん個別に他にも、ここはこう直すべきだとか、こういうのが足りないというご意見あろうかと思います。それらも後ほど事務局のほうにお知らせいただいた上で、ひとまず今日は最終的な取りまとめになりますので、「2010」について会長である私に一任をいただきまして、その上で事務局、それから政務官とも相談をしながら取りまとめをしていきたいと思いますが、いかがでしょうか。 よろしゅうございますか。 (異議なし) どうもありがとうございました。では、必要な修正を行った上で、この調査会としての報告書をまとめていきたいと思っております。 いろいろとまだ抜けとか穴とかもあろうかと思いますが、私、そうはいっても今回のこの取りまとめ案を自分で拝読するに、例えば海外展開とか人材育成だとかネット展開といったこれまでにない明確な柱は立ったと思いますし、またコンテンツ製作側からプラットフォームだとかネットワークの整備というようなIT政策のほうに踏み込んだということもあります。また、通信・放送融合ですとか電波の開放ですとか、少し前であればちょっと考えられなかったようなところに切り込んだということもあろうかと思います。 しかし、この真価が問われるのは、先ほど政務官がご指摘になったとおりで、これが現実の政策になっていってエンフォースされて、成果が出てくるかどうかという、これからが本番になっていくと思いますので、引き続き我々自身努力をする必要があるというのと、皆さんのご協力をいただきたいと思いますし、今日も最後のほうで更なる提案というのが出てまいりました。また、そういったことの議論の機会もあろうかと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。 では、最後に津村政務官からご挨拶をいただければと思います。 ○津村政務官 挨拶の中であれですけれども、今の中村座長のおまとめで結構だと思うんですが、事務方にもちょっと申しわけないですけれども、ロジ的には来週末に本部を開きます。総理にご報告するということで、総理のお時間もいただいているという状況で、新たに皆さんにもう一回会をというのは、皆さんのご都合も含めて物理的には難しいと思っています。 しかし、先ほどのお話にもあったように、今日私が来てからでも相当具体的なご意見がありましたし、あの様子ですと、私が来る前にもいろんな有意義なご議論があったんだと思いますし、今、中村座長からこの後でも場合によっては紙でもというお話もあったので、それをいただいて、座長に一任ということですが、私も来週のできるだけ早い段階で一緒に見させていただいて、今日のご議論がどれだけ反映されているかというのを確認した上で、それを総理にご報告するよりも前に皆さんに見ていただけるようにしますので、そこからどれだけのことができるか、余り物は言えませんけれども、一種の持ち回りではありませんが、もう一回皆さんが総理への報告の前に見ていただけるように、ちょっと事務方は大変だと思うんですけれども、あと1週間、最後のクライマックスのところまで来ていますので、そこはさせていただきますので、是非そういう形であと1週間、集まってではありませんが、お力を貸してください。 そういうロジ的なことを申し上げた上で、一応締めのご挨拶ということで申し上げれば、私、最初のときに大分失礼を承知で申し上げたかもしれないんですけれども、もともとこういう審議会というか専門調査会みたいなことを各界の方を集めてするやり方、自民党時代からのやり方です。それがどういうものなんだろうというのは正直余りイメージできておりませんでしたし、場合によっては比較的形式的な議論だったり、あるいはガス抜き的な議論だったりするのではないだろうかと斜めに見ておった部分が正直最初はあったんですけれども、委員の皆さんの選考の段階から事務局から上がってきたものをかなりひっくり返して、人選といいますかお願いをさせていただいてお集まりいただいた方々、そして私もちょっと顔を出すだけだったようなときもありますので、皆さんに比べると出席率がかなり悪いメンバーだったんですけれども、できるだけお話を聞こうと思ってお話を聞いてみると、今日も含めて非常に熱い議論をしていただいて、大変感銘を受けております。 さっき申し上げたように、これだけの議論を本当に意味あるものにしていくためには、何度も申し上げていますPDCAのまだPですので、ここからのDCAというところをちゃんと回していけるかというところにかかっておりますし、DのDoは国、私たちがやらなければいけないことで、そこは逃げ場のない話なんですが、Cのところで皆さんにも是非チェックをしていただきたいし、今日のお話の中で、これは政府のやり方なんでしょうね、5月、6月に次の年の予算のことも含めて一たんある種の結論を時間設定も含めてやるというのは一つのやり方なんですけれども、日本の知財政策が今日の議論で終わっているわけではなくて、多分私が来る前に川上さんがおっしゃられたのかもしれないし、佐藤さんや角川さんからもさっきお話があったかもしれませんが、そこまでいろんな話ができるんだったら、もっと言いたいことはたくさんあったんだよというようなお話もあったと思うんですけれども、それはこれだけの紙にはおさまらないたくさんの発想やアイデアを、知財戦略本部自体の仕事は年に1回これを作ることだけではありませんし、私たち知財担当の政務三役も、今回、知財戦略本部を組織の在り方も含めてこれからマニフェストの中で議論しようと実は言っているんですが、是非吸収していきたいと思いますので、反省会になるのか次回へのキックオフになるのかわかりません。6月でも7月でも8月でも、皆さんのご都合と合わせて、またそう遠からず場を持たせていただきますので、こういうとりあえず期限の決まった宿題ということだけではなくて、次につながる議論というか、最初の時に確かに私自身、単年度のことではなくて、5年、10年の成長戦略を一緒に議論させてくださいということも申し上げているので、ここに書き切れていないことも是非引き続き議論させてください。 わずか3カ月という時間で7回、8回としていただいたので、とても突貫工事でしたし、その中で抜け落ちた部分や、私自身の理解不足で拾い上げ切れなかったものがたくさんあって、そこは本当に申しわけないんですけれども、ここに閉じることなく、これで終わらせることなく、皆さんにご指導いただければと思っていますので、引き続きおつき合いいただければと思います。よろしくお願いいたします。 ○中村会長 どうもありがとうございました。 では、これでひとまずのお開きでございます。今日はご多忙のところどうもありがとうございました。 |