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コンテンツ強化専門調査会(第4回)議事録 |
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○中村会長 では、メンバーの方皆様おそろいになったということですので、ただいまからコンテンツ強化専門調査会、第4回を開催いたします。 ご多忙のところお集まりをいただきまして、どうもありがとうございます。 今日は、これまでの3回の会合における議論を踏まえまして、知財計画の骨子(案)に盛り込むべき事項の取りまとめに向けて議論をしてまいりたいと思います。 今日は、津村政務官は30分から1時間ばかり遅れてではありますが、ご出席なさるということですので、お越しになったらまたコメントなどもいただこうかと思います。では、中身に入っていきたいと思います。 そして、今日は知財本部の三尾本部員もこの専門調査会に初めてご出席くださいましたのでご紹介いたします。よろしくどうぞお願いいたします。 また、先日授賞式が行われました第33回日本アカデミー賞について、うれしいお知らせがあるということですので、事務局からご紹介をお願いします。 ○奈良参事官 第33回の日本アカデミー賞におきまして、角川委員が制作・総指揮を務められました「沈まぬ太陽」が最優秀作品賞を含め、3部門で最優秀賞を受賞されたということでございますのでご紹介させていただきます。(拍手) ○中村会長 どうもおめでとうございました。 ○角川委員 異例な紹介をいただきましてありがとうございます。 ○中村会長 では、新たな知財計画骨子(案)についての議論に早速入りたいと思いますけれども、その前に、この専門調査会のもとに設置いたしましたインターネット上の著作権侵害コンテンツ対策に関するワーキンググループにおける検討状況について、ワーキンググループの委員でもいらっしゃいます中山本部員にご報告をいただきたいと思います。よろしくどうぞお願いいたします。 ○中山本部員 それでは、インターネット上の著作権侵害コンテンツ対策ワーキンググループから、現在の検討状況につきましてご報告申し上げます。 まず、1ページをご覧ください。これは侵害コンテンツの現状でございますけれども、膨大な量の著作権侵害コンテンツがインターネット上に氾濫しておりまして、アニメ、放送、ゲームなど、日本のコンテンツ産業に大きな影響を与えております。 それから、2ページをご覧ください。コンテンツ産業の現状を見ますと、インターネット上には侵害コンテンツが氾濫をいたしておりまして、ネット上はタダという意識がユーザーの間にかなり広く蔓延しております。そのため、ネット配信のビジネスや、海外での正規ビジネスが十分に進展していないというのが現状であります。そのため、日本のコンテンツ産業はユーザーのニーズに十分こたえることができず、ユーザーはやむを得ず侵害コンテンツに手を出すというような状況もあるようでございます。 これがビジネスの阻害要因となりまして、コンテンツの創造基盤に大打撃を与えるという負のサイクルが進んでおります。この負のサイクルを断ち切りまして、コンテンツ産業の健全な成長を図るためには、規制の強化を図るとともに、海外対策や正規版流通の促進、それから技術開発等の民間の取組の支援、消費者啓発や警察による取り締まりなど総合的な対策が必要となります。これらのうち制度的な問題につきまして、ワーキンググループにて集中的に検討を行っております。3ページをご覧ください。 これがワーキンググループの具体的な論点であります。まず、2つの大きな論点のうちの1つでありますプロバイダーの責任の在り方でございます。現在では、権利者側からの要請に基づいてプロバイダーが著作権侵害コンテンツを削除しておりますけれども、侵害コンテンツが膨大であるために、そもそも権利者がすべての著作権侵害コンテンツを探知して削除要請を行うということはどだい無理な話でございます。また、一部の大手プロバイダーは自主的に侵害コンテンツを探知・削除する等の対策を実施しているものの、その他は消極的というのが現状でございます。このような状況を改善するために、プロバイダーにも何らかの対策を求めることが必要ではないかという問題意識がワーキンググループにございます。 それでは、4ページをご覧ください。これは具体的な検討状況でございます。 プロバイダーによる侵害対策の促進といたしまして、プロバイダーが一定の侵害対策措置を講ずることを促す仕組みの導入が検討されております。例えばプロバイダ責任制限法に適切な侵害対策措置を実施しなければ損害賠償責任を負う可能性があることを明記した上で、具体的な措置の内容につきましては、当事者間でガイドラインを自主的に定め、プロバイダーのサービス内容や規模に応じた自主的な措置を促進するという方策も一案として考えられます。このようにプロバイダーと権利者の協働を促す仕組みを導入いたしまして、膨大な侵害コンテンツへの対応を効率的に進めることが重要であると考えております。 次に、ページ5をお開きください。 続きまして、アクセスコントロールの回避規制でございます。ゲーム機やDVDに施されたアクセスコントロールを回避する機器が氾濫いたしまして、ゲームや音楽の不正コピーが横行しております。また、今後デジタルネット化がさらに進めば、視聴そのものをコントロールする技術が、より一層重要になってまいります。しかしながら、現行規制は回避機器に対する民事上の規制があるだけでありまして、悪質な業者とのイタチごっこが続いております。回避行為自体に対する規制がないために、ユーザーの不正使用が横行をしているという現状がございます。したがいまして、アクセスコントロールの回避規制の強化が必要ではないかという問題意識を持っております。 次に、ページ6をご覧ください。 これは具体的な検討状況でございますけれども、回避機器の規制強化といたしまして、被害の拡大や脱法行為を抑えるために、刑事罰及び水際規制の導入、対象機器の拡大を行うことが検討されております。また、被害を抑制するため、回避行為の規制の導入も検討中でございます。 このような方策によりまして、違法ゲームソフト等の被害を減らすとともに、今後主流となるコンテンツの電子配信の保護にも対応することが期待されております。 以上がワーキンググループの検討状況でございますが、コンテンツ産業の強化を図るという観点からは、侵害対策の強化と正規版の流通の促進を両輪として進めていくことが重要であります。 以上がワーキンググループの検討状況でございます。 ○中村会長 どうもありがとうございました。ご検討いただきまして本当に感謝いたします。 今の報告に関して、ご意見等ありましたらお願いいたします。 ○川上委員 我々に関わることの質問で恐縮ですが、この4ページのプロバイダーの責任ということころの、このプロバイダーの定義は、動画投稿サイトという理解で、よろしいのでしょうか。 ○奈良参事官 これは基本的にはすべてのプロバイダーを対象にしておりますけれども、それぞれのプロバイダーによって性格とか役割、規模が違うと思いますので、それぞれの性格に応じた一定の役割というものを求める方策が必要じゃないか、ということでございます。 ○川上委員 その場合、プロバイダーの定義というものは、どういったところがプロバイダーなのでしょう。 ○奈良参事官 いわゆる接続プロバイダーと、それから動画あるいは掲示板の提供者、レンタル掲示板の提供者などを含むものでございます。 ○川上委員 途中の経路に存在するすべての業者という理解ですね。 ○奈良参事官 はい。 ○中村会長 この問題は、後ほどの取りまとめのところの我々の3つの柱のうちの3つ目ですね、デジタル化やインターネット化のところでも頭出しをして出てくる話ではありますけれども、今、整理検討状況などを踏まえて、少しここでご意見、コメント、質問などある方はお出しいただければと思います。 ○川上委員 これは一律な義務を課すのではなく、一定の侵害対策措置を講ずることを促す仕組みということなんですが、我々、動画投稿サイトをやっている身から言いますと、結局正直者がばかを見るという状況でして、多分、我々の運営しているニコニコ動画というのは、一番、一番というよりは多分、動画投稿サイトでは唯一自主パトロールをやっているサイトだと思うのですが、それは競争上、そのこと単体で見れば大変不利なんですね。 これは、我々はいろいろ思うところ、いろいろ考えた結果、そういう選択をしたわけなんですけれども、多分、一般的に、一律な規制じゃないと成り立たないと思います。同じ条件で、国内のサイトであろうが、海外のサイトであろうが、同じ条件の制約じゃないと、そういう自主的なものでは実質変わりません。現状、何も変わらないと思います。 ○奈良参事官 そのあたりは、具体的にどういう方策によって侵害対策措置を進めるのかということは大分議論はしているところでございますが、先ほど申しましたとおり、プロバイダーによって性格とか規模が違うということもございますし、技術的な手段というのも日々進化するということで、一定の義務を一律に課すということがなかなか難しいのと、技術を固定してしまうんじゃないかという議論がございまして、そういうことで義務ということで課すというのは、今は難しいのではないかという意見が強いところでございまして、そのかわりに、民事上、一定の行為、つまり例えば動画というサイトでも、たくさんの動画がアップされているところから小規模のところもあると。それぞれに応じて求められる責任というのは異なってくるだろうというふうに思いますので、そうした一定のことをしていなければ、民事上責任を負えるのだということを法令上明確にすることによって、それを行動規範とみなすということで議論をしているところでございます。 ○久夛良木委員 1つ、技術的な側面とか今後インターネットもしくはネットワークが発展していった時に起こるだろう可能性について、ちょっと問題提起をしたいと思います。確かに今までのネット配信というのは、YouTubeにしてもニコニコ動画にしても、サーバーに入っているパッケージ化されたデータを配信していたと思うんですね。ですから、しばらくたってから、これは違法品、これはコピーしたものだとか侵害品だとなれば、それをサーバーの大もとから削除する、もしくはプロバイダーが何らかの方法でそれらに接続できないようにする、ということは技術的には可能だったというふうに思います。しかし、これからのネットワークはどういうふうになってくるかというと、放送番組もネットワークで送る事が可能な時代ですから、リアルタイムに発信したものがそのままユーザーのところに届いてしまうようになる。これがいま現実起こり始めているし、これから間違いなく多くのコンテンツがリアルタイムに配信されるようになってくるでしょう。そうなった時に、例えばネット上に情報が流れ、ツイッターのようにリアルタイムに1秒でネットに上がって、すぐにユーザーのところに届くということは多分技術的に可能になる。そうなった時に、例えばインターネット接続プロバイダー、光ファイバーとかで接続してユーザーのところに接続環境を届けている方々に何ができるだろうか? 技術的にこれらのコンテンツをリアルタイムに判断して接続を遮断するということはかなり困難になるでしょう。例えば中国において、例えば社会的に容認できないメッセージを投げている方がいた場合に、それを即座にフィルターする。それができなければインターネット接続そのものを全面的に使用停止するということ以外に方法がなくなるかもしれません。 それに対して罰則を決めるとか、もしくは技術的な方法で容易にフィルターや遮断ができるだろうという議論がもしされているんだとしたら、それは技術的な部分を全く理解されていないのかもしれないというふうにも言えると思うんですよ。もちろん、その時に民事的な対応であるとか、固定したパッケージについては削除を求めるというのは当然だと思いますし、今までのルールはきちんと守らなければいけませんが、今後起こることに対して不可能なことをこの中に盛り込んで、しかも罰則を決める。かつ、いろいろな制約をどんどんいろいろな人々に課していくというのはいかがなものかな?というふうに思うんですね。これは技術的な側面から見た懸念です。 私がここで皆さんにお話ししたいのは、我々がやることで、これからネットワーク上で広がる可能性であるとか新しいオポチュニティーまで摘まないようにした方がいいという点です。それと同時に、今までみんなが大事に育ててきたコンテンツをきちんとあるルールの元で守るというのは、これは当然だというふうに思いますので、両方を考えて、いろいろな法案とかアイデアを出していただきたいと思います。 以上です。 ○中村会長 今、紙1枚お配りいただきましたけれども、これは何かございますでしょうか。 ○中山本部員 これはワーキンググループで配られた紙でして、プロバイダーに関する侵害対策措置のイメージというか、これを見ると先ほどの川上委員の話も、より一層わかると思います。 ○中村会長 なるほど、これはなかなか複雑な対応が求められるということですね。 ○中山本部員 その複雑なところが一番大変なところでして、単純なら措置も単純でいくんですけれども、いろいろ複雑なところがあるので、なかなか措置が難しいというところです。今おっしゃいました話もまさにその1つで、これから検討していかなければならないと思います。 ○中村会長 ありがとうございます。ここの部分、まだご意見あろうかと思います。後ほど、デジタル化・インターネット化の促進のところでも、我々のアウトプットとしてどうしていくのかについて意見をいただければと思いますし、今拝聴した限りでもまだまだ議論がありそうで、この方向で行こうということでコンセンサスを得ることは大変かと思いますけれども、中山本部員におかれましても引き続きご検討をよろしくお願いをいたします。 では、骨子案に盛り込むべき事項について議論を進めてまいりたいと思います。その骨子案の取りまとめでの全体の流れとしては、この調査会と、それから競争力強化、国際標準化専門調査会、もう1つ同時並行で走っております調査会で、それぞれ盛り込むべき事項を議論いたしまして、最終的にはそれぞれの議論の内容を踏まえてドッキングをして、その上で政治的な判断を経て、一体のものとして取りまとめられるというふうになるだろうと思いますので、我々としての骨子案をできるだけ魅力的なものとするように皆さんに議論をいただいて、中身を盛り込んでブラッシュアップをしてまいりたいと思いますが、まずこれまでの3回の議論を踏まえた全体像について、事務局に資料をつくっていただきましたので、説明をお願いいたします。 ○奈良参事官 それでは、資料2をご覧いただきたいと思います。これまでのご意見を踏まえまして、骨子に盛り込むべき事項を整理いたしました。 なお、骨子につきましては、先ほど会長からご説明があったとおりでございますけれども、もう1つの調査会での議論なども踏まえて策定するということでございまして、ここではこの調査会として盛り込むべき事項ということで広く整理をしたいと考えております。 それでは、ご意見など踏まえまして、新たにつけ加えたところなどを中心にご説明をさせていただきたいと思います。 まず1ページ目のところでございますけれども、コンテンツ産業の強化の現状認識ということでございますが、「クールジャパン」として世界に高く評価されるなど、我が国のコンテンツの潜在力は高いということで、強化のために伸張するアジア市場等を取り込むための戦略が必要であるということ、2つ目の丸で、人材育成のための基盤についても手を打つ必要があるということ、それから2ページにまいりまして、デジタル化ネットワークの中で、ゲーム分野ですら必ずしも安泰ではないということ、それからデジタル化・ネットワーク化は海外と並んで重要な出口であるということで、電波政策の在り方も含めて積極的に戦略を進めていく必要があるということでございます。 それで、またコンテンツは約14兆円の産業にとどまらず、ファッション、工業製品、教育等、様々な分野に波及効果が大きいということを書いてございます。 3ページにまいりまして、具体的な施策の柱でございます。 1つ目でございますけれども、コンテンツを核として、海外から利益が入る仕組みを構築するということで、海外展開の促進ということでございますけれども、成果イメージといたしましては、コンテンツによる海外収入、現行約1兆円ございますけれども、それが2020年には2.5兆円になるというイメージで考えてはどうかということでございます。考え方でございますけれども、現在、我が国の海外収入約4%でございますが、アメリカの17%とはまいりませんけれども、2020年ごろには1割程度まで増やすということで考えたらどうかということでございまして、それに経済的波及効果も含めて考えてはどうかというものでございます。 施策の考え方といたしまして、2つ目として、世界的な大ヒットに至らずとも、一定のニッチ市場を確保すれば、相当の売り上げを上げることも可能であるということで大きな可能性があるということ。 それから4つ目の丸のところで、海外の拠点を確保していくということが重要であること、それからコンテンツと観光、ファッション等の他分野とを結びつけて、波及効果を高めていく必要があるということ、またアジア市場のコンテンツに関する規制緩和を促していくことが重要であるということを記述してございます。 4ページにまいりまして、具体的な施策例でございますけれども、まず1点目といたしまして、海外展開を支援し、海外に流通拠点を築くということで、施策例といたしましては、海外展開資金を供給するファンドあるいはファンドへの投資減税、また流通経路の確保、それから支援にあたっての日本側による一定の権利の確保や完成保証の活用を促すということなどが考えられるのではないかと思います。 目標の指標例といたしましては、日本が権利を有するような積極的な役割を果たしたコンテンツについて、2020年には世界で興行収入50億円以上、これは現在無いわけでございますけれども、年間最低1本ぐらいは出るようなイメージで考えてはどうかというふうに考えております。 それから(2)のところでございますけれども、海外から資金・制作を呼び込むという観点で共同制作あるいは撮影誘致のインセンティブということで優遇税制、そして助成制度を創設してはどうかということでございます。 (3)といたしまして、世界に対して日本のポップカルチャー等を総合的に発信するということで、5ページにまいりまして、コンテンツ、ファッション、観光等を総合的に発信するということ、あるいは日本のアニメ、音楽を海外発信する仕組みの構築を支援するということを挙げてございます。 また(4)では外交強化ということで、韓国、中国におけるコンテンツ規制の緩和でありますとか、あるいは著作権侵害に対する個別協議ということで是正を図っていくということを掲げてございます。 それから、6ページでございますけれども、施策の大きな柱の2つ目といたしまして人材育成の観点でございますけれども、海外からも優秀な人材が集まるような魅力的な「本場」を形成するということでございます。成果のイメージとしては、コンテンツ関連の人材が世界から集まるというイメージでございますが、少なくとも例えば芸術関連の留学生について、現在約3,000人いるわけでございますけれども、これについて3倍ぐらいになるように目指してはどうかというものでございます。 施策の考え方といたしましては3つ目の丸でございますけれども、新たなメディアの創出あるいはそのデジタル化を通じて制作機会の積極的な創出を図るということが人材育成にとって重要であるということ、それから4つ目のところでは、「国民総クリエーター」の視点を取り入れた政策を展開するということは重要であるということを述べてございます。 6ページのまず(1)として施策の例といたしまして、制作・発表機会の創出という観点では、観光も含めた地域発コンテンツの支援ということでありますとか、7ページにまいりまして、教育関係のコンテンツの支援でありますとか、あるいはそういった制作機会を増やすという上での新たなメディアのためのインフラ整備ということを掲げてございます。 それから(2)といたしまして、海外から人材を呼び込み、世界に通用する人材を育てるという観点では施策の例としては、海外のクリエーターが集まるような、そういった大学の拠点を形成するのを支援してはどうかということ、あるいは世界に通用するクリエーター、プロデューサーを育成するためのネットワークの構築を支援するということは考えられるのではないかと思います。 それから、(3)といたしましては、クリエーターの裾野を拡大する、またユーザーによる創造活動を支援するという観点で、小中学校の段階からのデジタルコンテンツ制作教育の推進でありますとか、あるいは一流のクリエーターと子供たちが触れ合う機会を拡充する。それから、発表の場を確保という観点で、比較的参加しやすいショートフィルム等の制作の支援ということ、それから1億総クリエーター時代に対応した権利処理ルールの明確化等、それから様々なアーカイブについてのネットワーク化あるいは、いろいろ議論がございましたけれども、映像のアーカイブ等への支援ということなどが考えられるのではないかと思います。 最後9ページでございますが、3つ目の柱といたしまして、世界をリードするコンテンツのデジタル化・ネットワーク化の促進ということでございますけれども、成果イメージといたしましては、現在のネットコンテンツビジネスの市場規模、1.4兆円ございますけれども、それが2020年には約4兆円ぐらいになるイメージでございまして、現在伸び率が大体十数%でございまして、年々落ちているわけでございますけれども、少なくとも毎年10%ぐらいは確保するというようなイメージで考えてはどうかというふうに思っております。 施策の考え方といたしましては、3つ目の丸でコンテンツのための新たなメディアの創出、あるいはプラットフォームへの戦略的対応などが重要であるということが書いてございます。 施策例といたしましては、まず既存のメディアではなくて、いかに新しいメディアをつくり出すかが重要という話もございましたので、まずそれを掲げてございまして、具体的には10ページにまいりまして、様々な新たなメディアのためのインフラ整備という観点、それから通信・放送の融合を踏まえた規制緩和ということが考えられます。それから(2)といたしまして、様々な分野での電子配信を進めるという観点で、書籍、それから放送番組あるいは映画に関するデジタル化、それから新たな形態のコンテンツ配信に関する実証実験などを支援するということなどが考えられると思います。 なお、書籍のデジタル化に関しまして、前回、国立国会図書館におけるデジタルアーカイブのご質問がございましたけれども、資料3のほうで、我が国、それから各国の国立図書館の状況が書いてございますので、後ほどご覧いただければと思います。 それから(3)といたしまして、プラットフォーム戦略の観点でございます。11ページにまいりまして、まず重要なプラットフォームを獲得するための戦略を策定・実行するということ、それからプラットフォームが獲得できないような、そういうようなことも考えて、官民一体となって排他的でないマルチプラットフォーム戦略を策定するということ、それからプラットフォーム事業者、それからコンテンツ事業者がウィン・ウィンの関係になるような、そういうビジネスモデルの構築に向けた環境整備を図っていくということが考えられます。 それから、最後4番といたしまして、先ほども中山委員からご説明がございましたが、著作権侵害コンテンツを大幅に減らすということで、施策例といたしましては、まず海外対策として、条約交渉を進めるということ、それから二国間協議を進めていくということ、それからアニメ、音楽等の正規配信を増やしていくということが考えられます。 それから、最後12ページでございますけれども、国内対策といたしましては、アクセスコントロールの回避規制の強化、それからプロバイダーに関する課題、それから民間企業が消費者の利便性に即した正規サービスを展開することを促進するといったことなどを総合的に考えていく必要があるのではないかと思います。 それから、最後(5)といたしまして、デジタル化・ネットワーク化時代に対応した著作権制度を整備するということで、直近の課題として保護期間あるいは私的録音・録画補償金問題等も含めまして総合的に検討を行って、措置を講じることが可能なものについて順次実施していくということで考えてはどうかというふうに考えてございます。 以上でございますけれども、まだまだ足りない点などあろうと思いますので、ぜひさらに盛り込むべき施策のアイデア、あるいは有効な目標設定等についてご意見をいただければというふうに思っております。 ○戸渡次長 それから、先ほどのインターネット上の著作権侵害コンテンツ対策のワーキングにおける検討状況について事務局からお話をさせていただきました部分について、ちょっと川上委員からもご指摘をいただいた部分を含めて補足させていただきますと、現在ワーキングにおきましては、基本的にはプロバイダーと権利者の協働を促す形で、現在の起きている事象にどうやって対応していけるかと。それはネットの持つ将来の可能性等を決して弱めない、その広がり、可能性がうまく生かされる形で、かつ協働という形でどういう方向が考えられるかということをACTA交渉、国際的な交渉の枠組み等を決めながら今ご検討いただいているというところでございます。 ワーキングで直ちに強烈な規制措置等をばっと入れられるというような議論をしているという状況ではなくて、どういう方向が考えられるか、その方向で関係のところでさらに具体策を詰めていくことになっていくんだろうと思いますけれども、ご指摘いただいたような部分も含めて、今、方向性についての議論をいただいているという状況であるというところを補足させていただきたいと思います。ありがとうございました。 ○中村会長 ありがとうございました。今、資料にご説明ありましたように、これまでの3回の私たちの議論をベースにして随分と整理をしていただいておりますし、中身も厚くなってまいりました。ここからひとまずの取りまとめに向かって作業をしていくことになるわけですけれども、内容が多岐にわたりますので、これまでと同様に、テーマごとにご意見をいただいていこうかと思います。4つぐらいに分けるとして、まず最初に、全体の現状認識、全体目標ということで1、2ページ目のところでご意見等ありましたらお願いします。我々が出すメッセージとしては、ここで先ほど説明いただきましたように、日本には潜在力はあるんだけれども、うまく発揮ができていない。それから課題としては、海外展開、人材育成、ネット化という3つありますと。コンテンツは波及効果も大きいので、この3つの点を克服して大国になりましょうという、そういうストーリーになっているわけですけれども、そのあたりで何かコメント、強調すべき視点、その他ありましたらお願いいたします。 (意見なし) よろしいですか。では、このあたりは基本的にこのような路線で書いていっていただくこととします。 では、中身、本論に入っていきます。 まず、1.の海外展開でございます。3、4、5ページのあたりで質問、意見、コメント等ありましたらお願いいたします。 ○角川委員 今までの知財の議論の傾向として、こういう作文でつくっていくだけではやっぱりもう足りなくなってきているというか、こういうふうに強化しようという呼びかけみたいなことでは、なかなか実は強化されないということがもうわかってきているわけです。そうすると、方向としては2つ方向があって、1つは法律をつくっていくということがあって、これはどちらかというとコンテンツの著作権を強化していくという方向になっていきます。ある時、前ご指摘があったように、気がついてみると内閣、知財本部は法律をいっぱいつくって規制強化ばかりしている。もう一つの方向である規制緩和の数と規制強化の数を数えてみると、規制強化の数のほうが圧倒的に多くなってしまうということなんです。 これは真剣に考えれば考えるほど、どっちかというと規制強化、著作権を強化していこうという方向が多くて、これは決して悪いことではないんだけれども、では規制強化したからいいコンテンツができたかというと、必ずしもそういう形にならない。「創造、保護、活用」のその保護のところにどうしても偏ってしまうということがございます。やっぱり今回民主党に政権がかわって、新しい知財の取り組み方としては、何を政府がすべきかと。民間で一緒になって、民間に任せるということがあったら、これもまた現実にここでそれほどお話をする必要がないわけです。ですから、政府が何ができるか民間から提案してほしいと、委員から提案してほしいというところに意味があるんだと思いますね。 そこで、こうやって今お話があって、従前、この海外収入を、1兆円であったところを2.5兆円にしようとか、あるいは4%だったところを10%にしようと、こういうことも、今まで既にやってきた部分があって、経産省が新産業振興施策ということでやってきたけれども、それが具体的にどうだったのかというのも、やはり具体的な施策がなくて、呼びかけで終わってしまっているのだと思うんですね。それを繰り返さないことが今回は大事じゃないかなという気持ちがします。 ですから、ぜひ具体的に何ができるかということを持ち寄って、それを盛り込んでもらいたいなと思います。 ○中村会長 今のご指摘、非常に私も賛同するところでありまして、施策の中身をばちんと書き込みたいというのと、我々の覚悟としても、そのような実際に実行可能な施策であるということと、そういった政策が評価されるものでなければならないというようなことも、この調査会の報告の扱いではないかもしれないですけれども、どこかに記しておいてもよいのではないでしょうか。 大多委員、お願いします。 ○大多委員 私も今の角川さんの話と全く同感で、そのお題として1兆円、2.5兆円というのが書いてあって、これは前回も言いましたけれども、どういう計算かよくわかりませんが、これを書くのは簡単だと思うんですね。ましてやコンテンツの場合は本当に当たるも八卦当たらぬも八卦という部分があって、目標にいくいかないかというのは本当にやってみないとわからない部分があるんですが、それから書いてあるいろいろな各論も、こうなれば確かにいいよなとか、確かにもっともなことを言っているなと。議論してきた中で、いろいろ意見を言うということ、こういうことがあったらいいというふうに思うんですけれども、本当に角川さんがおっしゃるように、じゃあ国として日本のコンテンツをもっと強化する、というか、海外でもっと稼げというのであれば、この中の1つ、例えば海外展開資金を供給する仕組み、いわゆるファンドを創設するのはいいんですけれども、するならすると決めて、これから実際に我々、コンテンツをつくる時に、幾ら国が援助をしてくれるのか、誰がそれを選んでこのコンテンツにどう投資するのかみたいな、もうちょっと具体的なところとか、この中のせめて1個でもいいですから、そういうのが出てこないと、これで終わって、何かこういうことがいずれできるみたいよということでいいならばそれでいいんですけれども、それはそこまで詰めたほうがいいのかどうか、じゃ、どれを選ぶのかということになると、たくさんまた時間もかかるんでしょうけれど、このままだと抽象的というか、いろいろ出て、言ったことだけがここにまとまって、終わるということなのか、ちょっと心配に思いました。 ○近藤局長 今のご指摘は誠にそのとおりで、これはお題目だけ書いて終わる会議ではないので、これは政府として本部で決めるわけです。この専門調査会の議論を経て、本部で決定をする。本部には有識者の委員に加えて各省の大臣も全部入って決めるんです。総理も含めて決めます。ということは、閣議決定と同じような決定をするわけでありまして、今度はこれを決めて、例えば海外展開ファンドをつくってやりなさいと、それで短期と書いてあるんですから、この短期というのは1年2年のうちに、どういうファンドをどうやってつくって、国は何ぼ出して、どうやるというのをちゃんと決めて公表するというのを各省に義務づけるんです。各省はそれに基づいて、そのファンドをこうやってつくって、幾らどこから出してこうやろうという案をつくって、それをもう一回かけると。その時に、財務省が抵抗しても、いや、これは閣議で、おまえのところの大臣も含めて決めた話なんだから、額を50億にするのか45億にするのか議論したらいいけれど、一切出しませんなんていうことは一切許さないというためのものでありますから、これはここの場面でこういうことをやろうと決めたものは全部やる。この中から幾つかだけやるんじゃなくて、書いたことは全部やるというつもりで書いています。実際にこれができなかったら、今度は書いてあるものができていないじゃないかと、どれができてどれができなかったのか、マルとバツをつけて全部示せと民間委員の方々に言っていただいて、約束をしたものができていないのはどうしてくれるんだと、これはまたみんなで言うと、こういうことだと私は思いますし、そういうつもりでもともとこの本部もスタートをしておりますから、今おっしゃった、実はこのファンドは若干スケジュールが遅れて、本当はもう去年の秋ぐらいに、できる予定だったんですが、ちょっと数字を合わせましたけれども、数十億オーダーの50億かそこらぐらいのファンドが出来上がる仕組みが、もう準備ができつつあって、近々できると思いますけど、これに今度は、私たちはさらに減税もしてくれよとか、それからそれに対してもう少しフローでお金を入れられないかとか、幾つかそういうのを引き続き検討してもらうと。それをこれは多分、恐らく経済産業省と文部科学省ぐらいになるんでしょうけれども、そこのところから今度はまた報告してもらうと、こういうつもりでありますから、ここに書いてあるのはこの中から幾つかできるのではないということで、みんなでウオッチする前提つきで、自信を持って発言をしていただいたら実行していく。こういうことになると私は思っております。 ○大﨑委員 ファンドの金額といいますか、規模の問題があると思うんですよね。多分、50億程度ならば、民間の大手の企業さんたちが自社でできることだと思います。例えば、韓国などは、今ちょっと地上波がかなりいじめられておりまして、新しいケーブルテレビ、総合チャンネルができます。それについては1波、2波でき、向こう3年間で400億のコンテンツ制作援助金ですか、補助金が出るみたいなことを、それでにぎわったりしております。中国だと、上海メディアグループ、SMGさんがアジアにまたがる衛星放送をどう持つかみたいなことをすごく検討なさっています。 翻って日本というのは、映画は若干あるとはいうものの、テレビというコンテンツも出版、雑誌、新聞も含めて、日本語の特質ということがあるんでしょうが、海外に出たことがないんですよね。村上春樹さんのご本が少しとか、例外はあるでしょうけれども、基本的に海外に出たことがない。海外で稼いだことがない。その日本語の特質ということと、ファンドはたくさんつくっていただきたいと思いますが、それと同時に、いわゆる出版の流通を、あるいはテレビ番組や映画の流通、メディアの流通みたいなものをどう確保していくか、どう組んでいくんだというところも並行して考えないと、つくったけれども、じゃ、どこに乗っけて売るんだという時に、もちろんアジアに向けた文化侵略みたいなことがあるので、センシティブな問題ではあると思いますけれども、乗っける道路といいますか流通をどうするかということも並行して考えていただきたいなと思います。 以上です。 ○中村会長 先ほどお話がありましたように、この施策例というのが実は非常にそれぞれ重い意味を持っていまして、中身と根拠のある政策メニューが並ぶというアウトプットになるということでありますし、私もいろいろな役所の方から、ここでどういう施策が盛り込まれるのか、各省戦々恐々としているということも聞いておりますが、そういう意味で言いますと、何でもかんでもアイデアとしてここに並べるということではありませんし、一方で、我々もしっかりとしたものを、ここに選んで書き込むという責任を持っているということのようであります。 また、その中でも今ファンドの話が幾つかありましたけれども、この海外展開で、例えば目玉はこれだと3つぐらい挙げろと言われたら、例えば我々としても、ファンドですねとか、協定ですねとか、あるいはアジア外交ですねという、そういったことが言えるような議論をしておく必要があろうかと思います。皆さんから他にコメントがあればお願いします。 ○近藤局長 すみません、さっきのファンドは、確認したところ100億ぐらいだそうです。ちょっと幾らかよく覚えていなかったので失礼しました。 ○中村会長 そのファンドは、国として100億を集めて、そこに民間資金も入っているんですか。 ○近藤局長 私の記憶が正しければ、民間の金をちょうど中小ベンチャーみたいなものを育てるような機構から出して、あと民間のお金と抱き合わせて100億だったような気がいたしますが、違いますか。正しいそうであります。 ○大多委員 すみません、不勉強で申しわけないんですけれども、それ、もう100億というファンドが決まっているのになぜまたここに書かれているんですか。 ○近藤局長 まだできていないためです。それから、あと税制の措置もできていないからです。 ○大多委員 それはまだやるとは決まっていないということですか。 ○近藤局長 つくることは決まっているのですが、そこに例えば民間が出した時に、その税制を免税にしてくれとか、そういうのがまだくっついていないんです。それをもうちょっと本気でやっておかないと、金額が結構大きいので、そういうところまで書き込んでおかないと、実際には相当リスクの高い金なものですから、これが公債費と同じ課税をされたのではたまりませんので、そういう仕組みをやる時に、つくることが決まっても、そこから先のところまで1つ1つ決めていかなければいけませんので、やると同時にそこから先をちゃんと詰めろよというのもあって、ここをもうちょっとさらに行けと、こう書いてあるんです。 ○角川委員 よろしいですか。 ○中村会長 はい。 ○角川委員 それでいきますと、従前の知財の在り方でいくと、それぞれのところに関係省庁の名前が書いてあるんです。これは経産省マターの問題だ、これは文科省の問題だ。それで、民間の僕たちもそれについて理解が深まっていくと思います。そこら辺で、当初この新しい知財本部ができる時に、知財本部そのものに予算をつけてほしいという中山先生のご提案もあったと思いますけれども、それがもしできないのだったら、従前どおりでも結構ですから、それぞれの省庁をきちっと書いていただきたいと思います。 ○近藤局長 書くつもりです。書くつもりですと、私が事務局で本当に余り言ってはいけないことかもしれませんけれども、書くつもりでありまして、これは、もう一回、頭の整理ですが、専門調査会で議論をしているのはこのペーパーで、専門調査会でご報告をいただいて、それから競争力の専門調査会でご議論いただいて、それを、全体を見通した形で本部で決定をします。本部で決定する時には、ちゃんと項目を書いて何省というのも書きます。そうしないと、後で言われているのが誰のことだったのかわからないということになったのではいけませんから、何省がちゃんとできたのか、できなかったのかと後で政策評価もするので、そこは責任省庁を書きたいと思っています。 ○角川委員 是非よろしくお願いします。そういう点では、例えば、1の丸4つ目の「海外市場を獲得するためには、日本単独では限界があり、国際共同製作の促進等、海外から資金や制作を呼び込むとともに、」というふうに書いてありますけれども、ここのところでは、従前、前回私が申し上げたとおり、合作協定を国と国との間で交わさないと、これが有効にファンドが動かないということもございます。ですから、そこら辺も1つ考えてもらいたいと思います。 ○中村会長 今ご指摘になったのは、4ページ目の(2)の…… ○角川委員 3ページ目の…… ○中村会長 今おっしゃったのは3ページ目ですね。 ○角川委員 それは4ページ目に入っていますか。 ○中村会長 4ページ目の(2)の2つ目のポツのところに「国際共同製作協定」とあるんですが、これのことですね。 ○角川委員 そうです。例えば、今シンガポールとの合作の話が出ているんですけれども、これもやっぱりシンガポール政府はいい合作のテーマであると認定すると25%お金を出すということを明白に言っています。上限の金額がございますけれども。その時に、日本もそれに合わせて25%出さないと、シンガポール政府が出すのに日本政府は出さないということになると、合作の意味が半減するんだと思います。ですから、その面で、ぜひこの文言を今の2番、4ページの(2)番で結構ですから、この中期の目標に書き込む時には、各国の合作、国際映画の支援の実態というものを調べていただいて、そこからワーキンググループみたいなレベルの話を詰めていくようなことにしていただきたいなというふうに思います。 ○中村会長 結局、それぞれの施策を誰が責任を持って担当するのかというのは、よき知財計画の伝統を引き継ぐということのようであります。どうぞ。 ○佐藤本部員 オブザーバーなので、余り発言をしないようにしようと思っていたんですが、今、競争力強化の方では、官民一体になってやろうということになってきています。それは、やはり官がやるべきことと民がやるべきこと、両方があって初めて達成できるんじゃないかと、そういう意味で、その施策が誰が何をするのかということをはっきり主文を明確にしろという議論をしています。このコンテンツに関してもそうなんですが、民がやるべきことと官がやるべきことと、やっぱり役割分担があると思うんですね。それを明確にして、官はこれをやると、民はこれをやると、それは一体になって初めて目標が達成できるというシナリオでないと、それは戦略ではなくて、単なるスローガンを掲げているだけになってしまうんじゃないかというふうに思うんです。ここに挙げられていることでも、やはり民がやるべきことも当然あると思うんですね。それを官が支援する、また制度整備する、そういう形の構造にここを書き直さないと、結局、誰が何をするのだという道筋が見えないというふうに思うんですね。ぜひこれをやっていただきたい。先ほど事務局長からお話ありましたけれども、今までは推進計画の中で、各施策があって、各省庁が分担、きちんと書いてありました。ただ、それは官がやる話だけで、民がやる話が明確になっていなかったと私は思うんです。やっぱり戦略本部で今までやってきたのは、非常に制度整備、環境整備という形で、民がやることを支援するという形のことをずっとやってきた。だけど、やはりその整った舞台の上で、民がちゃんと踊りを踊らない限りは、結果は出ないんだと思うんですね。そのストーリーをやはりこの中でしっかり見えるようにするべきだというふうに思います。 それからもう一点は、この1つ1つの議論は既にされている議論がたくさんあるんですね。現状どこまで進んできて、何が本当に問題なのかということが、ここで見えるようにしないと本当の議論にならないんじゃないかと。ですから、競争力の方は、この盛り込むべきものともう1つペーパーがあって、その1つテーマごとに現状どうなっていて、各国どうなっていて、今現状何ができなくて、何が問題だと、もう1つのペーパーがあるんですね。これもやはりこちらもそういうペーパーがあって、共通認識のもとに議論をしないと、議論が発散するだけで収束しないんじゃないかというふうに感じたということを申し上げます。 ○中村会長 ありがとうございました。他にいかがでしょうか。 例えば、事務局に質問ですが、そういう何をどういうふうにするのかということで言うと、例えば5ページ目の、ネット上で日本のアニメや音楽を海外に配信する仕組みの構築支援という項目がありますが、これは具体的にこういうことをしようという、何か中身やアイデアというのはあるんですか。 ○奈良参事官 これは先ほど、例えば基本的には民間企業がやるものについて、例えば先ほどのファンドのようなものを使ってそれを支援するということが考えられますが、例えばそのアニメの例で言いますと、日本のアニメをネット配信するということをアメリカの企業がやったりしているというような実例がございまして、それがかなり世界的に見られているようなことがありますので、そういう日本のアニメが海外にとられていては仕方がないということがございますので、むしろその日本版のアニメの配信システムというものを国として支援したいというものでございます。 ○中村会長 あるいは、その次の(4)の外交強化でアジア市場を拡大するという、これは非常に重たい施策が並んでいるんですけれども、このあたりも、誰がこうするというような具体的な像や現在行われていることなどがありますか。 ○奈良参事官 これは例えば韓国との個別のお話し合いの中でそのようなことを取り上げているというようなこともございますし、また中国につきましても、いろいろゲームが事実上認められていないというような状況がございますので、これも情報収集等をしているところでございまして、これをぜひ緩和を実現したいと思っておりまして、これはまさに国として民間等の支援も得つつ、実現するということではないかと思っています。 それから、著作権侵害についても、個別の協議の場というものが最近立て上がったものもございますので、そういった場などを通じまして、働きかけをして是正を実現したいと考えているところでございます。 ○中村会長 他に海外展開について何かございませんでしょうか。 ○角川委員 ここに書かれていないと思いますけれども、外国の映画会社が日本でロケをする際での減税だとか支援の制度を盛り込んでいただきたいなと思います。これも、従前そういう話が出たこともありますけれども、やはり減税とか、それからそういうお金がつくという問題として、取り上げられなかった歴史があります。 海外の場合、普通当たり前に日本の映画会社がロケをした場合には、消費税は免除だということがあります。また、海外の場合には、消費税が日本よりもっと高いものですから、減税だけでも結構魅力的なんです。日本の場合には海外の会社が日本でロケをしても、そういう減税措置というのはなくて、例えば「ラストサムライ」などは、日本では1割程度ロケして、9割がニュージーランドに逃れてしまったということで、よく見ると「ラストサムライ」の風景と「ロード・オブ・ザ・リング」の風景がよく似ているということになるわけですね。知っている人がよく見ると、ああ、何だ、ニュージーランドの「ロード・オブ・ザ・リング」の風景が出てきたということがわかるような、そういうことになってしまうわけですね。ですから、ぜひそういう制度も考えていただきたいと思います。 近いところでは、例えば遠藤周作先生の「沈黙」などが、日本でロケをするのか、またこれもニュージーランドに行くのかという話が今あります。マーティン・スコセッシ監督が、どうしても日本でやりたいのだけれど、日本のメリットが何もないというところで今非常に逡巡しているという話も聞いていますので、なるべく早くそれをつくってあげたいと思います。その際、日本をロケ地に選んでもらった時には、消費税の免除というのは最低限なんですけれども、そこに日本人のスタッフを採用した時には、さらに新たな別の支援策をつくるということが必要なんですね。それが、例えばアメリカから全部スタッフが来てしまって、ただ日本はロケ地になるだけというだけではまたつまらないわけで、日本のスタッフを採用するモチべーションというか、そういうものを上げるための支援策をつくるということも必要で、それがあると、この人材育成に対して非常に強力な支援になると思います。 ○奈良参事官 事務局から、このおっしゃった趣旨、4ページをご覧いただきたいと思うんですけれども、まさに今、角川委員がおっしゃられた趣旨でございまして、やはり海外から制作を呼び込んで、しかもただ呼び込むということではなくて、協働する仕組みが重要だと思っていまして、おっしゃったとおり、国際共同制作あるいは撮影誘致のインセンティブとして、諸外国では例えば国内で落としたお金の、後で2、3割が返ってくるだとか、あるいはフランスのように助成制度があるとか、そういうのもございますので、ぜひこういったことを実現させていきたいというふうに思っております。 ○中村会長 海外展開のところ、これまで議論してきたように、我々がコンテンツや商品を海外に出すと同時に、海外から引き込むというのを明確にするということと、そうすることによって先ほどご指摘があったように人材育成にもつながると、制作の場を提供するというのはその全体のエコシステムをつくるということだろうと思います。他にありますか。 ○角川委員 ちょっと書き足していただきたいのは、こういう制度ができますと、弁護士の仕事が増えます。国際弁護士の育成にもつながります。ヨーロッパやアメリカではこの専門の弁護士がいるんですね。その人が例えばこれはカナダの税制を使った方がいいとか、ここはアメリカのカリフォルニア州の税法の方がいいとか、そういう指導をしてくれるんですけれども、日本にはそういう制度がないものですから、そういう面での弁護士の育成が無いんですね。これもぜひ、ここのところで、国際弁護士の育成のためにもこういう税制が、あるいはこういうインセンティブが必要だということを明記してもらいたいと思います。 ○中村会長 議論が人材育成の方へかかってまいりましたので、では人材育成、今のも含めてお話をしていただければと思います。人材育成は6、7、8ページにわたります。ここも、施策、それぞれ様々なものが記述されておりますけれども、質問、コメント等ありましたらどうぞよろしくお願いいたします。 ○杉山委員 まず2つ目のところに、コンテンツの基盤である人材育成は、これまで軽視されがちというところが実は問題でして、軽視されているんですね。それは軽視されている以上、やはり優秀な人材が集まりません。例えば7年前、僕が、専門職大学院という制度ができたので、コンテンツ産業で活躍する、今までの縦割りじゃなくて横に、映画でもテレビでもゲームでもアニメでも、横に口を出すようなプロデューサー育成ということで専門職大学院をつくるということで文科省に行ったのですが、最初に設置審議委員会の先生に言われたのは、あなたたちは何と浅薄なことをやろうとしているんですかと言われたんですね。という感じなんですよ、 それから、それは1つの例で、その後1年後大学をつくったんですが、去年から就職が始まっています。それで、良いところに認められて就職していった子の高校までの状況を見ますと、かなりレベルの高い高校の優秀な生徒である場合も多いんですね。つまり勉強もできると、地頭も良いという子がやはり良い制作会社とかコンテンツ関連のビッグネームのところに就職できているという例があるんですが、そういう子が進路指導の先生や親に賛成をされたかということですね、デジタルハリウッド大学を受験することに猛反対を受けています。 だから、ここで小中学校に行って、クリエーターがプレゼンすれば、すごい、僕もやりたいとなると思うんですが、高校に行って進路指導の先生が、いや、君、そういう大学は、とかそういう勉強をするのはいかがなものかと。美術大学へ行くのか、とか、絵描きじゃ食えないぞ、とか、そういう感じになりますと親御さんも、どうもアニメなどに行っても、食べられないんじゃないかと心配になってしまうわけですね。ですから、むしろコンテンツ産業は、国として重要だというふうに思っているということと、むしろ高校の先生たちなどにレクチャーしていかないと、最後のところで優秀な子が来ないんですね。 僕はたくさん経験がありまして、95年に専門スクールをつくった時は、これはどんな人が来るかわからないので、とにかく学校をつくったんです。そうしたら大学を出た子たちとか、既にいい会社に入っている人たちがたくさん来たんですね。1年間ぐらいCGとか物すごく勉強して、そしてSCEにばっと入っていったんですね。そこからみんなそれぞれ独立したりして、非常に活躍しているんですけれども、もともとやっぱり頭も良くて、物づくりも好きという子がリーダーシップをとっていっているんですよ、この15年間見ていくと。 ということは、何を言いたいかというと、やっぱり親御さんへの啓蒙とか、先生に対する啓蒙が重要で、優秀な子でそういうことをやりたいといった場合に、いや、君は絵の才能もあるけれど、これだけ優秀なんだから、経済をやりなさいとか、そういうふうにならないで、これだけ優秀だったらジェームス・キャメロンみたいになれるかもしれないから映画を志しなさいとか言ってほしいわけです。それがないと、核となる優秀な人材が来ないですよね。だから、余り小中学校でその気にさせても、高校の先生とか進路指導とか、文科省がやっぱりそういうことを余り学問として端のほうだとかと思っている限りは確保できないですよ。 ○中村会長 それは施策として何か書き込めるのはないですかね。 ○杉山委員 いや、だから高校の先生たちに対する不満はありますね。結局、受験産業の偏差値でしか大学を見ないですから。偏差値の高い大学に行けという話ですから。なかなか美大でもどこでも苦しいですね。 ○中村会長 どうぞ。 ○大﨑委員 本当にそうだと思うんですよね。ちょっと卑近な例ですけれども、僕は吉本興業という会社に入ったんですけれども、勉強もできなくて地頭も良くなかったので当然だったんですけれども、当時はやっぱり虚業の最たるものというか、実業に対する虚業の最たるもので、わけのわからないあんなところに行ってと言われ、今もそうなんですけれども、時代も変わればコンテンツのいい会社ですねと半分お世辞で言っていただけるんですが、そういうふうに時代が変わってきて、偏差値教育で大学に入るのに、その偏差値を基準にして、あるいは優秀な会社に入るということだけの物差しじゃなくて、違う物差しを持つべきだと思いますし、高校卒業して大学受験をするという1つもあるんでしょうけれども、このコンテンツに関する大学院大学というか産業大学みたいなのができるとするならば、それこそ角川会長や杉山委員とかが特別講師にもなっていて、社会人もそこだけは受けられるとか、これからコンテンツにレコード会社の方も出版社の方も優秀な方が定年退職を迎えられるんですけれども、その方たちも講義のコマを持つとか、中高年の方も映画のところは昔若い時にやりたかったので、その講義を受けたいとか、もう少し出入り自由で、そんなふうな学校みたいなものができたらいいなと思います。そんな中でいわゆる学園祭、研究室の実験みたいなものが映画をつくったり、ネットでのゲームをつくったりということに置きかわると思うので、いわゆる大学の偏差値でいい高校の人たちがいい会社を目指して入るということじゃない、新しい何か教育の場というか、そういうものができればと思います。抽象的ですいませんが。 それを大学と呼ぶのか、杉山委員がなさっているようなことをもう少し広げるというか、社会人ももっと受けられるようなことがあるといいと思います。 ○大多委員 今年、フジテレビで新入社員の面接をやっていたんですけれども、例えば50人ぐらいいると、今までは報道をやりたいとか、ドラマをやりたい、バラエティーをやりたいという人がほとんどでしたけれども、7、8人、驚くことにデジタルコンテンツをやりたいという人間がいたんですね。何をやりたいのと言ったら、要するにテレビとネット、何かおもしろいことができるんじゃないか、何かとてもできそうもないようなことを言っていたのでどうかと思いましたが、どうしてそういうインターネットのことを、テレビ局でやりたいのかというと、余り答えにはなっていないんですけれど、スティーブ・ジョブズが格好いいからとか、グーグルっておしゃれだと思うからというようなイメージなんですね。僕はすごくいいことだなと思うんです。やっぱり学生たちって、前回も話しましたけれども、慶應にフジテレビの寄附講座というのがありまして、そこでフジテレビの人間が出ていって講義をやるというと、大教室がいっぱいになるんですよね。やっぱり興味もあるし、エンターテインメントで働いてみたいという人はたくさんいます。彼ら、またさらに聞くと、ピクサーみたいな会社が日本にあったらいいなとか、ああいうところだったら働いてみたいと、物すごいイメージでとらえているんですね。だから、今も大﨑さんもおっしゃいましたけれども、本当にそういうイメージが出て、そしてそこに本当にいい講師が行って、学生もそこで夢を持てて、採用する側、こちらというか、いわゆる制作会社もテレビ局も映画会社もみんなそうでしょうけれども、そういう人たちを育てて、自分たちにいいふうにちゃんと引っ張って、会社のほうも育てるというのも、これは当たり前ですが、それは僕はやっぱりあってしかるべきだなというふうに思っています。 ○吉羽委員 雑談ぽく聞こえてしまうと申しわけないんですけれども、それから別に学歴主義を支持するということでもないんですが、多分、国の見え方として、旧帝大にマスコミというか、ジャーナリズムは研究しているんだろうけれども、決して東京大学映画学科とか無いんですよね。何かやっぱりそういったところに高校の先生なんかも当然引きずられる。ある種、国はやっぱりそうは考えていないんだというような見え方になってしまうんじゃないのかなという印象は、皆さんのお話を聞いていて思いました。慶應大学は非常に頑張っていらっしゃるんだと思うんですけれども、芸術学校へ行くというのは、先ほどみたいに、食えないところに行くのか、みたいな反応になっていくというところが、どこかしらみんなの意識の中に刷り込まれてしまっていて、時代は変わっているんだけれども、やっぱり明治維新のままに学校の教育が来ているような気が、特に大学の教育が来ているような気がするんですね。だから、この辺は何か政策で盛り込めるのかなというようなことを思いました。 ○中村会長 施策のイメージとしては例えば7ページ目の(2)にコンテンツの人材育成と研究開発を有するような中核的な役割を果たすコンテンツ版のCOE、大学の整備というのが、ここには盛り込まれておりますけれども、そういったシンボリックで中身のある教育機関、高等教育機関を整備するという設計の仕方というのも1つ手がかりかもしれないですね。いかがでしょう、他に。 ○川上委員 海外から優秀な人材が日本の集まるようにするということなんですが、それの多分有効な方法として、僕は海外に日本人を送るということの方が先かなと思っていまして、それも企業とかではなくて、そのユーザー個人ですよね。クリエーター個人を海外に行かすことというのも、すごい重要ではないかというふうに思います。ジャパン・フェスタみたいな日本好きの人たちのイベントというのはたくさんありますし、そういったところに例えば日本の個人のクリエーターなどを呼んであげるだとか、そこにブースを国でつくってあげるだとか、そしてそこに個人が出展できるようなことをやると。これが有効なのはなぜかといいますと、例えばニコニコ動画で活動しているようなクリエーターたちって、結局何が一番モチベーションがといいますと人に見てもうらうことなんですよ。人に見てもらうためにどうするかというと、みんなコラボをしたがるんですよね。有名な人、変わった人とか、いろいろな人と協力をしたがる。これが海外の人とコラボするというのは確実に目立つことですので、実際にニコニコ動画でも、ニコニコ動画ではやっている曲を中国人が歌ってみたとかいって、中国人が上げると、それだけなのにすごい人気のコンテンツになるんです。 こういうふうな世界各国に日本人のクリエーターが出ていって活躍するような場所をつくると、そこで何が起こるかというと、海外のクリエーターとのコネクションができます。結局、クリエーター同士のコネクションをつくらないと、日本にまず来たいとならないと思うんです。そういう人たちがコンテンツ産業に入っていって実際に活躍するようになると、実際にそこを通じたクリエーター間の国際協力の芽というのも出ますし、長期的に考えても余りお金がかからなそうだし、効率的な施策じゃないかなというふうに思います。 ○中村会長 今のお話も、先ほど7ページ目、(2)の2つ目のポツの、クリエーターなどを育成するために海外とのネットワーク構築等の人材育成支援策というところをもう少し丁寧に書いたり、編成すれば入る話かなとは思いますが、ここは何か、事務局にお聞きしたいんですけれども、施策の中身など検討されたものはありますか。 ○奈良参事官 例えば、日本で世界の著名な方々が集まるような、そういった会議を開催するだとか、あるいはそこで海外の人向けの研修会だとかシンポジウムをやるだとか、そういった中でネットワークを構築していくということなどが考えられるのではないかなと思っております。 ○大多委員 この(2)の「海外から人材を呼び込み、」と、僕、ちゃんと読んでいなかったんですけれども、日本人も育てていられないのに、海外から人材を呼び込んでいる場合かなという気もしますけれども、これは一緒に勉強するという意味ですよね。海外の人も来て、日本のアニメとかに憧れた海外の人も来て、日本の人も一緒に勉強するという感じをイメージしているんですよね。 ○奈良参事官 そこでその海外の方々と交流することによってまた日本の人材も育つんじゃないかと、そういう視点でございます。 ○大多委員 そうですか。あとは、先ほど吉羽さんからの意見に、僕もはっとしましたが、確かに東大に映像学科とかそういうものがないなと。エンターテインメントの1つの大きな問題、こういう今日の専門調査会ですか、これもそうですけれど、要するに、何でもっと日本は海外に強くならないんだというところに、根っこには日本の国民の皆さんが、日本の国民がどこかでエンターテインメントに対しての意識が非常に低いものがある。このファンドにしたって100億とかって、これは血税を何でそんな映画とかテレビとかネットとか、当たるかどうかもわからないものに、そんなものに投資するんだという人もたくさん僕はいると思うんですよね。杉山さんがおっしゃっていましたけれども、高校の先生、本当にそういう親も含めて、その辺の意識から日本のみんなが変わっていかないとできないし、その象徴として僕は東大に確かに、どんな大学でも、日大なんかはもちろんずっと前からやっていますけれども、国立で、東京大学とか京都大学とかみたいなところに、がんとそういうのができるようにならないと、意識も変わらない。それでみんなが変わらないと、そこにお金を出して何かやっていこうという、それがいつまでたっても中国、韓国は国策でやっているから強いのよという議論を永遠に脱さないような気もして、やっぱり島国だからだめなんだねと言って大体終わるんですけれが、こういう話をすると。その辺はすごくいいアイデアだなと僕は正直思いましたけれども。 ○杉山委員 本当にそうで、慶應大学がメディアを始めたというのは、例えば僕らにとってすごく追い風になった。慶應でもやっているじゃない。慶應でも取り上げている分野だみたいなのがあって、そうすると先生たちも、おお、慶應でもやっているんだみたいな、大学院でも始まったんだみたいなのがあるんです。そういうことは案外大事です。でも、東大でも、ちょっと東大の先生も知っているのですが、プロデューサー教育とかちょっとやっているんですね。ただ、学科などには全然ならなくて、立ち消えている感じではあるんですが。ですから確かにそういうことは大事で、もし盛り込むとしたら本当に先生方がコンテンツ産業を理解するということは、ちょっと何か冊子をつくるとか、先生たちが集まったところで何か国の方針を言わせていただくとかいうのがないと、本当に優秀な子を行かせないようにする、それがもったいないですよね。 もう1つ、じゃ、大学教育レベルという話をすると、やはりデジタルコンテンツというのは物すごく複雑で難しくなっているんですね。ですから、専門学校で1年とか2年とかパソコンの使い方を教えても、なれるものではありません。本当に制作会社のリーダーになっておもしろい企画をして新しい仕組みを考えるような人たちには。 ですから、十分4年間の教育、さらにプラス2年間の大学院教育レベルができるぐらいの分厚さなんです。ウエブサイトだけつくるといっても、もう今はマーケティング、商品の企画、宣伝、広報、それからそのサービスを始めた後のユーザーとのやりとりとかと、物すごい勉強しなければいけないことが大量にあるんです。映画づくりにしても、単にアナログでやっていた時代と違って、いろいろな技術が入っていきますから、勉強することは本当にたくさんあります。だから、本当に大学・大学院レベルの充実した教育がすごい必要です。この15年ぐらいで物すごくよくなっていますから、デジタルを使う。それだけ深いものになっています。 もう1つ言いたいのは、例えば昔コンピューターを本格的に勉強したいとかと言えば、例えばアメリカのロサンゼルスあたりに幾つもある大学とか、そういうところに行きたいみたいな本場感という話ですよね。そうすると、僕たちの大学では中国の子たちがたくさん受けに来ます。なぜかというと、やっぱり日本でアニメ制作を習いたい。本場に来ているつもりなんです。だから、そこを支援するというのは大事で、やはり前も言ったんですけれども、日本語がなかなか上手じゃない。そこに来て、さらに留学生たちというのは物価の差もあるので、アルバイトをかなりしなくてはいけないということで、すごく大変なんです。ですから、もし本当に留学生も含めて取り組むのであれば、そういった方向にやって、試験でも何でもしていいと思うんですけれども、もう少し留学生に対する制度等をちゃんとしてあげないと、本格的にこっちも仕込んであげられないというか、アルバイトがあるんで時間が無いみたいな4年間になってしまうので、それはなかなか成果が出ないんじゃないかなと思っているんですね。 ○中村会長 高校の先生や親御さんにどのように普及啓発をするかといった問題、それから東大にコンテンツ科をつくれという提言がどのようにここに書き込めるかというのが、ちょっと自信がないんですが、私はずっと、個人の意見なんですけれども、ここで思っておりますのは、我々にとって一番大事なのは、この知財戦略の国の中でのプライオリティーを上げるということが大事なのかなという気がしておりまして、確かにいろいろな政策課題、行政課題があって、福祉をどうするとか、子ども手当てをどうするとか、高速道路をどうして、基地をどうして、いろいろあるんですが、それよりも何よりも実は知財が大事なんですよというような、政治的な腹決めをしていただくということが、実は私たちにとって大事な課題かなと思っておりまして、そうすれば、総理がどこかで話をする時には必ずコンテンツのことを言うと、コンテンツは大事なんだってねと高校の先生も親御さんたちも思うというような、何かそういったメッセージが、どこかに冒頭のところで必要になっているのかもしれないですね。 ○杉山委員 優秀な人は来ないですよ。 ○中村会長 問題が複雑なんですけれども、施策レベルで我々がどういう手をここで打っていくかということと、これをメッセージとしてどのように発信をしていただくのか、両方で最後整理をかけていく必要があろうかと思います。もう少し人材についてご意見ありましたら、続きをお願いいたします。 施策の中身など、よろしいでしょうか。 ○角川委員 これは、従前の知財では委員が発言したことについては、どこか別の資料でもいいんですけれども、どの委員からこういう話が出てきていて、それがここに反映されましたというふうな仕組みになっていたんですね。今度新しいところでは、されていないで、結局、一種のオーソライズされたものが会議に出てくるような感じになっていますので、何か言いっ放しになっているような感じがしないではないんです。ですから、今回の委員会と従前の委員会の違いは、皆さん現職の方が多いわけですね。フジテレビさんだとか、それから吉本さんだとか。それはそれで僕は非常にユニークな意見を言っていて、そこがこういう作文する時には、そこの作文にマッチした言葉じゃない言葉を言っておられるところがあるので、そこを酌み取ったらこうなったんだという何か見え方がしてほしいんですね。1つの工夫ですけれども、非常にこれがこういう委員を選んだことの価値ですよね。申しわけないんですけれども、作文のテクニックみたいなものに、現場が発言されたことが吸収されてしまって丸くなってしまうと寂しい気がするんですけれども、そのプロセスが見えると、やっぱりこれはちょっと丸くなり過ぎているねとか、それからこういう形でまとめてくれたんだということが逆にわかりますよね。そこら辺をぜひ、時間がないところですけれども、見えるようにしていただくとありがたいなというふうに思います。 ○中村会長 この資料そのものじゃないのかもしれないですけれども、これまで皆さんからいただいた意見で、どなたがどういったことをおっしゃっているというのを整理するということはできると思いますね。 ○角川委員 そうですね。中山先生、7年前に始まった時には、知財本部というのは特許しかやらないでコンテンツなんかやらないと、対象にしないということで、私なども孤軍奮闘したことがありまして、それがこのようにしてコンテンツ中心に7年たったら話し合われるようになったんだなと、実は今昔の感がしてとてもいいんですね。うれしいんですけれども、そのかわり、特許の方のように言った言葉がそのまま文章になって、きちっと出ていくよう形でない意見が多くて、それをどうやってくみ上げるかというのがまた逆に事務局の手腕が問われているんじゃないかなと思いますけれども。よろしくお願いしたいと思います。 ○吉羽委員 もう1つ先ほどの杉山先生の日本語の問題の話なんですけれども、弊社では、資金を出して国際文化フォーラムというのを外務省とやっていまして、海外での日本語教育を後押ししようというようなことをやっているんですけれども、バブルのころとか、日本に来れば儲かるということで、相当日本語教育が海外でも盛んになっていたんですけれども、やはりちょっと経済状況が悪い中で、日本語の先生が段々食べられなくなっていたり、海外にいるというような状況も生まれているんではないかなというふうに思うんですね。日本の国に来てからの日本語教育というのはいいんですけれども、やっぱり居住費が高いとか、コスト的にはなかなか、先生の給与も当然高くなったりとかするわけで、逆に言うと、海外の大学の先生って、すごい安い給料で働かされてしまっているというのは問題としてあるんですけれども、海外においてやはり日本語をきちんと広げていくということがこの課題じゃないのかもしれないけれども、日本語のままコンテンツを消費できる人たちが海外にいるということ、現実にアニメーションを見ながら日本語を勉強している子供たちというのはいっぱいいるわけですよね。この辺の後押し施策というのも、ひいてはやはり日本に来やすくする。日本でのそういったコンテンツビジネスの教育がやりやすくなるということになっていくと思います。日本語の問題というのは結構大きいと思います。どうしても鎖国状態というか、ガラパゴス化していくのは避けられない部分があるんですけれども、言葉の部分をもっと何とかもっと後押ししていただきたいなというふうに思います。 ○中村会長 どうぞ。 ○大多委員 あと、こうやって議論が進んできて、先ほど中村会長もおっしゃっていましたけれども、今回のこの議論の中から生まれたのは、例えば1番目の海外からの収益ですか、ということであれば、メインディッシュはこれとか、今回の人材育成だったら、日本にそういう、東大にコンテンツ学科をつくるとかは別ですけれども、そういう日本版コンテンツをつくる、スタンフォード大学みたいなイメージのものを何かやるとかというようなメインディッシュはこれなんだと、多分、自分の会社でいろいろ出てきてやったら、おまえ、こんな総花的な、どれか1個をまず決めろよと、そこが他に書いてあるのはいいけれども、どれなんだという、3つ議題があるんであれば、その3つのうちのどれをまずやるんだということを決めないで、ただ時間が無いのであれですけれども、それがこれでいいのかなとちょっと思いますが。おっしゃるように全部やるんだということは、いいことばかり書いてあるので、全部やるのはいいんですけれども、逆にこれだけいろいろあると不安になるというか、もう今回はこれだけとか、1、2、3だったらこれだけとかいうのがあったほうがいいのかな、どうなのかなと思うんですが、いかがなんでしょうか。 ○中村会長 それについていかがでしょうか、そこはどうすればまとめ方としてはよいかというのは。めり張りのつけ方とか。 ○近藤局長 この今日議論したものをもとに、本部で決める文章の時は、多分その中のサマリーになるんですね。世の中にプレス発表等で説明する時には、さらにエグゼクティブサマリーになるんです。新聞に載る瞬間は、エグゼクティブエグゼクティブサマリーになるんです。それで、それぞれの今度は項目をいつからいつ頃にどこまでやって、どこからどこまでにどこまでやると。それは何省が責任を持ってやるというのを全部リストにしようと思っているんです。知財本部をつくった時、コンテンツが入っていなかったというのは本当におっしゃるとおりで、私自身、この本部をつくった時の内閣官房参事官なものですから、それを恥じておりますが、最初の時から、いつまでに何省が何をやるというのを、期限を切って最初につくったんです。「改革行程表」という言葉を竹中さんがつくりましたが、竹中さんはその資料を見て、あっ、こういうことができるんですかと言って、名づけ親は竹中さんですけれども、職務発明は私じゃないかと思っているんです。そのぐらい行程表をきっちりと管理すれば、かなりのところができるはずなんです。それを皆さんにコミットしてもらって、各省にもコミットしてもらって、それをまたフォローしていくと。もちろん、これまでやってきたことのフォローも並行していたします。したがって、この中の肝は何かというのは、またこの中から会長や、それから委員の先生方とも相談しながら、特に皆さんにPRしたいようなことは書いていきたいと、こんなふうに思っています。 それから、東京大学につくるというのは非常におもしろいアイデアなんですけれども、独立行政法人化したので、東京大学につくれと国が言えないのかもしれないですよね。角川さんの、誰がこう言ったからこうなったのかというのを書けというのは、お気持ちはよくわかりますが、なかなかそれは全部は書けなくて、議事録公開などではもちろん丁寧に対応しますが、そうすると例えば角川さんがやってそうだと思った人は全員手を挙げてそうだと言わないと、名前が登録できなくなるので、ちょっとそこまでは難しいと思いますが、できるだけ具体的に、どの段階で何をやって、その結果がどうなるというのを見えるような形でまとめていきたいと、こんなふうに思っています。ご回答に十分なったかどうかよくわかりませんけれども。 それから、ちょっと今日、政務官がいないのであれでありますが、政務三役会議で決めるというので、昔ですと大体、私が答弁すればそれで終わるのですが、そうならないかもしれませんので、条件つき、プロバイディッド・ザットというのが全員いますので、私はそう思っていると、こうご理解をいただけたらと思います。多分、理解してもらえると思うので、大臣、副大臣、政務官ともそんな方向で調整をしてみたいと思います。 ○中村会長 先ほど大多委員がおっしゃった施策は、ざっと列挙されて並ぶんのですが、その中で、我々としての思いといいますか、これが重点事項じゃないかとか、このあたりが目玉じゃないかという整理も、もし取りまとめまでに時間がありましたら、一度やってみたいと私も思っておりまして、次回、取りまとめの時にでもそのような議論ができればさせていただければと思いますが、もう1項目重たいのが残っておりますので、そちらに進めたいと思います。 3.のデジタル化・ネットワーク化の促進の部分でございますけれども、9ページ以降でコメント、質問などありましたらぜひお願いいたします。いかがでしょう。 ○久夛良木委員 メディアが変わる時って、コンテンツに革命が起きると思うんですよね。ラジオの出現であるとか、テレビの出現で、本当にすばらしいコンテンツが生まれていって、もちろんゲームもそうです。今起こっている次なるメディアというのは、間違いなくインターネットで、ここですごいコンテンツの、ある意味でルネサンスに相当するようないろいろな新しいサービスとか、エクスペアレンスが起こると思っています。 そういった中では、旧来のコンテンツ側から見ると、規制しなくてはいけない、いろいろなことが起こっては困るな、というようなこともあるかもしれませんが、逆に育てていかなくてはいけないということもあると思うので、このまとめの中で10ページの上から3行目ですか、「通信・放送の融合を踏まえ、コンテンツ配信・放送に関する規制緩和を図る。(短期)」とありますが、これがもうちょっと具体的なところ、ジェネリックなことではなくて、例えばこの間私がご提案申し上げたような、例えば仕様緩和をするとか、そういったことだけではなくて、この部分はみんなで例えばホワイト化といいますか、みんなで使えて紹介し合えるようにしようよとかというのがないと、なかなか次のチャレンジがしにくくなるというふうに思っているんです。 例えば、今日の新聞に、雑誌社の方がネット上でもいろいろ配信していくというのが載っていたと思うんですが、ああいったものも、例えば動画も入るかもしれないというふうにも書かれておりまして、ああいったものが本当にちゃんとクリアランスがとれて、紹介できるような何かのルールづけとかコンセンサスを是非とっていただきたいなというふうに思います。 以上です。 ○中村会長 では、今の点について、私が知っている範囲でお話をしますと、通信・放送融合に関する規制緩和あるいは法規制の改正案が今国会に政府から提出をされて、例えば通信と放送両方に、どちらにも使っていいような周波数帯を免許の制度を改めてそのようにするですとか、それから、より自由に使える周波数帯、電波を開放するといったことが議論されておりますので、そのようなことがここで具体化されるという、そういったことも含まれているのではないかというふうに考えております。 いかがでしょうか。どうぞ。 ○吉羽委員 10ページ目の下のほうにある目標指標例というところで、電子配信される書籍や放送の割合が全体の80%になるというのが目標になっているんですけれども、何かこれ、デジタルとアナログを二項対立でとられているみたいで、コンテンツ全体の強化という話なのかなと思うんですけれども、何かデジタルコンテンツだけが伸びると良しみたいに見えてしまって、目標としてこれでいいのかというのがちょっと疑問としてあります。 それと、電子配信の中で、特に出版系のことで2つほど大きく気がかりな点がありまして、1つはフォーマットについての話というのが、これは国際標準化の話であるとかというところに含まれるのかもしれないんですけれども、やはりここの部分もプラットフォームと別に、かなり「アメリカの標準が世界の標準」という流れが既にできつつあるわけですね。しかしながら、日本語はとても漢字の数が多くて、JIS第2水準だとかユニコードとかでカバーをし切れていない部分が大量にあって、これがそのままメイドインUSAの規格にのせられるためには、非常にというか、ほとんど不可能だろうというふうに思っているんですけれども、日本の中でこういった書籍なり雑誌なりのフォーマットの標準化というのは、今、業界団体の中で少しずつ進めようと思っていますけれども、ちょっとなかなか一筋縄ではいかない部分があるので、何らかの支援策は必要ではないかなというふうに感じています。 それと、もう1つ、やはりこれは今度は中国のあるIT企業が、中国の電子書籍というか出版のデジタル化のツールの中で非常に大きなシェアを持っている会社がありまして、この会社は日本にも法人があって、日本の新聞の製作システムをかなり受託しているんですよね。こういった部分も、日本のIT企業がなかなか遅れていたり、印刷会社もまだ遅れている部分で、ある種の製作工程の標準化みたいな部分もやはり日本の中できちんと考えていかなければいけないんじゃないかというようなことを思っています。 ですので、こういった面に政策的に言うと、これは多分出版に限らず何度か申し上げている、アニメーションを制作するためのツールであるとか、映像の機材であるとかという部分に対する減税であるとか補助みたいなことというのを何らか政策として考えていく必要があるのではないかというふうに思っております。 以上です。 ○中村会長 どうぞ。 ○角川委員 今のお話、非常に大事にしてもらいたいと思うんですけれども、今電子書籍というと、iPadが出てきて、キンドルがどうなってということで、アマゾン、グーグル、アップルというところで話が収れんしてしまってはいけないわけですけれども、そのためには今の10ページの(3)のところで、日本のプラットフォームを生み出すとともにということで、日本発の電子書籍プラットフォームの創設みたいなものを、国で支援するということがあっていいということだと思います。そういうことで理解していいですね、このところは。 その時に、今もお話がありましたのは、日本語の縦読み文というのは世界でも希有な存在で、この縦読みのためのフォーマットをつくるためには、恐らく海外勢も1年ぐらいかかるだろうとか、1年半とかそういうことが言われていて、日本で独自のフォーマットの技術をつくっていくことで、日本ならではの電子書籍リーダーがつくれるんではないかという期待があります。先ほどのお話もそういうことですよね。ですから、今、時代が変わりつつある中で、逆に日本語の特性がそういうことを可能にする可能性があるものですから、ぜひそれを支援していただきたいと、そういうことへの支援を国策として考えると。 ですから、恐らく電子書籍リーダーというのは、電子書籍の専用機器と、それから多機能機と2つに分かれていくんだと思います。そういう面では、多機能機がiPadだとか、それからそういうふうにグーグルが考えているようなところにいって、キンドルだとか、キンドルは専用機になるんだと思うんですけれども、その他に日本語を読むために非常に合理的な、しかもそれができれば漢字圏はすべてカバーできるようなものがつくれると、ガラパゴス化ではなくてアジア的な電子書籍リーダーの基準がつくれると、アジア標準みたいなものができるんではないかと期待があるので、そこら辺をぜひ検討してみたいなと思います。検討してみたいなというか、検討していこうではないかということだと思います。 ○吉羽委員 角川さんのお話を受けてちょっと補足なんですけれども、先ほど紹介した中国の企業は、アメリカで言うところのadobeというDTPソフトというものに相当するものを自国の中で開発しているんです。日本はやってきたけれど、失敗をしてしまって、今ほぼ出版社の中で、印刷会社の中での標準製作ツールというのはadobeのインデザインというものに変わってしまっているんですけれども、日本語の特殊性みたいな部分の扱いということを考えて、国内でそうした首尾一貫した製作体制みたいなものがとれたほうがいいんだろうなというふうには感じています。中国はやっているということなので。 ○中村会長 事務局に少し質問なんですが、この10ページから11ページにかけて、(3)のところですね、3つポツとして施策が並んでいるんですけれども、もうちょっとこれ、具体的にどういう施策、どういう形で進めようとしているものなのか、解説していただけるとありがたいなと思いますが、いかがですか。 ○奈良参事官 これはどういう分野を選んでいくのかというところからまず始まるのだろうというふうに思いますけれども、まず民間企業の関係者の方々に集まっていただいて、例えば書籍の分野でありますと、そういった動きが今まさに始まろうとしておりますけれど、その中で、では国としてはどこまでやる必要があるのか、あるいは民間としてどこまでやる必要があるのかという役割分担を明確にしつつ、我が国としての全体の方向性というものをこれから決めていくということではないかなというふうに思っております。 ○川上委員 プラットフォームの競争力という観点から、ちょっと本筋と外れる話かもしれないんですけれども、その新しいプラットフォームをつくる時に、そのプラットフォーム上の表現の自由を確保するというのがすごい重要な問題だと思っています。今ちょうど話題になっていますけれども、東京都の非実在青少年というのが、ネットでホットなんですけれども、これはアニメだとかコミックなんかで18歳未満と思われる人の例えば性行為とかを禁止するだとか、そういうような架空のものに対してまで表現を規制していこうという、そういったものなんですよね。こういった問題というのは新しいプラットフォームで必ずついて回る問題なんですけれども、ゲームなんかでも国ごとによっていろいろな規制が違いますけれども、ただ基本的には競争力ということを考えた場合、規制が緩い国のプラットフォームのほうが確実に強いです。ですので、規制が強化されないほうが、そのコンテンツプラットフォームは必ず強くなりますので、表現上の自由の確保というのは是非うたっていただきたいなというふうに思います。 それと、いつも申し上げたいのは、別に何も自由にしろと言っているわけではなくて、これは余り認識されていないんですけれども、ネットのモラルは高いです。高いというのはいい意味ではなくて、僕は悪い意味で言っているんですけれども、日本人、基本的に揚げ足取りが大好きな人たちなので、何かコミュニティーが存在すると、その中で勝手にルールをつくるんですよね。そうすると、例えば1つ例を言いますと、今、「殺す」ということを掲示板に書くと、「通報ごっこ」という遊びがあるんですよね。それは「殺す」ということばが、犯罪予告ということで、警察が対応してくれるので、「殺す」という書き込みを見かけたら、その前後の文脈は無視して通報するんです。これは遊びになっています。それで、そういうことを言った人たちをたたいて遊ぶという、何か落ち度を見つけるとそれを集中してたたくという文化というのはあるんですよね。結果として、例えばその著作権の問題だとか、いろいろネットの人たちは侵害行為をみんなやっているというふうに思っているかもしれませんけれども、コミュニティーの中においては、その侵害行為に対してはすごいたたかれるんですよね。現実問題、今ネット上で著作物を利用しようとすると、普通のちゃんとしたプロがつくった、例えば出版社とかアニメ制作会社がつくった作品よりも、素人がつくったコンテンツのほうが利用するのが難しいんですよ。それはもう著作人格権が、神のようなものになっていて、もうつくった人が言うことは絶対守らなくてはいけないというので、それに反することはみんなたたくという文化になっていまして、どっちかというとネットのルールというのはどんどん厳しくなる方向に作用するということがありますので、新しいプラットフォームをつくる時に、変な規制を入れるとそれはもう暴走する可能性がありますし、それは競争力という点から見ると明らかにマイナスですので、そこの表現の自由の確保というのは是非入れていただきたいなと思います。 (津村政務官 着席) ○中村会長 取りまとめに差しかかってまいりますと非常に活発なやりとりになっておりまして、政務官にご登場いただいたんですけれども、引き続き進めたいと思います。他にいかがでしょうか。 ○角川委員 10ページの国会図書館のところをちょっとご覧になっていただきたいんですけれども、(2)の最初のフレーズのところですが、国会図書館におけるデジタルアーカイブの促進は非常に結構なことだと思うんです。今回の仕分けでも百二十何億円が仕分けの対象にならずに通って、本当に良かったなというふうに思っているところですけれども、国会図書館法というのがあって、そこでは無料でサービスをしなければいけないということが原則になっていると思います。今、非常に重要なことは、この14兆円というコンテンツのマーケットの中で、1.9兆円の音楽マーケットが大体デジタルネットワークのサービスでけりがついて、今、電子書籍に主戦場が来ている。この電子書籍に来ているマーケットというのは、実は書籍と雑誌と、もう1つ新聞も入ってきますので、恐らく6兆円のマーケットになるんだと思うんですね。そこでは健全なデジタルコンテンツが流れて、そして創作者が保護されるビジネスモデルの確立が今非常に重要なテーマだと思います。それについては今回のここでもほとんど触れておりませんけれども、新しい健全なビジネスモデル、そこでは知財の原則であります創造・保護・活用が保証されているビジネスモデルをつくろうという呼びかけをしてもらいたいわけですけれども、国立国会図書館のデジタルアーカイブの促進の話の延長の中で、納本ルールの整備のための環境整備だとか、それから権利所有だとか、ルールの策定の支援という中に、このビジネスモデルの構築というのを是非入れてもらいたいなと思います。ここでビジネスモデルの構築に失敗すると、電子書籍マーケットというのが、出版社や、あるいは作家の皆さんの生活を非常に困窮にするようなリスクが出てくると思います。 そこら辺のことを、この中で文章にぜひ盛り込んでもらいたいなというふうに思います。 ○中村会長 今のお話は、先ほど佐藤本部員のおっしゃった官民の民がすべき部分になってくると思いますけれども、事務局のほうにそのあたりの書き分けの工夫をしていただいくのが良いかと思います。 ○角川委員 民がつくるビジネスモデルを官が支援するということでも結構だと思いますけれども、それが非常に重要だと思います。 これも電子書籍の場合に、一般的な書籍についてはご存じのとおり再販制度、独禁法の対象外になっているわけですけれども、この電子書籍については、当たり前のことですけれども、独禁法の対象にならないわけです。非再販になります。そうしますと、例えばキンドルなども仕入れ価格さえ保証すれば、どんな値段であろうと出版社に口を挟ませないということが原則ですよねという話が来ています。そうしますと、このアマゾンがキンドルのビジネスモデルを日本に定着させるために、競争相手である人たちを、これは日本の人たちであることがかなり確率が高いわけですけれども、そういう人たちが育成されないような値段で出してしまうというふうなリスクがあるわけですね。 ですから、そういうことが無いように、何か表現が適切でないかもしれないんでちょっと不安なんですけれども、結局のところはライターもその権利が、作家の権利が、生活権が保証されるようなビジネスモデルをつくることが非常に重要だと思うんですね。そこら辺を、あるいは音楽マーケットにおいて、iPodがどういう長所と短所があったかという事例研究などをされると、私の今言っているような言葉がどこかで理解していただけるのではないかというふうに思うんですけれども、エイベックスの方、いかがですか。 ○中村会長 あっ、今日はおられません。 ○角川委員 ああ、ごめんなさい。何かそういうことで参考になることがあったら是非お聞きしたいと思います。 ○中村会長 じゃ、続いて杉山さん。 ○杉山委員 3D化のところですが、映画館の3D化というのは僕は余り心配していないんですね。2時間半とかで終わってしまうんですけれども、今度テレビということになると、かなり長時間立体像を見るということに関して、アーリーアダプターが、そういうのを買って楽しんでいるうちは余り問題にならないと思うんですけれども、広がってくると、必ずいろいろな消費者から気持ち悪くなったとか頭が痛くなったとか、いろいろな問題が出るはずです。特に技術で2Dを3D化してしまうというようなものはあります。ソニーさんが今度出すと思うんですけれども、そういうものはやっぱり一部の映像では不自然に見えたりします。ですから、そういうことを早目に何か対策しておかないと、消費者庁などに持ち込まれて騒がれてマスコミに出てしまうと、何かやっぱり良くないみたいな、3Dテレビは時期尚早みたいになってしまうと、せっかくのことが折れてしまうと思うんですね。ですから、そこを早目に研究開発とか何か安全性の枠とかをすぐ対策できるようにしておかないと、すごく怖いと思っています。 ○中村会長 それは11ページの一番上のポツにある実証実験などの項目には入ってくるということですか。 ○杉山委員 はい。そういうところでちゃんとある範囲とか、こういうことを気をつけてやっておかないと、本当に出鼻をくじかれて新しいメディアがつぶれてしまうということになるので、大体こういうことは、対応が後々になってきた歴史があるので、すごく心配しています。 ○中村会長 さて、時間が迫ってまいりました。先ほども議論になったんですけれども、11ページ以降、侵害コンテンツ対策、海外対策、国内対策両方あるわけですが、先ほどの議論では法的措置に対して慎重な意見も出ておりましたし、複雑な事柄なんで一律の措置をするのは困難なんだという話がありました。それから、過去の知財本部というのは著作権の規制強化ばかりで、コンテンツはその結果伸びたのかというような指摘もあったところなんですけれども、そのあたりを踏まえて、ここの書き方などで改めてコメントありましたら、(5)までも含めて結構ですけれども、お願いいたします。 ○三尾本部員 オブザーバーなので、簡単にお話ししたいと思うんですけれども、10ページに一番最初の行に、IPTVの普及を通じということで、新たなメディアのインフラ整備の項目があるんですが、このIPTVについては、現在、一般社団法人IPTVフォーラムというところが活動しておりまして、私、幹事をしておりますので、ちょっと活動現況と今後の目標といいますか課題についてお話ししていきたいと思います。 まず、IPTVフォーラムは、現在規格をもう既に完成させていまして、ホームページ上でアップしています。どなたでも見ることができる状態になっております。 今後の目標としては、この技術仕様を実用化に向けて実証実験をして、各家庭にネットワーク化するということが課題なんですけれども、現在、実証実験に伴って規格も改定していかなければいけないというような状態にあります。 そういった中で今後の課題として最も重視すべき点というのがIPTVサービスの普及・広報活動なんですね。デジタルテレビを最近購入されたらご存じかと思うんですが、IPTVサービスというのはもう新しいテレビには入っている状態なんです。ただ、一般の方には知られていませんので、サービスとしてどこまでそれが広がっていくのかというのが非常に大きな課題でして、そのあたりが普及しないと、せっかくできた技術の仕様も規格も世界標準にはなっていかない、実用化が伴わないと世界標準化できないんですね。ですので、この10ページのところの「IPTVの普及等を通じ、」ということではなく、普及自体を国として支援していただくということに少し表現を変えていただければ、もう少しいいのかなと思います。 IPTVに関してはもう既に韓国でもいろいろな世界的なところでもどんどん規格の整備が進んでおりまして、日本の技術は優れていますので、規格としてもきちんと整備されているというふうに評価されているんですが、普及が進まないと、他の海外の規格が世界的にどんどん広がっていく可能性がありますので、できるだけ早くIPTVを普及させて日本発の規格を世界標準にできればなというふうに考えております。 ○大﨑委員 コンテンツは何を流しているんですか。 ○三尾本部員 これからは、アクトビラなんかが想定されていますけれども、実は普及していないので、流れているコンテンツがほとんど無いという状態です。ですので、コンテンツを流すということも非常に大きな課題だと思うんですね。それは普及すれば多分コンテンツが流れると思うので、IPTVが普及することとコンテンツの豊富化は両輪かなというふうに思うんですが。だから、是非IPTVに流すコンテンツ、皆さんのお力で流していただきたいというふうに思います。 ○中村会長 今の点なんですが、ちょっと確認なんですけれども、ここではコンテンツのための新たなメディアを創出するという題目がありまして、つまりそのための新たなメディアを徹底的に開発して整備しろということになっております。 つまり、モバイル放送、デジタルサイネージなどの今出てきているメディアですとかブロードバンド、それから電波のホワイトスペースなどと並んでIPTV、もう新しいメディアの1つでしょうということで列挙されているんですけれども、その中でIPTVを取り出して普及促進を図るのがよいという、そういう趣旨ですか。 ○三尾本部員 いえ、IPTVを取り出してということではなくて、ここの書き方だと「普及等を通じ、」というふうに、普及をした上でインフラを整備をするという形なので、まず普及ありきのような感じを受けられますので、まず普及させることが何より重要なので普及するように支援するということにしていただきたいと思います。 ○中村会長 書き方で工夫をすればよろしいですか。 ○三尾本部員 そうです、そういう趣旨です。 ○津村政務官 どこのページを一体とするか、ちょっとすみません、わからないんですけれども、今他の科学技術とかITとかいろいろなものでも、似たように成長戦略を見据えて、いろいろなアイデアが出てきている中で、1つおもしろいな、コンテンツ強化にも応用できるんじゃないかなと思ったのが、スーパー特区みたいな話でして、例えばつくばを科学特区にして、普通水素をある程度以上の強い圧力にして実験をすると、そのたびに何か500万円ぐらい検査料を払わなくてはいけないとかいうのがあって、そんなのはとてもじゃない、払っていられないということで研究が進まないというのが安全面からあるんですけれども、その地域だけはもうそういう500万円は無しにして、どんどんこの範囲の中だったら実験していいよみたいな、そういう話なんですが、例えばコンテンツでもどのくらいのエリアになるのか、例えば東京都だったら映画の撮影に道交法の許可は簡単にするとかという話はもう既に議論されているのを聞いたことがありますけれども、何かその類の、もうちょっと狭いエリアでもいいんですが、この範囲だったらいろいろな法律が相当例外を認められますよ、ここでどんどんコンテンツをつくってくださいなのか、あるいはディズニーランド的なものか、USJ的なものでもう民間でそこに出資してもらって、ここではいろいろなルールを少し、著作権とかも含めてこの範囲の中で遊ぶ分にはいいよみたいな、そこで創意工夫が生まれてくるような、そういう地域限定の特区みたいな話というのも1つおもしろいのかなと思ったので、ピンぼけかもしれませんが、もし良かったらテークノートしてください。 ○中村会長 非常に驚きました、実は私、ここへ来る前にツイッターで「知財特区」なんていうことを口走ったら叱られるんだろうなとつぶやいてきたばかりなんですけれども、今日も議論の中で、例えば東大にコンテンツ学科をつくろうみたいな提案があったりして、そういうパンチのきいた、あるいはゴリっとした政策を打ち出してもよいのかなという気がしておりました。 そういう意味で言いますと、例えばですが、今のお話ですと、杉山さんのおられる秋葉原でもいいですし、映画祭の開かれる沖縄でもいいんですけれども、「知財特区」のようなものをつくり、そこでは著作権をある程度緩目の特区にし、あるいは特殊な電波を使ってもいいような「電波特区」も絡ませたり、空間利用の規制緩和をしたりするという、そういった特例を設けることによって何かのテストベットをつくって、情報発信するということはできるのではないかなと私も感じたところなんですが、そうしたアイデアもまだ間に合いますので、皆さんの方から事務局のほうにでもお寄せいただいて取りまとめに当たっていければという具合いに考えております。 時間が参りましたので、今日のところはこのあたりにしておきたいと思いますけれども、今日、取りまとめのぺーパーが出てまいりまして、これは次回に収束させるんですね。ですから、まだ皆さん、これをしっかりお読みになって、ここはこうじゃないかとか、直すべきじゃないか、削るべきじゃないか、まとめるべきじゃないかというご意見があろうかと思いますので、事務局のほうにお寄せいただければと思います。また、その際にも今日いろいろ意見ありまして、私、これは政策メニューとして、我々も責任が発生するんだということと、つくった後で評価されるような、外部から点検されるような政策メニューになっていくということも今日感じた次第です。 ですから、そういう意味で言いますと、ここで並んでいるメニューが5ポイントぐらいあると思うんですけれども、例えば社会的なニーズがある施策なのかどうか。そして、官民の責任が明確になっているかどうか。そして、費用対効果が高いものが並んでいるかどうか。そして、実行可能性のあるものなのかどうか。そして、最後お話ししましたように、総花的ではなくて、めり張り、パンチのきいているものがあるかと、そういった目でチェックをしてまとめていく必要があろうかと感じております。 今日いろいろご意見をいただきまして、骨子案にさらに盛り込むべき事項ですとか整理すべき事項というのも見えてまいりましたので、もう一段整理をしていただいて、調整をして取りまとめに移りたいと思いますが、改めて政務官から全体のコメントは何かございますでしょうか。よろしゅうございますか。 では、次回について、事務局から連絡をお願いします。 ○奈良参事官 次回でございますが、3月23日の火曜日16時から、本日と同じこの会議室で開催する予定ですのでよろしくお願いいたします。 ○中村会長 では、閉会いたします。 今日はありがとうございました。 |