コンテンツ強化専門調査会(第2回)議事録 |
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議 事 次 第
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午後1時00分 開会 では時間がまいりましたので、ただいまからコンテンツ強化専門調査会、第2回会合を開催させていただきます。 皆様、お忙しいところお集まりをいただきまして、誠にどうもありがとうございます。 今日は、大ア委員と別所委員がご欠席ということでございます。また、津村政務官はちょっと遅れて見えるということですので、お見えになったところで改めてご挨拶をいただければと思います。 本日は、前回の会合に引き続きまして、コンテンツ分野における知的財産の戦略の論点について、ご議論をいただくんですけれども、前回の会合で大きな方向性については、おおよその共通理解が図られたと思いますので、本日より具体的にテーマごとの目標設定ですとか施策の内容をイメージしていただきながら議論をいただきたいと思います。 議論に入ります前に、この調査会の今後のスケジュールについて、事務局から説明をいただいてよろしいでしょうか。 ○奈良参事官 参考資料の2をご覧いただきたいと思います。 今後のスケジュールということでございますけれども、これまで第4回目まで日程を設定させていただきまして、3月23日、予備日ということでお願いをしておりましたけれども、非常に内容も多岐にわたっておりまして、活発な議論が出ているということもございます。また、それからこの専門調査会の下に、インターネット上の著作権侵害対策についてのワーキンググループというところで、違法対策についての法的課題について検討しているところでございまして、これとの連携も深めつつ進めたいということで、大変恐縮でございますが、予備日としておりました3月23日を第5回ということで、この日を目標にして議論を進めていただきたいというふうに考えております。その点、ご了解いただければと存じます。 それから、今日の資料でございますけれども、皆様方の席上に一番下だと思いますけれども、「新たな知財計画の策定に向けた意見募集の結果について」ということでお配りをしてございます。これは、広く一般あるいは企業の方々に対しまして、知財計画にどういう内容を盛り込んだらいいかということで、広くご意見を求めたところでございます。現在、また整理途中のものではございますけれども、これらのご意見もご参考にしていただければと思っております。 以上でございます。 ○中村会長 ありがとうございました。 今、説明ありましたとおり、予備日も使って3月末にはまとめていくというスピード審議でございますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。 何か質問、意見等ございますでしょうか。 では、議論に入ります。 先ほども申し上げましたように、本日は前回の議論も踏まえまして、具体的な目標の設定や施策について議論を行いたいと考えておりますが、内容が多岐にわたりますので、今日はテーマごとに集中的に議論を進めたいと思います。 今日は、テーマは前回三つに整理されましたけれども、そのうちの二つ、1のグローバルコンテンツ大国の実現、海外展開という論点と、2のクリエーター大国の実現、人材育成策などでありますけれども、そうした論点について議論をしたいと思いますので、よろしくどうぞお願いをいたします。できる限り政策のアウトプット、アイデアを皆さんから出し切っていただければと考えております。 まず初めに、事務局から新たな知財計画に盛り込むべき事項などについて、資料を作成してもらいましたので、説明をお願いします。 ○奈良参事官 それではご説明いたします。資料の2をご覧いただきたいと思います。 新たな知財計画、骨子に盛り込むべき事項についてということで、前回の議論などを踏まえまして、事務局のほうで討議用として整理をしたものでございます。 目標設定あるいは施策の例も記載してございますけれども、討議に当たっての具体的なイメージということで掲載をさせていただいたものでございますので、これらを参考にしながら、先生方からは、是非目標設定あるいは具体的な施策につきまして、いろいろなアイデアをいただければというふうに思っているところでございます。 それでは、簡単にご説明をさせていただきます。 まず1ページ目でございますけれども、現状認識といたしまして、まず国内市場が伸び悩む中、アジア市場等を取り込むための戦略が必要であるということ。それから、我が国は個人・ユーザーレベルの質は決して低くないものの、ビジネスモデルにつながっていない。一方、人材育成の基盤が弱体化しているという点。それから、さらにはデジタル化・ネットワーク化の中でコンテンツプラットフォームの攻勢に、米国等の劣勢にさらされている状況であるということ、安泰な分野でも、ゲーム分野でも必ずしも安泰ではないということ。 2ページ目にまいりまして、こうした状況の中、我が国の戦略的な取組は待ったなしの状況にあるのではないかということ。そしてまた、コンテンツは、14兆円といった産業分野にとどまらず、広く他の分野にも波及効果を有すると。また、我が国の「国の在り方」も発信するものであるということ。 しかしながら、これまで国を上げた大胆な取組を展開してきたとは言いがたい。一方、各国では様々な支援措置を講じているという状況がございます。その実現のために、大胆な資源の投入を打ち出す等の戦略的な展開が必要であるということで、整理をしてございます。 目標といたしましては、2020年までに三つの面、すなわち海外展開あるいは人材育成、それからデジタル化・ネットワーク化対応、この三つの面でコンテンツ大国を目指し、2020年までに大きな経済成長を達成するということを目標にしてはどうかということで、整理をしてございます。 3ページ目でございます。 具体的な施策、目標設定あるいは施策のイメージ例ということでございます。 まず1点目、海外展開ということでございますけれども、コンテンツ・ビジネスを伸ばしていくためには、海外展開を前提としたコンテンツというものを最優先として資源を重点投入していく必要があるのではないかということ。その際、単に日本から出ていくということだけではなくて、海外と一緒に組んでやる、あるいはその海外を呼び込んでやるという視点が重要ではないかという点でございます。 具体的な目標、あるいは施策ということでございますけれども、まず映像・番組の国際展開の促進ということでいいますと、目標設定といたしましては、日本発のメガヒットを毎年出していくというような視点でありますとか、あるいはアジア市場の大多数を占めていく、そういうようなイメージでございます。 まずイの国際共同製作の促進ということでございますけれども、これも毎年コンスタントに数本の国際共同製作をつくっていくというようなイメージでございまして、施策例といたしましては、諸外国が積極的にその支援を行っているという中、国際共同製作に対する税制あるいはその補助金等のインセンティブ措置を創設してはどうかという点、それから海外展開のためのファンドを創設、あるいは拡充してはどうかという点などでございます。 それから、4ページにまいりまして、海外から誘致をするという点でございます。これも国際共同と同様でございますけれども、そのための呼び込むための税あるいは補助金のインセンティブの創設あるいは日本を舞台とした映画が海外で撮影されているというような実態もございまして、日本を舞台にした映画を撮影するのに、いろいろな制約があるということでございまして、そういった撮影に関するいろいろな制約の弾力化ということが考えられないのかどうか。それから、ハといたしまして、アジア市場の開拓ということでは、中国あるいは韓国における、様々な規制につきまして緩和するよう強く働きかけるという点。 それから、(2)といたしまして、その他の分野でも世界展開を促進するということで、中国におけるゲーム機販売の規制撤廃を強く働きかける、あるいはアジアにおけます音楽配信の仕組み構築支援、これは例えば日本の「着うた」のような携帯配信システムを海外に持っていけないかというようなこと、それからマンガ・アニメについての電子配信の仕組みの支援、こういったことが考えられないかということでございます。 続きまして、5ページにまいりまして、人材育成の視点でございます。 これは、まず国内のクリエーターを育成という観点、それから海外から呼び込むという点、それから裾野を広げるという、この三つの柱があるわけでございます。 まず1点目は、日本のクリエーター力の向上という点でいいますと、毎年当たり前のように世界的な賞を受賞するというようなことが目標として考えられます。施策の例といたしまして、現在ある人材育成関連予算を大幅に拡充する、あるいはクリエーターの育成ということで、アニメ政策の3D化あるいはデジタル化への転換を支援するといったこと。それから、クリエーターの活用の機会を増やすという観点、また観光促進、あるいは教育分野での効果的な活用という観点から、地域発のコンテンツあるいは教育用のコンテンツの製作を行うというようなことも考えられるのではないかというふうに思います。 6ページ目にまいりまして、またクリエーターは非常に弱い立場にあるということで、ヒットすれば見返りがあるというような、いわゆるインセンティブのような契約を促進することが考えられないかということでございます。 (2)といたしまして、海外のクリエーターを日本に呼び込むという点でございますけれども、アジアからアニメ、ゲーム等の人材について受け入れるための研修プログラムあるいは体制を整備するということでありますとか、中核的な大学を整備いたしまして、研究開発拠点とする、あるいは政策拠点との連携を図っていくということで、海外のクリエーターが集まるような拠点形成を支援するという点でございます。 それから、(3)といたしまして、誰もがクリエーターになり得る環境の実現ということでございまして、具体的な施策例といたしまして、初中等教育段階からのデジタルコンテンツ製作教育の推進でありますとか、あるいは誰もが創作できるような、そういうような制度、それを促進するような制度、あるいは運用上の改善ができないかという点でございます。 それから、7ページでございます。 3点目のネットビジネスという観点でございますけれども、ここからは主に次回以降ご議論いただく内容かと思いますけれども、我が国のコンテンツの電子配信は、米国発のプラットフォームの攻勢にさらされているというような状況でございますけれども、まず1点目といたしまして、すべてのコンテンツをネットで購入可能とするということでございまして、イといたしまして、すべての書籍の電子配信を実現する。具体的には、国立国会図書館におけるデジタル・アーカイブ化の促進あるいは民間企業の取組の支援、また電子出版を促進するための権利者、出版社の利益をいかに確保しつつ、活用を図っていくかという、権利のあり方についての検討ということも課題としてあると思います。 それから、ロといたしまして、すべての放送番組の電子配信を実現するということで、テレビ番組につきましては、権利の固まりと言われるように、権利処理が非常に難しいわけでございますけれども、権利処理の集中化あるいは契約ルールの策定の支援といったこと、それからパソコンを通じた視聴だけではなくて、家庭のテレビにより簡単に見られるIPTVあるいは携帯機器への転送による視聴の普及といったことも促進するということも考えられます。 さらに、ハといたしまして、その他の分野でのデジタル化・ネットワーク化ということで、すべての映画館のデジタル化・3D化ということで、そのための税あるいは補助金制度、こうしたことも考えられるのではないかと思います。 それから、2といたしまして、デジタル化・ネットワーク化に対応した著作権の制度ということで、いわゆる権利制限の一般規定の創設でありますとか、コンテンツの保護のためのアクセスコントロールの回避規制の強化、あるいは知財制度の将来のあり方ということで、例えば保護期間の延長問題でありますとか、それから私的録音録画補償金問題を含めて、デジタル化・ネットワーク化時代に対応した制度のあり方について検討する必要があるのではないかという点でございます。 それから、コンテンツプラットフォームの世界標準の獲得という視点でございます。これは、コンテンツ産業の裾野の発展のためには、コンテンツだけではなくてプラットフォームの獲得が重要になってくるわけでございますけれども、重点的に取り組む分野といたしまして、例えばIPTVでありますとか3D映像、それからデジタルサイネージ、こういった分野におきまして、国際標準を獲得するための活動の支援でありますとか、あるいは民間企業における実証実験の支援、またハードだけではなくてソフトの供給体制の整備ということも必要ではないかというふうに考えます。 それから、最後は著作権侵害の違法コンテンツ対策でございますけれども、これについては制度強化と、それから普及啓発、それから正規サービスの促進、こういった両面で取り組んでいく必要があるだろうというふうに思っておりまして、現在少なくともゲームだけで5,000億の被害があると言われておりますけれども、こういった被害を大幅に減少していくということが目標でございます。 イといたしまて、世界的にその保護の輪を拡大して、海外被害を大幅に減らすという点でございます。 10ページにまいりまして、施策例としては、条約の策定等によりまして世界的に保護の輪を広げていくということ。それから、具体的に個別に働きかけていくということ。それから、規制だけではなくて、コンテンツを正規配信する取組、これを支援していくということでございます。 それから、ロといたしまして、国内の被害を大幅に減らすということで、規制の強化でありますとか、例えばプロバイダに対して一定の侵害対策措置を促すような仕組みを設けられないかどうかという点、あるいは民間の技術開発の支援、こういったことを両面から進めていくということが必要ではないかというふうに思っております。 以上、ご説明いたしましたけれども、いずれにしろ目標あるいは施策例につきましては、イメージということでございますので、是非これらを参考にしつつ、いろいろなアイデアをいただければというふうに思っております。 ○中村会長 どうもありがとうございました。 今日は、このうち1.と2.の集中審議をしようということですので、この資料でいいますと、3ページから6ページあたりを中心に議論をしていただくということかと思います。 では、まずその中で1.グローバルコンテンツ大国、コンテンツ・ビジネスは海外で稼ぐというところについてのご意見を伺ってまいりたいと思いますが、まずその中で、この目標ですね。0.6兆円を何とか兆円、これは恐らく0.6より大きな数字を入れるということだろうと思いますけれども、ですとか、(1)の映画何本ですとか、アジア市場で何割、年間何本といった目標を定めようというチャレンジなんですけれども、そういった立て方がこれでよいかどうか。 それから、この1.の全体の枠組みですね。改めて皆さんから何か意見があれば、例えば(1)は映像・番組の国際展開を促進するとなっていて、そのうちイロハに分かれて、共同製作ですとか誘致ですとかアジアということが項目として出ております。もう一つが、その他の分野というくくりになっているんですけれども、映画とかテレビ番組といったものが前面に出てきているんですが、そのような立てつけでよいのかどうか。そのあたりの目標や枠組みについて、まずご意見があればお出しいただければと思います。いかがでしょうか。 ○角川委員 合作映画については、前回も大まかなことは申し上げたつもりでいるんですけれども、フランスの例をあげます。「日仏映画協力覚書」という言葉で、既にお話しておりますけれども、向こうの希望は合作協定の調印なんです。これは、日本にはフランスに該当する制度がなかったものですから、そこで協力覚書ということで、お互いに一緒になって日仏映画業界のために努力していきましょうと。そのためにも合作ができるような環境をつくっていきましょうというような形になっているわけです。 ですから、やはり向こうには、そういう合作する体制ができておりますので、まず国として、合作協定を、合作条約というんですか、是非交わしていくような外交方針をきちっと決めてもらいたいと思います。 そういう中で、先方の合作の体制が日本政府もわかってくると思いますので、そこで必要なファンドだとか必要な税制というものを準備、整備していかなければいけないということになるかと思います。そこの点では、日本はやはり遅れていると思っていただいていいですから、知財本部としても今年度は、世界水準に見合った合作条約を推進するという、きちんとしたテーマに沿っていくべきじゃないかと考えます。 それから、目標についてのお話は初めて今日出たんですけれども、これはやはり前回のお話の「4年」というふうなレベルで、5年後にそうなればいいというようなことなのか、そうではないのかそこら辺もちょっとイメージを是非聞かせていただきたいなと思います ○中村会長 いかがでしょうか。どうぞ。 ○奈良参事官 この目標のイメージでございますけれども、これから政府のほうで定める経済成長戦略と連動していくということがございまして、2020年を目標にしたものというふうに考えているところでございます。 あと2ページ目のところに書いてございますけれども、具体的な施策につきましては、短期間でできるもの、それから中期をかけてやるもの、長期のものといろいろあると思いますけれども、概ね短期というのは、今後一、二年で早期に実現をすべき事項と。それから、中期については今後三年、四年かけて実施するべき事項ということで、概ね整理をしたいと考えております。 ○中村会長 つまり、現政権で手を打てることを短期と中期に分けて手を打って、その結果として、2020年ごろに成果が、この目標値としてあらわれると、そういうイメージでよろしゅうございますね、だそうですが、さて、そのように見た場合……。はい、どうぞ。 ○久夛良木委員 この資料2の3ページですか、数値目標が今日初めて出てきたんですが、この最初のところで「日本発の世界的なメガヒットが出る」、これは日本発の文化をいろいろな人に紹介するという意味では私は大賛成なんですが、この次にある、例えば「アジアの市場で日本発のコンテンツで席巻する」。これは文化侵略的な言葉にも聞こえるんですよ。コンテンツというのは侵略するためにあるんじゃなくて「紹介していく」「人を楽しませる」わけですから。例えばそれは方法論として「日本でピュアにつくる」あるいは「合作でつくる」といろいろなやり方があると思いますが、この言葉そのものは非常にタッチーなんですね。何か大量生産時代のシェアみたいな形で…非常に合わないんじゃないかなと、そもそもこの委員会としてですね。私の意見です。 ○中村会長 いい指摘だと思います。そのようなことをどんどんご指摘いただければ。どのような目標を我々として持てばよいのか。産業規模の拡大が目標なのか、何かコンテンツの本数がたくさん生まれることが、我々の海外展開の目標になるのか。どうぞ。 ○大多委員 日本発の世界的なメガヒットは出るという、こう簡単に書いてありますけれども、例えばこれはアメリカを想定した時に、では日本の今まで日本映画が、これはちょっと角川さんに聞いてみないとわからないけれども、日本映画がアメリカで50億以上のヒットは、アニメでもあるのかどうか。あったとするならば何なのかちょっとよくわかりませんけれども、まさにそのまま、日本映画が出ていってというのは、相当もう恐らく、物を日本でつくっている人間からすると、そんなわけないよと、そんな簡単にいかないよと。もちろん、リメイクするなら別ですよ。そうすると、リメイクというのは、もうこれは日活の佐藤さんなんかは詳しいのかもしれないですけれども、非常にハリウッドは買いたたかれて、それこそ、それなりのアイデアがウン百万でリメイクされてしまうようなことはあり得るんですよね。 なので、本当に日本の純粋な、日本のコンテンツというか、日本人がそのまま出ているテレビ番組とか映画が、世界的なメガヒットが出るというふうなことを、そのまま本当に思っているんだとすると相当甘い見通しなので、その前にいろいろやることがあるんじゃないかなというふうに、余りにも目標設定が、大変失礼だけれども、短絡的にちょっと思えたので、どうなのかなという気はしました。 これは人材育成と非常につながっている問題だったり、この間も言いましたけれども、海外戦略で非常につながっている問題なので、それをゼロ本から、では3本と書いたり5本と書いたりしたことがどんな意味があるんだろうと、ちょっと心配になりましたけれども。 ○中村会長 他にいかがですか。どうぞ。 ○吉羽委員 今のお話を受けてなんですけれども、弊社のコミック原作のもので、やはりハリウッドなりで映画化しようという動きがあるわけなんですけれども、結局のところ、日本の会社はライセンサーとしての立ち位置しかとれないんですね。やはり製作規模が余りにも大き過ぎて、国内の映画会社にしろ、出版社はもとよりというか、とてもではないけれどもなかなか投資ができないという実態がある中で、日本発のコンテンツというのは原作側であるということもあるんだけれども、その映画のプロパティの所有権みたいな部分まで少し広げて物を考えないと、なかなか日本人だらけの映画が海外で売れるのというと、もうそれはおっしゃるとおりだと思うんですね。なので、やはりハリウッドの中に入っていけるような、ある種の製作の仕組みみたいな部分の整備というのが、一つ大きいのかなというふうに思います。 それと、韓国の話がいろいろ出ていたんですけれども、今韓国と3Gのアニメーションの共同製作をやっているんですけれども、日本側は日本の版元の、要するに私企業のリスクでやるんですね。先方側は、きちんと政府側の援助を得てやるということで、もうリスクのとり方が全然違うんですよ。韓国で3Gの映画というのは比較的コストが安いので、何とか私企業でも対応できるぐらいの規模なんですけれども、これがハリウッドの映画になると、とてもではないけれども、リスクはとり切れないというような部分がありますので、やはり完全に日本純正の日本人しか出ないような映画ということよりも、やはり製作の中でどうそれを支援していただけて、結果的に日本の、もともとの原作が世界に広がるかというのは、そこまで広げて考えないといけないんではないかというふうに思います。 ○中村会長 いかがでしょう。どうぞ。 ○佐藤委員 大多さんからご発言があったことは、私としてもなかなかリアリティーをもってとらえきれない、全米興行収入ボックスオフィスで、我が国の映画が1位になると、決してあきらめているわけではないのですが、先ほどファイナンスのお話もありましたが、ビジネスのサイズの組み立ては、全く残念ながら違います。 という現実の中で、前回、私は「ニッチ(隙間)のマーケット」という言い方をしましたが、海外の特撮テレビシリーズ。今、仮面ライダーテレビシリーズのディールであったりだとか、これは実は日本人がアメリカに渡ってプロデュースを現場でしています。かつて80年代にパワーレンジャーという、日本においては恐竜戦隊ジュウレンジャーという東映さんのテレビシリーズのタイトルでした。これをサバーンという会社が権利を買って、アメリカで日本人パートのところだけ差しかえて、日本の特撮の技術というのは評価されておりますので、そこを生かした形でテレビシリーズをつくりました。これは、ワールドワイドで、莫大な収益を上げるビジネスに育ちました。 したがいまして、視点としては、映画コンテンツ、ハリウッドというところだけではなく、例えば海外のテレビシリーズといっても、私が知っている限りでは特撮テレビシリーズというような、日本の得意技を生かしたような形でシェア、外貨を獲得するというような考え方が現実的ではないかと。 また、ちょっとずれてしまうかもしれませんが、先ほど製作のところで「コンテンツファンド」というお話が説明の中でありましたが、海外で外貨を獲得するに当たっては、こういう収益の過半を海外で稼げるようなコンテンツに対しては、ファンドであるとか補助金であるとか明確な助成が必要だと思います。私は大映という映画会社にいたんですが、1970年代のガメラという怪獣シリーズには、必ずアメリカ人の男の子が登場します。なぜかというと、海外で売るためです。 数字がどういったのかというのは、ごめんなさい、私が持っているデータでは定かではありませんが、こういった試みを積極的に進めるためにも、私はそのファンドを創設する。ファンドの運営に関しては、少なくともハリウッド映画というような限定された形ではなく、幅広い映像コンテンツ、エンターテインメントコンテンツに対しての助成という観点で進めていただければなと思います。これは先ほどもお話がありましたが、人材の育成に間違いなくつながる話だと思います。 ○中村会長 話が二つ、今並行して出ていまして、目標をどのように立てるかということと、それからジャンルですね。今の資料では映像や映画が前面に出ているんですけれども、そういったもので勝負をするということで、我が国の戦略としてはよいのかという問題提起が二つあったかと思います。 目標のほうの議論と、それからジャンルについて、もう一度分けて議論をしていただきたいと思いますが、ジャンルのほうも、映画もあれば、この場にもゲームの方も音楽の方もおられますし、今、話がありましたように、パワーレンジャーが1兆円ビジネスになっていると。それから、ポケモンもグッズから何から含めて、3兆円ビジネスになったりしているというのを聞いたことがありますけれども、コンテンツが今、海外で0.6兆なのを幾らにするかというのもあれば、もっとトータルで何か違う分母のものを違う分母にするという議論もあり得るかもしれません。そのあたり、もう一度目標をどうすればよいのかとか、ここで光を当てるべきジャンルはどうしたらいいのかということについて、何かお考えがあれば教えてください。 どうぞ。 ○杉山委員 皆さんお考えだと思うんですけれども、日本にアニメとかゲームから出たキャラクターというのがいるわけですから、それを世界中の人が楽しんでいるというのは、これはもう事実ですよね。ですから、それをそのまま映画等にするのであれば、現代の流れからいえば立体3D、CGにして、そのまま海外に出すというのは一つの王道ではあると思うんですね。要するに、日本の女優さんとか男優さんとかがそのまま演じても、なかなか世界でヒットしにくいという現状があるというのとまた逆に、CGの世界のキャラクターであれば、もうとっくに日本人であるとか、そういうことを超えて世界に受け入れられているというのがあるので、3D、CG人材については、日本のゲーム産業を中心に、非常に分厚くクリエーター層が育っていますので、そういったことにトライしようとしている会社もありますので、王道としては、それが1個あるなと。 僕らは例えばすごく寂しい思いをしたのは、例えば「鉄腕アトム」というのは、もう日本を代表する手塚先生の一つのマンガだと思うんですけれども、これを結局、映画化する時には何度か映画はいろいろな形になっていますけれども、最近のものは海外で3D、CGでやったということで、ヒットはしなかったですけれども、どうしてこんな代表的なものを国内でつくって世界に向けて発信できないんだろうなというふうには思いました。 ○角川委員 鉄腕アトムの話が出たんですけれども、鉄腕アトムの資本は香港です。それで、技術はアメリカのピクサーと、それからドリームワークスの3D技術です。これは全く恥ずかしい話なんですけれども、角川が配給いたしまして、なかなか難しく成功しなかった部類に入っているんです。やはりそういう中で、では日本人が今「鉄腕アトム」で、世界マーケットを相手に、一企業が60億円の製作費をかけて映画をつくれるかという、まずその現実論からいかなきゃいけないんですね。 日本のコンテンツが非常に評価されているなかで、日本のマーケットだけだったら、せいぜい制作費は3億から6億ぐらいまで、それがアメリカの世界のマーケットを考えるから60億出せる。そういうマーケットのパラダイムシフトみたいなことを、こういう席で問題提起して解決していくことができれば、この問題は非常に価値のある討論じゃないかなと思います。 もう一つは合作です。先ほど中村さんからジャンルはどうだということで挙げれば、私のほうからも申し上げたいのは、やはり映画も大事ですけれども、広くアニメだとかというふうなことも含めると、やはりコンテンツという、ジャパンコンテンツでファンドができればいいかなというふうに思います。ゲームを含めた、あるいは音楽も含めたジャパンコンテンツというジャンルで幾らにしていくという論理がいいんじゃないかと思います。 それからもう一つは、合作の規定ですね。これも映連の中で、どれを合作映画として、どれを自国映画にするかと問題になったことがあるんですけれども、今お話になっている、日本人が俳優として出ているか出ていないかというのは、一つの例にすぎないのです。監督が日本人であるかどうか、脚本家が日本人であるかどうか、それからコンテンツ、原作そのものが日本であるかどうか、それから出演者がどうか。それから、ロケーションする場が合作の日本であるかどうかとか、いろいろな基準がありますので、合作をどう考えるかということも、一回事務局でよく検討していただくことも大事じゃないかと思います。 それから、もう一つ、これは非常にシビアな話ですけれども、拡大解釈させていただきたいんですね。日本のコンテンツじゃなきゃいけないとかいうことではなくて、去年、2009年までと2010年以降では、ハリウッドの日本のマーケットに対する見方は極端に変わってきています。2009年まではローカルプロダクションという形で、日本のマーケットに対して非常に関心を持ってくれていました。ですから、ワーナーが「デスノート」という作品を日本の漫画を実写映画でとって、大ヒットするといういい例が出てきたわけですけれども、今年の「アバター」以来、アバターが日本のマーケットより中国のマーケットのほうが、日本円に直しても、換算しても日本のマーケットを金額で超えているということで、既にアメリカのハリウッドは日本パッシングが始まっています。もう日本は相手にしないと。「もう日本のマーケットは相手にしない。中国でやればいいんだ」というのが極端に、彼らは世界戦略で見ていますから、日本のマーケットを見なくても、中国のマーケットを見ればいいというふうな動きにもう変わっています。これは一つ、明言させてもらいたいと思います。 そういう中で、恐らく日本がハリウッドに伍していくためには、ハリウッドの作品に出資をしていくという方法が残された、数少ない方法論だと思うんですね。そうしますと、先ほどのお話ではないんですけれども、大きなアメリカの作品は大体制作費が100億から200億、日本の作品の場合には大きくても10億までですから、一けた違うわけですけれども、ちょうど日本のマーケット規模である10%に相当する、アメリカが100億、200億をかけた時に、10億、20億を日本側で出資して、その日本のマーケットで配給しながら世界で成功した時の配分を日本が受けると、そういうことになりますよね。失敗したら、それは戻ってこないわけですけれども、成功すれば200億が、アバターみたいに1,000億になれば1割出していれば100億戻ってくるということになりますから、そういうことも含めてファンドを創設する。そういういろいろなケースを考えてもらいたいというふうに思います。 そういうようなケースを考えていただいた上で、海外収入が幾らだという論理になれば、これは非常に建設的ですけれども、それが非常に狭いところで討論されると、先ほど大多さんから出たように、非常に皮相的な、本当に表面的な、非常に実りの少ない議論になってしまうんじゃないかな、あるいは実現不可能な数字を並べることになってしまうんじゃないかなというふうなおそれを感じます。 ○中村会長 トータルの目標として幾ら売るんだという、その数字を出すのは、他に数字は出しようがないかなという気がしますけれども、そのトータルのイメージも、映画だけではなくてゲーム、アニメ、その他いろいろなものを含めた総合で勝負しましょうということで、どれぐらいにしましょうかということを考えなきゃいけないということですし、同時にひょっとすると、そこにファッションとかグッズとかおもちゃとか、そういったものも加えた市場を見てもいいかもしれません。同時に、今お話しありましたように、稼ぎ方としては出資で稼ぐというのもあるでしょうし、フォーマット販売のようなもので稼ぐというのもあるでしょうから、いろいろ手はあるでしょうねと。同時にちょっと思ったんですけれども、海外から投資を呼び込むというのも一つの目標に定められる、海外展開ということで言うと定められるかもしれないですね。 他に、いかがでしょうか。どうぞ。 ○佐藤委員 数値目標の設定に関しては大変難しい問題だなというふうに思いました。 ただ、経済産業省の方とお話をして出てくる話は、「コンテンツによって外貨を明確に獲得したい」と、今回のテーマでもありました。私はどういう幅でどういう数字を置くのかというイメージは、具体的には持っておりませんが、幾ら外貨を獲得するのかというような目標の設定というのは、考え方としてはあり得るのかなと思いました。 あと、先ほど会長のほうからあった二つのタイトルに関して、一つ事例としてとても大事なところだと思うので、外貨獲得というところで補足をさせてください。 「パワーレンジャー」というのは、収益のほとんどは全部アメリカに落ちています。なぜなら、権利を買い取っているからです。しかしながら、そうではないタイトル群というのが、私が先ほど申し上げた、前回も申し上げましたけれども、「トランスフォーマー」であったり、タカラトミーさんに金型のロイヤリティーがおもちゃで落ちたりだとか、申し上げたいもう一つの視点というのは、皆さんの論議を聞いていて、ライツとプロダクツがうまく組み立てることによって、一定のコープロ(共同製作)のスタイルというのをハリウッドやアメリカのTV局に対して出していくということができるのではないかなと思います。 具体的にビジネスで、今、私どもがホールドしている原作を欲しいがために、ハリウッドの人たちはコープロでもいいよと。出資はそのかわり10%だと。ただ、アジアのディストリビューションはこちらでとるとか、組み合わせというのは幾つか方法論はあると思います。 ただ、大事なことはライツとプロダクツで、一つは角川会長がおっしゃったとおり、ハリウッド映画に札を張っていく、ファイナンスをしていくというやり方だと思います。もう一つのやり方は、大きい札とか大きい投資のリスクを負うことなく、ライツとプロダクツで組んでリスクの障壁は高くないけれども、ある確実な収益というのを取り込めるというようなやり方というのは、あり得るのではないかと思いますし、そのためにもこういったテーブルのところで、業種、業界の枠を超えたところで、ある指針が出されたりするのは、現場の製作者としては大変ありがたい話だなと思います。 ○大多委員 テレビ番組のほうの視点からちょっとお話ししますと、やはり今、この間も言いましたけれども、アメリカは非常に、ほとんどのゴールデンタイムのタイムテーブルがドラマなんですね。見てみると、ほとんどが刑事ドラマとか医者のドラマとか弁護士のドラマとか、大体パターンが決まっていて、さすがに本当にいつもネタがつらいんだというような話は、アメリカのメジャースタジオのテレビ部門の人たちからよく話を聞きます。 彼らといろいろ話をしていると、アイデアがいろいろ欲しいというふうな話が本当にあって、現実に一緒につくらないかと。僕らとしても、さっきも言いましたけれども、簡単にリメイク権だけとられるとか、アイデア論みたいなのだけとられて、あとは全部我々でやるから、はい、さようならと言われては困ると。今も佐藤さんから出ましたけれども、本当にちゃんとライツも持つ。それなりにこれだけのお金も払う、ただ金額が10分の1とかになるんですけれども、でも、それでもアメリカで本当にテレビドラマが大ヒットするということは、世界中にそれが出ていく、ビデオ、DVDで出ていく、そしてリメイクされるという、大変な収益を生む中の、その中の10分の1でも入ってくるということは、相当な大きなお金がテレビドラマでも十分可能性があるというふうに思っているんです。 常に映画というふうに思いがちですけれども、テレビの連続ドラマというのは、アメリカのメジャースタジオにとってはもう宝の山ですから、その辺のかなりねらっていける分野ではないかなというふうに思っていて、まだそこまで積極的にテレビ局は望んではいないですけれども、そこは十分に、今のライツとプロダクトという話がありましたけれども、ある。ここに関しては思い切って、何か支援とかがあれば、それなりのこともできるんじゃないかなという感じはしております。 ○中村会長 現在の海外収入額0.6兆円、6,000億円を何とか兆円にするということになっているんですけれども、2020年ごろ、ここはこれぐらいになるんじゃないのというイメージをお持ちの方はおられませんか。どこかでリスクを取らなきゃいけないみたいなんですけれども。 ○奈良参事官 参考までに、前回の資料でもお配りしてございますけれども、海外収入と国内比率の割合でございますけれども、日本が国内収入に占める海外収入の割合が4.3%ということで、アメリカのほうは17%ということで約8.5兆円というような差がございます。ですので、せめて、アメリカ並みにはというふうには思っておりますけれども。 ○中村会長 強気ですね。17%までいけると。17%までいったら、どれぐらいになりますか。 ○奈良参事官 17%だと3兆円ぐらいでしょうか。 ○川上委員 前回も言ったんですけれども、現状認識のところなんですけれども、やはり僕はビジネスを増やすというような感じで、きれいな感じでやったとしても何となくあんまり、みんな例えばこの業界にかかわる人たちが、それで何か勇気づけられるような施策にならないと思うんですよね。 それで、例えば数値目標を言うのであれば、もっと現実的な問題としてあるのは、今コンテンツ産業というのは、どの産業も多分減っているんだと思うんですね、規模というのは毎年、もう既に減っていると思います。それで、特にパッケージビジネスとか、それが例えば音楽の場合であれば「着うた」ですとか、ある程度それが電子技術の形で穴埋めができている。だけれども、大半のところはできていないというところだと思うんですよね。 だから、多分、現実というのは、今既存のあるメディアだったりコンテンツだったりというものがネットに侵食されていて、ネットによって利益がどんどん減っているというのが、まず現状認識として必要だと思うんですよ。そして、ネットに行ったことによるのが、例えば違法コピーもそうですし、例えば情報という意味ではグーグルのように、これは違法じゃなく合法ということになっていますけれども、そういった形でどんどんコンテンツが流れていっていて、そこに対してコンテンツをつくっているところというのが、利益が得られていないという構造があるわけです。ですので、その中で今ようやくiTMSですとかキンドルですとか、世界的にも収益になりそうなのが見えてきたというのが、多分、現状認識としてあると思うんですよね。そうしたら日本の目標というのは、既存のコンテンツ産業が今後ネットに移行していく過程で減っていく。この減っていく過程での減少をまず減らすことと、それとネットにおいて、コンテンツの収益の金額の、少なくとも穴埋めをするということの目安どころを明確にするほうが、よっぽどコンテンツにかかわっている人たちも、よりリアルに感じるような施策になるんじゃないかなというふうに思います。 その上で、海外のほうもやらないと、海外にこの辺で議論に入っていこうというのは全部正論だと思うんですけれども、例えばコンテンツ・ビジネスの規模がネットによって侵食されていくというのは、日本だけではなくて全世界的に起こっているはずなんですよね。例えば映画とか、そういうものにしたって、やはりネットの影響というのは世界的に音楽についても起こっているはずですから、そこの議論を抜きにして海外展開ですとか、そういうのを考えても、その部分は根本を見失った議論になるんじゃないかなというふうに思います。 ○中村会長 今の話、恐らく次回に議論する3.のところと強くかかわる問題で、国内海外問わず、デジタル環境が大きく変わっていく中での産業全体がどうなるかということだろうと思います。 皆さんよくご存じだと思うんですけれども、この月曜日に電通が報告を発表したところによると、去年の広告費が6兆円を割ったと、昨年1年で12%ぐらい減ったというのがあって、ピークの7兆円から1兆円減っちゃっているんですね。こういった状況の中で、国内はどうするのか、それから海外事情はどうするのか、より長期的な人材をどうするのかというのが、多分我々最後のパッケージといいますか、セットになって出てくることになるだろうと思いますので、今ご指摘ありましたような、そこで目標をどうするのかというのは、もう一度2.、3.行って戻ってくる時に全体で整理をさせていただければと思います。 さて、ではこの海外のところ、1.について具体的な施策と言いますか、政府がとるべき行動についてのアイデアあるいは意見、コメントなどありましたらお寄せいただければと思います。いかがでしょうか。 製作のところで言いますと、国際共同製作というものに、かなり焦点が当たっているんですけれども、他にもいろいろな施策、アイデアなどはあろうかと思います。いかがでしょうか。どうぞ。 ○末吉委員 先ほど会長のほうからもご意見があったんですけれども、海外から投資を呼び込むことと、海外、例えばハリウッドに投資をすることがある。私は弁護士なので、弁護士もまだ伸びていないんですけれども、エンターテインメント関係の弁護士を目指す人がたくさんいるんですが、リーマン・ショックの前に、既に国内でのコンテンツファンドの限界を我々は感じていたわけです。 どういうことかというと、例えば数十億、あるいは数百億の規模のコンテンツ投資がある。こういう規模の製作の仕組みものでは、必ず製作の完成を保証する完成保証を求められる。しかし、国内のマーケットでは、このような保証をしてくれる企業である完成保証屋さんはいないわけです。海外ではありますが。そうすると、すごい方は、製作をなさる方が自分で完成を請け負う。そういう方もおられるようでございますけれども、これには無理があります。どうしても国内の仕組みものでファンドを組み立てて、大きな、例えばメガヒットを目指すようなコンテンツをつくることには、完成保証をする主体がいないという点でまず無理があると思うのです。 そうなると、もしそのことも含めて国際共同製作ということを考えると、先ほどの合作協定の問題もあるんですけれども、公的なファンドというのは完成保証を求めないという、そういうことまで立ち入らないと、少なくとも国内でファンドの仕組みをつくるということは、私は完結しないと思います。その点が、実は投資を呼び込む最大のネックだというふうに我々は思っているんです。 以上でございます。 ○中村会長 他にどうでしょうか。 ○久夛良木委員 ちょっと違う点でコメントしたいんですけれども、ゲームというのは幸いなことに、プラットフォームそのものが比較的日本発のものが多くて、当初から我々の業界の方たちは意思を持って海外に向かってゲームを出してきた。 何でこれが通用したかというと、一つは言語の壁がなかったんですね。当初はアクションゲームでコインをとるとか、そういうのがあったので、みんなわかりやすい。つまり、コンテクストが非常にはっきりしていたということがまず一つあって、これがずっと日本のゲームが強い、アニメも強いことから、そういった意味でキャラクターも発信できる。だから非常によかったんですが、だんだんどうなってきたかというと、映像ソフトがどんどんリッチになってきたというのもあるんですが、そこにストーリーが入っていって、言葉が入っていって、いろいろなメッセージが入ってくると、日本語だけではとてもやっていられないわけですよ。 今のインターネットは、ある意味で英語の世界になっていて、英語で発信したら全世界に届く。ところが、日本語だけで発信しても、全世界に届かない。何が起こるかというと多国語化対応であるとか、いろいろなことをやるわけですね。その間に時間がかかって、お金がかかってしまう。そうこうしているうちに、場合によっては、あっという間にネットで勝手にルビが振られて、もう商売のチャンスがなくなってしまう。これが今起こっていることですね。 例えばアメリカのテレビドラマ「24」であるとか「LOST」とかを英語そのままで理解できる人たちは世界中におびただしくいる。これはもうどうにもならない一つの大きな言語の壁ですから、ある意味、日本語だけで発信するということで、本当にそれで外貨がどのぐらい稼げるんだということが、本当に現実的かなというふうに思います。 ちょっと大きな視点で言うと、日本というコンテンツはすばらしく、例えば海外から来ると、東京だろうが京都だろうがすばらしいわけですよ。日本という国全体がコンテンツだと思います。でも、今回はそういう話ではなくて、パッケージ化できるようなもので外貨を稼いでこいということであると、やはりもっと世界で同時に通用するようなやり方でつくらないと、それこそメジャーになれないというふうに思います。メジャーを目指してエンターテインメントを目指すのか、それとも日本の文芸作品を目指すのか、その辺も議論の中にあるといいんですけれど。どうも、何か数字だけがひとり歩きしていて、その方法論のところがはっきりしない。そういうふうに思います。 ○大多委員 大変今の久夛良木さんの意見に賛成というか、そもそも「おくりびと」がアカデミー賞をとるとか、寺島しのぶさんがこの間も受賞されていましたけれども、ああいった映画では、そんなに外貨は獲得できないのはもう御承知のとおりで、ただ、あれは文化政策として必要じゃないかというのであれば、ああいう作品は幾らでも、ねらいとしてはつくれると思いますけれども、本当に、多分こうやって皆さんが集まっているというのは世界に通じる作品で、今おっしゃったように日本語ではなくて、その壁を超えて世界中で大ヒットする、それが日本のものであったり、もしくは監督であったりプロデューサーであったりというようなことで、いわゆるアジアの諸国に負けたくないというために、僕は集まっているんだと思っているんです。 本当にそういった意味では、とにかく当たるものをつくる。世界のグローバルのものをつくる点で言うと、もうはなから考え方は人材育成のものも全然違ってくるんですよね。世界的に通用するものをつくるというのと「おくりびと」をつくるというのは、また全然、あの「おくりびと」をつくった時には世界に通用するためにつくったというよりは、つくりたいものをつくったんだと思いますし、そこはまず明解にしておかなきゃいけないと思いますし、これは多分、こういう議論があれば必ず出てくる話だと思いますし、やはり外貨を獲得して、日本のソフトパワーが全世界に認知される。それはやはり本当におっしゃるように、ネットとこの間も言いましたけれども、ネットはやはりそれはもう既に超えていますし、あとアニメとか3D、CGの技術というのはすごいわけで、その辺は日本人が出ていってハリウッドに当たらない、それを全部かえていろいろやっているというのは、もちろんこれはあると思いますけれども、その辺の分野というのはちょっと僕は直接やったことはないですけれども、もしかしたら強いんじゃないかなというか、みんなそれは多分、日本人のこの議論を聞いていて、日本の多くの人は「そこ得意なんだから、国もお金出してやればいいじゃないと、何でもっと応援しないんだ」と、そういうクリエーターは本当に、多分ドラマのクリエーターやバラエティーのクリエーターよりも全然、そういう意味では世界に通用するクリエーターは日本にいるはずなので、そこを何でもっと応援してあげないのよというのがあると思うんですけれども、どうでしょうか。 ○谷口委員 もうほとんど皆さんが言われていることと同じ内容かもしれませんけれども、音楽でいいますと、言葉の問題はあるにせよ、日本語のままでも海外で十分通用するぐらいのレベルにはなっていると思うんですね。ただ、文化としての音楽を輸出して、そこから幾らのお金を稼ぎ出すかということについては、海賊版の問題も含めて、3.のほうの議論を先にしないと数値の目標にはならないと思うんです。その部分だけちょっと外して、先に文化としての音楽をどれだけ浸透させられるかということで考えると、古典的なというか日本的な、いわゆるプロモーションの部分をどれだけできるかによるんではないかと思います。 ところが、プロモーションで例えばアーティストさんが現地に行ってコンサートをするであるとか、いろいろな活動、テレビに出るであるとか、そういうことをしていくと絶対ペイしないんですね。例えば中国に行って3カ月間活動して帰ってくるよりも、その3カ月間、日本にいなくて失ってしまう所得のほうが全然大きい、なのでみんな外に出ていけないという現実があります。なので、その失われたであろう3カ月分の日本での所得のようなものを政府のほうでバックアップしていただけるのであれば、気持ちとしては皆さん海外、特にアジアとかに出ていきたいという人はたくさんいますので、もっともっと文化の浸透の一番最初のプロモーションというところに、積極的に加担できるんではないかなと。それを行った結果、日本の音楽が浸透し、そして最後に3.のどうやって解消するかというところに行くんではないかなと思います。 ○中村会長 成長戦略としてこの問題をとらえた時には、どれだけお金を稼ぐのかという金額ベースの目標が必要になってくると思いますけれども、今のような文化の話が入ってきますと、指標としては、また別なものが必要になってくるかもしれないですね。例えば日本がクールだとかポップだとかキュートだとかと言われている状況を広げていくということでの、日本に対する好感度を10年間でこれだけ上げるとか、日本という国の、日本なるものの認知率を上げるというような視点も入り得るのかもしれません。 それで、座長からあれなんですけれども、川上さんに一つ質問があるんですけれども、さっき久夛良木さんから多言語翻訳という話が出ました。この間「ニコ動は翻訳しない」みたいな話をされていましたよね。仮にニコ動に国が支援したりして、全部、多言語翻訳してあげるということになったら、海外の訴求力はどのぐらい高まるとお思いですか。 ○川上委員 ニコ動の場合は、別のところで話したんですけれども、なぜ多言語を翻訳しないのかと、特に翻訳の費用の問題ではなくて、回線費用の問題なんですよ。動画サービスというのは回線コストがめちゃめちゃかかるビジネスですので、ユーチューブを含めて黒字化がなかなか難しいというのは、その回線を確保する問題なんですね。それで海外に多言語をして、それで当たってしまうと赤字が膨らむというので、アクセスしてほしくないというのが一番、そこにあるんですよ。それで、我々はそれをやっていないんですね。 実際、台湾からのアクセスはすごく多かったので、中国大陸もしたんですけれども、結果的に台湾の中で10万人ぐらいまでの人気サイトぐらいになって、向こうのテレビのゴールデンタイムなんかにも紹介されるような番組になったんですけれども、その段階で台湾と日本のアクセスの多分、数十%がニコニコ動画になったらしくて、台湾のプロバイダが接続を制限かけたんですね。それで、1日のうち7時間ぐらいしかニコニコ動画を見れないという状況になって、そこで動きがとまったんですよ。 個人的な考えなんですけれども、やはりネットというのは、すごく世界的に広がっていきますので、やはり海外に本当に行くとなると、すごいお金がかかるじゃないですか。それで、日本ネット企業なんかでも海外に行っていますけれども、直接に新設で成功したところというのはやはりすごく少ないんですね。なかなか日本の場合は、ネットのサイトというのは、もう別に日本にいたままでいいと思います。いたままで世界進出ができるようなことを支援するような仕組みがあったほうがいいのかなというふうに思います。 例えばコンテンツの多様化も日本でやれるとか、もちろんネットを通じて外国人を、例えばフランス人の人にフランス語のコンテンツをつくっていくような、フランスにオフィスを構えるんではなくて、日本にいながらフランスにいる現地の人を雇用できたりだとか、ネットを通じて、そういうようなことが楽にできるのが、きっと重要だなと思っています。 実際、台湾とかでちょっとやった時に、現地の人を雇用するんですけれども、やはり現地法人が必要だったんですよね。そこの部分でやはりどうしても、そこのコストというのが、うちの場合というのは回線コストの問題が一番大きかったかなと思います。 ○中村会長 この資料にはまだ色濃く出ていないことで言うと、海外に対する情報発信機能のような、例えばネットを使ったり、海外に発信力のあるサイト、それは企業のものでも、オタクのものでも何でもいいんですけれども、そういったものに力を外向けにつけさせてあげるだとか、海外のテレビ局やチャンネルを押さえていくというような、そういった流通政策のようなものも必要になってくるかもしれないですね。 ○川上委員 日本のサブカルチャーのサイトというのは、ニコニコ動画に限らず、結構個人のブログとかにも、世界のアニメファンが見ている個人ブログが結構あるので、例えばそういったところとか、日本語のままで見られているんですけれども、そういったもともと日本語のままアクセスがあるところに支援をしていくような仕組みがあればいいんではないかなと思います。 ○中村会長 そうですね。それは非常に少ない予算で大きな効果を生みそうな気がします。 ○川上委員 少ない予算でできると思います。 ○佐藤委員 他言語のことでよろしいですか。 ○中村会長 どうぞ。 ○佐藤委員 川上さんがおっしゃるとおり、先ほど文化という視点で言った「おくりびと」が外貨を幾ら獲得したかというと、数億円程度ではないでしょうか。この前私、ニッチのマーケットという話をしました。原価数千万円でつくって、日本ではほとんど公開しない、まさしく川上さんがおっしゃっているようなワールドワイドのオタクのニッチマーケットを全部刈り取ったタイトルで、これは残念ながら当社はプロダクトのみですが、資本はニューヨークの資本です。ニューヨークのビデオメーカーの資本。収益は億を大幅に上回っています。日本語です。全く他言語バージョンはつくっていません。スペインでも売れました、アジアでも売れました、北米でも売れました。 ちなみに、「Xbox」では全米4位まで上がりました。ハリウッドの大作を向こうに回した。ただし、「Xbox」のダウンロードで見ているお客さんは、川上さんが言うようなとても狭い客層です。ただ、前回も申し上げたこの狭い客層を世界中で刈り取ってくるという方法論も片方ではあるのではないですかということを、ごめんなさい、ちょっと申し上げたいと前回から思っていました。 今、皆さんメガヒットの話をしています。果たしてリアリティがあるのかという論議もなされています。メガヒットを出すためのやり方は、ライツとタッグを組みながら出ていく、出資に関しては10%から20%だけれども、世界中のポッドが私たちの財布にも還元されるというやり方はあると思います。 そういう支援をファンドでやっていただきたいと思いますが、もう片方では、あきらめることはないんじゃないですかというのは、皆さんにお見せでるようなタイトルじゃないんですが、「片腕マシンガール」というタイトルが少なくともヨーロッパや北米のマーケットで稼ぎ出しているという事実です。仮面ライダーが稼ぎ出しているという事実です。外貨を獲得しているのはこういうコンテンツです。 ですから、先ほど数値目標でも言ったのは、外貨を獲得するということをテーマにコンテンツの成長を語るのであれば、前回も本部員の方からお話がありましたけれども、外と戦ってでも持ってくるというようなお話があるのであれば、私は、数値目標としても幾ら外貨を獲得するのか、外貨を獲得できるコンテンツは何なのかということで支援等も進めるべきだと思います。 それは、国内のコンテンツファンドと明確に線引きするためにも、収益の過半は外貨で獲得せよという形のファンドは、先ほど角川さんからも是非ファンドの創設をという話がありましたが、これは現場の叫びとしても、僕たちは国際競争力を持っていると思っていますので、彼らはいつも来ます、ハリウッドは、権利をくれと。売るものはあるんです。 と同時に、「呪怨」であったりだとか、ホラー映画ではありますが・・・。国際競争力があるのはプロダクトにおける価格です。私たちはハリウッドで同じ尺のものをつくるのとほぼクオリティ的にはさほど落ちなくてもはるかに安いコストでできます。これはいろいろな犠牲の上に成り立っているので、美しい話ではありませんが、これはハリウッドも気がついています。 先ほどローカルプロダクトの話がありましたが、フォックスのプロデューサーと話をしていても、価格の話は必ず出ます。価格が高騰しているという話です。ですから、彼らはハンガリーでも映画をつくります。日本でも映画をコストが合えばつくるという考え方をしています。 申し上げたかったのは、そういう国際競争力もありますと。日本語でも売れるものは売れますと。ただし、それはメガヒットにはなりません。なりませんが、世界中のマーケットで刈り取ってくるとある数字にはなるということも是非視点としては持って論議を進めたほうがいいのではないかと思いました。川上さんおっしゃるとおり、日本を拠点にしても十分いけます、そっちのタイトルは。 ○大多委員 ネットというのは、本当に、これもちょっと前回触れたんですけれども、ここから世界的な大ヒットが生まれる土壌は完全に今揃っていると思うんですね。そして、一番大事なのは、コンテンツというか、作品に関して言うと、ネットでつくるものと映画やテレビというものでつくるものは完璧にこれは違うものなんですね。 それを一緒くたにしちゃうとぐちゃぐちゃになってしまうんで、逆に、こう言ってはあれかもしれないけれども、ネットのものというのは、ニッチというか、安いというか、あえてノンネームの予算を余りかけないもののほうが受けるという、これは傾向ですけれども、そういうものがあって、もしかすると、佐藤さんが今おっしゃるように、それほどまでいかないかもしれないというのもありますけれども、ローカライズというか、字幕をつけるのは、例えば日本のホラーで、ネットで流したらこれは相当いくだろうなという作品というのは、テレビの例えばCSだけでやったのはドラマでもあるんですね。これをちょっと英語をつけただけで、もしかすると世界的な大ヒットが生まれる。本当に100億、200億をアメリカで稼ぐような作品が実はたくさん眠っているんですけれども、まだそれを本気でネットで配信していないというか、やっていない部分はあるなと。 これは今、佐藤さんのお話を聞いていて、テレビ局にはたくさん眠っているから、あれもやれば、これもやればという点では、数打ちゃ当たるとは言いませんけれども、ネットからメガヒットが生まれる可能性も十分あるので、これはあえてこれからのコンテンツ産業としては非常にこれも宝の山だというふうに僕は考えております。 あと、ゲームとかは、もう最初からお金をかけてやるというのもあると思うんですね。もうゲーム業界では、多分、久夛良木さんが言えば何でも通るんじゃないですかね、企画とか。そういった天才的な方が企画を考えて、川上さんがネットの、これをこういうふうにネットでやろうというようなことを考えて、ただそれには、ゲームのものをCGで、3Dでやったら10億かかるというような話が出た時に、すごくやはりリスクは高いと思います。それを、民でいいのかもしれないし、少しでも国が支援をするんだということであるならば支援をしてもらいたいような局面もあると思うんですけれども、とにかくコンテンツというのは、当たるも八卦、当たらぬも八卦なんで、むしろ国がそれぐらいのものに張る勇気があって本気でやる気があるのか、映画のテロップの最後に何々省とかというふうに出てくるぐらいの気があるならば、それはそれですごいおもしろいことがまた起きるんじゃないかなという気はしております。 すみません、ちょっと乱暴な話を。 ○中村会長 制作、つくることに対する政策といいますか、支援措置、それから流通やプロデュースに対する支援措置、いろいろな局面のことをこれから整理しなきゃいけないと思います。 それから、ファンドの話が結構出てきておりますけれども、ファンドというアプローチにしても、国がお金を出すファンドというのも設計できるでしょうし、ただそれは、大きな金額を国にお願いした場合には、かなり仕分けにあいそうな気もするので、その工夫は必要だと思いますし、あるいは一方で、アメリカのコンテンツ政策というのは余りお金を使っていなくて、ほとんど民間のお金をうまく回させるような減税措置のアプローチなんですけれども、日本の場合、フランスや韓国がやっているような国家予算を使って、文化予算を使ってやるやり方もあれば、産業政策としての税制で民間を支援するやり方もあれば、いろいろあると思うんですね。その辺も皆さんの知恵をいただいてまとめていく必要があろうかと思います。 どうぞ。 ○吉羽委員 ちょっとファンドの話に偏っているので、私専門家じゃないのでご意見いただきたいんですけれども、もう一つの視点として、先ほど来、川上さんもそうですし、杉山さんも前回おっしゃっていた設備産業化しているという話の中で、3DCG、先ほど韓国だとつくれるけれども、日本じゃつくれない、ましてやハリウッドじゃ日本の一企業の出資じゃなかなか難しいというところがあるわけなんですよ。 やはりかなり設備産業化しているというところの中で、日本国内における設備投資の助成であるとか、さらに言うと、韓国でもインドでもベトナムでも、どこでもいいんですけれども、日本のプロダクションがそういったとこの労働集約部分では人件費を使いながら日本のコンテンツをつくっていくというようなことが当然あってしかるべきだろうと思うんですね。 その際に、やはり設備投資がかかる部分をどうサポートしていくのかというのを考えていただくというのが一つの政策の問題になるのかなというふうな気がします。 それともう一つ、前回の資料にありましたけれども、セルシスというその当時はすごく小さい、売上数億円の私企業であるところがつくった「レタス」というアニメーション製作ソフトが日本でのシェアは95%で、アジアの国々にもどんどん出ていって、ある種2Dのアニメーションの制作ツールの標準みたいなことになってしまっているわけなんですけれども、これも本当にちっちゃいベンチャーが自力でそこまで持っていって、それはそれで、その努力というのはむしろ小さいベンチャーだったから頑張ったのかもしれないんですけれども、やはり今後3DCGみたいなところが日本の戦略商品になるのであれば、何らか政策ツールも含めて、設備も含めて後押ししていくということがもう一つ視点として必要なのかなというふうなことを思っています。 ○中村会長 どうもありがとうございました。 どうぞ。 ○角川委員 「HEROES」というアメリカ映画、ドラマをご覧になった方はいらっしゃいますよね。ほとんど皆さん見ているんじゃないかと思いますけれども、あの原作は平井和正さんですよね。平井和正さんの原作のそのほとんどをパクっている、ほとんど海賊版に近い形でパクっているのが「HEROES」だと思うんですね。現に今、そういうこともあるからこそ、主人公は二世の日本人ということなんですね。 ですから、あれを見ていて、僕も本当に「トランスフォーマー」と「HEROES」は、それからあえて言えば「アトム」もそうですけれども、悔しい思いをしました。 そういうことが、何か僕たち本当に、もちろん隙間産業でヒットを飛ばすということも大事ですし、それから王道で、大きなところでヒットさせるということも、何かすぐそばにいるんですけれども、そのすぐそばの壁が破れないんですね。そのすぐそばの壁が破れないのが僕も非常に焦燥感があるんですね。 それで、「HEROES」、あるいは「トランスフォーマー」が一つ事例研究で何かされてもいいんじゃないかなと。「トランスフォーマー」については、先ほどちょっと佐藤委員からは成功例というふうにありましたけれども、実はこれも日本のメーカーとしては大失敗例でして、all right reserved、みんな向こうに取られていってしまっているんです。これはハリウッドにとられる前におもちゃメーカーが全部権利をとってしまって、アメリカのおもちゃメーカーとハリウッドの契約になっていて、タカラトミーは99.9%介在できないで、おもちゃの実質的な販売だけでメリットを得ているというのが現実ですね。 そのall right reservedという壁を。これはすごい厚い壁なんです。破りたいと思っているんですけれども、例えば「リング」というのが「THE Ring」という形でアメリカで映画化されたんですけれども、これもall right reservedでした。よく言われていることですけれども、1億円という権利をとることで終わってしまったということなんですけれども、その壁が破れなかったんです。 ですから、ハリウッドの大きな壁を破るためには、先ほど申し上げた出資という形であれば、その著作権の大きな壁にかかわりなく介入、参加できるということだと思うんです。 これも、もし政府として検討ができるのであれば、ヨーロッパなどもそういう動きが既に出ているそうですけれども、例えば国のほうから、国が合作映画をする場合には向こうにall right reservedという形は許さないとか、何か法制度をつくっていくような、国と国との話し合いをしていくことの中で壁を破っていくということも一つの可能性としてないとは言い切れないと思います。 それから、これは3のところで申し上げようと思ったんですけれども、ネットの話がどうしても出てくるので申し上げたいと思うんですけれども、YouTubeと話をした時も、アップルと話をした時も、日本のコンテンツの存在感は相当あるねという話なんですね。 具体的にYouTubeの現場やアップルの現場で聞いてみると、日本のコンテンツで、あるいはどこかのコンテンツでどんなものがあったらあなた方はiPodに入れるというふうな話をした時に、黒澤明の「羅生門」が欲しいねとか、それから細田守監督のアニメの「時をかける少女」が欲しいねというような形で、黒澤明監督の本当に骨太の作品からアニメ作品まで、彼らはよく見ているなと。本当につくづく、アメリカは僕たちが思っている以上に日本のコンテンツ一体を熟知していて、そこでは、表現が適切かどうかわかりませんけれども、いわゆる地球はフラット化しているなというふうに思っています。 その連中が、日本のコンテンツのシェアは10%あると言ってくれているんですね。この彼らの経験値の10%というのは、どこかの機関で調査したのも大体十二、三%ありましたので、もし必要であれば資料を出しますけれども、その十二、三%あるコンテンツのマーケットをどうやってメイクマネーするかということにもう一つの視点があるんじゃないかなと思うんですね。 ですから、それが3番目のところで、ネットに流れている日本コンテンツのメイクマネーをどうするべきかという方法論で一回また討論させてもらったらいいんじゃないかなと思っております。 ○中村会長 ありがとうございました。 前半の議論、かなり時間を費やしましたので、そろそろ後半、クリエイター大国の実現という論点について話を移しまして、皆さんの意見を伺ってまいりたいと思います。 ですから、資料でいいますと5ページと6ページの部分になりますが、ここもまず最初に各種目標でありますとか、それから枠組み、この2.クリエイター大国の枠組みとしては、(1)でクリエイター力の向上、(2)で世界のクリエイターを日本に呼び込む、それから(3)が国民皆クリエイターの1億総クリエイター化という、産業の人材を育てることと海外から呼んでくることと、底上げをするという、この3つの枠組みになっております。 その上で、一番最初のところをご覧いただきますと、枠の中には世界的には賞の受賞が何件、あるいは海外からのクリエイター在留数何万人と。今度は、売上目標というよりも人の数などで立てつけになっておりますので、そのあたりのご意見を伺ってまいりたいと思いますが。 (津村政務官 着席) ○中村会長 政務官、今日は海外展開と人材育成というところに絞って議論をしておりまして、まず前半戦の海外展開のところ、かなりいろいろな意見が出たところでありまして、これから後半の人材育成のところに移ろうとしております。何かご発言、よろしゅうございますか。 ○津村政務官 はい。 ○中村会長 では、そのあたりのご意見ある方、お願いをいたします。 ○中山本部員 一番最後の国民皆総クリエイターの件ですけれども、初等中等教育は、これは戦略本部が始まった時からずっと言われていることです。その次のクリエイティブコモンズ、これも極めて重要だと思うんですけれども、これは意味がよくわからないのは、クリエイティブコモンズ等のコンテンツのアーカイブ化というのは、これはどういうことなんでしょうか。 ○奈良参事官 クリエイティブコモンズは著作権を持った上で、その一定の自由利用を事前に認めるということで、そのレベルもいろいろあるんですけれども、ある人が何か使いたいという時に、これは自由に使っていいよとか、これはここまでだよというところが、あらゆるいろいろな素材についてもすぐわかるようになっていて、それがデータベース化していてわかるようになれば、二次創作の時にいろいろな形で使いやすいんじゃないかと、そういう視点でございます。 ○中山本部員 かなりデータベース化していると思うのですけれども、問題はお金でして、これは個人の篤志家等の10万とか100万ぐらいの献金で成り立っている団体 で、お金がない。お金さえあればこんなものすぐできると思います。 現在、弁護士を初め、ボランティアが手弁当でやっているという段階で、もしこれ本格的なデータベースをつくるとすれば、やはりお金の問題だろうと思います。 それから、次の法的位置づけを検討するという、これはクリエイティブコモンズで今法的に一番問題なのは、他人の著作物を自分の権利だと称してクリエイティブコモンズに投げ込んでしまう。そうすると、それを知らない人が使ってしまうと、それは侵害になってしまう。そこで何かそれを侵害にならないようにしてほしいという、これが法的な最大の問題ですけれども、それをお考えなんでしょうか。 ○奈良参事官 例えばクリエイティブコモンズについて言いますと、ある意味一方的な意思表示みたいなところがありますので、その後急にやめたりした場合に、取り引きの安定化の問題があるんじゃないかというところが一つございます。 また、ネット上の共同創作なんか、多くの方が創作にかかわるということで、その後、誰が権利を持っているのかということで、誰に許諾をとったらいいのかわからないというようなことがあって、二次創作をする場合に非常に難しい問題が出てくるんじゃないかというような立場でございます。 ○中山本部員 それだけでしたら、恐らく契約とか取り決めで何とかなると思うのですけれども、先ほど私が申し上げた問題については検討はしないんでしょうか。 ○奈良参事官 必要があれば検討したいと思いますけれども、ちょっとそこまで具体的に何を検討するかというところまではまだ十分掘り下げているわけではございません。 ○中村会長 さて、この人材のところも先ほどの議論のアプローチと同じなんですけれども、追加イメージのところに、世界的な賞を受賞するのが何件であるとか、海外からのクリエイターの在留数何万人という、そういう目標の立て方、イメージなんですけれども、これは皆さんのイメージに合っているんでしょうか。日本のコンテンツ人材を世界最高レベルとする、このあたりは大体コンセンサスかと思いますけれども、そこで我々は何を目指すべきかというのを少しコメントいただければと思いますが、いかがでしょうか。あるいはこの3つの柱の立て方ですね。プロフェッショナルを育てる、呼んでくる、底上げをする。 どうぞ。 ○角川委員 先ほどちょっと大多さんがおっしゃっていましたけれども、賞をもらうかどうかということが今回の知財本部の目的にかなっているかどうかですね。つまり、今度の寺島しのぶさんの作品についても、日本で興行的にではどれだけのものが期待できるのかとか、そういうふうなことを考えると、賞をもらったから興行がよくなるとか、なかなか結びつかないんですね。結びついた例もありますけれども、きっとそこの、いわゆるアーティスティックな作品、芸術的な映画と、それから大作というふうに考えますと、アーティスティックな作品における人材育成というのは、僕はやはり文部科学省、あるいは文化庁の映画資金というものが非常に相性がいいなと思うんです。 今回、皆さんと話しているハリウッドの作品をどうしようかというふうなことで言うと、これは非常に産業政策的なことだと思うんです。ここら辺の表現が、産業政策での話なのか、それから文化の話なのか、そこら辺は非常に冷静に考えないと、ここのテーマが非常にプアな結果になってしまうんじゃないかというような感じがします。 僕はどうしてもこの知財本部では、アーティスティックな芸術映画を対象にしたものではなくて、エンタテインメントというもので日本の文化を振興していくというふうな話にすることが意義があるんではないかと思っているんですけれども、いかがでしょうか。 ○中村会長 だとすると、例えば(1)のところは産業政策的な人材をどういうふうにしていくかということになってくるので、トップの賞を受賞するのが何本とかということよりも、例えば人で言うと、コンテンツ産業の従事者数であるとか、杉山さんのような大学を出た人が何人ぐらいいるとか、そんなもののほうがイメージは近いのかもしれないですね。 どうですか。 ○杉山委員 今のご指摘はすごく重要で、本当にアートであれば、既に日本にたくさんの美術学校があって、教授たちが全然デジタルを知らなくても、院生ぐらいになると物すごいレベルでつくって、勝手に海外のいろいろな賞にトライしてとってくるというのがあるので、そこはもしやるなら本当にここの議論にはなくてもいい話なのかなと。みんなアーティストを目指す人は、それなりに時代を感じながら新しい表現をトライしていますので。 ここで言うのはもっと産業的なことだと思うんですね。それで、人材育成をやってきた立場で言うと、我々は本当にずっとエンタテインメントということで産業に役立つ人を育ててきたんですけれども、そういうことをやること自体に教育界の理解はないというのはあります。 それからもう一つ、アジアとかから確かに我々のところに学生がやってくるんですが、研修とか訓練していく時の一番のハードルというのは実は日本語ですね。ですから、彼らに徹底的に日本語教育をしてあげて、その日本語を身につけるだけで物すごくお金がかかっちゃって、滞在年数が2年3年と、あるレベルにいくまでかかっているわけですね。この辺だけで彼らもお金を費やしてしまうし、その間に不法滞在等になりやすいですし、なおかつ、彼らは我々の大学みたいのに入って、その後にどうしたいかと聞くと、十中八九日本の制作会社で働きたいということです。では日本の制作会社で働けるだけの日本語で意思疎通ができるレベルで大学までいくかというとぎりぎりぐらいなんですね。だから、結構そこのほうが、技術は教えてあげられるんだけれども、まず日本語を訓練してあげたいみたいな感じがあるんですね、受け入れるなら。 一つ皆さんに聞きたいことは、そういう人をどんどん受け入れて育てることが日本のためになるのかなというところはもう一回ちょっと教えていただきたいと。我々はもちろんやっていますけれども。 ○中村会長 では、個別に入ってきていますので、(1)、(2)、(3)となめていきましょうか。 (1)の日本のクリエイター力を向上させるために国は何をすべきか、政策として何がいいのか。ここには施策例が並んでいますけれども、それについてのコメントでも結構ですし、他にアイデアがあればお出しください。 ○大多委員 これは私、また勉強不足で逆に教えてほしいぐらいなんですけれども、ちょっとここの5ページの上のほうの丸が3つ並んでいますが、その真ん中に放送局の広告料収入が減って、制作費が減っているから構造変化が起きて、我が国のコンテンツ人材の基盤が弱体化すると、そんな放送局だけでみんな何か物をつくりたいと思っているわけではないですから、ちょっとこれは言い過ぎかなというふうに思いますけれども、この間、いろいろ呼ばれて、大学とかで話をすることが僕はあるんですけれども、中村先生の某大学でありましたけれども、200人ぐらいの学生が集まって、いろいろなテレビの話をしまして、最後に終わったらアンケートをとって、みんな一生懸命書いてくれました。 その中に非常に多かったのが、やはりもうテレビとか映画は余り先がないんじゃないかというふうに思っていましたけれども、一生懸命テレビをつくっている人の話を聞いて少しやる気が出ましたと、別に自分の自慢をしたいわけでも何でもないんですよ。 何が言いたいかというと、それぐらい学生たちは、かなりそういう意味では、今テレビ局だとか、制作会社だとか、映画をつくりたいといっても余り儲からないなとか、世界的といっても、日本は世界的に余り出ていかないしというようなことで、やはりここに希望や夢を持っていないという感じは、これは中村先生なんかどう思っているのか逆に聞きたいんですけれども、本当に。 そういう人が多くなっているなというのは何となく肌感覚でわかっているんですが、一方で、大学が、これはビジネスのためなのか、すごくそういう映像学科みたいなものとかやるじゃないですか。それは、学生は映画やテレビはみんな好きな人も多いですから、ネットについてもそうですけれども、そこには人気講座として人が集まっていることは集まっているようなんですね。 やはりそういう、興味はあるけれども、将来余りなりたいと思わないみたいな、微妙なところに今いるところを、どうしたらもっと彼らは─、結局は、才能というのは夢がある、そしてもちろんお金があるところなんですけれども、ただ、そういう夢があるところにしか、人、才能は集まらないので、そういったいわゆる大学でも何でもそうなんでしょうけれども、もっとその辺の充実、どうやったらいいのかということをよく考えてやると、まだまだ人は育つというふうに、ちょっと非常にベタなあれで申しわけないんですけれども、どうなのかなと。中村先生なんかいつも教壇に立たれていると思うんで、どう思われているのかなというのはずっと興味があったんですけれども。 ○中村会長 非常に我々も悩ましいところでございまして、メディア系の、私のところは2年前にメディア系の大学院を立ち上げたわけですけれども、学生の志望者は非常に多いですね。やはり夢も持っているし、いろいろ業界がどうあれ、テレビなり、ネットなりというエキサイティングな仕事につけるであろうという期待もみんな持っています。 と同時に、例えばこの間、東洋経済が、新聞、テレビの断末魔みたいなタイトルで出されると不安も広がっている、今そういう状況だろうと思います。 この人材の話も、先ほどの(1)の海外展開の話も、次の会議で扱う3.の話も全部恐らく一体で、産業があり、人の受け皿があって、そこにどうやって人を育てて流し込んで、また管理をするかという、そういう生態系をつくらなければいけないと思うんですけれども、それは答えはないですけれども、今非常に激動していて産業構造が大きく変化している中でどうとらえるのかということだろうと思います。 そのあたり、皆さんいかがでしょうか。人を育てる、特にプロフェッショナルを育てる。これはたくさんの数を育てるということもあれば、ここの目標がねらっているような世界の中のトップクリエイターを育てていくという手法もあれば、ねらいもパスも違うと思うんですが、いかがでしょうか。 ○久夛良木委員 たまたま十数年前に「PlayStation」を始めたんですが、その時驚いたことの一つに、ゲームをおつくりになっているクリエーターの方々の名前が出てこない。映画ですと、最後にずらっとスタッフロールが出てきて、監督が誰で、脚本が誰で、出演者が誰で、誰が何をやったかがわかる。もちろんユニオンがあるので名前を出すこと自体が義務かもしれませんが、それに出てくるというのは、ある意味で相当みんなうれしいことでもあるし、この人がこんなことやっているんだという、ある意味で人材の流動性を促進することにもなると思うんですが、それがなかったんで、我々としては、是非ともそういったカルチャーをこのゲーム業界の方もシェアしてほしいなという思いで、そうなるように働きかけました。たまたま音楽業界にいた方もいらっしゃったんで。 今、その結果、本当にクリエーターの名前が表に出てきたんですね。この人が何をつくったということで、海外の賞でもちゃんと名前で、バイネームでとっておられますし、ある意味で活性化したなと思うんですが、残念ながら、最近の傾向を見てみると、制作体制が大きくなり過ぎたのか、そういった大作ソフトでは、だんだんクリエーターの名前が沈没していって、何か工業的につくっているような。 私ぱらぱら本日の資料を見ていてすごい心配になったのは、未定稿と書いてある11ページの一番下「ゲームソフトは工業製品だから、コンテンツ産業からゲームを外すべきだ」と。これはある個人の方のご意見でしょうけれども、そんなご意見も出てくるような、ちょっとなかなか納得いかないような状況もある。 一方で、普及が進む携帯端末に対応したブラウザゲームが増えてくると、本当にオフショアで簡単につくれるということで、ゲーム制作そのものが二極分化しているんですよね、今。真ん中のところは名前も出てこなければ、お金にもならないということで、ここら辺を何とか考えて今からてこ入れをしないと空洞化するなと。つまり、片方は完全にオフショアで簡単なところにいってしまう。例えばいろいろな家電製品も含めて、どんどん安いところにいく。 片方は、ある意味では工業的につくられる。もしくは資本を誰が出しているかということなんですけれども、つくっている人のモチベーションのあり方というのが非常に今希薄化しようとしている。これを何とか我々がその問題点を把握して、サポート、心の面とかいろいろな意味で支援ができるのではないかと思う。ある意味でプロデュースするということですよね。プロデュースをするというのはコンテンツにとって非常に重要で、つくっている人からすれば、大プロデューサーの存在だとか頼りになる人の存在はお金よりも本当は重要なので、そういった意味でも、国がプロデュースをする、我々がプロデュースをする、何かの形でプロデュースが得意な人をみんなにマッチングさせるとか、そういった流動性も非常にいいかなと思うんですね。 例えばテレビ局にいらっしゃる方というのは、大プロデューサーがたくさんいらっしゃると思うんですよ。それが例えば、他の産業のところにちょっとぐらい手足を伸ばしてくれるだけでうれしい方がたくさんいらっしゃるかもしれないというふうに思います。 ○中村会長 今の久夛良木委員のご発言ですと、2つ皆さんにお聞きしたいことがあるんですが、結局これ、誰が育てるのかといった場合に、大学という話が先ほど出ましたが、同時に企業の中で人を育てるというのもありますね。だとすると、それを、そういった場を支援して人を育てる力をつけようとすると、大学に対する支援もあれば、つまり教育に対する支援もあれば、企業に対する支援というのも両方あり得るだろうなと。どういったものが効果的であろうかというのが一つ。 もう一つは、今プロデュースという話がありました。ここには、クリエイター力を向上させようとありますが、先ほど来の海外展開の話なども聞いていますと、プロデューサーはどうするんだというのがよく出てきていまして、プロデューサーという視点がここにはないんですけれども、そのあたりいかがでしょうかという、もしコメントがあればお願いいたします。 ○川上委員 今の久夛良木さんの話、非常に僕も同感するところが多いんですけれども、何か一つ、特にゲーム業界とかというのは、何かコンテンツの垂直統合みたいな感じで物をつくっているというところがすごく大きな欠点じゃないかと思うんですけれども、人材の流動性も少ないし、先ほどおっしゃった日本語のストーリーの壁ということもありましたけれども、あれはもう一つ理由としては、多分今、日本のストーリー性のあるゲームのシナリオはプロデューサーが決めていて、多分ライターが決めていない。要するに権力のある人がストーリーをつくっているので、その人がいいストーリーをつくる確率が低いという単純な問題もあると思うんですよ。 そのプロデューサーの育成というのは、ゲーム産業の例で考えてみると、今、タイトル自体が大型化していて、続編タイトルが多いですから、要するにチャンスが与えられないわけですよ。だから、分有されているのは実際の経験ですから、教える云々とかというよりも、その単体のコンテンツをつくる機会がたくさんあることが望ましいというふうに思います。 手前味噌になりますけれども、その当たりというのが、今インターネット上でニコニコ動画なんかを通じて、みんなとコラボしてつくることをやっている人たちというのは、これはプロデューサー能力がついているはずなんですよ。そういうのがどうやったら発展するのかというと、僕はやはり制作コストを下げるというのがすごく重要な点だと思うんですよね。 今、コンテンツが大型化していって、個人ではできないものというのはどんどん増えていますから、それがコストが下がった形でみんながいろいろ試せる。そうすると、若いクリエイターが育っていくという流れがつくれると思うんですよね。そこが教育というのと少し違う思うんですよ。 どっちかというと、コンテンツというのは見てもらう人がいて何ぼですから、見てもらう人がいる環境でコンテンツをつくることを許されている人の数がどれだけいるかというところが一番重要だと思います。つくりたい人はたくさんいるんで。僕は本当は1億総クリエイターなんか目指すあれは全然ないと思うんですよ。やはりこういう、人間はどちらかというと自己主張したい人が多いですから、人の話を聞かない人のほうが絶対多いですから、みんなクリエイターになりたいんですよ、本質的には。 なので、そこのハードルというよりは、聞いてくれる人を集めたほうが絶対よくて、そのためには、やはりコンテンツそのものをつくることのハードルを下げていったほうがプロデューサーの育成にはなるんじゃないかというふうに思います。 ○中村会長 そういう意味で言いますと、この5ページの下のほうのぽつ2つ目、3つ目ぐらいのデジタル化への転換を進めるですとか、それから制作機会を拡充する、このあたりに考え方のヒントがあるのかもしれないですね。 どうぞ。 ○吉羽委員 中村先生のところは違うのかなと思うんですけれども、最近、出版社に入ってくる人間の面接をしていて、どんどん保守化している印象があるんですね。これはひょっとすると、大学の中でのマスコミ学科とか新聞学科とかの教え方みたいなところが余り変わっていないのも影響しているんじゃないかという気がするんですね。 つまり、今や編集者というのは、文芸の作品にしろ、漫画の作品にしろ、ある種映像化も考えた上での総合プロデュースみたいなことができたほうがいいんですけれども、相変わらずやはりそういうところに関して言うと、それは自分たちの仕事じゃないという意識がすごく強いし、逆に、面接していて聞くと、デジタルのことを僕なんかが面接の中であったりとか、新入社員の講義とかすると、紙は大丈夫なんですねという反応を結構返してくる人たちが多いんですね。 これは他社さんからも同じような話を聞いていて、やはり相当学校の教え方もそういう総合的なプロデュース力というよりは、文芸作品をすてきにつくりますというところから余り変わっていないところのほうが多いような印象があるので、これは企業の中でだけではなくて、やはりその手前のところでの学校の中での対応みたいなところというのも重要になってくるんじゃないかなという気がするんですね。 ○中山本部員 おっしゃるとおりだと思うのですけれども、保守的だというのは別にコンテンツ分野だけではなくて、私は法学部ですけれども、やはり同じで、大学全体というか国全体が、保守化、安定志向化している、あるいは全体が縮み志向になっているという、そこら辺が問題だろうと思います。 ○佐藤委員 先ほど産業政策としてというお話がありました。その中で中村先生の論議だったりとかもありました。どうもご質問の中でも、プロデューサーということであるとか、監督、脚本家、基幹、真ん中に座るクリエイターのお話は出ておりますが、技術者、例えば仕上げの録音部だったり、ダビングをするスタッフだったりは、実は、日本の映画においてですが、高い評価を受けています。 ちょっとデータを調べてみたんですが、1982年から、直近がちょっと抜けてごめんなさい、2003年までだけで既に三十数本、中国映画のスタッフが私たちの撮影所にも来ています。それは決してプロデューサーが営業にいったとかというレベルではなく、合作というフィールドの中で技師が中国の技術者を育成し、育成した中国の技術者が師匠のいる撮影所に仕事を出してくるであったりだとか、本当に末端の部分のスタッフですね、原作をとっている人ではなくて。という交流がありました。今もささやかですがあります。これが幾ら外貨を獲得しているのかは計算はしていませんが。私前回、現場が劣化しているという話をしました。 実は私たちは、日活芸術学院という美術や現場のスタッフを育成するという事業を一民間企業としてやってきましたが、なかなか厳しいのですが、このパートの、いわゆる集団労働に従事するような、3K職場のほぼ肉体労働ですね。工場労働者です、というところがとても劣化していると思います。こういったところを強化していかないと、国際交流であったりとか、例えば合作であったりとか、一つはライツを目的に来るケースもあります。 ただし、かつてはと言いたくないのですが、今でもささやかにはあるのですが、日本の技術力を背景にした形で中国の、例えばチャン・イーモウとか、チェン・カイコウとか、デン・ソウソウとか、世界に通用するような監督たちが指名で仕事を出してくるというケースもあります。 申し上げたかったのは、制作例でクリエイター力を向上させるという中で、そういった現場の人間たちの力ということに関しては、何かお考えはあるのでしょうかと。今回の論議の中にはそういう人間たちも入ってくるという形での論議を進めたほうがいいのでしょうかということをちょっとお尋ねしたいと思いました。 あとは、大学というところで、産学協同の試みであったりとか、いろいろ、松竹さんの京都の撮影所から出てきているとは思います。私が思うのは、現場に対しての支援、それは現場の制作への支援ではなくて、冒頭申し上げたような技術者であったりとか、そういう部分に直接何らかの形のペイをするようなシステムを考えないと、アニメーター残酷物語とかというのはよく語られますが、実は映画の現場の労働者というのはフリーです。ほとんど保険も入っていません。 先ほど、国際競争力があると僕は言いました。そのベースにあるのは、単価が安いからです。向こうはユニオンで全部保護されています。8時間オーバーすると、オーバーレッジでギャランティとれます。日本人のスタッフは、16時間、下手すれば昨日からずっとつながって24時間。まさしく劣悪な労働環境の中で働き、それによって基本的にバジェットというのは、日数掛ける人員です。それはCGにおいてもそうです、デジタルだろうがそうです、労働集約型の産業においては。というところでは、こういった部分に関しての助成等というのも私は視点としては欠かせないのではないかと思います。それは国際競争力という意味でもです。 ○中村会長 どうぞ。 ○大多委員 先ほど川上さんがおっしゃいましたけれども、プロデューサーやディレクターは、私が見ていて、もしくはみずからの経験もそうでしたけれども、本当に数をつくらないと、なかなかコツがつかめないんですね。これをエンタテインメント、そして当たるものをつくるんだという視点から見ると、一作だけ、もうこれに命を懸けろというふうに言われるとゴルフじゃないですけれども、ダフってしまうんですね。だけれども、何本も何本もつくっているうちに、それはもちろん失敗もあるんですけれども、自分の中でコツが見えてきたり、若いプロデューサーやディレクターを見ていても、やはりある程度数をつくらなきゃいけない。そして、それを見てもらえる人がいないとやはりだめなんですよね。 大学の映画研究会とかもあるでしょうけれども、そういうところで何人の人が見たんだというところでは、数はある程度こなせるかもしれないけれども、やはり見てくれる、反応がある、そういったようなものも体験しないと、プロデューサーやディレクターというのは僕は育たないんじゃないかと思っています。 ですから、そういう数というか、機会を多く若い人に与えてあげたい。だけれども、お金もない。ではどんなメディアでそれを多くの人に見せるんだというところがあるんですけれども、今日、別所さんがいらっしゃらないんですけれども、そういう意味では、ショートショートフィルムフェスティバルですか、もう10年近くやっていらっしゃいますけれども、あれぐらいであれば、─失礼だな、別所さんがいない。ああいう尺であれば、そしてあれだけの人が集まるようなフェスティバルみたいなああいうものが幾つもあって、そこで見てもらえる、そしてほめてもらえる、もしくはお前だめじゃないかと言われるということも含めてあると、数もこなせる、そして評価も得られるという意味では、あの手のものというのはちょっとあるんじゃないかなと。もっともっとああいうことが起きてもいいんじゃないかな、多くてもいいんじゃないかなという気がいたします。 ○中村会長 今日は吉本興業の大崎さんもご欠席なんですが、大崎さんのところで沖縄国際映画祭でそのような取組をされようとしておられますので、今度ご出席の時にそのあたりのお話も聞ければと思います。 (2)、(3)も含めて、他にコメントあれば、どうぞよろしくお願いします。 ○杉山委員 それでは、(3)のところなんですけれども、初中等教育段階の音楽・美術教育においてデジタルコンテンツ制作教育を推進するというところなんですが、これ、本当にどういう中身をやるのかなということで、反対するものではないんですけれども、まず現場の先生方がそういうものを、実際に子供たちが楽しいなという形で受け入れられるほどツールが揃っていない状態ですよね、今いろいろな意味で。 それから、多分大学の先生方みんな全国で感じていると思うんですけれども、今、本当に子供たちの基礎的な教育がなされていないで大学に上がってきてしまって、日本語力がないとか、算数ができないとかいうところが一つにはありつつ、これをどうやってやっていくのかな、本当にどういうカリキュラムにして入れていくのか。 僕はこのカリキュラムをただつくるのではなくて、ここでこそ、これをつくりながら知財の大切さだとか、いろいろなものを写真を撮ったり何なりするんだけれども、その時に著作権という概念を学べるようにこのデジタルコンテンツ制作教育をするんであればよいと思います。 それを入れた形で本当に文部科学省がきちんとこういうカリキュラムを組めるならやったらいいと思うんですけれども、いたずらにただデジタルだといって、変わらないことをやるわけですよね。ペンタブを持ってきて丸を書いた。それは紙に鉛筆で書いたほうがいいですよ、そういう教え方だったら。単にそこにパソコンが介在するだけだったら。そういう筆がパソコンに置きかわりましたみたいな、そういう教育であれば意味がないと思うし、ということです。 ○中村会長 司会の座をちょっとおりて、一つ宣伝といいますか、意見を申し上げたいんですけれども、今日、事務局にお願いしてこういったビラを配らせていただきました。 これは、今度の週末、土曜、日曜日に慶應大学で子供たちのイベントをやります。これは、子供たちがデジタル技術、パソコンとか携帯などを使ってアニメをつくる、音楽をつくる、ロボットをつくる、その他何でもいいんですけれども、つくれと。とにかくコンテンツをつくって発信をするという取組を日本国中、イタリアからも来るのですが、80件集めるというものでありまして、こういった取組はまだ学校のカリキュラムではなくて、課外授業といいますか、それぞれみんなボランティアでやっているというものであります。 これが学校のカリキュラムに入っていくのはまだ随分先のことだろうと思います、まだプログラムとしても組めていませんので。ただ、こういったことでコンテンツ制作力を高めいくというアプローチはあるかなと。 これは、こんなに数が多くて、2日で1万人以上集まると思うんですけれども、そんなに集まっちゃうというのは日本の特徴でありまして、海外ではこんなイベントありません。それをNPOなどがやっているものですから、今年でひょっとしたら最後かな、お金が続かないなという状況なんですけれども。 ただ、海外などに行くと、アメリカにしろ、ヨーロッパにしろ、メキシコにしろ、これを常設でこういったことをやっていくというセンターのようなものがあるんですね。そのあたりは日本もちょっと学ぶべきところがあるかもしれません。 ありがとうございました。 いかがでしょうか。 ○津村政務官 今の話に触発されてなんですけれども、ちょっとだけ余談といいますか、前置きで言いますと、私、科学技術の担当も実はしていまして、科学技術予算自体は自民党政権期から少しずつ増えて、科学技術立国頑張ろう、それこそこの賞じゃないですけれども、ノーベル賞を50年で30人とか、似たようなことをちょっと違う角度でやっているわけで、ただ一方で、事業仕分けでスパコンは世界で2番じゃだめなのかという議論も含めて、非常に今科学技術コミュニティの、要するに科学者と科学者の卵たちが非常にがっかりしていて、この国は科学技術はもう見捨てるのかみたいなそういう反発もあって、いやいやそうじゃないんだといろいろで、どういうメッセージを発せられるのか、この国で科学技術にこれからも光を当てるよ、お金のことはちょっと置いておいてという話をどういうふうにやろうかということを今いろいろ工夫していまして、科学技術リテラシーを上げるとか、科学技術コミュニケーション、コミュニケーターを育てるとか、そんなキーワードで議論をしている話といろいろ重なっているなと思いながら聞いていました。 例えば科学技術のやつで、今度、今までは産学官連携推進会議という、産業界と独立行政法人の関係者だけが5,000人も集まってパネルディスカッションをするための重厚長大な会議が京都で6月にあったんですけれども、それを科学技術祭というかフェスティバルにして、一般参加も募って、子供たちのロボットコンテストとか作文コンクールでもいいんですけれども、まだ練っている最中なんですけれども、ちょっとこのワークショップコレクションに似たような感じで、そうやって1万人集めるようなものがまた日本独特のやり方なのかもしれませんが、いずれにしても、そういう工夫をやっていこうというようなことを例えば考えているのと非常に似ているなと思いました。 ちょっと伺ってみたかったのは、そういう大きなイベントを単発でどこかでやるのも一つではあるんですが、幾つか最近おもしろいなと思って見ていたのは、朝日新聞さんがオーサービジットというのをやっていまして、それは何かというと、月に1回紙面に出るんですけれども、オーサーというのは、つまり小説家とか物書きの方が全国のいろいろな小学校に1日だけ教えにいくんですね。小説の書き方だとか、お芝居の書き方だとか、それは翌日すごくその反響がブログとかでわーっと出て、子供たちは物すごく刺激を受けるわけです。 多分科学者でもそうだと思いますし、ましてその映像関係の方とかであれば、子供たちも興味を物すごく持つと思うんですね。多分それは毎年やらなくても、自分の小学校6年の間に一回ちょっとそういう、多少有名な方かわかりませんけれども、あるいは有名なドラマにかかわった方とか、そういう方が来るだけでも、物すごくその子の小さい時の世界観が変わる、身近に感じるとか、そんなにお金がかかることじゃないような気がするんですね。 あと、スポーツで言えば甲子園というのが昔からあるわけで、文芸部とか演劇部には最近、文化部の甲子園みたいなものがあるやに聞いていますけれども、そういう中学生、高校生、今どれだけ映画部が高校や中学にあるのか。演劇部は多少あるんでしょうし、文芸部もあるんでしょうけれども、書道部はほとんど全部の高校に多分あって、でも映画部とか演劇部というのは多分余りなかったり。それは子供たちが勝手につくるものなのかもしれないけれども、何かちょっと、特に公立高校とかインセンティブをつけてそういう部活動が始まれば、勝手に子供たちは大会を開くでしょうし、何かそれもそんなにお金がかかることじゃないような気がしてみたり。 あと、公の立場で励ますというのでは、私は物を知らないんですけれども、芸術選奨とか、そういうのはわかるんですけれども、それは本当にえらい人の世界ですから、もうちょっと子供たち、小学校、中学校、高校ぐらいの人で、賞をあげればいいのかどうかわかりませんけれども、身近に目指せる何か目標みたいなものを文部科学省さんとか、もしかしたら場合によったら、またいつか教えていただければいいんですが、何かそういう、そんなにお金はかからないけれども、子供たちが夢を持てる仕掛けというのは政府の仕事としてできるのかなと今お話を聞いていて思いました。 ○中村会長 いかがでしょうか。どなたかコメントありますでしょうか。 どうぞ。 ○川上委員 コンテンツのクリエイターをつくるほうは勝手にできるので、見るほうが重要という話の続きなんですけれども、初等中等教育課程で僕はやるべきだなと思うのは、そこで教えるということよりは、そこで見せる場所をつくる。例えば、今おっしゃったようなつくったものの博覧会とかを全国の学校をネットでつないで、ネット上で強制的なに例えば授業で見せるとかやればいいと思うんですよね。 そうすると、当然そこに対抗意識というのが生まれますし、自分のところの学校の中だけで見られるだけでもそれなりに競争意識が働くわけなんですけれども、それが全国でということになると、それは相当な感情移入が起こりますし、自分の学校でなくても、自分の市からいいものが出ただけでも何となく応援したい気持ちになるという。 やはりそういう、見てもらって、それでほめられるというところがコンテンツをつくる一番の原動力ですので、そういった場を学校ではつくればいいんじゃないかなと思うんですよね。つくるのは教える必要はないと思います。まずは今、デジタル化の時代において、つくる技術というのは進歩の速度が早いですから、多分教育が追いつかないです。それよりは、見せる場をつくってあげて、それでそこで賞賛されるということが重要で、あとはやる気のあるやつが勝手にやるというのが一番現実的なんじゃないかなというふうに思っています。 それとあともう一つ、クリエイティブコモンズ、ここら辺のコンテンツのアーカイブとか、すごい重要だと思うんですけれども、やはりその全部のコンテンツを一からつくるというのは個人では今難しい時代になっていますから、例えば個人の利用の範囲内であったら、既存の著作物とかパロディみたいなものというのもできる範囲というのを広げるというのは僕はすごい重要だと思います。完全にきれいなものだけやったとしても、おもしろいものに多分ならないと思うんですよね、なかなか。なので、そこはやはりクリエイターの裁量範囲を少なくとも個人で楽しむ分ぐらいは広げてあげるというのが必要だと思います。 ○中山本部員 この調査会のスコープの話ですが、先ほど角川さんからエンタテインメントというか、いわゆるビジネス、稼げるという、そういう観点から議論すべきであるという話でしたけれども、確かにこの知財戦略本部の起こりは、もともとバブルの崩壊からどうやって日本経済を立ち直らせるか、知財をてこにして立ち直ろうという、それから起こった話でして、その意味では角川さんのおっしゃるとおりだと思います。特に先ほど議論した1.の点はおっしゃるとおりだと思うんですけれども、2.の人材の点は、私は必ずしもそこに焦点を当てる必要はないんじゃないかと。 さきほど話にでました「おくりびと」は数億円しか儲けられなかったかもしれませんけれども、あれを恐らく世界中の人が見て、日本に対して好印象を持ったと思いますし、「おくりびと」のグッズというと、棺おけをグッズにしてもしようがないので多分ないと思うんですけれども、山形県に外人も含めて大勢旅行するとか、いろいろなことを考えますと、非常に大きなプラスになっていると思います。 「羅生門」だって、あんなに安あがりの映画は多分ないと思うのですけれども、あれだって非常に日本の文化というものの役に立っているし、それがめぐりめぐって日本にいい印象を持ってプラスになっていると思います。 その点を考えますと、教育という点は、やはりエンタテインメント等だけじゃなくて、例えば今度は仕分けされたみたいですけれども、本物のお芝居とか本物のオーケストラを学校に行って見せるという、これは団十郎さんが反対したんでちょっとどうなったかわかりませんけれども、そういうこととか、本物に接し、感性を養うということが重要だと思います。その場合、何もエンタテインメントに限らず、あらゆる意味でのクリエーションを見せるということが大事だという気がします。 それから、クリエイティブコモンズは、現在ビジネスユースでやっておりませんので、これはビジネスという観点からだと除かれますが、しかしやはりクリエイティブコモンズみたいなものを利用して、大勢の人が何かをつくってみるという、それが非常に勢力になってくるんじゃないかと思いますんで、人材に関してはかなり広めていいんじゃないかと思います。 ○中村会長 ありがとうございました。 この議論、まだまだ続ける必要があるんですけれども、時間がまいりました。今回、かなり具体的な内容で議論いただいて、新しい計画のイメージが少し具体的になってきたと思いますけれども、またこのテーマも続ける必要があるかと思います。 次は、3つの論点のうちの積み残し、3.のデジタルコンテンツ大国の実現という論点を中心にお話をいただきたいと思いますが、そっちはもっと議論になるだろうなという感じがしております。 では、ひとまず今日の会合はここで閉会をすることといたしまして、最後にもう一度政務官から何かございましたら、ご挨拶をいただければと思います。 ○津村政務官 今日は遅参をして大変失礼いたしました。 後半の議論を聞いているだけでも、前半の議論の熱気といいますか、いろいろな角度から議論いただいたのが伝わってきました。後で私自身も議事録のほうを見てしっかり勉強させていただきますし、前回もちょっと申し上げましたけれども、古川副大臣は大変このテーマに、国家戦略室長を兼ねていらっしゃる方ですけれども、興味をお持ちで、なかなか今国会期間中で、津村君、出席自体は任せたよという話なんですが、この後半、第4回、第5回あたりにかけて、ちょっとご出席のほうは私がお約束することでもないですけれども、いろいろなご本人のお知恵もあるようで、皆さんのご意見も聞いてみたいというようなアイデアもこれから預かっていくことになると思いますので、次回以降もまた引き続き活発な議論、よろしくお願いいたします。 ありがとうございました。 ○中村会長 ありがとうございます。 では、次回の会合について、事務局からお願いします。 ○奈良参事官 次回でございますけれども、大変恐縮ですが、来週すぐ、3月1日月曜日、10時からこの場所で行いますので、引き続きよろしくお願いいたします。 ○中村会長 では閉会いたします。 今日はどうもありがとうございました。 午後3時00分 閉会
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