コンテンツ強化専門調査会(第8回)議事録



  1. 日 時 : 平成24年3月13日(火)11:00~12:10
  2. 場 所 : 知的財産戦略推進事務局会議室
  3. 出席者 :
    【担当副大臣】
    石田勝之 内閣府副大臣
    【委 員】
    中村会長、大﨑委員、角川委員、川上委員、久夛良木委員、末吉委員、 杉山委員、谷口委員、別所委員、吉羽委員、中島本部員、中山本部員
    【事務局】
    近藤事務局長、上田次長、芝田次長、安藤参事官、木村参事官、筬島企画官
    【担当府省】
    内閣官房国家戦略室 小田企画調整官


○中村会長
 おはようございます。
 では、ただいまから「コンテンツ強化専門調査会」第8回、今日が最後の議論となります。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回は、前回までの議論を踏まえまして、知財計画2012の骨子に盛り込むべき事項のとりまとめに向けての議論、先ほど言いましたように、とりまとめに向けた最後の議論となりますので、よろしくお願いをいたします。
 本日は、大多委員、佐藤委員から御欠席の連絡をいただいております。また、知的財産戦略本部員からは中島本部員と中山本部員に御出席をいただいております。
 また、担当府省から国家戦略室の小田企画調整官の御出席をいただいております。ありがとうございます。
 さらに、30分後ぐらいに石田副大臣がお見えになるということも聞いております。
 では、まず近藤局長にごあいさつをお願いいたします。

○近藤局長
 おはようございます。
 本日も、お忙しい中、お集まりをいただきましてありがとうございます。
 この会合も8回目でございます。これに準備会合で集中的に議論したものが6回でございますから、相当議論をさせていただきました。今日、何とか盛り込むべき事項のとりまとめをお願いしたい、こんなふうに思っているところでございます。
 この会議を通じて、皆様方からスピード感がもうちょっとあってもよいのではないかとか、もう少しぐいぐいと進む感じを見せてほしいという御要望もいただいていることも、我々、非常に重く受け止めております。必ずしも十分できなかったことを、まだまだ力不足のところを感じておるところであります。
 ただ、一方で、Slow and steady wins the raceとも言いますので、一個ずつ進めていくというのも大事なことだと私は思っております。
 今日、後ほどまた説明をさせていただきますが、知財計画のこの進捗状況でも約9割のものはそれなりに進展したというものが出ておるところであります。こういったことを着実に進めながら、このコンテンツ政策を進めていきたいと思っております。
 あるいはまた、後ほど副大臣が参りましたときにごあいさつをされるかと思いますけれども、実は、TPPでも知財問題というのは、実は隠れた最大イシューかもしれません。これからどういう形でまとめていくのか、これは勿論、著作権の問題もありますし、特許法体系の問題もあります。世界の大きな動きの中で、これを早く対応していかなければいかぬ、こんな状況になってきているのかと、また改めて思っているところであります。
 今回、こういう議論をしていただいて、何とかおまとめをいただいて、私どもの腹づもりではまだ公表しておりませんが、3月23日の知財本部という方向で調整をしておるところでございます。そこで骨子を固めた上で、もう一度、もう少し議論を追加して、最終的には5月~6月にとりまとめる、こんなスケジュールで考えておるところでございます。
 今日が予定ではこの調査会のとりまとめの、3月の骨子とりまとめに向けての最後の会合になりますので、よろしく御審議のほどお願いをいたします。
 あいさつが少し長くなってしまいましたけれども、どうも御礼申し上げます。
 ありがとうございます。

○中村会長
 ありがとうございます。
 では、知財計画2012骨子に盛り込むべき事項(案)について議論を行いたいと思います。
 事務局から説明をお願いいたします。

○木村参事官
 それでは、まず資料の確認からさせていただければというふうに思っております。
 まず、資料1でございます。本調査会といたしまして知財計画2012骨子に盛り込むべき事項(主要施策)と言うことで、A3の紙になってございます。
 また、資料2でございます。本調査会としておまとめいただきます知財計画2012骨子に盛り込むべき事項(案)ということで、前回の議論を踏まえて修正したものでございます。資料2につきましては、併せて前回の骨子案からのその修正文ということを赤字で明記したものを、これは席上の方に配付させていただいております。
 資料の3につきましては、A3の紙で、机の下の方に置いているところでございますが、知財計画2011の項目別の進捗状況の概要ということでございます。これは暫定版でございます。これは後ほど御説明いたしますが、現在、関係府省と調整中ということでございますので、席上のみの配付とさせていただきまして、会議終了後に回収させていただければというふうに思ってございます。
 また、資料の4でございます。これにつきましては、これは前回もお配りしましたが、知財計画2012の骨子素案(総論部分)ということを抜粋したものでございます。今後、企画委員会において検討を行い知財本部で決定するというものでございますので、本日、席上のみの配付ということでさせていただいてございます。
 また、参考資料でございますが、こちらの方につきましては、前回、御議論いただきました主な意見というのをまとめたものでございます。
 それでは、続きまして、資料の御説明を申し上げたいと思います。
 まず、資料1でございます。これは、この専門調査会といたしまして、骨子に盛り込むべき事項の主要施策というものでございます。骨子(案)の方に掲載しております施策例、勿論、これはどれもそれぞれ重要なものということでございますが、優先順位がわかりにくいというような御意見もいただきましたので、主要な4つの施策ということを取り上げているということでございます。
 また、前回、見出しがちょっと長いのではないか、わかりづらいというような御指摘もいただいてございますので、表題も簡潔なものに改めているというものでございます。
 1つ目がデジタル・ネットワーク社会化の関連でございまして、1つは著作権に関する環境整備ということでございます。電子書籍とかクラウド型サービスといった新たなビジネスチャンスが生じる中で、社会経済の変化に柔軟に対応するという観点から、今後、クラウド型サービスの環境整備、あるいはインターネット上のコンテンツ侵害対策と正規配信の総合的な推進ということに取り組むというものでございます。
 2点目が、電子書籍の本格的な流通促進ということでございまして、出版デジタル機構といったようなコンソーシアムが形成されつつある、そういうような国内外の動向が加速する中で、民間事業者の共同の取組への支援、あるいは出版者への権利付与、そういったことに関する検討が重要になっている、そういうようなものでございます。
 また、3点目がクールジャパンの関係でございます。海外展開の成功事例の創出を図ろうというものでございまして、アジア諸国を中心に海外展開の成功モデルを創出するということや、経営陣が決まって本格的活動を開始いたしました株式会社のANEWでございますが、こちらにつきましても世界市場を狙ったコンテンツの企画開発を行っていく、そういうものでございます。
 4点目がインバウンドの推進でございまして、ワンストップでロケ撮影を支援する相談窓口の支援、あるいは海外ロケ撮影誘致を先導的に実施する札幌コンテンツ特区、こちらの方の重点推進を図るというものでございます。
 以上が、主要施策ということでございますが、コンテンツ強化専門調査会といたしまして、骨子に盛り込むべき事項案の全体像でございます。資料2でございます。この資料2と見え消しの資料でございますが、見え消しの方の資料、前回との修正箇所を中心に概略、簡単に御説明申し上げたいというふうに思います。
 まず「情勢認識」のところでございます。1ページ目の方の下のところになりますが、前回、御議論いただきました、デジタル化・ネットワーク化とクールジャパン、これの相乗効果ということを高めていくことが重要であるというような御意見を踏まえて追加してあるものでございます。
 また、同じく御意見いただきましたコンテンツ促進法ということにつきまして、予算、税制、規制改革、そういった施策を総動員して政府一体となって取組を進めていくというようなことが重要であるということや、またITやコンテンツ振興の枠組みの変革を求める、そういう時代になっているとの認識を持って今後議論を進めていくということが必要であろうと、そういう指摘を付け加えたところでございます。
 また、2ページ目の方に移っていただきまして、最初の段落の中ごろでございますが、ITが社会あるいは生活、そういったことを変革していくのだということを先取りして、日本発の斬新なプラットフォームやサービスを目指していくということにつきまして記述しておるというものでございます。
 また、3ページ目の方でございます。こちらの方は御意見いただいたところでございますが、デジタルネイティブ世代の創造力をいかに活かしてその活動を積極的にコンテンツ創造につなげていくのか、そういった重要性について御指摘いただきましたので、その点、追加をしているというものでございます。
 また、3段落目の後半の方では、これも幾つか御意見をいただいたところでございますが、コンテンツ強化に向けた、政府が一体となった取組が必要であるということでございまして、IT戦略本部との連携について、更に付け加えている、書き加えている、そういうものでございます。
 また、主な施策例ということを書いておりましたが、先ほど御説明しましたように、別途、主要施策をお示ししていることもありまして、本文からは削除しているというものでございます。
 また、4ページ目でございます。3段落目でございますが、こちらにつきましては、クールジャパンの海外展開がコンテンツだけではなくて、日本の製品、サービス、そういった更なる需要を誘発するのだと、日本の経済産業の強化につながるという点について追加をしているところでございます。
 また、先ほどもちょっと局長の方からもお話がありました、スピード感を持って取り組むことが重要であるということ、これは委員の方々からも御意見いただいてございますので、そういったスピード感を持った取組が成否を分けるということから、官民一体でのトップセールスなどを行う、そういった重要性について指摘をしているものでございます。
 さらに、下から2段目のところでございますが、こういったことを関係府省が役割分担と連携を図りながら統一感を持って戦略を進めるということの必要性について述べておるものでございます。
 次に、6ページ目以降が具体的な施策例となってございます。
 前回からの主な修正点のみ御説明申し上げたいと思いますが、少し飛んで大変恐縮でございますが、8ページ目でございます。8ページ目の2段落目の「クラウド型サービスのための環境整備」のところでございますが、こちらにつきましては、スマートフォンなど複数の情報端末で同一コンテンツの利用が進んでいる、そういうような状況も踏まえて、法的リスクの解消という観点だけではなくて、新ビジネスの創出、そういった観点も含めて課題の整理を行って、必要な措置を実施するということといたしまして、実施官庁につきましても、これも御指摘があったところでございますが、総務省ということを追加しておるわけでございます。
 また、4段落目のプラットフォームの環境整備につきまして、スマートテレビということについて書かせていただいておったわけですが、こちらの方につきましては定義が明確ではないというような御指摘もございました。それも踏まえまして、各種サービスやアプリケーションの利用が可能となるといった、そういう発展性を有しているということを踏まえまして、我が国が主導的な役割を担える領域を中心に標準化を進めていくということを記述しておるところでございます。
 それから、少し飛びまして、クールジャパンのところでございます。11ページ目のところでございます。
 2番目のポツの札幌コンテンツ特区のところでございます。ここについても、御意見、いろいろいただいたところでございますが、特に支援策として、特区構想実現のかぎとなる規制の特例措置ということを特出しして明示をさせていただいておるところでございます。
 また、その次のポツのところでございますが、新たな特区構想に関連するところでございますが、記載内容を整理いたしまして、国内外の優れたクリエーターを受け入れる、そういうクリエーターの受入れや海外事業者の誘致ということによる創造拠点の整備ということを追加をしておる、そういうものでございます。
 また、その次の12ページでございます。2番目のポツでございますが、海外における不正な商標、そういった問題があるのではないかということも御指摘いただいたところでございます。
 これにつきましては、海外展開を行う中小企業への模倣対策セミナーの充実と、そういったことについて記述をしておるところでございます。
 また、13ページ目の上から3つ目のポツでございます。
 こちらにつきましては、国民から広く新しいアイデアを募集すること、あるいはスマートフォンなど新しい情報端末を活用したビジネスの創出ということも、従前、これは御意見もあったところでございますので、これも付け加えているというものでございます。
 また、その下のクールジャパンらしさの源流の発掘といったところにつきましては、具体的な活用の内容を書き加えるとともに、こちらも担当府省として経済産業省などが考えられるのではないかというような御意見もいただいていたところでございますので、そこも関係府省と調整して追加をした、そういうものでございます。
 また、14ページ目のところの、クリエーターの学校訪問のところでございます。これは、メディア芸術も入るのではないかというような御指摘もいただいたところでございますので、それを明示したといったところでございます。
 骨子に盛り込むべき事項(案)につきましては、以上でございますが、A3の資料3をご覧いただきたいというふうに思います。
 こちらは、知財計画2011の項目別の進捗状況の概要というものでございます。
 これは、知財計画2011のうち、デジタル・ネットワークに関するものとクールジャパン関連の進捗状況というものをまとめたものでございます。これは委員限りの資料とさせていただきまして、大変恐縮なのでございますが、会議終了時に回収させていただければというふうに思ってございます。
 この資料につきまして、今まさしく各省と調整中でございまして、まだ少し調整に時間がかかっているといったところでございますので、本日は回収の取扱いにさせていただきたい、そういうものでございます。
 委員の皆様方につきましては、個別にいろいろ御関心の事項もあろうかと思いますので、御意見、御質問がありましたら、会議終了後、本日に限らずでございますが、直接事務局にお問い合わせいただければというふうに思っているところでございます。
 資料1ページのところでは、総括表を記載しているところでございまして、先ほど局長の方からも御説明がありましたように、88%、9割近いところが○ということで達成をしているわけでございます。そういう状況でございまして、委員の皆様方から担当省にヒアリングを行っていただきました項目の評価の状況も載せておるところでございます。こういったことにつきまして、後ほどまた見ていただきまして、考えるところ、御疑問のところがあればお問い合わせいただければというふうに思っているところでございます。
 今の時点では、まだこれは調整中ということで回収させていただきますが、勿論これはまとめ終わりましたら公開をするということでございます。今の時点ではまだ公開できないので回収させていただいている、そういう点を御理解いただければというふうに思っているところでございます。
 最後に、資料の4でございます。こちらの方につきましては、前回、前々回とお配りさせていただきましたが、知財計画2012の骨子素案の総論部分を抜粋したものでございます。この総論部分につきましては、別途、企画委員会で議論されるということでございますので、ただ、これにつきましても御意見があれば、いただければ幸いでございます。
 以上、大変簡単でございますが、よろしくお願いいたします。

○中村会長
 ありがとうございました。
 では、全体を通して議論を行いたいと思います。
 御意見のある方は挙手をお願いいたします。いかがでしょうか。
 どうぞ。

○角川委員
 先週に、C3というアニメやガンダムを中心としたB2Cマーケットが香港で行われて、大変盛況だったのです。その中で、本当にクールジャパンというものをそこで演出しているのだと思ったのですけれども、そのときに2日間で10万人とか12万人ぐらい動員しているのです。もう会場いっぱいです、本当に。香港貿易発展局が非常な協力もあって、良い場所も取れて、香港のメインスタジアムを出してくれたのですけれども、あれだけの人が入っても主催者は実は赤字なのです。それで、来年はどうしようかと非常に迷っているのです。私たちも応援していて、出展者の人たちもそれほど大きくはないけれども、やはり赤字なのです。
 言ってみると昔の見本市ですね。そういうクールジャパン見本市というのを重点地区をつくって、世界でできれば3か所ぐらい、やはりアジアが2つとか、あるいはアジアから1つ、ヨーロッパから1つ、アメリカから1つとか、そういう構想のクールジャパン見本市を強力に推進したら、そこにコンテンツは勿論、サービスも、それから関連の、言ってみると非常にクールジャパン的な工業製品も構わないと思います。そういうふうな視点でされたらどうかと感じました。
 やはり、相当大勢の人が入っても、入場料と、そこで売った物販の主催者への還元だけでは恒常的な運営はなかなか難しいのです。もし、C3、カルチャー、キャラクター、コンテンツという、この3つを標榜した見本市なのですけれども、やはりこれはJETROなり、国家がきちっと、やはり多くのお金がかかってしまうと思いますけれども、支援するという形を取らないと、これは民間だけではしんどいという感じがします。
 そういうものを実際に行う現場のスタッフはかなり育ってきていますので、運営上の面での難しさはない。どうやってやったらよいかというのは、民間にかなりノウハウができつつありますので、ただ、民間にはそれをビジネスだけでやっていくには、やはりかなり無理がある。C3の主催者はガンダムの著作権管理者なものですから、時には1日だけ著作権フリーのイベントなんかもするのです。そうすると、非常に何か日本は懐が深いという感じがして、やはり著作権というのは、表現は悪いけれども、アメとムチみたいなところがありますので、厳しくするだけがよいわけではなくて、やはり教育指導するためには、そういうふうに著作権管理をしている主体が非常に管理しながら、だけれども伸ばしていくという特性があるとそういうこともできますし、是非そういう見本市というのを国が重点で推進していくというのをお願いしたいと思いました。

○筬島企画官
 事務局でございます。
 ただいまの御指摘につきまして、補足の御説明を申し上げたいと思います。
 以前、この専門調査会でも御紹介を申し上げましたけれども、今、クールジャパンの海外イベントの中でもろもろの見本市的なものもイベントを設けてございます。コンテンツの分野も、今週、北京の方でコンテンツ見本市ということではございませんけれども、先方の芸術系の大学の方でコンテンツ関係のイベントを開催する予定になってございます。
 そういった中で、イベントの成功事例もつくってまいりまして、そういったノウハウを次年度以降、関係府省でも活用してまいりたいと思ってございます。また、別途、イベントの全体像につきましては御報告を申し上げたいと思っております。
 よろしくお願いいたします。

○中村会長
 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 では、久夛良木委員、お願いします。

○久夛良木委員
 資料2で、これは非常によくまとまっていると思うのですが、今日が最後ということで、ちょっと細かいワーディングを含めて、私の意見と検討していただきたいことをお話ししたいと思います。
 まず、簡単なところから、3ページ。下の方に「クールジャパンを推進しソフトパワーを強化する」、そこで2行目に「個性豊かな文化の香り」とありますね。ここに是非、日本のコンテンツとして「多様性」というのがあると思うので、その多様性というワーディングをそこに加えていただくとよいかと、これは1つです。
 それから、下から3行目「コンテンツや食、ファッションなどは」は「も」ですね。ちょっと、「てにをは」ですが、「も」というふうに変えていただきたいというふうに思います。
 それから、4ページ、上から3行目、このクールジャパンの定義のところは、この間、議論もあったのですが、やはりちょっとわかりにくい。「日本文化の魅力が詰まったクールジャパンとそのプラットフォーム」というのは何を言っておられるのかちょっとわからなくて、例えばクールジャパンというと、明示的なプラットフォームに載っているものしか言わないのかということでもないと思うので、ここを例えば、「クールジャパンとして世界にアピールできる日本文化の魅力そのもの」というふうにやはり伝えていきたいわけですね。その辺でわかりやすい書き方をされた方がよいというふうに思います。これも「てにをは」です。
 たくさんあって申し訳ない。もう最後なので。
 それから、上から10行目の3つ目のパラグラフ。「このための対象国のニーズや」のところですが、2行目「コンテンツとものづくり・サービス」、これがちょっとわからない。ものづくりというものを表に出すのではなくて、実はこれは製品なのではないですか。ものづくりという手段ではないのではないか。だから、コンテンツと製品、サービスの融合であって、ものづくりという手段を融合するのではないのではないかというふうに思います。よろしいですか、こんなスピードで。
 同じページの下から3つ目のパラグラフ。「一方で」で始まるパラグラフですが、ここの中で「日本の匠の持つ優れた『わざ』」というのがあります。この「わざ」というのは後の方の説明にもあるのですが、「わざ」というのは見える化して、それを伝承しようというのはわかるのですけれども、これはどちらかというと職人の方とかを含めて、なるべく見える化せずに、きちっと正しく後継者に伝承したいという考えもあるし、見える化することによってほかの人たちにコピーされるというものもあるので、ちょっとこの辺の書き方を変えてもらった方がよいと。
 実際、何が大事かというと「わざ」そのものだけではなくて、例えば美意識であるとかこだわりというものがクールであるというふうに思われると思うので、例えばそういったワーディングを加えていただくとか、後ろの方には見える化というのもあるので、それはある程度大事だと思うのですけれども、それは見える化したら、そのまま公開するというものでは決してないのではないか。伝承すべきものとしての見える化ではないかというふうに思います。
 よいですか、もうちょっとやって。
 7ページの上から6行目、7行目「オープン型電子出版環境を実現するため」、この2行目に「最終フォーマットとしての日本語」という書き方があります。これは最終ではなくて最新ですよ。EPUB3.0が必ずしも最終になるわけではなくて、今の時点での最新であるというふうなワーディングに変えていただきたいということ。
 同じページの下。「コンテンツのアーカイブ化とその活用促進」の2ポツ目「ゲーム、マンガをはじめとするメディア芸術作品の~」とありますね。そこの「散逸・劣化の危険性の高い作品の」と「デジタル・アーカイブ化を推進する」の間に「保全と併せて」を入れられた方がよいかと思うのです。保全が難しくなっているケースも、今、出てきているというふうに感じています。
 それと、最後になりますが、13ページ「クールジャパンの新分野展開及びブランド化」の中で3ポツ目「国民からクールジャパンに関する新しいアイデアを募集したり」、これは国民から募集するのはサンプリングとしてちょっとやられるのか、それとも広く募集するのかというのがあって、例えば広くクールジャパンに関する新しいアイデアを募集したりとした方がどちらかというとベターではないかというふうに思います。
 以上です。

○中村会長
 ありがとうございます。
 文言の整理の部分については、今日が最終回ですので、私が責任を持って預からせていただければと思います。また、関係省庁が絡むものについては調整をしていただきたいと思います。
 どうもありがとうございます。
 久夛良木委員は、実は非常に役人に向いていたのかもしれないですね。ありがとうございます。全部、反映できそうなすばらしい指摘だと思います。
 ほかはいかがでしょうか。

○別所委員
 済みません、前回、休みまして申し訳ありません。
 私が読み落としているのだったらちょっと確認をさせていただきたいのですけれども、赤字の添削の入っているこのコンテンツ強化の骨子の事案の中で、このミーティングの中でも何度も出てきていると思うのですけれども、メディアリテラシー的な要素で教育をするというか、メディアに対してどういうふうに子どもたちあるいは私たちが接していく、あるいはコンテンツの在り方というのも法整備をしたり云々かんぬんというのは十分ここでうたわれていると思うのですけれども、例えば赤字の添削の9ページに「教育の情報化の推進」「IT人財の育成」という部分がうたわれているのですが、ここを読むだけでは、国民、市民、あるいは教育のレベルでコンテンツあるいはメディアというものに対する意識改革であるとか、メディアリテラシー的な要素が、どこかでたしかうたわれていたような気がしたのですが、今回はどうされる予定なのでしょうかというのが1つ目。
 2つ目は、先日来、国家戦略室も含めた統合的な対外、対国内もそうなのですけれども、メディア戦略としてこういったクールジャパンであれ知財がやっている情報を総合的にどうホームページ、あるいは情報出しをしていくのかという部分は、どういったレベルでどこかに表現をされているでしょうか。まず、その2点をお伺いしたいと思います。

○木村参事官
 よろしいでしょうか、失礼いたします。
 まず、1点目でございます。
 実は、その9ページのところ以外にクールジャパンのところでまた記述をさせていただいてございまして、14ページ目のところの「クリエーターの裾野拡大」というところの3番目のポツのところにちょっと書いておるのでございますが、こちらの方で、「学校教育における創造活動、知財教育及び情報モラル教育」というようなこと。これは情報社会で適切に活動するための基となるような考え方とか態度を身に付けるための教育ということでございまして、まさしく今、御指摘いただきましたメディアリテラシーというような要素も含めて書いてございます。こちらの方でクリエーターの裾野拡大、特に小・中・高校生に対するそういう教育の実施というような意味合いで付け加えさせていただいているものでございます。ちょっと場所が離れておってわかりにくいので大変申しわけございません。
 そういったものを追加しておるところでございますし、もう一点、先ほどありました、メディアを使って総合的にどう打ち出していくのかということにつきまして、10ページのところでございます。国内外のイベントなどを活用したクールジャパンの発信という、1ポツのところの3番目に書いておるようなところでございますが、ここで国内外のイベントを使ってその情報発信を行うということに合わせまして、クールジャパンに関する情報を発信するポータルサイト、そういったものを使ってクールジャパンの積極的な発信に取り組むということで、下に幾つか各省の名前を書かせていただいておりますが、各省と連携をしながらそういう情報発信を進めていくということを、今回、付け加えさせていただいたというものでございます。十分かどうかというのはご議論いただければと存じますが、こういう形での取組を進めていければということでございます。

○近藤局長
 後ろから撃つつもりはないのだけれども、メディアリテラシーで、今、別所さんが言ったのは、クールジャパンのクリエーターの裾野をどう広げるかではなくて、一般の子どもたちが情報とどうやって接していくかというのをそもそも教えないと、情報との接し方を丸々信じてもいかんし、丸々うそだと思ってもいかんし、そういうのを割と自分で判断しながら見るのですよなんていうのをちゃんと教育しないといかぬのよと、こう言っているのだと思うのだよね。そうだとすると、このクリエーターの裾野拡大のところにカテゴリーするのはちょっと狭いのかもしらんよ。
 だから、余り事務局でつくったものを私が違うことを言ったのは、多分、この3年間で初めてではないかと思うのだけれども、後ろから撃つつもりはないが、ちょっと置き場所と頭を整理して、クリエーターとして何かやらなければいかぬやつはここに書いて、もうちょっと教育、子どもたちが本当にメディアとどう接したらいいかみたいなのを、どうやったら勉強できるかみたいなのは、どこか別のところに書くのを考えようか。
 ちょっと考えます。

○中村会長
 お願いします。

○川上委員
 済みません、1点だけ。
 この著作権についてなのですけれども、6ページの「デジタル化・ネットワーク化の進展に機敏に対応するとともに、知的財産の保護・活用に関する国際的な交渉の状況を踏まえつつ、著作権保護期間の延長、間接侵害に係る差止請求範囲の明確化」というような箇所なのですけれども、実は、世間はネットワーク時代において、多分国際的な動きと連携してやっていくことが必要なので、基本的なスタンスはこれで正しいと思うのですが、一方で、最近、例えばGREEさんとモバゲーさんとの判例で、ゲームに関する著作権が新しく認められたみたいなことがありますけれども、あれは実際に、多分、世界の動きから見ると、かなり独立した日本の動きで、今後、IT分野において著作権の範囲をどういうふうに認めていくのかというのは非常に大きなテーマだと思うのですが、今はこういうふうに、国際的な情報で見守るというスタンスでありながら、一方、裁判所ではそういう今までの考えを覆すような判例が出ているというのは、これは私はちょっと矛盾する行為だと思うのです。
 実際、GREEさんの主張を認めるか認めないかというのは、それはどちらでもあると思うのですけれども、これはやはり日本の知財戦略上でもこれをどうしていくのかを決めていかないと、結構大きな話だと思うのです。
 ですから、国際的なものをやるというのは基本的スタンスでもよいと思うのですけれども、一方で、裁判所でそういう、よくわけのわからない判例が今後出ていくのであったら、それは何かちゃんと真剣に考える必要があるのではないかというのが私の意見です。

○中村会長
 ありがとうございます。
 さて、ここで石田副大臣にお越しいただきましたので、ごあいさつをいただきます。

○石田副大臣
 皆さん、こんにちは。
 知的財産の担当副大臣をやっております衆議院議員の石田勝之でございます。
 たしか、2月27日にこのコンテンツ強化専門調査会にお邪魔をさせていただいて、皆様方からいろいろ御意見を拝聴して、今日は準備会を含めて14回目ということでお聞きをいたしております。
 常日ごろから日本のコンテンツの強化のためにいろいろ御尽力をいただき、なおかつその推進のためにお力添えをいただいておりますことを心から感謝を申し上げるとともに、この専門調査会において貴重な意見を述べていただいていることに、重ねて御礼を申し上げる次第でございます。
 このコンテンツ産業は、大体、世界で150兆円ぐらいというふうに伺っております。そのうち北米が30%ぐらい、日本が10%ちょっとということで聞いておるわけでありますが、まだまだ日本においてはその10%を15、20、30と伸ばしていける素養というのは、私は十分にあろうというふうに思っております。そういう意味から、専門委員の皆さん方の御意見というのは、この日本の知的財産、コンテンツ産業をこれから更に伸ばしていく上で、私は非常に貴重な意見となっていく、日本の財産となっていく、そんなふうに思っておるわけでございます。
 実は、国会の許しが得られたならば、今月24日に、ワシントンのポトマック川で行われる桜の寄贈をいたしまして、実は尾崎咢堂の東京市長の時代に足立区の江北地区の皆さん方が桜の苗木を東京市からワシントンに寄贈をして、今年で100年になります。その寄贈を記念いたしまして、アメリカで100周年のイベントがございまして、私も近藤局長もお邪魔をさせていただくことになっております。日本のクールジャパン、そしてこのコンテンツの推進のためにも一生懸命PRをしていきたいというふうに考えておるところでございます。
 一応、今日は14回目ということで、締めくくりというふうなお話も聞いておるわけでございますが、今後もいろいろ日本の知的財産の推進発展のためにお力添えを賜りますことを心からお願いを申し上げまして、担当副大臣としてのごあいさつとさせていただきたいと存じます。
 どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○中村会長
 どうもありがとうございました。
 力強いお言葉をいただきました。是非、ワシントンにおいでいただければと存じます。お願いいたします。
 副大臣にお越しいただきましたので、残りの時間、自由討論とさせていただきたいと思います。引き続き、この骨子に盛り込むべき事項のことでも結構ですし、その他、コンテンツ強化に関する中長期的な御意見、コメントも含めていろいろとお出しいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 いかがでしょうか。どうぞ。

○別所委員
 これは提案なので、実現するべきかどうか、ちょっと事務局の方で御判断いただきたいのですけれども、先ほど川上委員もおっしゃったように、例えばこういった書類を、副大臣を初め大臣、あるいは総理大臣に御確認いただく際に、この資料に添付をして、具体的な情勢認識の根拠となるようなニュースソースであるとか、判例であるとか、係争中のものとかをまとめた資料というのを、事務局の御負担だと思うので、私たち自身もこういったニュースを盛り込むべきだというようなことは提案をさせていただく必要があると思うのですが、例えばそれは悪いことばかりではなくて、海外で活躍しているクリエーターであるとか、インドで巨人の星がクリケットに代わってアニメとなって新たな注目を集めるとか、具体的なものというのはどの部分までこの調査会がお示しをする内容かというのは議論があると思うのですけれども、情勢認識を読むだけだとどうしても高らかにうたった内容をつるっと理解はできるのですが、それが具体的などういった各委員の危機感であるとか事実に基づいているのかというのが、裏付けをどう受け取った側がするのかというのが、私がもし受け取る側だとすると非常にそこに疑問を持つというか興味を持つと思うので、可能なことでしょうか。実際にもうおやりになっているのであればまた教えていただきたいと思います。

○近藤局長
 なかなかちょっと難しい御指摘でもあるのですが、実は去年、2011をつくったときに、この頭に決めたこと、知財計画として決めたこと、それから、それぞれの施策が本当に各省が何年度に何をどうやるのか書いたこと、それから、その後ろに資料集としていろいろなものを載せているのです。
 これは割と新しい試みでありまして、以前はなかったのですけれども、ちょっと今、一部そちらにお渡ししますが、この後ろにいろいろなバックデータになりそうなものとか、簡単な言葉の定義とか、それから特許の審査官はこうなっているとか、データ集みたいなのを載せていますので、そこの中に何か少し、今、御要望のようなことを盛り込めるかどうかを考えてみたいと思います。
 本当はこういうのは、全部終わるとこういう一冊、本にして出すとおもしろいのですけれども、なかなか最近は余りやらないですね。昔は大体本にして、例えば大蔵省は全部予算が終わると「図説 日本の財政」という、こんな本を出して、それでちょっと稼いでみんなで一杯やるかと言っていたのですけれども、最近はそういうのがなかなかできないものですからやっていないのですけれども、今おっしゃったような、少しいろいろな話題になりそうなデータを、この資料集をもうちょっと充実させるような形で追加をして載せられないか、これは考えてみます。

○角川委員
 よろしいですか。せっかく副大臣がいらっしゃるところであるので申し上げたい。
 今日は、委員限りで資料3が出ておりますけれども、これに事務局の判断で、これは自己申告なのでしょうか、○、×、△というのは。

○近藤局長
 調整です。

○角川委員
 調整した結果ですね。

○近藤局長
 まだ調整は終わっていないのです。これはどうやっているかというと、この進捗状況について、私たち事務局としてできたというのはできたと思うのですけれども、できていないとできていないというので、各省と調整をします。各省が、いやいや私たちはそうはいってもここまでこういうのができていますとかいうのを調整して最終的にまとめるので、今日はまだという次第であります。

○角川委員
 内部書類だということですね。

○近藤局長
 ただ、それなりに議論をしている過程ですから、そう変わることはないと思いますというのが今の状況であります。

○角川委員
 これは、拝見しますといつも思うのですけれども、達成したというのは88.2%、それから、達成はしていないけれども、今、進めていますというのは11.8%。未達成はゼロですね。これは非常に私は不自然だと思うのです、正直言って。
 知財を本当に10年やってきて、知財戦略会議をこれだけ熱心にやってきたにもかかわらず、全体としてどのくらい我々は達成したのだろうということについて、前回で大きなテーマになって、局長からは、そうはいっても角川さん、進んでいますと言って慰められたような気分になったのですけれども、でも世界は御存じのとおり、知財紛争が、アメリカから中国に広がっていって、知財紛争が知財戦争になってきているというぐらい、知財というのは重要で大きな問題になっていると思います。
 そういう中で、やはりこの88対11というのは、偶然ですけれども、私は国会図書館の審査委員にもさせられていて、判定委員というのは、これはやはり南雲先生になってから、自分たちだけで判断していてもいけないというので、8人の審査員を民間から指名しまして、それで民間の我々が審査するのです。その国会図書館の事務局から出た自己査定が88対11なのです。つまり、こういうものというのはこういうふうになってしまうのだと思うのです。
 それで、何回も別所委員から、私はこれは何回も言ってきたのですけれども、本当に達成されているのですかという意見が前、出ましたときも、民間委員はみんなうなずいたのです。
 ですから、事務局を代表するのは近藤局長がいらっしゃいますけれども、我々委員を代表しているのは中村先生ですね。私は、中村先生の判断でも結構ですし、中村先生を中心として何人かの委員でも結構ですけれども、委員が○、×を付けて、それを事務局が調整に行くというならわかるのです。そういう仕組みをつくっていただくと、副大臣、どうですか。これを見てすばらしいと思われますか。
 つまり、これが結局、言ってみれば去年の推進計画が実施されたかどうかという判断というのと、日本の知財戦略が進んだかという判断と2つ私はあると思うのです。それで、事務局は推進計画を達成したというふうに思うのですけれども、やはり我々民間委員の方は、国の知財戦略が進んだかどうかを見たいのだと思うのです。そこで、それをこの事務局の調査会の中でどう解決したらいいかを、やはり国会図書館が民間人に査定をする審査会をつくる、そういうふうな動きを見せているところもあるとすれば、我が知財本部も何らかのそういう革新的な手法をつくられたらいかがかと思います。
 提案いたしますけれども、よろしくお願いいたします。

○中村会長
 どうもありがとうございます。
 どうぞ、川上委員。

○川上委員
 先ほどの発言で途中になってしまった部分なのですが、著作権制度の整備に関して文部科学省の方では、どちらかというと著作権制度の運用について、デジタル化の時代について検討するということになっていまして、著作権の内容については踏み込まないような書き方になっていると思うのです。でも、実際に世の中の事例を見ていますと、そうすると裁判所がそういうような事例をつくっていて、既成事実をつくっていくということになってしまうと思うのですが、実際、裁判所にそこら辺のITの世界でどうしていくべきかの視点というのは恐らくないと思うのです。
 そこというのは、私は今後議論していくべきだと思いますので、今日は最終日だと思いますので、この時点で今年度のものに入れるものかどうかわかりませんけれども、著作権の範囲についても、やはりこれは検討課題に挙げていただくよう、今年度、もしくは来年度以降、検討していただきたいと思います。
 よろしくお願いします。

○中村会長
 重い提案をいただいていますけれども、ほかにいかがでしょうか。
 どうぞ。

○吉羽委員
 多分、4ページの下から2番目というか、消されているところです。「このように、以上の取組を」云々とか、スピード感というところに関わるのだと思うのですけれども、さまざまな国から民間への施策の中で、やはり非常に手続が煩雑であったりとか、なかなかどういう取組に対していろいろな手助けをしてもらえるのかがちょっとわかりにくい部分があるというのを感じているのです。
 他国との例で言うと、今、韓国の制作会社と弊社とで共同制作でアニメーションをつくっているのですけれども、これが韓国側が制作主体ということもあるので、東京アニメフェアに出展をするのですが、そのときに入口のところに看板を取り付けるのですけれども、その費用というのがそこそこかかるということを、韓国のそういった政府系の支援団体に話をしたところ、費用は半分持ってやるというようなことで、大きな看板を出せることになったという話を聞いています。
 逆に、先般、イスラエルの日本文化を研究されている、特にこういったメディア芸術、アニメーションとかを研究されている方がいらっしゃいまして、なかなか民間というか、大学ですので、調査費用も少ないということで、日本の政府系の機関、はっきりとはおっしゃっていませんでしたけれども、援助をもらうということをやっているそうなのですけれども、ペーパーワークの手続が物すごく大変で、それが仕事になってしまうというようなことをおっしゃっていたのです。
 先般も、内閣法制局の話とかが出てきたかと思うのですけれども、こういった援助金とか補助金とかというのはいろいろな不正がつきまとうということもどうしてもありがちで、慎重にならざるを得ないし、最終的に会計検査院もきちんと認められるような内容にするということで、お役所の皆さんも相当苦労はされているのだと思うのですけれども、とはいうものの、結局ドキュメントをいろいろ作成するのに物すごい人力を要するようなことになってしまって、結局、人件費もそちらの方でかかってしまって、せっかくいただいたところに、そのいただいた分というのは当然有効に使われていると思うのですけれども、そこまでのハードルが非常に高いというようなことをいろいろなところで耳にしたりします。この辺のスピード感の問題とも関わって、手続の簡素化というふうにはなかなか言えないのでしょうけれども、施策の部分で迅速に回る方法論がないのかということをちょっと感じております。
 かつ、予算、プロジェクトに支援をいただくということが決まってから、実際にお金が出るまでに半年とか1年ぐらいかかってしまうので、やはり中小零細のところだとキャッシュフローが間に合わないとかいうようなことも当然起きてしまって、なかなか有効に活用し切れないようなことにもならないかという心配があります。ここのところで官民一体となって好循環のサイクルをより大きく早く回すことにより、というような記述がありますので、何か運用面での工夫を検討していただけるとすごくありがたいというふうに思います。

○中村会長
 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。いいですか。
 どうぞ。

○角川委員
 今、川上委員の御指摘というのは、前回、著作権法がなかなか解決するのが大変だから、コンテンツ促進法の改正ということを視点に入れたらいかがかという話になって、そういう視点もあっていいねということでそうされたときに残った問題だと思うのです。私は、著作権法の権威でいらっしゃる中山先生がここにいらっしゃいますので、御意見も聞きたいのですけれども、今度のGREEとDeNAの裁判というのは、ひとつボーンデジタルから始まった著作物だと思うのです。そのボーンデジタルが旧来の著作権法で判断してよいのかどうかというのがなかなか難しいところが一面あるのではないかと思うのです。
 やはり、この著作権法は、19世紀、20世紀にできたもので、その後、電子情報端末がいっぱいできてきて、それを全部、著作権法で処理するというのがかなり大変だとは思うのです。19世紀、20世紀の著作権法というのは、何かスタティスティックスというのですか、静物的というのか、静かな著作権法で、21世紀に残っている著作物というのはダイナミックというのですか、情報端末の間でくるくる回っていて、デバイスフリーで動いていく、そういうもののときに、判例が非常に恣意的に出てくるという不安があるわけです。
 ですから、ここで今、川上委員から指摘された意見は、やはり著作権法はこのままでよいのかという問題が1つ。
 それからもう1つは、知財本部が生んだ知財高裁ですね。この知財高裁がどういうふうに機能しているかということが、結構不問に付されてきたような気がするのです。せっかく知財本部が知財高裁をつくったにもかかわらずです。
 今でも覚えておりますけれども、最高裁は知財高裁をつくることを大反対したのです。けれども、やはり知財本部がこれからの知財紛争は多発するから、専門職をつくろうといって知財高裁をつくったわけです。実際、知財高裁をつくったところ、アジアなども各国、知財高裁が生まれてきて、日本の先進性というものが証明されたと思うのですけれども、やはり知財高裁というものがせっかくできたのですけれども、ここでも、今、川上委員がおっしゃったような恣意的に判断されていって一貫性がない。
 大体、直近の私的録音録画補償金制度の裁判でも、やはり地裁と高裁と全く判断が違うのです。判断は違うが、ついた結果だけは、これは私的録音録画補償金制度の対象外であるという、結局敗訴という形になるわけです。原告が敗訴になりました。それも事前まではほとんど弁護士さんからは原告側の勝訴だろうというふうに言われていたのもやはり敗訴なのです。非常に知財高裁が怖いのです。刑法というのは御存じのとおり、万引きで死刑になることはないわけです。ところが、著作権法は全く反対の意見が出てくる。
 今、自炊という問題が電子書籍にもあるのですけれども、これなんかも、私は出版界が作家と一緒になって裁判に訴えるのを反対しているのです。弁護士の先生、それから法律の先生方はほとんど自炊の事業者に対しては著作権法違反だろうと、限りなく黒に近いと言われているのですけれども、もし万が一、知財高裁が事業賛成に回ってしまうと自炊行為というのがもう野放しになってしまうというようなことで、むしろ裁判に訴えない方が、周りから違反だ違反だと言っている方がよいというのが我々の実感なのです。
 それから、著作権法の保護期間も50年から70年になったにもかかわらず、12月31日の夜中の1秒が更新されていないということでもって敗訴になりました。最近、そういう高裁の判断が物すごく多いのです。最高裁から高裁から。そこら辺のことを、本当は一回、我々も話を聞きたい。
 文化庁は、これは行政であり、国会は立法であり、司法と三権分立だから仕方がないのだという話なのですけれども、三権分立で仕方がないというだけで済まされていかないような問題が、最近、随分出ています。それを一回、検討していただきたいと思います。

○中村会長
 宿題にしたいと思います。
 どうぞ。

○近藤局長
 今、非常に重要な御指摘をいただいたと思っています。
 まず、著作権法の体系は130年前ですから、こんな状況を予想した法律であるはずがないのですね、本当は。したがって、特許法も同じなのですけれども、本当はそういう新しい時代に対応した新しい法体系でなければそう簡単には対応できるはずがないので、私は文部省が悪いのではないと言っているのです。これは世の中が変わってしまったのだから、変わってしまったものに対しては新しい、変わってしまったものに対応できるような仕組みを考えることが大事だと。
 したがって、文部省がけしからぬのではなくて、世の中が変わったのだから変わるのを考えようと、こういう観点で現時点、こういう時代の中での法制をいかにあるべきかというのを相当議論しなければいかぬ気が私もいたします。
 著作権法はそれなりにいろいろな対応を、皆さんから見るとパッチワークかもしれませんけれども、それなりにはやったことは是としながら、そろそろ何かこういうことも考えなければいかぬのかと、こういう議論も進めなければいかぬと思います。
 それから、2点目の司法制度のところは、私は知財高裁をつくったときの責任者の一人だったものですから、私自身も意識があります。実は、今年やろうかという気もちょっとしたのですけれども、まあ待てと私が申し上げたのは、司法制度というのは行政以上に安定性が非常に重要なものでありますので、10年と思っているのです。10年やってみて問題を直していこうと。
 したがって、ちょうど10年ぐらいになるので、ぼちぼちそういう準備をし始めて司法制度を、知財高裁のところをどうするかというのをやらないと、余り法的安定性を欠く制度になってしまうものですから、ちょっと今年やろうかという気が、正直言うと、事務局の中でも今年やりませんかという議論が随分あったのですけれども、もう一周待とうかと、こんな議論をしていたので、これもそろそろ考えます。
 知財制度、知財高裁にしてよかった点も結構あるとは思うのです。よくなかった点もある気がします。だから、その辺りを実績も含めて考えなければいかぬし、ちょっと頭を整理して、著作権制度、本当に今のこのデジタル化の時代の中で著作権法で対応できること、あるいは著作権法で対応できないことは何なのかということの頭の整理をしっかりして、それをカバーするのが第二著作権法なのか、デジタル何たら対応法なのか、コンテンツ法の改正なのか、そういったところを考えます。その議論を、ちょっと来年度以降ではそういうことも議論したいと思う。
 それから、司法制度のところは、少し来し方を振り返るのがまず第一でしょうか。実際に知財高裁をつくってよかったのかどうか。知財高裁の判事も昨日、御異動になっておられまして、これで2人目ですか、いよいよまた新しい体制に入ってきますから、そういったところも、これはアカデミアの方々にも議論をしていただき始めていると思うので、そういった議論も踏まえながら、少し腰を落ち着けてじっくりと議論しなければいかぬ、こんなふうに思っていまして、今の角川先生、川上先生からの御指摘は重く受けとめて、しっかりと頭の整理をいたします。

○中村会長
 宿題が増えてまいります。皆さん、引き続きよろしくお願いいたします。
 いただいた時間、まいっているのですが、ほかにこれを言っておきたいというのがあれば。
 久夛良木委員、お願いします。

○久夛良木委員
 ちょっと先ほどのワーディングのところで一点、忘れてしまったところがあるのですが、3ページの真ん中ぐらいのところで「このため、著作権制度の整備や」というところがありますが、各省庁に対する個別のブレークダウンの資料3にもあるのですけれども、例えば、著作権制度の整備で、今、角川委員がおっしゃられたように、そこであるとか侵害対策というのをやる一方で、やはりどんどんネットワーク化に対応していくという両方を同時にやらないといけないというふうに思うので、ここのワーディングですが、この侵害対策を進めると同時にというような言葉にして、最後、図っていく必要があるとか、つまり同時に進めていく必要があるというニュアンスがきちんと読み込めるように書き直された方がよろしいかというふうに思います。
 以上です。

○中村会長
 ありがとうございます。
 別所委員。

○別所委員
 できるだけ手短に申します。
 私も、角川委員のおっしゃるとおり、達成感という意味で言うと、3年間、この委員にならせていただいているのですが、いただいた回収資料、資料3との意識的な乖離というのが、もっと委員がこうなので、国民は、市民はもっと、知財はどういう形で何を年度ごとに積み重ねたかというのは、理解度は非常に低いですし、知らない方も多いし、知らないことをいいことにしてはいけないという現実はあると思うので、是非是非、ここは評価制度も含めてですが、達成感をどういうふうにディスクローズして、国民を味方につけて前進するのかというのは、副大臣をはじめ、強いリーダーシップのもとに、これは復興庁と同じぐらい私は重要な、知財と復興というのはつながる部分がたくさんあるはずですし、今後の国家政策で、局長は10年とおっしゃいましたけれども、一年一年、どんどん国内に起きていることというのは、気が付けば海外のプラットフォームを全員使い、教科書の電子書籍化においても海外の技術を、勿論使うことはいいと思うのですが、全てがそうなっていく現実、そういうものが事実あるわけですので、その危機感のもとにお願いしたいのが、もっと知財の権限が、例えばこの3年を見てきて思うのが、各省庁のこういった行ってきた事例を整理をして評価をするということをされて引っ張っていらっしゃるのは見ているのですけれども、やはり省庁ごとのお仕事、今日も省庁の方がいらっしゃっているのかもしれないのですけれども、もう少し統括的に知財を設けて権限を持って動けるような、そういう所轄になってほしいと思いますし、それがもともと国家戦略とか知財のやっていらっしゃったことだったのではないかと思うので、そのリーダーシップを是非お願いしたいなと思います。
 それから、最後に、海外では本当に日本は物づくりはできるけれども物語がない。商品、製品、これは何度もこの会議で言っていますけれども、製品が見えてもその向こうに顔がない、大分違ってきたとは思うのですけれども、成功神話とかストーリーが見えない。同時にコンテンツの在り方も見えない。是非、コンクリートから人へというのもあれなのですけれども、物づくりと物語ということを世界に向けて発信できるようなまとめになっていただけるとうれしいなと思います。

○近藤局長
 済みません、時間が過ぎているので、ポイントだけ言います。
 資料4の9ページ以降に「最近の知的財産戦略の8大成果」という形でとりまとめが入っております。これは、この3年間で何ができたのかということを、競争力の方も併せて8つに絞って書いたものでございます。
 もともとのこの8大成果、こういった成果が上がっているということは、是非一度ご覧をいただいて、資料3の方はあくまでも各年度でどういう計画をつくったのがどうなったかという、割と短期のデータなものですから、資料4の参考3以下のところのようなものがもっと充実できるように、これからしっかりと進めていきたい、こんなふうに思います。
 ありがとうございました。

○中村会長
 どうもありがとうございました。
 とりまとめについては、おおむね意見の集約が図られたものと思いますけれども、文言の追加訂正のようなものがありましたら、事務局の方に、至急、御連絡をいただければと思います。
 その議論、あるいはそうした御意見を踏まえた最終的なとりまとめについては、私に一任いただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)

○中村会長
 ありがとうございます。
 これまで、8回と準備会合を含め6回、皆さんに非常に話を煮詰めていただきまして、皆さん、非常に大きな仕事をしていただいたと思います。
 一方で、これは今日、御欠席の大多委員からも何度も指摘されたのですが、では目玉は何なのか。今回のとりまとめでも、例えばデジタル・ネットワークにしろクールジャパンにしろ、非常に重要なテーマでありますし、著作権にしろ海外展開にしろ、重要な施策だと思いますけれども、そしてまた、今のお話がありましたように成果も、これまで、例えば特区ができました、ファンドができました、著作権とか通信放送融合法制も実現しました、ということで個々に出てきておりますが、ただ、個々の施策や成果を全て挙げても、いま一つ、迫力がないと言いますか、進んでいるのかどうなのかということでも、角川委員や別所委員からもその御指摘を受けているところなのですが、私の個人的な感想で言いますと、それをずっと、今回の成果は何だろうと考えていたのですけれども、例えば、何回か前の会議で、8つの省庁の方々がここで並ばれて議論をいたしました。それを見ていて、成果はこれかなというふうに私は思いました。
 政府全体が1つのテーブルについて1つの方向に動き出した。これまでは、どちらかというと各省にこちらからボールを投げて、それについてはこうでという回答をもらっていたという感じなのですが、だんだん、自ら取り組み出して政策競争になりつつあるかという、そこがちょっと見えてきたというのが今年辺りの変化というふうに私は感じております。
 ただし、勿論、まだまだでございまして、私個人的なゴールとしては、日本が世界から知財大国として認知をされて、あるいは、例えば総理が何か発言されるときも必ず知財の問題をトップに挙げるようなプライオリティを上げていくというようなことだとは思うのですが、そういう面からするとまだまだ1合目とか2合目なのではないかという気がします。
 ただし、山を登り始めたという感じは私はしておりまして、これから力強くもっと進めていければと思うのですが、今日、いろいろ出ておりましたように、今後もさまざまな宿題があります。これも、今回のシリーズで何度も出てまいりましたように、メディアの環境がここでがらっと変わってきている。マルチスクリーンで、クラウドネットワークでソーシャルサービス、メディアのどの分野でも大きく塗り変わる時期にありますので、これは世界的な潮流ですから、そうした流れも踏まえて、こういう著作権制度も含めて、この戦略も毎年大きく見直しをしていく必要があるといいますか、そういう覚悟もせざるを得ないと思いますので、引き続き、皆さんの御協力をお願いしたいと思います。
 では、いろいろな指摘をいただきましたので、必要な修正を行った上で、この調査会としての提言をとりまとめまして、次回の戦略本部会合に提出をする運びとしたいと思います。
 では、事務局から連絡事項等、お願いをいたします。

○木村参事官
 本日はどうもありがとうございました。
 いただきました御提言につきましては、3月下旬に予定されております知的財産戦略本部会合に提出いたしまして、それを踏まえて、知財計画2012の骨子ということを決定する予定でございます。4月以降も、この知財計画2012の策定に向けまして、引き続き御議論いただきたいというふうに思ってございます。日程はまた、調整次第、改めてお知らせいたします。
 なお、資料3につきましては、先ほど申し上げましたように、机上に残していただいて回収させていただければというふうに思います。
 ありがとうございました。

○中村会長
 最後に何か、コメントはありますでしょうか。よろしゅうございますか。
 では、会議を閉会といたします。
 合計14回にわたり熱心な御議論をいただきまして、どうもありがとうございました。