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コンテンツ強化専門調査会(第5回) 議事録
○中村会長 おはようございます。ただいまから「コンテンツ強化専門調査会第5回会合」を開催いたします。早朝から、御多忙のところをお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。 前回の会合まで、合計3回にわたりまして「知財計画2011」の進捗状況に関する担当府省のヒアリングを行ってまいりました。また「知財計画2012に盛り込むべき事項」といたしまして、別途検討を行ってきた準備会議での議論の整理について、前回は報告を行ったところでございます。 今回から、いよいよ「知財計画2012」の策定に向けた議論に入ります。 なお、本日は角川委員、それから久夛良木委員は少し遅れて到着されるという予定になっております。 また、知財戦略本部員から、中島本部員、中山本部員に御出席をいただいております。 さらに、担当府省から御参加をいただいておりますので、順番に読み上げてまいります。 内閣広報室の加治内閣参事官。 国家戦略室の小田企画調整官。 総務省情報通信作品振興課 竹村課長。 外務省総合計画課 小野課長。 知的財産室 彦田室長。 文化庁著作権課 永山課長。 国際課 佐藤課長。 芸術文化課文化活動振興室 清水室長。 農林水産省新事業創出課 遠藤課長。 経済産業省生活文化創造産業課 内田課長補佐。 文化情報関連産業課 伊吹課長。 観光庁国際交流推進課 貴田観光渉外官に御出席をいただいております。 霞が関オールスターでございます。 今回、「知財計画2012」の策定に向けた、全体的な方向性に関する議論を行いますために、こうして担当府省の方の御出席をお願いしているところです。今後も、個別具体の事項に対応しても、御出席をお願いする予定となっております。 では、まず近藤局長にごあいさついただきたいと存じます。 ○近藤局長 おはようございます。 今日も早朝、週の初めから会議を開催いたしまして、御出席いただきまして本当にありがとうございます。 いよいよこの知財計画も、3月末に知財コンテンツの専門調査会の取りまとめを行うという方向に向けて、あと1か月ちょっとになってまいりました。これから次期計画に盛り込むべき政策の中身をしっかりと詰めていきたいと思いますので、お忙しい中、誠に恐縮でございますが、御審議のほど、よろしくお願いいたします。 それから各省の皆さんにも、こういう形で御参加をいただいていることに心から感謝を申し上げます。お互いに、よりよいものにできるように、しっかりと力を合わせたいと思いますので、よろしく御協力をお願いしたいと思います。 ありがとうございました。 ○中村会長 ありがとうございます。 では、検討の方向性について議論を進めていきたいと思いますので、まず、事務局から説明をお願いします。 ○木村参事官 それでは、まず資料の確認からさせていただきたいと思います。 「議事次第」に続きまして、 資料1 知的財産戦略に関する論点整理 資料2 「知的財産推進計画2011」に関する平成24年度予算政府案等について 資料3-1 大﨑委員配布資料 資料3-2 杉山委員配布資料 資料3-3 吉羽委員配布資料 参考資料1 知的財産推進計画2011の構成。 コンテンツ専門調査会の検討・提言を行った分ということで、最先端デジタル・ネットワーク戦略、クールジャパン戦略というものでございます。後ほど御参照いただければと思います。 参考資料2-1 コンテンツ強化専門調査会準備会議 議論の整理(概要) 参考資料2-2 コンテンツ強化専門調査会準備会議 議論整理 参考資料3 コンテンツ強化専門調査会(第4回)における主な意見のまとめ 参考資料4 これまでの主な意見 各団体等からヒアリングした内容ということでまとめたものでございます。 参考資料5 コンテンツ強化専門調査会(第5回)担当府省出席者 参考資料6 今後のスケジュールについて 本日を含めまして、あと4回、知財計画2012骨子に盛り込むべき事項といったところで御議論をいただこうというものでございます。予備日の方も設けておるといったところでございます。 また、資料番号を振ってございませんが、「ワークショップコレクション8」という、中村会長から配布いただいている資料がお手元の方にあるかと思います。 配布資料は以上でございます。 それでは、早速資料1に基づきまして説明をしたいと思います。 1ページめくっていただきまして、「知財計画2012」に向けた全体の枠組みについてお示ししているものでございます。こういう形でよろしいかどうかということで御議論いただければということでございます。 全体情勢といたしましては、グローバル・ネットワーク時代が到来し、積極的に変革のチャンスをとらえ、日本を元気にするコンテンツの総合戦略策定に取り組まなければならない。その上で、大きな柱といたしまして、2つ設けてございます。 「デジタル化・ネットワーク化の基盤を強化する」というのが1つの柱でございます。内容といたしましては、著作権制度の整備、コンテンツ侵害対応、電子書籍、コンテンツのアーカイブ化、新ビジネス・新市場の創出のための環境の整備というものになっているものでございます。 2つ目の柱、「クールジャパンを推進しソフトパワーを強化する」ということでございまして、キーワードとして「ソフトパワー」という言葉を使わせていただいているところでございます。内容としては、発掘・創造、発信、拡大、基盤整備ということのサイクルで回していったらどうかということでございます。 2ページ目につきましては、まず1つ目の柱、「デジタル化・ネットワーク化を巡る状況」ということでございます。 デジタル化・ネットワーク化の急速な拡大・深化に伴って、新たなビジネスチャンスが生起しつつある。コンテンツ産業にとって大きなチャンスであるとともに、生き残りの正念場であるということでございまして、こういった状況の中、コンテンツ強化のための環境整備を図っていくことが必要であるということでございます。 また、TPPでございますとか、EPA等の交渉におきまして、国際ハーモナイゼーションの視点を考慮することが重要であろう。今後、日本に再び元気を取り戻すため、著作権制度の環境整備等を図ることにより、国益に大きくつなげていかなければならないというものでございます。 3ページ目からは、項目ごとの「論点」でございます。 1つ目の「論点 デジタル化・ネットワーク化に対応した著作権制度の整備をいかにして進めるか」ということでございます。 これは旧著作権法から数えれば100年以上が経過しているわけでございますが、当初は想定できなかったような今日のデジタル化・ネットワーク化の急激な進展に、的確に対応することが課題になっておろう。 条約交渉等におきましても、いかに国益を実現するのか。そういった意味で総合的な検討が必要であるというものでございます。 具体的な論点といたしましては、4ページ目にございます。 技術的保護手段の見直しでございます。 ほか、権利制限の一般既定の導入ということにつきまして、これまで議論を重ね、現在、法改正に向けた準備を行っているというものでございます。 間接侵害に係る差止請求範囲の明確化ということにつきましては、これまた考え方の整理を行って、今後、文化庁の著作権分科会におきまして、更に検討するということでございます。 クラウド型サービスの環境整備を図るための課題の整理ということにつきましても、同じく調査分析結果を踏まえまして、今後、文化審議会の方におきまして検討がなされるというような状況になっているところでございます。 5ページ目、「論点」といたしまして、ネット上のコンテンツ侵害対策をいかに強化するのかということでございます。 これにつきましては、音楽ファイルの違法ダウンロード、43.6億件ということで、正規ダウンロード数の約10倍もの数があるというデータもございますし、例えば電子書籍の海賊版を見ましても、村上春樹氏の最新刊が、Apple Storeですら海賊版が見られるというような、ネット上のコンテンツ侵害が深刻な状況にあるということでございます。 6ページ目、CODAによる中国などのプロバイダに対する侵害コンテンツの削除要請等を進めているところでございます。 また、中国、韓国、二国間協議による働きかけといったことなどを通しまして、一定の成果が上がってきておるわけでございますが、対応の難しい海外サーバから配信される違法コンテンツへの対応など、外国における著作権侵害コンテンツの迅速な削除の仕組みの構築でございますとか、また違法コンテンツの削除と併せて、一体的に正規配信サービスの展開を促進することが課題かというふうに考えてございます。 7ページ、電子書籍でございます。「論点」といたしまして、電子書籍の普及促進にいかに取り組んでいくのかも大きな課題かということでございます。 電子書籍につきましては、スマートフォンやタブレットなど、新しいプラットフォームが急速に普及をしてきているといったところでございまして、国内売上も、また急速に伸びてきているという状況が見てとれるわけでございます。 そういった中で、8ページ目、昨年6月には、電子書籍に関する総務省、文部科学省、経済産業省、3省の共同懇談会の報告がまとめられまして、電子書籍の市場形成に向けた取組が進められているといったところでございます。 今後、電子書籍の流通と利用の円滑化といったところに向けまして、電子書籍の流通促進と、出版物に係る権利侵害への対応といったことを図るために、「出版者への権利付与」などにつきまして、総合的に検討すべきではないかというような点、また、民間事業者の取組に対する支援を通じた、著作物のデジタル化や、コンテンツ流通の促進に向けた展開が考えられるのではないかということでございます。 オープン型の電子出版環境の実現といたしましては、昨年、電子書籍交換(中間ファイル)フォーマットの策定が行われたといったところでございますし、またEPUBの日本語拡張仕様といったEPUB3.0などの確定もされたところでございまして、今後こういったものの普及促進ということが課題になっておろうということでございます。 9ページ目、「論点」といたしまして、国会図書館初め、コンテンツのデジタルアーカイブ化をいかにして進めるかということでございます。国立国会図書館以外につきましては、各機関の取組にアーカイブ化がゆだねられているというところでございまして、各機関の連携も課題になっているところでございます。 10ページ目、国立国会図書館のアーカイブの資料の扱いをどうするかということでございまして、公立図書館への配信といったことを可能とすることが適当であろうということから、現在、法改正に向けた検討が進められているところでございます。 また、知的資産のアーカイブ化という点に関しましては、メディア芸術のデータベースの整備といったものや、あるいはデジタルアーカイブに関する博物館・図書館・公文書館の連携の取組推進などが課題になっているのではないかといったことでございます。 11ページ、新ビジネス、あるいは新市場の創出、また人財育成のための環境整備をいかに進めていくのかといった点が「論点」でございます。 スマートフォンあるいはスマートテレビというような、さまざまな情報端末機器が登場するとともに、プラットフォーム間の競争が激化しておりまして、コンテンツの流通を支える情報通信インフラにも課題が生じているという状況かと思ってございます。 具体的には、12ページ、コンテンツ流通を支える情報通信インフラの整備ということにつきましては、コンテンツユーザーの視点に立って、情報通信インフラの整備の在り方の検討が求められるのではないかということでございます。 クラウド型サービスの環境整備ということにつきましては、コンテンツ強化の観点から、法的リスクの解消を含むクラウド型サービスをめぐる課題の整備と必要な措置を検討することが必要ではないかということでございます。 プラットフォーム間の論点といたしましては、モバイル用プラットフォーム、スマートフォン等における課金システムなどの適正化といったことが課題ではないかということでございます。 13ページ目からが2つ目の柱、「クールジャパン」でございます。 クールジャパンをめぐる状況でございますが、グローバル・ネットワーク時代におきまして、地域固有のアイデンティティに根差した、その土地にしかないものの価値が高まるということでございまして、世界にアピールできる日本文化の魅力が詰まったクールジャパンを発信するということで、官民のあらゆる対外活動での日本のプレゼンスといったもの、発言力といったことを増すソフトパートナーとなるということでございまして、対象国のニーズに応じたクールジャパン同士を融合させたり、あるいはコンテンツとものづくりといったこと。そういったクールジャパンの融合化戦略を通じて、アジアを初めとして、国内外の展開の突破口となるような、そういう成功モデルを創出しなければならないだろうということでございます。 また、併せてクールジャパンらしさといったものを追求し、クールジャパンの深化・拡大を進めていくなど、発掘・創造、発信、拡大、基盤整備といったものにつながる好循環のサイクルを一層確立するステージアップ戦略を図っていかなければならない。そういう認識でございます。 そして14ページからが項目ごとの「論点」でございます。 論点といたしまして、クールジャパンらしさを追求した新たな発掘・創造をいかに進めるかということでございます。 情勢といたしましては、「ポケモン」でございますとか、「ケロロ軍曹」「ハローキティ」と、非常に世界中で人気のあるキャラクター、あるいはキャラクターグッズというような形で世界を席巻しているわけでございますし、また放送番組といたしましても、日本のドラマ・バラエティーというのは、韓国・台湾等のアジア圏でも非常に人気が高いというところでございます。 そういった中で、15ページ、新たなクールジャパンの発掘・創造といったことを進めるために、どうするかということでございます。 クールジャパンのブランド化という視点で、日本製品のデザインあるいは建築デザインといった産業上のデザインということをもっと情報発信していくべきではないか。そういうようなことが視点になるのではないか、論点になるのではないかということでございます。 アグリ・インフォマティクスシステムの開発をちょっと書かせていただいてございますが、例えば赤くておいしいトマトのつくり方というような、篤農家の技術・ノウハウを、情報技術を用いて、農業者一般に利用可能な形に変える。そういうようなシステムについて、実証実験を農林水産省の方で実施されているわけでございますが、今後それらを、もっと対象も拡大しながら、日本の匠の持つ優れた職人芸、そういったものを、暗黙知を見える化することで、更なる展開が図れるのではないかということで、調査研究をしてみたらどうかというような視点でございます。 海外向けのコンテンツファンドでございます。こちらの方につきましては、まだ事業の本格的な実施には至っていないという状況でございますが、今後、このファンドを通じまして、世界市場を狙うコンテンツの成功事例の創出加速といったことが期待されるのではないかということでございます。 16ページ、論点といたしまして、ソフトパワーを生かしたクールジャパンをグローバルにいかに発信するかということでございます。世界のコンテンツ市場は右肩上がりで成長しておるというわけでございますが、しかしながら日本の海外収入というのは、そちらのグラフにもございますように、低迷しているということで、日本コンテンツのグローバル展開が課題となっているということでございます。 17ページ、大震災の影響で、日本の農林水産物、食品でございますとか、あるいは観光、製品の輸出、そういったインバウンドがなかなか回復していないというような状況が見られるところでございます。 こういった中で、18ページ、対象国のニーズに応じたクールジャパンの海外展開支援といたしまして、あれもこれも広げるということではなくて、海外展開に向けた突破口となる成功モデルの創出といたしまして、アジアの新興国を中心に、対象国や分野を絞って、有望なコンテンツあるいはアーティストというのを市場開拓のモデルとして、官民を挙げて海外展開を推進したらどうかということでございます。 日本のソフトプランを浸透させていくという面からは、コンテンツの英語版、あるいはアジア言語版といったことを作成し、日本の魅力を海外に浸透させていくというようなローカライズの取組を進めるべきではないかということです。 19ページ目につきましては、クールジャパンの人気をいかに拡大・定着させるのかということでございまして、クールジャパンの人気を拡大し、熱心なリピーター層を形成して、訪日のインバウンドを促進することが重要であろうということで、特に海外ロケ誘致につきましては、例えば映画の「ロード・オブ・ザ・リング」のロケ、これはニュージーランドであったわけでございますが、国内誘致をした際の経済効果は約70億といったようなこともございます。そういうような海外ロケ誘致をもっと進めるべきではないかということでございます。 また、クールジャパンのブランド保護のため、模倣品の海賊版対策といったことが重要になっているという状況でございます。 これを受けまして、20ページ、第1次の総合特区の指定となりました札幌コンテンツ特区の取組。こういったインバウンドとして、ワンストップで海外からのロケ撮影隊の支援を行う窓口の一本化の推進というような取組をしてはどうか、あるいはロケ撮影誘致を促進するための映画・アジア言語での情報発信を更に進めてはどうかというようなことでございます。また、札幌コンテンツ特区でございますが、大型ロケ撮影の誘致、そのモデルとして重点的に推進するということが考えられるのではないかということでございます。 また、ACTA(偽造品の取引の防止に関する協定(仮称))の早期発効及び参加促進を目指すことで、海賊版・模倣品の対策を更に進めていくことが必要ではないかということでございます。 21ページ目、クールジャパンの基盤をいかに整備するかという論点があろうかと思います。こちらにつきましては、中国あるいは韓国といったところで、コンテンツに関する海外規制がございますので、こういった規制がグローバル展開に向けた大きな障害になっているということでございます。 人財育成という観点から見れば、コンテンツ創造の根幹となるような人財基盤がなかなか弱くなっているのではないかということでございます。 映像コンテンツの収入ということにつきましても、収入推移の表がございますが、右肩下がりになってきているということでございます。2010年、少し盛り返しているものでございますが、2011年分、まだ表には載ってございませんが、映画の興行収入が対前年度で82%に落ち込むというような深刻なデータも出ておるといったところでございます。 最後の22ページ、クールジャパンに関する関係機関の連携強化ということで、海外における在外公館、あるいはJETRO、JNTOなどの政府関係機関、日系企業といった関係機関の連携を更に強めていって、一層の促進を図っていくことが必要であろうということでございます。 諸外国のコンテンツ規制の緩和・撤廃ということにつきましては、二国間や多国間の協議、交渉におきまして、規制の緩和・撤廃を、優先度の高い課題ということとして取り上げまして、強力に働きかけることが求められるのではないかということでございます。 人財の育成ということにつきましては、子どもの文化芸術体験の推進であるとか、あるいは若手アニメーターの育成といった、人財のすそ野の拡大を更に進めるということと同時に、グローバルに活躍するプロデューサー、あるいはコンテンツに精通した弁護士等の専門人財の育成強化が求められるのではないかということでございます。 以上、これまで先生方の方からいただきました御意見などを踏まえまして、このように整理させていただいたわけでございますが、「知財計画2011」は着実に実施するとした上で、新規、深掘りすべき課題につきまして、論点をまとめたものでございます。このような方向性でよいか、足りないところ、あるいは逆に、より絞るべきところなど、御意見をいただければと存じます。 以上でございます。 ○芝田次長 補足ではありません。御理解のお願いをしておきたいと思います。1点目は、この後、委員の先生方からいろいろプレゼンをしていただきますが、事前に私と先生方とお話ししているときに、例えば企業でおやりになっていることが、まさしくクールジャパンの施策の、本当にいい実践例だというようなものがたくさんございましたので、あえて自分の事業としておやりになっていることではあっても、全くPRということではないから、この場で御説明してほしいということでお願いした部分がございますので、その点、事前に御理解をいただければというふうに思います。 それから、今日は各府省からオールスターメンバーで御出席いただいておりますけれども、「2012」の知財計画を議論するに当たりまして、その最初で、できるだけ多く委員の先生方から素材を提供していただきたいということでお願いをしてございますので、それについては以前からやっているとか、あるいはこれを行政化するにはこういうハードルがあるけれども、こういう工夫があるかとか、そのようなことを是非アドバイスしていただきたいということで、あえて、本当にお忙しい中、申し訳ないのですけれども、おいでいただいたような次第でございます。 次回からは、個別の事項については是非お願いすることがあるかもしれませんが、多分、このように全員来ていただくということではないと思います。そういった事情がございますので御理解いただければというふうに思います。 ○中村会長 では、いよいよ「2012」の策定ということで、今日は皆さんからできるだけカードを出していただければと思います。テーブルの上をまず散らかすだけ散らかしてみたいと考えておりまして、複数の委員からも資料をお出しいただいておりますので、後ほど、説明やコメントをいただければと思いますし、私も座長職を離れて、ジャストアイデアベース含めて、いろいろと提案をさせていただければと思っております。 その前に、議論の進め方といたしまして、まずはこの専門調査会から知財本部に対して提言を行う「2012」に盛り込むべき事項の全体構成について議論を少し行った後で、その中身、内容についての議論を行いたいと思います。 まず全体の構成ですけれども、資料1、1ページ目にもありますように、これまでの議論では、全体を「デジタル化・ネットワーク化の基盤を強化する」ということと、「クールジャパンを推進しソフトパワーを強化する」という、デジタル・ネットというのとクールジャパン海外展開、この2本柱、2つに分けて整理をしておりますけれども、個別の施策の前に、構成の在り方について意見がありましたら、挙手をお願いいたします。いかがでしょうか。 「2010」「2011」と、3つに分けて議論したりもしてきたのですけれども、ここに来て、この2つ。結構方向性がはっきりしてきたといいますか、デジタル化・ネットワーク化へのシフトということと、海外展開への横断的な取組ということになってきておりますが、構成としては、この方向で。どうぞ。 ○中島本部員 確認というか、質問というか、両方ですけれども、この2つ、非常にいいと思うのです。それで、すぱっとこの2つに分けることも大切なことですけれども、この2つが一緒になった施策というのもあろうかと思います。それをどこかに盛り込むということになろうかと思うのですが、そこら辺のところ、ちょっとアイデアをお聞かせいただければと思います。 ○芝田次長 実際、コンテンツを海外展開する際に、インフラ的な部分がないとだめではないかとか、いろいろおっしゃるような場面は出てくると思いますので、具体の施策に応じて、どういうふうに料理するか、追々と考えさせていただければというふうに思います。 ○中村会長 どうぞ。 ○角川委員 この2つでいいと思うのですけれども、どこかで、やはり今、コンテンツ業界というのはグローバリゼーションで、御存じのとおり、AppleだとかGoogleだとか、それからAmazon、これがエコシステムというのですか、プラットフォームを伴ったエコシステムで日本に侵攻してきているわけですけれども、それについての検討というのですか、それをどこかで1回、我々でやっていきたいという感じがします。そういう中で、我々がどこで立ち向かっていけるのではないかというふうなことを、そろそろ考えないといけない時期に来ているのではないかと思いますので、それについて、デジタル化・ネットワーク化の中で、もう一つそこら辺を、海外のIT企業のエコシステムについての検証みたいなことを入れていただいてもいいのではないか。きっとそこら辺がまた著作権に関わってくると思うのです。恐らくアメリカでは、TPPを通してそれらの事業者を支援していくような方向での著作権を言ってくる可能性もあると思うのです。そういうことで、それを1の1なのか、あるいは5か6にもう一つ入れておくのかを検討していただきたいというふうに思います。 ○中村会長 今の問題、毎年のことなのですけれども、全体情勢の最初のところの認識をどう書くかというのが今回も非常に重要かなと感じておりまして、これは共有できていると思うのですが、去年と今年にかけて、かなり情勢が変わりました。スマホ、タブレットのようなマルチスクリーンが一斉に普及をして、クラウドネットワークが整理されて、コンテンツからソーシャルサービスへの体重移動が大きく、世界的に起こって、だからこそ、問題はすべてグローバルで対応しなくてはいけないとますますなってきていますので、それをどのように我々として、ピンチとしても、チャンスとしても、とらえるのかということですとか、それから、例えばTPPの中での知財の問題というのがなぜ重要なのかといったようなことを、やはり冒頭にちゃんと書く必要があるのだろうと思いますので、最初のところの書き方の検討と、今、意見に出たような個別のところに落とし込んだときに、ここに足りないことをどう入れるかということ、また議論させていただければと思います。 ほかに。別所さん。 ○別所委員 前回のこの会議でもお話ししたかもしれないのですが、やはり今の会長のおっしゃった、全体情勢の書き方なのかもしれないのですが、昨年度、本年度あるいは一昨年度、何をなし得ていて、何が頓挫していて、何がどの部分で意思決定が遅れているのかということは、是非総理に説明される際、あるいは行政執行上の、行政上の問題なのか、あるいは政治判断が遅れているのかということが、明快に意思決定者に伝わるような、構成自体は2つでもいいと思うのですが、連続的にこれが時間軸で行われていることだと思うので、確かに中村会長がおっしゃるように情勢が変わった。ただ、情勢分析だけで終わってしまいますと、昨年度、本年度、あるいは一昨年度、何が、どこまで、どうなし得たかが非常に、私自身も困惑する部分があるので、そこが明快になった提言になると、よりすばらしいと思います。 ○中村会長 わかりました。 これは別所委員からも繰り返し御指摘をいただいているところでもありますし、我々も3年目になるということでもありますから、過去に出した計画がどこまで、肝心なのは、できていないのかということも含めて、ここに認識を書き込む時期に来ているかということでございます。 ほかにいかがでしょうか。 では、また後ほどここに立ち戻っても結構かと思いますので、ひとまず全体の枠組みはこのようなしつらえで進めるということといたします。 次に、中身についての議論、検討に入りたいと思います。議論の進め方ですけれども、資料1の内容をも参考にしながら、デジタル化・ネットワーク化関係と、クールジャパン関係、2つに大きく分けて議論を進めていきたいと思います。当然オーバーラップはあるかと思いますけれども、まずデジタル化・ネットワーク化関係についてです。資料の2~12ページについても参考にしていただきながら、御意見のある方は挙手をお願いしたいと思いますし、提出していただいている資料もありますので、そこから説明をしていただくということでも結構です。いかがでしょうか。 提出していただいた資料、大﨑委員、杉山委員、吉羽委員からありますけれども、それらは、デジタル化・ネットワーク化よりもクールジャパンの方でしょうか。もしもそれなら、クールジャパンの方から議論していきましょうか。ちょっと順番を変えて結構ですので。 では、クールジャパン関連ということでお出しいただいた資料も踏まえて、プレゼンいただければと思いますが。どちらから。大﨑委員。 ○大﨑委員 お手元にあるカラーの大きな資料。左上の「47都道府県エリアプロジェクト」というのを去年の4月からスタートしました。各都道府県に社員と芸人が住民票を移して、その町に暮らすというテーマです。1年間でいろいろな方々と会って、毎日、47都道府県から生配信をし、こういうインフラをつくりました。その中で、各企業さんにも御協賛をいただいたりしております。 この4月には、当社の大阪の劇場がございますが、その地下に350坪ほどのスペースがございまして、そこで「ご当地市場」というのをします。これに関しては、台湾と中国の間にあります金門島でも、台湾サイドの台湾土地開発公社と一緒になって、パッケージでこれを持っていこうというような話も進めております。要は、例えば青森のリンゴでつくったプリンが、中国にも、できればB to Bでも売れればなというような動きです。 左下の「沖縄国際映画祭」というのは、タイトルは「映画祭」ではありますが、もともとはテレビ・ラジオ・新聞・雑誌配信等々のお祭りというふうに思っておりました。今年で4回目を迎えます。特色としましては、地域発信型の映画、地域の民話等をベースにして、名産、名人みたいなものを組み込んだ短編映画でございます。地元のCM、地元の自慢の魅力を伝えるCMでございます。この映像作品を、物々交換よろしく、年に1度、沖縄に持ち寄って、その後1年かかって、それぞれの地元で、お互い物々交換したものを上映したり、発表したりしようというような趣向です。 4回目になりまして、海外のメディアも、アメリカ、中国、台湾、韓国等々、さまざまなメディアが訪れてくださるようになりました。もともとは地元の方々に喜んでいただくお祭りというのをスタートしておりますが、去年の震災直後に映画祭を決行したこともあり、沖縄から日本本土にエールを送れたということで、私たちの存在も何とか認めていただいたというような感じです。 右上、「メディア展開」とあります。 地上波の地方のローカル局で、6ブロックに分けまして、全国のPRをしております。番組発の商品開発等々も行っておりますので、先ほどの「ご当地市場」ともリンクしております。 2つ目の「SMG」というのは、御存じ、上海メディアグループで、昨年から30分の番組を、こちらサイドで制作をしまして、毎週放映しております。年内には帯番組と、日曜の縦の箱番組もつくっていき、共同制作で1つのチャンネルを運営しようという覚書を交わしております。その方向で、何とか順調に今のところは進んでおると思います。これも「47都道府県エリア」ともリンクするというような形です。 3つ目の「ASIA PLUS@台湾」と書いてあるのは台湾の東風グループが持っている新亜東風というアジアをカバーする衛星放送がございます。そこに少し参入をして、日本の、例えば映画祭でつくられた発信型映画や地元CM等々、「このへんトラベラー」等々の番組を、アジアをカバーする「ASIA PLUS」というチャンネルで放送して、アジア全域をカバーし、産業と文化といいますか、映像作品をリンクさせたネットワークをつくろうとしております。 4つ目のKBS、韓国放送公社さんとは、「コメディ日韓戦」という番組をつくりまして、かなりの手ごたえがございまして、レギュラー化に向けて進行中です。 韓国というのは御存じのように非常に特殊で、レギュラーをするしないというのも、なかなかテレビ局サイドは決めない。レギュラーでしましょうと決めてあっても、1話目の視聴率が悪いと、いきなり第2回目からはなしというような事情ですので、それなりの対応をしながらやろうと思っています。 その下の「日米での新しい共同開発の展開」というのは、CAA、クリエイティヴ・アーティスツ・エージェンシーと3年ほど前に、日本での包括契約、アジアでの包括契約を結びましたので、東京、大阪のキー局様、準キー局様と共同開発の番組をしております。これは、今までのいわゆるフォーマット販売だとか、番組販売とは全く形が違った、日本が取り残されている、アメリカやヨーロッパが持っているパッケージシステムとシンジケーションにどう乗せるか、どう参入できるかという取組でございます。 その下の「スーパーガールズフェスタIN台湾」というのは、東京ガールズコレクションをつくったメンバーの2人が、御縁があって吉本に入社してもらいましたので、そういう意味で、台北でこの4月14日。今は予定で14か15かは未定なのですが、アジアのガールズフェスタをやろうと思っています。いわゆるファッションだけではなくて、日本のビューティー商品というのでしょうか、お化粧品等々も含めて、これを立ち上げつつ、順次、ソウルだ、上海だ、タイだというふうにできればと思っています。これは私たちの本業の、お笑いの言葉の壁というところなく、ライブがあり、ツアーができ、そしてeコマースがくっついているという、私たちにとっては笑いの先鞭の形としても取り組もうと思っております。 あとの資料は、47都道府県に芸人が住んでおりまして、おかげさまで観光大使にいろいろ任命させていただいて、地域に住み込んで活躍しているタレントが、このような感じでおります。 あとの資料は「ガールズプロジェクト」の概要。 2つ目が台北でする「ガールズプロジェクト」の資料。 3つ目は、今回が2回目になるらしいですが、渋谷の町全体を、いろいろなお店だ、通りだ、広場を利用して、ファッションフェスティバルをするというようなものでございます。 最後の「ママプロジェクト」というのは、ガールズフェスタ、ガールズコレクションのスピンアウトといいますか、別バージョンで、パワーがあるママ、母と子どものフェスタです。これも、私は詳しくないのですが、セレブ系とか、ガテン系とか、いろいろジャンルが分かれているそうで、そういう流れでやろうと思っています。この「ママプロジェクト」は、それなりのパワーを持ってやっておると思います。ごらんいただければ幸いです 以上です。 ○中村会長 ありがとうございます。 大変ないろいろなモデルやヒントが満載という感じですけれども、これについてコメント、質問など、もしございましたらどうぞ。いかがでしょう。 ○芝田次長 事務局から御質問して申し訳ないのですが、最初の「47都道府県エリアプロジェクト」というものは、今お聞きしたのからすると、芸人さんが各地域に住んでいて、観光大使等の公的な仕事もやる中で、その地域の物産なども発掘して、それをどこかで集約されて、今度、台湾で物産展みたいなのを開催されるような流れというふうに理解いたしました。ある意味ローカルに埋もれているクールジャパンの素材を発掘して、それを海外展開するという、1つのモデルのような気がいたしておりますけれども、実際にローカルで物産を発掘するために、どのような活動を地域でされているのか、ちょっとお話しいただければと思います。 ○大﨑委員 番組を通じて、いろいろな名人や名物や名産を訪ねて歩いて、みんなで楽しむというような番組です。その中から、2年ほど番組を続けておるのですけれども、多分、コラボ商品で十幾つかの商品があり、それなりの売上も上がってきております。 当社の大阪の劇場の下の350坪ほどの物産展には、先月、東京と大阪で、全国の市町村様にお声がけをして、説明会をさせていただきました。600市町村様に御参加いただいて、非常に前向きにとらえていただいていると思います。そういう意味では、商品の数も集まるのではないかと思ったりしております。勿論その市場の前には、いろいろなロボットを置いたり、常時、動画配信をしたりして、ネットワークをつくっていければと思っております。 ○中村会長 もう一つあれですね、ローカルの事例としての沖縄国際映画祭は、非常に国としてもプレイアップしていいのではないかと私は思っているのですけれども、札幌の特区、あるいは京都も特区に手を挙げたいという話が先ほどありましたけれども、そういう幾つかのモデルがこのように出てきていますので、そのあたりもプレイアップ策を考えたいですね。 ほかにいかがでしょう。ひとまずよろしいですか。 では次に進んでみましょうか。ほかにも資料をお出しいただいております。続いていくと資料3-2の杉山委員。 ○杉山委員 2つあって、1つが資料になっているのですが、1つはちょっと戻ってしまうのですけれども、デジタル化・ネットワーク化のところの最後に「人財育成」という言葉が出てきているのですが、僕は教育をやっていて、割と気が長くものをとらえる方なのですが、今、私の大学にもそうですが、全国にアジアから、ものすごく多くの留学生が来ているのです。本当にアジア圏が多いと思います。ですから、文部科学省にお願いしたいのですけれども、大学に是非、留学生がこれだけ多いのですから、知財のことをしっかり持って帰ってもらう。 我々のところも留学生の就職先というのを、もう8年前ですね、大学を始めたころは、ちょっと心配していたのです。留学生が多いと、日本で就職を希望する人が、なかなかかなえられないのではないかと思ったのですが、実はここ1年間ぐらいでころっと状況が変わりました。会長がおっしゃったように、本当にグローバル化というのが待ったなしだというのが、やはり産業界に伝わったようで、今はネイティブが、要するに中国語ネイティブとか、それぞれの国のネイティブでコンテンツ産業に勤める人というのを、企業がいきなり求めるようになりました。中国語がしゃべれてコンテンツをつくったことがあるならすぐ来てください。同じ能力があるなら外人の方がいいですみたいな感じなのです。でも彼らは、やる気のある人は、2年とか3年、日本のやり方を勉強したら、戻って、向こうでやろうと思っているのです。 だから知財の考え方をしっかり持って帰っていただいて、あちらに行っても、ああ、こういうことはみんな自国民が違法しているなというようなことを思うはずなので、その辺をきちんと大学側に伝えてほしい。我々がやっていても年間100人ぐらいしか中国の子やアジアの子を教えられないので。それは割と、数年先にじわじわときいてくる。知財を守ってもらうという、上からの、国対国というのもあると思うのですけれども、それを1点お願いしたいと思います。何か考えてください。 それから資料3-2は1枚、時代背景をちょっと見ていただいて、去年、人類が70億人になりまして、現実にはその半分が30歳以下なのです。つまり1981年以降生まれなのです。2歳のときにファミコンがあって、13歳のときにインターネットとPlayStationを使ったというような話なので、それ以下の人は、本当に生まれたときからあるという状態です。 ダボス会議でいつも思うのですけれども、ちょっとリアルなこと側に乗っているし、割と年齢の高い人たちの意見も多く出てきているような気がするのです。それはそれとして重要なのですけれども、本当に若い人は、人生の半分ぐらいサイバーで暮らしていると言ってもいいと思うのです。 After Computerという時代の人間性とか社会を討論するような、ダボス会議のようなものを、そろそろ日本でやったらいいのではないか。なぜ日本かというと、日本はやはりインフラという面では、いつもいつもアメリカに先を越されて、先ほど言ったエコシステムみたいなもの、角川会長がおっしゃったように、先んじてやられてしまうのですけれども、その上で活動するということについては、多分、サイバー内で最もビビッドに活動している国民なのです。初音ミクという様相を見ても、まさにそうです。 そういう意味を含めて、これは冗談ですけれども、D20と書いて、国境を越えてサービスを展開しているような企業と、日本で代表的な企業、それから各国から、僕だけではとてもアイデアがないのですけれども、そういう人たちを集めて、日本でやったらいいのではないかと思っています。こういうのは政府に力を入れていただいてやるに値すると思いますし、ちょっとコンセプトは違うのですけれども、先行事例はe-G8とか、G8のときにフランスがやったやつとか、The London Conference on Cyberspaceというのは主にセキュリティについてやったのですけれども、そろそろそういう先進国で事例も出ていますので、インフラの上に立って活動というような、そういう人間ですね。22世紀に向けて見ていくような。そういう会議を日本で始めたらいいのではないかという御提案です。 この2点です。よろしくお願いします。 ○中村会長 ありがとうございます。 この点についても、コメント、質問などありますでしょうか。 では、私から2点ばかり申し上げたいのですけれども、杉山さんが、人財育成と、それからデジタルダボス会議のことをおっしゃったのですが、まず最初の人財育成の方は、たしか資料の12ページに、1人1台の情報端末、デジタル教材という記述があります。政府もようやくデジタル教科書の開発普及に向けて、今、文部科学省、総務省の予算で、20の学校を選んで実証実験が始まっているのですけれども、これを早急に100校ぐらいまでは広げていただきたいと思っています。 教育コンテンツ、教材の開発というのは、非常に国際競争力があるだろうと思っておりまして、海外展開も同時に視野に入れるようなことをしていただきたい。 同時に、ここにはいろいろな課題もありまして、デジタル教科書をめぐる著作権処理の問題ですとか、あるいは制度上、デジタルの教科書というのは、教科書とした位置づけはまだ得られておりませんので、このあたりの議論もそろそろ始めなくてはいけないのではないかと感じております。それが1つ。 それから杉山さんが、デジタルネイティブのダボス会議、サミットのようなことをおっしゃいました。実はジュニアサミットというのが以前ありまして、1995年に、最初は東京で開催されました。これは当時の通産省と郵政省が結構力を入れて開催したもので、これからインターネットが世界的に普及していくから、それを若い世代が、どのような社会をつくるか考えようと。そういう会議でありました。98年に第2回目をMITのメディアラボで開催したのですけれども、以来それは途切れておりまして、また15年ほどたって場面が変わったということもありますので、今、杉山さんがおっしゃったのは、非常におもしろいアイデアではないかという気がしております。 同時に、私からも今日、急遽パンフを配らせていただきました。黄色い冊子で「ワークショップコレクション8」というものです。「7」というのは去年もお配りしたのですけれども、今度の2月も行います。子どもがデジタル技術を使ってアニメをつくったり、音楽をつくったり、電子新聞をつくったりするという、そういう催しで、開いていただきますと、左下に、「よしもとキッズお笑いワークショップ」というのもありまして、よしもと芸人さんたちにもお越しをいただいて、子どもたちとワークショップを開催するということもやることになっています。 去年のワークショップコレクションには2日間で62,000人が参加をしました。世界最大の子ども創作イベントなのですけれども、実はこういう分野の、若い世代がデジタル技術を使って何かするというのは、実は日本は世界の本場になっていると私は思っているのですが、なかなかそれは認識をされていないと。今年はもっともっと人が来て、パニックになるだろうなと思ってはいるのですが、主催側としても、実は大赤字でやっていまして、続かないのではないかと思っています。 申し上げたいのは、本当はこういうのは、常設の会場があちこちにあって、それでずっとやり続けているというのが大事だろうと思うのです。例えば海外に行くと、子どもミュージアムとかがあるのですけれども、日本にはそのようなものがないので、そのあたりも政策として何か力を入れることができるのではないかと感じているところです。 ひとまず私からは以上です。 ほかにもしコメントなどありましたら、お願いします。どうぞ。 ○角川委員 実は私もダボス会議に出てまいりまして、コンテンツエコノミーというセッションができたので、それに参加しないかということで、行ってまいりました。1部と2部とあったのですけれども、1部はマイクロソフトの人だとか、アルジャジーラの人だとか、そういうジャーナリストの人たちが、デジタルネイティブがかなり発言権を持ってきていて、そこでは私は、むしろダボス会議では、人種問題というものが割と、もう解決したような感じというのですか、触れることが少なくて、むしろデジタルネイティブと旧アナログ世代との対立というのでしょうか。それが結構先鋭化しているのではないかと思いました。 そういう象徴が、ちょうど今、アメリカでネット法が審議されていますけれども、それに対する態度というのですか、外では、僕たちが新聞などを読むと、ハリウッドとシリコンバレーとの対立みたいなとらえ方をしていますけれども、実はデジタルネイティブと旧アナログ世代の対立というものが、インターネット法みたいなものに対する是非という形で、非常に先鋭的に出てきていました。 私もどちらかというとアナログ世代ですから、その場で、あのくそ法律みたいなことを言われたときには、ちょっとむっときまして、やはり海賊版を何回も流しているサイトに対しては、3回ぐらい警告してシャットダウンすることもできるのではないかというふうな方向というのは、ある面で正しい方向だと思っていたのですけれども、ああいう言葉はけしからんとか、ネットの民主主義に違反するものだとかというふうなところで出ておりました。 そういう中で、コンテンツエコノミーという視点で考えますと、今、会長がおっしゃったように、ダボス会議がそういうふうなとらえ方をして既に開催されているのならば、久しぶりに日本でダボス会議を提案したらどうか。そうすると今、杉山さんが考えていることとの合体ができるのではないかと思います。非常にダボス会議はそういうことの提案を待っていると思いますので、別個にするというよりも、ダボス会議は御存じのとおり、年に1回スイスで行われますけれども、そのほかは中国の天津で行われたり、それからタイで行われたりしておりますので、その間、日本で行われてもおかしくないと思いますので、是非それを打診するなり、推進するなりしていただけたらよろしいのではないかと思います。 ○中村会長 ほかによろしいでしょうか。 では、もう一つ資料をいただいております。資料3-3、吉羽さん、お願いします。 ○吉羽委員 前々回だかでお話しした内容をちょっとまとめたのですけれども、資料の前に、吉本さんからも海外展開をされているお話があったので、講談社での海外展開、最近の動きで幾つか御紹介をさせていただきたいと思います。似たような動きは角川さんもやられているので、また角川さんからもと思います。 まず、コミック関連がやはり中心になるのですけれども、漫画は90年代後半ぐらいから非常に注目を浴びて、世界中でいろいろと出たのですけれども、北米が特に、ここ数年間、市況が非常によろしくなくなりまして、出版社がどんどん、コミックの出版、日本の漫画の出版から撤退するというような事態が起きていて、それにとってかわる形で、弊社も直接現地に出版社をつくった上での漫画の出版ということを何年間か取り組んできています。 それから先般、新聞でも報道がありましたけれども、台湾では電子出版をするジョイントベンチャーを現地の大手出版社と組んでやるというようなのを進めておりますし、中国でも、これは角川さんが先行されていますけれども、漫画の雑誌をジョイントベンチャーの形で出版するというようなことを、今年実現させていきたいというふうに考えております。それからこの資料にもありましたけれども、インドでアニメーションをつくるプロジェクトというのも進めております。 全体的に何を申し上げたいかというと、日本のコンテンツがかなり世界で注目されてきていた90年代後半から2000年の頭にかけてというのは、基本的には売り手市場で、ライセンスベースで物事が回ってきていた時代でしたけれども、今はやはりコンテンツを持っている側、日本側がかなりいろいろな形での直接投資をしないと厳しい時代に入ってきているというところが、大きく変わってきているのではないかと思います。 ソフトパワーの強化というのがありましたけれども、ここから資料のお話につながっていくのですけれども、かつて、放っておいても注目を浴びていた時代というのがあって、そのころは多分、ソフトパワーを強化とかという言い回し自体が必要なかったのだろうというふうに思っております。 前にお話をした、コンテンツの流通促進のためには、プラットフォームをつくっていく必要があるだろうということで、資料の方にまとめましたけれども、今、親日で、非常に日本のコンテンツを見てくれている台湾でも、韓国のドラマが相当席巻をし始めていて、観光客もかなり台湾から韓国に流れているという話も聞きましたし、台湾でのテレビドラマの制作自体がちょっと危機的な状況に入ってきているというようなことも聞いております。テレビドラマがかなり韓国製のものに人気が偏っていく中で、台湾の役者さんが、台湾の中でのテレビドラマで食えなくなってきて、中国に流れ始めているというようなことを現地のメディアの方から伺ったりもしました。 日本においても、ここの1番にありますけれども、韓国は日本に放送プラットフォームを設立して、ドラマやK-POPを放送しているということで、ここにありますのはJ-COMというケーブル局の番組表で、これは抜粋ですけれども、一番左側にKBSのチャンネル、これはNHKの国際放送のようなものかと思いますけれども、見ていただくと、NHKの国際放送とは大分趣が違って、かなりドラマであるとか、エンタメであるとかいうところにシフトして、どれだけおもしろいコンテンツを流せるかというようなところに意識が行っているように思います。非常に商業的な取組になっています。 それから真ん中あたりにMnetというのがあります。これは3番に書きましたけれども、CJ Japanという会社がやっておりますけれども、CJ Entertainmentという韓国最大級の制作会社の放送局です。 それから一番右端にKNTVというのがあります。これは韓国のSBSが出資している局ですけれども、こちらではもう一局ありますMBCの番組も放送しているということです。 韓国は最近、地上波を増やしましたけれども、もともとあった3つのステーションの番組が見られる。それから、こうした韓国のテレビ局はサイマル配信もやっていますので、字幕がなければサイマルでも見られるというようなことで、日本にいて、かなり韓国のエンタメ、情報番組、音楽、こういったものが同時的に見られるような環境になってきています。 日本もこういったことを考える時期に来ているのではないかというふうに思いますけれども、そのためには、2番、3番、4番といったような施策が同時並行的に必要ではないかと思っております。 権利処理の円滑化ということで言うと、著作権処理と同時に、インターネットと放送の垣根の部分、サイマルの発信というのはどうしても必要ですので、こういった意味ではインターネットプラットフォームを有効に利用しながらということも併せて進める必要があるかなというふうに思います。 それから中文、英文では、ファンサブとかスキャンレーションといったものが、ボランティアベースで出てきているものを商業的に束ねるサイトがあったりするわけですけれども、こういったところへの対抗という意味では、翻訳のコストをどうしていくかという問題、この解決が必要です。 これも、前々回だかお話ししましたけれども、コンテンツの販売促進へ何らかのインセンティブを与えてもらうことができないだろうかというのは、コンテンツ事業者としては感じるところです。 1番のプラットフォームの部分なのですけれども、何となく各省庁のエアポケットといいますか、これは外務省さんの案件なのか、経産省さんの案件なのか、それとも総務省さんの案件なのか、海外での配信とか放送プラットフォームというのは、一体どこのところで考えていただけるのかがちょっとよくわからないところは感じています。 これをだれがとりまとめていくのかという意味で言うと、この場にいらっしゃる、やはり内閣官房の皆さんが、かなり力を持ってやっていただかないと、なかなか難しいのかなという印象も持っておりますので、是非とも皆様のお力を強くされてはいかがかというふうに思っております。 以上でございます。 ○中村会長 ありがとうございます。 これについていかがでしょうか。どうぞ。 ○谷口委員 音楽産業、音楽業界としては、今日は特に資料を持ってきていないのですが、今、吉羽さんのお話をお借りする形でちょっと発言させていただければと思います。 音楽を海外に発信していく、それをビジネス化していくということについて、具体的にどうすればいいかというのを我々の仲間と相談をしているのですけれども、最近出てきた意見として、やはり今のK-POPが日本を席巻しているという事象に見習うべきは見習うべきであろうというところがあります。 具体的に何が起きたのかというと、やはり韓国の文化の輸出というのは、先鞭をつけたのは映像だと思うのです。映画とかドラマとか。それをきっかけにして、そこに出ている俳優さんのブームであるとか、あるいは使われている音楽が耳になじんで、もっともっとK-POPへ深化していくとか、そういう流れがあったのであろうということを仮説としてとらえて、我々もやはり、最終的に日本の音楽を海外で展開する、アジアで展開するためには、まず日本の音楽が紹介されるような映像メディアを確保して、それで耳なじみをつくった上で、そこで使われている音楽を、実際にパフォーマンスをしている人たちを紹介するようなイベントなり、ライブショーケースなりをつくって、それがあって初めて、アーティストさんのひとり立ち、ビジネス化ということができるのではないかというふうに今はとらえています。 少し前の勉強会でもお話しさせていただきましたけれども、CDとか音楽配信とかレコーデッドミュージックというふうにくくっていますが、それをもってどうアジアで展開するかということで言うと、多分、壊滅的に不可能だと思うのです。音楽で外貨を稼いでくるということでビジネス化の唯一の光というのは、やはりアーティスト本人が稼働して、展開していく。なので、それを目標として動いていくということで言うと、逆説として考えていくと、最初はやはり映像メディアの確保とか、その展開とかということになろうかと思います。 では具体的に、何か音楽番組をつくるとか、音楽情報番組、文化情報番組を制作して、オンエアしていくかとか、そういうことも勿論考えるのですけれども、これもK-POPのきっかけということで考えていくと、オールジャパンの文化発信のようなテレビドラマのようなものというのをつくっていくのも1つの手ではないかというのを最近考えていまして、勿論それは、文化的なコンテンツだけではなくて、プロダクトプレイスメントのような、中に出てくるテレビは全部ソニー製品ですよとか、そういうことも含めて、オールジャパンのもので行けば、ある程度、スポンサードも稼げて、具体的な制作費も捻出できるのではないかというところも考えてはいるのですが、笑い話になりますけれども、今、ソニーが調子が悪いので、そんなことを考えていると、結局サムスンのテレビしか映らせられないのではないかとかいうこともあります。 ところが、そういうことを考えているところで、1つ、思いがけず気づいてしまったのが、吉羽さんのにもありますし、参考資料のどこかにも書いてあったと思うのですけれども、音楽著作権とか、原盤の利用について、これが結構大きな障害になっているという御意見が多々あります。我々はそんなことないんじゃないのとずっと思っていたのですけれども、実は自分たちでテレビドラマをつくろうと思ってみると、これがやはり大きな障害になり得るなと感じております。 というのは、原盤の権利を持っている人たちというのは、レコード会社なので、彼らは先ほども言いましたが、そもそもCDの展開ではアジアで商売にならないというふうにわかってしまっているのです。なので、将来のビジネス化のために、今、これは布石なのですという理解にはならないと思うのです。 つまりこれを彼らの商売にしてあげないと、ドラマで音楽を使うということに対するメリットを全く考えられない。であるから、このドラマをつくるに当たって、それがレコード産業のインセンティブになるような形を組み立ててあげないと、うまく回っていかないのではないかというふうに最近は考えております。音楽業界が一枚岩ではないということを露呈するようで大変恥ずかしいのですけれども、まずそこが第一歩。みんなが横一線になって、将来への布石というところからして、そもそも考えを改めなくてはいけないのかなというふうに考えております。 以上です。 ○中村会長 どうぞ。 ○大多委員 最初の全体的な話のときに、お話ししなければいけなかったのかもしれないのですが、今ずっとお話を聞いていてつくづく思うのですけれども、分科会とかでも言っておりますけれども、例えばクールジャパン1つとっても、これだけのいろいろなものが出てきている。結局、こういう会議に出ているんですよというと、よく聞かれるんです。じゃあクールジャパンで何をやることになりそうなんですかというと、いや、いろいろなんですと答えざるを得ないのです。それをそろそろ、本当に脱却しないといけないなというふうに思っていて、クールジャパンでもたくさんのページを割かれていて、どれがメインディッシュでどれがサイドディッシュなのか。今回の「2012」においてのハイライトは何なのか。例えばクールジャパンにおいてのハイライトは何なのかというのがなかなか見えてこないのです。 今、お話を聞いていて思うのは、やはり一般の人にはっきりわかるものを、国が施策として打ったというところだと思うのです。それが一番強いのは、恐らく音楽であるとか、ドラマであるとか、映画だというふうに思います。アニメもありますけれども、今の話のように、K-POPであるとか、ドラマに関しては、非常にやはりやられているという感が強い。であるならば、今回「2012」に関しては、逆転すべくこういうことをやるんだ。今のプラットフォーム。なかなか韓国でプラットフォームができるというのは、大変な、至難の業でしょうし、あれですけれども、日本の俳優やアーティストは、向こうへ行っても余り商売にならないから行かないというのもありますけれども、もっと積極的に出るとか、全然違った発想によって、大分改善されることもあると思うのです。 であるならば、クールジャパンにおいては、今回のハイライトはこれです、それからデジタル化・ネットワーク化の方に関してはこれです、というのをせめて1つか2つぐらい、それが○とか△とか×という評価ではなくて、これはやる、そして必ず、絶対結果を出すためにお金を使う、というような、そういう表明が必要なのではないかなというふうに思っています。 すごく毎回注目しているのが、その中でも、このクールジャパンで言うと、All Nippon Entertainment Worksですか。設立を登記して、何と60億円を出資すると。僕が聞いた限りでは、60億円の出資というのはすごいお金だと思うのです。こんなことが、こんなところでちょろっと書かれているけれども、これはもしかしたらハイライトになるのではないか。ではこれで一体何をやるんだといったら、今みたいな話がたくさん出てきて、こんなことをやるんですよとなると、今回の「2012」というのはそういうことなのねというのが、いわゆる一般の方にも、国がやろうとしていることが見えてくるというような気がするので、その辺の絞り込みも必要だと思います。 個人的には、やはり映画やドラマや音楽が非常に一般的にやっているというのもありますし、それから、もう一つ、すごく大事だなと思うのは、いろいろな省庁の方たちが、海外でもいろいろな日本の文化を紹介されているのですね。ここにもたくさん出ていますし、これから桜祭りがワシントンでどうだとか、いろいろなことがありますけれども、今言ったような、そういうエンターテインメントが向こうでどれだけ人気なんだという成果が、こちらに余り伝わらないのです。何か韓国の人たちがこちらへ来てすごいというのだけ、日本人はすり込まれて、どんどん目線が下がってきてしまって、向こうで日本のアニメがこれだけ人気だとか、日本のドラマがこんな人気なんだよという話が入ってこない。 ところが海外へ行ったり、省庁の人などに聞くと、いや、向こうでこんな人が人気なんですよとか、こんなアニメがすごい人気ですよと。ああそうなのというのは聞くのですけれども、それがフィードバックされてきていないのです。その辺も含めて、両面でやっていくと、かなり大きなムーブメントが生まれてきているなという、やっている感というのがすごく大事だと思うので、そういうのが生み出されているなという感じが出てくれば、今回の「2012」はいい方向に進むというふうに考えております。 ○中村会長 All Nippon Entertainment Worksへの言及がありましたけれども、伊吹さんから何かありますか。 ○経済産業省伊吹課長 まだ対外的に発表される段階ではないと思うので、余り詳しいことはお話しできないのですけれども、今、経営者の選定のプロセスで、大体もう終わっていると思いますので、多分、今月中か来月頭ぐらいには、何らか対外的に公表されて、実際の案件を、どういうものをやるのかというのを業務として始めるという段階になってきているというふうに承知しています。 ○中村会長 今ありました、海外のメディアを押さえるという話。実はこれ、以前にもこの場で何回か出てきたことがあります。今回、2本柱の1つとして、クールジャパンだけではなくて、コンテンツサイドからデジタル・ネットワークの整備をどうするのかという柱になってきたのも、その1つの流れかと思いますし、以前、川上委員から提案がありました、国際的なネットワークの整備をちゃんとすべきだというのも、その流れにあろうかと思います。 海外のメディアを押さえる仕事というのをだれがやるのか。コンテンツ企業がやるのか、商社がやるのか、だれがやるのかということも含めて、これは戦略的な深掘りが要るなと。それに対する政策的な支援、例えば税制措置みたいなインセンティブをどう入れていくのかというのも、もう一段、組んでいくべき必要があるかなと思っております。 もう一つ、吉羽さんの資料の中にも、翻訳コストの負担軽減というのがありました。これは以前、この場ではなくて、実は思想家の東浩紀さんがおっしゃっていたのですけれども、海外に情報を発信するもう一つの有力な手段として、日本のさまざまなウェブサイト、おたくサイトのようなものに、片っ端から翻訳をつけてやって、多言語化してやっていけば、相当な日本から海外への発信力になるはずだと。私もそれは何らかの形で実現できないかなと思っておりまして、非常に予算をかけずにかなりの効果が期待できるアイデアではないかなと思っております。 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。 ○角川委員 総務省もいらっしゃるのでお聞きしたいのですけれども、前に、国際放送をNHKに委託するという事業があったと思います。僕もそのときは委員として参加していて、実行するという話になっていて、社長さんまで決まっていましたけれども、それがメディアとして活用できるのではないかと思うのですけれども、その後どうなっているのでしょうか。 ○総務省竹村課長 NHKワールドの中で、日本国際放送という会社、略称JIBと言っていますけれども、その会社が自主放送枠を持っておりまして、それが角川会長のおっしゃるとおり、今までは放送の自主放送枠がなかなか少なくて、せっかくできたのに、余りぱっとしていないという御指摘があったと思います。 今回、第三次補正で震災、それから原発事故の風評被害払拭ということで、私どもの方で予算を確保させていただいて、各省とも連携しながら、政府がスポンサーになって日本の情報を出していってもらうというプロジェクトを推進しておりまして、そこでJIBの放送枠がかなり拡大したということでございます。これはあくまでも補正予算のプロジェクトですので、これを一過性にせずに、今後どういうふうに継続的に、JIBの方で情報発信していただくかということについて検討していきたいと思います。 ○角川委員 その中で、今のコンテンツ展開について、ちょうど今の進んでいるプロジェクトと一緒になっていくというふうなことは可能でしょうか。 ○総務省竹村課長 海外にプラットフォームをつくっていくというのは非常に重要なことと考えております。その中で、NHKワールドとか、やはり韓国のKBSなどのチャンネルに比べて、報道とか、ドキュメントに偏っていて、エンタメですとか、J-POPの情報の発信もしていくべきではないかという御指摘はあると思いますので、そこと含めて考えていきたいと思います。 ○角川委員 是非よろしく検討してください。 ○中村会長 どうぞ。 ○中島本部員 2つお願いがございます。 1つはクールジャパンの方です。いろいろ権利侵害とか、保護しなくてはいけないという部分もかなりある中で、まだまだそういう段階まで至っていないプランニング、これから企画をして発展しなければいけないという分野も随分あるわけです。観光の関係、食品関係、地域産品、住まい等々ですけれども、これらに関しては、いろいろ日本国内全体で、随分隠れたアイデアが散在しているわけです。中には大変いいものもあると思います。単品ではなくて、例えば最近、急激に普及してきたスマートフォンとの融合とか、ネットワークとの連携、そういうアイデアも随分あるわけですけれども、是非そういったものを拾い上げて、政府として支援するような、これはコンテストでも何でもいいわけですけれども、そういう意味づくり、物語づくりによって、地域を活性化するような、場合によってはスマートヘルス、スマートエコというふうなものも随分あります。こういったものを部分的に、または日本全体としての運動に広げることで、大分活性化する気がいたします。大して予算もかからないと思いますので、是非、政府として、そういう、いいアイデア、いい創作をどんどん取り上げるような施策をつくっていただきたいと思います。 それから2点目です。せっかく各省庁さん見えておりますので、ちょっと細かいのですけれども、GI、地理的表示の保護についてでございます。保護制度を普及発展させるのは大事なことだと思います。一方では、地域団体商標との関連とか、TPPで、アメリカが商標制度で保護しなさいというふうに要求している問題とかあるわけです。今後研究会を立ち上げるということですけれども、是非、経産省さん等の商標制度の関係者とうまく連携をとっていただいて、積極的に普及発展させていただきたいというのがお願いでございます。 以上です。 ○中村会長 よろしいでしょうか。どうぞ別所さん、お願いします。 ○別所委員 何度かこの会議で既に言っていることとも重複するかもしれないのですが、改めて、各省庁の皆さんもいらっしゃるのでと思うのですが、前回、JAPAN NEXTという、具体的なプロジェクトという話が、これは震災復興を含めて、クールジャパン、あるいはデジタルコンテンツ、知財に関連して1つの具体的なコンセプトが生まれたわけですが、前回のミーティングでも申し上げたとおり、やはり、チャートにするかどうかは別にしても、クールジャパンであるとか、各省庁の皆さんの、現在あるアクティビティとかアクションプランが、どうそこに関連づいているかということが、広く国民、そして海外の方にメディア発信したときに、どういうふうにとらえられるかというのは、今回は非常に重要な気がします。 というのは、非常に僕はいい機会だと思っています。いい機会という言い方はいけないのかもしれませんが、震災を受けて、世界は本当に、日本の今の底力というものに対して注目をしているわけで、そのときに何ができるかということ、発信力が非常に求められますし、向こう側も、聞く耳を持っている国々が実際あるわけで、是非、前回も申し上げましたが、それぞれの横断的な考え方が、ここから発信されるべきかなと思います。 前回も申し上げましたが、では、JAPAN NEXTとして、あるいはここにいらっしゃる省庁の皆さんが、横断的に一貫して何か、1つのプロジェクトをやるのかやらないのか。既存の今までのものを、そういうコンセプトとして打ち直して、今年度、4月以降やっていこうとするのか、その部分は非常に、こういうミーティングに関わらせていただいた者として知りたいなとは思います。 それからインターネット上のことに関しては、これも何度か言っておりますが、電子書籍に関しては、若者で起業意識のある人間は、アジアのシンガポールであるとか、ほかの地域で会社を興して、日本語ベースのウェブサイトをつくって、そこに日本にいる国民というか、市民には、見に来てもらえばいいと。規制緩和であるとか、著作権の問題とか、既得権益の部分の20世紀的な権益者とプラットフォームに関して保護するであるとか、著作権がなかなか改定できないとか、のろのろしているうちに、その部分も完全に空洞化すると思います。 実際に僕たちの仲間も、あるいは海外で言いますと、映画の字幕などは、もうハリウッドでつくって日本に向けては、インターネットで出せばいいと。ですから半製品と今まで言われていましたが、日本の配給会社は要らない。日本のマーケットも、マーケティングに関しては、ネット上で全部つながってしまって、日本のお客様は知らず知らずのうちに、ヨーロッパやインドネシアやアメリカにあるサーバに接続されて、そちらで日本語字幕、あるいはもっと言うならボイスオーバー、吹き替えしたものがそちらでつくられて、そちらにお金が落ちるという仕組みを本気で考えています。実現してしまうと思います。 来年、再来年、またこういうミーティングに僕が参加していれば、多分そういうものがどんどん、電子書籍においても、映画の産業で、配給や流通を、今までの既存の形でやってきた方々のビジネスモデルを守るとか、あるいはそれを何となく法規制するとか、そういう概念でいっている以上は、取り残されるというか、もう日本の消費者そのもの、マーケットそのものが、インターネットを通じて海外に逃げてしまう。あるいはお金の落ちる仕組みが変わってしまう。 これも昨年度のミーティングでも言ったかもしれませんが、電子マネー、金融の世界もそうなりつつあると思います。ポイント制度にしても、それからインターネット上のクレジット決済に関しても、日本でやらなくてももういいわけです。 そういうことがどんどん広がっていっているという現実が、かなり危機感を持って、国家戦略というのか、コンテンツビジネスにおいて、僕は一介の俳優で、映画祭をスタートして、いろいろ海外の方々と交流している、こんなレベルでも感じるわけですから、国レベルでは非常に大きな問題だとは思っています。 例えば具体的には、インターネット上に国家戦略室はあるのでしょうか。あるいは外交官はインターネット上にいるのでしょうか。もっともっとサイバースペースと言うのであれば、国レベルでニュース性も含めて、大臣を置くとか、あるいは日本は外交官を置いているとか、警察も、国家警察として、インターネット上にちゃんとそれを連動して持っているとか、もっとそういった、画期的なとは言いませんが、斬新でスピーディーな判断が既に求められているような気がしております。 各論においては、それぞれのことを、どれだけアクションプランを起こすかということだと思うのですけれども、何が起きているのかというと、規制するとか、法改正を検討するとか、そういうレベルのことがここ3年、情勢分析ばかりで、現実論としては、アクションプランがどこまで起きているかというのは、非常にもう問われるし、行わなければいけない。 もっと言うなら、規制緩和というか、完全な、北海道の特区の話がここにありましたが、完全にもう、違法性があるかもしれないが、この分野に関しては、この地域において、あるいはこのネット上のここにおいては、難しいことはいっぱいあると思うのですけれども、国が保証、担保しつつ、世界中の、違法性を含めた事業者が、こぞってそこでトライアルアンドエラーができる場を、ここ日本が用意するというぐらいの世界への発信力が欲しいかなと思います。 全体の中での構成では、私は非常に弱いなと思うのは、外へどう発信するか、出ていくかということが多いのですけれども、もっともっとインバウンド政策を皆さんが推し進めるべきだとは思います。 日本にもっと呼び込む。呼び込まなければ、海外の人でも、どんどんそれが自由にできる環境が、海外の人には伝わっていないと思います。インバウンド政策に関する提言であるとか、方針がほとんどないので、ちょっとそこが残念であり、変えてほしいと思うところです。 最後に、これはこの間も、ちょっと打ち合わせでお伝えしたのですけれども、やはり行政の皆さんがこうやってそろってくれているのですけれども、一時期までいらっしゃった政務官が一度も来ない。まあ、僕がいないときに来ていらっしゃるのかもしれませんが、これに関連した担当責任者も大臣も、耳を傾けているのかどうかわからない。その辺がやはり、政治判断をする人がどう思っているのか。国のレベルで言うと、余り重んじていないというふうに実感せざるを得ないのかなという気がするので、是非、この後何回かあるうちに、そういった大臣クラスであるとか、少なくとも政務官がどういうおつもりなのかというのを伝えられる場があるといいなとは思います。 以上です。済みません、長くなりました。 ○中村会長 ありがとうございます。 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。 ちょっと雑談めいて、ジャストアイデアなのですけれども、今朝、NHKのニュースを見ていましたら、初音ミクの特集をやっていました。最近多いですね。改めて、あれというか、彼女というかが注目されているといいますか、ロンドンのオリンピック、オープニングで歌わせたい歌手を世界中で募集したら、初音ミクが1位を取っちゃったとか、海外の車のCMに採用されたとか、非常に国際的な人気を博している1つの例で、しかもそれがひとりで育っていった例だと思うのです。私は、それがなぜ注目をされているのかというのを、今回どこかで着目してもいいのかなという気がしております。 というのも、3つぐらい特徴があると思っておりまして、1つは、ボーカロイドという技術と、それから初音ミクというキャラクターの表現力といいますか、コンテンツ力のドッキングしたところにあれはある。つまり、ものづくりと文化力という日本の強みをドッキングしたところにあるという特徴が1つと、もう一つは、ソーシャルですね。 あれはニコニコ動画で育ってきたもので、二次創作、三次創作がどんどん増殖している。作曲も演奏も、踊るというのも、ライブも、いろいろな参加の仕方があるという、みんなでつくる文化といいますか、これも1つの日本の強みだと思うのですけれども、それが広がっていったと。オープンさといいますか、これからのモデルの1つかなと。 しかも、3つ目としては、非常にそれが自然発生的に国際化しているということです。今やそれを逆に、札幌が観光で盛り上げようとしたり、あるいはグッズやファッションに展開したりするという、コンテンツからクールジャパンの方に広がっているという、1つの成功モデルといいますか、今回もどれか成功モデルをつくってプロモートしようというのが案にもあるのですけれども、そのような例というのは、これは1つの例ですけれども、いろいろあるのではないかという気がしておりまして、そのあたりも紹介できればなというふうに。例えば政務官なんかに説明するときに、一番わかりやすいかなというふうに思った次第でございます。 どうぞ、久夛良木さん。 ○久夛良木委員 今年のどこかで、多分Appleが巷間噂されているiTVを発売するのではないかというふうに言われておりますし、韓国のサムスンとかLGとかを含めて、この間のCEショーで発表されていたような最先端の有機ELディスプレイにアンドロイドOSを組み込んだような最新のスマートテレビを登場させる可能性も高まってきていると思います。 こういった中で、従前のテレビはというと、そこにはチューナーが標準でついていて、フジテレビとか、TBSとか、日本テレビとかを選局するとか、こういうふうな習慣に我々はずっと何十年もいたわけですが、デジタルネイティブというか、ネットで生まれた人たちは、もはや従前のテレビというものをあまり見なくなってきていて、テレビのチャンネルを選ぶというよりはどこかの動画サイトに行って映像を楽しむようになっているのだと思うのです。ただ、残念ながら今のネットのバンド幅の問題等、川上委員からも御指摘のあるように、たくさんのコンテンツを全てHDクオリティで流すということはまだまだできないのかもしれないのですが、今のテレビ局がやっておられるように、ある程度、番組という形で複数のチャンネルに編成してHDで世界に向けて発信するということは、もう十分今のインフラで可能になりつつあると思うのです。 そうなった場合に、我が国が、アルジャジーラのように、官、もしくは民、もしくは共同で、日本のコンテンツ、もしくは日本そのものを海外に向けてネット上にどんどん配信していく。配信というか、世界に向けて積極的に日本を発信していくというような枠組みというか、そういった活動というのは、先ほどのNHKの国際放送以外に具体的な事例はあるのでしょうか。もしあるのだとすると、だれがそれを引っ張っていて、どういうようなロードマップで、多分今年とか来年にはそういった時代が一気に世界中で花開くと思うのですが、発信しようとしているのかを、各省庁の方がいらっしゃるので、是非お聞きしたいというふうに思います。 ○中村会長 どなたかありますでしょうか。そのような動き。 ○総務省竹村課長 ネット上で発信というのは非常に大事な話で、放送番組を見るにしても、現実は海外の皆さん、ネット上で日本のコンテンツを知っているというのが現状でございますので、海賊版対策ということを考えても、できるだけ早くネット上で出していくというのは非常に大事だという認識でおります。 ただ、今までのところ、例えば放送コンテンツを同時にネット上で出すという取組は、NHKもそうでございますが、イギリスのBBCなども含めて、まだできていないと。ここは先ほど御指摘もあったように、音楽の著作権の問題ですとか、実現可能、許諾の問題ですとか、いろいろな権利処理の問題がネックになっているところが現状でございます。 ただ、今後は最初からネットで海外配信することを前提にコンテンツをつくるとかという取組、その場合に、どういうふうにお金を、資金を回収していくのかというのは大きな問題になるかと思いますけれども、そういう方向で検討しなければならないという問題意識はございます。 ○久夛良木委員 恐らく既存の書籍とか、音楽、放送コンテンツをネットワークに流すには、放送法や著作権処理も含めてそれぞれに解決しなくてはいけない問題がたくさんあると思うのですが、そもそもネットに対してのみ流すコンテンツであれば、比較的そういった問題というか、解決しなくてはいけない問題が少ないのではないかと思うのです。 そうなった場合に、プロの方だけではなくて、川上委員のところもそうだと思いますが、アマチュアの方とか、映像コンテンツ制作を専門にされる方が、そういった新たなネット上のプラットフォームが生まれることによって、積極的に、自分たちのコンテンツを流していきたいというように思うのではないか。 それをニコニコ動画であるとか、YouTubeのようなコンテンツ検索の形だけではなくて、普通の人から見ればあたかもそれが放送コンテンツであると思えるようなクオリティと番組の組み方、見せ方という形で、そろそろ実現が可能になる時代になってくるのではないかというふうに予測しているので、今日ここには、コンテンツの出し側であるとか、省庁の方もいろいろいらっしゃるので、そういったことというのは今後何年もかかって次第に起こることではなくて、恐らく今年か来年、一気にネット上で花開いてしまうのではないかというふうに思っていることをお伝えしたいと思います。 そこには、それほど大きな追加的なインフラ投資をしなくても、今のままでもある程度のチャンネル数であれば、フルHDで、世界中に向けて発信できるものと思うので、是非、意識的にも、もはやそういったことが可能になりつつある時代だということを御認識していただきたいというふうに思います。 ○中村会長 御指摘のように、スマートテレビをどうとらえるのかというのは、まだ、これまでちょっと抜けておりますし、それも、GoogleやAppleがやろうとしているアプローチもあれば、NHKや日本の民放が進めようとしているマルチスクリーンの展開の方法もあるでしょうし、あるいはBBCはBBCで、何か別のモデルを組もうとしたりしていますので、そのあたりの情勢を含めて、これはどうとらえてコンテンツとして展開するかというのは今回のテーマになりそうですね。 どうぞ。 ○内閣広報室加治参事官 今の日本の国際放送の現状についてなのですけれども、今回、政府広報と内閣広報で、ディスカバリーチャンネルと一緒に被災地のドキュメンタリーをつくったのです。当たり前のことなのですけれども、海外でアピールするコンテンツというのは、海外にアピールするものをつくれる人たちを巻き込んでいかなければいけなくて、そういう意味で言うと、先ほど杉山さんがおっしゃっていた視点はものすごく重要だと思います。 例えばこのディスカバリーチャンネルは、つくりの方法が全然違っていて、最初にメッセージが出て、それを組み立てるみたいな流れになっている。今おっしゃっていましたNHKの国際放送の部分なのですけれども、そういうところにも、できるだけそういういろいろな国のクリエーターを入れていくという発想は是非議論していきたいと思っています。例えばアルジャジーラなんかは、BBCやCNNの人材をヘッドハンティングしたりしているのです。そういう研究も一方ですごく重要だというふうに思っています。 ○角川委員 総務省に本当に頑張ってもらわないといけないのは、余り今までの放送形態にこだわっていると、もうYouTubeだとかニコニコ動画は実際の通信の世界で放送みたいなことをやっているのです。今日も川上さんがいますから、どこまで言っていいかわかりませんけれども、御本人から聞いた方がいいと思いますけれどもね。ですから、そういう点では、本当に既存の枠組みにはめて考えるということは、ちょっと頭を切り替えた方がいいのではないかというふうに思います。 スマートテレビの話が出ましたけれども、やはり地上波デジタル放送が去年の7月24日にスタートしたことは何なのかということが総括されていない気がするのですけれども、それを一つひとつ総括してみると、テレビというのはもう、例えばテレビ番組すべてがスマートフォンで見られるということが想定されますね。そういう動きを既にテレビ局が電通と組んでやろうという話もあります。 そうすると今、国際的には恐らく、いつでもどこでも放送が見られる、聞ける。どんな端末からでも見られるという環境がもうできているのだと思うのです。 ですから、日本がほかの国から、放送はいつでもどこでも見られる、どんな端末からでも見られるというのを決めたから、日本の総務省が動くのか。日本の総務省が率先して、日本のコンテンツを外に持っていくために、どういうふうに動いていくのか。そこら辺を、総務省の意見として、こういう場で聞きたいのです。 我々の話を聞いて、小出しにして言うのではなくて、自分たちはこういうふうに思っていますよという話を逆に聞かせてもらいたいのです。僕たちが言った言葉を、事務局と打ち合わせをして、この文書に落とし込んでいくというのはちょっと違うのではないかと。せっかく、後ろにいる場ではなくて、この席に座っている以上は、是非、総務省としてはこういうふうにコンテンツを考える、あるいは文化庁としては、こういうふうに著作権を考える、ということを逆に言っていただいて、我々と意見がかみ合うようにしてもらいたいというふうにお願いしたいと思いますけれども、局長いかがですか。 ○近藤局長 おっしゃるとおりだと思います。せっかくだから総務省さん。 ○総務省竹村課長 済みません。アピールが不足していて申し訳ございません。 スマートテレビについては非常に重要な動きだというふうに思っております。既に皆さん御案内のとおり、アメリカのHuluですとか、日本に上陸しておりまして、それはマルチスクリーンということで、いろいろな端末に向けてハイクオリティの画像を送信すると。日本のコンテンツホルダーもそこにコンテンツを乗せていくというふうな動きが出ております。しかも定額料金で見放題ということで、非常に魅力的なサービスではないかというふうに思います。 では日本として、どういうふうにそれに対抗といいますか、措置をしていくかということについて、やはりいろいろなスクリーンで映像情報を見られるという時代になっておりますので、そういったプラットフォームの整備というのは非常に重要になってくるのではないかと。 我々、平成24年度の予算で、スマートテレビに関する実証実験ということで、これはいろいろな方と協力しながら、そういったプラットフォームをつくっていくための実証実験をしていきたいと。それで今のこの世界は、ITUの場よりも先に、デファクトで標準化がされていくような段階です。W3Cというウェブの規格を考える標準化団体が主戦場になっています。 我々はそこの実証実験でいろいろなアプリをつくる方、放送局の方々、それからメーカーなどと一緒に実証実験をしまして、できるだけ早く、具体的に見えるものをつくってW3Cの側に提案していきたいというふうに考えております。これは早い者勝ちと言いますか、標準化する前にプロプライエタリのものが出てくるという状況ですので、スピードが勝負というふうに考えていまして、この1~2年が勝負ということは考えておりますので、是非皆さんに御協力いただいて、そういうふうな標準化で、オープンで、特定のOSですとかプラットフォームに支配されないような、そういった環境をつくっていきたいと考えています。 ○中村会長 どうぞ。 ○川上委員 多分IPテレビということで、特別につくらなくても、現状HuluというのはPCとインターネット上で汎用で使えるサービスですので、むしろこちらの方がオープンでして、新しいIPテレビの方の標準をつくるという構想自体が、僕はかなり無理がある話ではないかなと、今お聞きして思っていたのです。 ネットでの配信にどれぐらいのコストがかかるかといいますと、大体今、世界的にネットの帯域の領域というのは、いろいろばらつきはあるのですけれども、大まかに言うと1ギガが今、月間で100万円ぐらいです。10ギガだと月間1,000万ぐらいの料金がかかりまして、どれくらいの人が同時につなげられるかといいますと、大体SDだと25,000人、大体HDだと1万人ぐらいです。そうすると今、年間1億ちょっとぐらいで、1万人ぐらいが常時つながるような、そういう放送局というのは、現状つくれるわけです。多分、常時1万人とかというと、実際、今のCSのテレビ局とかだったら、多分そんなに見ていないと思うのです。 つまり、今、電波で、ケーブルテレビとかCSレベルの1チャンネルをつくるのであれば、別にネット上であっても、大体帯域量は月間1,000万円でできてしまうというのが現状です。多分この値段というのは、今後下がっていきますね。 そういう中で、Huluとか、VODとか、そちらの方に目が行っていますけれども、別にサイマル放送であったとしても、それぐらいの形態でできるということです。 そうして、最近の新しいテレビとかを見ていただくと、昔、出たころはこんなもの使い物にならないと言われていたアクトビラとか、どうしようもなく遅いチャンネルが、結構、最近は快適に動くのです。多分この調子でいきますと、テレビの1チャンネルというのがネットの番組、電波を使わないで、インターネット経由でのチャンネルというのが実現できてしまう。これは別に、AppleとかGoogleとかを待たずにして、今の、多分家電の進化においても実現されてしまうのです。恐らくIPTVと言えばいいのですか、AppleですとかGoogleとかの新しいテレビによって、それは加速するでしょう。そうすると多分、今のCSの1チャンネルとか2チャンネルというのは、多分無意味な時代というのがネット上で来てしまうのです。 僕はまず、これはこういうふうに来るという見通しを持った方がいいのではないかというふうに思います。 そうしていきますと、先ほどのディスカバリーチャンネルと一緒になって、海外にアピールするコンテンツをつくるというお話とかもありましたけれども、例えばこれまでに、海外のアジアのテレビの、放送局の権利を買うですとか、そういうものがありましたけれども、放映権を買うですとか。コストパフォーマンスで考えると、僕が以前から主張していますように、日本の海外に対する通信インフラを整備して、日本にいる会社が、日本にいながらにして配信をできるようにするということは、多分相当な競争力を生むだろうと。 そして、例えば海外に宣伝するのに、海外に見てもらうコンテンツがないというのだったら、例えばではアニメはどうか。アニメは日本でつくられたものでも、かなりの汎用性を持って、世界でやはり通用していますね。ではアニメ産業というのは、日本で一体どれくらいなのか。たった500億円ぐらいしかないわけです。これもDeNAさんとGREEさんのテレビCM料金と変わらないぐらいではないかというふうに思うのですが、その私企業の宣伝費ぐらいを投入すれば、今のアニメーション産業が丸ごと買えて、それで海外に配信できてしまうわけです。これは既に競争力を持っているということが実証されているジャンルですから、そういうのとかを別に配信すればいいのではないかと思うのです。難しいことを考えずに。多分それはできますよね。 放っておいてどうなるかといいますと、今の、別にAppleもGoogleもそうですし、世界で一番買われているテレビはサムスンさんのものですね。サムスンさんのものにはサムスンさんのアプリがあって、きっとそのアプリでは、韓国のコンテンツが配信されるわけでしょう。そこには別に、日本のチャンネルとかアプリとかを乗せればいいという話になるかもしれませんけれども、そういった競争になるというのが、多分1年後、2年後ということだと思いますので、僕はIPTVとかはどう考えても成功するとは思えないような計画を推進するのであれば、一見、ドメスティックに見えますけれども、NGNですとか、あれをアジア間で展開するとか、それぐらいのことをしていただきたいなというふうに思います。 ○中村会長 では時間が迫っていまして、久夛良木さんから。 ○久夛良木委員 時間がないので手短に。せっかくスマートフォンの話題になったのですが、今までお話になったコンテンツというのはHuluであるとかアクトビラであるとか、全てストリーミング配信コンテンツですよね。こういったものというのはなるべくたくさんのテレビでも受信できるようにということで、一番低いスペックのテレビに合わせてフォーマットが決まるのが常なのですが、携帯電話の世界では、従前の携帯電話に代わって、雪崩を打ってどんどんスマートフォンに移行しつつあることは周知の事実だと思います。この変化のスピードは、大方の予測を遥かに超えて進行している。スマートフォンと従来の携帯電話は何が違うかというと、スマートフォンには強力なプロセッサやグラフィックスチップが標準搭載され、かつ、そこには強力なOSが載っているわけです。これがテレビの世界に波及するのは、もはや時間の問題ではないか。 となるとHuluとかアクトビラのようなネットワーク配信コンテンツだけが見られるテレビではなくて、スマートフォンで起こったのと同じように、ネット上の様々なコンテンツやサービスが柔軟に扱えるようになるスマートテレビへの進化と移行が、今後世界規模で急速に起こるのではないかと予測しています。既に業界標準規格としてのEPUB3の導入の話が先ほどの電子出版に係る議論の中にもありましたが、既に次世代標準規格としてHTML5も最新版がリリースされつつある中、今までのテレビ番組をただストリーミングで見るというだけではなく、今までにない体験が可能なテレビが今年から具体的に登場し始めるのは予測に難くない。 つまりiTVが出るときか、スマートテレビが出るときは、必ずそういった斬新なコンテンツやサービスを伴ってリリースされていくはずですので、そんな中でこのようなゆっくりと構えた議論をしていて間に合うのですか、と強く危惧しています。世界中がボーダーレスでコンテンツとかサービスとか、いろいろな情報を相互に発信していく時代がすぐそこに来ていると思うので、なるべく早く、そういったファクトファインディングをみんなでして、キャッチアップどころか、我々が今度はそれをオーバードライブしていくような領域を、全方面は無理だと思いますが、ある方面を決めて、官民一体となって進めていただきたいものだというふうに私は思います。 ○中村会長 では杉山さん。 ○杉山委員 僕も同じことを言おうと思ったので、では一言だけ。 今、僕は若い子を育てているのですけれども、コンテンツを大学院ぐらいまで上がってきて勉強すると、既存の枠組みに乗ろうとしないで、自分たちで始めてしまうのです。今、例えばストリートバスケットボールの世界チャンピオンは日本人です。すごく世界の人が見ているのですけれども、そういうのを自分のチャンネルでつくって、プロが見ても恐ろしいほど格好いい映像を、コンテンツを、たった一人でつくって配信していて、YouTubeでパートナーみたいになってというふうに、どんどん、半年ぐらいであっという間に自分のチャンネルを確立していく姿を見て、何か、既存の形でどうのこうのとやっていても、若い人は気がついて、ひっくり返しにかかってくるのではないかと。若い人も、みんな生き残らなくてはいけないですから、そういうことをすごくひしひし、毎日感じています。 ○吉羽委員 問題提起だけになってしまうのですけれども、ガンダムが中国でほぼ同時配信というのを今やっていますけれども、これは基本的に、海賊版対抗もあるので無料でやっているのです。どうやっているかというと、結局、放送モデルと一緒で、知られれば知られるほど商品が売れるだろうということで動かしているわけです。 実はこの場で、今まで広告の話は一度も出てきたことがないのですけれども、先ほどもプロダクトプレイスメントの話がありましたが、国際放送というと、どうしても収益性が悪いので、寄付に頼ったりというような状況になってしまうのだろうと思うのです。 日本のグローバル企業というのは、グローバルにもかかわらず広告展開はグローバルになっていなくて、統一のメッセージを世界中で展開しているAppleみたいなことにはなっていないのです。1個のコンテンツにぶら下がって、統一したイメージで何か広告が成立しないと、どうも番組自体の収益がどうにも取れないということがあって、このあたりはやはり国割りだったり、事業部割りだったりというような状況を解消していかないと、なかなかつらい。もしくはプラットフォーマーが、Googleがやっているようにローカルの広告をうまく取れる仕組み、こういったものに乗せていくとかいうようなことで、ほとんど課金モデルをあきらめた中で、どう成り立てていくかということを考えていかないといけないのではないかというふうに思います。 ○中村会長 ありがとうございました。 今日のこの議論を踏まえて、次の専門調査会では、「2012」の骨子に盛り込むべき事項の素案を議論していただきたいと思っております。今日お話が出ましたように、総論をどうするのか、あるいは大多委員がおっしゃったように、看板やメリハリをどう付けるか、あるいは別所委員がおっしゃったような、どのようにこれを発信していくのかといったことについても議論をしていただきたいと思っております。 では、最後に24年度の政府予算案について、事務局から簡単に説明をいただけますでしょうか。 ○木村参事官 資料2に基づきまして、「知財計画2011」に関する24年度の予算の政府案等について、簡単に御説明申し上げたいと思います。 24年度の予算政府案総額ということでございますが、約865億円ということでございます。昨年の予算総額に関して2%増でございますが、補正予算による前倒しを含めますと、約1,097億円ということで、昨年度予算総額から29%もの増という形になっておるわけでございます。 また、この専門調査会の関係で言いますと、特に「戦略Ⅲ 最先端デジタル・ネットワーク戦略」、また「戦略Ⅳ クールジャパン戦略」、この2つが大きく関係すると思いますが、こちらの方にいたしましても、最先端デジタル・ネットワーク戦略、23年度の補正予算も含めますと、約86億円ということで、対前年度30%増になっているところでございますし、クールジャパン戦略の方につきましても、補正予算による前倒し額を含めると約368億円ということで、23年度から51%増となっておるところでございます。 簡単でございますが、以上でございます。 ○中村会長 ありがとうございました。 何か質問等ありますでしょうか。よろしゅうございますか。 では、時間が参りましたので、今日の会合はこれで終了としたいと思います。いろいろと意見がまだあろうかと思いますし、今日の議論で皆さんもインスパイアされて、アイデアも出てくるかと思いますので、委員の皆様、そして省庁の皆様も、もし追加意見などありましたら、後ほど事務局までお届けをいただければと思います。 事務局から連絡事項はありますでしょうか。 ○木村参事官 失礼いたしました。次回は2月27日、月曜日の10時からを予定しております。詳細につきましては、決まり次第また皆様に御連絡申し上げます。 ○中村会長 ありがとうございました。 では閉会いたします。 |