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コンテンツ強化専門調査会(第2回) 議事録
○中村会長 おはようございます。 ただいまから「コンテンツ強化専門調査会」第2回の会合を開催いたします。お忙しいところ、朝早くからお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。 前回の会合では「知財計画2012」に向けた本専門調査会での議論に資するために、新たな課題あるいは深掘りすべき課題について、議論を深める場を別途設けるということを了承しております。この検討の場を「準備会議」と位置づけまして、現在、「海外への日本コンテンツの積極的展開」「デジタル化・ネットワーク化のための環境整備」「クールジャパンの一層の推進」の3つについて検討を進めているところです。準備会議での検討内容は、整理をいたしまして、この専門調査会に報告をする予定となっております。 一方、この専門調査会では、今回が第2回でございますけれども、第2回~第4回の3回にわたって、「知財計画2011」の進捗状況に関する担当府省ヒアリングを行うことにしております。今回は「海外展開の促進」と「人財育成」についてヒアリングを行います。 なお、本日は大多委員、佐藤委員、別所委員から御欠席の連絡をいただいております。川上委員が少し遅れて来られる予定です。 それから、知財戦略本部員からは中島本部員、中山本部員に御出席をいただいております。よろしくお願いいたします。 更に、担当府省から御出席をいただいておりますので御紹介いたします。 総務省の情報通信作品振興課の竹村課長、情報通信利用促進課の中田課長補佐、外務省の文化交流課の米谷課長、知財戦略室の彦田室長、文部科学省生涯学習政策局の新井参事官、文化庁芸術文化課の山崎課長、国際課国際文化交流室の井上室長、著作権課著作物流通推進室の山中室長、経済産業省文化情報関連産業課の伊吹課長に御出席をいただいております。 担当府省の皆さんにも、所管の枠を超えて自由に御発言をいただければと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。 初めに、近藤局長にごあいさつをいただきます。 ○近藤局長 おはようございます。コンテンツ専門調査会は2回目を迎えまして、いよいよこれから知財計画2012に向けて、議論が本格化してくるところでございます。 今回以降、数回にわたりまして、まずはこれまでに決めたことがどう進んでいるかということをしっかり見た上で今後の計画をつくっていくということで、今日は、今、座長の方から御紹介がありましたように、総務省、外務省、文部科学省、経済産業省から担当の課長に来ていただいて議論をするところでございます。 コンテンツの関係は、最近やっとテレビ等でもよく取り上げられるようになってきたなと思っているところでございまして、これを本格的に進めるために皆様のお力添えをいただきたいと思っているところでございます。 また、人財育成につきましても、人財の財という字は、人は宝だということで財産の財という字が書いてございます。「金を残すは下、仕事を残すは中、人を残すは上」と言うそうでありまして、人を残すためにも、この人財の育成もしっかりと取り組んでいきたいと考えているわけでございます。 最近、政府の関係の記事ですとTPPとか消費税とか、割と大きなイシューがたくさん取り上げられて、この知財の話などは、やや取り上げられる機会が少ないところを申し訳なく思っておりますが、そういうときだからこそ、一歩一歩しっかりと政策を進めていきたいと、皆様の御協力を得て前進をさせていきたいと考えているところでございます。 本日も御審議のほど、よろしくお願いをいたします。ありがとうございました。 ○中村会長 ありがとうございました。 では、担当府省ヒアリングに入ります。 本日は、コンテンツの海外展開の促進及び人財育成について、項目ごとに区切りまして、担当府省からヒアリングと質疑応答を行った後で全体討論に入りたいと思っております。 今日は非常に盛りだくさんでございまして、特区、ファンド、国際共同製作、海外の規制、デジタル教材、クリエーター育成といろいろ項目が並んでおりますので、どんどん進めていきたいと思います。 まず、コンテンツの海外展開の促進について、事務局から説明をお願いします。 ○木村参事官 まず、配付資料の確認からさせていただきたいと思います。 まずは「議事次第」に続きまして、 資料1-1 知的財産推進計画2011の進捗状況-コンテンツの海外展開の促進関係- 資料1-2 担当府省ヒアリング説明資料(コンテンツの海外展開の促進関係) 資料2-1 知的財産推進計画2011の進捗状況-人財育成関係- 資料2-2 担当府省ヒアリング説明資料(人財育成関係) (参考資料1)コンテンツ強化専門調査会(第1回)における主な意見 (参考資料2)コンテンツ教科専門調査会(第2回)担当府省出席者 (参考資料3)知的財産推進計画2012に向けたコンテンツ強化専門調査会の進め方 (参考資料4)今後のスケジュール という資料になっております。 漏れがありましたら、事務局の方に御連絡をいただければと思います。よろしいでしょうか。 それでは、まず資料1-1について、本日のヒアリング項目でございますコンテンツの海外展開の促進関係で、知財計画2011の進捗状況につきまして、簡単に御説明させていただきたいと思っております。 コンテンツの海外展開についてでございますが、「コンテンツ特区」の創設ということで、先駆的なコンテンツの創造、あるいは国際的なコンテンツ製作の誘致を促進する国際的な場を創出しようというものでございますが、総合特別区域制度の創設を受けまして、地方公共団体から申請を受け付け、審査が進められているところでございまして、コンテンツ特区の案件として、海外の大型ロケ地誘致等を目指す「札幌コンテンツ特区」という申請がなされているところでございます。 また、コンテンツファンドによる海外展開資金の供給ということでございますが、これにつきましては、日本のコンテンツの海外展開に向けて、世界に通用する作品づくりを支援するというものでございまして、産業革新機構が60億円を出資して、新会社「All Nippon Entertainment Works」を設立しているところでございます。 また、4、5ページも関連する記述がございますが、2ページの国際共同製作支援あるいは地域コンテンツの海外展開につきましては、日本のコンテンツを世界に向けて発信・展開していこうというものでございまして、文部科学省と経済産業省が協力しながら映画の国際共同製作に対する支援を行うとともに、外務省を中心に国際共同製作協定に関する関連情報を収集し、必要な枠組み、対処法などについて検討を行っているところでございますし、総務省では地域コンテンツの海外展開に向けて、海外放送局との共同製作を支援しているところでございます。 3ページになりますが、諸外国における規制の緩和・撤廃ということにつきまして、コンテンツの海外展開に向けての規制の緩和・撤廃ということでございますけれども、アジア市場を初めとする諸外国のコンテンツ規制が、我が国産品の輸出の障害になっていることから、規制の緩和・撤廃を外国政府・関係機関に働きかけていくものとなっているところでございます。 これらの施策につきましては、詳しくは後ほど各府省から御説明いただくことにしております。 なお、これからの施策とともに、その他の施策についても同様でありますが、ともすれば各府省の連携が余り十分でないと施策の効果が十分発揮できないのではないかという懸念もございますので、知財事務局におきまして、関係府省と調整させていただきながら、必要に応じて関係部局の課長にお集まりいただいて、今後の進め方について御相談させていただくなど、緊密な情報交換・意見交換をさせていただいて、連携協力を一層図っていきたいと考えているところでございます。 以上でございます。 ○中村会長 では、知財計画2011工程表の117のコンテンツ特区の創設について、経済産業省から説明をお願いいたします。 ○伊吹課長 では、経済産業省の方から簡単に御説明をさせていただきます。 海外展開の資料の1ページをごらんください。札幌の方からコンテンツ特区ということで申請が上がっておりまして、もともと北海道は自然が非常に豊かですし、札幌という国際都市もありますので、今までもロケ誘致活動というのは一生懸命やってきたわけですけれども、なかなかうまくいかないという面もありまして、この取組みを強化して、しっかり地域に波及をするようにということで申請が出てきています。 中身を大まかに言いますと、1つはロケ地誘致をするところに対してしっかりインセンティブをやっていこうということと、もう1つは2つ目の四角に書いてありますけれども、いろいろな撮影をするときの許認可関係が、いろいろな部署にまたがっていたりしますので、これが非常に煩雑であるということで、ワンストップでやりたい。ロケ撮影隊の支援を行う組織もしっかりつくりたいということで、札幌の方から申請が上がっています。 効果については、経済効果が144億円ということで、右の下の方に書いてあります中身を見ていただきますと、まずロケ件数・日数を増加させたいということ。その中身を見ていくと、やはり地元でロケがされるということで、地元の若手のクリエーターに仕事が落ちたり、製作会社、ロケーションコーディネート会社、機材会社、こういうところに仕事が落ちるということが1つ。 それから、特に大規模なロケが行われる場合は、地元の食、観光、こういうところに波及があるだろうということであります。 経済効果は144億ということですが、海外輸出額は2.3億円増加するということ。それから、北海道、札幌が舞台になる映画がたくさんつくられることによって、その後、北海道、札幌に観光で訪れる人が非常に増えるということで、115万人の効果を見込んでおります。 今の申請の取扱いの状況ですけれども、内閣府の方のヒアリングの対象になるかどうかというところで1回選別が行われまして、その段階にまでは進んでいます。この後、最終的にどの案件を、内閣官房、内閣府の方で採択をするかというのにもう少し時間がかかりますけれども、これに向けてしっかり支援をしていきたいと思います。 簡単ですが、以上です。 ○中村会長 ありがとうございました。 後ほど、全体をまとめて議論する時間を設けたいと思っていますが、ひとまず本件について御意見・御質問・コメントなどがありましたらお願いいたします。いかがでしょうか。 ○角川委員 映画のことですので、私も一言言わなければいけないのだと思いますけれども、実は外国の映画のロケーションを招へいする、支援する国際的な基準というのがあります。今のお話を聞く限りでは内容の中身はその国際的な基準のレベルに全然達してないんです。だから、その外国政府の支援の基準を勉強して欲しいのです。 これはとても言いにくいのですけれども、この程度だと全然支援していることにならないのですね。最低限が、消費税は全部ゼロなのです。それから、ファンドを創生してくれるとか、スペインなどは、この対象になったものは公開のときに宣伝プロモーション費を提供してくれるのです。こういうふうに、もっと露骨に明確なのですね。 それをする弁護士さんがちゃんといて、その弁護士さんは法律に違反しているかどうかではなくて、自分の国に来たら、こういうところに行けばこういう支援が得られますよというビジネススキームの弁護士さんがきちんといて、自国にはどんな有効な節税効果があるということまでやってくれるのです。是非このレベルを研究していただかないと、この程度だとはっきり言って口ばかりの施策なのです。だから、見事に144億円と出てきましたけれども、どこに144億円の効果があるのかなと思って、これは本当に利用する立場から言うと残念です。 失礼ですけれども、経産省から1回も映連にこういう話をされたことがないですね。だから、映画関係者にきちんと、支援をするので来てほしいということを、もっと具体的にされるべきだと思いますね。 ○近藤局長 先日、韓国の映画誘致の日本語のパンフレットを見させてもらったのですけれども、勿論いろいろな規制緩和のことも書いてあるのですが、併せて韓国内で使ったお金の25%をキャッシュバックしますということも書いてあって、正直に申し上げてびっくりしたんです。是非、コンテンツ価値のところで、こういうものは韓国だけではなくて、恐らく世界じゅうでそういうことがあるはずなんです。 せっかく『ラストサムライ』の映画が世界じゅうで流行ったのに、あの景色がニュージーランドでは寂しいね。今、角川さんが言っておられるのも、こういうことで満足しないでもっとやれよということですから、世界じゅうのそういうものを少し調べて、少なくとも世界並みにはやらないと。 本当に誘致するなら、世界を超えなければ誘致できないんですね。だから、もうちょっと金がかかることも含めて、やるだけやろうではないですか。しっかり頑張ろうという応援の演説だと思っていただいて、世界じゅうのものをよく手に入れて、世の中にそれを問うていこうではないですか。 今日、お見せすればよかったのですけれども、私はそのパンフレットを見て、正直に申し上げて驚きました。 ○中村会長 ほかにいかがでしょうか。お願いします。 ○大﨑委員 テレビの番組の方なのですけれども、やはり流通をどうさせるかということを基本に、もう少し考えていただけたらなと思います。 テレビの番組というのは製作著作が放送局にあるわけですけれども、一時アメリカでは、時間帯に限って、あるいは1日の番組の中の何%は、製作著作をそのまま製作会社に渡して製作会社に振るということをやって、その後に戻したんですけれども、その期間の間に番組の流通、シンジケーションという仕組み、人的なつながりが成立をしたので、そういう実験といいますか、取組みのようなことをしていただければ非常にありがたいと思います。 共同製作よりもフォーマットみたいなことが、いただいた資料に載っていたのですけれども、共同製作をしたフォーマットを販売するというのが適切な考えだと思います。 今まで日本の放送局が番組販売、フォーマット販売をしていたのは、多分1本につき20万とか30万とか、そのような金額です。アメリカがテレビ番組で製作をして世界じゅうに流通させているのは、ドラマの場合、多分1シーズンで10億円ぐらいの利益が出ています。あるいはそれ以上の利益が出ています。そういうテレビの番組をどう世界じゅうに流通させるかという仕組みは、法的な側面からも同時に必要ではないかと思っています。 ○中村会長 ありがとうございます。 番組の共同製作、海外展開、流通については後ほども項目として関連するものが出てまいりますので、そこでも少しお話をいただければと思います。 もし、よろしければ次の項目に進みたいと思います。工程表136及び176のコンテンツファンドによる海外展開資金の供給について、同じく経済産業省から説明をお願いします。 ○伊吹課長 それでは、資料の2ページ目と3ページ目をごらんください。 コンテンツファンドについて、この会議でも随分議論させていただいているところですけれども、仕組みを大まかに言いますと、下の方の図のとおり産業革新機構の方から100%出資の形でこの会社をつくりまして、主に映画とかテレビ番組の企画開発と言われる部分、IPを獲得して、脚本をつくって、配給会社の方に提案をして、グリーンライトと言ってOKをもらうところまでを想定しているところになります。 もう御承知のとおり、特に映画については世界マーケットに出ていくときに、ハリウッドは一種のゲートウェーみたいな形で配給を握っていますので、ここと協働して、日本の特に映像、ゲーム、書籍、こういうものを世界のマーケットに出していきたいということであります。 進捗の状況ですけれども、10月末に書類手続上の設立登記はされておりまして、一応会社として活動を開始できる準備を進めているところです。今まで遅れていて、あれはいつできるんだということで、皆さん、御疑問を持っておられたのだと思いますけれども、やはり経営者の選定のところに一番時間がかかっておりまして、今のところ日本側からCOOの形、アメリカ側からCEOの形で人をヘッドハンティングしているわけですけれども、今の状況としては、心づもりとしてはほぼこの人という形で決めて、あとは契約の細部を詰めていきたいという段階になっています。 その人たちをきちんと決めるということと、11月から従業員の募集も始めていますけれども、この従業員をそろえてオフィスをそろえると、年を明けて1月中はちょっと難しいかもしれませんが、それを越えたぐらいのところで、具体的な実際の活動を開始したいという段階になってきていると思います。この辺の進捗については、ある程度きちんと対外的に公表できる段階になって、12月か1月のどこかの段階で公表するという段取りを考えています。 簡単ですが、以上、進捗報告までです。 ○中村会長 ありがとうございました。 御意見・御質問などがあればお願いいたします。どうぞ。 ○近藤局長 朝が早いので、皆さん、まだ目が覚めてないようなので、目が覚められるまでの間のつなぎをもうちょっとします。 まず、何で産業革新機構からの60億円だけで民間からのお金が入らないのかということと、最初だからここを小さく生むのもしょうがないのかもしれないんですけれども、もともと考えていた構想はもっと大きかったのではないか、もっと大きな構えで出ていくはずだったのではないかという2点を聞きたいんです。 ○伊吹課長 1つ目の革新機構が100%になっている理由ですけれども、最初は外部のお金も入れてということも随分検討したようなのですが、案件を選ぶ段階で、まず最初は公平にやっていこうということで、革新機構100%という形を選択したと聞いています。 2点目は、もっと大きな構想でということかと思いますけれども、恐らくもっと大きくやるということは企画開発だけではなくて、製作のところにもっとお金を入れたらいいではないかということかと思いますが、ここは多分2つぐらい理由がありまして、革新機構の方もお金を出す限度があったというのが1つと、もう1つは、特に関係者の方は詳しいと思うんですが、映画をつくる段階でどこのリスクが高いかということで、要は企画を提案して配給会社のOKをもらうと、その後、映画は大体8~9割方、一応最後までつくられるということなんですが、勿論プロデューサーによるのですけれども、人によって2割から6~7割ぐらいの確率で、企画開発をするところが映画をつくるプロセスの上で一番リスクが高いということなので、リスクが高いところに公的な資金を入れようということで、今回は企画開発の段階に限って始めたということであります。 以上です。 ○中村会長 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。 ○角川委員 これは外務省にも関わり合ってくるのですけれども、この点も大事なのは、海外の国家の支援、フランスだったらCNCというところと、このファンドというのは非常に関連していると思うんです。 フランスなどは、フランスの国が支援する金額を日本政府も支援するという仕組みになっていますので、この機構が日本の国家によって行われているということを明確にうたえないといけないのではないかと思うのです。役割が十分に世界に通用しなくなると思うのです。 先ほど近藤さんがおっしゃったような、それぞれの国が支援するシステムというんですか。そこに、この産業機構の設立を位置づけていただくことが大事かなと思うのですね。これが私的な感じだと、ほかの国はこれをそういうふうに認めないのです。ですから、必ず「これは国家が支援しているのですか」と確認を求めてきます。そういうときに、きちんとこれは国によって設立された機構であるということの説明をされることがとても大事だと思います。 そうすると、今、フランスと日本の間には「製作協力協定」というのがあるんですけれども、この協定も外務省の方から覚書にしてほしいというので、覚書になっているわけです。これをできるだけ早い時期に、日仏合作映画協力協定という協定にしてもらいたいのです。そのときには必ず産業機構のシステムが組み込まれてきますので、こういうシミュレーションを1回していただくと、せっかくつくっていただいたものですから生きてくる、実際に映画の製作に寄与してくると思います。 そうすると、今、おっしゃっていたような企画に対して支援するというレベルから製作に対して支援する。あるいは先ほど私が述べたように、でき上がった映画は公開されないと意味がないので、今度は映画宣伝に対して協力するというものが見えてくるのではないかと思うんですね。 そういうビジョンの下に産業機構の会社が軌道に乗ると、ありがたいな、意味があるなと思います。 ○中村会長 どうぞ。 ○安藤参事官 今の角川委員のお話、近藤局長からのお話と重ねてなんですが、伊吹さんのお話では、自分が着任する前にフレームワークが決まっていたので、そういう意味でほかのお金は入っていませんと。それから、逆にリスクの高い部分だからこそパブリックマネーを投入するんですということですが、実は、ここは相矛盾する部分があって、なぜかというと、100%パブリックマネーでやるとイージーマネーと言うんですか。モラルハザードを犯しがちですね。逆に民間のプロの方がコミットメントをして、私はこれだけ出すけれども是非国も乗ってくれ、フランスともこう組んで、半分半分で出すんだということになると、やはり質のいいものを選んでいくということになると思うんです。 したがって、最初のファンド自体は産業革新機構の60億、国費全額ということでいいとしても、実行の部分で一体どれぐらいのコミットを持ってくるのか、そういうものをどう選ぶのか。中身のよしあしで、審査委員の票で決めるような話ではなくて、私はこれをやるぞ、それに覚悟もあるぞという形でやっていかないと、お二人からのお話で出たところが本質をついておられるわけですけれども、うまく60億が本当に生きたお金になって、何十倍、何百倍と返ってくるような仕掛けにしていただきたいと思っています。 コメントだけでございます。 ○中村会長 ほかによろしいでしょうか。どうぞ。 ○中島本部員 今までのお話ですと、このファンドの方は主につくる側の支援だと思います。市場へ出す方の部分には、ハリウッドをゲートウェーにするとのことですが、この市場への供給に関しては、このファンドが具体的にどんな役割を果たすのかということと、ハリウッドと言っても非常に抽象的なわけですけれども、ハリウッドをゲートウェーにするというのがいまいちわからなかったので、そこら辺をもうちょっと詳しく御説明をいただければと思います。 ○伊吹課長 配給のところですけれども、具体的にこの会社が何をやるかというと、脚本をつくって、大体こういう監督で、こういうキャストで、こういう映画をつくりたいですという案をつくって、大きいスタジオ会社も含めて配給を握っている会社があると思うんですが、そういうところに、是非これで映画を配給しませんかということの交渉をするというか、ネゴシエーションをする形になります。 ここのOKをとるところまでを新しい会社がやって、併せて先ほど製作段階のお話があったと思うんですけれども、製作段階のお金をどういうふうに集めるかというのをお手伝いするのも、この会社に期待をされる役割だと考えています。 ○中島本部員 そうしますと、この絵でいきますと世界のコンテンツ市場というのが先にずっと広がっていまして、映画市場は配給の延長線上にあるわけですけれども、こういう玩具、キャラクターグッズ等も、その延長に入るというふうに考えていいわけですか。そうすると、独自にはやらない、すべてハリウッドの下流側に入るということでございますか。 ○伊吹課長 恐らくそれは持ち込まれる案件のケース・バイ・ケースで、コンテンツを持っておられる方が、映画とかアニメ映画をつくる場合の映画をつくる権利自体は、このルートでやろうということですけれども、そのほかのものをどういうふうにやるかというのは、どうしても自分でやりたいというケースもあるし、ここを使ってやった方が効果的だというケースもあるので、それは本当にケース・バイ・ケースだと思います。 そのケース・バイ・ケースについては、恐らくこの新しい会社の中に投資をする案件を選定する委員会をちゃんとつくって、そこでちゃんと可能性がある案件、どのプロデューサーと組むのかということを個別に一つひとつ議論をして、投資をする案件を決めていくというプロセスになると思います。 ○川上委員 とすると、これをつくった映画の権利自体は、実際に日本側にあることは余りこだわらないというイメージなのでしょうか。 ○伊吹課長 売り切りというよりは、自分のところである程度のパーセンテージを持って、映画をつくる権利というのを新しい会社で持ってやっていくというのが、一番想定をされるケースです。 勿論その案件によって売り切った方が得なケースもあるし、例えば企画開発をしたという活動に対して、配給収入の何%かを取るという形の契約をすることもあると思うんですけれども、今までの日本の慣行だと売り切りのケースが多くて、上に振れた場合になかなかきちんとお金が回収できてないというケースが大きいので、そのアップサイドをできるだけ狙っていくということが、この会社の使命だと思います。 ○川上委員 分からないのですけれども、その狙っていくときの交渉材料になるものは一体何なのでしょう。現実でも、例えば『ポケモン』とかはアメリカでもすごくヒットしましたけれども、その収入は日本側ではなくて、ほとんどがアメリカ側に持っていかれてしまっていて、結果の果実だけをアメリカが持っていくことは常にあるわけです。 そういう意味では、日本も既に、今までアメリカにコンテンツのアイデアの部分は提供していると思うのですけれども、それを日本側に留保するためには、何かそれなりの戦略がないと。むしろそこを主眼にすべきではないかと思うのです。 ○伊吹課長 1つは、御指摘のように、日本側にIPがきちんとあるということは前提ですけれども、もう1つは、今まで日本側が世界市場に向けて企画開発をするというプロセスをしてこなかったのを、この新しい会社でするというところは交渉材料になるんだと思います。 ちょっと長くなって恐縮なんですが、この間LAに行って、何人かのコンテンツのロイヤーの方とお話をしていると、企画開発というところは、今まではどうしてもアメリカ側のプロデューサーサイドとか配給会社がやって、その代わり権利は全部取るという形で進んでいて、ここをやるというのは新しいビジネスモデルなので、ここでそのパーセンテージを取っていくビジネスが成立するかどうかというのは初めての試みだけれども、可能性は感じているというコメントを何人かから聞いてきました。 ○中村会長 ありがとうございます。ひとまずよろしいでしょうか。 では、次に参ります。工程表137、178、181の国際共同製作支援、地域コンテンツの海外展開、それから166の諸外国における規制の緩和・撤廃について、続けて説明をお願いしたいと思います。 まず初めに、国際共同製作支援と地域コンテンツの海外展開について、経済産業省、外務省、文化庁、総務省の順に説明をお願いいたします。 ○伊吹課長 では、続けて説明をさせていただきます。 国際共同製作のところですが、4ページをごらんください。後ほど文部科学省さんの方から、共同製作に対する新しい資金的な支援の仕組みについては御案内があると思いますので、そういう資金的な支援をするということと、実際にそのプロデューサーの方々が、一緒にやろうよという出会いの場をどうやってつくっていくのかというのが、もう1つの課題だと考えていまして、4ページに4つほど挙げさせていただいていますが、実は今週、12月7日からありますけれども、「アジア・コンテンツ・ビジネス・サミット」というのが前回はタイで開催されていますが、今回はシンガポールで開催をして、その中でビジネスマッチング、国際共同製作に向けた形のものをする予定にしています。 それから、プロデューサー人材育成ということで、世界的に活躍をするプロデューサーの中から国際共同製作をされる方がたくさん出てくると思うんですが、こういう方々を支援する、ありていに言ってしまうと国費で留学をしてもらうということですが、例えばユニバーシティ・オブ・ サザン・カリフォルニアなんかに行ってもらっています。 最近、日中映像フォーラムというのを6月と10月と11月にそれぞれやっていますが、こういう中でそれぞれのプロデューサー交流、流通を担う方々との出会いの場を設定しています。 あとは短編映画ですが、クリエーターの方にそういうものをつくる機会を設定させていただいています。 以上です。 ○中村会長 お願いいたします。 ○彦田室長 外務省でございます。 共同製作支援のうち、共同製作協定というのが当省において期待される業務だろうと思います。当省については、特に映画関連業界のニーズが高いと思われる国、例えば中国、韓国、欧州のフランス、英国、ドイツといった国でございますけれども、これらについて共同製作に関する国際協定の締結状況とか、あるいはその内容、あるいはその活用状況、外国映画の上映に関する規制であるとか、先ほど来、御議論がございますけれども、支援制度の内容、あるいは我が国と同種の協定を締結することの関心の有無等についての調査を行ってきております。 また、中国に関しましては、中国と同種の協定を締結している国について、今申し上げた5か国以外の国についても、その協定の実態とか運用状況等についての調査を行っております。 併せまして、今後、仮に我が国が同様の協定を締結する場合、例えばWTOの関連協定でありますとか、これまで我が国が締結してまいりました国際協定、約束といったものがございますので、それらの協定、約束との関係についても含めて、どういった条件がかかるのかということを検討している段階でございます。 ○山崎課長 続きまして、文化庁でございます。 先ほど、経産省様の方から国際共同製作映画の支援制度について触れられましたが、文化庁では映画による国際文化交流を推進して、今年度から日本映画の一層の振興のために国際共同製作映画の支援を開始したところでございます。 具体的には、制度の仕組み等については経産省さんと連携を図りまして、まず国際共同製作の推進に関連しまして、今年度より公益財団法人UNIJAPAN様に国際共同製作映画の認定制度を創設していただきました。 これは日本の製作団体が参加する国際共同製作のうち海外発信及び文化、産業の向上とグローバル化に寄与するものであるかということを一定の基準によって認定するものでございます。 失礼しました。資料は1-2の5ページでございます。ここに図がございます。 UNIJAPANさんの方で認定をした映画の中から、今度は文化庁の方で作品内容等について審査をした上で支援をするということでございます。今年度は2億円の予算、来年度も同額の要求をしているところでございます。 今年度の23年度はUNIJAPANさんの方で国際共同製作の認定が13件ありまして、そのうちの11件から支援についての申請がございました。そして厳正な審査の結果、5件を支援する対象として選定をしたところでございます。 この国際共同製作について、今後5年間で20件以上の製作を支援して、具体的な実績、成功例を重ねるとともに支援制度を定着させることで、国際共同製作の活性化と優れた映画制作活動の推進を目標としているところでございます。 以上でございます。 ○竹村課長 総務省でございます。 資料1-2の6ページをごらんください。国際共同製作による地域コンテンツの海外展開ということで、日本の放送局とか番組製作会社などが、海外の放送局と共同製作したコンテンツを世界に発信する機会を創出していくということでございます。 昨年度、地域コンテンツの海外展開ということで支援をいたしましたけれども、海外の現地の放送局の方に、共同製作ということでつくっていただいた方が現地の受容性もよいということで、今年度はこのような仕組みで取り組んでいるものでございます。 成果といたしましては、ライツ処理に関するノウハウの蓄積とか、海外の放送局と日本の放送局との人脈の強化、あるいは地域の観光地へのインバウンドの増加とか、地域企業の海外展開の促進ということを期待してございます。 本年度は15本を製作予定でございます。次のページをごらんいただきますと、15本の番組をつくっておりまして、来年の2月までの間で放送を予定しているところでございます。 1ページ飛ばしまして、9ページをごらんください。これは今年度の第3次補正予算ということでございますが、東日本大震災から被災地の復興をアピールするとともに、風評被害を払拭するということで、NHK子会社の外国人向けの海外放送局のネットワーク、インターネットを活用して復興をテーマとした番組を世界に配信する。 それから、これも国際共同製作によりまして、海外放送事業所のネットワークでそういった番組を流すということで、日本ブランドのイメージを回復し、風評被害を防止するという施策に取り組んでございます。 以上でございます。 ○中村会長 ありがとうございました。 続いて参りたいと思います。工程表166の諸外国における規制の緩和・撤廃について、外務省、総務省、経済産業省の順に説明をお願いします。 ○彦田室長 外務省でございます。 本件の項目につきましては、各諸外国におきまして、各諸外国から見て海外の映画とか放送コンテンツの上映又は放映に関する規制がございますけれども、特に優先度が高いと考えられます中国、韓国等に対しまして、さまざまな機会を利用して本問題を提起し、協議を行ってきているところでございます。 例えば日中間であれば日中ハイレベル経済対話、日中経済パートナーシップ協議、あるいは日中文化交流政府間協議といったさまざまな分野、さまざまなレベルの協議を活用して問提提起、協議を行ってございます。 韓国については、日韓の経済局長協議等で同様の問題提起協議を行ってございまして、引き続きこれらの国と協力的な関係を築きつつ、粘り強く交渉してまいりたいと考えてございます。 もう1つ、WTOの「ドーハ開発アジェンダ」現在のラウンド交渉でございますけれども、この中でサービスの貿易に関する自由化交渉がございまして、音響、映像サービスの分野を初めとする各サービスの分野において、規制を有する国に対して規制の緩和・撤廃をリクエストして交渉を行ってきている。これもドーハ開発アジェンダのラウンドの中の交渉でございますので、現在も交渉中ということでございます。 ○竹村課長 続きまして、総務省でございます。 資料の10ページをごらんください。先ほど外務省からも御説明がございましたが、中国のドラマ、映画につきましては、外国の番組は全放送時間の25%以下にする。それからゴールデンタイムについては、海外ドラマを放送してはならないという規制がございます。 韓国につきましては、日本のバラエティー及び単独製作のドラマは地上波で放送できないという規制のほか、海外番組全般につきまして地上波での比率を20%以下にするという規制がございます。 こういった規制につきまして、総務省の取組みとしては、中国に対しましては日中経済パートナーシップ等におきまして、数次にわたり、海外番組規制の緩和を要望しているところでございます。 それから、協力関係の構築ということで、日中映像交流事業というのを通じまして、例えばNHKとCCTVとの間で番組交流を実施する等、放送番組の交流を通じまして、規制緩和に向けた機運を醸成しているところでございます。 韓国、欧州等につきましても、民間のニーズを踏まえつつバイ協議等を通じまして、引き続き規制緩和の働きかけを行っていきたいと考えてございます。 ○伊吹課長 では、最後に経産省の方から。 資料の11ページをごらんください。コンテンツの規制が何もない国というのはむしろ少ないと思うんですが、特に中国が一番企業の方もニーズがあって、マーケットとしても将来必ず大きくなると思われているところで、左側にいろいろ書いてありますように、今、非常に厳しい規制が入っています。外務省の方からも御説明があったように、WTOでこういう問題の解決を図っていくということと、日中バイでしっかり規制緩和について話し合いをしていくということがもう一つ。 それから、右側にいろいろ書いているように、協力事業をやっていこうということでいろいろなフォーラムがあるわけですけれども、こういう中でも規制緩和についてしっかり訴えかけをしているところであります。 企業の方は、規制撤廃というところが最後のゴールなわけですけれども、もう一つは、今の規制がある中で、どういう取組みをしていくかということももう一つ大きな課題だというふうに考えています。 以上です。 ○中村会長 ありがとうございました。 では、御意見・御質問があればお願いいたします。では、まず吉羽さんから。 ○吉羽委員 御説明ありがとうございます。いろいろなお取組みをされているのはわかるのですけれども、なかなか足の裏がかけない印象をどうしても持ってしまうのです。 これは去年のかなり冒頭のときに、私は申し上げているのですが、共同製作にしろ、民間ベースで共同製作のビジネスにしろ、映像のライセンスのビジネスにしろ、相当進んできているという実態はあるかと思うのです。 ところが、やはり海外とのビジネスという部分で出資面でのリスクとかも非常に大きいですし、海外を中心とした公開になれば、回収というのもそちらの国の方が有利になるような形になったりなかなか難しい面があって、民間企業が製作の出資をしていくところのリスクが取れる分の限界というのは、非常に大きいのではないかと思います。 他国は特に教育的とかではなくて、世界に通用するようなエンタメの作品に向かって、メインストリームのものに向かって、国が直接に製作費を支援するという枠組みが存在しているわけです。 それに対して、今までのお話を聞いていても非常に遠回りをしていて、実態として先に進んでいる民間の動きをサポートするというふうに、なかなかなってないような印象をどうしても感じられてしまうので、何かもうちょっとストレートな形をお考えいただけると、どんどん出ていきやすくなるのではないかというふうには感じております。 ○大﨑委員 そういう意味では、本当におっしゃるとおりだと思います。 私は、映画のことは門外漢なので角川委員にお聞きしたいのですけれども、50年先は別としても、やはりアングロサクソンの壁というのは、どうしても日本、アジア人は越えられないのではないかなと思います。 ただ、国としてコンテンツを産業としてどう育てるんだ、輸出としてどう流通させるんだということを考えると、ちょっと余談のようになって申し訳ないのですけれども、私はアメリカのCAAと3年ほど前に業務提携をしたのです。そのときに開口一番に言われたことは、すごく無礼な話なのですけれども、ハリウッドには入ってこられないよということを言われました。 2つ目は、映画はすごくリスキーなのでテレビから始めよう。アメリカと同じように日本もテレビの番組は著作権をテレビ局が持っているね。アメリカで一緒に開発をしてもテレビ局が著作権を持っているので、私たちの利益の分配がすごく少ないんだ。なので、日本のテレビ番組、特番、例えばクイズ番組を一緒につくろう。勿論日本でオンエアする。そこで償却できる。その番組をパイロット版よろしく世界で売っていこう。それは私たちのノウハウがあるということです。それがハリウッドのCAAがつくったパッケージシステムです。 多分このことはどこのテレビ局の国際部の方も、権利部の方も御存じなくて、今まで試したこともなくてみたいなことがあると思います。そういうことを私どもは積み重ねをして、結局は人脈をどうつくるかということに尽きると思います。 先ほどの産業革新機構の方のお話でも、アメリカと日本の社長さん、CEO、COOをどなたにするかというのは非常に大事なポイントで、私はそういうことまでできる方が60億というシーズマネーで来ていただけるとは思えないので、うまく使い方を考えなければいけないのではないかと思います。 あとは、今日御欠席ですけれども、今、大多委員と中国のドラマを企画しております。結局のところドラマシリーズを22本、23本をつくりましょうということなんですけれども、それは韓国でもアジアでもそのシリーズを十分つくっておるのですが、あの大多プロデューサーしかり、そんなにたくさんの本数のドラマはつくったことがないよ。日本は1クール13本ですから、日本だけがつくったことがないよと言っています。 SMGと交渉をする中で、結局はオンエアの問題もあって8~9割は中国側が出しますよという話になって、結局下請けでやってしまうというのが、今の状況なので、本当に官民合同でというか、国策としてコンテンツ産業をどう外へ出すんだというのは、広い意味でも、もう少しえいやでやっていただかないと遅れをとるのではないかと思います。 だから、文化交流はできているのでしょうけれども、今の流れの中ではビジネスとして成立しにくいのではないかと思います。 ○川上委員 最後の中国における主なコンテンツ参入規制で、映画、テレビ、音楽、ゲームと、コンテンツそのものの規制について書かれているのですけれども、是非ネットにおいてどういう障壁があるのかということを、政府として認識していただきたいと思っています。 実際に、例えばネット配信とかも規制されているというふうに、項目ごとには書いているのですけれども、実際にはどういった形で配信できるのかということがネットの時代では一番重要なことでして、中国の場合ですと、例えば動画サイトというのは完全に国家免許が必要なサービスになっていたり、途中から変わったんですけれども、人気が出てきてMMOと呼ばれる大人数が遊べるようなRPGゲーム、日本だと『ファイナルファンタジーオンライン』みたいなものも向こうでは免許制になっていて、外資は基本的に入れないようになっています。SNSのサービスもそうです。 当然、ネットは世界じゅうにつながっているわけですから、中国は公式には認めてないと聞いていますけれども、今、中国にはグレートウォールと呼ばれる有名な世界最大のファイアウォールがありまして、そこで何をやっているかと言うと、掲示板とかでは、日本と韓国とか中国のネットの人たち同士というのは大変仲が悪いので、日本でもネットの掲示板でよくけんかをするのですが、中国の人と日本のネットの人たちがけんかをしたときに魔法の呪文というのがありまして、それを書くと中国のグレートウォールが作動して、その掲示板に書き込みができなくなるんですよ。そうすると、中国の人がいなくなって平和になったという魔法の呪文があるのですけれども、このグレートウォールというのは、そういう特定のキーワードに反応するものだけではなくて、サイトとかも決め打ちで、中国が、これは中国人に見せたくないと思ったサイトは見られないようになっています。 例えば日本でも、任天堂さんのサイトとか、いろいろあるんです。我々がやっているニコニコ動画というのも11番目に認定されて、脅威があるサイトというふうに非常にありがたい認定を受けたんですけれども、そういった形でインターネット上の境界線をブロックするということでもコンテンツ規制というのがされるわけです。 例えばここら辺にゲームの配信、音楽の配信が認められないと書いていますが、別に日本のサーバーに置いてあっても、本来、インターネットがオープンであれば中国からでもダウンロードできるはずなんですね。 なので、特にこういうネット上の配信のプラットフォームの規制というのは、それに乗るあらゆるコンテンツ、ネット時代の場合は、あらゆるパッケージコンテンツは配信でも提供されますので、そこでどういった規制がされているのか、それに対してどう言って交渉するのかというのは是非政府としても包括的に考えておきたい、大きなテーマとしていただきたい問題だと思います。 ○中村会長 非常に重要な問題提起だと思いますので、是非とも、今度また別の場でも結構ですのでお調べいただいて、共有をしたいと思います。 海外の規制の緩和・撤廃に向けて3省からお話をいただいたのですけれども、外務、総務、経産の官の連携とか協調の体制というのは、今、どういうふうになっているのでしょうか。 ○彦田室長 要すれば、総務、経産からも補足をしていただければと思いますけれども、私の方から御紹介をしました、例えば対中国、対韓国の二国間のいろいろな協議の場であるとか、WTOにおける交渉においては、関係省庁と対処方針という言い方をしますけれども、どういうことを提起してどういう交渉をするかというラインは、基本的なラインとしてすり合わせをして、各協議ごとということになりますけれども、やっているということでございます。 ○米谷課長 済みません、1つだけ。 まさに知財戦略推進事務局の方でも、関係省庁の調整をリードしていただいておりまして、特に共同製作協定についての検討につきましては、勿論海外の各国の事情について、私ども外務省で情報収集して、それらがどのように機能しているかということを勉強させていただいておりますけれども、日本の民間の実情、御要望を踏まえて、かつ、先ほども御指摘がありましたように、日本としての支援策というものを組み合わせて、相手とどういう交渉をしていくのが有益なのかというところは、まさにこれから政府全体として作戦を考えていかないといけないところだと思いますので、そこら辺りの作戦会議は、知財事務局の方で、関係省庁との協議をリードしていただけるとありがたいなと思っております。 ○芝田次長 知財事務局の方からも一言申し上げたいと思います。 今、米谷課長からございましたように、また、冒頭、参事官からも申しましたように、このコンテンツ関係の業務については、非常に各省多岐にわたっておりますので、連携ということが大変重要になります。今後、ある程度ルーチン化して、関係府省の連携会議を持って協働して進めてまいりたいと思っております。 特にこれからいろいろな経済連携協定の話が出てくると思いますので、そういうところに、むしろ積極的にこちらから打ち出していくという姿勢で交渉すべきではないかというふうにも思いますので、その辺りをまた協議させていただきたいと思います。 ○中村会長 ありがとうございました。 久夛良木委員が御退出とお聞きしました。何かコメントを残しておくことはありませんか。ありがとうございます。 (久夛良木委員退室) ○中村会長 では、ひとまず次に進みたいと思います。今日、2つ目のテーマの人財育成でございます。 どうぞ。 ○角川委員 今、おっしゃっていただいたように、TPPの中に知財というものが入っていますね。この中で我々は、TPPにおける知財として提案するということは、この知財本部で可能なのですか。つまりクールジャパンこそ、日本がTPPに参加していくプラス面の大きな部分だと思うのです。これだけ大きな障壁があって、その障壁をなくすということに関して言えば、このTPPを活用する。あるいは、中国の障壁を解消するという意味では、今、日中韓の自由貿易協定が急速に進もうとしていますね。その中に知財本部が提案したことが入っていくという絵が描ければ、非常に議論が活発化すると思うのですけれども、そこら辺の見通しはどうなのでしょうか。 ○芝田次長 もし、外務省から補足がありましたらおっしゃっていただきたいですけれども、私が先ほど経済連携協定と申し上げましたのは、今、動きつつあるそういった状況を踏まえてのお話でございますが、何分、交渉事項でございますから、余りオープンの場でどういう対処方針に行くということは、なかなか議論しにくい面があるかもしれません。その辺りは、少し関係府省の間でも議論させていただきたいと思います。 ○角川委員 失礼ですけれども、経産省はWTOの当時、映画の中国大陸における公開という問題については余り念頭になかったのですね。実際に中国がWTOに参加して、結局20本の海外への映画の開放というのは、すべてハリウッドに独占されてしまったのです。そのときのことを思い出してもらいたいのですね。今度のTPPあるいは日中韓でも同じようなことが起こらないように、同じ轍を踏まないことをお願いしたい。 TPPと日中韓の自由貿易協定の中でそれがちゃんと入っていたことが、WTOのときは失敗したけれども、今回はコンテンツについて失敗しなかった、日本の重要な知財クールジャパンは、きちんと反映されたというようになってもらいたいと思うのです。是非そこら辺の絵を描いていただければ、TPP交渉における知財本部の存在感も高まるのではないかと思うのですけれども、いかがですか。 ○近藤局長 TPPの話は、正直に言うとまだ参加に向けた協議に参加するとか、やや持って回った言い方でありますが、今、御指摘のことを含めて、我々もしっかりと対応をしなければいかぬと思っていますし、先日やったACTAも、世界じゅうの共通のルールで最低限のルールはきちんと一緒にやろうよといったことを、ちょうど先ほどから御発言いただいている米谷課長がまだ室長の時代から始めて随分やってきたんです。 先日も、我々も中国にミッションを派遣して、その中で取り上げたりしていまして、TPPも同じように、これからそういうところを広げていって、まだ中国のTPPに対する態度はよくわかりませんけれども、いずれそういうのが世界共通の基盤になってきますから、しっかりと対応していきたいと思っています。 ○角川委員 今日のテーマに人材交流というのが入っていましたけれども、海外とのフォーラムとかですね。これも中国はなかなかしっかりしていて、ノウハウを身につけるためにフォーラムを一生懸命やるのです。そのノウハウが分かったらやめてしまう。 ですから、先ほどもお話があったのですけれども、着地点は相手の国に対する規制緩和を求めていくために、今、フォーラムをやっているということでお話があったとすれば、その着地点だけは内々に相手の国と握ってもらいたいのです。それがないと、本当に日本はお人よしで終わってしまいます。 講談社さんもそうですけれども、角川もようやく中国の国有の出版社と合弁会社をつくって、これも限度が45だということで、相手が55、日本が45なのですけれども、このセッションに北京が来まして、非常に自信を持って漫画を開放していくと言うのです。 その漫画を開放していくという根拠が何かというと、日本の漫画の人気ベスト10というのと中国における日本漫画のベスト10、中国における中国漫画のベスト10というのを発表して、総合的に6割は中国の漫画が国民の支持を得ている。そろそろ漫画は開放していいと、こういうことをあからさまに私たちの目の前で言うのですよ。 今までは海賊版をあれだけさんざんやっておいて、もう中国漫画は日本漫画を吸収したということの確信が持てた途端に、漫画を開放すると言い出すのです。だから、我々は相手が力をつけるまで我慢をしなければいけないのか。力をつけてもいいんだけれども、どこまで力をつけたところで開放されるのか。そこら辺の着地点を、是非握ってもらいたいと思うのです。そこがはっきりしないと、日本は本当にお人よしだと。そのお人よしのために国の税金を使うということになってしまうと思うのですね。 私たちも正直、今回の中国の合弁会社でも自力でやったという自覚しかないのですね。長い間、中国の厚い壁に何回も挑戦して、挑戦するたびに少しずつ学んで、こういう抜け穴みたいなことも含めてできるんだなということで、ようやくここまでたどり着いたのだけれども、これからは日本の国の支援の下に、我々は中国に出ていけるんだなというような、頼りになる力になっていただきたいんですよ。 これは本当に私の日本人としての、民間人としての叫びだというふうに受けとめていただきたいんです。よろしくお願いいたします。 ○近藤局長 頑張ります。 ○中村会長 ありがとうございます。 TPPの話が出ました。もし、そのTPPに参加するということになると、知財というのが21項目の中の1つに挙げられておりますので、この場からそれに対してメッセージを発していくということも、重要なポイントになってくるだろうと思います。 我々の役割として、知財の政策が国の中にさまざまある政策の中で、どのようなプライオリティーに行くのか、そして、知財の政策の中での優先順位をどのようにつけていくのかということも、常に整理をしていかなければいけないことだろうと思いますが、その辺りも時間がありましたら、後ほど全体討議の中でもう一度さらっていただいても結構かと思いますが、ひとまず、今日もう一つ残っておりますアジェンダ、人財育成について説明を受けていきたいと思います。 この人財育成については、今日は個別のテーマとしてデジタル教材とクリエーター育成というのがあるんですが、これもまとめて説明をしていただきたいと思います。 まず、事務局から説明をお願いできますでしょうか。 ○木村参事官 それでは、簡単に御説明したいと思います。 資料2-1でございます。先ほど中村会長の方からお話がございましたように、人財育成ということで「デジタル教材の円滑な導入」という点、そして「若手クリエーターの育成」「クリエーターの裾野拡大」について整理しているものでございます。 デジタル教材の円滑な導入につきましては、文部科学省、総務省が連携いたしまして、2011年度、実証校におきまして、児童1人1台の情報端末等学習デジタル教科書・教材を活用した指導方法の開発等について、実証実験を行っているところでございます。 また、若手クリエーターの育成、クリエーターの裾野拡大につきましては2ページ目の方に書いてございますが、文部科学省におきまして、若手クリエーター、アニメクリエーターのOJTを組み込んだ制作現場における人材育成や、コンテンツ分野における専門学校、業界団体により組織された産学コンソーシアムにより学習システムを構築するということ、あるいは海外クリエーターを招へいしたり、アーティスト・イン・レジデンスということで、地域においてそういった活動を行うというクリエーターの国際交流の推進を実施しておりますし、クリエーターの裾野を拡大するという観点からは、小・中学校へのクリエーターの派遣を行っているところでございます。 これらの施策につきまして、後ほど各府省の方から御説明をいただきたいと思います。事務局からは以上でございます。 ○中村会長 では、まず工程表102のデジタルの円滑な導入について、文部科学省と総務省の順に説明をお願いします。 ○新井参事官 文部科学省生涯学習政策局参事官の新井でございます。 まず、デジタル教材の円滑な導入ということでございます。こちらにつきましては、まさに先ほど事務局から説明がございましたように、文部科学省と総務省の連携の事業として進めているところでございます。 本日は、私の方から両事業におきます政府決定等における位置づけと、私どもが推進しております「学びのイノベーション事業」につきまして説明をさせていただきます。総務省の方から両省の役割分担、「フューチャースクール推進事業」、現在の進捗状況という形で御説明をさせていただければと思っております。 まず、お手元の資料の1ページでございますけれども、先ほど事務局からも御紹介がございましたが、知財計画におきましても記載されておりますとおり、今年度から3年間にわたりまして、学びのイノベーション事業、フューチャースクール推進事業におきまして、デジタル教材とか情報端末を活用した、学校の教育現場におきます実証実験といったものを推進しているところでございます。 これで3年間をかけてやっておりまして、本年度が2011年度でございますので1年目でございまして、「学校種」は小学校、中学校、特別支援学校。「発達段階」は小学校の学年でございます。「教科」は主要の5教科でございますが、そういったところでモデルコンテンツの開発やデジタル教科書教材、情報端末を利用した指導方法の開発に関する実証研究を実施しております。 2011年度は、小学校10校、中学校8校、特別支援学校2校を今年の8月に選定をしたところでございます。 次のページをお願いします。こちらにつきましては、政府新成長戦略及び情報通信技術戦略における位置づけでございます。 22年6月18日に閣議決定されました新成長戦略におきましても、子ども同士が教え合い、学び合う協働教育の実現など、教育現場における情報通信技術の利活用による質の改善や、利便性の向上を全国民が享受できるようにすることが盛り込まれております。 また、22年5月のIT戦略本部の新たな情報通信技術戦略におきまして、教育分野は3点でございますけれども、子ども同士が教え合い学び合う、双方向でわかりやすい授業の実現、教職員の負担の軽減、児童生徒の情報活用能力の向上といったことを図って、21世紀にふさわしい学校教育が実現できる環境を整えることが、明記されているところでございます。 3ページは、今年度から推進しております学びのイノベーション事業でございますけれども、こちらに関しましては、1人1台の情報端末の環境や無線LANの環境、そういったものを実際の実証校において整備をいたしまして、デジタル教科書や教材を活用しまして、下の囲みのところに書いてありますが、学校種、発達段階、教科等に応じた効果・影響の検証とか、更には指導方法の開発、モデルコンテンツの開発といったことを、現在行っているところでございます。 本年度の予算が3億円でございまして、来年度の要求が2.8億円ということになっております。現在財務省とも折衝をしているところでございます。 続きまして、両省の役割分担につきましては、総務省の方から説明させます。 ○竹村課長 総務省でございます。 4ページをごらんください。まず、文部科学省からの説明がありましたとおり、教育の情報化に関する実証研究を、総務省と文部科学省で連携しながら実施しているということでございます。 下に連携の役割分担について書いてございますが、主として文部科学省の方がソフト・ヒューマン、教育面、そして私ども総務省の方が情報通信技術面を担当して、実証研究を行っているということでございます。 それぞれの実証研究事業に名前がついておりまして、文部科学省側の事業が学びのイノベーション事業、総務省側の事業がフューチャースクール事業という名前になっております。 それぞれ別の名前が付いておりますが、実際には同じ実証校でやっておりまして、3つ目のポツのところに書いておりますけれども、平成22年度から小学校10校、平成23年度から、これに加えまして中学校8校、特別支援学校2校、こういったところで共同して実証研究をやっているということでございます。 5ページ、フューチャースクール推進事業の概要でございますけれども、真ん中の囲みにあるような各学校でやっているところでございます。左下に小さく写真が入っておりますが、こういったタブレットPCであるとか、あるいはインタラクティブ・ホワイトボード、あるいは電子黒板といったものを使った実証研究の授業を学校でやっているということでございます。 続きまして6ページ、これが現在、文部科学省と総務省の共同でやっている実証研究の実証校でございます。小学校10校と中学校8校、特別支援学校2校で、それぞれ実証研究を実施しているということでございます。 私どもからは、以上でございます。 ○中村会長 ありがとうございます。 続いて最後になりますが、工程表172~175の若手クリエーターの育成、クリエーターの裾野拡大について、文化庁から説明をお願いします。 ○山崎課長 若手クリエーターの育成とクリエーターの裾野拡大、文化庁、文部科学省の分をまとめて御説明したいと思います。資料2-2の7ページ以降でございます。 まず、7ページの「若手アニメーター等人材育成事業」でございます。 現在、アニメーション製作工程の一部が海外へ過度に流出しておりまして、これが新人アニメーターから仕事とオン・ザ・ジョブ・トレーニングの機会を奪っているということで、アニメーターの不足、更に高齢化を招いている主な原因の1つとなっております。 そうしたことから文化庁では、若手アニメーターを起用した製作スタッフによるオリジナルアニメーション作品の製作を通じて、オン・ザ・ジョブ・トレーニングを組み込んだ製作現場における若手アニメーターの育成事業を、平成22年度から実施しているところでございます。22年度、今年度の23年度ともに4団体を採択したところでございます。 本事業においては、年間20~40人程度の有望な若手のアニメーターに経験を積ませることで、これを支援していきたいと考えております。 続きまして、8~12ページにかけてでございます。「成長分野等における中核的専門人材養成の戦略的推進」でございます。コンテンツ分野やIT分野等の成長分野における中核的専門人材養成を進めるために、平成23年度から中核的専門人材養成のための新たな学習システムの基盤を整備する、成長分野等における中核的専門人材養成の戦略的推進事業を実施しております。 これは、成長分野ごとに専門学校や大学と産業界が連携するコンソーシアムを組織化しまして、まず産業界のニーズを踏まえた人材養成策の策定、そして各分野における教育の質保証の仕組みづくり、また、社会人等が学びやすい学習システムの導入促進を実現するということで、本年度は企業、団体へのニーズ調査、分析等を行い、モデル・カリキュラム基準の在り方等について検討報告をとりまとめる予定でございます。 来年度の24年度は23年度の成果を踏まえまして、新たに必要なモデル・カリキュラム基準や達成度評価指標の開発、第三者による専門的・実践的な評価等の実施を行うとともに、国際的に活躍する中核的専門人材養成のため、グローバル化に対応した国際的な質保証や相互交流等の共通課題に取り組むこととしております。 24年度の要求額は、5億7,900万円でございます。 続きまして、13ページでございます。若手クリエーターの育成で「海外メディア芸術クリエーター等招へい事業」でございます。 我が国のメディア芸術分野の今後の発展には、国内のクリエーター間の連携・交流のみならず、海外のクリエーターとの連携・交流を促進していくことが不可欠でございます。そのために、この事業で海外の優れたクリエーターを招へいして、当該クリエーターが我が国に滞在して実施する研修、ワークショップ、創作、展示等の事業を行うことによって、交流機会を通じた人材育成や国際交流を推進するものでございます。 具体的には、海外から実績のある若手のアーティストを公募で招へいして作品製作等を実施し、また、定期的に研修会を実施したり、指導監督者による講評を受ける機会を提供するほか、国内のアーティストや学生との交流、ワークショップ、製作現場の訪問などを実施しております。 来年度の24年度は、要求額が今年度より若干減っておりますが、滞在期間を短縮するなど、事業の実施に支障のない範囲内で見直しを行っておりまして、引き続き国際交流機会の提供を通じて、若手クリエーターの育成と質の向上に努めていく予定でございます。 続きまして、14ページで「文化芸術の海外発信拠点形成事業」でございます。 こちらは、異文化交流の担い手となる外国人芸術家の積極的な受け入れや、国際的な文化芸術創造など、各地域において取り組まれている特色ある国際文化交流事業、アーティスト・イン・レジデンス等でございますが、それに対して支援を行う文化芸術の海外発信拠点形成事業を平成23年度から開始しておりまして、今年度は27件の採択を行ったところでございます。 続きまして15ページ「次代を担う子どもの文化芸術体験事業」でございます。 この事業は、希望のあった小中学校等に芸術家を派遣して、講話や実技披露、実技指導を行って、子どもたちに文化芸術体験の機会を提供するものでございます。今年度は、約3,300件程度の実施予定でございます。 23年度に比べまして、24年度は45億3,300万円の要求で額が若干減っておりますが、これまで以上に効率的な予算の執行に努めることで効率化を図って、実施件数は確保していきたいと考えております。 最後に16ページ、子どもの事業に関連しまして「文部科学省の方で児童生徒のコミュニケーション能力の育成に資する芸術表現体験」ということで、コミュニケーション教育あるいは知財教育、情報モラル教育という観点から、私どもの事業と連携して取り組んでおるところでございます。 以上でございます。 ○中村会長 ありがとうございました。 では、人財育成について御意見・御質問がありましたらお願いいたします。 ○杉山委員 まず、最初の学びのイノベーション事業とフューチャースクール推進事業で、基本的には非常によいことだと思うのですけれども、この中で一言、我々がやっているコンテンツ強化ということに関して、何らかの考慮をされている点があれば教えていただきたい。全体の教育の底上げとか、21世紀らしい教育をやるということに関しては非常に意味がある事業ととらえていますけれども、何かしらコンテンツ強化というところにおいて、モデル法でもいいですし、何か配慮されているようなことがあれば教えていただきたい。 ○新井参事官 今、御指摘がございましたコンテンツの強化についての配慮ということでございますが、この事業につきましては3ページにもございますように、デジタル教科書、教材を使って、実際に学校におきまして、どういったデジタル教材を使うと効果があるのか。 効果と申しますのは、例えば学力が上がるとか、意欲・関心が高まるとか、そういったことを検証したり、あとは実際の学校現場におきまして、先生方がデジタル教材を使った指導方法といったものを、例えばデジタル黒板を使って協働型の教育を実施すると、こんなふうにうまく授業ができるとか、そういったことを主の目的としてやっている事業でございます。 教科書以外の教材等につきまして、いいものがあれば、私どもとしてもいろいろ奨励をしたり、使っていきたいと考えております。 ○杉山委員 それはそれでいいと思いますし、デジタルのいろいろなインタラクティブなものを使えば、子どもたちがそういうコンテンツにも興味が持てるだろうという間接的な意味では大賛成なのですが、基本的にコンテンツの産業はアメリカと比べられるときがありますけれども、御存じのようにアメリカは教育の予算がどんと削られる中で、あちらでは最初に削られるのが美術と音楽で、ほとんどやってない小学校が非常に多いのですね。その点、実は日本はそれをずっときちんとやってきたというのが、なかなか数字で出ないかもしれないですけれども、地味なようでも日本のクリエイティビティーを支えてきた。 幼稚園もそうですけれども、小学校からきちんと音楽とか美術に力を入れているということなのです。ここで論議することではないかもしれないですけれども、全体的に文部科学省の流れの中で、やはり小学校とか中学校の先生の美術教育とか音楽教育の地位向上を、基本的なようでもした方が、最終的にはコンテンツ産業の人材を大きく育てていく基礎になると私は思っています。私はデジタルのことをやっていますけれども、小中ではそういうアナログのところが特に大事であるということだけは、ちょっと覚えておいていただきたいと思います。 ○新井参事官 今の点、大変重要な御指摘だと認識しております。特に美術とか音楽とか、そういった先生方の地位の向上とか、そういったことは基本的な問題として受けとめさせていただきたいと思います。 あと、この事業に関連して補足をさせていただきますと、今、デジタルの教材は主要5教科と申しましたけれども、例えば体育とか音楽とかでも、実際にデジタルの端末を使った授業というのが行われています。 先ほど総務省さんからも説明がありましたけれども、例えばフューチャースクール事業の実証校の端末は、テレビのカメラが内蔵されている端末を使っておりまして、例えば体育で、実際に跳び箱を飛んだり前転をするようなものを児童が撮影をしまして、それぞれがお互いにフォームを見せ合ったり、あとは音楽なんかで、例えば実際に演奏しているものをビデオで撮りまして、タンギングという舌の使い方とか、指の使い方とか、そういったものを実際にビデオで撮影して、それを見て先生が指導をするといった使い方もありますので、美術、音楽でもいろいろな可能性があるのではないかと考えております。 ○中村会長 デジタル教材について、私からも1つ質問があるのですが、昨年、日本政府が2020年を目標に、すべての子どもたちがデジタルの環境で勉強できるようにという閣議決定をしたのですが、韓国は2013年にはすべての小学生がデジタル教科書で勉強できるようにするということで進んでいて、それだけで7年の開きが出るので日本は急ぐ必要があるのですが、これまでなかなか進まないで来ました。 これから強力に進めていく上での大きな課題というのは、何なのでしょう。 ○新井参事官 今、中村先生からも御指摘がございました課題でございますけれども、私の方から主に2点を挙げさせていただきたいと思います。 1つは、中長期的に見ましても、今回の実証実験でやられました成果をすべての学校とか教育委員会、そういったところで情報をきちんと共有をして、学校現場においてICTを活用、促進していくということから、まさに現場におきます周知とか、徹底とか成果の共有といったことが1つの課題になるのではないかと考えております。 2点目でございますけれども、実際にこの授業をやっていく上で、いろいろと課題というのが明らかになるのではないかと思っております。例えばセキュリティーの関係とか、あとは端末を45分ずっと見っぱなしになると、児童に対する健康面での影響とか、さまざまなものが生じてくると思いますので、そういった点につきましても実証事業を通じまして、解決の方策の検討とか、ガイドライン的なものを作成するといった取組みを進めてまいりたいと考えております。 ○中村会長 ほかに人財育成について。どうぞ。 ○川上委員 今の海外メディア芸術クリエーター招へい事業ということなんですけれども、予算を見てみると1億4,500万円と大変少ない。多分金額的にはどうでもいい事業だと思うのですが、基本的には予算がないということで、私はこういうものこそネットの活用ということを是非考えていただきたいと思います。 海外クリエーターの招聘で交流させますと言いますけれども、日本に連れてきて講演させるとか、そんなことにお金を使っているんだと思うんです。これは、お金の使い方としてはすごく非効率だと思うんです。 今はネットで世界じゅうがつながっているわけですから、民間レベルとかでもネットでのクリエーターの交流というのはあるわけです。例えばどうせ連れてくるんだったら、ネットで日本のクリエーターと交流している人を日本に連れてくるとか、ネットに結び付けた形でやっていくと、日本に1回来て、見て、終わりというのではなくて、その後もつながる意義があるお金の使い方になるのではないかというふうに思います。 我々の方でもジャパン・エキスポを初めとして、今、日本好きの人たちの展示会というのを日本のユーザー向けに放送しているんですけれども、これを現地の日本好きのユーザーの人たちも見ているわけです。ジャパン・エキスポのような日本好きのエキシビションというのは世界各地で行われているんですけれども、いろいろ中継しているうちに、どこの会場からもニコニコで中継してほしいというふうに、今、向こうの方から言われるようになりまして、今、我々は月間1,000万円ぐらいをかけて、世界じゅうの日本の展示会を中継し続けているんです。 別にこれは助けてくれというわけではないのですけれども、逆に言うと、1,000万円という金額は我々にとって決して小さな金額ではありませんが、正直に言って大した金額でもないわけで、それで草の根レベルでの文化交流というのはかなり活性化していると思うんです。これはネットを活用した文化交流として、非常にコストパフォーマンスの高い実例だと思いますので、こういうことをされるのであれば、どうせ予算もこんなに少ないようですから、そういうネットの活用というのを考えていただきたいと思います。 ○新井参事官 貴重な御意見、ありがとうございます。 アーティストの公募もネットで募集をしたり、勿論日本に関心を持ってそういったことをウォッチしているような方が、主な対象になってくるかと思います。ただ、おっしゃるようにネットでできる部分と、実際に来ていただいて日本のアーティストと交流するとか、あるいは図にもありましたように共同で1つの作品をつくるとか、一緒に同じ空気を吸いながらワークショップをするとか、そういった面にも意義がございますので、その辺は両方を併せてやっていくことが大切かなと考えております。 ○中村会長 ありがとうございました。 項目別のヒアリングを一通り終わりました。 どうぞ。 ○安藤参事官 済みません、15ページのところの御説明でクリエーター派遣の部分なんですが、文部科学省さんの方から3,300人というお話があったと思うんです。これは、実は昨年の概算要求の段階でも知財事務局のみならず、政務三役までを含めて重点項目という形で、文科省の中もかなりハイレベルで御議論をいただいたと思います。 3,000人を4,000人にしていく、更には1万人を目指して、優れたクリエーターの方々が子どもたちに直接語っていただき、見せていただくことは非常に大事なことだと思うんです。いろいろな御苦労とかがあるとは思うんですが、その辺りの見通し、あるいは現状について一言だけ解説いただければと思います。お願いします。 ○山崎課長 応援をありがとうございます。 2年前に仕分けでいろいろな御指摘もあり、また、来年度は震災復興対応ということで、既存の事業の1割減という大変厳しい状況もある中で、最大限の努力はしたいと考えております。 今年度、正確には3,396件の予定でございます。実は、今年度も22年度に比べれば予算がちょっと減ってきているわけですが、1件当たりの経費をちょっと抑えてでも実施件数は維持していきたいということで、22年度よりは、今年度、実施件数としては500件ほど増えております。 来年度、更に予算は厳しいのでございますが、より効率的な予算の執行に努めるということで、実施件数を確保していきたいと考えておるところでございます。 ○中村会長 どうぞ。 ○中山本部員 学びのイノベーションについてお伺いしたいのですけれども、この件におきましては、教材がかなり重要になってくると思います。教材のデジタル化あるいはネットの利用ということになってくると、すぐに著作権が出てくるわけです。例えば3ページに書いてある教員同士が教材を共有して云々、これなんかはまさに著作権法の問題が出てくるわけですけれども、そこら辺の対応というのはどうなっているのでしょうか。 ○山中室長 著作権課でございます。 教材につきましては、先生方が自作する教材そのものにつきましては、その素材として著作権フリーの教材等もありまして、そういったものを活用して教材がつくられているケースもございます。こういった場合におきましては、既に自由に利用することが認められているもので先生方が教材をつくられているわけですので、著作権法上、問題はないというふうに理解しております。 ○中山本部員 私が理事長をしているクリエイティブ・コモンズも、無償で教材に利用できるような材料を提供しておりますけれども、全体の情報の中ではまだ一部でして、それだけで教材をつくるというのはなかなか難しいと思います。どうしても著作権のあるものも出てくると思うのですけれども、著作権法上の手当てをするということは考えていないのでしょうか。 ○山中室長 現状でいきますと、全体で先生方がつくられるということではなくて、契約の下で、学校で利用するためにつくられている教材等もございます。 一方で、教科書への活用につきましては、著作権法上の制限規定がございまして、補償金の支払いが必要にはなっておりますけれども、著作物が教科書に利用できるということの規定もありますので、仮にデジタル教科書というものが文科省の検定教科書という位置づけになるようなことであれば、当然その取扱いについても検討することが重要なことであるとは考えております。ただ、教材そのものにつきましては、もう少し実態等を確認しながら考えていきたいと思っております。 ○中山本部員 教科書については規定があるので問題はないですが、ここに書いてあるのは、教員同士が教材を共有等するということです。個々の教員が自分の授業で使う分には原則として自由という条文はありますけれども、教員同士で共有し合うことについては著作権法の世界でもかなり議論がありまして、難しいのではないですか。 そうなってくると、教員の教材と言っても法律を守ろうと思ったらかなり限られた、限定的なものしかできない。例えば自分で書いた文章とか、あるいは先ほど言ったクリエイティブ・コモンズに載っている無償のものとか、限定的なものしか使えないので教材の質は当然落ちるだろうと思いますが、そこら辺の措置をお考えなのでしょうかという質問なのです。 ○芝田次長 そういう問題が、きっと出てくるんだろうと思います。したがって、そこは今、実証実験中の成果を提供していただいて、共有して、どういう対応をすればいいのかを考えさせていただければと思います。 ○中村会長 今、御指摘いただいたことは既に現場サイド、これは学校現場だけではなくて、紙の教科書をデジタルにするときに要する処理とか、そういったことも結構な問題になってきていますので、今後この場でも必要があれば取り上げていけばよろしいかと思います。 今日は、海外展開と人財育成についてヒアリングを行ったわけですけれども、この2つの項目、今後の計画2012に反映していくことに向けて、残り時間は10分程度ですけれども、全体討議ができればと思います。 何かこれまで出していただかなかった意見で、言っておきたいことがあればお出しいただければと思います。いかがでしょうか。 どうぞ。 ○末吉委員 全体を通じてちょっと感じたことを申し上げたいのですけれども、非常にお役所の間で協力してやっておられる感じが、少しずつ出てきてすごくいいことだと思いますのと、また、戦略事務局が非常に調整をしていただいて、その御苦労の一端が、今日はうかがえた感じがするのですが、他方、無理そうなテーマがありますね。私は、無理そうなテーマは無理だというふうにした方がいいと思うのです。無理ならば次の一手を考えなくてはいけないので、御努力いただくとしても、その感触のフィードバックが、行間を読むとあるのかもしれませんが、無理そうなら無理だというものの明示があっていいのではないかと思ったのが1つ。 それから、もう1つ、こういう形でのフィードバックだけでは足りないのではないかとよく申し上げているのですけれども、こういう場だけではなくて、いろいろなところでこういうふうに協力しろとか、こういう情報を教えてもらいたいとか、何かそういうやりとりがもう少し出てきていいのではないか。 施策の遂行のみならず、いろいろな情報の流通にしても、勿論、戦略事務局がいろいろ調整していただいているのだと思いますけれども、時間を急ぐのでリアルタイムに、もっと民間、我々との情報交換を含めて、もっと活発に行われた方がいいのではないかと思いました。 以上でございます。 ○川上委員 今のお話にも通じると思うのですけれども、ほかの国との比較表をつくって、日本はこれができる、これはできないということで、できないことは受け入れて、それをきちんと可視化するということをやってほしいと思います。 一応努力していますというので、結果的にはみんなすごいテーマがあって、そのテーマのすべてに対して努力をしているんだというものが、この計画だと思うのですけれども、実際に実効性というのが限定的だということは、みんな関係者が分かっていることなので、解決はできないまでも、それがどう限定的なことなのかという問題点を示すことが必要なのではないかと思います。 どうせできないことはできないし、それがはっきり分かっていれば、将来的に日本もファシズムの国になって独裁者がやってくれるかもしれませんし、そういう準備だけはしていただきたいと思います。 ○中村会長 先ほど、末吉委員から民間を巻き込めみたいな話がありましたけれども、役所の皆さんの方から知財本部の事務局なり民間なりに、こういうことをやってくれという意見とか要望とか、そういったものがあればお聞かせいただきたいと思うのですが、いかがでしょう。 ○竹村課長 既に民間の方々で、放送事業者の方あるいは権利者の方、コンテンツホルダーの方、末吉先生にやっていただいているいろいろな連絡会を通じて、どういうふうにいろいろな個々の問題について解決していったらいいかということについて、いろいろな取組みをしております。 ただ、我々としてはビジネスとして、民間の事業として成り立たないといけないという認識は持っておりまして、そこら辺のビジネスをやっていく上で具体的に何が障害になっているかというのを、もう少しリアルな情報をいろいろいただけると、我々の施策展開にとって、より参考になるかなと思っています。個別にはいろいろ情報をいただいておりますけれども、より情報交換を活発にして問題点を整理していきたいと考えております。 ○中村会長 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。 ○中山本部員 コンテンツの流通、特に海外展開におきましては、非常に複雑な法律問題が出てきておりまして、是非、ロイヤーをもっと使っていただきたいと思います。 例えば海外展開推進会社の例でいきますと、ハリウッドをゲートウェーとして使うということですけれども、ハリウッドというのは、めちゃくちゃ専門化したロイヤーの巣窟と言ってもいいわけです。恐らくこちらも相当のロイヤーをつぎ込まないと、とても太刀打ちできない。物すごく分厚い契約書をどんと持ってこられても、普通の人は何だか分からないという状況だと思いますけれども、この会社ではロイヤーをどのように使っているのでしょうか。 ○伊吹課長 勿論、最初にIPをちゃんとホールドするというところが大事だと思いますので、そこでエンタメのロイヤーの方、知財のロイヤーの方に活躍をしていただく。それは中に入れるということではなくて、多分契約ベースでやっていくという話になると思います。 やはりLAに行ったときにエンタメロイヤーの方にたくさん言われたのは、日本側で、ハリウッドと同じレベルでこういう契約ごとをやれるロイヤーというのを、このプロセスを通じてたくさんつくっていくことが大事だということは、やはり何人かから指摘をされました。 ○中村会長 どうぞ。 ○杉山委員 そこはもう、今、おっしゃったことははっきりしていると思っていて、せっかく法科大学院とかがあるのですから、何か文科省が、もっと専門的にそういうところのロイヤーをやれるようなことをどこかの大学、国立大学とやるとかをしないと、現状で既に日本のロイヤーになっている方にプラスの教育をやったり、向こう側で何年間かをやってもらうとしない限り、つくってくださいとか用意してくださいと言っても、私も何人も日本の方でそういう仕事をされている方は会ったことがありますけれども、本当に一握りというか、日本には数人もいないのではないですか。とても無理だと思いますね。 やはり文科省なんかも、そういうのを真剣に取り組んでいただいた方がよろしいのではないかと思っているのです。 ○大﨑委員 本当に数人というか、いないのではないかと思っています。 私たちは会社で、ヤクルトの石井一久以降、アメリカのメジャーリーグに日本のプロ野球選手を7~8人送っているのですけれども、CAAと組む前まではTMIさんと、向こうのロイヤーとやってきました。いろいろな山、谷があるのですけれども、CAAと組んで、CAAにウィリアム・モリス・エージェンシーからメジャーリーグの専門家を引き抜いて、その人とやったら、今までやってきたよりも条件が4~5倍よくて、金額もよくてということでした。本当に日本人がだれも知らなかったことです。 それはなぜかというと、結局人脈とノウハウの蓄積で、勿論法律のことは、私は全くの素人ですけれども、やはり日々変わっていく実業の中で、法律家も一緒に立ち会ってというところをやっていかないと、ましてやアメリカや中国には伍していけないのではないかと思います。 中国なんかでも、私たちもイベントの会社を4~5年ほど前に7~8年をかけてつくりました。それは中国祥宇娯楽有限公司と言うのです。エンタメの世界で中国という国の名前が付いた会社をつくったのですけれども、7~8年、七転八倒をやってつくりました。でき上がった会社は、幸いにもフェイ・ウォンのコンサートとかをしております。前も言いましたが、やはり人脈とノウハウを官民一体でどうつくっていくかという体制をつくらないと、いつまで経っても、中国にもハリウッドにも行けないのではないかと思います。 勿論バラエティーの進出というのは先が遠いのですけれども、そういうことも含めて官民一体で経験をしていかないと遅れをとるんだと思います。 ○角川委員 恐らくMBAだと思いますけれども、この間、ロサンゼルスに行かれて、伊吹さんはいい勉強をされたのかなと思うのですが、アメリカというのはエンターテインメント・ロイヤーというのが、半分が事業ビジネスのアドバイザーで、半分が本当の法律の弁護士です。 こんなことは、余りこの場で言うべきことではないのかもしれないですが、12月1日から公開された『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』という映画がありますけれども、角川は東宝東和さんと組んで出資をしております。全世界の収入から25%が我々のファンドに入ってくるようになっているんです。この25%というのは、5人のプレーヤーがいまして、韓国はロッテです。日本は東宝東和と角川、そしてシンガポールが自ら出資をしてくれています。シンガポールに国の財団がありまして、そこがエンターテインメントに投資をするんですね。こういうのも、まだまだ日本ではとても考えられないので、このレベルに行くには、この知財をあと10年やらなければいけないのかなと思ったりします。 そして、アメリカのエンターテインメント・ロイヤー自らが、自分の会社が資金調達をして、5社で25%の出資をするというファンドをつくりました。 これは1年半にわたって、そのロイヤーが自分の人生をかけてつくってくれたスキームなのです。ハリウッドは日本も御存じのとおり、パナソニックも、ソニーさんも、パイオニアさんも苦労されて、ほとんど失敗の方が多くて、成功は数えるのが難しい。つまり、はっきり言うとだまされてしまうのです。ですから、気楽にハリウッドという言葉が踊ると、どきっとするんです。今まで日本がどんなだまされ方をしたか、検証した方がよろしいと思います。その中でロイヤーを外に求めるというのは、事実、それではできないと思いますよ。 今日のこういうお話をしながら思うのですけれども、私から見ると、この映画ファンドをつくろうというせっかくの話と人材育成という話が別々に動いているんですね。実はこれは相互なのです。 ですから、人材育成をしよう、せっかく人材の材を財産の財と付けるのであれば、この会社がロイヤーを育てなければいけないのです。外に求めるのではなくて、この会社自身にロイヤーに入ってもらって、その人を育てる。産業機構のお金を使って育てる。つまり、ビジネスモデルの方のロイヤーです。 それから、外部は先ほどお話があった産業、法律の方のロイヤーでもいいですけれども、そういうことも含めて内部に取り込んでいって教育をしていかなければいけない。 それから、この会社の経営者自身が実は人財なんですね。失礼ですけれども、そういう人財の人が経産省で探して得られれば、こんなにすばらしいことはないと思いますけれども、これは本当のことを言って大変ですよ。だれがするんだろう。そういうことができる人は、映画界では限られています。 そういう面では、今回、企画段階で投資をしてあげますよというのは、ある面で無難かもしれないんですね。私たちから見ると、製作に投資をしない、マーケティングに投資をしないというのは非常に不満なんだけれども、まず企画段階でやっていこうという方がけがをしないと言うんですか。この会社は、そのぐらい高いハードルを担っています。 そういう点で、私は非常に謙虚な話をしているつもりなのですけれども、この会社が成功してもらいたいと思う一方で、今、どういうふうに言うか、私は詳しくありませんけれども、知財本部が人財育成の面でも、この会社をそういうふうに持っていくということをされた方がいいと思います。 いずれにしても、私からアドバイスできるとしたら、VIPOがありますね。VIPOは映画界から人材が派遣されていますので、ある面でこの会社にリスクを負わせないという意味では、極力小さな会社をつくってVIPOを運用するとか、コンテンツ産業で、我々は既にそういう幾つかの組織を持っていますから、そういう組織を活用されながらこの会社が動いていくと、恐らく少ない金額が有効に生きるし、また、併せて人材育成が達成できるのではないかと思います。 いずれにしろ、ロイヤーの問題は非常に重要です。せっかく中山先生から御指摘されたのですから、これを生かしていただきたいと思います。 ○中村会長 ありがとうございました。 では、予定の時間が参りましたので、本日の会合はこれで終了といたします。まだ御意見等がたくさんあろうかと思いますので、今日いただいた発言以外にもございましたら、後ほど事務局までお寄せいただければと思います。 では、事務局から、連絡事項があればお願いします。 ○木村参事官 次回の第3回でございますが、12月21日水曜日の13時からデジタル化・ネットワーク化につきまして、ヒアリングを行います。場所はこちらの会場でございます。詳細につきましては、決まり次第皆さんに御連絡を差し上げたいと思います。 以上でございます。 ○中村会長 では、閉会といたします。御多忙のところ、ありがとうございました。 |