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コンテンツ強化専門調査会(第1回) 議事録
○中村会長 ただいまから、次期知的財産推進計画策定に向けた「コンテンツ強化専門調査会」第1回会合、新しいラウンドを開催いたします。本日は御多忙のところ御参集をいただきまして、どうもありがとうございます。 さて、この専門調査会、昨年の11月から5月にかけて、大変精力的に御議論をいただきました。それで「知財計画2011に盛り込むべき事項」をとりまとめまして、6月3日に知財戦略本部において「知的財産推進計画2011」を決定しました。本日は「推進計画2012」に向けた検討のキックオフということになりますので、活発な御議論をお願いしたいと思います。 今日は角川委員から御欠席の連絡をいただいております。 では、開会に当たりまして、近藤局長にごあいさつをいただきます。 ○近藤局長 おはようございます。 委員の先生方におかれましては、これまで本当に、厳しい日程のお願いで無理を申し上げて、感謝をしておるところでございます。また、シーズンがやってまいりまして、これから結構厳しい日程で御審議をお願いすることになると思います。どうかよろしくお願いいたします。 おかげさまで、今年「2011」をとりまとめることができました。非常に全体としても、政策の中身、盛り込んだ形ができておりますし、これを今度は実行していくことが非常に重要だと思っております。この委員会でも、これから検討の結果の実施状況といったこともフォローアップしながら、更に何をするかといったことを議論していきたいと思います。今年は3月の震災に始まり、ギリシャのソブリンリスク問題、タイでの洪水であるとか、円高だとか、株安だとか、どうも、余りいいニュースがないのでありますけれども、こういうときだからこそ、コンテンツの力をしっかりと出していかなければいかぬと、改めてこんなふうに感じているところでございます。 お手元に実はバッジと、こういう「JAPAN NEXT」という紙をつくってございます。いろいろと皆様方から御指導いただいた気持ちを込めて、クールジャパンの、これから日本がもう一回、震災から立ち上がって、しっかり一丸となってやろうじゃないかという気持ちを込めたバッジを、こういう形でつくりました。デザインをしてくれたのは佐藤可士和さんという有名なデザイナーでございまして、皆さんの身の回りでも、例えば今、ちょうどやっている「CoFesta」のマークとか、TSUTAYAのマークとか、ユニクロのマークをつくった方でありますが、この方につくっていただきまして、こんな形で、これからのPRをしっかりやっていこうと考えているところでございます。ちょっとこのバッジが大きいんじゃないかという議論もありまして、小さいバージョンも今、1個つくっています。大きいバージョンだと、えらく大きいなと思われるかもしれませんが、それで話題になると思って、できれば付けていただければと思います。 それから、例えば別所さんが「ショートショート」をおやりになるときに、たくさんお土産でお渡ししますから、来た方に配っていただけるようなことも、是非御検討いただければと思います。皆様方もいろいろなところで、例えば講演をするときに。私実は、たまたま昨日、中小企業の人を相手に、250名ぐらいだったんですけれども講演をしまして、今のこの仕事に関するよりも、むしろマクロ経済の講演をしたのですが、これを少しお話しをして、欲しい人といったら、どっと手が挙がって、十数個だけ配ってきたんですが、そういった御要望にも、相当程度お応えもできると思いますので、是非これを御着用いただいて、また、日本がこういう分野をしっかり頑張っていこうと、我々の気持ちを込めたマークでございますので、是非よろしくお願いしたいと思います。 ちょっとあいさつが長くなってしまいましたけれども、これからしっかりと、このコンテンツ関係、進めていきたいと思います。よろしくお願いします。ありがとうございました。 ○中村会長 ありがとうございました。 では、まず「知財計画2011」の進捗状況について、事務局から報告をお願いできますでしょうか。 ○木村参事官 まず、事務局内部で異動がありましたので、御紹介させていただければと思っています。7月15日付で内藤企画官に代わりまして筬島企画官が着任しております。 ○筬島企画官 よろしくお願いします。 ○木村参事官 また8月1日付ですが、奈良参事官に代わりまして、私、木村が参事官に着任いたしました。よろしくお願いいたします。 それでは、まず資料の確認からさせていただければと思っております。 「議事次第」の次に、「最近の知的財産戦略の8大成果」ということで、席上配布の資料がございます。 資料1-1 知的財産推進計画2011の進捗状況(コンテンツ強化関連) 【席上配布資料(委員限り)】 資料1-2 ACTA署名式・ACTA国際シンポジウムの開催について 資料1-3 「知的財産推進計画2011」関連予算について 資料2-1 知的財産推進計画2012に向けたコンテンツ強化専門調査会の今後の進め 方について(案) 資料2-2 コンテンツ強化関係資料 資料3 谷口委員配布資料「J-ポップの海外展開」 参考資料1 コンテンツ強化専門調査会委員名簿 参考資料2 知的財産による競争力強化・国際標準化専門調査会及びコンテンツ強化専 門調査会の設置について 参考資料3 コンテンツ強化専門調査会の運営について 参考資料4 コンテンツ強化専門調査会の公開の手続きについて の資料をお配りしているところでございます。 漏れがありましたら事務局までお知らせいただければと思います。よろしいでしょうか。 では、資料の説明の方に移らさせていただきたいと思います。 まず、席上配布しております「最近の知的財産戦略の8大成果」の資料でございます。こちらの資料につきましては、民主党の政権となりました2009年9月以降の主な成果をとりまとめたものでございまして、本専門調査会に特に関係が深いものは、成果の2、3、5、6、7の一部となっておるところでございます。 まず成果の1でございますが「日本政府として初めて総合的な国際標準化戦略を策定」したということで、関係府省・関係業界と一体になって戦略を策定し、政府関係者及び関連業界・学会の国際標準化への意識が格段に向上したといったものでございます。 成果の2でございますが「内閣主導での総合的なクールジャパンの推進」ということでございまして、内閣主導の下、総合的なクールジャパンを政府で統一的に推進する体制を構築し、実行に移しているものでございます。 昨年10月には「クールジャパン推進に関する関係府省連絡会議」を発足いたしまして、本年3月には「アクションプラン」をとりまとめ、5月には大震災を踏まえた大幅改定を行い、関係府省で取組みを進めているところでございます。 具体的には、総務省では、地域発の番組を製作いたしまして、ダボス会議でございますとか、サウジアラビアのジャナドリヤ祭等での放映を行い、その結果、ダボス会議に参加した台湾企業が番組を購入して、航空会社20社に再販売し、世界中で機内放映されているというようなことも出ておるところでございます。 また経済産業省では、本年8月以降でございますが、主要国のニーズに即したクールジャパンの海外展開を支援する補助事業を順次実施してございます。 外務省では、9月以降、在外公館を中心に現地関係機関、また民間企業が連携する「クールジャパン支援現地タスクフォース」の設置を開始しておるところでございます。 更に、本年の9月には、先ほど近藤局長の方からも御説明がございましたが、政府として統一的に取り組むロゴ・メッセージを発表し、机上にもこのバッジを配布しているところでございます。 また、海外イベントや海外メディアの活用を図る二次補正予算、また国内イベント実施のための三次補正予算を確保しておりまして、関係府省と一体的にクールジャパン推進のための事業を実施するということにしておるものでございます。 成果3で「日本政府提唱の偽造品防止協定の妥結と国内法整備」ということでございます。日本がG8サミットで提唱いたしました「偽造品の取引の防止に関する協定」、ACTAでございますが、昨年の10月東京会合での大筋合意を先導いたしまして、本年4月に協定文が確定しております。そして9月には仙台で国際シンポジウムを開催し、10月には東京で署名式をホストしたということでございます。今後、早期発効に向けた準備を進めるとともに、アジア諸国などに加入拡大の働きかけを行うこととしているものでございます。 成果の4で「中小企業に優しい特許システムの構築」ということでございまして、本年4月に中小企業の特許出願を支援する「ワンストップ相談窓口」を全国47都道府県に設置するなどをしているところでございます。 3ページ目の成果の5で「電子書籍や放送番組配信の推進」でございますが、こちらにつきましては、昨年6月の総務省・文部科学省・経済産業省の3省共同懇談会の提言を受けまして、本年9月に、国内出版社20社が電子書籍の普及促進を目的とする出版デジタル機構(仮称)の設立に合意をしているといったところでございます。 また、総務省の支援で、本年の3月でございますが、さまざまなプラットフォームや端末が採用する多様なフォーマットへの変換を可能とする電子書籍交換フォーマットが策定されたということでございます。 更には、端末フォーマットでございますEPUBの日本語拡張仕様が策定されまして、本年10月にはIDPFが当該仕様を採用したEPUB3.0が確定したところでもございます。 また、昨年7月から映像コンテンツ権利処理機構、aRmaでございますが、一元的な実演家の権利処理業務を開始したということもありまして、放送番組の電子配信が加速しているというところでございます。 成果の6で「海外向けコンテンツファンドの創設」でございますが、本年の8月、本邦コンテンツの海外展開支援のために、産業革新機構がAll Nippon Entertainment Worksを設立し、60億円をファンドに出資するということを発表しておるところでございます。 成果の7で「営業秘密やライセンス契約者の保護強化とデジタル・ネットワーク時代に対応する著作権法の整備」ということでございます。これにつきましては、4ページの2つ目のパラグラフでございますが、本年の1月、文化審議会著作権分科会におきまして、最終報告をとりまとめたところです。 これを受けまして、個別具体的に権利制限規定を列挙している現行の著作権法でございますが、柔軟な対応が可能な権利制限の一般規定を導入する改正法案を今、準備中といったところでございます。 成果8といたしましては、「米国特許法の先願主義への歴史的転換」といったことが挙げられているところでございます。 以上がこの資料でございます。 続いて御説明させていただきたいと思います。 資料1-1「知的財産推進計画2011の進捗状況」ということでございます。 この資料につきましては、これまで議論がございまして、委員の関心が高かったものを関係府省に聴取してまとめたものとなってございます。これにつきましては、知財計画2011の進捗状況ということでございますが、知財計画2010からの課題となっているものも含めた施策の進捗という位置付けになっているものでございます。 まず1番目の「コンテンツの海外展開の促進」ということでございますが、これは各項目の頭に番号が付いております。最初に「117」と書いてありますが、これは知財計画2011の工程表の番号となっているものでございます。「『コンテンツ特区』の創設」ということがまずございます。本年6月の総合特別区域法が成立したことを受けまして、地方公共団体から申請を受け付け、現在、地域活性化事務局等が申請内容を審査しているところでございまして、コンテンツ特区としては、札幌市から1件申請が出されておるところでございます。今後もコンテンツ特区の認定に向けて、地方公共団体に対して情報提供などの支援を推進するということが必要というふうに考えているところでございます。 「コンテンツファンドによる海外展開資金の供給」ということでございます。 先ほど8大成果のところでもお話しさせていただきましたが、本年8月に産業革新機構、日本のコンテンツにつきまして、海外展開に向けた映画などを企画・開発することにより、収益を獲得することを目的とする新会社を設立し、60億円を出資するということを発表しているところでございます。我が国コンテンツの海外展開に向けまして、新会社の運用をできる限り早い時期に開始し、実績を上げることが必要ということになっているところでございます。 「国際共同製作支援」のところでございます。 文部科学省は、経済産業省と協力しつつ映画の国際共同製作に対する支援ということを実施しているところでございます。 また、国際共同製作協定につきましては、外務省が中心に関連情報を収集し、必要な枠組み、対象国などについて検討を実施しているといったことでございます。国際共同製作の重要性を踏まえまして、引き続き支援を推進し、実績を増やしていく必要があるということでございます。 「地域コンテンツの海外展開」でございます。 こちらの方は総務省が本年7月に、国際共同製作による地域コンテンツの海外展開に関する調査研究ということの請負事業者を決定いたしまして、海外放送局との共同製作を支援しているところでございます。 「諸外国における規制の緩和・撤廃」ということでございますが、こちらの方はアジア市場をはじめといたします諸外国におけるコンテンツ、あるいは食に関する規制が、産品の輸出の障害ということになっていることから、そういった規制の緩和・撤廃を外国政府・関係機関に強く働きかけをしていくというものでございます。 2ページ目の「人財育成」の点でございます。 「デジタル教材の円滑な導入」でございますが、こちらにつきましては文部科学省・総務省が連携し、2011年度は実証校、小学校10校でございますが、そこにおきまして、児童1人1台の情報端末と学習者用デジタル教科書・教材を活用した指導方法の開発等に関する実証実験を実施中でございまして、今後の研究成果の普及が課題となっているところでございます。 その次は「若手クリエーターの育成・クリエーターの裾野拡大」という点でございます。 文部科学省は、若手アニメクリエーターのオン・ザ・ジョブ・トレーニングを組み込んだ制作現場における人材育成、コンテンツ分野における専門学校・業界団体などにより組織された産学のコンソーシアムによる学習システムを構築。海外クリエーターの招へいや創作活動の拠点の形成を図るとともに、アーティスト・イン・レジデンスでございますが、こういったものを通じたクリエーターの国際交流の推進を実施しているところでございます。 また、クリエーターの裾野を拡大するため、小中学校へのクリエーター派遣を実施するということで、23年度は約4,000件を実施予定ということでございます。 3点目の「デジタル化・ネットワーク化」でございます。 「電子書籍の市場整備の加速化」ということでございまして、文化庁の検討会議におきまして、電子出版に関する権利の在り方や、国立国会図書館の保有するデジタル・アーカイブの活用などについて検討を行っているというものでございます。電子書籍のファイルフォーマットにつきましては、海外フォーラム標準(EPUB3.0)に、日本語組版の仕様を反映したところでございます。 「知的資産のアーカイブ化とその活用促進」ということでございますが、こちらも文化庁の検討会議で、「デジタル・ネットワーク社会における図書館と公共サービスの在り方に関する事項」についてとりまとめを行ってございます。今後、放送番組、漫画といった、さまざまなコンテンツのアーカイブ化を更に進める必要があるというふうに考えておるところでございます。 3ページ目「3.デジタル・ネットワーク化(続き)」でございます。 「著作権制度上の総合的な検討」ということでございまして、保護期間、補償金制度の在り方などの諸課題について、文化庁の文化審議会著作権分科会において検討しているところでございまして、またクラウド型サービスに関しましては、その法的リスクの解消も含め、著作権制度上の課題を整理するための調査・研究を開始したというものでございます。今後、これらの課題について検討を進めて、できる限り早期に結論を得るということが必要になっているところでございます。 「インターネット上のコンテンツ侵害対策」でございます。 インターネット知的財産権保護シンポジウムや日中著作権会議、日中知財ワーキングを実施するとともに、知的財産権保護官民合同訪中ミッションの準備を進めているといったところでございます。 また、諸外国における我が国コンテンツの侵害は依然深刻であるということから、一層の推進が必要になっているものでございます。 4点目の「クールジャパン」でございます。 「『クールジャパン大賞(仮称)』による顕彰」ということで、経済産業省がクールジャパン大賞の候補案件の公募及び一般投票を行うためのウェブサイトを立ち上げるための準備を進めているところでございます。今年度中に顕彰を実施するということが必要でございます。 「地理的表示保護制度導入の検討」でございます。 本年10月の「我が国の食と農林漁業の再生のための基本方針・行動計画」におきまして、地理的表示の保護制度の導入が決定されたことを受けまして、農林水産省が制度の具体的な内容・実施時期を検討しているところでございます。 「在外公館におけるクールジャパンの支援強化」でございます。外務省は、9か国11都市に支援タスクフォースを設置し、シンガポール・ロンドンにおいて、第1回会合を開催したものでございます。今後もタスクフォースにおける情報共有等を積極的に実施し、具体的事業の実施における連携を推進するものと認識してございます。 4ページ目以降は工程表の各項目ごとの進捗の詳細となっております。御参照いただければというふうに存じます。 続きまして資料1-2「ACTA署名式・ACTA国際シンポジウムの開催について」でございます。こちらにつきましては、10月1日に東京で署名式を開催したものでございます。ACTA交渉に参加した11か国・地域のすべてが参加し、このうち国内手続を終えた8か国の代表が署名してございます。 また、それに先立つ9月30日でございますが、仙台で「世界の知財戦略と東日本大震災からの復興」と題して国際シンポジウムを開催してございます。約300名がシンポジウムに参加し、盛況のうちに閉幕ということでございまして、あわせて仙台空港・仙台港の視察を実施し、海外のゲストに震災からの復興の状況をごらんいただいているところでございます。 今後ですが、アジアをはじめとする諸外国に対し、ACTAへの参加拡大を促すというものになっておるところでございます。 資料1-3「知財計画2011」の関連予算についてでございます。 こちらにつきましては、「知財計画2011」の工程表に記載した187の施策の関連予算として、各府省において要求を行っているものをリストアップしたものでございます。24年度の概算要求総額は約925億円ということになってございまして、23年度当初予算比約9%の増ということでございます。また、23年度の補正予算による前倒し額は約135億円ということで、これを含めると約1,060億円ということになってございます。 本専門調査会に関連の深いものとしては、「戦略Ⅲ 最先端デジタル・ネットワーク戦略」でございますが、24年度の概算要求額は約58億円ということと、23年度の補正予算額は約29億円となってございます。 また、「戦略Ⅳ クールジャパン戦略」ということでございまして、24年度概算要求額は約294億円、23年度補正予算額約106億円という形になっているところでございます。 以上でございます。 ○中村会長 どうもありがとうございました。 今日はテーマが2つありまして、今、御説明をいただいた、これまでの成果をどのように評価をするかということと、2012年、新しい計画にどのように取り組むかということでございますが、まずは前半の「知財計画2011」の進捗状況。これは2010年、2011年と、我々2回、計画の策定に当たったわけですけれども、その2つを合わせたものと考えておいてよろしいんですね。それがさまざまな成果を生みつつあるという御説明でございました。先ほどありましたように、クールジャパンの総合推進ですとか、あるいは書籍・放送番組の電子化、海外向けのファンドの創設、著作権法の整備といった項目が挙げられておりましたし、特区、共同製作、デジタル教材なども進みつつあるということですが、予算も、知財全体の関連で言うと1,000億円程度ついているということでございましたが、これをいかに評価するかということについて、質問ないし御意見、コメントがあれば。 ○芝田次長 ちょっとその前に一言だけ、先ほどの説明に補足をしておきますと、次回以降の専門調査会の場で、今、御説明しました項目に沿って、各省から担当課長レベル等に来てもらい、詳しく説明をしていただいて、そこで深い議論をしていただこうと思っております。本日は一応、頭出しということで、我々も情報収集をしておりますので、その範囲で、答えられる範囲をお答えして、次回からのそういうレビューに役立てていただけるような運びになればいいと思っております。 ○中村会長 ということですが、いかがでしょうか。 次回以降のヒアリングの段取りはどんな感じなんですか。何回かに分けているんですか。 ○木村参事官 関係府省の方から順次ヒアリングをさせていただきたいと思ってございます。第2回以降、3回ほど予定をしているところでございます。 ○中村会長 どうぞ。 ○別所委員 私が聞き逃したのかもしれないんですが、いただいた資料1-1「コンテンツの海外展開の促進」で、「『コンテンツ特区』の創設」。これはこの2年の間に議論してきた1つの目玉として、「特区」という言葉があったと思うのですが、総合特別区域法が設立した、それが本年6月、本年9月末までにというような、具体的なタイムラインというのが見えているのですが、これはだれが、いつまでにというのは、いつからコンテンツ特区を認定することを目標値にして動いている、これはちょっとディテールに入るので、各論としては次回になるのかもしれないんですが、後ろに付いている資料を見ますと、このコンテンツ特区に関してだけでも3つの省庁、経産省、総務省、文部科学省、これがばらばらに、それぞれが認定を行うのか、審査に関するガイドラインを持ちながら、何か1つの同じプラットフォームというか、ガイドラインの下で、現在動いているのか。済みません、この総合特別区域法というのを、私も詳細に読んで、予習してここに来ていないので、どういう状況なのかというのをお聞かせいただけたら。 同時に、その2点目のコンテンツファンドの方なんですが、これも会社を立ち上げて60億円が出資されることを発表された、これが本年8月ということで動いているんですが、実績を上げるべく動くんだと。正直、3年もかかってまだ、着手されている段階のものではなく、プリプロダクション的な世界観のものが多いので、現実にこれがワーク、アクションプランとして動き出すのが、この先どういう過程になるのかを是非知りたいなと思うのです。 ○木村参事官 それでは、まず1点目のコンテンツ特区の関係でございます。これは関係省庁が連携をしながらということでございますが、基本的には、そこは全体をとりまとめて進めるということになっているところでございまして、総合特別区域の推進本部といったところがございます。そちらの方で基本方針も検討し、閣議決定もし、政府全体として進めていくとなっているところでございまして、本年9月下旬に、各地方公共団体からの受け付けをし、そして先ほど、ちょっと簡単に説明して恐縮でございましたが、札幌市の方からコンテンツ特区の申請がございまして、今、そういったものについて審査を行っているところです。そして年内にはこの指定を行い、推進方針も制定するということでございまして、今後、各省連携しながら、そういったものの支援もしていくということになるのかというふうに思ってございます。それが1点目でございます。要すれば、各省連携しながら進めるというものでございます。 もう一点目、コンテンツファンドにつきまして、まさしく御指摘のとおりでございまして、設立の発表は8月にあったわけでございますが、現在、事業開始に向けて体制を整えているところでございまして、その準備に向けた作業を行っているということを伺っているところでございます。今後、新事業を立ち上げて、早期に成果を出すように取り組んでいくものというふうに伺っているところでございます。 ○近藤局長 今のコンテンツファンド、私も不満でありまして、早くやれよというのを、ええかげんにしてくれよと今言っているところでありますが、是非皆さんからも言っていただいて、本当に、むしろ使ってもらって、実績を上げないと、どうしようか、どうしようかと言っているうちに、あっという間に時間が経ってしまうので、何かとにかく1個でも2個でも、まずやって、そうすると、こういう使い方ができるのかと世の中にも見えてきますから、産業界の方にも是非使っていただくことを頭に置きながら御検討いただいて、早くやるように。これは時間をたっぷり取って議論しますので、何でこんなに時間がかかるのか、何でこんなに入口が、ハードルが高くなっているのか、何でこんなにちっちゃいのかというのも含めて議論しましょう。 3年とおっしゃったんで、そのとおりでありまして、実は3年前に私が担当局長で、私は半年ぐらいで仕上げるつもりだったんで、私がそのまま留任していたら、そのあと半年ぐらいでできていたはずのものができていないんですね。今やっている人たちは、こういうものに対して興味がないというか、余り必要だと思っていないのかもしれないので、むしろ皆さんの方から、こういうのは必要なんだ、こういう使い方ができるんだというのをよく言ってもらって、やっている人たちも、おお、なるほどなと思えるようなことを一緒に説得しながらいかないといけないと思うんです。 私が言うのも変ですけれども、芝田次長を初め、みんなでここまで引っ張ってきたと。やっとここまで来たという感じではあるのです。だから、ここでもう一押し頑張りたいと思いますので、是非、ヒアリングの際は集中的にここをやりましょう。 ○杉山委員 今の補足なのですけれども、これは新聞発表になってから、みんなコンタクトを取ろうとして、わからないので、僕のところにもたくさん問い合わせがあって、だれがやっているんですかとか、どなたに会いに行けば相談できるでしょうというのが、業界の人、すごいあったんですね。でも結局ホームページもないし、顔がわからないし、いつごろ始まるかもわからないということで、何か発表されたのに始まらないと、業界の人が、どうなっているんだろうねという空気になっちゃうんですね。発表したときにすぐ受け付けとか始まれば、みんなも、ああ、国が応援してくれているんだなと、あるんですけれども、本当にそうなのです。 ○近藤局長 そのとおりでありまして、最初は発表もしないとか言っていたのです。だめだ、とにかく発表しろ、ものは決めたら発表しろ、こう言って、やっとここまで来ているので、かといって、これは公開の場なので、余り言い過ぎないように気をつけますけれども、余りたたいていると、貝殻の中に引っ込んでしまうので、おだてながら、持ち上げながら、出てきてもらうように説得をしましょう。我々も一生懸命やります。 ○中村会長 議論をしてきて、それがまだ着手段階であって、実績になっていないという別所委員の御指摘、そのとおりだと思います。実績が出てきて、初めて我々の成果とカウントできるのではないかと思いますので、そのためにも、先ほど来話がありますように、今期、我々はもう一つ、外に向けて積極的に声を出していく、それから、しっかりやってくれと圧力をかけていくという動きも強めなければいけないのかなということも感じています。 1つ質問、特区なのですけれども、これはスキーム上、認定をするのはだれですか。内閣総理大臣ですか。 ○木村参事官 そうです。 ○中村会長 内閣総理大臣なのですね。だから当然、各省連携ということになるんですね。それとこの特区の申請というのは9月末までとありましたが、これはチャンスとして1回限りということになるんですか。 ○木村参事官 これにつきましては通年の受付という形になっております。 ○中村会長 わかりました。 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。 では、2012に向けた議論を進めて、その中で、これまでの成果の上書きということになってまいりますので、また元に戻っていただいても結構ですし、ひとまず議題を進めさせていただければと思います。 では、コンテンツ強化専門調査会の今後の進め方ということで、事務局からお願いいたします。 ○木村参事官 それでは、今後の進め方について御説明させていただきたいと思います。資料2-1「知的財産推進計画2012に向けたコンテンツ強化専門調査会の今後の進め方について(案)」でございます。 1枚めくっていただきまして、新たな課題や深掘りすべき課題について検討しながら、「知財計画2011」の進捗状況のフォローアップを行い、「知財計画2012」の策定に向けて提言を行うということでございます。 検討の仕方でございますが、新たな課題や深掘りすべき課題の検討に当たりましては、本年は特に議論を深めるために、テーマ別に3件程度でございますが、主査をお願いし、意見交換・ヒアリングを行う場を別途設定して検討を行う。そして検討した結果を専門調査会に報告し、審議するということと考えてございます。 テーマ例といたしましては、「海外への日本コンテンツの積極的展開」。 「デジタル化・ネットワーク化のための環境整備」。 「クールジャパンの一層の推進」。 この3件を考えているところでございますが、これらを11月から来年の1月にかけまして検討することとし、新たな課題や深掘りすべき課題を抽出するというふうに考えているところでございます。また、これと並行いたしまして、「知的財産推進計画2011」のフォローアップといたしまして、関係府省からヒアリングをしながら進捗状況をまとめていきたいと考えてございます。 これらを踏まえ、改めて専門調査会におきまして、委員や関係府省からの意見等を通じて、更に検討を深めて、また、別途クールジャパンの推進に関する関係府省の連絡会議、こちらにおいても検討を行うということでございますので、こちらの方のアクションプランの改定についても適時に反映しながら検討を進め、来年の2~3月ごろには、「知財計画2012」骨子に盛り込むべき事項を決定いたしまして、全体の「知財計画2012」骨子に反映するということと同時に、更に検討を進め、来年4~5月には「知財計画2012」に盛り込むべき事項を決定し、全体の「知財計画2012」に反映をしていきたい、そういう進行を考えているものでございます。 2~4ページ目でございますが、先ほど申し上げました、意見交換・ヒアリングを行う場を別途設定して検討を行うテーマの例ということでございます。 「1.海外への日本コンテンツの積極的展開」。 「視点」といたしまして、日本コンテンツの海外における流通促進を図るための環境整備が重要であろうとするものです。 特に、日本コンテンツを普及する上で戦略的に有利な国・地域における展開や、さまざまなコンテンツをパッケージ化した展開を図ることが重要だろうということでございます。 「課題・問題意識」といたしましては、海外コンテンツに対する規制が強く市場参入が困難な国がある一方で、規制が比較的少ない国もある。 コンテンツを単独で海外展開いたしましても、経済的な効果あるいは日本の総合的な文化発信という観点からは限界があるだろうということでございます。 国際共同製作を推進する上で、既に各種の支援施策は一部ございますが、さらなるインセンティブを与える支援策があることが望ましい。 こういうような考え方から、「新規又は深掘りする検討課題の例」といたしまして、アジアを中心に、日本コンテンツの経済的な海外展開を図るための方策は何かというようなこと。 あるいは映画・放送番組・アニメ・キャラクターグッズ・ファッション等々で、日本へのインバウンドを含めたパッケージ展開を図る上で有効なものとして、どのような組み合わせがあり、どのような方策が必要かというようなこと。 国際共同製作を一層促進するための支援としてどのような方策が必要か。 こういうようなことが検討課題の例として挙げさせていただいてございます。 「検討体制」でございますが、こちら、先ほど主査等を決めてというようなお話を申し上げたところでございますが、関係の委員の方々とも御相談したところ、ちょっとお時間をお取りいただくことも難しいようなことから、中村会長と御相談しながら、知財事務局の方で担当し、まとめさせていただければというふうに考えさせていただいているところでございます。 この検討におきましては、有識者あるいは業界関係者からも御意見を伺いながら、関係府省にも参加いただき、検討を進めていきたいと考えているところでございます。 3ページ「2.デジタル化・ネットワーク化のための環境整備」ということでございます。 「視点」につきましては、急速に拡大するコンテンツの電子配信に対応した情報通信インフラの強化が重要ではないか。 世界のコンテンツ市場で我が国のコンテンツ強化を図るためには、戦略的なデジタル化・ネットワーク化を推進すべきだろうということでございます。 「課題・問題意識」といたしましては、特にクラウド型のコンテンツサービスの発展に伴って、情報通信インフラが不足しつつあるのではないかということです。 電子書籍、SNSなど、最先端の情報通信技術を活用したコンテンツビジネスの発展に対応した環境整備が課題だろうということでございます。 インターネットによるコンテンツ侵害が増大しており、対応の強化が必要であろうということです。 このような考え方から「新規又は深掘りする検討課題の例」といたしまして、クラウド型サービスに伴う大容量情報通信の発展を支える基盤強化を図るための方策はないのかということ。 電子書籍の市場成長に向けたインフラでございますが、こういった整備を図るための方策として、どういったことが必要なのかということ。 スマートフォンに見られるような最先端の情報端末機器が普及してございますので、こういったものに対応した新ビジネスの発掘・創造のための支援策として何が必要なのか。 更には、インターネット上のコンテンツ侵害に対するより効果的な方策はないか。 こういったことを考えているところでございます。 「検討体制」といたしましては、中村会長の方に主査をお願いし、有識者、業界関係者からも御意見を伺いながら、こちらの方も関係府省に参加いただいて、検討を進めていければというふうに考えているところでございます。 4ページ「3.クールジャパンの一層の推進」ということでございます。 「視点」といたしまして、クールジャパンのサイクルを推進し、日本の経済成長につなげるために、発掘・創造、発信、拡大、基盤整備という好循環のサイクルを確立することが重要であろうというものです。 特に関係府省と連携したクールジャパン施策の質的充実を図るとともに、新たな分野も発掘しながらクールジャパンのステージアップ戦略を図るという視点でございます。 「課題・問題意識」といたしましては、海外の視点を意識することのないまま、日本各地に埋もれているクールジャパンがあるのではないか。 単独のモノやサービスだけではなく、さまざまなアイテムを有機的に組み合わせた効果的な発信あるいは対象国のニーズに即した展開戦略ということを構築し、速やかに実行する必要があるのではないかということです。 クールジャパン人気が更に拡大するような仕組みを構築できないか。特に、東日本大震災によって傷ついた日本のブランドイメージの早急な回復が必要であろうということです。 こういったような考え方から、「新規又は深掘りする検討課題の例」でございますが、伝統芸能・工芸品を現代風へアレンジしたものはどうか、あるいは日本の建築デザイナーによる建築、インダストリアル・プロダクツ、スポーツといった、クールジャパンの新たな分野として、どういったものがあって、どういう方策を進めていくことが必要なのかということ。 統一的イメージによる発信を含むクールジャパンのイメージ戦略の更なる推進を図るための方策として、どういったことが必要か。 更にはクールジャパンの人気拡大を、訪日旅行などのインバウンドへつなげるための具体的な方策はどうか。 こういったことを課題の例として考えているところでございます。 「検討体制」といたしましては、先ほどとちょっと重複いたしますが、中村会長に主査をお願いし、有識者、業界関係者からヒアリングをし、関係府省にも御参加いただき、議論を進めていければというふうに思ってございます。 5ページ目に移りますが、こちらの方は、先ほど「知財計画2011」の進捗状況のところでも関連で御説明をしているところでございます。関係担当府省から、特にヒアリングすべき主要項目として考えられるものを挙げさせていただいております。これ以外につきましても、これを聞きたいというものがございましたら、御指摘いただければ調整させていただきたいと思ってございます。その上で、適宜、必要に応じてヒアリング項目・府省を追加・修正させていただければと思っているところでございます。 6ページ目は専門調査会の当面の日程でございます。 本日、第1回会合で進捗状況、また今後の進め方について御議論いただきまして、その後、個別テーマの検討ということに直ちに入り、来年の1月ぐらいには、そういった議論を深めていくということで、更に並行して、第2回、12月5日、月曜日の10~12時ということで、関係府省のヒアリングを予定しております。 第3回として12月21日、水曜日の1~3時ということで、こちらの方も関係府省からのヒアリングを行います。 第4回につきましては、1月中の日程調整中でございますが、こちらも関係府省のヒアリング等をやっていきたいと思ってございます。 第5回以降につきましては、2~5月にかけて、月1~2回程度開催したいと思っているところでございます。 済みません、4ページの(3)のところで、ヒアリングを行う関係府省ということで、個別に御説明申し上げませんでしたが、総務省、外務省、文科省、経産省と書かせていただいておりますが、これ以外にも農水省、観光庁といったところからもヒアリングを行いたいというふうに考えてございます。失礼いたしました。ここはちょっと記載が抜けておりました。恐縮でございます。 最後に7ページ目でございます。知財本部の体制図ということを御参考までに付けておるところでございます。 続きまして、この議論の関連でございますが、資料2-2「コンテンツ強化関係資料」と書いているものでございます。これは先ほど御説明いたしました、意見交換・ヒアリングを行う場を別途設定して検討を行うテーマに関する参考資料でございます。 まず1枚おめくりいただきまして、1~4ページ目でございますが、これは「コンテンツの海外展開の促進」についてというものでございます。 世界のコンテンツ市場規模は拡大しておるところでございます。下の方にも図を書かせていただいておりますが、一方で、映画・放送番組などの我が国のコンテンツ、海外から高い評価を得ているわけでございますが、国内市場の規模は横ばい、あるいは縮小といった傾向があるというような状況になっているところでございます。 2ページ目でございますが、コンテンツの海外展開に向けまして、先ほども御議論あったところでございますが、コンテンツファンドを創設するという動きがございますし、また対象国のニーズに即した戦略展開といたしましては、コンテンツとかファッション、食とか住まいといったものを効果的に組み合わせた上で、各国のニーズに基づく展開ということで、経済産業省の事業として、8か国、12のプロジェクトの展開を進めているというものもございます。また、諸外国の規制の緩和・撤廃の働きかけということも、2国間等で進めておるといったところでございます。 3ページ目についてでございますが、これは知財事務局が「知財計画2012」に向けた検討の参考とするために、企業・団体・大学あるいは実務家の方など、関係者の方々とヒアリングや意見交換を行ったものでございまして、このうちコンテンツの海外展開の促進に関する主な意見をまとめさせていただいたものでございます。「海外の状況」でございますとか、4ページ目でございますが、「国内の状況及び海外展開に向けた課題」といったことについての意見を御紹介させていただいておりますので、御参照いただければと思っているところでございます。 5~9ページ目でございますが、こちらは「デジタル化・ネットワーク化のための環境整備」ということでございます。 こちらにつきましては、電子書籍端末あるいは新たな情報端末機器といったことが急速に普及しておるところでございますが、我が国のコンテンツの強化を図っていくということが課題になっているということでございます。 6ページ目でございますが、こちらの方につきましては、電子書籍でございますが、市場が大きく拡大しており、国内売り上げの推移等においても見られるところでございますが、そういった中で、出版デジタル機構、先ほど「8大成果」にもございましたが、そういった設立に向けた合意がございますし、また、多様な端末プラットフォームでの電子書籍の利用を可能とするような中間ファイルフォーマットの策定あるいは最終フォーマットのEPUBでの日本語対応が進んでいるというところでございます。 7ページ目でございますが、国立国会図書館のデジタル・アーカイブ化のインターネットを通じた提供に向けて、検討が行われたところでございますし、クラウド型サービスの環境整備を図るための法的リスク解消に向けた検討も進むといったところで、コンテンツビジネスの発展に対応した環境整備が進められている、そういう状況のデータ等も含めてお示しさせていただいているところでございます。 8~9ページ目につきましては、先ほど申し上げました関係者ヒアリングの際の意見交換のうち、「デジタル化・ネットワーク化のための環境整備」に関する主な意見をまとめたものでございまして、「電子書籍」「最先端の情報端末機器への対応」「著作権制度」「ネット上のコンテンツ侵害対策」ということについて意見を御紹介させていただいてございます。こちらの方も後ほど御参照いただければというふうに思っているところでございます。 10~13ページ目でございますが、これは「クールジャパンの一層の推進」でございます。 クールジャパンにつきましては、ゲームやキャラクターグッズ、テレビアニメ放送あるいはファッション、地域産品、食、そういったクールジャパンは海外から高い評価を得ているということでございますが、海外収入の方を見ますと、やはり米国等と比べてみますと低迷をしているのではないかといったデータも出ておるところでございます。 11ページ目でございますが、震災を契機といたしまして、日本の食、観光、製品への信頼が短期的に揺らいでいるという状況がデータから見てとれるところでございます。こういった状況を踏まえまして、12ページでございますが、クールジャパンを活用して、日本ブランド復興のキャンペーンということを実施しておるところでございます。 先ほども少しお話が出たところでございますが、日本ブランド復興に関する統一イメージを発信するという観点から、ロゴ・メッセージを活用したイメージアップを図る、あるいは海外のイベントを活用して、日本の文化、魅力に触れてもらうような機会を提供して、日本の復興のアピールを進めることにしておるところでございます。 13ページ目でございますが、先ほどの関係者のヒアリングの中で、クールジャパンの一層の推進に関する主な意見を御紹介しているところでございます。 説明は以上でございます。 ○芝田次長 ごく簡単に1つ補足させていただきますと、3つのテーマについて、少し事務局と、あるいは主査の中村先生と一緒に深掘りをするということをまずやると。そこで考えた案を専門調査会に御提出する。大体2~3か月、この勉強に時間をいただきたいと思っておりますので、1月ぐらいには専門調査会に具体の案をお出しして、議論いただくということになるのですが、その前に、もしも、自分はこういうことを考えているとか、こういうことを考えてほしいというようなことがありましたら、事務局に御連絡いただければ、私どもの方から個別に御意見を伺いに参ります。 また、この人に会えというのがありましたら、是非御紹介をいただきたいと思いますし、あるいは自分の会社や組織の中で詳しいのがいるから派遣するから、よく意見を聞けというのがありましたら、それも是非やっていただきたい。 それから紙で御意見をいただくというのも勿論歓迎でございますので、そんな形で、皆さん方とも連携をしながら案をとりまとめていきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。 ○中村会長 ありがとうございました。 今回はこの3つの柱、海外展開とネットワーク化とクールジャパンについて、ワーキンググループ的にまずチームをつくって進めるという事務局の案でございます。 意見交換に移りたいと思います。新たな課題もあるかもしれませんし、更に深掘りしていくべき課題もあろうかと思います。これまでもさまざまな議論をこの場で進めてきたんですけれども、計画に反映されていなくて、取りこぼしていることもあるかもしれません。議論はしたけれども、取組み不足ということもあるかもしれません。そんな辺り、何なりとお出しいただければと思います。また、関係府省からヒアリングしたいという項目でも結構です。今日はキックオフということですので、できれば皆さんから何らかの意見を伺えればと思います。 谷口委員から資料をお配りいただいていますが、これは御説明をいただいた方がよろしいでしょうか。 ○谷口委員 たまたま来週、私、シンガポールに呼ばれて、J-ポップの海外展開ということでプレゼンをということがございましたので、急遽そのためにつくった資料から抜粋して、和訳して、今日持ってまいりました。日本の我々音楽業界として、最近どういうことを考えているかということと、改めて、音楽著作権というくくりで、海外展開をするときに、どういう問題があるのかというのを、資料をつくる過程で、自分なりにも改めて勉強した気になっていましたので、皆さんに今日、お示しできればと思ってお持ちした次第です。 先に補足させていただきますと、来週「アニメフェスティバル・アジア」という、日本のアニメのフェスティバルがシンガポールで開催されるのですけれども、ちょうどそれと時を同じくして、たまたまだと思うんですけれども、全く別のものとして、日本アセアンセンターというところが開催するフォーラムがあります。私はそちらの方でプレゼンをしてまいります。日本アセアンセンターというのは外務省が支援しているというふうに伺っております。 私にいただいたテーマは、日本とASEANの音楽文化の交流について、その可能性ということと、そのための著作権の強化を訴えるというのが2大テーマで資料をつくりました。勿論演壇に上がるときは、このバッジを付けて参ります。 お手元の資料の2ページ目をごらんください。単純に音楽CDと音楽配信の売り上げを各国、メーンな国を比較した棒グラフになってございます。 2010年なので、今年2011年の数字がまとめられるころには多分、円高のせいもあって、日本がナンバーワンになっているんじゃないかなと思うのですけれども、実は、ごらんになっていただいてわかるとおり、アメリカと日本、どっちがナンバーワンかということが問題ではなくて、アメリカと日本がダントツのツートップで、3位以降はその半分もないというところでございます。 なぜ今、日本でK-POPが成功しているかということを議論の筋にしようと思っているんですけれども、勿論、韓国政府の支援とか、そもそも韓国人アーチストの才能であるとか、努力であるとかというのが大きな要素でもあるのですけれども、同時に韓国の国内市場が壊滅的に小さいんですね。小さくなってしまったんです。なので、韓国のアーチストが、その才能を発揮しようと。しかも経済的な還元を得ようとすると、大きな市場に打って出るしかないというのがまず1つあります。では、どこが大きな市場かというと、アメリカと日本、たまたま隣にある日本というのが格好のねらい目であるというところで、韓国側アーチストからすると、日本以外での成功は意味がないというのが結論の1つだと思います。 そのためには、長期に日本に滞在して活動もするし、日本語も習熟するし、日本でどういう音楽が受けるか、どういう文化背景があるのかということも必死になって勉強する傾向にもございます。 次のページを見ていただくと、もっとわかると思うんですけれども、勿論、国力の差というのもあるんですけれども、それだけではなくて、どれぐらい日本人と韓国人が平均的に音楽にお金を使っているかというのを指標にして比べてみました。日本を100%とした場合、韓国はその4分の1程度しか使っていない。ですが、韓国人が日本人よりも音楽を楽しむ度合いが4分の1とは考えられないので、日本人と同じぐらい楽しんでいると考えると、残りの4分の3というのは違法な行為によって音楽を入手しているのであろうというふうに考えられます。 次の4ページを見ていただくと、先ほどの棒グラフをブロック世界地図に置き換えたものなのですけれども、一応、健全なマーケットがアメリカと日本にしかないとすると、それ以外の国のアーチストにとっては、国際化というのはアメリカか日本で成功するということに置き換えられると思います。 ということは、今は韓国のアーチストですし、K-POP、韓流ですけれども、近い将来、もしかするとヨーロッパのアーチストも、今の韓国人のアーチストと同様、日本語を勉強し、日本に住み、日本の文化を習って、日本で受ける曲を、日本語で歌う時代が来るかもしれない。それぐらい日本のマーケットというのは世界から見ると健全であろうかと思います。 次のページを見ていただくと、今回、ASEANマーケットでのプレゼンなので、ASEANについても比較対照をしてみました。残念ながらASEAN10か国のうち、ここに書いていない5か国は数字が拾えなかったので、ここにある5か国だけになりますけれども、実は韓国よりも更にひどい。タイはちょっとはいいかもしれませんけれども、日本に比べて、正規にお金を出して音楽を買う度合いというのが、韓国よりも平均的に低いというふうになっております。 次のページを見ていただきまして、とはいっても、日本も、そんなバラ色の将来ではないんです。この10年間の日本での音楽CDと配信の売り上げの推移をまとめますと、ごらんのとおりです。右肩下がりになっております。ここにはありませんけれども、1998年というのが、実は日本ではCDマーケットが一番大きかったというふうに言われておりまして、大体6,000億円ありました。昨年でその半分ぐらいになっておりますので、13年かけて半減したということです。 ですので、先ほども申しました、今、世界で見ると、日本のマーケットというのは健全ではあるのですけれども、これがずっと続くという保証は勿論ないですし、どちらかというと、過去10年間の推移を見れば、これがもっともっと減衰していく可能性の方が高いのではないかということで、日本人のアーチスト、J-ポップも、勿論アジア展開を望む声も多数ありますし、そのためにも、今のうちに海外展開のきっかけをつくっていかなければいけないなと。そのためには、海外で音楽を正規に買うという文化の徹底が必要なのではないかというふうに思います。 7ページをごらんいただきますと、日本発の知的財産、クールジャパンのイメージの下に、最近、再認識されていまして、とても好印象で、どこででも受け入れられています。日本を代表するイメージ、海外アピールの高いイメージというのを何となくまとめてみたんですけれども、残念なことに、この中に音楽のイメージというのが余り含まれていないんですね。音楽の輸出は出おくれていまして、海外から見た日本のクールなイメージの中の音楽という部分には、とても残念ですけれども、重きが置かれていない。 しかし、ゲームや映画、テレビドラマなど、いいイメージで受け入れられているものの中には、音楽なくして成立しないコンテンツも多数ありますので、それらとともに、パッケージとしての海外展開を実は音楽産業としては目指すべきではないかなというふうに最近考えています。 8ページに行きます。特に、アニメ文化は今、大きな可能性を秘めていると考えておりまして、アニメとしての完成品のパッケージの中には、勿論、ビジュアル、ストーリー、イメージ、キャラクターとかあるんですけれども、勿論、音楽も大きな要素を占めております。それの輸出に音楽業界としても携わっていければということが思っておることの1つであると。 もう一つ、最後のページになりますけれども、「アニソン」というやつですね。現在、海外で認知されている日本の音楽というくくりで言うと、唯一のものがアニソンではないかなというふうに思います。私が子どものころ、アメリカから輸入されていたテレビ番組とか、日本語に訳されていましたけれども、テーマソングの部分だけは英語のまま流れているものもあって、多分、僕は幼稚園とか小学校低学年とかだったと思うんですが、英語も全くしゃべれないんですけれども、何となくそれを英語のとおり口ずさんでいたという思いが最近になってよみがえってくるんです。 それと同じようなことが、実はアメリカを筆頭に海外の子どもたちの中に起きていまして、日本語のまま残っているアニメのテーマソングとかを、日本語のまま、わけもわからずに口ずさんでくれているアメリカの子どもたちがいる。そういう人たちに対して、アニソンを歌っている歌手の人たちが、定期的にイベントであるとか、ファンコンベンションであるとかで、莫大な拍手喝さいを得ているというのが事実としてございます。 今回も、来週「アニメフェスティバル・アジア」というのが同時期にシンガポールで開催されると申し上げました。そこでも日本文化が紹介され、その中でもアニソンとか、音楽も含めたアニメの展開というのが紹介されるというふうに聞いておりますので、そちらにも足を運ぼうと思っておりますけれども、これをまとめまして、それにつけても、アニソンを含めたアニメの展開、日本コンテンツの展開を海外で考えるのであれば、それぞれのマーケットにおける著作権の保護というのが実は重要なテーマであるということも、節々で訴えていこうというふうに考えております。 ということで、ちょっと本筋ではないかもしれないですけれども、紹介させていただきました。 ○中村会長 ありがとうございました。 では、ほかにも皆さんからのコメント、質問などをいただければ。どうぞ。 ○中山本部員 ただいまの谷口委員のことでちょっと質問したいのですけれども、6ページのCD+配信の売り上げの推移で、だんだん減っているという感じなのですけれども、音楽業界に落ちる金というのは、CDと配信だけではなくて、例えばゲームとか、パチンコなどがかなりの額に達していると思いますが、音楽業界全体に落ちてくる金の推移はどうなっているのでしょうか。 ○谷口委員 残念ながら、それに見合う数字を拾うことができなかったのと、おっしゃるとおりで、ゲーム業界とか、パチンコでも最近は音楽がたくさん使われています。それからカラオケでも勿論使われています。あとはアーチスト本人の実稼働ですね。コンサート業界。コンサートの業界の方は、実は右肩上がりで売り上げは推移しております。 そういうことをいろいろ勘案していくと、すべてがすべてだめというわけではないんです。僕もここで音楽業界はもうだめなんですよというのがテーマではないのです。特に私の仕事、著作権を管理している音楽出版業ということで言いますと、CDや配信の売り上げが下がっている一方で、演奏権印税とか、インタラクティブもまだ伸び続けていたと思います。そういうのがありまして、もろもろに関するここ10年間ぐらいは、著作権印税の総収入というのは、大体横ばいで動いております。なので、その部分はそうなんですけれども、音楽CDと音楽配信を取り扱っている業態、レコード産業ですね、それが音楽産業の代理係数にえてしてなりがちですので、ここでもその比較をさせていただいております。 ○中村会長 では川上さん、お願いします。 ○川上委員 コンテンツの海外進出ということで、ネット周りのことというのが余り書かれていないので、僕が発言しなければいけないのかなと思っているのですが、これは以前からの僕の持論なのですけれども、今後、クラウド型サービスというのが大事と言っていますけれども、クラウドサービスで、皆さん、ハコとかをつくったりすることには熱心なんだけれども、それで将来的にamazon、Googleにとても勝てる気はしないと、みんな思いながら突き進んでいるんだと思うのです。 将来的にどこで負けるのかというと、結局、世界的なサービスをやること。日本の製品がつくっているものでも、世界的なサービスをやっているところがありますけれども、世界的なサービスをやっているところというのは日本のクラウドサービスを使いません。なぜかといったら海外に展開できないから。 Googleとかというのは、本当に自前で回線を引いて、自前でCDNみたいなのを構築しようとしていますけれども、世界的に回線を張り巡らせるようなことをやらなければ、クラウドサービスの世界展開はできないわけです。それが日本国内に、土地代安い、電気代安いとかというような問題もありますけれども、そんなことというのは一部の問題でして、クラウドを使ったネットサービス、クラウドサービス自身もそうですけれども、どちらも海外に進出するためには、回線の問題というのが一番大きなネックになっていると思います。 本来、言語の問題はあっても、日本で人気のサービスというのは、海外からアクセスされて、人気サービスになってもおかしくはないのですけれども、実際には日本のサイトというのは海外のアジアの国でも、ほとんどの国から、遅くて見えないのですね。やはりそういうところでのサービスというのはヒットしないという状況があります。 なので僕は、国際の回線に関しては、国が面倒を見て引くべきだと思うんです。そのことによって日本のクラウドサービスへの支援にもなりますし、日本のネットサービス自体の海外進出もできます。今、特にクラウド型時代になりまして、日本のベンチャー企業とかでも、意識の高い企業は、もう英語版でサービスつくらなければだめだということを言って、アメリカに飛び立つすごい意識の高いベンチャー企業もたくさんあるわけです。心意気やよしということで、僕は心の中で神風型進出と呼んでいるのですけれども、日本人が海外に行って、英語サービスをつくって、米国人より成功するなんていうのは大体難しいわけです。 僕はやはり、今後、日本のネットサービスのコンテンツとかを海外に持っていくときに、例えば放送番組を海外に売るというだけでも、きっと海外事業部だとか、どの会社も、すごくいっぱいつくっているんだと思うんです。それで営業員とか、営業所をつくって、年間何億円とかコストをかけて、それほどは売れないみたいなことになっていると思うのですね。 ネットサービスも同じで、本来はインターネットなのだから、日本から全世界サービスができるはずなのに、実際には、海外事務所を置いて、そこにサーバーを置いてやらないと海外展開ができないという状況になっています。 アメリカの場合は、アメリカがインターネットの中心なので、別にアメリカのぽっと出のベンチャー企業でも世界サービスができるようなインフラというのは整っているんですね。 僕は日本は世界的にやるべきだと思うんですけれども、世界に向けて、インターネットのハブになる、そこの回線部分というのは国が整備をするということをやらないといけないと思います。 実際に今、FTAとかTPPをやっていますけれども、関税を下げるという、従来型の貿易の世界がありますけれども、ネットの世界の関税とは何かといったら、1つは回線の問題ですね。あとあるとしたら、課金手段、それと著作権周りの問題、ここら辺が解決できれば、日本にいながらにして全世界でネットのビジネスができるんですよ。 そういう環境をやはり国が整備しないと、特にネットの世界、ベンチャー企業は本当にちっぽけな企業ばかりなので、単独で海外展開はできないんですね。そこができやすい環境というのは国が整備するべきだと思いますし、多分それが、コスト的にも一番効率がいいんじゃないかと思います。 とりあえず、国が回線とかを引いてくれれば、うちの会社は大喜びなんですけれども。ただ、実際にこういうのが1個成功例でできると、どんどん、いろいろな会社が続くと思うんですね。これは確実にニーズがあるし、効果もあることなので、是非、検討課題に含めていただきたいなというふうに思っています。 ○杉山委員 川上さん、実際にニコ動のアジアのファンから、遅いという声があるのですか。 ○川上委員 そうです。 ○杉山委員 そういうことですね。 ○川上委員 前も言いましたけれども、台湾というのは一時期、かなり人気サイトになったんですけれども、回線を絞られて落ちたのです。 ○杉山委員 そうですね。 ○川上委員 ニコ動に関しては、アジアマーケットというのは規制がなければ取れます。台湾においては、回線問題さえ解決すれば取れます。中国においては、ほかにもいろいろな、グレートウォールとか。 ○杉山委員 中国は、半年ぐらい前に急に見えなくなったと学生たちが言っていました。 ○川上委員 グレートウォールに一流サイトとして認定されたので、見えなくなりました。 ○中村会長 今の話は海外展開と、それからネットワーク化の、両方のダブりのところの話なので、この会議でも扱うべき課題かと思いますし、これまでコンテンツ政策としては、こういうことが必要なんじゃないかということで結構議論してきたのですけれども、コンテンツの立場から見た、インフラとかネットワークはこうすべきだというのは、余り入っていなかったので、今年はそれをやってもいいのかなという感じもしています。 吉羽さん、お願いします。 ○吉羽委員 その大変な海外事業部に2月から移っているのですけれども、今の2人の話を受けてなんですけれども、1つは、アニソンの話というのは谷口さんのおっしゃるとおりで、非常に海外でも、いろんな子たちがカラオケで歌っているのは、日本の音楽は確かにアニソンだけなんですね。 ただ、アニメにくっつけてアニソンを出そうとしても、現場での著作権管理とかが非常にルーズで、現場というのは、海外の国々によってですね。それからJASRACみたいな仕組みを持っているところも、それほど多くなかったりとかということで、音楽著作権の処理でものすごく手間がかかっているという辺り、これは先ほどのACTAの話とはちょっと別なのですけれども、国際的な枠組みの中で、音楽著作権の処理とかを、きちんとできる体制をつくっていかないと、アーチストの方がかなり嫌がる部分とかもあるので、結局、オープン・エンドの音楽とかを取り替えて出さざるを得なかったりするケースも多いのです。これはアニメに限らず、ドラマとかでも結構多いんじゃないかというふうに思うのですけれども、この辺の法的な整備というのが、なかなか民間では厳しい部分としてあるだろうなというふうには思ったりしています。 それから、川上さんの話で言うと、プラットフォームの支援という話を、僕はちょっと前、ヒアリングの時にもしているのですけれども、例えばソニー系のアニマックスさんであるとか、一生懸命、海外に行ってアニメを売ってくれているプラットフォームの会社さんがあったりとか、これはCATVとかに入れたりするわけですけれども、多分、相当大変な作業をやられているんだろうなと思うんです。ニコ動も遂にアメリカで、この間の10月のニューヨーク・コミコンのところで発表されていましたけれども、日本のアニメーションの同時配信をアメリカでやるというサービスを立ち上げますと。 それから、僕が幹事長をやっているデジタルコミック協議会も、JMangaというサイトをつくって、前にもお話ししましたけれども、日本の漫画の海賊版による同時配信を何とか食い止めなければいけないというようなことをやるのですけれども、みんなひーひー言いながらやっている。 ニコ動さんも多分、アメリカに行かれてやるわけだし、JMangaも、やはりアメリカに会社をつくらないと勝負にならないというのは、まさにそういうところでやっているのですけれども、プラットフォームのビジネスの部分、日本のコンテンツを載せて発信するプラットフォームの部分を支援してあげないと、コンテンツが載る場がないので、コンテンツそのものをアメリカの事業者に向かって売り込む作業というのは、やはり海外事業部は大変なんです。ここのところは日本のプラットフォームで、日本のコンテンツをどれだけ広げられるかという、プラットフォームの込みの部分というのをきちんと支援する必要があるのではないかというふうには思っています。 もう一つ、韓国企業がいろいろな形でのコンテンツ支援をしています。一方、なかなか日本の政府として、1個1個、私企業だったりを支援するのは難しいというお話が前にもありましたけれども、これも税制面みたいな、制度的なところで何かの手を打てないだろうか。 例えば海外配当における益金不算入という制度が税法上ありますけれども、同じように、海外コンテンツの販売によるロイヤルティー収入等々、何らかのものに関しての益金不算入みたいな制度を用意して、そういった、間接的な形でコンテンツが海外へ出ていくことを支援できるような施策が何かできないだろうかというようなことをちょっと考えていて、そういった複合的な取組みが、権利処理の問題、プラットフォームの問題、そしてコスト的な部分の見合いをどうするかというような辺りを、複合的に考えていただく必要があるんではないかなというふうに感じています。 ○中村会長 ありがとうございます。 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。 ○大多委員 今、皆さんお話ししている中で、国際回線の話は、私は大変勉強不足で、それだけで遅くなって見にくいというのは、非常にやはり問題だと思います。 なぜならば、すごく今、テレビ業界も、それから映画業界もそうですけれども、一番ここ数年の中で、グローバルにやらなければいけないという気持ちがここまで高まった時期はないというふうに僕は見ています。前回も言いましたけれども、やはりグローバルな展開をしない限り、頭打ちなのは間違いないですし、このままではいけない。そうすると、ではグローバルな展開をするために、先ほども海外事業部とか国際部とか、いろいろなところをみんなつくってやっているんですけれども、基本的に番販といって、売りに行くわけですね。 でも、それには人と時間とお金がかかる。もっと簡単に出られるといったら、インターネットがあるじゃないかとだれでも考えることで、ではそこにいろいろなものを載せていこう。でも、そこには著作権的な問題、いろいろ残っていて、音楽配信1つ取ったって簡単にはいかない。もうそれでみんなへろへろになっちゃって、どうするんだということになっている、この悪循環がずっと続いているのです。 コンテンツの制作面から見ると、それでも出ていくためには、著作権完全にフリーのコンテンツを制作して、それをネットに載せて、世界に挑戦する。これは、川上さんからすれば、そんなのうまくいかないよという話と、今の国際回線の話をして、またちょっと暗くなりましたけれども、そういうことにチャレンジしていくしかないのですね。 別にそれに対して、国からお金が欲しいとかということも基本的にはないです。民間のそれぞれの企業で、そういうことはみんな考え始めてやっているのですが、1点、この間、アメリカと韓国の方に出張がありまして、行ってきましたけれども、一番感じるのはスピードの問題だというふうに思います。 特に韓国の某テレビ局、2局ぐらいといろいろ話をしてきたんですけれども、完全に、とにかくグローバル展開が大好きなんですね。昭和40年代の総合商社みたいな雰囲気でした。メキシコやブラジルにも、こういう支社をつくって、そこでK-POPや自局の番組を配信していく、提供していく、社長みずからそういうところにどんどん出ていって、向こうの人と話をしてくる。それは全然スピードが違いますし、先ほど60億円のファンドの話が出ていましたけれども、3年かかってできないというのは、韓国ではあり得ないわけですね。だったら、国もやっていますけれども、民間がどんどんそれによってスピードアップして出ていく。 そしてそれを、一方でアメリカの大手のIT企業の人とも何人か話しましたけれども、それはすごいと。日本の方たちは、ほとんど余り来ないけれども、とにかく、こういう言い方をしていました。笑うぐらい、K-POPの人って何でもOKに売り込んでくるよと。それはすごいことだと。著作権も全部、何をしても構わない。だから流してくれ、配信してくれ、どうされても別に構わないのだから、そのぐらいのことをやってくれと、IT企業の方が要らないというぐらい売り込んでくると。だからそのスピードみたいなことを速めるために、何をすれば一番いいのか。もう何年もここで話していることだから、答えはわかっているはずなのですね。 ただ、今のネットというのは非常に重要なので、一方で、そういう人が動いていって売っていく、その情熱とスピードは勿論大事なんですけれども、それに合わせて、インターネットでどういうふうに世界戦略できるか。クラウドのことは僕も詳しくないのでわかりませんけれども、その辺の整備を本当にしていただけると、クリエーターたちは本当に夢を持って、今みんなやっていますし、ネットがあるのに何で世界に出られないのだろうというふうに思っている人が多いので、ゲームの世界とか、アニメの世界でも、いろいろ起きていますけれども、やはり映像という世界でも、それをなし得ないと、今みたいな、非常に強いグローバル戦略を持っている韓国や、そういう国にはなかなか勝てないというのを非常に感じましたので、今後ともその辺を議論していただきたいなというふうに思いますし、僕もいろいろ言っていきたいと思います。 ○川上委員 もう一個、クラウドで今、差し迫った問題だと思っていることを指摘させていただきたいんですが、既に認識している方もいらっしゃると思いますけれども、iクラウドが始まって、日本では音楽動画とかというのが、それは共有できないということになっているわけなんですけれども、日本の場合、送信可能化権という概念がとても邪魔で、クラウドサービスをコンテンツでやることが事実上ほとんど不可能になっています。要するに自分のものであったとしても、インターネット上にものを置いて利用することが違法になってしまう。 以前はソニーさんが、ロケーションフリーか何かであけていただいた穴があって、一応、端末が同定できれば構わないというような話を、総務省の方に質問すると、いいとは言えないけれども、やってもいいとかという、よくわからない回答をされた記憶があるのですけれども、それも「まねきTV」の判決の方で、実際どこまで認められるかもわからないという状況になってしまっていまして、コンテンツのクラウドサービス、特に今、日本の場合、音楽というものはほぼJASRACさんが一括管理されていますので、JASRACさんの方に、現状、クラウドに対応したライセンスモデルとかありませんので、現状だと、そういうサービスが日本の会社は一切できないというふうになっています。これは差し迫った問題として、解決をしないといけない問題だと思いますので、その辺り、どういうふうに認識されているのでしょう。 ○中村会長 今の問題は、結局、立法で解決するしかないんでしょうか。中山本部員に聞けばいいでしょうか。 ○中山本部員 立法で解決すれば一番安全というか、安心ですね。今の最高裁判決、先ほどの判決は、どこまでが射程かという解釈については非常に議論がありまして、私なんかは非常に狭く解釈していまして、アンテナさえ立てなければいいのだと。あの判決はアンテナを重視していますから、そのように狭く解釈することもできる。しかしそうではない解釈もあり得るので、不安定だと思います。不安定なのは恐らく立法で解決するのが一番いいと思うのですけれども、私などはフェアユースの規定が一番いいと思います。今準備されている、多分次の国会に出るようなフェアユースは、クラウドは含まない意味のフェアユース規定になるだろうと思われます。それをちゃんとアメリカ並みのフェアユースにすれば、私は、救われるのではないかなと思っております。 ○芝田次長 いつも間に挟まれる立場に立つのですけれども、今、クラウドについては文化庁の方で、調査研究会を立ち上げて研究しているんですけれども、だんだん、勉強すればするほどわからなくなるところがあるのですが、まずはサービスの類型化を今やっていまして、それと著作権法の関係を研究中と。11月中には一応、調査研究の方は終わりますので、それを少し表に出して議論できるようになるかなというふうに思っています。 その過程で、幾つかアメリカの事例とかも調べているのですけれども、川上さんがおっしゃったように、やり方としては、もしかしたら課金モデル、ちゃんとしたモデルをつくって、許諾を取ってやるというパターンも、アメリカなんかの例で、どうもあるようなこともわかってきていますので、その辺も含めて、どういう対応をするのか、これは差し迫った課題だということはよく認識しておりますので、対応していきたいというふうに思っています。 ○川上委員 アメリカの方では、つい最近、リスク共有型のサービスとかに関しては合法であるという判決が出ていますね。余り日本独自のものだとうまくいかないような気がしています。 それと現時点で、そこの区別とか、すごく難しくて、今でも、例えばDropboxとかはありますけれども、あそこに多分、みんな音楽ファイルとか絶対置いているんだと思うんです。置かないわけがない。それは、ではどう解釈する。厳密に解釈すると、あれは違法なのかというふうになりますし、例えばクラウドと同じようなサービスで、Gmailというのもありますけれども、あれは結構、添付のファイルで大きなものを置けますので、あそこにためておくこともできるわけです。 とすると、事実上は規制できないというのが現実でして、ところがiクラウドみたいな感じで、ちょっと目立った形になると、いろいろ問題視されるという状況ですね。 そうすると、事実上野放しになっているんだけれども、一応だめなことになっているというのは、ビジネスがしにくくて、要するにビジネスをやりたい人が一番損という、だれも得をしないパターンですね。それで権利者自身は事実上OKなので、別に保護はされていないという状況なので、この状況は是非解決していただきたいと思います。これは大きな課題だと思います。 ○別所委員 今の話を聞いていて、これはつながっているかわからないのですけれども、ちょっと確認をしたかったのは、コンテンツ強化専門調査会で目標にしていることは何なのかなというのをまた改めて考えたのですけれども、文化を世界中に広げて、日本の文化的地位を高めようというのは勿論あると思うのですけれども、要は経済活動として、この知財とか、産業が、日本にどうお金を落とすのか。国力として、税金を徴収することも含めて、どうあるべきかということが、その根っこにあるのだとしたら、今のようなプラットフォームビジネスで、日本が余り主導権を取っていない現実がある中で、ちょっと聞きたかったのが、海外にしか法人登記のない、日本には法人登記のない会社が、日本のコンテンツを呼び込んで、権利者がOKだといって、そこから日本に発信をするウェブサイト、動画サイトがあった場合、すべての課金が経済活動上、その国に落ちるという場合には違法なのですか。その専門家はひょっとしたらここにいらっしゃらないかもしれないので、わからないですが。 何を言いたいかというと、私たちの周りでも、東南アジア、シンガポール、インドネシア、そういうところで電子書籍でもどんどんつくって、そちらから日本のマーケットに打って出て、許諾が取れていればそこでお金が集まって、日本に向けて、実際にできてしまうのではないか。それを完全に阻止することができないのだとすれば、いずれは、気がついてみたら日本のコンテンツ、あるいは僕たちのショートフィルムの世界もそうですけれども、漫画もそうでしょうが、出口を求めて、自分たちが、あるルールにのっとって、ちゃんと収益が取れれば、別に日本にいる必要が全くない。 具体的に言いますと、例えば僕たちなんかも、ショートフィルムの映画祭をやって、年間4,000本集まりますけれども、これをうまく商材として活用する場は、是非上海でやろうよとか、香港でやろうよとか、台湾もそうですが、高雄からも熱いアピールを受けたり、あるいはシンガポール、それからインドネシアのバタム島というところに今、大きなスタジオができていますけれども、そういう人たちから、別に日本でやる必要ないじゃないか、要するにそこに課金のシステムがあれば、そこにお金が集まると言われているのです。 それが立法上、違法にすることもできないでしょうし、川上さんの言ったこととはちょっと違う視点ですけれども、いずれはこういったコンテンツも全部、気がついたら。先日大多さんとも御一緒でしたけれども、Hulu Japanという、インターネットでアメリカを中心としたドラマを、ちょっと古い作品なんですけれども、私の知り合いと友人が立ち上げた会社で、日本にもオープンしたんですが、結局それも動画で全部流すのですけれども、彼らの戦略は、行く行くは、別にhuluジャパンという登記も必要なくなって、その人たちは、ある程度の人数が集まったら、天動説と地動説じゃないけれども、いずれプレミアムな、新しい番組をそちらからスタートするというような逆転現象をねらっているところもある。 もっと言うと、映画なんかでも、これも違法かどうかわからないので知りたいのですけれども、アメリカから、日本語字幕の付いた映画を流せば、別に日本に配給網や流通網がなくても、アメリカの会社でインターネットを通じて映画が見られるし、映画の配給・流通も、シアターで個別専属契約をすれば、アメリカの映画がそのままそこからネットで流れる。それは土管の問題というか、配信の問題があるので、そこで規制ができたりするのかもしれないのですが、そういうスピードでどんどん動いてしまって、電子書籍も、動画配信も、あるいはコンテンツホルダーですら、別に日本の国内の著作権に縛られながらやらなくても、他国で喜んで売るという人が出てきている現実があるので、ものすごく深刻だなとは思いました。 ○中村会長 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。 ○久夛良木委員 皆さん御存じのように、ゲーム業界は、任天堂さんとセガさんとソニー・コンピュータエンタテインメントの3社合わせるだけで、ついこの間まで、世界のほとんどの市場を占めていたわけです。それが御存じのように、単独のクライアント機器に向け、光ディスクのような物理的なメディアをソフト供給媒体としたこれまでのゲームプラットフォームというものが、世界規模でネット側に急速に移行している。確かに日本にはGREEさんとか、DeNAさんとかいらっしゃるけれども、それでもまだ世界ブランドになっているわけではない。つまり世界共通のプラットフォームになっているわけではない。 何が言いたいかというと、この業界は最先端のテクノロジーによってドライブされてきた業界なので、そこに新しい、例えばコンピュータが生まれ、コンピュータ・エンターテインメントが出てきたように、今それがネットワーク側に移って、ネットワーク上での新たなエンターテインメントというのができてくるというような、今ちょうど、ある意味ではすごくオポチュニティーがある状態だと思うのです。 ついこの間まで、日本という国は、クライアント側というか、例えば家電で言えばハコに入っている、ゲーム機もハコに入っている、車もハコに入っている、そういった中で、みんな一生懸命いいものをつくってきて、それを国外に輸出してきたわけですが、それらの実体が今どこに移りつつあるかというと、流行り言葉で言うとクラウド側というか、ネットワーク越しにサーバーの中に移りつつあるわけですね。ではそれらの主要なサーバーがどこにあるかというと、間違いなく今、海外にある。 先ほど川上委員が言われたように、土管の話となると、これはついこの間まで国営の企業だったところがやっておられるわけで、そんなところに幾ら声をかけても、そこで世界的に競争力のあるネットワークプラットフォームができるかというと、それは甚だ、今までの経験で言うと信じられないなというところもある。クラウドというのを大きく分けて考えると、1つは配信のためのクラウドと、アプリケーションそのものが動くクラウドに分類可能になる。例えばGoogleの検索エンジンは後者ですし、Appleのiクラウドもそうですね。それが今どこに設置されているかというのが非常に大きなコンサーンなのです。なぜかと言うと、それらのクラウドプラットフォームを、どういうふうに、だれがつくっていくかというのが、今後の国際的な競争力の源となるからです。 幾ら土管自体を整備しても、確かに日本にある既存のコンテンツをデジタル化して配信することはできるかもしれないけれども、新しくサーバーの上で、もしくはネットワークの上でつくられる、今までにない斬新なエンターテインメント・コンテンツというのは、これら配信の為のサーバーの上自体で生まれるわけじゃないわけです。ここについて、だれも議論していない。勿論、海外の一部の先端的な企業は、そこが次の主戦場になるということをよく理解していて、水面下で着々と準備されているところが幾つかあると思いますが、我が国のこういった業界関係者であるとか、政府関係者が集まっているところ、もしくは新聞紙面上でも、だれも、一言も言及されていない状況に、すごく強い危機感を感じます。 今後、このITC分野で、どこにすべてのプラットフォームの重力の中心が集まるかというと、間違いなくこのアプリケーションサーバー上になる。ただ、このアプリケーションサーバーの開発・整備は、何でもかんでも、むやみに予算を付けて整備すればいいというものじゃなくて、業界やコンテンツクリエーターがやりたいんだというところにフォーカスして最適に設計する必要がある。つまり汎用機というのはあり得ない。国の予算を付けて整備しようかとなると、とかく様々な方面の意見を集めた結果、どうしても汎用的になってしまう。そうではなくて、特定のことをやるためのアプリケーションサーバーには、どんなものがあって、それらが我が国の競争力にとって将来どういう意味があるのかという議論をしていただきたい。 先ほど別所委員が言われたように、基本的に、コンテンツをつくる側も、供給する側も、本来は国ということは考えなくてもいいのです。実際、特定の国に向けてということを余り考えないでやっているわけですが、我々がここで議論している趣旨に則れば、我が国の競争力をコンテンツにより強化するという視点に立てば、何らかのアクションプランに対して最終的に予算を付けるとすると、その予算の源は国民の税金ですよね。国民の税金を有効に活用し、将来大きな成果として回収する事を考えると、やはりそこから新たな経済活動も出てきて、将来法人税としてちゃんと回収できるとか、我が国のGDPが上がるとか、ユーザーの利用によってお金が返ってくるとかいうことでジャスティファイする必要があると思うので、是非、税金の戦略的活用を議論していただきたいなというふうに思います。 ○中村会長 ありがとうございます。 2011年の計画をつくるときに比べて、海外展開とネットワーク活用というところに、かなり皆さんの意識が集中してきたといいますか、特にクラウド、プラットフォームのところに議論が収れんしつつありますので、今期はそこに、結構力を入れていくということかと思います。よろしくお願いいたします。 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。 ○川上委員 久夛良木さんの発言で思ったんですが、コンテンツファンドというか、なかなか進まないというのと、具体的なイメージも何となく、必要だという話なのですけれども、ではそれを何に使うのかというところで、余り議論がされていないような感じがするのですが、やはりここのところで聞いていると、特定のものに対して、恣意的に支援をするということは、基本的にできないみたいな感じの雰囲気がありますね。基本的には公平になるような支援ということだと思うのですけれども、久夛良木さんが言われた、特定のアプリケーションサーバーを支援するという話も、特定のコンテンツを支援するという話と同じで、多分、公平にするのはできないと思うんです。公平にするのはできないというのを、何か割り切った形で認めるような議論というのが必要なんじゃないか。だから割り切っちゃって、じゃんけんとか総選挙で決めるとか、何かそういう感じの、最初から割り切った方法とかを考える必要もあるんじゃないか。公平にやると言っていると、多分効果的な支援はできないのですね。 ○久夛良木委員 近藤局長が元いらした役所を擁護すると、昔は戦略的な領域を決めて、特定領域をすごくえこひいきしたんですね。「電子立国」とか、「自動車王国」とかを打ち立てて、ものすごくえこひいきして、それによって、ドラマにもなりましたが、繊維産業とか、その他のところに、ある程度泣いてくれというか、我慢してくれというのがあって、まあ、我が国はそういうふうにやってきたわけじゃないですか。今の状態は、基本的には公平を目指しているのじゃなくて、何やっていいかわからないんだということじゃないかと思うんです。 だから逆に言えば、ここに集中すべきだというのをきちんと、我々も含めて、皆さんが、コンセンサスというか、いや広範なコンセンサスというのはなかなか取れないかと思うけれども、大きなベクトルを示すことができたら、そこに、国も含めた、いろいろな資源を集中するのはやぶさかではないというふうに私は思っているのですが、そうじゃないですか。 ○近藤局長 非常に重要な指摘かと思います。振られたので、黙っていようかと最初は思っていたんですけれども、僕もできたらそちらに座りたいなとさっきから思っているようなわけでありますが。一々おっしゃることそのとおりで、例えば川上さんがさっき、回線の太さという話をされたのも、10年ぐらい前に、私は世界の各国との間の貿易の太さと回線の太さというのを表に、一緒につくってみたわけ。そうすると、例えば日本とヨーロッパ、日本とアメリカ、アメリカとヨーロッパは、それなりにバランスした太さなんです。ところが回線の太さを引いてみると、圧倒的にアメリカとヨーロッパ。日本との間は細いんですね。アジアの国々とはどうかと見ると、日本を中心のハブになっていないんです。これは見事にばらんばらんになっていて、1本、1本が、髪の毛みたいな細さになっています。貿易額はこれだけ太い。 それをぱっと見ただけで、あ、これはだめだと。本当におっしゃったとおり、日本に情報が入ってくるためには、ただで全部引いてあげますわと言わないとできない。今私も全く同じことを思って。 当時私はIT本部なんかも責任者だったので、その辺もかなり議論したんですけれども、正直言うと、やはりこれは踏み切れないんですな。少なくとも国が邪魔をするのはやめようと思って、今とりあえずやれることをやっているのですが、もっとここは、本当に国家戦略室ですね。国家戦略局で、こういうのを一緒にやらないと、多分知財本部だけのミッションじゃないような気がするのです。 もっとここを、今おっしゃったえこひいきしろよというのも、えこひいきと言うと、なかなかみんな飲みにくいのだけれども、リスクマネーを担保してあげるんだと言えば、えこひいきじゃないんですね。今回のコンテンツファンドでも、コンテンツファンドは、お前の映画の方がおもしろそうだからやってみなじゃなくて、やってみたいやつはみんなやってみな、リスクは国が持ったるからというのでやれば、割と公平に見えるような仕組みもできる。今のお話聞いていて、本当に同感のことばかりであります。 ただ、そうは言っていても、できることと、できないこととあるし、私がうんと言ったら全部終わるわけでもないので、どうしますかね。ちょっとこの中で、何をやるか、それから、何をプライオリティーを持ってやるかというのを、提言をしながら、IT本部とか、国家戦略室なんかにも、こういうのを検討しろよというのを、我々も突き出しをしていきますか。 IT本部も国家戦略室も、私のカウンターパートはいないんです。IT本部の局長はいないんです。これ、笑うでしょう。国家戦略室も私のカウンターパートはいないんです。私が何か、ちょっとこれどうにかしようぜと言う相手がいないんです。これは困っていまして、どうしましょう。本当に。 ○別所委員 そういう人たちをここに呼ぶことはできないんですか。 ○近藤局長 いないんですもの、私のカウンターパートは。だって国家戦略局長って、テレビで見たことありますか。ないでしょう。IT本部局長というのは見たことありますか。ないんですよ。 だからこれは、私も正直言って、ものすごく靴の上から足をかいているような気持ちがずっとしている項目で、そういうものの組み立てを、本当はもっと、まず組織をしっかりつくってもらわないと。だって、例えば国家戦略局長と私がさしで、ここはこれに盛り込むべきだ、交渉する相手がいないとできないですね。最後は大臣同士でやるにしても。 だから、おっしゃるとおりだなと思いながら、どうするかなというのを、今いろいろ御指摘いただいたのも含めて、ちょっと我々も頭の整理をして、何ができるのか、あるいは何をここで検討しろよと宿題を出していくのか、ちょっとそれも整理しながら、今後の進め方を考えます。今おっしゃったのは、本当にそのとおりだと思うことばかりだし、TPPなんかもそうなんです。 著作権回りも、このACTAなんかはTPPの先駆けみたいなもので、我々はACTA交渉をこうやってやることで、世界で共通のプラットフォームをつくろうじゃないかと言ってきた。同じような発想なのです。だからこういったことも含めて、どう進めていったらいいのか。やはり、もう一回、国家戦略局みたいなのをやらぬとだめかもしれない。本当に。国家戦略局長になると、頭がパンクしそうだから、私も向こう側の委員の方に変えてもらおうか。どうやったらいいかよくわからないけれども、頭を悩ませつつ、今のは非常に重く受け止めて、ちょっとどうするか考えます。 ○中村会長 初回から、今日は非常に重要な指摘を幾つかいただいておりまして、次の計画策定に向けては、今もお話、指摘ありましたように、骨太な柱を幾つか立てて考えていくということをしたいと思いますし、同時に、こうした議論をどこにどう反映していくのかということで、この会議自体も外向けへのアピールですとか、対外的な、何か声を出していくような方法も考えた方がいいのかなとも思っておりまして、例えば、川上委員なんかにお願いをして、数名で、ニコ生のシンポをこのメンバーでやってみてアピールしていくとか、だれかそういった関係の方に来ていただいて、何かやってみるというようなこともあるのではないかなということを考えておりまして、事務局とも相談をしてまいりたいと思います。 どうぞ。 ○中島本部員 今の議論の主流が、先ほどの3本柱の1番と2番が主であったかと思うのですが、2番と3番の関連です。2番の、ここに御提案いただいた、今後の進め方の案の3ページにございますけれども、「デジタル化・ネットワーク化のための環境整備」の中で、四角の枠の中に、3つ目の○です。「最先端の情報端末機器(スマートフォン等)に対応した新ビジネスの発掘・創造のための支援策として何が必要か」というところです。やはり急速に普及発展しているスマートフォン、これを使わない手はないかなというふうに常々思っております。既にスマートフォンは通信だけじゃなくて、財布機能とか、カメラ、テレビ、最近はGPSも付いているわけですし、私の買ったのは歩数計も付いていて、毎日1万歩歩くように一生懸命努力しているんですけれども、大分健康維持にも役立っています。 例えば、③のクールジャパンの方の関連では、日本各地に埋もれている、クールジャパンとか、さまざまなアイテムを有機的に組み合わせた効果的な発信、これは勿論必要ですし、これと、スマートフォンのような高機能携帯端末ですね。言わば、スマートフォンというのは、お宝箱、ドラえもんのポケットみたいな気がしております。 何でもできるということで、例えば我々が外国に行くと、クレジットカードというのはかなり武器になるわけですけれども、かといって、現地の通貨を持たないわけにはいかなというふうなことがあります。そうすると、例えば外人が日本に観光で来る、またはビジネスで来るというときに、やはり一番問題になるのが言語でして、そういう英語サービスというふうなことを携帯電話でできる、日本中のどこへ行っても、観光地の情報は英語でわかるというふうなこと。または、どこにいるのかきっちりわかる。どこへ行くにはどうすればいいというふうなサービスというのは、果たして日本の外人向けの観光として、本当にサービスがちゃんとできているのかというふうなことを考えるとき、もう一歩、深堀りして考えた方がいいのではないのかというふうに思います。 当然ですけれども、例えば日本に行けば、日本のキャッシュ、コインは要らない、全部、携帯電話で決済できるというふうなこと。一部今、簡素化はされていますけれども、免税品の購入なんかでは、携帯電話があれば全部できてしまうというふうなことですね。それから時差があっても、本国の時間もわかるというふうなことはあるわけですし、何時に何をしなければいけない、コンシアージ機能というのですか、そういったものが英語で全部サービスできるというふうなことは、本当に今あるのかなというと、意外とないような気がするんです。 日本に行けば、例えば自分が持っている携帯電話、またはそれがスマートフォンでなければ、観光に行くと1台貸してくれる。帰るまでにそれで全部済んでしまうというふうなことというのは、クールジャパンを標榜している上では、是非考えないといけないことじゃないのかなというふうに思います。 それからスマートフォンの関連でいけば、もっともっと中に入っている機能を有効に活用して、持っている人たちへのサービスというのは、かなりできるような気がします。これは外人向けの観光だけでなく、日本人の観光にも使えるわけですし、細かなサービス、情報提供なり通信なり、テレビ機能もあるわけですし、もっと言えば、観光だけじゃなくてイベント、ほかのアミューズメントにも使えるわけですし、場合によっては医療用、どこにいても診療を受けられる、更には薬も、医療関係も、非常に重要な情報も得られる。場合によっては、どういうふうな薬を買えばいいのかというふうなことは、かなり考えられるような気がいたします。 もっともそのためには、今の携帯電話に入れるアプリというのは、盛んにものすごく開発されていますけれども、それだけでは今のような状況はできないだろう。そうすると、もっと開発が必要ですし、それから通信についても、電話回線とか、一般の通信回線ではなくて、もっと具体的な、トランスポンデリング機能というんですか、そういったものも必要になるでしょう。それから場合によっては、医療関係の法律規制、薬関係の法律規制というふうなことまで見ないと十分なサービスにどんどん入っていけない。それは規制緩和とは言わないまでも、調整ぐらいのところで済むのではないのかなというふうな気はするんですね。そういうふうなことで、もっともっと使って、応用範囲の広がるようなことが、この2番、または3番の、今後の方策の中に入ってくるのではないのかなというふうに思います。 更に言えば、私がちょっと考えたぐらいでも、そのくらいのアイデアは出るわけですから、日本全国では、ものすごいアイデアを持っている、たくさんアイデアがあると思うのです。そういったものをどんどん募集して、意見を聞いて、いいものはどんどん取り上げていくというふうな機会をつくるというのも、ここで何か、その仕組みをつくってもいいのではないか、そんな気はいたします。 ○中村会長 ありがとうございました。 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。 ○大多委員 すぐ終わります。コンテンツファンドの件で1点だけ。先ほどから出ていますけれども、これは前から言っているんですけれども、本当にこの60億という、これだけの規模のものを運用するのであれば、本当にお役所の方が何に張るのか、決めるのはだれなのか、民間のプロデューサー、総合プロデューサーみたいな人が決めるのか、その顔が見えないと、全く進まないし、だったら、川上さんが言うようにじゃんけんになっちゃうことなのか。 これを早く決めてほしいのと、ここにも書いてありますけれども、映画の企画開発業務を実施と言っているんですけれども、これも時代が変わって、昔だと、映画も中国との合作とか、何かそんな雰囲気でとらえられていますけれども、もう今はそんなものじゃなくて、それはスマートフォン向けのアプリに対して10億張っちゃったっていいし、デバイスも全然違うわけですから、この辺も何か映画に特化していて、このままでいいのかということも、次回以降、もしあれだったら議論した方がいい、ここに関してはそう思います。 ○中村会長 それは是非ともやりましょう。 杉山さん。 ○杉山委員 20年間ぐらい、いろいろCGとかかかわっているプロたちが、先ごろVFX-JAPANという協会を立ち上げようとしていまして、これは日本では珍しくユニオン的な、本当にプロフェッショナルたちが横につながって、もうちょっと自分たちの業界をよくするために、こうしたい、ああしたいという議論がされています。この流れの中で、知財の問題は非常にありますので、僕も発起人になっているのですけれども、どこかのシリーズの中で、彼らの主張をちょっと聞いていただければと思っています。 ○中村会長 VFXを開発している人たちですか。 ○杉山委員 実際に業務をして、先ほど出たような、小さな制作集団です。彼らは彼らで、いろいろ意見はあるんだけれども、今までそれを上に上げる方法が全くなくて、そろそろ、このままだと自分たちも仕事ができないような状況に来ていますので、やっと横につながって、声を出そうという気になった。みんな、どちらかというと職人集団なので、出てこないんですね。でも海外からの受注の問題とか、いろいろやはり知財の問題ありますので、聞いていただければと思っています。 ○中村会長 どうぞ。 ○中山本部員 先ほど局長が触れられたTPPの問題なのですけれども、これはまだ内容が公開されていないので、よくわかりません。アメリカのNGOがリークしたらしいのですが、正確かどうかわかりません。それによると、かなり知的財産にも関係しているようなので、本来でしたら、この本部の会合でも議論すべきではないかと思います。ACTAについてはかなり議論した記憶があります。ただ、TPPは非常にセンシティブな問題なので、今ここで、公開の場で扱うことができるかどうかという点については、私は全くわからないのですけれども、もし可能ならば、著作権については、保護期間の問題とか、非親告罪化とか、どうもかなり踏み込んで扱っているようなので、可能でしたら、ここでも扱ってもらいたいと思います。 ○中村会長 私もTPPをどう扱うか非常に気になっておりまして、急いで、この場でTPPに参加する、しないということを、知財の観点から議論するというのは、ちょっと我々のテリトリーを超えているかもしれませんが、いずれにしろ、TPPに参加するにしろ、参加しないにしろ、アメリカはマルチでもバイでも同じことを言ってきますので、それに対して、知財の観点からの優先順位をどうするのか、選択肢はどうなのかということは、議論は同じかと思いますけれども、引き続きやっていく必要があろうかと思っております。その辺り、事務局から何かありますでしょうか。よろしいですか。 ○近藤局長 議論します。議論しますけれども、多分、今の状況は、そんなにぱちっとしたものが決まっているんじゃなくて、国際交渉のときはそうなんですけれども、大体ええかげんに始まるんです。ACTAだって、あれだけまとまったような気がされたかもしれませんけれども、例えば去年の交渉が始まる瞬間、みんな大体だめだと言っていたのですね。私は去年、外務省の交渉の総責任者のところへ行って、ACTAという名前の条約だったら、条文はへのへのもへじでもいい、とにかく合意でまとめてくれ。すべての項目はおりてもいいから、とにかくまとめろと強く言ったんです。やっとそれで、そうまで言われるんならまとめますかというので、諸外国の代表を呼んできて、始めると一気にまとまるんですけれども、これはそう簡単にまとまらないので。TPPも実は何か隠していて、全部本当は決まっているんだけれども、みんながぎゃーと言うから、黙って隠しているんですということではないんです。 ですから、我々としてこんなことを入れるべきだということを議論することは、勿論やっていきますけれども、今の瞬間に、何か金庫の中にすごいものが入っていて、隠されているということではないことは御理解をいただいて、むしろ我々としては、世界共通の著作権のルールや、特許のルールをどうするのかということについて、よく話し合っていこうじゃないですか、交渉当事者に対して、こういうことを交渉してくれよというのを言うという観点からの議論であれば、喜んでさせていただこうと思います。 ○川上委員 今お話が出ましたので、著作権の非親告罪化というのは、我々もすごく懸念していることでして、これが運用によっては、ニコニコ動画だったり、もしくは日本のコミケ文化だったり、日本のサブカルチャーのかなり根本になるところを破壊しかねない項目ですので、これについては是非慎重にやっていただきたいなと思っています。 ○中村会長 TPPの議論が仮に始まったとしても、それから交渉ということになってきますね。時間軸の中で、我々としてもどう考えるかということもありますし、個別の事項が出てきたら、文化庁、文化審議会などともどう連携していくかということになっていきますが、いずれにしろ、非常に大きな、国の姿勢が問われる話にもなってくると思いますから、それはこの場で、きちんと議論をしていきたいと思います。その際には、国内産業にとってのメリット、デメリットということもありますし、今お話があったような、文化とか、国民、利用者にとっての便益やコストをどう見るかという、幅広い議論をしていかなければいけないのではないかということを考えているところです。 さて、いただいた時間が参りましたけれども、ほかに何かございますでしょうか。よろしいですか。 よろしければ、繰り返しになりますけれども、今日は非常に重要な指摘をいただきました。ほかにもまだまだ、これからがスタートですので、御意見あるいはコメント等あろうかと思いますので、そうした意見も、先ほど事務局からもありましたとおり、事務局の方までどしどしお寄せいただければと思います。このような人の話を聞けということがありましたら、そういった方の御紹介もいただければと思います。 では、予定の時間が参りましたので、最後に事務局から連絡事項をいただいて。 ○木村参事官 次回の日程でございます。次回につきましては12月5日、月曜日、10時からを予定しております。会場はこちらの方になってございます。 次回以降行うヒアリングの対象につきましては、日程調整の上、決定次第、また皆様に御連絡申し上げたいと思います。 よろしくお願いします。 ○中村会長 ではこれで閉会といたします。どうもありがとうございました。 |