コンテンツ強化専門調査会(第7回)議事録



  1. 日 時 : 平成23年2月25日(木)13:00~15:00
  2. 場 所 : 知的財産戦略推進事務局会議室
  3. 出席者 :
    【委 員】
    中村会長、大﨑委員、大多委員、角川委員、川上委員、久夛良木委員、
    末吉委員、杉山委員、別所委員、吉羽委員、中山本部員、三尾本部員
    【事務局】
    近藤事務局長、上田次長、芝田次長、安藤参事官、奈良参事官、内藤企画官


○中村会長
 では、ただいまから、コンテンツ強化専門調査会、第7回の会合を開催いたします。
 ご多忙のところ、お集まりいただきましてありがとうございます。
 前回は、知財計画2011の策定に向けて、知財戦略の論点、それから知財計画2011の骨子に盛りこむべき事項について議論を行いました。今回は、まず、その知財計画2010の進捗状況の評価について事務局から報告をいただいた後に、前回の議論を踏まえて具体化した2011の骨子に盛り込むべき事項の案について議論を深めていただきたいと思います。
 今日は、佐藤委員、それから谷口委員からご欠席の連絡を受けております。また、本部員から中山本部員と三尾本部員にご出席をいただいています。よろしくどうぞお願いいたします。
 では、まず事務局から資料の確認をお願いいたします。

○奈良参事官
 それでは資料の確認をさせていただきます。本日は委員限りの資料、要回収等の資料がございます。
 まず資料1でございますけれども、知財計画2010の進捗状況につきまして、暫定版でございます。これは後ほどご説明いたしますが、現在、関係省庁と調整中でございまして、今日は公開の会議でございますので席上のみの配布とさせていただき、会議終了後回収させていただきたいと存じております。
 それから資料2-1でございます。これはこのコンテンツ強化専門調査会としておまとめいただきます知財計画2011、骨子に盛り込むべき事項(案)の構成でございます。前回ご議論いただきましたとおり、1つ目にデジタル化・ネットワーク化社会の先端を切り拓く国となる、2点目といたしましてクールジャパン推進、3点目といたしまして、基盤となる人材育成を加速する、の3つの柱から構成をされております。
 続きまして資料2-2でございますけれども、このコンテンツ強化専門調査会としておまとめいただきます知財計画2011、骨子に盛り込むべき事項の案でございます。前回までの議論を踏まえまして事務局で作成したものでございます。本日は特にこれにつきまして、ご意見をいただければというふうに思っております。
 資料2-3でございます。政府として知財計画2011というものをまとめるわけでございますけれども、その骨子(素案)の総論部分につきまして、抜粋をしたものでございます。これにつきましては、事務局内で検討中のものでございますので、本日、委員の皆様限りということで、席上のみ配布とさせていただきたいと思います。知財本部のもとには、このコンテンツ強化専門調査会、それから競争力強化・国際標準化専門調査会の2つが設けられておりますけれども、それぞれの調査会でおまとめいただいた提案を踏まえまして政府として知財計画2011をまとめる予定でございますけれども、両調査会の提言を踏まえた骨子の素案につきまして、ご参考にお示ししたいと思っております。もしご意見等ございましたら、直接事務局までお寄せいただけると幸いでございます。
 それから資料3でございます。これは政府におきまして現在検討しておりますクールジャパン推進に関するアクションプランの検討の方向性でございます。政府の新成長戦略に基づきまして、関係省庁で連絡会議を設置いたしまして、3月までにアクションプランを取りまとめるということで今現在検討しております。その方向性について示したものでございます。これにつきましてもアドバイスいただければ幸いでございますけれども、これも現在、関係省庁と調整しているものでございますので、今日は公開の場でございますので席上のみの配布とし、終了後に回収させていただきたいと思っております。
 それから参考資料1でございますけれども、前回、第6回会議の主な意見でございます。
 それから参考資料2でございますけれども、前回いただきましたご意見を踏まえまして、資料を幾つか補足させていただいております。まず表紙をめくっていただきますと、1ページ目でございますけれども、データセンターのクラウドコンピューティングとも関連いたしますが、データセンターの国内誘致の推進についてということでございまして、現在、政府のIT戦略本部におきまして、特区としての可能性、あるいは法令の運用面の明確化も含めまして、検討を進めているところでございます。
 それから資料2ページ目でございますけれども、総合特区制度の概要でございます。これは以前もお示ししたことがあったかと思いますけれども、改めましてお示ししたいと思いますが、法案につきまして、閣議決定をし、国会に提出予定のものでございます。海外から企業を呼び込みます国際総合戦略特区、それから地域の資源を最大限活用いたします地域活性化総合特区、この2つのパターンございまして、これらに対して、規制制度の特例措置でありますとか税制上の支援措置、あるいは財政上の支援措置、金融上の支援措置、こういった事柄を総合的に支援するというようなスキームでございます。
 それから、もう一つ特区の概要がございますが、もう1枚めくっていただきまして、最後4ページ目でございますけれども、前回、施策を進めるに当たって、ベンチマークというご意見がございましたので、参考までに米国の動向につきまして資料を用意いたしました。例えば、音楽につきまして、日本と比較して配信の割合が高いといったこと、あるいは映像におきましては、主要放送局が参加する無料配信がなされておりまして、主要番組が網羅されていると、こういった状況がうかがえるところでございます。
 次に参考資料3でございますけれども、知財計画2011におきましても、2010と同様に目標指標を盛り込んでおりますけれども、その考え方を示したものでございます。これにつきまして、も適宜ご説明をさせていただきたいと思っております。
 それから最後でございますけれども、参考資料4ということで、今後のスケジュールについてでございます。次回、3月10日で知財計画2011骨子に盛り込むべき事項につきましておまとめいただきたいというふうに考えております。お忙しいところ、大変恐縮ですが、どうかよろしくお願いいたします。
 以上です。

○中村会長
 ありがとうございました。
 では、続いて、知財計画2010の進捗状況について、事務局から説明をお願いします。

○芝田次長
 私のほうからご説明をいたします。資料1、A3の大きな横紙をご覧いただきたいと思います。これは今日の会議の終了時に回収させていただきたいと思っておりますし、委員限りの資料として配布しております。それは、その理由を申しますと、今、まさしく各府省と調整中でございまして、まだ少し調整に時間がかかっておりますので、本日は回収という扱いにさせていただきたいと思います。
 皆様方、個別にいろいろご関心の事項もあろうかと思います。つきましては、直接、会議終了後、今日に限らずですが、事務局のほうにお問い合わせをいただきまして、私どものほうから現在の考え方などもお話をさせていただきたいと思います。
 問い合わせてくれと言いながら資料を回収するというのも変だろうとお思いかもしれませんが、そこの資料の1ページ目に総括表が掲載してございますので、この総括表で、ここは特に皆様方の関心も高く、ヒアリングも行った項目を掲げてございますので、こういうところでご確認いただきまして、個別に後ほどお問い合わせをいただければありがたいと思っております。
 それから2ページ目以降が個別の状況を示したものでございます。一番上のタイトルのところをご覧いただきますと、左のほうから具体的な取組の課題、それからその概要、それから担当府省工程表と。それから緑色のところが2010年度末までの具体的な取組状況。2011年度以降の具体的な取組予定、このあたりは各府省から私どもが聴取して、記述してございます。それから評価のところが、現在のところの私どもの考え方。それから、今後の課題というところが、私どものほうで今後こういうことをしてほしいということを考えていますという、そういう構成になっております。
 1ページのほうにお戻りいただきたいと思います。全体の状況というところがございますが、考え方といたしましては、○が達成、△が概ね達成しているが、更に進める必要、×が未達成という考え方で整理してございます。この専門調査会におきましても、3回にわたりまして各府省からヒアリングをしていただきました。その結果、概ね順調に進捗しているというふうには理解しておりますが、△の概ね達成している、△印という事項はもちろんのこと、○とされた事項につきましても、今後の課題等について知財計画2011に反映して、更にしっかり取り組んでいくことが必要だと考えております。
 冒頭申しましたような事情で、個別の事項についてのご説明は控えさせていただきますけれども、引き続き知財計画2011を策定いたしまして、計画が着実に実行されるようにいたしたいと思いますので、どうぞご指導のほど、よろしくお願いいたします。

○近藤局長
 1点だけ補足しますけれども、今日の時点でまだ調整中なので、今日は回収でありますが、まとめ終わりましたら知財本部にかけます。かけた後、もちろん全面的に公開をいたします。ですから今日の時点では、まだ公開できない、あるいは今日は要回収にさせていただいているという点をご理解いただきたいと思います。

○中村会長
 どうもありがとうございました。この2010をどのように評価をして、次つくっていくかという、非常に、特に別所委員が強調されていたところですけれども、現状このようなことだということを念頭に置いていただいて、2011組み立てというところに向かっていただければと思いますし、また、もうちょっと評価に時間がかかるということですので、それも待って、またフィードバックをさせていただければと思います。ありがとうございました。
 では、次の議題ですけれども、今度は2011ですね。知財計画2011の骨子に盛り込むべき事項の議論です。これも事務局から説明お願いします。

○奈良参事官
 それではご説明いたします。少々お時間が長くなるかもしれませんが、お許しいただきたいと思います。資料2-1をまずご覧いただきたいと思います。
 このコンテンツ強化専門調査会としておまとめいただきます、骨子に盛り込むべき事項案の全体の構成でございますけれども、先ほど申しましたとおり、1点目がデジタル化・ネットワーク化社会。中身といたしましては、電子書籍等の電子配信の促進、または過去の知的資産のデジタル化・ネットワーク化。また基盤の整備―例えばクラウドコンピューティングへの対応、そしてグローバルな著作権侵害の対応の強化ということが柱になってございます。
 2つ目の柱として、クールジャパンの推進、クールジャパンの発掘、創造、発信、拡大、そしてその基盤整備といった、このサイクルを確立するということでございます。
 3点目といたしまして、そのための基盤となる人材育成の加速ということでございまして、創作基盤の強化、また世界に通用する人材基盤の強化ということを柱にしてございます。
 資料2-2をご覧いただきたいと思います。本日はこの盛り込むべき事項案につきまして、ご意見をいただければというふうに思っております。なお、知的財産推進計画2010との関係でございますけれども、この骨子に盛り込むべき事項につきましては、2010年度に書かれたこと、これにつきまして、引き続き実施をしていくということでございますけれども、更に新たに追加、あるいは更に深掘りして実施すべきというふうに考えられるものを取り上げているところでございます。
 まず全体の情勢認識のところでございます。グローバル化・ネットワーク化の進展が、経済社会全体に変革をもたらしつつあるということ。ネットビジネスの本格化、あるいはプラットフォームの覇権をめぐる競争、クラウド型サービスの登場、過去の知的資産のデジタル化・アーカイブ化が世界的に進んでいる、こういった新たな動き。これらに迅速、かつ戦略的に対応した国でなければ、今後の世界経済をリードできないというふうに認識をしております。
 また、クールジャパンにつきまして、海外に対して総合的に展開することにより観光客を誘引、国内の経済活性化につなげる、また海外市場を獲得するということで、経済成長の主な原動力となり得るということでございます。また一方、コンテンツ人材を取りまく環境は非常に、引き続き厳しい状況にあるということでございますけれども、今後の可能性を考えれば人材強化というものが緊急の課題であるというふうに認識をしております。
 2ページ目にまいりまして、以上踏まえまして、昨年の2010を着実に実行いたしますとともに、これらにつきまして、さらなる戦略的展開を行う必要があるというふうに認識をしております。
 3ページにまいりまして、1つ目の柱のデジタル化・ネットワーク化社会の先端を切り拓く国となるという部分でございます。情勢認識といたしまして、グローバル化・ネットワーク化がビジネスのみならず、消費者の行動も大きく変えつつある。こうした中、使いやすい電子端末、あるいはスマートテレビなど、コンテンツビジネスは急速に進展しており、経済社会のあり方に大きな影響を与える可能性があるということ。こうした背景のもとに、プラットフォーム間の国際競争が開始、これらの勝者がデジタル化・ネットワーク化サービスをリードする蓋然性が高い。これは我が国にとって、海外飛躍の大きなチャンスでございます。一方で、特にメディア産業におきましては、まさに生き残りの正念場を迎えているのではないかというふうに思います。また、電子配信の進展、あるいは各国による知的資産のデジタル化の動きが加速化、また新たなサービスの登場、こういった新たな動きも出ているわけでございますけれども、しかしながら、我が国の対応は総じて遅れておりまして、戦略的展開というものが急務になっている。これは国内均衡的な解決だけでは海外に拠点が移ったり、あるいはサーバーが移るというだけでございますので、我が国が世界に先駆けて取り組む姿勢というものが重要で、それに迅速に取り組んでいく必要があるというふうに考えております。
 4ページにまいりまして、具体的な成果イメージでございますけれども、これにつきましては、昨年もこのような成果イメージを掲げておりましたけれども、この部分につきましては2010の成果イメージ、あるいは目標指標を踏襲してはいかがかというふうに考えております。
 具体的な施策でございますけれども、1つ目といたしまして、(イ)といたしまして、電子配信、それから過去の知的資産のデジタル化・ネットワーク化の活用でございます。情勢認識といたしまして、グローバルな流通プラットフォームが重要性を増しているということ。それから電子配信が急速に進展、電子教材の推進によって知のインフラを更に強化していくことが期待される。一方、コンテンツを含めて、対応は途上であるということで、グローバルなプラットフォームに席巻されかねない状況にございます。
 5ページ目にまいりまして、具体的な施策例でございます。1点目といたしまして、電子書籍の普及加速化でございます。これにつきましては、一度ヒアリングなどもしていただきながら、ご議論いただいたところでございますけれども、出版社に対する権利付与の是非の検討を含めまして、著作者と出版社間の契約を促進する環境を整備するということが重要かというふうに思っております。これにつきましては、従来、入り口のところでの議論ということでございましたけれども、関係者がWin‐Winの関係になるような、そういうような取組を前向きに進めよう、そういうような趣旨でございます。
 それから2点目といたしまして、マルチプラットフォームに対応可能な中間ファイルフォーマットの策定、そしてその普及。また、最終フォーマットにつきまして、各国と連携しながら日本語対応を可能とする、こういったことが必要かというふうに考えております。更には、電子書籍のうち、特に電子教材の導入促進ということも重要な課題というふうに考えております。
 また、一方、過去の知的資産のデジタル化・ネットワーク化という観点では、国立国会図書館が有します過去の媒体の、紙媒体の出版物をデジタル化・アーカイブ化の活用の推進ということでございまして、具体的には一定のルール、適切なルールを設定しながら進めていくということが必要ではないかというふうに思っております。また、電子納本につきましても可能にする環境整備を図る必要があると考えておりまして、市場で配信されたものが館内閲覧に限るといったような適切なルール設定などを定めながら、含めながら、そういったことを推進することが必要ではないかと思っております。
 それから5ページ目の一番下のところでは、放送番組の関係でございます。NHKのアーカイブのさらなる活用ということのための環境整備。これは独立採算制要件の緩和ということも含めまして、検討が必要。また、民間のアーカイブの拡充ということも必要だというふうに考えております。
 6ページにまいりまして、アーカイブのネットワーク化の関係でございます。ここは前回、委員からもご意見いただきましたけれども、国内だけではなくて海外とのネットワークの連携ということで、まさに海外の情報の収集拠点となるような、そういった取組が必要ではないかというふうに考えております。また、アーカイブ促進のためには、アーカイブのためには著作者に承諾を得ないといけないわけでございますけれども不明者が多いといったようなことで、なかなかコストと時間がかかっているということがございますので、一層円滑な権利処理の環境整備を図る必要があるというふうに考えております。
 それから2点目の(ロ)といたしまして、それを支える基盤の整備でございます。現状、情勢認識といたしまして、1つはクラウド型コンテンツサービスが登場しているということで、今後の普及が見込まれている。また前回、委員の先生方からご指摘ございましたとおり、我が国では携帯電話で独自の発展を遂げてきたということがございますけれども、いわゆるスマートフォンの急速な普及によって、グローバルな流通プラットフォームの大競争にのみ込まれつつあるということ、またネットと従来のメディアの垣根も崩れていると。加えて、3D映像につきましてはコンテンツの供給が不足していると、こういうような状況があるというふうに認識をしております。
 7ページにまいりまして、施策の例といたしまして、1点目といたしまして、クラウド型配信の促進のための権利処理の円滑化、または著作権制度上の課題について整理するということでございます。2点目といたしまして、流通プラットフォームの環境整備ということで、特定のプラットフォームの影響が高まる場合の課題、あるいは懸念を踏まえまして、望ましい競争環境について検討を行うということが必要ではないかというふうに思っております。この部分につきましては、国としてどこまで踏み込めるかという面もありますけれども、関係府省と更に協議を続けて、どういうような方策があるのか検討したいというふうに思っております。
 それから、3D映像の促進ということで、まだまだコンテンツ数が不足しておりますので、NHKをはじめとした放送番組の3D放送の促進、あわせて、3D映像の安全基準策定ということも進める必要があるというふうに考えております。
 最後に(ハ)といたしまして、著作権侵害の対応ということで、2010のほうでも特に国内対策を中心といたしまして考えて取り組んできたところでございますけれども、情勢認識といたしまして、漫画やアニメが大量に海外で流通している。あるいは新たな流通プラットフォームにおいて、我が国の著名書籍をはじめとする侵害コンテンツが流通しているということで、こうした動きというのは、我が国のコンテンツがグローバル展開を図る上で大きな障害になっているということでございます。海外の事業者が関与する場合には、法執行面での制約、あるいは権利情報がそもそも共有されないということで、なかなか対抗措置が困難な状況にございます。
 8ページにまいりまして、具体的な施策といたしまして、国際的な権利情報共有の仕組み、あるいは司法管轄の整理といった課題につきまして、国際的な枠組みにおける検討を進めてはどうかというふうに考えております。2点目といたしまして、特に著しい海外違法サイトに関しましては、民間事業者による自主的な措置というものを含めまして、総合的な方策を検討し、結論を得る必要があるのではないかというふうに考えております。また民間団体の動きということにつきましても、その活用を図って支援するということが必要ではないかというふうに考えております。
 2点目の大きな柱でございます。クールジャパンの推進に関してでございます。まず、情勢認識といたしまして、グローバル化・ネットワーク化の時代の中で、これまで地域性が高いと考えられていた文化的な要素を有するものにつきましても、グローバルな競争が始まっております。クールジャパン(すてきな日本)という言葉に包括される、そういった日本の潜在的な資産にとっては絶好のチャンスでございまして、我が国の新たな経済成長の原動力となることが期待される。特に、アジア諸国を初めとしたグローバル市場が可能性を有している。また、クールジャパンにつきましては、我が国全体のイメージ、またその他の産業に対する波及効果といった面も期待されるということでございます。これも前回いろいろご意見をいただきましたけれども、そういったクールジャパン、我が国の歴史・文化によってつくられた美意識、創意工夫に基づくものであるということで位置づけており、また戦後日本の心の自由さというものが、その強みを支えてきたというふうに考えております。
 一方、グローバルな競争に勝ち抜くためには、これまでの知的資産としての価値を生かしながら、新たな価値というものを創造し、ビジネス展開につなげていくということが求められるのではないかというふうに考えております。このためには、海外に通用するクールジャパンにつきまして、10ページにまいりまして、地域の中に埋もれている状態から発掘する、また新たに創造いたしましてグローバルに発信、そして一過性に終わらせることなく、日本に呼び込み、人気を拡大させていく、この好循環を形成していくことが重要ではないかというふうに思っております。
 なお、コンテンツにつきましては、知財計画2010におきましても積極的に取り組んできたところでございまして、国際競争政策の促進、あるいはコンテンツ特区など、海外から人や企業を呼び込んでいく視点ということの施策も盛り込んでいるところでございますし、また、コンテンツに関しまして、諸外国の規制緩和撤廃ということも働きかけを強めているところでございますし、また、昨年はACTAの合意、またアクセスコントロールの回避規制の強化といった部分も盛り込んだところでございます。これらにつきましては、引き続き強化していくとともに、その他の分野との相乗効果を高めた施策というものを展開する必要があるのではないかというふうに考えております。
 成果イメージといたしましては、我が国が獲得する海外市場合計額ということで、現在3.2兆円のところが約13兆円、訪日外国人の国内消費額も含めた獲得市場合計額も含めますと、現在の4.5兆円から、2020年に約17兆円に増やすということを成果イメージとしてとらえております。
 また、目標指標といたしまして新たに加えましたのは、訪日外国人観光客が2500万人、あるいは見本市への外国人来訪者数30万人、また諸外国におけるコンテンツ規制の解禁・緩和を実現するということを目標指標に掲げてはどうかというふうに考えております。
 11ページにまいりまして、クールジャパンの1点目といたしまして、発掘・創造のフェーズでございます。情勢認識といたしまして、クールジャパンというものは広まっており、これまではポップカルチャーを中心とされてきましたけれども、日本に関するあらゆる事物が対象とされるのではないかというふうに思っております。この点、日本人が想定するものと外国人が感じるものというものにギャップが存在しているということだと思いますが、何が真にクールジャパンなのかということにつきましては、試行錯誤の中で積極的に発掘・創造し、演繹的に確立し、そのフロンティアを拡大していくということが重要ではないかというふうに思っております。これも前回、ご意見いただきましたけれども、グローバル化・ネットワーク化時代、ボーダレスの時代であるからこそ、コピーできない固有のアイデンティティというものが異国人の目にはクールに映るのではないか。その際に、日本の、日本人の独特の文化、伝統、あるいは独特のこだわり、丁寧さ、それから先端技術、自由な心に育つクリエイティブなコンテンツ、こういったところに真のクールジャパンというものが潜んでいるのではないかということでございます。こうしたことから、発掘、創造し、発信、そして定着に結びつけるという、この仕組みを戦略的に構築することが必要だというふうに思いますし、また、各国の市場構造、それからクールジャパンの内容に応じて、それは戦略的に、意図的に展開していくことが重要ではないかというふうに考えております。
 12ページにまいりまして、具体的な施策の例でございますけれども、例えば外国人の目から見てグローバルに通用するクールジャパンというものをクールジャパン大賞というものを選びまして、その積極的な展開を支援していくといった事柄。それからやはり映像の力というものは大きいものがございますので、多様な地域、あるいは人々の魅力、それから日本の高い技術力を生かしたコンテンツを制作し発信する。また、海外と一緒に組んでやるということが非常に、それを促進する上で重要でございますので、国際共同製作に対する支援といったことを進める必要があるというふうに思います。
 また、コンテンツ、ファッション、食、観光分野等、効果的に組み合わせていく。そしてまた各国のニーズに基づいた戦略を策定し、推進するということも必要かというふうに思っております。
 それから(ロ)といたしまして、発信のフェーズでございますけれども、情勢認識といたしまして、クールジャパンにつきまして、単体だけではなくて、さまざまなアイテムの有機的な組み合わせによって効果的に発信していくということが必要ではないか。例えば、映画・ドラマ番組とファッション、食、ライフスタイルなどを組み合わせながら発信するといったような取組が考えられるのではないかというふうに思っております。また、日本にやってくる外国人は、クールジャパンの潜在的な愛好者でもございますので、新たなおもてなしのアプローチというものが重要となるのではないかというふうに考えております。
 それから13ページにまいりまして、具体的な施策の例でございますけれども、情報発信の強化ということで、国内のイベント、各種見本市等につきまして、海外からの出展強化、あるいは国際化を進めるということ。それからスポーツイベント、ロンドンオリンピック、あるいは日米桜寄贈百周年といった二国間の周年事業を生かしながら発信する仕組みを確立していくということでございます。
 また、イメージ戦略の一貫といたしまして、ポータルサイトによりまして多元的に発信すると。またロゴマークを作成し、統一的なイメージで発信を行うということも考えられるのではないかというふうに思っております。それから映像、放送の展開ということでは、番組の海外展開を促進するための権利処理の円滑化のための環境整備、また国際放送の強化といったことが挙げられます。
 それから我が国発着の国際航空路線への映像の提供を積極的に進めるということ。それから影響力が大きい映画、ドラマ、ゲームを活用しまして、作品の中にクールジャパンを登場させていく、そういった民間の取組を支援することも考えられるのではないかというふうに思います。
 それから、日本で行われる各種の見本市、これは情報発信の場であると同時に、ビジネス客を引き寄せる有効なツールでございますので、この活性化を図っていくということが支援に必要ではないかというふうに思っております。
 それから3点目といたしまして、(ハ)といたしまして、人気拡大フェーズでございますけれども、一過性のものに終わらせることなく、更に拡大をさせ、リピーターを形成していくということが重要であると。特に影響力が大きくて、中核となり得るようなオピニオンリーダー的な外国人のファンの一群をつくっていくということが重要ではないかというふうに認識をしております。
 施策の例といたしましては、クールジャパンと連携いたしました、連動いたしました多面的な旅行商品の開発、支援、そして海外プレス、著名ブロガー等、影響力のある方の招聘、我が国の日本ブランドを守るといった観点から農林水産物や食品に係る地理的表示の保護制度の導入に向けた検討、また、各国合意しましたACTAにつきまして、アジア諸国を中心とした加入促進ということが考えられるのではないかと思います。
 15ページ、クールジャパンの最後でございますけれども、(ニ)といたしまして、障害を取り除く、あるいは基盤整備を行うという観点でございます。情勢認識といたしまして、従来からコンテンツは一部の国で数量規制などが引き続き存在をしております。これにつきましては、やはり国としての取組が不可欠だろうというふうに認識をしております。また、現地における支援体制という観点では、まだまだ体制が弱いということがございますので、大使館・領事館を中心といたしまして、関係機関における連携体制というものを強化していくということが重要であるというふうに考えております。
 施策の例といたしまして、特にアジア市場などにおけるコンテンツ、食の規制緩和の撤廃を強く働きかけ、実現する。それから現地ニーズに根ざした海外展開を促進するために、関係機関、民間が連携をしたタスクフォースを創設する。また、クールジャパン関連産品の輸出に必要な検査施設、また、あるいは国際会議場・展示場、こういった環境基盤を整備する必要があるというふうに考えております。
 それから、16ページでございます。最後の3点目の柱でございます。人材育成の加速のところでございます。人材を取りまく環境は非常に厳しい状況にあるわけでございますけれども、一方でグローバルなネットビジネスの進展等につきましては、これは大きな機会ということになるわけでございまして、この出口をつくっていくということが非常に重要ではないかというふうに思っております。2010におきましても、国内における機会創出、あるいは海外から人材を呼び込む人材の育成、あるいはクリエーターの裾野拡大ということにつきまして取り組んできたところでございますけれども、更にデジタル化・ネットワーク化に対応した創造活動の基盤強化、それからビジネスプロデューサーの育成強化、こういったことが必要ではないかというふうに思っております。
 (イ)といたしまして、創作基盤の強化のところでは、情勢認識といたしまして、我が国の個人の創作レベルが非常に高く、さまざまな可能性を有している、ここを活用する必要があるんじゃないかということでございます。
 17ページにまいりまして、具体的な施策の例といたしまして、二次創作を円滑化するため、パロディに関する法的課題の検討、あるいはネット上の共同創作、二次創作の権利処理の明確化を含む環境整備、それからソーシャルネットワークサービスにおける個人による引用紹介、あるいはその二次創作を円滑化するために包括契約の促進、それから権利侵害とならない範囲の明確化、こういった環境整備を図る必要があるのではないかというふうに考えております。
 最後、(ロ)でございますけれども、人材基盤の強化ということでは、やはりグローバル化・ネットワーク化を活用して、ビジネス化できるプロデューサー人材というものが不可欠であるというふうに認識をしております。またこうした人材が集まる環境を整備するということも必要かというふうに思っております。
 施策例といたしまして1点目といたしまして、ビジネスプロデューサーを育成する支援強化、それからエンターテインメント・ロイヤーズ・ネットワークとの交流の場の設定というようなことの推進、あるいは教育段階からの国際交流の推進、こういったことを進めていく必要があるのではないかというふうに考えているところでございます。
 以上でございますが、あと何点か補足をさせていただきたいと思いますけれども、先ほどの資料2-3をご覧いただきたいと思いますけれども、このようにこのコンテンツ強化専門調査会でご提言をいただきまして、もう一つの専門調査会からもご提言いただくということで、政府として知財計画2011ということをまとめるわけでございますけれども、両方のご提言を十分に踏まえて、この2011をつくるということでございます。その総論部分につきまして、本日は抜粋をご紹介しているところでございます。
 ちょっとここで紹介いたしますと、例えばコンテンツ関連でいきますと、そのうち3ページ目のところでございますけれども、真ん中ぐらいのところですが、情勢認識といたしまして、グローバル化・ネットワーク化時代に対応して、むしろリードする国家の姿というものを世界に示していかなければいけないということでありますとか、あるいは、グローバル化・ボーダレス化時代だからこそ、コピー不可能な地域固有なアイデンティティを目指した、その土地・地域にしかないものの価値が希少性を帯びる、いわゆるクールジャパンの可能性が広がっていると、こういった事柄について記載をさせていただいているところでございます。
 また、4ページ目のところにおきましては、真ん中あたりのところでございます。近年、ソーシャルネットワークサービスあるいはクラウドコンピューティング、こういったところが急展開を見せているということで、新たなチャンスが生まれる可能性も大きいということなどに言及した上で、5ページ目のところでございますけれども、4つの戦略のうち、第3の戦略といたしまして、最先端デジタル・ネットワーク戦略、それから第4の戦略といたしましてクールジャパン戦略を位置づけているところでございます。ご参考にお示しさせていただきますので、もしご意見がありましたら、これにつきましても事務局までお寄せいただければ幸いでございます。
 それから最後に、資料3でございますけれども、クールジャパンの推進についてということでございます。これにつきましては、政府の成長戦略に基づきまして、現在、知財本部、その下の企画委員会、その下に関係府省連絡会議というものを設けまして、3月までにアクションプランを取りまとめるべく、現在、鋭意検討しているところでございます。これも今、関係省庁集まって鋭意検討しているところでございますので、席上配布のみとさせていただき、また終了後に回収させていただきたいと思います。2ページ目が施策の考え方、いわゆる日本と地方を元気にしようということでございます。そして、3ページ以降に施策の主なものが載ってございます。先ほど申しましたものが幾つか例示として掲げられているところでございますので、現在、政府のほうでこれを実現すべく検討しているところでございますので、これらにつきましても、ぜひ先生方からアドバイスをいただければ幸いでございます。
 以上でございますけれども、本日は特に資料2-2につきまして、骨子に盛り込むべき事項についてご意見をいただければ幸いでございます。長くて恐縮でしたけれども、以上でございます。

○中村会長
 ありがとうございました。今説明ありましたように、この調査会では、骨子に盛り込むべき事項というのをまとめまして、できれば今回と次回、それを踏まえて、政府で知財計画2011をまとめるという段取りになります。従いまして、今お話ありましたように、資料2-2についてしっかりと議論をしたいと思いますが、今年度も昨年度をなぞる形で3つの柱、デジタル化・ネットワーク化社会と、それからクールジャパン、人材育成、この3つが柱になっております。この3つに分けて、それぞれお話をしていただければと思いますけれども、まず、最初に総論と、それから各論の最初ですね、デジタル化・ネットワーク化について、この2-2でいきますと、1ページ目から8ページ目までということになると思いますけれども、これについて意見、コメントある方は挙手をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○吉羽委員
 海賊版の話、ここのところいろいろとしゃべっているので、大きな話ではなくて申しわけないんですけれども、情勢認識の中で、3ページ目です、正規配信を阻害するグローバルなネット上での海賊版流通が問題化しているということに加えて、10ページ目のところに、今度は○の2つ目ですけれども、コンテンツに関する諸外国の規制の緩和・撤廃の部分というところで、場所は分かれているんですけれども、結局、海賊版というのがなぜ生まれるかというと、十分な量が供給されていないということと裏表なので、それらをここの部分で情勢認識として非常にきちんと盛り込まれているということはありがたいなというふうには思いました。でも、もう一つ、やっぱりきちんとコンテンツが供給されない理由の一つは、日本語が厄介な言語だということ。日本語から一端、例えば英語、もしくは一端、中国語のような言語に変換されると、そこから先というのは、比較的世界中に翻訳がしやすい。コスト的にも、日本語から英語とかいうのよりは、日本語から中国語のほうが安いですが、中国語から英語のほうがもっと安かったりなどというようなことがあって、一回グローバルな言語に、どこか持っていく作業というのが、実は我々コンテンツ事業者側から見ると結構なコストになっていて、ビジネスとして回っている国というのはもちろん、先様のリスクの中で、そういった費用負担というのが行われていくんですけれども、そうでないところにこれから進出していこうといった場合に、これは漫画に限らずアニメーションなんかもそうですし、ゲームなんかもそうですけれども、やはり日本語が結構障壁になっている部分を、コスト的に解消しなきゃいけない、ここを何らかの産業施策的な支援をしていただくことがよりコンテンツを外に出していく上で、スムーズに先へつながるのかなというふうに思うんですね。
 ところが音楽の場合には割と、音楽というかパフォーミングアーツの場合には比較的問題にならないんですけれども、文芸は特に相当つらいものがあります。もう一つ規制撤廃と海賊版をつぶして正常化していく中で、コンテンツが出やすくなるというような循環が必要なのではないかなというふうには思っているので、もう一つ何か産業施策が欲しい印象がありました。

○中村会長
 翻訳支援は幾つかの項目の中に盛り込まれている部分はあるんですけれども、もっと、位置づけ、意味をクローズアップさせるという意味ですかね。他にいかがでしょうか。

○川上委員
 7ページの施策例のクラウド型配信の促進ということに関してなんですが、クラウド型配信ということでいうと、最近、まねきTVの最高裁での判決がありますけれども、あれでネットの中でも指摘されているんですが、あの判例をそのまま適用すると、例えばドロップボックスですとか、ファイルをデータで共有するクラウド型サービスのかなり部分というのが日本では違法になってしまうというのは、これはかなり大きな問題だと思うんですけれども、これについて、どういうようなことを国としては考えているのかということを、僕はぜひお聞きしたい。
 特にこれに関しては、僕は正直、放送局側のメリットというのも、よくわからないと思うんですね。とりあえず、ネットにおいて放送局のビジネスに近づいたら殺すという、そういう意思は感じるんですけれども、多分正しいものとは思えないので、この判例がそのまま適用されると、これは日本のクラウド型サービスにとって非常に危険だと思いますので、これについてどういった意見を皆さんお持ちなのか。

○中村会長
 これ、先に委員の方々でも何かコメントがあれば、お聞きしておきましょう。いかがですか。

○杉山委員
 同じことを感じていて、例えば僕、ずっとレコードとかCDをかなり集めてきて、これからの生活者の雰囲気というのは、自分の資産を全部、手前のパソコンとか家のパソコンに入れていると危険だから、クラウドサービスが出てくると全部上げちゃうんですね。それで上がったものをスマホで世界のどこからでも自分のスマホでとると、今の判例どおり読むとそれ自体がやっちゃいけないことになっているんです。公衆送信ってやっているじゃないという感じなんですね。そうすると、インターネットのそういうサービスをやっている事業者が罰せられるということだし、こうやっている行為も何か、日本国ではやっちゃいけないことをやっているのか、あれは不満です。それで今はみんな、それはないよねというのを最高裁が出しちゃったというのはがっかりだよねと。
 ベンチャーも、1990年代ぐらいは、灰色のところは全部やろうという感じだったんですけれども、今はもうコンプライアンスをすごく頑張っているので、そのとおり読むと、法務が絶対うんと言わないです。それでみんなやらない。その間に、FROとかがばんばん来ていて、海外にサーバーがある場合はしようがないねという話になると、そういう事業は全部アメリカにやられちゃう。日本国には事業が成立しないという感じになっちゃいますよね。だから短期に著作権制度、7ページに上に書いてあること、短期に課題を整理しというの、これは緊急なんだと思うんですよね。

○芝田次長
 ご指摘ありがとうございます。まさしく我々も同じ問題意識を持っていて、本当に早急に取り組むべき課題だと思っています。今、言及していただきました最高裁の判決もあったので、間接侵害の問題で、これは文化庁のほうで委員会をつくって議論していたんですけれども、最高裁の判決を少し待ってみようということで少し議論をとめていた経緯があります。その判決もいよいよ出ましたので、そういう間接侵害の問題も含めて、あるいはこれにクラウド型コンピューティングの課題も含めて、早急に検討を開始して、課題を整理して、必要な対応をするということで、この項目を書き込んでございます。
 ここで、政府としてどう考えるかと言われても、なかなか正解はなくて、むしろ中山先生に聞いたほうがいいかもしれませんけれども、政府としてはこれから検討をするという状況でございますので、ご理解いただければありがたいと思います。

○中村会長
 どうぞ、お願いします。

○中山本部員
 最高裁の判決については、どう読むかはまだ確定していないと思います。今回の判決が、クラウドまで含むような、そういう広い範囲のことを言っていると解するのか、あるいは放送についての解釈と考えるのか、これからの問題でしょう。これからの判例とか、あるいは学説によって、私はかなり射程は短くなるのではないかと思っています。
 それはそれで別といたしまして、今話がございました著作権法の間接侵害、この件を早く整理してほしいと私も思います。

○中村会長
 先ほどの川上委員のご指摘というのは、そうした判決が出て、例えば不特定多数のサービスに加入したら公衆送信になっちゃうよというのが出て、ビジネス側がシュリンクしてしまうという問題ですね。

○川上委員
 実際は送信サービスじゃないんですね。あれは個人がやっているサービスなのにもかかわらず、インターネットにつながっている不特定サービスというふうに認定されてしまうので、それの解釈が危険だということです。シュリとかニロードとか、ああいうものが不特定サービスになるのはわかるんですよ。ですが、例えば個人がインターネットにストレージとして使う場合でも、あの場合では公衆送信になってしまうというところが、クラウド型サービスをやる上では致命的な問題になる可能性があるということです。

○中村会長
 つまり、今、日本版フェアユースで議論されてきたのは、日本ではそういったことが難しくなるのであれば、検索サービスは日本ではできないですよねということで、何とかしましょうというのが、今度はクラウドのほうで同じようなことになるというふうに解されていると。そういう空気が広がっているということですね。ここで、政府、司法と行政の考え方に違っていても別に構わないと思うんですけれども、ここで、政府がこれをするということを短期で決められなくても、あるいは間接侵害のところをこうするという結論は出せなくても、この場では何らかのそういう、それはまずいというメッセージを出さなくてはいけないということなんですかね。
 であれば、そのあたりの。

○杉山委員
 それは判例とか、それからもちろん法学をやっている人の解釈をきちっとやるというのはいいんだけれども、だれかがやっぱり、そうするといけにえにならなきゃいけない。これをやった人が争わなきゃいけない、民間の人が。そうするとかわいそうだなと。

○中山本部員
 最高裁の判決がおかしければ法改正すればいいのです。その意味で、さっきの間接侵害で改正をすれば、それはそれでいいんです。

○杉山委員
 だから、どうしたら法改正ができるんだろうというふうに思って、今日来たんですけれども。

○芝田次長
 まさしくその点、法改正の必要性を含めて、早急に検討を開始したいというのがここのメッセージでございます。

○久夛良木委員
 今のに少し補足すると、「まねきTV」の技術やコンセプトの発端は、元いた会社から出たものなんですよね。ちょっと話が混乱しているか、混同されているようですが、特定の個人が自らの機器を介して、違う場所にある自らのスマートホフォンやパソコンやテレビ等に向かって送信するわけですから、これは私的な「通信」であって「放送」には当らない。対して、1:N。不特定多数のところに配信するのが「放送」であって、これは現行法でいかんと言っているのであって、「まねきTV」自体がいけないと言われているわけじゃないんですよね。あくまでも1対1の「通信」であり、それらの機器やファイルをどこかの倉庫やクラウドに預けているだけだと。
 ただ、それをYouTube、例えば YouTube だけではないかもしれないけれども、広く再配信してしまうと不特定多数の人が見てしまう。これについて、やはり何でも自由だということではないと思うので、ここについては、明確なユーセイジルールを決めないと、今はそれがどんどんユーザーにとって楽しいメディアになってきているので、放置されたままになっている。
 これが比較的新しいコンテンツであれば、例えばNHKオンデマンドも含め、有料であるとか月々幾らか支払う事で自由に楽しむ事ができる。これはこれで嬉しいんですが、今、YouTubeで、例えば私も含めて楽しんでいるコンテンツの中には、30年前とか40年前の懐かしの番組であるとか、もしくはこの2人は最近デュエットしたことがない、というようなものが載っているわけで、一様にノイズだらけで、例えばご自宅のVTRのテープから自分で一生懸命デジタル化してネットに載せているわけですよ。でも、そういったものを観るのがとても楽しい。
 ところがこれを、放送業者が30年前、40年前のコンテンツを含めて商業ベースに載せられるかということは、もう経済的にも権利処理的にもほとんど不能であるのでは?という一方で、ユーザーは、それらを違法かも知れないネット動画で自由に楽しんでいる。特許にしろ、著作権にしろ、要は特許だと出願から20年、著作権だと著作者の死後数十年経過するとイクスパイアしますよね。何かしら、そういった新たなユーセイジルールが決まらない限り放置されて、そのままずっと進んでしまうのか、それとも国際的なルールづくりが創られるべきなのかということを、やっぱり中期的な課題として議論しなくちゃいけないと思います。
 まさにこの間の最高裁の判例は「もし何か問題や不備があるんだったら新たに立法して下さい」という結論だったわけですが、私の解釈では、個人用途の「まねきTV」自体は公衆放送ではないので今さら立法の必要もないというふうに、私は個人で思っているんです。ただ、それをどこか商業ベースとしたり、ニコニコ動画みたいなオープンなサイトに上げて、それを使ってみんながパロディを創って多数のユーザーに再配信するというわけには現行法では自動的にはいかないのではないかと思う。そこには何かしらの意識合わせというものがどこかであるといいのかな、というふうに思います。何とか立法したとしても、争いが最高裁まで行くにはすごい時間がかかって、結局、ユーザーの意識改革もビジネスとしても勝負ありということになってしまいかねない、というふうに思います。

○角川委員
 今非常におもしろい、おもしろいというか、検討に値すべき最高裁判決が出たんだと思うんですね。僕たち、こうやって、知財で著作権法に問題があるなと、現行の著作権法ですね、これはもう先ほどから出ているグローバル化、デジタル時代、ネットワーク時代が来る前につくった著作権法ですから、これは当然なんだと思うんですね。そういうときに、何か各論で一つずつ問題が起こると、これは著作権法を改正しようと言っていること自身に、応急手当ばかりしているわけです。その応急手当がだんだん、つじつまが合わなくなってきているということをみんな感じているんだと思うんですね。
 それで、文化庁も非常に頑張ってくれていて、僕たちが知財で「フェアユース」というのを同時に入れようということを言って、今回も実現しようとして頑張ってくれて、法案の提出まで来ているわけですけれども、やっぱりそろそろ、こういうクラウド時代の著作権法はどうあるべきかということを、何かこの知財で方向性を出してあげる。その中で今のお話が、方向づけを示してあげることで、これはしてもいいけれども、これはしちゃいけないんだなということを考えられるようにしたい。
 恐らく、司法の人たちもその方向づけを見れば、とんでもない判決が出るということはなくなるんじゃないかなと思うんです。そういう面で、ぜひこの場で、知財でちょっと踏み込まなきゃいけないかもしれませんけれども、クラウド時代の著作権法はどうあるべきかという方向づけを出していただけるようにお願いしたい。

○別所委員
 遅れてきてすみません。僕も全く同感で、これで一つ一つ細分化したことを後追いしながら法律が追いかけるということは非常に難しい作業だというふうに思いますし、もっと大胆に、逆にこれは利害関係者とか既得権者がいると思うんですけれども、3年とか2年とか、ある期間は、むしろ著作権が侵害されているようなものでも、逆に侵害された人に対しの何か利益補てんをするようなことをとりまして、むしろアントレプレナーとか、アイデアのある者が、そういうことをシュリンクして日本の国ではできないと思わないような、何か大胆な期間を設けるということにしない限りは、判例が出ました、この部分に関してはこう、じゃ、こういうことだったらどうなんだろう、おっかなびっくりできないというのでは、全く成長戦略に属したというか、準じた組み立てに、このクラウド型にしても、クラウドコンピューターもそうですし、アーカイブもそうですし、人材育成も、大胆な提案にはならないような気がいたします。

○中山本部員
 恐らく今のご発言は、著作権法にフェアユースの規定をつくるということで、かなり解決をすると思っております。
 しかしながら、この達成度の43番を見ると、権利制限の一般規定、これはフェアユースのことですけれども、○になっている。もうやりましたと、なっている。確かに報告書は出ましたし、次の国会には、国会がどうなるかわかりませんけれども、うまくいけばフェアユースは提出されるはずなんですけれども、恐らくその条文は、つくってもつくらなくても余り変わらないような条文です。もっとはっきり言ってしまえば、裁判官が努力すれば何とかセーフにしてくれるような、そういうものはセーフですよというぐらいのフェアユースになってしまったわけです。もっとはっきり言うと、パロディとかクラウドは積み残し、つまりフェアユースでは考えないというフェアユースができているわけです。
 しかし、ここで○になっていますので、何かこれでもって、もう終わっちゃったような気分になるわけですけれども、もう少しこの辺を今の意見を踏まえて、厳しくやってほしいと思います。
 これは○とか△というのは、各省庁ではなくて、戦略本部の評価ですね。私はこのフェアユースは、むしろ△ではないかと思います。積み残しが余りにも多いという感じがいたします。

○中村会長
 ご指摘のように、著作権法は毎年のようにいじって、何とか今の時代に合うようにしよう、しようとしているわけですけれども、それとも意見調整の結果、答えが出てやっと法律になって、それでもまた問題が出てという、そこの繰り返しで、やってもやっても○がつかないんですよね。多分ずっと△のままということだろうと思いますが、先ほど別所さんがご指摘になったことは非常に重要な話だと私は思っておりまして、つまり、著作権法に関する問題を、著作権法とか制度で解決するだけじゃなくて、産業政策のようなものを投入していって、別の解決をしていきましょうよという提案をすべきじゃないかと。恐らく、そういったことを提案していけるのはこの場だろうと思いますので、そのようなご提案、大胆なことでも結構ですので出していただければと思います。
 どうぞ。

○近藤局長
 今、議論を聞いていて、一々ごもっともだと思うんです。確かに、さっきのまねきTVみたいなもので、自分が自分のものを見て何が悪いんだと、私もそう思います。ただ、そこのところと、これから著作権法の、著作権法という法律が、さっき角川さんもおっしゃったように、もともとそういうクラウドだとかインターネット社会を前提としない時代につくった法律だから、どうしてもそこは無理があるんですね。
 その中で、一つ一つ解決するのでは十分ではないのは百も承知ですが、どんな技術が出てくるかわからない状況で、前もって全部ルールをつくってしまうというのは、正直言ってなかなか難しいんです。
 フェアユースのところは、どうしても議論が両方あって、今のフェアユースの考え方をもっと広げたらいいんじゃないかという気持ちも、私もよくわかりますが、まだそこまで議論がまとまりきっていないと、こういう状況なようなものですから、だから、この43番のところを○にしたのは、今度、国会にこの法案を出そうと思っているわけですね。もちろんいろいろな意見があって、反対意見もたくさん、いろいろな意見をいただきました。ただ、政府としては今の時点でここまではいきましょうということでまとめたものですから、それを出すことは、今の時点でのお約束の範囲では○だった。ただ、これで全部終わったわけじゃないぞというので、その右側に、これを右側なり左側のほうに、今後も引き続きしっかりいろいろ検討してもらうというのも書いていこうと思いますし、もうちょっと今後の課題のところで、フェアユースなどについても引き続き議論するというようなことを書いて、これ以降の検討課題で、これで木槌をたたいて、イッツ・ソー・ディサイディッド、これで終わりというつもりはない項目であります。
 それからさっきの、ちょっとどこからどこまでの、先取りをしてやるというのは、気持ちはよくわかるし、それから何か補てんしてやったらいいじゃないかというのはわからないでもないんですけれども、現実問題で、ルールをつくろうと思うと多分できないですよね。だからちょっとここは、最高裁の判決も本当に、今、中山先生がおっしゃったように、よく読むと、絶対おかしいとも書いていないんですよね。だから、著作権法違反になる可能性もあるぐらいだと思うんですよね。なかなか、皆さん、判決を読みなれていないと、きっとよくわからないかもしれませんけれども、何かOBだかセーフだか、ようわからないところに杭を打たれたなと今思っていまして、若干私も面食らっているところでありますが、この問題は、こういう新しい時代に即応した著作権制度は、文科省に、著作権のところも決して逃げることなく、しっかり議論してくれよと、しかもすぐにやろうということで、こういう短期にして、あるいはそういう意見が多かったということを文科省とももちろん協議をしながら、今後の書きぶりをもうちょっと前向きにというのか、もう少しこういう方向で検討すべきだみたいなことで書くのは、もうちょっと検討いたしますが、なかなか歯切れが悪いというか、即答しきれない。そこはちょっとご理解をいただきたいと思うんです。
 現実問題、法律を出すときに、法律を出すというのはやはり相当大変なんです。法律の、これはどうしても、100対0にならないどころか、この著作権の話は、いつもどっちが勝っても、50.5対49.5ぐらいで勝負がつくんですね。ですから、なかなかそこは難しいことはちょっとご理解をいただきながら、時代がどんどん変わっていることもご理解いただきながら、我々ももうちょっとこれを書き込めないかというのを検討いたします。
 私は、さっきのまねきTVでしたか、あれをどうして捕まえなきゃいかんのか、私にはようわかりません。私もそう思います。ただ、あれがいいと言われた途端に、あと、どこまで波及するかが見えなくて、怖くて手を引いたんだと思うんですよね。多分そうじゃないかと思います。もう少しそこの、特にプロの間でもよく議論してもらって、どこまで書けるか、このクラウド型配信のあたりは非常に重要な項目ですから、皆さんのお知恵を借りながら、もう一段書き込めるかどうか、検討いたします。

○中村会長
 ありがとうございます。

○角川委員
 もう一つは知財でつくった法律で、コンテンツ促進法ってありますよね。著作権法の方向づけと一緒になって、コンテンツ促進法の見直しをして、あの法律を補強してみたらどうかなと。今、中村先生がおっしゃったように、産業政策としてのクラウド推進という点で言えば、著作権法にどこまで産業政策としての要素を盛り込むかというのは限界があるというのはよくわかりますので、コンテンツ促進法をもう一回見直しして、産業政策の部分を補ったらどうかと思うんですけれども。いかがでしょうか。

○近藤局長
 つい、こういう議論になると、私も役人なものですから現実的になりまして、法律の中には二通りあるんですよ。あっち向いて行くぞ、エイエイオーという法律と、それからここからここはOBラインでだめですよ、ここからここはワンペナルティーですよ、ここはボール動かしてもいいですよというルールをきちっと決める法律と両方あるんです。
 著作権法というのは、その前後を、ここからここはセーフ、ここからここはアウト、ここからここはちょっとどうするか、そのときに考えましょう、どっちが、権利侵害をした人とされた人とどっちが余計かわいそうかで決めましょうというのを割ときちっと決める現実の法律なんですね。
 コンテンツ振興法とか、よくある科学技術振興法とか、知財基本法というのは、知財は大事だから、これからどんどんこの知財を中心にやるぞと言っている法律では、ここのどこをセーフにして、どこにアウトにするかという裁判規範としての法にはなりにくいんですよね。だから,お気持ちはよくわかるんだけれども、現実問題として書くのは相当、僕は難しいと思いますね。だから、ちょっとどうしたらいいかというのは、やっぱり著作権法を変えるしかないような気が、私はします。
 もっといい知恵があれば考えますけれども、正直言って、何かありますかね。

○中山本部員
 著作権しかないと思いますね。最近はルールとスタンダードと言われまして、きちっとこれをやって良い、これをやってはいけないということを法律で決めるのがルールで、大まかな基準を決めるのはスタンダード。スタンダードにしておくと、要するに、決める人は裁判所になります。裁判所はそのときそのときの状況を見て、いいほうに決めることができるというのがスタンダード。そうしてこれはやっちゃいかん、これはやっていいときっちりきっちり決めるのはルール。
 さっきのフェアユースはまさに、ルールからスタンダードに持っていこうとするものです。そのときの状況に応じて裁判所が判断できるようにしようという改正のはずですけれども、43番の改正、現実の改正はそうなっていない。そういうことだろうと思っています。
 著作権は権利の範囲を決めますので、違う法律でそれをオーバールールするのはなかなか難しいのじゃないかと思います。

○杉山委員
 いずれにしろ、早い解決を望むのは、この参考資料2の1ページ目にデータセンターの国内立地という、こんな絵も出てきますけれども、やっぱりクラウドサービスの中で、本当にデータ量が要るのというのは映像なんですね。国内の、我々も、例えばテキストデータなんて、ほんの小ちゃなデータなんですよ。みんなはもうビデオの映像を出す、映像のデータどんと上げているから物すごくストレージの量が要るという状況で、テキストデータなんて、もうわずかな量なんですよね。だから、こういうのをやってくるということは、実はもうどんどんそういうもので利用するというので埋まっていくというのがデータセンターだと僕は思っているので、これを推し進める上でも、要するに利用という意味で、どういういわゆる映像データ、音声のついているものは何か自由に動くという場がないと、データセンターだけつくっても、何かがらがらだねみたいなものになっちゃうんじゃないかなということを心配しています。

○近藤局長
 この後、芝田次長に少し補足してもらいますが、これは我々のほうでもその問題意識を十分議論し、それから文化庁にもその趣旨を伝えて、文化庁サイドでも、このための検討を近々、今月中にも始めるような、来月か、ちょっとすみません、補足してくれますが、そういう検討もスタートさせます。そこに我々のこの調査会での議論もお話をしながら、そこで取りまとめていくし、それを加速させることを知財本部として政府全体で進めていくと、こんな格好になるんじゃないかなと、こんなふうに思います。
 文化庁が、どんなふうに検討するのかというタイミング等含めて、次長から説明させます。

○芝田次長
 いろいろホットな話題、ご意見いただいてありがとうございます。
 私、実は文化庁のほうも併任ということでやっておるんですけれども、これは中山先生もよくご存じのとおり、著作権法を改正しようとすると、もう権利者と利用者と、両方から物すごく意見が寄せられまして、その間を細い、本当に針の穴を通るようなところがございます。そういう意味での難しさがございますけれども、今、局長からもありましたように、文化庁の文化審議会のほうもまもなく、新しい期が立ち上がりますので、その中でできるだけ早く、この著作権問題、扱えるように取り組んでまいりたいというふうに思います。思いますので、ひとつその辺、ご理解いただければありがたいと思います。
 著作権分科会のほうでは、必ず権利者のほうからも、物すごく大きな声が出ますので、非常にその辺、苦渋の対応を迫られるという点も、ひとつご理解いただければありがたいと思います。

○中村会長
 ありがとうございました。この問題、我々としてはこの部分は非常に重大問題だという認識を外に出すということと、政府のほうでもしっかりやってくれということで指示を出す、この2点かと思います。また意見等ありましたら、事務局にもお寄せいただければと思いますが、この1.デジタル化・ネット化の部分で他の項目について、何かご指摘、意見などありませんでしょうか。
 他にもいろいろ重要な論点、施策ありまして。

○久夛良木委員
 ちょっと確認みたいなことで申しわけないんですが、例えば、物が流通していたときには関税であるとか、いろいろな国内法で我が国を水際体制で守るという手法があったと思います。著作権法もそれぞれの国の国内法だと思いますが、今、例えばフェアユースの概念が整備されていて、かつ、このデジタル・ネットワーク化促進・配信のインフラが十分整いつつある例えばアメリカ、そういうところにサーバーを持っていくということについては何ら規制はされていないわけですから、企業活動であれ、著作活動であれ、ネットで攻めようと思っている側は実は誰も困っていないんですね。それに対して、我が国が例えば自前のデータセンターをつくるであるとか、もしくは著作権法を漸次改正するという、もちろんご懸念は判るんですけれども、使う側が実質的に困っていないところで何でやるんだろうという疑問もわく。
 例えば、法人税が20%の国と40%の国があるようなもので、我が国が例えば40%、あるところは20%、あるところはフリーポートだというような場合と同じく、グローバルなデジタル・ネットワーク化が進んだときには、いとも簡単にさっと本社の法人登記の場所を変更してしまうのと同じく、コンテンツを置いておく物理的なサーバーの場所を、瞬間的に切りかえることができるわけですよね。そういったことに関して、コンテンツの促進やインキュベーションを通じて我が国の競争力を強化するという点において、速やかにトレンドをキャッチアップして、我が国としてそこを強化するという議論だとすると、我が国の著作権法をどうするかということだけじゃなくて、もっといろいろな視点の議論をしなくてはならないと思います。しかし、果たしてここがその場であるのかどうかということも含めて、つまり言いっ放しになってしまうかもしれないというか、アカウンタビリティーを果たしてどこがとるんだろう?ということに対して、ちょっとしたクエスチョンが湧いてしまうのも事実なんですね。
 例えば、今日委員のみ配布という事で会議後回収されるこの評価資料ですが、多くの項目に○がついていて、よく皆さんこれで○の自己評価をお付けになるなと思うのですけれども、例えば、この評価自体をネットで公開するというふうにされれば、どこかのグルメサイトと同じように、ある人は☆を3つも4つも付けるが、別の人は☆一つで、それぞれにその理由が書き込まれていると言うように、議論も進むと思うんですよ。だからなるべく早い段階で、もっと広く国民や企業の方々の感触を聞けるような状況にしたほうがいいかなという事と、先程の私の根幹的な質問「…実は誰も困っていないのでは?」という、ちょっとラジカルな言い方ですけれども、データセンターやクラウドシステムを日本に引いてくるという我が国としての大きな意義やメリットと、もしそうだとすると、その工程表というか、全体の計画イメージですね、それをこの全体のスキームの中にわかるように盛り込んでいただければいいかなというふうに思います。

○上田次長
 今のクラウド全体の問題ですけれども、今日の資料にも入れてありますように、IT本部のほうで、それについての振興の政策というのは進めているところであるんです。知財本部として、あるいはクラウドの問題全体というのを、なかなか取り上げるというところは、スコープ全部は入りきらないと思うんです。むしろ我々としては全体の問題意識というのは、例えば総論の中でいろいろ書かせていただいております。要するに、クラウドが全体、国・社会を変えていくので、そういう中で、我が国が社会構造を変革していかないと、むしろ取り残される側に回るんじゃなくて、社会変革をリードしていく側の国に回らないといけないんだと、そういう問題意識を政府全体には伝えて、もちろん世の中にも発信していきたいと思っております。
 一方では、知財事務局としては、やはりスコープとしては著作権とか、具体的なところをいかに具体的な工程のところにはめていくかという点に力を傾注していきたいというふうに考えております。

○近藤局長
 今、著作権法が変わらなくても日本で困らないとおっしゃったのは、私はそんなことはなくて、困ると思うんです。実際にデータセンターをどこに置くかというときに、わかりましたと、じゃ、全部アメリカに置きましょうと。アメリカに置いて、日本はもう著作権は昔のままで結構ですということにもならないし、それからやっぱり情報が集まるところに人に集まるし、金も集まるし、力が集まるものですから、今、これから少子高齢化の中で、本当にアジアの国々をどうやって日本に向かせるか。日本のデータセンターを置いて、日本に情報が集まって、日本に人が集まってというハブにするかというのが、恐らく日本が生きていくための唯一の方法なんですね。その時に遅れるわけにはいかないので、これは著作権を含めて、ありとあらゆる改正をし、対応をしなきゃいかんと私は思います。
 どこからどこまでやれるかというのは、どうしても限界があって、本部もいっぱいいろいろなのがありますし、本当はそういうのも含めて、国家戦略室でやったらどうかというのが、多分、民主党政権ができたときの構想なんだと思いますけれども、現実問題は、一人で全部できる人なんかいないので、できないんですよね。やっぱりそこは、もうちょっと現実的になって考えると、我々が少なくとも、この知財関係のところでできそうなことは全部言い、それから自分たちが片づけられなくても、他の本部にこういう意見があったということも伝えて、それで対応してもらうと、そういうプラグマティックアプローチをしないと、なかなか決まらないと。恐らく久夛良木さんはよくわかっている上でシニカルにおっしゃったんだと思うんだけれども、そう思いながらではあります。

○久夛良木委員
 ここに書いてある資料2-2は、全部読ませていただくと、すばらしくよくまとまっていて、よくここまで、いろいろなものが簡潔な言葉でまとまったなと思って、これがそのまま実行されれば何の問題もない。今、近藤局長がおっしゃったことも、ちゃんと盛り込まれてあるはずなので、それらが実際に動いていく仕組み作りが大事ですね。
 もしくは動き始める前に、しっかりと我が国が行きたい目標を共有しないといけない。さっき誰も困らないとラジカルな言い方をしたのは、今ネットワークの先端サービスを楽しんでいるユーザーと、そこをグローバルに攻めようという人たちは目先困っていないという意味だったので、どこを主語に置くかということになると思います。

○別所委員
 今、局長からもハブという言葉が出たんで、まさしく僕もそういうことを言いたかったんですが、前回も申し上げたんですけれども、このうたい上げる前提の中に、もうちょっとデジタル・ネットワークの国際的なハブになるという言葉があると良いと思います。もし私が読み落としていたら大変申しわけないんですが。
 何が言いたいかというと、前回も言った、日本をセールスするという、海外に向けての話と、既存のものをどういうふうに交通整理を、デジタル社会の中でしていくかという、著作権の法改正の問題と別に、どう迎え入れるかということが、もうちょっと明快に、大前提の中にハブという言葉を使ったり、集約していく場所に日本が、情報化社会で世界のトップランナーにこれからだんだんとなるということがうたわれてほしいなという願いと、具体的に最初の部分を見ますと、それが日本の中で世界を呼び込むということが読み取れるのは、私の読解力の問題かもしれないんですが、5ページ目の漢字文化圏である中国と韓国を含めた、韓国と連携して最終フォーマットをつくると、日本がリーダーになる、それから6ページ目にある、アジアを初めとしたアーカイブとのネットワーク化の連携も推進するという、上のほうにあるんですが、こういった言葉の中にエッセンスとして凝縮されているのかもしれないんですが、もっとインバウンドというか、当然クラウド型のコンピューターを世界のために大きくつくるというということだと思いますが、鎖国のように、日本の業者のために、業種業態のためではないでしょうから、世界に門戸を開くということであるのであれば、そういう受け入れる、迎え入れる、インバウンドであるというような情報が、もう少し前面に出た、とかく日本をどう世界に売るかとか、日本の国内のデジタル化における諸問題をどう解決するかということが成長戦略的な側面から見ると、前向きにとれないところがある部分がありますので、数回前にあったオールデジタルをもっと全面に出した表現になっていただけたらなと思いました。

○中村会長
 全体の総論の1ページ目、2ページ目ぐらいの情勢認識のところと、それから今の1.の情報認識、四角のところに今のような趣旨が色濃く反映できればと思いますが、同時に2.のクールジャパンのところにも深くかかわってくる話だろうと思いますので、ちょっとそれ、この次のところでも議論させていただければと思います。
 1.のデジタル・ネットのところなんですけれども、他にも結構、思い切って書き込まれているところもありまして、例えば、5ページのNHKのネット配信を独立採算制要件の緩和みたいな話も、実現しようとするとかなりの調整、あるいは政治的な調整も必要になってくるかもしれませんし、その次の漫画、アニメ、映画などの各アーカイブのネットワーク化、これはポップカルチャーのアーカイブ列島に日本はなりますという、日本の本場力を発揮しますというような話で、これも施策としては大きいのだろうと思います。
 他にもいろいろと、この1.のところでも議論をしておくべきことがあろうかと思いますが、他よろしいでしょうか。
 どうぞ。

○久夛良木委員
 先ほど、ハブという、非常にいいキーワードだと思うんですが、例えば韓国の仁川国際空港が今大きなハブになっている、シンガポール空港も重要なハブになっている。どうも日本が、例えば成田がハブになりきれないとか、ちょっと具体的な事例よりも、何で多くの飛行機がそこに集まるかというと、空港というのは、当然保税倉庫があるとか、イミグレーションがあるとか、その国扱いではないわけですよね。要するに、パススルーできるがゆえに世界中の人たちが集まって、更にそこからいろいろな所に再び飛び立っていく。
 クラウドもやっぱり同じようなことで、あとの資料の他のところにも書いてあるんですが、もしどこかの拠点にクラウドシステムを、オペレーションを含めて置くとしたら、それは言ってみれば、今言ったような多くのものが離散集合する場所なのであって、そこから世界中に情報やサービスが飛んでいくんだというふうに考えると、クラウドそのものが国内のためだけを見ているだけじゃなくて、例えば特区ということかもしれないですが、もっと外に攻める言葉が欲しいと思うんですよ。
 今日の資料の1番の「デジタル・ネットワーク社会の先端を切り拓く国になる」というのであれば、まさにそこのところをもっとこの文章の中に入れられたほうがいいと思いますね。「情勢認識」の項目にはそのところが入っているんですが、それが成果イメージというところにまだ十分に盛り込まれていない気がするので、ぜひよろしくお願いします。

○中村会長
 ありがとうございます。では、ハブ、国際というような話にもなってきましたんで、2.クールジャパン推進のところにお目通しをいただいてご意見をいただければと思います。いかがでしょうか。
 どうぞ。

○川上委員
 この3つの骨子の中で、クールジャパンというのが一番、僕は内容が乏しいんじゃないかなと思っていて、この中で、具体的に戦略、これは戦略ということですから戦略というのにふさわしいものとしては、例えば、ACTAとかいうのを取組と、それとコンテンツ、各国のコンテンツ規制を緩和する、多分、この2点ぐらいは意味があるものだと思うんですけれども、それだけだなというふうに思います。
 それで、その他の部分でクールジャパンということなんですが、一番やっぱりクールジャパンというので、現状骨格になっているのというのは、ゲーム、アニメ、漫画だと思うんですけれども、これもそれぞれ、日本はどちらかというと世界市場から今負けつつあるわけで、それ以外のところで何をするかというと、結局クールジャパンというのは、中身をそのまま読みますと、観光を頑張りましょうというぐらいしか、中身がないと思うんですよね。
 その中で今、日本のコンテンツで何か起こっているのかというと、韓国ですとか、特に韓国ですよね、もともと日本の文化というものが世界、特にアジアとかで支持を集めているというような状況というのがずっと続いていたんですけれども、今はどちらかというと韓国がアジアのあこがれになりつつあるというのが大きな問題だと思います。それに関しての具体的な施策というのが僕は少ないなというふうに思っています。
 それで、ハブという言葉も先ほど出てきましたけれども、この日本の文化を世界に発信する努力というものをどういうふうにするのかというのをぜひ盛り込んでいただきたいというふうに思っています。具体的には、僕は、今までの中でも議論がありましたけれども、例えば日本のテレビ番組とかアニメなんかも含めて、だんだん海外で売れるものが減っている。例えばそれに対して、もっと補助金を出すべきだとか、もしくはそれでも買ってくれないんだったら、放送権を買ってしまえみたいな、そういうようなのも、過去のこういった場でも議論が出たように思うんですけれども、一番効率的な方法としては、ネットにおいて、インターネットにおいて日本がハブになるということだと思うんですよね。
 ジャパンエキスポというのを毎年やっていますけれども、去年ですと、これは以前もお話ししたと思うんですが、もともとジャパンエキスポで、外国のお客さんとかが注目している日本のコンテンツというのは、アニメなわけです。それはなぜかと言いますと、ヨーロッパの国でアニメが放映されているからです。ですから、向こうでコスプレをしている人たちというものもアニメのキャラクターのコスプレというのが非常に多いわけなんですけれども、去年のジャパンエキスポだと、その3分の1が、向こうでやるテレビ番組でなくて、インターネットを通じて知った日本のキャラクターなんですね。つまり、従来向こうで放送されることによって、例えばポケモンとかも、そういうものも向こうで放送されることによって日本の文化というのは広がってきたわけなんですけれども、今はネットを通じて日本の文化が広がっているという現実があるわけです。これを促進するようなところを盛り込めないかというふうに思います。
 特にこのあたりだと、これも以前言ったことですが、このインターネットというのは、ほぼアメリカを中心にスター型のネットワークコードがつくられているわけなんですけれども、アジアにインターネットを通じて、コンテンツを届ける上でも、実際にはアメリカ経由でトラフィックがいっているということが非常に多いです。これを日本を中心として、各国にネットでつながるというような状況をつくるというのが、僕はこれが何か著作権なんかと比べて関係するところが利害が関係するところが非常に少ないので、割合簡単に結論が出せて実現できる項目じゃないかというふうに思っていまして、この、インターネットですね、ACTAの中にネットでお互い強力につなげましょうみたいなものを盛り込むですとか、そういったことをぜひやっていただけると、このネットを通じた日本の、クールジャパンの文化の拡散というのがされますので、そういった観点もぜひ盛り込んでいただきたいと思います。

○吉羽委員
 先ほど海賊版撤廃のところで産業施策と言ったことを川上さんが別のわかりやすい言葉で言ってくれているんですけれども、今、例えばコミックの業界の中で、海外のポータルをつくろうという話をしていて、日本のコンテンツをショーケースとして、ただでもいいから、まずアメリカ、英語にして、英語で見せて、そこからビジネスに結びつけようというような話をやってはいるんですけれども、1年間の運営コストだけでもって、サーバーだ、運営管理だで、1億5,000万とか、2億円ぐらいかかっちゃうわけですよ。
 これも当初の翻訳ぐらいは身銭を切って自腹でやればということなんですけれども、これ、続かないんですよね。日本で出てくる漫画の総量に近いものを英語化しようといったって、1ページ当たり何百円でも物すごい金額になっていってしまう。これを先ほどの川上さんの話の、多分フランスでアニメを見ている人というのは、ネットで見ている、みんな海賊版を見ていて、海賊版のおかげで広がっているという事実はあるわけなんですけれども、彼らはボランタリーで翻訳をくっつけて上げてくれていて、上げてくれていてと変な言い方なんですけれども、それが結局いろいろなおもちゃの販売につながったりとか、日本を振り向かせるような効果があったりとかするわけですけれども、これは正規にしたいと思ったらば、とんでもないコストがかかって正規版でできない。正規版でできないので、海賊版業者を正規化するかとかいうようなことも一つはあるんだけれども、それだけではなかなか足りない部分はあって、権利処理の問題も含めて納得していただけない部分もあって、やはり日本側が資金を出しながら、きちんとした公式のコンテンツを無料でもいい、有料でもいい、どっちでもいいんですけれども、出していきたいと思うんだけれども、そこがなかなか大変な障壁になっているというのが民間ベースのところという意味で、と言いたかったんで、すごくよく説明していただいたと思います。

○川上委員
 そうですね。実際に今、日本のITベンチャーが世界に行けという人は多いんですけれども、実際に行ったって、もう勝てないわけですよ。だから僕、どちらかというと、今引きこもりがはやっていますけれども、日本はやっぱり国全体で引きこもるべきだと思っていまして、日本でビジネス。ネットがせっかくあるんだから、世界展開も日本でできる。
 実際、これはアメリカがやっているんですよ。アメリカはアメリカのサービスが世界中に広がるという構図をつくっちゃったんですよね。やっぱり日本もそういう状況をつくろうというのを国ぐるみでやるべきだというふうに思います。

○大多委員
 今の川上さん、吉羽さんの話にほとんど近いんですけれども、クールジャパンというと、非常にアニメ、必ず置きかえられてしまうんですけれども、当然、ドラマやバラエティーもあります。これまでずっと言われているように、韓国が何でこんなアジアを席巻しているんだと、これはよくドラマが言われますよね。
 じゃ、今の話をドラマに置きかえたときに、何で出ていかないんだという話が、これは皆さん、もう百年前から言われているあれですけれども、言ってみれば、向こうのテレビにかけたいんだけれども、著作権で邪魔して2年3回ぐらいしかかけられない。韓国のドラマは何回かけてもいいんですよ。それから放送回数が、これも百年前から言われていますけれども、日本のテレビはワンクール12回で終わっちゃうけれども、韓国や中国でかけたいなら24回だ、52回にしてくれというふうに言われているのに、それに対応できていない。これはこちらの問題もかなりあります。
 それはいろいろ変えていかなきゃいけないし、それに対応するようなことも我々、例えばテレビ局としてコンテンツをつくっていく立場としては、これを変えていかなきゃいけない部分も多々あると思うんですけれども、今、川上さんがおっしゃるように、テレビのこれからの海外戦略みたいなことを言うと、まだ本当にいろいろな国に売りに行っているんですよ。テレビの営業マンが。そしていろいろなところに行く。でも安い、逆ざやになってしまうぐらい安い。どうしようというふうになってしまうんですね。そこで何となく、もう一つ立ち止まってしまう。そしてさっき言った、いろいろな放送回数や著作権の問題で行けないうちに韓国の人たちが来て、みんな持っていってしまう。
 向こうは数がたくさんありますから、それでどんどんビジネスにしているんですけれども、僕は本当にこれを今読んでいて、このクールジャパン、グローバル展開の中の障害云々のところでいうと、本当にインターネットを使って、どうやってドラマやバラエティーという、テレビ局がつくる番組がそれは多いんですけれども、そういったものをどういうふうに世界に売り込めるかというのに関して言うと、僕ちょっと不勉強でどういう、吉羽さんが言うように有料とか無料のどういうサイトがいいかというのは、ちょっとわからないけれども、それはここのところに盛り込んで、本当に一刻も早くやったほうが僕はいいと思います。
 売り込むわけですから、権利者がどうだとか、テレビ局がどうだという以前に、いろいろな人に売り込んで、見てもらう。そこから先の話だと思うんで、そういうふうに考えます。

○杉山委員
 ゲーム、漫画、アニメが大事だという話なんですけれども、経産省でお願いしたいんだけれども、やっぱりアニメ産業がかなり悲惨なんですよね。本当に、労働環境からすべて。前に中山本部員からもご指摘があって、何か特区にしてあげたら税制とかいう話もあったと思うんですけれども、少しちょっと研究していただいて、もうちょっと何か産業政策で応援してあげないと、職人が途絶えちゃうと思うんですよ。本当にもうみんな高年齢になっているし、若い人は体を壊してみんなできなくなっちゃうぐらい、1本当たりの制作費というのが昔から変わらない中で、HDも対応してくれと言われて、それからハイビジョン用の動画を描く紙も大きくなるんですね。でも全然制作費は変わらないですから、どんどん悪くなる。そうすると、結局、質がいいものはできない。となれば、世界にも売れないということになるんですね。
 アニメの場合は、もちろんフランスもそうでしょうけれども、中東ですらインターネットでみんな見ているんですよ、日本のアニメを。イスラム教の人も。物すごく子供たちに大きい影響を、大変なものを与えているんですね。実際、外務省の出先機関で、ずっとアニメのことをやって、日本のアニメを紹介しますというんですけれども、すごく実感で伝えてくれる。いかに映像のアニメが世界中の若者に影響を与える。ここは重要なところだと思うんですよ、日本のパフォーマンスをずっと、22世紀までずっと見ていったときに。先ほど、数億円が苦しいですよね、確かに翻訳。でも数億円なんて、国のいろいろなことを考えたら、トンネル100メートル掘るのに何億円かかっているんだという話ですから、そこをもうちょっとバランスをとって、何億円かで波及する世界のほうが、何かトンネルを100メートル掘るのと一緒じゃないか。100メートルも掘れないかもしれないですね、それじゃ。だから、そこをバランスがいつも悪いなと思います。

○上田次長
 さっき川上委員がおっしゃった、韓国にどんどん、こういうクールジャパンと言っても負けていっているんじゃないかと。確かにそういう問題意識をもう少しはっきりさせたほうがいいかなというふうに思っています。
 特許とか、そういうところでは、この専門調査会のほうでも、特許のITハブに韓国がなるというようなところに対して、日本はどう考えていくんだというところを書いています。同じように、もう少しクールジャパンというのが、むしろどんどん厳しい状況にあり、韓国とか戦略的に動いているというところは、もう少し我々としてもどういうふうに盛り込めるか検討したいというふうに思っています。
 それからまさにインターネットを使って、ビジネス、クールジャパンが動いていくというところ、非常に大事な点だと思っていまして、総論のほうなんかでも、5ページの最後の最後のほうですけれども、グローバル・ネットワーク時代に即応したビジネスモデルを活用しながらやっていくというのは、まさにそういう気持ちなんですけれども、例えば、具体的にはクールジャパンで政府部内でも考えている中で、今までSNSなんかを活用するというのはなかったですけれども、そういうところも含めて、どんどん動いていこうというところで今検討しているところです。ですから、もう少しそういうところがあらわれるような表現というのを、クールジャパンアクションプランのほうでもそういうことを検討しているんですけれども、そういうところ、皆さんから見られたら随分遅いし、まだよちよち歩きかとおっしゃるのかもしれませんけれども、そういうところもぜひ、我々としても、どういうやり方が非常に大事であるというところをもう少し反映させていければというふうに考えています。
 それで、吉羽さんがおっしゃった、非常に民間のほうでも翻訳とか努力されていると。これは民間のほうでもきつい中でご努力されているというのも非常によくわかるんですけれども、一方で役所のほうの、例えば補助金とかいうのもやはり少し考えがあって、例えば本当のスタートアップのときのモデル事業であるとか、あるいは実証実験というような形で少し、みんな開始が、特に民間の動きがだんだん乗ってくるところを実証実験というような形でやっていくとか、そういうある意味で言えば、我々財政のほうを出すというところの、政策的に出すというところでは、やはりこちらのほうも一つの規範というのがあって、そういう中でできることというのをやっていくと。
 ですから、多分ここのクールジャパンに書いてあるところの中にできるだけ、そういうこともうまく役所のほうで知恵を出して、具体的にぴっとくるような施策を考えろというのが多分、専門調査会委員の皆さんのリクエストではないかと思いますけれども、我々としてはそういう財政として補助をするというところでできるところの範囲のところで、できるだけ効果的なことを考えていくというふうにしていきたいと思っています。

○吉羽委員
 補助金の話は、電子書籍絡みでいろいろ起きているので、実証実験ですけれども、よくわかっているんですけれども、国、お役所、いたし方ないだろうと思うんですけれども、戦略的な話で、5年10年どうしようという話をやっているときに単年度の予算で何とかという話だと、やっぱりちょっときついんですよね。
 それから例えば、このクールジャパンのところでもポツが幾つかあって、施策例としてあるんですけれども、とにかくいろいろなことが小刻みになっていて、何千万から1億円みたいな話で入札をしていっちゃうんですけれども、いや、ここのところはこれをまさに骨太でやっていこうよみたいな話のところに集約をしないと、それはさまざまな批判はあって、お役所としては嫌なのかもしれないんですけれども、そうしないと、結局細かいものがいっぱいあって、単年度ごとにやっていって、結果的に何だったのかよくわからないという状態になっちゃうんじゃないのかなということを申し上げたので、別に漫画にお金をくれれば、それはそれでいいんですけれども、そういうことを言いたいのではなくて、基本的に先ほどの海賊版の話に立ち返れば、ファンサブであるとかスキャンレーションということが日本の文化を広めているんだという事実、それを僕らは正規化できないまま、そこの上に乗っかっていていいんだろうか、日本はそれでいいんだろうかというところをきちんと考えないといけないんじゃないかなという意味なんですね。

○角川委員
 もう一つ、クールジャパンで政府がやらなきゃいけない仕事って、いっぱいあるんだと思うんですよ。第二次世界大戦で日本が、侵略国家としての結果が出たということで、韓国では今でもまだ日本国からの文化浸透は、日本の軍事の戦略と一致するみたいなことの言い方をして、テレビでゴールデンタイムに、ゴールデンアワーに上映されないわけですよね。そういうことに関して、実はまだ、僕は知財の委員を何度もやっていますけれども、政府が本当に動いて、各国にある規制、メディアの規制のというものを正面から言ったことはまだなかったと思います。ですから、韓国におけるメディア規制、中国におけるメディア規制、そういうものを一回洗っていただいて、外務省、大使館で調べたらすぐわかるわけですから、そこのところに対して、政府がはっきり発言していくということを、一回ぜひやってほしいと思いますね。
 今まではなし崩しなんですよね。言ってみると、衛星放送のスピードオーバーみたいなことが起こって、それで台湾やアジアで日本を好きな少年たちが生まれていく。今はまたインターネットによって、ニコニコ動画がアジアに流れて、そういうファンも生まれてくる。すべて、言ってみると、技術革新の余慶として日本の文化が流れているだけなんです。ですから、これは本当に正面から、外務省がこういうことについて動いたということは、今度はACTAが最初であって、その前にメディアの規制というものについて取り払うような働きかけをぜひやってもらいたいなというふうに思います。

○芝田次長
 ご指摘ありがとうございます。これは本当におっしゃるとおりで、我々も力を入れてやらなくちゃいけないと思っている分野です。
 実を言うと、今日ご説明いたしませんけれども、このA3の紙の中には、もう角川委員の立場からすると十分ではないかもしれないけれども、外務省からこういうことをやっていますという現状は一応レポートしてございます。しかし、それでは十分ではないのは我々も承知しておりますので、今回の15ページになりますけれども、クールジャパンの中でも改めて諸外国の規制の緩和・撤廃ということでうたい上げて、これはもう一段ステップアップしていきたいと思います。どうもご指摘ありがとうございます。

○中村会長
 ありがとうございます。先ほど杉山さんが、アニメの世界的な影響力がとても強いということをおっしゃいましたけれども、かつて、アニメだとかゲームなんていうものは、政府から見たら単なる規制対象だったんですけれども、それが今や、日本の宝だみたいに思われているというのは、つまりこういった場でそういった議論をしているというのは、そうしたコンテンツやキャラクターなるものの外部経済が大きいからですね。それそのものだけではビジネスとしては小さいかもしれないけれども、それらが国益に与える影響であるとか、イメージとか、国のブランドに与えるものがとても大きいから政策として取り上げるということになってきているんだと思いますけれども、じゃ、それを外に持っていくためのここでの施策としてどういうものがあるかというと、例えば、12ページのこれ、去年も随分議論しました、国際共同製作の支援拡充、文化庁の施策であるとか、外務省の国際協定の話であるとかいうのがここでもありますし、また、次の13ページにクールジャパンに関する国際放送の強化、これはおそらく外務省国際交流基金の支援措置、番組輸出支援措置の拡充みたいなことを考えてのことだと思いますが、これをインターネットの施策とか、それからソーシャルメディアの、先ほど話ありましたけれども、ソーシャルメディアをどうしていくのかといった施策というものが、ちょっと隠れている面かありますので、それらも前に出してくるということかと思います。そのあたり、川上さんがご指摘なさったことだろうと思いますので、アイデアありましたらお出しいただければと思います。

○川上委員
 あまりソーシャルネットワークという言葉を並べると、僕の言いたいことが正確に伝わっていないというふうに思いますので、もう一回説明させていただきたいんですが、必要なのはネットワーク、インターネットのインフラの整備です。国際的なインフラ整備です。具体的にどういうことかと言いますと、世界中でアニメがインターネットを通じて見られていますというんだったら今でも結構じゃないかと。何がいけないのかと言いますと、今見ているのは、例えば、YouTubeとか、その国、フランスとかだとデイリーモーションとかありますけれども、そういう向こうの海外のクラウドサービスで見られているんですよ。それは日本のテレビ局さんのサイトに外国からアクセスして見られているわけではありません。
 今、特にクラウドとかと言いますと、何か電気料金が高い、土地代が高いとかいう、何かすごくローカルな部分の競争力だけが問題になることが多いんですけれども、そうじゃなくて、例えば今、日本にクラウドのサービスがあったとしても、国際展開をしている会社はやっぱり海外でクラウドサービスをしようと思ったら、海外のクラウドサービスを使わざるを得ないんですよ。なぜかというと、日本と海外との回線が弱いから。そこの部分の回線を強化すれば、日本にクラウドを持っていながら、日本のクラウドのコストの問題はとりあえず置いておきましても、どうせ日本にみんなサーバーを持っているんですから、そのサーバーで世界中にサービスができるようなインフラをつくることができるということです。
 これは僕はかなり汎用的に重要な施策だと思いますので、単純に今、インターネット、海外との回線というのをかなりの容量というものを、もう国として費用を負担してつくっちゃえばいいわけです。ということです。僕が提言しているのはそういうことです。

○中村会長
 わかりました。
 それからもう一つ、この2.のところで重要だという指摘がありましたのが、これも川上さん、角川さんからの指摘があった15ページに当たるんですかね、諸外国の規制の緩和・撤廃、これも重要問題であり、政府の仕事、政治の仕事でもあろうかと思いますし、これは規制を開け、解けというだけでは、なかなか向こうは聞いてくれないかもしれなくて、向こうからの研修を受け入れるかと、国の知恵も働かせて広げていく必要が、パッケージの施策を構築していく必要があるかもしれません。他にこの2.のところでいかがでしょうか。

○角川委員
 これは一つの案として、かなりきつい意見になります。難しいかもしれませんが、 相互主義があると思うんですね。韓国のドラマが日本であれだけ大量に流れている。日本のドラマは向こうでは放映しちゃいけないというのであれば、一回、相互主義と言えば、韓国のテレビドラマは日本に入ってこないということになりますから、向こうも考えると思うんですね。そこら辺のこと、相互主義というのは、つまり、あなたを入れないよと言っているんじゃなくて、あなたも開放しなさいと。つまり、日本はオープンマーケットですよ、あなたのところもオープンマーケットにしなさいということですから、僕はそんなにきつい要件では、エキセントリックなことではないと思うんですけれども、一回それを表現していただくと、向こうも考えると思うんです。

○近藤局長
 お気持ちはよくわかります。お気持ちはよくわかりますけれども、日本は先進国なものですから、やっぱりそれは今さら、じゃ、韓国のテレビを規制しましょうというわけにもいかないので、粘り強く、韓国にも開放してよというのを言いたいと思いますし、ご承知のように歌は大分、韓国でもちょくちょく放送されるようにもなったし、それから昨日ですか、一昨日ですか、新聞に出ていましたけれども、韓国の何とか大臣がやるんだと。日本のテレビドラマも放送するんだということを言って、省のほうは反対だと言っていたというような記事が出ていましたけれども、ああいうのをやっぱり当然のこととして、もう今インターネットでみんな知っているわけですから、もっとこれを堂々とやりましょうよという話を引き続き、お気持ちを受けとめながら、しっかりやります。

○角川委員
 先進国とおっしゃいますけれども、本当に経済的には日本は中国に置いていかれたわけですし、余りそういう大人の対応というのは向こうに通じていないんですよね。そこら辺をもうちょっと、ぎらぎらしていいんじゃないでしょうか。

○久夛良木委員
 また話が、そっちの方向で盛り上がっているんですけれども、結局、今、インターネットがいろいろなものを変えていくよねという話になったじゃないですか。韓国の話も、いろいろな話がありながらも、多くの人々がケーブルTV経由であるとかネット経由で日本の番組を自由に見ているわけですから。ユーザーからすれば、インターネットをつないではいけないとか、例えばどこかの国みたいにある特定のサイトは塞ぐとかいうことはされていないわけですよ。
 今ここでの議論というのはいかに「クールジャパン」を売り込むかじゃないですか。クールジャパンをネット上に発信しようとする時に、我が国の国民がネットにつなぐこともできなければ配信することもできないことに全然なっていなくて、そのサーバーの場所がちょっと違うのは、川上委員がちょっと問題だとおっしゃるかもしれないけれども、発信しようと思う側と受けようと思う側は実は何も苦労していない。という中で、どうやってクールジャパンを今後我が国として押し出していくかと。その中の一つに、もし映像というコンテンツがあって、杉山委員がおっしゃるように情報量が多くてただでさえ重いとなれば、その重いがゆえに海外のサーバーで運用していては回線のバンド幅が狭いとか、もしくは十分なストレージ容量が得られないというのであれば、そしてそこに国際競争の中で我が国が勝てる領域を見出すとか、もしくは大いにやる意義があるというのであれば、それらを徹底的にやればいい。ただ、もっと効率のいい場所が他にあるんだったら、発信側も受け側も実は困らないということ。
 インターネットの特性というのは、場所ということを本来特定しなくて済むということが一つの特性なので、我が国の話をしているときは場所の話をしているのか、コンテンツ強化であるとかクールジャパンの話をしているのか、はっきり分けて話をしないと、多分袋小路に入っていってしまうような気がします。

○吉羽委員
 まねきTVの話に始まっているんで、ちょっとそれに関連するんですけれども、テレビのIPサイマル放送というのは、韓国などもやっているので、韓国ドラマフリークとかいうのは、日本で同時に向こうのドラマを見ていたりするわけですよね。日本のドラマはそうはいかないと。おまけに、例えばあちらだと広告も全部そのまま流れてくるわけで、ただ日本だと広告主さんがインターネットに流しちゃいかんとか、いろいろな話があって、規制の問題と絡んで、そのサイマル放送が何で進まないのか、僕よくわからないんですけれども、とにかく日本側にサーバーがあって、コンテンツが同時に出て、それを世界の人たちが見ているという環境をつくるというのは物すごく早いし、それこそそんなにお金もかからないし、重要なんじゃないかなと思うんですけれども、どうなんですか。

○久夛良木委員
 技術屋から言うと、サーバーの問題じゃないんですよね。サーバーは単なる倉庫ですから、基本的には、まさに立法の問題であって、それからメンタルな問題じゃないですかね。引きこもりと言いますか、この問題に関しては日本全部が引きこもっているかのようですが、実はある特定の一部の人たちが引きこもっているんですよ。
 ですから、そういう意味からすると、クラウドというものは今後全世界を覆って行く流れと思う。だからこそ、エジプトの民衆蜂起であるとか、いろいろなことがネットを介して起こったわけですから、本当にそこは我が国としては劣後しているわけではない。実際に物理的なクラウドがあろうとなかろうと、というふうに思います。

○杉山委員
 これから出てくることって、自分のすべてがクラウドに記録されているんですね。そのクラウドが他の国にあるというのは何となく気持ち悪いというのが、安全保障的に、国内になくなって蹴られてしまったときに、自分の生まれ育ったデータから何から、全部どこかの国の、行ったことのない山奥のどこかにあるファイルになっているんですよね。だからそれも含めて国民の安全保障とか考えたときに、何かせめて自分たちのデータぐらい国内にあったほうがいいかなというふうな感覚というのはないですか、皆さん。

○別所委員
 いや、もちろんそれもあるし、もっと推し進めて言うなら、アジアの全部の情報を日本が牛耳るぐらい、要するにクラウドコンピューターの、もし情報のリンパ節みたいなものがあるなら、そういうものを日本につくるというのが国家戦略であって、ごく一部に何かクラウドがどうとかああとかいうんではなくて、そういうことも国が予算を投じて戦略的にやる中に、クールジャパンも基本的な情報発信の場所が、もう本当に国防論だと思いますけれども、前回もそういう話をしましたが、そういう情報国防推進みたいなことと相まって、実際にやるべきなんじゃないかなと、本当、僕も思います。

○久夛良木委員
 どこか特定の会社を擁護するような言い方にはなりますが、仕切るということは絶対しちゃいけないし、しないというのを社是としている会社がたまたま今世界で一番大きいわけです。例えば我々の銀行の預金口座情報がサーバー上のどこにあるか、我々は知らないわけですよね。多分、みずほとかUFJとか我が国の銀行の中にあるだろうと思っているけれども、それは多分違っていて、どこかしっかりとした外部のサーバー上にあるんですよ。ある一種の精神的な抵抗感はあるかもしれないけれども、もっとも安全で、特定の権力や恣意に逆に仕切られない、どこの国の政府とか業界団体からも手を出させないというようなセキュアなものがあれば、世界中の人はそこに安心して、きっといろいろなものをお預けになるというふうに思います。
 ただ、そういう話と、アジアの文化とか我が国の文化という話は全然違う次元の話なので、だからそれを阻害していることがあるんだとすると、それらを阻害している要因を洗い出して、それらの点を改善していくということは絶対しなくちゃいけないし、もしそれが技術的な何かのイノベーションを必要とするならば、まさにそれをもっとみんなに見える化して、解決すべきはここだよねと明確に示す必要がある。そこに向かって、我が国が世界を引っ張っていけるんであれば、そこに集中的にいろいろな才能ですね、実はお金よりも補助金よりも「人」だと思いますが、優秀な人をとにかくアサインするということをやられたほうがいいというふうに思います。

○中村会長
 時間も迫ってきたんですけれども、3.人材育成も含め、全体について、コメントあれば、お願いします。
 どうぞ。

○川上委員
 人材交流なんですけれども、17ページの最後のページに高度教育機関間の国際交流を推進すると一文書いてあるんですが、別に高等機関のやつは、それはそれで適当にやっておいてもらったらいいと思うんですけれども、例えば英会話、インターネットを使っている人は、家庭教師は結構はやっているんですね。家庭教師というのは、実はスカイプを通じて家庭教師をやっています。先生はどこにいるかというと、フィリピンにいたりだとか、よその国に、アメリカにいる場合もあるんですけれども、いろいろな国にあるわけです。既にインターネットを通じたそういう草の根ベースの交流というのがすごく進んでいて、それを僕は促進していくというのは非常に重要じゃないかなというふうに思います。
 だから別に、国際交流が必要なのというのは、本当は僕はもっと中学校とか高校レベルぐらいでやるんだと思うんですけれども、例えば中学校、高校レベルとかでも、今ネットがせっかくそういうところにも引かれるのであれば、スカイプとかを通じた、今までもペンパルみたいなものもありましたけれども、もっとリアルタイムな国際交流というのができるんですよね。そういうふうに、いかにネットを通じて国際交流をもっと草の根ベース、もっと広く、高等な部分だけじゃなくて、やるようなのを推進していくところも必要なんじゃないというふうに思います。それが日本好きというのを世界に広げる、一番直接に効果がある戦略になるんじゃないかなと思います。

○中村会長
 他にいかがでしょうか。

○杉山委員
 昔インターネットを広めるころ、よく総務省さんとかで言ったんですが、小学校と小学校が、日本の小学校と海外の小学校を提携して、何か一緒に環境問題やって、テレビ会議でつなげたり、結構やりましたよね、パソコンを使ってね。そういうのが何か途絶えちゃっているから、そういうところにもずっとやってねみたいなものが出てもいいですよね。

○中村会長
 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

○大多委員
 いろいろ出ている中で、いわゆる映像コンテンツの制作強化みたいなところで、以前ファンドの話だとか、それからここも国際共同制作支援で文科省のほうで2億円という、つくる側からすると、かなり厳しいですね、2億円ってね。お金の問題はいいんですけれども、今度は制作するほうに対しての、ファンドの云々というのは書かれていないんですけれども、これは今回はないということですか。

○近藤局長
 いえ、やりますよ。ファンドのところは、今まさに最終段階になっていまして、どこまでどう整理できるかというのを今検討中であります。ただ、現実問題は、今もう最終コーナーに差しかかっていまして、3月末でできるかどうか必ずしもはっきりしていませんが、決して、ことしの夏になるとかいうことではなくて、近々にでき上がるという方向で今、最終的な調整をしてくれていますから、それが見えてきたところで、はっきりと印をつけて報告をするというつもりになっています。

○大多委員
 固まったら、どう使うかということに関して、本当に前、久夛良木さんがおっしゃっていましたけれども、総合プロデューサーというか、わかる方が、やっぱりきちんと具体的に立たないとばらばらな使い方になっちゃうし、余り効果的な使い方にならないと思いますので、その辺、よろしくお願いします。

○吉羽委員
 この辺、杉山先生も、中山先生もおっしゃっているんですが、16ページの情勢認識のところには、制作費の減少傾向を初めとして依然と厳しい状況にあるという分析はしているんですけれども、一足飛びに、だったら海外に行けばいいじゃんという分析になっちゃっているんですが、実は足元のところが、ちょっと大変なのをどうするという話が、さっきからも特区の話が話題に出ているんですが、そこがちょっと施策例としてはちょん切れちゃっているんですけれども、何かどうにかお考えいただけないでしょうか。

○奈良参事官
 実はこのあたり、アニメの製作工程の高度化だったりとかいうことでは、2010のときから幾つか支援しているものがあって、例えば、文化庁のほうで製作支援をするときに若手のクリエーターも入ってもらって、そこでOJTをしながら、それで一緒に若手のクリエーターを育てながら物をつくっていく、そういうようなこともやっていて、これはアニメ業界にかなり喜んでいただいているというふうに聞いておりますけれども、その辺、引き続き、そうした2010で書かれたことは更に強化して、やっていきたいというふうに思っておりますけれども、書きぶり等については、また工夫させていただきたいと思っております。

○中村会長
 2010で我々が出した施策が、そのまま走っていまして、それを評価していくということと、この2011での上書き部分というのをあわせ読んでいく必要があるんですけれども、今日冒頭でも話がありましたように、2010の施策の評価というのを、また改めてしっかりやらせていただきましょう。
 どうぞ。

○別所委員
 すみません、あわせもって読んだら出てくるかもしれないんですが、この最後の16ページ、17ページを見ていますと、資料2-2なんですけれども、この人材育成に関して、とかくつくる側、発信する側の話になっているんですが、メディアリテラシー的な見地で、受ける、受け手の人間、つまり小学校とか中学校とか、文科省になるのかもしれませんが、そういったところでこういった世界で読まれているコンテンツであるとか、その仕組みであるとか、流通であるとか、もっと言うなら、そこで動いている経済であるとかいうことを、自分の力で理解する未来の子供たちを育てるというようなことが、どこかに盛り込まれるのでしょうか。
 具体的に言うと、メディアリテラシー的な要素も、小中高に関して、これはまた違った分野での話になるんでしょうか。

○中村会長
 どうしましょうね、2010にはかなりそのあたりのことを盛り込んでいたんですけれども、今回もそれを、ここの認識のところなんかに頭出しするかどうかですね。

○別所委員
 つまりそれは、もう完結したというか、達成されたという。

○奈良参事官
 いえ、達成されたということではなくて、2010では、裾野を広げるという観点から学校にクリエーターを派遣するとか、それから学校外の活動ですね、ワークショップを促進する、こういった施策を盛り込んだところでありまして、これにつきましても引き続きやっていくということで、特段の変わりはございません。
 それに加えて、今回はこういった、いわゆるユーザーの創作を促進していくということを更に追加してやってはどうかということでございまして、引き続き。

○近藤局長
 入っております。書き方を考えます。

○中村会長
 例えば、子供たちの創作活動、ワークショップを年間35万人受けられるようにするなんていう目標を去年は出していまして、あした、あさってと私のところにも慶応で、そういう子供たちのワークショップのコレクションをやって、2日間で恐らく数万人集まると思うんですけれども、そういったことは施策としてやっていくことにはしていますので、それをことしの版にもあらわれるようにちょっとしていただくと。

○近藤局長
 ちょっと、もう一回だけ頭の整理をすると、今日書いて、今日皆さんに見ていただいている紙は、2010年度で新たに入れる項目を中心に書いているんです。それで今度、こういうことを新たに入れましょう、ないしはもっと深掘りしましょうというのが書いてあって、そのご提言をいただいて、それから競争力のご議論いただいて、それをまとめて、今度は知財本部の会合として決めるときには、2010までに決めたことを引き続きやる、2011で新しくこれをやる、2011で深掘りをしてこれをやるを、全部まとめて一つになるという頭の整理なので、去年決めて進んでいるやつは書いていないんですね、今日のこの資料2-2には書いていないので、というのが頭の整理なんです。
 ただ、今おっしゃったように、それを引き続きしっかりやらんといかんというのも確かなので、もうちょっと何かわかるようにそれを書いて、それから最終版にはもちろんそこを書き込むように考えます。

○別所委員
 ごめんなさい、時間もあるんでしょうけれども、私の提案としては、前々回、随分前だと思いますけれども、フランスの映画祭の話をしましたけれども、性描写とか暴力描写とか、前々回は東京都が漫画、アニメを規制したということも問題視されましたけれども、議題になった。そういうことに踏み込んだ映像を夏休みの課題にして議論するとか、今、多分、去年までやられたものというのは、文科省認定の映画を見て、文学的にどう見るかとか、そういう話だと思うんですけれども、もっとメディアとしての抗体反応をつける学習機能を子供に与えるということがない限りは、かなり今後こういったものがどんなに議論されても、それの受け手側が結局何か規制するとかいうルールをつくり、がんじがらめの世界になると思うので、むしろ開放して、個々人がそれを受けて抗体反応をつくるための施策が、更に深掘りという意味で盛り込まれるといいなと思っての発言でした。失礼しました。

○中村会長
 ありがとうございました。
 どうぞ。

○角川委員
 最後にちょっと、○×について、いや、○△についてのお話をしたいんですけれども。
 これを拝見すると、未達成はゼロとなっていますよね。それで△が22.7%、○が77.3%という、僕はこれは正直、やっぱり×はつけにくいんだなという感じがするんですよね。さっき中山先生からフェアユースの件についても○になっているけれども、実は△じゃないかという話もありましたけれども、例えば電子書籍の配信について、じゃ、僕たちこれで、何か1年間やってみたけれども、電子書籍がネットワークにつながって、本当にクラウドサービスになって、電子書籍ができるような環境になったかというと、これも全然○はつけられない状況なんですね。
 ですから、これはもう、事務局がつけたら○だったんだけれども、委員から見れば、×はつけにくいからせめて△だというふうになったと思うんですよ。ですから、結論的に言うと、全体に占める○の率が77.3%と、百点満点で言うと77.3点かなというと、ちょっと77点もつけにくいなというのが、委員側じゃないでしょうか。ですから、一つ言いたいのは、民間側にもつけさせてもらいたいなということですね。
 だから、事務局としては○をつけたんだけれども、委員としては実は○はついていないと。それからもう一つは、やっぱり逆に民から見ても、これはよく頑張ってくれたなと、◎をつけたいところもあるんですよね。だから百点満点制だったら77点かどうかはわからないけれども、◎はつけてもいいよというものもあるかもしれないので、何か結論的には◎をつける範囲を、それはなぜかというと、やっぱり僕たちからみると、そういう省庁の頑張りを評価してあげたいなと思わず思いたいものもありますよということを言いたいことと、それから民間側の、委員側の評価はもうちょっと厳しいですねということを、2つ申し上げたいと思います。

○近藤局長
 お気持ちはよくわかるし、それからちょっと×をつけたいなという気持ちがあったりするところも確かなんですが、これは2010の計画をつくったときに皆さんにも申し上げましたように、各年度に分けて、この年度にだれが何をする。いつまでにだれが何をするというのをはっきり決めた計画をつくったわけです。その中で、これこれについてデータを全部集めて、こういうことができますよというのを書いて、その時点で、例えば電子書籍を今年度中に片づけますという目標設定、もともとになっていないんですね。そういう意味で電子書籍はここまで行きますと言ったところでは合格ですよと、こういう形にしてあるんです。
 これは、こうしないと、各省はできるだけ目標を低くしか設定しなくなるんですね。この×をつける、×は今、今日の時点では暫定でありますから、×が幾つとか、○が幾つとか言わないようにしていたんですが、つい読まれてしまったのでばれてしまいましたが、まさに各省をかなり励ましながらやらないかんところもあるので若干甘いかもしれません。ただ、そこは少しご理解をいただきながら。それから去年つくった計画との比較で、本当にここまで行くと言ったところに来ているかどうかで判断をしていると。決して、そこで試合、○をつけたから試合が終わったわけじゃなくて、○がついたのは1次リーグを突破しますよと約束したやつは1次リーグは勝てば○ですよと。ただ、決勝リーグでベスト4まで行かないと勝ったことにならないよとおっしゃるのも、おっしゃるとおりなんですが、予選リーグ勝ったら、そこで一回○をやって、それからもう一回また、その後はその後で議論するというのにしないと、ちょっとなかなか、現実的にはやりにくいと、こんなこともご理解いただきたいと思います。

○角川委員
 そういうお話ですと、この評価の中で、10年度、11年度の、12年度、13年度、14年度とこういうふうに書いてありますよね。これ非常に僕はすばらしい資料だと思うんですが、これ評価のところでも同じふうにされて。

○近藤局長
 この○×をつけているのは、11年度に限って○×をつけていると。

○角川委員
 ええ、ですから、12年度までいくと、まだこの○をつけるのは早いなとかいうことですよね。今、途中経過、頑張っているから○にしているんですよと。

○近藤局長
 いえいえ、これは10年度に何をやる、11年度に何をやると、去年の計画でつくったわけですね。

○角川委員
 そうです。それでは一応11年度は。

○近藤局長
 だから2010年度で、例えばこの計画の中で、どれでもいいんですけれども、2010年度にはAをします、2011年度にはBをします、12年度、13年度でCをしますと書いてある。そうすると、10年度でAをしますということについて、できていれば○、できていなければ×という整理をしているんです。
 2010年度のところで、確かに決着までついていませんけれども、例えばこれこれ、ちょっと標準のところを開いてしまったので標準ですが、標準についての支援の必要について、10年度中に整理をして、それで11年度に支援を決めると書いてあると、10年度に支援の必要性について整理が終われば、それで○と。もちろんその支援ができたわけじゃないんだけれども。それで11年度に支援をやったら、11年度で○と、こういう整理をしようと思って書いているんです。

○角川委員
 ですから、その表も、上に年度をつけておいて、みんなが、委員がわかるようにしてもらいたい、そういう意味です。

○近藤局長
 なるほど、わかりました。ちょっとそこは、左側に書いてあるのは、どういう計画をつくったかで、2010年度の評価表なので、2010年度のところに限って○×をつけたんです。ですから、あるいは○×をつける欄を2010年度の横ぐらいに持ってきたほうがいいのかもしれませんが、そういう頭の整理をしてあります。
 今おっしゃったように、○なのか△なのかというのは、若干人によってとり方も違うし、事務局の中でも、実は1項目1項目、結構議論が割れるんです。各省とも割れるんです。ちょっと今、整理が終わらないので確定できないと、こんな状況でありますが、ちょっとご趣旨も踏まえて、もう少し議論させていただきます。

○上田次長
 今の角川委員おっしゃられたような、それぞれ各論、この表のご関心の項目、あられると思うんですね。先ほど、説明にも申し上げましたように、お問い合わせ、今日はちょっとこういう専門調査会、公開の場ですので、要回収とさせていただきますけれども、お手元に知財計画がおありだと思いますけれども、そういうところで自分が非常に関心がある幾つかの項目、これはどうなっているというお話については事務局にお問い合わせいただければ、これはこういう報告が上がってきています、これについてはこういう評価をとりあえずしながら、調整していますということを申し上げますので、またそれについてご感想もお聞かせいただければと思います。

○近藤局長
 全体、この事務局が○をつけているのはおかしいと言っていただいて、もちろん結構です。それで議論しますから。

○中村会長
 ありがとうございました。すみません、時間を超過してしまいました。今日はたくさん、本当に意見をいただきまして、ありがとうございました。次回、取りまとめということにされているんですけれども、取りまとまりますかどうか。更に議論を続けたいと思います。
 追加のご指摘がございましたら、後ほど事務局までお寄せいただければと思いますが、最後に今度、事務局長からお話をいただきます。

○近藤局長
 ありがとうございました。大分、今日は気候が暖かいせいか、私がいっぱいしゃべっていて暑くなったのかよくわかりませんが、汗をかきながらお話をしているところであります。本当に具体的な話にまで入ってご議論だて、心から感謝をいたします。
 私たちの腹づもりで、3月末には骨子を出すということで進んでおります。とにかく、3月末に一回締めるという腹でやっておりますので、本当に委員の先生方にはお忙しいところ恐縮ですが、もう一度、一踏ん張りご支援をいただいて、何とかまとめたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○中村会長
 それでは事務局から連絡事項をお願いします。

○奈良参事官
 次回は3月10日木曜日、15時からを予定しております。次回、骨子に盛り込むべき事項につきまして、議論を取りまとめをさせていただければと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○中村会長
 それでは閉会いたします。どうもありがとうございました。