コンテンツ強化専門調査会(第3回)議事録



  1. 日 時 : 平成22年12月8日(水)13:00〜15:00
  2. 場 所 : 知的財産戦略推進事務局会議室
  3. 出席者 :
    【委 員】
    中村会長、川上委員、久夛良木委員、佐藤委員、末吉委員、杉山委員、
    谷口委員、別所委員、吉羽委員、佐藤本部員、三尾本部員
    【事務局】
    近藤事務局長、上田次長、芝田次長、安藤参事官、奈良参事官、内藤企画官
    【担当府省】
    総務省情報流通行政局情報通信作品振興課 奈良課長
    総務省情報流通行政局情報通信作品振興課 吉田補佐
    文部科学省 生涯学習政策局 生涯学習推進課 塩原室長
    文部科学省 初等中等教育局 教育課程課 倉見学校教育官
    文部科学省 高等教育局 大学振興課 石川専門官
    文部科学省 高等教育局 国立大学法人支援課 羽鳥専門官
    文化庁文化部芸術文化課 山崎課長
    経済産業省商務情報政策局文化情報関連産業課 信谷課長


○中村会長
 では、時間がまいりましたので、ただいまからコンテンツ強化専門調査会第3回の会合になります。
 本日は、皆さんお忙しいところをお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。今日はコンテンツ分野の人材育成等に係る課題について議論をいたします。まず、知的財産推進計画2010の進捗状況について、担当府省からヒアリングを行いました上で、知財計画2011に向けた検討を進めていきたいと思いますので、活発なご議論をお願いいたします。
 本日は、大崎委員、角川委員、そして佐藤委員からご欠席の連絡をいただいております。また、知的財産戦略本部員から、佐藤本部員、三尾本部員にご出席をいただいています。そして、今日担当府省からは、総務省放送政策課奈良課長、総務省情報通信作品振興課吉田補佐、文部科学省生涯学習推進課塩原室長、文部科学省教育課程課倉見学校教育官、文部科学省大学振興課石川専門官、文部科学省国立大学法人支援課羽鳥専門官、文化庁芸術文化課山崎課長、経済産業省文化情報関連産業課信谷課長、それぞれご出席をいただいております。どうもありがとうございます。担当府省の方にも所管の枠を越えて後ほど自由にご発言、ご議論に参加していただければと思いますので、お願いいたします。
 では、まずコンテンツの人材育成施策の現状と課題について、事務局から説明をお願いいたします。

○奈良参事官
 それでは、ご説明をさせていただきます。
 まず、資料の確認をさせていただきたいと思います。議事次第の下からでございますけれども、まず、資料の1がコンテンツ分野の人材育成に係る課題についてという横長のものでございます。それから、次が資料1の参考ということで、知財計画2010の項目別の進捗状況を示したものでございます。それから、資料2が担当府省からいただいた説明資料でございます。これは後ほど適宜ヒアリングの際ご参照いただければと思います。それから、参考資料といたしまして、前回の専門調査会における主な意見ということで、海外展開について議論いただきましたけれども、その主な意見をまとめたものでございます。それから、参考資料2が本日の各府省の出席者でございます。それから、参考資料3が今後のスケジュールについてということでございますけれども、3月の骨子に向けて進めてまいりたいと思っておりますけれども、次回第4回につきましては12月20日月曜日ということで、三本柱の一つでありますデジタル化、ネットワーク化に関する議論を進めてまいる予定でございます。それから、最後、参考資料4でございますけれども、これはご紹介でございますけれども、知財本部、知的財産の重要性ということで、今週末からの予定でございますけれども、模倣品・海賊版撲滅キャンペーンというものがスタートする予定になってございます。ちょうどクリスマスシーズンで、ブランド品等を買う機会も増えるかと存じますけれども、模倣品・海賊版を買いますとそれがよからぬところにお金が流れたり、あるいは情報がよからぬところに流れたり、そういうことがあるわけでございます。そこで、「だから私は買わない」ということをキャッチフレーズに国民に普及啓発をしてまいりたいと考えているところでございます。本日ご出席の皆様方におかれましても、是非ご協力いただければありがたく存じます。資料につきましては以上でございます。
 それでは、本日ヒアリングに入ります前に、私からコンテンツ分野の人材育成に係る課題につきまして、概況をご説明させていただきたいと思っております。
 1枚めくっていただきますと目次がございまして、もう一枚めくっていただきまして、1.のコンテンツ分野の人材育成を取り巻く状況というところをご覧いただきたいと思います。これは従来から広くいわれているところではございますけれども、改めて申し上げたいと思います。下のグラフにありますとおり、広告費の減少あるいは制作費の減少、それから二次利用収入の減、こういったことを背景といたしまして、現場での制作機会が減少しておりまして、現場での人材育成が非常に難しくなっているという状況がございます。また、デジタル化、3D化等に伴いまして制作工程も高度化しておりますけれども、これらの進展に十分に対応できていないという現状もございます。また、従来我が国が強いとされていた分野におきましても各国から追い上げをくらっておりまして、このままいけば追いつかれ、追い抜き、追い越される可能性もあるという状況でございます。
 2ページ目にまいりまして、復習になりますけれども、知的財産推進計画2010における人材育成の部分でございます。知財計画2010につきましては、大きく三本柱、海外展開、それから人材育成、それからデジタル化、ネットワーク化への対応ということになっているわけでございますけれども、そのうちの2つ目といたしまして、海外からも優秀な人材が集まる魅力的な「本場」を形成するということで人材育成を掲げているところでございます。
 また、その中で大きく3つに分かれておりまして、1つは人材育成のためにやはり制作発表の機会を積極的に創出する必要があるだろうということ、それから、2点目といたしまして、海外からも人材を呼び込みながら海外に通用する人材を育てようではないかということでございます。特にコンテンツ版COEの形成ということで、優れた教育研究拠点の形成ということが盛り込まれておりまして、本日ヒアリングをさせていただくことになってございます。
 それから、最後でございますけれども、人材育成ということで、やはり裾野の拡大ということと、ユーザーの創造活動促進ということがございまして、そこに掲げられているような施策を盛り込んでいるところでございまして、特に今回は黄色の部分につきましてヒアリングをするということになってございます。
 なお、次回でございますけれども、デジタル化、ネットワーク化のヒアリングを含めた議論ということで、例えば電子書籍の関係でありますとか、あるいは著作権制度についてなどヒアリングをし、議論を進めてまいる予定でございます。
 3ページ目をご覧いただきたいと思いますけれども、特に本日ヒアリングを行う施策につきましての現状について簡単に記したものでございます。まず、12番のコンテンツ版COEの形成ということで、すぐれた教育研究拠点の形成ということでございますけれども、これにつきまして、大学における教育研究機能の充実を図るために必要な予算の確保に努める必要があるということ、また、文科省におきましてカリキュラムの作成を支援しているということがございますので、大学、専門学校、あるいは産業界が連携しつつ今後進めていく必要があるということでございます。また、経産省におきましても3D・CG等の人材育成の拠点を整備しているところでありまして、こうした取組をさらに進めていく必要があるというふうに考えてございます。
 それから、裾野を拡大するという観点で、17番クリエーターの学校訪問による創造活動の充実ということでございまして、これにつきましては、文部科学省におきましてクリエーター派遣数を拡充し、予算要求しているところでございまして、予算が確保されることが必要であると考えてございます。
 それから、創造活動の基盤といたしまして、我が国はコンテンツ資産を保存し、活用するという観点が重要かと思いますけれども、まず21番につきましては、コンテンツのアーカイブ化、デジタル化、ネットワーク化ということで、文化庁におきましてはメディア芸術祭受賞作品等のデジタルアーカイブ事業、あるいはフィルムセンターによる映画の収集というものが行われているところでございまして、これらにつきまして着実に進めていく必要があると考えております。
 また、様々な各機関でアーカイブ化を進めているわけでございますけれども、こういった機関の連携促進、あるいは調査研究ということを実施しているところでございますけれども、今後早期にその拠点あるいはコンソーシアムを構築していく必要があるというふうに認識をしているところでございます。
 また、22番、23番でございますけれども、これは放送番組の関係でございます。NHKまた民放の関係でございますが、NHKにつきまして、特に外部活用の面でまだ十分に進んでいないというような状況もございます。また、民放の番組につきましては、そもそもアーカイブ化自体がまだ進んでいないということでありますので、これにつきまして検討を進めていく必要があるのではないかというふうに考えているところでございます。これにつきまして後ほど各省からヒアリングをさせていただきたいと思っております。
 続きまして、4ページでございますけれども、知的財産2011に向けまして、今後のさらなる検討課題について先生方からご意見をいただきたいと思いますけれども、事務局で課題例ということで整理をさせていただいたものでございます。例えば、まず人材の高度化、あるいはさらに裾野の拡大をさらに図る方策ということでございますけれども、近年のデジタル化あるいは3D等の高度化ということに対応しまして、産業界それから大学、専門学校等との連携をさらに促進するための措置というものが考えられないかどうか。
 あるいは、同じく高度化に伴って現場を支援するような制作機会の創出というものが考えられないのかどうか。
 あるいは、裾野を広げるという観点で、デジタル教材を活用した創造的な活動促進というものができるのではないかというような観点などがあろうかというふうに考えております。
 それから、2点目といたしまして、国際的に通用する人材の育成という観点からは、やはり世界を見据えた総合的にプロデュースできる人材でありますとか、あるいは国際的にも対応できるような弁護士、こういった数がまだまだ足りないというふうにいわれておりますので、これらの打開のために何が必要なのかということなどについて、ご意見をいただければと思っております。
 それから、同じく国際的に通用する人材の育成という観点では、やはり人材育成のためにはそもそも国際連携をしつつ、人材育成を進めていく必要があるのではないかということで、海外との人材交流を推進するための仕組みなどが考えられないかという点でございます。それから、また様々な顕彰というものがあるわけではございますけれども、必ずしも若手あるいは国際的なステップアップにつながるような賞は少ないというところ、これにつきましてはどういうふうに強化したらいいかという点でございます。
 最後に、アーカイブの関係でございます。これは様々なコンテンツがあるわけでございますけれども、国としてどういうふうにかかわっていくべきか。どういう戦略にもっていくべきか。こういったところをどのように整理したからいいかという観点でございます。
 それから、やはり古いコンテンツにつきましては、どうしても処理にコスト、時間を要するというようなことでございますので、これにつきまして、どういった方策が考えられるのかということでございます。
 6ページにまいりまして、この他、事務局で関係者の方々からヒアリングをいたしまして、そのときに出た主な意見を参考に掲げてございます。例えば人材育成全般についていいますと、まず若手クリエーターの育成には、制作する場所と、それから表現する場所が必要であるという意見でありますとか、あるいは契約交渉力を持ったプロデューサーの育成が急務であるという意見、それからカジュアルに専門弁護士に相談できるような環境があればいいというような意見、それから(2)の大学等における教育におきましては、一つの大学のみで行うのは難しいということで、横の連携もつくりながら、全体としてやっていくべきではないかというご意見、あるいは小学校教育、特に図工の時間が重要だというような意見もございました。それから、最後アーカイブの関係でございますけれども、フィルムセンターで一部保存されているものの多くは劣化している状況があるということで、早急に対応すべきではないかというご意見、それからアーカイブが必要だという意見があっても結局何のためにやるのかがわからないとなかなか進まないということで、そこをきちんと整理するべきではないかというような意見などがございました。
 それから、7ページでございますけれども、これは以下参考でございますけれども、コンテンツ分野の主な人材施策につきまして整理をしたものでございますけれども、裾野の拡大からトップレベルの人材までの育成ということで、各府省におきましてそれぞれ手当てがなされているという状況でございます。裾野の拡大の観点、あるいは第一線でのクリエーター、そしてまた世界で活躍できるような、そういったクリエータープロデューサーの展開を支援しているという状況がございますけれども、まださらにどこが足りないのか、あるいはもっと強化すべき点はどこなのかということにつきましてなど意見をいただければ幸いでございます。
 それから、8ページにまいりまして、以下ヒアリングの内容にも関係することにつきまして若干触れさせていただきたいと思います。まず大学におけるコンテンツ関連の教育研究の事例ということでございまして、ここに掲げられた、例えば東京大学におきましては産学連携のプログラムを実施したところでありまして、今後国内のトップレベルの大学あるいは施設と連携を進めていくというような構想があるわけでございます。早稲田大学におきまして、東宝との連携のもと実践を通じた人材育成、それから明治大学におきましてはマンガあるいはポップカルチャーを中心とした研究、それから慶應大学におきまして、メディアデザイン研究科におきまして4つの分野をまたがったような人材を育成、それからデジタルコンテンツの総合的な研究あるいは国際流通を促進する研究を実施しているところでございます。
 また、立命館大学におきましては、松竹との連携のもと実践的なカリキュラムでありますとか、あるいはデジダル技術を活用した京都の文化の保存、ネット配信を行う研究、こういったことが実施されているというところでございます。また、日本大学におきましては芸術学部におきまして総合的な人材育成を実施して、多くの人材を輩出しているという状況がございます。
 それから、9ページにまいりまして、単科大学の例といたしまして、例えば東京藝大におきましては大学院で映像研究科が設置されておりまして、作品制作を中心とした授業が展開されている。あるいはデジタルハリウッド大学におきましては、総合的なクリエイティブ力を有する人材が育成されておりまして、コンテンツ分野だけではなくて、幅広い分野で活躍をしているという状況でございます。京都精華大学におきましては、マンガ、アニメを中心とした研究が行われている、そういう状況がございます。
 さらに、10ページにまいりまして、東京大学における取組の例ということでございますけれども、大学院におきまして、これまで産学連携の人材、そして学部横断的、工学部、教養学部、教育学部、こういったところを横断的な教育モデルの構築というものを進めてきたところでございまして、これを将来的には世界トップレベルの拠点との連携、あるいは国内トップレベルの拠点との連携を進めつつ、研究を進めていきたい、こういう構想があるとうかがっているところでございます。
 11ページ、12ページにつきましては、東京大学におけるこれまでの例ということで、これは2008年の例でございますけれども、このような取組をさらに発展させていきたいという構想だとうかがってございます。
 それから、13ページでございますけれども、アーカイブの関係でございます。書籍につきましては国立国会図書館で納本制度というのがございまして収集しておりますけれども、それ以外の分野につきましては様々な機関でそれぞれの取組で委ねられているというような状況でございます。これらにつきまして、機関間の連携を強化していくということが今後の課題として挙げられようかなというふうに思っております。
 それから、1枚めくっていただきますと14ページでございますけれども、特に放送番組のアーカイブの取組ということでございます。まずNHKの関係はNHKアーカイブスで年2万本程度保存をしているということで、一部インターネット上で番組を公開しているということでございます。
 それから、民放を中心とした番組でございますけれども、財団法人放送番組センターという、全国で唯一の民間団体でございますけれども、ここで年1,200本程度ということで、一部でございますけれども、保存をしているという状況がございます。残念ながらインターネット上での公開は行っていないということでございます。
 それから、参考といたしまして、フランスにおきましてはINAというところでアーカイブ化が進められているということで、フランスはかなり希少な例でございますけれども、法定納入制度というのがございまして、そこでアーカイブ化が進んでいるという状況だとうかがっております。
 それから、最後15ページでございますけれども、我が国におきますコンテンツの顕彰の例ということで、デジタル全般にわたる分野、あるいは映画、ゲーム、放送番組、アニメ、音楽、それぞれいろいろな賞があるところではございますけれども、知名度が必ずしも高くないものもある。あるいは、若手のステップアップにつながるような賞というのは必ずしも多くないのではないかというような指摘があったところでございます。  状況につきましては以上でございますけれども、後ほどヒアリングをしてご意見をいただきたいと思いますけれども、ここに掲げられた事項にかかわらず、広く先生方から人材育成のために何が必要かご意見をいただければ幸いでございます。
 以上です。

○中村会長
 今日は前回と同様に、前半戦ヒアリング、それから後半戦で知財計画2011へ向けての議論ということにさせていただければと思います。したがって、今の資料でいいますと、3ページ目がヒアリングの対象、それから4ページ、5ページ目が後半に皆さんで議論をしていただくという内容になっているかと思いますけれども、では、まずヒアリングを進めさせていただきたいと思います。これも前回と同様に項目ごとに区切って担当府省からご説明をいただいた後に質疑を行うという段取りで進めたいと思いますが、ヒアリング項目としては、この3ページ目にありますように、大きく分けて4つ、コンテンツ版COE、それから一流クリエーター学校訪問、コンテンツのアーカイブ化、それからNHK放送番組の活用等でございますが、いずれも人材育成という位置づけをしておりますが、大きく分けて大体前半と後半の2つに分かれるかと思います。前半が人材育成、教育に関するもの、後半がコンテンツのアーカイブ化とかネットワーク化といった、どちらかというとデジタル系の施策ということになります。こういう順にヒアリングをすることとされているのですけれども、出席者のスケジュールの都合上、知財計画の順番とは異なるのですが、アーカイブ関連の施策から先にヒアリングを進めたいと思います。まずは、工程表でいいますと21番、コンテンツのアーカイブ化及びデジタル化、ネットワーク化の推進についてご説明をお願いします。山崎課長からお願いできますでしょうか。

○山崎課長
 文化庁の芸術文化課長の山崎と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 文化庁におけますアーカイブでございますが、資料2の1ページです。表紙をめくっていただいたところからご説明を始めます。
 「メディア芸術デジタルアーカイブについて」という資料でございます。文化庁におきましては、メディア芸術、ここではマンガ、アニメーション、それからゲーム、そしてコンピューターなど、電子機器を利用した作品といったものについてメディア芸術と呼んでおります。それのデジタルアーカイブの事業でございますが、今年度の新規事業でございまして、まだ緒についたばかりでございます。今後具体的に進めていくわけでございますが、今年度の実施計画といたしましては、下半分に書いてございますように、まずはデジタルアーカイブを進めるに当たってのデータベースシステムの開発、これをしていきます。
 それから、作品の所在情報の収集、古い作品になりますと散逸したり数が少なくなって、まずどこに何があるのかといったことがわからなくなるということから、どこに何があるかという所在情報をまず収集しようということでございます。
 それから、メディアアートという分野がございますが、これはコンピューター等を利用した作品で、いわゆるコンテンポラリーアートに属するようなものも含まれまして、中には巨大なオブジェみたいなものもございまして、例えば展示が終わると壊されるというようなものもございます。そういったものについてはそのままデジタル化というのはなかなか難しいので、それを映像に撮って資料として保存するといったようなこと。また、過去の作品を復元といいますか、修復して再展示をするといったようなことをしております。
 メディア芸術でございますが、ご案内かと存じますが、昨年文化庁におきましてメディア芸術総合センターというものをつくろうということで昨年度の補正予算で計上しようとしていたわけでございますが、残念ながら政権交代の結果箱物はだめということになりましたが、現政権のもとにおきましても、このメディア芸術の重要性ということについてはご理解いただいておりまして、そのために箱物ではなく、各地に所在する、いわゆる拠点となるようなところをネットワーク化して、それらを有機的に連携させてコンソーシアムをつくっていこうといったような事業もあわせてやっております。つまり、箱物ではなく、ソフト・アンド・ヒューマンという観点からメディア芸術の振興を図っているわけでございます。
 それから、続きましてもう1枚めくっていただきまして、メディア芸術も法律上は広い概念で、映画も含みます。映画フィルムにつきましては、独立行政法人国立美術館というのがございますが、その一施設である東京国立近代美術館の、さらに分館的な位置づけとしましてフィルムセンターというのが東京の京橋にございます。ここで我が国の日本映画の保存をしておりまして、この中でフィルムのアーカイブも行っております。フィルムの収蔵庫は神奈川県の相模原にございますが、そこで過去の劇映画、記録映画、あるいはニュース映画等、そういったものを順次収集し、また古いものについてはフィルムの劣化がございますので、そうしたものを保存のために修復をする。あるいは、並行してそれをデジタル化するといったようなこともしております。また、京橋のフィルムセンターにおきましては、一般の方々に上映をしてご覧いただく機会も提供しておるところでございます。
フィルムセンターの所蔵作品の状況については3ページに資料がございますが、購入と、それからまた所有者の方からの寄贈によって順次フィルムを収集しているところでございます。
 簡単でございますが、以上でございます。

○中村会長
 今の説明について、質問、コメントなどありましたら、委員の皆さんからお願いします。いかがでしょうか。

○大多委員
 不勉強で知らなかったら申しわけないんですけれども、フィルムセンターのいろいろな特集上映をやりますね。そういう場合に、例えば小学生とか中学生とか、学校の、例えばクラス単位とか、学校単位で見せるような、そういうようなことというのはやっていらっしゃるのでしょうか。あくまでも基本的にお金を取って大人の方が見るというシステムだけでしたか。

○山崎課長
 もちろん小学生も見られますが、フィルムセンターの、手元に今日資料を持ってこなかったんですが、学校で団体でということでございましょうか。

○大多委員
 そうです。いわゆる学校が授業の一環としてフィルムセンターで、例えば50人ぐらいで見に行くとか、この映画はすばらしいから先生が見せにいくとか、例えばそれをただで見せるみたいなものというのはなかったですか。

○山崎課長
 キャパシティの問題があるので、すみません、今日は資料を持ってきていないので、正確なことはお答えできません。

○中村会長
 他にいかがでしょうか。

○別所委員
 全般的な、聞き逃したのかもしれないんですが、収集するという段階の優れた作品とか、映画取得にとって重要な作品という、この選定基準みたいなものというのは、どなたが、どういう形でお選びになっていくというような、アーカイブに関する一つのガイドラインというのがおありなのか。あるいは、それはまたディスクローズされて、どんな方がどうやっているというのは、おありだったら教えていただきたいんですけれども。

○山崎課長
 優れたといっておりますが、基本的には残っている映画すべてを対象としております。アーカイブについても計画を持っていまして、例えば戦後から昭和35年までに公開された劇映画が3,858本あるそうなんですが、そのうち残存が確認されたのが約50%の1,864本、それを8年間で購入するというような計画を立てたりしております。

○別所委員
 ということは、これは公開されるということが基準の映画、要するにいろいろなコンテンツ、メディア芸術デジタルアーカイブという、これから始まるものもそうなんですけれども、マンガやアニメ、ゲームというのは非常に裾野も広いですし、どんなふうにアーカイブを、データベースとしてそれをつくる上でもこのことが重要なのかなと思ったので。それから、集めたものを逆に、どなたかの委員で過去にもお話しがあったようなんですけれども、では、今後どう活用するかということの中に、商業ベースで使うというようなことを前提にできることなんでしょうか。つまり、そういうことがない限りマーケットで新しくそれを再利用、再活用することで商材として生かすというような、プロデューサーマインドをくすぐるようなことにアーカイブがつながるものになる前提なんでしょうか。質問の意図が伝わればいいんですけれども。

○山崎課長
 まず、東京国立近代美術館のフィルムセンターで保存の対象としているのは一般に公開された映画、劇映画とか記録映画とか、ニュース映画も含まれますが一般に公開されたものです。その前の資料のメディア芸術のアーカイブは、映画以外のゲームとか、アニメーションもアニメーション映画になりますと、これはフィルムセンターの保存でやっていきます。メディア芸術といった場合はアニメーションが実は両方に関係はしてくるんですが、映画についてはフィルムセンターでという括りでやっております。
 それから、公開といいますか、活用なんですが、基本的にはまずフィルムセンターはフィルムそのものを保存しようというのが、まず第一でございます。ただ、それは純粋に保存のための修理をして保存をするんですが、一方で、それを活用するとなる場合、フィルムを映写すると映写すること自体で傷みますので、並行してそれをデジタル化する。ですから、過去の作品をご覧になりたい人にはデジタル化したものでご覧いただくということで対応していきたい。過去の作品についても、先ほど言いましたように京橋のフィルムセンターで上映をしておりますが、先ほどおっしゃいました商業ベースでの活用となりますと、映画の著作権者との関係もございますので、その辺がクリアになれば利用は不可能ではないと思います。

○別所委員
 アーカイブに関しては、前々回も私アーカイブビジネスという言葉をあえて使ったと思いますが、これが行政的あるいは国家プロジェクトでいうならば、アーカイブプロジェクトという言葉に言いかえてもいいのでしょうが、やはりその先使えないのであれば倉庫にいろいろな山をつくっていくだけで、やはり僕たちが、これは提案ですけれども、ビジネス利用、商用利用するとか、二次利用して新しいコンテンツをつくるための材料にできるとか、そういうことへの道筋がないといけないような気がするので、提案としてですが、そういうことがくみ上がっていただけるとうれしいなと思っています。
 また、私自身はショートフィルムもかかわっている人間なので、未来系の短編映画、要するに画家でいうとデッサン画に当たるような、その人は有名にならなかったかもしれないけれども、画期的な技術をそこで表現しているとか、作品としては未熟ではあるが、新しい手法を用いていたとか、そういったものを何らかの形で体系立てたアーカイブにならないと、優秀であるとか、すべてというのが今後つくられるデジタルアーカイブにおいては、その選定の部分でも何らかのあいまいな形になってしまって、活用のないものになるのではないかなというふうに感じます。
 また、アーカイブも同時にヒエラルキーがあるというか、ブルーレイベルと優秀なものと、そういうふうにセグメント化して形がピラミッドのようにつくれないかなという感じもいたします。こういったところもご検討いただけたらなと思いました。

○近藤局長
 今、別所さんが聞いたのと多分同じような質問になるのかもしれないんですけれども、私がここで聞くのは申しわけないんですが、多分事務局の参事官レベルなどでは聞いてくれているんだと思いますが、デジタルアーカイブの議論をするときに、どうもホールピクチャーが見えないんです。今全体としてどう作品があって、その中の何を保存するのか。例えば別所さんがやっているショートショートフィルムフェスティバルに出た作品は本当にどうするのか。それは入るのか、入らないのか。あるいは別所さんのやっているぐらい大きなものではなくて、田辺市の弁慶田辺映画祭の映画はどうするのか。それが一体全体像がどうなっているのかよく見えないのと、それからここに、アーカイブに収録をされたら、今、おっしゃったのはルールづくりみたいなものは本当に何かないのか。例えば、そこに収録されたものについての利用は一定のルールでこうやって活用できますよとか、こうやって見られますとか、それから、著作権法上の、もちろん登場者全員の了解をとらなければいけないけれども、古い映画だったらここはデポジットをしておいたら何かできるとか。何かここのアーカイブに載ったことによるメリットみたいなものを明確化して、みんながこれに入れていくような仕組みをつくらないと、全体が多分回らないんだと思うんです。今のお話を聞いていても、メディア芸術デジタルアーカイブと聞いて、いいことをやっているんでしょうけれども、一つ一つの各論になった途端に、おれの作品はどこにあるんだというのがよくわからないんです。それをわかるようなホールピクチャーを示してもらえませんか。

○山崎課長
 説明が不十分で、先ほど説明し損ねたんですが、今年度新規事業で、まさしく緒についたばかりなんですが、こういった今年度の実施計画には書いてないんですが、いわゆる有識者の方に協力者となっていただいて、今局長がおっしゃったような、どういった作品をどのように活用していくのか。その保存の仕方、それから活用の仕方自体を議論していただく場も並行して今設けております。先ほど言いましたように、全体としてはコンソーシアムをつくろうと。コンソーシアムの中にアーカイブがあったり、ネットワークがあるというような絵を今描いているんですが、その中の一環として今後のアーカイブをどうしていくのかというのが、まさしく基準づくりも含めて考えていこうというふうな段階でございます。それから、活用ということは当然でございますので、どうしたら活用がしやすくなるのかといったようなこともあわせて検討していく必要があろうかと思います。
 ちなみに、このメディア芸術ということではないんですが、別の事業で、文化関係資料のアーカイブの調査研究というのも来年度要求しておりまして、現に既にやっているんですが、例えばコンテンツになる以前の放送脚本や放送台本、日本放送作家協会というところがございますが、そこが今足立区さんと提携して、放送脚本や放送台本のアーカイブの仕事にもう既に着手しております。その中で、例えばタグをつけてキーワード検索ができるようにして、例えば新しく作品をつくる監督の方が、過去の作品で、例えば別れのシーンでどういうものがあっただろうかといったことを調べたいときに、そのキーワードで検索できるようにするとか、例えばそういうような仕組みでできないかというようなことを今検討しているというふうに聞いております。

○近藤局長
 さっきおっしゃった検討というのはいつごろ結論が出るんですか。

○山崎課長
 明確に何年計画というのはないのでございますが、数年で、明確に何年とは申し上げられないんですが、いわゆるコンソーシアムをつくろうというのが今目標でございまして、それに関連してアーカイブも構築していこうということで、そんなに何十年も先にというふうには思っておりません。

○中村会長
 私からも一つコメントと質問なんですが、先ほど別所さんのおっしゃった、ためたものをどう使っていくのかというのは、非常に重要な政策になってくると思いますし、これは映画の話だけではなくて、後から出てくる放送番組も同じですし、あるいは図書館の電子化構想なども同じような話があって、それ全体を、蓄積したものを政策としてどう国民が利用できるのかというところは、後ほど全体で議論をさせていただければと思います。また、近藤局長がおっしゃったホールピクチャーを描いていく上でコンソーシアムがどうなっていくのかとか、各データベースをどのように連携させたり、ネットワーク化させたりしていくのかというのも非常に重要なポイントだと思うんですけれども、コンソーシアムというのはどういう方々の集まりで、いつごろできそうなんですか。

○山崎課長
 例えばマンガでいえば、京都に国際マンガミュージアムがございますし、それから東京では明治大学がマンガの博物館をつくるという計画もございますので、そういった各地の拠点となり得る施設に参画していただいて、分野ごとにそういったものをネットワーク化するものを考えております。

○杉山委員
 ゲーム機分野というのが書いてあったので、前にゲーム業界にいらっしゃった方が、今明大の財務担当理事でいるんですけれども、ゲームの産業もそろそろつくられた方々がみんなリタイアになっていまして、だんだん事情がわからなくなる感じなんです。コンピューター史から見ても、日本が世界で売ってきた、ここに久夛良木さんがいらっしゃいますけれども、ゲーム機というものはものすごく実機として保存する、稼動のまま保存することがすごく重要なんです。それは世界的に見ても重要だと思います。ゲームウォッチあたりからすべて所蔵することが。それは検討に入っていますか。

○山崎課長
 ご指摘のところは認識しております。ゲームのソフト自体は国立国会図書館への納本制度の対象になっていると思いますが、実機のほうは対象になっていないという問題もあって、そこをどうしようかということは国会図書館さんとも連携しながら今検討しているところです。国会図書館も含めて、このメディア芸術のアーカイブの事業の中でやっております。

○杉山委員
 国会図書館というよりも、科学技術館とか、そういうところでずっと展示してあるほうがいいよう感じもしますけれども。

○久夛良木委員
 フィルムセンターについて質問させていただきたいんですが、先ほどのデジタル化をする時点で、フィルムそのものを保存するだけではなく修復とか、復元作業もされるというふうにお聞きしているんですが、どのくらいの割合、つまりフィルムでお持ちのものに対してデジタル化を進めたもの、さらにその先に修復という作業をするというものはどのくらいあるかということが一つ。それから、NHKさんがハイビジョンで放送される古い映像素材についてはかなりの修復作業が施されたものが利用されているわけですし、さらにブルーレイをつくるということであれば、それぞれの出版、映画会社が依頼して修復作業をするということもある。いろいろなところで重複してやられる可能性もあると思うんです。ですから、そのような無駄を省くことと、それから逆にいえば誰も見合ってやらない?ということもあるのかもしれないので、まずはどういうふうに利用するかの前に、最初にデジタル化をしておくということについて、どのようなシナリオで、どのようなご方針でお考えになっているか、お聞きしたいんです。

○山崎課長
 先ほど言いましたように、フィルム自体の再生は劣化しますので、活用という場面を考えた場合には、普通はデジタル化した媒体で利活用していただくというためのものです。

○久夛良木委員
 私の質問は、例えば今までDVDになったものがたくさんあると思うんです。ところが画質は非常によくない。今後のHDによるデジタル放送であるとか、コンテンツの中身に対していろいろな画像検索を将来かけようと思ったら、非常に問題が多いデジタル化に留まっている可能性があります。ですから、なるべく画質が劣化しない状態でデジタル化をしたいと思うわけです。そういう意味からすると、このデジタル化というものはまだまだだ緒につたばかりだと思うんです。ただ単に閲覧する、小さい画面で閲覧するということが目的だけではなくて、今までのように画像の中身に対してメタデータを付与する作業を人間がやる場合もあれば、将来的には画像そのものをコンピュータが検索して自動的にメタデータをつけておくということもできるぐらいの、高精細な画質でデジタル化したいというのが今のモチベーションだと思うんです。それをどういう方たちがおやりになられているのか。それから、もしそれに対してまだ予算がつかないとか、使い道がまだクリアにならないのでまだ取りかかれないということであるならば、どの時点で素材として留めておくのか。将来に備えて誰が責任を持って素材を集めておくのかということを含めて、ご意見や状況をお聞きしたいというふうに思います。

○山崎課長
 基本的には独立行政法人国立美術館で保存と、それからデジタル化を進めておりますので、東京国立近代美術館の一組織であるフィルムセンターの中の、私も細かい資料を今持っていませんが、中で収集方針やデジタル化作業等について方針を決定しているところでございます。

○久夛良木委員
 その状況が良くわからないんですね。例えばフィルム素材に対してどのくらいがHDでデジタル化されようとしているか。もしくはされているのかということは、今ここで分からなければ、どこかの時点でご報告をどなたかからいただきたいと思います。

○中村会長
 もし現時点で細かいデータがなければ今度お調べいただいて、事務局にお届けいただければと思います。

○山崎課長
 資料を整えてご提出させていただきます。

○久夛良木委員
 シナリオの保全もそうですね。シナリオも、将来自動的にOCRのようなもので文字認識が可能なレベル。つまり、自動的にメタデータがつけられるぐらいの解像度でとっておきたいものです。そういったものを、フィルムを含めてアーカイブ、データベースにするということがこれから非常に大事になってくると思うので、ちょっと粗い解像度でシナリオをデジタイズしたり、もしくは低解像度で画像をデジタル化して終わり、というだけでやめにしないようにしていただければいいというふうに思います。

○吉羽委員
 アーカイブの話というとどうしても後ろのほうに向いていってしまうんですけれども、フランスの法定納入の話がありましたけれども、これは放送しているものを録画するというのはどうかなとは思うんですけれども、今生きているもの、現在進行形で、本の場合に納本制度があるわけなんですが、そういったことはご検討されていないのかということが一つと。ゲームは国立国会図書館という話だったんですけれども、それと、もう一つ人材育成の観点から見たときに、本当にアマチュアの方とか、フラッシュアニメをつくられている方が、自主的にそういうものをどこかに保存してもらいたいというようなことに対して、それをYouTubeとかニコ動がやっているようなものなんだけれども、そういった若い人たちがここへ納めておけば後々でも残せるかもしれないというような、割と今現在進行のアーカイブというところをどう検討されているのかをお聞きしたいんですけれども。

○山崎課長
 先ほど言いましたように、まだ検討に着手した段階でございますので、実はそういったことも、もちろん検討対象だというふうには認識しておりますが、そういったものをどのように保存、そして活用していくのか、これから検討するところでございます。

○吉羽委員
 法定納品の話は。

○山崎課長
 法定納品は、これは国立国会図書館法という法律に規定されていることでございますが、納本の範囲を広げて義務化するとなると国民に新たな義務を課すということなので、国会図書館とも十分に相談しながら、今後どうしていくかということを検討する必要があると思っています。

○中村会長
 それは後ほどここの議論の場でやってもいいかもしれません。

○近藤局長
 時間のバランスを欠きながらしゃべってしまって申しわけないんだけれども、この場は、山崎さんのやっていることがけしからんと言っているのではなくて、山崎さんにもっと頑張ってよとみんなが言っているんです。その中で、今のご説明を聞いていると、例えば時間軸がないんですよ。検討していますとおっしゃるんだけれども、検討していますではだめで、知財計画というのは、いつまでに、誰が、何を、どうするというのをはっきり書くというのが私どものモットーでありまして、今のお話を聞いている限りは、勉強していますと言われて、あと勉強されたのでは困るんです。我々は行政官ですから、行政官としてはいつまでにこれをやってみせます。こことここはここまでにやります、ここの問題はもうちょっと難しいから、それは2年では片がつかないかもしれません、それはもちろんあっていいんです。ですから、時間軸を含めた、いつまでに、誰が、何を、どうする、それをはっきりともう一回データとしてお示しをいただいて、来年以降の計画につなげていきたい、こんなふうに思いますので、私たちは文化庁の応援団でありますから、是非そういうつもりで聞いていただきたいと思います。回答は要りません。

○山崎課長
 ありがとうございます。実は内々には工程表をつくっております。また知財事務局とご相談させていただきながら対応していきたいと思います。

○中村会長
 ありがとうございました。では、次にまいりましょう。工程表22番、23番のNHKの放送番組資産の戦略的活用、それから民間放送局による放送番組の保存促進について、NHKについては総務省の奈良課長から、そして民放については吉田補佐から説明をお願いいたします。

○奈良課長
 総務省放送政策課長の奈良でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 お手元の資料1の、先ほど知財事務局の参事官からご説明がありました資料1の14ページに参考3−2ということでございまして、放送番組のアーカイブの取組が載ってございます。先ほど簡潔にご説明がありましたが、若干敷衍する形で私の発表にかえたいと思います。
 NHKアーカイブスということで、前段に資料の3分の1ぐらい上のほうに書いてございます。川口で行われているNHKアーカイブスの話は、先ほど知財事務局からご説明がありました。こういう形でNHKでは、少なくともテレビは全番組、NHKが放送している番組がほとんどここにためているという状況があります。本日ここで何度もご議論いただいている活用という部分に関して申し上げますと、そもそもこの放送コンテンツ、当然著作権のかたまりでございますから、これをいかに処理して活用していただけるかという観点からの取組というのはNHKとしても進めている。一つのやり方が、この施設の中でお見せするということ。当然一般にネットで公開するよりも著作権処理は簡易に済むということでございまして、これは約7,000本が既に施設内では公開している。インターネットへの公開に関しましては、さらにもう少し複雑な著作権処理がかかるということでございまして、お金と時間の制約の中で処理ができたものに関しましてはインターネットで公開している。
 NHKにつきましては、ネットでのコンテンツの公開につきましては2種類やっております。1つが無料でNHKのホームページでさらさらと見られるようなもの、これは一部のニュース番組等でございまして、もう一つがこの資料の14ページにありますNHKオンデマンドというブランド名で有料で配信しているサービスでございます。最新の数字で3,245本が公開されております。有料ということなんですけれども、決して高い料金は取っておりませんが、他方無料でどんどんやるとすると、そこはそこで様々コンテンツをインターネット上で提供している事業者の方もおられますので、そういった中で、比較的安目の料金で提供しているということでございます。
 2つ目にNHKクリエイティブ・ライブラリーという言葉が出てまいります。これはいわゆるネット配信に比べますとやや活用イメージが強いものでございまして、昨年10月からNHKで若干トライアル的にやっているものでございます。このホームページにいっていただきますと、NHKの映像素材が、端的にいうとそこに載っているものは自由に使えるというものでございます。解像度は低い、余り高くないものですから、当然映画とか、そういう作品に活用するのは難しいのでございますけれども、例えばネットで公開する程度、あるいは携帯電話で見るような程度の映像コンテンツをつくる素材としては十分活用可能というものでございまして、ここでNHKの、ある意味本来業務ではないんですけれども、まさにこのネット時代に様々コンテンツクリエーターが満たされていくという過程でお使いいただけたらという形で、トライアル的に去年の10月からやっているものでございます。
 ちなみに、営利活動には活用できない。あるいはNHKのコンテンツであることを表示してもらう等々の若干の条件はつきますけれども、そういった意味で活用素材の公開、提供、活用というものを進めております。
 最後に、YouTubeでの配信「NHK番組コレクシション」とあります。これはおととい発表し、開始したものであります。NHKオンデマンドでもやっておるんですけれども、やはりいろいろな窓口でNHKのコンテンツを皆さんの目に見ていただくということがよいという判断から、こういったこともYouTube上で始めたということでございまして、NHKは、本来は国内で放送する特殊法人でございますので、様々やれることの限界というのはありますけれども、その中で様々工夫をしてやってきている。私どもも総務省としてはNHKのやりたいということに関しましては、それを後押していくというスタンスでやってきているという状況でございます。
 ひとまず現状についてご報告させていただきました。次に、民放についてご説明いたします。

○吉田課長補佐
 総務省コンテンツ振興課の吉田と申します。よろしくお願いいたします。
 資料の1の14ページ、先ほどNHKアーカイブの説明がございましたところをご覧ください。そちらの下の段に放送番組センターの説明がございます。こちらをもとに、これに補足する形で説明をさせていただきたいと思います。
 放送番組センターでございますけれども、放送法の第53条の指定を受けた財団法人でございまして、放送番組を収集保存をしております。この運営費に関しては設立当時の基金の運用益と毎年放送事業者様、NHK様から出悁をいただいたもので運用をしておるというものでございます。保存している番組というのは1万7,000本で、これはどういうような基準でこの番組を保存しているかというものでございますけれども、番組センターの中に放送番組の収集基準というのがございまして、これに基づいて、テレビ番組、ラジオ番組及びCM、コマーシャルを保存しております。どのようなものかというと、一例口頭で申し上げますと、国内外で賞を受けた放送番組であるとか、高視聴率であって、視聴者の反響を受けた番組であるとか、表現技法、制作技術などが新しいジャンルを開拓した番組とか、現代史、現代風俗を切り取って記録として価値のあるものとか、芸術文化伝統の記録をして、芸術文化とか、そういうものの記録として価値のあるもの、長時間継続されて放送されたもの等、また放送事業者各社様がセンターにおいて保存を希望されたものとか、放送の歴史として適当と見られるものに関して、この基準で集めまして、放送してから3年たったものを集めまして、有識者、放送事業者の関係者の方による委員会の中で審議をした結果を聞いて保存をするということにしております。
 こちら、こうやって放送番組センターに放送番組を保存いたしまして、今1万3,000本ほど放送番組では公開をしております。横浜市の市内で公開をしておりますけれども、年間10万人程度の方が訪問をして閲覧をしているという状況でございます。
 先ほどのアーカイブのときの議論にもありましたけれども、この番組、活用方針、放送番組の活用、民放番組の活用についてはどうかというものでございますけれども、放送された、民放での放送番組は、各社様それぞれ保存がされているというもの、それを一部この基準に当たるものを番組センターにおいて保存をしておりますけれども、それ以外のものに関しては、実際現在インターネット上に動画配信のサイト等を各テレビ局さん持っておられますけれども、そこで活用されているというものでございます。
 また、配信がされてはいないけれども、価値があって、かといって番組センターで保存されていないものをどうするかとか、今後地域の番組であるとか、記録として価値があるもの、素材として価値があるものをどうやって保存していくかというものに関しては、平成22年度、今年度調査研究として、放送番組、地域にあるコンテンツをどのように保存をしていくかというものの調査研究をしておりますので、それを踏まえて来年以降地域にある番組、素材等の活用の方針についてさらに検討を進めていきたいと考えているところでございます。これが民放に関して放送番組センターと活用の概況でございます。
 以上です。

○中村会長
 ただいまのご説明について、ご質問がありましたら挙手をお願いします。

○別所委員
 聞き逃したのかもしれないんですが、NHKに関しては、このNHKクリエイティブ・ライブラリーであるとか、NHKオンデマンドというのは、NHKさんの財源というか、予算の中でやっているという理解ですか、それともこれは総務省さんが国のお金でやっているという理解だったのでしょうか。
 それから、民放に関しては、今収集基準を聞きましたが、これは誰が、どういう形で選ぶものなんでしょうか。各放送局さんの定められた方々が選んだものということになるんでしょうか。賞であるとか、レイティングということは明らかなんですけれども、それ以外のことについてですけれども。

○奈良課長
 NHKについてお答えいたします。
 NHKオンデマンドあるいはNHKクリエイティブ・ライブラリー、いずれの事業もNHKの業務でありまして、まさにNHKの業務としてNHKがやっているものでございます。ただ、NHKクリエイティブ・ライブラリーは無料でございますが、NHKオンデマンドにつきましては有料でやっておりまして、これはネット配信にかかるコストを回収させていただくという形での、収支相償というのでしょうか、そういうような観点での料金になっておりまして、特に儲けるというわけでもないし、特に赤字で特にただというわけにもいかないということで取っておりますけれども、いずれにしても事業としてはNHKの事業であって、国からお金が出るものではありません。

○吉田課長補佐
 民放番組に関してご説明を申し上げます。
 まず、どういう基準で番組を選んでいるかというものでございますけれども、放送番組センターというのは財団法人放送番組センターというものでございまして、こちらの中の基準として番組の選定基準というものを定めている。それが先ほど読み上げたものでございまして、申請があったものとか、及びこういうのを保存すべきだというのを基準に基づいて番組センターが見ておりまして、それに基づいて中で番組保存委員会という、放送事業者の方から選ばれた財団法人で選んだ人が、実際、レイティングは明らかですけれども、これが文化史を切り取っているかとか、編集技術としてイノベーティブなのものかとか、そういう判断をして、保存をしているというものでございますので、財団法人が中で決めた基準、中で決めた基準に従って、放送業界に長くおられた方が、それもこれに適合するかどうかを決めているというものでございます。放送番組センターについては、財源に関してはこちらは設立当初にできましたNHK様、民間放送事業者様、地方自治体からの出資をいただいた基金の運用益で運用しております。

○近藤局長
 今のお話の中で、まずNHKのところはNHKオンデマンドのところが本当にNHKの本来業務としてもっと幅広くかつ一般の人が使えるような仕組みにもっとしていかないと、随分安くしていますということは百も承知ですが、普及し切れていないわけです。それを今後どんなふうに皆さんに使ってもらいやすいものにしていくのかというのを、是非早く示していただきたいし、そのためにはNHKと早く議論を進めてもらいたいと思うんです。
 それから、放送番組センターですか、これは今1年間で10万人も来て、どうだ、すごいだろうとおっしゃったんだけれども、現状でインターネット上の公開を行っていないといってとまってしまっているので、これは本当にネットを通じた外部への情報提供みたいなことを本気でもう考えないと、これから裾野が広がらないと思うんです。それについてどんなふうに検討をしようとしているのか。いずれもこのアーカイブもまだ始めてから10年弱でありますし、なかなか大変なのは重々承知だからこそ申し上げているんですが、今後の検討スケジュールについて、両課からお話を、ご説明を伺いたいと思います。

○奈良課長
 NHKオンデマンドに関して申し上げますと、実はごく最近また料金を下げたんです。これによってまたさらにニーズが伸びて、むしろ事業としてはさらに好転していく兆しが実は見えてきております。こういった、今日ご説明しました、例えばYouTubeでの配信とか、現行の枠組みの中でいろいろまだやれる工夫があって、NHKもいろいろ考えていますし、私どももそれはいいことだからどんどんやろうというような感じで、ここ最近進んでおりまして、そういった意味では短期的にはそういった観点からいろいろ試行錯誤もあると思うんですけれども、進めていきたいと思います。
 あと、今、局長からお話があった中に、多分詰めていくと、端的にいうと、例えば放送法改正みたいなものが必要になってくるものも中にはあり得ると思っていまして、その点についてはNHKでも広く、今様々検討をしています。というのは、NHKは24年度からの中期計画というのを来年つくるんですけれども、その準備検討も始めているんです。その中で、このネット時代、通信放送融合連携時代を目指して、例えば24年からのNHKの中期計画にどういうことを盛り込んでいくかということを考えていったときに、やりたいことを、場合によっては放送法にかかわってくるものがあり得る、そういったことを今NHKも真剣に考え始めておりますので、私ども多分来年の夏か秋ぐらいには、ある程度そういうのが見えてくる。NHKとしての考えというのもかたまってくると思うので、そういったものをちゃんと私ども向き合って、中期的な課題ということかと思いますけれども、そこはどう解きほぐしていくか。短期的にはやることはどんどんやっていく。中期的には今言ったような話の中でどう解決していくか。両方、両にらみできちんとNHKと向き合ってやっていこう、そういう計画でございます。

○近藤局長
 法改正を出すときは24年の通常国会に出すというイメージですか。

○奈良課長
 いえいえ、24、25、26にやっていく、3カ年の計画ですから、その3カ年の中で実現していくものを決めていくので、それをやるために法改正が必要だということに。例えば、24かどうかはちょっとそれはわからない。わからないですし、どこまで法改正をして、どこまで何をやるかというのは現時点では全く何もわからないので、その辺まではコミットできないんですけれども、例えばそういったことも、放送法改正が必要になるような中期的な課題も放っておくのではなくて、そういった3年、4年、今から数えれば4年後でしょうか、そこまでを見通した中でNHKは今現在まさに真剣に考えを始めておりますし、私どもそれにちゃんと向き合っていく、そういうことでございます。

○吉田課長補佐
 放送番組センター、民放についてご説明申し上げます。 先ほど近藤局長がご指摘のとおり、この放送番組センターはまだオンラインで配信等はしておらず、実際横浜にあるところに来てみないと見られないというふうになっております。今放送番組センター、22年度に関してどうやってデジタル化していくかというところを、その前段階でありますけれども、進んでいっているということでございますので、将来的には、当然オンラインで配信するということも選択肢の中に入っていると思います。オンラインで配信する場合には当然著作権上の処理をどうするかとか、様々問題、課題があると思いますので、そこに関しては放送番組センターとお話をしながら、ネット時代に対応したものが何かできないか。さらに多くの人に使ってもらえるようなことができるか。こちらと共存しながらやっていこうと考えております。
以上です。

○中村会長
 他によろしいですか。
 先ほどの事務局の資料の中には、フランスのINAが3年ぐらい前にはもう10万本の配信をしているというのがありまして、NHKオンデマンドが進んできたとはいえまだ数千本ということから考えると、かなり差があるわけですね。知財本部、我々の会合としても、放送番組のネットワーク化というのは非常に重視をしておりますので、スピードアップできればと思いますが、先ほど来お話しにありますように、例えばNHKオンデマンドでいいますと、独立採算性になっているというところから、ダッシュが効いていないんじゃないかというような議論もありますし、そこで奈良課長がおっしゃったように法改正などをしてでも進めるというようなことになってくるとすれば、我々も議論をして、サポートすべきところはサポートしていきたいと思いますし、また、ラジオでも民放がラジコという形でネット配信を始めていますけれども、これもNHKどうするのかというようなことも議論になってくるかと思います。そして、先ほど吉田補佐がおっしゃった著作権上もいろいろとクリアすべき課題があるということなんですけれども、何か具体的にアーカイブ化あるいはネット配信を進めていく上で、著作権処理上で課題になっていること、あるいはクリアしなければいけないとなっているようなことはありますか。

○吉田課長補佐
 今、現在放送番組センターの場合非営利で、無料でやっておりますので、著作権への課題は非常に少ないんですけれども、オンライン配信がどうなるかというのは、まだ非営利で無料でやった場合にどうなるか。実際に論点を見つけて解決しなければいけないので、具体的というわけではないですけれども、課題があるのではないかというふうに考えております。

○久夛良木委員
 NHKアーカイブスについてお聞きしたいんです。勉強不足なのか、よくわかっていない部分もあるんですが、番組ごとに幾らというのはわかるんですけれども、例えば月に幾らと払ったら自由にいろいろオンデマンドで視聴できるというようなことをやっておられるかということ。もしやっておられないんだとすると、何かが障害になっているのでしょうか?ということをお聞きしたいんです。

○奈良課長
 NHKオンデマンドには、見逃し番組サービスと特選ライブラリーサービスというのがあります。見逃し番組サービスというのは直近見逃しというもの、特選ライブラリーというのは結構古い、大河ドラマとかです。見逃し番組に関しては、当初月1,470円で1カ月間見放題だったのが945円まで下げました。特選ライブラリーは今委員ご指摘のとおり、例えば1カ月幾ら払うと見放題みたいなのがなかったんですけれども、この12月から導入いたしました。結構これが効果を呼びそうな気配が今ありまして、これは結局料金設定の仕方でございまして、特別何か隘路があるわけではなくて、そういった意味ではまさに委員ご指摘のところを今やらせていただきつつあります。是非いい効果が出ることを我々も期待している、そういう状況でございます。
 先ほど座長からお話がありました点について、若干触れさせていただきたいと思います。今も委員からご指摘がありましたが、NHKオンデマンド、収支相償ということでやっています。放送法改正という話も局長からの話がありましたが、NHKというのは放送するための特殊法人ということで放送法で設立され、受信料という非常に特殊な財源で成り立っている。様々な理屈、根拠、考え方のもとに、受信料というのは税金ではない、非常に特殊なお金です。これをどこまでネット配信につぎ込んでいいのかというのは非常に難しいところがありまして、例えば10年前でありますとかなりかたく、正直、NHKよりもむしろ総務省が思って、当時の知財事務局から言われても、いや、それはできませんと抵抗していたというのが、私自身も関係するところにおったので承知しております。ただ、当時もそうですけれども、これだけネット配信が進んできている中で、少しずつやれることを増やしている。実際、このNHKオンデマンドがやれるように平成19年に放送法改正をして、今ここまできているというような状況があります。
 そういった中で、では、さらにどこまで受信料を投入することが国民に許されるのかというようなことは、かなり難しい部分が正直ございまして、そういったことをどうやって工夫して、どう考えたらどうなるのかということをNHKも考えているし、私どもも考えております。時代も進展していくでしょう。そういったものを見定めながら、そういう中期的な課題は考えていきたい。他方、先ほど会長からラジコの話がありました。これはまた民放、ある意味で法規制のないところで自由にやれる民間放送事業者がまさに自主的にトライアル的に始めて、さらにこの12月から本格稼動を始めたラジオのネット配信、これは非常に野心的なというか、先進的な取組だと思っています。NHKもやりたいといっております。私どもにも相談がきております。私ども何をしているかといいますと、どうやったらこれがうまくやれるのか。ちょっと時間がないのであれですけれども、放送法を素直に読むとできないんです。では、来年の通常国会に放送法を改正するのか。そういう話ではないだろうという話でございまして、どういうふうにNHKとしてやるか、やりたいか、やれるか。私どもとして、どうやったらうまくこれが動くのかということを今、これは短期的な課題ということで真剣に相談をやっているところでございます。

○中村会長
 では、次にまいりましょうか。工程表12番のコンテンツ版COEの形成促進について、石川専門官、塩原室長、そして信谷課長の順にご説明をお願いいたします。

○石川専門官
 文部科学省大学振興課の石川と申します。よろしくお願いいたします。
 文部科学省におきましては、大学側のそれぞれの人材養成目的に応じまして、特色ある人材養成ということを伸ばしていくということについて、支援をしていくというのが基本的スタンスでございまして、そういった中でコンテンツに関する人材育成を行う大学というのを伸ばしていく。あるいはそういったところに特化して教育研究の拠点化を図っていくような大学、そういったところを支援していくといった事業はこれまで実施しているところでございます。その一つとして、まずグローバルCOEプログラムというのがございます。これは世界的に卓越した教育研究拠点を形成していくということについて、文科省で支援している事業でございます。
 例えば、資料1でございますと、8ページに幾つかの大学の例、これは事務局で用意していただいているところでございますけれども、早稲田大学でいえば演劇博物館を中心としました演劇映像の国際教育研究拠点、それから立命館大学でいえばアートリサーチセンターを中心とした日本文化デジタルヒューマニティズ拠点といったところをグローバルCOEプログラムの中で支援しております。こういったところにおいては、事業は進行中でございますけれども、やはりCOEに選ばれたということで、優れた学生やポスドクといったものの増加、あるいはリサーチ・アシスタントなどの経済的支援の充実、それから海外の同種の研究をやっているところとネットワークを構築しまして、人材交流などが行われておりまして、それぞれいい成果を出しているものと承知しております。
 それから、COEというところにおいて、拠点とまではいえませんけれども、一方で人材育成という面ではこういったコンテンツに関する人材育成に特化して、伸ばしたいという大学のところについて、グットプラクティス事業という中でも支援というのも行っておりまして、例えば大学院レベルですと、岐阜女子大学が行っております実践力ある上級デジタルアーキリストプログラムであるとか、学部レベルでいいますと、大学教育GPというもので佐賀大学の創造的人材育成プログラム事業といったものを支援したりしています。こういったところでも、こういうプログラムの履修をコースとして行った者に対して、修了者の資格であるとか、証明書といったものを交付して、その能力を保障するような形で人材の育成というのを行っているところでございます。
 こういった事業も含め、大学が、例えばその大学の目的に応じましてコンテンツの人材育成というところに特化するというところを含め、大学が特色を出していくということについては、今後とも、なかなか厳しい予算の中ではあるんですけれども、支援していくという意味で予算の獲得はしっかり行っていきたいというふうに考えております。
 以上でございます。

○塩原室長
 文部科学省専修学校教育振興室長の塩原と申します。引き続きまして、専門学校、大学、産業界の連携の観点からの取組につきまして、ご説明させていただきます。ご用意していただきました資料2の4ページ以降に関連の資料をつけさせていただきましたので、ご覧いただきたいと存じます。
 まず、本年度、平成22年度の取組でございますが、成長分野における専門人材の養成を推進します専門人材の基盤的教育推進プログラムという事業におきまして、ゲーム、CGなど、コンテンツ分野の教育プログラム開発等を進める取組を支援推進するという形でやっているところでございます。
この事業の全体像でございます。4ページの下のほうにもございますとおり、専門学校等の高等教育機関が、産学間、学校間のそういった連携組織を形成いたしまして、例えば産業界等のニーズに即しました教育プログラム開発でございますとか、産業界の視点を入れた評価の取組、さらには企業等と連携した教員の資質向上等、そういった観点からの取組を進めていく。このような事業でございまして、予算上は、これは全国で56プロジェクト、実際には58プロジェクト、様々な成長分野についてのプロジェクトを進めておりまして、そのうちの幾つかがコンテンツ分野の取組として今進めていただいているという状況でございます。
 1枚めくっていただきますと、コンテンツ分野の主な取組という形で、本年度の事業として採択をされ、今進んでいるものについて、代表例を挙げさせていただいております。例でございます。まず最初に、東京工科大学の取組、ゲーム産業における実践的OJT/OFF−JT体感型教育プログラムというのもやっておりまして、これは一つに夏以降産業界の様々な一線の方をお呼びして、産学連携によるそういった講座、OFF−JTの形での取組を進めるのとあわせまして、産業界から一つのテーマをもらって、グループワークによるそういったプロジェクトを進めていく。そして、最終的には2011年の1月にIGTA、国際ゲーム開発者協会というところが主催されますグローバルゲームジャム2011、この国際的なそういったゲーム開発イベントに大学と専門学校の学生、さらには産業界の人、これは混成チームをつくってこれに参加する。このようなことを最終的なゴールにしながら、そういった体感型の教育プログラムというのをやっていこう、こういった取組の例でございます。
 2つ目は、新潟コンピューター専門学校を中心とする取組でございますが、こちらにつきましては3D系の教材の開発でございますとか、スマートフォン向けのゲーム教材の開発、ないしはゲーム分野の講師向けの、そういった講習会などをやる、こういった取組、さらには産学コミュニティサイト等を開いてという形で、そういった産学連携によるそういったカリキュラムの充実を図っていくということです。
 さらに、一番下、中国デザイン専門学校を中心とした取組でございますが、コンテンツ分野、とりわけゲーム・CGの分野でございますが、どういった分野で、どういった人材、スキルが今後求められるのかといった観点から、分野全体のそういったスキルマップ、人材マップを描きまして、これに対応したカリキュラムの開発技術を図っていく、こういった観点からの取組などが今進められているところでございます。
 こちらにつきましては、こういった形であるわけでございますが、さらに、6ページでございます。現在私ども平成23年度の概算要求といたしまして、さらにこういった今年の事業を発展させる形で進めていきたいと思っているものがございます。成長分野等における中核的専門人材の養成の戦略的推進という、こういう形での事業にしているわけでございますが、政府におきましては、今年の6月に新成長戦略といった一つの戦略を立てまして、とりわけ雇用人材戦略の一環として、様々な成長分野の人材に求められる、そういった職業能力について、能力評価基準をきちんと設定して、それに基づいた人材育成をやっていく。キャリア段位制度という言い方をしましたが、それぞれの職業、職種に求められる職業能力というのを、段階別、レベル別にスキル標準を明確化して、それに基づいてきちんとした質保証のされた教育プログラムを提供していこうというような、そういった方針が大きく進んでいくわけでございます。こういった方針に基づきまして、専門学校、大学等におきましても、高等教育の中で産学連携しながら、社会人等もアクセスしやすいような教育プログラムの提供でございますとか、産業界の視点を入れた、そういった質保証強化の枠組みというものをきちんとつくっていこう。このようなことを考えておりまして、こういった取組を進めるための事業といたしまして、23年度要求をしているところでございます。
 以上でございます。

○信谷課長
 それでは、経済産業省から、私どもの政策を説明申し上げます。
 お手元の資料2の中の7ページ目をご覧いただけますでしょうか。平成22年度コンテンツ産業人材発掘・育成事業、アニメ人材基礎力向上事業というのをやってございます。説明の順番を若干ひっくり返しますけれども、一番下に(参考)アニメーター養成プロジェクトというのを過去やってございました。平成18年から20年にかけて、アニメーターの基本技術評価基準をまずつくって、それに基づいて人材を発掘していこう。試験をやりまして、選抜をして、そこに指導をしまして、インターンシップ、最後は採用につなげていこう、こういう人材育成をこれまでやってございました。これを踏まえて、22年度、現在やっているのが、真ん中に入っているものでございます。説明の順番は若干前後しますが、背景として一番上に書いていますように、日本国内でアニメ産業人材が育ちにくくなっているということ、それから、韓国、中国勢の追い上げ、あるいはアメリカの3Dといったもので、新たな競争環境があるということを考えて、アニメ人材について少し底上げをしていこうではないかということでございます。
 やっている内容は2つでございます。四角が2つ切ってございますけれども、左側がいわゆるセルアニメの分野でございまして、この分野で3Dをつくったらどうなるかということでございますけれども、特に産業という観点からは、制作ワークフローの分析と、最適なワークフローの提案をあわせて行うということを考えています。わかりやすくいえば、制作工程の改善運動をここでやってみようということでございます。今まで個々のノウハウ、スキルに頼って制作工程が並んでいたわけですけれども、最適化を図ったらもっと効率化するんじゃないかということをやってみてございます。
 それから、右側が3DCGアニメ分野でございまして、日本独自のリミテッドアニメーションというものがございますけれども、この表現技術、日本風のアニメの技術を生かしたもの、あるいはマンガの表現技術を生かしたものを3Dにくっつけたらどうなるかということを研究してございます。いずれも公募して採択した案件でございまして、今年度これを執行しているところでございます。
 以上です。

○中村会長
 では、ただいまのご説明について、質問がありましたら挙手をお願いいたします。

○大多委員
 多分この後の、十何番の中での話になると思うのですが、大学での教育等のことも出たので、ちょっと早いんですけれども、先に話させていただきます。先ほど私がフィルムセンターで、例えば小学生などがクラス単位で見ることはあるのですかと質問をしたのは、人材育成とアーカイブというのは切っても切り離せないものだと思っております。特に、以前もここで大学でこういうことをやったらいいんじゃないか、ああいうことをやったらいいんじゃないか、あるんですけれども、クリエーターというか、物づくり、私の経験も踏まえてですけれども、ほとんどが小中学生のころの原体験というか、いろいろなそういう思い、そのころの環境であったり、家族であったり、友達であったり、学校であったり、そういったものがすべて、いわゆる大学生ぐらいになっていろいろなことをつくってみようかと思う元があるんです。多分大学でいろいろな学科があって教えているようなことというのは、自分の原風景みたいなものをどうやって具現化するかということを教えていく場だというふうに僕は思っています。それはスキルアップのためには絶対必要ですし、なるべく早くやったほうがいいと思うんですけれども、その一番原点にある、自分の原風景みたいなものという、例えば影響を受けたものというふうに言いかえてもいいと思うんですけれども、そういうものは小中学生、以前もここでしゃべったかもしれませんけれども、新入社員が入ってきて研修をやるときに、これから何かドラマをつくる上で勉強をしておいたほうがいいものがあるでしょうかというふうに聞かれるんですけれど、もうないと。今から映画を100本見ても、それは一つの知識になるかもしれないけれども、あなたのクリエイティブセンスが大きく変わるものではないんじゃないかというふうにいつも言っております。ということは、さっき言ったように、一番大事な小中学生のころにどんなものを見ていてもらうか。本でいえば読んでいてもらうかというのは意外とあなどれないものだというふうに思うんです。
 今は中国の世界的な監督になりましたけれども、ウォン・カーウァイさんという、大体僕と同じ年ぐらいですけれども、彼と話ししていても、やっぱり若いころに見た成瀬巳喜男の映画が忘れないというようなことも言っておりましたし、フランシス・フォード・コップラーも当然黒澤明のあそこまでの信望者というのは、子供のころから見ているわけです。ですので、せっかくアーカイブのフィルムセンターはすばらしい作品がたくさんある中で、どういうふうに子供たちに接触させていくのか。多分クラス40人いたら、黒澤明の映画を見て、はあっと、40人中40人が思うと思うんですけれども、ただ見ておくことというのが必ず何かの、才能の導火線に火をつけるとよく言うんですけれども、そういうものの元になるときが結構あるんです。ですから、今後も大学の教育というのは才能の導火線に火をつけるためのスキルを学ばせたり、いろいろなことをやっていくのはいいですけれども、小中学校での教育、この後にいろいろなところに行ってクリエーターを派遣するというのがありましたけれども、ああいうこともすごく必要だと思うし、その辺を充実させたほうが、根っこのところでそういう人間を育成というか、体験させておいたほうが、大きくなってから、大学生ぐらいになってから、興味がなければ別に何もつくりたいと思いませんから、ということはどこかでそういう種をまいておくことは必要なんじゃないかなというふうに思っています。温故知新みたいなことを埋め込んでおくという意味でも、そういった活動をやったほうがいいというふうに、最近つくづく思っております。
 ちょっと長くなりますけれども、うちでも刑事コロンボが好きだった者が古畑任三郎をつくっていますし、アメージングストーリーが好きだった者が世にも奇妙な物語をつくっていますし、サンダーバードを見てあの曲いいなと思った人間は踊る大捜査線の主題歌をそういうふうにしたいというふうに言ったり、大体子供のころなんです。僕も小学生か中学生に見たハリウッドの恋愛映画の傑作と言われている追憶とか、キャバレーを見て、そのころは別に見ていただけで感動しただけなんですけれども、一緒にいた男はそれを見て寝ていましたけれども、警察官を今やって頑張っております。感性の違いは当然あって、ただ、そのとき追憶や何かに感動した自分がいたから、僕のつくってきたテレビドラマの90%は恋愛ドラマなんです。多分そういうのがあって、アーカイブをそういうふうに生かしてもらえないか。
 歌舞伎の授業は子供のころ行ってほとんど寝ていましたけれども、今見ればすばらしいと思いますが、ただ、何か触れさせておくということをもっともっと積極的にやることが、究極的にはいいクリエーターを輩出する原動力になるんじゃないかなというふうに思っております。
 その辺を何かできたらよろしくお願いしたいなというふうに思います。

○中村会長
 ひとまず、今ここは大学、高等教育のCOEの話ではあるんですけれども、初等、中等から充実させるべきではないか。連続性があるのではないかというご意見でありました。ということなので、この後に予定されていました一流クリエーターの学校訪問による創造活動の充実について説明を前倒しでしていただいて、これも教育課程課と芸術文化課がご担当だと伺ったんですけれども、今の話もありますので、山崎課長から先に説明をいただいて、その後でまたまとめて質疑応答させていただければと思います。

○山崎課長
 資料2の8ページでございます。次代を担う子供の文化芸術体験事業でございます。今お話しありましたように、子供たちが本物の芸術に生で触れるという体験が非常に大事であるということから、芸術団体あるいは芸術家に学校に直接行っていただいて、そこで巡回公演あるいはいろいろな実技の披露であるとか、指導、あるいはワークショップといったものをやっていただく事業でございます。地方でも都道府県あるいは市町村で独自にやっているということもあるんですが、文化関係全般にいえることなんですが、地方の財政が厳しいということで、地方単独で行っているのが少なくなってきているということで、国でこういった事業の必要性からやっております。
 大きく分けて巡回公演事業と派遣事業というのがございます。巡回公演事業は、文化芸術団体が、オーケストラであるとか、バレエであるとか、演劇であるとか、そういった団体が学校に行って公演を行うというものでございます。ただ、単に鑑賞の機会を提供するというだけではなくて、公演をする前にワークショップをして、例えば舞台芸術というものはどういうものか、お芝居というのはどういうものか、演技というのはこういうふうにするんだよというようなことを説明したり、あるいは実際に子供たちに演技をしてもらうとか、衣装をつけてもらったり、かつらをつけたり、実際に公演にも参画してもらうためのワークショップをしたりしております。つまり、ワークショップの段階で子供たちに演技指導をして、それを踏まえて公演の本番のときには実際に子供たちにもお芝居の中に参加していただくとか、そういうことをしながら、単なる鑑賞だけではなくて、身近に舞台芸術を感じてもらうというような事業でございます。主に学校の体育館等で行っておりますが、ふだん学校の授業等で使う体育館がみるみるステージに変わっていったり、あるいはいわゆる仕込みという場面を横で見ながら、舞台はこうやってつくっていくんだなというようなことも実体験として見ながら本番を迎えるというような事業でございます。
 一方、右側の派遣事業は、もうちょっと小規模なグループ、あるいは個人の芸術家あるいはクリエーターが学校に行って、演技指導、講話をしたり、実技の指導、あるいは披露して行うものでございます。両方あわせて、下に書いてありますように、巡回公演事業は1,585公演、それから派遣事業が2,500カ所弱という、これは予算積算上ですが、大体合わせて4,000カ所、4,000件ほど要求しているところでございます。
 この数字でいきますと、小中学校で義務教育期間中に最低1回以上は体験していただくということでございますが、できれば義務教育期間中に2回は体験できるように、事業としては充実していきたいというふうに考えております。
 それから、もう1枚めくっていただきまして、児童生徒のコミュニケーション能力の育成に関する芸術表現体験というのがございます。実はこの文化庁の子供の文化芸術体験事業の枠の中で文部科学省の初等中等教育局でこの事業を行っておりまして、こちらは学校の授業の中でコミュニケーション教育を行うための事業ということで、この中の事業として行っているところでございます。
 以上でございます。

○中村会長
 では、先ほどの例とあわせて質問があれば挙手をお願いできればと思います。

○杉山委員
 小学校、中学校でいろいろなものを見るというのは非常にいいと思うんですが、僕が子供のころを考えても、区立の小学校だったんですけれども、年に1回以上はちゃんと映画をただで見せてくれましたし、年に1回は、中学のときは上野でオーケストラを聞いていたんです。だから、前からずっとこういうことは行われていたんじゃないんですか。新たにやったという感じは余りしなくて、小さいときからいつもそういう目にあってきたなと思うんですけれども。

○山崎課長
 おっしゃるように、各自治体で独自にやってきたものがありますし、文化庁も、毎年でもないんですが、事業名を変更しながら、たしか平成14年度ごろからこの事業は行ってきております。ただ、昨年事業仕分け等もございまして、事業仕分けでこれは国がやる必要があるのかというようなご意見もありましたし、結果として事業規模の縮減というようなご指摘も受けておりますので、内容を若干見直しまして、来年度は新規の要望枠で概算要求しているところでございます。従来とほぼ同じような仕組みなんですが、これまでは芸術団体や、芸術家を、文化庁で選んで、それで学校から希望を聴取して、それをマッチングしていたんですが、そのマッチングの部分をできるだけ地域の実情に詳しいNPO等にお任せしようということで、いわゆる新しい公共という考え方も取り入れた仕組みにしまして、新規事業ということで来年度要望しているところでございます。

○杉山委員
 仕組みが違うんですか。

○山崎課長
 若干でございます。

○杉山委員
 もう一つ、売り物は現役のクリエーターたちが実際訪問して何かワークショップをやるみたいなところをみんなで期待していた面があるんですけれども、その辺の予算はかなりとれていると考えていいんですか。例えば有名クリエーターが小学校に行って何かワークショップをやって、感動させて、やるみたいなタイプの話ですけれども。

○山崎課長
 まさしくそれがこの事業でございます。

○杉山委員
 それはどの程度予算が。

○山崎課長
 内訳はございませんで、クリエーターの定義というのがなかなか難しいと思うんですが。

○近藤局長
 財務省との交渉状況がどうかと、取れそうかというふうに聞いておられるんです。

○山崎課長
 正直申し上げまして、先ほど言いましたように事業仕分けを踏まえて査定ということで、大変厳しい感触でございます。

○近藤局長
 私たちは、これは知財本部で決定をした項目の中に書いてあるわけでありますので、知財本部で決めたというのは全閣僚出席のもとで決めたということですから、これは閣議決定と同じ位置づけであるということで、財務省に対してこういう知財本部での決定をしていることをちゃんと認識をして査定せよというのを、先日も本部から財務省に直接申し入れもしております。もちろん文化庁で一生懸命交渉してくれていますので、これは引き続き交渉をしっかりとやって、必要な予算を確保するように努力もしますし、我々も努力をするし、文化庁もしっかり汗をかいてもらいたい、こんなふうに思っている状況であります。

○吉羽委員
 9ページのところで拝見していると、やはりこれまでのジャンルの偏りみたいなのがちょっとあるのかなというような印象はあります。大多さんのお話みたいに、映画の話であるとか、アニメーションであるというようなところでの、今本当に旬のクリエーターの人たちというのが何か子供たちと直接いろいろ話すような機会というのをつくるご予定はおありなんでしょうか。

○倉見教育官
 この私どもの課でやっているのはコミュニケーション能力の育成という切り口でこれをやっているわけですけれども、これは表現手法を用いた計画的、継続的なワークショップということですので、特段どのジャンルに限ったということはありませんで、学校がこういう形でやりたいという希望に沿ってこれを、事業を支援しているわけです。ここに掲げてあるのは、学校から出てきたものの多かったものを掲げているもので、これ以外にもいろいろメディア表現だといったようなこと、それから先進的なクリエーターの方が学校に行ってワークショップをしている例もございます。

○吉羽委員
 ございますというお話なんですけれども、そういった事例のどういう分布になっているかというようなお話の資料はおありなのかということと、それから、学校側にお任せということになりますと、やはり前例のあるものというところにどうしてもいきがちなのではないかなと思うんですけれども、そこら辺を文部科学省さんとして何か新しい方向性を打ち出すようなことはおありなんでしょうか。

○倉見教育官
 細かいデータは今持ち合わせていませんので後ほど調べて事務局には伝えたいと思いますけれども、これをどういう方向に持っていくかというのは、今コミュニケーション教育推進会議というのを結成しまして、その会議のメンバーにはこの会長であります中村先生にも入っていただいて、これからどういう方向にもっていきたいかというのをまさに議論しておりまして、来年の春、5月ごろにひとまず1年間、今年から始めた事業ですので、その検討した結果についての報告をまとめる予定でございます。今まさにこれをどういう方向にもっていくかというのを検討中でございます。

○近藤局長
 知財計画には一流のクリエーターによる学校訪問や児童生徒のコミュニケーション能力を高める教育活動を通じ、学校教育において創造活動の機会や知財教育を充実すると書いてあるんです。これはまさにこうやって決めたんですから、学校に全部お任せしますとおっしゃらないで、是非こういう方向性を打ち出しながら、学校の自主性も取り入れながら進めるような仕組みづくりをしてください。

○倉見教育官
 今年から始めた事業については初年度だということもあり、学校の希望に沿ってやったものでありまして、これからどういう方向に詰めていくのかというのをこれから検討していきたいというふうに思っております。説明が悪くて申しわけありませんでした。

○大多委員
 やはりさっきの小学校中学等でいうと、内容が本当に大事だと思っていまして、先ほど杉山さんもオーケストラを見にいったとか、僕も何となく記憶にあって、歌舞伎と言いましたけれども、どうも学校で連れていってくれるのは、能とか、見にいってもどうやっても寝てしまうんです。隣の子としゃべっているかみたいな。あれも非常に重要なある意味体験だし、黒澤明さんの映画もある意味体験なんですが、やはりどこかでエンターテイメントというものに触れて、わくわくする。それはテレビや、勝手に子供たちはライブに行くというのもあるかもしれないですけれども、学校の授業でそういうことをしてしまう。月に1回ぐらいは必ず国が学校にそういうのを命じて、こういうのをやっていきなさいというぐらいやらないと、なかなか学校は、お母さん、お父さんから文句がくるのは嫌だし、特にエンターテイメント性の高い作品は何となく敬遠しがちになるんです。だからといって別にフジテレビの踊る大捜査線を見てくれとか、でも、TBSの宇宙戦艦ヤマトも、あれは当時公害が非常に問題になったときに、松本零士さんは放射能除去装置をとりにイスカンダルまで行くという、大変な壮大なテーマがあったんです。それも今公開しています。見ようによっては立派な作品なわけで、そういうつもりで見てごらんというふうに見ても、あれはあれで一つの立派な教育になるというふうに思うんです。だから、国のやることは、残念ながらすごく伝統芸能みたいなことばかりにいって、その辺が欠落しているなと思っています。そういうことを数多く、月に1回はやる。エンターテイメント性の高い作品も必ず半分は見るという、そのくらいやっていってもいいような気がいたします。

○別所委員
 僕も大多さんと一緒で、子供のときの原体験は非常に重要だと思うんですけれども、私のかかわっているショートフィルムの分野でいうと、以前どの時期の文化庁長官だったか、文化庁長官とか文部省の方とか文化庁の方とか、それから各地方行政の方に、ショートフィルムを見て読書感想文みたいに小学校、中学校の人たちがメディアリテラシーということも含めて映像を議論する。あるいはこの映像がつくりものである。だから自分で価値判断をつけなければいけないというような、21世紀に入って、もちろん読書感想文、活字から離れないということも重要なんですけれども、映像に対する免疫力をつけるということが一番、こうやってインターネットで何でも見られる時代、それを規制できないわけですから、人間がそれに勝つための抗体反応をつくるしかない時代に、そういうことをご提案したことがあるんですが。誤解を恐れず言えば、やっぱりたらい回しにあってしまうんです。例えば、それは行政のサイドでは挑戦してみたい。だけれども、学校の側が、あるいは教育委員会が、あるいは親が子供に見せるかどうかということを議論すると、結局落ちていかないんです。現場に最終的に僕がこういう提案をしたい、あるいは図書館でこういうことを定期的にやってみたい。あるいは、学校で、こういう授業といわないまでもやってみたいと思っても、要するにラベリングされて、賞を取っているとか、そういうものがないと難しいというような議論があったりして、では、文部科学省推薦というのがあればいいんでしょうかと言ったら、そうですというような方々も現場レベルで先生や教育委員会や、あるいは親御さんでもいらっしゃる。ですから、ある意味行政の立場というのは非常に有利なそういった一つのラベリングというか、一つの評価選定をするという、まさにランキングをできるという立場にいらっしゃるわけで、そういうことを活用した政策になってくれるとうれしいなと思ったりします。
 また、子供のときの話の中にあるのは、クリエーターをつくりたいのか、あるいは観客を育成するという話もあるんですけれども、是非、いつかこの場所でも言ったんですけれども、フランスでは映画祭に小学校から子供審査員というのを導入しています。かなりの暴力描写、かなりの性的描写も見せます。親がついていってガイドラインで見せる場合もありますし、そういったちゃんとトレーニングを受けた方が前後で説明をして、ショートフィルムなり、何なりを見せて議論させるという場があるんですけれども、僕はただ見せるだけではなくて、もう一歩積極的に、子供たちで議論させて賞を出させるとか、審査員をさせるとか、評価をさせて、先ほど言ったメディアリテラシー的な意味でいえば、このつくりものには負けないぞとか、ちゃんと自分なりの意見を持つぞとか、今だらだら同じように流されている横流しのニュースに対しても自分なりの抗体反応を持つ、そういう教育と映像というものがセットになった部分、つまり価値づけ判断のできる人間をつくるという視点も、クリエーターもつくるということと、未来の観客をつくるというのと同列であってほしいなと思ったりしています。

○川上委員
 人材育成ということに関して、何となくクリエーターというのが世の中から独立した職種であるかのような議論が進んでいると思うんですけれども、実際今の日本でアニメとかゲームとか、負けているのは、どちらかというと人材集約的な部分というのが中国にもっていかれていて、それで、ハイエンドの部分というのが、例えば3Dの技術であったり、アカデミックな領域の勝負になっていって、負けている、苦戦をしているというのが実態だと思うんです。アニメーターもそうですし、ゲームプログラマーもそうなんですが、もともとコンテンツが好きで、余り勉強はしていないんだけれども、とにかくすごい一生懸命つくっているという人たちが日本の今までのコンテンツを支えてきたと思うんですけれども、それが3Dになると、正直よくわからない。アカデミックな世界になってしまうというようなのがベースの足腰をすごく弱くしていると思っています。そこを強くするというのが日本のコンテンツ産業を強くするのに重要ではないかというふうに思います。うちももともとIT企業ですから、コンテンツをつくるといっても理系の人間のほうが多いんですけれども、大学生を見ても、数学的な知識が低いんです。卒業して何を勉強してきたのか。多分していないんだと思うんですけれども、コンテンツ好きという人が、アカデミックなベースになるような理系の知識を持っている人自身の数自体が日本の社会全体から減っているというのが問題だと思っています。多分それは長期的に日本のコンテンツの競争力を今後とも弱める大きな要因になると思うんです。コンテンツはコンテンツでもクリエイティブな部分というのは当然あるんですけれども、今後の競争というのは、ベースになる学力みたいな、底上げをしていかないと勝てないステージに入っているという認識が必要なんじゃないかなというふうに思います。多分僕はアニメの3Dの技術を、高校、大学で教えるとしても、それは多分アメリカ性の3Dツールの使い方を覚えるみたいな授業にしかならないような気がするんですけれども。そんなことをやるぐらいだったら、僕はもっと数学的な基礎知識を持った人材がたくさん世の中に出てきてほしい。そういう人間がコンテンツのところに就職を考えてくれるような施策が必要なんじゃないかなというふうに思います。多分今そういう人はコンテンツ業界を選ばないと思うんです、給料も安いし。

○大多委員
 今、川上さんの話を聞いていて全くそのとおりです。フジテレビにも、ドラマをつくりたい、映画をつくりたいという人間はたくさんいるんですが、例えば今私が管轄しているモバイルであるとか、インターネットというところになって、そこで何をつくるかといったら途端に理系の知識が必要になって、そこで立ちすくんでしまうんです。何かつくりたいイメージはあるんだけれども、そこから先どうしていいかわからないというようなことがあって、今まで理数系の方というのは基本的にはコンテンツ、クリエイティブなことはやらないという変な不文律が、僕だけかもしれませんけれども、何となくあった。文系がコンテンツをつくる。理系はそういうことはしないで技術を支えるということだったんですけれども、本当に強いコンテンツはこれからは確かに理数系の方がそういったクリエイティブ能力を持って、両方の力をあわせてつくるクリエーターが一番多分これから世の中、コンテンツ業界を制するんじゃないかなというふうに、聞いていて思いました。

○中村会長
 コンテンツ版COE、それから一流クリエーター学校訪問についての議論をしていくいただく中でも、もう既に2011の知財計画に向けてどういう項目を考えていかなければいけないかという議論になっておりますので、そういう議論を進めさせていただきました。コンテンツ版COEについては、まだまだ日本の高等教育機関、研究機関でコンテンツ関連の分野は手薄いと思いますので、戦略的な資源配分が求められますし、また、産学連携も手薄い部分がありますから、産業界と大学等との人材交流、あるいはプロジェクト化なども進めていく必要があると思います。また、今、川上委員や大多委員から指摘があったことというのは、では具体的にどうするかというと、ひょっとするとコンテンツのクリエーターなり、プロデューサーなりを育成する上でのカリキュラム、あるいは教育の体系というのを見直さなければいけないということなのかもしれないですね。これも後ほど議論になっていくかと思います。また初等、中等の創造、創作活動を充実させていくというのも、たくさんの意見がありましたとおり、手厚く対応をしていく必要があろうかと思います。
 もう残り時間は少ないんですけれども、資料1の4ページ目、5ページ目にありますような、では今後コンテンツ分野の人材育成に関してどのような検討課題があるのかということを事務局から頭出しをしていただいているんですが、これを今後またこの場でも煮詰めていき、次の計画につくり直していく、組み込んでいくということになるんですが、この段階でもっとこういった項目が重要ではないかとか、こういったことを検討すべきだということがあれば、頭出しをしておいていただければと思います。いかがでしょうか。

○久夛良木委員
 多分次回以降の議論になると思うんですが、今日の参加されている省庁の方々のお話をお聞きして、どうも芸術というか、アートの世界と、それからエンターテイメントの世界が一緒に語られているような気がするんです。ちょっとステレオタイプな話をすると、必ずしも全部がそうではないんですが、アートの世界は極端にいえば自分が納得すればいい世界で、100年後に納得する方がいてくれればいい。だけれども、エンターテイメントというのはもてなすということなので、基本的にはそこにはデザインというものが必ず存在して、その中にはもちろん芸術性というのがとても大事ですが、ちょっと違うものを要求することになる。先ほど、学校の子供たちに伝統芸能をたくさん見せると寝てしまうというお話をお聞きしました。確かに我々のように今の年になるとすばらしい芸術だとよくわかるんですが、この国の今後のコンテンツを考えると、川上委員が言われていることもそうだと思うんですけれども、コンテンツをデザインする力、そして人をもてなすというのはどういうことなんだ、ということを教育のプログラムの中でより強く出していただければよろしいかなというふうに思います。

○中村会長
 他にいかがでしょうか。

○別所委員
 前々回質問を投げて、今日皆さんいらっしゃっているんですけれども、例えば具体的に(資料1参考)という具体的な12番で、総務省さんがデジタルコンテンツ力創造事業として平成23年度概算要求に計上された5億円というのがコンテンツのまさに今日議論になった議題のCOEの形成促進というところに入っています。また、14ページにも、同じように同じ5億円の予算の中で総務省さんが3Dなど、映像云々かんぬんという話がある。僕は別に事業仕分けにきたわけではないので、このお金がどうということはないんですけれども、これが、例えば横の連携でどういうふうに、例えば知財のレベルで、教えていただきたいんですけれども、どうやって横で省庁を越えて、こういった今日のようなミーティング以外の場所では連携をされているということはあるんでしょうか。つまり、このかかる事業と、文科省や経産省の事業が、ではもっと一体的に一緒にやろうよとか、ここでここを一緒につないだ形で何かやろうということはあるんでしょうか。教えていただきたいんですが。

○中村会長
 実態としてありますか。

○近藤局長
 ないですね。ないからこういう本部をやるんです。こういう本部をきっかけにしていろいろな予算の連携を図ったり、それから協力をして、恐らくもともと省庁の仕事の立て方をしたときには、もっと典型的な、これはこの省の話、これはこの省の話というのがはっきりしていたんです。ところが、今や何省の問題かよくわからない。どこか省の間ぐらいのところというのが物すごく増えているんです。そういうものを調整するためにこういう本部をつくって議論し始めたので、これをきっかけに我々は言いたいと思うし、それからそういう協力をしたときに、内閣官房で私たちがいることで、これは財務省に対してこういう各省協力するものは協力してくれというのを働きかけたりもしますし、皆さんは財務省となかなか交渉しにくいところがあっても、我々であれば内閣官房という上級官庁ですから、財務省に対してそういうことは申し入れられる。こういうのをこつこつやるしかない。そういう意味では必ずしもまだまだ十分ではありませんけれども、今おっしゃったような各省連携みたいなところは、より力を入れながら調整をできるだけしていこう、こんなふうに思っています。

○別所委員
 是非それは、僕もそれがあると思ってこの会議の重要性を感じていまして、この会だけでご説明にあがっていただいて、この後横の連携でミーティングがなくて、局長がやるんだと、ありますと、そのために私たちがいるんですと、レイゾンデートルをおっしゃってくれているので、2011年のことをまとめるときに、是非議長にお願いしたいのは、そういう省庁を越えた何かプロジェクトが、この内閣官房のこの知財のミーティングでこう生まれたという、成果としてちゃんと総理に、上がるというようなものになっていただきたい。でないと、各省庁それぞれこういうふうに工程表があって、全部また横で線が引かれていて、共同で成果測定するものが何だかわからないというのでは、私たちが皆さんにお呼びいただいてかかわった部分がどこだったのかなと思ったりするので、是非お願いします。

○佐藤本部員
 今の議論はこの戦略本部の中で何度か議論されています。それで各省庁連絡会議というのもつくったことがございます。だけれども、実際動かない。これを何とかしない限り、幾ら組織をつくっても前に進まないというのが今までの繰り返しだったんじゃないか。今度は近藤局長がやるとおっしゃっていますので、是非その組織をつくるだけではなくて、連携していけるような、それでそれが実効性のあるような形に是非していただきたいというのが、長年、私ももう4年ここにおりますけれども、感じているところでございます。
 それから、もう一つは、実際にここで決めたとしても、施策が落ちていったときに省庁と省庁の間に落ちてしまった施策というのは、実際には動かないんです。例えば農商工連携と産学間連携、2つあって、実際それにかかわるような仕事があっても、各省庁にその玉がない限りどこへ行っても断られてしまう。したがって、それが落ちこぼれてしまうということが結構現場では起こっています。そういうことも実際に救えるような道をつくらないと、せっかくやる気があっても、いや、今年は経産省ではこういう方針しかありませんので受けられません。農水省へ行くとうちもそういうのはありません。できません。両方の間のものは救われないということになってしまうということを今現場で感じています。
 それから、もう一つは、今度は先ほどの専門人材の基盤整備推進ということでございますが、私もいろいろな事業でかかわっています。各大学、いろいろなプログラムをやっています。ただ、そのプログラムがそのプログラムで終わってしまっているんです。結果を報告書をつくって、各官庁に報告する。これが横に広がらないというのがもう一つの大きなところで、せっかくいい事業をやって、具体的な成果が出たものを、他で共有できるような場を是非つくらないと、単に一つ一つの細かい事業をやったということで終わってしまう。この辺も何とかしないと、せっかくの成果を広く活用できないのではないかというのが2つ目の話です。
 3つ目の話は、これが実際には、今事業の末端にいきますと、各省庁は民間団体なり管理事業団体、NPOに委託事業として投げる。それで委託事業を受けた管理事業団体が大学なり高校なり中学校とやるという形になっているんです。ところが、この委託を受けたところがしっかりやらない限りは成果が出ていないということが問題なんです。だから、計画があって、いいプログラムがあるんだけれども、現場サイドでは結果が出てこないという、そういう現象が末端では起こっているんです。それは本省の人たちが、多分見えていないんじゃないかというふうに思うんです。そういう点もしっかり見きわめないと、せっかくいい絵を描いて、実行したんだけれども、末端では結果が出ていないということが起こっている。
 それから、もう一つは、この委託事業が入札制度になっているということが一つ大きなポイントで、入札というのは公平だということで非常にいいんですけれども、昨今非常に景気が悪くなってきたもので、NPOとか、管理事業団体が安い金額で競争して落札しているんです。どう見てもこんな金額ではこの事業はできないような人かその金額で入札してしまう。受けたほうは落札された以上はやらさざるを得ない。そうすると、金額も足りないから実際には動かないというようなことも起こっているんです。そういう意味で、国レベルでやっている事業が本当の現場のところにちゃんとうまく回っていくようなところまで、誰が管理していくのか、推進していくかということも、実際のエンフォースメントの問題としてはあるということも是非ご検討いただきたいというふうに思っております。

○近藤局長
 時間もないので回答だけにしますけれども、今、佐藤先生がおっしゃった各省連携してやれというのはしっかり連携をしてやるし、それから間に落ちないように、この知財計画もいつまでに何省がどうするとはっきり書いてあるんです。これは間に落ちないようにいたします。それから、委託にしたら云々というのは、この事業の中でどこかに委託をしてやってもらうというような、そんなにプロジェクトは多くなくて、ほとんど各省が何をするかが書いてあるんです。ですから、それはもちろん委託にした結果十分でないものもあるかもしれませんけれども、決して計画、2010の計画も、それから今からつくろうとする2011の計画も、各省が、例えば委託先に投げてそれで終わりということではない。それは正しくご認識をいただきたい、こんなふうに思います。

○杉山委員
 問題点は佐藤本部員が言っていただいたんですけれども、ここでいつも食い違うなと思うのは、こちら側にいる人たちは物すごく現実に何が行われるか、中身を気にしているんです。大枠の題名で幾らということをおっしゃっていただくんですけれども、本当に現場で何が実際行われるか。その、行われる質がよくない限り、コンテンツは強化できないです。そこがもうちょっと実際に何が行われるかを理解できるとか、また我々も提案できるといいなとは思います。

○中村会長
 まだ皆さんからご意見あろうかと思いますけれども、今日いただいた意見、ご発言以外にもご意見等ありましたら後ほど事務局までお届けいただければと思いますし、私も気づいたアイデアなどを別途事務局に届けようと思います。ということで、時間が過ぎてしまいました。最後に近藤局長からコメントをいただければと思います。

○近藤局長
 今日もお忙しい中本当にありがとうございました。今日各省の方も来ていただいたので、改めてもう一回だけ申し上げますけれども、知財計画をつくるときには、誰が、いつまでに、何を、どうすると、はっきり書く。そして、約束をした手形が落ちたかどうかは、ちゃんと確認をする。そして、例えば2年後までにこれをやると書いたときにやれなかったら、バカなやつリストというのをつくって、何で私はできませんでした、私のここがあほうでしたというのを世の中に公表する、これが私どもの基本的な考え方でありますので、ちゃんとコミットをして、そして、ちゃんと実行する。コミットして、できることをちゃんとコミットするし、それから検討してどうなるかわからないものは検討してどうなるかわからないとはっきり書く。そういうことを是非これからやっていただきたいと思うところであります。
 もう一点だけ、今メインテーブルの方にだけお配りをしますが、今日資料を1枚お配りいたします。これはAPECの首脳会談でオバマ大統領が菅総理にプレゼントしたものでございまして、これは知的財産であります。実は、127年前に日本人が初めてアメリカで取った特許の複製の記念の特許証であります。実は、この127年前と私が丁寧に申し上げたのは、日本の特許制度ができたのが125年前なんです。日本の特許制度ができる2年前、何と神奈川県の花火師がアメリカに行って、花火をぼーんと打ち上げると、花火と一緒に風船みたいなものがふらふらと飛んでくる。2ページ目の絵です。こういうものを取っているんです。そのときには神奈川県にあったアメリカの総領事館がフルサポートをしてくれて、何と日米協力のもとでこういうことが行われているという実例なわけであります。これは総理がもらわれたという記事を見て調べてみた結果こうなりまして、総理に先週金曜日に、知っていますか、これは日本の特許制度ができる前ですよと。ちなみに、総理は弁理士でございますので、よく知っておられますが、127年前、高橋是清さんが初代の特記庁長官になる2年前の話です。非常に関心を示されて、そうかと、その頃から日米が協力していろいろなことをやっているんだな、世界に目を向けている人がいるんだなと、こんな話をしたので、参考までに写真をお配りいたします。私も正直いってこれは初めて見まして、びっくりしたのでありますが、これは私どもで本物を撮った写真でございますので、お配りをして、ご紹介申し上げます。ことほどさように、知財の問題、日米の首脳会議でも取り上げられることでありますので、引き続きよろしくご指導をお願いします。
 ありがとうございました。

○中村会長
 では、事務局から連絡事項をお願いいたします。

○奈良参事官
 ありがとうございました。次回は12月20日月曜日15時から、またここの場所で行います。次回はデジタル化、ネットワーク化について、電子書籍あるいは著作権制度上の課題などにつきまして、本日と同様に関係省庁にもご出席いただいて、議論を進めていきたいというふうに思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○中村会長
 どうぞよろしくお願いします。今日はご多忙のところ、ありがとうございました。関係省庁の皆さんもどうもありがとうございました。これで閉会をいたします。