コンテンツ強化専門調査会(第2回)議事録



  1. 日 時 : 平成22年11月24日(水)13:00~15:00
  2. 場 所 : 知的財産戦略推進事務局会議室
  3. 出席者 :
    【担当政務官】
    和田隆志 内閣府大臣政務官
    【委 員】
    中村会長、大﨑委員、角川委員、川上委員、久夛良木委員、佐藤委員、末吉委員、杉山委員、中山本部員、三尾本部員
    【事務局】
    近藤事務局長、上田次長、芝田次長、安藤参事官、奈良参事官、内藤企画官
    【担当府省】
    総務省情報流通行政局情報通信作品振興課 新井課長
    外務省経済局国際貿易課知的財産室 米谷室長
    外務省広報文化交流部文化交流課 赤堀課長
    文化庁文化部芸術文化課 山崎課長
    経済産業省商務情報政策局文化情報関連産業課 信谷課長


○中村会長
 では、ただいまからコンテンツ強化専門調査会第2回の会合を開催いたします。
今日はお忙しいところお集まりをいただきまして、どうもありがとうございます。若干遅れてこられる委員の方もおられるということです。
 本日は、コンテンツの海外展開施策について議論をしたいと思います。知財計画の中には、海外展開、それから、人材の育成、デジタルネットの対応といった、大きな柱が幾つかあるんですけれども、今日はその中の海外展開施策についてでございます。外務省さんが発行しておられる『外交』の新しいものが手元に届いたんですけれども、そこでも今回の特集が「文化外交とソフトパワー」とされておりまして、このコンテンツの海外展開というのが、産業政策だけではなく、文化政策、そして、外交といった分野への広がりを見せている、議論が高まっているところでもあります。
 まず、「知的財産推進計画2010」の進捗状況について、担当府省からヒアリングを実施いたしまして、知財計画の「2011」に向けた検討を今日は進めていきたいと思いますので、活発な議論をお願いいたしたいと思います。
 本日、大多委員、谷口委員、別所委員、それから、吉羽委員からご欠席の連絡をいただいております。
 また、知財戦略本部員から、中山本部員、三尾本部員にもご出席をいただいているところであります。どうぞよろしくお願いいたします。
 なお、今日は担当府省から、総務省情報通信作品振興課新井課長、外務省知的財産室米谷室長、外務省文化交流課赤堀課長、文化庁芸術文化課山崎課長、経済産業省文化情報関連産業課信谷課長にご出席いただいております。どうもありがとうございます。
 担当府省の方にも是非所管の枠を越えて自由にご発言いただきますよう、議論にも参加いただければと思っておりますので、よろしくどうぞお願いいたします。
 では、まず冒頭ですけれども、和田隆志内閣府大臣政務官にお越しいただきましたので、ご挨拶をいただきたいと思います。よろしくどうぞお願いいたします。

○和田政務官
 皆様、こんにちは。9月の終りでしたが、政務官に就任いたしました和田でございます。もう数カ月たっているにもかかわらず、ご挨拶が遅れて大変申しわけございません。
 このコンテンツ強化専門調査会、私自身もこういったものがあると事務方から聞いておりました際に非常に興味を持って、早く出たいなと思っておりましたので、今日はその時間がとれて本当に光栄に存じます。私自身も役人出身でございまして、外国へ出て日本のコンテンツについて、多くの外国の友人と意見交換もさせていただいたことがございますが、一言でいうとこの分野はまだまだ我が国捨てたものではない、これからもっともっと売りに出さなければいけないなというふうに思っている一人でございます。
 私の場合は、もう十数年前でしたが、タイで3年間、大使館勤務をさせていただきまして、外務省の方にも大変お世話になりましたけれども、その当時、財務省出身の者として行きますと、対外的な支援を全部の面で担当いたします。大きなプロジェクトでは円借款だったり、技術支援だったり、また草の根無償だったりしますけれども、そのあらゆるジャンルでよく出てまいりましたのは、日本のアニメの関心の高さでございました。前に事務方に申し上げたことがあるんですけれども、日本のアニメは方々で活用されていて、もっと間口が広がれば、もっと皆さん喜ぶのになと。私自身が、『一休さん』をタイ語で訳しながら皆さんの前でお話したことがございます。
 そういったことを経験しているだけに、この分野で是非とも皆様方のお知恵を拝借しながら、日本の一つの成長産業にしていきたいなというふうに思っているわけでございます。そんな中で、政府の中では知財戦略本部なるものを設けられまして、こうやって選りすぐりの事務方もついておりますけれども、まだまだ日本の政府部内での認知度を高めていく必要があると考えています。
 そういったこともありまして、この「知財推進計画2010」というものを決定しているわけですけれども、これを確実にかつ早く実施いたしまして、外国の皆様方にもっともっと日本がこの分野で注目を浴びられるように、そんなふうに考えていければと思っております。そういった意味で、今度は新たなる計画の「2011」を策定するということになってまいりますが、その面で皆様方から更にお知恵をお借りできればと思っております。私自身、担当者として全力を尽くす覚悟でおりますので、どうぞよろしくお願いします。
 以上でございます。

○中村会長
 どうもありがとうございました。
 では、まずコンテンツの海外展開施策の現状と課題について、事務局から説明をお願いします。

○奈良参事官
 それでは、ご説明させていただきます。
 まず、資料の確認をさせていただきたいと思います。議事次第の下に、資料1がございまして、概算要求調べという横のものでございます。それから、資料2が、A4一枚のものでございますけれども、今後のスケジュールについてというものでございます。それから、資料3でございますけれども、これも横表で、コンテンツの海外展開に係る課題についてという、全体の概況をまとめたものでございます。資料4につきましては、各府省からいただいた説明資料でございます。それから、参考資料といたしまして、前回出されました主な意見を簡単にまとめたものでございます。それから、参考資料2といたしまして、今日ご出席の方々の名簿でございます。
 それでは説明をさせていただきたいと思います。今日は海外展開でございますけれども、本題に入ります前に、資料1を簡単にご説明させていただきたいと思います。
 資料1につきましては、平成23年度の知財関係の概算要求をまとめたものでございまして、ここにございますように、「2010」関連予算として各府省において要求を行っているもの、全体としては約910億円ということで、前年度と比べますと、52.9%の増ということで要求をしているところでございます。個別の内容につきまして、後ほどヒアリングの際に出てまいりますので、省略いたしますけれども、この予算につきまして、今、各府省さんのほうで予算折衝に努力しているという状況でございます。
 知財事務局といたしましても、各府省に任せるというだけではなくて、財務省への申入れを行っているところでございます。財務省に対しましては、ここに書かれてあります予算要求につきましては、額は別といたしまして、予算を確保すべきであるというような申入れをしているところでございまして、財務省側も真剣に受けとめているものと理解をしているところでございますので、引き続き各省庁と連携をしながら、獲得に向けて努力をしてまいりたいと思っているところでございます。
 それでは、今日の本題のご説明をさせていただきます。その前に、すみません、資料2をご覧いただきたいと思いますけれども、今後のスケジュールということでございます。年内、11月、12月、3回予定をしておりますけれども、「2010」のヒアリングも含めながら個別のテーマにそって議論をさせていただきたいと思っております。
 また、年明けにつきましては、更に論点を絞って議論を進め、3月には「2011」に向けた骨子ということでおまとめいただければと思っております。また、議論のテーマにつきましては、今日の議論、その後の議論なども踏まえて、柔軟に対応させていただきたいと考えているところでございます。
 先生方には、大変お忙しいところではございますけれども、ご協力をよろしくお願い申し上げたいと思います。
 それでは、資料3をご覧いただきたいと思います。各府省からご説明いただく前に、全体につきまして、私からご説明をさせていただきたいと思っております。
 表紙を開けていただきまして、1ページ目、コンテンツの海外展開に係る現状と課題ということで、主に「2010」の内容を書いたものでございます。視点といたしましては、国内志向が依然として強い中で、当初から海外を前提としたビジネスモデルへと大胆に転換していくことが重要ではないかという視点でございます。
 主な課題といたしましては、左側にございますが、海外展開に対する資金供給ルートが限られている。あるいは、世界中で誘致のためのインセンティブ競争が展開されている中、日本が立ち遅れているというような問題。あるいは、国によってはコンテンツの規制、参入障壁が存在するという問題。また、コンテンツの魅力が総合的に発信されていない。こういうような課題があるわけでございます。
 それに対応するため、「知的財産推進計画2010」におきましては、今日後ほどお話を伺うものでございますけれども、まず最初に、ファンドを中心といたしまして、海外展開資金を供給する仕組みの創設。2点目といたしまして、国際共同製作あるいは国際共同製作協定の締結といった問題。それから、諸外国におけるコンテンツの規制緩和。4点目といたしまして、イベントの総合的発信。こういうようなことが知財計画に盛り込まれているものでございまして、今、各省庁で進めているところでございます。
 特に今日のヒアリングのポイントといたしまして、まず最初の海外展開資金を供給する仕組みの創設のところでは、ファンドにつきまして、現在調整中でございますけれども、早急に計画を固め、立ち上げていく必要があるという認識をしております。また、国際共同製作関係でございますけれども、総務省におきまして予算要求しているところでございまして、これが確保されることが必要であるというふうに考えております。また、インセンティブの在り方につきましても、実現に向けた検討を進める。また、国際共同製作について必要な中身を検討する必要があるというふうに考えております。また、文化庁におきましても、映画製作支援の中で国際共同製作についても支援をする予定でございます。
 それから、コンテンツ規制の緩和ということでは、韓国、中国との関係で緩和・撤廃を要請しているところでございますので、今後、実現に向けた取組が引き続き必要であるというふうに認識をしております。また、イベント関係でございますけれども、コ・フェスタを中心といたしまして、これにつきまして継続的に予算が確保されることが必要であると考えておりますし、さらなる機能強化ということも図っていく必要があると認識をしているところでございます。
 2ページをご覧いただきたいと思います。「2011」に向けましてさらなる検討課題ということでございます。もちろん、今申し上げた「2010」に書かれたことを着実に実施していくことが重要であるわけでございますけれども、その他更に新たに、あるいは、深掘りして検討すべきと考えられる課題例ということで、事務局のほうで出させていただきました。
 まず1点目、映画に加えまして、テレビあるいはネットを通じた海外展開というものが更に必要ではないかという視点でございまして、例えばドラマの海外販売ということで申しますと、必ずしも権利処理にあたっての国内関係者のコンセンサスが十分に形成されていない。あるいは、現地語への翻訳ということではまだまだ足りないのではないかということ。それから、ネットを最大限に活かした我が国のコンテンツビジネスもまだまだ足りないのではないか。例えば電子書籍につきましても、海外展開を図っていくことが可能なのではないか。
 2点目といたしまして、イベント等を活用したさらなる発信の強化ということで言いますと、1点目、国内のイベントにつきましても、国際的な認知度を更に高める必要がある。2点目といたしまして、海外におけるイベント、こういったところでも発信力の強化の必要があるということ。例えば、パリのJAPAN EXPOでは非常に成果を上げていると考えておりますけれども、それ以外の国におきましてまだまだ十分ではない、あるいは、現地での民間企業を含めたサポート体制という意味ではまだまだ十分ではない。それから、現地の言葉で日本のコンテンツの最新情報を伝えるようなサービスということはまだまだ足りないのではないかということなどがあると思います。
 更に、3点目といたしまして、人材育成という観点からは、世界展開を見据えて総合的にプロデュースできる人材の問題、あるいは、法律家の問題などがあろうと思っております。これに限らず、委員の先生方から「2011」に向けて積極的なご意見をいただければと思っております。
 それから、3ページ目でございますけれども、後ほどお話いただきます「2010」の進捗状況でございます。黄色いマーカーをしている部分が今日主にお話を聞く部分でございまして、1番目が海外展開資金を供給する仕組みということ、3番目は国際共同製作の支援ということでございます。
 4ページにまいりまして、4番が国際共同製作協定の関係でございます。
 それから、5ページ目が、国内外のイベントを活用した総合的発信ということで、総務省、文科省、経産省、国交省、外務省でございます。  6ページにまいりまして、8番目が、諸外国における日本のコンテンツ規制の緩和という問題でございます。後ほどヒアリングの際などに適宜ご参照いただければと思っております。
 それから、議論の参考といたしまして、7ページでございますけれども、コンテンツ産業の現状ということで、以前もお出しいたしたものでございますけれども、コンテンツ産業の海外売上の日米比較でございまして、アメリカと比較いたしますと、まだまだ低いというような状況。あるいは、日本に比べまして、アジア市場は伸長している状況ということで、ここに更に進出していける可能性があるのではないかということでございます。
 それから、8ページ目でございます。これも以前お示ししたものでございますけれども、各国、インセンティブとしてどういうものをやっているかということでございます。例えば、フランスは課税を財源とする、あるいは、イギリスは国家予算あるいは宝くじを財源とした支援、それから、韓国でも高額な数億円の支援というようなことがございます。また、オーストラリア、ニュージーランドは誘致を促進しておりますけれども、税控除とか助成制度を設けているといったようなことがございます。また、カナダ、アメリカにつきましても、連邦税を控除する、あるいは、州単位での支援が非常に充実しているという状況があるわけでございます。
 それから、9ページでございますけれども、各国の国際共同製作協定に関する状況ということでございます。国際共同製作協定を結ぶことによって、あらかじめ認められる要件を明確にしておくということでございまして、これによりまして、メリットといたしましては、例えば数量規制があるような場合にはその対象外となることができる、あるいは、お互いの国の色々なインセンティブを受けることができるということ、あるいは、撮影誘致にもつながりやすい、こういったメリットがあるわけでございます。
 概況といたしまして、下のようにカナダ、フランスなど、それから、中国、韓国も最近は積極的に取り組んでいるというような状況でございます。アメリカの場合は共同製作協定はないようでございます。また、我が国におきましても、カナダとの間で共同声明とか、あるいは、民間レベルではユニジャパンとの間でそういった取組があるというふうに伺っております。
 10ページにまいりまして、最近の国際共同製作の例でございます。従来はインディペンデント系の作品が多かったわけでございますけれども、最近は『レッドクリフ』、『サイドウェイズ』、『レインフォール』といった、メジャー系の作品も出てきているところでございます。しかし、結果といたしましては、必ずしも期待に添った結果が出ているわけではないというような状況でございます。一方で、この中には、興行収入10億円を超えるヒットでありますとか、映画祭で高い評価を受けているものも出てきているということでございまして、国際共同の経験を積み重ねていくことも重要なのではないかというふうに思っているところでございます。
 11ページにまいりまして、各国の外国コンテンツに対する規制の例でございます。例えば、フランスではEU製の番組が放送時間の50%、更にはその中でフランス製番組が40%というような取り決め。あるいは、中国では、地上波のプライムタイムにおける外国番組比率の制限とか、あるいは、国外製作アニメに対する制限、それから、外国映画の輸入枠といたしましては、基本的には一般的なものは年間20本ということで、そのうちのかなりの部分をハリウッドが占めているというようなことでございます。また、外国製ゲームの輸入も禁止されているということでございます。また、韓国につきましては、地上波における日本ドラマの放送がまだ解禁されていないというような状況がございます。
 最後が11ページでございますけれども、コンテンツの総合的発信例ということで、コ・フェスタ等でございます。毎年かなり成果が上がっているということで、コンテンツに限らず、ファッションでありますとか、あるいは、通信、エレクトロニクスの見本市であるCEATEC、こういったものとも組み合わせまして、その効果を高めているということでございますけれども、きちんと予算を確保し、更に技能、評価を高めていくことが必要であるというふうに考えているところでございます。
 以上、概況でございました。よろしくお願いいたします。

○中村会長
 ありがとうございました。
 今日は、前半戦と後半戦に分けて議論をお願いしたいと思っておりまして、前半は担当府省からのヒアリングです。項目ごとに担当府省から説明をいただいた後に、個別に質疑を行う予定になっておりまして、ヒアリングが一通り終わりましたら、後半にまとめて海外展開に関する今後の課題について、全体で議論を行いたいと思いますけれども、その際にも担当府省の方々にも引き続き議論に加わっていただければと考えております。
 今日のヒアリングですが、先ほど説明をいただいた資料3の1ページ目をご覧いただきますと、その右側に海外展開資金を供給する仕組みの創設、国際共同製作促進の支援、それから、諸外国のコンテンツ規制の緩和、国内外のイベントを活用した総合的発信と、4つの柱が並べてありますけれども、これに沿って一つずつヒアリングをしてまいりたいと思います。
 まずは、最初の海外展開資金を供給するための仕組み、これは同じ資料の3ページ目に出てきます工程表の1番にあたるものですね。これについて経済産業省からご説明をお願いしたいと思います。よろしくどうぞ。

○信谷課長
 経済産業省文化情報関連産業課長の信谷でございます。よろしくお願いいたします。
 コンテンツ海外展開ファンド組成という項目が今どうなっているかということでございます。現状をご説明します前に、ファンドをどういう基本的な考え方でやろうとしているかというところから説明させていただきます。
 まず、映画などの映像作品をつくる際には、一般的に企画・開発の段階、それから、製作の段階、そして配給というふうに、3つぐらい段階があるわけでございますけれども、この知識を前提にしてご説明しますと、日本のマンガ、アニメ、小説、古い映画といったものを本格的に海外展開するためには、海外で通用するようにストーリーやキャラクターの設定を見直して、まず魅力的なパッケージをつくることが必要でございます。それは企画・開発段階でございます。この魅力的なパッケージができれば、製作、配給に必要な費用は国内外の民間によって賄われるのが原則であると理解しております。他方、現在、我が国には国内市場向けに企画・開発を行う費用を出してはおりますけれども、海外市場向けに企画・開発をする費用を出す仕組みというのは存在しないのではないか。あっても非常にレアケースではないかと理解しております。
 このため、私どもとしては、マンガ、アニメ、旧作映画といったものの企画・開発費用を出資するファンドができないかということで、いろいろな議論を重ねてきております。これをつくることによりまして、これまで国内向けであった我が国コンテンツ産業に本格的な海外展開を行う仕組みを組み込んで、産業構造を変えていこうと考えております。本日、知財本部で配っていただいた資料3の一番最初に「視点」と書いていますけれども、ここにありますように、国内志向が依然として強い中、当初から、これでいくと企画・開発段階から海外向けを前提としたビジネスモデルをやっていくと、このための呼び水としてファンドをつくっていこうということで進めております。
 準備状況でございますけれども、当然ながら、ファンドでありますので、ファンドマネージャーの出来によってその成績が大きく左右されます。コンテンツの海外展開は、これまで散発的、偶発的であったために、企画・開発段階から一貫して戦略的にコンテンツの海外展開を事業として行っていたという方は、正直申し上げてなかなか見つけにくいというのが私どもの現状でございます。このため、現在、海外の人材も含めてファンドの担い手となる人の人選に時間を要しております。そうは言いましても、基本設計人選について我々だけでやっているわけではございませんで、出資元の有力候補の一つと考えております産業革新機構というのがございますけれども、こういうところなどと内々議論を進めているところでございます。できるだけ早く立ち上げていこうと思っております。
 以上でございます。

○中村会長
 どうもありがとうございます。
 今の説明にご質問ある方は挙手をお願いいたします。どうぞ。

○佐藤委員
 今ご説明いただいたところで、海外にコンテンツを展開するためのファンドの組成というのは、既にマスコミでも3月の段階でも報道されましたし、大変期待をして映画製作者としても待ちわびております。
 課長の方から説明がありましたが、もう少し具体的なスケジュール感、並びに、ボトルネックが人選という話が出ておりましたけれども、その人選に関してどういう部分がボトルネックになっているのか、解決されるための具体的な手立てを講じているのであれば、その手立て。また、どういった規模感で組成するのか?デベロップメントというお話がありましたけれども、本来はデベロップメントだけではなく、製作・ディストリビューションを含めて映画製作全体の中でイニシアチブを持つためにファンドは必要ではないかと私は思いますが、企画・開発という形になぜ限定するのか。以上お尋ねしたいのですが。

○信谷課長
 4つご質問をいただいたと思います。ボトルネックは何か、その解決策は何か、それから、ファンドの規模感、それから、なぜ企画・開発段階にフォーカスするのかということでございます。
 まず、ボトルネックでございますけれども、少しさかのぼって、新聞記事のお話があったと思うんですが、あの記事が出ました後に、コンテンツ業界も含め色々なところからレスポンスがあったわけでございまして、ファンドをつくるべきであるというご意見もございましたし、逆にそうしたファンドはつくるべきでないというご意見もございました。つくるべきでないという議論は、民間で金が集まらない映画に国が金を出すというのは、マーケットをゆがめるし、国の損失になるのではないかというご懸念から、こういうのはつくるべきではないというご議論がございました。
 そうした観点を踏まえて、中でもう一度しっかりと議論を練り直しまして、先程申しましたように、海外向けに企画・開発をするところは産業構造としてまだ成立していないというところに着目しまして、ここをやるのであれば国の役割としてよいのではないかということで、今申し上げたようなアイデアになってきたわけでございます。従って、企画・開発に限って、そこしかやらないというところまで踏み切っているわけではないんですけれども、そこを中心に物事を考えていこうということで今やってございます。それが1つ目。
 それから、ボトルネックでございますが、先程申しましたような人材でございます。非常に難しい問題で、ファンドである以上、今持っていらっしゃる仕事を一たん外れていただいて、こちらに専念していただく必要があるわけでございまして、日本で初めての取組に飛び込んできていただくということは、なかなか決断の要ることだと思っています。非常に幅広く色々な方に話を聞いておりまして、先程少し出ました産業革新機構さんも一つの有力な出資候補ということでございますから、ここにも相談をして、今、人選を進めております。できるだけ早くやっていくということ以外ございません。
 それから、サイズでございますけれども、新聞では100億と出ました。当時、数字を決め切ったわけではなかったのでございますけれども、企画・開発段階にフォーカスするとなりますと、必要額はそれほど大きくないのが常識でございますので、最初は小さな規模で始めて、軌道に乗ってきたらだんだん大きくしていくということで考えようと思います。まだ出資者は決まっておりませんので、額についてこの場で申し上げるのは差し控えさせていただきます。
 以上でございます。

○中村会長
 他にいかがでしょうか。

○佐藤委員
 スケジュール感についてはいかがでしょうか。

○信谷課長
 失礼しました。スケジュールは、我々がそれを執行したり法律をつくったりということではなくて、出資者を集めてくるものでございますので、私のほうでいつということは申し上げにくいのですけれども、現時点では今年度中に設立のめどをつけたいと私は考えております。

○佐藤委員
 企画・開発云々というところに関しては理解できました。そのスピード感というところなんですが、既に海外のコープロ(共同製作)に関しては、民間で幾つも案件が進んでいます。それを支えていくファンドがなければ、大型映画の誘致というのも、厳しい状況になるでしょう。といいますのも、アジアに関して申し上げますと、ここはマーケットだけではなくて、タイとかベトナムというのは大型映画の誘致の競合国にもなりうる国です。例えば、ハリウッドと共同製作で映画をつくろうという時、税制の問題とか、ファイナンスでファンドがあるのかというのは、成長戦略の柱でもある外貨を獲得するために戦っているビジネスのプロデューサーサイドからいくと、その競争はカナダ、ニュージーランドを始めもう既に始まっております。2010年度中の設立というところに関しては、是が非でも、まず一歩ということでも結構です、この国が海外との共同製作を明確に積極的に進めるんだというメッセージも含めて打ち出していただければと思います。是非お願いします。

○中村会長
 どうぞ。

○角川委員
 企画・開発の話とファンドの規模の話というのは一体だと思っています。ファンドが、金額が小さいので企画・開発に限るということであれば、それは仕方がないなということだと思うんですけれども、企画・開発をするからファンドは小さくていいというのでは、話は逆だと思うんですね。映画というのは、製作と、それから、配給、宣伝プロモーションというレベルまで外国の映画産業支援はいっています。
 例えばスペインなどでも、角川もスペイン映画『女王フアナ』を輸入して公開したんですけれども、プロデューサーが指定すると、海外で売れた国のうち3カ国を選んで、宣伝費を還元してくれるんです。つまり、自国映画の支援という点で製作を援助するにとどまらず、上映まで手伝わないと自国の映画が公開されないという認識のレベルまで既にいっております。例えば、フランスなども日本市場における我々の最大のライバルは韓国映画であると。韓国映画が伸びるとフランス映画は縮小するし、韓国映画が衰退するとフランス映画が伸びると。つまり日本というマーケットにおいて、それぞれの国が既にその国の中での競争をしているんですね。ですから、勝ち抜くためにプロモーションについても応援すると、そういうレベルまできているんです。
 ですから、是非経産省さんにおいては、ファンドが小さいので企画、開発に限るという論理にしていただきたいんですね。もともとアーティスティックな作品は既に文化庁からそういう仕組みをしようと。特にアーティスティックな作品、つまり芸術的な作品は新人養成という点もあるので、金額もそんなに大きなものでもなくてもいいということだったと思いますけれども、経産省がやるほうはメジャーな作品をつくっていこうと。前年の津村さんが担当された時には、成功した金額が何億、それを何本つくるんだというレベルだったと思うんですね。資料もございますけれども。そういうレベルで考えると、どうしても間に合わないので今年度は企画・開発にしたいと、来年度は製作にいきたい、再来年は海外で上映された場合には宣伝プロモーションまで応援するというところまで是非いっていただきたいというのが僕たちの要望であるべきだと思います。そういう全体感というのはよろしいでしょうか、そういう全体感を共有させていただきたいんですね。

○中村会長
 信谷課長、そのあたり、ファンドを今回そういうベースで発足させるけれども、中長期的にもっていきたいというようなイメージというのはありますか。

○信谷課長
 ファンドでございますので、一たん投資家と投資段階で約束をして、後はそれに従って運用をしてリターンを返していくと。ファンドでございますので、投資家にしてみればリターンがあることが前提でございますので、ファンドの仕組みを途中で変えるというのは普通はないと理解しております。従って、あるとすれば別のファンドをつくっていくというのが、ファンドの議論では筋ではないかと思います。
 一般論としてそうだと思うんですけれども、この先どこまで国が応援するかというところはよく議論をする必要があると思っております。と申しますのは、先程申しましたように、コンテンツ業界の中にも色々なご意見があるというふうに認識しておりまして、まず企画・開発のところであれば皆さんコンセンサスがとれるんだと思っておりますけれども、その先どこまで産業政策として応援していくのかというところは、色々な意見を踏まえて決めていくべきことだと思いますので、今この場で将来にわたってプロモーションのところまで私のところでできるかどうかというのはよく考えさせていただきたいということだと思います。

○中村会長
 わかりました。
 角川委員からも指摘がありましたので、知財本部としてこれをどう考えるのかということは議論しておかなければいけないと思いますので、また後ほどの議論のところでも議論したいと思います。 はい、どうぞ。

○大﨑委員
 少し論点がずれるかもしれないんですけれども、企画・開発というか、何が当たるかはわからない世界で、官がそこに登場するというのはどうかなと思うんです。過去の実績でいうと、イギリスにティームファンドというのがありまして、それはいわゆるプレセールを行って、リスクを限定していくことでファンドを運用していったと。そういうことで言いますと、企画・開発ということよりも、いわゆる配給機能を日本としてどう持つんだ、どこと組むんだということを構築しないと、恒常的にファンドを運用していくことは不可能ではないかなと思うんです。
 現にメジャーの配給会社が、佐藤委員や角川委員にはあれなんですけれども、配給会社が世界中に、100億、200億で映画をつくっても1,000円、2,000円でペイするシステムをつくっています。日本はそのサイズの映画はなかなかできにくいです。でも、3億、5億ぐらいの映画で、あれは確かマードックさんの娘さんがなさっているネットワークだと思うんですけれども、日本の映画のサイズで全世界にネットワークをつくっているというような会社もございますので、そこをどう向き合って日本が配給機能をどう持つんだと、そこを確定しないと恒常的なファンドの運用というのは難しいのではないかなと思います。

○信谷課長
 ただいまの大﨑委員のご指摘は非常に重要なので、少し補足させていただきますと、先程ファンドの中身についてはあまり立ち入らなかったんですけれども、ファンドの運用にあたってまさにご指摘の点が一番大事だと思っております。売れるかどうかわからない企画を開発して積み上げておくというのでは、これは全く機能しないと思っております。配給機能と言いますか、日本のオリジナルを持っている人にちゃんと交渉して、これを海外でつくってよいかという交渉をしてくるところから始まって、これを海外に持っていって、どの配給に乗せるのかというところまで一気通貫でやる仕組みが、組織として日本でやったことはあまりないんだと思います。
 皆さんだんだん始められていますけれども、時々そういうのが当たるというだけでありまして、原作者の権利を解きほぐすところから、海外と一緒につくって売っていくところまで、ここを繋ぐような組織がないといけない。従って、ファンドは企画・開発のお金を出すだけではなくて、そういうことを担って、そのノウハウを組織としてため込んでいくということを狙いにしておりまして、これを5年10年やれば、そういうことを組織としてやった人材が育ってきますので、日本の産業を変えていくきっかけになるんだろうと、こう思ってやっております。
 ありがとうございます。

○中村会長
 どうぞ。

○近藤局長
 今の議論で、そもそもそれだけリスクがあることに国が関与するべきかどうかという議論はもちろんあるんです。あるんですが、それは今年の5月に「知財計画2010」をつくった時に、「海外展開資金を供給する仕組みの創設、海外展開資金を供給する仕組みとしてファンドの迅速な設置を行うとともに、民間資金によるコンテンツ製作への投資を促すため、投入された資金の使途の透明化や税財政上の支援の在り方を検討する」と、これをやりましょうというのは既に決めていることでありまして、そもそも国がこういうファンドをつくるべきかどうかというところは、恐縮ですけれども、今のこの場面でおっしゃっていただくのは私は一周遅れのような気がしていたします。
 今の点はやや信谷さんに応援をしたんですが、もう二点ほどあえて苦言を呈したいのは、一つは、企画・開発に限るというところは、もともとの議論の中で企画・開発に限っていなかったはずなので、何で企画・開発に限るのかということをもう少し説明してもらわないと、よくわからないというのが一点目。
 それから、先ほどの議論を聞いていると、企画・開発でまずは始めて、いずれはもう少し、小さく産んで大きく育てるんだと思っていたんだけれども、小さく産んだら小さいまま、大きく産まないと大きくならないよというんだったら、企画・製作のところだけまずはやってということでは、「うん」となかなか言いにくいなというのが2点目であります。
 それから、3点目は、スケジュール感で、年度内にファンドをつくるということは、そうすると実際には来年度早々からは動くのかどうか。どういうタイムテーブル、どういうスケジュール感なのかというのは、実際に一体いつからお金を入れてもらえるのというのがよくわからない。そこを是非教えていただきたいと思います。
 この場面は、私たちはあなた方の応援団でありまして、政府としてこの本部で決めて進めようということでありまして、やめろと言っているのではなくて、私たちはやれと言って応援をしているのでありますから、是非そう受けとめていただいてご回答いただければと思います。

○信谷課長
 心温まる応援、ありがとうございます。
 企画・開発に限っていこうというのは、確かに去年の段階で決まっていなかったんですね。では、どこまでやるかというのは決まってなかったというのが当時でありまして、なぜ企画・開発に集中しようかというのは、先程申し上げたような色々な意見があって、日本の産業構造を見た時に、政府としてまず手をつけるべきはここではないかという議論はみんな一致するところなんですね。従って、そこから始めようということが企画・開発段階にまず絞った理由であります。
 製作段階、あるいは、宣伝費用まで国が出すかどうかというところは、製作段階のところは色々な意見がございます。出さなければ日本の権利者が映画制作段階で得た収益を還元してもらえないのではないかと、そこに入らなければ本当のビジネスはわからないのではないかという議論もございまして、製作段階のところは、ファンドをつくった時に何らかお金を出せる仕組みをつくったほうがいいのではないかという議論が非常に強くあることは事実でございます。これは今この段階で排除すると決めきったわけではございませんで、企画・開発段階にまず集中してつくっていこうと。
 その先どこまでいけるかは、今、最後の議論の段階でございます。何分出資者がいる話でございますので、出資者のほうで製作段階にも金を出してリターンをとっていこうということになるのかどうかというところ、最後見極めなくてはいけませんので。従って、今の段階ではどこまできっちり出しきるのかというところは申し上げにくいのが正直なところでございます。従って、小さく産んで大きく育てるのところも、最後、投資家とどういう議論を仕切れるかというところになっておりまして、できるだけ色々な方のご期待にこたえることでやっていきたいと思っていますけれども、そこには色々な意見がございますので、最後決めきる時に、省内幹部ときちっと議論をした上で仕上げていこうと思っております。
 それから、スピード感でございますけれども、これも先程少し申し上げましたが、私どもの執行ツールではなくて、投資家が最後「イエス」と言うかどうかというところによってしまいますので、そのために私のほうから「責任持っていつまでにつくります」ということを申し上げにくいのが現状でございます。ただ、来年度早々に設立するというつもりでやっていますので、年内には大まかな案をまとめないとそこにはいけませんので、主な出資者の一つとして想定している革新機構とそういうペースで議論をしているところでございます。お金をいつ出せるかは、設立次第速やかにということになると思います。
 以上でございます。

○中村会長
 ファンドの件は、私どもとしても目玉施策の一つでありますので、早く強く進めていただきたいと考えているんですけれども、この話だけで今日終わってしまいそうな気がしてきましたので、ひとまず次に進めさせていただければと思います。
 次は、同じく工程表3番、4番にあります、国際共同製作促進の支援、国際共同製作協定の締結について、経済産業省、文化庁、総務省、外務省の順にご説明をお願いしたいと思います。総務省におかれましては、1番の海外展開資金についてもその時に併せてご説明をしていただければと思います。
 では、また信谷さんからお願いできますか。

○信谷課長
 私ばかりで恐縮です。手短にやらせていただきます。
 国際共同製作支援、国際共同製作協定の検討状況でございますけれども、検討すべきとされましたので、早速情報を集めまして、今日知財本部の資料にもありますけれども、英国、オーストラリア、ニュージーランド、カナダといった諸外国の制度に関して情報収集を行ってみました。それから、我が国の産業界にニーズヒアリングをやりまして、大きな会社から独立系のプロデューサーの方まで色々な方に、どういうニーズがあるのかということを、夏から秋にかけてずっとやってきております。
 協定の中身は先程ご説明があったので省略しますけれども、そういった情報収集と、ニーズヒアリングの結果、文化庁さんと議論をしまして、今、文化庁さんで持っておられる文化芸術振興費補助金というものがございます。これまでは日本映画のみを想定していたものですけれども、今度から国際共同製作についても対象になるよう、予算要求を行っていただくということをお願いいたしております。この運用については私ども経済産業省でもしっかり責任を持ってやっていくということで、省庁連携してやっていこうということで考えております。この補助金が確保できましたら、来年度以降、協定として何を結ぶかという議論ができるものと考えております。
 以上でございます。

○中村会長
 続いて、山崎課長からお願いします。

○山崎課長
 文化庁芸術文化課長の山崎と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 文化庁では、従来から映画の製作支援を行っておりまして、オペラとかバレエとか他の芸術分野と同じように、芸術創造活動特別推進事業というものがありますが、その中の一つとして映画制作への支援を行っておりました。ただ、今、信谷課長からもお話ありましたように、従来の私どもの制度では日本映画の振興ということで、必ずしも国際共同製作支援を排除はしていなかったんですが、総合的に判断して著作権が日本に帰属するものという制約がございました。先般、「知財計画2010」で国際共同製作の支援を促進するということで、この担当府省のところに文化庁は挙がっておりませんが、信谷課長のところ、経産省さんとも連携しつつ、その後いろいろ相談をして、私どもの映画製作支援の事業を拡充するような形で、国際共同製作についても支援をするべく概算要求を行っているところでございます。
 ただ、従来の枠組みもそうでございますが、あくまで申請主義をとっておりまして、国際共同製作にあたるとなったから自動的に支援を受けられるということではございませんので、従来から、必ずしも商業ベースに乗らなくても、芸術性の高い映画については、芸術文化の振興の観点から支援をしていくという、その枠組みの中で支援をしていきたいと考えております。
 概算要求の額でございますが、映画製作の支援が約7億、それと別にアニメーション映画の製作支援として約2億、合わせて9億、正確にいうと合わせて9億2,400万円でございますが、その中の内数ということで、映画製作についても国際共同製作支援という枠組みで要求を出しているところでございます。具体的にどういったものが国際共同製作の映画として認められるかについては、経産省さん中心に今詰めているところでございます。
 簡単ですが、以上でございます。

○中村会長
 続いて、総務省の新井課長からお願いします。

○新井課長
 総務省の新井でございます。
 お手元の資料4の1ページ目をご覧ください。総務省といたしましては、コンテンツの海外展開施策につきまして、大変重要な課題と認識しております。と申しますのは、新成長戦略におきまして、クールジャパンの海外展開ということが「21の国家戦略プロジェクト」に位置付けられ、海外の番組枠の買取りとか、デジタル配信の強化、規制の緩和・撤廃、海賊版の防止、あとは、番組の権利処理の迅速化、それから、民間の地域産品の売込みや、海外ビジネス展開支援等を行うと書いております。この新成長戦略を踏まえ、また、知的財産推進計画、中村先生におまとめいただきました海外展開と人材育成とデジタル化・ネットワーク化、この3本柱がございますが、それに沿った形で総合的な対策を行っていきたいと考えております。
 海外展開でございますけれども、原口大臣の下のICT政策に関するタスクフォースの中でも、デジタルコンテンツ発信力の強化ということで、海外展開を積極的にやっていくべきではないかというご提言をいただいております。1つは、コンテンツ海外展開促進コンソーシアムということで、民間主導の放送コンテンツのグローバル展開や、アジア各国等の人材交流を含めた共同製作等を支援するコンソーシアムを設立すると。それから、イベントは後ほどまたご説明します。それから、国際共同製作の地域コンテンツ海外展開、これは元気枠で4.5億円で要望しております。それから、地域コンテンツの海外展開4億円ということで、8.5億円の要求をいたしております。
 現在の取組の状況について簡単にご説明をさせていただきたいと思います。地域コンテンツの海外展開は、成長戦略の海外の番組枠の買取りというふうに位置付けられているものでございますけれども、全国を11ブロックに分けまして、民間の関係者、これは自治体さんが47、それから、125の放送局、90の番組製作会社、それから、観光協会さんが29、観経連さんとか、そういった経済団体さんが11、その他、商工会議所さんとか運輸関係の団体さん、そういったところから構成されます協議会といったものをつくりまして、そこが地域でどんな情報を出したいのかというのを選定しております。今月の26日から2月にかけて韓国を皮切りに海外で放送する予定でございます。具体的には、中国では上海メディアグループで10チャンネルをとりまして、韓国では13番組ですね、13枠、それから、台湾が11枠、衛星のほうが10枠をとって、全部で44枠で30分番組を放送する予定でございます。
 そのプロジェクトを推進することによりまして、我が国の認知度の向上とか、地域産品のブランド力の向上、そういったような地域経済の活性化等の効果が期待されるわけでございますが、その過程のつくっている中でわかってきたことを若干紹介させていただきたいと思うんですが、本日の知財本部でまとめていただいた資料3の1ページにあるんですけれども、国内志向が依然として強い中、当初から海外向けを前提としたビジネスモデルの展開、これは大変重要なことではないかと思っています。と申しますのは、放送番組につきましては、海外を対象としたものと国内を対象としたものではつくり方が全然違ってきているというのが、実験を通じて徐々にわかってきていることでございます。
 もう一つは、諸外国の規制の問題が大きいのではないか。それは番組の内容にかかる規制もございますし、総量規制のような枠の規制もございます。そういったことを解決していく必要があるのではないかなと考えておりまして、新規で4.5億円、国際共同製作による要求をしております。これは実際にあった話でございますが、中国の枠をとる際にも、枠取りというとハードルが高いのでございますが、そこは共同製作にしてくれと現地から言われたという話もございますので、地上波とか、いい時間帯とか、そういったところをとるには共同製作というような、一種便法でございますけれども、そういったものも活用しながら、海外の番組の枠取りと共同製作とをセットで、トータルで、色々な手段を通じてやっていく必要があるのではないかということが徐々にわかってきていることでございます。
 それから、資金の話でございますけれども、現在、地域におけるコンテンツの利活用につきまして、資金が地域に還流するような仕組みづくりとか、人材育成の方策とか、そういったことを調査・検討する調査研究を行って検討していきたいと思っております。
 以上でございます。

○中村会長
 ありがとうございます。
 では、外務省の赤堀課長、お願いいたします。

○赤堀課長
 外務省文化交流課長の赤堀でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 外務省といたしましては、関係省庁と協力しながら、国際共同製作協定の締結について検討を進めております。引き続き、今日テーブルされました結果なども踏まえながら、国際共同製作自体の重要性は言うまでもないことでございますので、それを一層進める上で協定の締結が極めて有益であり、かつ、この国と締結することが極めて有益であるというようなところを探して、そういうところについて関係省庁とご協力して進めていきたいと思っております。
 以上でございます。

○中村会長
 ありがとうございました。
 一通りのヒアリングが済みましたけれども、ご質問ある方はお願いいたします。
 どうぞ。

○大﨑委員
 オーストラリアの例を見るまでもなく、税の優遇が共同製作には必須のものだと思いますので、国による優遇というのは是非お願いしたいことだと思います。私どももちょろちょろ動いていまして、先ほど新井課長がおっしゃったSMGさんと万博前と万博終りでいろいろ交渉しまして、コメディーなので芸術性の低いものなんですけれども、映画の共同製作の正式調印をしてきました。それから、中国のことなのでわからないんですけれども、1月7日オンエアで、いわゆる日本でいうレギュラー番組を2枠、今、製作しかかっています。ただ、ご存じのように、中国の事情で100パーセント国有企業でないとテレビの番組の製作はできませんので、便法と言いますか、対策をどうとるかということはあると思いますが、基本はそういうふうに僕たちは理解しています。
 おっしゃるように、日本のテレビの番組が世界でそのまま売れることはなく、これもまだ発表はしていないんですけれども、民間放送局キー局さんにいろいろアプローチをしまして、この年末年始の2時間、3時間の特番をアメリカと共同で3社でつくります。それをもちろん日本ではオンエアをするんですが、パイロット版よろしく、アメリカのエージェントと組んで、世界販売をするというのが今動いている感じです。そういう意味でも、スタッフの育成とか、そういうシステムをつくるとか、テレビも映画も、もちろん雑誌もそうだと思うんですけれども、配給システムをどう日本が向き合うのかというところがすごく大事だと思っていますので、よろしくお願いいたします。

○中村会長
 今、大﨑委員から冒頭で税制の話が出ましたけれども、税制の措置、これは、国際共同製作もそうですし、先ほど話題になったファンドにも絡んでくることだろうと思います。そうした具体的な支援措置、施策をどうしていくかということについても、後ほどあるいは今後議論を重ねていきたいと思いますが、他にいかがでしょうか。

○角川委員
 先ほど冒頭の説明で中国の規制の例などもお話になったと思いますけれども、今、合作が必要だというお話が総務省さんから出ました。中国は、年間20本の外国映画輸入枠を持っています。実は中国がWTOに加盟する時に、アメリカは全部ハリウッドに独占するような交渉をしていたんですね。ふたを開けてみたら、ハリウッドに20本の枠が決まっていて、日本は1本もそういう枠がないということになってしまったんです。ですから、国として、あるいは、経産省として20本の枠を広げれば、その中に日本の作品が何本か年間で枠を獲得するような、そういう外交をしていただきたいなというふうにまず思います。
 そういう20本という枠が非常に大きな中国の合作の規制の対象になっていまして、合作をすれば20本の中に入れないと、そういうことなんですね。合作をしたものは国内映画として公開するので、20本の枠に入れないから、ここの資料にもございますように、利益配分型のビジネスモデルをつくっていいですよということなんです。ですから、そういう点で中国が合作を奨励している、希望しているということからいうと、日本も合作をするような支援をするのが当然のことだとまず思うんです。
 その時に、中国が合作して認定するために非常に厳しい審査、センサーシップをとっていて、そのために合作がなかなか実現しないという大きな障害になっているんです。そういう点でも日本が、中国はセンサーシップをどんなふうにしているのかという、「見える化」というんですか、透明化をするような働きかけも、国として当然すべきではないか思います。
 それから、外務省さんにお話したいと思いますのは、もともと私たち映画界は民間で国同士の条約を結びたいというふうに考えているわけです。ところが、条約というのは外務省の専管事項だから、民間にあまり口出ししないでほしいというのが従来の方針でした。私たちが長い間、カンヌ映画祭を通してフランス政府と交渉した時も、外務省さんの非常に強い抵抗と、もう一つは、フランス政府のほうからも、フランスの条件を日本映画に与えるためには、日本のほうも同じ合作の条件を持っていなければ一方通行になってしまうということがあって、この2つの意味でカンヌ映画祭で締結した内容は「覚書」という形になっているんです。ですから、そういうふうに要望があったらやりますよではなくて、日仏映画協力覚書を早く日仏映画合作条約にしていただくように、外務省さんは動いてもらいたいんですね。
 それから、今回こういうふうにして経産省さんから資料が出てきた以上は、これに見合う条約を、外務省が主体的に次にどこの国とやるのかというロードマップを示してもらうのが順序なんだと思うんです。今日のお話ですと、どういうふうにすれば各国の映画に関しての条約が結ばれていくかというスケジュール感が全然わからないですね。我々のほうは当然、前回のこの会議でもフランスがまず最初にきて、その後に中国、韓国、そういうふうなアジアの国々、それから、場合によってはドイツ、フランス、先ほどお話が出たスペインというふうな希望を出しております。ですから、そういうところを是非。
 外務省さんは、各国の大使館に、知財委員がいるわけですから、各国の大使館の知財委員にヒアリングをされて、総括して外務省としてここ3年間こういうスケジュール感でもって映画条約を結んでいきたいというものを出していただくのが筋ではないかと思うんです。それで僕たちはそれを検討することができるんだと思うんです。ACTAでやっていただいた実績と方法論を、映画だけでなくてもいいと思います、コンテンツ全体の条約を結ぶようなスケジュールを出していただくことをお願いしたいと思います。

○中村会長
 何かコメントありますでしょうか。

○赤堀課長
 ご指摘のフランスの例とか、経緯等を詳しく存じておりませんでしたので、きちんと勉強させていただきたいと思います。先ほどお話ございましたように、条約となりますと、向こうも条件をつけてまいりますので、だからだめだということではなく、そういうものが役に立つようなものを是非一緒に考えさせていただいて、進めていきたいと思っておりますので、本日いただきましたご意見をきちんと省内でも議論したいと思います。
 ありがとうございます。

○中村会長
 それから、国際共同製作の話、今ご意見を伺っていますと、次に予定していた諸外国のコンテンツ規制、輸入規制のところの話と連動するかと思いますので、そちらをまず外務省の米谷室長から説明をいただいて、一緒に議論するのがよさそうですね。
 よろしくお願いいたします。

○米谷室長
 ありがとうございます。外務省知的財産室の米谷と申します。よろしくお願いします。
 今の諸外国におけるコンテンツ規制の緩和に関する取組ということでございますが、たくさんの国々でもちろんそれぞれ課題はございますけれども、私どもといたしましては、まずはプライオリティーの高い、課題の大きい対象として中国及び韓国に対して、高いレベルでこの問題を提起するということで取り組んでおります。資料にもありますけれども、日韓の間では日韓経済局長協議というものが定期的にございまして、直近では今年の6月にございまして、特に地上波の番組における日本語放送の解禁について是非前向きに検討をお願いしたいということを申し上げております。先方からは、そういう課題があるということは認識して検討をしてはいると。ただ、歴史的な問題もあることなので、純粋な経済問題ということではなくて、政治的な側面も含めて検討しないといけないので、そういう認識で検討しておりますということを、その段階では伺っております。
 それから、日中につきましては、日中経済パートナーシップ協議ということで、局長級、更には次官級でも例年協議を行っておりますけれども、直近は7月に次官級の協議を行いまして、そこで放送及び映画等を含みますコンテンツについて、規制の緩和・撤廃についての要望、それから、内容についての輸入審査基準というものがあって、公電総局という中国の機関において審査が行われているわけですけれども、どういう基準で審査をしているのかということを示して、透明性を高めてほしいというようなことで要望を申し上げております。中国との間では、日本からの要望事項がたくさんあってつけている状況でございますので、その場でこの具体的な論点についての回答は、残念ながらございませんでしたけれども、私どもとしましては、要望事項のリストを書いて提出しておりまして、今後も継続的に状況をフォローアップしていきたいと考えております。
 先ほども角川委員のほうからご指摘ありましたように、中国の映画の配給枠につきましては、WTOの関係でのコミットメントで、中国とアメリカとの間での交渉もある中で、日本としても今後十分注意を払って割を食わない、割を食い続けている状況がなるべく解消される方向で、我々もこれからよく注意して提起していく必要があるなと思っておりますので、今後も粘り強く見ていきたいと思っております。先ほどの国際共同製作協定の件もそうですけれども、私どもも現状を勉強させていただきながら、民間のほうからご指摘いただきながら、それに対してどういう改善ができるかということを考えさせていただく必要があると思っておりますので、そういう意味でも今後とも色々なご指摘をいただければと思っております。
 一つだけ、この場を借りて、恐縮ですが。コンテンツの海外発信という点につきましては、正規版の売込み、枠の撤廃というのが今日の大きな議論の柱でございますけれども、模倣品の対策という面につきましては、皆様方のご支援のおかげもございまして、ACTA条約が10月の東京会合で大筋合意、更にはちょうど先週ですが、そこで残っておりました幾つかの問題も解決しまして、中身の交渉は終わったというところまでようやっときましたので、ご支援に感謝申し上げたいと思います。ご報告させていただきます。
 以上です。ありがとうございました。

○中村会長
 ありがとうございます。
 では、引き続き国際共同製作、そして、今のコンテンツ規制緩和について、質問等ありましたら、お願いいたします。

○大﨑委員
 先ほどのSMGさんとの契約は、SMGの外事弁公室の方と上海市政府の弁公室の方も立ち会われたことなので、正式契約と認識しているんですけれども、そういうのは年間の中に入っているんでしょうかね、その作品が。共同製作の映画の分が、正式調印をしたつもりなんですけれども、先方の上海メディアグループの外事弁公室の方も立ち会って、もちろん総裁とサインをしたんですけれども、そういうのは年間20本の中にどう入るのかということはあると思うんです。結局、出口戦略というか、世界のネットワークを日本の映画界が持っていないのでということも一つの要因で、なかなか成就できない状況があるのではないかなと思っております。
 それから、映画のこともあるんですけれども、今、我が社でリサーチというか、動きかけているのは、シンガポールテレコムとか、チャイナテレコム、チャイナモバイル等、彼らが盛んにコンテンツ関連の会社に出資、投資をしておりますので、彼らとのコンテンツの共同製作とか、協働みたいなことを少し模索したりもしているので、そのあたりの情報をいただけたり、ご支援がいただけたらありがたいなと思っています。

○新井課長
 先ほどの上海メディアグループの関係でございますけれども、吉本興業さんのほうでやられている映画とかそういったものとはまた別の位置付けでございまして、地域コンテンツで10本放送する枠をとったということでございます。来年度は、共同製作について予算が認められれば、そういったことをやっていきたいということでございます。

○中村会長
 他にいかがでしょう。

○佐藤委員
 マクロの視点で様々な共同製作の話が出ているので、一点だけ、こういう機会なのでお忘れなきようにというか、ご支援をお願いしたいと思っているチェーン・オブ・タイトルのクリアに関してです。例えば、合作をしたりする時に、私たちのアドバンテージになるのはどんなネタや原作を持っているかというのがあります。例えば、当社の場合であれば、日活には6,000本のライブラリーがあって、これを海外の監督がリメイクをしたというオファーがあったとします。その場合、こういったタイトルに関しては既にクラシカルオーサーの方がお亡くなりになっているケースがあります。ハリウッドの方々はお金で買えないものはないので、人格権を含めて全部ハンドリングしようという形で交渉されます。
 私たちも当然、チェーン・オブ・タイトルのクリアは弁護士等とも相談しながらやるんですが、旧作を動かす時には、既にお亡くなりになって、その亡くなり方が、誰にも看取られないでたった一人でお亡くなりになっている場合、ご遺族を調べるにも調べようがない。ただ、海外の著名な監督は是非これを映画化したいと。国内でつくる場合にはビジネスチャンスを逃さないために、事実上著作権の信託とか文化庁さんのほうでいろいろサポートいただいているようなんですが、海外との共同製作にはこれは適用できないという事例がありました。
 ですから、共同製作というところでは、資金的な問題や枠の問題、規制云々という問題もそうなんですが、入口で私たちは既にアドバンテージとして持っている原作、それはアニメやコミックもそうですが、映画の旧作の原作等に関してのチェーン・オブ・タイトルのクリアというのも是非交渉の視点の中でお持ちいただければと思い、発言をさせていただきました。

○中村会長
 私から一つ。これは米谷室長にお聞きするのがいいのかどうかわからないので、どなたでも結構なんですけれども、文化規制の内容を緩和・撤廃しろという交渉は大変ではないですか。その時にどういうアプローチが効果的だとお考ええですか。マルチの場で、WTOのような場でやるのがよいのか、二国間の協議の中でやっていくのが効果的なのか、どのように考えておけばよろしいですか。どこに力を入れていくのがいいんでしょう。

○米谷室長
 一刀両断にこれが一番いいというふうにはなかなか申し上げにくいのですが、両にらみでやっていくしかないのかなと。つまりマルチとバイと。マルチで申し上げますと、サービス分野の自由化の交渉ということで、WTOで国ごとにどういう分野をどういうふうに自由化するかということをコミットするという交渉がございます。その中で、中国も一定のコミットをしているわけですけれども、その中で十分日本が入っていけない状況にあるということですので、アメリカ等との関係で割を食わないようにということも重要ですし、一方で更に全体的に広げてもらえないかということはバイでもマルチでも言う必要はあるなと。
 ただ、ご指摘のように中国にしろ韓国にしろ、韓国の場合は文化的・歴史的な側面もありますし、中国の場合は自分のところのコンテンツ産業を発展させたいということで、ノウハウを吸収するために合作をむしろ進めてほしいということで、中国の産業政策としてやっている面もあろうかと思いますので、交渉と合作みたいな協力と両刀使いでやっていく必要があるのかなと。しつこく粘り強く、嫌がられても言っていくということかなと、交渉としては、思っております。

○中村会長
 それを政府が進める際に、政府が民間に対して期待することというのは何かありますか。つまり、それは政府に我々は任せておけばよいのか、民間側がどういうことを政府と一緒にやっていけばよいというような考えはありますか。

○米谷室長
 この場で考えながらということなんですけれども、なるべく警戒感を持たれないようにということはあろうと思いますので、少し開けるとばあっと入ってきて、中国自身のコンテンツ業が発達しなくなるというようなことは彼らも当然避けたいと思いますので、そういう意味で透明性を高めたり、あるいは、枠を広げてくださいと言いつつ、でも合作のような協力も一方で進めていくということかなと思います。そういう意味で、民間のほうでもなるべく競合・敵対的な関係だけではなくて、協力的な関係ができてくると環境としては望ましいのかなと。一般論で恐縮ですが。

○赤堀課長
 失礼します。たまたま前の仕事で日韓経済関係をやっておりましたので、その経験を参考までに申し上げますと、日韓EPAを進めようと思ったんですが、なかなかうまくいかないんですが、韓国の業界の中に味方を見つけて、韓国の業界の人が韓国の政府を動かしてくれないと動かないというようなことがございます。今、文化の仕事でも規制緩和、経済協議でもやっていますけれども、文化協議でも取り上げておりますので、経済の面と文化の面と双方向の文化交流が重要ですよねと言っている人は、相手国政府の中に、業界の中にも、政府の中にもいますので。また、そういった人たちを動かすと、経済だけの面で抵抗する業界、政府の部門とは違う視点からできますので、その際にご協力をいただくというか、連携しながらやらせていただくというのが重要な場合もあると思います。

○新井課長
 これが直接のお答えになるかどうかはあれなんですけれども、交渉するといった時に実際にどんなことが中国と日本の間で行われているかという事例を、まさにベストプラクティス的なものを集めて、それを交渉のテーブルに出すということが必要なのではないかなと思っています。  例えば、これは長崎の例なんですけれども、長崎の局と上海メディアグループで相互に人材交流をやりながら、毎年、長崎を舞台にしたドラマと、上海を舞台にしたドラマを交互につくりあったりしております。そういった共同製作の事例を集めて、それが中国の方々には大変好評であるというデータを集めて、そういったものを補強材料にしていくというような、少し地道でございますけれども、そういった取組も必要ではないかと思っておりまして、私どもとしましても、今回の国際共同製作の共同実験ですとか、地域コンテンツの実験等で得られた成果は、皆さん方にご提供させていただいて、海外の規制緩和の交渉等にもし使っていただけるのであれば、お使いいただければというふうに思っております。

○角川委員
 韓国と中国に歴史的問題があるとおっしゃりながら、一方で合作の話をされたので、実は両方の話が本当なんだと思うんです。自国の産業を育成したい時に、まだ日本の当該の産業が強くて自国では育っていないと、その時に必ずタテマエとして歴史的問題を言うんですね。
 ですから、率直に申し上げますけれども、韓国映画の力がついてきたので、安心して日本に映画の自由化を認めたわけですね。それまでに、あれほどデモをやっていた人たちがどこに行ったのかなと思うくらい、すんなりと映画の自由化を認めたわけです。そして、ご存じのとおり日本に韓国映画が怒濤のように入ってきたわけです。その時に、前大統領の時でしたけれども、非常にセンシティブな日本攻撃したために、ネット上で日本の若者たちが韓国映画を成功させるなと、絶対韓国映画を見に行くなという書き込みが相当氾濫して、それを契機にして韓国映画は日本から衰退してしまったんですね。
 その後、今の大統領になってからおさまったんですけれども、韓国映画は日本で公開してもヒットしないという形ができてしまったんです。これは韓国は大きな反省をしてもらいたいなと思うんですね。今、韓国ドラマが映画に代わって怒濤のように入ってきているわけですけれども、それに対して日本のドラマを韓国のテレビで放映することに対しては向こうは規制しているわけです。これは非常に不公平なんですね。日本はマーケットを開けているのに、向こうはマーケットを閉ざしていると。ですから、韓国から入ってきているテレビドラマと同じ本数を日本は要求する権利があるんだと思うんです。
 逆に言えば、いきなり日本が韓国ドラマを輸入しないというのは、外交的にも余りにもきついというんですが、強圧的ですか、そういうふうに言われるといけませんけれども、本数制限をすると。中国のように年間輸入が20枠のように、日本も規制したいんだということを毅然として言ってもいいんだと思うんですね。そのことが恐らく韓国が反省する大きな理由になると思います。いかに韓国のドラマが日本のテレビ番組の中で大きな占有率を占めているか。我々はそれに対して非常にオープンなマーケットを提供していて、韓国がそれをしていないというのは、明らかに不公平ですから、そういうふうなことを主張すべきだと思います。
 ACTAの場合、外務省の方から言われたのは、日本のコンテンツ、知財の中で映画館盗撮防止法をつくりましたね、これがACTAにとって交渉上非常にいい立ち位置になったということを何回かお聞きいたましたけれども、是非コンテンツ産業と一緒になって、むしろ外務省の方々は交渉のカードをつくっていくべきだと思うんですよ。今、中村先生がおっしゃったとおり、これからのコンテンツ産業政策というものを、ここの場でつくっていくべきではないかと私は思いました。よろしくご検討していただきたいと思います。

○中村会長
 国際共同製作と諸外国の規制緩和、やりとりをさせていただいたんですけれども、国際共同製作、文化庁さんが来年度からですか、映画支援制度において支援対象にしていくということですので、そうした認定の要件もはっきりさせていただいて、枠を広げていっていただきたいですし、先ほど少し話に出ました税制のようなインセンティブをどう考えていくのかということも、ここでの課題になってくるだろうと思います。
 また、諸外国の規制緩和については、これまで中国や韓国の番組規制などの話は出ていましたけれども、例えばフランスでの数量規制の問題というのも今日出てまいりました。ですから、どのような規制緩和球が必要なのかという広い洗い出しをしていくのと同時に、今お話にあったように、具体的にどうやっていくのだという戦略のところも考えていくことが必要になってきていると受けとめました。
 では、最後に工程表6番の国内外のイベントを活用した総合的発信について、これも経済産業省、総務省、文化庁、外務省の順にご説明をお願いいたします。
 まず、経済産業省さん。

○信谷課長
 それでは、資料がなくて恐縮でございますけれども、コ・フェスタ、ジャパン国際コンテンツフェスティバルについてご説明をいたします。
 もともとこのコ・フェスタは、平成18年7月に「経済成長戦略大綱」の中で提唱されたものでございまして、今年で4年目を終えたところでございます。今年のものは、先程知財本部の資料にございましたように、まだオフィシャルイベントは終わっていませんので、統計は出ておりませんけれども、昨年のコ・フェスタ2009の数字を申しますと、動員数で約110万人少し超えるぐらい、それから、商談成約件数で約1,000件となっております。今年は17のイベントをやっておりまして、今年も昨年以上に盛り上がっているのではないかと思います。
 手元に入ってきた数字で、国際映画祭に付随する映画のマーケットがございますけれども、この参加者数は去年を上回る参加者、去年212、今年は222でございます。あるいは、東京国際ミュージックマーケットというものをやってございますけれども、昨年の参加企業が26、これが今年は38に増えてございます。4年目に入りまして、海外にも知名度が上がってまいりましたので、国際見本市を支援するという当初の目的が徐々に実を結んできているんだと思います。
 以上でございます。

○中村会長
 それでは、総務省の新井課長、お願いします。

○新井課長
 先ほどの資料4の1ページ目でございますけれども、国内外のイベントを活用したコンテンツ総合発信ということでございまして、経産省さんと共同で国際ドラマフェスティバルとか、コ・フェスタ関連のATP賞といったイベントを行っております。今日はATPと国際ドラマフェスティバルをご紹介させていただきたいと思うんですが、ATPの場におきまして、総務大臣賞というのを設けております。その総務大臣賞の選考にあたりまして、世界市場を刺激する斬新で独創的な表現や手法というような評価基準を具体的に明示いたしまして、表彰とコンテンツの海外展開といったものを連動するような動機づけを行っております。
 また、国際ドラマフェスティバルにつきましても、同様な観点の審査基準で実施するとともに、例えばMIPCOM等で、今年はドラマアワードで『JIN-仁』が選ばれたわけでございますけれども、そういった世界に向けて、世界水準で優秀な作品をできるだけ表彰して、それが番組販売と連動するような動機づけを行うようにしております。

○山崎課長
 文化庁でございます。文化庁は、メディア芸術祭についてご説明をさせていただきたいと思います。資料4の3ページにメディア芸術祭の資料をおつけしております。
 文化庁では、メディア芸術の振興という観点から、いわゆるソフト・アンド・ヒューマン支援という形で支援を行っておりまして、その中核となるのがこのメディア芸術祭でございます。アート、エンターテイメント、アニメーション、マンガという4つの部門ごとに作品を募集いたしまして、優れた作品についてメディア芸術祭の大賞、優秀賞といったものを授与しております。また、賞を受賞しましたものについては、展覧会をして一般の方に鑑賞していただいております。
 22年度で14回目を迎えます。資料にありますように、年々、応募作品数、また、来場者数も増えてきております。更に来年はメディア芸術祭の賞として新人賞も新たにつくるべく、概算要求をしているところでございます。例年2月にこの作品の展覧会を行っておりまして、来年は2月の2日から13日まで、六本木の国立新美術館で行う予定にしております。また、東京だけでなくて、地方においても作品の鑑賞機会を持っていただくということで、地方展を行っておりまして、今年は国民文化祭に合わせて岡山、そして京都で行いました。また、海外展といたしまして、今年はトルコのイスタンブールで海外展を行っております。来年は日独150周年ということで、ドイツのドルトムントで開催すべく今準備を進めているところでございます。
 以上でございます。

○赤堀課長
 引き続きまして、外務省及び国際交流基金の発信プログラムについてご紹介いたします。資料4の4ページ目からご覧ください。
 既にやってきております事業としては、関係省庁との連携によります、パリ郊外で行われるJAPAN EXPOへの出展でございます。JAPAN EXPO自体は11年目で、この夏は18万人が集まった大規模日本文化紹介行事ですが、こういうのが民間主導で行われているということは大変うれしいとともに、日本国政府としてもしっかりやらなければということで、数年前から関係省庁で関与してきておりますけれども、今年は在パリの日本大使館、ここは関係省庁さんのアタッシェもおられますが、そこが、まず一つに、2日間にわたりまして、ステージを貸切りまして、そこで政府関連のイベントを行ったと、そこに国際交流基金も出展したと。
 少し後ろをめくっていただきまして、6ページ目をご覧いただきますと、7月3日と7月4日に何をやったかというプログラムが載ってございます。和太鼓の演奏、これは国際交流基金が運営するパリ日本文化会館が主催しました。それから、国際交流基金においては、日本語普及に力を入れておりますけれども"エリンちゃん"というキャラクターとともに日本語を学ぶWEB版『エリンが挑戦!にほんごできます』等の日本語教育ウェブサイトの実演紹介、それから、新たに最近のポップカルチャー熱がございますので、『アニメ・マンガの日本語』というWEBサイトの実演紹介、それから、JET・OBによる三味線演奏、日本文化紹介、コ・フェスタとの連携、東京国際ミュージックマーケットのアニソンライブなど、加えて観光庁さんのゲーム機の対戦など、省庁連携でやっております。これが過去数年間の成功例でございます。
 5ページにまいりまして、JAPAN EXPOは、いわば日本を好きな人たちに対する、もっと日本を幅広く知ってくださいという発信でございましたが、今度は必ずしも日本が好きでもなく、別に嫌いでもない、日本をよく知らない人たちに更に発信していこうということで始めたのが、上海万博です。国際交流基金も上海万博の日本館の一部をお借りして行った事業、それから、上海万博の外で、上海万博を見に来る中国人がきっと寄るであろう森タワー(上海金融センター)の2階を借りて行った事業がございました。
 その万博会場の外では「キャラクター大国、ニッポン」という日本のポップカルチャーのフィギュア展を行いました。その後、日本の都市建設の展示などを行っております。また、会場の外で、これも上海側と協力してドキュメンタリー映画上映会などを行って、万博に来る中国人をターゲットに日本文化の発信を行いました。このいわゆる上海フィナンシャルセンターには期間中8万人の人が見に来てくれたということで、成功したと思っております。今後も、万博に限らず、大規模な行事を使ってやっていきたいということで、予算要求の要望枠の中で国際交流基金の交付金事業として2億円要望しておりますが、若干、政策コンテストでは厳しいやりとりがあったところでございます。
 次に、ジャナドリヤ祭でございますが、これも関係省庁と協力してやっておりますけれども、来年の2月23日から16日間、サウジアラビアで行われます。もともとはサウジの諸民族の伝統文化の祭典でございますが、ここに毎年ゲスト国が呼ばれまして、急遽、今年の5月に国王の指示で日本が呼ばれることになりまして、急ピッチで経産省さん、JETROさんなどと連携しながら、外務省中東局、広報文化交流部、国際交流基金、その他関連省庁で大体準備が整いつつあるところでございますけれども、外務省及び国際交流基金は、サウジという国柄も考えて、日本の武道とその精神が現代にどう息づいているかということを紹介しようと考えております。そのようなことを今まで以上に戦略的に、今後数年間にわたりどういうところでやったら効果があるか、日本を必ずしも知らない人たちが大勢集まるところはどこかということを今いろいろ調べて計画をつくろうとしているところでございます。
 以上でございます。

○中村会長
 ありがとうございました。
 ただいまの説明について質問がありましたら、挙手をお願いいたします。

○角川委員
 いい話を聞かせていただいたように思います。しかし、クールジャパンの推進という点では、和太鼓の演奏をしていただくのも結構だけれども、そういう日本紹介というレベルはもう終わっているんだと思うんですね。産業政策としてコンテンツを育成しようということからこの知財本部は始まっていますので、紹介ではなくて、数値目標を立てて、その数値目標の中で日本のコンテンツがどのくらい当該国にとって売上になっているのかといったことを上げていくための努力をしなければいけないのではないかと思うんです。
 冒頭のところでも、日本のコンテンツは14兆円だけれども、まだ輸出は1.4%ということですので、そこが究極的に2%になっていく、3%になっていくという戦略として、是非今のお話を大きくしながら、裏付けをつくっていただきたいと思うんです。パリのジャパン・エキスポもとても盛大でいいんですけれども、まだまだ僕たち産業側から見れば数字になっていないと。それをどうやって数字にしていくかということが、我々にも求められていると思うんですけれども、国もその視点でお金をつけるということが必要なのではないかなと思います。
 その点では、成功例としてはTIFFCOMがあります。TIFFCOMはきちっと数字がついてきておりますので、TIFFCOMの成功例で、これを国内だけではなくて国外にも広げていくべきだと思います。そのレベルにならないと、わざわざ国が取り上げるというほどのことではないということになろうかと思います。

○中村会長
 他にいかがでしょうか。
 この点はよろしいですか。
 では、これまでのヒアリングの内容を受けまして、次の知財計画、「知財計画2011」に向けたコンテンツの海外展開についての議論を、残り時間でひとわたりこなしていただければと思うんですけれども、担当府省からご説明のあった施策に関するご意見でも結構ですし、資料3の2ページ目に、先ほど事務局から海外展開に関する更なる検討課題ということで、新しい課題の案として3つばかり柱を示していただいています。
 映画に加えて、テレビやネットを通じた海外展開が更に必要ではないか、国内外のイベント等を活用したさらなる発信強化を図るためにも何をすべきか、海外展開に必要な人材、特にプロデューサーなどですね、の育成基盤をどのように強化するかという課題例も挙げていただいております。そういったことも含めて、何でも結構です。ここでの議論、海外展開の議論がこういった視点が不足しているのではないかとか、このような方向性を加えるべきではないかといったことで結構ですので、議論いただければと思います。
 いかがでしょう。どうぞ。

○川上委員
 コンテンツファンドなんですけれども、何度か言われたんですけれども、基本的に投資家のほうが判断するというようなことをお伺いしていますけれども、海外に対する投資案件、特にコンテンツのものというのは、例えば僕がお金を任されたとしたら、ほとんど出資しないと思うんですよね。これだったらいけるかなと思うものは出資させてくれないと思うんですよ。だから、基本的には投資という観点でファンドをつくって、それにそのファンドマネージャーを探されているとおっしゃっていましたけれども、本当にそれがワークするのか。少なくともそのファンドがリターンを求めるようなものでずっとできるというふうに以前から言われていたと思うんですけれども、僕はそれに関してはすごく疑問です。
 ですので、別に100の投資に対して目標70にするとか、その損を見込んで、それを補てんするかというような、国のほうである程度資金を出した形のファンドでないと、現実にならないのではないかと思います。最終的にそれができるかどうかというのは現段階ではわからないかもしれませんけれども、2011年ということであれば、きちんと予算をつけて、リスクマネーを……。

○近藤局長
 お金は、入るんですよ。産業革新機構といっているわけですから。産業革新機構からの金が入るんですよ、今のファンドには。産業革新機構というのは国の機関なんです。だから、完全に民間の金だけでファンドをつくるのではないんです。

○川上委員
 であれば、そのファンドマネージャーというのは一体何をするのか。投資家が判断するというのであれば、投資家の判断というものはどういったものが基準なのか。例えば損をしてもいいことを最初から決めているものであればわかるんですけれども、そこら辺の投資の方針というものはあるんでしょうか。例えば100パーセントリターンを目指すものでそのファンドを運営されていくのか、そのあたりのことをお答え願いたいんです。

○近藤局長
 説明する時に、産業革新機構の話も少しして、そして説明してもらえますか。

○信谷課長
 先程から私が有力な投資家の候補の一つだと言った産業革新機構と申しますのは、法律に基づいて設立された株式会社でございまして、国の出資と民間の出資が一部入って、確か国の出資が800億円ぐらいと思いますし、民間の出資が90億円ぐらいだと思います。その外側に政府保証がついた借入枠がついていまして、そのお金をもって投資をする機関でございます。従いまして、我々のファンドに革新機構が入れてくれるかどうか、これは決まっていないのがステータスされますけれども、仮に入るとすれば国のお金が間接的な形で入ってくることになります。
 ご質問の主旨は、ファンドという仕組みで目的を達成することができるかどうかということだと思います。一般的に申しまして、産業政策、産業支援というのは常にその議論がございまして、産業として成功するならば支援は要らないし、産業として失敗するものに支援をするのは無駄ではないかという議論は常にございます。これもその一つのパターンでございまして。従って、投資する分野をよくよく選んでいかないと、先程少し言いましたけれども、民間で全くお金が集まらないような、あるいは、市場で受け入れられないようなものに、国のお金を突っ込んで損してお終いではないかという議論があります。従って、その分野を絞っていこうということで考えています。
 すみません、もう一つだけ、話の前提として確認しておかなくてはいけないのは、私が先程民間投資家がお決めになることだと言ったのは、ファンドを立ち上げる時の議論でございます。だから、どういうファンドで生み出していくかということは投資家が決めることでありまして、一たんファンドができたら、その時の投資家との約束によるんですけれども、基本的にはファンドマネージャーが運用していくと。だから、どの映画、アニメに出していくかということはファンドマネージャーが決めていくことになるんだと思います。そこはファンドマネージャーの判断なので、民間投資家とは一回切り離されるわけですね。
 そのファンドでリターンが確実に見込まれるものは、きっと国のファンドは使われないでしょうし、リターンが見込まれないものが持ってこられるでしょうし、そういう前提はよくわかった上ではあるんですけれども、今難しいところは海外に向けて企画・開発をしようとする分野は、リターンが見込まれそうであっても、なお民間からの投資が出てこない分野だと思っていまして、そこは工夫をすることによって、民間の金が出にくいんだけれども、国が出す。これによって一定のリターンがとれるのではないかという分野があるというふうに思っているんですね。そこを出していこうということが基本でございます。更に、そこから先、ファンドとして収益があった時に、民間の投資家が先にとって国が劣後するのか、そういった工夫をすることによって、民間ではなかなか成立しないファンドというものが成立するのではないかというふうに考えています。

○川上委員
 今の説明だと、収益が見込めるのであるが民間ではリスクをとりにくいものに対して投資をするというのが基本方針ということになるわけですか。

○信谷課長
 そうです。

○川上委員
 それはリスクをとることにならないのではないかと思うんですが。

○信谷課長
 だから、民間ではリスクをとりにくいところを国がリスクをとるわけですから。

○川上委員
 つまり、国のほうが民間よりも頭がいいという前提のファンドマネージャーが存在するということが前提になっているわけですよね(笑)。

○信谷課長
 いや、そうではなくて、産業としてその分野に投資してきた人が少ないというのが現状であって、今この場を見れば、海外で作品をつくって売れば売れる時代があるのではないかというのが、私どもだけではなくて、産業界の色々な方と話をしている中で共通理解であって。従って、そこであれば、今、民間から金が出る仕組みはないけれども、新しい仕組みをつくれば、そこにやがて自立的に民間が産業としてやっていくものができるのではないかと、こういうことでやっております。

○川上委員
 そうであれば、国としてもっと……。多分損するということを前提のものをつくっていただかないとうまくいかないと思います。そういうケースというのは、それこそ100億円でもほとんど余るのではないかというぐらいに投資先は見つからないと思いますね。ですので、そういった国がリスクをとるお金というものを是非今後検討していただきたいと思います。

○近藤局長
 担当課長はいろいろな仕組みの中で説明しますから、論理的に説明するとああならざるを得ないんです。国がこれだけやるというのは、リスクをとってやると言っているんです。ですから、みんなの前で言ってみせろというのはやや酷な気がするので、そこは察していただきたいと私は思います。

○角川委員
 私、一つ提案があるんです。前回にプロデューサーの育成ということが出ましたね。人材育成の中で特にプロデューサーを育成しなければいけないのではないかと。その点、私は今度のファンドについてもファンドマネージャーという人材を育てるのではなくて、もう少し大きな視点で、この企画提案があった時に、これならば日本国のためにこの企画に賛成しようじゃないかというふうな大きな意味での日本コンテンツのプロデューサーを、この知財本部が育成したらいかがかなと思うんです。
 ある面では、こういう話でも3年周期で見直しがあって、3年で大体打ち切りになってしまうというのが今までの国のお金だったと思うんですけれども、現にこの知財ももうかなりの年数、7年目に入っています。恐らくコンテンツの問題というのは、国がこれからも長期的に、中期的よりは長期的にこれを育成していこうという視点に立っていると思うんですよね。そういった点でもしこの知財本部がこういう形の中でのプロデューサーを育成しようと。
 私のイメージでは、例えばカンヌ映画祭はジル・ジャコブという事務局長がいまして、この人はお役人の経験はないんですけれども、CNC(セーエンセー)、文化庁の外郭団体の、そこからお金をもらっているんですね。このジル・ジャコブが判断するとカンヌ映画祭の基本的な選考の作品が決まると言われているような人です。こういう言い方がいいかどうかわかりませんけれども、名物プロデューサーです。これが何か、僕たちの中でこの人はという人を選定していけたらなというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

○中村会長
 人材育成については、次回のヒアリング対象にもなっていますし、我々の大きな3つの柱の1つですので、今後とも具体的な施策を検討していきたいと思います。また、今日の資料3、2ページ目の一番下のところにも、海外展開という切り口での人材育成基盤というのが必要ではないかということで、今、一つ提案いただきました。それから、国際的なプロデューサーを育成するための例えば標準カリキュラムをつくっていくとか、大学の場でそのようなコースを増やしていくとか、いろいろ議論すべき施策はあろうかと思いますので、引き続きアイデア出しをしていただければと思います。
 そのあたりも含めて他にいかがでしょうか。どうぞ。

○久夛良木委員
 世界中の人にとって魅力的なコンテンツ、特にビジネスになるコンテンツということでもあるんですが、いつの時代でも新しくてクールなものが世界中で流行るわけです。例えばコンピュータゲームも今はあって当たり前かもしれませんけれども、ほんの20年ぐらい前にできた新しい産業ですよね。新しい遊び、新しいエンターテイメントが登場した。ここに対して、日本のみならず、各国のクリエーターが世界を相手にコンテンツをつくって、最初から世界市場に向けて出していこうということしている。
 多分これはハリウッド映画も同じだと思いますけれども、当初から世界中の人を相手にして制作を開始しているので、外にどんどん紹介しようというネイチャーが元々あり、何もこういう議論が起きないんです。当時で言えば日本がゲームで非常に強いと言われた時にでも、7割ぐらいはゲームソフトウェアを海外へ輸出していましたね。今だと輸出比率は多分8割ぐらいになっていると思われる。これは日本から見た姿ですが、実はアメリカからでも中国からでも今はどんどんそれらの国々で開発されたゲームが世界に出ていっているという形だと思います。
 今、皆さんのお話をお聞きしていると、ドメスティックなものをどうやって海外に紹介していくかという話が非常に多いんですが、既にゲームという分野においては、多分、他のエンターテイメント領域の輸出額と比べても桁が1つかもうちょっと多いぐらいの取引量に現在育ってきています。日本からも1兆円を超える輸出額だと思いますし、世界全体だと数兆円産業にまでなっている。プレイステーションに限っても、これまでに数十億本もの対応ソフトウェアが輸出され、コピーも入れたら恐らくは100億本は超えるのかもしれないという規模です。  今、中国とか韓国が話題に出ているようにこの分野で閉鎖的かというと、全然そんなことなくて、彼らのほうがゲームでは先に外に出ていっているというのが実態で、それを支えるプラットフォームというのが、家庭用のゲーム専用プラットフォーム上のパッケージソフトだけではなく、どんどんネットワークのほうにシフトして行っている。そうなると、次に起こることというのは、世界の人にとってクールなことというのは、今までのようにゲームコンソールでゲームを遊ぶことではなくて、サーバの上でネットワークを介して今までにないゲームを遊ぶ事になろうとしている。ついこの間までは映画の中の世界だったようなことが、あと何年後かに起こるのではないか?という期待があるわけです。そういうことから考えると、この競争力強化調査会も含めて、ここに向かってどうやって攻めていくかという、攻める方の議論がほとんどされていないということに強い危惧感を持っています。
 これは決して小さなビジネスではなくて、もう既に数兆円規模のビジネス領域にも成長している訳で、今後、映像や脚本といった分野での融合が進むと、もっともっと大きな産業規模になる可能性があります。そこに向かって、最大の人口を抱える例えば中国であるとか、インドであるとか、もちろんアメリカもそうですが、世界中の人たちがそこに乗ってきている状況を改めて再認識して頂きたいと思います。日本はどんどん少子化が進んで、昔のことばかり議論しているというのでは、甚だ心もとないと私は思いますので、是非そういったことに対し、今日関係省庁の方々も何人かいらっしゃっていますが、皆さん多分頭の中でいろいろお考えになっていると思いますので、以上の点を是非プロアクティブに議論のテーブルに出していただいて、この辺誰もやらないんだったら、場合によっては政府が率先してやるぞ、というぐらいのところまで含めて議論していただきたいと思います。
 以上です。

○中村会長
 他、いかがでしょう。どうぞ。

○杉山委員
 コ・フェスタの件で、デジタルコンテンツグランプリとかいろいろあるわけなんですけれども、今、3つ日本で賞を与えている、省庁が絡んでやっているところがあると思うんです。総務省だとデジタルメディア協会があって、そこでも賞を出しているし、経産省さんもデジタルコンテンツグランプリをやっていて、文化庁さんがメディア芸術祭をやっていると。これのグランプリをとったり賞を持ったというのはほとんどの国民が知らないんですね。3つばらけていて、デジタルメディア協会だと総務大臣賞とかいただけるんですけれども、1個1個ばらけていて少し弱いなと。同じものが重なって表彰されていることもあるんですね。
 ですから、日本としてきちっと取り組むのであれば、総理大臣賞とかいただいて、1個にして、コ・フェスタの期間でドカーンとグランプリを発表して、それをテレビで中継するぐらいのことをやらないと、国民全員が、こういうことは結構すごいことになっているんだなとか、力を入れているなとか、わからないのではないかのかなと。グランプリをもらっているものは日本の中ではヒットしているようなものなんですね、当然。ゲームであっても映画であっても。でも、グランプリみたいなものがちゃんと知られていないと思うんですよ。実際僕もいろいろかかわって、表彰式とか行っても非常に小さなつつましやかな表彰式なわけですね。それももったいないなと。きちっとしたメンバーがかかわって、一生懸命議論してグランプリと賞を決めているのにと。アカデミー賞とかを見ていただくと、ものすごい多岐にわたって賞が出ていて、でも1個ドカーンとアカデミー賞ということがあるわけですね。
 ですから、色々な人に賞を与えるという意味であれば、少しずつ細かく分野を区切って多くの人に賞を与えるということもできるんですけれども、非常に大きな賞としてやられてはどうかなと。そうすればもう少しマスコミにも扱っていただけるのではないかなという気がするんですね。というのは、マスコミの扱いで言えば、東京国際映画祭のほうがはるかに大きく出てしまうわけですから、どうなのかなというふうにちょっと思っています。

○中村会長
 そうしたバラバラなコンテンツ政策をどう束ねていくかというのも、この知財本部の仕事だと思いますので、そのあたりもこれからしっかりと練っていきたいと思いますが、時間がそろそろきております。
 今日は縦割りの省庁の方々に横に並んでいただいたんですけれども、省庁の方々からこの知財本部やコンテンツ強化専門調査会への意見や要望、これをやってくれみたいなことはありませんか。それはまた引き続きこういった場合を設けて議論ができればと思いますけれども、そういった意見の交換も今後できればと考えておりますが、よろしいでしょうか。
 他に、委員の皆さんからこれだけは今日言っておきたいということは。
 はい、どうぞ。

○川上委員
 ネットサービスをやっている会社はうちだけですので。先ほど久夛良木さんのほうから言われた世界でサーバ型のゲームがはやっているということなんですけれども、今、ウエブではジンガという会社を代表としたSNSのソーシャルゲームというので代表されるコンテンツなんですけれども、これについて、例えば日本ではミクシーで一番人気のサンシャイン牧場というものは中国の会社なんですね。このソーシャルゲームでは、中国とか韓国の会社はかなり強くなっています。ネットゲームなどもそうなんですけれども。しかも、中国は海外のメーカーが国内に参入できないように規制をかけているという現実がございます。
 それと、このジャンルにおいてはグリーさんとDeNAさんが世界的にもかなり競争力を持っておりまして、一応彼らも海外をやるというふうに宣言している数少ないIT系の会社ですので、そのあたりは、海外戦略を考える場合は、今、久夛良木さんもおっしゃいましたけれども、現状なかなか難しいところが多い中で、数少ない希望が持てる、しかも成長分野ですので、そのあたりもここの議題になっていけばいいかなと思っています。よろしくお願いします。

○中村会長
 ニコ動も加えておいてください(笑)。
 貴重なご意見をいただきまして、どうもありがとうございました。まだまだご意見、コメント等あろうかと思いますけれども、今日いただいた意見以外にもご意見などありましたら、後ほど事務局まで、メールでも電話でも何でも結構ですので、お寄せいただければと思います。
 では、最後に和田政務官に、予定を曲げてずっといていただきました、コメントいただければと思います。

○和田政務官
 委員の皆様方、今日は、私自身にとりましても、知的好奇心を非常に刺激していただくような議論をいただきまして、ありがとうございました。議論の半分以上を占めた部分について私のほうからコメントを差し上げ、あと幾つか申し上げておきたいと思います。
 まず、各委員からお話いただいたように、日本がこの分野を本当に強化しようと思うのであれば、国がどの程度リスクをとるかよく考えてこいという宿題を各委員からいただいたように思います。そちらのほうにいらっしゃる各省庁の事務方のそれぞれのお立場からすれば、今の説明が手一杯かなというふうに、実は私もそちらのほうにいたものですから、思いましたが、政務のほうに回らせていただいて、このやり方こそ政権交代を果たしてこれからやるべき分野だろうと思っていまして、変える必要があるというふうに思っています。どういうふうに変えるかということですが、国は基本的には国民の皆様方からいただいた税金を基にいろいろな事業をやります。そういった意味で、全くもって可能性が低い、ないといったものにお金を突っ込むということはなかなか国民に説明がつかないのですが、私自身が財務省におりまして、そういう中で財政資金の配分に携わってみて、だから失敗したのではないかというふうにも思っています。
 そこでなんですが、先ほど川上さんのほうからかなり強い調子でご意見があったところですね。では、国がどんなものであればお金を出すのかということでございます。例えばこういった仕組みを考えていく時に、知財本部なるものが立ち上がっていて、各省庁それぞれ横並びに見ながらまとめ上げなければいけないわけですが、トータルでどれぐらいのファンドができて、そのファンドが何年間運用されて、そのファンドを運用した結果がどうなるかという意味においては、国民の皆様方から税金をいただいている以上、そこは旗を下ろせないところがございまして、100億でも200億でも300億でもいいんですが、それが最終的に100億、200億、300億以上のもので返ってくるというふうに皆さんに頑張っていただくことが一つの柱だと思います。
 ただし、今まで自分も財政部局におりまして、一本一本のプロジェクトについて、それを担保しようと思って財政資金の配分を考えてまいりましたが、それではうまくまいりません。ですから、例えば国内で、国内ではないですね、先ほどの議論からいうと世界に発信すべきコンテンツを考えていくわけですので、世界に発信すべきコンテンツを5年や10年の間に何十本か考える際、何本かが大当たりをして、他のものの外れをすべて補えるというぐらい、何十本とやる中から何本かを編み出していただきさえすれば、それは国民の皆様方に説明つく領域だというふうに考えているわけでございます。そういう意味で、何本かを探し、何本かをどうやるかということを、是非こうした専門家集団の皆様方で知恵を出しあっていただきたいというふうに考えている次第でございます。答えとしましては、先ほど川上さんがおっしゃったところの何本かは失敗して結構でございます。しかし、何本かは成功して、トータルでは絶対に国民からお借りした税金を返すという決意が我々一同に必要ではないかというふうに思っている次第でございます。
 それから、そういったことを促進するのに、公的部門において何をやるべきなのかということについては、先ほど典型的な例として協定を結んでほしいというお話がございました。それはおっしゃるとおりだと思いますので、外務省さんにも窓口になっていただいて頑張っていきたいと思っていますが、そういったところこそ現場感覚をどんどん出していただきまして、現在、日本だったらどこの国とやりたいというふうな方々が民間に多いのか、そして、やるとしたらどんな内容を含んでおいてほしいと思っていらっしゃるのか、是非とも色々なご提言をいただければと思っています。外務省さんという組織にそれを全部求めていくのでは時間も手間もかかりますので、是非そういったところ、お尻をたたく役割を演じていただければというふうに思っている次第でございます。
 最後に総評的なことになりますけれども、先ほど最後の方で出てきたように、この分野は日本の国境を意識してやっているのでは遅れをとると私も思います。実は今、自分の子供に教えられるようなことが多いんですね。今、息子が行っている中学校では帰国子女の割合が6割を超えているような学校で、海外各国から帰ってきた人、海外各国から外交官や商社の駐在員でいらっしゃっている方々の子女がそろっていらっしゃるんですが、そんな中では日本が出していったデジタルコンテンツも海外で大いに使っていると。それを基にこうやったいいのではないか、ああやったほうがいいのではないかというのを子供同士で話し合っていると。そういったところから更にビジネスチャンスが生まれてきそうだというぐらい、すごい領域が広がっているように思います。
 そういったことで、我々、公務員の領域でもボーダーを意識しすぎたのでは、とてもではないけれどもビジネスとして成り立たないと思っていまして、極論すれば、今回こんな色々な仕組みを考えて、何とか取り組んでいきたいと思いますが、日本で売れていても、世界で売れればそれを採択するということだろうと思います。日本で売れたものを世界に売っていくというのも当然あってしかるべきなのですが、今、皆様方のご意見をいろいろ聞いていますと、その部分はかなり大変だぞというような感覚を抱きながらお聞きしました。いずれにしましても、多分ここは公的部門よりも民間部門のほうがそうしたセンスにかなり鋭敏になっていらっしゃるのではないかと思いますので、是非私どもにそういったお知恵をお借りできればと思いながらお聞きいたしました。
 これから先、私も是非取り組んでまいりたいと思いますので、今後ともよろしくお願いします。ありがとうございました。

○中村会長
 ありがとうございます。
 事務局から連絡事項をお願いします。

○奈良参事官
 ありがとうございました。
 次回は12月8日、水曜日、1時から、また、場所はここの会議室で予定しております。次回は人材育成を中心に議論を行いたいと思っております。また、今日のように関係省庁の方にも出席いただいて、次期知財計画に向けた議論を進めていきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○中村会長
 では、本日はこれで閉会いたします。どうもありがとうございました。