コンテンツ強化専門調査会(第1回)議事録 |
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議 事 次 第
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○中村会長 おはようございます。ただいまからコンテンツ強化専門調査会の次期計画策定に向けた第1回の会合を開催いたします。今日はご多忙のところ朝早くからご参集をいただきましてどうもありがとうございます。 この専門調査会、2月から5月にかけて大変精力的に開催をいたしまして、「知的財産推進計画2010に盛り込むべき事項」を提言いたしました。そして、5月には知的財産戦略本部において「知的財産推進計画2010」が決定されたところでございます。 今日は、その次、「知的財産推進計画2011」に向けた検討のキックオフの会合、つまり我々にとって第2ラウンドの会合となりますので、活発なご議論をお願いいたしたいと思います。 今日は、大ア委員がご欠席で、それから川上委員が後からいらっしゃるとお聞きをしております。また、佐藤本部員、中山本部員にもお越しをいただいているところでございます。よろしくどうぞお願いいたします。 まず冒頭、近藤局長からご挨拶をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 ○近藤局長 おはようございます。近藤でございます。引き続きよろしくお願いをいたします。 まず冒頭に、先日まで私どもの担当をしておりました津村政務官の後任で和田政務官がご就任でございます。今日出席をして皆様にご挨拶をする予定でございましたけれども、どうしても日程の都合がつきませんで、誠に恐縮でございますが、欠席をすることになりましたことをお許しいただきたいと思います。 また、両次長、内山次長、それから戸渡次長も異動になりまして、私どもの事務局、上田事務局次長、それから芝田事務局次長、それから筆頭参事官の安藤と3人異動しておりまして、私と奈良はできが悪いので留任か、できが良過ぎるから留任なのかよくわかりませんが、留任をしておるところでございます。 コンテンツ関係、本当に今年の春にかけて非常にご検討いただいてありがとうございました。私ども、心から感謝をしておるところでございます。このコンテンツ関係のところを含めて、知財は大きな成長戦略の中の柱になっているわけでございます。 先日も知財本部を10月26日に開きました。その際に、知財戦略本部で総理から知財戦略について検討を加速せよというお話が、それこそ政治主導でありまして、私どもの予想した発言ではない発言がございました。 総理は、突然、近藤、近藤と言い始めたので、私は総理の後ろで座っておったんですけれども、近藤って誰だろうなと思って、副長官かな、副長官じゃないな、前の経済産業省の政務官かなとか思いながら、私のことでいささか驚いたんでありますが、総理の思いは、いろんなものが検討すると言いながらなかなか決着がつかない、検討する、検討するで止まっていると、とにかく何か進めようじゃないかと、その中で特に、総理は皆さんご承知のように弁理士でもありますので、この世界に非常に知見を持っておられるわけであります。そこに対して、自分が見たいと、だから自分のところへ持ってきてくれと、こうおっしゃいまして、私どもも総理のところに行くお墨つきをいただいたわけであります。 そういう意味では、いささかびっくりするようなオケージョンでございましたけれども、これまた「2011」に向けてもしっかりとご検討いただいて、それは、総理に直接引き続きお話、今まで以上にまたお話ができやすくなったのかなと、こんなふうに思っているところでございます。 どうもこの事務局は人使いが荒うございまして、私はそうではないんですけれども、両次長が厳しいものですから、これから会合がまたたくさんあります。本当にお忙しい中申しわけないのですが、いろいろご意見をお聞かせいただいて、私はこの約束したことはやるというのが信条でありますので、ここで提言されたことはきっちりと実行していくというつもりで施策を展開してまいりますので、引き続きよろしくご指導をお願いしたいと思います。 ちょっと挨拶が長くなってしまいましたけれども、次期計画に向けてのキックオフでございます。よろしくお願いします。ありがとうございました。 ○中村会長 ありがとうございました。 事務局の体制も変更された中での新規の議論ということでございます。今日は、前半に進捗状況のチェック、それから後半に今後の課題についての議論という2つに分けてお話をいただければと思います。 まず、前半でございますけれども、今年の5月21日に策定をいたしました「知的財産推進計画2010」の進捗状況、これは、私どもで海外展開、それから人材の育成、デジタルネットへの対応という3つぐらいの柱を立てて計画されたものでございますけれども、その進捗状況について事務局から報告をお願いしたいと思います。 ○奈良参事官 それでは、私の方から「知財計画2010」の進捗状況につきましてご報告をさせていただきたいと思います。 資料は、資料1と、それから資料1(参考)と書いた大きなものでございます。 まず、資料1をご覧いただきたいと思います。 1ページあけていただきますと、まず知財戦略に関する今後の進め方ということでございますけれども、一番左側に総理を本部長といたします知的財産戦略本部がございますが、去る10月26日に今後の進め方が決定されたところでございまして、概ね5月を目処といたしまして「知財計画2011」を策定するということとなってございます。 それを受けまして、この本専門調査会、真ん中のところでございますけれども、概ね月一、二回を目処に開催いたしまして、4月ぐらいに取りまとめ、提言をお願いしたいというふうに考えているところでございます。それを「知財計画2011」に反映させたいというふうに思っております。 また、今回新たに設置された会議といたしまして、一番右側のところでございますけれども、クールジャパンに関する関係府省連絡会議という関係省庁の局長級から成る会議が設置をされたところでございまして、これにつきまして、関係省庁の連携を緊密にして、具体的な施策を出していくということでございまして、概ね3月、4月を目処にアクションプランを策定いたしまして、これも知財計画の方に反映させたいというふうに考えております。 この本専門調査会からもクールジャパンの推進に関するご意見をいただきまして、それをこの会議に反映させていきたいというふうに思っております。 2ページをご覧いただきたいと思いますけれども、そのクールジャパンの推進ということで推進体制でございますけれども、知財本部、そして企画委員会のもとに設けられたものでございまして、左側の本コンテンツ強化専門調査会の意見を反映しながら、最後には「知財計画2011」という形でまとめさせていただきたいというふうに思っているところでございます。 それでは、3ページをご覧いただきたいと思います。 早速「2010」に係る進捗状況の概略につきましてご説明をさせていただきたいと思っております。 ここに、主な項目、重要施策でございまして、課題が多い、あるいは若干遅れているというようなふうに考えられるものを抽出して記載させていただいているところでございます。全体につきましては、資料1の方に列記しているところでございます。もちろん、この概要に書かれたものだけではないと思いますので、また別の事項につきましても先生方からご意見があれば伺いたいというふうに思っております。 まず、「知財計画2010」では、先ほど座長の方からお話がございましたとおり、海外展開、それから人材育成、そしてデジタル化・ネットワーク化への対応ということで、この大きな三本柱で構成をされているところでございます。 まず、1番目の海外展開についてでございますけれども、1番の海外展開資金のところでございます。この番号につきましては、「知財計画2010」に記載された番号でございますが、これにつきましては、海外展開ファンドでございますけれども、現在、ファンド創設に向け、本年度中の設立に向け調整中というところでございますが、運営する人材の選定あるいは投資対象などの事業プランの準備に時間を要している状況でございますので、これにつきましては、早急に固めましてファンドの立ち上げを進めていく必要があるというふうに認識をしているところでございます。 それから、項目番号の3と4、国際共同製作支援あるいは国際共同製作協定でございますけれども、これにつきましては、総務省が地域コンテンツの海外展開ということで平成23年度の概算要求を出しているところでございますので、これにつきまして、予算が最終的に確保されることが必要であるというふうに考えております。 また、それから国際共同製作を進める上での税財政上のインセンティブにつきましては、これにつきましては経産省の方で検討中でございますけれども、早急に実現に向けた検討を進める必要があると認識しております。 それから6番目、国内外のイベントを活用した総合的発信でございますけれども、大きなものとしてはJAPAN国際コンテンツフェスティバル、いわゆるコ・フェスタがございますけれども、これにつきましても、平成23年度につきましても継続的に予算が確保されることが必要であるというふうに考えておりますし、またクールジャパン推進の観点からさらなる機能強化について検討していく必要があるのではないかというふうに認識をしております。 それから8番目、諸外国のコンテンツ規制緩和、日本のコンテンツが諸外国において制限されているということでございますけれども、これは、韓国との関係では日韓経済局長協議、あるいは中国との関係では日中経済パートナーシップ協議ということでそれぞれ要請をしたところでございまして、これを今後実現に向けた取り組みということを引き続き図っていく必要があるというふうに認識しております。 それから、大きな項目の2番目の人材育成でございますけれども、項目番号12番、コンテンツ版COEということで、コンテンツに関する人材育成の拠点となるところが必要だということでございますけれども、文化庁あるいは経産省において予算をつけておりますので、これをきちんと確保していく必要があるということでございますし、また一部の大学におきまして、コンテンツに関する教育研究機能の強化というものが検討されておりますので、これにつきましても必要な予算の確保に努める必要があるというふうに認識をしております。 それから、17番のクリエーター学校訪問でございますけれども、小さいうちからクリエーターに親しむことが重要であるということでございますけれども、これにつきましては、文部科学省におきまして、クリエーター派遣数を拡充し、概算要求をしているところでございまして、これにつきましても予算が最終的に確保されることが必要であるというふうに認識をしております。 続きまして、4ページでございますけれども、人材育成の継続のところでございますが、項目番号21番のコンテンツのアーカイブ化・デジタル化・ネットワーク化でございます。 これは文化庁におきましてさまざまな機関の連携促進あるいは調査研究というものを今年度から開始したところでございまして、今後早期に情報拠点あるいはコンソーシアムを構築する必要があるというふうに認識をしております。 それから、項目番号22から23でございますけれども、放送番組の活用のところ、あるいは民放の保存促進というところでございますけれども、これにつきましては、権利コスト等の面でまだまだ十分に進んでいるとは言えない状況でございまして、さらに進める必要があるというふうに考えております。 それから、大きな項目番号3番目のデジタル化・ネットワーク化のところでございますけれども、項目番号24番のコンテンツ特区でございますけれども、新しい技術やサービスを試行する場としての特区を創設するというものでございます。 これにつきましては、まず総務省の方で特定地域における新しい技術やサービスを試行する実証実験予算というものを要求中でございます。これにつきまして、数字的に予算確保される必要があると認識しております。 また、政府では、現在、規制・制度改革を進め、総合特区というものが検討されているところでございます。これにつきまして、一部地方からコンテンツ関連の提案が行われているところでございまして、現時点でそれがどうなるかというところにつきましては不明なところがございますけれども、さらなる調整が必要であるというふうに認識をしております。 それから、項目番号27番、電子書籍の関係でございます。これにつきましては、6月に、総務省、文科省、経産省、3省で報告書を取りまとめて今後の課題につきまして整理したところでございます。 文化庁におきましては、電子書籍の流通と利用の円滑化に関する検討会議というものを設けて、11月から検討を開始するということでございまして、具体的な課題としては、図書館と公共サービスのあり方、それから出版社への権利付与などにつきましてが検討課題としてあるわけでございますが、このあたりは関係者の対立が少なくない課題が多くございますので、具体的な成果を出していく必要があるのではないかというふうに考えております。 また、技術的な課題といたしまして、日本語基本表現に係る中間フォーマットでございますけれども、現在、総務省におきまして、検討、それから実証が行われているところでございまして、これにつきましても早期に確立する必要があるというふうに認識をしております。 項目番号36番の違法ゲーム、それからDVD等に付された保護手段、アクセスコントロールを回避することに対する規制の強化ということでございます。 これは、経済産業省、文化庁におきまして9月から審議会で議論をしているところでございます。現在検討中でございますけれども、2010年度中に関係者の合意を得まして、実効的な内容の制度改革案をまとめる必要があるというふうに認識しております。 それから、37番でございますけれども、インターネット上の違法対策のうちプロバイダによる侵害対策措置の促進ということでございます。 これにつきましては、総務省で10月からプロバイダ責任制限法の検証を開始したところでございますけれども、他方、プロバイダと権利者が協働して新たな対策措置を講じる実効的な仕組みということにつきまして、まだ立ち上がっていない状況でございますので、その立ち上げを促していくことが必要であるというふうに考えております。 それから、42から44、著作権制度上の課題の総合的な検討でございます。 このうち、権利制限の一般的規定、いわゆるフェアユースの導入ということにつきましては、現在導入の方向で議論が進んでおりまして、1月に報告書がまとまる予定でございます。これを踏まえまして、法改正準備作業に着手することになりますけれども、関係者間の合意を得て法案が提出される必要があるというふうに認識をしております。 その他の著作権制度上の課題につきましても、文化庁の審議会等の場で検討していく必要があるというふうに認識をしているところでございます。 それから、5ページにまいりますと、これは「2010」の概要でございますので、ご参考にどういうことが「2010」に盛り込まれていたかということでございますし、6ページにつきましては、そのうち戦略2のコンテンツ強化を核とした成長戦略の中ではどういうことが盛り込まれておったかということを参考につけてございます。 最後7ページ、一番最後のところでございますけれども、なかなか進捗が芳しくない状況でございますけれども、1つ進捗を見たものといたしましては、ACTA(模倣品・海賊版拡散防止条約)の交渉が大筋合意に至りました。この10月の東京会合におきまして大筋合意を得たというところでございまして、今後我が国におきましても条約締結という手続がございますし、またアジア諸国などに対しまして本条約への加入を働きかけるということが課題となるというふうに考えております。 以上、主要なもので課題が多いと思われるもののみの紹介でございましたけれども、全体は資料1の参考の方にございます。今後、計画の実行に向けまして、さらに先生方からご意見あるいはご指導いただければというふうに思っております。どうぞよろしくお願いいたします。 ○中村会長 どうもありがとうございました。 皆さんから、ご意見、ご質問をいただいていくということになっているんですけれども、最初にちょっとお伺いしたいんですが、この3ページ目、4ページ目、ここでピックアップしたという趣旨は、参考資料1のこの大きい資料の中にはざあっといろいろな項目がありますけれども、ここからピックアップした趣旨は、これが主なものだという、そういう位置づけなんですか。 ○奈良参事官 はい、この「2010」をまとめるに当たりまして、後のポンチ絵の方にもございますけれども、幾つか重点施策ということで取りまとめたものでございますけれども、そのうちいろんな課題が多くてなかなか進捗が芳しくない、あるいは今検討中であるというようなものにつきまして掲げさせていただいたものでございます。 従いまして、これがもちろん、それぞれにつきましてやっぱりいろんな課題というものがあるわけでございますけれども、これだけということではございませんが、そのうち主要なものをピックアップさせていただいたところでございます。 なお、こちらの工程表の方で、こちらの大きな紙でございますけれども、これには一応全部の項目につきまして網羅をしているところでございますけれども、特に今課題が多いようなものにつきまして、黄色でマーカーをしているのが課題があるというふうに事務局として認識をしているものでございます。 なお、一番右の方に進捗状況というものが記載されておりまして、11月までの具体的な取り組み、今後の取り組み予定というものが記載をしているところでございます。 ○中村会長 わかりました。ありがとうございます。 ということは、このA3の大きな紙のうちで、例えば3ページ目の下の教育コンテンツのデジタル化ですとか、その次のページの地域発コンテンツ製作支援の強化などは黄色いのがついていないわけですけれども、このあたりは、どちらかというと順調に動き出していると、また右側の進捗状況のところを見ると、これはやっていませんというものはなくて、政府としては「2010」で取りまとめたものにすべての項目について着手はしている、その中で進めるに当たってなかなか難しいんだというものを先ほど説明していただいたもので整理をいただいたと、そういう認識でよろしいですね。 ○奈良参事官 そのような認識で結構でございます。 ○中村会長 という状況でございます。これをどのように皆さんの方で評価するか、あるいはこのあたりはどうなっているのかということについてのコメント、ご質問などをいただければと思います。いかがでしょうか。 ○末吉委員 1つ質問なんでございますけれども、今ご説明いただいたペーパーの3ページの海外展開のところの「3〜4」と書いてあるところに、これ、かなり強い調子で角川委員が前から言われていた国際共同製作協定の話があるんですが、これはA3のペーパーの方で伺いますと、A3のペーパーの1ページの項番4番のところなんですけれども、この進捗状況の記載がいま一つ理解ができないんですが、これは、協定は要らないという意見があるというふうにも読めるんですけれども、この点、補充してご説明いただけたらありがたいんですが。 ○奈良参事官 3番と4番、ある意味1つパッケージで考えた方がよろしいのかなというふうに思っておるんですけれども、まずその国際共同製作協定を進めるに当たっては、やはり相手方と組むに当たって、それぞれがどういうインセンティブを与えられるのかというところをお互いにまず出し合うというところがあろうかと思っておりまして、まずはそのあたりの3番の方で具体的なインセンティブとしてどういうものが考えられるのかというところをまず先行して検討させるのが適当ではないかということでございます。 実際に4の方につきましては、従いましてまだ具体的な国とか内容というところまでは検討が至っていない状況でございまして、今後3と4あわせて進める必要があるのではないかというふうに思っております。 ○角川委員 国際協定というのは、必ず相互主義というんですか、その当該の国が持っている制度を相手の国も持たないと支援の対象にしてくれないわけですね。そこで、先ほどの海外支援ファンドが機能するんだと思うんです。海外支援ファンドがまだ遅れている理由が、人的要因がまだ固まっていないとか、そういう理由が出ていて、もう一つ、相手の国の支援がここまで来ているのだからやらなきゃいけないんじゃないかという何か切迫感がないのがちょっと残念なんです。そこら辺を記述していただけたらありがたいです。 カナダなども、ロケーションには来てくれというのは言っていたんですけれども、最近まではそれほど資金的な援助はなかったのが、最近非常に支援が厚くなっているんですね。そこら辺で、何か日本の支援体制が非常に手薄になっているなというふうな感じがしております。 ○芝田次長 今日少なくてもここにお示ししました項目については、各府省からこの場に出てきていただいて、いろいろ意見交換、情報交換していただく場を設けようと思っておりますので、その場で直接、今のようなご指摘もいただきながら状況を確認していただければというふうに思います。 ○角川委員 ご存じのとおりに、ユニジャパンという組織がある。せっかくでき上がっていますので、そのユニジャパンを通せばそういう話し合いがスムーズにできるベースができておりますので、是非力を入れてほしいなと思います。 ○近藤局長 今のコンテンツファンドのところは、正直言って大分遅れているんです。それで、経済産業省の検討を加速してもらうように我々もずっと言い続けているわけでありますが、ややいろんな確かに難しい問題はたくさんあると思うんですけれども、遅れているので、これはやっぱりその責任課長にでも来てもらって、それで今どういう状況なのか、それでどういうことが問題で、どこがボトルネックなのか、そういったことをお話ししてもらおうと思います。 もちろん、全部公開でできるかどうかは状況によって違いますので、どういう形でもう一回説明してもらうかといったことは、ちょっと別途、座長にご相談をさせていただきたいと思いますが、いずれにしてもそういう議論をしたいと思っているんです。 それから、先ほどの「協定の要否を含め」というのも何かいかにも逃げているような表現ですが、そうではなくて、フレームはつくらないといけないわけでありますので、そういったことを、これから私どもが今の時点で各省の様子を各省からのヒアリングなどで見て、今こういうことがなかなか進んでいないんじゃないかと思うと書いてあるんですけれども、むしろ今日先生方からも、いやいや、うまくいっていると書いているところの中でもこんなのが抜けているんじゃないかとか、これはむしろ時間がかかるからゆっくりでいいよとか、そういうご指摘をいただいて、それで各省とまたもう少しごりごりやると、こういうつもりでこの章をつくらせていただいております。 ○杉山委員 質問なんですが、多分、文科省の方に来ていただいて説明していただいた方がいいとは思うんですけれども、17番、一流クリエーターの学校訪問による創造活動、これはよろしいと思いますし、継続的にワークショップ等をやるということもよろしいんじゃないかと、前の時もこういうことは小さいうちから始めると良いということで話し合われたということを記憶しているんですが、概算要求が53億円という他と比べるとすごく大きな数になっているので、ちょっと中身が、どんなことに本当に使われるのかなということが、通常よくクリエーターたちがボランタリーに小学校・中学校とか行っていろんなことを活動しますけれども、そういう時にかかる費用と比べれば物すごく大きなお金ですし、中村伊知哉先生もワークショップコレクション等々大規模にやっていらっしゃいますけれども、それと比べても破格の概算要求だな、と思いました。 ○奈良参事官 17番のクリエーター訪問でございますけれども、具体的には、学校を巡回して回る巡回公演というものと、それからクリエーターを具体的に学校に派遣する事業、この大きく2つになっておりまして、巡回公演につきまして1,580公演分、それから派遣事業につきまして約2,500カ所ということで、その謝金等につきまして予算を計上しているところでございます。 これによりますと、従来でありますと義務教育段階におきまして1回ぐらい程度しか触れ合う時間がなかったのが、少なくとも義務教育期間中に最低2回はそういった体験ができるというような考え方でこの予算を積算しているところでございます。 ○近藤局長 ちょっと難しい説明をしていますけれども、もともとこの予算の中にはオーケストラをどんと呼んで音楽を聞いてもらおうと、これは結構お金がかかるんです。それから、クリエーターに来てしゃべってもらったり何かちょっと見せてもらう、実はこれは全然金がかからないんです。 従って、53億円という額を聞くとぎょっとするんですけれども、オーケストラを呼んで演奏してもらうと結構かかります。そういう積み上げであります。この予算も実は随分揉めまして、概算要求の段階で文部科学省から要求枠が非常に厳しい状況の中で出せないという議論があったのをかなり政治レベルでもやってもらいまして、それで概算要求前に各省とやって、それでここを拡大してもらったという経緯があります。 従って、件数だけ見ると、件数がガバッと増えているのに、予算額がもとの50億が53億とか何かそんな変化でありまして若干びっくりするんですが、そういうことだということをご理解いただいて、クリエーターの方にどんと金が出るというわけでは残念ながらないと、そこのところは安い単価で計算をしていると、こういう状況でございます。 財務省との関係は、この国に金が無い時にどうかということで結構難航しているようでありますが、これは文部科学省の方でもプライオリティーを上げて、おりずにしっかり闘ってもらうということで今お願いをしているところでありますし、私どもの方も財務省に対しては、この知財推進計画に書いてあるということは、これは総理を含めてすべての閣僚が合意をして決めた計画なんだから、書いてあるものは必ず予算をつけてくれと、こういう要求を今、申し入れをしてあるところでございます。 ちょっと補ってご説明すると以上であります。 ○中村会長 他いかがでしょうか。 はい、どうぞ。 ○大多委員 今のクリエーター学校訪問の53億は僕も正直ちょっと驚いたんですけれども、オーケストラとか情操教育的な要素が高いのが、果たして将来、もちろんそれは悪いことではないんですけれども、クリエーターがどれぐらい増えるのかなという若干疑問があるのと、地域コンテンツの海外展開で4.5億、これ、多分、角川さんなんか1作で終わりという金額だというふうに思うんですけれども、それだけにこのファンドがどのぐらいの規模になるのか、ちょっと僕、前回のあれで忘れましたけれども、具体的なこのぐらいの規模かな、50億から100億という規模のお話があったと思うんです。それは変わらずの状況で進んでいるんでしょうか。 ○奈良参事官 金銭的なところを含めて今調整中でございますけれども、聞いている範囲におきましては、最初は大きな金額というよりは若干小さい金額で始めるというようなことで聞いておりまして、まず政策そのものに対する全体的なものというよりは、企画段階のものに支援してはどうかというようなことも検討しているようでございまして、若干その金額につきましても今調整中ということでございます。 ○大多委員 企画段階の支援というのはどういう、いわゆるプロットとか、そういうものを見てそれに2,000万円とか3,000万、細かい話ですけれども、そういうことですか。それとも、いわゆる制作には直接、まずはファンドとしては投資しないみたいな、まだそんなところまで詰まっていないということですよね、逆に言うと。 ○奈良参事官 具体的には、例えばハリウッド等と協定、連携してやるという、そういう企画があるとか、そういうそのものにやってはどうかというところで、まだ具体的な話が詰まっているということではございません。 ○角川委員 それで申し上げるんですけれども、今、合作をしていこうという国というのは、もちろん世界100カ国全部対象と言えばそうなんですけれども、例えば中国だとか韓国だとか、それからアジアの国々、それからヨーロッパで言えば、フランス、ドイツ、イギリス、具体的に名前を挙げればそういうところだと思うんですね。そういうところと合作協定の打診をしながら、支援の制度を検討して、そこにお金をつけなきゃいけないということになるとかなり具体化すると思うんですけれども、いかがでしょうか。 もちろんハリウッドなんか出してくれれば一番いいんだけれども、ちょっとハリウッドの場合には1作品自体がもう100億単位になってしまうから、むしろそういうところはちょっと考え過ぎかもしれないと思うんですが。 ○奈良参事官 すみません、ハリウッドの例を出しましたのは、当初そういう構想があったということでございまして、例えばこういう案件が考えられるのではないかということで当初検討されていたものでございますので、ご指摘の点等々、経産省の方と話をしたいというふうに思っております。 ○近藤局長 角川さんのおっしゃるのは、私、同じ気持ちなんです。同じことを言っているんです、今。経済産業省の方は、正直言ってなかなか調整が難しいようで、なかなか動きが思うようには進んでいないと、そこでとにかく検討ばかりして時間が延々かかってもばからしいので、まずは小さく産んででもいいから進めようじゃないかと言っているんだと思います。それは一つの考え方だと私も思います。 私たちが思っているようなもともと海外展開するためのファンドの話は、やはり今、角川さんがおっしゃったような100億規模でどんとやりたいというようなイメージをもともと持っていたわけですから、そこがもちろんベスト、そうでなければ次の策はどこ、その次の策はここと、最低でもこれは確保しなきゃいかんという我々としての政策プライオリティーみたいなのをまた経済産業省からも話を聞きながら議論していくということだと思います。 今までも事務局の方ではもちろん経済産業省と何度か話をしているんですが、これで結構ですということにはなっていないんです。ですから、むしろそういう機会を近々につくりますので、また経済産業省からの検討状況を聞きながら、皆様から、こういうニーズがあって、こういうのが欲しいんだよというのをいろいろ言っていただくと話が進みやすくなると。 正直申し上げて、この手の仕事というのはあまり行政でやったことがないんですね。行政でやったことのないというのは、決してマスコミが言うような前例がないから難しいんじゃなくて、知識がないから難しいんです。ですから、むしろ皆さんからこういう時はこういうことに気をつけてここをやったらいいと、あるいはこういうことについてプロの人材はこういうところにいるといったこともいろいろ教えていただければ、もうちょっと話が進むんじゃないかと思います。 とにかく、これを検討検討で先延ばしすることは許さないというのは、私の方からも強く言ってありますので、また議論をしていただいたり、ご指導をいただいたりすればいいんではないかと、こんなふうに今思っているところであります。 ○中村会長 今お話しされましたように、今後、担当省庁とのヒアリングが予定されておりまして、その説明も後でしていただきますけれども、そうした我々の声を担当省に直接ぶつけていくという観点でのこのあたりが重要じゃないかということをお出しいただければと思います。 前回の「2010」の策定に当たっては、我々としては3つの柱、海外と人材とデジタルネットという野心的な項目立てをした上で整理をいたしました。概ね前のめりで政府にはそれぞれの項目に着手をしていただいておりましてありがたいところなんですけれども、先ほどの事務局の話にありましたように、例えば海外展開の資金のファンドあるいは共同製作といった我々にとってチャレンジングで柱だと考えていたところでも問題が多くてなかなか進まないということがあろうかと思いますので、その「2010」でまとめたものを「2011」「2012」にかけて前向きに突破していくための整理あるいはこのあたりもっと力を入れるべきだという声を整理していきたいと思います。 ヒアリングに向けてどのあたりが重点的に手をつけていただかなければいけないのか、これまでの議論では海外展開と人材のところで意見が出ておりましたけれども、他にもあればお出しいただければと思います。 また、同時に政府の予算編成が佳境を迎えようとしておりますので、このあたりの事柄は大事なんだから頑張ってくれというようなことを我々もメッセージを発していかなければいけないかもしれませんし、財務省に対してもよろしくというメッセージを出さなきゃいけないこともあろうかと思います。 他に、このあたりはどうなっているんだというようなコメントや質問ありましたらお出しいただければと思います。 ○近藤局長 今、先生からご質問のあったクリエーターの数の、今どれだけやっていて、今年何ぼ要求していて、2020年までに1万人でしたっけ、いくのはこんな方向という数字をちょっと説明してもらえますか。 ○奈良参事官 これは「知財計画2010」の中では、まずクリエーターによる小・中学校訪問の機会を1万件つくるということを目標指標として掲げさせていただいたところでございますけれども、予算額につきまして、今年度、22年度につきましては、約3,000件、予算としては50億円、平成23年度、現在概算要求中のものが3,000件を4,000件にふやしまして、これを53億円ということで3億円増の要求を出しているところでございます。 ○近藤局長 10年で目標どおりになるんですね。 ○奈良参事官 2020年で1万件ということでございます。 ○別所委員 今の中村先生のお話と連動になると思うんですけれども、特に12番、他も全部共通していたと思うんですが、さわりの方にもあるコンテンツ版のCOEの形成促進、人材育成の部分だと思うんですけれども、これも各省庁さんが具体的に11月までにこういうことをやりましたと、具体的検討を実施しているとか実施中とかとあるんですが、さらに詳細はまた別途の機会に各関係の省庁の方からご報告があるのかなというのと、同時に効果の検証というのはどうやって皆さんはやっていらっしゃるのかが、例えば2010年、私たちも何度かこうやってミーティングに参加させていただきましたが、じゃそれがどういうふうに実施されて、その効果はどうだったというのが、それぞれの省庁さんの連絡会があるのか、あるいはその取りまとめを逆に皆さんの方がされていらっしゃるのか、総合的にどこにでこぼこができているのかというのは、ちょっとこのいただいた資料からは僕は正直読み解けませんで、また早急に検討とか、そういう文字がたくさんあるんですけれども、早急というのは大体どれぐらいの具体的な期日をお考えになっているのかが、この特に人材という部分はかなり議論を皆さんされたと思うので、人材育成の部分と、それから今回、私の知る限りでは、話の中で新しくと言われて出たコンテンツ特区という24番も、経産省さんと総務省さんと文部科学省さんで、3つの実施、計上された、あるいは行っていないということなんですけれども、この辺のところがどういう連携をとっているのかが知りたいところです。 もう一点は、先ほどの12番に戻ってなんですけれども、例えばこういう人材育成なんかに関しては、各省庁さんの募集なんかでも、末端のそれにかかわりたいと思っている人間にとってみると、どういう応募状況があって、それが、例えば締め切りがどこで横でぶつかってしまってできないかとか、そういう細かい手続的なことがどういうふうに障壁になっているかということが検証されていませんと、結局、特にここにある総務省さんのやっているデジタルコンテンツ力創造事業というのを僕は不勉強でよく知らないんですけれども、5億円で何をされているのかなというのが、他の例えば省庁さんのやっていることと何が重なっていて、何がユニークなことなのかがわからないので、ひょっとしたら似たようなことをやっていらっしゃるんじゃないかとも思うし、同時に何を特別にユニークにやっていらっしゃるかが、もうちょっと横の連絡がとれた情報がいただけたらなと思ったりしました。 ○中村会長 我々として、個別にヒアリングをしたり、あるいは文書で各関係省庁に聞くということもできるかと思います。そういったやり方と同時に、これをどう検証するのかというのは、我々にとっても毎年度の施策の結果を我々としてもどう検証するのかというミッションを帯びているかと思いますので、そのあたりも議論できたらと思いますけれども、事務局から何かありますでしょうか。 ○奈良参事官 まず、評価でございますけれども、これはまず今11月までの進捗状況ということでかなり検討中ということが多いようになってございますけれども、実際、事業が終わりましてからは、正式にこの評価という形で各省に状況を報告させて、それぞれ項目ごとに評価をしていく予定でございまして、それを次の計画に反映させるような形で考えております。 それから、おっしゃったように、各省、具体的にどういう連携が図られるのかというところがなかなか見えにくいというお話でございましたので、それにつきまして具体的にそれぞれどういうふうな連携が図られるかというところもわかるように少し工夫をしたいというふうに思っております。 ○中村会長 評価は毎年度していかなきゃいけないと思うんですけれども、それはタイミング的にはどんな感じになりますかね。年度末3月で締めて何か出てきて、4月、5月に評価すると、そんな感じでしょうか。 ○奈良参事官 まず、進捗状況につきましても、途中経過ということである一定のまとめをしたいというふうに思っておりますけれども、具体的には3月、年度が終わった段階で、事業が終わった段階でしたいというふうに思っております。 ○中村会長 その評価を踏まえつつ「2011」の新計画を立てていくという流れになりますかね。 ○近藤局長 ちょっと役人的なことを言って恐縮ですけれども、年度末に1回締めて、その結果の状況を見て「2011」に盛り込むのは極めて難しいと思います。 年度は、ご承知のように、ちょっとまず事実関係を言うと、3月末に全部、予算が、執行期間が終わるんですけれども、出納整理簿期間というのが1カ月間ありますので、事実上は4月いっぱいぐらいなんですよね。そこの結果を集計して、どこが遅れているかを見て「2011」をつくるというのは事実上僕は無理だと思いますので、中間段階で何度も聞きながら、できそうか、できそうでないかの見当はつきますから、それを見ながら「2011」に盛り込んでいくというのは是非やりたいと思います。 それから、終わった後の検証は、やっぱり2010年度終わった段階でできなかったところはできなかったというのをちゃんと出して、それでどこまで公表するかというのは別途考えますけれども、できなかったバカなやつリストというのをつくって、何をやっているんだというのをやらないかんと、こんなふうには思っています。 私が冒頭に申し上げましたように、この知財計画は、この本部で決めた、総理のいるもとですべての閣僚で決めたんだから、ちゃんと政府として1回これをやると決めたんだから、財務大臣を含めてリーガリーバインデットだと、法律的に拘束されるんだと、こんな話を我々がしておりまして、財務省の方も最初はびっくりしておりましたけれども、趣旨は理解をしてくれておりますので、こういったことをよくやっていきます。 それから、2010年度終わって来年の夏ぐらいの段階では、2010年度に約束した事項のどれができて、どれができなかったのかと、特にできなかったのはなぜできなかったのか、それから、それが例えば2カ月遅れでできるのか、もうやめてしまうのか、そういうことをはっきりさせる必要があると思っています。それは継続してやっていきたいと、こんなふうに思います。 それから、国の施策ですから、年度が終わらないと、目処が全くつかないということではないんですよね。大体できそうかどうかぐらいのことはわかりますから、そこら辺を見ながら議論していきたいと、こんなふうに思っておりまして、おっしゃるとおり、結果の検証、評価、政策評価というのは真剣に考えていきたいと思っております。 ○中村会長 ありがとうございました。 ○杉山委員 教育の方はいろいろ出ていると思うんですけれども、何をやるかが、本当に中身が大事で、こう書いてあっても、中のことを見ていかないと、今までもいろいろな補助とかいろいろなものは見てきましたけれども、日本のコンテンツを強化して、国際的に流通させていくんだというためになっているようなことが余り起きていないようなものが多いんですね、実際に、大学と何かいろいろやってもですね。中身を一体誰がどんなことをやるのかと言われると、本当は実は物すごく大事なんじゃないかなというふうにはいつも思います。 ○芝田次長 ここでも出ていますクリエーターの学校への派遣などにつきましても、実際に現場ではかなり子供たちが感動して、そういう方向に、クリエーターの方向に興味を、関心を持ってくれるというような声がたくさん上がっておりますけれども、その辺はシステマチックにどういう評価をしていくかというのは大きな課題だというふうに思っています。 今度この担当の文化庁からもここの場でいろいろ説明をしてもらいますので、そういうところでも今みたいな具体の話を意見交換していただければありがたいなというふうに思います。 ○杉山委員 そこもそうですけれども、12番の辺のことでもそう思ったので申しました。 以上です。 ○角川委員 今の補完的な意味で申し上げたいんですけれども、コンテンツの製作を強化するという点で、従来、専門学校がやっていたところを一般大学でもやるようになったのは、知財本部の成果だと思うんですね。 現実に、ご存じのとおり東京藝大も、国立の藝大も映画科をつくり、それからアニメ科をつくったり、東大でもそういうことを検討されるようになったりしております。 ただ、どうしても、僕も何回かそういう学校に行って話を聞いたり、講義したりすると感ずるんですけれども、実技のための養成という点がどうしても黙っていると甘くなってしまって、コンテンツを学問にしちゃうみたいな傾向があるんです。コンテンツという言葉がいつから始まったかとか、そんなことを学校で教えたって何にもならないんですよね。笑い話みたいなことなんですけれども、でも学校ってそういうところがあるんですよ。すぐに学問体系にしてしまう。例えばアニメをつくるための手法はどうだこうだとか、それから漫画はこうしたら技術がうまくなるとか、それから著作権法に違反するようなコンテンツのつくり方はいけないとか、きちっとしたそういうことを指導されると、実は子供自身が非常に興味を持って一生懸命になるんですね。 それについて、例えば出版的なことであれば出版社が、映画的なことをやれば映画会社が、アニメのことだったらアニメ会社が行って、実際にその生徒を見れば一目ですぐわかっちゃうんです、どれだけ成果があったかと。 是非そういうふうな形で、今ここは具体的な成果を求めるという話ですから、そこら辺をそういうコンテンツの製作会社に参加してもらって、学校の評価をするとかいうふうなことをしていただくと、今いろいろご疑問が集まっている質問に対する答えになるんじゃないかと思います。 ○杉山委員 一言、その技能に偏ると、文科省としては、それは、一体、大学なのかという問いもあって、我々も大学をやっていて、非常にそういうチェックを受けるんですね。学問体系になっていないものをどうやって大学で教えているんだという問いかけで、そういう先生方が我々のところに来てチェックをされていく、カリキュラムを。だんだんそういうこともやらなきゃということなので、技能、技能というと専門学校ですねという評価をされてしまうので、すごく大学としては難しいところですね、文科省の言いぶりからすれば。 ○角川委員 ですから、それをもう学問というふうに位置づけなきゃならないところに今の大学の問題点があるんですね。コンテンツ立国をつくろうという時に、そういうところが僕は差しさわるような話にしちゃいけないんだと思うんですね。 クールジャパンをどういった位置づけにするかという話でも、恐らく大学の話が出てくると思いますので、そこら辺を1つチェックポイントにしていただきたいんです。 ○芝田次長 大学等でこういうコンテンツの拠点をつくる時の一つの視点として、いわゆる産学連携と古くから言われていますけれども、製作の現場で実際にやっていらっしゃる方々との連携というか、そういうのはやっぱり重視する必要があるんだろうというふうに思います。 そういう視野を持った拠点づくりというのが進められるように我々も文科省に対しても要望していきたいというふうに思っています。 ○中村会長 さて、政策の中身に入ってきましたので、「知財計画2011」に向けた今後の検討課題、後半戦に移りたいと思います。そちらでも同様の議論を続けていただければと思いますけれども、そちらの方では事務局から説明をいただいた後で順に皆さんからコメントをいただいていきたいと思っております。 では、今後の検討課題について事務局から説明をお願いできますでしょうか。 ○奈良参事官 資料2−1、2−2、それから資料3でご説明をさせていただきたいと思います。 まず、資料2−1の横表の紙をご覧いただきたいと思いますけれども、コンテンツ強化専門調査会の進め方についてというものでございますけれども、今ご意見をいただきましたけれども、「知財計画2010」の進捗状況につきまして、11月、12月、関係省庁からもヒアリングをしながら、その評価をし、進捗状況をまとめていきたいというふうに思っております。 また、それと同時に、新たな課題、さらに深掘りすべき課題等につきましても、課題を抽出し、それについてご議論をいただければというふうに思っております。 例えば、検討項目の例といたしまして、クールジャパンの推進でありますとか、あるいは書籍等デジタルコンテンツのアーカイブの促進でありますとか、あるいはクラウド型サービス等の進展によります知財制度上の課題、こういったものなどが考えられるのではないかというふうに思いますけれども、さらにこの他にもいろんな課題等あると思いますので、先生方から是非課題につきましてご指摘いただければというふうに思っております。 それを踏まえまして、4月を目処にこのコンテンツ強化専門調査会としての提言をお取りまとめいただき、さらには5月、6月を目処といたしました知財本部、それから企画委員会にかけまして、「知財計画2011」ということで政府として計画を取りまとめたいというふうに思っております。 資料2−2をご覧いただきたいと思いますけれども、今の事柄と重複いたしますけれども、特に2ポツのところでございますけれども、当面の日程ということでございまして、11月、本日につきましては進捗状況の概況でございましたけれども、次回以降につきましては、関係省庁からのヒアリングをしながら今後の検討課題等につきましてもご意見をいただければというふうに思っておりまして、さらに1月から3月にかけまして、それらの課題につきまして重点的に検討を進めていきたいというふうに思っております。 それから、1枚めくっていただきますと、先ほど進捗状況の概要のところでもご説明をいたしましたけれども、特にヒアリングすべき事項としては、こういった、先ほど説明したようなことが考えられるのではないかというふうに思いますけれども、さらにこれ以外につきましても、これを聞きたいというものがございましたら、出していただければ調整をさせていただきたいというふうに思っております。 それから、資料3の方でございますけれども、今後の検討に当たってのご参考でございますけれども、事務局の方で関係者と計50回程度ヒアリングを行ったところでございまして、その概要を記したものでございます。 例えば、資料3の1ページのところで申しますと、クールジャパンの推進につきましては、コンテンツ単体の輸出ではなくてパッケージで行うべきでありますとか、あるいは売れそうな地域等を選定して集中すべきでありますとか、プラットフォームを確保するということも重要だということ、それから外国のコンテンツの放送枠規制が障害になっているというような意見などがございました。 また、コンテンツによる地域活性化という観点で言いますと、ロケ環境の整備、それから英語が堪能な人材の拡充、また金銭的なインセンティブの付与というものがございました。 それから、地域発のコンテンツというところにつきましては、地域の伝統資源をどう生かすかという観点が必要だということ、政策資金につきましては、政府あるいは企業からコンテンツ製作に向かわせるような仕組みが必要ではないかといった意見がございました。 また、人材育成のところでは、プロデューサーあるいはITに理解のある製作者等、これまでの枠を超えた人材が必要であるというような意見でありますとか、あるいは映像製作のクラスター拠点が必要だというような意見がございました。 それから、プラットフォームにつきましては、プラットフォーム戦略が重要でありまして、プラットフォーム間の競争促進あるいは寡占化への弊害を検討する必要があるという意見がございました。 また、デジタル化・アーカイブ化のところでは、電子書籍の進展で効率化が期待される一方で、中小出版社への影響でありますとか図書館のあり方、こういったことについても検討が必要だという意見、それからコンテンツのアーカイブ化につきましては、まず利活用について検討し、何をどこまでどういった優先順位で保存すべきか整理する必要があるという意見、あるいはそのコンテンツごとに検討すべきだという意見などがございました。 それから、2ページにいきまして、3D対応につきましては、流通しているコンテンツが少ないという意見がございました。それから、クラウド型サービスのところでは、今後二、三年で新しいパラダイムを生むということで、海外に保存されるデータの保護でありますとか個人情報の保護あるいはその著作権法上の問題など、現在まだ表には出ていない潜在的な問題に対する検討が必要ではないかという意見がございました。 それから、違法対策につきましては、プロバイダ責任制限の再検討が必要であるという意見でありますとか、あるいは海外での権利侵害への対応が必要だというような意見などがございました。 今後の議論の参考になればというふうに思っております。 説明は以上でございますけれども、今後の新たな課題、それから「2010」に盛り込まれておりますけれども、さらに深掘りすべき議論などにつきまして先生方のご意見をいただければというふうに思っております。どうぞよろしくお願いいたします。 ○中村会長 ありがとうございます。 では、今後検討すべき課題について意見を交換したいと思います。 先ほど説明をいただいた資料2−1の右下のところに検討項目の例ということで、クールジャパン、それから書籍等のデジタル化・アーカイブ化、クラウド型サービスの進展による課題というのが頭出しされておりますけれども、これはあくまで例でございまして、皆さんの方からこのあたりちゃんと検討すべきではないかというご意見をいただければと思います。 さらに、深掘りしていく課題などあればお出しいただければと思いますが、前回のラウンドでは、それまでのコンテンツ政策をいかにリニューアルするのかというところに力を注いで議論いたしました。本当に委員の皆さんにとって議論したいことをすべて反映したかというとそうではないかもしれません。皆さんからご意見を改めていただいて、骨太の柱を改めて見直していただければ、それによって大きく議論が見直されることになっても構わないだろうと思います。 また、資料2−2にありますように、府省から特にヒアリングをしたい事項、このあたりをもっときちんと突き上げたいということがあればお出しいただければと思います。 せっかくの機会ですので、皆さんから、全員からご意見、コメントをいただければと思いますので、順番にコメントをいただいてまいりましょうか。 大多委員からお願いいたします。 ○大多委員 私、テレビの方から来ていますので、簡単に現状のテレビの状況をご説明しますけれども、もうご承知のとおり広告市況の非常に悪化ということで、テレビ局、一番コンサバティブでオールドでレガシーとさんざん言われておりますけれども、そういった中で、やはりとにかく違った利益を求めなきゃいけない、それまでは、逆に言うと、国内だけで十分な利益を上げられていたというのはご承知のとおりであります。 そうした中で、私、非常にこのところテレビ業界、感じるのは2つありまして、1つはここに書いてあるとおりであるんですけれども、海外展開、それからもう一つがデジタルをどうやってビジネスに結びつけていくのかというのをテレビという地上波、BS、CSもありますけれども、そういったものを使ってどうやってビジネスにしていくのかというのが今最大の課題で、こんなことを言ったらあれですけれども、ここ半年、1年が急速にそういったような動きが強まっております。 そうした中で、やはりコンテンツをつくっているところでもございますので、何といっても、海外展開で何か成功例を大きくつくりたいというのは本当にクリエーターのみんなも思っているわけです。 先ほどもハリウッドという話が出ましたけれども、前回も言いましたけれども、別にハリウッドももちろんいいんですけれども、中国、韓国等に対していろんな作品を打って出たい、一緒につくりたいというよりも打って出て向こうの人に認めてもらいたい、そして大きなビジネスにしたいというふうに思っている中で、先ほどこれも言いましたファンドというのは注目をどうしてもせざるを得ない。今日大アさん欠席ですけれども、吉本さんなんかとも一緒に、こんなことをやって、中国、韓国でこういうようなコンテンツをつくれないかというような話はしょっちゅうしているんですけれども、そういった中でどれぐらいのお金を割けるのかというところで、正直そういったところで大きな資金を援助してくれたりできれば本当にできるなというふうに思っています。 最初にここに来た時にも言ったんですけれども、中国、韓国、あえて中国、韓国と言いますけれども、ここに追いつけ、追い越せという号令の中で、一番やっぱり彼らがすごいのはお金を出していることでしょうというふうに多くの人が思っているわけで、だからこのファンドがまたこれで調整中というふうに書いてありますけれども、またどんどん延び延びになっていってしまいますと、じゃ民間でやるよということなんですけれども、その辺を、そして向こう、中国、韓国には、ご承知のとおり、大きなこちらの放送をゴールデンタイムでかけられないとかというような障壁が立ちはだかっていて、非常に不公平な状況にもなっている中で、じゃどういうふうに彼らに勝っていくのかという点で言うと、このファンドというのは、私個人的にも、それからテレビをつくっていく人間にとっても非常に注目されるというふうに思っておりますし、先ほど50億、100億という規模というのが出ましたけれども、これを見ていても、人材育成の先ほど53億とありましたけれども、それに並ぶ大きな2つの柱になるような予算が割かれるということであれば、これに期待したいというふうに思っています。 1個だけ、さっきの続きになりますが、近藤局長の方から、我々がまだやったことのないこと、そして何にどういうふうに投資すればいいのかと、これは非常に人材育成と同じで大変大きな問題というか課題であって、じゃ小さく産んで大きく育てるのも、何億から始まっても何でもいいと思うんですけれども、じゃ誰が決めてどういうふうにしているのか、中国や韓国の人が、50億、100億、200億という金をもしコンテンツに投資する場合には、彼らは誰が決めているのかというようなことも、ちょっとその省庁の方にもしヒアリングさせていただけるのであれば、その辺もすごく大きいですし、中身がやっぱりそろそろ具体的にこれをやらないといけないというところで言うと、その辺が重要ではないかなというふうに思いますので、その辺をいろいろ深掘りできるんであればしていきたいなというふうに考えております。 以上です。 ○角川委員 資料をお配りしたんですけれども、皆さんのお手元に行っているでしょうか。 私は10月にシリコンバレーとニューヨークに視察に行ってまいりまして、その結果のお話として聞いていただければありがたいと思います。 2枚お渡ししたんですけれども、2枚目を先に見ていただいた方がわかりやすいかもしれません。 iPadが出て、僕らはそれを電子書籍として受けとめているわけですけれども、キンドルとアップルのiPadというのは、専用機としてのキンドルと、それから多機能を持っているiPadで受けとめ方がユーザーもそろそろ違ってきたということはご存じのとおりです。 実際、アップルも、日本でiPadが電子書籍とだけ認識されていることに非常に不満があって、実はこういうふうな機能を持っているんだということを言いたがっているわけです。それがこの2枚目の絵のむしろ下の方からなんですけれども、インターネットに接続した端末なんだということで、アップルが考えているのはWi−Fi用に電子書籍をつくっているんだと、iPadをつくっているんだ、それが行く行くiPadがグーグルテレビのコントローラーになるわけですね。チャンネルを選ぶコントローラーになるわけです。 それから、アメリカではブルーレイライブというのが出ていて、これもいつでもどこでも、外でも、Wi−Fi環境があればブルーレイライブで映画を見ると、ビデオを見るということができます。 それからまたそれが、今クラウドが導入されて10年になりまして、もうソーシャルアプリが出るフェースブックだとか、そういう時代にはクラウド・ツーだと、そういう考えを持っています。クラウド・ツーの時代にはどういうことが起こるかということをもう一回1枚目の絵を見ていただくとよろしいんですけれども、これは実はもうマイクロソフトやGoogleは今から二、三年前から、テレビと、それからモバイルとパソコンの一体サービスというのを言っていたわけですけれども、それが2010年の今日では、モバイルがiPhoneという表現になって、パソコンといったのがiPadになって、そして11月にアメリカで発売されたソニーのグーグルテレビ、これが3者を1つにしてどういうことができるかという論理に今移っています。 今のシリコンバレーのベンチャーの人たちの関心というのがここの方向に移っていまして、10月26日の知財本部で討論された時に、これは別のワーキンググループの方のテーマに入っているかもしれませんけれども、国際標準化戦略の検討状況という本文だけの資料の中で、13ページと16ページに出ていたものに対する僕の危機感なんですけれども、こういうWi−Fi環境で並べると、テレビもiPadもiPhoneも一体で使えるという時代に、向こうはどうやってサービスをするかということにもう関心が移っています。 アメリカでもグーグルテレビを買いたいという人が大衆用の調査をしたところ23%いて、それで3Dテレビは11%しかないんですね。ですから、今3Dテレビの方に関心が日本では来ていますけれども、実はアメリカでも世界でも3Dテレビよりもパソコンテレビ、グーグルテレビの方に関心が行っています。 そこで問題になるのは、シリコンバレーでもテレビは10年までの間に恐らくパラボラアンテナはなくなるだろうという認識を持っているんです。Wi−Fiでテレビを見ればパラボラアンテナは要らないと、そういうことを聞かされました。Googleの場合には、これがiPhone的端末とiPad的端末とグーグルテレビがAndroidというソフトウエアで統一されるわけですね。アップルの場合にはiOSというので一体サービスになります。 日本の場合には、実はこういう絵をソニーもかいてはいるんですけれども、ですけれども、ソニーが持っているテレビとソニーが持っているブックリーダーと、ソニーが持っているiPhone的端末ではどうしてこれが一体的サービスになるかという説明は一切されておりません。 そういった点ではまたここでも、また何か海外勢に遅れている。僕ははっきり言うと、Gooleと、それからFacebookという名前が出てきました、Google、Facebook、アップル、もしかするとアマゾン、そういうふうなところがこの一体テレビで出てくる。Google、マイクロソフトは前からウィンドウズをテレビに入れたいと言っていたのが、そのころは日本の家電メーカーも力が強かったものですから抵抗して入れなかったわけですけれども、ソニーがみずからGoogleに足を運んでグーグルテレビをつくるといった時代になりましたので、これになると、大多さんの前では恐縮なんですけれども、テレビとパソコンが一体となると、地上波テレビと、それからYouTubeのような、あるいはまたオンデマンドチャンネルというのが一つの画面でさくさくと見られるんですね。 そういう状況というのは、日本の今の環境から見ると非常に抵抗が強いんですけれども、世界がWi−Fi環境でそういうふうに動いていくということを見据えて知財というのは動かなきゃいけないんじゃないかなと。 どうしても、僕たち、一生懸命やればやるほど現在の状況に対する不満から始まりますから、重箱の隅をつつくような話になりますけれども、クラウド時代の本当の恐ろしいところはこういうところにあるんだということを何か知財でちょっと先を見て、ですけれどもちょっと先であって、下手すると来年後半にはこの話は必ず出てまいりますので、こういうところから何か大きな絵をかいて知財問題を考えていくということを検討してもらいたいなと思っています。ここのワーキンググループでやるかどうかは別として、是非知財本部で取り上げてもらいたいと思いまして今日ご案内いたしました。 ○中村会長 順にお話を伺っていきたいと思うんですけれども、もし先に退室するという委員の方で先にコメント出しておきたいという方がおられれば優先したいと思いますが。 ○佐藤(直)委員 申しわけありません。途中退席ということで、事務局の方にはお話ししていたんですが。 ここまでお話を伺ってきて、実は危機感といいますか、私自身、今、撮影所を持っている制作プロダクションという立場で先ほどのプロダクションの話がありましたけれども、申し上げます。 人材という観点から学校のお話がいろいろ委員の方からも出ておりましたけれども、制作プロダクションというのも実は人材育成に大変大きい役割を果たしているというふうにご理解いただきたいと思います。 例えば、かつて「Shall we ダンス?」を撮った周防監督であるとか、世界に通用する三池崇史であるというような監督は、決して学校の教育の場ということではなくて、制作プロダクションでフリーのスタッフという立場で育ってきた人間です。今この制作プロダクションというのが壊滅的な状況になりつつあります。 皆さん方が各省庁の中でクールジャパンというお話をされているようです。今すぐれたコンテンツを持っているのは事実だと思います。ただし、3年後、5年後、同様にクールジャパンと言われるようなカテゴリーでのコンテンツを生み出すクリエーターたちがこれからも出てくるのかというのに私は猛烈な危機感を持っています。 日本の映画の制作本数が400本を超えました。さまざまな意見があるでしょうが、これが極端にこれから下がってくるだろうと思います。下がることによって現場を維持しているいわゆる零細企業の制作プロダクションはどんどん倒産していくだろうという現実が今も起こっています。人材育成の場というのは、こういう中からも失われていくというところでは、学校以外の観点も論議の中で持っていただけないのかなというのを1点、人材というところで思いました。 もう一点、海外というところ、その人材とも実はひもづくところなのですが、ここでも猛烈な危機感、先ほど来の論議を聞いていて、スピード感というところに関してもさらに危機感を持っています。 現実的に今私たちは、例えばハズブロという世界を代表するようなおもちゃ会社に、アニメのチャンネルの受注であったりとか、プロダクションという立場でプレゼンテーションをしています。そこで競合している会社は、カナダであったりだとか、税制の優遇措置を既に持っている国々です。オンエアされるのは、カートゥーンネットワークであったりとか、世界で日本発の玩具や日本のコンテンツを広めるためにとてもいい媒体だと思います。 また、映画では、実は今スタジオメジャーと受注の交渉をしている映画があります。それは、受注金額としては七、八十億ぐらいの規模になるはずです。外貨獲得という論議では、ビッグチャンスだと思います。 ただし、競合は中国のプロダクションであり中国の撮影所です。人件費は4分の1、不動産コストに至っては何分の1なんでしょう。さらに、ニュージーランド、ハンガリー、先ほど申し上げたカナダ、こういった国々と、先ほどの工程表にもありました、黄色になっていませんでしたけれども、大型映画の誘致という項目がありました。既に誘致の競争は始まっています。 受注できなければ、そこでまた人材のところにひもづくような形で申し上げた制作の現場が失われていく可能性があります。 ご存じのとおり、コンテンツは完全に今日現在内需依存型の産業です。外貨獲得という号令は出ていますが、95%は内需、潜在的な可能性としての5%というのを経産省の方はよくおっしゃる。じゃ、この潜在的な可能性のベースにあるのは何か、物をつくる力だと私は思っています。その物をつくる力が衰退しないように、何らかの形で歯どめをかけるためにも、先ほど来の課題、深掘りをしてというところではちょっと危機感といいますか、その進行のスピードに一言申し上げたく発言させていただきました。 ごめんなさい、先に失礼しました。 ○久夛良木委員 資料1ですが、かなり細かいところまで、先生方の議論と、それから各皆様方の努力ですばらしい表にまとまっていると思うんですが、これを実行に移す時に、例えば予算待ちであるとか、もしくは各省庁にご理解はいただいたんだけれども、次の段階では具体的にもうちょっと方法論を見つけなくちゃいけないとか、多分こういうことが待ち構えているのだと思うんですね。 こうした中で、民間の立場で言うと、これらを責任を持って強力に推し進めるプロデューサーの存在というのがないのかなと。もしくは私の不勉強でひょっとしてそういう役割の方々がおられるんだとしたら、やっぱりその方たちをもうちょっと表に出して、強力に各項目を、とにかく愛とか命をかけて引っ張っていくぐらいの方がいてほしいなというふうに思うんですよ。 多分そこに予算がつくとすると、その予算の適確な実行ということもあると思います。貴重な予算ですから、それを有効に使う、もしくは使わなくて済むんだったら、使わないでとっておいて、さらに大きな次のチャンスにかけるというような執行権限も持った、どちらかというと政府の方のエンドースメントがあるような形のどなたかをお決めになることはできないんでしょうか?というのが私の希望なんですね。 実際は、各省庁ごとにご担当の方がかわるとか、もしくは各省庁の窓口自体も変わるとかということで、それぞれのプロデューサーの権限、権限というのはおかしいですかね、調整だけということになるのかもしれないと思うんですが、やはり強力にこの国を引っ張っていくためには、何かしらブルドーザーのような、昔で言うと通産省が我が国の「電子立国」であるとか「自動車王国」とか引っ張りましたよね、ああいったような強力なブルドーザーのような方が、全体としてじゃなくて、この各項目に全部必要だと50人ぐらいだと思うんですけれども、そこまでの人数は別にしても、是非そういった強力なプロデューサーの方々を決めていただくといいですね。 いい例か悪い例かわかりませんが、例えば蓮舫さんというとある意味でプロデューサーですよね。ああいうような明快な形を、是非近藤局長も含めて、可能性があるやないやと議論して頂きたい。もしくはもうそんなものは既にあるんだというのであれば、是非そういった人たちをみんなで応援できるようにしていただきたいというふうに思います。 ○末吉委員 私は弁護士ですので、いろいろ「2010」あるいは「2011」ということで考えてまいりますと、1つは、今まさに検討しているのですが、例えばマジコンを著作権法、不正競争防止法で規制するということを検討しております。 ただ、どうも報道などを見ていると、みんなマジコンを持っていて、中国からブームが来て、マジコンの規制をしてもちょっと遅いのではないかという指摘が今報道されているところでございます。 それから、また著作権法で、フェアユースのご指摘をいただいていますけれども、かなり改正作業の最終コーナーに差しかかっているのではないかと思うのですが、恐らく皆さんが期待されているようなフェアユースの規定にはならないのではないかなと思います。 どういうことかというと、一般的なフェアユース規定ではなくて、私なりの表現で言えば中2階、個別の権利制限規定と一般的な権利制限規定、いわゆる米国版のフェアユースの間の中2階をつくったようなイメージでございまして、だから必ず日本版というように我々つけております。 恐らく、具体的なものをご覧になると相当皆様がっかりなさるのではないかと思います。角川委員にはわざわざ法制小委まで来ていただいてアピールしていただいたんですが、ただ私、思いますには、いろいろ遅いとか、確かにご批判のとおりだと思いますけれども、少し動き出したというのは評価して、さらに次に行きましょうと。時間の問題も確かにあるんですが、どんどん進めるということに私は意義があるんだと思いますので、是非この「2011」というものにおいても、著作権法上の問題点であるとか、あるいはその他の法規制、皆様のビジネスや、あるいは中長期的な計画を邪魔しているというものがあれば、どうぞ強い声で是非言っていただきたい。 ともすると、著作権関係の権利者団体の声だけが強くなってしまうというところがあるんですけれども、皆様のお立場は、権利者でもあり、逆に権利を処理してもらいたいということもあり、両方のお立場を持っておられる方が非常に多いというふうに私は認識しておりますので、是非コンテンツの推進という立場からそういう声も上げていただきたい。 ちょっと気になっているのは、久夛良木委員が昔から言っておられる32条の引用の見直しというのがまだテーブルに上がっておりません。次、パロディは見直そうということになっていますが、マッドが入るのがどうか、まだ難しい問題があるんですが、少なくとも32条の、難しい問題なんですが、引用の制限規定の見直しというのがまだ入っていないという点が現状でございます。 以上でございます。 ○杉山委員 前半大分発言させていただいたので、そこはいいと思うんですけれども、ちょうど角川委員がこれを持ってきていただいて、僕も実は最近ウエブクリエーターたちが割といろいろ経済状況の中で仕事が来なくなって疲弊してきているというのがあるんですけれども、その人たちを励ますという意味においても、実は彼らが持っているノウハウというのがパソコンの画面だけで利用される時代はもう終わったという話をしています。 我々は多分大きなディスプレーをテレビと思ってテレビと言っていて、中ぐらいのものをパソコンの画面だと思っていて、それよりちょっと小さいものを電子書籍と呼んでいて、さらに小さいと携帯電話と呼んでいると、実は全部できることが同じになってしまうということを言っています。 その中においては、もうご存じのように、放送であるとか、出版であるとか、ゲーム産業であるとか、その他教育も含めてなんですが、全部一緒くたにサービスが始まってしまうという流れです。これもう絶対そうなりますので、クラウド・ツー含めてバックアップしながらそういうことになってしまうので、この会議の中でも、委員会の中でも、いわゆる将来像をきちんと未来予測した流れの中で手を打っていきたいなと思います。 どうしても、こういうこともやっておいた方がいいよ、ああいうこともやっておいた方がいいよというふうになると、できていないところをやっていくということになると、埋めていくみたいな作業になりがちかなとも思いましたので、大きくその先に手を打つというような提言ができるといいんじゃないかなと、せっかくこれだけ専門家の方がいるわけですから、そういう方向も出していきたいなと思いました。 以上です。 ○谷口委員 エイベックス・ミュージック・パブリッシングの谷口と申します。 音楽の立場からの発言となりますが、今年の6月に日本音楽出版社協会の会長職を私、拝命いたしまして、今後2年間私の任期の間の活動指針として、音楽の国際化というのを目指しましょうというふうに言っております。 具体的に何をするかなんですけれども、簡単に言ってしまうと、外貨を稼げるような音楽業界になっていきましょうということで、現在も実は日本の音楽が、世界でどれだけ活躍しているか、どれだけ認められているか、全くゼロではないんですけれども、多分皆さんが認知している以上に浸透している部分もありまして、それを小さな火種ではなくて大きな炎に変えていくということを頑張っていきましょうということと、その大きな炎にするために、マイナスの部分、ネガティブな部分があるんだとしたらば、それは皆さんのご協力をいただいて消していくようにしていきたいと思っております。 具体的には、例えば違法対策であったりとか、これは先ほどもちょっと出ておりまして、国内だけではなくて国外の部分もですし、人材確保、クリエーターも、日本のクリエーターが伸び伸びと活動できるだけではなくて、海外のクリエーターが日本に行って活動したいと思えるような環境を整えたいと思っております。 そのために、例えば法整備であるとかもそうですね。日本の法律体系によって、日本のクリエーターが海外で割を食うようなことがあるんであれば、それは是非積極的に見直していっていただければというふうに思います。 例えば、売るものもそうなんですけれども、日本でたくさん売れている、うちの例で恐縮ですが、浜崎あゆみとかEXILEとかをいかに海外で売ろうかということで頭を悩ますのではなくて、現時点で火種となっている、それが例えば秋葉原文化の延長であれば、それはそれで良しとして、それをもっと大きな形にしていけるというようなことを考えられればと思います。 韓国のドラマとか、音楽だとK−POPとか、今、日本ですごく人気ですけれども、大成功している幾つかの例、希有な例と言った方がいいかもしれません、その裏側で、実は韓国の若い音楽クリエーター、かなりの人数の人たちが日本に来ております。来て何をしているかというと、音楽家、作曲家として一時はというのかな、一瞬は韓国でプロにはなってはいるんだけれども、結局仕事が続かずに食えないので、わざわざ日本の音楽専門学校とかに留学して、2年間の間に日本でのコネクションをつくって、日本でプロになろうと、なり直そうということを考えています。それぐらい実は韓国は、余り言うと失礼かもしれないですけれども、韓国の国内の音楽産業、音楽業界が疲弊してしまっていて、若いクリエーターが、才能はあるんだけれども、伸びていけない。 日本も今後そういうことにならないように、是非クリエーター、人材を育てることだけではなくて、育ったクリエーターが海外に流出しないような環境を整えていければと思います。そのような観点で検討していただければと思います。よろしくお願いいたします。 ○別所委員 各論から先に、先ほどの議論の延長になるんですけれども、忘れる前にお伝えしたかったので、この資料1の12番のCOEの人材派遣の部分の総務省さんのデジタルコンテンツ力創造事業に関して、進捗状況というところに話がありますが、同時にコンテンツ特区の24番にも全く同じコピペのような形でデジタルコンテンツ力創造事業として平成23年度概算要求に計上された(5億円)という、これ、多分この作表をもうちょっとみんなで検証し、洗い直すと、それぞれの省庁さんが挙げていることの進捗状況が重なっている部分であるとか、単純に文字が並列で、じゃこれ、コンテンツ特区で5億円使って何をするのか、あるいはコンテンツ版のCOEの形成促進で5億円の中で何をするのかという、こういった個別的なことは多分先ほどもそちらからのお話がありましたように今後の分科会でやられるとは思うんですが、是非これは提案なんですけれども、今各省庁からのヒアリングすべき主要項目、ナンバー24にコンテンツ特区で経産省と総務省さんが入っているんですが、僕はこの会に呼んでいただいて非常に興奮して希望だと思っていたのは、内閣官房をリーダーにこの本部が省庁を束ねてリーダーになって、それぞれの省庁を動かすだけでなく、それぞれの省庁をフュージョンさせて一つの何かをなし得ていくという作業をされるんだというふうに大変期待して入ってまいりましたので、ここに挙がっている、各省庁で挙がっていることの評価・分析もそうなんですけれども、具体的に今言ったようなことは検証をそちらの方でしていただいて、どことどこが重なっているのかとか、あるいは先ほど局長からもお話があったんですけれども、年度末までにならないとわからないこともあると思うんですが、もう実施終了というような報告のあるようなものもあるわけですから、例えばそれは、棒グラフ、線グラフ、何でも結構なんですけれども、どこが何をどこまでこの知財に関してコンプリートしたのだとか、それは量より質だと思いますから別にたくさんやっていればいいということではないでしょうし、僕のようなレベルで言うと、そういった具体的なものになっていると非常にわかりやすいと思いますので、是非次回にそういったここまでは何が終わっていると、これにはお金は幾ら使ったと、あるいはその内容はどうであるというのは年度末を待たずにしてわかることがもしあったらお示しいただきたいなというのと、重なっている部分などが、若干僕のような者がチェックしても幾つかありましたので、その辺を省庁の方がご説明いただけるのであれば幸いかなと思いました。それは各論です。 2011年に向けてというところなんですけれども、僕は実は昨日まで韓国に行っていまして、韓国の国際短編映画祭に参加してきたわけですが、やっぱり圧倒的に実感するのは、日本とは違う推進力で国がかかわり、クリエーターとつながり、そしてもう各委員が言っていますが、その間をつなぐキーパーソンがちゃんとキープレーヤーとして、概念的に言えばプロデューサーなのかもしれませんが、います。 それは、政府からアポイントされている人間もいますし、そういった機関が具体的にワークしていると、それは角川委員が言うようなユニジャパンなのかもしれませんが、そういった機能が具体的に私たちのような40代のレベルで、俳優であったり、映画祭であったり、映像事業に熱い思いを、志を持って参加している者になかなか見えたり、あるいは伝わったり、それは僕らの不勉強な部分もあるんですが、それが一つの情報に集約されていくような場が内閣官房につながっているこの委員会からスタートしてくれたらうれしいなと思っています。 実際、海外の人材育成と私は2011年も強く結びつくべきだと思っていて、例えば台湾の高雄にもこの間、映画祭で行ってきたんですが、高雄を中心にメーンランド・チャイナの中国に向かって親日である台湾からコンテンツ事業を広げていこうという日本の会社も出版や、それからコンピューターのゲーム会社もありますし、私たちのような映画事業者というか映画祭の関係者とか俳優や若いクリエーターも実は集まってきています。 そういった人たちが、自由に、闊達にしゃべれたり活動できるような場所が行政によって用意されていたりするのを目の当たりにしてきました。台湾は、一つの本当にメーンランド・チャイナの入り口として動き出している、そういう政策を、あそこも二大政党ですけれども、どちらの政党に傾いても動くんだという確固たる考え方を持って、僕のような人間にも熱く話してくるというところが非常に印象的でした。 また、マレーシアの映画祭にも参加してきたんですが、クアラルンプールはFINASという機関がありまして、先日もここの場で話したかもしれないんですけれども、イスラム圏のエンターテインメントコンテンツのハブになろうということで、緩やかに、中東だけでなく全世界のイスラム社会のエンターテインメント、私たちはなかなか見落としがちなんですけれども、そういうマーケットに対して一つの発信力あるいは事業性を持ったものを持とうとFINASという機関を持って動き出しています。もちろんまだまだの機関なんですが、私も参加してきて、大きな予算、数十億ですけれども、ちゃんと日本円にして数十億円のお金をかけて動き出した、これは年間予算です。 シンガポールで僕はエリック・クーというカンヌ常連の映画監督の作品に参加してきたんですけれども、この方は、日本の劇画作家の作品をシンガポールの自分の集めた資金で、これまた日本のコンテンツですが、映像化します。カンヌに持っていこうと頑張っていらっしゃるんですけれども、要はそこで目の当たりにしたのは、シンガポールが今度は中心になってインドネシアにアニメーションであるとか具体的なポストプロダクションを下請させるというような作業、ここは、そこの制作会社さんは既に電通さんとか博報堂さんとか日本の企業の下請もやっていると、アニメなんかもつくっているんだと言っていらっしゃって、3Dなんかも実際にやっていました。 並んでいるのは、仮面ライダーとかウルトラマンとかドラえもんとかキティちゃんとか、日本に対するあこがれがいっぱいのアジア人がそこで働いているわけです。どうしてこれが東京や日本でできないのかなと本当に悔しい思いをして僕は帰ってきたわけなんですけれども、やはり何かそういう力を束ねるような政策がこの本部から出ていったらいいなと思いましたので、僕は、2011年引き続き人材育成というところがどんなにコンテンツを海外でつくろうとしても、それをつくる若いジェネレーションの機動力あるマンパワーがなければできないと思います。僕自身でももうだめだと思うし、30代、20代の財務管理ができて、法務管理もできる人間が英語を駆使してできるような、そういうことを人材育成として是非やっていくような施策が2011年に向けてもできたらいいなと思いました。 最後に、またこれはアメリカ人に言われた言葉で、ここでも言ったかもしれないですけれども、僕が非常に悔しく思っているのは、日本人は、ランキングビジネスはできないと、そしてアーカイブビジネスもできない、それからオークションビジネスもできない、要するにプラットフォームのビジネスは全然できないと、物づくりだけしていればいいよと。 確かに、僕は物づくりですばらしい国だと思っているので、日本の物づくりを全面に技術として出していくべきだと思いますが、こう言われている現実というのはしっかり受けとめるべきだと思いますし、プラットフォームの戦略にこの委員会がかじを切って動くのか、あるいは物づくりとして動くのか、この2つの大きな、対局とは言いませんが、表裏一体のものにどういう軸足をとって政府は動きたいのかが明確にならないと、どちらも平均点というか、海外から注目されるようなものにはならないのではないかというように実感しました。 すみません、失礼しました。 ○吉羽委員 出版業界ということで、その部分、割と中心にお話をしたいんですけれども、先ほど大多委員からありましたように、出版業界も、やはり海外と、それからデジタルと、それからもう一つは多メディアというところで、実写映画であったりとかアニメの制作といったところに、フジテレビさんなんかともご一緒にかかわっていくことが多くなっているんですけれども、そういった意味でファンドの重要性というのは同じように感じています。 この辺のお話というのは、専門の方々、皆さんご指摘されておりますので、電子書籍のデジタル化という部分で、やはり法的な整備の部分と海賊版、こういったところの議論をもう少し高めていきたいなというふうに思っております。 ここに検討項目で書かれているクラウド型であるとかデジタルアーカイブ、それからクールジャパンの推進、こういったところが、あとコンテンツに関する知財制度上の課題なんですけれども、ほぼ個別の項目ではなくて一体として動かない限り、なかなかうまくいかないのではないかというのを感じております。 今後クラウド型のサービスに移行して、そこにデジタルアーカイブをつくり、国内外のユーザーにとっての利便性というのを促進していくということは間違いないんですけれども、その際に、現状はご承知のとおり著作権的にいうと出版社には何もありませんので、これが今後どういった取り扱いになっていくかによって、場合によっては1からコンテンツをつくっていく版元の作業が疲弊していくのではないかというような危惧はしております。このあたり音楽業界ほどやはりきちんと整備されていないという部分は重要視していきたいというふうに思っております。 それと同時に、クールジャパンの推進をしていく中で、国によっては日本のコンテンツを正式には認めないという国々がまだまだたくさんあります。そうするとどうなるかというと、海賊版の天国になって、先ほどの資料1の最後の方にも、海賊版での経済規模が21兆円でしたっけ、書いてありましたけれども、かなり大きな部分をやはり私たちのコンテンツが外で稼いで しまっていて全く還流してこない。このあたりも、出版社が法的な部分での保護を受けていないことによって、侵害に対応できないという事態があります。 流通促進という側面からも、それから侵害対策という側面からも、今後、電子書籍を推進していくということがあるのであれば、こういった部分のきちんとした対応を全体を見ながら進めていただきたいというふうに思っております。 角川委員が、海外の企業、Googleだとかアップルが統一的なビジョンを持ってやっていらっしゃるというお話もありましたし、久夛良木委員もプロデューサーが必要だということを言われております。 先日開かれましたいわゆる電子書籍をめぐる3省懇、総務、経産、文科、3省懇というのはやはり画期的な出来事だったと思うんですね。通常であれば、これがみんな縦割りでばらばらに動いてしまうところが一つの方向性として出て、迅速に今対応を進めていて、各業界の組織とともに事象的なことをやっているんですけれども、こういったことを総合的な政策を進めるような形を、皆様が先ほどからおっしゃっているとおりなんですけれども、そういったことを進めていかないと、なかなかコンテンツのビジネス、全体像の中で進めていけないんじゃないかというふうに思いますので、この場を是非こういったプロデューサーをどんどん生んでいけるような場所にしていただければというふうに本当に切に願っております。 以上です。 ○佐藤(辰)本部員 本部員の佐藤でございます。 オブザーバーですので、全体的なお話をちょっとさせていただきたいんですが、まず先ほど近藤事務局長がこの前の本部会合で菅総理が近藤局長を直接お呼びになられて話をしたことは、知財戦略事務局に対する期待が非常に大きいということのあらわれだというふうに理解しています。 前回の本部会合でも戦略本部が非常に機動的ではないということを私は批判をしました。その結果、企画委員会ができました。タスクフォースもできました。しかしながら、なかなか政治家の先生方たち、政治主導と言いながら自分でドライブする余裕がないというのが現状だと思います。 そういう意味では、事務方である事務局にしっかりとサポートしていただいて、実際に企画委員会なりタスクフォースがしっかり動くように、さらに戦略本部がしっかり動くように是非ご尽力いただきたいということを最初に申し上げたいと思います。 2つ目としては、今日の議論を伺っていて思うんですけれども、各施策がどういう関係でどうつながっていて、全体図がどうなって動いているんだという絵が見えないというのが非常に今日気になりました。 従って、事務局としては、今の施策の相関図なり体系図なりを是非一度つくっていただきたい。その上で、今実際どれが動いていて、どれが動いていない、その相関の中から重みづけなり位置づけなりというのがここで議論できるようになるのではないかと思っています。そうしないと、ここの議論の細かいディテールに入ってしまって、全体がどう動いていくかというのが見えなくなってしまうんじゃないかということを懸念しております。 二、三年前までは事務局が必ず全体図が見える絵をつくってくださっていました。それはある意味で国民に対する発信でもあったわけです。戦略事務局本部が、今、日本政府として今後どう動こうとしているかということを国民、さらに産業界、そういうところに理解をさせると、してもらうというような意味で発信をしてきたと、その発信をしていくということも、この知財戦略を進めていく上では非常に重要じゃないかと思いますので、私としてはお願いしたいと思います。 私は弁理士ですので、物づくりの方が中心なので、国際競争力の専門調査会の方がメインですが、そちらとどうしてもこのコンテンツの専門調査会の議論を比較することが多くなります。 そうなった時に、先ほど来議論されていますようなクリエーターをどう育てるのだという、またその人たちをどう支援するのだということについてでございますが、物づくりの方については、既に非常にいろんな形の仕組みができています。また、予算もついています。また、人もいます。 むしろ、戦略本部で議論されているのは、今いろんな組織、いろんな施策があり、金も出ているけれども、それが本当に一体となって動いていないじゃないかという議論をしているのが物づくりの方の戦略本部の議論です。 むしろ、ここではまだそこまでにも行っていないんじゃないかというのが先ほど議論を聞いていて思ったところです。そういう意味では、コンテンツで産業をつくろうという以上は、そういう人たちが出てくるようなインキュベーション機能とか、そういう人たちに対してどういうふうに資金を提供するのかというような、そういう仕組みをやはりもっとしっかりやるべきじゃないかと思っております。 今、産業構造審議会の方では、地域における知財活動支援ということをもう一度見直すということで、今度の概算要求で150億ぐらいの予算を取ってやろうという動きがあります。その中は、各県ごとに知財の活用を促進するためのセンターをつくって、そこを中心にあらゆる施策、組織を統合していくと、それによってお金なり施策がより効果的に動くような形にしようじゃないか。 大学においても、実際に知財プロデューサーという人材をつくって、それによって大学のシーズを事業化するようにしていこうじゃないか、また各地域においても、連携を強化するために、創造から権利化、それから保護、活用の段階まで各それらについてカウンセラーをつくってサポートしようじゃないかというような動きが出ているわけです。 そういう意味では、このコンテンツに対しても、ここのクリエーターまたは製作者、事業者たちが実際に本当に国と一体になって事業をつくっていけるような、そういう仕組みづくりをもっとしっかりもう一度検討してみたらいかがかというふうに思いました。 最後に、先ほど来、韓国、中国のお話が出ていますが、実は私、最近、7月に中国の知識産権局から招聘されて、中国の地域の知識産権局長たちにレクチャーをしました。そこでテーマになっていたのは、いわゆる中国企業が海外に進出した時に知財紛争に巻き込まれないためにどうすべきかというテーマでした。簡単に答えを言えば、まねしなきゃいいということなんですけれども、ただそこの中で、知識産権局の副局長が言っていたのは、中国はもうこれからはそういう物まねの時代ではないと、世界的に競争できる企業をつくることが必要なんだということが今日のテーマですという話をしていました。 さらに、最近、広東省の地方政府の市長クラスが、今、日本に来て研修やっています。その中のテーマの一つが知財戦略です。それぐらい中国は今必死になって世界トップ企業を生み出そうという努力をしているというあらわれだと思います。 それから、韓国ですけれども、今の韓国の著作権の法制は非常に大きく変わってしまった。むしろ韓国の権威の学者の先生たちがもうついていけないというぐらい大きく変わった。その先生たちが言っているのは、これがもし失敗したら韓国は非常にひどい目に遭うけれども、これを成功させれば韓国は世界でトップになれると、こういう議論をしていました。 こういう環境の中で、我々も、もうちょっとスピード感を持って、実際に成果の上がる絵をつくっていく必要があるんじゃないかということを思っておりますので一言申し上げました。 以上でございます。 ○中山本部員 中山です。 コンテンツの強化につきまして、今まで議論されているとおり、ファンドとか人材問題が非常に大事なのですけれども、私は法律家ですので法律問題についてお話をしたいと思います。 コンテンツを、せっかく一生懸命つくっても、これを実際にネット等で配信しようと思うとそこには著作権問題が出てきます。著作権法というのは、著作者の権利、利益を守る法律であると言われていて、普通は規制法であるとは考えられていないのですけれども、デジタル時代においては、実は著作権法が産業規制法として機能しているという側面があるだろうと思います。 アナログの時代でしたら大した問題は生じなかったのですが、デジタルの特色というのは、複製とか改変とか、あるいは送信が極めて容易であるという点にあるわけで、うっかりネットビジネスをやろうと思いますと、複製権侵害、翻案権侵害、公衆送信権侵害とすぐ著作権が出てくるわけであります。 先ほど角川委員のお話しのクラウド、このクラウドの時代になってきますと、今言ったデジタルの特色を遺憾なく使ってこういうビジネスをやるわけですけれども、うっかり日本でやると危ないという状況になっているわけです。 先ほど末吉委員のお話でございましたけれども、フェアユースの規定もそうです。これは、多分、立法化されると思うんですけれども、恐らくネットビジネスとパロディにはかかわりがないような形での、はっきり言ってしまえばどうでもいいようなフェアユースの規定ができると思われます。多分そうなるだろうと思います。 こういうデジタル時代において著作権法はいかにあるべきかと、少なくともあるビジネスがアメリカではできるけれども、日本ではできないという状況だけは避けなければいけない。検索エンジンが典型でして、日本で禁止しても、アメリカに全部産業をとられちゃうだけで、日本のサイトは全部アメリカで無料でコピーされて、日本人は全部アメリカの企業のサービスを利用するだけで、結局、日本には何の利益もなく、かつ産業だけがなくなるという状態になって仕舞います。この検索エンジンにつきましては一応立法化されました。やっと日本でもできるようになったのですけれども、しかしこの方面というのは極めて進歩が激しい。今の検索エンジンはいいですよという立法はなされましたが、GooleとかYahooという企業は、万単位のエンジニアが明日の新しい検索ビジネスを考えており、そのようなビジネスが現行著作権法で許されない可能性がある。多分それは日本では著作権侵害になることが多いだろうと思います。 こういう点を総合的に考えますと、やはり著作権法をデジタル時代に向けてどうしたらいいのかということもこの推進本部の新しいテーマにしてもらえればと思っております。 ○中村会長 どうもありがとうございました。 皆さんのご意見をお聞きしておりまして、私も少しだけコメントをさせていただきますと、前回のラウンドで、海外、人材、デジタルネットという3つの柱の報告をこれはよく皆さんにまとめていただいたと思います。それらは、現状のコンテンツをどうするかという対応の面ではよく整理をされていることだと思いますけれども、次の大きな波がもう既に来ていると私も感じております。これは、角川委員や杉山委員がおっしゃったような例えばスマートフォンであるとかスマートパッドであるとかデジタルサイネージだとかいったいわばテレビとパソコンと携帯の次のメディア環境が世界で一斉に広まっているぞと、メディア環境はまた大きく変わるだろうと思います。この15年間のパソコン、ネット、モバイルの次の環境が来ようとしている中で、そこに光を当ててコンテンツ戦略をどうするんだということもあわせて考える場面に来たなと感じているところです。 また、佐藤本部員からありましたように、それらに向けて、我々が情報をどのように国民に対して発信していくのか、いわばセルフプロデュースをどうしていくのかというのも大事なポイントになっていると思いますので、そのあたりきちんと受けとめていただきたいと思います。 ひとまずワンラウンド、コメントをいただきましたけれども、追加で何か言い残しなどありませんでしょうか。いかがでしょう。 ○杉山委員 確か11月2日だか3日だか忘れましたけれども、経産省さんのクールジャパン室が音頭をとられてやったクールジャパン東京カンファレンスというのに僕も出させていただきました。松岡正剛先生が大変良い基調講演をされて、そこからずっと9時間余り、いろんな方々、建築家の隈研吾さんであるとか秋元康さんとかいろんな方が出たんですけれども、結局9時間僕は聞いて、全く同じ議論が出ました。 やはり物づくりは最高だけれども、これを世界に売り出すプロデューサーがいないというのを全部のセクションで全部違う立場の人が結局はその話を言っていたということだけ報告しておきます。 ○中村会長 よろしゅうございますか。 ○近藤局長 ありがとうございました。 今お話をずっと伺っていて、要するに、おまえ、もっと働けよと言われているというのが良くわかりまして、誠にそうだなと思っている次第であります。 これから日本が少子高齢化になりますから、1人当たりのGDPが減っていくような社会では、どんどん世界、日本のGDPは減ってしまう。別にGDPだけが命なわけではないんですけれども、一人一人がより効率的によりもっと進まないと、日本全体が進まないと、こういう状況なんだろうと思います。 その中で、今、物づくり、これはもちろん日本の生きていく道の非常に重要なポイントでありますので、物づくりは忘れません。ただ、それ以外のプラットフォームのような議論も、ありとあらゆることをやりながら、技術、情報、人材、文化、金融、すべての面で日本が最先端であり、日本がハブでありたいと、こんなふうに改めて思った次第であります。 今のいろいろな政策、各省との関係、そういったことも含めながら、私は、とにかく一つ一つを少しずつでも進めたいと、幾つか進めてみせると、ああ、こういうことができるのかと思ってみんながまた動き始めてくれると思いますので、とにかく前に向かって進むと、ムーブ・フォワードというつもりで、これからまた来年の5月、6月ごろに向けてしっかりと対応したいと、こんなふうに改めて決意を新たにしたところであります。 ありがとうございました。 ○中村会長 力強い言葉をありがとうございました。 今日皆さんからいただいた発言以外にも、今後の検討課題ですとか、それからヒアリングの事項について、他何でも結構です。ご意見ありましたら、後ほど事務局まで、これはメールでよろしいですかね、お寄せいただければと思います。よろしくどうぞお願いいたします。 今日の議論、意見、それからこれからお寄せいただく意見など踏まえて改めて整理をさせていただいて、今後の議論、方向性に反映をしたいと思います。 ということで、もしよろしければ、今日の会合をここで閉会いたしたいと思いますが、事務局から何か連絡事項等ありますでしょうか。 ○奈良参事官 ありがとうございました。 次回は11月24日水曜日13時からを予定してございます。 次回以降、このヒアリングの対象につきましては、座長ともご相談の上、日程調整して決定次第、皆様にご連絡申し上げます。 それから、会場でございますけれども、今後ここのフレンドビル7階の会議室になりますので、お間違いのないようお越しいただければと思っております。 ありがとうございました。 ○中村会長 どうもありがとうございました。 |