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コンテンツ・日本ブランド専門調査会(第9回)議事録

  1. 日時:平成21年1月23日(金)10:00〜12:00
  2. 場所:知的財産戦略推進事務局内会議室
  3. 出席者
    【委員】 久保利会長、太田委員、生越委員、久保委員、里中委員、中村委員、中山委員、南場委員、服部委員、浜野委員、廣瀬委員、三尾委員、宮田委員、佐藤本部員
    【事務局】 素川事務局長、内山次長、関次長、小川参事官、大路参事官
  4. 議事:
    • 日本ブランドの振興について


○久保利会長 お待たせいたしました。
 ただいまから第9回コンテンツ・日本ブランド専門調査会を開催いたします。
 本日はご多忙のところご参集いただきまして、まことにありがとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
 今日は、これまでの本専門調査会での議論、あるいは関係省庁ヒアリングの結果、あるいは作業チームでの検討といった一連の経緯を踏まえまして、日本ブランド戦略の取りまとめに向けた議論を行いたいと考えます。
 まずは、配付資料の確認を事務局からお願いします。
○関事務局次長 それでは、配布資料の確認をさせていただきます。
 本日の配布資料は3点プラス2点で5点でございます。
 順に見ていただきますと、資料1が日本ブランド戦略の検討状況についてという横長4枚組の資料でございます。それから、資料2が日本ブランド戦略総論部分(案)という3枚組の資料でございます。それから、資料3が考えられる施策の具体例(案)という、これも3枚組の資料でございます。
 それから、資料番号を付してございませんけれども、2点、追加で資料をお配りしてございます。
 1つ目が、SHINMAI CREATOR’S PROJECTということで、これは太田委員のほうからご提出をいただいたものでございます。それから、もう一つが、世界料理サミット2009でございまして、こちら服部委員のほうからご提出をいただいたものでございます。
 資料は以上でございます。
 不足のもの等ございましたら、ご指摘をいただきたいと思います。
○久保利会長 ありがとうございました。
 審議に入る前に1点ご報告申し上げます。
 明けて昨年になりますが、12月24日に第21回知的財産戦略本部の会合が開催されました。日本ブランド戦略の検討状況につきまして、お手元の資料1に基づきまして私から説明させていただきました。
 当本部会合においては、麻生総理大臣から、日本ブランド戦略を3月までにしっかりまとめるようにというご発言がありました。日本が明るく元気になる魅力的な戦略となるよう、取りまとめに向けて、私といたしましても検討して、努力してまいりたいと思いますので、先生方におかれましても、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 それでは、日本ブランド戦略案についての審議に入りたいと思います。
 まず、審議の進め方でございますけれども、本日の会議では、主として戦略案の総論部分、すなわち戦略の基本的考え方を中心にご検討いただき、その上で次回の会議で各論部分もあわせた戦略案の全体についてご審議をいただきたいと考えております。したがいまして、本日は会議の前半部分では、戦略案の総論部分についてご審議をいただく、そして会議の後半部分では、次回の会合に向けて考えられる具体的施策について議論を深めてまいりたいと、かように考える次第でございます。
 それでは、事務局から資料に基づいてご説明をお願いしたいと思います。
○関事務局次長 それでは、資料2と資料3に基づいてご説明させていただきます。
 まず、資料2が日本ブランド戦略の総論部分の案でございます。全体は3つの段落で構成されておりますので、順次ご説明を申し上げます。
 まず、1ページ目のはじめにというところでございますが、最初の第2段落で、現在の日本社会の現状、あるいはその中で何が求められているのかといったようなことを書いてございます。具体的には、その第2段落の後半部分でございますが、日本の強みであるソフトパワーを海外市場拡大、内需拡大の原動力にすることを真剣に国家戦略として打ち出す必要があるのではないかということでございます。
 その次の段落は、諸外国の例について触れてございます。
 具体的には、アメリカ、イギリス、それから韓国の例をここで取り上げてございます。
 それから、その次の段落、「ひるがえって日本を見ると」というところで、我が国の現状の分析をしておるわけでありますけれども、その段落の3行目から、個別分野ごとの取組にとどまっている場合が多く、それぞれの分野の強みを相互に活かしながら長期的に日本産品のブランド価値を高めているとは言えないだろうということでございます。
 最後の段落でございますが、具体的な目的、あるいは何をするかということでございますけれども、最後の段落冒頭の部分でございますけれども、「豊かな文化に支えられた「質の高い消費社会」の確立を将来像として描きつつ、コンテンツ産業を中心としたクリエイティブ産業の振興や海外展開拡大を実現するための「日本ブランド戦略」が必要である。日本ブランド戦略では、日本の消費者の優れた感性に育まれたソフトパワーを、日本特有のブランド価値を創出する源泉ととらえ、これらの源泉を「日本ブランド」として戦略的に発信する」こととしてはどうだろうかということでございます。
 続きまして、2ページ、現状と課題でございます。
 前半が現状ということで、過去の取組について総括をしてございます。
 最初のところが知財戦略本部での過去の取組でございます。それから、第2段落、各省庁の取組、ヒアリング等もしていただいたわけでございますけれども、各省庁の取組を書いてございます。
 それから、その次の段落では、大型事業の例ということで、「ビジット・ジャパン・キャンペーン」、「ファッション・ウィーク」、「コンテンツフェスティバル」、こういったものに触れてございます。
 それから、その次の段落では、国内拠点の整備ということで触れております。
 このように、従来からの取組があるわけでございますけれども、ただ課題もないわけではないということで、課題につきまして、創造面と発信面の両面から分析をしてございます。
 創造面につきましては、良質な素材を積み出す土壌がやせてきているのではないかという課題でございます。具体的には、クリエーターの経済的な自活、それは事業者の状況にもかかわるわけでございますけれども、事業展開のノウハウ、あるいは資金力ネットワークに乏しいという問題があるのではないだろうかと。それから、産業全体の規模、あるいは伸び率といった点でどうであろうかということ。それから、国際的な競争力という点でどうであろうかといったようなことを創造面での課題として取り上げてございます。
 それから、発信面での課題でございますけれども、海外からの認知度の向上にまだまだ改善の余地があるのではないかという課題でございます。具体的には、具体の成果につながるようなプロデュース力、あるいは宣伝力という点が不十分なのではないだろうかということ、あるいは次の3ページ目に移っていただきまして、分野横断的な発信という観点からすると、省庁連絡、あるいは官民連絡、こういったものについて、改善の余地が大きいのではないかということでございます。こういった課題があるわけでございますので、今後さまざまな取組を分野横断的な連携によって、相乗効果を高めながら、関係省庁間及び官民の連携を強化し、骨太に戦略的に諸施策を推進していく必要があるのではないかと分析をさせていただいております。
 その下、3の基本的な考え方というところでございますけれども、最初の段落は「ブランド」ということの確認をさせていただいておりますが、ブランド振興の目指すべきところは、ブランド価値の高まりを利益につなげることにあると、そういう言い方もできるのではないだろうかと。その上で、日本ブランドの戦略に当たっては、日本ブランドの魅力を経済的・社会的利益につなげるという点に重点、重心を置いた取組が必要ではないだろうか。そして、クリエイティブ産業の潜在力を引き出し経済成長の原動力とするため、創造・発信の両面から施策を展開すべきではないかということでございます。
 こういった考え方の上に、そのページの一番下でございますけれども、基本戦略といたしましては、大きく分けると3つ、具体的には5つの戦略で考えたらどうであろうかということでございまして、大きく3つといいますのは、創造力の強化、創造の面、それから発信力の強化、発信の面、それから体制の構築ということでございます。
 創造力の強化の中は、さらに2つに分けてございますが、戦略の1といたしまして、クリエイティブ産業の振興、クリエーターの活動の場を創出する、戦略の2として、創造拠点の整備、世界の本場を育てる。それから、発信力の強化のほうも2つ立ててございまして、戦略の3が外に向けての発信力の強化、ターゲット・方法を重点化して発信力を強化する。それから、戦略の4が外からの吸引力の強化、日本の理解を促進して、日本のファンを世界に広げるということでございます。
 それから、体制の構築といたしましては、官民挙げての日本の力を結集するということでございます。
 なお、こういった創造と発信、それから体制の構築ということにつきましては、資料1、久保利会長のほうから本部会合でご説明いただいた資料の2ページ、あるいは3ページに絵にしたものがありますので、これもあわせてごらんいただきたいと思います。
 以上が資料2、総論部分でございます。
 それから、続きまして、資料3、各論でございますけれども、こちらにつきましては、考えられる施策の具体例ということで、今総論として申し上げました施策の柱、あるいは戦略としての柱立てに沿いまして、考えられる施策について、従来この専門調査会でご指摘いただいた事柄を中心といたしまして、具体例を整理させていただいたものでございます。
 以下、順にご確認いただくという趣旨でごらんいただきたいと思います。
 大きな柱の1番目、創造力の強化、そのうちの戦略1、クリエイティブ産業の振興〈クリエーターの活動の場を創出する〉というところにつきましては、6点掲げてございます。
 (1)クリエイティブ産業に対する支援の充実、やはりクリエイティブ産業、規模としては小さなところもあるわけでございますので、中小企業支援対策、あるいはクリエーター自身による事業化、こういったものへの支援をもっと充実させるべきではないかということでございます。
 それから、(2)クリエイティブ産業を中心とした地域ネットワーク形成の促進ということで、クリエイティブ産業を中心とした地域ネットワーク、地域おこし、こういったものを促進してはどうかということでございます。
 それから、(3)コンテンツ産業の海外展開の拡大ということでございまして、既に高い人気を得ているアニメ、マンガ、放送番組、こういったものを中心としつつ、もちろん海賊版の問題がありますので、その実態を踏まえる必要があるわけでございますけれども、一層の輸出拡大、それから海外における新しいビジネスモデルの確立、こういったものを支援すべきではないかということでございます。
 (4)がものづくり技術、デザインの海外展開の拡大ということでございまして、これも世界的に高い評価を得ているものでございますけれども、さらに認知度を高めて、海外販路拡大のための取組を推進すべきではないかということでございます。
 (5)が日本食・日本食材の海外展開の拡大ということでございまして、高品質、ヘルシーというイメージ、付加価値があるわけでございますので、その輸出拡大、海外展開をさらに図るべきではないかということでございます。
 (6)が既存イベントの強化、世界的認知度の向上ということでございまして、コ・フェスタ、JAPANファッション・ウィーク等につきまして、一層の強化を図ってはどうだろうかということでございます。
 それから、2ページ目でございますが、冒頭、創造力の強化の中の戦略の2番目、創造拠点の整備、すなわち世界の本場を育てるということでございます。
 ここについては、5点掲げてございます。
 (1)が日本ブランドに関する情報の集積・保存拠点の整備ということでございまして、日本ブランドの各分野について拠点を整備すべきではないかということです。それから、(2)の外国人人材の積極的な受け入れということでございまして、意欲のある外国人の方をもっと活用してはどうだろうかということでございます。
 (3)がコンテンツ関連教育プログラムの拡充ということでございまして、幼少期からの教育、すなわち初中教育だけではなくて、大学等における教育、高等教育の部分も含めてコンテンツ関連の教育プログラムの充実を図るべきではないかということでございます。
 (4)がクリエイティブ産業へのインターンシップ拡充ということでございまして、教育界と産業界との連携によって、うまく取り込んでいくべきではないかということでございます。
 (5)が若手創造人材の育成でございます。もっと若手を積極的に顕彰すべきではないかということでございます。
 2ページ目の下からが、大きな2つ目の柱の発信力の強化でございます。戦略の3といたしまして、外に向けての発信力強化、ターゲット・方法をより重点化して発信をしていくということでございます。
 ここは、4点掲げてございます。
 (1)が映像によるコンテンツの発信力の強化ということでございまして、やはり映像、わかりやすくインパクトもあるということでございますので、ここにつきましては、国際共同制作の手法も活用しつつ、重点対象国に向けて集中的に発信する、こういったターゲットをより明確にする、それを促進すべきではないかということでございます。
 (2)がジャパン・ウィークの重点的展開でございます。これにつきましては、せっかくこういう行事があるわけでございますので、より一層計画的、あるいは有効に活用していこうということでございまして、これにつきましても、重点対象国を少し絞り込むということを考えてはどうだろうかということでございます。
 続きまして、3ページをお願いいたします。
 (3)世界のオピニオンリーダー等とのネットワークの戦略的活用でございます。在外公館でより積極的かつ戦略的に人的ネットワークを活用してもらう、活用すべきではないかということでございます。
 (4)ウェブ情報の改善でございますが、デザインや内容についての改善、それから関連機関の連携体制の強化、その結果として情報が体系的に得られるようにすべきではないかということでございます。
 続きまして、発信力の強化の戦略の4、外からの吸引力の強化、日本ブランドへの理解を増進して日本のファンを世界に広げるという観点でございます。
 ここは、3つ掲げてございますが、(1)が外国人の若者の受け入れということでございまして、コンテンツ分野の留学生の受け入れ、あるいはサマーキャンプ等の短期間での受け入れ、こういったものを拡大していくべきではないかということでございます。
 (2)は、ビジット・ジャパン・キャンペーンとの連携ということで、日本ブランドを活用して魅力的な観光プログラムを開発する等々の連携をさらに進めるべきではないだろうかということでございます。
 (3)は、日本語教育の推進ということで、海外の若年層を中心に一層推進していくべきではないかということでございます。
 それから、3ページの最後、大きな柱の3番目、体制の構築ということでございます。官民挙げての日本の力を結集する推進体制を構築する、官民合同の推進体制を構築するということでございます。産業界、官公庁、それから学界が一体になって、仮称ではございますけれども、日本ブランド戦略推進委員会といったものを設置して、これについてここで横断的な情報共有を行うとともに、事業の企画実施について提言を行う、そういう機能を持たせてはどうであろうかということでございます。
 それから、あわせまして、シンクタンクとしての役割を果たす体制の整備、あるいは相談窓口の明確化、こういった取組もあわせて行うべきではないかということでございます。
 以上、雑駁でございますが、資料2の総論部分、それからそれに従って考えられる施策の具体例を整理いたしました資料3についてのご説明でございます。
○久保利会長 ありがとうございました。
 それでは、会議の前半部分ということで、まずは資料2の戦略案の総論部分について、ご意見等をいただきたいと考えます。
 原案に示されました戦略の必要性、あるいは現状と課題、基本的考え方、こういうものについて、あるいはさらには戦略のアピール度を高めるための名称や副題について、今までジャパンブランド、日本ブランドと表現してまいりましたけれども、これで果たしてアピールをするのか、しないのか。そういうことで、あわせてこれらについてもご意見等をいただければと考えます。
 ご発言のある方は、ネームプレートをお立ていただきたいと思います。また、発言はお1人3分以内でお願いをいたします。
 どなたかご発言ございますでしょうか。浜野委員、お願いします。
○浜野委員 総論の最初のところで海外の事例が出ているんですが、やはりソフトパワーとかブランドと言えば、フランスが17世紀のコルベールのときからの戦略をもってやってきており、それが世界的に最も優れた成功事例だと思います。韓国はフランスの後を追っているわけですから、アメリカよりもイギリスよりも韓国よりも、まずフランスの例を挙げる必要があると思います。これはただ希望ですが。
 以上です。
○久保利会長 ありがとうございます。要するに歴史的な厚みの話、もう少し古いところから取り上げろと。
○浜野委員 最も成功しているのはフランスだと思うので。
○久保利会長 そうですね。わかりました。ぜひ取り入れさせていただきたいと思います。
 ほかには、中山委員、お願いします。
○中山委員 今、久保利会長がおっしゃった言葉の問題ですけれども、クリエイティブ産業とブランド戦略とありますが、このクリエイティブとブランドというのは一体どういう関係に立っているのか、よく理解できないんですけれども、説明をお願いできればと思います。
○久保利会長 「クリエイティブ産業」という言葉をどういうふうに使うかということは、まだ確たるものを私自身も持っているわけではありません。ただ、いずれにしても、産業構造の改革という視点で考えていくと、何らかのクリエイティブな業態、日本ブランドと今仮称で言っているものを支えるベーシックな産業構造というものを活性化しないといけないと。もともとは、実は当専門調査会でも、最初は発信力が弱いのではないかと。もっと束になって行けとか、いろいろなことを考えていたわけですが、ちょっと待てと。束になってみても、もともと弱いものが束になってもしょうがない。そもそも創造力のところが結構弱くなっているよねというのがこの問題意識の根幹にあります。したがって、ある意味で言うと、創造面、つくる側という部分をターゲットにしたのがクリエイティブ産業というくくり方で、それを発信面にスポットライトを当てると、それがブランドというふうになるのかなと。決して違うことを言っているわけではありませんけれども、やっぱりいいものをつくるその産業をしっかり興さないと、幾ら発信と言って工夫だけしてもうまくはいかないかなというような意味で、使い分けをしているわけでありますけれども、もっといい言葉があれば、ぜひお願いをしたいと考えておるところでございます。確定的な発想でつくっているのではありませんので、どうぞ柔軟にいろいろのご発言をいただければありがたいと思います。
 今申し上げたのも、私がそう思っているというだけであって、事務局のほうで何か補足なり、ご説明があればお願いしますけれども。
○大路参事官 久保利会長ご説明いただいたとおりでありまして、クリエイティブ産業を今の段階でどういうふうに定義づけてやっていこうかということについて、必ずしも明確なものがないわけでございますけれども、漠然としたイメージとして、今までコンテンツ産業と言ってきたものが一つあって、それに加えてファッションとかデザインとか、食が入るのかどうかというような問題はありますけれども、そうした分野も取り込んだ形で考えたときに、コンテンツ産業という言葉がそのまま使えるかというと、必ずしもそうでもないので、そうしたものをひっくるめて、そういうソフトパワーを活かした形で産業展開を図られていくような部分を漠然とクリエイティブ産業というふうにとらえて、そこを経済の中核に据えていくことで経済の発展の原動力になっていくという、そういう考え方をこの際打ち出したらどうかという考え方に基づいて、こういう記述をさせていただいているということでございます。
○久保利会長 最初のころの議論中でも、要するに何を中核に据えてやるのか、産業振興というのがベースになければおかしいぞという意見が各委員から出されました。そういう意味で、産業と考えてそれをくくるというと、今事務局から申し上げたように、コンテンツという言葉だけではちょっとくくれないのが日本の産業ではないかというので「クリエイティブ産業」と言いましたが、もうちょっといい言葉があれば、ぜひ採用したいと思いますし、お知恵をお貸しいただきたいと思います。  久保委員、お願いします。
○久保委員 先日のオバマ大統領の演説を聞いて感じましたが、やはり苦しいときはみんなで団結して、力を合わせて、一つの方向に向かっていこうというメッセージは、コンテンツの世界にも、ブランドの世界にも通じるものと感じています。
 キャラクターグッズの販売状況を2008年の年末から2009年の年初まで見ていますが、前年比80から85%に落ち込んでいまして、特に名古屋地区の落ち込みが非常に激しくなってきています。やはり、トヨタさんが調子悪くなってくると、キャラクターグッズの売り上げに関しても影響が出てきているということでしょうか。
 こういう経済状況が冷え切った状態を、日本はどうやって脱却していくのかということに関して言えば、日本ブランド戦略、コンテンツ戦略などの文化の力がきっかけにならなくてはならない。文化の力で日本は浮上していこうというような、強いメッセージが知財計画の総論の中からにじみでてこなければならないと感じました。
 麻生首相から、3月にまとめるようにとのご指示があったと冒頭お聞きしましたけれども、であればなおのことこういう海外に対しても非常に認知の高いソフトパワーが日本の不況を脱する一つのきっかけになるんだという、そういう強い心意気をぜひとも総論には加えていただきたいなと感じました。
 以上です。
○久保利会長 全く同感ですね。やや力が抜けているかもしれませんので、文章やフレーズも含めて、ぜひ皆さん方のお知恵をお願いしたいと思います。
 服部委員、お願いします。
○服部委員 今、皆様おっしゃっていたものにプラスして考えたらいいのかなと思うんですけれども、日本のものづくりというのは400年ぐらいの歴史があると言われていますが、そういうものが認知されたのが、100年ぐらいだと思うんです。ただ現在そういうものを引き継ぐ後継者がいなくなってきていて、様々な地域が疲弊しているのも、そういった後継者自体がいなくなったことによって起こってきていることもあるわけです。ですから、人材教育をこれに加えていただくと、そこまで委員会がするべきなのかどうか私わからないんですけれども、提案ですから、それを加味されたらいかがかなと感じたものですから。
○久保利会長 ありがとうございます。
 創造力強化ということで、資料3のほうの具体例の中では当然考えていかなければいけない問題だと思いますが、それをむしろ総論の中でもはっきり打ち出せと、こういうご意見ですよね。
 後継者、人材、非常に重要な問題だと思います。
 廣瀬委員、お願いします。
○廣瀬委員 廣瀬でございます。
 総論の流れ、言葉の強さということは、特にご指摘あったようなところは別にしまして、流れは非常にスムーズで受け取りやすいんじゃないかと思います。
 そこで、実は資料3の具体施策というふうなことと、総論との関係、つまりこの総論から展開していくことを考えたときに、最後の3ページ目の基本的な考え方という中で、考え方は書いてあるんですけれども、対象が定まっていない。1ページにありますように、イギリスの例が挙がっていますが、13の産業を対象として認定した。これが結構決め手じゃないかと思うんですね。
 それで、基本的な考え方、今後の進め方のところに、対象とする産業をここで定義できないか。定義してしまう問題は、その枠の中に閉じこもるという問題はあるんですが、例えば当初何年間についてどうこうとか、実際の運用の仕方はいろいろ工夫があると思いますので、そうしますと、ここで言っていることの対象がより明確になって、見る人にとって、具体的なイメージにつながるのではないかというのが1番目。
 2番目、具体的施策に落とすときに、施策の議論が具体性を持つことになるんではないかと思います。
○久保利会長 ありがとうございます。
 そうすると、この資料2のほうでいいますと、3番目の基本的考え方のところですね。ここでクリエイティブ産業の潜在力とか、クリエイティブ産業というのは再三言われてはいるわけですが、それが何なのかという定義がないと。その定義を13とか15とか絞り込むのがいいかどうかは別にして、ある程度クリアにそれを提出しないと、具体策を考えるときに、メッセージが、連携があまりうまくいかない、こういう発想でございますね。
 ありがとうございます。ぜひ採用させていただきたいと思います。
 宮田委員、お願いします。
○宮田委員 先生方、いいお話をされております。その中でも、できれば、廣瀬委員の流れと同じなんですが、服部委員から伝わっているところでいくと、教育関係のものが総論の中になく、ただ2番の現状と課題の中に出てきて、大学レベルの教育が着実に進展して評価すべきだというけれども、そんなにまだできていません。きっかけはできました。これはもっと充実すべきだと。せっかくいい波が出てきたんですが、その次の後押しがない。これはもう一押しすべきだと。そうすれば、海賊版云々に対しても対処できる、何かもう一つ強いものが必要かと思っております。たまたま私どもの大学でもつくらせていただいたものですから、あれをもっと大きくしたいという気分が、決して我田引水ではないところでございますので。そして、具体的なところへ行ったところへ、この人材部分などに組み込んでもらえればと思っております。
 やはり人がいなければ物はつくれませんし、10円の紙が100万円になるのが、まさしくブランドでございますので、その辺のところというのは大事にしたいかなというふうに思っております。
○久保利会長 ありがとうございます。
 では、三尾委員、お願いします。
○三尾委員 資料2の1ページ目に、外国の状況が伝えられておりますけれども、海外ではという項目の2行目で、国を挙げての経済政策がとられてきているという下りがあるんですが、これを日本に置きかえた場合に、1ページ目の最後の段落の「日本ブランド戦略」の前に、「国を挙げての日本ブランド戦略」というふうに入れたほうがいいんじゃないかというふうに思います。
 といいますのは、「このため」という段落は、主体がちょっと不明確ではないかと感じるからです。官民を挙げてということではあるんですけれども、国も本腰を上げて、外国が行ってきたように、国を挙げて日本ブランド戦略を行うという宣言をされたほうがいいんではないかというふうに考えます。
 それと、2ページ目ですけれども、創造面ではという段落で問題点が書かれているんですが、「良質な素材を生み出す土壌がやせてきているのではないか」という、「ないか」というのではなくて、確実にやせてきているというふうに私は思いますので、そのあたりはもう少し危機感を持って記載したほうがいいんではないかというふうに考えます。
 それと関連しまして、「世界で比較優位を維持できる保証はない」というのではなくて、「比較優位を維持できない」ということではないかというふうに考えます。そのあたりを修正いただければというふうに考えます。
 最後に、若手の育成という点からしまして、先ほど後継者が育たないということと、宮田先生がおっしゃっていらした大学での人材育成という点と両方あわせまして、やはりこの点が創造面ではかなりこれから重視されるべきではないかというふうに考えますので、そのあたりは明確に書いていただきたいという点と、若手を育成した後、それを産業化に結びつけていく方策といいますか、プロデュース的な機能をもう少し充実させるべきではないかと。産業化に結びつけることによって、さらに若手が育成されていくという流れになると思いますので、そのあたりをもう少し強調していただきたいというふうに思います。
○久保利会長 ありがとうございます。
 確かに強いメッセージという久保委員のご発言ともリンクすると思いますけれども、何となく、まだ素案の素案ということもあってかもしれませんけれども、若干パンチが効かないといいますか、弱いという印象は全くおっしゃるとおりだと思います。その意味で、はっきりともっと言い切って危機感をあおれというメッセージとして、よく理解できます。
 ただ、逆にクリエイティブな部分を担っておられる、例えば久保委員、太田委員、あるいはマンガの世界も含めて、やせてきていると言われちゃっていいのかどうかという問題があるわけですが、いかがでしょうか。
○里中委員 決してやせてきていると私の実感としては思わなくて、若い世代の志向はすごく強まっております。ただし、生活の保証がないということは、これは昔も今も変わらないことで、こういう分野に生活の保証を与えていいのかどうかという疑問もあります。生活の保証を求めて創造するわけではないという、それが創造力につながるところがあります。
 ただし、育成機関とか、教育の場とか、そういうところで、例えば芸術面の大学の政策においても、一般の教科と同じような税制面のいろいろな縛りとかありますし、また私なんかは、本当に中小企業の最たるもので細々やっておりますけれども、自分の体験から申しますと、創造を生み出すために必要な作業とか、資金とか、人材の育成とかあるわけでございますけれども、一般の流通産業と同じような人数と、会社の規模ですね、それによって税務上の割り当てがなされているということで、随分理不尽な思いをしたことはあります。
 ただ、自分の属している世界だけ何とか優遇してくれというわけにはいきませんので、恐らくこういうことは、ほかのものづくりの現場とか、創造の現場でもいっぱいあるんじゃないかと思うんですね。ですから、税制の問題にまでここで申し上げるような場ではないと思いますが、これまで日本が明治開国以来、一生懸命やってきた国の仕組み、その中で税制というのも大変重要なんですけれども、いろいろな、ごくわずかなパターンに照らし合わせて国の経済を運営するのではなく、もっときめ細かにいろいろと、また有効なお金の使い方もあるかと思います。
 ですから、ここで語られています人材の育成、若手の育成、発信力の強化というのは、確かにだれも反対できないことなんですが、それに伴う具体策ですね。ここの具体策の部分を資料3にあります、ここでより強力に、具体的に現場の人にわかるような、そういう形で打ち出すことができれば、強いメッセージになるかと思います。
 また、将来的には、アメリカが環境優先型の産業にシステムを変えていくと。早速、自動車産業の現場ですら、ハイブリッド車、もしくはエコカーの政策にラインに急いで切りかえると言っております。うかうかしていますと、環境とか省エネに関して、日本がこれまで培ってきたことを、だれも、あんまり気づいてもらえないうちに、アメリカの売り込むパワーに負けてしまうんじゃないかなという心配もあります。
 中国に対しての環境技術の輸出に関しましても、これは産業なんだという意識で、もちろん経済協力なり、官民挙げてのいろいろな協力は必要ですけれども、特に中国に関しましては、値段が安かったり、ただだったりしますと、ただのものはその程度の値打ちでしか受け取られかねませんので、胸を張って、ちゃんと産業として考えて、環境技術、省エネ技術を世界に向けて堂々と発信していくと。そのときに、日本ブランドとか、ジャパン・コンテンツとか、日本クリエイティブ産業でいいのかとおっしゃる会長の意見はわかります。いっそのこと日本語で、何かわかりやすく、この言葉そのものを世界にアピールするのだということで、できれば、国として認定マークをつけるなり、何なりして、これがついているから安心と世界中の人に思っていただけるような展開がしていければ、今後100年、より伸びていくのではないかと思います。
 後継者不足も、現場の資金繰りの苦しさから来て、若い者たちが、技術は大事だとわかっていながら食べていくためには、これじゃやっていけないと。それで後継者が不足するということが現実だと思いますので、ぜひそういう分野に対して、何か認定を得れば、今も少しはありますけれども、日本のものづくりの本当の根幹のところに携わる中小企業に対しての経済的な優遇措置というのを真剣に具体的に考えていただけたらと思います。
○久保利会長 ありがとうございます。
 非常に多岐にわたるご意見ではありましたけれども、それぞれが非常に重要な問題だというふうに私も考えております。ぜひそういう形のものを具体策のほうでは盛り込みたいと思いますし、そこへつながるようなインパクトのある総論、これをぜひつくりたいと思います。委員の先生方も、お考えになっているのをこういう表現で盛り込むというのをご提示いただきますと大変ありがたいと思いますので、何とぞよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、佐藤本部員、お願いします。
○佐藤本部員 私も、今年は第3期の推進計画へ入るので、そういう意味では1期、2期と違う大きなメッセージを出さなければいけないということは大事だと思っています。競争力強化の専門調査会でも全くそのことを申し上げておりまして、この専門調査会でも、ぜひそういう第3期が第1期、第2期とは違うぞということがはっきりわかるようなメッセージを出すべきではないかというふうに思っています。
 今日のお話の中で、これからコンテンツ、ソフトパワーを国家戦略として活かしていこうという話の中で、今創造と発信というのが足りないというところに包括した議論になっているんですが、先ほど議論ででてきましたように、それでは何を創造させるんだという弾の議論がなされていないんではないかと思います。先ほどどの産業、イギリスの場合は、13の産業に絞って集中させて育てたというお話があって、それをきちんと日本もとらえるべきじゃないかと考えます。まさに創造を促進させるための対象は何だというところをまず明確にした上でやらなければいけないんじゃないかと思います。創造を強化し、発信をして、市場にどうやって結びつけるんだと。この市場化のところの話が、このメッセージの中には見えてないんじゃないかと思います。
 これは、コンテンツだけではなくて、ほかのいわゆる技術の産業分野においても、まさに今市場化で日本は負けているために、競争力を失っているというのが、競争力専門調査会のほうの考え方です。したがって、創造して発信すれば、必ず市場が開けるわけではなくて、市場を自分たちが戦略的につくっていくんだというところまで踏み込まないと、結局は実現できないんじゃないかというふうに思います。そうしますと、何を創造し、発信し、市場化につなげていくかという、やはりグランドデザインをしっかり描いて、発信するという形が必要じゃないかというふうに思います。
 そういう意味で、この資料3も含めてですけれども、全体のグランドデザインがあり、さらにそのロードマップがあって、その中のパーツとして、何をどうするんだというような組み立て方をぜひ検討されたらいかがかというふうに思います。
 以上です。
○久保利会長 ありがとうございます。
 資料1をごらんいただきますと、3ページでございますが、日本ブランド戦略のイメージということで、結局、発信と創造、これがセットになって輸出拡大という市場がつくれるか、あるいは幅広い産業への波及効果というものがつくれるか、この2つがある種産業的な意味で書かれているわけですけれども、今佐藤本部員のお話は、この発信と創造ができたらば、これにつながるという道筋をグランドデザインとして示せと、こういうことと理解をしてよろしいんでございましょうか。
○佐藤本部員 もう1点つけ加えますと、後での議論だと思って申し上げませんでしたけれども、資料3のほうは、どれを見てもほとんどインフラ整備なんですね。インフラ整備したから、必ず世の中よくなるとは限らないので、インフラをいかに活かしていくかという、そういう仕組みの取組をしないといけないんじゃないかということが、今のお話の裏側にございます。
○久保利会長 わかりました。
 なかなかここは難しいところでありまして、要するに国と民間の役割分担、それからインフラをちゃんとしないのは国の責任だと。一方で、国家戦略と言う以上は、少なくとも国は何をすべきかというのは言ってあげなきゃいけないだろうと。問題は、今ご指摘のとおり、インフラができたら立派なものができるかというと、そうはいかないというのはそのとおりですが、では役人がクリエイティブな作品を現実につくるかというと、つくれないわけでありまして、これはそれこそ民間のクリエーターたちがつくっていくということになるわけですね。
 ですから、その部分についてどこまでこの専門調査会で、グランドデザインなり、提言なり、こうしたほうがいいということを言えるのか。逆に言うと、私も本部員と同じように言いたいという気持ちはあるわけでありまして、そのときにむしろ現場でご苦労していらっしゃる委員の多くの方々が、最も希望される、あるいはこういうデザインをつくって、それを官民一体でやっていきましょうというものが出てくると、大変厚みのある提言になるだろうと思っておりまして、佐藤本部員のおっしゃるとおりだというふうに思います。なかなか書くのは難しそうだなという感じがありますので、競争力強化のほうとも平仄が合うような形で工夫をしたいと思っております。  ほかにはどなたかいらっしゃいますでしょうか。久保委員、お願いします。
○久保委員 これはご報告になりますが、この3月20日前後に、東京国際アニメフェアがございますが、ほぼ開催同時期に沖縄国際映画祭というものが今年からスタートします。これは、吉本興業さんが中心になって、アーティストやタレントさんを海外に売り込もうというマーケットを将来考えられて始められるイベントです。かなり大々的にやられるという、吉本さんのタレントが多数稼働しますので、恐らくテレビから相当露出するんではないかなと思います。このようなそういうアーティスト、タレントさんが、海外の番組や映画に出ていくという道筋をつくりたいということで始められるわけなので、ぜひとも取材をしていただいて、知財本部としても今後の計画の視野に入れていただければなというふうには思います。
○久保利会長 わかりました。
 生越委員、お願いします。
○生越委員 先ほど佐藤委員がおっしゃったように、市場をつくるということは、私も非常に重要だと思います。ただ、昨日も、実は沖縄の糸満市で、ニンジンのブランドのところで仕事に行ってきたんですが、ニンジンジュースの市場のつくり方と、マンガとか、放送番組の市場のつくり方はなかなか大きく違いますので、こういったところですべてを書くというのは、かなり困難なところがあるのかなというふうに感じます。
 あと、里中委員が先ほどおっしゃったように、税制についても、日本政府が本気でやるのであれば、コンテンツについては、こういうところは軽減するとか、そういった国を挙げてという、特に若いクリエーターについては、何年間については軽減するようなとか、いろいろなアイデアはあると思うんですけれども、そういうふうな施策もあり得るかなというふうに思いました。
 あと、大学で生徒に教えていますと、美術館とかいろいろ行きたいんだけれども、学割でも高いということがあるので、例えば5年間にわたっては、コンテンツに日本はシフトするから、学生についてはどこを見ても全部無料とか、そういうインパクトのあるような施策が、資料3に関係あると思うんですけれども、出せればいいなというふうに思いました。
 以上です。
○久保利会長 ありがとうございます。
 資料2に関連する総論部分でのほかにご発言はございませんでしょうか。
 宮田委員、どうぞ。
○宮田委員 表現の仕方はどんな感じで表現されますでしょうか。この総論を含めて。冊子にするんですか。
○関事務局次長 最終的には、冊子の形で。
○宮田委員 冊子なんてつくったって見ませんよ。やっぱりその前に、その冊子の表紙、あるいは1行とか2行とか3行でも結構ですから、そこにキャッチが必要だと僕は思います。そのキャッチがあることによって、その後、すべて斜め読み、そのうち食い込んでいってなるほどというふうなところまで持っていくような、それこそこの冊子そのものがブランドだと私は思いますので、そこもちょっとお考えいただきたいと思います。
 先ほどの先生方のお話の中で、全く思いつきですが、例えば「良質な産業は日本力」とか、何かそういう、これはきっかけですが、そういうものを最初にどんと大きく持ってくるというふうなことがあった上に、例えば組織図にしろ、概念図にしろいろいろあって、それからそこに至るための総論的なものと、段階をつくっていって構築していくというふうなとらえ方にしていったときに、私はさっきのお話の中でもさせていただいたのは、経産省が文科省に乗り込むんだというぐらいの意気込みと同時に、そういう縦を横に持っていくとらえ方のためにしゃべっているだけであって、それがこの冊子もそういう影響力が、これは内閣府でやっている仕事ですから、すべての省庁に「なるほど」というふうにさせるようなインパクトが欲しいなという気はしております。
○久保利会長 会長の全く私的な見解ですけれども、それは目からうろこが落ちる話であります。あらゆる省庁が出すあらゆる報告書みたいなやつは、全部冊子で真っ白の白拍子に、同じような活字で字が出ているということなので、仮に冊子にするにしても、表紙をどうするかという宮田委員のお話のように、では芸大の若い学生たちでコンペをやってもらうとか、もっとオープンにして、それこそ生越委員のところも、太田委員のところも中村委員の大学もみんな入れて、公募をして、表紙はどうつくるかというのをやると、そのこと自体が話題になりますよね。
 だから、中身で勝負というのもありますけれども、学術論文ではありませんので、やっぱりキャッチーな報告書をつくるというのは、私としては大変魅力的な話だなというふうに思います。事務局にお聞きしますが、今これからやろうとするとできるんですか、それともそれは不可能なんですか。
○関事務局次長 不可能かと問われて、不可能ですと到底申し上げられませんので、そこは工夫をさせていただきたいわけでございますけれども、事務局的によくやるのは、わかりやすい概念説明図をつけるとか、資料1であるような、特にわかりやすい図解をするというのがよく使われる手でございますけれども、今の宮田先生のご指摘は、それにはとどまらない、もっと先進的な画期的なものを何かできないのかというご指摘かと存じますので、そこは検討させていただきますとしか今の時点では申し上げられないということでお許しをいただければと思います。
○久保利会長 わかりました。ぜひ、ただの検討ではなくて、やる方向で工夫をすると。しかも、大した予算はかけなくてもやれそうですから、大学の振興、教育の振興とセットで、それこそ中村委員のところの学生さんにも入ってもらうとか、いろいろなコンペはやり得ると思いますので、だれが審査員かというのは、ここに審査員がいっぱいいらっしゃるわけですから、これも無料でできますので、ぜひ私としてはやりたいなというふうに思います。
 多分、それは麻生総理の気持ちにも合うだろうし、反対する人というのはほとんどいないと思うんですね。
 では、そういうことで中村委員、お願いします。
○中村委員 参考までですけれども、実は総務省の情報通信白書、今度表紙を子供に書かせようという提案をしていまして、募集とかもやっています。そのような、現に動き出しているそういう工夫もあるというご紹介まで。
○久保利会長 前例もあるようですから、事務局よろしくお願いします。
 とにかくそういうトータルに日本を変えていくというメッセージを、ただ言葉で強く言うだけではなくて、全体から感じるものをということに、専門調査会は本気で取組んで、インパクトのあるものをつくろうとしているということがわかれば、これが大きな力になるかもしれません。ぜひ前向きに取組みたいと思います。
 では、一応資料2についてはこの程度ということで、資料3に入っていきたいと思います。
 資料3につきまして、具体的な施策ということでございます。これについて、ご意見をちょうだいしたいと思いますけれども、事務局から説明がありましたとおり、資料3記載の具体的施策というのは、これまでに委員の皆様からご提案をいただいたり、あるいはご意見を踏まえて考える施策を例として取りまとめたものにすぎません。その前提で具体的施策の内容や取りまとめ方などについて、さらに具体的なご意見をお願いできればと考えております。
 この資料3につきまして、ご発言のある方はネームプレートをお立ていただければと思います。
 時間はまだ1時間ほどありますから、じっくりと議論をしたいと思いますので。それでは、南場委員、お願いします。
○南場委員 事例ということで申し上げますと、例えば1枚目の戦略1の(1)、(2)については、かなり具体的な例に絞って、なるほどおもしろいなと思わせるものを列挙した方がよろしいのではないかという印象です。
 加えて3ページ、戦略4の(1)の部分、外国人の若者受入を通じた日本ブランドの理解の増進という点について、コンテンツ分野の留学生の受入という形になっていますが、産業の発展、あるいは日本ブランドに対する理解をどの層で増進したいかということを考えると、将来、政界や財界のリーダーとなり得る人たちに日本ブランドのファンを増やすということも極めて重要だと思います。その観点から、コンテンツ分野の留学生に限定しないでいただきたい。また、明確な数値目標を設定し、成果をはっきりと示すことが重要ではないでしょうか。
 そして、全般的に施策が従来型のよりすぐられたブランドのものに寄っているという印象を得ております。日本の強みが大衆文化であるということを考えたときに、より草の根的な、インディーズ的な側面にスポットライトを当てた施策もあったほうがよいのではないかと感じております。そこに対して(7)として何を加えて頂きたいという具体的な要望があるわけではないのですが、その点で言うと、クリエーターが生まれる土壌としての日本ということについて、議論されています。けれども、かたやネットの世界ですと、国境関係なく、また別の世界が繰り広げられていますが、その世界の場を仕切っていたり、胴元となっていたり、フレームワークをつくっているというのが、残念ながらネットの世界では、今までアメリカ、欧米系主導で仕切られているところがあります。日本の草の根文化がこんなにすばらしいにもかかわらず、例えばflickerですとか、You Tubeですとか、いわゆるuser-generated contentを発表する場を仕切っているプラットフォームプレーヤーは、なかなか日本から出てきていません。現状ではflickerですと画像、静止画、You Tubeですと動画といった、いろいろな作品の発表の場の胴元がアメリカから出ています。例えば日本でケータイ小説というものがありますが、これは日本独特の文化というふうに言われていますが、我々が国内でやっているものと全く同じサービスをアメリカで展開して、SNSで小説を書いて発表できるというコーナーをつくったところ、日本ではユーザーの4%ぐらいが小説を書いているのに対し、アメリカでほぼ同じサービスを展開したところ、何と8%近くのユーザーが小説を書いています。恐らく日本人よりも多少平均的には大きいであろうと思われる親指を使って、必死になって小説を書き始めたと。このように、意外と日本で発信している独特と思われる大衆文化も海外に持っていくとおもしろい展開になる可能性を実感として感じております。
 一方で、IT系あるいはインターネット系のベンチャーでは、創業時からグローバルな視点を持っているのはアメリカのほうです。これは繰り返して申していますけれども、日本ではベンチャー企業が創業当初から世界展開を念頭に起業するということは、ほぼございません。教育のことに言及するのであれば、日本で国際的な視点を持つベンチャー企業が生まれるための仕組みづくりについても、具体的な施策の中に二、三ちりばめられていてしかるべきかなと感じましたので、発言させていただきました。
○久保利会長 ありがとうございます。
 里中委員、お願いします。
○里中委員 この資料3、1ページ目の(5)で日本食・日本食材の海外展開の拡大となっていまして、もちろんこれは大切なことですが、近年、よく見受けられる日本食材の海賊版というのがありますね。ネーミングで日本の地名とか、既にあるブランドものとかをまぜたものというのが出回っているのは、もう本当にはびこってはいるわけですけれども、どこまでクレームがつけられるのか、あるいはどこまで特許なり、こちらの創造物なりというアピールができるのか、法律的な細かいことは私にはわかりませんが、ここまでたくさん驚くほど日本の食材、あるいは食品ですね、完成品の偽物といっていいと思います。完全に偽物が出回っているということは、ある意味、それだけ日本の食材が信頼されているということで、人気があるからこそ海賊版が出るわけですよね。これをもっと利用する手はあるんじゃないかと。だから、本物シールを張ったって、本物シールの偽物が出ますので、これはもう本当にイタチごっこなんですけれども、胸を張って、こんなにすばらしいんだということで、あまりアピールするとまた海賊版も増えるかもしれませんが、最終的には消費者が自分の舌で選んでいくと思いますので、今海賊版が盛んに出回っているのを利用して、もっともっとアピールして、高く売り込んでいいと思います。
 聞いたところでは、松阪牛というのは有名ですが、それに倣って松阪豚というのが海賊版で出ているらしくて、やはり一生懸命工夫するわけですよね、現地の人も。わー、これならきっとおいしいと思ってもらえるようなネーミングを工夫してつけていると。ただ、粗悪なものが出回ることによって、肝心の日本の食材の信用が低下するのはいけませんので、その辺、海賊版の実態を踏まえというところは、この(3)のアニメ・マンガ・放送番組というところでしか入っていませんので、この日本食材のところにも何かこのようなこと、海賊版に対する施策ですね、そういうのをやるんだということを入れていただければいいのかなと希望しております。
○久保利会長 食材の話になりましたが、服部委員、何かコメントはございますでしょうか。
○服部委員 今、ヨーロッパ共同体で27カ国に共通した食の安全・安心というもののマークがあるんですね。これはEU自体が許可しているわけです。それに加盟することによって統一の基準で整備されています。また出されるやつがあるんですけれども、これがすごい信頼のあるものになってきていて、日本は五、六年前からやっと日本の食材を世界に発信ということで、4,430億ぐらいまで来たんでしょうか。1兆円まで持っていこうという計画がありますけれども、日本は40%しか自給率がない、60%輸入しているにもかかわらず、日本のものが世界で評価されるようになってきたというのは大変意識のあることであり、ありがたいとは思っているんですが、今度、でも最近では日本の地域でワインや特産物を認定するような制度が出来ています。今長野県や山梨県で一部始まりました、例えばワインに「地域認定証」をつけていこうと、まるでフランスのボルドーだとかブルゴーニュの認定制度に似たものが始まったんですね。これは日本に全部網かけてやることはできないんだろうかなというふうに思っているんで、これは農水省さんのほうの絡みだと思うんですが、そして、さらに先ほど来より偽物というのが、海賊版の名称が出ると思うんですが、これも何をやってもきっとやられるとは思うんで、先ほどのご心配があったと思うんです。
 今回、実は世界料理サミットでシカゴのグラント・アケッツさんという人が全米一の料理人を2008年に取ったんですね。この方のお店の売りが宮崎ビーフなんです。宮崎ビーフとメニューに入っています。今回、東国原知事が早速それを知って、料理サミットにお呼びしたら飛んできてくれる予定です。そして、感謝状出すんです。そうやって世の中にアピールしていく方法というものとか、本当に日本のものが強いんだよというものを出していく機会をもっともっと組み入れながら、日本の国自体が自信を持って認定というものをきちんとしていただきたいと思うんです。農水省に資料出してはあるんですが、今一度、お持ちしますんで、見ていただければと思います。
 よろしくお願いします。
○久保利会長 わかりました。
 そういう意味では、農水省も当然関係省庁ということで、これに絡んできておりますので、ではそういう形でも協力をちょっと考えてみることにしましょう。これは事務局のほうで調整をお願いします。
 太田委員、お願いします。
○太田委員 資料3の今南場委員おっしゃった(1)、(2)のところ、やはりもう少し何をするのかを幾つか具体的な例を出されたらどうなのかなと思います。支援をするということは、どうしてもお金もかかりますから、具体的にどんなことまでが考えられるのかという、ここら辺ぐらいまでという具体例あると、わかりやすいと思います。
 実は、お手元のSHINMAI CREATOR'S PROJECT、来週ニューヨークでのイベントで配るためのチラシなんです。裏を見ていただいたらわかるように、世界から集めた若い新人たちをここで発表させてビジネスチャンスをつくってあげましょうというプランなんですけれども、参加デザイナーの中に日本人が2人いまして、1人はロンドンのセントマーチンという学校の大学院を出てきたばかり、1人は名古屋地方で少し仕事を始めている若い人です。彼らに発表の場を与え、機屋さんたちを紹介し、ものづくりの部分と発表するところまでは助けて、我々も一生懸命応援をしています。が、その先のこと、売るということになると、仕事を続けるというのは非常に難しい。ロンドンの学校を卒業して帰ってきたばかりのその彼は、卒業後そのままロンドンで、もしくはヨーロッパにとどまって向こうの有名デザイナーの会社に入ってアシスタントをするのか、日本に帰ってきて自分でデビューするのか迷っていたんですけれども、たまたまこういう日本でのデビューの機会があったので帰国してきたんです。現状、製作資金を父親に借りてやっていると聞いています。3月に正式発表した後、6月から伊勢丹1階でテスト販売をしてもらおうというプランに話がついています。そこまではおぜん立てしました。その先、仮に注文が来たら、本当に商品をつくれるのかなと。注文来ても製作資金がなくて多分つくれないんじゃないのかという心配があるんです。そのときに、例えば中小企業の対策にファンドがあって、ここへ駆け込めば相談できるというアドバイスができると、この才能あるクリエーターたちが腹くくって日本で仕事できると思います。
 さっきの資料2の話の中で、ちょっとやせてきているという話がありましたけれども、人材の数と質もそんなに細っていないんです。やせてきているというのは、彼らを押し出す受け皿が全然昔と違って今はない。なぜならば、昔は、百貨店さんも、それから大きな機屋さんも合繊メーカーさんも結構オーナー社長がいて、才能ある若者に投資していたんです。今はみんなサラリーマン社長で、しかも格付け会社がうるさいので、本当はやらせてみたいと思ってもできないんです。だから、才能あるから、この子にかけてみようとか、商品を仕入れて育ててやろうという、仕組みが全くない。そういう点では、本当にやせ細っているんです。こういうファッションの世界で言うと、せっかく才能があって、日本に帰ってきてマスコミまではうけるんだけれども、その先は続かない。だから、それをもう少し明確にしてやると、恐らくマンガやアニメの世界でも、ファッションも同じだと思うんですけれども、若い人たちが花咲かせられるところまでは行くんじゃないかと思います。
○久保利会長 なるほど。
 じゃあ、佐藤本部員。
○佐藤本部員 競争力のほうの専門調査会で申し上げたんですが、世界同時不況の中で、本当に中小企業・零細のクリエーターたちが生き残れるのかということが一番大事だろうと思うんですね。そのためには、やはりお金が流れる構造をつくらないと、かけ声だけ、支援、支援といっても、実際は生き残れないんじゃないかと心配します。そういう意味では、先ほど来出ています支援の充実というような話も、お金が流れる仕組みも考慮に入れた形を検討されるべきじゃないかと思います。競争力専門調査会で言ったんですけれども、エンジェル税制というのが入ったときに、皆さん非常に注目したんですが、実際は非常に使い勝手が悪くて、だれもなかなか使わない。したがって、金も流れないという仕組みになっている。そういうところも、特にこういうクリエイティブ産業を育てていくためには、そこから見直す必要があるんじゃないかと思います。また国の政策的な予算もそういうところにしっかり流れるような仕組みを考えなきゃいけない。それが流れるためには、やはり具体的な施策が明確にならないと、お金の流れる仕組みってできないんだろうと思うんですね。そういう意味ではここに上がっている各項目について、より具体化をし、それが実際の現場に届くようなところまで検討していただけたらいいなというふうに思います。
 もう一点は、最後に出ています戦略5の推進体制の構築の問題でございます。
 先ほど会長から民間と国との役割分担のお話について、難しいですねというお話はあったんですが、もうほかの国は、国と民間が一体になって戦わないと、グローバル・コンペティションは戦えないという時代になっていると思います。インフラが育ったからあとは民間が自分で頑張っていらっしゃいと言っても、それではもう済まない時代に入ったと。そういう意味で、この推進体制というものを官民一体になってしっかりつくっていくということはすごく大きなファンクションだと思います。
 今まで総合プロデュース機能、市場化のための総合プロデュース機能をつくるんだと言ってきたところと同じようなお話だと思うんですが、ここをしっかりやらないと、先ほど申し上げた市場化というところにつながらない。そうである限り、産業は育たないということになってしまうので、その点について、戦略5については十分にご検討いただき、しっかり動く組織にしていただきたいというふうに思います。
○久保利会長 ありがとうございます。
 エンジェル税制はどうして使い勝手が悪いんでしょうか。
○佐藤本部員 私も詳細は覚えていないんですけれども、設立から一定の年月以内の企業への投資でないと適用されないということだったんだと思うんですね。そういう意味で、投資できる期間が非常に限られているのと、それから投資の資金の範囲が限られているという、そういう意味だと思います。
○久保利会長 わかりました。いや、税制問題、これ踏み込めるかどうかはなかなか難しいところですけれども、やはり今佐藤委員がおっしゃるとおり、世界中が国と民間が一体になってやってきているときに、わが国ばかり国と民間と役割分担というのを別々だというふうに言っていていいのかというのは大変重要な指摘だと思いますので、この点についても工夫をさせていただきたいと思います。
 ほかにはいかがでしょうか。
 浜野委員、お願いします。
○浜野委員 資料2に指摘されているアメリカは、ニューディールでモニュメンタルな建物を建て、画家や写真家にまで仕事を与えました。それで、英国も、ある分野の税金をクリエイティブ産業に回しましたし、韓国でも初年度だけで500億円ぐらい予算をつぎ込んだと聞いています。ですから、予算の裏づけがあるから迫力がありますが、予算の裏づけがないから迫力に欠けるかなと思います。時世上、予算が窮屈なのは分かりますが。2番目は、外、外と書かかれていますが、「トレードマーク・ブリテン」のイギリスブランドの戦略の10の中の一つは、自分たちがいいと思っているもの以外は外には出ないとあります。ぜひ小さいときから、日本のコンテンツとか伝統文化について学ぶ機会を、クリエーター育成目的ではなく、設けていただきたい。
 3番目は、目的とかビジョンについてです。産業革命はイギリスで起こって、情報産業革命はアメリカで起こって、環境産業革命は日本で始まりましたが、オバマ大統領が舵を切ったように思われています。しかし環境産業革命のインフラとか考え方はほとんど日本が取り組んでいたことで、技術開発もやってきました。コンテンツにしても、食も、衣食住も全部環境産業革命に沿ったものであり得ると思うので、何かそういうビジョンが入るといいなと思います。これは希望です。
 最後に、官民とあるのですが、これは私が以前から言っていたのですが、まずは隗より始めよということです。メディア露出の高い政治家などが、海外ブランドを着て出ています。オバマ大統領夫人は、立候補する前は高価なオートクチュール着ていても、夫の立候補後にはアメリカの大衆的な服を着るようになったと言われています。国民を代表している公人としては当然のことです。そういった細かい配慮がなされて、大きな戦力がいきてくる。まずはかけ声をかけるところから、始めないと、戦力の実践は難しいでしょう。そういったことまで含めて議論をしていただきたいと思います。
 以上です。
○久保利会長 ありがとうございます。貴重なご意見で、次回からよく検討するようにいたします。
 大事な発想だと思います。
 三尾委員、お願いします。
○三尾委員 私はちょっと別の視点からなんですけれども、芸術系の大学でクリエーターの話を聞きますと、大学院や大学生は、自分の作品に対して思い込みがありまして、非常に大事に思っているというんですね。けれども、それをなかなか自由な環境で時間をかけてゆっくり育てることが、大学を卒業してしまうと非常に難しい。というのは、やはり制作会社等に就職してしまうと、非常に忙しい中でノルマを課されて、この時期までにこれだけのものを出せというような形で言われるらしいんですね。そうすると、それに追われて疲弊してしまう。そうすると、自由な環境で時間をかけてじっくり育てるという、ある程度余裕がないといい作品はできないんだというんですね。比較的著名なクリエイターであれば、ある程度、単価の高い仕事をしながら生活費を確保しつつ、一方でお金にならなくて将来大きく開けるような、高い創造性のあるいい作品をこつこつつくっていくという、そういう二本立ての生活をしているというんですね。でも、なかなか一般のそこまで単価の高い仕事がとれない若手のクリエイターは、そういうことはできない。、大学や大学院にいる間はまだ制作できる環境があって、しかも学生であるので時間もあるから、ある程度はクリエイティブなことができるけれども、卒業してしまうと難しい。日々の中で才能も枯れてしまい、しかも若い、純粋というか、非常に新鮮なものもどんどん疲弊してしまう。最終的にはサラリーマンになってしまったり、クリエイターとして社会にある程度いいものを出していけないような、そういう人になっていってしまうという、そういう現実があるということなんですね。そういった意味もあって、私としては「疲弊している」んじゃないかというような認識を持っていまして、この事態をできるだけ早い段階で解決していく必要があるんじゃないかと思うんです。翻って海外を見てみますと、学生から社会人になるときの受け皿的な場所をつくっている国が結構あります。韓国は国としてコンテンツをつくっていく産業自体を立ち上げていますし、そうすると、国のお金でクリエーターが国に雇われてある程度産業をつくっていける。つまり、いい作品をつくる環境が与えられているといえます。フランスや北欧についても、そういう環境がある程度整備されつつあります。私が思いますのは、今一番日本で足りないのは、クリエーターであり産業化に結びつけていく道筋、いいものを持っている方をさらに育てて、それをお金を生み出すまでに育てていくようなシステムではないかということです。
 資料3の戦略5に、推進体制の構築という項目があって、体制を構築しましょうというふうになっているんですが、この中に単に情報提供したり、シンクタンクということだけではなく、インキュベーションセンターみたいな仕組みを取り入れていただけないかというふうに考える次第です。それが戦略(1)、(2)の具体化につながるんじゃないかと思います。 若手や独立系のクリエイターのある程度最初のところは国が助けてあげることができます。これは産業界でも構いませんが、民間に委託してもいいと思うんですけれども、全くの民間のみであれば民間は全くお金にならないものに対しては、お金を出すほど余裕はないと思いますので、国も助けてあげて、仕組みをつくった方がいいんじゃないかと思います。予算的にはそれほどすごく高額でなくてもいけるんじゃないかと思うんですよ。競争力強化の専門調査会が対象としている、発明に対する支援とか、技術的なものに対する支援よりはコンテンツの方が安あげりと思うんですね。しかも多数の方が協力して作品をつくり上げるという体制にもありますので、この時代雇用の創出ということにもつながっていきます。ですので、ニューディールということにもなると思いますので、そういった方向で最初の段階だけでも支援をしていただければというふうに考える次第です。
○久保利会長 ありがとうございます。
 太田委員、お願いします。
○太田委員 2ページの最初、日本ブランドに関する情報の集積・保存拠点の整備ということでご提案をしたいと思います。
 先月、ある大手不動産会社の方がこれから開発する大きなビルのご相談にいらっしゃいました。そのときに申し上げたのは、日本の最新ソフトコンテンツが全部体験できるというビルをつくって、そこで美味しい料理を食べられ、日本を代表するデザイン、服が買える。それから新作マンガも─マンガは巨大ショップをつくろうと。新作のゲームが体験できる。アニメはいつも上映しているみたいな、そこへ連れていけば海外からきた人も日本のソフト文化がわかるという建物ができませんかという話をしました。海外からたくさんお客さんいらっしゃるんですけれども、都内をあちこち連れて案内すると2日、3日かかります。そういうマルチコンテンツ館みたいなものを1つ中心につくればいいなと。世界中から来る人たちをそこにご案内できる、非常におもしろいものができると思うんです。
 パリのポンピドゥー・センターはいつも新しいいろいろなことをやっています。ポンピドゥー・センターはフランスの発信拠点になっている。だから、日本も非常に伝統的なものを見れるはところいっぱいあるんだけれども、新しい文化の才能に触れられるところとがあれば、日本の発信拠点になり得るし、世界に対してもメッセージ力があると思うんです。何も箱物をつくるんじゃなくて、仕組みをつくりませんかという呼びかけを大手不動産なりにぜひしていただきたいなと思います。
○久保利会長 というふうに、この具体策の中に書こうではないかと、こういうことですね。
○太田委員 はい。
○久保利会長 わかりました。そういう発信拠点というアイデアはいろいろ議論されると思いますので、どういうふうに書くか、また太田委員のお知恵をぜひちょうだいしたいと思いますが、中村委員、お願いします。
○中村委員 今の太田委員の話を聞きまして、確かにポンピドゥーはポンピドゥー・センターを残して、ジスカール・デスタンがオルセーを残して、ミッテランが図書館残したと、日本の政治、何残すのかなと思って聞いておりました。
 この資料3のところでいろいろ書かれている施策というのはいいことばかりですので、それぞれやってもらいたいと思うんですけれども、仕上がり、仕上げた後に、在外公館をこうするとか、官製のイベントやサイトを充実するというような官庁がやりたいことリストみたいに見られないように、現場の産業界やクリエーターのニーズに立脚するものにするという工夫をする必要があるだろうなと思います。
 戦略1から戦略4まで一言ずつコメントをしたいんですけれども、戦略1ですと、これは産業の振興、クリエーターの活動の場をつくるというんですが、だとすると、私は新しいメディアの産業を開発するというのは非常に重要だろうと思います。そういう視点が必要。例えばモバイル向けのマルチメディア放送であるとか、デジタルサイネージというのが新しいメディアの産業として今非常に注目されているんですけれども、そういったことにも注目した方がいいだろうと思います。
 それから、次の戦略2ですが、この(3)に幼少期からの創造力を育む教育って書いてあるんですけれども、実は今総務省のICTビジョン懇談会でこういった議論もしておりまして、例えば国民全員がアニメをつくれて作曲ができる環境を2015年ぐらいにもたらすと。そのためにはどうしたらいいか。例えばそのための教材をつくるとか、ワークショップ全国展開するとか、コンテンツの創作を重視するような幼稚園をつくるとか、商業高校、工業高校ならぬコンテンツ高校をつくるといったいろいろなアイデアが今提出されておりまして、そのうち、どれが施策になり得るのかという議論をしております。それは紹介まで。
 それから、戦略の3ですけれども、(1)に重点対象国に向けてということが書いてあります。この重点対象国をターゲットを絞って集中的に政策資源投下するというのは大事だと思いますけれども、結局これをどこにするのか。その際に、そういった国に向けて、例えばテレビチャンネルの枠を確保するとか、ネットでの配信、翻訳をつけていくといった施策を重点的に投下していく必要があると思います。
 同様に、(4)ですけれども、ウェブ情報の改善というところを読みますと、ウェブページを提供する機関相互の連携体制ということが書いてありまして、どうも特定の公的なサイトの強化というふうに読めるんですが、それよりも、企業や個人が現に開いている人気のあるポップカルチャーのサイトというのはたくさんあって、そういった膨大で高度なユーザーやファンが存在するというのは日本の最大の強みだと思いますので、そういったものに翻訳をつけていくといったことの方が効果的なんじゃないかなというふうに感じます。
 それから、最後、戦略4ですけれども、これも紹介ですが、(1)にコンテンツ分野留学生の受け入れとありますが、これは私のおります大学も政府のグローバルサーティ、留学生を拡大する計画というのに沿って、こういったコンテンツ分野の大学生をどうやったら増やせるだろうという努力を今しております。国際的なデザインスクールなどとの競争になっておりまして、じゃあ、日本の大学の側でどういうプログラムを整備して、どういう産学連携のプロジェクト、留学生が入れるようなプロジェクトを用意して、そういったものを海外の高校や大学に向けてどうやって宣伝するのかという、そういう対策を今検討しているところです。紹介までに。
○久保利会長 ありがとうございます。
 里中委員、お願いします。
○里中委員 今かなりほとんど思っていることと同じことを言っていただいたので、ほとんどなくなったんですけれども、確かに今おっしゃった、ウェブ情報の改善、3ページの(4)ですね。機関相互の連携体制を強化しというのは、まさにおっしゃったとおりで、その窓口ですね。前にもご提案いたしましたが、窓口としての日本ブランドというのがあって、そこから楽に飛んでいけるようなデザイン面のウェブ上のすばらしい日本文化資料館というのができて、お料理でもファッションでも小物でも、伝統芸能でも何でも飛んでいけるような、そしてそれを世界中から見に来れることで、興味を持っていただく。実際に、来ていただいたときは、やはりお話に出ましたが、箱物としての拠点ですね。これはやはり首都に必要だと思うんです。首都が移転した場合でも東京に必要だと思います、人口がたくさんあって。これは海外のお客様のためだけではなく、日本国民全体も意外と自分たちの国の文化知らない。今何やっているのか知らないというのがありますので、そういう拠点になればいいなということと、あそこに行けばウェブ上で見ていたこれの本物が見られるとか、リアルタイムで体験できるというのは旅行のすばらしい引き金になると思います。そして、そういう文化とか魅力的なものを紹介することによって、結果として日本語教育の推進につながるんじゃないかと思っております。日本語を幾ら教えても、日本文化が魅力的でなければ、だれも日本語を身につけて習おうとしない。むしろ、マンガ、アニメ、映画、そういうものを好きになったからこそ日本語を習ったんだという若者たちが非常に多いわけですね。私たちが、じゃあ、どうしてどこかの国に特別あこがれるかというと、例えばフランスですよね。若い女性があこがれたりいろいろしますけれども、美術品とかブランド品とか、また町並みとか、そういうものにあこがれますが、じゃあみんながそのためにフランス語を覚えて旅行に行ったかというとそうじゃない、日本語しか話せない。あとプラス片言の英語しか話せない日本人がどれだけのお金をパリという都で落としていくかということですね。だから、日本語教育を推進するというのは、結果的に日本語を学びたい子が増えればとてもいいことだとは思いますが、日本語教育が先に来るというよりも、文化の発信、定着、あこがれをかき立てる興味、関心を高めることによって、日本語熱も高まると思いますので、その辺が、先にどっちを持ってくるかですけれども、ちょっと素敵な書き方はないかなと思いました。
 ビジット・ジャパン・キャンペーンでも、最近、各国別のお好みというのが結構ありまして、私たちが思ってもみないような面に興味を持ってくれる地域の方々もいるわけですよね。昔、今は当たり前ですが、昔、だれが外国人が温泉につかりたいかと思ったかと。あるいは日本独自の文化で、お互いに裸になってお湯につかるということは、恥ずかしがる国民性が多いから、あれは日本独自の文化だと言っていたら、そうじゃなくて、こんなに定着して、温泉があるから、温泉があってスキーもできるから北海道へ行きたいという、そういう観光客が増えていて、ついにはオーストラリア村みたいなところができてしまった。だから、思ってもみないところに魅力があるので、情報の発信、紹介は、もうこれでもかと言わんばかりにやったほうがいいと思うんですよ。そのためには、まあ、ここは世界一賑やかなウェブ上の資料館であり、博物館であり、文化紹介のところであると言われるようなのをぜひすばらしいデザインでもってつくっていただきたいし、見やすい形、できれば、本来でしたら、ネット上のいろいろなことも、我が国が開発したOSとかでできればよかったのかなと今にして思いますけれども、だから長い目で見て、これからの分野、OS戦争からおりてしまったという、あの苦い経験を踏まえて、早目に手を打って押さえておくべきところは押さえておきたいと思います。
 ただ、このウェブ上のいろいろな発信にしましても、かつて私はマンガの日本マンガ資料館というのをつくりたいと言って何年がかりかでお願いして、ここの本部委員会でも了解をいただいて、準備にかかって各出版社の了解もいただいて、そして著作権者、出版社にちゃんとペイバックできるような形で準備を進めたんですが、本当に進まないんですよね。この2年間で原画保存を数十枚するにとどまっております。予算がないと言われます。予算がないって言っても、ものすごく微々たるお金なんですけれども、例えばこういう分野に投資なり援助をすると、クリエーターたちはその分税制の優遇措置が受けられるとなると、同業者たちもかなりパトロンとして出してくれるんじゃないかなと思います。
 最初からしまいまで税金の話で申しわけありませんが、やはり先立つものは金ということは切実な問題ですので、税制優遇措置、あるいはいずれここから出る利益というのは還元するとはっきりうたうところがどこかにあると文化というのは、金になり、なおかつ還元されるんだ。そして、若手の育成にもつながるんだということがどこかで読めれば素敵かなと思います。
 思いつきですけれども、日本ブランドとかコンテンツとか、これ日本力ですよね。これをどういう言葉でばんとキャッチコピーとして見せるかというキーワードも一般募集してもいいかなと、先ほど表紙のデザインもそうですけれども、キーワードを募集することによって、よく大晦日から新年にかけて去年の漢字、今年の漢字ですか、一文字であらわすとみたいに結構応募する人ってあると思うんですよ。募集することによって興味を高めていただくということで日本力ということなんですけれども、そういうこともできないかなと思います。
 すみません、長くなって。
○久保利会長 ありがとうございました。
 それでは、佐藤本部員、お願いします。
○佐藤本部員 やはり一貫して私は市場化という、市場に結びつかない限り、産業にはならないというところが非常に大きな問題だと思っていまして、さっき三尾委員がおっしゃったインキュベーション、これもコンテンツ分野において、しっかりした組織、機能を持たせるべきじゃないかというふうに思います。
 これは、中国のインキュベーションの例ですけれども、日本の場合ですと、大体行政なりが箱物をつくって、そこの中で一定期間使っていいですよというような優遇措置をするというインキュベーションが結構多いんですけれども、中国の場合はインキュベーションの機能があるような民間企業に補助金を出して、箱物と人まで面倒見ろというやり方をやっているんですね。そうすれば、何も箱物を使わなくて、民間の力を利用しながらできるという仕組みなんですね。私、この間、北京の特許事務所行ってびっくりしたんですね。特許事務所の中にインキュベーションルームがたくさんあって、その中にいろいろな企業、ベンチャーが入っていて、それを実際に国から補助金をもらって支援していると。同時に知財の指導もするという形をやっているので、インキュベーションの仕方についても、ほかの国でも結構いろいろな工夫を始めていますので、そういうことを参考にして、ぜひ市場に結びつくような支援体制の強化というところを大きく打ち出したらいかがかというふうに思います。
○久保利会長 じゃあ、南場委員、お願いします。
○南場委員 私も三尾委員の先ほどの発言を受けて申し上げさせて頂きますと、佐藤先生もおっしゃったように、お金が回らないとお話にならないわけで、最終的には産業に組み込むというところの問題になると思います。先ほどの三尾先生の話というのは、まだ市場でバリューがあるかどうかわからない、潜在的には才能があるかもしれないけれども、もしかしたら天才かもしれないし、ちょっとした秀才で終わるかもしれない、という先のわからない状態の人たちが、卒業して産業界の量産体制の中に組み込まれると、あまりクリエイティブじゃない仕事をさせられ、疲弊してしまい、それで才能が開花するはずのものもしなかったという形で終わってしまうことが多いとの指摘です。それは非常に構造的な問題だと思います。お金が回らなくてはいけないんだけれども、お金を回すのに有益な偉才かどうかというところにまで育つ間はどうするのか。それは、やはり経済という営利主義の枠の中だけでは限界があると思っており、その中でパトロン制度というのが日本ではどの程度浸透しうるかが課題だと思います。私は海外に全く詳しくはないのですが、アメリカの資産家は、例えば何人かのいろいろなレベルの芸術家をサポートしている例も多い。日本でも実はいるようです。実業界で成功した方がマンションをつくられて、すべてのフロアにグランドピアノを入れて、防音を完璧にして、音大生優遇で破格に安い家賃で借すといったことです。面接、演奏してもらって、自分の好みの才能を持っている人を入れるといったことです。そういうことやってみたいなと思う資産家は日本にも多いのではないかと思うのですが、しかしながらそこにはなかなか情報がないようです。例えばこういう芸術家の卵がいて、こんな作品をつくっていますとか、あるいはこんな演奏の実力がありますとか、こういうクリエイティブを目指していますとか、こんな志でやっていますといった種類の情報が共有されにくい状況があります。ではそれを民間でパトロンと芸術家の卵、クリエーターの卵を結びつけるような、パトロネージプラットフォーム、あるいはマッチングプラットフォームのような仕組みを作るのかというと、そこで採算ということを考えてしまうわけです。例えばパトロンの与えた100万円から1万円を手数料として頂く形にするんですかというと、なかなか難しいのではないかと思います。では会員制にするのか、などありますが、やはり民間がパトロンマッチングプラットフォームのようなものを展開するとしたときのエコノミックスはなかなか難しいわけです。そこで、今申しましたようなクリエーターの卵とパトロンたちの情報の流通プラットフォームを国がつくるというのは一つのアイデアかもしれないなと思っております。および、パトロンが芸術家の卵を育てているというのは当たり前になっている諸外国の例と日本のギャップを分析してみて、打てる手を検討するというやり方もあるのではないかと思いました。
○久保利会長 ありがとうございます。国というとあれかもしれないけれども、例えば宮田先生のところで新しく生まれていく学生たちのパトロネージを芸大として募集をすると。そうすると、みんな安心してお金を渡すだろうと思うし、そこで一定の分を大学が寄附金としてちょうだいしたってだれも怒りはしないと思うんで、僕そういうのって大学の役割じゃないかなとずっと思っていたんです。どこかの国の何とかの機関にやれというのも怪しい感じがして、結局学生をよく知っている芸術性のある大学、あるいはコンテンツの大学がそういうもくろみというのをむしろやるべきではないか。今法科大学院なんかは、もう学生の就職がだんだん難しくなってくるので、就職先をつくるために、自分たちで法律事務所をつくっちゃおうとか、要するに医学部をつくったら、附属病院があるのは当たり前みたいな話で、それと同じように、附属法律事務所をつくってしまえという考えもあります。それと同じように出た人たちのために附属のパトロネージシステムをつくって、その人たちを育成していくという、大学にTLOがあるように、少し長い目で先を見るというのは僕は必要なのかなと。そのときに一番格好がつくのが大学じゃないかなという気がするんですけれども、南場先生のご意見に便乗するような形で恐縮ですけれども、アイデアとしてはいろいろあると思うんですね。
 じゃあ、服部委員、お願いします。
○服部委員 資料3の3ページの戦略の5の部分で、省庁連携というのは、先ほど来より出ていますし、官民連携というのはあるんですけれども、私もこの数年、外国行って感じたんですけれども、大きな食のイベントがあると、現地の大使館の方見えるんですね、しかし日本の大使はああ、いいことやっていますなとおっしゃってすぐ帰ってしまうんですね。ところが、今回、私どもは国際フォーラムで、この2月の9、10、11日の3日間、世界料理サミットを開催しますが、世界8カ国からトップの料理人を呼んでいますが。まずスペイン大使館からその実行委員の人と、これに参加するスペインの料理人のご招待がありました。高円様もご一緒にということで呼ばれる予定になっています。また、オーストラリアからご招待がありまして、オーストラリアの国が食材を提供しますし、大使館でそういうような催し物をやるんでいらしてくださいと。そして、この食材をフォーラムのために有効に使ってくださいということになったのです。フランスは負けじと、また連絡がありまして、何なりとご協力しますよと。フランス大使みずからが私どものほうにご連絡を下さいました、このままだとアメリカも来るんじゃないかと思っているんです。日本はその点、どこ行っても、まず現地にこういう大会で来ましたよと伝えても、ああ、そうですかで終わっちゃうんです。何かそういうものに関して、知的財産を理解して受けていただくならば、その辺を今後外務省のご担当の方とか、そういう方々がどちらかにあらかじめお知らせすれば、僕はわかりませんけれども、チェックしていただいてご協力いただければと思うのです。我々のやることが高く評価されていないですね。ですから、できることならば、各国にいる日本の代表の方が我々をもてなしたり、もし、その方がパーティーを開くときに、周りにそれを説明してくださるような連携みたいなものが今後とれていかないと、こういうものってどこかでとまっちゃうと思うんですね。ですから、特に、国を代表している方々がほかの国に影響力を与える立場でおありだと思うんで、そういうことをしていただきたいなと。それと、今回、東京国際フォーラムをお借りしたんですが、今さらこんなことを言うと怒られそうなんですけれども、高いんですよね。実は、我々の予算の3分の1は会場に取られていっておりまして、今回4,700万取られちゃっているんですね。余計な話ですが。すると、えらいこれで、勝手にそれは借りたんだからしようがないだろうと言われるんですけれども、2年前から手付金から始まって、お金入れていくようなそういうシステムになっていて、これは東京都に文句を言ったんですが、そうしたら、それは東京都から離れて株式会社でやっていますからと言われたのです。何か東京で物事をやろうとすると、非常に施設を借りるのにお金がかかるんですね。ですから、もっともっと普及するためには、それを何とかしていただけるようなお口がけをしていただくとか、実は言われました。外務省がやるものに関しては安くやりますけれども、お宅がやっているのは民間だからだめだと言われた。ですから、何かそういうことでも、いいことをやっても、全体が理解してくれないなということがちょっと苦しい部分につながるなと思っています。
 それで、今回大手のメーカーさん、食品メーカーでないところが協力してくれていたんですけれども、このサブプライムで急に7,000万近くが飛んじゃったんですね。飛んじゃったらやめようかと言ったんですけれども、もう今となってはやめられないものですから、自分が背負うんですね、結局。こういうことになってきますので、今頑張っています。しかし、おかげで全部この券は売り上げ、ソールドアウトです。ですから、今日皆様に本当はお配りしようと思ったんですけれども、お配りする券がないぐらい売れてしまったんで、何かまた特別にいろいろ考えるつもりでいますが、立ち見席までつくってくれというぐらいすごい今評価されてきましたんで、こんなことで、ぜひ我々が外国に行ったときに、ああ、よくぞ君たち来てくれたなというような、もてなしまでいかなくてもいいですけれども、何かそれを価値を理解してくれて、やはり次の段階でその国に広げてくれるような、いわゆるお役所のお立場というのも今後考えていただきたいなというふうに思います。
○久保利会長 ありがとうございました。
 じゃあ、宮田委員。
○宮田委員 先ほどの会長のお話に付随するんですが、実は私学長になってから大分意識改革ができて、私自身も改革したんですが、やはり残念なのは、こういう感性教育だとか、知的財産に投資家が数値的には我が社は3倍ぐらいに増えたんです。ただ税制ですね、これが大きく足を引っ張っております。ここで言う話かどうかじゃなくて、どこへ行ってもこの話はしなければいけないのかと思います。特にこの感性を大事にする、あるいは知的財産とかその辺に対しては、一つの措置をとっていただくようなことも、この大きな中に提言しますと、先生方、大変いろいろな意味で動きが出てくるのかなと思いますね。
○久保利会長 ありがとうございました。
 じゃあ、中山委員、お願いします。
○中山委員 去年まで大学におりましたので、留学生の話をしたいと思います。2ページの外国人材の積極的な受け入れですけれども、これはここではコンテンツ・日本ブランドについて書いてありますけれども、これは別にこれに限らず、留学生を大量に受け入れるというのは国の大方針で、それ自体は結構な話で、これに反対する人はいないとおもいますが、ただここで気を付けなければいけないのは、やはり具体的なプランですね。例えば住宅とか、奨学金等を含めて整備しないとほとんど意味がない。それでないと、留学生は一応学校に在籍しているけれども、ほとんどが風俗に行っちゃっているという話もあります。私の去年までいた東大の学生も麻薬を運んでいたとか、そういうこともいっぱいあるわけです。実際問題は、具体的なプランがない以上、これは絶対に進まないと思います。私的な話ですけれども、私は30年前ぐらいにドイツに留学したときは、フンボルトの金で行きましたけれども、実に優遇されていました。日本の給料と同じぐらいの奨学金ももらったし、住宅手当も出るし、児童手当も出るし、本を買う金も出るし、3週間のドイツバス旅行もあるし、日本に帰ってきてから、毎年いろいろなものを送ってきて、ドイツのことを紹介して、あるいは何か日本でドイツ関係の催しがあれば招待してくれる。アフターケアは30年たった今でも続いています。世界中にフンボルト留学生に同じネクタイ配って、パーティーのときには来てつけてねと。そうすると、ああ、この人は同じ留学仲間だという親近感を持つ。こういう極めてきめ細かいサービスをしている。そういう具体的なプランがないと、幾ら外国人に来てね、留学してねと言っても、多分実行していないし、来てもろくな人は来ないし、また変なことになりかねない。だから、ここのところ、これは総論でいいのですけれども、何かもう少し具体的なことを書いていただきたいと思います。
○久保利会長 ありがとうございました。
 それでは、生越委員。
○生越委員 これは希望なんですけれども、クリエイティブ産業でクリエーターが自活できる生活であることが私は必要不可欠だと考えております。統計がとれるかどうかはわからないんですけれども、これを淡々と毎年、彼らの収入がどういうふうに上がっていっているか。上がっていっていないんであれば、施策が役に立っていないということですから、もっともっと手を打つべきなんだということが客観的にわかるのかなというふうに思います。この分野で食べていけるということをどう国として真剣に担保しているかということを数値データとともに、公表する必要があるんではないかというふうに思っております。
 以上です。
○久保利会長 そういうフォローアップも含めた計画を出せと、こういうことですね。
○生越委員 はい、お願いします。
○久保利会長 ありがとうございます。
 ちょうど時間になってまいりました。本日の会合はこれをもって閉会いたしたいと存じます。
 本日ご審議いただきました結果を踏まえて、日本ブランド戦略案を適宜修正した上で次回の会合では、各論部分も加えた戦略案の全体像をお諮りできるよう準備を進めてまいりたいと思います。
 また、今日お出しいただきましたさまざまなアイデアにつきましても、できるだけ前広にこれを採用する形で会長としても進めてまいりたいと思います。
 事務局におきましては、具体的施策の内容について、関係省庁との調整が必要なものについては、調整をお願いいたします。
 次回のコンテンツ・日本ブランド専門調査会は、2月25日水曜日、10時から霞ヶ関ビルにあります東海大学校友会館「東海の間」にて開催する予定でございます。
 本日はご多忙のところ、まことにありがとうございました。服部委員のご成功をお祈りいたします。