○久保利会長 それでは、ただいまから第5回コンテンツ・日本ブランド専門調査会を開催いたします。
本日は、ご多忙のところご参集いただきまして、まことにありがとうございます。
本日も引き続き日本ブランド戦略策定に向けてご検討いただきたいと存じます。
前回の会議においては、主に日本ブランド戦略の骨格についてご議論いただきましたが、本日はより具体的な内容に踏み込んでご議論いただきたいと思います。
まず、その前提として、事務局において関係省庁や独立行政法人の情報をもとに、各国における日本に対するイメージ等について取りまとめを行っておりますので、ご説明をお願いします。
○関次長 それでは、まず配付資料の確認をさせていただきます。本日は6点、6番目は枝番号になっておりますけれども、資料1から6までお配りしてございます。
資料1が各国における日本に対するイメージでございまして、裏表1枚紙のものでございます。それから、資料2が各国における分野ごとの日本に対するイメージということで、これは枚数で5枚、9ページのものでございます。資料3が海外発信に係る関係省庁等の連携事例(2008年度)というものでございまして、枚数で5枚、ページ数で9ページのものでございます。それから、資料4と5は一体のものでございますけれども、「日本ブランド戦略」策定に向けての検討の視点ということで、資料4が5ページまでのもの、資料5はそれを1枚紙にまとめたものでございます。それから、資料6でございますが、資料6−1は、本日ご欠席でございますけれども、南場委員からご提出があった資料でございます。それから、資料6−2は村上委員からご提出があった資料でございます。これは前回、会長からお尋ねがありましたので、それに対する考え方ということでご提案をいただいたものでございます。これにつきましては後ほど、例えば資料4、5の議論の際にご説明等をいただければと思っております。以上が本日の配付資料でございます。
それでは、資料1から3までにつきまして、まずご説明をさせていただきます。
資料1と2が日本に対するイメージということでございますけれども、資料1のほうは総論的な資料でございます。まず、資料1の表でございますけれども、これは外務省が毎年度、地域あるいは国を特定いたしまして対日世論調査を実施してございます。その中の日本に対するイメージというのを国別にまとめたものでございます。
この調査の仕方といたしましては、幾つかの選択肢を示しまして、それに該当するかどうかを問うものでございます。例えば、シンガポールであれば、科学技術が発達した国というイメージについては85%の人がそう思うというふうに答えたと、このような資料になっておるわけでございます。この資料につきましては、参考文献のところに書きましたように、外務省のホームページに詳細が掲載されておるところでございます。
それから、資料1の裏のページでございますけれども、JNTO、つまり独立行政法人国際観光振興機構、あるいは最近は日本政府観光局と称していらっしゃいますけれども、国際観光振興機構の調査でございまして、訪日外客実態調査2006−2007というものでございまして、その中の満足度調査編の中から日本に対するイメージの部分を抜粋したものでございます。これは、訪日前と訪日後で日本に対するイメージがどうであったかのかということにつきまして、16項目の選択肢の中から最大3つの項目を選択していただく形で調査を行っておるものでございます。これも見ていただければ、中国について言えば、訪日前は1位、2位、3位とこういう順で出ていたと。訪日後はこのようになったというようにごらんいただきたい資料でございます。
それから、続きまして、資料2につきましてご説明をさせていただきます。全部で9ページございますけれども、先ほどの資料1は我が国に対するトータルのイメージだったわけでございますけれども、資料2は分野ごとの日本に対するイメージということでございまして、国別、分野別ということで整理をしたものでございます。
1ページを代表例として見ていただきますと、横軸が国でございまして、1ページで言えば東アジアの1番目ということで中国、香港ということでございます。縦軸が分野でございまして、10の分野とその他ということで11の分野になってございます。上から、アニメ、マンガ、ゲーム、映画、放送番組、音楽、ファッション、日本食・食材、伝統文化、地域ブランド、そしてその他ということでございます。
一番上の中国のアニメのところを代表例で見ていただきますと、例えば中国製のアニメーションを広げようという政策があるにもかかわらず、日本のアニメーションの人気は高い。一方で、日本風につくったと思われる韓国産のアニメーションなどが流通し始めていると。こういうことで、これは文化庁から回答があったというということでございます。
すなわち、この調査そのものは各省庁、それから機関にお願いして回答をいただいて、それを集めたものでございます。したがいまして、括弧の中を見ていただきますと、文化庁、経産省、それから国際交流基金等々が出てまいりますけれども、それはそれぞれの機関においてそのように認識をしておるということでございます。
ただ、この1ページ目の上のところ、冒頭に注としてつけてございますけれども、このように分野別に細かくブレークダウンをして各省庁あるいは機関にお伺いをしておりますので、そこに書きましたように、それぞれの省庁あるいは独立行政法人の正式な調査結果等だけではなく、一部にそれぞれの実務担当者の見解が含まれている場合があるということをご承知おきいただきたいわけでございます。
どういった地域・国を拾っているかということだけ確認させていただきますと、1ページ、2ページが東アジアでございます。それから、3ページと4ページが東南アジアでございます。それから、5ページが北米ということでアメリカとカナダ。それから、6ページ目がブラジル、メキシコ、それからオーストラリア。それから、7ページ目と8ページ目が欧州。それから、9ページ目がインド、エジプト、その他ということでリストアップをしてございます。
以上が、日本がどのように見られているのかというイメージでございます。
それから、資料3でございますけれども、資料3は海外発信に係る関係省庁等の連携事例ということでございます。後ほどまたご説明をさせていただきますけれども、体制づくりということはやはり1つの大きなポイントであろうかと思っておりますけれども、この資料は各省庁が連携してどのような取り組みを行っているのかということにつきまして、2008年度、本年度のものを整理したものでございます。本年度1年間でございますので、今までの実績だけではなく、予定の部分も含んでおるものでございます。
これも柱だけ見ていただきますと、大きな1つ目の柱といたしまして、在外公館との協力による連携事例ということで、これが1ページ目から4ページ目までございます。それから、5ページ目からが2つ目の柱で、海外巡回事業に係る連携事例ということでございまして、5ページから7ページ目の途中まででございます。それから、7ページから最後までが3つ目の柱として、国内における連携事例ということになっております。このような形で整理をさせていただいたというものでございます。
以上、1から3でございますが、特に資料2などは非常に字が細かくて、大変見づらくて恐縮でございますけれども、こういったイメージ、あるいは取り組みの例ということで整理をさせていただきました。
以上でございます。
○久保利会長 大変詳細な資料をご紹介いただきまして、各関連省庁並びに事務局に厚く御礼申し上げます。
さて、日本ブランド戦略の具体策の検討に当たっては、ただいまご説明のありました、各国における日本に対するイメージ等も踏まえながら、これまでの日本ブランド振興策において足りなかったところ、あるいは今後重点化を図るべきところなどを分析・検討していく必要があると考えております。委員の皆様におかれましては、そうした観点から、それぞれの分野の専門家としてのお立場からご意見や補足しておくべきことなどありましたら、ぜひご発言をお願いしたいと思います。
ご発言のある方はネームプレートをお立てください。なお、ご発言はお1人3分程度でお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
では、村上委員、お願いします。
○村上委員 すみません、ちょっと今の座長のご発言と少しずれてしまうかもしれませんけれども、先ほど関次長から振られてしまいましたので。
前回私のほうで、いろいろなインセンティブを含めて、海外展開にいろんな支援をいただいたほうがいいんじゃないかというお話をさせていただいて、久保利会長のほうから、それならばきちっとどういうことを欲しているのかを出しなさいという宿題をいただきましたので、とりあえずその宿題をやってまいりましたので、ご報告をさせていただきます。
資料6で配付されておりますけれども、海外展開に向けた支援策の提案ということで、一応3つの柱で考えたらどうかということでございます。まず1つは、環境整備に対する支援、それから、実際にセールス活動を行う場合のそれに対する支援、それから、具体的なコンテンツ制作に対する支援という、一応3つでまとめてみました。
まず、環境整備に対する支援ということでは、海外テレビ番組の輸入とか利用に関する制限の緩和、撤廃に向けた働きかけ、これを政府間協議あるいは国レベルで動いていただく必要があるんじゃないかということでまとめました。
具体例として、今特に韓国あるいは中国、ヨーロッパ等において、番組の放送に関して規制の事例が多々ございます。皆様ご承知のように、韓国におきましては、地上波においては、少なくとも日本の番組、ドラマ等は放送できません。それを可能にするやり方としては、ここでも前にお話ししましたけれども、両方の国での共同制作みたいな形しかない。それから、中国においては、特に海外のドラマに関しましては非常に規制がございます。海外ドラマの輸入資格を持っているのは、いわゆる大きなテレビ局に限られている上に、広電総局の審査というものが前に控えている。それに結構時間がかかるのと、申請に関してもいろんな時間的な制限があるということで、この辺について、我々、民間事業者間の自由闊達な取引活動が成立するような環境整備を、お国同士の協議によって緩和、撤廃を働きかけていただけないかということがございます。
それから、いわゆる違法配信への対策、これも環境整備において非常に大きなことですが、これは今いろいろな意味で具体的な動きが始まりましたけれども、いずれにしても国の知的財産が流出するということをとにかく防ぐということで、これも現在、海賊版においては中国あるいは韓国において、非常に鮮明な画像で海賊版が出てしまう。You Tubeについては民放でも、あるいはNHKさんも含めていろいろな働きかけをやっておるところでございますが、こういう違法配信に関する紛争解決のサポート、あるいはそれに係る経費の助成みたいなこともやっていただけたらありがたい。当然、法制度あるいは施策の整備、運用に向けた働きかけについて、改めてお願いしたいと思います。現在、JETROで、この違法配信あるいは権利侵害に対しての調査の支援をいろんな形でやっていただいていることは事実でございますが、この辺のさらなる強化をお願いしたいと思っております。
それから、販売活動に対する支援ということでまとめましたけれども、これの具体的なことで申し上げますと、まずは海外の見本市等への出展に関する支援をお願いしたい。既に映画におきましては、いろんな国際見本市への出展等に関する支援策が具体化しております。ここに星印で書いてありますように、外国語字幕制作、あるいは外国版プリント制作等、いろんな形での支援があるわけですけれども、特にテレビ番組につきましては、東京キー局は独力でいろんなことができるわけですけれども、当面、ローカル局のいろんな番組あるいは作品の海外への見本市出品にいろんなご支援がお願いできたらいいと。それから、当然ながら、大手ではなく中小の番組制作会社、この辺の区分けはこれから論議が必要かと思いますけれども、こうしたローカル局あるいは中小の番組制作会社を対象とした海外見本市への出展の支援。
それから、今日は重延委員がいらっしゃいますけれども、今年度のCoFestaがいよいよスタートしておりますけれども、聞くところによりますと、放送コンテンツマーケットの構築みたいなことも、いわゆる海外からの呼び込みですね、海外国際見本市だけじゃなくて、日本における国際見本市、そういう動きもいよいよこれから活発化するような流れが出てきたと思いますので、そういう国際見本市への出展等に関して、ここにあるような支援策をお願いできないだろうかと。
それから最後、3つ目ですけれども、コンテンツ制作に対する支援ということでは、例えば国際共同制作を行う場合のいろんな支援。ここに書きましたように、既に欧州あるいはアジアの各国が対外国とのいろいろな共同制作協定をスタートさせているという事例がございます。その中身を見ると、基本的に制作に係る機材あるいはサービス、そういったものの援助、あるいはいろいろな税金等における減免ですね。それから、直接的には制作費の一部にいろんな所得税等の控除が行われる。脇の話としては、制作スタッフあるいはキャストに関してビザ発給の迅速化、あるいは手数料等の減免、もっと細かいことで言うと、海外ロケを行う場合の長期宿泊施設利用者に対する宿泊のいろいろな補助、税金も含めてのそういうものをお願いできないかというようなことで、一応、現実的には既に動き出しているものがございますけれども、改めてこういった海外展開に向けての支援策をお願いしたいということでまとめてまいりました。
以上でございます。
○久保利会長 ありがとうございました。大変充実した宿題をお返しいただきまして、ありがとうございます。ほかにはいかがでございましょうか。
特に今の段階でないようでしたら、もう少し先へ進んで、その後改めてこれもセットでお話しいただいて結構でございますので、引き続きまして、日本ブランド戦略の内容についての審議に入りたいと思います。
その前提といたしまして、過去2回の会議で委員の皆様からいただきましたご提言や、事務局が有識者にヒアリングを行った結果等を踏まえて、日本ブランドに関する現状と課題、対応の方向性等について整理しておりますので、事務局よりご説明願います。
○関次長 それでは、資料4と5につきましてご説明をさせていただきます。冒頭申しましたように、資料4と5は一体のものでございまして、資料4の骨子を抜粋したものが資料5という形になってございます。
この作成の趣旨でございますけれども、今、会長のほうからもご紹介をいただいたわけでございますけれども、ブランド戦略ということで、目標、それからアクションの方向性というようなことをお示しいただきたいと思っておるわけでございますけれども、前回のこの会議でもいろいろご指摘がございましたように、具体的に少し議論してはどうだろうかということがございましたもので、そういった観点から今までこの会議で先生方からお出しいただきましたご発言、それからご意見、それを中心といたしまして整理をさせていただいたものでございます。
整理の柱といたしましては、資料5に示しましたように、4つの柱プラス1つということで分けてございまして、情報発信、拠点づくり、人のネットワークづくり、土壌づくり、それから体制づくりというように大きく5つの分野に分けまして、それぞれの事柄ごとに具体的に考えられる施策、それを3つないし4つ掲げるというような形で整理をしたものでございます。
以下、資料4に沿いまして、若干具体的にご説明をさせていただきたいと思います。
資料4の1枚目でございますけれども、1つ目の柱が情報発信ということでございます。
まず、現状と課題というところでございますけれども、効果的な情報発信が不可欠であるということにつきましては言うまでもないわけでございます。これまでの対応といたしましては、いろんなイベントに参加するということでございますとか、海外の拠点でみずからイベントを開催するということでございますとか、あるいは国内でイベントを開催する等々の取り組みを行ってきたわけでございますけれども、(1)の最後に書きましたように、発信力が弱いのではないか、あるいは日本ブランド全体への関心として定着するには至っていないのではないかといった問題があるわけでございます。それからまた、影響力のある地域や人物に向けての発信が十分ではないのではないだろうか、あるいはネット等の伝播力のある媒体を積極的に活用すべきではないか等々のご指摘があるわけでございます。
これを踏まえまして、(2)対応の方向性でございますけれども、まずリード文に書きましたように、世界の情報集積拠点に向けた重点的な情報発信、アピールする内容の構築、時期や場所、発信方法の戦略的な選択により情報発信の効果を高める必要があるのではないかという基本的な方向性のもとに、目標といたしましては、世界において日本ブランドの認知度を高める。
具体的なアクションの例といたしましては、3つ掲げてございますが、1つ目が日本ブランド展の世界巡回ということで、魅力を集大成したパッケージ企画を作成して、主要拠点を重点的に巡回するというものでございます。アクション例の2つ目といたしましては、ネット上のイベントの参加ということで、インパクトのあるイベントを期間限定で開催するということでございます。それから3つ目が、海外の放送メディア等の活用ということでございまして、日本ブランドをテーマとした良質な映像コンテンツを海外へ発信するということを前提としてラインナップし、海外の放送メディア、国際放送、さらにはインターネット、こういったものを通じて積極的に発信するということでございます。
それから、2ページでございますけれども、2ページは2つ目の柱、拠点づくりということでございます。
同様に簡単に説明をさせていただきますと、(1)現状の課題でございますけれども、世界の人々にとって体系的でわかりやすい情報基盤を整える必要があるんだろうと。従来、どういった取り組みをしてきたかということでございますが、情報あるいはウェブサイトを整理してきたと。あるいは拠点となるような施設、あるいはイベントを実施してきたということでございます。
しかしながら、指摘といたしましては、分野ごとの断片的なものにとどまっていて発信力が弱いのではないか、あるいは横断的な日本ブランドの情報が手に入らない。さらにその前提として、それぞれの個々の情報についても体系的な情報が海外からはなかなか入手できないのではないかという指摘があるわけでございます。
これに対して、対応の方向性といたしましては、まずリード文に書きましたように、わかりやすく体系的な情報発信体制を構築するとともに、観光政策等とも連携しつつ、世界に対する日本ブランドの拠点形成及びネットワーク化を推進する必要があるのではないかということでございまして、目標としては、世界に向けた日本ブランドの国内拠点を形成する。
そして、アクションとしては3つ掲げてございますが、1つ目がJAPAN国際コンテンツフェスティバル、日本ファッション・ウイーク等の情報発信力を強化するということでございまして、現在こういったイベントが行われていて、そこに外国から人を呼ぶということも目的として行われておるわけでございますけれども、そういったものを利用いたしまして、分野横断的な連携をさらに進めることによって情報発信力を強化し、その拠点化を進めていくということでございます。それから、2つ目がポップカルチャー、ものづくり技術、環境への取り組み等の情報発信拠点ということでございまして、いわば横串的な、かつ日本の強みをアピールできる、そういったものの情報発信拠点を形成するということでございます。それから、3つ目がウェブ情報の充実と体系化ということでございまして、さまざまな分野のウェブサイトの情報を充実させるとともに、その利便性を向上させるように体系的に整備を行っていくということでございます。それから、3ページに行っていただきまして、4つ目が日本ブランドを活用した観光資源づくりということでございまして、日本ブランドを活用した観光コースを構築いたしまして、海外の旅行会社等に対して集中的に発信をするということでございます。
それから、3ページの3が人のネットワークづくりということでございます。
(1)現状と課題でございますけれども、日本ブランドのファンを増やすと。そのためには、世界のオピニオンリーダーやメディア等の戦略的な活用が効果的であろうということでございまして、これまで、有力な人を呼ぶということでございますとか、顕彰制度を実施するということでございますとか、あるいは日本食を通じてファンをつくり出すといったような取り組みが行われてきたわけでございますけれども、これにつきましては、例えば日本で開催する国際イベントはなかなか重要視されていないのではないだろうかと。そういったことも含めて考えると、オピニオンリーダー、あるいは有力メディア等々、影響力の強い人物ないしは機関、そういったものへの働きかけが弱いのではないだろうか。あるいは、顕彰制度もいろいろあるわけでございますけれども、それらが個別の取り組みにとどまっているということもあって、海外での認知度が十分ではない、活用も十分にされていない等々の指摘があるということでございます。
(2)対応の方向性でございますけれども、日本ブランドの振興に貢献した人物に対する顕彰制度を有効に機能させるとともに、世界のオピニオンリーダー等の情報発信力の高い人々とのネットワークを強化することにより、日本ブランドの発信力を強化する必要があるのではないだろうかということで、目標といたしましては、世界のオピニオンリーダーやメディア等とネットワークを構築する。
アクションといたしましては、1つ目が情報発信力の高い人々への積極的な働きかけということでございます。在外公館等において日本ブランドに関するイベントと連携して、そのような人々を集めて戦略的に働きかけをしていくということでございます。それから、2つ目が顕彰制度の創設ということで、日本ブランドの振興に貢献し、今後も活躍が期待される外国人の方、そういった人々を分野にかかわらず幅広く顕彰する制度を創設するなど、外国人にとってわかりやすく、かつステータスの高い顕彰制度を整備するということでございます。それから、3つ目が日本ブランドを広める外国人の育成ということでございまして、外国人が日本に来て知識や技術を学び、帰国後にそういったものを生かして就業をするといったようなことを通じて日本ブランドの普及がなされていく、そういった制度をきちんと整備するということでございます。
それから、4点目が土壌づくりということでございます。
(1)が現状と課題ということでございますけれども、これも日本ブランドを継続的に創造していくという土壌を豊かにする必要があるだろうと。特にそのための人材育成が不可欠ではないかということでございまして、これまでも大学院、学部等の教育における取り組み、あるいは若手支援の取り組みということを行ってきたわけでございますけれども、昨今の指摘としては、土壌がやせてきているのではないかというご指摘があるわけでございます。
これらへの対応の方向性ということで、クリエーターのステータスや社会的認知度の向上等を通じてクリエーターのモチベーションを向上させ、活発な捜索活動が行われる土壌を創出する必要があるのではないかということで、目標は、日本ブランドを育てる土壌を豊かにすると。
アクションといたしましては、1つ目が若手クリエーターの表彰ということで、なるべく格式の高い表彰、ステータスの高いものを考えるということでございます。それから、5ページに行っていただきまして、土壌づくりのアクション例の2つ目が若手クリエーターのセレクションブックの作成ということでございまして、どんな人材がいるのかということをセレクションブックとして作成してウェブ上で公開すると。それから、3つ目が各分野の事業における若手支援枠の設定ということでございまして、いろいろな事業におきまして若手クリエーターのための枠を確保するということでございます。
それから最後が、5といたしまして、体制づくりということでございます。日本ブランドに関する施策につきましては、この知財本部、この専門調査会、ここで示されました基本的な方向性に基づきまして担当省庁ごとに分野に係る施策を実施するということで進めてきたわけでございます。それからまた、先ほど資料3で見ていただきましたように、省庁間の連携によって進められているものもあるわけでございます。ただし、やはり部分的な連携にとどまっていて、継続的な連携体制を構築するには至っていないのではないだろうかと。あるいは、窓口が不明確でわかりづらいというご指摘もあるわけでございます。
こういったものに対する対応の方向性でございますけれども、分野横断的な官民合同のタスクフォースを設置し、シンクタンク機能を整備することにより、戦略的かつ継続的な推進体制を構築する必要があるのではないかということで、目標としては分野横断的な官民連携体制を構築すると。
アクションといたしましては、1つ目が官民タスクフォースの設置。これは官民の合同メンバーで設置をいたしまして、情報共有、あるいは事業の企画・実施についての提言、それから戦略を強力に推進するためのタスクフォースを設置するということでございます。それから、2点目がシンクタンク機能の整備ということでございまして、タスクフォースと連携いたしまして、情報の収集・分析、あるいは政策研究等のシンクタンクとしての役割を果たす体制の整備ということでございます。それから、関係省庁の窓口の明確化ということでございまして、相談窓口を明確化するということでございます。
ということで、資料4でございますけれども、5つの分野に分けまして、それぞれ3ないし4つぐらいの具体的な施策の方向性、アクションというものを整理させていただきました。繰り返しになりますけれども、先生方のご発言・ご意見等を基本といたしまして整理したものでございます。
ただ、一点お断りをしておきますと、これは私どもの事務局として整理したものであるということでございます。若干言葉を変えて申しますと、このようなアクションないしは施策を政府として実施するということになりますと、例えばそれはどこが担当するのかとか、あるいはその予算はどうするのかとか、あるいは今ある施策との関係をどうするのか等々の議論というのが出てくるわけでございますけれども、そういったものはとりあえずここでは置きまして、事務局の責任において整理をして出させていただいているということを最後にお断りさせていただければというふうに思っております。
以上でございます。
○久保利会長 ありがとうございました。次長から資料4及び資料5ということでご説明をいただきました。
前回の会議でもご案内いたしましたけれども、11月に関係省庁からヒアリングを2回予定するという今後の予定になっております。ヒアリングにおいて関係省庁との間で具体的かつ生産的な意見交換を行うというためにも、本日の会議で十分に議論を尽くしてまいりたいと考えております。委員の皆様方には活発なご議論をぜひお願いしたいと思います。今回まとめて、関次長から報告がありましたのは、あくまでも事務局として皆さん方の意見をこのように承ったという趣旨でございまして、違うところがあれば違う、もっと細かいところをこうやれということであれば、それをおっしゃっていただきたいと思います。
そこで、項目ごとにご意見を伺ってまいりたいと思いますけれども、いずれにしても、この内容あるいは表現方法、これらについてはこれから十分議論をする必要があるというふうに考えておりますので、その前提でご意見を存分におっしゃっていただきたいと考えます。
一応テーマ別に、情報発信、拠点づくり、人のネットワークづくり、土壌づくり、体制づくりというふうに考えてまいりたいと思いますけれども、とりあえず総論的にまずご意見のある方いらっしゃいましたらば、ネームプレートをお立ていただければと思います。
和田委員からお願いします。
○和田委員 資料6−1の南場委員のペーパーにも書いてあるんですけれども、それぞれ、今この4つがございますけれども、そもそもこの4つがどういう目的のためなのかと。私も南場委員と同じような意見ですけれども、例えば経済的なある目標があってということもあるかもしれませんので、その4つをつなげるような、何のためにこれをやるのかというのがあったほうがいいんじゃないかなという感じがします。産業政策の一つとしての考え方というのも、考え方としてはあると思います。
○久保利会長 ありがとうございます。
事務局のほうからご説明いただけますか。要するに、この4つがどういう関係になる、あるいは体制を含めて5つがどういう関係になるのかというのは、恐らく以前、各委員からフリートーキングでおっしゃっていただいたものを整理してみるとこういう4つの区分けといいますか、これにまとめることができるということだと思います。たまたまこういう4つのファクター、要するに場所とか、人とか、土壌とか、発信形態とか、こういうことで分けたんだと思いますけれども、これと南場委員の資料6−1のメッセージといいますか、これとの関係についてご議論していただくと大変よろしいかと思います。一応事務局のほうから、何でこの5つだったのかということをまずご説明いただけますか。
○関次長 そこにつきましては、今までのご議論を整理する際に、大きく区切ったときにどういったものが柱になるであろうかということを考えまして、その1つ目が情報発信ということで、いわば機能的なものでございますけれども、きちんとした発信をしていくということが大切なのではないだろうかと。
それから、2つ目が拠点と書きましたけれども、センターとなるようなところ、基盤となるようなところ、そういったものが中心になるのではないだろうかと。
それから、3点目がネットワークづくりということで、これは発信等とも関係するわけでございますけれども、いわばその手段ということになるのかもしれませんけれども、ネットワークをきちんとつくっていくと。
それから、4つ目の柱として、人材育成を中心といたしまして、その土壌を耕していくということ。
それから最後に、全体に共通する話でございますけれども、その体制はどうするんだということがございましたので、それを体制づくりということで整理させていただいたものでございます。
ただ、今のご指摘は、そういったものをトータルに考えたときにどういう目標を持ってやっていくのであろうかということに関連する話かと存じますけれども、これにつきましては、前回お配りした資料で申し上げれば、トータルの目標をどう考えるのかということになっていくと思いますけれども、今まで出されたご意見ということで申し上げますと、例えば、日本には数多くの魅力が存在しているので、日本人自身がその魅力を再認識するとともに、世界に知らせるべきではないかといったご意見でありますとか、日本のコンテンツ等に対する世界の関心の高さを生かして、海外でのビジネス展開を一層強化するべきではないか等々のご意見が出されていたわけでございます。
したがいまして、そこにつきましては、今日お示しした柱がそれでいいかどうかということはまた別の問題といたしまして、こういうご議論とあわせて、また全体のご議論も適宜いただければと思っておるところでございます。
○久保利会長 会長から一言言わせていただきますと、以前皆さん方にお一人1ペーパーということで出していただきました。それを全項目、事務局のほうで取り出しまして、それを分析するということになると、いろんな意見がありましてなかなか分析はしにくかったんですけれども、結局は、人・ネットワークというもの、そして拠点をどう考えるのかということ、そしてもともとのベースになっている日本ブランドそのものが強くなければ意味がない、それが高く評価されるものでなければいけないという根源的な部分、そして人・場所を通じて出していく情報発信というものはどうあるべきか。それはすべて、日本ブランドというものを、国がやるのではなくて、これは民が基本的には担うのだけれども、それを国としてどのように支援していけるのかということについての、官民両方を視野に入れたメッセージを出そうと。
あわせて、それは継続的な体制が確固として存在しないといけなくて、官民をつなぐ体制というものを永続的に、この専門調査会がどういうふうになろうとも、それとは別個の体制がなければいけないだろうという組織面ということでこの5つが出てきたと思うんです。今の和田委員のお考えというのは、資料6−1に書いてある南場委員のお考えと似ているとのことですが、これを戦略目的と具体施策というふうにくくり直すということが、意味があるということなんでしょうか。
ですから、戦略目的はクリアでなければいけない、それはどういうものかというのは既に前回お示しをして、基本はそういう視点で、あるいは論点として考えていくとして、さらにもう少し目玉として具体的に具体性を持たせると、とりあえずこの4つになったと即ちこのピンクの4つということになるという理解です。和田委員のご意見はいかがでしょうか。
○和田委員 今、会長からお話しいただきましたので、理解しました。会社なんかで、戦略と書いてアクションといきますと、まず稼ぎましょう、稼ぐためにはこれが足りないのでアクションプランはこうですと、こうなりますので、今のお話でしたら、産業政策として日本ブランドというのを十分活用しようじゃないかというのがあると。ただし、実際にそこを担っていくのは民間なので、官民でできることが何なのかということのみを整理すると、以下の4つないしは5つですという順番だというお話でございますね。
○久保利会長 そうです。
○和田委員 それでしたら非常に理解できます。ありがとうございました。
○久保利会長 では、浜野委員、お願いします。
○浜野委員 先の戦争の経緯があって、日本は文化を海外向けに発信することを自己抑制してきて、日本経済に寄与するという内向きの目的に特化し、欧米のように大義名分を振りかざすことはありませんでした。
東南アジア映画祭への参加でも、反日感情に注意するようにお達しが出たくらいです。びくびくしながら文化発信をしてきました。一方、第一次世界大戦のときにアメリカ政府の委員会は「アメリカニズムの福音」ということでアメリカニズムを世界に行き渡らせることが世界のためになると断言しましたし、フランスは自国の文化を普及させることが世界のためになるとしています。文化の多様性という観点からそれらには問題があると思いますが、大義名分や世界への貢献ということがあって、それに経済的対価が伴うということが正しいのではないかと思います。
こういった委員会ができたということは、文化発信をはばかった時代から、やっと次の次元に進んだと思うのですが、戦後の後遺症が残っていて、きちんと議論しないままにしていることも少なくないと思います。ここで議論することではないのかもしれませんが、避けて通れないわけですから、なんらの対応は必要だと思います。
以上です。
○久保利会長 ありがとうございます。
では、中村委員、お願いします。
○中村委員 南場委員のペーパーとか、先ほどの和田委員のご指摘に近い感覚を私は持っておりまして、それは4つ、5つのアクションというのが定まってきているわけですけれども、政策論として考えた場合には、結局それらをすることによって検証可能な目標をどれだけ共有できるかということではないかと思います。
これは以前申し上げたことの繰り返しになるんですけれども、例えばそういったことをすることによって、産業や市場の拡大を目指すのか、それであればどれぐらいの目標を持つのかといったことですとか、あるいは世界における好感度を向上させるということであるとすれば、どのようにして検証するのかということではないかと思うんですが、今回その明確な目標を、ここでコンセンサスを得るということが無理だとしても、そういったことを共有する方向で努力をするということが大事なのではないかと思います。
○久保利会長 ありがとうございます。
では、生越委員、お願いします。
○生越委員 今、中村委員がおっしゃったとおりだと思うんですけれども、産業政策的な観点と、あわせて、今までの日本ブランドの議論を見ておりますと、ソフトパワーといいますか、日本を好きになってもらって、将来日本の製品を買ってもらうとか日本のファンになってもらうといった意味で、すぐには産業に結びつかなくても、遠い将来、日本にメリットが出るようなところの政策も入っていいのではないかと思います。
そうすると、民間だけがやる政策もあれば、国がちょっと重きを置いてサポートする施策もあり得るかなと思いながら、この情報発信とか、拠点づくりとか、そういうところの役割分担が見えてくるような気がいたしました。
総論ですけれども、資料1から3まで拝見して改めて思いましたのは、こういう調査がなされているということと、あと定期的にはされていないかもしれないということを改めて認識したということと、資料1の裏側なんですけれども、非常に驚きましたのは、訪日後のアンケートで、何といっても、日本の人々が親切/礼儀正しいというのがすごく多い。これは日本人は今まで思っていなかったことで、こういった意味で、こういう調査をすること自体が非常に重要だということを私は今回再認識するべきだと思いました。
資料2も非常にたくさんのデータを調査していただいてありがたいんですけれども、こういった調査がやはり定期的にいろんな国で行われるような仕組みをつくることが重要だなというのを資料2で改めて感じさせていただきました。
資料3もたくさん連携の事例があるということを再認識したんですけれども、とはいえ、普通にネットを調査していたらこれだけが全部出てこないというのが大問題だと思うんです。そこはまた再認識するべきだと思いまして、資料1から3の総論としましては、データがやはり必要で、そこはちゃんと発信の仕方とか、反省すべき点、これから取り組み続けるべき点というのが明らかにされたと思いました。
以上です。
○久保利会長 ありがとうございます。
今の、こもごもご意見、まことにごもっともだというふうに思いますし、民の側で言えば当然、産業政策あるいは市場・マーケットの中での存在感ということになると思いますし、一方で、今、生越委員がおっしゃったような、この国は一体どういう国なのかということのアイデンティティーの確立と、それを世界に発信していくということが好感度を上げて、この国のあり方を変えていく、あるいはもっといいものに世界で受けとめられていくということになるんだろうと思いますので、高橋委員、この辺いかがでございましょうか。
○高橋委員 私も今まで各委員から出された意見と全く同じでございます。やはり今回この日本ブランドの戦略イメージというのを分野に分けて細かく、4つあるいは5つに整理してくださったというんですけれども、何か今まで出ていた意見を余りにもきれいに整理して、本当はもっと立体的になっているはずのものが平面的になってしまっていると感じました。それからまた次回に各省庁が出てきたときに、いや、うちはここはやっていますとか、うちはここをやりますとかという話になっていくと、また後退してしまうような気がして、そこが大変心配です。
ですので、今日のこの場では、今後2回のヒアリングに向けて、まさに私たちがヒアリングに向けての戦略を立てなければいけないのではないかなと思っていますので、ぜひそういう進行をお願いしたいと思っています。
それともう一つ、今、生越委員から日本のイメージに関する感想があったんですが、これはイメージというところでとらえればそのとおりですけれども、私は行政評価局のほうで政策評価にかかわっております。先月、観光立国の実現というところの政策評価をやったばかりなんですけれども、そこで全く同じこちらの資料を使っているんですが、外国人の訪日旅行への関心は向上しているかということについて、JNTOの調査では、訪日動機の選択総数は262ポイントから246ポイントに減少していると―最大300ポイントですけれども。伝統文化、歴史的施設、日本の食事、都市の魅力、現代性といった動機の減少が大きく、ショッピングが増えているという結果が出ているんです。ですから、何を拾ってくるかで全然違ってしまうんです。
ですから、私は実はその資料をかなり持ってきているんですけれども、それで見れば、まさに私どもは文化と言っているんですけれども、外国人の中での日本の文化に関する関心が低下していて、実際に旅行数自体は増えているんですけれども、日本の旅行する動機は特定の目的―ショッピングを、具体的に言えば秋葉原で電化製品と銀座のマツキヨで薬を買う、中国人も漢方薬を買うということになってしまうわけです。それからリピーターに対する調査もしているんですが、リピーターがいなくて、今まさに、日本が昔、旗を掲げて団体旅行をしたのと同じようにアジアから来ているという、それだけですので、相当改善しなければいけないところがあると思います。
行政評価のほうではこういう政策評価結果を出しているんですが、とにかく目的は、観光立国の実現のところには、国際相互理解の推進、関連産業への経済効果の発現、地域の活性化というところが掲げてあって、それが達成できているのか、できていないのかという数字で細かく評価しているわけなので、こういうものをもって国交省と戦ったりしないと今後の発展が見込めないということを申し上げたいと思いました。
以上です。
○久保利会長 大変貴重なご意見ありがとうございます。
まさにそういう目標として、これを平板にとらえるのではなくて、具体的にどういう政策目標としてつくっていくのか、それをどう達成していくのかということの具体的な議論も含めて、どうぞお願いしたいと思います。
関本委員、お願いします。
○関本委員 私はずっと現場で生きてきましたので、ちょっと皆さんとは違う角度から申し上げますと、ここに書いてあるやつを見たときに、短期的に成果を上げたいものと長期的に成果を上げたいものの2つに分けないと、何か入り混じっている感じがしたんです。
例えば若者育成とか、それからネットワーク、トップリーダーの方のネットワークというのはお金を出せばできると思いますけれども、産業界でもテレビ局でもそうですが、地道にネットワークをつくってインナーに入っていくとなると、最低でも5年、10年かけないと入っていけないんですよ、現実的には。そういうものと、平成27年でしたか?5兆円とかという目標があって、短期的に3年なり5年なりで成果を上げなければいけないものと、そこのところを分けないと、どうも議論がかみ合わないかなという気がしました。
例えば中長期で言うと、国際放送というのはNHKが相当数をやるんですが、あれは中長期で見ないと、短期的には世界に影響を与えるなんていうことは考えられないというふうに私は思っています。こんなことをNHKの人間が言うとたたかれると思いますが、実際上、英語放送を始めて、それですぐに影響力があるということは考えられない。
そうすると、ここにも若干書かれておりますけれども、例えば日本ブランドの世界巡回、中身はこれから練るにしても、そういうものを仮にやるとしますよね。日本で英国フェアとかというと新宿のデパートが全部英国の旗で飾られたりとか、ああいう派手なことをやっているのに、日本は在外公館でこちょこちょとやっているという印象がちょっとあったんですが、現実にそこで何らかのイベント、いろんなことを、何でもいいと思いますよ、弥勒菩薩を持っていって、そこに食や何かのいろんなことを絡めてやってもいい、話題性があるイベントをやって、同時に現地の放送局、理想的にはNHKとかフジテレビのような、現地の地上波で1週間ばーんと放送してくれれば相当話題になりますが、これは難しいと思いますが、衛星放送とか、ケーブルとかで1週間、日本ウイークというのをつくってもらう。
これは実は現実にありまして、3年前にカナダの放送局が日本ウイークをやりたいと、NHKに協力してくれないかというのでいろんな協力をしたんです。さっき村上委員の話の中にありましたが、実は国際交流基金もある程度のお金を出している、そういう制度があるんです。ところが、そういう制度はあるんだけれども、意外に知られていなくて、特に海外にも意外に知られていない。でも、そういう制度でカナダから1週間来て、日本ウイークをやりました。やったら、やっぱり日本に現地から来ると相当大変なので、2年目はNHKの番組コンテンツを提供してくれと。それで1週間やると。
そうやって継続していく方法もあって、そういう放送とイベントが連動してやって、日本への関心を高めながら、その後に更にネットの大イベントとか、ネットで見ていったらそれが継続的に見ていけるという、そういうような短期的には、ある種の集中をしていって話題性、関心を高めていくというようなことを考えたらどうかと。
長期的なところと短期的なところに分けないと、議論がなかなかかみ合わないのかなと。僕らはNHKですから、余りビジネス、ビジネスとは言いませんが、この議論は中長期的に見れば、当然日本のビジネス、国が豊かになる為の提言であって、ただしビジネス、あるいは産業政策という言葉がいいかどうか、あまり表に出すことは対外的にイメージとして適当かどうかは別として、コンテンツがある種のマネーとして返ってくるみたいなことをねらってこういうことをやっていらっしゃることは自明の理だと思いますので、それを具体的にするときに、短期と長期とに分けたほうがいいのかなという気がします。
○久保利会長 ありがとうございます。
では、重延委員、お願いします。
○重延委員 さっき内容のご紹介があったCoFestaを今やっている真っ最中でございまして、今日は特に一番多くのイベントが一斉に行われているという状態で、東京国際映画祭があって、国際ドラマフェスティバルという放送ドラマのイベント、それからTAM―音楽ですね、それからTIFFCOMというマーケットを開いて、秋葉原でエンタまつり、それからデジタルコンテンツEXPOと、こういうのが一斉に行われている状態でございまして、ただ、やはりある種の目標をはっきりしなければいけないと思っています。CoFestaは2年目でございまして、実は1年目やってみていろいろなことが非常によくわかりました。ですから、やってみるということが実は一番いいんだということを思っております。
今回の日本ブランドに関しての視点というのは、そうしていく方向べきを示しているんですけれども、何をやるかということが一番大事でありまして、それからやってみる、それから見えるという具合に進むものと思います。だから、いろいろな土壌づくりとか、体制づくり、拠点づくりとかありますけれども、こういうのは拠点づくりではなく、動くという次の段階の具体性が必要だと思います。もちろん時間をかけて、できれば早く、それから目標をはっきりさせる。
CoFestaのほうは、はっきりと経済産業省さんのほうから出た2015年まで19兆円という、5兆円コンテンツ産業のアップということをあえて受けています。それがいいか悪いかよりも、あえて受けてみなければわからないんです。この前グランドセレモニーのとき二階大臣は20兆円と言っていて、いつの間に1兆円上がっているのかと思ったんですけれども、目標は高いほうがいいとおっしゃっていたようですけれども、やっぱりある種の目標感を持ってやれるかどうかというテストをしてみるといいと思います。
私はそういう産業的な見方で動いても構わない。ただし、コンテンツ産業とか、日本ブランドもそうですけれども、産業的な動き方は、ベースにソフト、コンテンツ、クリエーター、こういうものがなければ動きませんよと。どんなにマーケットがあっても、いいものがなければ売れませんということを前提に産業を動かしますから、そのような動き方ということに関してはやってみなければわかりません。
去年やってみて非常に課題をはっきりと捕まえたということであります。やっぱりマーケットがまだまだ充実していないということ。それから、日本は国際交流が下手だと。お招きしても何もできない、アテンドもできないということ。それから、やっぱり人材を育成しなければだめだと。育成の仕方をもっと充実しなければいけない。マーケット、国際交流、人材育成、この3つは2年目で徹底的に進化させたいと思って、ただ、まだ完成していませんけれども、大分よくなったんです。
TIFFCOMのマーケットも、今日から始まりますけれども、アジアの方がかなり多く参加していて、それからヨーロッパの方が来ていらっしゃるという状態です。それから、TAMという音楽にもたくさんヨーロッパの方々がアジアに加えて入ってきているという情報も入っております。次第に進歩しているという思いもございますので、マーケットの充実、国際交流をやってみて増やしていく。1年、2年ではできません。でも、何が課題かというのは非常によく見えるということだけは大事ではないかと思いました。
今回の全体の流れの中で、実は外国の放送局にインタビューされまして、19兆円というのは2015年までに本当に行くのかというので、とりあえず「イエス」と言ってみてから、それから考えたんですけれども、この日本ブランドというのは非常に重要だと思うのは、コンテンツという内容は広がりがありますから、ここにある食文化とかファッションとかいろいろ入っていますけれども、これは重要だと。観光も重要なんですね。これを含めれば僕は19兆円行くだろうという思いがありますから、「イエス」と答えて嘘ではないなと思っているわけです。
ただ、このジャンルの中に、私個人としてはぜひ入れてほしいジャンルが1つありまして、それはデザインなんです。デザインというのは、ある意味では都市計画、それから建築デザイン、それからインテリアデザインはたくさんのデザイナーが世界に迎えられていますよね。それからプロダクツデザイン―商品デザインですよね。これは非常に優遇されていて、モバイルのデザインは韓国がほとんど日本人デザイナーを持っていってやって、大変なグローバルな世界にしましたし、イタリアの車のデザインもやっております。それからファッションデザイン。これはやはり重要なことだと思います。
若い人たちはデザインを哲学としているんです。アートディレクターが大変な人気です。佐藤可士和さんというCoFestaのアートディレクターに迎えた方や、深澤直人さんとか、佐藤卓さんとか、スターがいっぱい出てきている。このジャンルはデザインなんです。デザインは単なるグラフィックだけじゃなくて、あらゆるものをつくっていく。これは非常にグローバルで新しい感覚だと思います。日本人は得意なんです。本当に今は世界で動いています。
デザインを1つ含めて、新しい日本の価値を高めるのが私としてはお勧めで、次の段階でも結構ですけれども、デザインという広がりは考えたほうがいい。これは本当に産業論、文化論だと思います。それをぜひ足していただきたいなという思いを含めて、でも、まずやってみませんかということで、「つくり」から「つくる」、あるいは「つくった」と、こういうところにぜひお願いしたいと思います。
○久保利会長 ありがとうございます。
それでは、廣瀬委員、お願いします。
○廣瀬委員 まず、資料ですけれども、資料1、資料2は非常に興味深い資料をご用意いただきましてありがとうございました。
それから、資料5についてですが、確かに、非常にあっさりまとまってしまっているというご意見もありますが、私は実現可能な構造としてはシンプルなことが大事だと思います。したがって、ブランド活動あるいはコンテンツ振興活動をやっていく上での、できるだけ広い範囲での共通理解が得られるような形としては、これぐらいシンプルで非常に割り切った形であることがいいのではないかなと思っています。特にこの席で続けて議論している人間にとりましては、もっと言い残したことがあるとか、書き足したいことがあるとは思いますが、これが外に出ていくときには、できるだけたくさんの方の適切な理解を得るとすれば、こういう形が非常に適切ではないかなと思っております。
それから、資料1、2で、特に資料1ですが、非常に私が興味深いと思いましたのは、日本に対するイメージというところに、今後我々がどういう目標・目的に向かって進むかということの大きなヒントがあるのではないかなと思っています。特に、イメージイコールブランディングだといたしますと、これは非常に参考になると思っております。
なぜかと申しますと、なぜブランドをつくるんだ、ブランド化するんだと。ブランド化するということは、好感を持ってもらえるイメージをつくり出すということなんです。なぜ好感を持ってもらう必要があるのかといいますと、人間は素直なもので、自分が好感を持つものに手を出すわけです。そういう意味では、物として、実体としての価値というものもありますが、実体的な価値が極めて競争的なときにさらに差別化をするという意味でブランドというものが必要であり、それがどうやって図られるかというと、どういうふうに好感度を持たれているかというところではないかと思っております。
その点から申しますと、資料1で見させていただきますと、科学技術に関しては非常に高い好感度を得ております。これはいわゆる日本の20世紀後半の50年間の努力のたまものがここに来ているんだと思います。したがいまして、改めてここでコンテンツの振興、あるいはコンテンツブランドの確立、あるいはコンテンツ分野におけるより高い好感度をつくるというようなことを考えますと、実は20世紀の中心課題であった、科学技術が発達した国をつくろうというものにかわる何かをここに当てはめていって、そのターゲットポイントは、この科学技術が発達した国という印象を持たれているレベルまで、一体どれぐらいのスピードで活動していくかというようなことではないかと思っております。
というわけで、この調査の資料を下敷きにいたしまして、例えば、一部タイにもアニメ、ファッション、料理等の評価が挙がっておりますが、その他の国ではまだまだそういうところに関しては遠い感じがいたします。また、この表で唯一私が知りたかったことで出ていないのは、今我々ビジネスの世界ではBRICsというキーワードがございまして、ブラジル、インド、中国、ロシアなんですが、ブラジル、ロシアは出ておりますが、中国、インドがここに出ていなかったのがちょっと残念でございます。それからもう一つ、ブラジルに関しては日系人が向こうにたくさんいて、かなりの交流があると思っていたんですが、非常に評価されているポイントが低いというところが若干気になったことでございます。
ということで、この資料1はどんな目標に向かって、資料5のベースといいますか、構造を動かしていくかというときのベース資料になるのではないかなと思っております。
○久保利会長 ありがとうございます。
では、久保委員、お願いします。
○久保委員 昨日の新聞に、麻生首相が、秋葉原で演説を打ちますという告知が出ております。またはコンテンツクリエーターたちとのふれあいも企画されているようです。一国の首相が秋葉原という街からコンテンツ関連の情報発信をみずから行うということは、歴史的な快挙ではないかと期待もしております。できれば日本のコンテンツ、ソフトパワー、ブランドといったものに対してやはりしっかりと首相に発言していただきたいと期待しているわけです。
私自身は、CoFesta傘下の一イベントなんですが、「秋葉原エンタまつり」というイベントのプロデューサーをさせていただいています。会期がその麻生総理の演説とどんぴしゃですから、準備作業は結構大変なんですが、注目度は倍々の形で情報が出ていけるチャンスだとの認識を持っています。
今日、村上委員から海外展開に向けた支援施策ということで資料を拝読いたしました。基本的には私も全く同意見でございます。アニメに関してちょっと補足をさせていただきますと、韓国では依然としてアニメ、それからバラエティー番組といったものについてはストレートに地上波の放送として入っていけない状況がございます。日本では各局で韓国ドラマを非常にいい時間帯で放送されているわけですけれども、韓国では、現時点では全くそのようになっていません。ですから、コンテンツは見てもらわないと全く意味がないということからすれば、今情報発信の阻害要因となっている、ある種、戦争の遺恨的なものについては、しっかりと解消していく姿勢が必要ではないかと思っています。
それから、10月11日から「ポケットモンスター」のアニメの放送が中国のCCTVで始まりました。日本のアニメとして中国で放送が始まったというのは2年前ぐらいの「テニスの王子様」以来だと思うんですが、その間、新しい番組がほとんど入っていません。やっとポケモンが―ここに至るまで実は3年ぐらい中国に通っているんですけれども―入りまして、13億人の目に触れることになりました。
そんな折、こんな問題が出てきています。例えばネット上の海賊版の問題、これはアニメの放送を契機に、「中国インターネット協会」という組織へ対応策の相談に行ってまいりました。インターネット協会からは、著作権登録すれば中国の違法ファイルについてはテイクダウンするというような、ある種の方法についての説明を受けました。実はその説明や交渉自体が7月前後にJETROさんと協会間で行われていて、その後JETROさんからは、ナシのつぶてになっているという話を聞きました。
もちろん、双方の意見を聞かなければ真実はよくわからないと思いますが、JETROサイドが中国インターネットの流通会社と日本のコンテンツ企業のビジネスミーティングなどを強く中国インターネット協会から求められたために、海賊版対策自身がフリーズしているということだと理解しています。
ですので、JETROさんにさまざまなお手伝いをしていただいていることについては大変感謝をしておりますけれども、例えば自分達で解決できない案件を相手から投げられた場合、情報がこまめに、丁寧に関係者へ流通していくようなシステムがあれば、対策が一つ前に行けるのではないかなと思います。
私からは以上です。
○久保利会長 ありがとうございます。
木村委員、お願いします。
○木村委員 ブランドの確立は、前回、私どもソニーの例でお話ししたと思いますけれども、本当にいろんなことをたくさんやらなくてはいけなくて、意図的にやったから必ずできるというものでも当然ないですし、では、放っておいてできるかというとそれもないし、できた後も放っておけば死んでいってしまうということで、たくさんのことを、多分全部シラミつぶしにやるということが必要条件だと思います。
そういう中で、前回の議論でも基盤の整備、インフラの話が出ておりました。国策として政策的にブランドというものを世界で確立させようというときに、資料5にある情報発信であるとか人のネットワークであるとか、そういうことを本当にうまくやった例というのが、世界の中のどこかの国策として何があるんだろうかと思います。
これはテーマごとにより違うと思いますが、そういう他国の例とのベンチマークができれば、一体、じゃ、基盤として我々に何が足りないのか、あるいはどこをやることがそういう成功に導けるのかという点で、一度この議論を深めていく中で、ベンチマーク的なことができるのであれば、かなり具体的な話も煮詰まるのかなという感想を持っております。
以上です。
○久保利会長 ありがとうございます。
では、三尾委員、お願いします。
○三尾委員 日本ブランドという言葉なんですけれども、これ自体がかなり価値評価的な意味を含んでいるんじゃないかと思うんです。従前、コンテンツの専門調査会と日本ブランドと分かれていたときは、コンテンツソフトパワーということで、どちらかというと経済政策的な側面が大きかったわけなんですけれども、これが日本ブランドの専門調査会として一緒になった場合に、日本ブランドという言葉が非常に抽象的かつ日本を代表するというような意味合いも出てきていまして、目標として定まりにくいという印象を持っております。
今回議論の対象になっております、資料5にも書いてありますように、日本ブランドということになりますと対外的な発信ということになりますので、あくまで日本の国を代表して何らかの発信をするということが前提になるのではないかと思うんです。そうしたときに、果たして経済的な側面だけで、コンテンツのソフトパワーということだけで押していってしまっていいのだろうかということはやはり考えなければいけない問題だと思うんです。
ですので、浜野委員や中村委員や高橋委員がおっしゃったように、果たして日本ブランドはどういったものが適切なのかというような評価をまずやる必要が、ある程度の皆さんのコンセンサスは得ておいたほうがいいのではないかということは一点あります。
あともう一点は、先ほど久保利会長が民が基本的には行うとおっしゃってくださいましたが、それを官が後押しするようなスタンスであるということなんですけれども、資料5を拝見いたしますと、このアクションプランというのは官がやることを想定しているというふうに思うわけです。私ども委員が官に対してこういうことをやってほしいというペーパーをまとめてくださったという経緯がございますので、そういった内容になっているのではないかというふうに思います。
この内容としては非常によくまとまっておりますし、どれも必要であるとは思うんですけれども、今日、資料6−2で村上委員から出していただきました、放送局が要望する国の支援策を背景にいたしますと、この具体的な支援策、求めている支援策と、それに対する、それに応える形になるべきである資料5のアクションプランが微妙にずれているのかなと。具体策にはなり得ていないのではないかというふうに思うんです。
ですので、資料5は抽象論としては、中長期的な視野としてはどれも必要であり重要なアクションプランではあるんですけれども、官が民を後押しするというスタンスからすると、もう少し具体的かつ要望していることに直接応えるような国の施策というものがあってもいいのかなと考えます。ですので、放送局の非常に貴重なご意見をいただきましたけれども、ほかの分野もある程度、国にこういうことをしていただければ国際的な発展につながるというような要望を幾つか取りまとめたらどうなのかなというふうに思いました。
以上です。
○久保利会長 ありがとうございます。
実は村上委員に前回、宿題といいますか、この資料6−2をお出しいただきたいと申し上げたのは、まさに事務局が、頭のいい事務局がお役人としてつくると、どうしたって資料5みたいなペーパーになるわけで、今、三尾委員がおっしゃったように、じゃ具体的には何なのと。資料4、5というのは事務局が勝手につくったものではなくて、皆さん方からいただいたペーパーをベースに資料5に取りまとめたんです。ということは、資料5を区分けしていくと、選択と集中だとか、短期と長期だとかいろんなことがありますけれども、もともとは委員の先生方から提案された、その中身なんです。
したがって、今、三尾委員がおっしゃったように、村上さんが、自分たちは具体的には例えば各省庁のヒアリングのときには、君たちはこういうことはどうなんだ、できるのかできないのか、やるのかやらないのかという、まさに質問ペーパーとして実はつくっていただいているわけで、それと同じようなものを皆さんがおっしゃった、例えば生越委員ですと、日本ブランドを活用した観光資源づくりという、「おしん」を見て山形でさくらんぼを食べるんでしたかね、そういうツアーってあるじゃないのというふうにおっしゃって、それをイメージして、役所的に言うと日本ブランドを活用した観光資源づくりということになっていますけれども、それを、じゃ一体、国交省はどういうふうに何をしてくれますかと。私たちはこんなことを望んでいますというのを具体的に出していく。それがまさに今三尾委員がおっしゃったことだと思うので、ぜひ皆さん方がお出しになった、それに対応するペーパーといいますか、ヒアリングメモをぜひつくっていただけると大変効果的ではないかなというふうに思います。
高橋委員、お願いします。
○高橋委員 関連してなんですけれども、これは事務局のほうにお伺いしたいです。私どもが官に何を望むかということをこれから絞っていくわけですが、例えばさっき一例を申し上げました観光立国の話ですが、日本ブランドの海外への発信というのは2004年、平成16年からすでに政策として展開しているので、その16年から19年度のことを行政評価のほうで政策評価をしているわけなんですよね。そことの関連というのはどういうふうに考えていらっしゃるのか、そこをお伺いしたいと思います。その上で意見を申し上げたいと思います。
○久保利会長 もしわかることがあれば事務局のほうから、一般論でも結構ですけれども。
○素川事務局長 各省のやっている行政評価、それを踏まえて戦略に反映させるということは非常に重要なことだと思っております。私どもは、今日、高橋委員がご紹介になった資料というのは、資料として入手していないのが事実なわけでございますけれども、そのような各政策分野の評価を基本的にベースにすべきだというのは、一般論として、そのとおりだと思っています。
○高橋委員 その上で申し上げてもよろしいですか。
○久保利会長 はい。
○高橋委員 政策群という形で行政評価のほうでは評価をしているのですけれども、日本ブランドの海外への発信と魅力ある観光地づくりということで、16年度から19年度まで181億円のお金が予算として、もう既に使われていて、その中で日本ブランドの海外への発信が8割を占めておりまして、その中で8割近くを国交省が持ってビジットジャパンキャンペーンというのをやっているわけなんですよね。これが136億円です。それから、外務省も日本ブランドの海外への発信という事業分類で、在外公館等を通じた文化交流事業の実施をやっているんです。新しく始まることではなくて、やっているんです。国交省が空港サービス高度化のための諸施策の推進というのをやっています。それから、外務省が在外公館による広報事業という名目のものもやっています。これも10億円使っているんです。それから、総務省が外国人向けの観光資源の収集とか国際観光ミッション団の派遣とかいうのをやっています、それで実際に効果が上がったかどうかというのを、行政評価局が評価を出してきているものに対して、委員会がさらにたたいているという状況なのですけれども、新たに上がったかのように見えるものが、実はもう既に過去4年やってきて、5年目の平成20年度の予算にも反映されていて、各省庁はそういう予算を持って次の事業をやるわけなので、私どもが勝手にこれをやってくれと言ってもなかなかできない問題があるんです。
今まで皆さんから出ている意見の中で、事業者の方々は私たちはこれをやりますよということを明確におっしゃっているんですが、では、それに対して官にその部分のどこを特にやってくださいということを整理してお伝えする必要があると思っています。そのためには、このまま私どもがこういう数字をつかんで、今できていることとできていないことを分類していかないと、ヒアリングをしても、あれをやっています、これをやっていますというふうに、そういうものをたくさん持ってこられても、じゃ、やっているんですねと、なる。効果を質問したときに、効果のほどはわかりませんと言われても困るので、その辺をぜひ事務局に、今までできていることとできていないことと分類していただいて、さらにこちらがお願いすることという整理にしたら、かなり機動的に進むんじゃないかと思います。
先ほど麻生首相が秋葉原から発信というお話がありましたけれども、日本ブランドの発信というのは、私はトップダウンでやらなければいけないことだと思っていて、官房ができる仕事は、各省庁に対してきちんとやっていただくことだと思いますので、ぜひそういう姿勢をここで確認したいと思いました。
○久保利会長 今の確認をしようというご意見に対して、賛成のご意見あるいは反対のご意見、ございますでしょうか。あるいは、事務局から何かお答えがあれば。
私のほうからちょっとだけ申し上げますと、実は知財戦略の進捗状況というリーフレットができています。これは、今年の6月18日に知財戦略本部が出したこの計画2008の参考資料ということになっていますが、その中でも、50ページから51ページにかけて、今、高橋委員がご紹介になりましたビジットジャパンキャンペーン、これについていろいろ書かれております。 ただ、今おっしゃったように、そのやっているというのも本当に効果が上がっているのかどうなのかということで、疑問が出されている。今日、事務局につくってもらいました資料4、5というのも、そういう意味では、やっているというふうに言っているものが本当に効果が上がっているんだろうか。少なくとも、私には、必ずしも十分の効果を上げているとまでは言えないという認識がありまして、したがって、この知財戦略本部の我々の検討のほうでは、このビジットジャパンそのものを吟味するわけにはいきませんけれども、果たして本当に日本ブランドのやり方として、その8割を使っているこのプロジェクトが本当に十分機能しているんでしょうかというのは、当然ヒアリングの対象になります。そして、それは、じゃあ上がっていないとすればなぜ上がっていないのか、上がるためにはどうしたらいいのか、我々はむしろこういうところをお願いしたいということを、具体的に詰めていきたいと、こう思うんです。
ですから、これからのヒアリングの中でも、今、高橋委員がおっしゃったようなことは前提となっているはずですし、これはまた事務局だけにお願いしても難しいので、逆にこの分野の専門家である皆さん方が、さっきの村上委員のように、放送業界はこういうことを求めたいというのがあるわけですから、ぜひ今の高橋委員の知見も参考にしながら、具体的にヒアリングの準備をぜひお願いをできればと。事務局と直接連携を取っていただいてもちろん結構でございますので、お願いしたいというふうに思います。
太田委員の手が挙がっておりますので、太田委員から。しかも、JFWが非常に成果が上がっているという声もありますので、このあたりも踏まえて、ヒアリングも含めてご発言いただけたらと思います。
○太田委員 実は先々週、アメリカのニューヨークのパーソンズという、デザインの大学の学長とファッションデザイン学科の学部長さんたちが日本に来ました。この学校は、インテリアデザイナー、グラフィックデザイナー、プロダクトデザイン、ファッションデザイン、いわゆるデザインの総合大学です。
そこの学長はオーストラリア人なんですけれども、実は日本に来たのは初めてだと言われました。世界から若者を集めてデザインを教えている、指導している学校の学長が日本に来るのが初めてだと言われて、僕はびっくりしました。少しご案内をしまして、日本のきめの細かさ、デザインに対する心構えみたいなもの、空間の演出力とか、そういうものは非常に優れていると言って、喜んで帰っていきました。こういう世界の若者たちにデザインを教えている学校の学長が、いくら政府がビジットジャパンキャンペーンをやっても、初めて来ているというこの現実は、どうとらえたらいいんだろうと、私は思います。
さて、1つ皆さんのお話を伺っていて、こういうことなのかなと思ったのは、この日本ブランド、もしくはコンテンツを議論するとなると、かみ砕いた言い方をすると、育てる、集める、広めるという3つのキーワードがあって、それぞれに、いつ、どこで、だれが、何を、どうやって育てるのか、集めるのか、広めるのかということじゃないかなと。縦に、いつ、どこで、だれが、何を、どうやってというのを立てておいて、横に、育てる、集める、広めるというのを1個ずつ目標を掲げられて成果をチェックしていったら、もうちょっと簡単に立体的に進んでいくんじゃないかなという気がしました。
その中で、私は、どこで広める、何を広めるということについて、ちょっとお話をしたいと思います。
前回も少しお話をしましたけれども、日本ファッションウィークも、経産省の繊維課の皆さんにご支援いただき、またJETROにもご支援いただいております。私は担当の委員としてやっています。3年半で7回やりました。海外から来ていただける人も、JETROさんのご支援で相当増えてまいりまして、来てくださるたびに、日本のデザインについて、特に若手のデザイナーの仕事ぶりについては、皆さんから、日本の若手は各国のデザイナーより伸びているという話しを、僕はインタビューを受けていて聞いています。
ところが、一つ、どうしても言われるのは、ファッションデザインのフェスティバルをやるような空気になっていない、と。例えば、オープニングパーティーをやると、大臣を初め皆さんに来ていただいて、それは非常にありがたいんですけれども、一方で、業界の長老がいっぱい出てきて、パーティーがファッショナブルじゃない。欧米でファッションで何かイベントやると、セレブ感があるんです。ところが、日本の場合はセレブ感はまるでない。ファッションショーに行くと、最前列にやっぱり結構古い方が並んでいて、若手が後ろにいて、何となく写真を撮ると、そのモデルの後ろ側の絵がよくない、と。欧米ではすぐ拍手をしたり、ブーイングもあるんですけれども、黙って始まって黙って終わるという、その空気がとってもお祭り感がない。こういう空気についてご批判をいただいています。これをどうやって直すのかというのが、今、我々の1つの大きな課題であります。
それから、もう1点、せっかくその若い連中が伸びてきているのに、ずっと日本にいて「来てください」と呼びかけるだけでいいのかなということで、外へ行こうと。言ってしまえば、コマーシャルを海外でやって、本編は日本へ来てくれという2段構えでやろうということで、JETROさんと今、計画しています。1月下旬にニューヨークで日系のお店にネットワークをつくって、そこに若手デザイナーの服を展示をして、それを1つのマップのようなツールを作りぐるっと回っていただいて、人気のクラブでファッションショーをやり、しゃれた日本レストランでパーティーするというプランを、今、練っています。やっぱり海外で広めるという作業をしていかないと、どの分野も多分、なかなか海外からいらっしゃる人が増えないんじゃないかなという気がいたします。
日本の文化的価値を高めるという面で言うと、我々の世界のいわゆるモードの中心は、何といったってパリです。パリで、いわゆるデザイナーが出てきて、パリモードが確立されたのは19世紀の末です。そこから戦前まで、第二次大戦までの長い間、実はファッションのトレンドはジャパンだったんです。一番最初にファッションデザインを確立したウォルトという、オートクチュールの開祖と言われた人ですが、そこからポール・ポワレとか、ココ・シャネルとか、マドレーヌ・ヴィオネとかという、世界的なデザイナーが出るわけですけれども、実は彼らの作品は、多分に日本の着物の影響が強く出たものがたくさん残っていて、パリモード前半のトレンドは全く日本なんです。なぜ日本だったのかというと、全部万博です。ちょうど1867年にパリの万博で、初めて日本の幕府がパビリオンを出しました。そこから、日本の着物や、カットグラス、陶器、浮世絵がどんどん出ていって、印象派につながっていったりマイセンにつながっていったと言われているのですが、日本の着物、その紋様と図案と形は、パリのオートクチュールのデザイナーに受け継がれていって花開くんですね。
当時万博というのはものすごい文化的意味があった。要は、外に出ていって見せれば認めてもらえるんですけれども、ここはファー・イースタン・カントリーで、なかなか来てもらえない。だから、仕掛けをもっと外に持っていって丹念にPRしていかないと、なかなか難しいと思います。海外に行くということになるとすごくお金がかかるので、若いデザイナーたちに資金力がないので、民間で全部やるのはとっても苦しい。持って出ていけるソフトはあるので、そこをご支援いただくと、もっと日本に来てくださいとお迎えができると私は思います。
○久保利会長 ありがとうございます。全くおっしゃるとおりだと思いますね。
じゃあ、生越委員、お願いします。
○生越委員 先ほど木村委員からご質問のあった点で、ご参考になるかと思うんですけれども、1980年代、イギリスのサッチャー首相が首相になったときに、design or decline、デザインをするのか、衰退をするのかと、各企業のトップに問うたそうなんですね。イギリスの製品というのはデザイン力が足りないから、ほかの国に比べて競争力がない。そこでとった政策なんですけれども、1988年、ヤング大臣が発表したんですが、企業がデザインするときに、半額から3分の2を国が補助するというEnterprise Initiativeという施策をとったそうなんです。もちろん、サッチャー政権の施策なので、国が丸がかりでは企業が伸びるわけはないということが前提で、企業は企業でやるべきだけれども、サポートするところはすべきというところで、4,000社以上をそういうデザイン料、マーケティング料、コンサルタント料を国が助成したという、具体的な施策をとった例があるそうです。
こういうふうに、実際の目標、何が弱みでどうやるべきかというところで政策をとるというのが、今、私は日本が一番欠けているところかなというふうに思いまして、あわせてdesign or declineというようなキャッチコピーというんでしょうか、そういうものが日本にあるといいなと思いまして、その後、ブレアさんの時代に、Cool Britanniaというコピーをつくりましたけれども、そういうのが足りないというところを、今感じているところです。
先ほど重延委員がおっしゃったように、デザインが、日本では見た目とか単なるきれいさととられるところがあるんだと思うんですが、実は機能も内在していて、非常に優れたデザインは、例えば車で言えば空気抵抗が低いとか、そういったところにもつながっていたり、今日は三宅一生さんのプリーツ・プリーズを着せていただいているんですけれども、非常に着心地がいいとか、そういった機能があるんだと思います。
こういった意味で、日本人がデザインというものが何なのかということを正確にとらえないと、日本ブランドを発信するときもそこが間違えるところがあるというところと、あと知財的に申し上げますと、韓国が意匠法というのを持っていたんですけれども、近年改正されまして、名前をデザイン保護法と変えられました。韓国、中国というのは、日本の法律と非常に似た体系を持たれているところなんですが、あえて日本の法律から意匠という言葉を輸入していたのをデザイン保護というふうに変えたところの意味の重さですね。そこを考えるべきで、欧州も今、意匠法については改正が終わったという話を聞いているところです。
こういった意味で、デザインとブランドとコンテンツと技術と、こういったものが関連するという視点が重要だということを申し上げたいと思います。
先ほど座長がおっしゃった山形県の日本ブランドの発信ですけれども、あれも実は課題がありまして、県単位で、例えば鳥取県とか富山県も中国に出かけていってプロモーションしているんですが、そのとき、やはり費用の負担がすごく重いというのは地方自治体の悩みでして、地域ブランドというのは外から見ると日本ブランドですので、そういった意味で、国としても何かサポートする。ビジットジャパンでどんと出かける手もあると思うんですが、個々の地方自治体についてサポートする、そういう政策があってもいいような気がいたしました。
以上です。
○久保利会長 村上委員、お願いします。
○村上委員 太田委員と生越委員から、サポートという言葉が出たので、ちょっと尻馬に乗って。
1つおわびなんですけれども、私の宿題発表は、本来、先ほどの資料4、5が終わった後にすべきところを早とちりしまして。
それで、もう一つおわびですけれども、先ほど説明を落としてしまいましたので、実は資料6−2をちょっと見ていただきたいんですが、3ページ目です。コンテンツ制作に対する支援というところで、これは非常に大事なことだと思っているんですけれども、クリエーターの育成というのを、さっきちょっとお話で落としてしまいました。ここで話をしていいのかどうか、座長に怒られちゃうかもしれませんが、この資料5ですか、土壌づくりというところで、クリエーターに関するいろんな記述がございます。
私はこれについて、もう一つ、支援ということで国のほうで何かやっていただくことがあるとすると、ともかく若い人材を育てるということで言うと、教育機関におけるコンテンツ制作にかかわる部分での支援がお願いできないか。例えば、芸大でアニメ科が去年から新設された。あるいは、大阪の某芸術大学では、今をときめいているいろんな映画監督を次々に輩出している状況があるわけですけれども、特に国立の大学については、いわゆる交付金ですか、そのかさ上げをもっとしてほしいとか、私大に関しても、何らかのそういう支援が国として積極的に行われるような、いわゆる教育という部分でのクリエーター育成について、もう少し積極的な支援がほしいという気がちょっとしておりますので、つけ加えさせていただきます。
以上です。
○久保利会長 ありがとうございます。まさに人材育成というところでのご要望だと思いますけれども、本来は、今日はテーマ別にいろいろ具体的なご意見を伺うつもりでいましたけれども、今、皆さん方から、非常に貴重なご意見が次々と出ているものですから、あえてそのテーマ別に限ってどうこうという発言の求め方をいたしませんけれども、情報発信なり拠点づくりなり土壌づくりなり体制づくりなりネットワークづくりなり、これについて、もし今の村上委員のように、個別にこういう点について注文をつけておきたいという点がございましたらば、ぜひお願いしたいと思いますが。
浜野委員、お願いします。
○浜野委員 村上委員と同じ、土壌づくりの件ですが、これも内向すぎるのではないかと思います。先ほど太田委員がおっしゃったように、パーソンズの校長のように、他国の方々が活躍してもいいわけです。それから、日本語を学んでも日本で学びたいというファッションとかデザインとかアニメーションとかゲームとか、そういった分野での人材育成で国際貢献ができます。そのため留学生の受け入れはすごく大事だと思います。上のほうに、外国人育成で「帰国後」と書いているんですが、帰国しないでも日本で勝負していただいていいと思うのですが。優れた人がどんどん日本で勝負したいと思う土壌ができればいいので、留学生に関することを、現状と課題のところに書き加えておいていただければと思います。
以上です。
○久保利会長 この帰国後というのは、服部委員がおっしゃった、日本料理を国外、自分の国へ帰ってしっかりおいしいすしを握れというような話にリンクしたもので、決して留学生を排斥するつもりはございません。
ほかにはいかがでございましょうか。どういうテーマでも結構でございますけれども、この、先ほど高橋委員がおっしゃったような、次回のヒアリングに備えてこういう準備もしておけとか、スケジュールの問題とか、目標についてとか、どんなことでも結構でございますけれども、ご意見を賜れればと思います。
高橋委員、お願いします。
○高橋委員 各種調査を見ていてわかってきたことですけれども、東京とか京都の、いわゆる国際空港を使って訪れているのは欧米の方が多いんですけれども、アジアは各地の空港に直接入っているんですね。そこでまさにおもてなしの心は効いているんですけれども、調査で見ていくと、やはり中国語とかハングルのその表示とか通訳がいないということで、非常に不便を被っているということがあるようなんですね。政策評価の中でも、その通訳案内士の利用拡大ということをうたっているんですけれども、試験制度を見直して、その通訳案内士を大幅に増加しても、中国語とか韓国語とかアジアのほうに対応しているところが育っていないということがあるようです。ですから、その辺の手だてを講じていただくということがすごく必要かなと思っています。
それから、人材育成のところで、若手クリエーターと書いてありますが、クリエーターだけじゃなくて、本当にいろんな分野で日本に来る外国人が今後増えると思いますので、クリエーターの育成も大事なんですけれども、もう少しダイバーシティといいますか、広い視野に立って、いろんな人を日本が受け入れて、国際貢献もしているというイメージもあったほうがいいのではないかなと、私は感じております。
それで、このセレクションブックの作成というのも、もしここが官にお願いすることだとすると、かなり堅いものになったり、本来拾うべき人が拾えなくなってきてしまうという可能性があるので、こういう人材バンクみたいなのは必要だと思うんですけれども、官がやることなのか、官にどこが投資してもらったらいいのかというのを、関連の業界の方とかよくわかっている方に少し考えていただけるとありがたいと思っています。
○久保利会長 本当にそうですね。
ほかにはいらっしゃいませんか。
それで、ちょっと事務局にご相談ですが、次回のヒアリングですけれども、具体的には、今日出された意見も含めて、今までの意見も含めて、各省庁との間で議論をするということになると思います。今日の、あるいは今までの議論を踏まえて、日本ブランド戦略の個々の施策をどういうふうに具体化していくのかという点については、関係省庁と事前に連絡を取ってやっていただけるという理解でいいんですか。
○大路参事官 今後の進め方に係る話かと思いますけれども、あくまで、今後、久保利会長とよくご相談させていただいた上で進めたいと思っておりますけれども、今日お示ししております具体的な個々の施策に関連するような施策、どのような取り組みがなされてきたかといったような点を含めまして、どういった課題があるのか、あるいはそれぞれの省庁がどういった方向性でこれを見直そうとしているのかというあたりについて聴取をしていただきまして、それに基づきまして各委員から、具体的にこういうふうに改善を図っていったらいいのではないかというようなご提案をいただける会にできればよろしいのかなと思っているところでございます。
○久保利会長 ありがとうございます。
基本的に資料5は、非常にわかりやすく、ざっくりとまとめたものであって、根本的にはこれ資料4が中心であります。この資料4の中には、現状と課題というところで、各項目、例えば情報発信については、現状と課題という(1)があり、対応の方向性という、すべてこの現状と課題という切り口と、対応の方向性、そしてその中に目標というのがあり、具体的アクションというふうに仕分けがしてあるわけでありまして、今日、お話をお伺いしますと、その具体的な目標なりアクションなりについて、もう少し練ったほうがいいのではないかというご意見と、それから、そのこと自体はいいとして、じゃあ具体的にもうちょっとディテールとして、何をどうするのかというご質問もあったと思います。そこはある意味で言いますと、むしろ委員の先生方に、省庁にこういうふうなことをお願いしたい、こういうことはできるのか、あるいはこれは官ではできない、民でやれということなのかという仕分けも含めてお考えいただければありがたいと思っています。村上委員が資料6−2でおつくりになったような、別にペーパーにする必要はありませんけれども、ヒアリングのときに、ご自身が関心のある分野について各関係省庁に何をお聞きになるかということを、事前にご準備をいただけると大変ありがたいと思います。
あるいは、そのさらに事前に、これは事前に通知をしておくから、この部分については省庁と詰めておくようにというような事前質問がもしございましたら、それもできるだけ前倒しでいただければ実りのあるヒアリングができるかなと思っています。
会長としては、いずれこの専門調査会が具体的な幾つかのポイントについて提言をしていきたいと望んでいます。これをきっちりと、いつまでに、先ほど太田委員がおっしゃいましたけれども、何を、いつまでに、どこが、どこまでやるのかというようなことを期待しながら、具体的な提案をしていきたいというふうに思っておりますので、ぜひお一人お一人の専門家の先生方にもよろしくご協力のほどをお願いしたいのです。
今日、もしほかにご発言があるようであれば、何なりと承りたいと思いますけれども、議事の進め方も含めて、ご提案がございましたら、どうぞお願いします。
重延委員、お願いします。
○重延委員 質問ですけれども、予算の裏付けが背景になければ、なかなか具体的な提案はできないのですが、提案にもとづいて事業を行う際に、内閣官房の内部で予算化できるものなのか、あるいは各省庁に委託された予算でやるということなのか、お教えいただきたいと思います。
○久保利会長 事務局お願いします。
○素川事務局長 内閣官房の予算は、基本的には会議の運営というものが中心でございまして、個々の施策というのは関係各省、行政事業を分担しているところ、そちらが予算を確保する、そして支援すると、こういう仕切りになっております。
○久保利会長 会長から一言申し上げますと、まさにそうなんですが、しかしこの専門調査会は、最終的には2009の計画をつくろうとしているわけですから、そういう意味では、知財推進計画2009の中に盛り込む場合には、それは担当の省庁はどこですよとなります。これは内閣府とか知財本部ということではないわけですけれども、どこで具体的な予算をつくっておやりなさいということまで提言ができるわけなので、その意味では、重延委員の今のご質問については、この会としては予算を持っていませんけれども、今度のヒアリングでおっしゃるときには、予算もつけるようにがんばれということもおっしゃっていただくことは十分可能だと思いますけれども、高橋委員、間違っていますか。
○高橋委員 ありがとうございます。多分、そのとおりだと思います。できれば骨太の方針にきちんと書かれるということが必要だろうと感じます。
○久保利会長 そういうことですので、事務局としては予算を持っていないにしても、次回ヒアリングでは十分そこまで踏み込んだご質問なりご意見なりちょうだいできればというふうに思っておりますので、ほかの委員の先生方にもよろしくお願いしたいと思います。
そろそろ時間になってまいりました。ほかにご意見がなければこの程度としたいと思います。
ありがとうございました。本日出されましたさまざまなご意見につきましては、来月開催予定の関係省庁ヒアリングに向けて、事務局において適切に反映していただくように、私からもお願いいたします。
来月のヒアリングにおいては、これまでの議論の結果を踏まえて、日本ブランド戦略の個々の施策をどのように具体化するかという点に焦点を当てて議論を行ってまいりたいと存じます。ぜひ関係省庁と連絡を取って、必要な準備を事務局はお願いいたします。
それでは、予定の時間がまいりましたので、本日の会合をここで閉会したいと思います。本日はご多忙のところ、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。
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