首相官邸 首相官邸 トップページ
首相官邸 カテゴリーなし

コンテンツ・日本ブランド専門調査会(第2回)議事録

  1. 日時:平成20年3月6日(木)10:00〜12:00
  2. 場所:虎ノ門パストラルホテル(プリムローズ)
  3. 出席者
    【委員】 久保利会長、太田委員、生越委員、角川委員、久保委員、里中委員、重延委員、高橋委員、中村委員、南場委員、服部委員、浜野委員、廣瀬委員、三尾委員、宮田委員、和田委員、佐藤本部員
    【事務局】 素川事務局長、松村次長、吉田次長
  4. 議事:
    • 映像コンテンツ大国を実現するための検討委員会からの報告
    • デジタル時代におけるコンテンツ振興のための総合的な方策について
    • 日本ブランドの振興について

○久保利会長 それでは定刻ですので、ただいまから第2回コンテンツ・日本ブランド専門調査会を開催いたします。
 本日はご多忙のところ、ご参集いただきまして、まことにありがとうございました。
 本日はまず昨年の11月9日の第2回コンテンツ企画ワーキンググループにおいても、中間報告を行いましたけれども、映像コンテンツ大国を実現するための検討委員会という、日本経団連に設置されましたその検討委員会の検討結果について、当委員会の会長でもあります私から、簡単にご報告を申し上げたいと思います。
 お手元に資料1ということで、この検討委員会のまとめましたレポート「映像コンテンツ大国の実現に向けて」というものがあると思います。詳細はこれをご参照いただきたいと存じます。
 この委員会というのは、放送コンテンツの円滑な流通を図るために、日本経団連において、関係者が一堂に会しまして、流通促進にかかわる課題の解決に向けて、前向きな検討を行うというものでございます。クリエーターから放送事業者、実演家・映画会社等すべてに至るまでが一堂に会したという点、大変ユニークな存在でございます。
 今年度は、放送コンテンツの活用にあたりまして、支障となっている3つの課題について検討を行いました。1つは放送番組のネット配信を進めるための、報酬配分等の契約に関するルールづくりについてであります。2つ目は、放送番組の二次利用に際しまして、権利者が不明などの場合の対応策について検討しました。3つ目は実演家等の労働環境の改善のために、事故等が生じた場合の補償のあり方について、検討を行いました。
 その検討成果については、契約の雛形となります「出演契約ガイドライン」というものがございます。これは3ページ以降にまとめてありますけれども、既に前年度でまとまったものに、さらに追加を行いまして、より完成度の高いものといたしました。この2ページ以下のガイドラインをご覧いただきます。3ページの「安全管理・事故補償」に下線が引いてある部分がございます。この部分を追加いたしました。要するに放送事業者あるいは番組製作会社が、安全管理義務を行うということが明記されるとともに、事故補償を行う対応窓口を設けることが合意されました。これによりまして、事故に関する補償について、従来ともすれば現場の当事者同士で行われておりましたけれども、会社としてクレーム等を受けつける体制が明確となった次第でございます。
 次に、ネット配信についてでございますが、この4ページ以下をご覧いただきたいと思います。いわゆる「見逃しサービス」と言われますキャッチアップ・サービス、あるいはビデオオンデマンドのアーカイブ放送、これらについてこれらの事項を土台として、あとは具体的なビジネスとして関係者がネット配信を前向きに進めるということが合意されました。さらに今後の取り組みについて、5ページの下のほうに書きましたように、実演家の団体や音事協、こういうものに所属していない人たちについても、その影響力行使なり、あるいは団体に権利を委任するようにと働きかけることが合意されております。
 そして、権利者不明の場合ということでございますけれども、これについての記述が9ページの「権利者不明の場合の第三者機関」研究会報告書でございます。これは各研究会に分かれて研究をいたした各グループが出している報告書の一つでございますけれども、放送番組の二次利用に際して、行方不明の実演家がいる場合に、過渡的措置として実演家団体が権利を委任されていない実演家についても、所在が不明の場合は行方を調査する。また、実演家団体が放送事業者から利用料を過渡的に一時預かるということなどを柱とした暫定的な合意が行われて、二次利用促進に向けて大きな成果がございました。権利者がいない、わからないというがために、非常に貴重な作品が放映、放送できない。あるいはそれを二次利用できないということを防ぐために、大変効果的な方策かと存じます。
 今後は、ガイドラインの実際の定着状況や、運用状況を踏まえまして、ガイドラインの点検、検証、あるいは契約に伴う実務上の課題等について、引き続き検討を行うこととしております。また、事務局を日本経団連から当本部の知財戦略推進事務局に変更いたしまして、一層推進してまいります。
 簡単ではございますが、私からの報告を終わらせていただきます。
 次に、コンテンツ企画ワーキンググループにおける議論を経て、作成されました「デジタル時代におけるコンテンツ振興のための総合的な方策について(案)」について、議論をお願いいたしたいと存じます。
 まず最初に、事務局から報告書(案)についてご説明をお願いします。

○吉田次長 それでは、資料2と資料3を用いまして、完結にご説明申し上げたいと存じます。
 まず、昨年9月28日に開催されましたこの第1回の専門調査会でご説明いたしましたように、コンテンツ関係につきましてはこの専門調査会のもとにコンテンツワーキンググループを設置いたしまして、その取りまとめをこの本専門調査会にご報告し、ご審議をいただくと、こういった形をとることになっております。
 お手元の資料2、資料3は、これまでのコンテンツ企画ワーキンググループの議論の成果を取りまとめたものでございます。2月1日にコンテンツ企画ワーキンググループとして、4回目の会合をいただきまして、その際にいただきましたご意見ですとか、あるいはその後、個別にいただきましたご意見、そういったものも含めまして必要な追加修正を行いまして、今日こういう形で提出させていただいているものでございます。
 中身につきましては、コンテンツ企画ワーキンググループのメンバーの方はご承知だろうと思いますけれども、完結にご説明させていただきます。
 1枚めくっていただきまして、2ページのところでございますが、これはコンテンツ分野の現状と課題というところでございますけれども、今後取り組むべき視点といたしまして、急激な変化に素早く対応すること、それから大きな2点目といたしまして、コンテンツ産業が持つ強みを最大限発揮すること、3点目といたしまして、グローバルにビジネスを展開することということを挙げております。
 3ページをお開きいただきますと、そういった問題意識のもとで、今後取り組むべき基本的な理念といたしまして、コンテンツ関係の市場、あるいは創造、そういったものをより高めていこうではないかということで、コンテンツ・フロンティアの改革という形で掲げさせていただきました。
 これを新しい市場の拡大、そして創造の拡大、その間をうまくつないでより振興していくための流通の円滑化と、こういう3つのポイントを押さえながら、基本戦略の1から4というものを示しております。基本戦略1は、既存の枠組みにとらわれない新しいビジネスへの挑戦でございます。基本戦略2は、海外に目を向け、グローバルにビジネスの展開をするということでございます。基本戦略3は、多様なメディアに対応したコンテンツの流通を促進をするということでございます。基本戦略4は、世界中のクリエーターの目標となり得る創作環境を整備をするということでございます。
 このような戦略は相まって最後にございますように、新たな市場を開拓し、その利益を創作に還元し、さらに優れたコンテンツを目指す、正のスパイラルを実現するということを目指していったらどうかということでございます。
 4ページのところに、その具体的な取り組みを総括した資料をおつけしておりますので、これをご覧いただきたいと存じます。基本戦略1というところでは、コンテンツ共有サービスの適法化の推進、さらに、通信と放送の垣根を越えた新たなサービスへの対応、そしてコンテンツ市場の拡大に向けた新たなビジネスモデルの追究と、知財制度全般にわたります見直しについて、提言をしたらどうかということでございます。
 基本戦略2は、英語の使用など海外を意識した見本市や映画祭の実施ですとか、あるいは海外展開を支える情報の収集とビジネス手法の確立、3点目が官民挙げた海賊版対策の推進でございます。
 基本戦略3のところでは、透明な市場の確立と取引機会の拡大、コンテンツの二次利用を促進する法制度等の整備、さらに図書館のデジタル化の推進というものを挙げております。
 基本戦略4のほうにおきましては、1億総クリエーター時代に対応した創作活動の支援、日本の科学技術力を生かしたコンテンツ創造の充実、また海外からの人材受入の促進という事項を掲げております。
 5ページ以降は、ただいま申し上げました事柄につきまして、それぞれの項目ごとの説明をしております資料でございますが、これについてはまたご覧いただければと存じます。
 資料3は本文のほうでございますが、先ほど申し上げましたように、2月1日のワーキンググループ、それからその後の個別のご意見などの中で、幾つか修正点がございます。修正点につきましては、資料の中でアンダーラインを引かせていただいております。細かな字句の修正、見直しといったものもございますけれども、大きなものだけ紹介をさせていただきますと、5ページのところには、これは共有サービスの適法化の推進というところでございますけれども、フィルタリングサービス事業者との関係につきまして、萎縮させないような配慮が必要ではないかということがご意見としてございましたので、そのことをここに追加させていただいております。
 また6ページのところでは、通信と放送の垣根を越えた新たなサービスへの対応というところで、通信と放送の垣根を越えた部分での知財の検討ということについては、前の原案にもあったわけでございますけれども、あわせまして、通信放送法体系の検討ということにおきましても、コンテンツの生産・流通・消費を最大化する方向で検討を進めるべきではないかというご意見がございましたので、それをこの中に取り入れております。
 それからあと、細かな字句の修正の部分は恐縮ですが、省略をさせていただきたいと思いますが、16ページのところをご覧いただきますと、ここは大きな見出しといたしましては、1億総クリエーター時代に対応した創作活動の支援というところでございますけれども、ここでは2月1日のコンテンツワーキンググループの中の議論でも多々ございました、青少年の健全な創作活動の場の確保というところで、新しくその項目を起こさせていただいております。そこにありますように、まずは教育の場などでの、青少年の創作や発表の場の確保の問題がございます。それから最近子どもたちがこういったデジタル技術を用いて、創作などを行いますそういった局面といったものがあらわれてきております。
 ただ、一方では有害な情報の問題もございますので、17ページの上から2行目ぐらいでございますけれども、有害な情報の排除など、青少年を健全に育成する観点から、適正な体制を整えているサイトを明らかにするなど、適切なフィルタリングを進めるための関係事業者による仕組みづくりを促進をするという文言を、ここに加えさせていただいているというところでございます。
 修正点を中心にご説明させていただきましたが、私のほうからの説明は以上でございます。

○久保利会長 ありがとうございました。
 報告書案についての意見交換を行いたいと思います。ご発言のある方は、ネームプレートをお立ていただけますでしょうか。
 なお、発言は要領よく、お一人3分以内でお願いをいたします。どうぞ、ご遠慮なくお立てください。今のところはいらっしゃいませんか。
 はい、角川委員どうぞ。

○角川委員 基本戦略の今のあり方については、賛成です。その中で萎縮させないとかそういうふうな方向で、理念として書かれている部分ですけれども、そのことに関していうと、もうちょっとわかりやすく申し上げれば、やっぱり知財だけではないんです。広く今、時代の変化の中で、事前裁量型社会から、事後規制型社会へという動きがございますね。これはもちろんグローバリゼーションの中で日本のあり方だけでは世界に通用しないというか、世界から孤立してしまうという状況の中で、日本の社会全体を事前裁量型社会から事後規制型社会、問題起こったら、きっとそれに対しても対応する。もう初めから問題が起こるかどうかを想定して、規制していくことをやめようという考え方だと思いますけれども、そこら辺のことをきちっと書かれた上でこの理念があると、もっとこの理念が生きてくるんではないかと感じました。

○久保利会長 ありがとうございます。
 ほかにはいらっしゃいませんか。
 久保委員お願いします。

○久保委員  おはようございます。東京アニメセンターの久保です。前回の会議でインターネット上の海賊版映像「ファンサブ」に対する対策についてお話をさせていただきました。今回は、その具体案についてのご報告です。コミック10社会という、アニメの原作元である出版社の団体と、日本動画協会、これはアニメ映像の制作会社の団体と、日本映像ソフト協会、これはDVDなどのパッケージ販売・流通会社の団体、この3つの団体が協力してネット上の海賊版対策を行うための連絡会の設置が、同意を得られることになりました。
 やっと、本格的なネット上の海賊版対策に一歩踏み出せるのではないかなと思っておりまして、4月の上旬に第1回目の連絡会を実施したいと考えております。ぜひとも関係省庁の皆様に関しては、ご出席をお願いしたいと考えております。ファンサブに関しては、広告モデルの導入による解決策など、さまざまな方策が検討されておりますし、新しいテクノロジーの導入で一気に解決となるということもございます。また、ユーザー視点から権利者視点まで、幅広い視点から検討をしないといけない時代でもございますので、なるべく様々な意見を拝聴した上で海賊版撲滅に迫りたいと考えております。皆様のご協力をお願いしたいと思っております。
 私どもから以上です。

○久保利会長 貴重なご報告ありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょうか。
 三尾委員どうぞ。

○三尾委員 ご報告の取りまとめありがとうございました。コンテンツのほうでも参加させていただきましたので、報告書のほうの内容は把握していたんですけれども、今日特に申し上げたいのはグローバルな視点でのビジネス展開についての観点で、1点だけ強調したい点を申し上げたいと思います。
 この資料3の9ページ目なんですけれども、ここのEということで、海外での発信拠点の強化という項目がございますけれども、この点について少し全体の中でそれほどスペースがないものですから、今後の海外ビジネスの展開については、むしろこの発信拠点を海外に持つということが非常に重要ではないかというふうに考えておりますので、ちょっと今日は特にその点について申し上げたいと思います。
 現地の中で、現地に応じた形でのコンテンツを展開して、グローバルにビジネスを展開していくということは、非常に重要であるというのはもう当然のことではあるんですけれども、特に日本の場合、例えば海外の映画祭や音楽祭やアニメ祭、たくさんあると思うんですけれども、大きなところだけではなくて、小さな地方で行われる、例えばアメリカのテキサス州とかダラスの辺とか、そういう地方で行われております音楽祭や映画祭でも、多数のものがございます。そういう細かいものにも、日本の企業、日本のコンテンツの製作者の方々は、果敢に進出していこうというふうに考えていらっしゃるところがあるんですけれども、いかんせん、日本がそれにかかわっているのがほとんどないということ。さらに、前にかかわったコンテンツ製作者の情報もほとんどとれないというようなことがある。一から開拓していかなければいけないという現状にあるということなんですね。非常にそれは大変であるということなので、小さいというか、いろいろな海外の発信をする場所を洗って、それごとに発信拠点をそれぞれ管轄等を設けて、日本があらかじめ出ていくコンテンツ製作者の方々の、政府としての露払いをしていただくような、そういう仕組みが、情報提供も含めてなんですけれども、日本が国としてかかわっているというような、そういう印象づけをしてもらえれば、もう少し海外に出ていきやすいんではないかというふうに思います。
 この点だけちょっと述べさせていただきたいと思いました。

○久保利会長 ありがとうございます。
 では高橋委員お願いします。

○高橋委員 先ほど、角川委員からご発言がありました事前規制から事後チェック型行政への転換の流れの中で、しっかりやっていこうということに関して私も賛成でございます。その上で、2点申し上げます。一つは、事後チェックについてですが、ルール違反へのペナルティーを明確化して、不正行為とか違法営業に対して抑止的になることが大事だというふうに思います。ですので、わかりやすい明確なルールづくりを望みます。
 それから2点目は、コンテンツ振興を考えた場合に、クリエーターとか製作会社は、小規模のところとか個人も多いわけですので、その情報とか交渉力の格差にかんがみて、独禁法上の優越的地位の乱用とか、下請け法違反とか、そういうことが見えない形で行われやすいので、そこに対しての目配りがしっかりできるようにということを望みたいと思います。
 以上でございます。

○久保利会長 ありがとうございます。
 大変貴重な視点だと思いますので、関係省庁もよろしくお願いします。
 ほかにはいかがですか。久保委員どうぞ。

○久保委員  先ほどちょっと言いもらしたことがございます。16ページ目のところに青少年の健全な創作活動の場の確保として、サイトのフィルタリングについて書かれております。ご存じの方が多いと思いますが、キッズ携帯、つまり児童向けの携帯電話に関しては、キャリアさんがオフィシャルと認定したサイトにしか接続ができなくなると聞いております。
 そうなりますと、自分が新しいビジネスを起こそうとなった場合に、キャリアからオフィシャルの認定をもらえるかどうかということが、生命線になってきます。キャリアさんも3つございますし、公式と認定いただくまでの時間がだんだん長くなってきていると聞いております。ひどいときは二、三カ月待つというケースも出ておるようで、できれば、迅速にサイトの公式認定作業をしていただきたいと思います。3つのキャリアそろってビジネスを始めないと、携帯ビジネスは始められないわけですしから、認定作業量がふえ てきているということは十二分に理解できますが、フィルタリングを強化するならば、認定の明確な基準と迅速な作業を、キャリアの方たちにはぜひともお願いしたいと思っております。

○久保利会長 そうでしょうね。確かにおっしゃるとおりだと思います。
 ほかにはいらっしゃいませんか。
 それでは、当面、先に行きます。また後でこの問題についての機会を設けたいと思いますけれども、ただいまの各委員のご発言につきましては、今後のコンテンツの振興に当たって、十分に勘案していただきたいと思います。
 いろいろお話はございましたけれども、本報告書については、一応これをもって専門調査会の報告といたしたいと存じますけれども、いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。
(異議なし)
○久保利会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。
 それでは続きまして、「日本ブランドの振興について」移りたいと思います。まず事務局から資料についてご説明をお願いします。

○吉田次長 それでは、お手元の資料4と資料5をご覧いただきたいと存じます。
 日本ブランド関係につきましては、これも9月28日に開かれましたこの第1回の専門調査会でご説明いたしましたけれども、コンテンツ関係につきましてはワーキンググループを設けまして、議論を進めてきているわけでございますけれども、この日本ブランド関係につきましては、例えば食文化関係につきましては、食文化研究推進懇談会ですとか、あるいはファッション関係につきましては、ファッション有識者懇談会といった、民間の取り組みがございます。そういった民間の取り組みで出てまいりましたご意見やご議論、そういったものを踏まえながら事務局としてそれを集約し、この場にご報告をさせていただきまして、その上でまた委員の皆様のご議論をいただくと、こういった仕組みをとっております。
 なお、食文化研究推進懇談会につきましては、この専門調査会の委員でございます服部委員が参加していらっしゃいますし、またファッション有識者懇談会は太田委員が座長を務めていらっしゃいます。またそれには浜野委員もご参加されているというようなことでございますので、また適宜ご説明などいただければありがたいと存じます。
 資料4をご覧いただきますと、ここは今申し上げましたような懇談会などでのご意見なども踏まえまして整理したものでございます。大きく4つのパートに分かれております。まず、豊かな食文化の関係でございます。それから2つ目が地域ブランドの関係でございます。それから3つ目がファッションの関係でございます。そして最後に、日本の魅力の発信とその基盤整備と、こういった分け方になっております。
 まず、食文化の関係でございますが、3ページ以降にその課題を整理しております。まずT−1でございますが、優れた日本食や食材を生み出すというところでございます。今後の課題として、最初に、外国人シェフを対象とした実務研修の充実というのを挙げておりますが、これは食文化の懇談会におきまして、海外に受け入られるよう、現地の文化を取り入れた新しい日本食を表現することが重要というようなご指摘もございましたので、そういった点を含めつつ、また従来からご指摘がございます日本食特有の生魚の取り扱いなど、衛生的な面についての記述も加えております。
 それから次に、食を担う多様な人材の育成ということでございますが、これにつきましても懇談会のご意見などを踏まえたものでございます。なお、最近の具体的な動きとしましては、近畿エリアにおきまして専門職大学院の設置に向けた動きも出てきているところでございます。
 次のページをおめくりいただきまして、生産者と料理人等との連携ということでございますが、特に地域特産物の活用というところで、地域特産物マイスターなどの活用ですとか、あるいは地産地消の取り組み、そういったことについて触れております。
 それから次にT−2でございます。安心・安全な日本食、食材の信頼性の向上というところでございます。(1)は昨年来、よく話題になっております日本食レストラン推奨計画でございますが、これを推進する母体も昨年設立をされたということがございまして、今後この推進ということでございます。
 それから(2)は日本の農林水産物、食品に対する権利侵害の防止ということでございますが、この関係につきまして、偽装表示の問題ですとか、あるいはブランド名の商標登録、この商標登録の関係では、第1回の専門調査会で、里中委員のほうから中国におけるコシヒカリの商標登録の問題が取り上げられたところでございます。
 それから3番目に、日本産食材の信頼性の確保というものを挙げております。
 次に今度はT−3でございますが、優れた日本の食文化の再評価発信というところでございますが、まず最初に国民運動としての食育の推進というものを挙げております。この関係につきましては、服部委員のほうから何度かご意見をいただいたということがございます。
 また(2)は、日本食の世界への発信の強化というところでございますが、これはさまざまな機会をとらえて、日本食を発信をしていこうということでございます。従来から在外公館ですとか、そういったところでの取り組みも書いてございましたけれども、サミットですとか、そういった大きなイベントを活用することですとか、それから昨年から始まりました「JAPAN国際コンテンツフェスティバル」というようなそういった機会などを、十分に活用していってはどうかと。その際、他分野と組み合わせた日本食文化の効果的なプロモーションを行うなど、関係省庁や機関が連携をした分野横断的な取り組みが今後必要ではないかということについて触れておるところでございます。
 また(3)は日本の農林水産物・食品をより多くの世界の人々に届けるということで、輸出戦略の記述などをここに盛り込んでおります。
 それからその次、大きな2番目の分野でございますが、多様で信頼できる地域ブランドの確立というところでございます。ここではまず、特色ある地域ブランドを生み出すということで、その地域ブランドの構築に向けた取り組み、そしてその進展に対する支援、また農商工の連携による地域ブランド創出への支援といったことについて記述をしております。
 また、信頼性を確保するための技術基盤の構築の問題、そして関係者の意識の向上の問題、各種認証制度の活用の問題、さらに国内への発信、海外への発信ということについて触れております。
 それからファッションの関係でございます。これはファッション有識者懇談会における議論などをもとにまとめたものでございます。まず、ものづくりに向けた環境整備というところでございますけれども、今後の課題としましては、若手デザイナー等の活躍の場の充実ということでございまして、若手の登竜門となるような、そういったその取り組みを今後強化すべきではないかということでございます。
 また、地域のその中小企業、この繊維製造業事業者など、やっぱり地域に拠点を持つ者が多いわけでございますけれども、そういった方々に対する支援の問題を取り上げております。また、上質で一流なそのファッションを担う人材の育成の問題ですとか、あるいは海外人材の日本での教育機会の拡大の問題、ここのところはコンテンツ分野とまた相続く部分もございます。
 また、日本の優れたファッションの適切な保護の問題についても触れているところでございます。
 それからプロモーションの関係でございますけれども、今後の課題といたしまして、「東京発日本ファッション・ウィーク」など、そういった取り組みをより充実させていくということ、それから海外における展示会等の強化ということでございます。この関係では、JETROですとか、あるいは国際交流基金などが支援する海外展示会での出展支援の強化、その周知活動の充実、そういったことについて触れておるところでございます。また在外公館における支援の問題も触れております。
 最後に4番目としましては、日本の魅力の発信とその基盤整備ということでございますけれども、今後の課題として最初に対応をとりますのは、日本ブランドの確立とその発信ということでございます。コンテンツ分野につきましては、先ほどご議論いただきましたような形でまとめておりますが、その中にもコンテンツだけではない、食やファッションとの連携の問題について触れた記述もございました。そういったことも含めまして、そこにありますように、 食やファッション、映画、音楽、アニメ、漫画などの海外に誇る優れたコンテンツ、こういったものを各分野ごとに細分化して発信するのではなくて、集合・融合させることによって、文化力の強化をしていくべきではないかと。そのために、分野を横断した日本のブランド価値を確立し、発信することが重要ではないだろうかということをここで記述をしております。
 この関連では、当然のことながら、海外情報をきちんと共有をして効果的に活用をするということが出てまいります。また、玄関口としての国際空港等における魅力的な商品の発信ですとか、さらには感性を生かした活動の推進ということについても触れているところでございます。
 それ以降は、参考としまして、それぞれの分野における進捗状況を整備したものでございますので、これをご覧いただきたいと存じます。
 資料5のほうをご覧いただきますと、ここのところが本日ご議論いただきます大きなたたき台になってくるわけでございますが、ページを開きまして2ページのところは、食文化や地域ブランド、そしてファッションの関係につきまして、これまでの取り組みを整理したものでございます。3ページのところは、情報の収集という関係で、外務省やあるいは国際交流基金、JETRO、JNTOといった関連の機関が、それぞれの機関の目的に応じまして、さまざまな活動をしておりますけれども、このあたりの情報の共有ということについては、いまいち課題が残るのかなということでございます。
 4ページのところをご覧いただきますと、これはJNTOのハンドブックからとったものでございますけれども、外国において日本がどういうイメージでとらえられているかということでございます。北米地域あるいはヨーロッパあるいはアジア地域、それぞれの地域、国ごとに、日本に対するイメージというのはそれぞれ異なっているということが出てこようかと思います。
 そこで5ページのところをご覧いただきますと、今後の方向性というところでございますけれども、左側のほうでこれまで日本ブランドということで、日本の洗練されたライフスタイルを生かした食文化や地域ブランド、ファッション分野における取り組みについて、いろいろとご議論いただきました。また右側のほうでは、コンテンツというところでご議論いただいているということなんですけれども、これを分野横断的にとらえまして、相乗効果を発生させるような形で、各分野単独でやるよりは、より効果的な日本ブランドの発信が可能となるような、そういった取り組みを今後行うべきではないだろうかと、こういうことでございます。
 検討方法例としては、情報の共有、活用の問題、それから海外の先進事例の調査ですとか、あるいは世界各地域のニーズの把握の問題といったものもございます。こういったことを通じまして、日本ブランドの確立と発信の強化ということで、地域あるいはその対象とする階層など、そういったものも分析しました上で、日本ブランドの発信方策といったものを考えていってはどうだろうかということでございます。
 それ以降につきましては、例えばイギリスの国家ブランド戦略ということで、ブレア政権下で始まりました「クール・ブルタニア」の動きでございますとか、あるいはお隣の韓国、これはコンテンツに重点化されておりますけれども、発信戦略の問題などを参考までに挙げております。
 また参考2としましては、これまで政府におきまして議論されておりますこの関連の検討でございます。平成17年の文化外交の推進に関する懇談会ですとか、あるいは昨年のアジア・ゲートウェイ戦略会議、それから観光基本法に基づきます観光立国推進基本計画、それから経済産業省のほうで行われましたコンテンツグローバル戦略の問題、さらには、ことし2月に発表されましたが、外務省の海外交流審議会の答申、それから今現在進行中でございますけれども、文化庁で行われております文化発信戦略に関する懇談会、こういった動きがあるということをご紹介をしておきたいと存じます。
 以上でございます。

○久保利会長 ありがとうございました。
 それでは、日本ブランドに関する意見交換に移りたいと存じます。ご発言のある方はネームプレートをお立ていただければと思います。
 生越委員お願いします。

○生越委員 では、早口で5点指摘したいと思います。

○久保利会長 どうぞ、ゆっくり落ちついておっしゃっていただいて、時間はありますから大丈夫です。

○生越委員 ありがとうございます。まず1点目ですが、外国における商標、育成者権の侵害、これは非常に深刻な事態が起こっておりまして、この前ご指摘あったように、「青森」という商標が先に出願されていました。この問題で青森県は昨年度150万円の補正予算をつけました。こういうことを県単位でやるのは非常に大変ですので、ぜひ政府のバックアップをお願いしたいという意見が他の地方自治体からも出ておりますので深刻に考えなければいけないと思います。
 あわせて、先週たまたまクローズアップ現代で、このお話をさせていただいたきましたが、放映後、電話の問い合わせが多く、初めて知財の存在を知りましたという育成者の方など、いろいろな事例がございました。
 こういった意味で、知的財産の制度が非常に複雑になっておりますので、国民の方が相談できる知財110番のような電話を開設して、この問題何法で解決したら良いのか分からない、何が問題か分からないといった状態から対応できるような、そういうシステムがあったらいいんではないかなというふうに思いました。
 2つ目、海外へ日本の農林水産物の発信が重要だと思います。草花を調査していて思ったんですけれども、日本は豊富な遺伝資源をたくさん保有しますので、野菜についても非常に世界から見ても特有な遺伝資源があります。これを守りながらいかに輸出するか。こういった戦略が非常に重要だと思います。あと、外国に出すときなんですけれども、生ものは輸出の仕方が非常に難しい、デリケートな部分がありますので、この意味でも農商工連携をして技術開発によって、生鮮食料品が新鮮なまま輸出できる、こういったところが重要だと思います。あわせて、税関でとめるには、遺伝子のキットとか、こういったものの開発が必要ですので、この意味でも農商工の連携が必要だと思います。
 4点目、コンテンツとの連携が必要ということは思うところです。日本ブランドの発信をコンテンツとか食とか分断しないで、こちらで書いてありますように、パッケージで出す時代ではないかなというふうに思います。
 今、山形県を追いかけていておもしろかったのは、昔、日本でもアジアでも大ブームを起こした「おしん」で観光誘客をかけているんですね。今年7月に都内の劇場でおしんの舞台が上演されるんですけれども、そこに台湾とか中国とか、おしんが30回近く放映されたところに誘客をかけるという手法を取って、あわせて山形の農産品も売ろうという、そういう動きが出始めています。こういったところでコンテンツと農林水産物と観光のコラボが注目されると思います。
 5点目が、ちょっと先ほどの報告書とも関係あるんですけれども、携帯端末のマルチメディアの懇談会、こちらの構成員をさせて頂いていますが、やはり端末フリーのデジタルコンテンツの流通というのが喫緊な課題で、だからこういった意味で、ジャパンブランド、日本ブランドを考えるときに著作権法の改正、これがちょっとネックになっている部分もあるので、あわせて迅速な対応をお願いしたいというふうに思います。
 以上でございます。

○久保利会長 ありがとうございました。
 全くおっしゃるとおりだと思います。
 ほかの委員の方、どうぞ。
 浜野先生お願いします。

○浜野委員 商標について補足的な意見ですが、「クレヨンしんちゃん」が中国で商標をとられていますし、かつて社会主義国が崩壊したとき「ブリヂストン」という商標がとられました。これは大統領に直訴して何とかブリヂストンが使えるという状態になっています。かつて「MANGA」という言葉が商標としてヨーロッパで押さえられようとしたときに、里中先生が努力されて、マンガという言葉は今でも自由に使える状況です。前回も言ったんですが、商標については国際的なルールをつくらないと、ブランドとして価値があるものは全部押さえられる可能性があります。知られていない多くの事例があると思いますので、ぜひ商標については国が対応していただきたいと思います。
 もう一つ、日本の食のことです。海外で高い評価を得るようになっていますが、外務省の方に聞きますと、日本食についての講習をやってほしいという依頼が大使館にあっても、対応できない状態にあるようです。小さな国は大使館のスタッフで対応するしかないそうですが、大使館にいる料理人は洋食について服部先生の学校で学んだ若い方が中心なのだそうです。その上、料理人を置いているときには制度的に大使の私費で雇っているといいます。そのため、大使や公使の奥様とかがボランティアでやられるのだそうですが、教えることをトレーニング受けていないわけです。要望は多いのに、制度的に応えられない。
 ニーズに制度的に対応できるようにしていただきたいと思います。
 以上です。

○久保利会長 ありがとうございます。
 お名前の出ました服部委員いかがですか。

○服部委員 今、浜野先生が言われましたけれども、我々のところに大概、カナダ大使館とかフランス大使館とか、各国の大使館から直接、日本の大使の料理人を用意してほしいというものと、もう一つは直接、日本の大使館からヨーロッパへ行く人の要請があります。政府が絡んでいる場合と、絡んでいなくて、個人的に大使のほうのポケットマネーで出すというシステムがあります。ですから、我々も国が明確に国の予算で料理人を雇ってくれればと思います。
 それともう一点、全体的に最後におっしゃっていただきましたけれども、分野横断的なということですね。日本ブランドの確立と発信の強化には、その関係省庁の連携が不可欠だと思っています。今までもいろいろなところで一本化されていないんですね。海外の人たちを呼んできたり、また向こうへ行った場合に。本当に片方の省庁は一生懸命なんだけれども、片方は知らないことが多いのです。同じ省庁の中でも部署によって一本化されてなかったり、上は理解していても末端まで浸透していない場合がありました。だからこれをきちっと確立していただきたい。それには事例はいくつもあるので、そういう場合にこういう事例のときはここがまた動いてほしいとか、例えば「ようこそジャパン」というキャンペーンをやっているにもかかわらず、飛行場でイミグレーションが十幾つあるのに2つしか開いていなくて、1時間近くかかって出た途端に、バスは今日は終わりでございますと言われたと。フランスの観光局長が「ようこそジャパン」と言っても日本は、本当に外国人を受け入れる気持ちがあるのですかと怒っていまして、「何だ、日本は」おかしいと言っていました。末端までその指令が行っていないのかと言われました。特にキャンペーンならば上から下まで統一すべきではないのかとです。ですからそういうのが有機的につながるような、そういうものを日本は早くしないといけないんではないのかなと。
 その他に外国の人が日本に来た場合に、不便を感じるんです。我々外国へ行くといろいろ外国人に有利なことがあるんですが、日本ではまず携帯電話です。外国の携帯電話は使えません、日本では。電波の関係でしょうが。それと、カードでお金を下ろせるようになっていないんですね。特に銀行からは下ろせないんですね。最近はコンビニへ行くと下ろせるようになりました。それとか、我々日本人が1万円持っていくとおみやげ店ではおつりはユーロでくれたり、ドルでくれたりするんですが、外国の人がドルとかユーロを持ってきた場合に、お土産屋で外国の金銭ををおつりとして日本円であげることもできないし、外国旅行者も日本の店もギブアップなんですね。
 もっと日本に人を呼んでほしいということを言われますが大変難しいと感じています。昨年、観光立国基本法というのができましたが、現在、830万人ぐらいの外国の人が日本に来ています。これを1,000万人にしようという話なんです。日本は1,900万人ぐらいが外国へ出ていきますね。しかし外国観光客をもっともっとふやすためには、そういうインフラをもっと徹底的に各省庁で協力し合うというところにポイントを置いていただければなと思っております。
 よろしくお願いします。

○久保利会長 ありがとうございます。
 太田委員お願いします。

○太田委員 このデジタルコンテンツのまとめを拝見していて、総論のところの1、2、3というところが、我々ファッションのデザインの関係と非常によく似ている現状だなというふうに思いました。ファッションを取り巻く環境は激変している。それから強みを最大限に発揮しなければいけない。グローバルにビジネスを展開する、乗りおくれているということはまさしくファッションの世界でも同じかなというふうに拝見しました。
 二、三点あるんですけれども、1つはやはり著作権の問題で、だんだんやはり優れたデザインが、大量に後発の巨大な生産拠点でもってコピーされるということが、非常に露骨になってまいりまして、実はフランスのオートクチュールの協会が各国に呼びかけて、アメリカの議会に著作権改善というんですか、そのファッションデザインにも著作権があるというような運動しようと。そのロビー活動をしようということを各国に呼びかけて、アメリカのデザイナーの協会、日本の協会、いろいろなところに呼びかけて、用意ドンでスタートしました。
 その中で、そのロビー活動に準備金としてこれぐらい出せないかということが出てきたんですけれども、日本の我々の業界というのは、小さい会社の集まりですからとても出せません。結局、フランスのオートクチュール協会というのは、政府が限りなくバックアップしている協会なので、そこと巨大な資本が入っているアメリカとが連携して、議会に対してロビー活動を始め運動をしています。日本としては、単なる小さなデザイナー企業たちだけではとても負えるような問題はありませんので、ぜひ政府機関のバックアップがなければ、世界と連携して著作権の問題は我々は闘えないということなので、ぜひ何か方策はないかなというふうに思います。
 それからこのペーパーにも「在外公館における支援の充実」とありますけれども、実はちょうどパリコレクションが終わったばかりで、帰ってきたばかりなんですけれども、パリでデザイナーたちが、我々もそうですけれども、ファッションショー等をやる場合に、古いパリの公的な建物をがんがん利用させてもらっているんですよね。私どものファッションショーもこの間は人類博物館というところでやりました。写真の博物館だったり、ルーブルだったり、いろいろなところでファッションショーの場所として提供してもらっています。
 ファッションショーの場所としてはどうかと思うんですけれども、実はパリにある日本大使館というのはフォーブル・サントノーレという、ファッションのブティック街のど真ん中にあって、絶好の場所なんですね。「在外公館における支援の充実」と今日の資料にあるんですけれども、別にファッションショーがいいとは言いませんけれども、なんかジャパンブランドをもっと推進する拠点として、このど真ん中にあるフランスにある日本大使館というのは、もっと協力してもらえないものなのかなと。
 とにかく、フランスはやはりモードが一つの産業、文化的誇りですから、いろいろな建物を開放しているんですけれども、東京ではなかなか貸してもらえないし。大使館等もいろいろな話はあるんだけれども、結局具体的に話は一向に進まないんですね。だから、なんかどこかで突破口を開いて、連携をしながら食とかいろいろなものを含めて、何かそこから世界に発信していく拠点をつくれたらなというふうに思います。
 もう一点、このところやっぱり世界を回っていて、もう一遍、このメイド・イン・ジャパンの復権というのを、これはどの産業も同じだと思うんですけれども、掲げてはどうなのかなと。例えば昨日か一昨日でしたか、アメリカの優れた企業というところで、アップルが第1位になっていましたけれども、この間、出たばかりのノートパソコンをアップルの方が持っていらっしゃって、本当に封筒の中にすっと入る。見てびっくりしましたけれども、こういうのは本当は昔日本がとっても得意だったはずなのに、これは日本ではできないなと。やっぱりさっきの世界から見た日本の中に、家電製品というのは中国にちょこっと出てくるだけで、ほとんど出てこない。昔だったらこれたくさん出てきたと思うんですよね。各国の日本に対するイメージの例として、各国がこれアニメ、マンガといっぱい書いているんだけれども、実は家電は随分前にあったはずなんですよね。これがやっぱり消えていったということは、メイド・イン・ジャパンはかなり地盤沈下をしているなと。やはり日本でやっぱり物をつくっていく、日本の美意識と日本の技術と、それからやっぱり日本の何かしら納期を守る生真面目とあわせて、やっぱりもう一遍どの産業も含めて、メイド・イン・ジャパンの復権というのをなんか大きな柱として、コンテンツも食も含めてなんかできたらいいんではないかなと思います。

○久保利会長 ありがとうございます。
 里中委員お願いします。

○里中委員 先ほど「マンガ」について登録されそうになってというお話が浜野委員のほうから出ましたので、ちょっと補足で説明させていただきますと、もうはるか昔のことで、ちょっと記憶がぼけているところがあるんですけれども、イギリスの出版社がマンガという言葉を商標登録しようとしました。それを教えてくれたのは、イタリアとかフランスの出版関係の人たちで、何とかしなければいけないんではないかと。何とかしなければと言ったってどうしたらいいんだろうとわからなかったんですが、当時やっと普及し始めたインターネットを使って、ヨーロッパのマンガファン、あるいは同業者たちに呼びかけて、マンガという言葉は日本語である。しかも一般名詞である。それを登録しようとはどういうことだみたいなことを、とにかくわあわあ言おうという、非常に原始的な方法なんですけれども、とりあえず急いでやれることはそれしかなかったということなんですね。
 ところがこのわあわあ言うのがやっぱりききまして、イギリスは取り下げたんですが、イギリスの出版社は独占するつもりではなかったということで、無事おさまったんですけれども、簡単にいうとこういうことですが、結局おさまるまで半年ぐらい騒ぎが続きましたが、ここで問題は、イタリアとかフランスがどうしてわざわざこっちに教えてくれたかというと、マンガ文化を公平に守るためというよりも、どうもその言語を押さえられると、自分の国でマンガとして売るときに非常に不利になるという、やっぱりそういう戦略的なことからこちらに味方してくれたということがあるみたいなんです。
 だからみんななかなかしっかりしているなと思うのは、きれい事ではなかなか動いてくれないということですよね。ですから今ここで語られているさまざまなこと、日本のブランド、コンテンツを守ろうという、それはだれだって守りたいんですよ。でも現実には守り切れなくて、よそに渡してしまったという状況がいっぱいあると思います。特に中小企業においてそれは顕著だと思います。タオルといえば四国、今治は今でも頑張っておりますけれども、かなり大きな業者さんでも実は機械はもう国内にないと。もう全部中国に拠点を移してしまったと。もう一度戻せませんかと言ってももう無理だと。若手が育っていないからつくれないというわけですね。こうやって滅びていくわけですよ。
 先日も日本で最古のステンレスの型をつくるメーカーが、韓国の業者に買収されてしまった、新潟県のほうですかね。そういうふうに海外は日本の物づくりの技術を、金で手に入るんだったら自分のところの企業にしてしまおうということが、今どんどん行われているんですね。その中小企業を応援する仕組みとして、新銀行東京はいろいろありますけれども、やっぱり税制の優遇措置とか、そういうことで守っていかないと、農家も含めて技術というのはどんどん廃れていってしまうと。若い人たちが後を継がないのは、その職業に経済的魅力がない、苦労ばかりで報われないとなると、真の魅力を知っている海外に買われてしまうということがあると思います。何でもかんでも税制優遇措置がいいとは思いませんが、せめてマイスター制度、日本語でいうと「匠」ですよね。そういうものをもう少し広めて生涯年金かなんかつくとか、いろいろなところでうまくお金を使えば、そっちに回るような気もしないではありませんので、安全・安心な農作物を効率よくつくる農家の人とか、ずっと守ってこられた方とか、あと日本食というのはこの日本食というお料理だけではなくて、日本の食材というのも私たちが思っている以上に信頼を得ていますし、日本の食材を使ったイタリア料理とかフランス料理とか中華料理とか、そういうこともいっぱいありますし、中華料理だって最高級のお店でのアワビとかフカヒレとか、そういうのは全部日本産なんですよね。それは昔から伝統的に信頼がありますので。そういうふうにいろいろありますので、今風前の灯の中小企業とか培われてきた技術とかを、何とかプライドとともに経済的にも見返りがあるようにと思います。
 あとファッションでも海外に向けて、やっぱりこれはメイド・イン・ジャパンなんだということを強く知らしめていただきたい。日本に来て買う方もいるわけなんですけれども、例えばイッセイミヤケさんのところでいつもタグにちゃんと日本製と書いてあるんですけれども、日本製の下にメイド・イン・ジャパンというのも入れていただいて、日本人は日本製とわかりますけれども、思ったよりも海外のお土産として買われているので、みんな各業界がこぞってなんかどんどんやっていければいいなと。日本製であるというマークもどこかに目立つように入れられればいいかなと思います。
 その他、在外公館なんですけれども、一つの例としまして、かつて中国の北京にある日本大使館で、オープンスペースを借りて、日本のマンガとジャパニーズポップスのCDを自由に聞ける、マンガが自由に見られる、アニメビデオが自由に見られるということ、現地の若者に開放したわけですね。それは大使館の中ですので、セキュリティの問題もありますけれども、外から入りやすいところということで開放したわけです。でもそれに国の予算が出なかったので、みんなで寄附したという、情けないありさまなんですけれども、それは結果的によかったと思うんですよね。そういう試みを在外公館でどんどんしていただきたいと。結局は、それが商業的な価値を生んでいく長い道のりになるわけですから、今受けている国ではなくて、まだ浸透していない地域、アフリカとか中東とかそのあたりで、積極的にやっていただければなと願っております。

○久保利会長 ありがとうございます。
 それでは、廣瀬委員お願いします。

○廣瀬委員 廣瀬でございます。2点ございます。
 ブランド戦略に関してですが、食文化、地域文化、ファッションとありますけれども、この境界の部分が多分あると、いろいろ出てきますね。したがいまして、とらえ方としては日本のライフスタイルという全体的なとらえ方をして、その中でこういうものの位置づけがありましたら、出てきたものの統合的なイメージというのがはっきりするのではないか。先ほどメイド・イン・ジャパンというお話もありましたけれども、言ってみればジャパンスタイルという、ライフスタイルをブランド化していくと、こういうまとめ方というのはわかりやすいかなと、このように思っております。
 2つ目は、本年の活動と来年の活動のブリッジのところでございますが、ブランド化されたものをどうやって知的財産として確立するかというところが、とどのつまり行くところだと思います。したがいまして、ブランド化していく、あるいはブランド化されたものをいかにコンテンツとして定義し、そのコンテンツとして定義されたものに権利を付与して、権利を付与されたものをどのようにアーカイブ化するか。アーカイブ化して、それをネットワーキングすることによって、外に出ていく、あるいは共有化するという。このブランディング活動の下支えといいますか、裏方といいますか、そういうものとの組み合わせによって、ブランディングされたものが日本の知的財産権利としてはっきりつながっていくという、そういう道筋ができると非常にいいんではないかと、このように思っております。

○久保利会長 ありがとうございます。
 それでは、重延委員お願いします。

○重延委員 重延です。今回の流れはすべて迎えたいと思うものでございますけれども、私のほうはできるだけ実際に実行したらどうなるかという観点で、今、JAPAN国際コンテンツフェスティバルのエグゼクティブプロデューサーという形で実行していこうと思っています。
 昨年、実行したことに関して、まず各コンテンツ産業が連携できるかというテーマで入っていまして、ある意味では同じ方向を向いてきたなという予感はありますけれども、一部マスコミには統一感がないという意見もありました。私は2年目にあえて統一感はないという形でいきたいと、拡散したいと、こういう考え方です。ですから、そういう考え方で今日の会合の中での日本ブランド、いろいろなものが集まってリンクするというか、連携するという言葉も生まれて、これはとてもいいことだ。さらに横断的な―省庁だけではないと思いますけれども、そういうネットワークが必要であるというのは、まさにその流れになってきたなと思って、とてもうれしく聞いておりました。
 2年目に、コ・フェスタ(JAPAN国際コンテンツフェスティバル)が入りまして、私のほうからは前回申し上げましたけれども、人間のためのコンテンツということを一つテーマにしていきたい。それは競争するだけではなくて、人間社会を魅力的なものにするというコンテンツの方向に行ってみたいという考えでおります。「人間的な」というからに、まさにいろいろなカテゴリーが入ってこなければいけないので、もちろんそういうカテゴリーでつくろうと思います。きのうのある会議で(雑談にちょっとなりますけれども)おもしろかったのは「日本人の才能って本当にすごいだろうか」という話をして、結論を言えば、「すごい」ということになりました。これはやっぱり世界の中で非常にオリジナリティーがあるということは、多分、皆さんおわかりだと思いますけれども、例えば俳句、それと携帯小説、こういうところが意外とつながっているんではないかという話でした。俳句という五、七、五で詩を言えるのは世界で日本人だけだろうと。そういう感性が、結構日本人全体にあるんだということのすごさというのはすごいんだ。こういうところは見逃したくないなという話もありました。
 それから、最近裏道で外国人を見ませんかという話になって、確かにそうだと。表通りだけではなくて、裏通りを歩いている外国人を見るようになった。これはある種の日本人の魅力が自然な形で伝わっているかもしれない。それからさらに、外国人と日本人のカップルが電車に乗ったりしていませんか。確かにそうですね。昔はあまりなかった。そういうことが次第に変わってきて、これを21世紀型と言って、私は2年目のコ・フェスタはそういうことをしっかりと、日本人の才能を非常にいい形で自然な形で、競争ということではなくて、本当に魅力があるという形で世界に出したいなという具合に思っています。
 今、いろいろなカテゴリー、ジャンルの方々がいますけれども、最近やっぱり印象的なのは、デザインの世界なんですね。もちろん、それまでは建築とか、ファッションとか分かれていましたけれども、最近、デザインの世界ってあまり20世紀型の既成構造に入っていないところから来ている方たちが多くて、若い人たちは結構そこに来たがって、彼らの考えるアートディレクションの概念とかいうものがすごく新しいという気がいたします。これは概念、哲学なんですね。その中から生まれる、やはりいろいろなデザイン、インテリアデザイン、もちろん建築も入ります。それからプロダクツ、すごく今の若い方たちの中で、いい形で動き始め、世界でも認められている。レストランデザインもそうですよね。非常に世界で迎えられているという形がもう動いているので、もしかしたら既成の構造からではない、新しい日本人の才能は動き出しているという予感もいたしまして、逆にそれに教えられて、新しいそういうコンテンツ産業をつくれるんではないかという予感がしておりますので、ぜひそれが日本が魅力的であるという日本ブランドという形で、横断的に、リンクして、加えて人間的にというところで動ければ、この会合は特に横断的な構造でつくられている会合ですから、ぜひそういうことを推進していただきたいと思いました。

○久保利会長 ありがとうございます。
 それでは、中村委員お願いします。

○中村委員 中村でございます。取りまとめに当たられた事務局の皆様、関係者の皆様のご努力を多とするところですが、総合力を発揮するという観点で、抽象的なコメントになりますけれども、3点申し上げます。
 1点目は先ほど太田委員のフランスのお話に触発されてのことなんですけれども、先月パリにありますINA、国立の視聴覚研究所に行ってまいりました。そこではフランスのテレビの番組アーカイブ10万作品がネットで一挙に公開されておりまして、INAというところは70年前の番組からずっとコンテンツを所蔵してきて、所蔵品が400万時間あるんですけれども、今も地上波だけではなく、衛星も含めて87チャンネルのテレビのコンテンツをずっと蓄積していて、それを権利処理できたものからネットで配信するということをやっているわけですけれども、それが国立の研究所です。国がやっているわけです。それを十数年かけてずっとやってきておりまして、ビデオテープをずっとデジタル化するということ、あるいはメタデータをくっつけるということ、さらにはその画像表示の研究をするということをトータルにやってきて、配信に踏み切っているわけです。
 そのように、国としてのコンテンツに対する強い姿勢がうかがえる事例でありまして、日本も国として力の入れ方が今問われているというふうに感じました。
 2点目は、今の重延委員の日本文化に関することに触発されてのことなんですけれども、NHKに「cool japan」という番組がありまして、私もたまに出演をしています。それは日本に住んでいる外国人の方々が、日本のクールなところ、おもしろいところ、ポップなところを述べ合うという企画なんですけれども、そこでいつも議論をしていて、私も強く感じます。最初の議論は、マンガやアニメやゲーム、あるいは携帯といったメディアに関することが多かったんですけれども、それに加えて食べ物やファッション、あるいは工業デザインとか、建築とか、風俗、生活といったものも、すべてフラットに彼らは日本はクールでおもしろいというふうに評価をしているということ。
 それからもう一つは、裏原宿のような現代ファッションや、あるいはジャパニメーションのような現代表現だけではなくて、伝統的な着物であるとか、歌舞伎のような表現もトータルにフラットにおもしろいというふうな見方を彼らはしておりまして、我々もそれを受けて、トータルなブランド戦略ということを打ち出していくことが大事だなと最近よく感じています。この専門調査会は、コンテンツ、中ポツ日本ブランド専門調査会です。この中ポツを早くとるという工夫を我々はしたほうがいいんではないかなというふうに思います。
 それから3点目は、服部委員がおっしゃった、官庁の縦割りについてのことに触発されて言いますけれども、非常に今我々が議論していることは、内閣官房らしい仕事であって、もう縦割りの限界を打破して、かつハイレベルの戦略を立てるということがミッションとして必要であろうと。したがって、例えば先ほども縦割りの省庁の関係をどのように横にするかという話がありましたけれども、横割りの役所の連絡組織のような明確なものをつくられたほうがよいのではないかということと、しかも首相に近いところで力のある推進力といいますか、突破力を発揮していくことが必要。例えば、日本ブランドの担当閣僚など明確な姿なども模索されていいのではないか。横割りにしてハイレベルということを期待する次第です。
 以上です。

○久保利会長 ありがとうございます。
 次は南場委員お願いします。

○南場委員 ファッションについて、特に「東京発ジャパンファッションウィーク」、こちらでも2回言及されていて、大変心強く思いました。たまたまここにパンフレットを持っているんですけれども、恐らく日本は所得格差が非常に小さい中で、順調な経済発展を遂げたということから非常に民度が高く、世界中のお金持ちが日本で何が売れるかということを注目しているという事実があると聞きました。実際は中にいる日本人が認識している以上に、ファッションの領域などは非常に日本が強いところではないのかなと思います。
 食に関しても同じで、今まさに安全で健康な食生活に関して、世界中の余裕のある人口が日本に目を向けています。日本人は寿命も長く、非常にスレンダーです。年をとっても、体型を維持して健康的な生活を過ごせているというところで、やはり世界からの注目が得られているんではないかと思います。
 ですから、今回のファッション、食、そしてコンテンツというこの3つの領域をカバーして、日本が全世界に発展していくということをうたっているということは意味があると思っています。最近、上場企業として自社の投資家の3割が海外の投資家である中、いろいろな状況から海外の投資家さんが日本売りというのを行っていると感じています。政策的にも海外から随分と強い批判を受けています。このような状況の日本においては、弱い部分や暗い部分をどうするかということよりも、政策として強い部分を伸ばすという、伸び伸びとした政策のほうにシフトしていくということが、重要な局面ではないのかなというふうに思っています。
 また、アニメ、マンガ、映画、音楽、ゲームとコンテンツのところで列挙されているんですけれども、加えてデジタルのコンテンツに関しては、プラットフォームの領域が重要ですが、ここではなかなか海外進出ができていません。例えば、イーベイですとか、ヤフー、マイスペース、それからセカンドライフや、フェイスブックなど、プラットフォームに関してはアメリカ発のプレーヤーが日本にも参入してきているんですが、その逆の、日本から世界への発展はなかなか起こっていません。ぜひこれも視野に入れていただきたいなと思っています。日本は非常に恵まれているのですが、国内の市場がそこそこ大きいということで、国内で成功すると、企業としても黒字にはなるし、上場もできるし、成長もある程度継続できるということで、国内のみに目が閉ざされがちでます。特に私どももプラットフォーム提供者として反省している点です。
 一方で、市場がそれよりも大きい米国に行って同業他社、同業の仲間たちと話をしていますと、創業当時から世界を視野に入れて、競争戦略、成長戦略を考えて、そういう戦略を前提としてファンドからお金を引いてくるということをしています。そこそこ市場が大きいがゆえに、日本の企業はゆでガエルになりやすいのではないかと感じています。一方でもっと市場が大きいのに世界に目を向けている米国のプレーヤーがいる中で、もう少し事業者自身も世界に目を向けるということが必要ではないでしょうか。そのための刺激や、指導あるいは何らかの国の政策によって海外に目を向ける事業者を促進することが求められるのではないかと思っております。以上、一事業者としての反省も含めての発言であります。

○久保利会長 ありがとうございます。
 今まで日本ブランドということで、お話をお聞きしてまいりましたけれども、コンテンツの話も含めて、映像コンテンツのことも含めて、それこそ中黒ポツをとれという中村委員のお話もありましたので、共同で結構でございますから、和田委員からお願いしたいと思います。

○和田委員 2つございます。先ほどの中村委員のお話とほとんどかぶるんですけれども、1つ目はやはり国としての姿勢、ブランドをどう推進していくかということが非常に重要でございます。大向こうがうなるような施策というのもあるんでしょうけれども、まずは国が認知するということが非常に重要なのだと思います。養育費をくれとは言っておりませんので、認知してくださいということなんだと思うんですね。
 つまり、ここでされている議論がどれぐらい組織の中で浸透しているかということなんだと思います。私も在外公館に2年ほどいたことがあるんですけれども、もう強烈な温度差でございます。本省と在外公館の間の温度差、それから省庁間の温度差、ものすごくです。だからここで議論がされているということ自体は非常に重要で喜ばしいことなんですけれども、きちんと国として認知するかどうかということが重要で、その際にはいろいろな資料の中に別にこのテーマではなくても、この手のことが書いてあるというのが、わりと重要なんではないかと思います。なかなかこういう場での議論の取りまとめということになると、文章の中にこういった単語を使いましょうというのもいささか行き過ぎのようにも見え、書きにくいと思うんですけれども、実務的には非常に効果があるんではないかと思っております。
 それから2つ目がこれも中村委員と同じで、コンテンツとブランドの中ポツという話です。そもそもこれが中ポツであるにしても同じ場所で議論するように場を設定なさったということは、そもそも問題意識として同じだということでいらっしゃると思いますし、それからこの横長の最後の資料なんかも一体的にということをお書きになっていらっしゃいますので、そういう問題意識はお持ちだと思うんですけれども、その際にも、いろいろな文章の中での記載ですとか、物事をしゃべったりするときに注意しなければいけないのは、対義語にしてはいけないということだと思うんですね。例えば、食文化、地域ブランドといったところと、私どものようなアニメ、ゲーム、マンガといった、いわゆるポップカルチャーと言われているところは、伝統と現代とか、この辺はまだいいんですけれども、芸術と経済とか、本流とインチキとか、いろいろ対義語で説明しようとすると、やはり最後まで中ポツついたままになってしまいます。国外から見れば、同じ日本のブランド、日本ってこう見られているし、日本がこの部分において期待されているということが全く同じなんですよね。
 欧米の若者なんか、アジアもそうですけれども、お話ししますともう全く同じです。まさに先ほど委員のおっしゃったとおりでございまして、区別なんかついていないんです。このように両者が同じく日本ブランドだという認識に立った上で、敢えて、分けて議論する理由を整理しておかなければいけないんですけれども、これは一言で言うと、ブランドを構成している広義コンテンツの中で唯一蒸発しない。データがデジタルであるということと、それからネット環境その他で相当いろいろなところに飛んでいってしまうということでもって、情報が反復するとかコピーするとか、一発でいろいろなところに飛ぶとかいうその一回性ではない、蒸発しないということにおいて特殊であるから、その部分については特殊な議論をしなければいけませんねということであって、あくまでもそういう極めて情報として揮発しないという特殊性があるがゆえの技術的な側面であるということを理解しておく必要があります。つまりブランドとしては一緒なんだけれども、一種、特別な小委員会としてあるという、そんな位置づけとして考え、我々のほうで整理できればなと思っております。対義語でやってしまいますと、どうしても最後までこれはついたままになると思いますので、かえって世界が求めているものとずれるということを感じました。
 以上でございます。

○久保利会長 ありがとうございます。
 では宮田委員お願いします。服部委員は一遍ご発言になっていますので、最初の方からお願いします。

○宮田委員 宮田でございます。ちょっともう一度元へ戻りたいなとちょっと私思いまして、たまたま日本人の美学というのを考えたときに、小さきもの、美しきものというふうなことがあって、それと同時にマイナス志向で持ってきたものに対して、プラスに考え直したらもっとおもしろくなるんではないか。だから日本そのものが資源がないのに、それを無から有にする。これもまた技なんです。それの辺の3つを構成していきますと、今、東京芸大が横浜でいろいろな展開を、まさしく日本コンテンツ、それから……ファッションだけやっていないんですが、それ以外のことを大きく展開させていただいております。先生方のお力も今後ぜひともお願いしたいと思っております。
 その中の一つで、ちょっとおもしろい出来事だけお話しさせてもらいます。秋にポケットフィルム・フェスティバルというものをやらせていただきました。それは何かといいますと、携帯を使って映画をつくったんですね。世界中の人からほんのちょっとの募集だったんですけれども、すごい量が来ました。でかいカメラを持たなくていいんですよね。携帯で映像が撮れて、それが数十秒の映画から、2時間までの映画ができる。これはとてもすばらしかった。それをソフトは数千円のソフトで、編集もすべてできる。秋葉原あたりで全部売っています。そういうことを見ますと、無から有をつくるときに、とってもおもしろいこの新しいブランドの戦略ができるのかなと。携帯の映像というのは、まずとりあえず怪しいというところから来るじゃないですか。それをすごく芸術なんだというふうなとらえ方ができているあたりというのは、とてもおもしろいとらえ方かなと。それから、新しい資源、無から有を生む、資源のないところから世界発信ができる知恵を持った日本人であるということが言えるのかなと思っております。
 一例なんですが、屋上から人が落ちるシーン、携帯をそのまま下へぽんとスイッチ入れたまま落とすんです。物すごくおもしろい映像ができるんですね。そこから前後の物語をつくるとか、しかもそれが若者、特に中高生が物すごく応募してくれたということも、これからの新しい日本ブランド発信の中のきっかけになるのかなと思います。
 ごく一例ですが、いろいろな意味で先生方はこれをお使いになられたら、ここからヒントが得られるのかなというふうに思いました。
 以上です。

○久保利会長 おもしろいお話ありがとうございます。大変参考になります。
 では、服部委員、恐縮ですがよろしくお願いします。

○服部委員 実は先ほど来より各先生方からも出ていましたけれども、海外に日本の文化等を発信するのが弱いような気がしていまして、実は近々我々は、JRO(日本食レストラン海外普及推進機構)のイベントや来年2月に予定している世界料理サミットというのがあるのですが、このイベントにはわざわざ海外から食関連のマスコミを招待します。日本に海外のマスコミ……いわゆる特派員がいるのですが、特派員の中には料理に理解を示す人もいるんですが、スポーツとかほかのものの文化にしか興味を示さない記者も多いので、これらのイベントには、あえて現地の、食に関したことを専門に書かれる方を呼ぼうということになったのです。
 しかし、世界料理サミットは個人のお金を使うんですね。そうすると、あご足つきで京都や大阪まで連れていくためには、新幹線やバスを用意するのです。ところが海外からこのところ呼ばれて、日本の食文化のためにこの六、七年毎年行くんですが、向こうが全部費用をみてくれます。そのときに必ず言われるのが、食の専門のマスコミを連れていらっしゃいと。その場合は、そのイベントの主催団体が、その旅費を支払うのではなくて、その国から費用が支払われるシステムになっています。日本のプレスはそこに申し込むと費用が出るのです。だから一切、催し物を考えたところはお金を出さずに、国が肩がわりをするのです。
 来年の世界料理サミットでは外国のプレスを招待するために約3,000万ぐらい使うんですね。ですから、国が援助してくれるようなシステムを設けてほしいと思います。別に食とは限らず、これはいろいろなアニメもそうですし、日本の文化を向こうのアニメに本当に特化すれば、そういう文化に興味を持ったマスコミを呼ぶことでさらに日本の知的文化を世界に広げるいいチャンスになれば、日本のためにもなるわけですから。。あと食料自給率が39%しかなくて、輸入61%ですよね。食料自給率39%を47都道府県で割り振りますと、東京は1.2%しかなくて、一番高いのが北海道で192%で、大阪も2%、神奈川県3%、とそういうことになるんです。その様な状況の中で、日本のおいしいブランドを世界に発信しようということです。確かに日本産は品質がいいものが多いのですが、しかし、ヨーロッパのコーデックス委員会で引っかかるものがあるんですね。これは加工食品が多いんですが
、コーデックス委員会と同じぐらいのレベルで考えられるような品質が必要ではないかと思っています。
 あと、フランスに食品振興会というのがあるんです。これは今日本にもありますが、世界39カ所、支部を持っています。そして、日本ではもう30年来、我々にフランスの食材の提供であるとか、新しいものが出ると知らせてくれています。そして向こうからシェフも呼んできます。我々のような学校を使って、講習会もやりながら発信させていくわけです。そのときに、日本食レストラン海外普及推進機構という、できたばかりですけれども、今回3月27日、28日、国際フォーラムでイベントを行うんです。そのときに海外から40人ぐらい外国の人を連れてくるわけですね。それもマスコミも含めて連れてくるわけです。先ほどちょっとお話ありましたよね。せびって費用をもらってしまうような、そういうつもりではないんです。ただ、こういうものを民間でやっていて、力がある程度出てきているんですが、もう一つというところに、国が協力していただけるような制度を作ってほしいのです。それはきちんと精査して選んでいただければいいんです。そういうことを含めて、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

○久保利会長 ありがとうございます。
 では、三尾委員お願いします。

○三尾委員  先ほど浜野委員と里中委員のほうからお話があった商標について、少しお話ししたいと思います。
 今、現在では商標法というのは属地主義で、各国ごとに判断されるということになっておりまして、各国それぞれの国において普通名称なのか、著名商標なのかということの判断は、非常に難しいではないかというふうに思うんですね。それぞれの国の国民が判断するかどうかというところが、主な争点になるかと思うんですね。
 商標とドメインに関する裁判を行ったことがあるんですけれども、そのときにその商標が、中国では普通名称がどうかというのが争点になりまして、非常にそれを調査するのが大変だったんです。よくわからなかった。中国語もわからないような代理人だということが実は問題なのかもしれないんですけれども、非常に情報としては少なかったということがありまして、結果的にそういう少ない情報であれば、普通名称にはならないとは思うんですけれども、労力としてはやっぱりかなり大変だったんですね。
 属地主義で各国ごとの判断なので、各国ごとに判断が分かれるということは、そうなってしまうのはやむを得ないかとは思うんですけれども、ドメインや商標を付加して、グローバルに商品を販売していくということが、今後どんどん広がっていくと思いますので、そのあたりは国とか各国の特許庁レベルの情報交換というか、、著名商標や普通名称に限ってでいいと思うんですけれども、国際協力をしてうまく情報を共有化し調整できるような仕組みが、もしかしたら必要なのではないかなというふうに思います。

○久保利会長 次は角川委員お願いします。

○角川委員 今、すばらしい意見が幾つも出ました。それで総括すると日本のライフスタイルを知財化して、ブランド化する。そんなふうなことが一つの結論ではないかと思いますけれども、それも知恵がまた必要になってまいります。その知恵で申し上げますと、知財本部はこれらのいいアイデアを、いかにしてマネタライズするかという視点に落としていくことが必要なんではないかなと。今の貴重な意見を言いっ放しにしてしまうと、それっきりになってしまうような予感がいたします。
 そのためにこういう国として、国益としてこういうふうな意見をマネタライズすると、これだけの産業になるんではないかというふうな視点ですね。そういうことになると、今、私は日本が20世紀は文明国家だった日本が、21世紀になって文化国家、精神文化国家になってきているだと思うんです。機械文明の日本が、21世紀に入って精神文明の世界に入ってきた。それは決して日本だけではなくて、アメリカもいわゆる文明国家だったはずのアメリカが、物づくりが日本に負けてから、急速に知財化をしていきますね。実は、イギリスなども産業革命の後に、非常に文化が栄えます。そういうふうなことでいうと、ベルヌ条約なども結局フランスだとかそれからドイツの文学をどうやって国際会議でもたせるかと、権利にするかということがベルヌ条約というものだと思うんです。アメリカもそういう物づくりから文化という知財に移ったときに、WIPOだとか、WTOを非常に大胆に使いました。
 私はそういう点ではマネタライジングする一つの方法として、やはり日本がこういうブランドだとかコンテンツの国際会議を提案していく。今は海外侵害に対する条約というものを提案しています。それについての成果についてはまだ詳しくは聞いておりませんけれども、それと一緒に、日本のコンテンツ、ブランドというものを守っていくその根底に置きながら、世界のそれぞれの国の文化を保護していくという、あるいは発展させていくという国際会議をやっぱり日本から提唱していくような、そんな今姿勢が必要なんではないかなと。そういう中で、かつてのアメリカの教訓、あるいは韓国の成果、あるいはまたイギリス、ドイツ、フランスみたいなところの過去のそういう成果を研究をしてみて、そこから引き出してくるものが何かあるような気がいたします。

○久保利会長 では南場委員お願いします。

○南場委員 先ほどの発言につけ加えさせて頂きます。大衆のレベルが非常に高くて、日本人が何を買っているかというのを世界のお金持ちが見ているという話を先ほどいたしましたけれどもでは日本にいる私たちは、一方どうやって情報を得ているかというと、比較的ブログから情報を得ていると思います。どんなものがはやっていて、例えば食にしてもそうですし、ファッションにしてもそうですし、コンテンツにしてもそうです。日本の雑誌やテレビが、これがはやっていますよと言う前に一番生の情報をとらえられるのはネットなんですが、ネットの中でも掲示板やブログで、我々日本国内の人間は見ている気がするんです。
 特にわかりやすいのは、食ですけれども、グルメの人たちのおもしろい、今日はこんなものを食べました、これがなぜおいしいかみたいな、延々と書いてあるおもしろいブログがかなりたくさん出ています。それがもし英語で書かれていたら、実は物すごく大きい情報発信力を持つだろうなというふうに思っていまして、今ここで思いついた程度の発言で恐縮ですが、そういう大衆の中のリーダー的ブログが英語に翻訳されるなり―でも本当はもっとおもしろいのは中国語だと思うのですが、翻訳されるというようなことが実現すると、日本の文化が世界を制覇するというのも、相当近道になるだろうと思っております。

○久保利会長 ありがとうございます。
 では久保委員お願いします。

○久保委員 簡単に2点ほど。1点は三尾委員の補足ですが、これは私どもの辞典をつくっているスタッフに聞いたことですけれども、最近、新語を新しく辞書に入れようとすると、入れないでほしいとストップをかけてくる会社がふえてきたそうです。彼らは、辞書に載ってしまうと自分たちが登録した商標が一般名詞としてとらえられてしまう可能性があるので、辞書には載せないでほしいというのですね。辞書を作る側からすれば、ユーザーの利点が増えるようにしたいわけですが、なかなかそうなりづらい状況になってきているとのことです。
 もう一点は、これはフランスでは実際に行われていることですが、海外で自国ブランドを、つまり日本ブランドを一生懸命発信・啓蒙活動をされている方たちをもっと表彰したらよいと思います。自国から頂いた勲章を胸につけながら、日本で仕事をされているフランス人の方が数多くいらっしゃるそうです。日本も海外で誇りを持って頑張っている仲間達をもっと本国から応援してあげるということを、積極的に行って頂きたいと思っております。
 以上です。

○久保利会長 ありがとうございます。
 今、おっしゃったことは、昔から商標のダイリューション、希釈化防止ということで非常にゼロックスとか、リコーとか嫌がって、今もこういう発言をすると後でゼロックスから、この部分はゼロックスと言わないでくれと言われるかもしれませんけれども、非常に大変な問題になっているわけですね。
 では、生越委員お願いします。

○生越委員 今の事例を補足させていただきますと、日本の有名な工業製品の商標が欧州のある国で辞書に掲載されていたことを理由の一つとして商標登録を抹消されたという事件がありました。こういったように、世界的に保護することは非常に難しいなと思うところで、先ほど角川委員の発言で思い出したのが、3年前、私は万国博覧会をずっと調査していたんですけれども、万博という国際会議が開催されるようになって、そのときに新しい技術を展示するので、産業スパイが起こる。そこで世界統一特許法がいるんではないかという議論ができまして、パリ条約につながったという歴史的な背景がございます。
 先ほどおっしゃったように、日本ブランドというか、世界のブランドに関する会議という国際会議を日本で行いますと、やっぱり不便なところいろいろあるから、国際的にいろいろな条約が必要だねという契機になると思います。先ほど三尾委員からあったように、商標はマドリッドプロトコルというのもあるんですけれども、世界的な保護にはまだまだ足りないねとかいうように議論が進むように思います。
 日本ブランドの発信は本当に重要なことですけれども、日本だけということを考えずに、世界のそれぞれの文化が素晴らしくて、それぞれ多様な文化をどうやって保護しようかという議題を日本が世界に持ち出すということは、非常に重要なことではないかなというふうに思いました。
 以上です。

○久保利会長 ありがとうございます。
 本部員の佐藤さんいかがでございましょうか。

○佐藤本部員 各委員からいろいろな論点が出されて、非常によかったと思います。それで今回お話を伺いながら、今感じていることはやはりスピードが大事かなということだと思います。ここにお出での方はほとんど現場において、今物すごく大きく世の中変わっているということを実感されて、お話をされているというふうに思っておりますが、ただ、ここで議論したことが早く具体的な形をつくらないと、間に合わなくなってしまうんではないかということを強く感じております。
 今回、報告書の中でも課題は明確になった。さらにそれに対して委員の先生方からもいろいろな提案、提言がなされている。それを後は具体的にどうして実現していくかということを、もっと戦略本部としては急いでやらなければいけないのではではないかなと思います。
 もともと戦略本部はだれがどのようにいつまでやるかということで、推進計画をつくってきましたこのコンテンツに関しても、それから日本ブランドに関しても、もっとだれがいつどのようにいつやるのだということをもっと明確にしてやっていく必要があるんではないかと思います。もう一つ、国民に対しても、また業界の人たちに対しても、こういうふうに全体が動いているぞということが外から見えるような形を、やはり戦略本部としてはもっと表に見えるように発信していくことが必要です。またそれに必要な形のシステムづくり、また組織づくり、そういうものをやはりしていく必要があるんではないかと思いました。そういう意味で、事務局の方含めて、ぜひその点を推進していただきたい。
 それから、もう一つ、やはりコンテンツの問題は、著作権の制度そのものの抜本的な見直しということがやはり必須だということが、もう周知の事実になってきているかと思います。なかなかそれはいろいろな利害関係があって解決できない部分はあると思いますけれども、ここは何とかできるだけ早く解決しないと、前に進めないというのが本質的な問題だろうというふうに思っておりますので、ぜひこの点についても各省庁、きちんと連携されて進められるように、ぜひお願いしたいと思います。
 以上でございます。

○久保利会長 ありがとうございます。若干の取りまとめを座長のほうから申し上げて、今後の対応も含めて、その上でもし補足のご意見、追加のご意見がございましたらお願いをしたいと思います。
 座長としても先ほど角川委員がおまとめになったように、この専門調査会での各委員のご発言というのは、非常に貴重なものであるというふうに考えています。これを議事録はもちろん公開されますけれども、それで言いっ放しというわけにはいかないというふうに考えておりまして、いずれこの専門調査会から本部のほうに、我々としての意見書を上げていくわけでありますが、その際、まさに今、佐藤本部員がおっしゃったように、一体いつまでにだれが何をするのかと。それはどういう手順でやっていくのかということを、我々としてもぜひ考えて申し上げたいと思いますし、同時に佐藤本部員を初めとして、三尾委員・里中委員・角川委員、中山委員もそうでございますけれども、何人もこの調査会の中に本部員を兼ねる方もいらっしゃいます。そういうことで、本部と連携をとりながら、具体的にこれを進めていく。実効性ある行動をしていく。
 恐らく先ほど来、皆さんがおっしゃっていたのは、決してこの専門調査会の名称から中黒をとれという話ではなくて、考え方の根本として、この日本的ライフスタイルというものをどうやって実現をしていくのか。広く世界に発信をしていくのか。その際に、発信の仕方の問題もあるでしょうし、コンテンツとブランドは、若干それを保護する法律の関係も違うということは当然あるわけであります。
 そういうあたりを含めて、座長としても皆さん方のご意見を踏まえて、事務局とよく相談をしながら、特に縦割り行政の弊害というのは、皆さんがもうそれぞれ異口同音におっしゃっているところでございまして、それをなくすために、推進本部というのはできたとこう理解をしておりますので、内閣府の事務局である推進事務局が、全力でコラボレーションを省庁間でもやっていただくという方向で後押しをしていきたいと思います。委員の先生方にもよろしくご協力、それから委員で本部員を兼ねる方は、ぜひ本部の中で大きな声で発言をしていただきたいと、お願いしたいと思います。
 こういうことでありますけれども、何か追加のご意見がございましたらお聞きいたしますが、今日は若干、後が押しているようでありますので、もしよろしければこの程度で。
 ではどうぞ、角川委員。

○角川委員 デジタル時代におけるコンテンツ振興のための総合的な方策についてというのを読ませていただきますと、かなり法的課題というのも出てまいります。その法的課題というのは多くは、今委員の先生方から出ました著作権法をどうするのかという問題につながると思いますが、知財本部がこれらの検索サービスにかかわる法的課題、あるいはコンテンツ共有サービスの適法化の推進、こういう問題への対応を著作権法の改定に行くのか、特別立法で行くのか、今度の推進計画にきちんと織り込んでいただきたいと思います。

○久保利会長 角川委員、もしご意見がございましたら、角川委員の個人的見解で結構ですからおっしゃってください。

○角川委員 著作権法については、中山委員からももう継ぎはぎだらけの法律というご意見もうかがっております。1970年にできてから既にいろいろ問題が多く出てきて、そのたびに違う要素が入ってきたということで、本当に根本的な解決をする時期に来ているというご意見もあると思います。著作権法がネット時代にどうやって対応していくかを取り込めば、すばらしい著作権法ができるのではないかという気がいたします。ですが、これは本当にハードルが高いなという思いがありまして、それができないのならば、今こうやって検索サービスができる、あるいはコンテンツの共有サービスができる法律、こういうものを特別立法で上げていく方法があると思います。この両方とも長所があって、欠点もあるものですから、私もまだこの段階では言い切れないところもあります。

○久保利会長 ありがとうございます。
 高橋委員お願いします。

○高橋委員 スピード感を持って、そして横の連携で進むことに関して、ぜひ本部のほうでよろしくお願いしたいと思っています。
 その上で2点ほど、今まであまり出なかった論点を申し上げたいと思います。1点は金融の問題でございます。私は金融審議会の委員でもあるんですが、コンテンツというのは、信託業法改正のときに話題になっただけです。金融は何のためにお金を市場で資金調達させるか、という、その何のためにというところがなかなか論じられていない分野でございます。ですので、先ほど服部委員のほうからも金融のお話が少し出ていたのですけれども、資本市場のグローバル化に関しては、かなり議論をしているのですけれども、やはり具体的なコンテンツ振興というふうなところと結びつけて、あるいは日本ブランドというところと結びつけて論議されたことがないのです。海外からのお金をうまく使いながら、日本のコンテンツがもっと振興していくこともできるでしょうし、日本人のお金をもっと有効に使っていくということもできると思いますので、ぜひ金融を巻き込むということを考えていただきたいということが1点です。
 それからもう一点は、当然ながら情報通信に関する法律が今後変わっていくわけなんですけれども、やはりその一番前を走っているのが、やはり先ほど携帯の映画のお話がありましたように、モバイル関連のビジネスではないかというふうに思っております。私は総務省のモバイルビジネス研究会のメンバーとして、モバイルビジネスの活性化プランに関与した一人でございます。コンテンツ振興のために、MVNOと言われるモバイル・バーチャル・ネットワーク・オペレーター、この人たちが活躍できるように、制度の見直しを行っているんですけれども、現在の課題というのは端末のプラットフォーム機能の共通化なんですね。通信キャリアがプラットフォームもコンテンツも囲い込みをしている結果、日本ブランドのコンテンツが開花できないという状況があるというふうに思います。やはり消費者がみずから選択した端末を使用して、どのようなアプリケーションも自分の端末にダウンロードできるような仕組みにしていかないといけない。海外では通信事業者を変更しても今までの端末が使えるし、今まで使っていたアプリケーションがそのまま使えるという状況であるのに、日本はそうでないと。今までこの場では、放送事業者についてはいろいろ苦言を申し上げてきたんですけれども、通信事業者についても同様なことがあると思っております。解決をより早く進めるためにも、本部がそのあたりに拍車をかけていただけるとありがたいなというふうに思っております。
 以上です。

○久保利会長 ありがとうございます。
 それでは、本日ご了解いただきましたデジタル時代におけるコンテンツ振興のための総合的な方策について、それと日本ブランドに関するご意見等々につきましては、先ほど申し上げましたように、「知的財産推進計画2008」の検討に反映していきたいということを考えております。特にご意見がないようでございましたら、これをもって本日の会合は閉会いたしたいと存じます。
 本日はご多忙のところまことにありがとうございました。貴重な意見、本当にありがとうございます。