首相官邸 首相官邸 トップページ
首相官邸
 トップ会議等一覧知的財産戦略本部コンテンツ・日本ブランド専門調査会 [印刷用(PDF)]


コンテンツ・日本ブランド専門調査会(第1回) 議事録


1. 日 時:平成19年9月28日(金)15:00 〜 17:00
2. 場 所:虎ノ門パストラルホテル アジュール
3. 出席者:
【委 員】 久保利会長、太田委員、生越委員、角川委員、久保委員、里中委員、重延委員、高橋委員、中村委員、中山委員、南場委員、服部委員、浜野委員、原田委員、廣瀬委員、三尾委員、宮田委員、村上委員、和田委員、佐藤本部員
【事務局】 川事務局長、松村次長、吉田次長
4. 議 事:
(1) 開会
(2) 専門調査会の運営について
(3) 今後の進め方について
(4) コンテンツ・日本ブラントの振興について
(5) 閉会


○小川事務局長 大変お待たせいたしました。定刻を少し回りましたので、まだお二人お見えになってございませんが、始めたいと思います。
 ただいまからコンテンツ・日本ブランド専門調査会の第1回会合を開催させていただきます。
 本日はご多忙中のところ、先生方におかれましてはご参加いただきまして、まことにありがとうございます。私は内閣官房で知的財産戦略推進事務局長を務めております小川でございます。よろしくお願い申し上げます。後ほど委員の互選によりまして、この専門調査会の会長をお決めいただきますけれども、それまでの間、議事の進行を務めさせていただきたいと思います。
 この専門調査会の趣旨は、お手元の資料の1をごらんになっていただきたいと思いますが、1の2にございますように、本専門調査会におきましては、コンテンツ及び日本ブランドの振興にかかわる課題に関する調査・検討を行うことになっております。よろしくご審議のほど、お願い申し上げたいと思います。
 今回は初会合、委員の初顔合わせということでもございますので、最初に今回委員をお願いいたしました方々を、私の方からご紹介させていただきたいと思います。資料2をご参照いただければと思います。名簿をつけてございます。
 皆様から向かって左側から、私の方の左側でございますが、太田伸之委員。

○太田委員 よろしくお願いします。

○小川事務局長 生越由美委員。

○生越委員 よろしくお願いします。

○小川事務局長 角川歴彦委員。

○角川委員 よろしくお願いいたします。

○小川事務局長 木村敬治委員がいらっしゃいますが、きょうは所用のため、ご欠席でございます。
 久保雅一委員。

○久保委員 久保です。よろしくお願いします。

○小川事務局長 久保利英明委員。

○久保利委員 よろしくお願いします。

○小川事務局長 里中満智子委員。

○里中委員 よろしくお願いします。

○小川事務局長 重延浩委員。

○重延委員 よろしくお願いします。

○小川事務局長 高橋伸子委員。

○高橋委員 よろしくお願いいたします。

○小川事務局長 中村伊知哉委員。

○中村委員 よろしくお願いします。

○小川事務局長 中山信弘委員。

○中山委員 よろしくお願いします。

○小川事務局長 南場智子委員。

○南場委員 よろしくお願いします。

○小川事務局長 服部幸應委員。

○服部委員 よろしくお願いします。

○小川事務局長 浜野保樹委員。

○浜野委員 よろしくお願いします。

○小川事務局長 原田豊彦委員。

○原田委員 よろしくお願いいたします。

○小川事務局長 廣瀬禎彦委員。

○廣瀬委員 よろしくお願いします。

○小川事務局長 三尾美枝子委員。

○三尾委員 よろしくお願いします。

○小川事務局長 宮田亮平委員。

○宮田委員 宮田でございます。

○小川事務局長 村上光一委員。

○村上委員 よろしくお願いします。

○小川事務局長 和田洋一委員。

○和田委員 よろしくお願いします。

○小川事務局長 あとお一方、オブザーバーとして、本部員の佐藤辰彦さんにご参加いただきました。もうじきお着きになるということで伺っております。
 それでは次に、会長の選任の手続に入りたいと思います。資料1をごらんください。その3.にございますように、当専門調査会の会長は、委員の皆様の互選により選出していただくことになっております。ここでどなたかご推薦をお願いできますでしょうか。
 角川委員。

○角川委員 久保利先生を推薦させていただきたいと思います。このコンテンツ業界に長く、専門でいらっしゃっるので、適任ではないかと考えました。

○小川事務局長 今、角川委員から久保利委員をご推薦いただきましたが、皆さんいかがでございましょうか。

(異議なし)

○小川事務局長 ありがとうございます。
 それでは、久保利委員が当専門調査会の会長ということで決定をいたしました。
 ここからの議事進行は、久保利調査会長にお願いをしたいと思います。よろしくお願いを申し上げます。
 それから今、佐藤本部員がお着きになりましたので、よろしくお願いします。

○久保利会長 それでは始めてよろしいですか。
 会長を務めさせていただきます久保利英明と申します。よろしくどうぞお願い申し上げます。座って進めさせていただきます。
 本専門調査会の運営に関する事項は、資料1をごらんいただきますと、資料1の6というところがございます。そこにありますとおり、会長が定めるということになっております。そこで、資料3をごらんいただきたいと思います。資料3、ここにありますとおり、本専門調査会の議事は、原則公開とすることというのが1の(1)にございます。
 それから、会議終了後は発言者名を付した議事録及び配付資料を公開することというのがございます。さらに、専門調査会の審議に必要があると認めるときには、参考人を招致すること。知的財産戦略本部員は、本専門調査会にオブザーバーとして参加することができる。その他必要な事項は会長が定めることというふうになっております。この案のとおりさせていただきたいと存じます。
 また、本専門調査会の公開手続については、資料4とさせていただきたいと存じます。
 よろしくご了承のほど、お願い申し上げます。
 また、急な事情によって、私が万一、本専門調査会に出席することができなくなった場合には、会合の議事進行をしていただく方をその時点で選びお願いするということにいたしたいと思いますので、よろしくご了解ください。
 以上の点について、何かご質問などございますでしょうか。
 特にないようですね。それでは、今後の進め方について、お諮りをしたいと思います。
 まず、その点について、事務局からお願いできますか。

○吉田事務局次長 事務局次長の吉田でございます。
 資料5をごらんいただきたいと存じます。コンテンツ企画ワーキンググループの開催について(案)というタイトルの資料がございますが、2枚目をまずおめくりいただきたいと存じます。
 ここにこの専門調査会全体の進め方の提案がございます。今回、第1回の専門調査会を開催いたしまして、この専門調査会ではコンテンツ分野と日本ブランド分野という、大きく分けまして2つの分野に分かれるわけでございます。コンテンツ分野につきましては、後ほどご説明いたしますが、コンテンツ企画ワーキンググループを設けまして、ここでの議論を重ねた上で来年の1月ごろに中間報告書の取りまとめといったものを考えております。
 日本ブランドの関係につきましては、その資料にございますように、食文化研究推進懇談会ですとか、あるいはファッション有識者懇談会など、民間の取り組みが進んでおります。したがいまして、この分野につきましては、これらの懇談会における議論の様子を眺めながら、コンテンツ分野とあわせまして第2回の専門調査会の方でご議論いただきまして、取りまとめをさせていただきたいと存じております。
 その後、知的財産推進計画2008の方にこれをつないでいくと、こういった流れで考えたらどうかと思っているところでございます。
 そこで1枚目の方にお戻りいただきますと、コンテンツ企画ワーキンググループの関係でございますが、開催趣旨の(3)のところに、このワーキンググループの任務を書いておりますけれども、デジタル化・ネットワーク化の特質に応じた活発な創作活動やビジネス展開を加速するための新しい保護ルールや流通環境について検討を行うというようなことでございまして、調査事項としてデジタル時代におけるコンテンツ振興のための総合的な方策といったものが入っているわけでございます。
 検討体制といたしましては、このワーキンググループに属する委員については、専門調査会長のご指名によるという形になっておりますし、またその座長についても同様に会長が指名をすると、こういう形になっております。
 では続きまして、資料10の方もちょっとごらんいただきたいと存じます。一番最後の方についておりますが、ご説明申し上げましたコンテンツ企画ワーキンググループの設置が認められた場合には、こういうスケジュールで今後検討を進めてはどうかという案でございます。第1回のコンテンツ企画ワーキンググループを10月11日に始めまして、大体一月に1回というペースで、来年1月の第4回まで審議をお願いしたいとこういうことで考えております。
 また、第2回の専門調査会、この親の調査会を来年2月か3月に開催いただきまして、報告書の取りまとめという形で考えてはどうだろうかと、こういう提案でございます。
 以上でございます。

○久保利会長 ありがとうございました。今のご説明について何かご意見、あるいはご質問はございますでしょうか。ございましたら挙手でお願いします。
 特におられないようでございます。
 それでは資料5のとおり、コンテンツ企画ワーキンググループを設置するということといたしたいと思います。また、本専門調査会におきましては、資料10のような先ほどご説明のありましたスケジュールで検討を進めてまいりたいということにいたします。
 また、さきに事務局からご説明がありましたコンテンツ企画ワーキンググループの座長及び委員につきましては、会長が決めるというふうになっておりますので、大変僭越でございますが、資料6のとおりさせていただきたいと存じますけれども、ご了解いただければと思います。
 ありがとうございます。
 それではそのように進めてまいりましょう。
 ワーキンググループの委員に指名されました皆様におかれましては、大変お忙しい方々ばかりでございます。なかなか日程のやりくりも大変かもしれませんけれども、何とぞよろしくお願いしたいと存じます。
 また、そのワーキンググループの座長につきましては、ふつつかでございますが、私が務めさせていただくということでやってまいりたいと思います。どうぞよろしくご協力のほど、お願い申し上げます。
 それでは次に、このコンテンツ・日本ブランドの振興についてということでございます。これについて事務局からご説明をお願いします。

○吉田事務局次長 資料7−1、7−2及び資料8を用いましてご説明をさせていただきます。時間の関係もございますので、要点のみの説明で失礼させていただきます。
 資料7−1と7−2は、コンテンツ分野に関する資料でございます。7−1は7−2に述べております事柄のポイントを一覧にできるような形でまとめたものでございますので、これは適宜ご参照いただくといたしまして、資料7−2を中心にご説明をさせていただきたいと存じます。
 コンテンツ分野につきまして、これからご議論いただくわけでございますが、その際の参考資料という形でこれは作成したものでございます。中にいろいろとこの検討の方向性などについて、いくつかの事項を掲げてございますけれども、これはまだ現時点で考えられることということで参考までに出しているものでございますから、これ以外の事柄についても今後またさらに出てくるのかなというふうに思っております。そういった資料であるということでご理解いただければと思います。
 3ページをお開きいただきたいと存じます。これは背景あるいは現状といったところでございます。市場動向というのをまず最初に挙げております。我が国のコンテンツ産業の市場規模は左側の方のグラフがございますけれども、2006年でおよそ14兆円という形になっておりまして、年々、着実に伸びているということは言えるかと思います。ただ、右側の表でごらんいただけますように、諸外国と比べるとなお低い水準にとどまっているのかなという感じもいたします。
 その中で、デジタルコンテンツの売り上げ規模につきましては、相当の伸びがございます。左下のグラフでございます。特に音楽関係につきましては、音楽ソフト、パッケージにつきましては少し減少がございますけれども、かわりにネット配信がここのところ伸びが著しいという、そういった傾向が見てとれるわけでございます。
 次に4ページをお開きいただきたいと存じます。これは技術動向について触れた部分でございます。通信インフラの整備など、あるいはそのテレビ受像機の関係などもございまして、高画質の映像のIP配信といったものが本格化をしてきております。また一方で、携帯端末というところに着目いたしますと、映像配信が増大する見込みであろうとか、あるいはこの携帯端末を使って、さまざまなコンテンツが提供されるであろうと、いわゆるマルチメディアの傾向が非常に深まっているのではなかろうかということがございます。
 それから5ページをお開きいただきますと、世界の動向でございます。ここの中では、アメリカ、イギリスにつきましては、これはテレビ番組のネット配信ということについて、相当大きな取り組みがなされていることを紹介しております。また韓国についてはご承知のとおり、計画的な番組の輸出ということが奨励されているという状況を示したものでございます。
 次に6ページをお開きいただきますと、そういった情勢の中で、我が国としてどうしていくかということでございますが、下の方に基本的戦略と4つの視点というのを掲げております。基本的戦略としては、既存の枠組みにとらわれず、良質なコンテンツを多数生み出し、国内外の多くの人々がいつでもどこでも何度でもこれらを享受できる環境をつくると。そういった理念を右側の方に4つの柱という形で整理をさせていただきました。新たなサービスの展開、コンテンツ流通の促進、優れたコンテンツの創造、そして海外展開の促進という形でございます。
 そこでその次のページ以降でございますが、今申し上げました4つの柱に基づきまして、これまでの取り組み、それから今後の課題と申しましょうか、検討の方向性を少し整理したものでございます。8ページのところは、新ビジネスの挑戦というそういった切り口からでございますけれども、これまでの取り組みとしては、通信・放送の総合的な法体系に関する検討が始まってきているということ、あるいはこれらの法改正がされたことでございますけれども、IPマルチキャスト放送による放送の同時再送信に関する著作権法の改正が行われたということは、これまでの取り組みとしてございます。
 そこで9ページをお開きいただきますと、ビジネス動向ですとかそういったところにも出てまいりましたし、法制面の検討も行われているわけでございますが、放送と通信に関するその垣根がある意味で非常に低くなっていると、そういった環境を利用して新しいビジネスなどが生まれてこようとしておりますけれども、そういったその放送と通信の関係の変動を見ながら、知財法制の面でもあり方の検討が必要ではないだろうかということが一つ挙げられるかと思います。
 また、下の丸でございますが、コンテンツの流通経路といったものが多様化をしております。その中で新たなサービスの展開、新たな需要の創出というのが出てきているわけですけれども、その際、障害となるようなその制度や運用上の課題があれば、これを解決していくというこういう視点が必要かなということで、ここで挙げております。
 10ページをお開きいただきますと、これは流通促進という切り口でございます。これまでの取り組みとしましては、コンテンツ情報を提供するためのコンテンツ・ポータルサイトの整備ですとか、あるいはコンテンツの二次利用を促進するために、映像実演ですとか、映画、放送番組などの関係のその契約ルールの整理といったものについて、関係者の努力が続いているところでございます。
 また、11ページの方をお開きいただきますと、これも利用の円滑化ということでございますが、放送番組のインターネット利用に関する集中管理事業といったものが関係者によって始められていることですとか、あるいは海賊版の防止という観点からは、映画盗撮防止法が先の通常国会で成立をしたこと。さらに、司法システムという関係では、2005年に知財高裁が発足するとともに、同年、エンターテイメント・ロイヤーズ・ネットワークがNPO法人として発足をするという、こういった動きもございます。
 そこで流通促進関係の今後の課題と検討の方向性ということでございますが、12ページでございます。コンテンツのマルチユースを促すため、権利者への適正な利益の還元を図りつつ、利用の円滑化を図る仕組みの構築ということで、権利者情報の一元化システムの関係ですとか、権利者不明の場合の新たな法的措置の検討、これらについては既に取り組まれておりますものとか、あるいは検討が始まっているものというのはございますが、そういったものをさらに加速をするということが必要ではなかろうかと思います。また、契約ルールづくりといったものについても、これも経団連などにおきまして積極的に取り組んでいただいておりますけれども、この関係についてもさらにこれを推進するということが必要ではなかろうかと思います。また、違法ダウンロードの問題についても、適切な対応といったものも必要ではないかということを挙げております。
 次に、13ページをお開きいただきますと、ここは優れたコンテンツの創造という切り口からのものでございます。これまでの取り組みということで、上の2つは放送番組を制作する環境といったものの整備に関するものでございます。3つ目は、人材育成という観点から、専門職大学院等の動きといったものについて触れております。また最後のものは、資金調達という観点から、信託業法の改正等の動きがあったということについて述べております。
 14ページをお開きいただきますと、このコンテンツ創造という観点から、今後の方向性として考えられるものとしては、やはり優れた人材がこの分野に多く参加をしてくるということが必要でございますので、そういった意味ではその制作者に適正な利益配分がなされるような仕組みづくりといったものも、大きな課題になるのではなかろうかと思います。また、人材育成や、人材確保のための取り組みの問題、さらには資金調達の問題について、さらに必要な検討があろうかと思います。
 次に15ページをお開きいただきたいと思います。これは、海外展開のものでございます。これまでの取り組みのところで、先週始まりましたJAPAN国際コンテンツ・フェスティバルといったものも挙げておりますが、それ以外にもいくつかの取り組みもございますし、また海賊版対策といったものも着実に進めているところでございます。
 16ページのところは、海外展開の関係での検討の方向性ということですが、海外における売り上げの拡大の促進という観点から、共同製作の問題ですとか、共同ビジネス、それにかかわる課題などをさらに考えていくこと、あるいはコンテンツ取引市場の整備・国際化の問題もございますし、また海外における日本のイメージの体系的な把握調査といった問題もあろうかと思います。また、海賊版対策の関係では、条約の早期実現ですとか、あるいは正規版の迅速なビジネス展開、そういったところも課題として挙げられるのではなかろうかと思います。
 次に、今度は日本ブランドの振興の方に移らせていただきたいと思います。資料8をごらんいただきたいと存じます。
 1枚おめくりいただきまして、経緯がございます。日本ブランドの関係につきましては、その左側の方にございますが、食や地域ブランド、ファッションといったライフスタイルを活かした「日本ブランド」づくりというのは国家戦略上重要ではないかということで、この知財戦略の中に含める形で、2005年からこれまでそれぞれ取り上げてきたところでございます。
 その次のページをお開きいただきますと、その日本ブランド戦略のコンセプトでございますけれども、文化創造力の一層の向上ということでございますが、その真ん中にございますように、「モノ」を通じた日本理解から、「生活文化」を通じた日本理解へということで、日本や日本人の「顔」が見える、そういった分野のブランド戦略を進めていってはどうかということでございます。その中から取り上げられてきましたのが、食分野や地域ブランド、ファッションと、こういう形でございます。
 4ページをお開きいただきたいと思います。ここは食文化の関係でございますが、左側の方に主な取り組みとして、食育ですとか農林水産物の輸出、地域の食文化、日本食の海外の発信、あるいは食文化、料理技術の交流といったことについて取り組みがなされてきておりますが、さらに海外への魅力の発信ですとか、あるいは技術教育の問題、あるいは国民の認識の問題、そういったものについて、さらに国民的課題があるのではなかろうかと思っております。
 5ページをお開きいただきたいと存じますが、これは地域ブランド関係でございます。地域ブランド関係につきましては、それぞれの地域に対する支援策、あるいは地域団体商標制度といったもので、支援を行ってきているわけでございますが、さらに地域主体のブランド育成や発信の方策、とりわけ海外等の新たな市場開拓に向けての取り組みなども考えられるのではなかろうかということでございます。また、地域団体商標制度の活用の問題もございます。
 6ページをお開きいただきますと、ファッション分野でございます。主な取り組みとしては、東京発のファッション・ウィークなど、これもさまざまな取り組みがこれまでなされてきておりますが、発信力をさらに強化をすること、あるいはビジネス支援、さらに人材育成、こういった点については、なおいろいろと深めるべき課題が残っているのではなかろうかというふうに思います。
 それから、最後に7ページでございますが、ここは総括的な海外発信という観点でございます。ビジット・ジャパン・キャンペーンを初めといたしまして、あるいは新日本様式の問題ですとか、在外公館での日本食の問題ですとか、顕彰ですとか、いろいろな取り組みがございますけれども、これもまたさらに深めていくということで、日本の玄関口の活用ですとか、世界に通用する日本ブランドの創出、あるいはその分野横断的な取組の促進、こういったところになお課題があるのではなかろうかというふうな感じでまとめております。
 以上でございます。

○久保利会長 どうも吉田さん大変膨大な問題を、かつわかりやすくありがとうございました。
 それでは、議論に入りたいと思います。委員の皆様方はこの資料1のところに書いてありますけれども、知的財産戦略の推進に関し、学識経験を有する者のうちから内閣総理大臣が任命するということで、お一方づつそれぞれご担当の分野で知識・経験を有する有識者というお立場でお集まりいただいております。もちろん、所属の団体とか業界、当然ございますから、それを代表するご意見ということ、もちろん結構でございますが、個人的なお立場からどうぞご自由にご発言いただきたい、そのようにお願いしたいと思います。
 以下、自由討議に入りますけれども、まず事前に資料をご提出いただいております方がお三方いらっしゃいます。角川委員、原田委員、村上委員でいらっしゃいます。そのお三方にまずそれぞれご発言をちょうだいしたいと思います。
 まず、角川委員からよろしくお願いします。

○角川委員 私の資料は皆さんに配付されていますか。

○久保利会長 9−1をごらんいただければと思います。

○角川委員 資料9−1をごらんになっていただきたいと思います。
 2004年、コンテンツ市場は13.6兆円、今配付された資料を拝見しても2006年に14.0兆円ということです。一方で、経済財政諮問会議、あるいは経済成長戦略大綱の中では、2015年には18.7兆円ということで、これから5兆円をコンテンツマーケットで広げていこうということが、国家戦略としてうたわれております。そのことに関しましては、私もこれまで何年かこの知財戦略推進本部の委員を務めさせていただいて、純粋にコンテンツを育成していくという課題と、もう一つ、日本にはグーグルだとかヤフーだとかアマゾンというふうなコンテンツをアフィリエイトするような企業が実はないという問題点があると感じております。そういう産業を育成することによって、全体としてのコンテンツ市場を大きくするということが考えられていいのではないかということを提案させていただきたいと思います。特に、Web2.0の時代には、「サーバーを制する者がインターネットの世界を制する」と言われておりますけれども、今の日本の著作権法の中では、なかなか日本にサーバーを設置することが難しく、著名なインターネットサービス業者は、アメリカとか外国にサーバーを置いておくというふうなことが行われています。こういうことに対する制度的なイノベーションが必要になってきているのではないかということを一つ申し上げたいと思います。
 私は昨年、アメリカに視察旅行に行ってまいりましたけれども、グーグルなども30万台というパソコン、何万台というサーバーが非常に熱を帯びて、電力が必要であること、あるいは膨大な設置場所が必要であるということで、シリコンバレー等ではなく、非常にローカルなところに工場を作っていると聞きました。このことはアメリカにおける地域格差の解消に非常に貢献しているということを聞きますと、日本の今の地域格差の解消にもこういう産業の育成は役に立つのではないかというふうに考えております。
 それから2番目には、ネットについてですが、初めはインターネットというのは個人と個人のコミュニケーションから始まったわけですけれども、それが今はインターネットがメディアとして、マスメディアにも匹敵するような力を発揮していると言えます。これまでは育成するところだけに目を向けていましたけれども、やはりそろそろメディアとしての自覚をしてもらわなければいけない時期に、来ているのではないかなと思います。つまり社会的責任、あるいは社会の公共の存在であるということの自覚を促すようなことも、この知財戦略推進本部で提案、協議していいのではないかと感じております。
 それから3番目としては、これは先ほど配付された資料の中に入っておりますけれども、この知財本部では、2005年4月に知財高裁を設置することを決めて、それが実施されております。そろそろ産みの親であるこの知財本部が、知財高裁がどういうふうに機能しているのか、そういうふうなことについてもう1度勉強会をさせていただくのが良いのではないかなと思っております。
 最後、4番目ですけれども、次世代DVDについてです。次世代DVDが従来のDVDと違うのは、リージョンコードが事実上ないということで、以前のDVDというのが日本というドメスティックコードがついていて、海外のDVDでは見られないというところが、ジャパンコンテンツの映像コンテンツの保護に非常に役立っていたと思います。
 ところが今度の新しいDVD、次世代DVDでは、中国と日本が同じリージョンに入ってしまうと言うことですから、中国で売られたものが日本に還流してしまうという、ちょうどCDで還流防止政策がありましたけれども、その映像版が出てくる可能性がございます。そういう点で日本には日本の独自のデジタルドメスティックコードというか、リージョンコードはつくっていいのではないかなと個人的な感想を持っています。それについても検討していただくことがあったらより良いのではないかと思いました。
 以上でございます。

○久保利会長 ありがとうございました。それに関する議論はまた次に討議することにして、次に9−2をお出しいただいております原田委員、よろしくお願いします。

○原田委員 それでは私の方からは、資料9−2に沿いまして、コンテンツの一層の流通の促進ということにつきまして、テレビ番組の現状と課題についてお話しさせていただきます。
 1枚目の表ですが、NHKでも従来から放送だけでなく、放送の二次利用ということを通して、視聴者の皆さんにコンテンツを届けるということを積極的にやってまいりました。1枚目の表は18年度国内に向けての外部提供の実績でございますが、ケーブルテレビに向けておよそ6,000本、それからCS事業者に向けて、これはそれぞれの専門チャンネル、ドラマであったり、ドキュメンタリーであったり、子ども番組であったり、そういうものに応じて5,500本程度の番組を出してきております。
 それからネットの世界では、配信事業者に向けてVOD配信ということで番組を出しています。そのほかのモバイル放送、DVD・ビデオ商品、あるいは番組の一部を提供する素材提供という形がありますが、この中でネットの展開ということで申し上げますと、3段目にあるVOD配信、これは現在事業者向け、いわゆるBtoBのやり方で出しておりますので、NHKの場合も特に制約なく行われるようになっております。
 今、私どもでは、豊富にアーカイブスの映像番組を持っておりますが、それと合わせて、直近の見逃しの番組をオンデマンドで視聴者の皆さんにネットで提供していきたく、名称をアーカイブスオンデマンドとし、これを実現すべく準備をしている段階です。ただそのためにはBtoCということになり、法改正がやはり必要でありますので、それを待って進めていきたいというところでございます。
 そのネットの状況を、2枚目で少し説明したいと思います。今、NHKのインターネット業務は、実はいくつか制約がございます。左で例えば通常の広報あるいは番組の広報、PR、それからアンケートをとったりする番組制作ツールとしての利用、それから災害時の情報の発信、こうしたものは特に制約なく私どもでも行えるようになっております。番組の提供ということにつきましては、二次利用や、あるいは番組関連情報という形で放送を補完するという位置づけで行うようになっていますが、例えば番組のホームページごとに出さなければいけないとか、あるいは1週間以上たった番組はもう出せませんということや、それから全体の規模も年間10億円以内でやりなさいというような制約がございます。右にありますように、インターネット用の独自のコンテンツを提供するということも、もちろん今は出来ておりませんし、それから過去番組のデータベースからのコンテンツ提供も今は出来ないというのが現状でございます。放送と通信が融合すると、そういう時代に公共放送として私どもが視聴者の皆さんに役割を果たしていくという上では、こうした制約というのは、やはり時代に合わせて見直していくべきものではないか考えておりますし、それからコンテンツ流通という全体の立場でも、このことは課題として認識をお持ちいただければ幸いであると考えております。
 これがNHK固有の課題でありますが、もちろんコンテンツのネット展開のためには、権利の許諾のルールづくりという大きな仕事もございます。これについては、私どもも積極的に権利者団体の皆さんとの話し合いに参加して、積極的に進めているところでございます。
 最後のページ、海外への提供でございます。これも18年度の実績で申し上げますと、18年度は44の国と地域に向けて、6,500本程度の番組を販売しております。実はここ数年、隣の韓国であったり中国であったり、衛星などのハイビジョンチャンネルがそれぞれ立ち上がってきております。そうしたところはなかなかコンテンツを持っていないものですから、私どものコンテンツというのはかなりのニーズがあり、大きな量でもそういうところに出ております。
 ただ、海外に向けてやはり番組をもっと出していきたいという思いは、私どもも本当にあるのですが、例えば国内で高い評価を受ける番組が、そのまま海外で通用するかというと、決してそういうことではないのです。ドキュメンタリーひとつをとっても、そのドキュメンタリーのつくり方や作法に違いがあります。そういう意味では、海外に向けての番組づくり、そのノウハウの蓄積というのは極めて今大事なことであると思いますし、そういうことが出来る人材、これも内外共にですが、そういう人たちを育成していくことも大事であろうと思います。例えばテレビの世界でいうと、海外で番組コンクール、大きなコンクールがいくつもございますが、ああいうところに出て行って審査員をやれるような人材を国内からもっと出していくということも、今後につながっていくのではないかと思います。
 以上でございます。

○久保利会長 ありがとうございました。それでは村上委員からお願いしますが、これが村上委員の資料ですか。

○村上委員 この緑色の9−3の資料ということでごらんいただければと思います。
 今、NHKの原田委員から、NHKさんのコンテンツ展開についてのお考えを伺ったわけですけれども、私はそれにちょっと呼応する形で、民間放送の放送事業者としての今のコンテンツ展開について、ちょっとお話をさせていただきたい。
 ちょうど、このパンフレットが民放連ででき上がったばかりでございますので、今日はこの専門調査会、親会の場をお借りして、我々のアピールもさせていただくということで、ご説明をさせていただきます。
 実は、このところこの知財本部を初めとするさまざまな検討機関におけまして、ともかくコンテンツ流通促進ということがキーワード的になって、非常に議論が盛んに行われておりますけれども、こうした議論の中でコンテンツの流通を妨げている要因として、よく皆様方から言われますのが、優良なコンテンツを所有している放送事業者が、コンテンツ流通に消極的で、しかもこれらのコンテンツを死蔵させているという趣旨のご意見です。
 しかしながら、実際には放送事業者はコンテンツ流通に対して幅広い形で積極的に取り組んでおりますし、いわゆる番組の二次利用という形でコンテンツを流通させている実績も非常にあるというふうに考えております。まずこのコンテンツ流通、今キーワードになっているこのコンテンツ流通に関するいろいろな検討を進めていくに当たりまして、我々としては放送事業者の取り組みの現状を多くの方に正しく認識していただきたいということを強く今感じておりまして、民放連では番組の二次利用の現状につきまして、できるだけ世間の理解を深めていただく一助になればということで、お手元にお配りしたパンフレットをつくったというようなことでございます。
 このパンフレットでは、どのような二次利用において、またどの程度の数の番組が実際に流通しているのか、具体的な番組名あるいはサービスの一例を挙げながら、できるだけわかりやすく説明をさせていただいています。一例をご紹介させていただきますと、表紙をめくって最初の2ページ、3ページ目というところで、海外への番組販売。ここにございますように、海外番販は、実際には民放9局だけで年間1,500本、売り上げは約100億円に上っていると。ここに掲載した番組はほんの一例でございますけれども、こういう数字も今挙げております。
 このパンフでは、ほかにも国際見本市への出展あるいはブロードバンド配信、これは6ページ以下にちょっと詳しく各局ごとに書かせていただいておりますけれども、数多くの放送事業者が二次利用の形態に応じて、多様な取組を進めているということをわかっていただければと思います。ただ、すべての二次利用がそれでは円滑に行われており、放送事業者がやれることはすべてやり尽くしているということかといいますと、決してそうは言い切れない現状でございます。我々としても二次利用に関しては、まだまだ克服すべき課題が数多くあると認識しております。先ほど原田委員からも色々お話がございましたけれども、例えばブロードバンド配信については、権利処理の問題があるために、すべての番組を放送事業者が自由に配信できるわけではございません。現在、権利処理が可能なものを選ぶか、あるいは制作時点であらかじめ権利を取得することによってコンテンツをそろえ、配信サービスで提供している状況です。そのため、マーケットがなかなか成熟してまいりません。ただ、そういう中、我々民放各社がブロードバンド配信について積極的な動きを始めているということは、ぜひご理解をいただきたいと思います。
 もう一つ、DVDの海賊版や、動画投稿サイトによる違法なコンテンツ配信の横行も、正直、二次利用の阻害要因となっております。制作者やタレントの努力と汗の結晶である番組が、無許可で流通してしまうという状況が放置されておりますと、コンテンツ産業は衰退の道を免れることはできません。正直、番組の二次利用というのは、我々放送事業者にとって重要なビジネスであると考えておりまして、その成功と発展は放送事業者のみならず、番組の制作にかかわるすべての人の共通の目標でございます。私たちもこの目標を実現するために、先ほど申し上げたような課題をできるだけクリアしていきながら投資も行い、また不十分なところは補って、何とか前向きに努力していきたいと考えているところでございます。
 民放連といたしましても、今後コンテンツ流通関連の各検討機関や、政府・行政等を初めとする関係者の皆様に、この今日お配りしているパンフレットをごらんいただきまして、我々の取組の現状について、理解を深めていただくとともに、コンテンツ流通活発化に向けた諸課題の解決についてご理解とご支援をいただければと思いますし、ぜひこの会及びワーキンググループの会で、今申し上げたような課題が少しでも解決できるように、私たちも色々論議を極めていきたいと思っています。
 以上でございます。

○久保利会長 ありがとうございました。
 それでは、続きまして自由な議論に移りたいと思います。どのようなテーマでも何でも結構でございますから、ご発言のある方は、このネームプレートを立てていただきまして、発言を希望するという意思表示をしていただきましたら、私の方からご指名申し上げます。なお、できるだけ大勢の方々から発言をちょうだいしたいと思いますので、お一人3分以内ということを一つのめどとして、ご発言いただきますと大変ありがたいと思っております。どうぞよろしくお願いします。
 それではどうぞネームプレートをお立てになった、最初に服部委員お願いします。

○服部委員 食文化振興の部分で、私はかかわり合いをこの3年ぐらい持ってきておりまして、日本ブランド振興についての中の4ページをおあけいただきたいと思います。
 もちろんここにそれぞれ今まで推進している中身が書いてあるわけですが……

○久保利会長 資料8ですね。

○服部委員 資料8でしょうか。すみません。失礼しました。
 今、日本食というのが海外で非常に注目を浴びておりまして、これはヘルシーということが基本にはなっていると思うんですけれども、二万四、五千店、海外には日本料理店があり、そのうちの60%がおすし屋ですね。実際に日本人がかかわっているのが1割程度ということで、ほとんどが日本に来たことないし、日本食とは何かわからない人たちが物をつくっておられる。それで前の推奨で、これは認定制度を使ってこれを取り締まらなければいけないところまで、そこまできつくはいきませんけれども、そうしましたらすしポリスだということで、大変海外から不評を得ました。そのことから、今度日本食レストラン海外普及推進機構、JROというのができました。認定ではなくて推奨という部分を含めまして、これから向こうに指導をしにいこうと。また向こうの人を日本に連れてくるような、そういう体制をつくろうよということで今動いております。私も海外に行く機会がありまして、このごろは海外の料理を食べるよりは、日本の料理がどんな状態かというのを随分調査するつもりで回ってきておりますけれども、確かに、これが日本料理かというようなものが非常に多いんです。
 それともう一点、実は魚の流通に関しましては、世界でこれほど鮮度のいい物が市場に出回るというのは、日本以外にないんですね。向こうで料理になって、例えばフランス料理の三ツ星のお店へ行きましても、お刺身のように、カルパッチョと称して生魚が出てくるんですが、これが肉だったら熟成というのはいいんですけれども、1週間たっても新鮮だと思っているそういう観念の人たちが多いものですから、非常にもう臭くなっていて、日本人だったら目も向けられないし、鼻も向けられないという状況なんですが、それが平気で出てくる。このところ随分食あたりをしている人たちが出始めた。ヘルシーどころではないんですね。このままいきますと、まさに日本食はヘルシーではなくて危ないということになったら、一挙に日本のイメージを悪くするということで、実は2年半ぐらい前仰せつかったのが、日本食を倍増計画してくれということをちょっとお願いされたんですけれども、倍増どころではなくて、まずは質の向上をこれから上げていこうというところにポイントを持っていこうというふうに、今動いている最中です。
 それと、輸出品目、日本はご承知のように、食糧自給率というのは39%しかなくて、輸入品が61%なんです。これは海外ですと、今から40年ぐらい前に、日本は73あったのが今は40以下になった。英国は46だったのが、74までいっているんですね。ドイツが68だったのが92までいって、アメリカは102だったのが今119、フランスは104あったのが130までいっているんです。一番高いのはオーストラリアで230ぐらいあるんですけれども、まさに日本はこのまま放っておいたらえらいことになるんですね。にもかかわらず、日本は今非常に品質のよいものも出しているものですから、これはBRICsの国々対象だと思います。特に中国、こちらが牛肉であるとか、それこそマグロであるとか、サケであるとか、リンゴであるとか、これ日本で―こちらにも数字が出ておりますけれども―2004年に始めたときに2,954億円だったのが、2006年に3,739億円になった。1兆円計画で今動いております。
 実は、私も色々なものに参加しているものですから、2009年を目途にG8、サミットを開催しようと。これはG8というと驚かれるかもしれません。グルメ8なんですけれども、世界8カ国のトップの料理人を呼びまして、向こうの料理の最先端を見せてもらうと同時に、交流をしながら、向こうのマスメディアを50社ぐらい呼ぼう。これを全部面倒見てあげようと。実は、日本のいい物というのは日本から出ていかないんですよ。メディアとして。先ほどNHKさんや民放さんが色々おやりになっていますけれども、普通、一般的に新聞紙上で出ないんですね。即刻。これが日本は一番、僕は弱いところだと思う。これをやはり世界に発信していく。そういう取組をこれからしていただきたいなと。それを私はEUとか欧米の50人のマスメディアの人たちをお呼びして、書いてもらおうということで今計画を練っておりました。相当、彼らはお足つきでお呼びしますとやってくれそうなので、そんなことで今進んでいるという最中でございます。
 あと、食育に関しては、「レッツ!食育」ということで、世界にこれを発信したい。世界で始めての法律なんです。この法律に関しては今アメリカとかフランスだとか、もう色々な国が興味を持っておりまして、向こうは奨励なんですね。ですからちっとも進まないと。その点、日本は素晴らしいと。ところが日本のマスコミさんもスローフードであるとか、ロハスというのはよく書き立ててくれるんですけれども、日本の食育が世界からそれだけ注目されているということに関して、もっと力を入れていただければ「もったいない」という言葉とか、「津波」と同じように、世界に発信できるというところを今やっておりますので、ぜひそんな形からご協力いただければ、またできることはさせていただきたいと思っております。
 よろしくお願いします。

○久保利会長 ご報告ありがとうございます。要請でもございました。検討しましょう。
 ほかの委員はいらっしゃいませんか。久保さんどうぞお願いします。

○久保委員 日本ブランドとコンテンツと一緒に話してしまうと、どうしてもごっちゃになってしまうので、先にせっかく服部先生にお話しいただいたので、ブランド関係のご意見のある方だけ聞いてみてはいかがでしょうか。

○久保利会長 ありがとうございます。議長不慣れなもので、申しわけありません。
 それでは今の久保委員のご提言に従いまして、まず食育等々も含めた日本ブランド関係、この関係でご発言のある方はいらっしゃいましたら。
 宮田委員どうぞ。

○宮田委員 宮田でございます。手短に。私はたまたま大学で若者の人材育成をしておるものですから、先ほどの原田委員のお話の中に、監督者を育成しようというようなことと同時に、若者たちを育成したい。そのためには日本ブランドとは何かといったときに、日本の歴史を振り返ること、これがすごく大事なことではないか。そうしますと、たまたま鎖国されていたときの日本、それが逆にあえて日本人らしさというものを非常に明確に訴えていたのではないかということを感じております。
 ここのところ私、個展のことをやるときには今、「江戸に帰ろう」というキャッチを使って、いろいろな作品をつくっています。東京藝術大学というのは教員も学生も作品をつくって、お互いが競争し合うというところからスタートしているものですから、私もちょっとこんな作品をつくりました。

○久保利会長 その作品のご説明もぜひ。

○宮田委員 いやいや、大したものではないのですけれども、たまたま総理大臣賞をいただいたりしたんです。ごらんになっていただければわかると思うのですが、江戸の版画の皆さんどなたもご存じの日本の波の、そういうもの。どなたもご存じ、だけれどもそれを版画ではなくて私は金工家なんで、金属で彫刻をつくっているわけですが、そういうことをすることによってよりおもしろさをつくる。古いものを新しくもっていくときに、ちょっとした視点を変えたり、あるいは絵師であった人たちが、物づくり師であったり、物語師だったり、ファッションだとか、色々なものと重なることによって新しいブランドができるのではないかというようなことを感じております。
 そして、たまたま私どもを宣伝するわけではないんですが、今創立120年でございまして、坪内逍遥の戯曲「新曲浦島」というのがあるのですが、それが100年前にすばらしい戯曲をつくっていたんですが、ずっと埋もれていた。それを和の邦楽、それから洋楽、それから美術、すべてを合体することによって、先般私どもの大学の奏楽堂で発表させていただいた。大変おもしろかったという評をいただいております。
 改めて、全く無から有を生むのはなくて、日本人の持っているすばらしい知的なもの、それから誇らしさ、頭脳、そういうものをもう一度、皆さんこういう親会議の中で、それぞれの先生方が各分野を細分化されるのではなくて、集合したり融合したり合体したりすることが大きな日本の文化力というものではないかということで、一つの言葉として「江戸に帰ろう」なんていうことを伝えておきます。
 以上です。

○久保利会長 ありがとうございます。
 それ以外に日本ブランド関係、どうぞ生越さんお願いします。

○生越委員 同じく、大学で教えている者から発言させていただきます。東京理科大学は知財専門職大学院を日本で初めて作りまして、知財のビジネスを担当する者を養成しております。先ほどご指摘いただいたように、コンテンツ分野でも役に立つ人材をつくりたいと思っております。
 今、日本ブランドの観点から宮田先生のお話があったのですが、文化が資本として役に立つ時代が見えてきました。これが地域ブランドの根源にあると思っております。文化にはファッションとか食とか非常に重要な産業がたくさんあります。
私は文化資本を歴史資源と地域資源とコンテンツ資源に3つに分けて考えているのですけれども、いずれも江戸の時代を初めとして素晴らしいものが残っております。宮田先生が御指摘の通り、芸術がイノベーションを誘発している部分は非常に大きくて、レオナルド・ダ・ヴィンチとか、平賀源内の例を出すまでもなく、芸術から科学技術が誘発される分野というのは結構あると考えています。
 あと、文化について見ますと、先ほどの宮田先生の作品は北斎の富嶽三十六景をモチーフにしたものと思うのですけれども、今年の1月のパリコレで、クリスチャン・ディオールのデザイナーのガリアーニさんが、ドレスにその絵柄をはめ込んで融合させたデザインを発表しているのですね。そういったように、外国から見ると日本の芸術や和柄などの文化には凄い潜在力があって、そこを日本人が活用していないというのがとてももったいないところだと思います。
 そういった意味で、文化資本を基盤にした文化産業というのが、非常に注目を浴びておりますので、ますますこの分野に政策は力を入れるべきというふうに考えます。
 地域ブランドについてみますと、あちこちの地域を回って講演会とかさせていただくのですが、大変期待が高まっています。これまでに地域団体商標が280件も登録があったというように、地域はとてもやる気になっていると思います。中小企業による地域産業資源を活用した事業活動の促進に関する法律が2007年4月に通ったそうですが、こちらに応募されている事業内容を聞くと、経営者の方のやる気とか、地域のやる気が非常に大きくなっていると思います。
 また農水省が、今度、食と農林水産業の地域ブランド協議会というのを発足するそうなのですが、そういった意味で農林水産業の方のやる気が出始めてきています。先週は島根の農林高校で講演させていただいたのですが、高校生が知的財産というものに興味を持ち始めている時代になっております。
 知財教育を専門分野の一つとしていますが、幼稚園から社会人まで教えるときに、法律があるから守りなさいといっても、子どもたちはなかなか納得しません。よく私は生徒に説明するときに、刑法があるから殺人してはいけないと説明するのではなく、人の命が大事だから人を殺してはいけないのが本筋を話します。知財も同じです。著作権法があるからコピーが禁止だと教えるのではなく、人が一生懸命つくった作品であるからコピーを勝手にしてはいけないのが本筋から教えることが重要と思っています。
 いずれにせよ、宮田先生がおっしゃったように、日本には優れた芸術がありますし、優れた科学技術があると思います。芸術と科学技術が優れているのですが、遅れているのが制度設計です。法律とか制度の整備がビジネスで非常に遅れていて邪魔だというご指摘はどんどん改善していくべきだというふうに思います。
 最後に申し上げたいのは、日本ブランドは地域に行きますと、非常に期待が高まり始めているところですので、政府としてはさらに日本ブランドの構築が重要ということを再度重ねて発信するべきだと思います。そうでないと、地域の方とか、実際に新しい産業を起こす方の意気消沈が起こってしまうというところがあります。再度そこを強く発信していただきたいということを願っております。
 どうもありがとうございます。

○久保利会長 それでは太田委員にお願いします。

○太田委員 今、先生がおっしゃったことに関連するのですが、江戸時代に日本の着物はすごく技術的にも伸びたのですが、20世紀初頭、フランスにファッションデザイナーという人たちが出てきたときに、一番格好よかったのは、日本の文様だったのです。それは現地で開催された万国博覧会で見た日本の着物からアイデアをとっていた、浮世絵と同じだと思いますが、着物デザインであったり、着物の模様であったり、色々なものが広がっていって、それが格好いいと外から日本に戻ってきたというのが現状なんです。やはり大事なことはこの食でも服でもそうなんですが、日本の誇りを持つということだと思うんですね。
 手前みそですけれども、2年ほど前にパリのポンピドーセンターで、20世紀を総括するビッグバンという大きな展覧会がありまして、プロダクトデザイン、それから建築、アート、色々なものが出ていたわけですけれども、その中に、洋服で1点だけ選ばれたのが、三宅一生がつくった、きょう里中さんがお召しになっているプリーツ・プリーズでした。それが服として格好いいとか格好悪いではなくて、つくり方が非常に画期的だというところで、服でただ1点、モードの本国でありながら選ばれたものが日本の服でした。
 やはり日本の誇りを持つということはとても大事だと思うのですね。その点でいうとこのファッションの振興という点で、やっぱり真っ先に挙げたいのは、まず日本の玄関口に日本の優れ物、服に限らず、日本の物をちゃんと並べる、と。実は高くはないけれど、非常に格好いいものもあるわけですよね。そういう日本の優れ物を並べるということがとても大事だと思います。例えばニューヨークのソーホーにモスというデザインのミュージアムのようなショップがあります。そこで売っている時計は、ローレックスではありません。でもセイコーの格好いい時計は売っています。それは日本の中ではそれほど評価されない。やはり日本の自分の物を誇りに思うということを、もっともっと振興していかないといけないと思うのですけれども、その出発点である玄関口からまず変えていかないと、という気がします。
 もう一点、この2年ほどこのファッション振興の中で議論してきた中で、やはり人材の育成、これは他の分野も同じ、コンテンツも食も地域ブランドも同じだと思うのですね。やはり人材の育成、もうこの一点だと思うのです。コンテンツを進めていくにも、ファッションでも、とにかく英語がしゃべれないというのが一番弱点だと思います。やはり私の会社もそこそこ世界で商売していますので、TOEIC、TOEFLで高い点数の人が入ってきます。入ってくるのですけれども、しゃべれません。だから結局コミュニケーションできない。やっぱり教育のまず根幹の部分を変えていかないと、文法が強い人ではなくてしゃべれる人をつくっていくということが、これはどの分野でも同じで、やっぱり日本を伝えていく、伝わらなければ話にならないわけです。伝えるためにはどうしても国際共通語として最低でも英語が必要だと。
 まずそこのところを変えないといけないし、ファッションに限って申し上げるならば、やっぱり今まで長い間、文部省のカテゴリー分類で、ファッションデザインというのは家政学の被服学科というところのジャンルに押し込まれてきたので、一般の大学ではファッションデザインとして学科がつくれなかったのですね。ほかの産業だと、例えば昔工学部の窯業科というのは、ほとんど今はセラミックだろうし、今農学部ではナノテクですよね。だから産業がどんどん変わってくると、学問も変わってくる。ところがファッションビジネスはなぜかいつも家政学という、女子大の中に取りこまれてきた。やっと少し緩和されたのですけれども、一気に変えていくためには、やっぱり普通の一般の4年制大学の中にも、ファッションのデザインを教える学科や、そのビジネスを教える学科もあるというのができるとよくなるのではないでしょうか。そこは、所轄の経産省だけではできないので、横断的に何かできたらいいなと思います。

○久保利会長 ありがとうございました。お待たせしました。プリーツ・プリーズの里中さんお願いします。

○里中委員 私は意図的に海外に行くときは、いつもプリーツを着て、日本人だぞと、そちらにいらっしゃる浜野先生から、なるべく日本人は日本人のブランドを着てうろうろしろと言われたので頑張っておりますが、日本ブランドと言いましても幅広くあるのですが、先ほどから食のことが言われておりましたが、どうして日本が食糧自給率が低いのかというと、農業にかかわっていても先が見えないということと、変ながんじがらめの行政の中で、つくり過ぎると損をするから捨てるとか、非常にむなしい歴史が繰り返されてきました。
 その中で、誇りが持てないと思った若者たちが農業から離れた。ところが最近は、農業に誇りを持てると思った若者たちが農業に戻ってきている。そういう若者たちを応援するためにも、できた物をきちんと売るという姿勢が日本には必要だと思います。その際、ちょっと前までは例えば北海道あたりでは米がたくさんとれると、とれても仕方がない、捨てるというので、お豆がとれたり、キャベツ、タマネギがとれ過ぎても、捨てなければしようがない。どうして中国に売らないのかと。そこはお金持ちが無農薬で安全な物を食べたがっていて高く売れるのだからやれといったときに、地方の農家の方たちとか、そういう組合をやっている方たちに言わせますと、中央の許可がないとできないと言っていたんですね。ちょっと前までは。なんてばかばかしいことかと。地方行政ごとに、地方単位で独自にそういう貿易をやってもいいのではないかと。
 素人だから大胆なことが言えるのですけれども、最近、幸いにしまして日本の食の安全ということで、特に近隣、アジア地域で大変評判になっております。この評判になるというのは、それは商売になると思う人も出てくるわけで、にせコシヒカリが蔓延しておりますし、既にコシヒカリというブランド名は、ブランド名といいますか、品種名ですか、もう登録されてしまっているわけですね。中国で。ところが、中国で漢字で登録してあります。たしか越光、コシヒカリそのままですね。だからコシヒカリという名前では売れないということで、新潟産米として売り出したと。非常に高いのですが、現地の安全を求める富裕層はやはり買うわけですね。宮城のひとめぼれでしたか、それも登録されてしまっているわけです。中国では私どもの業界ではクレヨンしんちゃん事件というのがあって、先に商標登録をされてしまうと、にっちもさっちもいかない。その著作権という問題ではなくて、商標で持っていかれてしまうわけですね。そのときに、今回のお米の問題は、頑張って新潟産米、宮城産米ということで売り出したので何とか売れたのですが、もっと開き直って、どうせもうみんな登録されているんですよ。日本のブランド名は。それだったら、ちょっと中国ばかり引き合いに出して申しわけないのですけれども、あちらの国は漢字表記です。そしてその漢字表記を中国音で読みます。それよりも、登録されている漢字で登録しようというのではなくて、日本語表記のローマ字書きとか、そういうすき間をねらって、こんなことを言うともう登録しているかもしれませんけれども、ローマ字表記で。
 それぐらいやっぱり知恵を尽くして、全業界が手を結んで、知恵を尽くして日本語そのままで日本の物を世界に広めていくという、そういう姿勢が必要だと思います。お酒にしましても、日本人は読めもしないフランス語を一生懸命頑張って読んでワインを飲もうとするわけですよね。発音が合っているか合っていないかわからない。日本語のまま読むのが格好いいと思ってくれる若者たちが、世界で今多く育っております。
 日本の漫画を読みたいがゆえに、日本語を習うという子がすごく増えていますね。そういうときに、日本語のままで言っても日本文化なんだからいいじゃないかと、ちょっと発想の転換をしていただきたいのですよね。一昔前、日本酒をジャパニーズワインといって売っていました。こんなばかばかしい話はないのですよね。酒でいいじゃないかと。酒にはこれだけの種類があって、しかも醸造酒もあれば、あと焼酎もあって、これだけ銘柄があって、各ブランドを飲み比べてくださいという、それぐらいの積極的売り込み姿勢が必要だと思います。酒は、今白ワインと比べて、安価でなお品質がよくてフレッシュだということで、非常に受け始めておりますので、もう少し日本文化と日本の伝統を、日本語のままで表現するということで、全業界が手を取り合って売り込むということも大事かと思います。
 そういうときに、英語ができなくても、英語ができないと商売にはならないのですが、それはクリエイターがやることではなくて、補佐する人がやってくださればいいんですね。フランスのファッション業界がどうしてあんなに偉そうにきたかというと、フランス語のままで通そうとしました。それにみんなひれ伏したわけですよね。だからとにかく相手の国の言葉に惑わされずに、日本の表記で堂々と売り込んでいただきたいと、何とか越光ではなくて、コシヒカリなんだと、コシヒカリとして浸透していただきたいなと思います。

○久保利会長 ありがとうございました。日本ブランドだけやっていると終わってしまいますので、あとお一方ぐらいにさせていただければと思いますが、では南場委員。

○南場委員 ブランドというよりも、コンテンツとブランド、両方にかかわる話ということでご指名いただきました南場と申します。私が社長をしていますディー・エヌ・エーという会社は、先ほど角川先生のご説明の中の言葉を借りれば、恐らくコンテンツアフィリエイトというところになるのかもしれませんが、携帯やパソコン上のオークションやショッピングモールといったeコマース全般、それから最近では、モバゲータウンというゲームやコンテンツを携帯で配信するポータルを運営しております。
 そのモバゲータウンには、最近ですとクリエイターというコーナーがあり、若者が小説や詩、あるいは音楽などを創作し、アップして、人気を争うというようなこともやっています。私どもはサービス運営者なので、今日の他のメンバーの方々と比べますと、どちらかというと、コンテンツやブランドそのものを創造するという立場ではなく、それを流通させるなど側面的な立場におります。そういった立場の者から今お願いさせていただきたいことは、先ほど角川委員の話にもありましたが、サーバーの話のようなケースは、実は実業をやっている者からすると非常に大きな話であるということです。デジタルコンテンツの流通ですとか、あるいはeコマースを前提とした法整備は非常に遅れていて、事業者自体、非常におっかなびっくりやっているところがあるというのが実状です。加えて規制の話が少し出てきましたが、事業者として感じていることは、既にある規制、法律の運用をしっかりやることの方が重要にもかかわらず、新しい規制をつくろうという動きばかりが先にあることは非常に気になっております。
 具体的にいうと、最近報道されているだけで決定しているわけではないのですが、未承諾メールというものに関して申し上げますと、未承諾広告を送信する場合は、件名の一番最初に「未承諾広告※」と書かなければいけないという法律があります。しかし実際はそのルールを破っている人たち、業者がたくさんいるわけです。恐らく非常にコンプライアンス意識が低い業者さんで、かつそういう業者さんは公序良俗に反するコンテンツの配信をしている場合が多いものですから、不快なメールが減らないという状況にあります。
 それを受けて、今行われている議論は、「未承諾広告※」と件名に入れても広告は一切送れませんという方向で強化しようかというものです。これは一例ではありますが、未承諾広告であるにもかかわらず、未承諾広告と書かずに送っている業者の取締りをもう少し徹底せずに、なぜこのような方向になるのかということです。そうなりますと、新しいコンテンツや、新しいサービスを告知する手段が限られ、特に、多くの資本を持たない企業にとっての大きな参入障壁になって行きます。デジタルで合法的にローコストでマーケティングができるという状況は、非常に重要な手段でありまして、そこを奪われてしまうというのは厳しいことです。これは新しくコンテンツを創造する者たちの意欲もそぐような動きではないでしょうか。
 もう一つの例を挙げますと、eコマース、オークション事業者というのは知的財産侵害品の流通というところで、やり玉に上げられることが多いため、ヤフーさんなどと一緒に自主規制を行っておりますが、最近、事業者、場の運営者の規制を強化するという動きがあるやに聞いております。これは知的財産権侵害品が流通しているという観点だけではなく、いわゆる特商法で義務づけられた表記を売り手がしていない場合に、売り手だけはなく、場の運営者にもその責任の一部を負わせようという動きがあるようです。場の運営者に対して、システム的な対応等々が求められると、必要となる投資が非常にかさみまして、ヤフーさんや当社もそうですが、中堅、中小企業への影響、あるいは参入障壁が非常に大きくなることで、流通の場というのが寡占されていく懸念も出てくると思います。基本的にコンテンツの流通や、日本ブランドの育成等々の話が行われる中で、この産業自体、すべてのレイヤーにおいて自由競争が行われるということが重要であり、一つのレイヤーでも寡占されると、パワーバランスがおかしくなっていくわけであります。
 この2つの例を挙げましたけれども、既に規制があるのですから、その運用をしっかりするということがまず重要ではないでしょうか。特商法の違反をしている売り手を取締っていくとか、あるいは「未承諾広告※」とつけない、コンプライアンス意識の低い事業者を取締っていくということがほとんど目に見える形で行われない中で、規制のみを強化するということに関しては、非常に危惧をしております。そのことをぜひ今後の議論の中で取り上げていただきたいと思います。

○久保利会長 ありがとうございました。服部委員は日本ブランドの関係ですか。手短にお願いできますか。

○服部委員 ではポイントを一言で。先ほど浮世絵の話も出ましたけれども、実は観光立国の今度基本法というのがこの4月か5月にできましたよね。「ようこそニッポン」というのが今進められていますけれども、僕は向こうの方々にいろいろな調査をしまして、日本のイメージは何だといいましたら、映画でいうと、ラストサムライとサユリなのですね。日本に行くとああいう場所があるのかというのです。レベルの低い人かもしれませんけれども、実は100万ドルを保有している富裕層ですね。これが今870万人世界にはいるそうなのです。この人たちを日本にも呼ぼうということも今計画されておりますけれども、ところが日本は携帯電話を日本から持っていった場合には海外からは使えますが、外国から来たやつは全部オフリミットですね。我々が貸して与えているようなものです。
 それとお金を借りようと思ったら、もうドルにしてもペソにしてもユーロにしても、我々日本円にすぐかえられるのです。それで買い物って小さい店でも両替してくれますけれども、日本は一切それできないですね。こんな開発途上国みたいなことをやっていていいのだろうかということと、あと僕はフランスの観光局長……

○久保利会長 恐縮ですが、ちょっと手短にワンポイントでお願いします。

○服部委員 そうですか。ということで、やっぱりそういう部分が非常におくれている。だからこちらから発信するのもいいのですけれども、日本に来る部分の両方をうまくかみ合わせないと、これは難しいんではないかと。
 すみません、遅くなって。

○久保利会長 はい、わかりました。ありがとうございました。
 それでは、これでおしまいという意味ではありませんけれども、とりあえず日本ブランドをこの辺にして、あとはコンテンツの関係で、久保委員よろしくお願いします。

○久保委員 小学館の久保といいます。ポケモンの映画・テレビ、または東京アニメセンターの統括プロデューサーをやっております。
 知財本部の報告書にも引用されている「デジタルコンテンツ白書2007」が出版されました。この中にコンテンツ産業全体の成長率が昨年対比1.1%に鈍化していると書かれています。米国の成長率は5.8%ほどですから、日本の数字は大きく下回っていることがわかります。政府がコンテンツ産業に関与し始めているにもかかわらず、数字が落ちてきているということは非常にゆゆしき事態と認識しております。
 最近の海外のコンテンツ産業の状況を見てみますと、変化のスピードが非常にはやくなってきています。1年に1回出版される年鑑を読んで状況を認識するということは重要ですが、3カ月に1度ぐらいのスピードで情報をアップデートしていく必要性が高まっています。例えば昨年、つまり前回のコンテンツ専門調査会では、「デジタル環境は日本が世界一」との認識がベースにあったと思っておりましたが、現在は既に韓国に抜かれていると思います。また、海外、特にアメリカでのテレビ番組販売に関しては、通信の送信可能化権がないともう何も売ることが出来ない状況になっています。ですので、海外の状況変化をもうちょっと早く議論すべきかなと、この会議は調査会という名の会議ですから、現実から遅れている事実を調査検討しても意味がないと思います。
 2番目は、コンテンツにおける地域格差の問題です。福田内閣が地域格差の是正に積極的に取り組むということを発表されていますが、コンテンツ産業においても地域格差は存在します。ご存じのように、メディア企業は東京に集中しております。東京にはコンテンツをつくって流す人が多く、地方の方はそれを受け取る人ばかりというのが現実だと思います。その中でおもしろい現象としては、前もお話ししたかもしれませんが、東京メトロポリタンテレビジョン、通称:東京MXです。ここが地方局発で制作した番組をオンエアしており、それが人気になっています。つまり地方でつくられたテレビ番組が、首都圏で見ることができて、それがまた人気になってきているという現象が起きております。また、東京MXは、アニメ番組に関して、既に40番組(再放送含む)を超えて放送しております。アニメ放送をされているテレビ局としては、トップクラスになってきています。
 また、アメリカでは、「The Daily Show」(人気のあるニュースバラエティ番組)ように、テレビ番組が通信でシーズン買いできる状況がすでに作られています。iTunes Storeに行くとよくわかるのですが、テレビ番組が9ドル95セント/16話ほどで販売されています。(アメリカで登録された人向け)シーズンごとに約20ドルから30ドルぐらいで売られている番組もあるようです。ですので、自分のiPodなり、パソコンなりにそれをダウンロードして、海外にいてもいつでも見ることができる状況をつくることできます。海外ではそういう新しいコンテンツビジネスがどんどん進んでいるわけですから、日本も足踏みせずに追いついていく努力をしつづけることが大切です。
 最後に一点、最近、特に感じていることをお話しします。それはコンテンツ産業における大原則とすら僕が思っている言葉なんですが、「コンテンツは人の心が動いてから物が動く」ということです。要は、コンテンツは、通常の商品とは違います。ユーザーの心が動いてからでないと映画館へ行くという営業行為に繋がらないわけです。店の棚に並べれば、安ければ売れるというたぐいの商品ではなく、面白くなければ買ってもらえないのです。今はビジネスを成立させることに注力しすぎているような感じがします。ビジネスと同時に面白いものを創る活動も積極的に進めて頂きたいと思っております。
 以上でございます。

○久保利会長 ありがとうございます。では三尾委員お願いします。

○三尾委員 私は久保委員の意見とはかなり重なる部分があるのですけれども、弁護士としての立場として少しつけ加えて申し上げたいと思います。今エンターテイメント・ロイヤーズ・ネットワークは、発足以来、定期的に定例会をやっておりまして、ロイヤーのエンターテイメントに対する意欲というのはかなり強いものがあります。人材としても十分豊かなものを提供できる状態になってきているかなというふうには思うのですけれども、ただ問題は、この分野全体としてのパイが米国なんかと比べますと、小さいのではないかということで、したがってエンターテイメント・ロイヤーになりたいという人がいるにもかかわらず、仕事としてそれだけでやっていくような市場にはまだなっていないんではないかと思います。ですので、全体としてパイを大きくしていただきたいというのが、まず第一に申し上げたい点です。
 今回、資料7−1を配付していただきまして、これは4つの課題があるというふうに記載されているのですけれども、これらの課題の最終的な目的はパイを広げることだというふうに思います。それは私としても大賛成で、個人的にも頑張っていきたいと思うのですけれども、この中で私が一番大事だというふうに思いますのは、優れたコンテンツの創造です。先ほど久保委員がおっしゃったように、いいコンテンツがあれば、みんな見たいなと思うと。そう思えばそれを使ってみたいという人があらわれて、流通をするということ。さらにはそれが海外に向けても流通をするという方向で、この4つの課題が全体としてうまく回っていくのではないかというふうに思うのです。
 それではどうしたらいいコンテンツができるのだろうかということが問題になるかと思うのですけれども、いろいろな例があって、いろいろな課題があるとは思うんですが、私は最近ちょっと注目しておりますのが、皆さんよくご存じかと思いますけれども、「蛙男商会」です。蛙男商会、これは株式会社なのですけれども、島根県在住のフロッグマンさんという人が、小野さんというお名前なんですけれども、やっていらっしゃいまして、島根県にずっといらっしゃってアニメのコンテンツをインターネットを介して発信されています。それがかなり今有名、もうメジャーになっておりまして、実はサントリーのカクタスXのCMでも使われておりまして、テレビでコマーシャルとして流れておりますし、また筑紫哲也さんのニュース23でも紹介されたりして、非常に大きな話題を呼んでいます。この方は、全くほとんど一人で立ち上げられまして、インターネットを利用して発信して、それがおもしろいという方がいらっしゃったので、どんどん広がっていって、大きなビジネスに今なっているという状態なのです。
 東京にいなくても地方発信でこういうビジネスが展開できる可能性が、今やできているというふうに思うのです。これはインターネットというインフラが非常に重要であるということを示唆していると思うのですけれども、もちろん放送事業者の方がつくっていらっしゃる現在の優秀なコンテンツは、そのままどんどんつくっていただいた上で、さらにこういう新規の草の根的に発掘されたいいコンテンツがどんどん出ていけば、全体としてのパイは広がっていくのではないかというふうに思います。ですので、少なくともインターネットを利用してこういういいコンテンツを発信できるインフラとしての仕組み、それを十分整備してあげる必要があるのではないでしょうか。そこが一番大事なのではないかと思いまして、今回のこの専門調査会のワーキンググループに参加させていただくときにも、その点を注力していきたいなというふうに考えております。

○久保利会長 ありがとうございました。それでは高橋委員、そして重延委員の順でお願いできますか。お一方3分程度でよろしくご協力のほどお願いします。

○高橋委員 生活経済ジャーナリストの高橋でございます。私は情報通信審議会の委員としまして、生活者の視点からデジタルコンテンツのあり方について意見発信をさせていただいております。知的財産推進計画の中では我々の情報通信審議会に対しまして、コンテンツ競争力強化のための法整備のあり方等々の諮問がされているところでございます。
 具体的には私が現在一番かかわっておりますのが、デジタルコンテンツの流通促進に関する検討委員会で、かなり頻度高く検討しています。よく報道されているところでは、コピーワンス問題というのがありまして、海賊版等々が横行するということで、本来は個人が私的には楽しんでよいテレビの録画等に関して、地上アナログ放送が停波したら、一度しかコピーはしてはいけないというコピーワンスというものに移行するというものでした。既にそういう機器が販売されていて、テレビとDVDのメーカーが違うとなかなか接続ができないとか、途中でムーブを失敗すると録画しても見られないとか、トラブルがたくさん出ました。消費者団体等々からは、アナログを停波しないでくださいという要望もあり、2年近く話し合いをした結果、ご存じのとおり、1プラス9の10回までは私的な録画が楽しめるというふうに話がまとまったところでございます。
 次の課題は、2011年7月24日にデジタルに移行するに際して、消費者はテレビを買い替えたり、チューナー、あるいはアンテナを買い替えたり、非常に経済的な負担を強いられると。精神的な負担も結構大変ですと。果たして今よりもいい番組が供給されるかが焦点なわけです。高音質、高画質ということは言われているのですけれども、リッチコンテンツというのは本当にできるんでしょうかと、ここに疑義がございまして、いい番組を流していただかないことには、消費者はまたアナログは停波しないでください、今のままでいいですと、こういうことになってしまうわけなんですね。委員会ではデジタルコンテンツについては、生活者がやはり豊かさを享受するためには、たくさんの選択肢の中から選べるということが普通でしょうと、こういう問題を検討しています。
 いいものができるのかどうかということなのですけれども、一つはそのコンテンツの制作及び流通の過程に、今かなりの問題があるのではないかということを、さまざまなヒアリングを通してわかってきました。先ほど、テレビ局さん、NHKさん、フジテレビさんの方から随分進めているとのお話がありました。コンテンツ流通に消極的で死蔵させているという声というのは私の意見だと思いますけれども、非常にもったいない状況になって、これをやっていただきたいというふうにお願いしています。情報通信審議会の方でも申し上げましたけれども、例えば民放さんからいただいた地上テレビの輸出金額のこのデータでございますけれども、2004年が82から87億で、2006年度が95から100億円とこうなっているわけなんですが、韓国は2004年から2006年には倍増をしておりまして、地上波のものだけで大体140億円。GDP比から考えたら大きく抜かれていると、こういう状況がありまして、やっぱりこれを見ると消極的というふうに言わざるを得ないのかなと思います。仮に消極的ではないとしても、何か大きな問題があるだろうということで、今検討を重ねているところなのですが、一つはやはりコンテンツの制作者を育成するような制度になっていないのではないかということです。もっと積極的にコンテンツをつくりたい人が資金調達をしやすくして、いいものをつくっていって、市場で取引できるような形をつくる必要があると思います。
 一つやはり私、この議論をして色々調べている中でショッキングだったのは、今年の4月にICT国際競争力懇談会の最終取りまとめにある、海外における我が国のコンテンツの評価の問題点です。7つ挙げていますが、1つ目は、我が国の放送コンテンツの海外における評価として、バイヤー、プロデューサーが日本の優良コンテンツを知る方法、機会が少ない点。2番目に、海外のバイヤー、プロデューサーは、日本のコンテンツを買おうと考えても、その窓口がどこにあるかが分からないと言っている。3つ目は、日本製コンテンツは、権利が複数の会社に分散しているケースがある。4つ目としてアメリカの配給会社はコンテンツを販売する場合に権利の正当性の確認と賠償責任のオフ権を求められることがある等々、問題点がもうかなりクリアになっておりまして、これらを一つ一つ解決していく必要があると思います。ですので、本当にコンテンツ立国を目指すのであれば、みなでこのハードルを越えていかなければならないと思っています。
 今日いただいた中で、今後の検討の基本戦略の中に、"既存の枠にとらわれず"という用語があるのですが、私はこれが非常に重要で、今後ワーキングで検討するときには今はいいんだという姿勢ではなくて、既存の枠組みにとらわれないで前向きに検討していくということが必要だと思っております。
 以上です。

○久保利会長 ありがとうございます。コンテンツ制作者、あるいは創造者、これについても問題点が色々出てきたところで重延委員お願いします。

○重延委員 3分ということで、お話をいたしますが、私の意見は非常に簡単にいえば、考える、書くという時代から、行うという時代に行きませんかということです。そういう意味で実はここの取り組みにも書かれておりますJAPAN国際コンテンツフェスティバルというもののエグゼクティブプロデューサーをお受けしたわけです。このJAPAN国際コンテンツフェスティバルは19日にオープニングいたしまして、最初に20日、21、22、23と、和田委員もいらっしゃいますが、東京ゲームショウ2007から出発し、一番最後は角川委員もいらっしゃいますけれども―チェアマンでいらっしゃる―20年を迎えた東京国際映画祭という、そういう中で、あと中に16オフィシャルイベントを入れて、18イベントをスタートさせました。40日間でございますので、ぜひ皆さんもどこかの会場に来て、行うことがどういうことかということを見ていただきたいと思います。
 この中で、目標としております一つは、マーケット戦略でございます。マーケット戦略には色々な意味がございますが、経済産業省の経済成長戦略大綱からコンテンツ促進法という、考える、書くというところがあって、その次が動くというか、行うというところに今動き始めたところでございます。18オフィシャルイベントが動き出し、さらにパートナーシップで10以上のイベントが動き始めております。これが果たしてどう動くかということは、第1回としては完全な形ではできませんけれども、出発をさせたということを認めていただいて、1年では終わりません。2年、3年と次第によい形にという具合に思っていますが、やはり国際的マーケットというのはどういうものかということを、しっかりと受けとめたいと思います。これは交流という言い方で言っておりますので、いろいろな国から来ていただく。そして売るだけではなくて、買うことも含めた交流、これが重要ではないか。さっき人材の話もありましたけれども、そういう交流の中から本当にマーケットが広がっていくというように思います。
 それから新しい時代ということですので、角川委員からありましたアフィリエイトビジネス、これも2年目、3年目にはデジタルコンテンツも含めて動かしていくということはやりたいと思います。
 それから誰もが思うことなのですが、では何を売るかというと、すばらしいコンテンツだと思うのですね。日本にはすばらしいコンテンツがある。すばらしい情報があるということで、海外の方々に日本に来ていただき、見ていただくと、そういう思いで動かしていきたいと思います。
 それから、きょうは日本ブランドのお話もありますけれども、オフィシャルだけではなく、パートナーシップ、それからフレンドシップイベントというものをつくっていこうと思いまして、その中にはファッションも、それからグルメも含めて動かしていくというのは本当はよい形である。要するに魅力的な日本ということをしっかりと国際交流の軸にしていきたいという具合に思っております。
 私が今言ったのは、楽しくやりましょうということと、それからミーティングの後はおいしいグルメをと、こう言って皆さんをお誘いしておりますので、やわらかい気持ちから始まって、でも実際に結果としてマーケットがどう動いたかということは、しっかりと分析をしていきたいということでございますので、始まりでございますけれども、各会場いろいろなご案内がございます。
 それから2つだけ新しい発想を入れさせていただいて、1つは今日放送のコンテンツのお話がありましたけれども、放送業界はやはり一番日本の市民に近いメディアでございますので、そこから国際ドラマフェスティバルという、実は日本では初めてなんです。そういう観点で新しいイベントをやっていただくことになりました。これは、実行委員会はございますけれども、総務省、経済産業省共催という形で進めることになり、いかにもこの専門調査会らしく、あらゆる省庁を越えて一緒にやっていくすばらしいものをつくりたいということですので、放送に協力していただいたことは非常にうれしく思っています。
 それからもう一つは、クリエイターということですね。クリエイティブが参加するということで、実は「劇的3時間SHOW」というイベントを10月1日から10日間開催します。これは10人のコンテンツプロフェッショナルが3時間しゃべると。1時間では本音にならない。3時間しゃべろという言い方でやっておりまして、10人のコンテンツプロフェッショナルがお話をします。すばらしいコンテンツプロ、世界と闘っている方々です。一番上に佐藤可士和さん、デザイナーですけれども、初日のお話はあっという間に満杯です。もう倍以上来て打ち切りました。そういう具合に関心が起きている時代でございますので、コンテンツの広がりとともに、新しい時代をつくりたいと、今動き出したのでございますので、皆さんのご協力をいただければさらによくしたいと思っているところでございます。

○久保利会長 ありがとうございます。本当は皆さん方に1人3時間ずつお話をいただきたいところなのですけれども、恐縮ですが、中村委員、3分間でよろしくお願いします。

○中村委員 佐藤可士和さん、申し込みましたがもう手遅れでした。私、この場で何を議論すればいいのかということについて、2点について3分で話します。
 1点目ですが、コンテンツ政策としてはビジネスの振興だけではなくて、コンテンツ全体の振興というものを考えるべきではないかということです。ビジネスとしてのコンテンツ、つまりエンターテイメントのコンテンツですけれども、14兆円市場あるということですが、そして政策は今ここに集中をしているわけですけれども、しかし、デジタル化でより大きく成長しているのはその他のコンテンツの分野です。先ほど角川さんや南場さんも指摘された分野ですけれども、例えばSNS、ブログ、あるいは個人のメールといった個人の生むようなコンテンツ、それ自身は売買されてビジネスにならないかもしれませんが、それを取り巻く産業としては、例えば通信産業、15兆円という大きな産業を形成しているというところがあります。
 さらにエンターテイメントではない、よりパブリックなコンテンツ、例えば遠隔教育、遠隔医療、電子政府、電子自治体といった、そういった分野。日本の医療コストは年間30兆円と言われておりますし、教育コストは20兆円と言われています。それらがすべてオンライン化してきて、つまりコンテンツ化してくるとすると、50兆円の市場があるというわけで、エンターテイメント市場よりもひょっとすると大きな領域がまだ広がっているのかもしれません。つまり、これらのメディアの融合の問題といいますか、情報化そのものの問題でありまして、それら全体をどうやってプロデュースすればいいのかというのが、政策として考えると非常に大きいのではないかというふうに思っています。
 エンターテイメント産業を振興する、拡大するというのは、経済環境としては非常に重要な施策なのですけれども、内閣官房として見た場合にはより政府全体の課題にスコープを一回拡大しておくといいのではないかなというふうに感じております。
 それから2点目、政策として重要なのは何かということについて、2つばかりあるかなと思って話を聞いておりました。まず1つ目はメディアの融合の領域です。私自身、総務省で通信、放送の法体系の見直しとか、それからコンテンツ取引市場の形成とか、ユビキタス特区をつくるといった政策立案に今携わっているのですけれども、こうした最近の通信放送行政はほとんどすべてコンテンツに直結しています。法体系は先ほど事務局から話がありましたとおり、コンテンツを含めて見直すということで、どこまで規制緩和をするかということがかぎになってきています。
 それからコンテンツの取引市場というのは、放送コンテンツの通信利用を促して、コンテンツを流通させる市場をつくろうということで、来年度から実験をやろうという動きになっておりますし、それからユビキタス特区、これは2011年の地デジの完成の前に、新しいコンテンツ事業が展開できるような場をひとまずつくっていくという、そういう動きでありまして、全部連動しています。そして全部実行段階に入っています。こうしたその政策的な取り組みに対して、内閣官房でどこまで踏み込んで今回扱うのか、非常に関心があります。
 またもう一つは、人材育成です。非常に重要な課題で、特に高度な人材を育成するという議論はずっと議論をされてきておりますし、慶應義塾大学も来年4月から、コンテンツといいますか、メディア専門の大学院を開設する予定にしておりまして、私もそれに携わっているんですけれども、行政として考えると、より重要なのはもっと下のレイヤーといいますか、幼児教育の分野ではないかというふうに思います。デジタル化でデジタルの技術が国民すべてに行きわたって、すべての人たちがコンテンツをつくる、その想像力や表現力をどうやって高めていくかという、そういった分野、国の政策としてはこのあたり、非常に重要なのではないかというふうに考えますので、そういったこともこの場で少し議論ができればというふうに期待をしています。
 以上です。

○久保利会長 ありがとうございます。では和田委員からお願いします。

○和田委員 恐れ入ります。スクウェア・エニックスの和田と申します。テレビゲームをつくっている会社です。議論の対象が非常に広範でございますので、やはり会が設定されている以上は何らかのアウトプットを出さなければいけないということになると、論点の整理といいますか、そういうことをかなり意識してやりながら進めていく必要があると思います。
 包括的、総合的に議論することは不可能だと思いますので、どのポイントについて話をしているかということを意識しながらやるべきだということで、3点ほど申し上げます。
 1点目は、日本のコンテンツ振興と言う場合に、どういうことをイメージするかです。つまり供給者側の議論なのか、消費者側の議論なのかという点でございます。自動車産業を例にとっていうと、トヨタ自動車が世界中で車を販売する、つくる、あるいはトヨタ自動車のような会社がいっぱいできるということをやりたいのか、あるいは日本にもっと車を走らせると。車を走るスペースがないなら、道ももっとつくろうということをやりたいのか、どちらの議論かということを―両方とも論点たり得るのですけれど―どちらの話をしているかということを整理しながら行う必要があるなというふうに思います。
 2つ目はコンテンツといった場合、つくるという話と、売るという話がございます。つくるところの阻害要因を排除しようとしているのか、売るための阻害要因を排除しようとしているのかと―振興しようとしているということでもいいのですけれども―これもどっちの議論をしているかということを整理しながらやる必要があると思います。今の中村委員のお話ですと、物をつくるという概念においても、いわゆるプロがつくる物と、そうではない、今後の物との区別もございます。これも全く違うアプローチになると思いますから、どの議論をしているかということも必要があるのだと思っております。
 3つ目のポイントといたしましては、例えば売る、ビジネスモデルというような話をした場合に、これは非常に総合的に産業全体を見ておかないと非常に危険な議論になるかもしれないというところでございます。私ども、コンピュータゲームというのは、非常に特徴的な点が2つあります。1つはデータがデジタルであること、もう一つはコンテンツがインタラクティブ、双方向性を持ちますので、プログラムの要素が入ることです。これらは、現状はゲーム固有の特徴となっていますが、今後のデジタルコンテンツは同等の要素を持つことになると考えます。この2つによって、我々が直面している流通における最大の阻害要因というのは、規格の不統一です。もう一つは海賊。規格の不統一と海賊という問題が、実務上の問題のほぼすべてです。例えばこの規格の不統一を捉えた時、先ほど南場委員の方から、あるレイヤーについて寡占が生じるという話がございましたが、1社が独占するか、1規格を多数の会社で担ぐかは別としまして、規格は統一してくれた方がいいという場合があります。ですから、産業全体がどう構成されているかということを視野に入れながら、議論をするということが非常に重要なのだと思います。まさにご指摘があったように、1事業1完結ということにはデジタルの時代になるとなっておりません。あらゆる企業が何らかの形で神経がつながった形で事業が展開されますので、全体を見渡した中でどのレイヤーのボトルネックを解消してやるかということをレイヤー毎に考える視点が必要なんだと思っております。
 非常にとにかく範囲が広いものですから、何らかのポイントに絞らざるを得ないということではございますけれども、どこに絞って議論しているかということを自覚しながら私ども今から参加させていただきたいと思っております。
 ありがとうございました。

○久保利会長 ありがとうございます。それでは浜野委員どうぞ。

○浜野委員 海外展開について、1点だけお話ししたいと思います。
 公的予測では2100年に日本は約6,500万人になり、現在の韓国に近いものになり、民間の予測で一番極端なものは3,500万人です。人口の減少は、コンテンツの購買力の強い若年層から始まるので、このままでは5兆円伸びるどころか、市場が縮小する可能性が高い。そうすると、韓国政府のように、海外市場を前提としたコンテンツ産業を立て直さない限り、国内では市場は確実に縮小します。ですから、海外展開というのは長期的に考えると重要ですが、いままでも海外政策はないわけではなく、むしろたくさんありました。
 敗戦後、外貨が必要だった日本政府は、1951年に映画産業振興審議会を設置し、熱心に議論しました。当時は輸出コンテンツといっても映画しかありませんので、何度も映画関係の会が設置され提案が行われましたが、半世紀たったいまの状況をみると、成果があったとは言えない。
 1966年には政府融資「輸出映画振興金融措置要綱」が決定され、1971年までに73億円を映画界につぎ込んで輸出に向いた映画を支援しました。「男はつらいよ」もその制度を使って作られましたが、作るための支援はあっても、売るための方策がなされていなかったので、輸出が増えることはありませんでした。やはり海外に売る努力が必要だと思います。つい最近、インドネシアの映画ジャーナリストからお話を聞いたら、生まれてこの方、2億人もいるインドネシアの商用映画館で日本映画を見たことがないということです。日本映画を見たければ海賊版DVDを見るか、韓国で販売されている日本映画が輸入されていて、言葉もわからないまま、それを見ているというのです。日本のDVDが何でインドネシアで買えないのですかと聞かれました。売る努力がなされていないため、海賊版に手を染めざるを得ないのだと、ジャーナリストの人は言っていました。同じようにヨーロッパでも日本のアニメーションが正規に販売されていないため、日本のアニメーションのDVDのほとんどが海賊版の国もあります。日本は国内市場が堅調ですから、今のところ海外で努力して利の薄い商売をするつもりなんてないため、そういった事態を招いていると思います。そういうところは公的な役割が必要ではないかと思います。
 以上です。

○久保利会長 ありがとうございました。それでは最後になってしまいましたけれども、廣瀬委員よろしくお願いします。3分を厳守してください。

○廣瀬委員 随分、ここの時計はゆっくり動くなと思っておりますが、音楽事業に身を置いておりますので、音楽事業者の一人としてコンテンツの中の音楽産業等を見ていて、それに対してどういうことをやろうとしているかをお話します。
 資料7−2でございますか。ここに概観がまとめられておりますが、まず市場動向につきますと、コンテンツ市場全体が拡張している中で、先ほど久保さんがおっしゃったように、日本は1.1%ぐらいの伸びしかないというところで、音楽事業は1998年を頂上といたしまして、2006年は約半分でございます。5割減でございます。ところが世の中は音楽を楽しまれている状況を見ますと、昔よりもはるかにたくさんの人は音楽を楽しんでいるように見受けられます。特に携帯でほとんどの若い人は耳にイヤホンを挟んでいるとか、ああいうのを見ますと、音楽を楽しまれている状況と、金額的なマーケットの状況に大きな乖離があるように思っております。したがいまして、コンテンツマーケットを見るときにデジタル化によって大幅にその単価が下がっていく状況の中で、金額的なマーケットでとらえただけで十分だろうかという疑問がありまして、何かほかにコンテンツの振興状況というか、普及状況をとらえるメジャメントを見つけられないかというふうに思っております。例えば、どれだけ創作者がたくさんの音楽を1年間につくり出したかとか、そういうふうなメジャメントを何とか探してきたいとこんなふうに思っております。
 それからここで特徴的なのは、日本と米国にかけて東西のコンテンツマーケット1対4、大体1対4ですが、音楽マーケットは1対2でございます。比較的日本の音楽マーケットは米国に比べて大きいのですが、にもかかわらず、輸出はほとんどないとこういっていいと思います。何が輸出を阻害しているかということは、音楽事業にとって大きな課題になっております。
 それからいくつかページをあけますと、少子化、高齢化でマーケットが縮小しているやに見えますが、音楽マーケット、音楽を楽しむマーケットは実はこの高齢化されたセグメントが着実に伸びております。したがいまして、音楽需要だけを見ますと、きょう現在、高齢化マーケットに対してどういう音楽を供給していくかということが、非常におもしろいテーマになっておりますし、かつその人たちは、昔の音楽を楽しんでくれますので、今度はビジネスという観点で見ますと、非常に付加価値の高いマーケットになっております。
 こんな中で、音楽事業者としてそれでは何が一番音楽振興のかぎになるかというところを見ているのですが、実は大きな変化が起きておりまして、音楽といいますと皆さんの頭の中ではCDが浮かぶと思うのですね。それでCDの中に入っている音楽をデジタル配信するから配信の権利という議論になるのですが、この1年ぐらいアーティストのかなりの人数は、もうCDはつくらない。ネットにすぐ音楽をアップロードしてしまうというようなプロデュースが出てきております。そうなってまいりますと、今度は先ほど、一番最初に角川さんのお話にありました、どこのサーバーにそれを上げていくのだというところが非常に問題になりまして、アーティストはサーバーがどこにあるかは気にしておりませんので、日本のアーティストがどんどん音楽をつくったものが、全部外国のサーバーの中に入ってしまうというような、目に見えない何かがございます。それに対して日本のサーバーの中にとどめておくというようなことがひょっとして大事かなというふうに感じております。
 それから実は音楽、どんどん売れなくなっております。CDという観点で申しますと、約10分の1のサイズに下がっているんですね。もっと下がっているかもしれない。ミリオンセラーというのが1990年代の終わりは38とか39タイトルあったのが、現在1タイトル、2タイトルでございます。したがいまして、損益でいっても非常に厳しい状況にありまして、1万5,000枚ぐらい売れないと、採算がとれないのですが、1万5,000枚に達するCDの数というのは激減しているわけですね。そうなりますと、それが障害になってミュージシャン、アーティストのデビューが阻害されるということが実はマーケットに対する音楽供給の大きな障害になっているのではないかと思っております。したがいまして、我々が与えられた課題は、いかにミュージシャン、アーティストが手軽に、敷居が低い状態で市場に出ていけるか、そういう仕組みを整えるというのが、かなり早急の問題ではないかとこのように思っております。

○久保利会長 ありがとうございました。では中山先生お願いします。

○中山委員 私の専門は知的財産法です。コンテンツに関しては著作権が一番問題ですので、その方面から発言をしたいと思います。実は重要施策のアイテム自体につきましては、もうほぼ網羅的にここに記載されております。現に、文化審議会を初めとしていくつかの審議会で議論もされておりますので、個々の法的な問題については省略いたしまして、一般論あるいは総論的なことをお話したいと思います。
 この本部は、もともとは経済発展という観点から知的財産制度をどう扱うかという、どう改革していくかというそういうことを議論する場でありますので、なかなか経済外的な要素というのは入ってきにくいわけであります。しかし、一般的にはそれでいいのですけれども、著作権に関しましては、人格権の要素というのは非常に強いわけであります。財産権法的な論理で動く部分と、人格権法的な論理で動く部分というのは全然違います。時にはこの両者はトレードオフの関係に立つということが言えるだろうと思います。
 時間の関係で細かいことは省略いたしますけれども、私個人の見解といたしましては、やはりこのデジタル時代におきましては、まず考えるべきは利用・流通であろうと思います。そうすると、すぐに、人格権はどうしてくれるのだ、という反対が出てきます。もちろん人格権は無視できないわけでして、これは国際的な水準がありますベルヌ条約という条約で決められている水準がありますので、その水準は維持しなければいけないのですけれども、我が国の場合は世界で最も強いと言われる条約を超えた強い人格権を与えている。これは何十年か前の立法当時は確かにそれは誇れる制度であったと思うのですけれども、このデジタル時代にそれが果たして文化の発展に裨益しているかという、この点について私は再検討をしていかなければならないと考えております。
 また、人格権以外においても、少なくとも著作権法が新しいビジネスの障害になるという事態、著作権があるからこのビジネスができませんという事態は避けなければいけない。一例を挙げれば、先ほど角川委員がおっしゃったことと同じですが、グーグルやヤフー等の検索エンジンですね。これは現在日本にサーバーを置いて行うと、著作権侵害、10年以下の懲役になる可能性が多分にあります。この状況を速やかに解決していかなければならないと思っておりますし、現に文化審議会著作権分科会で議論をされております。というか、私はその主査をしているわけですけれども、ただこれはなかなか審議会だけというよりは、強いサポートがなければなかなかできませんので、ぜひそれは世論の喚起を期待したいと考えております。
 著作権に関しては、このように言うと語弊もあり、誤解を招くかもしれませんが、原理主義的な考え方が非常に強く、あれはだめ、これはだめという考え方になりがちです。現在のこのデジタル時代におきましては、条約の要求は守る必要がありますが、できるだけ大きくビジネスを回すことが必要と考えます。ビジネスが回れば利益が出ますから、その利益の一部をどうやって著作権者あるいはクリエイターに還元するかという、そういう発想の転換が必要だろうと思うのです。
 今、非常に問題になっているものにYouTubeがあります。動画投稿サイトですね。あそこには違法なものがもうあふれかえっております。物すごくたくさん違法なものがあるわけでして、権利者はその削除に躍起になっていますし、現にもう何万件も削除したというのは新聞に載っているわけであります。これは違法ですが恐らくもうこれをとめることはできないどころか、ますます増えていくだろうと私は思っております。これは発想の転換をする以外に方法はないと思います。違法、違法といっても絶対なくならないのですから、どうやってそれを合法化の方向に向けるかと、取り組んでいくかという方へ考えを発展しなければいけない時期にきていると思います。アメリカではもうそういう発想になりつつあるわけであります。例えば、仮にYouTubeがあることによって、100の損失があっても、これをうまく取り組むことによって200の利益があれば、これはこれでいいのではないかと私は思うわけであります。もうコンピュータやインターネットがなかった良き時代は絶対に戻ってこないわけでありますから、要は新しい時代にどう適応するか。新しいインターネットを使ったビジネスができると、大体著作権法に抵触することが多いのですね。その場合、あれはだめ、これはだめといっているだけではなくて、ぜひ積極的にそれを合法化するように向かって、どうやってその利益の一部を権利者に還元するかということを中心に考えてもらいたいと思っております。
 以上です。

○久保利会長 ありがとうございます。会長の不手際でちょっと時間が超えてしまいました。オブザーバーの佐藤本部員お見えになったのですけれども、何か一言ございますか。

○佐藤本部員 結構でございます。

○久保利会長 大変申しわけございません。それでは予定の時間を過ぎましたので、きょうの会合をこれで閉会いたします。
 コンテンツ企画ワーキンググループの第1回会合は、10月11日、14時から霞ヶ関東京會舘シルバースタールームで開催予定です。本調査会の次回会合につきましては、後日事務局より連絡をさせます。
 なお、皆さん方のような論客は3分で何かが全部言えるとは思いませんので、本当は3時間必要ですから、ぜひ次回のコンテンツ企画ワーキンググループの方は、事前にペーパーをご用意できる方は事前にペーパーをお願いしたいとかように考えます。それを要約して3分でお話をしていただくようにしないととても無理だと思いますので、ぜひご協力のほどお願い申し上げます。
 本日はご多忙のところ、まことにありがとうございました。これで閉会します。