○牛尾会長 それでは、ただいまから「コンテンツ専門調査会」の第7回会合を開催したいと思います。
委員各位におかれましては、お忙しい中お集まりをちょうだいしまして、誠にありがとうございました。
初めに、議題1の「デジタルコンテンツ・ワーキンググループの報告について」事務局から説明をしていただき、その後、討議に移りたいと思います。
それでは、事務局から資料1、2の説明をお願いしたいと思います。
○荒井局長 それでは、資料に沿いまして、説明させていただきます。
資料1及び2は、デジタルコンテンツ・ワーキンググループでとりまとめを行った「デジタルコンテンツの振興戦略」です。資料1が概要で、資料2が本文でございます。
デジタルコンテンツ・ワーキンググループは、牛尾会長を座長として、昨年11月から本年2月にかけて、4回にわたり開催されました。
それでは、資料2をごらんいただきたいと思います。
1ページから4ページまでが総括でございまして、5ページから具体的に書いてありますので、7ページをごらんいただきたいと思います。
7ページは「2.基本的方向」「1.基本目標」として「〜日本を世界トップクラスのデジタルコンテンツ大国にする〜」ということで、
<目標1>ユーザー大国を実現する。
<目標2>クリエーター大国を実現する。
<目標3>ビジネス大国を実現する。
ということでございます。
7ページの下の方の「2.6つの視点」でございます。
視点1:ユーザーが主役である。
視点2:クリエーターを大切にする。
視点3:デジタルに国境はない。
視点4:各国と比較して一番よい仕組みを作る。
視点5:ビジネスモデルは進化する。
視点6:技術は日進月歩する。
こんな視点で検討したわけでございます。
8ページの3では、ユーザー大国、クリエーター大国、ビジネス大国は、矛盾するものではなくて、Win−Winの関係を求めることが必要だということでございます。
9ページからは「3.具体策」でございまして「目標1:ユーザー大国の実現」のために「(提言1)放送と通信の一体化の中で、デジタルコンテンツの供給を拡大する」。
10ページ「(提言2)バランスのとれたプロテクションシステムの採用を促進する」。 11ページ「(提言3)ユーザーが豊かなコンテンツを楽しめるようにする」。
12ページ「(提言4)デジタルによりコンテンツのアーカイブを充実し、再利用を促進する」。
13ページからは「目標2:クリエーター大国の実現」のための提言でございます。
「(提言5)クリエーターの能力発揮を支援する」。
14ページ「(提言6)クリエーターが適正なリターンを得られるようにする」。
15ページ「(提言7)コンテンツ分野における人材育成を図る」。
17ページ「(提言8)デジタルコンテンツに関する研究開発を促進する」。
18ページからは「目標3:ビジネス大国の実現」のための提言です。
「(提言9)コンテンツを輸出する」。
20ページ「(提言10)著作権問題を早急に解決する」。
22ページ「(提言11)国際標準をリードする」。
以上でございます。
○牛尾会長 どうもありがとうございました。
「デジタルコンテンツ振興戦略」については、4回にわたるワーキンググループの会合において、熱心な御議論をちょうだいしたものをとりまとめました。
今日は、全体の会議で、この報告書について、御意見のある委員から御意見をちょうだいして、御発言を願いたいと思います。
資料を提出していただいている委員の方もいらっしゃいますので、この報告書についての御感想、御意見、並びに資料提出の方にそれぞれ報告してもらいますが、初めに資料提出の岡村委員からコンテンツの振興について、お話をちょうだいしたいと思います。
○岡村委員 それでは「委員提出資料」のトップに載せさせていただいております「コンテンツ専門調査会(第7回)について」という資料に従って、簡単に御報告をさせていただきたいと思います。
実は、ちょっと余談になりますけれども、1月末にダボスで、ITガバナーズミーティングというものがございまして、その中の1つのテーマに、デジタルエコシステムという新しい概念が登場いたしました。それについて、各国のIT企業のリーダー、並びにコンテンツ業界のリーダーと議論をしました。デジタルエコシステムというのは、ちょっと聞き慣れない言葉なんですが、いわゆるデジタルのシステムの中で今、生態系ができ上がりつつあるといわれています。
具体的にいいますと、コンシューマーを先頭にして、それに直接接するハードウェア、ソフトウェアのメーカー、あるいはそのアプリケーションのインターネットの業界、あるいはそれを伝達する通信業界、放送業界は、すべて生態系でつながっていて、どこが突出しても、形成期にある今の段階では生態系を破壊しかねないということです。つまり、それぞれのステークホルダーがきっちりと生態系を組むように、お互いにバランスよく発達するような世界を、今つくらないといけないということです。
しばらくすると、恐らく一人の強いリーダーが出てきて、垂直統合ということもあり得るけれども、今それが出てくると、この生態系は崩れるという議論でございまして、具体的にはいろいろな業界が一体化をして、デジタルコンテンツ、デジタル情報機器、デジタル情報のネットワーク事業を拡大していくための相互努力が必要であるということが、熱心に議論をされておりました。
中でも、特に日本の携帯電話を中心にする事業を考えてみると、これは実にうまくいっているという評価がございまして、つまり通信業者とアプリケーション事業部分と、コンテンツプロバイダーとの関係が非常にうまく調合していて、非常にいい形で発展したと認識されています。この形を是非全世界に広めていくことが必要であるということで、決して突出したリーダーを求めない。ルーズインターディペンデンスと言っていましたけれども、緩やかな縛りの中で、うまく生態系が回るように、それぞれの業界が努力をしなければいけないというお話がありました。
これは前段のお話でございますけれども、こういった形を中心にして、やはり我々もやっていかないといけない。今、荒井局長の方から御説明のあった内容は、まさしくそういうことではないかと理解をしておりまして、今回の報告書を読ませていただきまして、この方向で各業界が共同して進めるという形を、大いに整えるべきではないかと思います。 幸い、今、経団連では、依田委員にも大変御尽力をいただいて進めておりますけれども、ハードとソフトの融合を目指す懇談会というものを開催しております。これは当然ハードとソフトだけではなくて、通信関係の方々にもお入りをいただいてやっておりますが、その中から1つ出てきましたアイデアが、コンテンツのポータルサイトをまず日本で立ち上げようではないかという案があり、今その準備に取りかかっているところでございます。
具体的には、コンテンツがどこにどのように存在をしているかということすら、今はわかっていないと思います。したがって、あらゆるコンテンツをサーバーに取り込んで、だれからでもアクセスができて、例えば交渉をする相手をそこで見つけ出すとか、そういうことからやってみようではないかということです。さらにアジア全体をカバーしていくようになれば、国際的な一歩も踏み出せるのではないかという検討も進めています。
また、1つハードメーカーとコンテンツ業界との話し合いの中でユーザーから見て単一的なインターフェースで、だれからも、どこからの情報もアクセスできる。つまりインターネット情報もアクセスできるし、放送もアクセスできる。そういうふうな機能の標準化ができないものかということで、今、検討を進めております。
したがって、今回の御報告書に従って、全体のスピードを上げるように、官民一体となって、努力をしていく必要があると感じております。よろしくお願いいたします。 以上でございます。
○牛尾会長 ありがとうございました。
続きまして、久保委員お願いいたします。
○久保委員 おはようございます。
「デジタルコンテンツの振興戦略」をとりまとめた方々に対しては、本当に深く感謝いたしたいと思っております。
その中で、1点気になる点がございますので、その件のみ御提案させていただきたいと思っております。
今回の振興戦略案を読まさせていただきますと、やはりプロデューサーという言葉の登場回数が、非常に少ないと思います。海外でヒットしているコンテンツは、クリエーターがすばらしい作品をつくればこそではありますが、必ずその側にしっかりと制作環境をサポートし、ビジネスを考えるプロデューサーの存在が例外なくあります。言い換えると、プロデューサーとクリエーターの両者が、強力なタッグを組んで、初めてヒットコンテンツが誕生しているのです。
今案のように、ユーザーとクリエーターを直結することで、すべてが解決するかのように考えるのは、ちょっと早計と思料しております。プロデューサーという存在と役割について、いま一つ認識を強めていただければと強く希望します。
以上でございます。
○牛尾会長 ありがとうございました。
では、続きまして、原田委員お願いいたします。
○原田委員 それでは、放送の立場から若干申し上げたいと思います。
放送番組の流通、促進という意味では、ここ数年着実に進んできていると思っております。NHKの場合を例にとりますと、従来からのケーブルテレビ局への提供に加え、15年度からCSにも提供を開始し、それぞれ年間5,000〜6,000本程度の番組の提供を行っておりますし、18年度に向けては、パソコン向けの配信サービスに対する番組提供を、本格的に始めようという段階でございます。これをどう加速させていくのかということが、私は大事だと思っております。ただ、ブロードバンドでのコンテンツ配信ということでいうと、まだ地ならしが十分でないという部分があるかと思います。
去年、局制作のドラマにつきましては、収入の配分に関しまして、暫定料率というものが合意されたと。これは大変大きな前進だと思っておりますけれども、個別のケースでは、まだまだ交渉が困難であるという部分がかなりございます。
デジタルの時代の著作権の整備というものは、放送局の場合、アーカイブスを積極的に活用していくという意味合いからも、大変大事なことであると考えておりますけれども、放送局の立場というのは、権利者団体とユーザーの真ん中にあるわけです。それをつなぐ立場でもある。ですから、いずれにせよ、著作権の問題を解決していくためには、関係者の間で継続的に話し合いの場がきっちり持たれていく。その中で粘り強く話を進めていくということが、極めて大事であるかと思いますし、私どもの立場でも、そのことは積極的にやっていきたいと思いますが、やはり著作権問題の解決に向けての全体の空気の醸成といいますか、環境づくりといいますか、そういうものが併せて必要だと考えておりまして、是非そのことをこれから念頭に置いていただければと思います。
NHKの場合のことで申し上げますと、インターネットの利用者向けの有料、いわゆるB to Cのサービスは、今、業務として認められておりません。放送と通信が融合していくというこれからの時代のことを考えますと、この辺りの環境の整備というものも大きな課題であろうかと考えております。
最後に、振興戦略の視点の中で「視点4:各国と比較して一番よい仕組みを作る」と書いてございます。各国の事例に学ぶというのは、私は極めて大事なことだと考えておりますけれども、ただ、海外の事情というのは、国情によって全くそれぞれ異なるわけです。ですから、まずそれを十分正確に把握していくということが、最初に大事なことで、その上で教訓に学ぶといいますか、冷静な視点といいますか、そういうことが、私は大事ではないかと考えております。
以上でございます。
○牛尾会長 ありがとうございました。
では、コンテンツの最後になりますが、依田委員お願いします。
○依田委員 それでは「委員提出資料」の5ページ、6ページでございます。
まず5ページでございますが、その前に「デジタルコンテンツの振興戦略」がここまでまとめられたことについて、関係者、事務局に敬意を表したいと思います。
時間が短い関係で、詳細は提出資料を御参照願います。「(提言3)ユーザーが豊かなコンテンツを楽しめるようにする」ための「解決策」の「(2)音楽用CDにおける再販売価格維持制度の見直し」についてですが、音楽ソフトの持つ特性、または我が国の再販制度の歴史的背景、存在意義等をいろいろ考えてみますと、今回まだまだ関係業界、諸団体等との十分な検討がなされたとは思えませんし、もっと細かく問題点の整理がなされ、デジタルコンテンツ分科会において、再販価格維持制度の廃止を示唆する提言を盛り込む段階で、もう少し細部にわたった検討が必要ではなかろうかと思っております。
それは資料を御一読いただければと思いますが、今すぐに廃止を論議するというのは、ちょっと時期尚早ではなかろうかと思います。当コンテンツ専門調査会でも論議をする環境下にあるのかどうか、それも含めて、できればこの問題については、もう少し様子を見てからにしていただきたいということが、業界としても声が上がってきております。これは決して業界の援護ではなくて、専門調査員としての私の意見として御報告申し上げたいと思います。
19ページの「(提言9)コンテンツを輸出する」というところの「(3)世界への発信強化」に関して、是非多言語発信という用語を入れていただきたいと思っております。
提出資料には盛り込んでおりませんが、先ほど経団連副会長の岡村委員からの御発言がございましたが、特にエンターテインメント・コンテンツ関係者連携に関する懇談会ワーキンググループにおきまして、9ページの「(提言1)放送と通信の一体化の中で、デジタルコンテンツの供給を拡大する」の「解決策」の「(1)IPマルチキャスト放送の積極的活用」についてですが、振興戦略案のとおり、著作権法上の扱いを早期に明確化する必要がありますが、ただし、IPマルチキャストで流すコンテンツの範囲が、無制限に広がることは問題ではないかという指摘が出ております。
最後に、22ページ「(提言11)国際標準をリードする」につきまして、官主導で安易に規格の一本化を進めることは問題であって、この点も産業界との調整が必要だと考えます。
以上2点、提言書にはありませんが、関連して申し上げます。以上であります。
○牛尾会長 大変に貴重な御意見ありがとうございました。
日本ブランドの振興については、議論を後段に移しますので「委員提出資料」の阿久津委員と三國委員の発言は、後へ回します。
とりあえずコンテンツの振興戦略を中心に、あと20分ばかり議論をしたいと思いますので、皆様からの御意見をちょうだいしたいと思います。今日は大変メンバーが多いので、いつものように名札を立てていただいて、2、3分で御発言をお願いいたします。
久保利委員、どうぞ。
○久保利委員 今のいろいろな発言を聞いておりまして、やはり9ページのところの「(1)IPマルチキャスト放送の積極的活用」に関することは、岡村委員も依田委員もそれぞれ御主張になりました。
私も法律家の端くれとして、どうも著作権法の中でのIPマルチキャスト放送の取扱いというものについては、果たして法改正を必要とするようなことなのか、あるいは法改正をするまでもなく、要するに解釈の問題なのか疑問に思っています。解釈の問題だとすると、確かに文化庁は従来マルチキャスト放送のようなものは、放送ではないと言ってきたわけですけれども、しかし、それは本当の意味で、IPマルチキャスト放送のようなものが存在しない時代に、いろいろ議論をしていた話でありまして、本当に出てくると、これが果たしてビデオ・オン・デマンドと同じように考えるべきなのかどうなのか。これを放送としては、どうしていけないのか。
当然クリエーターの側からの十分な報酬、あるいは許諾権、この辺りの問題はあるかとは思いますけれども、基本的な機能はほとんど変わらないというところをよく考え、何のために著作権法があるかという視点から見ていけば、実は放送と自動公衆送信との違いを画一的に考える必要はないのではないだろうかという考え方もあると思います。
したがって「法改正を含め必要な措置」とありますけれども、場合によったら、法改正は要らないということもあり得るのではないか。要するに解釈を変えれば、よいということもあり得るのではないかということを1点注文しておきたいと思いますし、最初から法改正ありきという前提で考える必要はないように考えております。
以上でございます。
○牛尾会長 角川委員、お願いします。
○角川委員 デジタルコンテンツの問題に知財が関わり合ってきて、私が一番大きな問題意識として掲げていますのは、視点のところに出てまいりますけれども「視点1:ユーザーが主役である」「視点2:クリエーターを大切にする」、産業界の振興を図るということです。コンテンツの場合は、ソフトとハードという関係が、非常に対立的だったような感じがしております。
デジタルコンテンツの問題に入ってきましたときに、当然ながら、従来のハードとソフトの世界に、もう一つデジタル技術の世界の人たちがプレイヤーとして参加してきて、問題を非常に複雑にするんだということを感じるわけであって、ちょうどそこにユーザーと産業界とクリエーター、あるいは今、久保委員がおっしゃったように、クリエーター+プロデューサーという世界が絡み合ってくる。これがデジタルコンテンツの世界の特徴なんだと思います。
そこに、今回、知財本部が問題意識として組み込んだことは、現代的であるというか、必要性に迫られているといっていいんですけれども、やはりそれだけ従来の産業界の対立構造の中に、もう一つ大きな、これからの問題としてのIT技術の問題も入ってきて、難しくなってきているということをつくづく感じるわけです。
そういう点で、是非時間がない中であっても、私はこういう専門調査会を通して、議論を煮詰めてもらいたいんです。ですから、先ほど岡村委員がおっしゃったとおり、デジタルエコシステムの時代に、生態系の中で勝者はないというのは、非常に最適なことだと思います。是非議論を煮詰めていただいて、後顧に憂いのないようにしていただきたいということが、まず1点であります。
もう一つは、私の立場から申し上げますと、映画祭とCJマークの問題がございます。 映画祭につきましては、2003年にこの知財本部が始まって以来、東京国際映画祭を通して映画振興を図る、あるいは日本のコンテンツ産業の振興を、そこに総結集するというテーマで、非常に強化されてきたことに対しては評価しております。
その中で、特に経産省の方向として、コンテンツマーケットを創設しようということで、マーケットが、初年度と2年度を迎えて、非常に発展してきたと考えておりますけれども、この世界はもうカンヌ映画祭、あるいは世界のアメリカ、ヨーロッパ、アジアを含んだ、映画界のバイヤーとセラーがすさまじくサバイバルゲームを演じている世界でして、かつて日本も東京国際映画祭の18回の中で、1回挑戦して敗れて中止になっております。今回、再開したということに意義があるわけですけれども、国の支援という形が、2年目、3年目に入って、ようやくスタートしたばかりのときに、映画祭に対しては、従来の国の支援の仕方としても、援助費を削っていこうと。まず、削ることありきの動きが出ているんです。私は、事業の継続性という問題を、やはりここの知財本部の方向として示していただきたいなと。ですから、ここで国策としてスタートしたら、すぐに今度は民間が拠出して、民間の活力でやったくださいというのは余りにも短兵急ではないか。私はそういう点で、この間の映画界の映連の中で、どうも戦術と戦略が混同されているのではないか、国の仕事の仕方というものを戦略と言いながら、実は年度ごとの戦術に落ちているのではないかという意見が出ました。そのことを御報告しておきたいと思います。
もう一つは、CJマークです。これにつきましては、コンテンツジャパンを象徴する、パッケージにコンテンツジャパン、CJマークを付けるという事業も始まったばかりであります。これが非常にコンテンツジャパンを象徴する戦略として、具体的でかつ効果が出てまいりまして、香港等におきまして、摘発の成果が非常に現れておりまして、アジアでは839件、逮捕者156名、押収された海賊版DVDは2511,834枚ということで、これはMPAと一緒になって共同して取組んでおりますけれども、大きな成果が出ております。
私も先週香港から帰ってきたばかりですけれども、香港ではDVD、パッケージについて、海賊版が香港からスタートするということは、ほぼなくなってきたと業界人の言葉が出ました。そのときにも、CJマークというのは非常に効果があると。香港の現地の中国人から言われたときは、非常にうれしく思いました。
これにつきましても、スタートしたばかりで、映画祭と同じような問題を抱えていると。これは経産省からJETRO資金が経由して、それがCODAというコンテンツ海外流通促進機構で、CJマーク事業が実際に行われているわけですけれども、これについても国策としての事業の継続性という点で、知財本部で問題意識を持っていただき、海賊版対策として、資金面での継続的な支援を検討していただきたいと思います。
○牛尾会長 日枝委員、どうぞ。
○日枝委員 私はコンテンツの流通促進を歓迎する放送事業者の立場から、ちょっとお話を申し上げたいと思います。
「デジタルコンテンツの振興戦略」の概要を読まさせていただいて、今まで我が国では、こういう問題が取り上げられていなかっただけに、おまとめになった皆さんに敬意を表したいと思っている次第です。
おそらく我が国にとって初めてといっていいのではないでしょうか、国の知的財産戦略によって、経済社会における知的財産の重要性が、国民的には認識されつつあるということ。そして知的財産の創造保護活用という分野において、具体的な施策が進行しているということは、大変すばらしいことだなと思っています。
たしか私が放送事業に入ったころの話ですが、初めて著作権について強く主張されたのは「サザエさん」の原作者の長谷川町子さんだったと思います。著作権の侵害はどんなに小さなことでも許さない方で、まだその当時は周囲から「何を言っているんだろうか」という目で見られたこともありましたが、今ではこうしてコンテンツの著作権が非常に大きく議論されているということは、すばらしいことだなと私は思っております。
今後は、コンテンツ創造の産業面の振興と併せて、文化の側面でも、より一層、理解の促進と支援が必要だと私は思っています。ただ、著作権の振興ということも含めて、文化の面も決して忘れてはいけないのではないかなと思います。
この調査会は、私も最初の頃から出ておりましたけれども、放送番組についていいますと、この間、契約書の締結が着実に行われるようになりました。また、発注書による事前確認などによって、契約の透明性も高まり、制作会社と我々放送事業者との間の信頼関係がより深まったということは大いに評価すべきだろうと私は思っています。また、番組のインターネット配信にあたってのルールにつきましても、関係者間の個別の協議において目安となるものが見え始めてきたと。やはりこれもこの委員会の成果だろうと思っております。
もし時間がかかっても、一つ一つ実績がつくられることで、それが世の中の慣行、ルールになっていくものですから、私はこの先の成果に大いに期待をしております。
コンテンツというのは、ある意味で前近代的とも見える雰囲気、そういう部分もあるんです、と、以前、この会でも申し上げたことがありますが、確かにコンテンツは、最初のオリジナルは人間が創るものなのです。先ほども委員から発言がありましたが、コンテンツというのは一人だけで創るものはなくて、原作者がいたり、脚本を書く人がいたり、音楽があったりと、すそ野の広い権利の宝庫であります。そういう人が集まって、人に感動を与えるのがコンテンツであります。
そういう意味で、先ほど申し上げました通り、産業面の振興と同時に、文化的側面を常に大事にしながら、積極的にこの問題に取り組んでいきたいと思います。
もう一つ、ここの9ページ、初めの方にも出ておりますけれども、IPマルチキャストの問題についてです。その前に、最近よく言われている「放送と通信の融合」という言葉、何の疑念もなく、普通に使われていますが、1回。ここで考えてみた方がいいのではないかと思うのです。
先ほど久保利委員が、著作権問題の解決のために解釈論でいくのか、法改正でいくのかという、非常に重要なことをおっしゃいました。しかし実はこの融合という言葉で通してしまっていることが、実は、著作権問題の解決を難しくしている面があります。ですから、IPマルチキャストを、当委員会では放送とするのか、通信とするのかによって、この後の解釈が随分変わってくるのではないかと私は思います。
9ページの方にもございますけれども「メディアの融合が進む中で、ユーザーから見た場合、いわゆるテレビ放送とIPマルチキャスト放送(ブロードバンドを利用した放送)との違いはわからない」と書いてあります。確かに端末で見る画面だけではわからないかも知れません。しかし、だからそれをすべて放送であると解釈すべきなのかというところは非常に大事です。放送と通信の問題は、法解釈にしろ、法改正にしろ、融合という言葉で解決していいのかどうか。私は、これからの放送と通信はアコモデーションということだと理解すれば、放送と通信の共存・共栄によって互いに補っていくことを意味し、通信でのコンテンツ配信のための権利処理の問題を解決していく上でも良いのではないかと思います。
したがって、もう一回繰り返しますが、IPマルチキャストをめぐる著作権などの議論については、もう一度、原点の部分での議論をやっておいた方が、今後、権利処理の問題を解決していくのも容易になってくるのではないかと、提言させていただきたいと思います。
○牛尾会長 本件について、久保利委員から何か追加の御意見ありますか。
○久保利委員 そういう考え方は、当然あると思います。
私が言いたいのは、要するにもう法改正をしなければいけないんだと、初めから思い込む必要はないのではないか。今、まさに日枝委員がおっしゃったように、一体どこがどう違うんだと。その違いは、なぜきたんだという立法経過も含めて議論をする中で、実は解釈でいいということもあり得るのではないか。したがって、その辺は幅広に議論をすべきだと。
今おっしゃったのは、非常に重要なポイントを押さえているわけで、放送と通信、本当にどこが違うんだということは、融合かどうかという問題とは別に、違いをはっきりと認識し、あるのかないのかということを、特にユーザーの考え方から考えてみて、どうなのかという視点も入れながら、チェックをすべきだと思っております。
○牛尾会長 それは、事務局の方で丁寧に調整してください。
○荒井局長 はい。
○牛尾会長 中山本部員、どうぞ。
○中山本部員 11ページのレコード再販の問題について、一言私の意見を申し上げたいと思います。
私はこの文章は、是非このまま残していただきたいと思っております。
レコードの再販につきましては、恐らくそういう制度をとっているのは、世界で日本だけだと思いますし、また、一昨年の著作権法改正で、いわゆるレコードの還流防止措置、つまり安いレコードが日本国内に入ってこないような措置を取りました。国内的には再販で価格を維持し、国際的な競争もしないという、世界でもまれに見る状態に置かれているわけであります。こういう状態が、果たして日本の文化を守るために必要なのかと、そんなに素晴らしい制度なら、なぜ世界がまねをしないのか。現在、本当に日本のレコード産業は、世界に冠たる産業になっているのか。世界一高いCDを買わされている日本のユーザーは、本当に世界一ハッピーなのか。そういうところから、私は考え直さなければいけないと思います。
アメリカよりも産業規模が小さいわが国の音楽産業、それに対してレコード会社はアメリカの何倍もあるという、言わば過当競争の状態にあるわけです。この護送船団方式を維持していくためには、やはり再販制度は必要だろうと思うわけでありますけれども、しかし、再販制度を維持してやっているうちに、実はもう大きく流れが変わってきている。
例えば、インターネットを通じた音楽の配信などのように、再販などには全く関係ない世界が出現しつつありますしたがって、再販制度で利益を得て、企業は現在はいいかもしれませんけれども、これに溺れて合理化をしないと、そのうち大きな崩壊が始まるのではないかと私は考えています。
そして、この問題は、決して唐突に起きたのではないわけでして、もう何年も前から公取でさんざん議論しておりますし、独禁法学者あるいは産業構造論の経済学者の間でも、さんざん議論をし尽くしているわけであります。
知的財産戦略会議の時代から、再販については直接書いてありませんけれども、競争政策が大事であるということは述べられておりますし、また知財基本法にも、競争法のことは書いてあるわけです。したがって、私は日本の音楽産業の合理化のために、むしろこの議論を始めるのは、遅過ぎるという感じすらするわけです。したがって、私は11ページのこの条項は、残していただきたいと考えております。
○牛尾会長 ありがとうございました。
金丸委員、どうぞ。
○金丸委員 できる限り簡潔に意見を述べたいと思います。
基本的には、私は今の時代は、暫定的な時代だと思っております。圧倒的に有利な武器、リアルタイム性に富んだデジタル機器が個人に配られて、それがインターネットといって、地球インフラといってもいい技術に接続されたわけです。
でも、携帯電話もPCも、例えばiPodにしても、供給した人は企業なわけです。企業が個人に大きな武器を提供してしまった。それによって、今いろんな利用の仕方が、予想もつかない範囲で拡大していっていて、今、我々がここで話し合っていることというのは、基本的には供給サイドに大きな変革が迫られているんだということだと思います。ですから、そういう認識が、私は一番重要だろうと思っています。供給サイドというのは、企業だけかというと、実は今はそうではなくて、その機器と利用の仕方も含めた社会の在り方にも、多分いろんな変革を迫られている時期ではないかと思います。
ここで個人をユーザーサイドというか、ユーザーとだけ位置づけているのは、ちょっと物足りなくて、要するに個人が利用者だけだと思い込んでいると、個人の側にいろんなルールを守るというインセンティブが働かないわけです。なぜかというと、無料であればいいわけですから、それは不正コピーも見つからなければいいかもしれないということで、ただに近ければいいという発想だけの個人にユーザー大国といってみても、それはちょっと視点が違っています。今の時代は、クリエーター大国と言われている中のクリエーターというのも個人だし、そうすると健全なプラットホームとか、あるいは社会のモラル、道徳も含めてできれば、今や一個人がブログも含めて、利用者としてだけではなく、コンテンツプロバイダーにもなれます。そうすると、個人は人もコンテンツプロバイダーになろうと思ったときに、そこに健全なプラットホームとか、社会のモラルとかがないと、自分も稼げないです。そういう意味では、個人も含めた、社会や企業にも変革を私は求められているのではないのかなと思っています。
少ない時間ではありましたけれども、この会議に出させていただいて、非常に勉強にはなったんですが、現在の市場形成者間の課題調整をするのに、これからこういう会議体、あるいは国が一生懸命エネルギーを使おうとすると、私はまた世界に劣後してしまって、時間がなくなってしまうと思います。
ですから、短期的な市場形成者間の課題調整は、実行する。またそれとは全く別の10年後、20年後、今日ここにいらっしゃる人たちも、今、所属している企業を引退されているわけでしょうから、そういう組織企業とか業界団体を離れた立場として、一個人として、私たち以降の若い人たちが、この知財で汗を流して、物をつくって、稼ぐという、ビジネスモデルを超えて権利とか、いわゆる知財で稼げる国になれるというためには、どうしたらいいかというのを考えていただきたい。例えば、依田委員は音楽業界にお詳しいので、10年後、20年後に、私たちはこの知財という分野で、日本がトップランキングの国になるためにはどうしたらいいかを是非考えていただきたいと思います。そういう意味では、短期的より、もっと長期的な視点というものを全面に出して、国は検討すべきではないかということが、私の提案でございます。
以上です。
○牛尾会長 ありがとうございました。
では、コンテンツの問題は、あと2人だけで終わります。土肥委員と重延委員に2分ずつぐらいでお願いします。
○土肥委員 「デジタルコンテンツの振興戦略」の報告書を拝見して、感想1つと意見を1つ、それぞれ申し上げたいと思います。
まずは、非常に短期間にこのような大きなものをおまとめになったということについて、敬意を表したいと思いますが、知財戦略本部の従来の文章は、主語がきちんとしていたということがあろうと思います。今回については、主語がほとんどない。場合によっては、行政というような非常に大くくりの主語ということになっている。そういうところについて、今後収斂されていく場合に御配慮いただきたい。これが1点感想でございます。
もう一点の意見でございますけれども、先ほど来から、IPマルチキャスト放送ということが出ておるわけでございますけれども、仮にこれをIP放送事業者のようなものを解釈でやるとなってきた場合に、それで果たして国際的に通るかどうかということも考えておかなければならない。つまり、TRIPSあるいはベルヌ条約、ローマ条約、さまざまな国際的な条約の中で、放送事業者というものが理解されておるわけでありまして、我が国だけが、そこを非常に広く解していくということになりますと、どの国の著作権法においても、放送事業者というものは、実演家の権利、あるいはレコード製作者との権利、その関係で優位に立っておるわけでありますから、こうした解釈との関係で、例えば将来米国の間で摩擦が起きるということも、当然あり得るわけでございますので、そこを慎重に考えていただきたいというのが、私の意見でございます。
以上です。
○牛尾会長 ありがとうございました。
では、最後に重延委員、どうぞ。
○重延委員 では、短く2、3分以内ということで、お話しさせていただきます。
まず、IPマルチキャスト放送というのは、放送と通信の融合という言葉の中では、非常に具体的な現象が起きてきたと思いまして、興味を持っております。IPマルチキャスト放送の著作権処理に関しては、すべてを一律と考えないでやっていくということが、重要であろうかと思います。
コンテンツ、ソフトというものは、いろいろな意味を持っておりまして、場合によっては同時再送信がいいものもございますけれども、あるいは1日後でいいものもある、7日後でもいいものがある、出さない方がいいというコンテンツ、ソフト、コンテンツホルダーの考え方もあると思います。そういうことを柔軟に入れて考えていくべきものであって、一律に法、あるいは考え方ですべてがいいという形は、余りよくないと考えます。
ただ、私はコンテンツ流通が動くことに関しては、非常によいものであるという前提に立って、場合によっては、本当に当日、翌日出してもいいコンテンツは山ほどあるように思います。そこは、極めて柔軟に対応して、そういうところから動き出していくというような考え方がいいのではないかと思います。
今コンテンツ流通に関して、非常にいい戦略が出ていると思いますけれども、このスピードは、明らかに求められていると思います。早い方がいい。ただ、早いときに、どうしても既成の事業とか、既成のシステムとか、既成の資本を使って動かした方が早いということになりかねないところがございまして、そういう意味では、そのスピードに加えて、やはり柔軟に多彩で多様なベンチャーとか中小政策事業ということを育成していく、環境をつくるということを同時にやりながら、スピードを上げていただきたいと思います。
あとは、日枝委員の方からもお話がありましたけれども、産業的視点に加えて、文化的視点が重要であるということは、最近、とみに日本がそう思い始めているときではないかと思います。やはり、日本がどうしたらいいかということを含めていくと、放送と融合の一体化、融合、連携、いろいろな言葉はございますけれども、私としては、国がどうしたらいいものを、放送あるいは通信できるか。そのコンテンツとソフトを、いつも頭の中に入れて、それを動かしていくということだと思います。
通信は、私は非常に自由でよいものだと思っておりますけれども、放送はやはり信頼感の下に動くものと思います。そういう意味では、それぞれのよさを、私は共生するという言葉を使っておりますけれども、共生して、それぞれのよさが両方よくなるような、哲学みたいなものを是非頭の中に入れながら、新しい放送と通信の融合の中での流通を動かしていただきたいという具合に思います。
以上です。
○牛尾会長 大変に貴重な、しかも、ポイントを得た御発言をたくさんちょうだいしました。
特に、文体におけるあいまい性は、できるだけ厳しくしたいと思いますが、ただ、この辺の分野の議論になってまいりますと、総務省の放送と通信などと非常にデリケートに絡んできて、知財だけで大胆不敵にやることが、非常に困難な部分が若干あるので、従来よりも煮え切らないところがあるというのは、そっちの側が非常に膨大で複雑なところがあるということです。
しかし、どこかが明確にしなければ、間違いも起こりますので、大変に勇気づけられるような御発言もありましたので、引き続き、今日の御発言を十分事務局で加味して、できるだけ採用させていただきます。
これを専門調査会の報告として、今日よりも全部ベターな形にするようにして、特に御発言の皆さんには、できたものを事務局が持参をして、御説明をして、納得していただくという形で、最終的に推進計画2006にまとめていくということで進めたいと思いますが、よろしゅうございますか。
どうぞ。
○依田委員 中山本部員のご発言は、もう重々承知しておりますので、関係産業界・諸団体と、是非もう少し詰めた打ち合わせをしていただければと思います。私は委員として言っているわけでございまして、業界の代弁でもありません。よく一度関係者の意見を聞いていただきたいと思います。
最後に1つだけ、人材育成の点で、大学教育とか、産学連携がいろいろある中で、小学校あるいは幼児教育の段階から、日本の人材が国際化できるような、そういう環境を是非つくってほしい。これは経団連エンターテインメント・コンテンツ産業部会会合等でも意見がよく出ておりますので、付け加えていただきたいと思います。
以上です。
○牛尾会長 ありがとうございました。
今、申しましたように、最終的な2006年度分の報告にするときには、きちんとまとめていきたいと思います。
それでは、議題2について、どうぞ。
○荒井局長 それでは、議題2の「知的財産基本法の施行状況の検討について」でございますが、資料に沿って説明させていただきます。
お手元に資料が3〜5までございますが、昨年12月に開催されました、第12回知的財産戦略本部会合において、施行後3年を迎える知的財産基本法の施行状況の調査、審議が各専門調査会に委ねられております。そこで、コンテンツ分野について、当専門調査会で検討するために、委員の先生の皆様方に、いろいろ御意見をお伺いいたしました。更に、一般の方々からも意見をちょうだいしております。それを、とりまとめたものでございます。 お手元に資料3として「知的財産基本法の施行の状況に対するコンテンツ専門調査会各委員からの意見について」という資料がございますが、ここにお寄せいただいたもののポイントを、お名前を掲げさせていただいておりまして、書いてございます。
資料4は「知的財産基本法の施行の状況に対する意見募集の結果について(コンテンツ分野)」ということでございます。意見募集は、2005年12月16日〜2006年1月6日までの3週間、ホームページへの掲載によって行いました。
その結果、提出されました意見は、127件に上っております。そのうちコンテンツ専門調査会に関連するものが94件です。団体から提出されたものが7件、個人から提出されたものが87件でございます。
資料では、いただいた主な意見の概要を整理しておりまして、意見の全体については、今回は委員の皆様に資料4別添ということで、席上配付の資料に全文を配布しておりますが、別途この部分についても、首相官邸のホームページに掲載する予定でございます。
以上、いただきました御意見のうち、知的財産基本法の施行状況に関するものについては、知的財産戦略本部に専門調査会の意見案として報告される資料5に反映させていただいております。
更に、具体的な御意見も多くいただいておりますので、そちらの部分、資料5に載っていない部分については、具体的な御意見として、知的財産推進計画2006、これから検討に入るわけでございますが、そちらの検討に反映していく予定でございます。
資料5を簡単に御説明させていただきますと、資料5は「知的財産基本法の施行の状況及び今後の方針について(案)」でございます。去る17日に知的創造サイクル専門調査会でとりまとめたものと併せて、連名で記載されております。コンテンツ専門調査会に関するものは、6ページと15ページの2か所でございまして、それぞれ資料3の各委員からいただいた御意見、資料4の一般の国民から寄せられた意見を踏まえて、とりまとめたものでございます。
6ページは、従来の知財基本法3年間の具体的な成果のポイントでございます。
「(4)コンテンツをいかした文化創造国家への取組」については「○コンテンツビジネスの飛躍的な拡大」として、コンテンツの促進法や下請代金支払遅延等防止法の改正、コンテンツ関連人材、東京国際映画祭などを掲げております。
6ページの下の方は「○日本ブランド戦略の推進」でございますが、食文化、7ページでは、地域ブランド、更にファッション・ウィークなどを掲げてございます。
15ページにまいりますと、これからの課題、重点項目の課題でございますが「v)コンテンツの振興」につきましては、15ページに、開放、競争、業界の近代化・合理化により、コンテンツの振興を図る。ということで、主な課題をここに例示してございますが、このほかにも具体的なものについては、2006の計画の検討の際に、更に議論をしたいと思っております。
15ページの下につきましては「vi)日本ブランドの振興」ということで「魅力ある食、地域ブランド、ファッションを創造するとともに、観光や文化外交などと連携し、戦略的な対外発信を行うことにより、日本ブランドの価値を高める」ということで、16ページに主な課題を例示してございます。
資料の説明は、以上でございます。
○牛尾会長 では、日本ブランドに関しまして、資料をちょうだいしております、阿久津委員からお願いします。
○阿久津委員 それでは、提出資料の方を見ていただきながら、簡単に発表させていただきます。私は、日本ブランドワーキンググループのメンバーとして、問題意識と提案を3つにまとめてみました。
第1点目は「1.日本ブランドの認知度・イメージの定期的観測の実施」。
第2点目は「2.日本ブランドを調査・分析する研究機関の設置」。
そして、第3点目は「3.国家広報組織(タスクフォース)の設置」です。これは国としてのコミュニケーションの検討・統括を役割とする組織ですが、そんなに大げさなものではなくて、タスクフォースのレベルで設置するという提案です。
先ほど説明のあった資料5の15ページにも書いてあるとおり「vi)日本ブランドの振興」については、「魅力ある食、地域ブランド、ファッションを創造するとともに、観光や文化外交などと連携し、戦略的な対外発信を行うことにより、日本ブランドの価値を高める」とまとめられています。これは非常に広い分野にわたる取組みでありまして、ワーキンググループでも、これまで食、地域、ファッションということで議論を進めてきましたけれども、方向性が収束していくような発展的な議論というよりは、それぞれがその分野での取組みを発表したうえで、これからますます頑張っていくのでよろしくお願いしますという、報告と承認にとどまってきたわけです。しかし次のレベルでは、それぞれの取り組みを実際にもっと振興していくために、相互のシナジーが追求できるところを探したり、総合的な取組みとしてやっていくべきところを考えたりしなければいけないと思います。
そのためには、こういう専門調査会の場で個別に詳細まで見ていくことは難しいので、大きく国家ブランドということの概念整理をした上で、その価値を高めるための取組みの成果を測定できるような、尺度開発をする必要があるだろうと考えます。必要なデータをとって調査・分析し、素材をつくる。それを基にこうした専門調査会などの場で議論する一方、実際にいろいろと関係者組織と連携しながら、物事を進めていくような場も必要になってくるだろうと思われます。新たに必要なのは、例えば日本ブランドの価値を高めるということでしたら、ブランドのアイデンティティーというものを発信していかなければいけないわけですが、それをどういう内容にするのかといったようなことを、吟味、検討する場です。
その上で、国として、それをどのように効果的にコミュニケーション、対内的、対外的にしていくのかという戦略も、その場で議論するべきでしょう。そこを中心に、さまざまな関係者組織に働きかけてコミュニケーションを実践していくというのが、問題意識と提案の要約でございます。
以上です。
○牛尾会長 続きまして、三國委員からお願いします。
○三國委員 食というので、私は職人、つくる側として、ずっとコンテンツに参加させていただいているんですけれども、日本ブランドといいますか、今や食というカテゴリーの中では、私はフランス料理の人間なので、日本人がつくる食、和、洋、中とあるんですが、それが既に世界ブランドなんです。というのは、世界が既に日本の食、日本人がつくる食というものを認めておりまして、実は2月28日、NHKのBSで、この間は私も取材されたんですけれども、イギリスのテレビ局が、既に英語での放映をヨーロッパでしていまして、私は日本語でしゃべったんですけれども、それを英語で通訳して、イギリスで流していると。今度イギリスの局がNHKのBSで、28日に放映するんですけれども、日本語をまた英語で直してという、既に日本食が世界ブランドであるという認識は、既に決定的にもかかわらず、我々日本人だけが、そういうことを意識ができないでいると。ですから、会議で、もう既に我々日本人そのものが世界ブランドなんですと。
これは食に関してなんですけれども、それはどうしてかといいますと、世界は甘い、すっぱい、しょっぱい、苦いと4味なんです。この4味というのを、実際に教育しているんです。それは5感という見る、聞く、かぐ、味わう、触るという感性が、12歳で開花するんです。だから、12歳、小学校6年生までに、甘い、すっぱい、しょっぱい、苦いというものを教えておかないと、感性が鈍りますと。ですから、甘い、すっぱい、しょっぱいということは、もう常識的に海外では訓練されています。
日本人だけが5味といって、これは85年にハワイの学会で発表されているんですけれども、それに1つうま味というものを持って5味なので、5番目の卓越したとか、たくみの技というのは、日本人だけが持っているんです。それを世界が既に85年から研究し始めまして、日本以外の五大大陸は、日本人の持っている食、それは日本人が安全・安心、やせている、健康、長生きしていると。それに超越した技術をロボットだとか、コンテンツだとか、今日はフジの会長がいらっしゃいますけれども、料理の鉄人などというのは、今アメリカで著作権が売られて、アメリカ中で大大ブームなんですというぐらい、日本のいわゆる食というのは、既にブランド化になっていまして、ただ、日本人だけがそれに気がついていない。
日本人は、どうして5味を持ったかというと、おみそ汁だったんです。昆布のもとがうま味のもとであって、昆布は英語で海のふん、海のくずとかと訳して、日本人だけが昆布でだしをとった。いわゆる日本食です。お正月に食べる日本料理であったりだとか、京料理などは全部ベースは昆布でだしをとって、かつおぶしとか、いろいろなものを入れて、ふくよかにしているということを訴えて、是非そのものが日本人に認識してもらうということで、日本の国として、そういう日本人が、既に世界ブランドであるということを運動していただければと思います。ありがとうございます。
○牛尾会長 ありがとうございました。
日本ブランドに関しては、民間ではありますけれども、先日も食文化研究推進懇談会というキッコーマンの茂木さんが会長をされている団体が日本食文化フォーラムというパーティーをして、何百人という人が集まりました。大変に日本の食に対する理解を深めたということです。また、経産省の方でも、去年からファッションショーを大々的に行っていくという、1つの流れが食やファッションについても、進み始めているということを申し上げておきたいと思います。
再度まとめておきますと、ただいまいただいた前段の御意見も、後段の御意見も、知的財産推進計画2006の検討にも十分に反映してまいりたいと思います。
また、荒井事務局長から説明のあった「知的財産基本法の施行の状況及び今後の方針について(案)」という資料5については、我々の調査会のみならず、同じ本部の調査会で知的創造サイクル専門調査会という、東北大学の元総長の阿部さんが会長をしていらっしゃるところでも審議をしておりまして、本件は知的創造サイクル専門調査会と連動して、それぞれの部分を作業しておりますので、ある種の部分は、この阿部会長の報告に御一任していくことを、御了承願いたいと思います。
それでは、そろそろ予定の時間がまいりましたので、本日の会合は、これをもって終了したいと思います。
次回の会合は、まだ日程は決まっていないようですが、最終的なものとして、会議をする予定になっております。
本日は、御多忙のところ、誠にありがとうございました。これをもって閉会いたします。
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