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第四回知的財産戦略本部議事録

平成15年6月20日(金)17:15 〜18:15
於:官邸大会議室


○福田官房長官 ただいまから知的財産戦略本部の第4回会合を開催させていただきます。本日は御多忙のところ御参集いただきまして、ありがとうございます。
 本日は、有識者本部員の方々の起草による推進計画案を御説明いただき、その後で皆様に自由に御討議いただくことといたしております。
 それでは、推進計画案についてでございます。最初に、有識者本部員の方々による計画の起草の取りまとめをお願いした阿部議員から、推進計画案の概要を説明していただき、次に、各本部員から補足の説明をお願いいたします。
 それでは、阿部議員からどうぞお願いいたします。

○阿部本部員 御指名をいただきましたので、推進計画案の位置付けについての御説明に入らせていただきたいと思います。
 この推進計画案は、私ども民間の立場から参加しております本部員が集まりまして、集中的に議論をさせていただいてまとめたものでございます。関係省庁とは事務局を通じて調整を行ってもらいましたけれども、当然のことながら調整できていなかった箇所も多少ございますので、一部に両論併記という形になっております。
 それでは、目次に沿って全体概要を簡単に御説明させていただきます。この知的財産に関する推進計画案は、小泉総理大臣の従来の枠組みや発想にとらわれず、世界一の制度を目指した知財立国を実現するとのお考えにのっとって、知的財産の創造、保護、活用、コンテンツビジネスの振興及びこれらを支える人材育成の5分野についての工程になっております。
 第1章は、創造分野についてでございますが、大学等が独創的かつ革新的な研究開発成果を生み出し、それを社会に還元するメカニズムなくして知的財産立国の実現はないわけでありますので、そのために、大学の知的財産本部やTLOなどの体制整備、知的財産権の取得管理に要するさまざまな体制の整備等、知的財産の創造を推進して、その成果を産業に移転するための施策を列記いたしております。
 第2章は、保護分野についてでございます。知的財産創造のインセンティブを確保するとともに、その効果的な活用を図るためには、知的財産の適切な保護が不可欠であることは言うまでもないわけであります。そういうことから、知的財産高等裁判所の創設の検討や特許審査迅速化法(仮称)の制定、偽物対策や知的財産権侵害品の水際措置の抜本的強化、医療関連行為の特許保護に関する検討など、新たな項目、仕組みの導入に向けた施策を提案させていただいております。
 第3章は、活用分野についてでございます。大学や企業が保有する知的財産を活用し、社会全体でその価値を最大限に享受できるような知的財産の管理及び充当化に向けました事業環境を整備するための施策を列記いたしております。また、戦略的な国際標準化活動を強化する観点から、研究開発、知的財産権取得、標準化という3つを一体として推進するための施策も列記いたしております。
 第4章は、コンテンツビジネスの振興についてでございます。今回新たに1つの章を設けたものでございます。世界を引きつける魅力的なコンテンツの創造を促進するため、コンテンツ製作者やプロデューサーの育成など、映画やアニメ、ゲームなど世界的にも評価の高い我が国のコンテンツを国内外において広く流通・活用させるための策でございます。
 第5章は、人材育成についてでございます。知的財産に重点を置いた法科大学院等の設置、夜間講座の開設など知的財産に精通した国際競争力のある弁護士・弁理士など専門家を数多く世の中に輩出するための施策を列記したものでございます。
 その他でございますが、なお、この計画に盛り込まれた施策の今後の実施に当たっては、戦略本部が担当府省の取り組み状況を把握し、連携をすることによって、必要に応じてはその総合調整を行うことと考えております。
 また、課題ごとに更に深化した検討を必要とするものがございますので、必要に応じて私ども民間の有識者を中心に更なる論議を固めたいと思います。
 あと、いろいろと本部員の方から説明があると思いますが、とりあえず私の方から推進計画案の概要について御説明させていただきました。
 ありがとうございました。

○福田官房長官 どうもありがとうございました。
 次に、起草に携わられました各本部員の方々からお願いいたします。まず、御手洗社長どうぞ。

○御手洗本部員 それでは、私から重点的な3点だけ、簡単に補足的に説明をさせていただきたいと思います。
 資料1の3ページをお開き願いたいと思います。今日現在ここにありますように、未審査件、つまり審査待ちの滞貨が約50万件ありまして、今回、審査請求の期間を7年から3年に変更したことによって更に30万件増え、約80万件が滞貨になることが予想されます。この滞貨を崩して、審査請求して1年以内に審査の結論が出るというようなノーマルな状況にするためには、約10年間として、数百人の増員を掛けてやらなければできないことがはっきりしております。
 この数百人の人間も、正式な公務員の増員ではなく、2年ぐらい掛けて審査の訓練をし、そして、8年ぐらい実務に携わってもらう。つまり、10年ぐらい掛けて数百人の人員を投入すれば、この80万件の現在の滞貨は崩されて正常に戻るということがわかっております。
 この数百人の人間の増員分でありますが、その費用は新しく予算処置をする必要はなく、出願手数料並びに審査料請求の料金が既に特許庁に払われておりまして、相当潤沢な資金が既に特許庁にプールされておりますので、それを使っていただければいいわけですから、新たな予算措置は要らないと思いますので、是非、任期付審査官の増員をお願いいたしたいと思います。
 次が、同じ資料1の5ページでございます。これは、知的財産高等裁判所の創設のお願いでありますが、現在、御承知のとおり、一審では東京地裁と大阪地裁に集中されて審理されることになっておりまして、高裁としては東京高裁の民事部門の3、6、13、18民事部で審理されることになっており、しかも、専門委員制度の導入や調査官の機能拡大等がなされるということになっております。それはそれで非常にありがたいことなんですが、やがてこれは件数も増えることですし、また、せっかくここまで内容が充実されたのですから、やはり世界一の知財立国を目指すということであるならば、是非9番目の高裁である知財高裁を将来つくるということを明確にしておいていただきたいと思います。
 これは、これからアジアを中心に生産国がいっぱい増えますし、日本でもそのためにいろいろな事件が起こることが予測されます。そのときに、日本に非常に権威のある、公平で立派な裁判ができる高等裁判所があれば、そこでアジア等々の問題が解決できますし、ちょうどそれは今アメリカの特許裁判所の判決が世界の産業に及ぼすような権威のある裁判所になると思います。それは、国威の発揚という意味からも非常に望まれることであると考えられます。したがいまして、是非、第9番目の知財高裁というものを視野に入れて明確にしておいていただきたいというのが、2番目のお願いであります。
 3番目は、同じく資料の6ページでございますが、これは、模造品が来た場合の水際対策についてであります。この水際対策では、輸入者、輸出者、製造者の情報を是非開示して頂きたいと思います。現行では、それらの情報は現在非公開になっておりますが、我々被害者に公開してくれることによりまして、我々はその製造国で、法的アクションを起こし、元を絶つことができます。これが世界中で模造品のモグラたたきをしなければならないことを防ぐことになりますので、是非、我々が製造国で法的アクションが起こしやすいように、輸入者に限らず輸出者あるいは製造者の情報を開示していただきたいと思います。これは既にアメリカやヨーロッパの国々では行われていることでありますので、是非、一考をお願いいたしたいと思います。
 以上3点を重点的に私からお願いを申し上げます。

○福田官房長官 ありがとうございました。
 続きまして、続きまして、弁護士の久保利先生、お願いいたします。

○久保利本部員 久保利から4点申し上げますが、最初の2点は御手洗さんと同趣旨のものであります。すなわち、この資料1の2の部分でございますけれども、特許審査迅速化法という観点でございます。まさに、これは小泉総理がおっしゃったように、思い出の事件を裁く最高裁というのがあって、これを2年でやれということで裁判の迅速化法というのができました。これによって恐らく裁判の適正・迅速な審理というのはどんどん進むと思います。まさにこれと平仄を合わせる形で、特許審査についても同様なのではないかと。特に、裁判の場合には何のかんのと言ってもそこそこ一審、二審、三審と動いてはいくわけでありますが、これはある意味で言うと寝ているわけです。寝ている期間がそんなにあって、これだけ滞留するというのなら、寝ているものを早く起こして始末をすればいいだけですから、そういう点からすれば、それだけの人材の任期つきという形で大幅増員をすれば、処理が非常にしやすい問題ではないか。恒常的な問題ではなくて、今あるトラブルを解決すれば、あとは流れていくという御手洗委員のおっしゃるとおりでございますので、是非、訴訟の迅速化法に倣った形で、国の責務あるいは財務的な支援の問題あるいはそれぞれの当事者の協力をする義務ということをきっちりとやって、その結果として、これは充実・迅速ということが達成できるだろうと。ただ寝ているというのは、どう考えてもむだだと思うのが第1点であります。
 第2点は、今度は知財高裁の問題でございます。これも御手洗委員と同様の問題ではありますけれども、切り口が若干違います。それは、この資料1の4でございますけれども、この高等裁判所は実は全部集めますと、その判事の数は決して少なくありません。札幌高裁よりも大きいか、高松に匹敵するかというぐらいの数でございます。したがって、これはやはり独立をして、知的財産高等裁判所という名前で内外ともに打ち出す。アジアの中の中核的な知財高裁だということを打ち出していく。これが、日本国を知財大国として内外にアピールするときのまさに看板といいますか、旗印といいますか、大義名分としてこれが意味を持つのでなはいか。そういう意味では、実態が似たようなものができるのであれば、それこそ看板をきっちり掛けるべきだと。それが改革のスローガンというものではないか。そのスローガンが実態を持っているのですから、空っぽのスローガンではありませんので、これを是非お願いしたい。
 3番目は、人材の育成関係です。その関係で、分厚い方で恐縮でございますけれども、資料2の62ページに、いわゆる知的財産関連人材の育成の観点があります。この観点で大事なことは、弁護士と弁理士が大幅に増員をしながら、かつ、協力してやっていくということでありまして、現在、弁理士さんに付記弁理士としての能力を担保する方法として研修をしています。弁護士会から大勢の講師が派遣されまして、かなりハードなスケジュールで研修をやっております。訴訟法とはどういうものかということも含めてやっております。その結果、実は講師の1人が講演中に倒れてしまうというぐらい、我々弁護士会は一生懸命支援しているつもりであります。
 そういう実態の中から、弁護士自身も今度は自分たちでもっと知財を勉強しようということで研修を始めました。東京で300、大阪で150を募集してやっていこうと。これを何年か続ければ1,000人ぐらいになるねとやっておりましたら、あっという間に今年この夏1回のところだけで300人の東京が1,050人、150人の大阪が420人という応募がありました。あっという間に1,500人がもうこの段階で応募してきたんです。この講演には、今度は中山先生にも応援していただいておりますが、中山先生が倒れられなければいいがと思うぐらい、実は大変なことをやっています。
 ということで、かなりこれから1〜2年の間に弁理士・弁護士それぞれの状況が大きく変わると思います。ですから、その辺の実情も踏まえて、この新しい弁理士さんの活用ということも含めて、検討していただきたいという意味でございまして、この辺りの実情を踏まえた検討をしてほしいというのが、この問題でございます。
 もう一つ、最後の問題です。これはロースクールの問題です。これは元に戻りまして資料1の8番、9ページでございます。この中で、ロースクール、法科大学院大学というものを何とかしていきたいと思うんですが、とりわけ社会人、そして、理工系を出た学生、その人に法科大学院で法律の力を与え、かつ、夜間勉強できるということが必要ではないか。ところが、残念ながら、現在、夜間をやる法科大学院はほとんどありません。第二東京弁護士会、私が所属しておりますが、これが協力している大宮法科大学院というのが夜間をやって知財にも力を注ぐと言っておりますが、私がいろいろ調べたところ、少なくとも首都圏では今それくらいしかないのではないか。国立が例えば東京大学がやる、一ツ橋もやるというようなことであれば、夜間部をやっていただくと大変ありがたいんですが、なかなかそれは難しいようであります。そうなってくると、この夜間法科大学院をどういうふう担保していくか、これはかなり国家的な戦略として力を注がないと、なかなか私立では難しいんです。というのは、昼も夜もやりますと、図書館だけとっても夜の10時、11時まで開けなければいかん。その間の光熱費の問題、職員の問題、夜間の手当の問題、いろいろなものが来て、朝から晩まで働くというのは実は大変なことであります。そういう意味での、大学経営の観点から非常に問題があるということでありますので、何とかこの辺りについても、意見書に書きましたような計画を十分省庁併せて練っていただきたいというのが希望でございます。
 以上、4点にわたってお話し申し上げました。ありがとうございました。

○福田官房長官 ありがとうございました。
 続きまして、安西塾長にお願いいたします。

○安西本部員 人材育成の面から、この推進計画案というのは大変いろいろなことを含めていただいておりまして、大変ありがたいと思います。ただし、やはり実行が上がるかどうかということが一番大事なことで、そういう意味で言えば、法科大学院の問題にしましても、あるいは技術系に法律を教えることにいたしましても、実際に実行が上がるかどうかということは、是非これから推進計画の中で進めていただきたいと考えております。
 資料1で申し上げれば、1ページの技術移転の問題、それから、大学の知的財産本部のこと、これの間の関係というものもいかにも既にできているかのようでありますけれども、まだまだこれからの問題でありますし、次の2ページ目のところに、そういうことが書いてあるわけであります。
 それから、一番最後の知的財産に重点を置いた法科大学院等の設置ということで言えば、この推進計画の中に、例えば、デジタルコンテンツの著作権等のことが随分取り込まれまして、私は大変結構なことだと思いますが、そこまで広げたときの知的財産に重点を置いた法科大学院、人材育成というのはほとんど考えられていないのではないかと思います。
 また、もう一つ申し上げれば、私はアジア諸国の大学関係者といろいろな話をいたしますと、ほとんど知財のことは考えていないところが多いわけで、これはやはり文部科学省を初め、特に、大学関係の方々がアジアを知財の意味でリードするということが、知財戦略の意味では非常に大事だと考えております。
 以上、よろしくお願いを申し上げます。

○福田官房長官 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、野間口社長にお願いいたします。

○野間口本部員 私も、3点意見を述べさせていただきたいと思います。資料1の7ページの関係でございますが、第1は、国際標準化と知的財産という点でございます。いろいろな分野で国際標準化競争が産業の国際競争力そのものに大変大きな影響を与える時代となっております。これを踏まえ、ここに示しておりますように研究開発、特許取得及び国際標準化推進に関する産官学が連携した戦略的取り組みの強化が大変重要だと思います。このようにしまして、日本発の優秀な技術をいち早く国際標準とし、新技術普及による国際貢献、新製品普及による市場形成のリード、規格特許の適切な運用による知財権収入というメリットが出てくるものと考えます。今回の推進計画の中に、2003年、2004年にわたるアクションプログラムが示してありますが、是非これをきちんと実行していただきたいと、私どももその一端を担いたいと思っております。
 第2点目、これは国際標準という観点からも特許審査の迅速化が大変重要だと考えておりまして、産業界としても強くこれを要求したいと思います。この迅速化という点に関しまして、先ほど御手洗本部員からもございましたけれども、民間も含めた外部人材の活用による期限つきの審査員増強が大変効果的であるのではないか。日本にはそういう人材がかなり豊富にいるなと思っておりまして、この辺のところを是非、政策に取り入れていただきたいと思っております。
 それから、第3点は、知的財産高等裁判所、これも久保利本部員を初め何人か御指摘でありますが、私も産業界の一員として大変重要と考えます。これの私が考えます大変大きなメリットは、判例の統一性の実現ということでございまして、これはこの分野に活気的な合理化効果を及ぼすのではないかと思っております。併せて、こういうことをしっかりやることによって、内外に対する知財重視の国家姿勢、政策が明確に示せると考えております。よろしくお願いしたいと思います。
 以上でございます。

○福田官房長官 ありがとうございました。
 続きまして、弁理士の下坂先生、お願いいたします。

○下坂本部員 まず最初に、人材育成に関し、ただいま日弁連及び弁護士の先生方から大変な御協力いただいている点につきまして、日本弁理士会は大変感謝していることを申し述べさせて頂きます。
 私が主張いたします点は3点ございまして、当初お話になられました御手洗本部員と重複するのでございますけれども、特許審査迅速化法というのを是非つくっていただきたい。欧米の特許庁にはそれぞれ特許審査官が約3,000人もいますけれども、我が国の特許庁にはわずか1,000人ちょっとという程度しかおりません。我が国の特許審査官は欧米の審査官の2倍から3倍の審査を行いまして奮闘している状態ではございますが、なお大量な滞貨の一掃は困難を極めております。この大量な滞貨の一掃なくしては、特許審査の迅速化は図れないと考えております。そのためには、特許審査官の大幅な増員が是非とも必要ですけれども、御手洗本部員から御提案のございました任期つき審査官を外部から採用するという手段は、大変よいアイデアなので、政府全体で手を尽くして推進していただければ大変ありがたいと思います。
 次に、第2点としまして知的財産高等裁判所、この早期設立を是非ともお願いしたいと思っております。知的財産高等裁判所という独立した機関を設置しますれば、国民に対し、また外国に対し、我が国が知的財産を特別に高く位置付けていることを強くアピールすることができます。更に、専門人材の確保が行われ、裁判の信頼性の向上、裁判の予見可能性の向上が期待でき、知的財産を核とした産業活動の活性化が促進されると信じております。
 第3番目といたしまして、偽物対策、水際対策の強化をお願いしたいと存じます。権利者の手で偽物の一掃をスピーディーかつ強力に行えるように、明らかな不正商品に関して輸入者や製造者に関する情報の開示を進めることが是非とも必要であると考えております。また、不正商品輸出国と我が国との間で、官官、官民、民民間の不正商品防止に関する協力体制を是非強化して頂きたいと考えております。
 以上、3点でございます。

○福田官房長官 ありがとうございました。
 続きまして、中山教授からお願いいたします。

○中山本部員 私はこの計画案に賛成でございまして、個別の論点で申し上げたいことは特許審査迅速化法1点だけでございます。審査の質を確保しながら審査期間を大幅に短くするというためには、審査官の大幅増員しかないということは、私はかねがね申し上げてきたところでございます。私も国立大学の教官でございますので、定員を増やすということがいかに難しいことかというのは身に染みて知ってはおりますけれども、しかしながら、審査待ちの滞貨の80万件を一掃するというためには、勿論、特許庁も血を流す努力をしなければいけないのですが、それだけでは不可能で、人員増以外にはないと思います。
 先ほどから議論に出ておりますが、滞貨一掃の話ですから、採用した審査官には定年までいてもらう必要はないわけでありまして、今回の原案はその点、期限つき審査官の増員ということでございますので、これは是非、原案どおり確定していただきたいと思っております。
 特許庁に対して審査期間を大幅に短くしろと言っておきながらその手段を与えないということは、例えば、戦艦大和に出撃を命じておきながら、油を与えないようなもので、どこかで轟沈することは間違いないと私は考えております。ただ、国家公務員の数について詳細はわかりませんけれども、恐らく数百人規模ということになりますと、特許庁とか経産省だけの問題だけではなくて、政府全体の問題として取り組んでいただきたいと思います。
 次に、資料8ページのコンテンツの問題ですけれども、前回の戦略大綱と比較いたしまして、この計画の大きな特色はコンテンツの重視であります。これは情報化時代を迎えまして、我が国の産業の在り方を考える上で、私はかなり高く評価をしております。ただ、コンテンツに関しましては、保護は極めて重要ですけれども、ブロードバンド時代を迎えるに当たりまして、この図にあるとおり流通促進という点も極めて重要であります。今回は、どちらかというと流通促進の方にはそれほど重点は置かれておりません。そして、この両者は場合によってはトレード・オフの関係にもなるわけでございますが、今後の課題といたしましては、この点について果敢に調整をしていただきたいと思っております。
 それから、私はロースクールについてかねがねいろいろ発言をしてきました。しかし、ロースクールは2004年に発足しますけれども、そのカリキュラム、人材等々につきましては、既に決まっていることでありまして、2004年には間に合わないかもしれませんが、しかし、やはり私はロースクールでは知財に強い人材を養成してほしいということを心から願っているわけであります。その意味から、2004年には間に合わないといたしましても、この計画に書いてあることには賛成でございまして、こういう理想は常に掲げていっていただきたいと願ってやまないわけであります。
 人材は知的財産制度を支える重要な柱ですから、弁護士だけではなくて弁理士も大いに頑張っていただきたい、大いに期待したいと思っております。
 現在、提出されました計画案に記載されている多くは、検討項目ということになっているわけでございますけれども、いわゆる官庁用語における検討ではなくて、言葉の真の意味における検討をこれから願ってやまないわけであります。
 この計画の最大の弱点といいますか問題点は、時間の関係もありまして、調査、研究、議論、検討が非常に少なかったという点にあると思います。十分に議論、検討して理論武装しておかないと、たちまちにして論争に論破されてしまうわけであります。しかし、これから戦略本部には専門調査会が設けられるということでございますので、そこで立派な人材を登用して十分な調査、研究、検討をしていただきたいと思うわけであります。今日で推進計画の内容はほぼ確定するということになるわけでありますけれども、残された問題は余りに多いわけであります。打ち上げ花火のように、この計画の公表で終わりということではなくて、是非、息の長い改革に努めてもらいたいと思います。各官庁ごとに所管事項に固執していたのでは、国家戦略としての知的財産戦略というものをつくることはできないわけでありますから、これからも戦略本部に対する期待というものは大きいものがあるだろうと思います。
 最後に、私を始めうるさい人が多い中、この短い時間にこれだけ大部のものをまとめたということは非常に大変な作業だと思います。その意味で、荒井事務局長と事務局の方々には、心から感謝をしたいと思っております。
 以上でございます。

○福田官房長官 ありがとうございました。
 川合先生、お願いします。

○川合本部員 私は、この推進計画の中で、3点ほど大事な点を盛り込んでいただいたと思っております。知財なくして保護も活用もございませんので、創造するということがその大元になるという立場で、この計画案作成に加わらせていただきました。
 知の創造は、常に過去の知を利用するわけでございますので、その保護が余りきつくなりますと、新しいものを創造するときの弊害になるということを大変懸念しておりましたが、それに関しましては、例えば、研究マテリアル利用の円滑化であるとか、かなり具体的な形でこの中に盛り込まれることができまして、これは、非常によかったと思っております。
 もう一点は、研究者の流動性という点に関してでございます。現在、知財は機関一元管理という方式で考えられてございますが、今、研究者は機関を渡って研究をするのが常でございますので、そことの整合性が非常に気になっておりましたが、発明者本人に権利を持たせるような形で、その範囲を残した形でここに記載できたことは大変よかったと思っております。
 もう一つは、先ほどから出ております知財関係の専門人材の育成に関してでございますが、実務経験者等の登用ができるように、先ほど久保利本部員から説明がありましたように、夜間の大学であるとか実際に働いている者も、こういうフィールドに入ってこられるような考え方が盛り込まれておりまして、それが非常に大事なところかと思っております。
 最後に、この推進計画でこれから推進されるものの使い方について、私の思うところが1点ございまして、今日言わせていただきたいと思います。知財に関しましては、これは国内の閉鎖した空間での話ではございませんので、国際問題、外交問題という見地で捉える必要があります。1つの国が育つためのものだけではなく、国際的にどういうバランスで自分たちの国の位置付けを置くかというところまでかかわってくる問題でございますので、この運用に関しましては、是非広い視野を持って、かつ、我が国としての国策という観点を重視して進めていただきたいと思っております。
 以上でございます。

○福田官房長官 ありがとうございました。
 最後になりましたが、森下先生お願いいたします。

○森下本部員 私のからは今まで医療関連行為の特許法ということで、この本部でも何回かお話をさせていただきました。その意味で、今回、医療特許は三方一両得ということで、資料1の4ページになりますけれども、患者さんに対しましてより先進的な医療を受けるチャンスが与えられたということで、今回の推進計画は非常に意味があるものではないかと思います。坂口大臣にはいろいろと御心配をお掛けいたしましたけれども、私も一応医者として週1日は医者をしておりますので、十分現場の苦労あるいは現場の問題点というのはわかっておりますので、そのような問題点を十分考慮しながら、オープンな議論が進むということを期待しております。一番大事なことは、患者さんにとって何が一番得になるか。その意味では、残念ながら、日本の医療の現状というのは欧米に比べて遅れているというのが実情でありますから、これは患者さんにとって一番不幸な事実でありますので、それを今回の推進計画によって追いつくことができるのではないかということを期待しております。
 第2点といたしましては、厚い方の資料2の28ページに記載されております「医薬品の試験データの保護の強化等を検討する」という項目であります。この項目に関しましては、実はライフサイエンスの事業化は非常に息が長いということがありまして、大学から出ましたベンチャーというのが、なかなか欧米のように画期的な薬品を出すということが難しいという実情があります。アメリカの場合ですと、すぐに会社ができて事業に入れるわけでありますが、今、日本では530社ほどの大学ベンチャーが活躍しておりますけれども、やはり会社をつくるまでに3年ぐらい掛かる。そのよちよち歩きを超えて、ひとり立ちして両足で歩けるのにまた更に3年掛かる。そこから事業化が10年掛かるということになりますと、特許期間の20年、成人式を迎えたころには既に特許が切れてしまいまして、実際に医薬品を出すことができないという可能性が十分出てまいります。その意味では、医薬品の試験データの保護強化を欧州並みの10年にしていただきますと、大学ベンチャーから新しい画期的な医薬品を出すことに非常に大きなモチベーションが働くということになりますので、これでやっと日本のバイオ産業も世界に通じるような、同じ土俵の上に上がることができるのではないかということを期待しております。
 最後に、先ほど来、安西先生あるいは阿部先生等からもお話がありましたような、大学に関係するお話なんですけれども、システムとしてはこれで日本と世界はほぼ同じレベルに達したのではないかと思います。ただ、先ほど中山先生からお話がありましたように、戦艦大和ではありませんが、鉄砲は持ったけれども弾がないということになりますと、残念ながら戦うことができない。知財というのは当然ながら毎年出てまいります。特に今、大学の現場ではかなり特許に関して、遠山文部科学大臣の御努力を初めとして、認識が増えてきております。その意味では、出す意欲は非常に上がってきております。肝心なときにお金がないということになりますと、せっかくの弾が撃てないということになりますので、是非、引き続き御支援をそちらの方もいただければと思います。現場の認識としては、ここ1〜2年の間に非常に大きく変わってきたのではないかということで、今回の推進計画で、やっと日本も世界の仲間入りができる状況にはなったのではないかということを期待しております。非常にいい計画になったのではないかということで、是非この実施の方をよろしくお願いしたいと思います。

○福田官房長官 ありがとうございました。
 以上、本部員の皆さんの御意見を伺いました。
 それでは、意見交換に入りますが、最初に3大臣から発言を求められておりますので、順次御発言いただきます。最初に、細田大臣どうぞ。

○細田科学技術政策担当大臣 総合科学技術会議といたしましては、科学技術創造立国の大きな柱の1つが知的財産戦略の問題でございます。したがって、昨年12月にも、まず知財管理体制の充実、知財法制整備、人材育成などにつきまして意見具申をしたところであり、また、昨日の総合科学技術会議においては、特許と標準の包括的対応の在り方、大学等における知的財産活動の在り方につきまして提言を行ったわけでございますが、これらについては、この本部と連動・連携を進めていただきまして、本日の推進計画案に取り入れていただいておりますことを感謝申し上げます。
 また、特にこれは司法制度の問題であるかとは思いますが、科学技術創造立国の大きな柱が知的財産権の制度的改革であります。これがなくしては、また科学技術創造立国も進まないという観点から見れば、知的財産高等裁判所の設立等の工夫が是非とも必要であります。それは総合科学技術会議という技術の最高権威の集団を政府の中に設けたことが、非常に各省にまたがる科学技術政策の発展に非常に貢献した、この実績から見ましても、司法においても、体制がまた知財の問題の発展に貢献するという意味で、是非よろしくお願い申し上げたいと思います。

○福田官房長官 では、遠山大臣、お願いします。

○遠山文部科学大臣 今回提示されました推進計画につきましては、これまでの熱心な御議論を踏まえて、本計画に反映すべき事項が的確に含まれた内容だと思っております。これが知的財産立国の実現に寄与することを期待いたしております。文部科学省は、知的財産の創造から保護等々さまざまな分野に関係しておりますが、本日は4点について、現在の施策の進歩状況について御報告しながら、コメントさせていただきたいと思います。
 まず、著作権の分野についてでございます。「映像コンテンツの保護の強化」や、「司法救済制度の充実」を盛り込んだ著作権法の改正をいたしました。先般、衆・参両院において全会一致で可決されまして、一昨日、公布されました。これにより、著作権の分野において「知的財産戦略」を推進する取組が一歩前進したものと考えております。
 2番目は、コンテンツ振興の重要性に鑑みまして、本計画の中にコンテンツの創造、保護、活用に関する具体的な取り組みが記載されたことも重要であり、評価したいと思います。当省としましては、4月に映画振興に関する懇談会から「これからの日本映画の振興について」のいろいろな提言があったことも踏まえた上で、本計画に基づき、コンテンツの創造、保護、活用の促進に今後とも積極的に取り組む考えです。映画には、アニメ等も含みまして、日本の最先端の技術を使ったコンテンツを充実しようと思っています。
 また、今年度から海外のカンヌなどの映画祭におきましても、日本の展示ブースを設けまして、政府としてPRをいたしております。
 次に、「文化遺産オンライン構想」についてですが、これは、総務省と協力しながら、インターネットで簡単に検索できるシステムを現在構築中でございまして、将来的には美術館、博物館等について1,000館程度のものを結ぶ計画で進めております。私は、文化振興というのは経済の活性化に非常に力があるものだと思っております。
 3番目は、知的財産の創出に非常に大きな役割を果たします大学を所管する当省といたしまして、今年度から幾つか実効性ある施策に取り組んでおります。1つは、先ほどから触れていただいておりますが、大学等に「知的財産本部」を整備する事業であり、既に83件(122大学)から応募がございました。これを30件程度に絞りまして、できれば今月中にも選定する予定でございます。
 さらに、大学等における研究成果の知的財産化、特許化を支援する事業でございますが、海外出願分として今年度は400件程度の支援を予定しております。来年度はもっとこれを拡充していかなければいけないと思っております。
 最後に、人材育成でございます。これは、法科大学院、技術経営大学院(MOT)、知的財産専門職大学院等における知的財産教育の推進ということで、本日、諸先生方からその重要性が極めて的確に御指摘されたと思っております。法科大学院については、国公私含めて70大学程度で設置を検討している模様でございます。今月の13日から今月末まで申請を受付中でございますが、今現在、受付件数は8大学でございます。相当練ってくれていると思っております。知的財産に関するカリキュラムを是非とも充実させてもらいたいと思っております。
 前回も御手洗本部員からお話がございましたし、今日は久保利本部員からも御指摘がございました、知的財産に関する夜間の大学院については、私どもも何としても実現したいと思っているところでございます。
 MOTにつきましては、既に、東北大学、早稲田大学などで設置しておりますが、それ以外にも、現在、数校で検討中と聞いております。大学改革については、今、法科大学院などいろいろな動きが一気に進んでおりますけれども、知的財産の面についても前向きに動けるように、一生懸命やっているところでございます。是非とも御指導をお願いいたします。

○福田官房長官 平沼大臣、どうぞ。

○平沼経済産業大臣 まず、有識者本部員の皆様方には、極めて短期間で立派な計画案を起草していただいたことに心から感謝申し上げたいと思います。
 幾つかの点について申し上げたいと思いますけれども、特許審査の迅速化は御手洗本部員を初め相当の方々から出されました。これは大変喫緊の課題でございますので、経済産業省といたしましても迅速化の戦略というものを今立てておりまして、そして、今月中にでも1つの方向をきちんと出していきたいと思います。
 それから、これも数々の皆様方から御指摘がありました、いわゆる現時的に滞貨を一掃するという問題です。これに関してはいろいろな問題がありますけれども、やはりここは一番重要なポイントだと思っておりますので、我々は関係省庁と協力して、この問題の解決に最善の努力をしていきたいと思っております。
 それから、資料2の43ページにあります知的財産の活用の促進についてですけれども、グループ企業の知的財産管理会社やTLOが知的財産の管理信託事業へ原則自由に参入し得るよう、また資金調達の手段として、信託スキームを活用し得るよう、引き続き私どもとしては、これは大事ですから関係省庁と協力して検討していきたいと思っています。
 それから、御手洗本部員から水際の問題がございました。新たな組織をつくることの必要性というのは、私どもはちょっと疑問に思っておりますが、おっしゃったように、当事者の主張を元にした迅速な侵害判断ができる仕組みの早期構築というのは絶対に必要だと思っておりますので、侵害者の例えば御指摘の輸入者の氏名の開示、こういったことについても積極的に私どもやらせていただきたいと思っております。
 それから、中山本部員からコンテンツの振興、これは章を立てて大きく取り上げていただいたということは非常にいいことだと思いまして、これは関係省庁もそれぞれ関心を持っていることだと思っておりますので、私どもはコンテンツ産業の振興に全力を挙げていかなければならない、そう思っています。
 それから、最後に、9番目の特許の高等裁判所をつくる、このことは非常に大事でございまして、これは我々としては御指摘のように、人員もそれだけ既に確保されておりますし、是非これは実現して、そして、やはり紛争が起こったときに迅速に処理するということは企業の生命が掛かっているわけですから、このことは私は大事だと思いますので、是非やらなければならない。私どもも法務省とも連携をとりながら頑張らせていただきたいと思っております。
 以上です。

○福田官房長官 それでは、自由に御発言いただきたいと思います。坂口大臣から。

○坂口厚生労働大臣 とにかく私の方は1点だけで、森下先生からも御発言をいただきましたが、医療行為の特許保護の在り方につきましては、非常に配慮した書き方をしていただきまして、心からお礼を申し上げたいと思います。先ほど先生も御指摘をいただきましたように、4ページにございます医療特許は三方一両得の絵がございまして、患者、医者、研究者、企業すべてよしと、こうなりますことを期待いたしておりますけれども、若干絵が上手に描かれ過ぎていはしないかということを気にしているところでございます。控えめに申し上げますが、どうぞよろしく。

○福田官房長官 それでは、総務大臣どうぞ。

○片山総務大臣 大変全体としてはよくまとめていただいていると思いますし、私どもの役所も関係あります国際標準化への取り組みや、特にコンテンツビジネスの振興については、大変丁寧に書いていただいておりましてありがたいと思いますし、重要なこれからの我が国の経済を初めとするいろいろな問題の使命を制するようなことでありますので、これから書いてあることをどう実現するかが大切だと思っておりますので、関係の皆さんの御意見を聞きながら、私どもの方も所管については頑張ってまいりたいと思います。
 そこで申し上げにくいのですが、定数の話なんですよ。前回か前々回にも申し上げましたが、行政の減量、効率化、スリム化、特に減員をやるというのは小泉内閣の大きな方針なんですね。10年間に25%、これは独法を入れてですから、純減は10%ぐらいやるということなので、そこで審査員の大幅増員、数百人規模を配置、お気持ちはよくわかりますよ。それから、めりはりがきかないといかんので、減らすところはどっと減らして、必要なところは増やすということなんですけれども、こういうことを書いていただくとどうかなと思うので、勿論必要な場合には増員もありますが、アウトソーシングだとか仕組み制度を変更して効率化を図るとか、既存人員の有効活用をやるとか、よそから人員の振替えをやるとか、外部人材と言われましても何年かどうか知りませんが、その間公務員の定数となるわけでございますので、そこで全体がうちは要るんだ、うちが要るんだとあちこちからあるものをまとめるわけですよね。全体は圧縮しながら。そこは御事情を十分考えていただきたいと思います。財務省も同じ意見なんですよ。私どもとほとんど財務省は意見が違わないんですけれども、ここも同じ意見でございまして、だから、特定分野を指定しての大幅増員というのはなかなかつらいので、迅速化法か何かをつくっていただくのは私は結構だと思うので、財務省が言うかと思ったら言わないものですから、私の方が言わなければいかんので、予算は向こうで定数はこっちですからね。そこのところは、ひとつお気持ちはわかったということにして、表現は直していただいた方がいいと思いますので、再度の調整を。気持ちがわかればいいでしょう。是非ひとつよろしくお願いいたしたいと思います。
 それから、例の知財高裁、あれは裁判所の問題ですけれども、これも予算にも必ず関係する話なので、その辺のことも言いにくいですね。あえて勇を鼓して言っておりますので、ひとつ私の気持ちもわかっていただきますようお願いいたします。

○福田官房長官 法務大臣どうぞ。

○森山法務大臣 片山大臣に怒られるかもしれないんですけれども、知的財産の高等裁判所について皆様が大変御熱心な議論をしていただき、このようにまとめていただいたということは、非常に評価すべきことだと理解させていただきます。この前の会合でも申し上げたのでございますけれども、現在、司法制度改革推進本部におきましても知的財産関連の訴訟に関して、裁判所の在り方について具体的に検討を進めているところでございます。ですから、知的財産高等裁判所の問題につきましては、本日お示しくださいました計画案にもありますように、今後、必要な検討を行っていくということが重要なことと考えております。
 片山大臣と財務省には、どうぞよろしくお願いいたします。

○福田官房長官 財務副大臣どうぞ。

○谷口財務副大臣 財務省でございます。片山大臣におっしゃっていただきましたので、そのことについては言及いたしませんが、財務省、税関といたしましては、知的財産権保護の重要性にかんがみまして、水際における侵害物品の取り締まりにつきましては、本年度の関税定率法の改正により大幅な見直しをしたところでございます。財務省、税関といたしましては、今後とも新しい制度の下で経済界、特許庁等と協力して、水際での侵害判断の迅速な処理に努めていくところでございます。
 さて、この推進計画案でございますけれども、この推進計画案におきましては、知的財産権侵害物品に関係した輸入者、輸出者の氏名等の情報を税関から権利者に開示することが求められておるわけでございます。先ほども御手洗本部員、下坂本部員が言及されたところでございますけれども、これにつきましては、守秘義務上の問題はございますが、関係省庁と協議し、税関が権利者に当該情報を開示できるように関係する法令改正の準備をさせることといたします。
 また、推進計画案にあります水際で当事者の主張を基にした迅速な侵害判断ができる仕組みの検討に関しましては、まず、裁判所の活用が重要であると考えますが、迅速な侵害判断の実行性を高めるために、税関手続面からも一層の工夫を行いたいと考えております。したがいまして、新たな行政審判機関の整備につきましては、まずは新たな組織ありきということではなく、裁判所の活用、次に税関手続面での見直し、これらを踏まえた上で、それでも不十分であれば検討するといったことが必要なのではないかと考えております。
 財務省、税関におきましては、知的財産権侵害物品の取締りを最重点課題の1つといたしておりまして、引き続き制度面、運用面の両面において積極的に対応してまいりたいと考えております。
 なお、先般、基本合意に達しました日米新租税条約につきましてでございますが、知的財産を含む無体財産権の使用料につきまして、源泉地国免税とするような内容でございますけれども、国境を越えた知的財産の利用促進に資するものでございますので、その早期の締結に向けまして、引き続き作業を進めていきたいと考えております。
 以上でございます。

○福田官房長官 ほかにあります。本部員の方々もよろしゅうございますか。
 それでは、本日は大変貴重な御意見をたくさんいただきまして、ありがとうございました。本日いただきました御意見は、推進計画の取りまとめに生かされるよう作業を続けてまいりたいと考えております。また、未調整の部分につきましては、7月の推進計画取りまとめに向けて、早急に有識者本部員及び関係省庁間で調整させていただきたいと考えております。
 なお、本日の推進計画案は、この会合終了後にパブリック・コメントに付しまして、広く国民の皆様からも御意見をいただくということにいたしたいと思います。
 それでは、最後に、小泉総理大臣知的財産戦略本部長から御発言をいただきますが、プレスが入ってまいります。

(プレス入室)

○小泉内閣総理大臣 本日の会合では、有識者本部員の方々の起草による知的財産戦略推進計画をお示しいただきました。重ねて御努力と熱意に御礼を申し上げたいと思います。
 この推進計画案は、知財立国に向けて約250項目の施策を網羅した意欲的な工程表となっております。日本からすばらしい発明、創作をどんどん生み出すことを目標に、来月8日の取りまとめに向けて、関係者間の最終的な調整を行っていただきたいと思います。残すところあと数週間でありますが、格段の御努力をお願いしたいと思います。
 本当にありがとうございました。

(プレス退室)

○福田官房長官 本日の会合は以上でございますが、内容につきましては、会合終了後に事務局長から記者会見を行う予定になっております。
 次回会合は7月8日、午後5時15分から開催をいたします。次回に会合におきましては、本日の御意見等を踏まえた知的財産の推進計画最終案をお示しし、決定したいと思います。
 本日は、大変ありがとうございました。