知的財産戦略本部会合 |
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○菅副総理 ただいまから、知的財産戦略本部会合を開催いたします。 本日はお忙しい中、ご参集いただき、誠にありがとうございます。 本日の議題は、「知的財産をめぐる喫緊の課題について」です。鳩山政権となってから初めての知的財産戦略本部会合となりますので、今後の議題を進めていくに当たり、まずは、知的財産をめぐる喫緊の課題について、意見交換を行いたいという趣旨でございます。 それでは、まず、開会に当たり、知的財産戦略本部長の鳩山総理から、ご挨拶をお願いしたいと思います。 総理、よろしくお願いします。 ○鳩山内閣総理大臣 本部長の鳩山でございます。若干遅参をいたしまして、申しわけなく思っております。 民主党を軸にして政権交代がなされたわけでありますが、政権交代後初めての知的財産戦略本部を開催させていただきました。夜分にかかわりもせずお運びを下さいました、それぞれの皆様方、本部員の方々に感謝を申し上げたいと思います。本当にありがとうございます。 私ども、資源小国と言われて久しいわけでありますが、今日まで、日本が経済発展を遂げてまいりました、その背後には大きな知的財産がバックにあったからでございまして、その意味において、皆様方が様々な知恵をお出しいただいて下さっておりますこと、心から感謝を申し上げたいと思います。 しかしながら、知的財産、必ずしも世界の流れの中で日本は今どうなんだろうということになりますと、これは旧政権ということになるかもしれませんが、必ずしも知的財産に対する戦略が十分ではなかったのではないか、いつの間にか遅れを取ってしまった嫌いが有るんじゃないかと、このようにも感じているところでございます。従いまして、ぜひ皆様方の、それこそ知的財産をこれから使わせていただいて、日本が知的財産立国だと、そう呼べるような形で戦略をお作りいただきたいな、心からそのことをご期待いたしたいと思っております。 経済が厳しい状況でございます。このような中で、先進国も、また発展途上国も、それぞれ全力を上げてきている中で、知的財産立国日本を目指して、日本が新たな道を進んでいけるようにぜひしていきたいと思っておりまして、今日お集まりの閣僚の皆さんはもちろんでありますが、本部員の皆様方の英知をぜひ結集をしていただきたいと、そのことをまず本部長からお願いさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。 ○菅副総理 ありがとうございました。 (プレス退室)
○菅副総理 申し遅れましたが、今日司会をさせていただきます副総理の、また科学技術担当を務めております菅直人です。よろしくお願いします。 それでは、今日は短い時間ですので、てきぱきと進めさせていただきたいと思います。 初めに、野間口本部員から、知的財産をめぐる諸問題について、プレゼンテーションを行っていただきます。 野間口本部員、よろしくお願いします。 ○野間口本部員 ありがとうございます。 それでは、本日は、グリーンイノベーションを実現する上で重要な役割を持つと考えられます太陽電池につきまして、大中小規模の多様な企業群と、筑波にあります産総研が協力して取り組んでいる知財に関する新しい取り組みについてお話をさせていただきます。 今、ディスプレイに出ておりますけれども、2枚目のページを見ていただきますと、太陽電池は、ご案内の通り、我が国が導入量、生産量ともに世界のトップを走ってまいりました。しかし近年、図に示しております通り、ともに3位に後退してしまいました。しかしながら、下の方に囲って書いておりますように、技術力では、今でも世界をリードしていると私ども自負しております。 この高い技術力をさらに伸ばし、競争力の維持向上を図るためのコンソーシアムを、去る10月からスタートさせまして、太陽電池が低炭素社会実現のために大量に導入されるのはこれからでありますので、少し時間を要しますが、我が国産業の競争力強化に、知財面から貢献できるものと考えております。 それが3枚目のコンソーシアムでございます。次のページでございます。 端的に言って、異なる部材を担当する、多種多様な企業31社と、産総研が提携して始めたものでございます。 実は、これら部材メーカーは、先に述べましたように、自分の担当する部材では世界的な力を持っておりますが、自分で太陽電池そのものを作る技術は持ち合わせていないために、特に、中国、米国が国を挙げて強化策を講じていることもありまして、いつまでこの高い競争力を維持できるかと、大変な危機感を持っております。そこで、これまで我が国の太陽電池技術をリードしてきました産総研が、これらの部材メーカーと連携して、コスト面では安いと評判の中国製と十分競争でき、寿命は抜群の太陽電池を可能にしようということで始めたものでございます。 皆さん方のお近く、総理の目の前にモデルを持ってきておりますが、これは、現在、世界で一番たくさん使われているタイプの太陽電池でございまして、この図を見ていただきますと、太陽電池の構造をセルという表現で簡単に示しておりますが、このところが半導体でございます。ここで発電をいたしますが、本日は少し時間もございませんので、詳しくは説明いたしません。これが半導体でございます。その右の方に樹脂とかガラスとか、フレームの端子保護膜とか配線材とか色々書いておりますが、これらが太陽電池の信頼性や寿命の支配的要因となるものでございまして、産総研は30年以上の研究実績がございますので、そういうものからはかっている部材でございます。 実は、今、世界で市販されております太陽電池、一声、寿命20年と言われているのでございますけれども、ヨーロッパ勢をはじめとしまして、これを確実に実証したものはまだ無いと言っても過言ではありません。 外国製などで、これはドイツ製でございますけれども、経済産業省の政務三役には、9月末にご視察いただきましたけれども、10年たらずで虫が食ったように劣化していくというのが現実のところでございます。 なお、本日は、経済産業委員会の東委員長以下8名の方々にもご視察いただきまして、その状況を見ていただきました。 これらの部材の劣化要因を徹底して調べて、信頼性の高い電池を実現するというのが、このコンソーシアムの狙いでございます。 次のページを見ていただきますと、それぞれの企業が、産総研と共同研究契約を結びます。そして、その共同研究を束ねましてコンソーシアムとしまして、知的財産はお互いに活用し合えるようにいたします。産総研は、電池試作に必要な技術とか、それから性能、寿命の評価技術、改善案などの創出に協力いたします。 結果として、右にありますように、電池として40年以上の寿命を持つものを開発する。これは、今の公称値の倍でございまして、この太陽電池を導入する投資家といいますのは、非常に償却負担というのを問題にいたしますので、投資家にとってコストが半分になった、なるという効果を発揮しようとしております。 それから、試験法、診断法に関する敷衍的な開発をいたしまして、国際標準に提案しようと考えております。 このようなことをやることによりまして、多くの知的財産が生まれますので、この知的財産をお互いに活用して、日本の産業競争力の強化に活用するとともに、国際診断法などにつきましては、国際標準として提案しまして、世界のより多くの人に使っていただくということで、我が国の存在感を高めることにも貢献したいという取り組みでございます。 まとめます。 低炭素社会実現に向けての研究開発を加速させるために、この太陽電池で紹介いたしましたように、知的財産の創造・保護・活用が大変重要になってきております。 それから、一機関、一企業では、できることに限界がありますので、産総研のような公的機関が入りまして、オールジャパンの体制を組む。そういうことによりまして投資効率を上げ、研究開発のスピードを上げるということに貢献できると考えております。 それから、スタートの段階から知的財産と標準化を意識した新しい取り組みは重要となってきておりまして、このような考えで大きな成果を上げていきたいと考えております。 以上でございます。 ○菅副総理 どうもありがとうございました。 チャレンジ25という鳩山総理の提案もご存じのことだと思いますので、大変有望な分野だと思っております。 それでは、本当に短い時間で恐縮ですが、次に、スクウェア・エニックス・ホールディングス社の代表取締役社長兼CEOの和田洋一様をお迎えしていますので、和田様から、コンテンツ産業の現状と問題点についてお話を伺いたいと思います。よろしくお願いします。 ○参考人(和田社長) それでは、いただいたお時間の中で問題点について考えるところを申し上げたいと思います。 まず、スクウェア・エニックスという会社はご存じいただいていないと思いますので申し上げますと、テレビゲーム、アーケードゲーム、ゲームセンターの運営、映像コンテンツ、マンガ、アニメ、フィギュアと、要するに、ポップカルチャーのエンターテイメントコンテンツを総合的に扱っている会社です。 拠点が世界に8カ国にございます。従業員で言うと4,000人程度、売り上げで2,000億円ぐらいです。 つまり、テレビゲームに特化した議論ではなく、コンテンツ全般ということでお話をご理解いただければと思っております。 お手元にお配りしておりますレジュメで3点ございます。 1つ目は、コンテンツ産業の日本経済における意義ということでございます。 こういったお話、テーマでもってお招きいただいているということから、非常に重要視していただいているということは、大変恐縮しております。ただ、コンテンツ産業というのは、そこだけで完結するものではなくて、例えば、現状、商品、サービスや競争力は機能面だけではなくて、かなり感性の付加価値が必要になっているということは、皆様方ご案内の通りでございます。そこの源泉になっている、本業として成立しているのがコンテンツ産業でございますので、そこも含めました広義の波及効果というのは、実はかなり大きいということでございます。 どうしてもエンターテイメントといいますと、傍流のように映るかもしれませんけれども、このあたりも総合的にご議論する際にお考えいただければと思っております。 2点目でございますけれども、「ものづくり」ということです。 いわゆる、額に汗して働く業界ではございませんので、何か働いていないように見えるかもしれませんが、立派に価値は生み出しておると自負しておるのでございますけれども、昨今の議論が、ひたすらコンテンツの流通に偏っているように感じます。今まであったものをどうやって利活用するか、この観点はもちろん重要ですけれども、利活用を限りなく促進しても、それがものづくりにつながってくるかというと、必ずしもそうではございません。双方バランスのいい議論をしなきゃいけないと思っております。むしろ、どちらかというと、ものづくりについて、いかに議論していくかということが重要なのだと思っております。 3点目でございますけれども、では、そのものづくりを促すための戦略というのは、どういったものが有るのかということでございますが、1点目は、これは、最近、私どもが買収した会社が持っておりましたモントリオールの拠点。モントリオールという都市は、ゲーム産業の中では極めて後発でございます。ゲーム機を作っている会社も一つもございませんし、ソフトメーカーでも有力なところがございませんでした。ところが、およそ10年前に導入したプログラムでもちまして、現状およそ1万人弱のゲームクリエイターたちが参集する場所になりまして、ゲームソフトメーカーの中ではメッカになっております。全く基礎の無いところから、産業クラスターの考え方でもって企業誘致を行って、成功例が現に有るということをぜひお伝えしたいと思います。 ものづくりで重要なものは、個別、個人、企業に対する支援ではなくて、土壌を作ることだと思っております。その土壌というときに、考え方として分かりやすいのが、クラスターということではないかと思っております。 これに絡みまして、知的財産につきましての議論が今幾つかございます。法的な側面でございますが、これもかなり、何を促進する、何を守るために、どういった制度設計にするかということを考えるべきだと思っております。 例えば、IPの集中化、保護と利用促進のバランスというふうに書きましたけれども、IPの集中化というのは、産業政策的にIPをとらえる場合には、取引を円滑にするために、まず権利を集中しなきゃいけません。その場合は、原著作権者から、権利を集中する過程で権利制限することになります。一方で流通させるためには、ある程度集中したところの権利者の権利を主張するだけではなくて、利活用に資するようなことを考えなきゃいけない。何段階かにレイヤーが分かれております。それを整理した上で議論する必要が有るのではないかと考えた次第でございます。 非常に短時間でございますけれども、昨今考えていることを申し上げました。 以上でございます。 ○菅副総理 ありがとうございました。 大変短い時間で恐縮ですが、それでは、自由討議ということですが、大変制約された時間ですので、まず、本部員の方々で、この問題でのご発言をお願いしたいと思います。 どなたかおられるでしょうか。では、どうぞ。 ○相澤本部員 総合科学技術会議議員の相澤でございます。 お手元に資料3−1というものが有るかと思いますので、ご覧いただきたいと思います。時間の関係がありますので2点だけ申し上げたいと思います。 私は、3年目になりますが、知的財産戦略本部本部員を務めております。 まず1つは、知的財産戦略本部の機能を、もう少し強化しなければいけないであろうという点であります。 それは、先ほど鳩山総理、菅大臣のご発言にもございましたが、知的財産戦略本部からの戦略が提示されて、その戦略のもとに各府省が政策を作る。この本来のスキームをきちっとするべきであるという点であります。 この図のように、現在は、各府省が非常にたくさんのアクティビティを持っておりまして、施策がある意味ではたくさん有り過ぎると言いましょうか、細分化されたものがたくさん有るのですね。これをきちっと見直すべきであろう。 それから、戦略に基づいて府省を横断するような、非常に大きな枠組みの施策を本部主導で進めるべきであろうという点でございます。 次のページをご覧いただきたいと思います。 もう一点申し上げたいことは、知財の源泉となります大学等からの汲み上げを、知財の仕組みの中にどう入れていくかという点であります。 現在、大学等については、大学知財本部と称される、各大学の中に設置された知財関係を取り扱う仕組み、それから、必ずしも大学ではありませんが、TLOがございます。これが、後の資料にございますように、たくさん有るのですが、ほとんどは自立できません。再編を含めて、これをもっと効果的にするべきだろうと思います。グローバル化、それからオープンイノベーションの時代にふさわしいシステム全体の見直しを行うべきだろうということが第2点でございます。 以上でございます。 ○菅副総理 ありがとうございました。 他の本部員の方々、どうぞ。 ○佐藤本部員 菅大臣、今との関連でよろしいでしょうか。 ○菅副総理 すみません、ちょっと先にやってもらって、その後にお願いします。 ○山本本部員 私は、資料3−8でございます。1分で4点をお話しさせていただきたいと思います。 私は4点ございまして、世界の研究者は平等だというふうに思われておりますが、実は、特許制度が違いますので、対等ではありません。世界中の研究者は、いち早く成果を発表したいのですが、アメリカの研究者は、成果の発表と特許化が同時にできます。論文で出願できるという制度がございます。ところが、日本は、出願して発表するとなると、必ず発表が少し遅れてしまうという問題があります。逆に、先に発表してしまうと、権利化ができない。 前々から言われておりますが、日米欧の中では、研究者から見ればアメリカが有利な制度になっておりまして、サッカーでも野球でも同じルールで大体戦っておりますので、日米欧の特許化、特許の出願システムの統一というのを、ぜひサミット等でご提案いただければと思います。 もし、日本で特許になったものが自動的に欧米でも特許になるようになれば、産業界の出願コストはかなり低減されます。ですので、ぜひこれも実現していただきたい。 2点目は、今申し上げた点は相手があることですので、なかなか実現できないのであれば、せめて、出願フォーマットを自由化して、論文でも出願できるようにするということと、米国と同様に、どこで発表しても特許出願できるようにしていただきたいということです。これは全くお金がかからずにイノベーションが促進できるという提案でございます。 3点目は、事業仕分けで、産学連携はなかなか厳しい局面を迎えておりますが、ぜひとも、経団連も産学連携支援を訴えておりますので、ご検討いただきたい。 4点目は、例えばというアイデアですが、川崎のような都市をクリーン工業都市に指定して、工場排水の完全無害化というようなことを、日本中の大学の知恵を集めて、実際の工場で実験をする。そこで得られた特許を、例えば、中国とかは、これを無償でライセンスしてほしいというようなことを要求してきておりますが、そういったところからは、ロイヤリティを得て、一方で途上国には技術を供与して、CO2の排出量と取引をするというようなことができれば、かなり現実的に産学連携が進むのではないかと考えております。 私は以上です。 ○菅副総理 ありがとうございました。 では、先ほどの佐藤さん。 ○佐藤本部員 資料3−3でございます。 先ほど、相澤本部員からお話がありましたけれども、私も、ここ3年戦略本部に係わりまして感じていることを最初に申し上げたいと思います。 知財戦略本部の草創期の第1期の3年間には、極めてドラスティックに改革が進んだ。知財高裁ができ、地域の知財戦略本部ができたのですが、第2期以降になって、そのでき上がったインフラを活用する段階になって、なかなか戦略が進まなくなってきているということを感じております。 やり方も、各府省の政策を、専門調査会で議論して取りまとめる。事務局がそれを調整して、本部で承認するというやり方になっていて、実際の施策の実施も、各省庁縦割りで、各産業界にゆだねられている。そのため、結局、国全体としてのせっかくの知財戦略が動いていないというふうに感じております。 そういう意味で、私としては、この知財戦略本部を新しい政権の中で、組織をさらに強化し、機能を強化して、ここで我が国の知的財産戦略をしっかりとドライブする力を、この本部もやはり持つようにすべきではないかということを最初に申し上げたいというふうに思っています。 その次のページでございますが、私は、弁理士でございまして、知財の現場で中小企業の方と毎日会っているわけです。 今、中小企業は、国際競争力の中で非常に苦しんでおります。中国しかり、韓国しかり、非常に追い上げられてきて、そこに円高、デフレという中で、生き残るのに非常に困っています。そこを知財で競争力を強化していかないと、これからの日本の中小企業は生き残れないというふうに強く思っています。 そのときに問題になるのは、やはり知財で権利化をするのには非常にお金がかかります。そこをやはりしっかりと中小企業が知財化できるような制度を作っていく。アメリカの場合には、Small Entityという制度がありまして、一定規模のものの企業は、出願の手数料がただになるという仕組みがございます。こういう分かりやすい、中小企業がやる気になるような制度をしっかり作っていく必要が有るのではないか。 それからもう一点は、実際に権利を取っても、なかなか中小企業は知財を活かせないでいます。ここ数年間、色々な施策を国はやってきました。支援する人もいます、お金も地方にあります。しかし、全体が動いていません。その結果、中小企業は、せっかくの知財を活かせないという現実があります。そういう意味では、やはり全体でワンストップの形で中小企業の知財活用を支援するような枠組みをもう一度作る必要が有るのではないかというふうに思っています。 以上でございます。 ○菅副総理 大変時間に制約がありまして、大変恐縮ですが、もう一方ぐらいでお願いします。 ○中山本部員 私、知財戦略本部の前の戦略会議から会議からのメンバーは、今、私だけになったものですから感想を申し上げたいと思います。 基本的には、相澤本部員、佐藤本部員と同じなのですけれども、労働人口が減少して、老人人口が増えている現在、我が国が採る道は、基本的には成長戦略しかないと思っております。短期的には色々議論の有るところでありますけれども、長期的には、イノベーション以外には無いと考えております。 そして、そのイノベーションを支える基本的なインフラが知的財産制度でありまして、これから益々知財を重視していかなければいけないと思っております。その際、この戦略本部は、単なる官庁の調整役であってはいけないというふうに感じております。 戦略本部には、法案を作る能力が無いために、今までは戦略本部が戦略計画を作って、後は各官庁がそれを独自に実施しているという状態であったわけで、統一性がとれていなかった面が有るわけです。 一例を挙げますと、政府として振興策を採り、今後の発展が期待されているコンテンツ産業の我が国の成長率は、世界の平均をはるかに下回っているわけであります。コンテンツは、知的財産制度と密接な関係に有るわけですけれども、その整備が遅れているにもかかわらず、各官庁の統一がとれていないというのが現状であります。この戦略本部が主導権をとって、きちっと各官庁を指導していくという、そういう立場をとっていただきたいと思います。 以上です。 ○菅副総理 どうもありがとうございます。 ご承知のように、鳩山総理も官房長官も私も川端大臣も、一応なんて言うと怒られますが、理系出身でありまして、私は弁理士も多少させていただいて、一番やらなければいけない立場にありますが、まだ必ずしも皆さんの期待に応えるだけのことができていないことを大変恐縮に思います。ただ、しっかりと今おっしゃられたことを踏まえながら、もう少し時間をお借りしながら、今言われた、単なる調整役ではなくて、戦略性を持った形での本部というものを、また色々知恵を借りて出していただきたいと思います。 そこで、一応今日の会として、こういった議論も踏まえて、今後、知的財産戦略本部としては、知的財産を活用した競争力の強化、日本発の技術の国際展開を見据えた国際標準化の推進、ネット上の違法コンテンツ対策などソフトパワー産業の強化について、政府を挙げて取り組むべく、新たに専門調査会を立ち上げて検討を深めたいと考えております。 また、専門調査会での検討を経て、来年前半に新たな知的財産推進計画を取りまとめたい、このように考えております。 こういった方針でご依存がありませんでしょうか。 (「異議なし」の声あり)
○菅副総理 ありがとうございます。 それでは、本当に短い時間に大変重要なことをご議論いただきました。 時間になりましたので、本日の知的財産本部の会合を終了させていただきます。次回の会合の日程については、追ってご連絡させていただきます。 なお、本日の会合の内容につきましては、この後、古川副大臣から記者会見を行いますので、ご了解下さい。 本日はどうもありがとうございました。 |