○塩崎内閣官房長官 ただいまから、知的財産戦略本部の第16回会合を開催いたします。本日は大変お忙しい中、ご参集いただきまして、誠にありがとうございます。
まず、はじめに、有識者本部員の任命につきましてご報告を申し上げます。
去る3月18日、有識者本部員の任期が満了となりまして、19日付けで安倍総理大臣から10名の方々が新たに任命されたので、ご紹介をさせていただきます。
総合科学技術会議議員で、東京工業大学の学長でいらっしゃいます相澤益男さんでいらっしゃいます。
株式会社東芝取締役会長の岡村正さんでございます。
九州大学総長の梶山千里さんでございます。
株式会社角川グループホールディングス代表取締役会長兼CEOの角川歴彦さんでございます。
弁理士で、創成国際特許事務所所長の佐藤辰彦さんでございます。
漫画家の里中満智子さんでございます。
東京大学大学院法学政治学研究科教授の中山信弘さんでございます。
続きまして、武田薬品工業株式会社代表取締役社長の長谷川閑史さんでございます。
そして、弁護士の三尾美枝子さんでございます。
株式会社東京大学TLO代表取締役社長の山本貴史さんでございます。
以上の10名の方々でございます。10名の皆様方には、これからどうぞひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。
それでは議題に入りたいと思います。本部では、これから「知的財産推進計画2007」の策定作業に入りますけれども、その議論の材料として、まず、「これからの知的財産戦略の展開」にいて、相澤本部員からご説明をいただきます。
次に、2つの専門調査会からの報告を聴取いたしまして、その後、「推進計画2007」についてご議論を賜りたいと思います。
それでは、相澤本部員よろしくお願いいたします。
○相澤本部員 ご指名いただきましたので、「これからの知的財産戦略の展開」について、資料1をもとに説明させていただきます。スクリーンがございますので、そちらの方で。
安倍内閣では、イノベーションの創造、日本の魅力を世界に発信すると、こういった大変重要な施策を様々な切り口で展開しているところですが、知的財産と申しますのは、これら政府の重点課題の実現に重要な役割を果たすものでして、成長と活力の源泉としてとらえられるものです。このため、今後、知的創造サイクルの各段階において積極的な政策を展開しようとするものです。
このサイクルにおいて、まず「発明・創作の段階」では、イノベーションのシーズの創出、産学官連携、日本をクリエーションの拠点にということを重点に進めることでございます。
それから、「権利として保護」の段階では、イノベーションを支える知財制度、模倣品・海賊版対策の強化。
「活用・実用化」の段階では、世界のルールを主導する。コンテンツの流通を促進し魅力を世界に伝える。それから日本ブランドの振興です。
このようなことを総合的に展開していくわけでありますが、科学技術の進歩、社会のニーズ、国際動向などの世界・世の中の動きが非常に速くなっておりますので、政府としては、これらを踏まえつつ、我が国の将来像、あるべき姿を展望しつつ、知的財産の政策を進めていく必要があるかと考えております。
以上でございます。
○塩崎内閣官房長官 ありがとうございました。それでは、続きまして知的創造サイクル専門調査会からの報告でございますけれども、座長をお務めいただいておりました阿部本部員が退任をされましたので、小川事務局長から報告をさせます。
○小川知的財産戦略推進事務局長 ご報告いたします。2つの専門調査会の報告書本体は、それぞれ資料3と資料4にございますが、概要版の資料2でご説明をさせていただきます。資料2をご準備いただきたいと思います。知的創造サイクル専門調査会では、2月26日、「知的創造サイクル推進方策」と題します報告書を取りまとめていただきました。
次のページをお開きいただきたいと思います。この報告書では、知的創造サイクルの創造・保護・活用の各段階とその共通基盤ともいうべき人材育成、4つの分野につきまして、新たに取り組むべき課題と、これまでの取組のうち特に強化すべきものを中心に対策の提言が行われております。
主なものを拾いますと、まず「知的財産の創造」では、大学知財本部とTLO(技術移転機関)でございますが、その一本化・連携強化によります体制整備。
2つ目、「知的財産の保護」では、2013年特許審査順番待ち期間11ケ月(世界最短)にするという目標に向けた審査の迅速化。あるいは世界特許実現に向けた出願様式の統一・審査結果の相互利用の推進。先ほども報告にありましたが、模倣品・海賊版対策の強化。
3つ目、「知的財産活用」では、昨年12月当本部で決定されました「国際標準総合戦略」に沿いまして経営者の意識改革や企業の組織体制強化。知財駆け込み寺をはじめといたします中小ベンチャー支援機関のそれぞれの事業の充実とその連携強化。更には企業、大学の有します未利用特許の地域や中小企業における有効活用などが。
最後の「人材育成」では、異なる分野の知的財産人材が議論し合う研修の実施や工作教室など地域の課外活動の促進などが掲げられております。
以上でございます。
○塩崎内閣官房長官 ありがとうございました。
次に、コンテンツ専門調査会からの報告につきまして、同調査会の角川本部員からご報告をお願いいたしたいと思います。
○角川本部員 コンテンツの専門調査会では、3月8日に「世界最先端のコンテンツ大国の実現を目指します」と題します報告書をまとめました。資料2の3ページをごらんください。3つの基本目標を定めました。
キーワードは、世界を意識するということであります。まず世界に通用する業界となるとして海外市場及びデジタル時代を念頭に置いたビジネスモデルの構築と、そのための環境整備、テレビ番組等の二次利用促進のための契約ルールを策定いたします。
2点目は、世界で勝負できるジャパンコンテンツを創るでは「Japan国際コンテンツフェスティバル」、経産省さん中心になってやっていただきます。それから「メディア芸術祭」文化庁さんでやっていただきます。
などによる新たな才能の場の発掘、活躍の場の提供、国際的なプロデューサーやエンターテイメントロイヤーの育成をいたします。
3点目は、グローバルな交流で、アジアをはじめとしたコンテンツにかかわる人・モノ・カネの相互交流、魅力あるジャパンコンテンツの発信をいたします。それを取りまとめておるところでございます。
報告書では、これらの基本目標を具体化するために様々な数々の施策を提言しておりますが、ここでは割愛いたします。
続きまして、日本ブランドについて説明いたします。
コンテンツ専門調査会では、食、地域ブランド、ファッションといった日本ブランドにつきましても、日本の魅力を世界に伝えるための課題について討論してまいりました。
食については、日本の食材の輸出拡大や海外料理人に対する料理技術の教育の充実が課題として挙げられております。また、地域ブランドにつきましては、地域団体商標制度の活用が必要とされています。ファッションにつきましては、海外発信力の強化などが課題として挙げられるのではないでしょうか。
以上でございます。
○塩崎内閣官房長官 ありがとうございました。
次の私の方から「推進計画2007」の手続についてお諮りをいたしたいと思います。例年同様、まず有識者本部員の方々に集中的な検討と草案の取りまとめをお願いすることといたしまして、相澤本部員にその座長をお願いをいたしたいと思います。
そして、取りまとめていただいた草案を、次回本部会合においてご審議をいただいて、「推進計画2007」を決定していただきたいと思います。
このような進め方についてご了承いただけますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○塩崎内閣官房長官 ありがとうございました。それでは、相澤本部員をはじめ、有識者本部員の皆様方には、何卒よろしくお願いをいたしたいと思います。
それでは、意見交換に入りたいと思います。
「推進計画2007」を策定するに当たりまして、盛り込むべき政策課題等について自由にご発言をいただきたいと思っております。まず民間有識者本部員の方からお願いを申し上げたいと思います。全体の時間が限られておりますので、恐縮でございますけれども、どなたもご発言は簡潔にお願いをいたしたいと思います。
まずは、相澤本部員からご発言をお願いしたいと思います。
○相澤本部員 先ほど申し上げましたように、"イノベーションの創造"ということが総理の掲げる重要な課題となっておりますので、この知財戦略の展開におきましても、その関連を明確にしていきつつ進めたいというふうに考えております。
大学等の知財活動について見ますと、これまでにかなりの体制整備が進んできておりますが、これを更に一層強化する必要があると思います。特にまだ基本特許になり得るものが少し弱いのではないかということでございますので、基本特許になり得るようなものを重点的に進めるような方策を検討する必要があるのではと考えています。
更に国際的な特許についての取得、その保護、国際係争等も視野に入ってくるかと思いますが、そういうような部分についての整備、これも非常に重要なことではないかというふうに考えております。
先ほどご指示のございました「知的財産推進計画2007」の草案づくりを早速着手したいというふうに考えております。
以上でございます。
○塩崎内閣官房長官 ありがとうございました。それでは、岡村本部員お願いをいたします。
○岡村本部員 「イノベーション25戦略会議」の中間取りまとめにも、世界を視野に入れて知的財産戦略、そして標準化活動の新たな国際展開が必要であると述べられております。この観点から2つほどお話しをさせていただきたいと思います。
まず1点目は「国際標準の重要性」ということでございます。経済がグローバル化していく中で、日本の産業競争力を強化する。そのためにはどうしても日本発の国際標準を増やしていくことが大変重要であると思います。したがいまして、前回の会合で策定されました「国際標準総合戦略」、これを着実に進めていくべきであると考えております。
経団連におきましても、今後、国際標準化に関するアクションプランを取りまとめるなど、産業界として取り組みを一層強化していく予定でございます。
2点目は、「コンテンツ産業の国際化」ということでございます。我が国のコンテンツ産業はどちらかといいますと、国内市場を中心にして発展をしてまいりました。コンテンツ専門調査会の報告書にもございますように、これからはコンテンツを産業として更に発展させて世界を活躍の場とすることが必要だと思います。日本の優れたコンテンツが世界に発信されて、そして産業として大きく成長する。これは日本の経済成長に大きく寄与することになると思いますし、また、加えてこのコンテンツを通じまして、日本に対する理解が世界で深まれば深まるほど、日本が、安倍総理の目指されておられます"美しい国"として国際社会に高く評価をされることになるのではないかと思っております。
そのためにも、コンテンツ専門調査会の報告書にございます具体策、いろいろございますが、これをアクションプラン化いたしまして、PDCAサイクルをしっかり回して実行に移していくことが必要であると思います。
ぜひこの2点を「知的財産推進計画2007」に盛り込んでいただきたいということで強調させていただきたいと思います。
以上でございます。
○塩崎内閣官房長官 ありがとうございました。それでは、続いて梶山本部員からお願いいたします。
○梶山本部員 有識者本部員で地方から出ているのは多分私だろうと思います。そういう意味で、地方の知財をどう生かすかということにぜひ貢献したいなと思っています。
一例を挙げさせていただきますと、佐賀県の唐津というところがございます。そこに「呼子のイカ」というのが非常に新鮮でおいしいイカなんですが、それを東京地方に運ぼうと。イカというのはなかなか長距離輸送に耐えられませんので、そういうことをいろんな知的な発想でやっているところでございますけど、そういう地域特色の知財を生かすにしても、なかなか反対意見もあります。何で新鮮なイカを東京に持っていくのだ。地方に来てもらって食べてもらった方がはるかに地域振興になるのではないか。東京の人を佐賀に来てもらうということですね。
そういうこともあって、地域の知的財産を生かすことと、地域振興というのはかなりバランスをとらないとなかなかうまくいかないこともあります。そういう意味で、私は「推進計画2007」には、地方ということで貢献したいと思っております。
○塩崎内閣官房長官 ありがとうございました。続いて角川本部員お願いいたします。
○角川本部員 先ほど相澤委員よりご紹介がありました知財の基本戦略として、資料1のページの2にもございましたが、今後の取り組むべき主な課題として「知的創造サイクルの活用・実用化」がございます。
これには、「コンテンツの流通を促進し魅力を世界に伝える」ということで、政策として法制度と契約の改革。そして、岡村本部員が先ほどおっしゃった海外展開への促進ということが挙げられると思います。
政策としては、これもコンテンツ専門調査会の報告にございますが、「ビジネススキームを支える著作権制度を作る」、そして「一般ユーザーが著作物を楽しむ機会を充実させる」ということが出ております。
去年、「推進計画2006」では、2011年には地上デジタル放送への全面移行となるなど本格的なデジタルコンテンツ時代が到来する。そこではインターネット上において、だれでも気楽に参加してコンテンツが創作され循環していくだろうということを述べております。
それでは、デジタルコンテンツ化の時代というのはどういう意味でしょうか。ちょっとこの図をご覧になっていただきたいと思います。
2011年にはデジタルコンテンツの大バンドル時代がまいります。それを通信の世界ではNGN(Next Generation Network)の時代と言っております。1つの例を申し上げます。
原作は筒井康隆さんの名作『時をかける少女』という小説です。これが去年、私どもの角川からアニメ映画として映画館で上映されました。しかしながら、筒井先生の小説『時をかける少女』はアニメにもなり、もちろんコミック、文庫にもなっております。そしてまた実写映画にもなっておりますし音楽にもなっています。
これらが、このデジタルコンテンツ化の時代には、音楽から映画から小説まですべて、1と0であらわされるデジタルマスター化され、先ほどお話したNGNの大容量の高速通信網の中を流れて、映画から小説からゲームからコミックまでが一体となったサービスが展開されるようになります。
しかしながら、日本の今のコンテンツを取り巻く環境では、11年にこのように大バンドルされてコンテンツが流れるでしょうか。それが私の心配しているところの将来であります。つまりNGNというのは光ファイバーの中を、あるいは携帯でいうと3.5世代、そういう大きな土管の中をコンテンツがチョロチョロとしか流れないような状況です、そういう事態にもしなったら大変なことになると思います。web2.0では既に日本は乗り遅れております。日本ではGoogleも、今、話題のセカンドライフなども生まれないような現実があります。このままだと、私は2011年以降、90年代に日本が失われた10年と言われたことがまた再現されるのではないかという心配をしております。その失われた10年が再現しないためには、先ほどからお話している法整備、そして新しい著作権制度が必要なのではないでしょうか。
まとめに入りたいと思います。新しい著作権制度とはweb2.0時代にふさわしい「デジタルITライト」を考えることであります。従来の著作権法は、既に40年前につくられておりまして、それはコピーライトと呼ばれておりますけれども、これからのNGNの時代はデジタルITライトが必要なのではないでしょうか。経団連でも知的財産委員会で、2月20日に中間報告が取りまとめられました。その中で著作権法の中長期的な在り方について述べられている内容の一部を紹介したいと思います。
「昨今のデジタル化、ネットワーク化の進展にともない、現行の著作権法の前提とは大きく異なった環境が出現しており、現行著作権法が、こうした変化に充分に対応できているとは言い難い状況が生じている」と指摘されております。
私は、web2.0にふさわしいデジタルITライトは非常に難しい法律だと思っています。というのも、コンテンツ事業者と権利団体の間に大きな壁がございます。その大きな壁を打破するためには政治力が必要だと本当に思っております。そして、また、抜本的な著作権法の改定あるいはデジタルIT著作権法の新設、これも大きな政治力が必要ではないかと思っています。そしてこれが可能になったときに、新著作権法制定に向けて日本が世界に働きかけていくことになるのではないでしょうか。海賊版対策の条約なども働きかけていこうと、「推進計画2006」では述べておりますけれども、これからはどうか「デジタルIT」著作権法の新設に向かって動き出すようにお願いしたいと思います。
以上であります。
○塩崎内閣官房長官 ありがとうございました。次に、佐藤本部員からお願いします。
○佐藤本部員 技術創造分野の立場から一言申し上げたいと思います。
我が国の知的財産戦略でこれまで多くの知財の制度、環境整備がなされてまいりました。しかし、いまだ道半ばで、更なる基本政策の強力な推進と、特に知財の創造・活用・人材、これらについての重点施策の深堀とその実行が必要だというふうに思っております。
2003年の知的財産推進計画以来、「知財創造サイクル」を早く大きく回す改革が進んでまいりました。この改革を分析してみますと、右の図にありますように、「保護」分野については多くの改革がなされました。これに比較して「創造」、「活用」、「人材」の分野はそれほど多くなっておりません。知的創造サイクルにおいて保護を強化するだけでは必ずしも知財の創造と活用が進展するということにはなりません。
地域の状況を見ますと、左の図でございますが、地域の特許出願の動向を見ると、やはり関東、近畿、中部などの大都市圏の地域の出願が多く、それ以外の地域の特許出願は非常に少のうございます。また、大学におきましても、最近急激に出願件数を伸ばしておりますけれども、全国の40万件に比して数千件というまだ少ない数でございます。大学、中小企業、ベンチャー、地域の知財はその活用がなされない限り次の新しい創造を期待することは難しいと思っております。
このような状況を打開することなしに、特に地域の産業振興というのを期待するのは難しいのではないかと心配しております。したがいまして、これまでも知財の創造・活用・人材育成について種々の施策を実行していただいておりますけれども、このようにまだ道半ばでありますので、基本政策をこれからも強力に推進し、更に知財の創造・活用・人材育成について具体的施策の深堀とその実行が必要であると思っております。
以上でございます。
○塩崎内閣官房長官 ありがとうございました。続いて、里中本部員からお願いします。
○里中本部員 「マンガサミット運営」及び「日本マンガ資料館」設立計画についてという紙でございます。
1枚めくっていただきまして2枚目、もう準備を含めますと12年以上前から、アジア5地域との間で「文化交流」ということで、私どもは「感動の共有」、「著作権」をキーワードに交流してまいりました。日本人のマンガ家にとってこういうのは単なる文化交流から出発したのですが、ほかの国々にとりましては、日本に追いつけ追い越せをキーワードに、マンガ産業を国内で発展させるきっかけとして国のバックアップを得ております。
相変わらず我が国では完全にボランティア、個人的行為としてこういうことを行っておりますが、最近とみに韓国、中国などは国のバックアップ体制が整ってきまして、このサミットの事業も大変大きくなりまして、今、参加国26を数えているのですが、うかうかしていると、マンガの中心地は韓国、中国だなと言われかねないと。でも頑張りますし、自信も持っておりますが、こういうところももう少し公的なお力添えもいただけたらもっと自信が持てるのになと思います。
あと、次をめくっていただきまして、日本はこれだけマンガが発展しておりまして、世界じゅうの若者が日本でマンガ家になるというのがあこがれになっております。日本のマンガの発展と多様性というのは世界に誇っていいものだと思います。日本人の感性が築き上げた誇り高い文化だと思いますが、マンガ資料館というものがないんですね。デジタルの時代ですので、web上で「日本マンガ資料館」というものをつくって世界じゅうに配信したい。それは我が国の感性をPRするすばらしい機会でもあるし、せっかくの文化遺産である過去のすべてのマンガ作品を半永久的に残す大切な取組だと思っております。
各方面の賛同を得ましてCGアーツ協会にもお力添えいただきまして文化庁にもご協力いただける予定で話を進めておりますが、何卒注目して、すばらしい経済効果も上げると思いますので、よろしくお願いいたします。
○塩崎内閣官房長官 ありがとうございました。次に、中山本部員からお願いいたします。
○中山本部員 知的財産法の分野で今後最も注目を浴びるのはデジタルコンテンツの扱いだろうと思いますし、その中心となる法制が著作権法であろうと思います。もちろん法を整備すればデジタルコンテンツビジネスが栄えるというものではないわけでありますけれども、少なくとも法がじゃまをして新しいビジネスができないという状況は、これはなくさなければいけないだろうと思っております。
現在の著作権法というのは19世紀の産物でありまして、もちろんITなどは念頭に置いておりませんし、その流通・利用に関しましては情報化時代にマッチをしていないという面もあるわけでありまして、重要な経済財であるコンテンツの流通・利用を促進するということが肝要であります。最も今までにも小刻みな改良は行われてきておりましたし、例えば昨年のIPマルチキャスト放送についての法改正などはその一環でありますけれども、しかし、それはある意味ではパッチワーク的な手直しでありまして、デジタル時代の抜本的な対策とは言い難い面があるわけであります。
権利を守り、小さく縮こまることによって権利が実際は実情は使われなくなってしまうというマイナスのスパイラルに陥ることなく流通・利用の促進を図ることによって権利者も利益を得ると、こういう絵を描くことが肝要であろうと思います。しかし、そうは言いましても、著作権法というのはベルヌ条約という19世紀にできた条約に拘束されておりまして、しかもその条約は実体的な規定をたくさん持っているわけでありまして、おまけにその改正は百数十ケの国の全会一致ということになっておりますので、改正は極めて困難な状況にあります。
こういった条約上の拘束、困難状況というものはあるわけでありますけれども、しかしながら、可能な限り利用の促進を図る観点から、その細い道ではあるわけですけれども、その細い道を探して制度改正をしていただきたいと思います。
以上でございます。
○塩崎内閣官房長官 ありがとうございました。続いて、長谷川本部員からお願いします。
○長谷川本部員 それではCGをお願いします。
安倍総理のイニシアチブによる「イノベーション25」で、製薬産業は戦略産業のトップに位置づけていただいておりまして、大いに勇気づけられると同時に責任も感じている次第でございます。
民間企業は自らが新薬を創出できなかったら生き残れないということからR&Dの選択と集中、あるいは最低限の必要な規模を達成する。それはR&D投資を行い、世界の主要市場を自らカバーすると、そういった観点からいきますと、最低でも5,000億の売上、当社の場合は1.3兆円の売上で7割の売上の利益を海外で稼いでいるといった実態でありますけれど、それでも世界では15番目に位置しているというところであります。
官の方のサポートでありますが、省をまたがるライフサイエンス予算の集中・効率投下をぜひご考慮いただきたい。例のNIHは、アメリカがGDPは日本の3倍でありますけれど、NIHは3兆円の年間予算、日本は3省庁合わせて3,500億円程度というふうにお聞きしております。
2番目はバイオクラスター、バイオベンチャー、特に新薬創出力、要素技術を有するバイオベンチャーをぜひ育成をしていただきたい。ちなみにFDAで承認を受けている新薬の5割はバイオベンチャーがオリジンでございまして、日本企業でもできれば国内のバイオベンチャーをそういう要素技術を持った会社があれば我々としても買収したいわけでありますけれど、残念ながら、そういうところがなかなか見つからない。そういったことから、これまでは海外で買収を行ってきているというところでございます。
3番目はイノベーションを促進する研究開発税制と薬価制度、これについては官民対応で今協議をさせていただいているところでございます。
それでは、知財面でございますけれど、私どもが今困っておることは、アメリカ、ヨーロッパでの特許紛争でありまして、まず第1に、アメリカの先発明主義、今度こそこのグレースピリオド(猶予期間)を多少譲歩してでも、アメリカが先願主義を受け入れるということをぜひ強く働きかけていただきたい。
それから2番目が、ジェネリックメーカーから全く難癖に近い挑戦を本当に受けておりまして、たまたまつい今週の初めですけれど、新聞にも出ました当社の糖尿病薬、アメリカでジェネリックが挑戦受けておりまして、訴訟で勝ちました。勝っただけでは腹がおさまらないので、向こうが起こした訴訟が非常に理不尽であるということで、弁護士費用も全部返せという訴訟を起こしまして、珍しくアメリカの裁判所が17百万ドルの弁護士費用まで返すということを認めてくれました。そういう状況でありますけれど、現実はそういうことであるということであります。
それから、ディスカバリーにつきましては、本当に必要なもののみを裁判所が限定して認めてくれるような制度にでもしてもらわないと、それを悪用して徹底的にいじめて日本の企業が音を上げると、それを狙っているということであります。
それから陪審員制度につきましては、原告・被告どちらかが請求すれば拒めないような状況になっているわけでありますけれど、サイエンティフィックな評価についてはサマリージャッジメントという制度もありますが、最終的な賠償になりますと、素人の陪審員が判断をすると、そういうことになると日本企業はどうしても妥協せざるを得ないと、そういう実態があるということであります。
2番目の日本の特許制度の問題でありますけれど、ベースにはグローバルスタンダード設定の覇権を競っているアメリカとヨーロッパと知財面でどう対抗していくかという戦略的視点が必要だというふうに考えます。具体的には、例えば医療関連行為が産業として認められていないのは日本のみでありますし、リサーチツールの権利保護と活用のバランスにつきましても、日本のスタンダードとアメリカのスタンダード、ヨーロッパのスタンダードにはまだずれがございます。あるいは発明者登録の在り方につきましても必ずしも日本のやり方と一致をしておらない。そういったずれがありますので、それらを頭の中に入れた知財戦略を考える必要があるというふうに考えます。
最後に医薬業界特有の問題でありますけれど、臨床試験、審査期間の長期化が特許保護期間を侵食しているわけであります。ドラッグラグ2.5年アメリカと比べるとあるというふうに言われておりますけれど、そうすると上市後の特許保護期間が1〜2年は損をしておるわけでありますから、これもぜひお考えいただきたい。
そこで、2ページ目でありますけれど、日本の創薬力と製造技術を象徴する例をこの注射器でちょっとご説明をさせていただきたいと思います。目の前にある、これはちょっと高い薬でございますので全員には行き渡っておりませんので、一部はちょっとシェアをしていただかなければいけない。これはまだ持つだけで触らないでくださいね。これは男性でいうと前立腺がん、女性でいうと子宮内膜症、性ホルモンによって刺激される病気を治療する薬でありまして、これを注射しますと1ケ月間去勢状態になりますので、これはぜひ注意をして扱っていただきたいと思います。
何が特徴かといいますと、原薬は特許は03年に切れておりますけれど、ここの写真に見せておりますような、約20ミクロのマイクロカプセル、これが生体内で、例えば手術の糸と同じように徐々に溶けていく。その過程でポリマーの中にしみ込ませた有効成分が徐々に生体内に放出されて、この場合でしたら、1ケ月間有効に作用していくと。だから、1ケ月間、去勢状況になるということであります。
それに加えて、この注射器が当社の特許の注射器でありまして、見ていただいたらわかりますように、薬液の溶解液の部分と実際の薬が入っている部分が2つ既にあります。これを自動的に押すことによって、溶解液を薬が入っている部分に送り込んで軽く振れば、すぐキャップをとって注射ができるということになります。
それでは、デモンストレーションに入りたいと思いますので、こういうふうに縦にして持っていただいて、大体5〜6秒かけて上に上げていただくのですが、ちょっと待ってください。この青い線の下のゴムのキャップのトップが行くぐらいのところまでをゆっくり押し上げてください。そうするとバイパスを通って溶解液が入っていきます。どうぞ5〜6秒かけるつもりで上へ向けてゆっくり押し上げてください。
そこで入りましたら、こうやって振って、よく攪拌というか、溶解させて、このキャップをとって注射をすると見事去勢をされると、そういうことであります。
○中山本部員 これは本物ですか。
○長谷川本部員 いや、冗談です。うそです。これは偽薬が入っておりますので、ご心配なく。
以上です。ありがとうございました。
○塩崎内閣官房長官 ありがとうございました。続きまして、三尾本部員からお願いをいたします。
○三尾本部員 弁護士の三尾でございます。よろしくお願いいたします。私は知的財産権に関する裁判や訴訟手続一般や、ライセンス契約のライセンスイン・アウトの海外に対する契約も含めまして交渉等の代理人を行っています。また、特許権につき、パテントプールにおける必須特許判定の申立等代理人を行っておりまして、いわば知的財産一般に関して携わっているというようなことでございます。
これまでの知財戦略本部のご尽力でさまざまな知的財産に関する法制度が整備されてきまして、我々弁護士にとってこれまでの懸案が解決され、とてもいい制度ができ上がりましたことを感謝いたしております。今後は、資料の表紙に書いてありますように、前述の制度を前提とした知的財産の発展的な活用を中心的テーマとして、私ができる限り知的財産に関する改革に力と尽くしたいと思っております。
ところで、私が今現状の問題点として考えております項目は、資料に書いてあります4つの項目です。
まず「コンテンツの海外への流通」なのですけれども、これはあまりうまくいってないのではないかという問題意識を持っております。前提といたしまして、日本のコンテンツは非常に優秀であると思っております。ただ、それがうまく海外にまで流通して活用されていないわけです。そして流通を阻害している要因のひとつとして、エンタメ関連業界の特質が考えられます。エンタメ業界において仕事をするためには人脈というものが非常に重要です。つまり、まず相手の懐に飛び込んで人脈づくりをしないとなかなかプロジェクト等が円滑に進んでいかないということがあると思うんですね。要は人とのつながりということがとても大事であるということになってくるわけなんですけれども、その点からしますと、海外でのコンテンツを流通させるべく市場開拓をするためには、まず海外へ出て、相手の懐に入るということが必要になってくるわけです。それが今日本ではうまくいっていなのではないかという問題意識を持っております。
その原因としては、資料に記載しています4つの要因があるのではないかと私としては思っております。要はこれらの原因、問題点があることから、コンテンツの製作者やプロデューサー等が、外へ出て行く自信が持てない、もしくは国内市場で満足してしまうというようなことになっているのではないかと思うわけなんです。非常にもったいないなというふうに思っております。
あと「地方の活性化」や「産学連携」、「人材育成」についても課題が多くあると思っておりまして、特に地方の活性化は非常に地域格差が大きいと思っております。その他についてもお話したいのですが、時間がないとのことですので、簡単に説明していきたいと思います。
資料に記載されている各分野の問題点があり、これをどうしたらいいのかということですが、簡単にまとめますと3枚目の資料に書いてありますとおり、我が国の優れたノウハウや能力について、まず、その保有者に自信を持ってもらうということ。そして自信を持つことで、外へ出ていってもらって、国内外への市場の規模を拡大するということが大事ではないかと思います。そして、自信をもってもらうために、国は法改正を含めてさまざまなバックアップをするべく施策を立てるということです。
弁護士の人材育成につきましても、市場規模が拡大すると弁護士も育っていくと思うわけなんですね。要は仕事になる分野や業界でないと、人は育たないというところもあるのかと思うわけです。そのために1点だけ提案ですが、今までうまくいかなかった失敗事例をまとめて整理をして、それに対する対策等も含めまして、それを業界や各団体に提供し、失敗しても大丈夫であるということを認識してもらうということを国の施策としてやっていただければいいなというふうに思っている次第です。
韓国ではエンタメ関連でそうような施策を国としてのプロジェクトとしてやっているというふうに聞いておりまして、そういうことも今後必要なのかなというふうに思っている次第です。
以上、早口でまとめてしまって申し訳ないのですけれども、終わりにさせていただきたいと思います。
○塩崎内閣官房長官 ありがとうございました。続いて、山本本部員からお願いします。
○山本本部員 私は自分の意見を述べる前に、東京大学はこういうところまでやっているという実例をちょっとお話しさせていただきたいと思います。ちょっとあちら(パワーポイント)の画面をごらんください。
キーワードは光触媒です。ちょっと難しいのですが、ガラスですとかタイルに酸化チタンというのを塗りますと、左のマンガがありますけれども、汚れとか雑菌の下に水がカエルの肌の表面のようにぴたっと入りまして、汚れも流していくと。なおかつ、この酸化チタンというのはダイオキシンやノックスとかそういう有害物質を正常化・分解するという効果があります。ちょっとわかりやすい動画がありますので次を出していただけますでしょうか。ピンクは油です。
(動画映写)
これがいろいろ実現しますと、雨が降れば降るほど、その中を走ればきれいな車ができるという、今、実際に既にトヨタの車はほぼ100%バックミラーは酸化チタンを塗っております。あれは水がついているのですが、水滴にならないので後ろが見えるわけですね。あとは中部国際空港のガラスも洗わなくても、雨が降るときれいになると。あとは丸の内ビルも雨が降るときれいになって、なおかつ空気をきれいにしているとか、あとトンネルの中とかも太陽の光が当たらなくても、ランプでもガラスがすすがつかないとか、あとテントがきれいになるとか、ルーブル美術館のあのガラスとか、病院の中も抗菌剤として使われていると。
実はこの光触媒は、ここまでは今までは有名なんですけれども、例えば農業の分野でいけば、こんな実験を東大はやっていて、これはビニールハウスで実際にやっておるのですが、トマトを使っておるのですが、溶液をトマトを育成するために流しますが、そこから菌とかいろんな不純物とか、あとは農薬のダイオキシンとかが廃液として出てくると。これをプールにしばらく水をためて太陽の光を当てるだけでそれを循環させると、溶液の部分は維持されて、不純物だけが分解されて、どんどんそれを循環させることによって、右側の「酸化チタン有り」のトマトの方が「なし」よりもはるかに育っていると。しかも太陽のエネルギーですので電気を使わずに簡単に農業の汚染問題が解決すると、こういったことをやっています。
次は、例えばクリーニング屋さんの土壌の問題、土壌汚染は非常に深刻な問題なのですが、大体クリーニング屋さんの土壌を浄化させようとすると土地の値段ぐらいな費用が今はかかります。ただ、これは実際に実験でやっておるのですが、大体どこのクリーニング屋さんも検査のためにああいう井戸が掘られているんですね。この井戸にこの筒をそのまま差すと、これはパソコンのファンを上につけているだけなんですが、それで空気を吸うと、大体月3万円ぐらいで3年すると浄化されます。しかも普通に店舗を運営しながら土が浄化されるという、あまり補助金を出さなくてもクリーニング屋さんの土壌汚染問題とかが解決される。
ちなみにお手元にございますが、この光触媒シートは、これは売られているもので、もしあれでしたら中を出していただいて、今日お持ち帰りいただければと思うのですが、これは東京大学でも売られております。足の臭い方はいらっしゃらないと思いますが、靴箱ですとか冷蔵庫で脱臭効果もあります。これは先ほどの土壌汚染の中に入っているものと同じものです。これは太陽の光に洗濯物と一緒に干しますと何回でもずっと使えるという、そういうものでございます。
今までは酸化チタンの光触媒効果なんですが、それをちょっと応用して「チタンアパタイト」というものをつくっているものがこちらですが、これはお手元にありますマスクです。これは東京大学と富士通研究所さんで共同開発されたものなのですが、今、鳥インフルエンザとかありますが、鳥インフルエンザのウイルスとか、花粉症の方もいらっしゃいますが、花粉を吸着して分解してくれるんですね。ですので、鳥インフルエンザ対策でいろいろ行ったりされるときには、このマスクは、マスクをあけてみただけではなかなかわかりませんが、ウイルスは不活化されますので、ウイルス対策という意味では非常に有効ではないかということで注目をされています。ちなみにサリンとかも不活化していると、そういうところまで今わかっております。
最後に、私申し上げたいことを申しますと、実はこの技術はもともと本多−藤嶋効果という非常に基礎的な研究成果が基になっておるのですが、そこで企業と大学で基本特許を押さえることによって、これは国際標準になっております。それが今どんどんすそ野が広がって、こういう土壌とかクリーニング屋さんの問題解決につながっていると。
という意味では、いろんな社会問題があるわけですが、これを技術でブレークスルーすることによって、その知財を押さえるというのが多分日本の競争力実現に一番重要ではないかと。多分知財政策で一番重要なのはボトムアップではなくてトップアップではないか。ちなみに東京大学は日米の大学合わせますと、単体の大学では発明開示件数は2004年は1番です。
という意味では、「集知済世」と書いておりますが、知を集結して社会に貢献するという意味では産学官連携が知財政策のトリガーになるのではないかというのが私の意見です。
以上でございます。
○塩崎内閣官房長官 ありがとうございました。
続いて、発言を求められている大臣からご発言をいただきます。指名をいたしますので、順次お願いいたします。それでは、まず伊吹大臣からお願いします。
○伊吹文部科学大臣 時間も押しておりますので、ただいまいろいろお伺いをいたしました知財の人材の育成、大学における取組、こういうものについて、文部科学省も精力的に取り組みたいと思います。
先ほど官房長官が申しました「知的財産推進計画2007」の策定に向けて、皆さんとご一緒に努力をしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
○塩崎内閣官房長官 ありがとうございました。続いて、甘利大臣からお願いします。
○甘利経済産業大臣 先ほど来、「日本のコンテンツは優秀でポテンシャルがある。だけど、まだ宝の持ちぐされになっている」という話がありました。新年度から、さっき角川さんが触れられました「JAPAN国際コンテンツフェスティバル」を開きます。映画とかアニメとかゲームとか音楽とか、あらゆるコンテンツを、1ヶ月半の間連続的にフェスティバルとして行っていきます。東京ゲームショーに始まって、1ケ月半の締めくくりを東京国際映画祭にする。その間にアニメのフェアみたいなものも入れていきます。
これに、ぜひ里中先生、マンガコミックフェスティバルみたいなものも参加してもらいたいと思いますね。今、韓国では大変なワインブームなんです。この仕掛人は、日本のワインを題材としたマンガ『神の滴』なんです。週刊モーニングで私も愛読していますけれども、これはものすごい専門家、大ソムリエがシナリオを書いていると思われます。普通の人では書けませんね。そのコミックが韓国にワインブームを巻き起こしているぐらいパワーがあるんですね。
アメリカの本屋に行きますと、少年ジャンプの英語版が日本流にわざわざ右開きにして売られていて毎週40万部売れているんですね。このくらいものすごく日本のコンテンツは力がありますから、ぜひ、シリーズで1ケ月間、連続してイベントを打っていきます間に、マンガコミックの部隊も参加していただきたいと思います。加えてマーケットの創設もしていきます。
更に、イノベーションを促進していくという点についてですが、まず制度インフラをしっかりしていかなければいけない。世界最高水準の迅速かつ効率的な審査、これは「イノベーション促進のための特許審査改革加速プラン2007」というのをやっています。
総理の施政方針演説でも、各国の特許制度を調和させていって、最終的には1ケ所に出せば全世界で通ずる世界特許にすると、これに向けて、今、我が国は主導的に動いております。まずは申請する様式・フォーマットを統一すると。これで何百億か経費が削減されるはずです。それから特許審査ハイウエイで、日本の特許の知見をアメリカが利用するということで、今まで22ケ月かかっていたのが2〜3ケ月でできるようになっていきます。その次には相互承認、最終的に世界特許という段取りにしていきます。関係者総力挙げてやってまいります。
○塩崎内閣官房長官 高市大臣。
○高市内閣府特命担当大臣 ありがとうございます。イノベーションを担当しております高市でございます。今日、相澤本部員、岡村本部員からも、既に「イノベーション25」の話が出ましたが、今、5月末までを目途に2025年までのイノベーションの長期戦略をまとめております。これは技術革新の成果を、社会システムも変革しながら国民生活・社会生活に還元していくための戦略で、中間とりまとめを2月末に行ったところです。その中でも、日本の科学技術をイノベーションにつなげるためには、どうしてもこれを知的財産として世界市場で活用していく、これが大事だという視点が示されました。
今後、最終とりまとめをするのですが、「イノベーション25」というとどうしても2025年という遠い未来の話だと思われがちですが、約20年をかけてこの夏から取組んでいくものです。制度改革も検討しますし、予算等も再来年度(20年度)から第一歩を踏み出してまいります。そこで、「知的財産推進計画2007」も「イノベーション25」もすぐに取組を始めることですので、ぜひとも連動していきたいと思います。そして、もしこの知財本部の方で「知的財産推進計画2007」にはちょっと入れにくいのだけれども、将来的には絶対クリアしなければいけない課題といった視点が出てきましたら、岡村本部員がイノベーション25戦略会議の委員でいらっしゃいますし、相澤本部員とは総合科学技術会議でも一緒に取り組んでおりますので、中期的なもの、長期的なものには、両方で連動しながら対応していきたいと思っております。良い視点を頂戴したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○塩崎内閣官房長官 大田大臣。
○大田内閣府特命担当大臣 今、経済財政諮問会議におきましては、成長力強化に向けた審議を行っております。その中で諮問会議の有識者議員からデジタルコンテンツを日本の優れた成長分野として競争力を強化し発展させていくことが重要だという提言がなされています。先ほど来、角川会長ですとか中山先生からも法整備のお話が出ておりますが、民間議員からも、世界最先端のデジタルコンテンツ流通促進法制というのを2年以内に整備すべきであるという提言がなされています。こういう環境整備には知財戦略本部が強いリーダーシップを発揮することが重要だと思いますので、ぜひともご協力をよろしくお願いたいします。
○塩崎内閣官房長官 浅野外務副大臣。
○浅野外務副大臣 日本政府が提唱しております模倣品・海賊版拡散防止条約の構想につきましては、関係国との会議が整いまして協議が始まっておりますので、早く実現できるように推進をしてまいりたいと存じます。
それから麻生大臣が提案している国際漫画賞やアニメ文化大使の創設については、来年度には実現をさせますので、知財保護の取組とともにコンテンツ分野を含めた文化外交を進めてまいります。
○塩崎内閣官房長官 富田財務副大臣。
○富田財務副大臣 財務省はこれまでも制度改正等を通じまして税関による知的財産侵害物品の取締りの強化を図ってきました。本年度も著作権又は著作隣接権の侵害物品を輸出してはならない貨物に追加し、また商標権等を侵害する物品について、簡素な手続で速やかに没収できる仕組みを導入いたします。これまでの制度改正の円滑な実施に合わせ、職員の専門性の向上や国際連携の強化等による体制強化を行った結果、平成18年の知的財産侵害物品の差止件数は5年前の3倍近い1万9,531件で過去最高となっております。今後とも知的財産侵害物品の水際取締りに万全を期すべく適切に対応してまいります。
○塩崎内閣官房長官 続いて根本補佐官お願いします。
○根本総理大臣補佐官 先週、アジアゲートウエイ戦略会議で日本文化産業戦略の基本的な考え方を議論し中間提起として最重要課題10、10項目について議論しました。今後、5月の取りまとめに向けて更に検討を進めたいと思います。知財本部におきましても、この点に関する検討が進んでおりますので、今後とも連携していきたいと思います。
○塩崎内閣官房長官 時間も押しておりますので、プレスに入っていただいて、最後に知的財産戦略本部長の安倍総理から発言をお願いいたしたいと思います。
(プレス入室)
○塩崎内閣官房長官 それでは安倍総理よろしくお願いいたしたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 新たにメンバーになられた皆様、よろしくお願いをしたいと思います。
ただ今皆様からお話を伺っておりまして、日本の実力は大したものだなと大変明るい気持ちになったわけであります。まだまだ未開拓の分野もあるし、そしてまた、法整備等しっかりとバックアップをしていかなければいけないと、このように思いました。
先般メディア芸術祭に行ってきたわけでありますが、そこで日本のアニメ、あるいはマンガがいかに世界の人たちからあこがれを持って見られているかということを実感いたしました。また、先般、シンガポールのリー・シェンロン首相と会談を行ったときに、シンガポールの若者がアニメやマンガの技術を学ぶ機会を日本で提供してもらえないか、協力してもらいたいという話もあったわけでありまして、こうした新たな分野において日本が強みを持っているということを我々もしっかりと認識をしていきたいと、こう思います。
この知的戦略本部が開かれた後、特許の収支がプラスに、ずっとマイナスだったものがプラスに転じまして、とうとう昨年は過去最高の5,470億円と、これは前年比66%増になったということでありまして、この本部が開かれた、これも大きな効果だろうと思うわけであります。まだまだ先ほどのお話を伺っておりますと十分に可能性があるのだなと、このように感じたような次第でございます。
また、映画産業においても、国内ではとうとうハリウッドの作品を上回ったということでありますが、しかし、外への輸出はまだまだ不十分であります。また、それぞれのそうしたコンテンツにかかわっている皆様が十分に報われているかといえば、まだまだそうでもない状況もあるのだろうと、こう思います。そうしたものも含めて戦略的に考えていかなければいけないと思います。
私の内閣ではイノベーションを重視しておりますが、知財に裏打ちされたイノベーションが経済の成長のみならず、国民の生活をより豊かに、そして明るく楽しくしていくのだということを改めて確信いたしました。
「知的財産推進計画2007」の策定に向けた取組がスタートしたところでありますが、さらに今日の議論を踏まえまして、計画の策定と更なる知的財産政策の推進をよろしくお願いいたします。
○塩崎内閣官房長官 ありがとうございました。
(プレス退室)
○塩崎内閣官房長官 それでは、時間もまいりましたので、本日はこれで終了とさせていただきたいと思います。次回の会合は5月31日を予定をしております。詳細については事務局から追ってご連絡を申し上げたいと思います。
本日の会合の内容につきましては、この後に事務局からブリーフを行うこととしております。
本日は誠にありがとうございました。
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