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第14回知的財産戦略本部議事録

平成18年6月8日(木)17:15〜18:15
於:官邸大会議室


○内閣官房長官 それでは、ただいまから知的財産戦略本部の第14回会合を開催いたします。本日はお忙しい中、御参集をいただき、誠にありがとうございます。
 本日は、まず有識者本部員の方々の起草による「知的財産推進計画2006」(案)を御説明いただいた上で、これを決定していただきたいと思います。
 次に、「特許審査迅速化平成18年度実施計画」について、経済産業大臣から報告をいただきます。
 続いて、今後の知的財産戦略に関し、有識者本部員及び関係大臣から御発言をいただきます。
 まず、「知的財産推進計画2006」(案)について、有識者本部員の方々による計画の起草の取りまとめをお願いした阿部本部員から概要を御説明いただきたいと思います。

○阿部本部員 資料1に基づいて御説明申し上げます。
 御案内のように、2002年の小泉総理の施政方針演説が号令になりまして、2003年から2005年まで基本的な制度改革が非常に進みました。さて、第2期の初年度に当たるわけでありますが、こういったものを基にして知財立国の実効を上げるとともに非常にいろいろな改革をしていますから当然新たな課題が出てまいりますので、それに対応することと、特に知財を活用した国際競争力の強化に焦点が置かれております。
 これがポイントでありますが、一つひとつお願いします。
 まず模倣品・海賊版拡散防止条約、これは総理が昨年のサミットで提唱されたものでありますが、これを2006年は早期実現のために加速的に努力をする。ニセモノ対策の例でございます。
 それから、個人輸入等の取締りは日本はまだまだ甘いところがございますので、それを強化していくこと等であります。
 イノベーションの促進は、これは総合科学技術会議の意見具申を入れていただいているわけですが、ポスドク、院生、学生が発明者の場合、教職員と同じように特許料を減免すること等でございます。
 次に世界特許の実現に向けてでありますけれども、知的財産は当然のことながら国境を超えているものがたくさんあるわけであります。したがって、海外出願の促進と、それから日米欧で別々に審査をしておりますので非常に手間がかかるわけでありますので、それらをうまく利活用することによって権利取得を早期化するための交渉を進めていこうということでございます。
 それから中小企業等でございますが、昨年来、知財駆け込み寺というものをつくることにしました。これは中小企業がどうも知財において非常に不利を被っているというような御意見がたくさんあるのですが、実際は7月1日から全国に3,000か所の駆け込み寺をつくることになっております。これからその実施についていろいろ応援をしていくということになります。それから、地域の国際戦略は非常に大切なので、これは継続をいたします。 それから文化創造国家づくりということで、まずコンテンツ関係でありますけれども、インターネット構想でありますが、普通の地上放送と同時再送信をする場合に、著作権について有線放送と同程度の簡略化をするということにまず2006年は着手する。また、さまざまな問題がございますので、総理大臣は今日お見えになっていますが、そういった問題について知財としても一つひとつ頑張っていきたいということでございます。
 それから、日本ブランドはこのとおりでございます。
 知財人材につきましては、この2月の本部会合におきまして、総合戦略を御報告いたしました創出・保護・活用に関するもので、これをきちんと実行していくとともに、特に国際的な知財に通じる専門人材を育成していこうというものでございます。
 以上、2006年の推進計画は375項目ございますが、それでも昨年よりも2割程度少なくして精選をしたものでございます。御審議のほどをお願いいたします。

○内閣官房長官 ありがとうございました。
 では、本計画案を知的財産戦略本部として決定したいと思いますが、御異議ございませんか。

(「異議なし」と声あり)

○内閣官房長官 ありがとうございました。それでは、本計画案を「知的財産推進計画2006」として決定いたします。この計画を速やかに実現させるため、「知的創造サイクル専門調査会」及び「コンテンツ専門調査会」において必要な調査審議を行っていだたくようお願いをいたします。
 次に、「特許審査迅速化平成18年度実施計画」について、二階大臣から報告をお願いします。

○経済産業大臣 簡単に申し上げます。まずお手元にお配りしている資料でありますが、私ども経済産業省で産業財産権の活用企業百選というものをお配りしておりますので、後にご覧をいただきたいと思います。これは官民合同で基本問題、知的財産権問題に対応しようということと、我が国にこれだけの立派な企業が存在していることを世間に知らしめるということで、こういうことを試みました。
 次に特許審査の迅速化でありますが、世界で最も早い審査の実現、これが私たちの願望でありますが、今、経済産業省の中に特許審査の迅速化・効率化のための推進本部を設置して対応いたしております。資料3にもありますが、特許審査迅速化のための18年度実施計画を策定したところであります。17年度の実績では24万5,000件の特許の審査件数を、18年度は2割増しの29万6,000件に引き上げるとの目標を設定しました。その達成のために、16年度から5年間かけて約500人の任期付き審査官の増員を図るほか、企業研究者のOBを活用した先行技術調査の外注を拡大いたします。また、来月から世界に先駆け、日米間で特許審査を特別に早める特許審査ハイウェイを開始いたします。
 次に、模倣品・海賊版対策の強化が重要な課題でありますが、先般もAPECにおきまして私の方から知的財産権の保護への取り組みの重要性について提言をいたしましたところ、各国からの賛同を得ましたが、中でも中国の商務部長からこれに対して強い賛同の意見表明がありまして、ようやく中国もそういうことについて大変熱心に取り組むようなことになったということで、関係者もほっとしているというか、これで中国との間でしっかり取り組んでいこうということであります。
 ちょうどたまたまでありますが、今日も中国に日本から官民合同の特許関係のミッションを派遣しております。先ほど、いい協議がまとまったという報告を受けておりますので、だんだんそういう方向へ誘導していくといいますか、協力を願うということで取り組んでいきたいと思っております。
 次に、日本を世界トップクラスのコンテンツ大国とするために、コンテンツ産業の一層の振興を考え、東京国際映画祭というのは過去18年やっておりまして今年は19年目になりますが、これを更に拡大してアニメ、ゲームなどを含めた国際コンテンツカーニバルの開催についてこれから取り組んで、コンテンツのステージを更に拡大していこうと考えております。
 知的財産は技術とともに我が国産業の国際競争力の強化のための技の部分でありますが、経済成長戦略大綱におきましても重要な要素と位置付けて、その実現を図ってまいりたいと考えております。以上でございます。

○内閣官房長官 ありがとうございました。
 それでは、推進計画2006の起草に当たり御尽力いただいた有識者本部員の方々から、今後の知的財産戦略について御意見をお願いいたします。
 まずは安西本部員から御発言願います。

○安西本部員 資料4に基づいて1つだけ発言させていただきます。
 「デジタル時代に対応した知的財産制度の整備にむけて」という表題でございますけれども、ページを開けていただきますと、これから知的財産立国、またIT立国ということが言われる中で、その一番の基本はやはりデジタル時代になるということであります。デジタル時代というのは、デジタルの編集技術等を用いて個人が本当に多様なコンテンツをつくり出していける時代になるということと、もう一つはネットワークを用いて世界中でそのコンテンツを共有することができてしまう時代になるということであります。
 そういうデジタル時代の知財制度は権利者と利用者、これは企業もあり、個人もあり、そういういろいろな権利者、利用者が入り乱れたニーズの中で、権利保護と活用促進のバランスを根本的に見直さないといけない時代がやってくるということでございます。
 この知的財産制度については、まだまだ未整備だと言わざるを得ませんし、特にアジア全体の中で日本がデジタル時代の知財制度を確立していることができれば、アジアにおける日本のリーダーシップというのが確立していくことは間違いないと思います。
 新しい制度に関しまして、したがってどうしてもやはり産官学でもって連携をとって抜本的な議論を始めていただきたいというのが今日の趣旨でございまして、知財制度のデジタル時代の新しい在り方に関する議論はまだまだできているとは言い難い。放送法、または著作権法の改正が視野に入っている面があるかと思いますけれども、ユーザと企業等々の間の本当にいい在り方の法制度をまとめていく研究会を、大学をベースにして今から出発させていただくのがいいのではないか。
 次を開けていただきますと、それを基にしてパイロットプログラムを推進して、更に何か実社会でもって実証実験を行って、デジタル社会における法制度の確立の推進ということを、是非この知財本部でもって進めていただければと思います。それによって国際連携、特にアジアを中心にした国際貢献の推進は確実に日本ができると思います。
 昔、アメリカでもってゴアがスーパー情報ハイウェイということを言った、それをコンテンツについて日本がリードすべきだ。特にアジアにおいてコンテンツ知財の新しい制度を広めていくということを是非日本がリードしていただきたい。
 最後のページでございますけれども、慶応義塾でもってDMC、デジタル・メディア・コンテンツ統合研究機構というものがございまして、そういうことを視野に入れて既に産官学のオープン政策、あるいは日韓のメディア融合政策等々のシンポジウム、または韓国の延世大学あるいは中国の清華大学等々との連携を既に持っておりまして、延世、清華には拠点も置いてグローバルな知の共有ということに向けて出発をしておりますが、やはり法制度の確立ということを日本が先導してやるべきだと思っております。
 以上、私から発言を申し上げました。ありがとうございました。

○内閣官房長官 ありがとうございました。それでは、次に角川本部員から御発言願います。

○角川本部員 恐縮ですけれども、せっかくお手元に2006がございますので、89ページを開いていただきたいと思います。
 89ページは「世界トップクラスのコンテンツ大国を実現する」という大枠の中で、概括的に枠組みの中で概念、理念が書かれております。「2011年には地上デジタル放送への全面移行など、本格的なデジタルコンテンツ時代が到来しています。そこではインターネット上において、だれでも気軽に参加してコンテンツが創作され、循環していくであろう。今、我々がなすべきことは、多くの国民にとってコンテンツの創造・保護・活用が身近になる時代を展望して、ITモラルやマナーの啓発など、IT化の進展に伴う影の部分にも対応しつつ、新しい保護ルールや流通環境を時代に先んじて整えることである」ということで、非常に事務局が大きな視点で書いていただいたことで、知財の担当の一人として感謝申し上げたいと思います。
 私から申し上げたいのは、この間から出ているCJ、コンテンツ・ジャパン・マークであります。先ほど二階大臣のお話にもありましたけれども、模倣品の問題でパッケージ、DDPパッケージだとかゲームソフト、それからそれらに類するものについて、映画のコンテンツなどについてCJマークを付けてアジアに肖像権で著作権を保護してもらおうという考えであります。
 これを付けて既に2年目に入ったわけですけれども、2月に上海で私どもの社員が買ってきたものであります。去年の夏に公開いたしました『戦国自衛隊』のDVDのニセモノがCJマークということで、CJマークを付けなければいけないということはわかっているんです。これが正式なマークですけれども、これが既にニセモノとして出ています。CJマークを付けなければいけないということを既に海賊版の業者の人も理解してきているということだけは、ネガティブですけれども、努力が認められているということです。
 これにつきましては今回の2006の中でも65ページに書かれておりますが、劇場内での盗撮の問題であります。これは非常に世界的に、特にアメリカで最近劇場内での盗撮が進んでおります。日本ではまだ始まったばかりですけれども、それでも既に『ダ・ヴィンチ・コード』が2日目に劇場内で盗撮されたという報告がきております。
 私たち映画人はこのようなキャンペーンをやっておりまして、映画を守りたい、感動を守りたい、黒い涙が流れてしまう。劇場内でそれを盗撮することによってそういうふうになってしまうということで、海賊版撲滅キャンペーンというものをやっています。これも法制化について、今後とも努力してまいりたいと思っております。よろしくお願いいたします。

○内閣官房長官 ありがとうございました。それでは、次に川合本部員から御発言願います。

○川合本部員 本日は、理化学研究所におきまして行われております研究の一端を御紹介しようと思います。
 大学や公的研究機関においては基礎的な研究を深く行っておりますが、こういう基礎的な研究の成果が即社会的利用にまで及ぶことは余り多くはございません。企業側のニーズとマッチした共同研究の仕組みをつくることによって、迅速的にこういう研究を推進できるということの一つを御紹介したいと思います。
 理化学研究所では非常に巨大な測定装置を用いた研究を推進しておりまして、ここにお見せいたしますのはRIビームファクトリーという重イオンビームを発生させる大型の加速器でございます。これは8,000トンという東京タワーの2倍もあるような非常に大きな装置でございますが、ここで昨年初めて113番の元素というものを日本初で発見いたしました。これは日本発の新元素でございまして、今後データを補強いたしますと国際機関からこの元素の命名権が我が国に与えられる可能性があるという楽しい発見でございます。 この同じ重イオンビームの加速器を用いまして、植物品種の画期的改良というものが行われております。それは突然変異を誘発したものでございまして、今ちょうどテーブルの上に載せてございますが、サントリーフラワーズという会社との協力で、園芸用の花弁の品種改良に成功いたしました。ペチュニアというこの花は、本来赤い花でございますが、これに明るいピンク色を付けることによりまして、平成15年1月に発売いたしまして1年目に国内だけで40万株、北米、ヨーロッパで800万株という大ヒットになりました。
 もう一つ、同じ突然変異を誘発する試みといたしまして、高等学校の総合的学習の時間の課題の研究と協力いたしまして今、江戸時代に存在してその後、途絶えてしまったとされる黄色いアサガオの復活を目指した研究を推進しております。
 お手元にビーム照射したアサガオの種を配付させていただきました。皆様のお宅ではなくても結構ですが、まいていただきまして、もし黄色い花が咲きましたら御一報いただきますと、そこを種に江戸時代の品種が復活という運びになります。

○内閣総理大臣 今、黄色いアサガオはないでしょう。

○川合本部員 途絶えてしまったんだそうですね。ただ、そういうものがあったということで突然変異からつくられる可能性があるということで今、高校生と一緒になって、大臣も巻き込んで開発を進めております。
 それで、この品種改良というのは花だけではなくて作物などでも試みられておりまして、南アフリカ共和国の研究機関とも共同研究が進んでいると聞いております。
 あとは、これは科学者として是非一家に1台備えていただきたいものとして皆様のお手元にお配りいたしました周期表でございます。ここに日本のノーベル賞受賞科学者の写真とともに各元素のいろいろな応用も含めて書いてあります。一番下に日本の日の丸がちょっと付いている小さいピンクで記したところがございます。113番でございますが、これが昨年新発見されたものでございまして、そのうちに日本の名前か、実験の名前かわかりませんけれども、我が国由来の名前が付くことになると思います。

○内閣総理大臣 この花はこういう形で売れているんですか。

○川合本部員 これは立派なものでございます。

○内閣総理大臣 もっと小さいものもあるんですか。

○川合本部員 サイズはいろいろあります。

○内閣官房長官 ありがとうございました。それでは、次に久保利本部員から御発言を願います。

○久保利本部員 久保利でございます。とにかく大変な状況を切り開いてこられた小泉首相、そして安倍官房長官に本当に心からお礼を申し上げたいと思います。こういう企てがなければ、日本がもう一遍元気を復活するという機会はなかったろうと思います。その大事な種が今まかれ、芽が出、そしていよいよ大きな幹になっていくかもしれないという大変な状況が、この2006年の案ではないかと思います。
 先ほど角川本部員もおっしゃいましたけれども、資料2の89ページのところにIPマルチキャスト放送の積極的活用というものがございます。このIPマルチキャストは、要するにインターネットのシステムを使った放送ということになりますけれども、これは私はまだ過程の一つなのではないか。要するに、ハードがどんどんよくなってきます。あるいは、通信技術がどんどん進みます。そうなってくる中で、多分IPマルチキャストというのは今の段階では最先端をいっています。
 しかし、これは日進月歩ですからいろいろなものが出てくるだろう。そういう意味で、当面、このIPマルチキャスト方式を使った自主放送を早く進めて、著作権法あるいは放送法上のさまざまなネックを取り除いてやるということがはっきりと89から90ページに書かれました。素晴らしいことです。
 しかし、これを今スピーディにやろうということで今年の秋に国会にもお出しいただいく法案は有線放送とはイコールになっているかもしれませんが、もっともっと放送と有線の区別をどうするのかとか、更にもっと大きなストライドで考えていきますと、これでおしまいではない。もっと先がある。その先へいくためには、この計画を十全にやった上で更に長い先の視野を見てハードなり技術なりの進歩に応じた法体制の変化というものをつくっていかなければ、結局法が技術に遅れていく。その結果として、むしろ制約要素になる。
 その結果、日本が世界に冠たるコンテンツの国になっていく発信をする力を持っているにもかかわらず、法律制度がそれを邪魔するという危険があるわけであります。是非この2006年の計画を誠実に実行し、その先を更に見据えたもっと地表を切り開いていくような、計画まで行っていくのがこの知的財産戦略本部ではないか。
 そういう点では、小泉内閣で芽を出していただいた。それを引き継いで、是非是非国策として、国の戦略としてこれを強めていっていただきたい。私どもも微力ではありますけれども、まさに法律の問題というのは弁護士の問題でもあり、各役所の問題でもあるわけですが、優れて政治の問題だと思いますので、是非これからもよろしくお願いしたいというふうに期待をしております。我々も頑張ります。
 本当にありがとうございました。

○内閣官房長官 ありがとうございました。それでは、次に下坂本部員お願いします。

○下坂本部員 私からは、知財の保護分野を中心に述べさせていただきます。
 まず推進計画は今年から2期目に入りまして、日本の国際競争力の一層の強化、世界最先端の知財立国実現に向けて、よりパワーアップしていきつつあります。小泉総理の軸足の揺るがない見事なリーダーシップなくしては、これらは実現し得なかったものと存じます。小泉首相、関係閣僚、関係官庁の皆様にまず心からの敬意を表したいと存じます。
 次に、特許審査の迅速化に向けた経済産業省の多角的な取り組みは今後官民挙げて推進していくべきものなので、是非とも推進力が失われないように、私どもも協力してまいりたく存じます。
 なお、実施計画におきまして「特許出願の厳選」という語につきましては「厳選」の文字のみが新聞などで大きく活字にされますと、出願をするなという否定的意味に取られる傾向がございますので、世間一般に誤解を与えないよう、十分な御説明をお願いしたく存じます。
 知財の保護分野の中核を担う特許庁の審査官、審判官には特許審査の迅速化に向け、その出願処理件数の滞貨との関係上、目下難解な明細書を相手に日々大変な御奮闘をいただいており、このことを私どもは十分承知し、感謝しております。今年はこの戦略本部において御決定いただきました任期付き審査官も、採用から2年を経て戦力として参加が期待されておりますので、日本の将来のために今後とも御尽力くださいますようお願い申し上げます。
 また、特許庁では迅速化に向けた多くの取り組みとともに、特許電子図書館の機能充実や出願ソフトへの中小ベンチャー企業支援機能の取り組みなど、制度利用者の側に立ったきめの細かい改善を進めていただいております。これらのことは民間側からの審査迅速への助力につながることでもございますので、積極的にお進めいただきたく存じます。
 ところで、昨今の特許庁は荒井元特許庁長官の提唱された親切運動もいよいよ結実して参りまして、多くの制度上の取り組みやインフラの改善などの積極的対応が行われ、その変貌ぶりには特許制度の一利用者として驚き、かつ感謝申し上げております。小泉首相には、是非一度最近の特許庁をお訪ねいただきたいと思います。
 次に、模倣品・海賊版拡散防止条約の提唱につきましては、日本が世界に向けてイニシアティブを示して以来、国内でもポスターや官庁のホームページで模倣品・海賊版の撲滅に向けたさまざまな情報を目にすることが多くなりました。今後、更にこの運動を進めていくためには、模倣品の個人所持や個人輸入の取締り強化にも今以上に取り組む必要があると考えているところでございます。
 なお、人材育成に関しましては、数の増加とともに質の向上に資する育成を是非強くお願い申し上げたいと存じます。以上です。

○内閣官房長官 ありがとうございました。それでは、次に中山本部員から御発言願います。

○中山本部員 今回の推進計画2006は、昨年と比べますとかなりめり張りが効いておりまして実が締まったものになっております。その上、総論が加わり、かつ重点項目が指摘されておりまして、何が重要かということがわかるようになっており、非常によいできであると私は考えております。2002年以来、知財改革が進められまして多くの法律改正が行われましたけれども、これからはその収穫時期に当たるのではないかと考えております。
 なかんずく人の養成というのは最も時間のかかる事業でありまして、今回の推進計画2006の第5章にもいろいろ詳しく記述されておりますけれども、今後もなすべき課題は多いと考えております。人の養成につきましては、計画2006ではかなり抽象的な記述がなされている部分が多いわけですけれども、これに肉付けをしていかなければならないわけであります。
 例えば、アジア等の人材養成のために人の受け入れを大いに行うべきであるという記述があります。私は大学にいる人間でございますので、アジアを中心に多くの留学生を受け入れてまいりましたけれども、住居の問題、奨学金の問題、受け入れるための人的・物的設備の充実等々、具体的には多々いろいろなことを行わなければこれ以上受け入れることはできないわけであります。
 このような問題は留学だけではないわけでありまして、その他多々あります。その多くは恐らく法改正を伴わないものであろうと思われますけれども、実効性を上げるためには多くの細かな問題をこれから一つずつこなしていかなければならないと考えております。 計画が絵にかいたもちに終わらないように、今後ともどのような政権になろうとも長期にわたってこのような努力が続けられていかなければならないと考えております。以上でございます。

○内閣官房長官 ありがとうございました。それでは、次に野間口本部員から御発言願います。

○野間口本部員 総理の知的財産立国宣言でありますが、知的財産改革は大変着実に進められて、2006年度もまた推進計画ができたことは大変産業界の一員としても喜んでおります。
 推進計画の第2期のスタートの年であります。いろいろな方が述べられましたけれども、項目は減りましたが、内容的には大変充実したものだと私どもも思っております。特に国際標準総合戦略が盛り込まれまして、官民協力してこれに取り組もうということになりました。日本の国際協力、国際貢献、それから競争力強化、こういった意味で大変重要なことだと日ごろ申しておりましたが、大変喜んでおります。
 それから、先ほど二階大臣の方からも御説明がありましたけれども、任期付き審査官の増員等、特許審査の迅速化へ向けて非常に素早く行動に移していただきまして、大変これは効果が大きく出ると思って期待しております。ありがとうございました。
 この二階大臣の資料の中にも、出願審査請求の構造改革というものがございます。これは実は産業界側は全然要求をしなかった項目でありまして、産業界は今まで数重視の活動が多過ぎたので、質重視で抜本的な改革をやるべしという特許庁を始め官側の強い意向によって問い掛けられたと私ども受け取っておりまして、これを契機に日本の知財活動の質が一段改革できるような取り組みの契機にしたいと思っておるところでございます。
 それから、2006の特徴のもう一つは産学官連携の強化ということで、これが具体的な動きとして、先ほどの中山先生の表現を借りますと収穫期が始まるのではないかということでございますが、今週の末に第5回の産官学連携会議が京都でございます。ここでも知財が取り上げられまして、荒井事務局長が主査でパネル討論をやります。こういった活動を通じて知財の面でも産官学の協力が推進しまして、日本の競争力強化といったものに資するのではないかと思っております。
 今度、日本経団連は御手洗会長になりました。ここで知的財産委員会というものが新設されまして、私はそこの委員長をやれと会長から御指示いただきまして、行動計画2006の推進に向けてできるだけの貢献をしてまいりたいと思います。以上でございます。

○内閣官房長官 ありがとうございました。それでは、次に御手洗本部員から御発言願います。

○御手洗本部員 私はフェイズ1の成果につきましてのお礼と、フェイズ2に対する期待を簡単に申し上げます。
 小泉首相のイニシアティブで始まりましたこの知財戦略の成果は、非常に私は大きなものになったと思います。これまで知財高裁の創設、それから特許審査の迅速化のための増員、模造品・海賊版に対する強化、産学連携の促進等々、非常に大きな成果が着々と得られてきております。これはひとえに総理の強力なリーダーシップの下に、安倍官房長官を始め閣僚の皆様方の積極的な推進力によるものであると、財界を代表して心から感謝いたします。
 さて、これから知識経済化がますます進む時代になっておりまして、知財戦略はその意味において日本にとっても大変重要な国家戦略の一つであると認識します。我々は日本を魅力あふれる希望の国とするために、日本経団連が推し進めるイノベート日本というものを推進しておりますが、この中で知財戦略はまさにその中核をなす重要なものであります。今後、知財戦略を産官学総力をもって実行すれば、世界のイノベーションセンターとして強い日本が復活するものと確信しております。
 私はフェイズ2の初年度でありますこの推進計画2006の実行、実現に向けまして、日本経団連の活動を政府と一体となって強力に推し進める所存でございますので、よろしくお願いをいたします。以上です。

○内閣官房長官 ありがとうございました。それでは、次に森下本部員から御発言願います。

○森下本部員 私の方からも政府の産学官連携推進、それから中小ベンチャーのイノベーションの技術ということで大変な御努力をいただきまして感謝をまず申し上げたいと思います。
 本日は、中小ベンチャー企業の技術に関する知的財産の活用について一例を御紹介しながら、ベンチャー企業、中小企業技術の国際標準化ということで、是非今後とも御尽力いただけないかということで御紹介をさせていただこうと思います。スライドの方、それからお手元の資料、ともに用意しておりますが、血管認証システムという技術について御紹介したいと思います。
 こちらは、大阪のベンチャーでバイオニクスという会社が開発した血管認証システムなのですが、御存じのように今ATM等でこうした指紋認証あるいは血管認証が使われるようになってきておりますが、今までのものよりも更に小型化が進みまして、民生用ということで非常に大きな発展が今、起きつつあります。
 指紋に関しましては、指に傷が付いたり、ふやけたりすることによってなかなか本人が入れなかったり、極端な例であればセロテープで指紋を取るとか、あるいは指の切断という形でなりすましというのが可能であると言われています。血管に関しては、指を切断しますと血液がなくなりますので全く入れないということになります。
 右側のところに2つちょっと粗い画像が出ておりますけれども、あの画像は実は私の右手と左手の血管でして、あれだけでも非常にそれぞれの血管が指によっても変わるということが見て取れると思います。実際にこのシステムを使いまして、現在キーレス・ビルというものがかなり実現されております。
 例として、高速増殖炉のもんじゅの建設所あるいは関電のデータセンターといったような大型のデータセンターだけではなくて、大阪に経産省の支援でできましたバイオインキュベーターにおきましても各施設においてこのような血管認証システムということで、すべてのビルがキーレス・ビルになっております。特に大阪にできました新しいオフィスビルでは空調あるいはエレベータも連動しておりまして、人が入った時点で指をかぎとしてすべてのビルのシステムが動くようなシステムができ上がってきております。

○内閣総理大臣 もうできているんですか。

○森下本部員 できております。これは実は知的財産を支えておりまして、次のスライドですが、特許3396680という形で平成15年にバイオニクス社からこのような特許が国内で成立しております。既に海外にも申請しておりまして、中国で成立、今後アメリカでも近々成立するというふうに聞いております。
 特徴的なといいますか、非常に特筆すべきこととして、このバイオニクス社の方ですが、大手に先駆けまして米国認証システムUL294というものを既に取得しております。このことによりまして米国での展開というものも始まっておりまして、銀行とかプエルトリコの空港のセキュリティシステム等にそれぞれ採用されておりまして、大手のみならず中小ベンチャーにおける国際標準化への努力ということで、今後日本のイノベーションというものが国際的になっていく中で、是非こうした標準化に関してベンチャーの小さいところも御支援いただければと思います。
 一番大きな変化、これはかなり安全・安心社会への大きな動きというふうに考えておりますが、次になりますけれども、実はキーレス・マンションというものも実現しております。これは民生用への転換ということになるのですが、ここに出ておりますのは大阪にあるマンションなんですけれども、入り口だけではなくて各住宅の門もすべてこのシステムになっておりまして、指がないと入れないということになっております。
 実際にこの中ではJCBカードと提携しまして、マンション内のコンビニとかクリーニングはすべて指一本でお財布がなくてもいけるということになります。これは先ほど言いましたように指を切断しますと血液がなくなりますので、一切ほかの方は使えないということで、極めて高い安全・安心のシステムということが言えるのではないかと思います。 最後にお願いなのですけれども、是非こういう中小ベンチャーの海外出願に対する補助あるいは国際標準化支援、大手による中小ベンチャーの技術評価の推奨等を進めていただきまして、大学と中小ベンチャーの産学連携の推進をお願いしたいと思います。
 今日、実はそのシステムをひとつ持ってまいりました。このように、各住居にそれぞれ付いております。これをそれぞれの指を認証しまして、このように入れますと開いて入ることができます。

○内閣総理大臣 これは各部屋ですか。

○森下本部員 これは各部屋のモデルです。
 こちらがバイオニクス社の須下社長です。
 こういう形で開きます。これは、登録していない指を入れましても開きませんで一切入れないということになります。これでビル内の買い物とかクリーニングもすべてできるということになりますので、一切かぎを持たずに出ても大丈夫ですし、逆にこのシステムを使いますと、今までですとカードをほかの方が使った場合、実際上だれが入ったかわからなかったのですが、必ず本人しか入れないということになりますので監督性ができるということになります。今までATMのような大型機械はあったのですが、こういう小型のものなりまして、各住居に付けられるようになりました。
 ちなみに、お値段は30万円弱くらいということです。

○内閣総理大臣 マンションのドアに全部付けられるんですか。

○森下本部員 全部各部屋にこれがつきます。それで、1つのこのシステムについて20本の指が登録できますので、マンションの入り口のドアについてはもっと大きいんですけれども、家に関しては20本です。
 通常ですとお子さんもいますので、お子さんのものを入れますと毎日、実は先ほどの血管認証のパターンが更新されまして、毎日毎日新しいシステムが入りますので、成長してもちゃんと入ることができるという形になっております。

○内閣総理大臣 これは、マンションをつくる前に全部の部屋にもう設置されているんですか。

○森下本部員 そうです。最初から全部です。ですから、マンションのかぎをある方が落として、入り口のかぎを全部入れ替えなければいけないということがあるんですけれども、そういうことは起こらないということになります。

○内閣総理大臣 今、新しく部屋にこれだけセットできるんですか。

○森下本部員 各家にもできます。実は私の家の門もこれを付けていまして、非常に値段が安くなったということ、小型化が進んだということで、民生用への転換が今、進んでいます。

○内閣総理大臣 これは、ほかにどこの国でやっているんですか。

○森下本部員 これは日本が一番、今、進んでいまして、日本だけでございます。バイオニクスの須下社長のところの技術が今アメリカで認められまして、現在プエルトリコの空港とか、先ほどの米国の銀行と申しましたが、メキシコの方も大統領とお会いして採用の話が進むというふうに聞いておりますので、かなり世界的になっております。

○内閣総理大臣 バイオニクスはどのくらいの従業員がいるんですか。

○須下社長 今、35名でございます。

○内閣総理大臣 たった35人ですか。すごいですね。

○森下本部員 是非ベンチャーの御支援をよろしくお願いいたします。

○内閣官房長官 ありがとうございました。それでは、最後に阿部本部員から御発言願います。

○阿部本部員 楽しいお話の後で恐縮でございますが、大学と研究機関について申し上げたいと思います。
 今、恐らく国公私立大学は700くらいあるのではないかと思いますし、研究機関も混ぜますともっと多くなります。そのうちメジャーな大学はこの知的財産本部の設置などでこの3年間、非常に活発になりました。これは国公私立を含めてですが、今後はまだ途上ですのでもっと頑張っていただかなければならないし、海外戦略もどんどん展開されるものと思います。それから、研究開発独立行政法人も温度差はありますけれども、各省がいろいろ御指導をしていただいているのでいろいろな進展が見られます。
 私が申し上げたいのは、この700の大学でメジャーでない部分、75%くらいは何もないです。それで、特許庁とかJSTが個別にアプライできるものはあるんですけれども、大学から見れば1人か2人の発明者のために何かやるというのはなかなかやりにくいわけでありますが、その700のうちの75%くらいの大学トータルで見ますと非常に大きい知的財産が生まれる可能性がありますし、地域活性化にも当然役に立つはずですので、これは非常に難しいのですが、どうやって政府として応援していったらいいかということを今後の一つの我々の検討課題にさせていただけたらと思っております。以上です。

○内閣官房長官 ありがとうございました。
 続いて松田大臣、竹中大臣、河本副大臣、赤羽副大臣、三浦副大臣から発言を求められておりますので、順にお願いします。
 それでは、まず松田大臣から御発言願います。

○内閣府特命担当大臣(科学技術政策) 科学技術担当としての立場で申し上げます。
 イノベーションは経済成長や社会進歩の原動力でなり、その創出は我が国の喫緊の課題です。先ほど御手洗会長からもありましたが、この知的財産戦略はそういう意味でとても重要な役割を演じます。
 これまでも、総合科学技術会議は大学等における知的財産の創造・保護・活用に係るさまざまな提言を行ってまいりました。今年も第3期科学技術基本計画に示された知的財産に関する施策を具体化し、本格的な産学官連携につなげるため、1月から5回にわたり阿部議員を会長として知的財産戦略専門調査会を開催し、大学発の基本特許の国際的な権利取得を支援すること、特許情報と論文情報の総合検索システムを整備すること、国際的な産学官連携のための大学の体制を整備すること、国際的な知的財産専門人材を育成することなど、44項目にわたる具体策を取りまとめた「知的財産戦略について」を5月23日の総合科学技術会議本会議で総理御指導の下で決定いたしました。
 これらの具体策については、今回のこの「知的財産推進計画2006」に全部反映されております。ありがとうございます。今後も引き続き知的財産戦略本部と総合科学技術会議が連携して知的財産戦略を推進していきたいと考えております。以上であります。ありがとうございました。

○内閣官房長官 それでは、続きまして竹中総務大臣から御発言願います。

○総務大臣 本部員の皆様方には、本当に建設的な御議論をいただきまして感謝申し上げます。
 今、総務大臣として進めている大きな仕事の一つとして、通信・放送の融合の問題がございます。この中では、久保利先生にメンバーに入っていただきまして取りまとめをさせていただきました。その中で、知的財産の問題というのは大変重要な問題でございます。今から4年たちますとブロードバンドゼロ地域が解消し、5年たつとまさに地上デジタルへの完全移行、さっき安西先生がデジタルの時代なんだとおっしゃいましたが、全くそのとおりで恐らく4、5年のうちに日本は完全デジタル時代を迎える。それに備えてどのように今、体制整備をしていくかという非常に強烈な問題意識が必要であろうかと思います。その1つの象徴的な問題として、IPマルチキャストがある。先ほども御発言があったとおりだと思います。
 ところが、なかなか放送については2次利用が進まない。テレビの番組は皆、見るわけですけれども、1次利用に対して2次利用というのは実は今のところ12分の1しかないということでございます。
 例えば、映画ソフト等を見ると2次利用というのは1次利用の3.2倍ある。そこはやはり放送と通信で、放送法上はIPマルチキャストというのは放送なんですけれども、著作権法上は実は放送ではないという扱いで、そこはやはり一歩一歩クリアしていかなければいけないと思います。
 今回、文科省の御尽力によりましてこれが一歩前進することになるわけでございますが、引き続きこの問題について政府内でもしっかりと対応していかなければいけないと思っております。

○内閣官房長官 それでは、次に河本副大臣から御発言願います。

○文部科学副大臣 文部科学省であります。
 本日、取りまとめられた「知的財産推進計画2006」には文部科学省として取り組むべき政策が数多く盛り込まれております。著作権に関してはIPマルチキャスト放送の著作権法上の取扱いの明確化について、昨日文化審議会の著作権分科会法制問題小委員会において報告案が取りまとめられました。最終的な報告は夏ごろにいただけると伺っておりますが、必要な法改正も含め、速やかな課題解決に向け、努力してまいります。
 また、知的財産の創造や人材育成の観点からは、国際的な知的財産専門人材の育成等による大学知的財産本部の国際機能の強化も含め、産学官連携の推進や知的財産に関する人材の育成、質の向上等に努めてまいります。以上であります。

○内閣官房長官 それでは、次に赤羽副大臣から御発言願います。

○財務副大臣 いつも大変お世話になっております。財務省から発言させていただきます。 知的財産侵害物品の水際取締りを行う税関を所掌しております財務省におきましては、これまでの知的財産推進計画等を踏まえ、特許権等についての輸入差止め申立て制度の導入など、その強化に積極的に取り組んでいるところであります。平成18年度改正におきましても、法律的・技術的専門性を伴った侵害の判断を行うため、税関が必要に応じ、有識者に意見を聞く専門委員制度や、知的財産侵害物品の輸出取締り制度の導入等の制度改正を行ったところでございます。
 今後は今回決定された「知的財産推進計画2006」の内容に沿いまして、現状では法律で禁止されておりません模倣品・海賊版の個人輸入の取締りを含め、十分検討を行いまして、知的財産侵害物品の水際取締りに万全を期してまいりたいと考えております。以上でございます。

○内閣官房長官 それでは、次に三浦副大臣から御発言を願います。

○農林水産副大臣 農林水産省でございます。
 農林水産省では、2月23日に省独自の知的財産戦略本部を設置いたしました。それは、従来、農林水産分野におきましては若干大らか過ぎまして、このグローバル化の時代にそわないという反省を込めてのものでございました。その後、有識者ヒアリングや家畜の遺伝資源の保護に関する検討会など積極的に実施をしてまいりましたが、6月2日に農林水産省におけます知的財産戦略の対応方向として一定の取りまとめを行いました。
 今後、引き続き有識者や民間企業の専門家の方々から御協力を得ながら、農林水産分野におけます知的財産の創造・保護・活用を戦略的・総合的に推進していきたいと考えております。

○内閣官房長官 それでは、他に御発言ございますか。

○内閣総理大臣 『ダ・ヴィンチ・コード』は映画で海賊版をつくって本物と変わらないんですか。

○角川本部員 人の影が映ったりしています。撮っている前に人が通ったりするとそうなります。

○内閣総理大臣 映画館で撮っているんですか。

○角川本部員 そうなんです。それが今アメリカでは法律ができてできなくなったんです。

○内閣総理大臣 それで売り出してしまうんですか。

○角川本部員 道端でそれが売られていたりします。それから今度はアジアにシンジケートで流れていきます。ですから、いかに海賊版の後ろにはそういう暴力団の組織犯罪が絡んでいるかということは事実です。

○内閣総理大臣 キヤノンなどは海賊版で何かありますか。

○御手洗本部員 キヤノンでも製品の海賊版はいっぱい出回っています。大体中国だと常に100件くらいは摘発しています。中国政府は非常に協力的に対応してくれるんですけれども、摘発する費用は全部こちらが出さないといけませんので、専門部隊を6人くらい張り付けて対応していますが、後が絶えません。我々の製品はコンテンツじゃないですけれども。

○内閣総理大臣 三菱はどうですか。

○野間口本部員 私どもは電気品でかなりの電力を配線に流す時に使う大きなスイッチの海賊版が出まして、危ないんです。粗悪品は火が出たりしますし、名前は我が社になっていますから文句は我が社にきます。ですから、すぐ摘発して探すことはできるんですが、モグラたたきみたいなものです。

○内閣総理大臣 この花のにせものはできるんですか。

○川合本部員 なかなか難しいんじゃないですか。

○農林水産副大臣 花も相当あります。日本の会社も中国で大分権利侵害が出ているようです。

○内閣総理大臣 今の血管のものも、にせものができたらどうするんですか。

○森下本部員 これはなかなか大変でして、にせものというか、特許の範囲がまだ余り日本では広くないので、非常に類似のシステムというのが入りやすい土俵があるんです。そういう意味では、先行してこういうアイデアを思い付いても、なかなか知的財産が確保し切れない部分がありまして、その辺りも是非お願いしたいと思います。

○内閣総理大臣 すごい進歩ですね。

○内閣官房長官 それでは、最後に知的財産戦略本部長の小泉総理大臣より御発言をいただきたいと思いますが、その前にプレスが入室をしますのでしばらくお待ちいただきたいと思います。

(報道陣入室)

○内閣総理大臣 これは種ですか。

○川合本部員 アサガオの種で、黄色いのが出てくるかもしれないです。

○内閣総理大臣 かもしれないだから、まだわからないんですね。

○川合本部員 まだわかりません。開発中です。

○内閣総理大臣 楽しみですね。

○内閣官房長官 それでは、総理からごあいさつがございます。

○内閣総理大臣 今まで知財改革に取り組んできましたけれども、ここまで順調に進めてこられたのは皆さん方の御指導、御協力の賜物であると心から厚く御礼申し上げます。
 お陰様で最先端の水準に進んでいるわけですけれども、これを維持し続けるということが大事だと思います。今日、お陰様で新しい知財推進計画が決定されましたけれども、この計画が実行に移されるよう、よろしく御協力をお願いしたいと思います。
 幸いに本部員の御手洗さんと野間口さんは経団連の会長と知財の委員長だから、これは本当に強力です。産学官力を合わせて進めていきたいと思いますので、よろしくお願いします。ありがとうございました。

(報道陣退室)

○内閣官房長官 それでは時間もまいりましたので、本日はこれで終了とさせていただきます。
 次回の会合につきましては、事務局から追って御連絡させていただきます。本日の会合の内容につきましては、この後、事務局からブリーフを行うこととしております。
 本日はどうもありがとうございました。