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第12回知的財産戦略本部議事録

平成17年12月9日(金)17:00 〜18:00
於:官邸大会議室


○内閣官房長官 ただいまから「知的財産戦略本部会合」の第12回会合を開催いたします。本日はお忙しい中御参集をいただき、誠にありがとうございます。
 本日は、まず知的財産推進計画2005等の進捗状況について説明を聴取した後、知的財産基本法に基づく施行状況の検討について、この基本方針を御決定いただきたいと思います。 その後、今後の知的財産戦略に関して、有識者本部員及び関係大臣から御発言をいただきます。
 最後に、コンテンツに関する最近の動きとして、東京国際映画祭及び東京発日本ファッションウィークについて御説明していただきます。
 それでは「知的財産推進計画2005及び専門調査会の進捗状況報告」及び「知的財産基本法に基づく施行状況の検討の基本方針について」という2つの議題について、資料1及び資料2に基づき、知的財産戦略推進事務局の荒井事務局長より説明させます。

○知的財産戦略推進事務局長 資料1−1に基づき「知的財産推進計画2005及び専門調査会の進捗状況」について御報告いたします。
 2002年に小泉総理大臣が施政方針演説をされてから、知的財産立国に向けた取組みが急速に進み、多くの成果が上がっております。
 3ページでございますが、推進計画2005も着実に実施されております。G8グレンイーグルズ・サミットで、小泉総理大臣が模倣品・海賊版拡散防止条約を提唱されました。
 コンテンツビジネス改革のロードマップについて、官民が協力して進めている施策につきとりまとめましたので、資料1−2としてお配りしてあります。
 4ページでございますが、本部の下に設置された2つの専門調査会では、精力的に検討を進めており、検討の結果は推進計画2006に反映される予定です。
 5ページでございます。「知的創造サイクル専門調査会」では、知的財産に関わる人材育成など、さまざまな課題について審議しております。
 6ページでございます。「コンテンツ専門調査会」では、ワーキンググループを設置して、日本を世界のトップクラスのデジタルコンテンツ大国にするための方策について検討を進めております。
 次に、資料1−2という厚い資料の下の1枚紙の資料2に基づき「知的財産基本法に基づく施行状況の検討の基本方針について(案)」について御説明いたします。
 知的財産基本法では、政府はこの法律の施行後3年以内にこの法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとされています。
 このため、2つの専門調査会において3年間の活動について調査・審議を行っていただき、来年2月に開催予定の第13回本部会合において専門調査会の報告を受け、今後の方針を決定していただきたいと考えております。
 以上です。

○内閣官房長官 それでは「知的財産基本法に基づく施行状況の検討の基本方針について」は、資料のとおり知的財産戦略本部として決定することとさせていただいてよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○内閣官房長官 ありがとうございました。
 それでは、各専門調査会においては、これまで3年間の知的財産基本法の施行状況について検討を進めていただき、次回の本部会合において御報告をいただくようお願いをいたします。
 次に、知的財産戦略に関して、有識者本部員の方々から御意見をお願いいたします。
 それでは、阿部本部員から御発言願います。

○阿部本部員 御説明申し上げます。
 ただいま事務局長から説明がありましたように、ここ3年間知財戦略については大変な進歩があったと思います。今、御決定いただきました施行状況の検討についても、関係者の御意見を聞きながら、きちんと取り組んでまいりたいと思います。
 3年間、大変活性化してきたんですが、その中身を見てみますと、例えば、知財の創造、保護、活用の知的財産サイクルと言いますけれども、それがどんどん動いてまいりますと、人材が不足しているということで人材に対する要望がたくさん出てきております。
 その1つは、高度な専門家でありますし、もう一つは科学技術、あるいは芸術文化、法律、マネージメントを融合する分野の人が意外に少ないということでございます。
 これまでも人材については、いろんな取組みをしていただきました。例えば、特許庁に10年間の任期付き審査官というのを、100 名ずつ5年間で500 人という計画で進んでおりますが、これは企業とか、いわゆる大学研究所のポスドクで非常に高い専門性を持った方が特許の世界に入ってきていただいております。
 この人たちは、恐らく10年後には引く手あまたではないかと思っておりますので、こういう施策をどんどん進めていく必要がございます。
 人材は、これに限ったことではありませんで、私どもの検討状況で1つ申し上げますと、特許というのはアメリカの特許を利用する人もたくさんいるわけですが、例えばアメリカですが、そういった国際的な訴訟とか、契約とか、事業展開に関わるプロが極めて少ないと。一部の大企業にはおりますけれども、中小企業とか、大学とか、研究所が対応していくためには、そういった人材をとにかく養成しなければいけないと。
 ある御意見では、こういった人材を海外に派遣して勉強してきたらいいんではないかという提案すら出てきているわけでありますが、そういうようなことについて効果的な対策を考えていく必要があると考えております。
 最終的に、推進計画2006に向けては、「総合科学技術会議」の議論とも連携いたしまして、積極的な案をつくっていきたいと考えております。
 以上でございます。

○内閣官房長官 ありがとうございました。
 それでは、次に安西本部員から御発言願います。

○安西本部員 資料3で申し上げます。
 大学の知財戦略につきましては、この知財戦略本部ができましてから、大変なスピードで発展をしておりまして、これはもう本当にびっくりするぐらいであります。
 1つだけ例を申し上げますと、ページをめくっていただきまして「1.知財が結ぶ大学間の連携」、大学の間でも連携して知財権を有効に活用しようという動きが出てきておりまして、一つの例として早稲田大学と慶応義塾大学、早慶が一緒になって株式会社、ベンチャー企業を設立した例を載せております。
 このオキシジェニクスという会社におきましては、いわゆる人工血液、酸素を運ぶ人工血液をつくるという技術を、早稲田大学の分子技術と慶応大学の医学部の生体適合性の技術、それぞれの特許をベースにいたしまして開発中でございます。2007年には臨床試験を開始できるのではないかという状況に来ておりまして、これは国の機関から支援を受けて、こうしてベンチャー企業まで持ってきたものでございます。
 次のページに、ただ民間企業から大学への研究費ということを考えますと、日本におきましては民間企業からの大学への研究費は、大学研究費全体の3.4 %。これに対しましてアメリカは13%が民間から出ております。
 次のページを開けていただきますと、この民間企業からの差があるんだとも思えますけれども、国内の特許出願のアメリカと日本の件数の差は、大体2分の1ぐらいまで日本は来ている。これに対しまして、実際に実施されているライセンスの件数、あるいはライセンス収入を見ますと、まだまだ日米の格差は非常に大きい状況にあります。
 そういう意味で、知財の特許出願等々までは、この本部のお陰を持ちまして、相当なレベルまで来たと言えるかと思いますけれども、実際にライセンス等々で収入を上げるという段階は、これからの段階だと思います。
 最後の5ページにおきましては、この後半段階というのは技術移転と申しますけれども、その技術移転を促進させるためには、知的財産権を事業を発展させるための競争資金の拡充でありますとか、あるいは企業との共有特許に関しての米国と同様な制度の導入でありますとか、あるいは国と企業のマッチングファンドでありますとか、そういったさまざまな施策を組み合わせていくことが今後必要になるかというふうに思います。そういった点につきましても、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 ありがとうございました。

○内閣官房長官 ありがとうございました。
 角川本部員については、後ほど御発言いただきますので、次に川合本部員から御発言願います。

○川合本部員 先ほど、阿部本部員から御発言がありましたように、知財の創造の現場、それから人材育成の現場につきましては、この3年間に目覚ましい新しいプログラムの導入により発展されております。
 更に推進すべき課題は幾つかあるとは思いますが、今後もこれまで3年間の基盤に基づき進めていくことが大事だと思います。
 今日1つ申し上げたいことは、知財創出能力に関して、我が国をしのぐ勢いで近隣諸国のレベルが上がってきているということを、今、もう一度申し上げたいと思います。
 これは、我々毎日研究をしている身からしますと、毎年毎年レベルの上がってきていることを体感しておりまして、当然知財創出のプロダクトも出てくるものと思われます。
 今この時期にアジアの各国、それから世界の各国と知財、これは一つの国際戦略の中の武器に当たるものだと思いますけれども、知財を持って協調関係を築き、かつ日本がイニシアティブを取って物事を進めていくという新しい外交のステップを進めるべきときに来ているのではないかというふうに考えます。
 知財というものを一つの武器にして、世界の中での日本をつくっていくための施策がそろそろ考えられてもいいのではないかと思います。これは新しい視点として、知財を管理する、守るという立場から、知財を持って発展させていく新しい道筋を是非次年度に向けて考えていただきたいと思います。
 以上でございます。

○内閣官房長官 ありがとうございました。
 それでは、次に下坂本部員から御発言願います。

○下坂本部員 特に重要と思われることを、簡潔かつ早口で申し述べます。
 第1は、模倣品・海賊版拡散防止条約の実現についてでございます。本年7月のグレンイーグルズ・サミットにおいて、小泉総理から模倣品・海賊版の拡散防止のための国際約束が提唱されたことは、この問題についての我が国のイニシアティブを世界に向けて示したという意味で、画期的なことと高く評価し、深く感謝申し上げます。
 総理の御提案を受けて、専門家会合等の場において検討が行われていることと承知しておりますが、模倣品・海賊版を許さないという我が国の強い姿勢を示すためにも、条約の実現に向けて関係省庁の精力的な取組みをお願い申したく存じます。
 また、模倣品や海賊版の被害に困っている日本企業に力を貸すために、在外公館の取組みの強化をお願いしたいと存じます。
 第2は、人材育成についてです。知財立国の実現のためには、知的創造サイクルを担う多様な人材が必要とされています。このため、知的財産人材総合戦略を策定しまして、今後10年間で知財を取り扱う人材の質を高めるとともに、量を現在の6万人から12万人に倍増することが必要でございます。
 特に知財専門人材として弁理士は重要な役割を担っており、試験制度の見直しや研修の充実を通じて優秀な人材を数多く育成することが必要だと考えております。
 第3は、特許審査迅速化についてです。我が国産業の国際競争力の強化のためには、知的財産制度の適切な運営が不可欠であり、特許の審査結果を速やかに示すことが重要です。行政のスリム化が必要であることは当然のことですが、明治維新後の特許制度創設以来、 100年目の大改革である知財立国という大きな国家目標は、今、本格起動の端緒に付いたところであり、その進展に世界が注目しているところでございます。
 この国家目標の早期実現のためには、経済界が安心して技術開発、知財戦略に邁進できるように、迅速・的確な特許審査や、各国特許庁との審査協力などの国際的取組みの抜本的強化などは、国、自らが責任を持って国の仕事としてしっかりと行い、特許審査の迅速化のためにも申請者の納めた手数料が、特許制度の運用体制の強化に向け、無駄なく、効率よく充当されることを強く期待いたしております。
 また、審査を効率的に行うため、特許審査官の増員等の体制整備については、途中で挫折することのないよう、引き続きしっかりと進めていただきたいと思います。
 以上でございます。

○内閣官房長官 ありがとうございました。
 それでは、次に中山本部員から御発言願います。

○中山本部員 この数年間、知的財産に関する世論、あるいはマスコミの論調は激変しておりまして、それは過去100年にも勝るものであると考えております。これはひとえに荒井事務局長率いる知的財産本部の功績であると考えております。
  そして、これから知財計画2006の作成に入るわけでありますけれども、この3年間で既に多くの法改正がなされておりますけれども、残された問題といたしましては、 模倣品・海賊版、コンテンツ、それから人材の養成という問題があるわけでして、 2006におきましてはこれを中心にやっていただきたいと思います。
  従来の計画におきましては、数百項目にわたる多数の問題点を羅列してまいりましたけれども、戦略本部ではそのすべてについて詳細な検討をすることは、時間的にも、あるいは人的にも不可能でありますし、現に詳細な検討はされておりません。したがいまして、この計画は、国家の基本的な戦略を中心に述べて、骨格さえできれば詳細は専門家、あるいは専門官庁に委ねるという方向を示していただきたいと思います。知的財産に関する今後の大きな問題は、国家の役割と民間の役割の分担はいかにあるべきかということであろうと思います。今までの戦略計画の中には、官の成すべき施策について、多数の記載がございます。しかしながら、知的財産というものはしょせんは個人の財産でありまして、基本的には民の問題であると考えております。
  国家としては、権利を付与するというコアの部分、国家主権の発動たる行政処分、 この部分はしっかり押さえておく必要があろうかと思います。権利付与に関しましては、迅速性も大事ですけれども、正確性ということが最重要課題でありまして、世界中をどこを見てもこのコアの部分は国家が押さえておりますし、国家はこの部分に資源を集中するべきであると考えております。
  しかし、他方、例えば、民と民の争いであるとか。あるいは知的財産の利用、流通の問題の多くは、法律さえしっかりしていれば、あとは民に任せることが可能であると考えております。枠組みさえしっかりしていれば、あとは民間の創意工夫でいかようにもやりようはあると考えております。
  このように、今後の計画におきましては、いたずらに官を膨脹させることなく、かつ官が本来やるべきことを集中してやるということが必要でありまして、他の分野と同様に、この知的財産の分野におきましても、官と民の役割についての重要な議論というものが必要であると考えております。
  以上です。

○内閣官房長官 ありがとうございました。
 それでは、次に野間口本部員から御発言願います。

○野間口本部員 前回6月の会議では、日本の暗号技術が世界の標準として非常に活躍しているというお話をいたしましたが、今回は現場のものづくりの泥臭い技術でございますけれども、産業競争力に貢献している例を御紹介したいと思います。
 私どもは、ポキポキモーターと言っておりますが、社内の用語が業界用語になりつつあるということでございますが、こういう電磁石の内側で、永久磁石が付きましたローターが回るというものでございまして、このように奥行きのあるドーナツ状の鉄心に、この出っ張りのところに、いかに効率よく導線を巻くかというのが腕の見せどころでして、専用のロボットを使いまして、世界中のモーターメーカーが競っているわけです。これを中国などが追い駆けてきたわけで、ローコストカントリーに負けない効率のよいつくり方をどうしたらいいかということで、私どもの技術陣が、このドーナツ状の鉄心を切り開き、ポキポキと逆向きにしまして、この出っ張りのところにあっという間に巻き付けるというやり方を思い付きました。10倍ぐらいのスピードでコイルができます。それをまたポキポキと元に戻しまして接触部分を溶接するわけです。そうしますと、ローター、回転体は旧来と同じものを使い、即ち従来と同じパワーのモータが、3分の2以下の重量でできるということになりました。比較するとわかりますが、非常に密度よくきっちり巻けており、これによりモータの効率を3から10%上げることができたことから小型化が達成できたわけです。
日本の電力の半分をモータが消費するという現状があるわけですが、こういう効率化を図りますと、CO2 対策という点でも非常に大きな効果が得られるということでございます。環境大臣から表彰していただいてもいいぐらいではないかと思います。
 この件につきましては、私ども大河内賞という製造に関する非常に権威のある賞をいただきまして、エレベーターとか、空調機とか、車用のスターターとか、そういったものに使っており、その数は現在我が社で700 万台ですが、どんどん伸びております。
 ちなみに、こういったレベルまで行きますと、模倣品はなかなか出てこないというレベルでございます。これに関しまして、知的財産でございますけれども、日本を始めとしまして、13か国、125 件を出願しまして、現在、約半分権利化済みでございます。
 日本でしっかりと権利付与いただきまして、日本の財産権として、国家の財産として認定いただきつつ、そこに示しますように先進国並びに発展途上国へ向けて今、出願を進めております。
 推進計画2005でも取り上げていただいておりますが、世界特許システム、これに向けて、特許庁が先頭になってやっていただいている世界各国の特許システムのハーモナイゼーション、こういったものが進みますと、日本で生まれた知的財産を世界に対して主張するのに非常にスピードアップできるのではないかと思いますので、そういった点でも本戦略を今後とも推進方よろしくお願いしたいと思います。
 以上でございます。

○内閣官房長官 ありがとうございました。
 それでは、次に御手洗本部員から御発言願います。

○御手洗本部員 今、総理の前に置いてあります板切れのようなものは、これ自体がデジタルカメラなのです。普通のデジタルカメラは、カメラの中に小さなセンサーが入っていて、可視光でものを映して画像をつくります。これは、可視光の代わりにX線で画像をつくります。この技術のみそは、これだけ大きな大画面のセンサーをつくったということです。
 これが、今年,発明協会さんの表彰で恩賜賞をもらった技術であります。
 これの特徴は、撮ってすぐにモニターで画像が見られるということです。
 同時に、従前の様に銀塩フィルムで見るのではなくて、総理の前にサンプルがありますが、普通の紙に画像印刷して見ることができるということであります。
(PP4,5)
 次に利点をご説明いたします。
 撮影後すぐに見ることが出来、即時診断が実現されます。
 非常に小型・軽量ですので、いつでもどこででも撮影できます。災害時医療や野戦病院などで活用されます。銀塩フィルムを使用するX線カメラに較べて被爆量が大幅に少ない利点があります。それと、フィルムレスです。現像廃液処理の問題がありません。
(PP6)
 次に活用例をご紹介します。
 この例はモバイルになっておりまして、患者がレントゲン室に行くのではなくて、レントゲンの方が患者の部屋に行って撮ることができるということの例です。
(PP7)
 これは、航空自衛隊が右の上の箱の中にいろいろな器材を入れて野戦病院に運ぶわけですけれども、その中に取り込まれているという一つの例です。
(PP8)
 これは、身体障害者が体を動かしたりして撮りにくいとき、ああいう格好でどの角度からもセンサーを当てて診断画像が撮れるという例です。
(PP9)
 これは、人間以外の馬の骨折も競馬場で撮れるという例であります。
(PP10)
 これは、エジプトのピラミッドの中でミイラを撮っているところです。今までミイラを外に持ち出して撮っていたのが、そういうことをせずにピラミッドの中のミイラのところに行って撮影できるという例です。
(PP11)
 これのもう一つの特徴は、センサーが非常に高度な感度を持っておりますので、普通のフィルムのレントゲンよりもレントゲン量が10分の1で済むわけです。ということは、それだけ長く照射しても健康に問題ないということから動画が撮れるのです。これは金沢大学の医学部と共同で開発した、動画が撮れるデジタルカメラの例であります。
(PP12)
 これは、肺の動きを撮ったものです。動きを解析する事で、診断に役立てることを狙っています。
(PP13)
 このデジタルカメラの特徴は、大きな丸の中にありますように、遠隔地で診療ができる。モバイルで、あちこち持っていける。データベースがすぐ取れる。非常に使いやすいということなんですが、トータルシステムにするに当たっては、多くの周辺技術が必要です。スライド右のほうに小さな丸がありますが、例えば、モニター用のディスプレイはSEDを用意していますが、SEDに関する特許は4,100件 あります。
ネットワーク技術、通信技術も必要ですが、それには4,900 件の特許があります。
先程の画像サンプルのプリント技術には19,000件の特許があります。
 そのように、多くのいろいろな特許を持った技術の集約としてこれが生まれたという一つの説明であります。
 以上でございます。

○内閣官房長官 ありがとうございました。
 それでは、次に森下本部員から御発言願います。

○森下本部員 私の方からは、今日はコンテンツ系の話題が多いということで、大学発ベンチャーの医療ビジネスとコンテンツのお話を御紹介しようと思います。手元に今日携帯を1つ持ってきておりますが、実はこの中に入っておりますのは、新しい医療情報のプラットホームというものが入っております。
(PP)
 現在、例えば、夜に子どもが熱を出したときに、どこの病院に行けばいいか。あるいは頭が痛くなったときに、どういった科に行けばいいか。例えば、のどが痛くなったときに、どこに耳鼻科があるかということを調べるのは非常に難しい状況になっております。そうしたことを、夜間の救急とか、離島の診療に対して応用ができないかということで開発されてきたものです。
 画面を見てわかりますように、すぐに病院とか薬局、あるいは病気の可能性というものがわかるようなシステムになっております。
(PP)
 実際にこのシステムはこの携帯の中に入っておりますが、これを使いますと首相官邸に一番近い病院がどこかというのも出てまいります。調べた限りでは、メディカルスクエア赤坂というのが一番近いそうで、200 メーターほど南にあるそうです。9時〜12時半で内科をやっているそうですので、総理は行かれないと思いますが、そうした形で、現在病気になったときに、例えば、診療時間が夜わからないとか、あるいはドラッグストアはどこが開いているかということが簡単にわかるようなシステムになっております。
(PP)
 更に、今、電子カルテというのがなかなか普及しないということで、いろいろと新聞紙上等にも出ておりますが、これは逆にマイカルテをつくろうというものでして、自分の医療情報を逆にサーバー上に置いておきまして、携帯の方で自分のコレステロールとか、血圧とか、あるいは尿検査の結果等を、むしろ医療の先生の方に見せようと。そうすれば、どこかでやった診断を再度やる必要がなくなりますので、一番最新の情報を常に示すことから、医療経済上もかなり削減できるんではないか。将来的には、電子カルテとリンクすることによって、恐らく医療現場に入ると同時に携帯を乗せれば、そのまま両方の双方向ができるようなシステムができるんではないかと思っております。
(PP)
 もう一つ優れている点は、実は画像も最近非常に進んでまいりまして、特にCT画像、あるいは先ほど出ましたレントゲン画像を3D化するという事業が進んできております。これはその中の一例で、仮想内視鏡と言われているものが、真ん中に少し腸の様子が出ております。
(PP)
 これは、CTをもとにした大腸内視鏡でして、普通大腸までおしりから太いくだを突っ込みまして、された方はわかると思いますが、かなり苦しい状況になっております。これはそうした痛みなく、体の中をCTの画像をもとにして再構成して、異常がある方だけそうした大腸検査をするということで、医療費も無駄にならずに済みますし、痛みもかなり軽減できると。これもまた大学発ベンチャーがつくった技術でありまして、こうしたものが、今、非常に進んできております。
 こうしたような医療・健康情報プラットホームというのは、今、新しい大学、あるいは産業界との連携で非常に注目されているわけです。
(PP)
 実は、こうした医療分野のコンテンツというものが、非常に新しいために、まだIT分野に比べますと保護が十分進んでいないというところがありまして、規格化の促進等、今後のコンテンツの調査会等でも是非お願いしたいと思っております。
 また、こういう融合領域の人材というのは、非常に少なくて、そのために今までこうした分野は進んでこなかったということがありまして、是非この辺りの人材育成もお願いしたいと思っております。
 以上です。どうもありがとうございました。

○内閣官房長官 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、政府側から御発言をお願いします。松田大臣、金田副大臣、竹本副大臣から発言を求められておりますので順にお願いします。
 まず、松田大臣から御発言をお願いします。

○科学技術政策担当大臣 知的財産戦略は、私が担当しております科学技術政策の観点からも、極めて重要なものでございまして、今日は阿部本部員もおられますが、「総合科学技術会議」では、これまでいろんな提言を行ってまいりました。こうした提言を踏まえた取組みによりまして、大学における知的財産の制度改革も大変整備されてきております。技術移転機関も数は非常に増えました。
しかし、実際を見ますと、安西本部員が先ほどおっしゃっておられましたが、アメリカの大学と比べると、極めてと言ったら言い過ぎかもしれませんが、まだまだこれから頑張ろうという思いをさせていただく昨今であります。
 現在検討しております、第3期の科学技術基本計画におきましても、この点非常に重点を置いておりまして、大学等の知的財産の管理や活用を促進する、あるいは、大学等が地域の振興につながる知的財産を生み出すとか、科学技術を知的財産として実用化する人材を育成するといったことを、政策課題としてこの基本計画の中に盛り込んでおります。
 来年1月から、これらの知財問題に取り組むために、総合科学技術会議の下に「知的財産戦略専門調査会」というものを置いてあるのですけれども、これを再開いたしまして、阿部先生の下で具体的な検討を進めてもらい、その成果を知的財産推進計画に反映していきたいと思っております。
 以上です。

○内閣官房長官 ありがとうございました。
 それでは、次に金田副大臣から御発言願います。

○外務副大臣 知的財産権の重要性に鑑みまして、外務省といたしましても、海外の模倣品・海賊版対策を中心に積極的に取り組んでいるところであります。
 特に推進計画2005に盛り込まれ、本年のサミットにおいて総理から御提唱いただきました模倣品・海賊版の拡散防止に関する国際約束につきましては、G8専門家会合で日本から具体的に構想を提示し議論しているところであります。
 各国からは、本件構想に侵害発生国を取り込む重要性、既存の国際法秩序との整合性を確保する必要性などについて指摘があります。
 各国の反応を踏まえまして、更に具体的内容について政府部内で詰めていく必要があります。同時に、国際的には既存のルールを活用しまして、実施面での取組み強化を重視する動きもございます。G8、APECなどの各種の場で実践的なガイドラインに基づきます政策協調、情報交換の強化が進められております。我が国として、このような取組みにも積極的に貢献していきたいと考えております。
 以上でございます。

○内閣官房長官 ありがとうございました。
 それでは、次に竹本副大臣から御発言願います。

○財務副大臣 財務省から、知的財産推進計画2005に盛り込まれております、模倣品・海賊版の水際取締りの強化に関する事項についての検討状況でございますが、先ほど下坂本部員からもお話がありましたように、海賊版の拡散防止というのは、喫緊の課題だと考えておりまして、我が省におきましては、財務省の審議会であります「関税・外国為替等審議会関税分科会」の下に設けられております、ワーキンググループにおきまして、主に以下の2点につき検討しております。
 1つは、水際における技術等を専門的に判断する制度的仕組み、これは税関を通りますときに、専門的な事項は、現在でも必要があれば、実務上、例えば弁護士、弁理士等の専門家に諮問しておりますが、それを専門の委員として、制度的にそういったところをスクリーニングにかけるという仕組みをつくりたいということを考えておりますことが1つです。
 もう一つは、模倣品・海賊版の輸出、通過貨物の水際取締り等について、しっかりとした検討をやってまいりました。最近話題になりましたものでは、サクランボの苗木をオーストラリアへ持ち出した人がおりまして、向こうでサクランボが育ちまして、それが日本に輸入されるかもしれない。こういうことが報じられております。
 したがいまして、こういった海賊版・模倣品について、しっかりとした水際取締りをやりたいと思っております。
 こういったワーキンググループの検討結果を踏まえまして、来たる12月15日に開催予定の関税分科会において、平成18年度関税改正についての答申をいただき、法律改正が必要な事項につきましては、18年の通常国会への法案提出を予定いたしております。
 以上です。

○内閣官房長官 ありがとうございました。
 それでは、他に御発言ございますでしょうか。
 どうぞ。

○国家公安委員会委員長 私、国家公安委員会委員長ですが、そのお話と、もう一つ包括的な話で、前から私、この会議にすごく関心を持って勉強してきていて、一言だけ言わせてください。
 安西先生の言われた、この日米の大学比較というのは、ものすごいことですが、では日本全体ではどうかというと、特許件数で言えば、アメリカと日本とほとんど差はございません。しかし、日本は実際に使うのは3割、アメリカが実用化されるのは7割です。では、日本の残り7割がどんな状態になって、使われていないのはどうかというと、韓国から猛烈なアクセスをしております。そして韓国がそれを利用していろいろ使っているという形です。
 では、なぜ日本はその30%の利用しかできないのかというと、大企業の皆様はそれぞれ自己資金をしっかり持っておられるから、いろいろやれるんですけれども、そうでないところではやはりお金を、日本の場合は銀行からいただかなければベンチャーをやるにしても事業はできません。アメリカの場合は、いわゆる銀行は勿論ですが、銀行がノーと言えば資本市場から借りてきて、どんどんやるわけです。したがって、アメリカでは事業をやるか、やらないかを決めるのは、いわゆる事業家なんです。日本では、銀行屋が決めるんです。
 なぜそんなに違うかというと、いわゆる日本の個人金融資産は1,440 兆ありますが、資本市場で動いているのはわずかに13%です。アメリカは資本市場で動いている個人金融資産は54%です。そういう大きな差がせっかく生み出した知的財産がなかなか生かされないという面も非常にあるというふうに思っております。
 特に安西さんのこれを見ると、本当にひどいですね。国内特許出願ですと、いわゆる日本とアメリカでは、日本は半分ぐらいだけれども、実際に使うライセンスは10分の1、そしてそれによるお金というのは200 分の1なんです。そういう知的財産に対する価値というものを高めていくこと。そしてそれを維持していくことが非常に大事です。その維持することが私の今の本務なんです。
 ですから、今いろいろ出ました模倣品・海賊版については、一生懸命取り締まっております。その結果ものすごい結果が出ております。去年は、一昨年に比べて件数も人員も5割増になっております。今年はもっと増えております。
 ですから、そういうものをしっかりと取り締まらないと、価値を維持できなければますますだめになるので、そういう点でこれから取り締まり当局として一生懸命頑張ってまいります。よろしくお願いいたします。

○内閣官房長官 ありがとうございました。
 他に御発言ございますでしょうか。
 それでは、次の議題は「コンテンツをめぐる最近の動き」ですが、その前にプレスが入室しますので、しばらくお待ちいただきたいと思います。

(報道関係者入室)

○内閣官房長官 まず、角川本部員より東京国際映画祭について御報告をいただきます。 それでは、角川本部員、よろしくお願いいたします。

○角川本部員 東京国際映画祭第18回は、今年も10月22日〜30日まで華やかに開催されました。
 この国家的な支援を得てから、今回は9日間の入場者数が27万2,661 名ということで、カンヌの40万までもう一息というところまで9日間で動員することができました。
 今年は、オープニングがチャン・イーモウと高倉健さんのレッドカーペットを歩くところから始まりましたので、是非画面を見ていただきたいと思います。

(VTR上映)

○角川本部員 以上です。

○内閣官房長官 ありがとうございました。
 続いて、松経済産業副大臣より、東京発日本ファッションウィークについて御報告いただきたいと思います。

○経済産業副大臣 それでは、先月開催されました東京発日本ファッションウィークを皆様に御紹介申し上げたいと思います。私どもも映像を用意いたしました。
 お願いいたします。

(VTR上映)

 こちらが絵画館前の会場でございます。
 ほぼ毎日晴天に恵まれました。
 このテントがファッションショーの会場です。
 テキスタイルの展示です。実は、日本の生地は、技術も質も世界一であります。パリやミラノのデザイナーも日本の生地を絶賛しております。
 ファッションショーの舞台裏です。モデルがメイクをしております。
 これはリハーサルの風景です。みんな真剣な顔をしております。
 テントの前には長い行列ができました。
 カメラのテストです。鳥居ユキさんのショーの本番です。
 初日の夜には、オープニングレセプションが華やかに開催されました。有名な方々がいらしております。
 オンワードの馬場会長、中川大臣、森先生です。
 ここからは、幾つかのショーの様子をごらんいただきます。

(VTR終了)

 それでは、短い時間ではございますが、皆様方に特別にファッションショーの雰囲気を是非味わっていただきたいと思います。
 どうぞ。

(ファッションモデル入室)

○経済産業副大臣 総理のそばまで行っていただきまして、手をかけていただいても結構でございます。
 夏井沙智さんでございます。
 小泉深雪さんでございます。
 岩谷先生、どうぞこちらに。こちらの2人のモデルさんの服をデザインされた、岩谷俊和さんでございます。日本を代表する若手のデザイナーでございます。(拍手)

○岩谷氏 ドレスキャンプというブランドをデザインしております。岩谷と申します。本日は、このような機会を与えていただきあります。
 これから、日本のファッションを盛り上げていくように頑張っていきます。
 ありがとうございます。(拍手)

○経済産業副大臣 日本ファッションウィークは、世界の新人デザイナーの登竜門、ビジネスの連携の基点となる、東京をもっとおしゃれにする、この3つの目標を掲げております。次回は来年3月開催の予定でございます。政府としてもしっかりと支援をしてまいる決意でございます。総理、是非3月はおでましくださいますように、よろしくお願いいたします。
 このほかにも、知財立国実現のために特許審査の迅速化、大事な問題でございます。それから意匠法の改正なども進めております。
 以上でございます。ありがとうございました。

(岩谷俊和氏、ファッションモデル退室)

○内閣官房長官 ありがとうございました。松副大臣の司会で、一層華やかになったような気がします。
 それでは、最後に知的財産戦略本部長の小泉総理大臣より御発言をいただきたいと思います。
 総理、よろしくお願いいたします。

○内閣総理大臣 ファッションショーを生まれて初めて見ました。ファッションモデルというのは映像でしか見たことないんだけれども、これだけ間近に見せていただいて、ちょっと心臓がどきどきしています。
 レントゲンも、これまたすごいね。こういう製品のみならず、今のファッションとか、映像で出ていたけれども、役者が使っている化粧筆、あれも日本ですから、世界のシェアの7割、毛筆から、化粧、役者、歌舞伎役者だけではない。世界の俳優が今、使っている化粧筆は、日本が7割のシェアを占めています。大したものです。
 ファッションにしても、音楽にしても、映画にしても、世界のサミットでも話題になるんですから、知的財産の重要性はますますこれからも日本の発展にとっても必要ですから、皆さんの御指導をいただきながら、知的財産戦略を進めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 今日はありがとうございました。

(報道関係者退室)

○内閣総理大臣 この技術を見ると、また先進国と差が付いてくるな。蓄積がないと一朝一夕にはできないよ。

○内閣官房長官 ありがとうございました。
 それでは、時間もまいりましたので、本日はここまでとさせていただきます。次回の会合につきましては、来年の2月下旬ごろの開催を予定しておりますが、詳細については事務局から追って御連絡をいたします。
 本日の会合の内容につきましては、この後、事務局からブリーフを行うことといたしております。
 本日は、どうもありがとうございました。