○細田内閣官房長官 定刻となりましたので、ただいまから知的財産戦略本部の第11回会合を開催させていただきます。本日は、御多忙のところ御参集いただきまして誠にありがとうございます。
議事に入ります前に、4月28日の閣僚懇談会申合せに従いまして、本日の会合では閣僚及び事務方はノーネクタイ・ノー上着でも差し支えないこととさせていただいておりますことを御了解いただきたいと思います。
本日は、まず有識者本部員の方々の起草による「知的財産推進計画2005(案)」を御説明いただいた上、決定していただきたいと思います。
次に、特許審査迅速化平成17年度実施計画について担当大臣から御報告をいただきます。 続いて、専門調査会の設置及び廃止について決定していただき、その後、今後の知的財産戦略に対し、有識者本部員及び関係大臣から御発言いただきます。
資料2の「知的財産推進計画2005(案)」について、有識者本部員の方々による計画の起草の取りまとめをお願いした阿部本部員から概要の御説明をいただきたいと思います。
○阿部本部員 それでは、こちらをごらんいただきたいと思います。
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一昨年あるいは昨年の知財推進計画におきまして、お陰様でたくさんの改革を進めてまいったわけでありますが、主な成果として、例えば知財高等裁判所の発足であるとか、また法律も18本が成立しておりますし、今でも国会で御審議をいただいているものが幾つかあるわけであります。
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こういったこれまでの推進計画の進捗状況をかんがみまして2005を作成いたしました。そのうちをポイントを7つ掲げました。最後の2つは総合科学技術会議との連携によるものでございます。
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まず最初の模倣品・海賊版であります。これは世界で今65兆円と言われているわけでありますが、日本は非常に大きい被害を受けておりますけれども、米国におきましても、例えば映画であるとか、医薬品であるとかソフトウェア、またドイツは自動車、家電、フランスにおいてはブランド品等、これは世界的に問題になっているわけでございます。そこで、我が国がリーダーシップを取っていただいてこの条約を締結するということが非常に強く望まれているところでございます。
それから、インターネットオークションを通じた模倣品・海賊版はまさに目に余るものがありまして、この防止策。
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それから、「世界をリードする知財制度の構築」については、世界特許へのアプローチはもちろんのこと、特許出願による技術の意図せざる海外流出問題が深刻化しておりますので、その防止。
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それから、中小・ベンチャーは2005の一つのポイントでございまして、大企業と中小ベンチャーは非常に大きく違うところがございますので、そこに焦点を当てた整理、それから地域、これはもちろん研究機関、大学等は大切でありますけれども、自治体の役割が大きいわけであります。
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それから、国際標準化活動について。
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それから、「文化創造国家づくり」ということで日本ブランドの振興、コンテンツ流出大国の実現。
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人材は、これまでも知財に強い弁護士や国際性を備えた弁理士の育成あるいは法科大学院における知財教育の推進など、さまざまな施策をやっていただいておりましたが、それに加えまして知財の質の向上を図り、10年間で知財人口を倍増、理系のドクターあるいはポスドクがこういう分野に参入していただくことも含めた施策でございます。
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産学官の連携も、お陰様で随分加速をしてまいりましたけれども、そのこともありまして新しい段階としていろいろな問題が顕在化しておりますので、そういうものにきちんと光を当てていこうということでございます。
以上、まとめたものが2005でございます。よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
○細田内閣官房長官 ありがとうございました。それでは、本計画案を知的財産戦略本部として決定いたしたいと思いますが、御異議ございますか。
(「異議なし」と声あり)
○細田内閣官房長官 ありがとうございました。それでは、本計画案を「知的財産推進計画2005」として決定いたします。
次に、特許審査迅速化平成17年度実施計画について、中川大臣から御報告をお願いします。
○中川経済産業大臣 知財の重要な柱の一つであります特許制度、今、阿部本部員からも御説明がありましたが、日本の中の制度の実質的な向上、あるいはまた世界レベルの協力体制という2つが必要だと思いますけれども、国内におきましては特許出願件数が非常に増えております。
これはいいことなんですけれども、できるだけ早く迅速にやりたいということで、昨年度は1次審査を23万 6,000件やったということでございましたが、今年度はそれを若干上回る実施を計画しております。
それから審査順番待ち期間の問題でございますけれども、昨年度は26か月、2年少し、すなわち2年2か月以内にとどめるということでございますが、実際には26.3か月とほぼ達成したと言ってもいいと思います。いわゆる任期付き審査官については、大体毎年100人を5年間で500人増やすという計画に向けまして、17年度は98人お認めいただきました。
ただし、実は今、特許が65万件審査待ちの状態でございまして、これをいかに少なくするかということでございますけれども、逆に審査請求期間短縮化の制度をしたことによって下手をするとこの65万件が更に増える可能性もあるということを我々は非常に心配をして、できるだけ調査の外部発注できるものはするとか、やっていきたいと考えております。これからいろいろ民間への外注拡大、あるいはまた特許審査官の増員等を含めまして、できるだけ迅速かつ適切な審査をしていきたいと考えて今、鋭意特許庁において、弁理士等の皆さんの御協力を得ながら努力をしていきたいと考えております。以上です。
○細田内閣官房長官 ありがとうございました。
次に、専門調査会の設置及び廃止についてであります。専門調査会は推進計画において知的財産に係る重要な政策課題の専門的事項について調査するために設置することとされております。設置及び廃止については、知的財産戦略本部令の規定により、本部の決定が必要になります。
内容につきまして、荒井事務局長から御説明をお願いします。
○知的財産戦略推進事務局長 お手元の資料の4と5に基づきまして御説明をいたします。 資料4は「知的創造サイクル専門調査会の設置について」であります。知的財産の創造、保護、活用の循環であります知的創造サイクルを戦略的に展開するため、必要な調査検討を行うものでございます。
資料5は、「医療関連行為の特許法の在り方に関する専門調査会及び権利保護基盤の強化に関する専門調査会の廃止について」であります。説明は以上です。
○細田内閣官房長官 ありがとうございました。それでは、本案を知的財産戦略本部として決定したいと思いますが、御異議ございませんか。
(「異議なし」と声あり)
○細田内閣官房長官 ありがとうございました。それでは、本案を決定いたします。
なお、コンテンツ専門調査会については牛尾会長の下で引き続きコンテンツ流通対策の実現や、日本ブランド戦略の推進などの重要課題について調査検討を行っていただきます。 次に、推進計画2005の決定を受けて、特に御尽力をいただいた有識者本部員の方々から、今後の知的財産戦略について御意見をお願いいたします。今回は、森下本部員から御発言をお願いします。
○森下本部員 私の方から、1つ報告と、3つのお願いをしたいと思います。
報告の1つは、お手元の資料にあります「知的財産報告書」という青色の表紙のものですけれども、私どものやっております大学発ベンチャーでアンジェスという会社で実は今年つくりました。表紙を夏用に青い表紙にしておりますけれども、ベンチャーとして初めてこのようなものをさせていただきまして、これをすべての株主の方、私どものところは1万7,000人が株主でいらっしゃいますが、その方々にお送りして会社の知的財産の状況を報告いたしました。こういう形で是非私どもの知的財産の状況を見ていただこうことでやっております。
今回の報告書の中にも知的財産報告書を更に活用するというものが出ておりますが、このような形で一般の方にも理解できるような形でやらせていただくということで、更に知的財産に対する興味というものが一般の方にわいてくるのではないかということで、是非よろしくお願いしたいと思っております。
2点目として、医療特許に関しましては既に先ほど廃止が決まりました専門調査会で11回にわたる審議を行いまして大分進みましたけれども、私どものような先端医療の現場から見ますとまだ半歩前進という印象を持っております。精力的な活動をしてくださいました事務局には大変申し訳ありませんけれども、更に現在競争が激しくなっておりますので、是非遺伝子治療・再生医療分野の特許法の問題を引き続きよろしくお願いしたいと思います。この点に関しては、今回の知的財産推進計画2005にも入っておりますので、是非本腰を入れてよろしくお願いいたします。
それから、大学の研究現場におきまして研究活動特許侵害の問題、それからリサーチツールに関しましても非常に今、混乱しております。これは、知的財産が今どんどん大学にたまってきておりまして、早急に解決が必要になりますので積極的な取り組みをお願いしたいと思います。
最後に中小企業ベンチャーの問題ですが、先ほど阿部先生からお話がありましたように大きく取り上げられておりまして、これは非常に重要な問題だと思っております。特に中小企業、ベンチャーにとりましてはなかなか知的財産はまだハードルが高いということを皆さん言われておりまして、その意味、それからどういったことが変わったのかということがなかなか末端まで伝わっていない。それで、最近知財の話も日経新聞の一面等によく出るようになりましたけれども、実際上すべてのところまで行き渡っているわけではありませんので、更にPRしていただきまして是非いい計画を一般の方にもわかっていただける、あるいは中小企業の方にも理解していただけるような広報活動、情報発信というものを活発にしていただければと思います。
私どものところも、この知的財産報告書を毎年発行して株主の方にお送りしようということを考えておりまして、こうしたようなものが将来的には東京証券市場等で評価されるという状況になってまいりましたら、日本国民全体の啓蒙という点でも非常に大きな意義があるのではないかと思っています。2005の内容に関しまして非常にいいものができ上がったと私どもも考えておりますので、よろしくお願いしたいと思っております。以上です。
○細田内閣官房長官 ありがとうございました。次に、御手洗本部員お願いします。
○御手洗本部員 私は、包括的なお願いの中で特に3つの点についてお願いいたしたいと思いますが、その前にこれまでの知財戦略本部におきましては、我々産業界の声やユーザーのニーズを大変きめ細かく取り上げていただき、また丁寧に対応していただいていますことに心から感謝を申し上げます。今後もこのようにきめ細かくひとつひとつ丁寧に対処していただきたいと思っております。
これまでの推進計画においては、荒井事務局長を始め本部員全員の大変な努力と、府省庁の枠を超えた協力によりまして、前例のない早さで多くの施策が実現されました。これは経団連でも高く評価されておりますし、感謝するところであります。
施策の一つとして、特に知財高裁が4月から動き始めましたが、知財専門の法律が独立の組織としてつくられましたことを高く評価しております。裁判官の意識や、裁判のやり方も大きく変わってきまして、健全な企業活動が円滑にできる裁判が行われますよう、これからもますます不断の努力を続けていただきたいと思います。
さて、推進計画2005でありますが、特に特許出願による技術流出防止策、それから模造品対策強化、世界特許など、産業界の要望を受けて骨太の政策が取り上げられておりますが、いずれも日本の産業の国際競争力強化にとって大変重要な項目であります。特に、技術流出問題については産業界にとっては本当に緊急を要するものでありますので、迅速な対応をお願い申し上げたいと思います。
最後に、今後とも関係府省庁が連携して知財立国の実現に向けて積極的に取り組んでいただきますようにお願いを申し上げます。以上です。
○細田内閣官房長官 ありがとうございました。次に、野間口本部員お願い申し上げます。
○野間口本部員 それでは、資料6でございます。ディスプレイの方にも出しておりますように、知財推進計画において国際標準を取り上げていただいておりますが、それに関するトピックスにつきまして御説明いたしたいと思います。
ちょうど1か月ほど前に、私どものブロック暗号でございますけれども、これは安全・安心のネットワーク社会に必須のものでありまして、MISTYという略称で呼んでおりますが、これがISO/IECの国際標準規格に採用される方向で決まりました。大体世界じゅうから15種類ほど提案があったと聞いておりますが、その中で日本が2、米国2、カナダ1、韓国1という6件が認められたということでございます。この日本の2件はMISTYと、それからもう一件は私どもとNTTの研究所さんと一緒にやりましたカメリアというのですが、この2件でございまして、e-Japan の成果として面目を果たせたかと思っているところでございます。
これが国際標準になるに当たりましては、私ども日本代表として国際会議に参加したのでございますけれども、経済産業省からの大変なサポートをいただきまして、私どもだけでしたら当然会えないようなキーパーソンとの面談とか、そういった方への提案とかという機会を得まして、大いに世界の理解を得たということでございまして、官民連携による国際標準化の推進を、知的財産推進計画に挙げていただき、活動していたわけですが、その成果が、これほど明確に早々と出るとは私どもも想定外のことでございまして、この場を借りましてお礼を申し上げたいと思います。
以上が主なプレゼンの内容でございますが、参考までに、この技術は、昨年小泉総理も御出席いただきましたが、発明協会の100周年記念の表彰式がございました。発明協会は100周年でしたので、日本の産業界から100年ぶりの自信作を提案しまして、自動車業界、薬品業界、電気業界、いろいろ各界から集まったわけですが、その中でグランプリ、恩賜賞をいただきまして、天皇陛下の前で私どもの若い研究者が表彰をしていただいたというような技術でございます。
それから、参考まででございますが、これは非常に実用的にも役に立っておりまして、電子政府の非常にセキュアな領域で暗号として活用いただいております。霞ヶ関のワイドエリアネットワーク、省庁間のシステムにこれを使っていただいております。「ほか」と書いてありますが、これ以外は言ってはいかぬことになっておりまして、非常に喫緊のところに使われているものでございます。
それから、2番目はナショナルセキュリティのところで、これは警察庁さんのハイテク犯罪対策チーム、「サイバーフォース」にこの技術を基盤的なものとして使っていただいておりまして、本当に守るべきところの、日本のネットワークは信頼性が高いと言われておりますけれども、そういったものにこの技術が貢献できていると思っております。
ここも「ほか」と書いておりますが、ナショナルセキュリティと言いますともっともっといろいろなアイテムがあるわけですけれども、これも言ってはいかぬということになっておりまして御勘弁いただきたいと思います。個人的にはそっとお教えしてもよろしいのですが。 それから、その次が携帯電話でございます。これは、これからメジャーになっていきます第3世代の世界標準暗号としても使われておりまして、現在まだ発展途上でございますので3,000万台ほどでございますが、携帯電話というのは年間5億台くらいつくられますけれども、これが進んでいけばいくほど適用される数が増えていくということでございます。
最後はETC、皆さんが高速道路でお使いになっているETCにも暗号の一つとして活用されているということでございます。
それからついでにもう一つ、参考までにお話をさせていただきますと、実はこの技術はそれまでアメリカ生まれのデータ・エンクリプション・スタンダード、DESというものが15年ほど難攻不落、これは当分破られないだろうということで使われていたわけですけれども、私どもの鎌倉の研究所の研究員が、今で言いますとスーパーコンピュータを何十台も並べたようなシステムをつくりまして、あっという間に解けるというのを見つけました。それで、やはりDESではだめだということで、次の更に強力なものを開発すべきということで世界じゅうが動き出した。それで、今回の新たな標準が定まったということです。
アメリカも大したものでして、破られたから文句を言うのではなくて、技術の世界だからそういうこともあり得る。ならば更に強力なものを一緒に考えようと、そういう形でありまして、そういった意味では日本のこの分野での貢献を高く評価してくれている。こういったいわくつきの技術でございます。この新たな標準は、今回の「知財戦略本部」における、官民連携の成果ということで本当に感謝申し上げたいと思います。以上でございます。
○細田内閣官房長官 ありがとうございました。次に、中山本部員お願いします。
○中山本部員 事務局の御尽力もございまして、今回も戦略計画2005を作成することができ、非常に喜んでおります。
2002年の戦略大綱から始まりまして今回で4回目の計画ですし、重複はありますけれども、延べにすると1,000項目以上の提言をしているわけでございます。知的財産のすべての分野の改革のメニュー、特に実体法的なメニューは大体出尽くしてきたように思います。計画2006におきましては、知的財産の利用、活用及び流通を中心として、今までの提言の実現に向けた骨太の提言をなすように期待をしております。以上です。
○細田内閣官房長官 ありがとうございました。次に、下坂本部員お願いします。
○下坂本部員 今回の推進計画は、前回にも増しまして、世界特許や条約など、骨太の戦略がなされて充実したものになっております。中でも世界特許の実現は長年の課題でございまして、今回の課題で世界特許システムへの取り組みとして具体的な第一歩が規定されましたことを高く評価しております。是非しっかりとやって、更に次へとお進みいただきますようお願いいたします。
また、模造品・海賊版の撲滅に向けて、条約を日本から提唱するということも画期的なことでございます。小泉総理のリーダーシップを高く評価させていただいております。
更に国内での水際取締りの強化、特に懸案である技術判定に関する審判機関の設置や個人輸入、個人所持の禁止、インターネットオークションでの模倣品取締りなどもしっかり取り組んでいただきたいと存じます。
それから、知的財産計画も早いもので今回で3回目となりますが、これまでのところ、計画で定めました事項についてはかなりのスピードで着実に実行に移されてきていると存じます。関係者の御努力に対し深く感謝申し上げますとともに、これからもフォローをしつつ、評価すべきは評価していくことが肝要で、関係者にとっても実行の励みになると存じます。
最後に、この知財本部の活動につきましては小泉総理の強力なリーダーシップのお陰で本当によく進んでまいりまして、感謝申し上げております。事務局は極めて少ない人数にもかかわらず、不眠不休の言葉そのままに推進計画のすべてに精力を傾注してくれました。各省からの抵抗もある中、それらを排除しながらここまでよくやってくれたものと感心し、感謝しています。国の財政厳しき折から、かつ財務副大臣も御出席の席ではございますけれども、こんなに頑張っている役所は余り見たことがないので、この際、職員の給料を倍か3倍にしてやったらどうかと思っていますが、そういうことはできないことなのでございましょうか。
また、知財本部の活動や推進計画の実行が活発化することで、テレビや新聞等々のマスコミが知財を取り上げてくれることが非常に多くなってまいりました。このアナウンスメント効果は抜群で、民間への知財の浸透のみならず、中には積極的でなかった役所も報道されると突然動き出してくれるということもあったやに聞いております。
これからは、こういう力も大いに活用して、中小企業や消費者の知財意識を変えていかなければなりません。今や情報公開の時代であり、またPRの時代です。役所だけでなく、知財に携わる私どもも政府と一緒になって積極的に情報発信をしていかなければならないと考えております。以上です。
○細田内閣官房長官 ありがとうございました。次に、久保利本部員お願いします。
○久保利本部員 今回の計画も、450項目に上る非常に膨大なものであります。過去の案件についても、知財高裁が動き始めたとか、いろいろなところでスピードアップした動きが進んでおりますので、私は450項目は欲張り過ぎかという声もありますけれども、決してそうではなくて日本は、それくらい遅れていたんだということでありますから、是非この国際戦略を進めていただきたいと考えます。
特に模倣品・海賊版の拡散防止条約は、犯罪組織がこれを行ってその資金源になっておりますので、断固としてこれは先進国が皆でスクラムを組んで止めないとどうしようもない。そして、製造している途上国から出て行くということ自体を止めないと効果が薄いと思いますので、是非総理にリーダーシップを取っていただいて、外務省の協力も得て、条約化ということをお願いしたいと思います。
2番目は、少し弁護士のPRもさせていただきたいと思います。日弁連では2002年の6月に知財の推進本部をつくりました。有志をつのってエンターテイメントロイヤーズネットワークというものを昨年つくりましたが、たった1年で6月4日の総会ではNPO法人になろうということが決議されまして、その運動が早速スタートいたしました。私が理事長をしているから申し上げるのではなくて、実務界を含めてエンターテイメントロイヤーズが500人近くも集まるというのは大変画期的なことだと思います。
それから弁護士知財ネット、これも日弁連とは別組織ですけれども、日本じゅうの弁護士を網羅したネットでございまして1,200名に達しました。こういうことで、弁護士も及ばずながら知財の動脈の一翼を担いたいということで動き始めたということを是非御理解いただきたいと思います。
最後になりますけれども、今後の問題です。実は、私は司法制度改革推進本部の関係で国際化検討会のメンバーでもあります。ところが、これが解散をされますと突然透明性がなくなって今、何をやっているかも何もわからなくなってしまったということがあります。やはりこれからは政策立案のプロセスというものが公になる。世間に開示するということが大事でありますし、これは国民の意見を反映しながら進めていくということが絶対必要だと思いますので、給料は上げられなくてもやむを得ませんけれども、推進事務局には今後ともさらなる継続をしていただいて、しっかりとモニタリングもしていただき、また次の計画も練っていただきたいということで、尊敬する事務局には大変お手数をかけますけれども、是非頑張っていただきたい。今後ともこの組織を継続させることが日本の知財立国のためには絶対に必要だと、かように考えておりますのでよろしくお願いいたします。以上です。
○細田内閣官房長官 ありがとうございました。次に、川合本部員お願いします。
○川合本部員 理化学研究所と東大という2つの知財創出現場に身を置く立場で見ておりますと、産学連携についてはここ1、2年大変活発になってきていると実感しております。それで、前回も指摘させていただいたリサーチツールとか、契約の弾力化について、推進計画2005に反映しておりますので、是非とも各省、それから民間企業の方たちも、この計画に沿って迅速にいろいろ取り組んでいただきたいということでお願い申し上げます。
それからもう一つ指摘させていただいた人材育成、特に理系の人材、もうドクターを持っているポスドクの問題でございますけれども、これも重要な課題として推進計画に盛り込んでいただいております。これに関しましても、各省や企業の方で具体策をどんどん進めていただきますよう、よろしくお願いいたします。
○細田内閣官房長官 ありがとうございました。次に、角川本部員お願いします。
○角川本部員 今年はカンヌ国際映画祭が5月11日から開かれまして、14日はジャパンデイという形で「日仏映画協力覚書」が交わされました。フランスのCNC長官と、日本からは与謝野さんがユニジャパンの会長として出席されてメモランダムを交わしました。
日仏映画協力覚書の中には海賊版対策を含む両国のコンテンツ制作の環境整備、人材育成、映画祭の交流などが入っております。これは私も同じ意見なのですが、総理が前回もおっしゃっていた人材教育こそコンテンツに大事なのではないかということで申し上げれば、模倣品・海賊版拡散防止条約の中に「一緒になってコンテンツをつくっていこう」という協力的な部分も入れていくべきではないかということを是非提案したいと思います。そしてまた、今までのところは民間で交わすことしかできないということでmemorandumという覚書になっておりますけれども、是非これを政府間協定、agreementという形で発展させていただきたいと思っております。
それから、香港の税関が非常に海賊版の取締りに熱心になっております。1月から4月までの4か月間で70万枚の日本の映画のアニメの摘発をした中にはまだビデオ・DVDは出ていないはずの『ハウルの動く城』が既に出ておりました。それから『スチームボーイ』、それからこれも今テレビでやっているものでどういうわけか『ガンダムデスティニー』が摘発されたりしました。
このように、現在の海賊版は、時間をかけて出てくるのではなくて本当に公開されて即時に出てきます。こういうものに対して今回非常に香港の税関が協力してくれたということで、アメリカのMPAと一緒になって感謝状を送りました。このようなことからも海賊版に対する意識が高まってきたということは言えるのではないかと思います。以上です。
○細田内閣官房長官 ありがとうございました。次に、安西本部員お願いします。
○安西本部員 大学関係のことについて申し上げますと、この数年の間に知的財産のことは大学では当たり前のことになってまいりました。それは、やはり小泉総理をリーダーとするこの知的財産戦略本部のお陰だと思っております。特許出願件数にしましても、あるいはロイヤリティ収入にいたしましても相当の伸びがございます。
そういう中で、やはり一つの課題というのは特許あるいは知財の維持管理にどうしても相当のお金がかかりまして、それが機関帰属になっているために、特にこれからは国際特許といったところの国際競争力を持った知財の問題について、特に私立大学等がどういうふうにサポートしていけるかということが一つの大きな課題になってくるかと思います。そのことについては、是非この本部でも、また国からも御支援をいただければと思っております。
それから、知財人材育成の総合戦略を今度の推進計画2005に大きく掲げていただいたのは大変ありがたいことだと思います。それについては大学でも知財人材の養成というのは力を入れていくと思いますので、企業等の社会の側でもその受け入れについては是非これからはっきりした形をとっていっていただければと思っております。
法科大学院ができましたけれども、理系の卒業生が法科大学院に入学していくというルートがまだなかなかできておりません。本当は理系出身者が知財弁護士等々になっていく道がもっと大きく開けていくといいのではないかと思っております。
それからもう一つだけ申し上げますと、コンテンツの振興について大きく取り上げていただいているのも、やはり日本がこれからの道として非常に重要なことだと思います。そういう中で多少未来型のことでありますけれども、これからはコンテンツがデジタル化されていく。そのデジタルコンテンツの法整備、あるいは流通に関するいろいろな整備を早目にこの知財本部でも手掛けておいていただけますと、日本の将来に大きくつながっていくのではないか。普通のコンテンツというのはアナログのコンテンツが主体でありますけれども、今後は恐らくデジタルコンテンツの世界が開けていくと思います。それに日本が先に手を打っていただけないか。法律の整備もほとんど未整備の状況だと思います。是非よろしくお願い申し上げます。どうもありがとうございました。
○細田内閣官房長官 ありがとうございました。次に、阿部本部員お願いします。
○阿部本部員 本日、御決定いただきました推進計画につきましては、本部としてその進捗状況を節目節目で検証して、また評価を加えていくということが必要であるとともに、これまでのスピードのある動きを緩めることなく、継続的に進めていくことが肝心であると思っております。それが1番目です。
2番目は、前回この会議で世界をリードする知財制度の構築に向けて、次のステップに踏み出す必要があるのではないかという発言をさせていただきました。それに関連する国際的な動きについて若干申し上げたいと思います。最近の知財に関わる分野は極めて多様化しておりまして、これまでこの推進計画で取り上げた分野に加えまして貿易、環境、生命倫理、公衆衛生、人権、情報社会など、いろいろな分野が絡んできております。
例えば、エイズの薬が高いために開発途上国には手が届かないものとなっており、問題になっておりましたが、この問題はその後WTOで議論されて例外的に開発途上国で安価な薬を手に入れるようになったわけであります。今後、知財政策を考える場合にこういった国際的な状況に配慮しながら、総合的な見地から検討することも求められておると考えます。
本日、知財サイクル専門調査会が設置されたわけでありますが、これは今いろいろ御提案がありましたようなさまざまな新しい問題はもちろんですが、国際的な視点を踏まえた大局的な見地からも議論を進めていただければありがたい。また、これまでの課題についても随時フォローアップしていくことも手を緩めないで続けていくことが必要であると考えています。以上でございます。
○細田内閣官房長官 ありがとうございました。多くの委員の皆様におほめをいただきましたことを感謝申し上げます。世の中、小泉改革は何もやっていないではないか、郵政改革しかやらないなとどいうとんでもないことを言う人がいますが、知財を始め司法制度あるいはITにしましても、バイオテクノロジーにしても、さまざまな分野で大変な改革を進めているわけでございまして、委員の先生方にも御宣伝のほどをお願いを申し上げたいと思います。
続いて、政府側から、まず棚橋大臣お願いします。
○棚橋科学技術政策担当大臣 総合科学技術会議は、研究の一層の振興と研究成果の社会への還元を図る観点から、創造的研究活動の多くを担う大学や公的研究機関等が直面している知的財産に関わる問題について検討を行い、去る5月31日の総合科学技術会議において、大学等の知的財産活用戦略のこれからの在り方についての関係大臣への意見具申を取りまとめたところでございます。本日決定された知的財産推進計画2005を拝見いたしますと、しっかりと私どもの意見具申を反映していただいていると理解しています。
これまでの知的財産戦略本部や総合科学技術会議を始めとした政府の取組みにより、知的財産の適切な保護のための取組みは随分進んだと思いますが、今後はそれに加え、イノベーションを生み出し、それを経済の活性化につなげていくために、知的財産の創造、保護、活用といった知的創造サイクルをバランスよく推進することが重要な課題であると考えております。こうしたことから、本日、知的財産戦略本部にこうした問題を検討するための新たな専門調査会を設けることが決まったことは極めてタイムリーな取組みでございます。総合科学技術会議としても大学等において優れた知的財産が次々と創造され、それが産業や社会において有効に活用されるよう、科学技術システム改革の推進に引き続き積極的に取り組んでまいります。
今後とも知的財産戦略本部と密接に連携をとりつつ、関係省庁の協力を得て科学技術創造立国、知的財産創造立国の実現に努めてまいりたいと思いますので、御支援をよろしくお願い申し上げます。以上でございます。
○細田内閣官房長官 次に、文部科学大臣。
○中山文部科学大臣 それでは、文部科学大臣として決意表明をさせていただきたいと思います。
今日、取りまとめられました知的財産推進計画2005には、文部科学省として取り組むべき政策が数多く盛り込まれているところでございます。また本部員の方々からいろいろな御意見等が出されたところでございますが、重く受け止めておきたいと思っております。具体的に知的財産の創造につきましては知の源泉である大学において優れた知的財産が創造されるよう、特許関連経費などの十分な支援を行うとともに、スーパー産学官連携本部の設置を始め、企業との共同研究を戦略的、組織的に展開できる体制の整備に取り組むなど、大学の研究成果を社会に還元してまいりたいと思います。
著作権につきましても御意見をいただきましたが、デジタル時代に対応した権利制限の見直しなど、今後優先して対応すべき著作権法上の重要な課題につきまして、文化審議会著作権分科会におきまして大局的、体系的な視点から鋭意検討を進めているところですが、必要なものについては制度改正に取り組んでまいります。
また、人材育成の観点からは、大学等におきますコンテンツ分野の人材育成について諸制度の整備等を積極的に進めてきておりまして、大学改革ということで非常にやる気が出てきておりますので、今後とも自主的な取り組みを支援してまいりたいと思っております。以上、文部科学省といたしましては知的財産立国の推進に向けて積極的に取り組んでまいります。以上でございます。
○細田内閣官房長官 ありがとうございました。大学改革と産学官連携を言い落としましたので、追加いたします。
中川経済産業大臣。
○中川経済産業大臣 今までの本部員の先生方のお話に関連して、最近のできごとを少しお話をさせていただきます。
まず、経済産業省は昨年お示しした新産業創造戦略、情報家電とか燃料電池とかロボットとかコンテンツといったものの知財を守るということを2005の柱として今、作業を進めております。それと同時に、地域に眠るブランドの保護という観点から商標法の改正をしております。
それから、不正競争防止法等法改正案が今日衆議院で可決いたしましたけれども、海外流出あるいはまた退職後の知的財産の漏洩が、特に企業の方々にとっては非常に深刻な問題というふうに認識をしておりましたが、これも法律改正で取り組んでおります。
更には、特許で保護されると同時に表に出せない秘伝のタレと我々は通称呼んでおりますけれども、それを企業価値の中にどうやって生かしていったらいいか。さっき少し森下委員がおっしゃったことに関連すると思うのですけれども、表には出せないがすばらしい製品ができる。世界一の製品ができる。でも、その秘伝のタレは公開できないけれども、すごい知財を持っている。知財能力のある企業がきちんと外部評価できるようなシステム、これは特許と逆の方向性なものですから、特許との整合性をどういうふうにとっていったらいいかということを今、省内で研究、検討しているところでございますので、また先生方にもいろいろ御指導をいただきたいと思います。
それから、世界特許に関しましては、日米欧三極特許庁に対する特許出願は全世界の約8割を占めているそうであります。この世界特許の最大のネックは唯一アメリカが先発明主義、この問題をどう解決するかということだったのですが、アメリカの議会等にも動きが出てきており、つい2、3日前にアメリカの下院知財小委員長により、先願主義に変える法案が提出されました。流れは世界の方向にアメリカも統一しつつあり、世界特許に向けて大きく前進していると思います。
最後に模倣品・海賊版対策についてでございますけれども、日本の企業が受けている影響は、特許庁が2003年度に実施した調査では9兆円という試算もございますし、お隣の中国では、自動車からボールペンに至るまでGDPの8%がどうも模造品にかけられているというデータが今年5月に開催された米国下院知財小委員会の公聴会で示されており、また中国政府の方でも2003年5月に中国市場における模倣品総額は約3兆円と出したものもあるくらいでございます。そういう意味で、水際でどうやっていくかが課題の1つとなっております。
それから、模造品は日本に来ないでその国発第三国輸出などという場合には、ほとんどその国できちんと対応してくれなければ困るという状況にもございます。幸いにして、日米欧が連携をとり、また中国政府にも取り組んでいただいておりますが、まだまだ不十分な状況でございます。そういう意味で、日米欧あるいはまたほかのヨーロッパ、あるいは韓国等と共同しながら模倣品・海賊版対策については取り上げていって、先ほどの角川委員の御指摘のようないい成果も出ておりますので、更に進めていきたいと思っております。以上です。
○細田内閣官房長官 麻生総務大臣。
○麻生総務大臣 2005年の知的財産推進計画に参加することによって、コンテンツビジネスというものの振興を努めてまいりたいと私ども思っているのですが、そちら側にいらっしゃる方はよくおわかりのところかと思いますが、この4ページのところに出ている模造品の話ですけれども、どれくらい出ているか。
御存じのように、日本の場合はネットオークションはヤフー、楽天、DeNAと、多分この3つが主力だと思います。昨年、一昨年とどれぐらいひどいことになっているかということで訴えられたものが、ユニオン・デ・ファブリカンという例えばダンヒルとか、ルイ・ヴィトンとか、グッチとか、エルメスとか、こういったブランド品の権利者団体があるのですが、この団体が削除を要請した件数だけでヤフーに載った分だけで14年が7万件、15年が13万件、昨年16年は24万件です。
毎年、倍、倍で増えているというくらいに模造品がたくさん載っております。これは一々手間隙かけてやっていられないから、先ほど言われました中川経産大臣のところと警察庁と私どものところで話を決めて、今日の2005が正式にスタートした段階で常習者というのはおりますので、ここに出たら削除ができるようなルール作りをやろうということで、細かく言うと時間がありませんので省きますが、オークション業者に対しても自主的な取組の要請を文書で発送いたします。
それから、コンテンツの8ページの文化創造国家づくりの話なのですが、800万画素という言葉はおわかりかと思いますが、いわゆる映画並みのものにつくろうということで、800万画素で超高精細なデジタルシネマという技術ができ上がりつつあります。ネットワークを活用して、自在に編集する技術とか、これまで一月もかかっていた配信を迅速にできるようにする技術の開発に手をつけつつありまして、ネットワーク上でこれが盗まれるとか、抜かれてしまうという問題へもきちんと対応をしていって、先ほどお話のありましたコンテンツのデジタルの話というのは非常に大事なところだと思いますので、この方向で事を進めたいと思っております。
○細田内閣官房長官 村田国家公安委員長。
○村田国家公安委員長 先ほどから本部員の皆様あるいは中川経産大臣、総務大臣からも海賊版対策あるいは模倣品対策について現状が説明されました。
警察庁も本当にまだ不十分でございますけれども、取締状況を御披露いたしますと、昨年は検挙事件数は359件、644人という数字で過去最高の検挙人員、検挙件数になってございます。それで、今年から警察庁に知的財産権保護対策官を設置いたしまして、なお一層知的財産保護のための体制を強化したところでございますが、本日2005ができましたので、それに沿いまして皆さん方の御協力を得まして、更に知的財産権侵害犯の取締りを推進するよう、警察を督励していきたいと考えております。
○細田内閣官房長官 竹中大臣。
○竹中経済財政政策・郵政民営化担当大臣 一言だけ申し上げます。知財の推進計画2005では、このコンテンツを生かしました文化創造国家への取り組みが重要だという位置付けをいただいております。
この文化創造国家というのは先月、経済財政諮問会議に報告されました日本21世紀ビジョンで私どもが打ち出したコンセプトでございます。その実現には日本のソフトパワーを戦略的に強化することが必要であると考えているわけでございますが、いずれにしてもこうした考え方をいち早く具体的な施策として具現化させていただいたということに感謝をしている次第でございます。
その上で、これを一層推進するためには先ほども出ておりますけれども、コンテンツの流通面での構造改革というものがどうしても必要になると思います。実は、前回の諮問会議でも放送・通信の融合を進めるためには著作権法等の解決すべき課題が残されているということが真剣に議論をされました。したがいまして、今後この知財本部ではコンテンツの流通の増大に是非焦点を当てて一層の御貢献をいただきたいと願っているところでございます。以上です。
○細田内閣官房長官 谷川副大臣。
○谷川外務副大臣 本日決定をされました推進計画2005に基づきまして、外務省といたしましても条約作成に向けた取り組みを含めてあらゆる対策を推進していきたいと考えております。模倣品・海賊版拡散防止条約は、実効性があり、できるだけ多くの参加国が得られる必要があります。そのためには、外交努力とともに条約の内容につきまして関係省庁間でよく協力をいたしまして知恵を絞ることが重要であると考えております。
実効性のある条約案が提案できますよう、事務局を中心として関係省庁による検討を早急に進めていただきたいと考えております。
先週開催されましたAPEC貿易担当大臣会合では、日米韓が共同でAPEC模倣品・海賊版対策イニシアティブを提案いたしまして合意されました。その内容は対策のガイドラインの策定などでございますので、途上国も含めて共通の目標に向けて努力をすることで一致をいたした意義は大変大きいと思いますので、その実行について努力をしたいと考えております。以上でございます。
○細田内閣官房長官 上田副大臣。
○上田財務副大臣 税関を所管する立場から一言御発言させていただきます。
知的財産侵害物品の水際取締りにつきまして、財務省税関においてはこれまでの知的財産推進計画等を踏まえまして、以下の施策を積極的に取り組んできたところであります。 第1に特許権等についての輸入差止申立て制度の導入、第2に育成者権侵害物品の輸入禁制品への追加、第3に認定手続開始時における権利者・輸入者等に対する相手方の名称等の通知、第4に権利者による見本の分解検査を可能とする制度の導入などであります。今後、今回決定されました知的財産推進計画2005の内容に沿いまして十分検討を行い、知的財産侵害物品の水際取締りに更に万全を期してまいりたいと考えております。
○細田内閣官房長官 大口政務官。
○大口農林水産大臣政務官 農林水産省では、知的財産を活用し、我が国の農林水産業の競争力強化を図るために、今国会で種苗法の改正をいたしました。種を外国に持って行ってそこでつくって加工をしてこちらに持ってくる餡ですとか、そういうものに対応するための改正でございます。
そこで、育成者権の強化をするためにその効力の及ぶ範囲を加工品にも及ばせる。これはDNAの品種・識別技術が発達して可能になったものです。そしてまた、育成者権の存続期間を5年間延長する。こういうことで植物の新品種の保護の強化の法律を整備させていただいたところでございまして、積極的に施策を展開してまいりたいと思います。
今後も、本日決定されました知的財産推進計画2005に沿って新品種などの知的財産権の創造、保護、活用や産地ブランドの育成、確立、食育活動の推進及び農林水産物や食品の輸出倍増、5年間で倍増することなどに向けて着実に施策を推進してまいる決意でございます。これらの施策が攻めの農政の柱となり、我が国農林水産業の未来を切り拓くことにつながると考えております。
○細田内閣官房長官 ありがとうございました。
この際、一言追加しておっしゃりたいという方はどうぞ。特によろしいですか。
それでは、最後に知的財産戦略本部長の小泉総理から御発言をいただきたいと思いますが、その前にプレスが入室いたします。
(報道陣入室)
○小泉内閣総理大臣 本日は模倣品・海賊版防止条約を提唱する450の項目を盛り込んだ知的財産推進計画2005を決定させていただきました。皆様方の御努力に厚く御礼申し上げたいと思います。
これからも知的財産立国、これは日本は経済力ではない。文化力も合わせ持っている国として発展していくためにも大変大事なことでありますので、今後とも皆様の御協力、御指導をよろしくお願いしたいと思います。
ありがとうございました。
(報道陣退室)
○細田内閣官房長官 それでは、予定の時間がまいりましたので、本日の会合をここで閉会いたしたいと存じます。
本日の会合の内容につきましては、会合終了後に事務局から記者会見を行わせていただきます。
次回の会合につきましては、事務局から追って御連絡をさせていただきたいと思いますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。
本日は、御多忙のところ誠にありがとうございました。
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