知的財産戦略本部会合 |
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○川端内閣府特命担当大臣 皆さん、こんにちは。 本日はお忙しいところ、ご参集いただき、誠にありがとうございます。 ただいまから知的財産戦略本部の会合を開催します。 本日の議題は、「知的財産推進計画2010について」であります。知的財産戦略本部では3月末に「知的財産推進計画2010骨子」を決定して以来、2つの専門調査会、インターネット上の著作権侵害対策に関するワーキンググループ、国際標準化戦略タスクフォースにおいて精力的に検討を行い、計画案を取りまとめておりますので、本日はこの計画案についてご議論をいただければと存じます。 なお、これ以降、議事進行は古川副大臣にお任せいたしますので、よろしくお願いします。 ○古川内閣府副大臣 これより議事進行を務めさせていただきます担当副大臣の古川でございます。よろしくお願いいたします。 では、議事に入ります。まず、知的財産推進計画2010(案)の概要につきまして、津村内閣府大臣政務官からご説明いたします。 ○津村内閣府大臣政務官 皆さんのお手元に資料1−1というもので耳がついておりますが、このA4横の資料でご説明させていただきます。こちらにはスライドもございます。 資料1−1でございますが、知的財産推進計画2010(案)の概要でございます。 本計画は、世界的に「知を使う知」の競争が熾烈になる中で、グリーンイノベーション、ライフイノベーションなど、日本が強みを持つ技術力やクールジャパンとして評価される文化力について、その潜在力を発揮させ、国際競争力を強化することを目的としております。本計画は今後の競争力強化のための戦略的中枢として位置づけ、6月に策定いたします新成長戦略と連動して推進するものでございます。 計画は中段に示しておりますように、3つの戦略的な柱からなっております。戦略1、国際標準化特定戦略分野における国際標準の獲得、戦略2、コンテンツ強化、戦略3、知的財産の産業横断的な強化、以上3つで構成されております。個々の戦略については後ほど簡単にご説明いたします。 一番下の段をご覧いただきますと、本計画は3月に策定いたしました骨子の内容に3つの戦略の成果イメージ、国際標準化特定戦略分野、目標指標、責任府省ごとの工程表を追加いたしまして、PDCAサイクルを回せるように責任の所在と目標を明確にしたものでございます。 2ページをご覧ください。各戦略につきまして、2020年に達成されるべき成果イメージを示しております。例えば、国際標準化特定戦略分野における世界市場の獲得、コンテンツを核とした海外収入の増加、中小企業による輸出額の増加などでございます。後ほど少し詳しくご説明いたします。 3ページでございます。こちらが大変注目されている部分でございますが、本計画で選定いたしました、当面まず注力すべき7つの国際標準化特定戦略分野でございます。7分野は、先端医療、水、次世代自動車、鉄道、エネルギーマネジメント、コンテンツメディア、ロボットの7分野でございます。それぞれ責任府省も示しました。 4ページ以降は3つの戦略についての詳細でございます。簡単にご説明いたしますと、重点施策は基本的には3月に策定をお認めいただきました骨子から大きく変わっておりませんが、各戦略について事後的に検証可能な目標指標を示している点が骨子からの大きな変化でございます。 戦略1では、国際標準化活動の専門家を800人、人材育成することなどを目標として、国際標準化特定戦略分野への選択と集中、フォーラム標準を含む総合的支援、経営者層の意識改革などを推進してまいります。 5ページの戦略2では、クリエーターによる小中学校訪問機会を年間1万件つくることなどを目標として、コンテンツの海外展開を支援するファンドの形成、一流クリエーターの小中学校への派遣、インターネット上の著作権侵害対策の強化、コンテンツ特区の創設などに取り組みます。 6ページの戦略3では、新たに特許出願するベンチャー・中小企業を約3万社とすることなどを目標に、ベンチャー・中小企業がわかりやすく利用しやすい特許料金支援制度の構築、ユーザーの利便性向上、模倣品・海賊版拡散防止条約、いわゆるACTA交渉でございますが、この2010年中、本年中の交渉妥結などの取り組みを推進いたします。 続きまして、資料1−2、少し分厚くなっておりますが、これが計画の本文でございます。概要はただいまご説明したとおりでございますが、後段の工程表が最後のほうに、35ページより後に、また1ページから始まって20ページほどあるものでございますが、短期、中期、長期の時系列を示しながら、各府省が各年度に何をすればよいのか、担当府省の主体と実行の年限を区切ってこの一覧表にしております。戦略1の11項目、戦略2の44項目、戦略3の38項目、全93項目すべてについてこのような工程表をつくっております。 例えば、国際標準化特定戦略分野における標準化ロードマップの策定といったものは非常に短期的に、EU、アメリカ等のスピードも速いものですから、これは2020年までということではなくて、早速短期の取り組みも具体的にイメージしながらスピードを加速していきたいという趣旨でございます。 簡単ですが、以上でご説明を終わります。 ○古川内閣府副大臣 次に、両専門調査会及び国際標準化戦略タスクフォースの代表から、それぞれの検討状況を報告していただきます。 初めに、コンテンツ強化専門調査会の会長の中村伊知哉・慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授からご報告をお願いします。 ○中村会長(コンテンツ強化専門調査会) 戦略2のコンテンツ強化でございます。 専門調査会では、今年の2月から7回にわたって活発な議論を行いました。また、インターネット上の著作権侵害コンテンツ対策につきましても、別途ワーキングを設けまして、検討を行って取りまとめた次第でございます。 私からは補足といたしまして、これまでの議論を通じた専門調査会としての基本的な考え方を5点ばかりご紹介申し上げます。 まず1点目は、今回波及効果に注目したということです。単なる技術力ですとか価格競争力だけでは世界で勝てなくなっております中で、世界から高い好感度を誇る日本のコンテンツというのは経済成長を後押しする鍵になるだろうということで、これはいってみればハリウッド映画で攻めていって、コカ・コーラを売るといったやり方なんですけれども、今回はコンテンツ産業の成長、それ自身のみならず、波及効果ですとか、ソフトパワーのところにも注目をいたしました。 それから、2点目はピンチよりもチャンスという考え方です。今、コンテンツの業界は、デジタル化、ネットワーク化の大波にさらされておりまして、重大な岐路にあるわけですけれども、これはピンチであるとともに、構造変化の大きなチャンスでもありますから、チャンスを生かそうというスタンスをとりました。 それから、3点目に攻めと守りの両面作戦ということです。攻めの施策として、海外展開を促進しながら、守り、基盤固めとして、人材の育成ですとか、ネットワーク化を推進するといった両面作戦で施策を整理したということです。 4点目は、制度論よりも民間の活性化ということです。これまではともすると、法制度論を重視いたしまして、利害関係者間の対立が遷延化して、それで身動きがとれなくなるという場面もあったんですけれども、今回はそれに加えて、民間主導の取り組みを重視いたしまして、それを支援するという施策を盛り込んでいます。しかも、財政出動をできるだけ避けて、外交や規制緩和、あるいは電波開放といった施策を盛り込んでおります。 それから、最後に、ハード・ソフト一体ということです。コンテンツのソフトの政策ではあるんですけれども、その観点から通信、放送、法制度ですとか、それからネットワーク整備といったICT政策の領域にも踏み込みました。 以上でございます。あとは実行ですので、着実な実施をお願いしたいと存じます。 ○古川内閣府副大臣 ありがとうございます。 次に、知的財産による競争力強化・国際標準化専門調査会及び国際標準化戦略タスクフォースにおける検討状況につきまして、同専門調査会会長・タスクフォース座長の妹尾堅一郎・NPO法人産学連携推進機構理事長からご報告をお願いいたします。 ○妹尾会長(知的財産による競争力強化・国際標準化専門調査会) それでは、ご報告申し上げます。 この最初の我々の認識としては、知を使う、知を活かさなければもう世界では勝てない、あるいは日本の雇用、あるいは日本の産業力はやっていけないという、こういう強い認識がございます。 「知を使う知」という言葉を申し上げているのはどういうことかというと、通常は従来の知、技術という知、あるいはブランドというようなものを考えておりましたが、世界は実はそれ自体を使う知恵の開発に乗り出したということであります。したがって、幾ら技術力だけを進めても、実は産業上の競争力にはならない、あるいは日本のブランド強化にはならないということが認識としてございます。したがって、技術を高めるがゆえに、実は技術の周りの総合力が必要だ、あるいはブランド力を生かすためにブランドの周りの総合力、具体的にはビジネスモデルとそれを可能ならしめる知財マネジメント、あるいは標準化が必要ですよと、こういうことであります。 このことに従って議論を重ねた結果、今回の報告書あるいはご提言が生まれたというふうに認識いただければと思います。そして、特に先ほど副大臣からもございましたとおり、国際標準というのが非常に注目されております。国際標準というのは時々誤解をされるのでありますが、これは何も公共財だけではございません。我々は通常は2つのCで呼びます。1つはコントリビューションツール、すなわちみんなが共通して使える基盤をつくるという、そういう貢献としての国際標準でございます。もう一つの側面は、コンペティションツール。同じCでも大分意味が違って、世界の勝ち組企業は国際標準というものを競争上実にたくみに使い分けると、こういうことであります。日本は残念ながらこの意味での知の開発が遅れているということですので、これに注力をしなければいけないということです。 ここに選定された7分野は、実は今まさに世界で激戦をしている分野でありますけれども、もちろんこれは日本の多々ある分野の中の先発メンバーということです。この先発メンバーが最初に頑張っていただいている間に、次の新生ルーキーが出てくるかもしれません。そういうことを期待しながら、これを進めていっていただければ、しかもそれを府省連携のもとに進めていっていただければと考えております。 そのことは、3点目に、人材の育成が急務であるということであります。これは中村会長がおっしゃったコンテンツ系の若い人材育成とともに、国際標準をはじめとしたそういう総合的な知を培う、あるいはそういうことを担う人材育成が極めて重要だと思います。国際標準人材800人の育成ということでありますが、これが嘘八百人にならないように我々は強く進めていきたいと、こういうふうに思っております。 最後に1点だけ簡単にご提言を申し上げたいと思うのは、中村会長も私も実はテクノロジーとコンテンツが融合する本拠であります秋葉原に大変注目しておりますので、ぜひ総理を初め大臣の皆さん、秋葉原を見ていただくと、世界のテクノロジーとコンテンツの最先端がどう動いているかというのがわかると思います。以前、菅副総理をお誘いしましたが、なかなか政局でいつもお見えになれないので、そのときはお忍びでメイド喫茶までご案内できればと思っていますので、ぜひよろしくお願いします。 ○古川内閣府副大臣 ありがとうございました。 それでは、知的財産推進計画2010(案)及びただいまの報告につきまして、皆様のご意見を伺います。時間が限られておりますので、できるだけ多くの方がご発言できるよう、恐縮でございますが、発言はお一人2分程度でお願いいたします。 まず、有識者本部員の方々から挙手の上、ご発言をいただければと思います。 相澤本部員、お願いします。 ○相澤本部員 ありがとうございます。知的財産推進計画2010は戦略性を明確にしてまとめられたというふうに思います。2つ申し上げたいことがございます。第1は国際標準化戦略についてでございます。前回のこの会議でも、私は、国際標準化は各省のプランをただ取り上げるだけではなく、知財本部としてオールジャパンのものを策定するべきだと申し上げました。今回まとめられたものがそういう方向で具体的になってきたので、大変よろしい状況ではないかというふうに思います。 現在、国家戦略としてグリーンイノベーション、それからライフイノベーションを推進するところですが、この2つのイノベーションを推進するにも、国際標準化を十分に見据えなければなりません。中でも、欧米だけではなく、中、韓、そしてASEANの諸国と連携をとる形で組んでいかないと、国際標準化は大変難しいバリアにぶつかるであろうと思います。この国際標準化戦略が、総理におかれては、国際展開のイニシアチブをとるためにも、強いバックアップとなるような形でつくられればというふうに考えております。 第2点は、産学官の競争力を世界最高水準に引き上げるという点であります。この知財戦略に深くかかわるところでもありますが、同時にこれは科学技術政策、イノベーション政策に連携して機能しないと、この趣旨が生かされません。そこで、イノベーションの出口を見据えた共創の場づくりということを強力に進めるべきではありますが、科学技術基本計画においてもその位置づけを明確にしておりますので、ぜひ明確なるポリシーのもとに連携を強力に進めるべきではないかと考えます。 以上でございます。 ○古川内閣府副大臣 ありがとうございます。 他の方で。佐藤本部員、お願いします。 ○佐藤本部員 私は前回、中小企業の知財支援について提言をさせていただきました。今回の推進計画2010においては、ワンストップの体制を整備するということが謳われました。これは大変すばらしいことだと思っております。 今、お手元にあります資料6−1にありますように、今までこの中小企業支援の事業としては、たくさんの事業を各省庁、官民一体になってやってきております。このワンストップショップの体制がこれらの事業と有機的に結合していくことによって、初めて成果が整うのではないかと思いますので、従前の支援事業をもう一度見直して、有機的に活用され、それによって中小企業の皆さんにとって非常に魅力のある支援体制をつくっていただきたいということを1点申し上げたいと思います。 それから、資料6−1の2枚目を見ていただきまして、前回のこの戦略本部に企画委員会、タスクフォースという形で知財本部の組織強化をしていただきました。これを踏まえた上で、これからは実際に今回定めた戦略を実行していく段階に入っていると思います。その中では、前回、総合科学技術会議、IT戦略本部、知財戦略本部の有識者同士の意見交換をいたしましたが、この3者の戦略をしっかりと政府が掌握し、これを国民にしっかりと発信していくと、さらにそれをドライブしていくということがこれからの大きな課題ではないかと思っております。 それから、タスクフォースに関しましても、今回、国際標準化を推進するという意味で国際標準化タスクフォースが生まれましたけれども、今回の推進計画の他の2つの戦略、これらについてもやはりタスクフォースをしっかりつくって、これを推進していくということをぜひお願いしたいと思っております。 以上でございます。 ○古川内閣府副大臣 ありがとうございます。 野間口本部員。 ○野間口本部員 私は資料6−2を使います。私が今います産業技術総合研究所では、総合力を発揮して4つの研究の柱を持っています。その成果の形として標準化を大変重要視していますので、その状況につきましてご紹介したいと思います。 政府としてこういうふうに標準化の重要性を謳っていただいて、国全体で取り組んでいこうということになりましたことは、日本の取り組みに1つの土性骨が入るということで、大変力強いことだと思っております。 まず6−2の1ページ目です。産総研の研究の柱は4つありまして、グリーンイノベーション、ライフイノベーションの推進、それから他に類を見ない先端技術開発でもリードするということ、それから持続可能社会の基盤になるような知的基盤の整備、そういうことを柱にしています。加えて、伝統的に計量標準などの日本の代表機関として活動しておりまして、標準あるいは規格への取り組みに関して大変マインドの高い研究所ですが、先導的な研究の成果も標準に提案する時代です。 例えば1ページ目は、グリーンイノベーションの中の一例ですが、太陽光とかバイオマスのように自然エネルギーに注目しました研究開発、これの出口で評価技術等を国際標準に提案する。できた日本の先進的な製品が公正に正しく評価される、そういう形にしようということで取り組んでいるものです。これ以外にもスマートグリッド等、先ほど津村政務官のほうからご説明されました重点分野、こういったものへの対応があります。ほんの一例をここに研究計画から抜き出して絵として見やすいものを持ってきたところです。ライフイノベーションでしたら、介護支援ロボットの標準─これは今世界で熾烈な競争になっています─などで、先端技術のところですと、従来よりもけた違いに省エネを図るような通信デバイス、などです。 2ページ目を見ていただきますと、実はこういう取り組みを伝統的にやっていたのですが、グローバルな競争環境下でますます標準を自ら提案することが重要になってきています。標準はだれかにつくらせて、その中でだれにも負けないものづくりをするという時代から、標準も自ら提案する時代ということで、産総研の中に国際標準推進部というのをつくりまして、産業界、大学の経験者も入れまして戦略を固めて――これは研究開発の実行に当たっての戦略ですが――取り組んでいこうというふうに考えております。 それから、もう一つ付け加えたいのは、国際標準を提案して、国際標準を定める中心としてテイクリードするというのは大変重要ですけれども、できた国際標準に適合しているかどうかの適合性評価という役割があります。これが非常に日本は手薄でして、これにつきましても地域の公設研等と連携して日本での適合性評価の力をもう一段高めようと。そして、日本の中に知が蓄積され、中小企業も含めて、適合性評価に関わるところは中堅、中小の企業が多いものですから、そういうところが活性化されることを支援することも視野に入っております。 主なところは以上でございます。 ○古川内閣府副大臣 他にございますか。山本本部員、お願いします。 ○山本本部員 この計画は大変よくまとまっている計画ですので、実行していただきたいと思います。 私は2点ございまして、先日、「BIO2010」という全世界のバイオ関係者1万数千人、製薬企業等が集まる大会に行ってきたのですが、そこではブッシュ前大統領とクリントン元大統領がバイオ政策について対談をしたり、翌日にはゴア元副大統領の温暖化についての議論が行われたりしていて、大変熱心な会議が開かれておりました。そこでも日本バイオバイオベンチャーですとか中小企業が海外への売り込みをやっているのですが、日本のブースの大体6倍ぐらいの面積でブラジルのブースとかがあって、BRICsの勢いの強さを感じました。従って、この計画の後にということではございましょうが、日本のバイオベンチャーですとか中小企業が海外に打って出て行けるような、そういった支援も充実していただきたいというのが1点です。 後は、前回津村政務官のご配慮で、IT戦略本部と知的財産戦略本部と総合科学技術会議のメンバーが議論する場を持たせていただきましたが、例えばグラウドコンピューティングによって日本人がグーグルのクラウドにアクセスをして、アメリカにサーバーがあって、例えばそこで使っているソフトはブラジル人がつくったなんていうと、一体どこの国の著作権で、いつまでそれが担保されるのかなんていうのは、恐らく世界中多くの人が抱える問題ですが、だれも解決策はもっていないと思うので、そういった意味では、今後はぜひIT戦略本部と知的財産戦略本部、あるいは総合科学技術会議、これはすべて表裏一体というところでございますので、そこでの議論で日本はどこで勝つのかといった議論に発展をさせていただければと考えております。 以上です。 ○古川内閣府副大臣 よろしゅうございますか。三尾本部員。 ○三尾本部員 私は戦略2のコンテンツ強化を核とした成長戦略についてお話をさせていただきたいと思います。 今日、新聞でグーグルテレビのことが報道されていまして、テレビとインターネットをシームレスにつなぐテレビということで、今後も世界的に通信と放送の融合が進んでいくというふうに考えます。 我が国もIPテレビを初めとしまして、いわゆる媒体となるものはでき上がってきております。けれども、これを成長戦略にまで進めていくためには、箱ができただけでは足りないというふうに考えます。やはり中を流れるコンテンツというものが十分豊富になければいけないと考えるわけです。 そのキーポイントというのは何かということなんですけれども、やはりいいコンテンツ、優れたコンテンツがたくさんつくられて、それが潤沢に流通していくという、この2つではないかというふうに思います。 このポイントを実現するには何が必要なのかということなんですけれども、いろいろあるかと思いますけれども、私が特に考えますのは、いろいろな種類の優れたコンテンツをつくるお金のないクリエーターたち、その人たちにビジネスチャンスを与えてあげるということではないかと思います。 どういったことができるのかということなんですけれども、私は自分のつくったコンテンツを安価で広く大衆へ発表できる場というものを確保してあげることが重要ではないかなというふうに思います。 その場というのはどういう場なんだろかということなんですけれども、一番効果的なのはやはり地上波ではないかと思います。地上波は今回フルデジタル化に伴いまして、ホワイトスペースができるということですので、一番いいゴールデンタイムを含めて、地上波の枠をクリエーターたちに開放してあげる。ユーザーも含めてだと思うんですけれども、一般ユーザーがつくるコンテンツというのも非常に面白いものがあります。ですので、このホワイトスペースの開放というのは非常にコンテンツの強化につながるのではないかというふうに思いますので、ぜひ実現していただきたいというふうに思います 以上です。 ○古川内閣府副大臣 ありがとうございました。 他にございますか。角川本部員、お願いいたします。 ○角川本部員 資料1−5、今のところと同じところだと思いますけれども、そこをご覧になっていただきたいんですが、コンテンツ強化を核とした成長戦略の推進。これは重点政策としてハリウッドに負けないファンドをまずつくろう、海外展開ですね。2番目に、長く時間がかかりましたけれども、模倣品・海賊版拡散防止条約、ACTAがいよいよ2010年にまとまる。人材育成をしていこう。それからまた4番目にコンテンツ特区が出てまいります。コンテンツ特区をつくっていろいろな規制の法律をクリアして、グーグルのようなデータベースの基地を北海道だとかそういうところにつくっていこうというふうなこの提案は、私もこの知財で7年委員をやっていますけれども、非常に画期的じゃないかと思います。内容的にも民主党の政権になっていいものが出てきたと信じておりますので、ぜひこれを実現していただくようにお願いしたいと思います。 以上です。 ○古川内閣府副大臣 ありがとうございます。よろしゅうございますか。ありがとうございました。 それでは引き続きまして、有識者本部員以外の本部員の方々から挙手の上、すみません、時間がちょっと押しておりますので、お一人様1分以内でご発言をお願いいたします。 内藤副大臣。 ○内藤総務副大臣 総務副大臣の内藤でございます。2点申し述べさせていただきたいと思います。 まず第1点、資料1−1、概要の目的のところにも明記されておりますが、3つ目の項目でございます。科学技術政策・情報通信技術政策と一体化して推進すべきだと。私はそのとおりだと思います。とりもなおさず、それぞれの分野には戦略本部がございます。その3つの戦略本部がそれぞれ別に動いていると、それぞれの戦略を具現化できないわけでございます。ですから、この文言どおり戦略本部のあり方も早急に具体化を図っていただきたいというふうにお願いを申し上げさせていただきます。 あと、2点目でございますが、放送行政を所管する総務省として一言申し上げさせていただくならば、やはりテレビ局がコンテンツ作成の大きな源になることは間違いないと思います。しかし、今テレビ局を見渡してみますと、どうも広告ビジネス型でなかなか駄目なんですね。やはりそれをコンテンツビジネス型へと転換を図っていかなければいけない。そこで、ヨーロッパあるいはアメリカなどでは、制作部門を強化するために、例えば基金を国として設けたり、あるいはフィンシンルールだとかそういったもので、制作部門を強化するような法規制だとか、そういったものもやってきたわけでございます。その結果、アメリカではディズニーとかそういった制作部門が強化されてきたわけでございますが、そういったところの取り組みも必要ではないかということを申し上げさせていただきたいと思います。 ○古川内閣府副大臣 ありがとうございました。 ほかにございますか。吉良政務官。 ○吉良外務大臣政務官 外務大臣政務官の吉良でございます。 まず外務省としましては、知的財産推進計画2010に沿って、関係省庁としっかり連携して取り組んでいくという決意表明をさせていただきたいと思います。 その上で1点、関係省庁にご協力をお願いしたいことがございます。一言で言えば、先ほど角川本部員からもご指摘がありました模倣品・海賊版拡散防止条約、ACTA交渉を推進、締結していくために、国内の関連法の整備、充実をお願いしたいということでございます。 お手元の資料の中で資料1−2の21ページをご覧いただきたいと思いますけれども、具体的な取り組み項目36にアクセスコントロール回避規制の強化ということがございます。アクセスコントロールとは、例えばゲームやDVDの正規購入者だけがそのコンテンツを楽しめるように当該コンテンツへのアクセスを制限しているものでございますが、近年ではこうしたゲームやDVDにおいて不正にアクセスコントロールを回避する行為が多発しております。こうした被害を防止する適切な規制を立法化することが必要でございます。先ほど申し上げましたACTAの前面に立って、私たち外務省はこのACTA交渉を提唱、指導してきたということで、議論は相当進展しておりまして、近々に妥結する見込みでございますが、我が国がこのACTA交渉をリードする以上、我が国自身の国内関連法を整備していかなければなりません。そうした観点から、ACTA交渉を通じて適切な国際規範を確保し、かつ国内の関連法の整備を充実するために関係省庁のご協力をお願いしたいと思っております。 以上であります。 ○古川内閣府副大臣 ありがとうございました。 次、高橋政務官、お願いします。 ○高橋経済産業大臣政務官 経済産業大臣政務官の高橋でございます。 先ほど多くの方から、この取りまとめた案につきましてぜひ実行してほしいというお話が出ました。まさに絵に描いた餅にならないように実行するために、経産省としても頑張っていきたいというふうに思っておりますが、特に先ほど資料の中にありました1−1、この3ページにあります国際標準化で特定戦略分野を7分野決めていただきました。これは画期的なことだろうと思います。このすべてに経産省は関わっております。そして、資料1−2のこの本編の後ろのほうに工程表がずらっとありますけれども、ほとんどすべての分野にこれも経産省が関わっておりまして、たくさん仕事をいただいたものですから、頑張って経産省もやっていきたいと思いますが、ぜひそれぞれの省庁が縦割りじゃなくて横串を入れて頑張れるように、実現ができるように皆さんの力をお貸しいただきたいというふうに思います。 それともう1点だけ。特許庁の関係でございますが、知的財産ということで、特許の特許料の引き下げということをやろうとしております。大学の特許の問題とかいろいろございますけれども、なるべく知的財産を守っていくためにも、特許料の引き下げを含めて特許申請の仕方など、いろいろ我々は取り組んでいきたいというふうに思っております。 以上でございます。 ○古川内閣府副大臣 ありがとうございました。 中井大臣。 ○中井国家公安委員会委員長 こういう会議に警察はほとんど用はないんですが、効果的な取り締まりを実施しろと、こう書いてあるので、承りまして、工夫をしてまいりますと同時に、課題をいただきましたインターネット上の諸問題も十分勉強させていただきたいと思いますが、1つ政府内部での調整をお願いしたいのは、現在、行政透明化検討チームというのが行われておりまして、情報公開をすさまじく開放するということでやっておられます。これはこれで1つでしょうけれども、本当にそれで知的財産を守れるのか。あっという間にすべて情報公開だというのがその発想でございまして、私どももいろいろとご注意を申し上げておるんですが、どんどこ前へ進んでおります。どうぞ、そういう意味で、古川さんのあたりだと思いますが、十分ご調整をいただきますようにお願いをいたします。 ○古川内閣府副大臣 受け止めさせていただきたいと思います。 よろしゅうございますでしょうか。ありがとうございました。それでは、ご発言はここまでとさせていただきます。 では、ただいまの議論も踏まえ、知的財産戦略本部として知的財産推進計画2010を本案のとおり決定したいと思いますが、ご異議ありませんでしょうか。 ご異議がないようでございますので、本案のとおり決定いたします。 それでは、ここで川端大臣から本日の総括をお願いいたします。 ○川端内閣府特命担当大臣 皆様にご協力いただきました、新たな知的財産推進計画2010を決定することができ、担当大臣として感謝申し上げたいと思います。 昨年12月の本部会合以来、半年かけて検討を行っていただきまして、国際標準化戦略の推進、コンテンツの強化、産業横断的な知的財産強化という、大変重大なテーマの3つに絞り込んでこのテーマを決めた、そして工程表をつくったということは、既にもうこの知的財産という切り口で省庁の壁を乗り越えて、国として意思を持って一体的に取り組むということを明確に示したという意味では、今までにない手法をとれたというふうに思っております。 問題は、中身を本当にしっかりやっていくことに尽きます。特に標準化特定戦略分野は7つの分野を中心として決めましたけれども、次期、2020年までというトータルの成長戦略の位置づけでありますけれども、分野によっては、サッカーの試合でいえば後半戦も残り5分ぐらいに入っているところもあれば、メンバーがこの前発表されたという段階の試合もあれば、いろいろな段階でありますだけに、大変熾烈な状況も現に動いております。そういう意味では、それぞれに時期を得て各省庁が緊密な連携をとって、政府一体となって取り組むことが必要でありますので、ぜひとも推進方、それぞれの府省によろしくお願い申し上げ、この計画の内容を新成長戦略に盛り込んで、着実に工程表に基づいて実行できるように努めてまいりたいと思います。 どうもありがとうございました。 ○古川内閣府副大臣 ありがとうございました。ここでプレスが入室しますので、少々お待ちください。 それでは、鳩山総理からご挨拶をお願いいたします。 ○鳩山内閣総理大臣 本部員の皆さん方は、誠に今日も大変熱心なご議論をいただいて、知的財産推進計画2010をおまとめいただきましたことを心から感謝、御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。 今お話がありましたように、この大変大きな分野、国際標準化で、戦っています。さらに、知的財産、強化をしなければなりません。コンテンツも誠に同じでございます。この3分野、2020年までということでございますが、数値目標をしっかと掲げて、戦う姿勢を日本政府が民間と協力していく中でつくり上げて参ったということでございます。 角川本部員からは、かつてないことだと、期待をしているというご評価もいただきました。それだけに、絵に描いた餅にしないで、しかもこれは相手がある話でございますから、日本だけが2020年までにこうすればいいと思っているうちに、相手はどんどん先を行くかもしれません。相手に負けないような戦略を示していかなければなりません。 特に国際標準化に関して7つの分野、これは先発メンバーを発表したということでございます。次世代自動車、水、先端医療、さらにはコンテンツメディア、ロボット、鉄道、そしてエネルギーマネジメント、この7つの分野が先発メンバーとして発表されたわけでありますが、ほかの分野が外れたというわけではありません。さらに日本としてこれから技術的に大いに発展をされなければならないところも、どんどん追々出てくると思っておりますが、まずは7つの分野を中心にこの国際標準化の戦いに参上してまいるわけでございますので、皆さん方のさらなるご協力、ご指導を願いたいと思っております。 省庁の壁を破れという話がございました。大事なことは、やはりこれは相手がある話でありますから、スピードを持って臨むことでございます。もし省庁の壁の中でうまくいかないものがあるとすれば、それは私たちが政権をとった意味がありません。ぜひそういう意味での新政権に皆様方は期待をしていただきたいと思いますし、そのための知財戦略本部だと、そのように思っておりますので、今日のこの計画をおまとめいただいたことに感謝を申し上げながら、なおさらなるこの具体化に向けてのご指導をいただきますことをお願いいたします。どうぞよろしくお願いします。今日はありがとうございました。 ありがとうございました。 それでは、時間となりましたので、本日の本部会合を終了いたします。なお、本日の会合の内容につきましては、この後私から記者会見を行わせていただきます。本日はどうもありがとうございました。 |