持続可能な開発目標(SDGs)推進本部会合(第1回)
議事録

【菅内閣官房長官】
 ただ今から、持続可能な開発目標(SDGs)推進本部の第一回会合を開催いたします。それでは、議事に入ります。まず、議事1「持続可能な開発目標(SDGs)の実施のための我が国の指針の策定」について、和泉総理補佐官から説明をお願いします。
【和泉総理補佐官】
  • 資料1でございますが,「持続可能な開発目標、SDGs実施のための我が国の指針の策定」について御説明いたします。
  • SDGsの採択にいたる経緯について、資料の2ページ目上段を御覧下さい。SDGsの前身は、2001年に国連で策定されたミレニアム開発目標、MDGsです。発展途上国向けの開発目標として、2015年を期限とする8つの目標を設定しました。
  • MDGsは、一定の成果を達成した一方で、未達成の課題も残されました。また、環境問題や気候変動の深刻化など、新たな課題が浮上し、開発を取り巻く国際的な環境も大きく変化しました。
  • 下段にあるとおり、SDGsは、こうした状況に対応すべく、2015年9月の国連サミットで、全会一致で採択されたものです。先進国を含む国際社会全体の開発目標として、2030年を期限とする包括的な17の目標を掲げています。
  • SDGsは、人間の安全保障の理念を反映した「誰一人取り残さない社会」の実現を目指し、経済・社会・環境をめぐる広範な課題に、統合的に取り組むこととしています。
  • SDGsの詳細につきましては、資料の3ページ目を御覧下さい。個別の目標の御説明は割愛しますが、先進国内でも取り組むべき課題が多く含まれています。その達成に向けては、非常に広範な省庁の取組が関係してくることとなります。
  • SDGsの実施のための我が国の指針の策定について、資料の4ページ目を御覧ください。上段にあるとおり、日本は、SDGsの採択に積極的に貢献し、質の高いインフラ、保健、女性を始め、我が国の重視する要素が盛り込まれました。
  • 今後、国内実施と国際協力の両面で率先して取り組んでいくべく、我が国の内外の取組を省庁横断的に総括し、優先課題を特定した上で、「SDGs実施指針」の策定を進めていきたいと考えております。指針の策定後は、指針に沿って各省庁で取組を推進し、定期的に実施状況のフォローアップや指針の見直しを行っていくことを想定しております。
  • 以上で、資料1についての御説明を終わります。
【菅内閣官房長官】
ただいまの説明に関連して、何か御発言等ございますか。
【岸田外務大臣】
  • 我が国は、SDGs策定に向けた議論に積極的に貢献してきました。その結果、「人間の安全保障」を始めとする我が国の考え方がしっかり反映されています。
  • 外務省としては、ODAを通じ、開発途上国のSDGs達成に貢献していきます。G7伊勢志摩サミットに向けても、中東地域の社会安定化と包摂的成長、国際保健システム強化、女性の活躍推進のための貢献策や新たな開発戦略を策定しました。
  • 今後、SDGsの達成のため、関係閣僚の御協力をよろしくお願いいたします。
【加藤内閣府特命担当大臣(男女共同参画)】
  • SDGsでは、「ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う」という目標が掲げられています。また、SDGsの実施にあたり、ジェンダーの視点の主流化は不可欠であるとされています。
  • この後の会合で、「女性活躍加速のための重点方針2016」が決定される予定であります。SDGsの目標も踏まえつつ、女性の活躍推進に取り組んでいきたいと思っています。
【森山農林水産大臣】
  • 飢餓撲滅は、先進国が責任を持って対応すべき課題であります。
  • G7新潟農業大臣会合でも、世界の食料安全保障の確保に取り組むことに合意しました。
  • 我が国としては、自らの食料自給率向上に加え、技術協力等を通じて途上国の飢餓撲滅にも貢献したいと考えます。
  • 「持続可能な開発目標」実現に向け、しっかり対応して参ります。
【丸川環境大臣】
  • 先般開催したG7富山環境大臣会合において、SDGsを議題とし、SDGsの達成には、環境政策と統合的に進めることが有効・重要であるとの共通認識を得ました。また、持続可能な消費と生産、食品廃棄物等についてG7が協調して行動することをコミュニケに盛り込みました。
  • 国内においては、SDGsの達成に向けた先駆的な活動を展開する企業や市民団体等を集め、活動を認め合う「ステークホルダーズ・ミーティング」を設置します。
【馳文部科学大臣】
  • 文部科学省としては、持続可能な開発のための教育(ESD)の推進をはじめとする「教育2030行動枠組み」の着実な実施などにより、SDGsの達成のため全力で取り組みたいと考えています。
【菅内閣官房長官】
 他に御発言もないようですので、持続可能な開発目標(SDGs)の実施のために我が国としての指針を策定していくことについて、本推進本部の決定としたいと考えますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
【菅内閣官房長官】
 それでは、本件については、本推進本部の決定といたします。
(報道、ペン記者入り)
【菅内閣官房長官】
最後に、総理から御発言をお願いします。
【安倍内閣総理大臣】
  • 持続可能な開発目標、SDGsは、前身であるMDGsと異なり、先進国を含む全ての国が取り組む世界共通の目標です。この観点から、日本においても、私自身を本部長とするSDGs推進本部を立ち上げ、日本政府としての実施指針を作成することを指示しました。
  • 持続可能な開発は、伊勢志摩サミットでも、大きな議題となります。議長としてG7各国のリーダーにもSDGsへの積極的な取組を呼びかけるため、我が国として以下の貢献策を決定しました。
  • まず、途上国の女性の活躍です。このために新たに策定した開発戦略に基づき、3年間で5千人の女性行政官等の育成と5万人の女子の学習環境の改善に取り組みます。
  • また、国際保健について、公衆衛生危機対応、感染症対策、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ達成のため、グローバルファンド、WHO、世銀のパンデミック緊急ファシリティ等に対して、今後新たに約11億ドルの支援を行う方針です。
  • 難民を始め深刻な人道危機に直面する中東地域の社会安定と包摂的成長のため、本年からの3年間で、約2万人の人材育成を含む約60億ドルの支援を行います。同時に、シリアの若者に日本への留学機会を増やし、また、難民支援の現場にJICA専門家等を派遣したいと思います。
  • 関係閣僚においては、G7伊勢志摩サミットの成果を基に、8月に初めてアフリカで開催されるTICAD、9月の国連総会に向けて、我が国がSDGsの取組において世界をリードするよう、緊密に連携し、政府一丸で取り組むようお願いします。
【内閣官房長官】
それでは、以上をもって、持続可能な開発目標(SDGs)推進本部の第一回会合を終了します。

(了)