西村経済再生担当大臣記者会見要旨


令和2年4月3日(金)18:54~19:10
於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室

1.冒頭発言

 本日、未来投資会議を開催し、新型コロナウイルス感染症に関する対策の具体化、いわゆる6G(ビヨンド5G)の推進、オープン・イノベーションの推進、学校現場におけるオーダーメイド型教育(ギガ・スクール)、雇用を守るために期待される人材像と育成、について議論しました。
 なお、今回は、オープン・イノベーションの推進における、大企業とスタートアップ企業の契約のあり方との関係で、杉本公正取引委員会委員長にもご参加いただきました。
 議論の結果は、以下の通りです。

 まず、新型コロナウイルス感染症に関する経済政策についてです。
 中小・小規模事業者の皆さんには、日本公庫の融資制度を利用頂いているところですが、窓口が混雑し、融資決定まで時間を要するという声があります。
 このため、来週決定する緊急経済対策で、史上初めて、身近な地方銀行、信用金庫・信用組合といった民間金融機関で、日本公庫と同一の実質無利子・無担保、最大5年間、元本返済・据え置きの融資を受けることができるようにします。
 あわせて、集中ヒアリングにおいては、借入れをしても返済の目途が立たないため、借 入れをできず、事業を継続できなくなる、といった声をいただきました。
 厳しい状況にある中堅・中小・小規模事業者に対し、事業を継続、持続していくことを目的として、史上初の給付金制度を創設します。

 次に、将来に向けた技術開発についてです。
 2030年頃に導入されるビヨンド5Gを見据えた国際共同研究を推進し、グローバルな官民連携の体制を整備します。
 また、企業連携によるイノベーションを成功させるため、スタートアップ企業が大企業から一方的な契約上の取り決めを求められたりしないよう、問題事例とその具体的改善の方向や、独占禁止法の考え方を整理したガイドラインを策定します。

 さらに、デジタル技術を活用した遠隔教育などについてです。
 学校現場では、一人一台端末の前倒し実現を図るとともに、AIの活用で一人一人の生徒の学びの状況に応じた学びが可能となることを踏まえ、特定の科目の授業時間を柔軟に増減できるよう検討を進めます。
 また、新型コロナウイルス感染症が拡大している現状において、テレワークなどの遠隔対応は、国民生活の維持の観点から、喫緊の課題であります。
 特に、患者の方々のみならず、医師・看護師の皆様を、院内感染リスクから守るためにも、この機会にオンライン診療を積極的に活用することが重要であります。規制改革会議で早期に結論を得ることとしております。

   最後に、総理からは、私を中心に、関係省庁が連携し、本年夏の成長戦略実行計画の策定に向けて、具体的な検討を進めるよう指示がありました。

2.質疑応答

(問)一人一台端末の前倒しについて、現在の計画では2023年度をゴールとしているが、どのくらい前倒しをするのか伺いたい。また、AIで学び、授業時間を柔軟に増減できるようにするとのことであるが、文部科学省の標準授業時数についての弾力運用を求めるということでよいのか。 

(答)前者は、経済対策、そしてその後の補正予算案の中で、検討を進めているところでありまして、できる限り前倒しをしたい。後者は、まさにその通りでありまして、文科省において検討を進め、是非実現したいと考えております。
 

(問)中小・小規模事業者への給付金制度の創設について、規模に関しては何か話は出たのでしょうか。 

(答)規模については、議論をしておりません。集中ヒアリングにおいても、中小・小規模事業者については様々な声を伺っておりますし、今日も、全体として、今は緊急の事態であると、まさに、事業を意図的に止めていただき、それによって感染拡大を防いでいこうという時期ですので、しっかりと支援をしてほしいという声はございました。


(問)どのような産業が、給付金の対象となるのでしょうか。 

(答)具体的な制度設計は、これから検討を急ぎたいと思いますが、基本的に、今回の感染症の影響によって事業が厳しい状況にある、そうした中小・小規模事業者を対象にしたいと思っております。ただ、当然、公的支援を受ける範囲がありますので、範囲があるというのは、これまでこうした支援の対象外になっている事業もありますので、そういったことを念頭に置きながら、具体的な制度設計を急いでまいりたいと思っております。 


(問)オンライン診療の規制緩和を巡って、厚労省と規制改革会議で議論が続いているが、大臣は、医療現場の様子を見られていて、どのような対応が必要とお考えか。 

(答)様々な観点から議論がされております。まさに、感染症のリスク、ひょっとしたら感染しているかもしれない方が突然医療現場に来られることで、感染を広げるリスクがありますし、また医療関係者も感染のリスクが高まるということもありますので、そうした観点も踏まえながら、様々な視点から議論が進められていますので、私は議論の進展を期待したいと思います。 


(問)新型コロナウイルス感染症に関して、今日東京都で新規の感染者が89人確認されました。昨日より減ったものの、依然として多い状態が続いています。これに対する受け止めと、緊急事態宣言が近づいたのかどうか、現状の認識を伺いたい。

(答)89名という報道は承知をしておりますが、その内容を専門家の皆さんがこれから分析をして、その結果を伺うことになると思いますが、昨日も97名増加ということで、非常に高い数字が続いておりますので、大変憂慮しております。まさに、瀬戸際の状況が続いていると思います。そうした強い危機感を専門家の皆さんとも共有しているところでございます。緊急事態宣言については、日々状況が変化している中で、専門家の皆さんの分析やご意見をしっかりお聞きしながら、判断をしていくことになります。今日の午前中も、尾身理事長を始め、何人かの専門家の皆さんと状況の確認をいたしました。午前中の段階では、そのような状況にはないというご判断でありましたが、非常に高い緊張感を持って数字を見ているところであります。ネット上でデマも流れましたが、緊急事態宣言を出したとしても、欧米でやっているようなロックダウンとは異なりますので、いわゆる都市封鎖のようなことはできないとこれまでも何度も申し上げておりますが、いずれにしても、感染の状況を専門家の皆さんにしっかり分析していただきながら、それをよくお聞きをして、適切に判断していきたいと思います。 


(問)公正取引委員会杉本委員長から報告があった、これから策定されるであろうガイドラインは、知的財産に限ったものではなく、スタートアップと大企業の契約に関して、様々なことについての独禁法のガイドラインという理解でよろしいか。 

(答)そうですね。いろんな事例が紹介されていますので、公取委の資料にもありますけれども、さまざまなケースが、知財の件もあれば独占契約みたいな話もありますし、あるいは人件費なども考慮して工数の見積もりとか開発期間とか、こうしたことについて一方的な要求もあるということもありますので、さまざまなことを公取委において検討していただいて、そうした調査を踏まえてガイドラインを作っていくということになると思います。 


(問)経済対策の現金給付について伺います。自民党の岸田政調会長が本日午後総理と会談して、一定の水準まで所得が減少した世帯に、一世帯30万円を支給すべきということで合意したと思うが、一世帯30万円という水準の大臣の受け止めと具体的な減収の基準や配付方法、給付のスケジュール感など検討状況を伺いたい。 

(答)まず、30万円という数字についてはさきほど総理もお会いし確認させていただきました。総理と岸田政調会長との間で30万円ということで合意したということでありますので、所得が減少した世帯について支給をしていくということになります。具体的な制度設計はこれから行っていきますので、詳細はこの検討を急ぎたいと思いますが、自民党、公明党からさまざまなご提案をいただいたなかで、それにお答えする形でこのような形で決定したと理解をしております。本当に厳しい家庭、世帯にしっかりとできるだけスピーディにお届けできるようにしたいと思います。 


(問)中小企業への無利子・無担保で金融機関から融資ができる点について、コロナに関係なく、東京信用保証協会などでは災害を含めたセーフティネットを設けているが、イメージとしてはそういったものになるのか。新型コロナを理由に売り上げ減少という企業が対象になると思うが判断はどのように進めていくのか。 

(答)基本的に、日本公庫が行っている仕組みと同様の仕組みを考えています。もちろん、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた中小・中堅企業についてということで、日本公庫の仕組みが基本にあって、それを各都道府県の制度金融と連携をさせながら、地銀・信金・信組に同様の仕組みを作ってもらうということになります。

(以上)