西村経済再生担当大臣記者会見要旨
令和2年2月7日(金)18:45~18:56
於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室
1.冒頭発言
本日の未来投資会議は、昨年末にとりまとめた中間報告で提起された課題も含めて、本年夏の新たな成長戦略実行計画の策定に向けて、今後の進め方について議論をいただきました。
議論の結果は、次の通りです。
第一に、経済社会が大きく変化する中で、ライフスタイルの多様化は時代の必然であり、働き方改革をさらに進めていく必要があります。
人生100年時代を迎え、若年層、若い層が希望する働き方を選べる余地を作っていく必要があります。兼業や副業をやりやすくするため、労働時間に関するルールを明確化いたします。
さらには、昨年12月の経済対策で全ての小学生、中学生に1人1台のIT端末をそろえることを決めました。これにあわせて、ソフト面の改革が不可欠であります。オーダーメイド型の教育や多様な外部人材の活用などの具体的方策についても議論をいたします。
第二に、変化のスピードを先取りし、これまでにない価値を生み出す鍵はベンチャー精神ということで、大企業の事業再編を促進しつつ、大企業とベンチャー企業の連携促進や契約の適正化を図っていきます。
中小企業については、生産性向上への支援を図るとともに、大企業との共存共栄のために、引き続き、取引の適正化を図ります。
第三に、デジタル時代の規制改革を大胆に進めていくというなかで、利便性の高いキャッシュレス化の環境整備を図るとともに、金融分野のシステムの見直しを図ります。
第四に、SDGsの実現にも貢献するため、エネルギー・環境について、Beyondゼロを目指して、革新的イノベーションを牽引するということであります。
総理からは、以上の点も踏まえまして、本日、議員の皆さんから頂いた御意見も取り入れて、私をはじめ、関係大臣において、本年夏の成長戦略実行計画の策定に向けて、与党とも議論しつつ、具体的な検討を進めるよう指示があったところであります。
2.質疑応答
(問) 兼業・副業の促進について、ルール整備が、企業やオープン・イノベーションといったところにどうつながっていくのか、意義や必要性について、大臣の見解を伺いたい。
(答) 兼業・副業により、本業の仕事、事業だけではなく、それとは別の様々な活動に関わることで、視野が広がり、また、別業種の色々な考え方、多様な考え方に接することができるわけであります。そうした中で、新しい世の中の動きなども感じ取りながら、本業では得られない感覚を身につけながら、イノベーション、技術開発、新しい商品開発、あるいは新しい事業、こういったものにプラスになっていきます。
よく、本業にマイナスになるのではないか、本業が疎かになるのではないか、という意見もありますが、多くの方から、本日も、本業にプラスになるという御意見がありましたし、様々な所でも言われております。最近では、多くの企業がそういった取組を進めているところでありまして、是非、兼業・副業は視野を広げるということで促していく。しかし、そのためのルールが明確でないところがありますので、今夏に向けて、ルールを明確化していきたいと思っております。
私自身、経済産業省から経済企画庁に出向して、経済政策、マクロ政策、国家政策といったことの経験もしましたし、石川県庁に出向して、地方自治の現場を経験いたしました。そのことが、いわゆる経済産業、通商政策も含めて、大きく活かされたと思っております。これは出向の体験でありますが、兼業・副業、あるいは様々なNPO活動も含めて、本業とは違う活動をすることによって、視野を広げて、多角的な観点から、新しい発想で、本業にもプラスになっていくと考えております。
(問) 未来投資会議で議論するには日本経済が成長軌道を描いていくことが前提だと思うのだが、本日発表された景気動向指数の速報値の基調判断が5か月連続で悪化となった。景気の後退局面入りも引き続き懸念されるが、今回の結果を踏まえて、景気は拡大局面に引き続きあるのかどうか、大臣の認識を伺いたい。
(答) 12月分の景気動向指数は、生産は嬉しいことに3か月ぶりの増加となったわけですが、他方、出荷が減少するなど、前月から横ばいとなったことから、前月の基調判断を踏襲し、機械的に判断するものですが、「悪化」ということであります。出荷指数の大半は寄与度の7割くらいが自動車でありまして、ご案内のとおり自動車の生産・出荷が落ちているわけであります。これは個別の会社の不具合があって出荷が遅れているということ、また、2月以降に新しいモデルを発表するということの買い控えなどもあるということだと思いますが、12月まではそういう評価でありますけれども、ここにきて、新型コロナウイルスの影響で、中国での生産停止、中国での部品供給が今後滞る可能性がでてきていますので、こうしたことをしっかりと注視しなければならないと思っています。
それから、ご案内のとおり商業販売も、今回小売業はマイナスとなっていますが、台風の影響、あるいは12月の休日は2日少なかったこと、あるいは記録的な暖冬で冬物がなかなか売れないということから、景気動向指数では前月を踏襲して「悪化」ということでありますが、ご指摘の通り、先月の月例経済報告では、「緩やかに回復している」と判断していますが、同時に、輸出や生産の弱さを踏まえて、「製造業を中心に弱さが一段と増している」という評価をしております。
政府としての景気判断は、いずれにしても、この景気動向指数に加えて、サービス業や公共投資など全体を見て、2月の月例経済報告のなかでお示ししたいと思っております。
10月の消費税増税前の駆け込み、その後の落ち込みは14年の時ほどではないという見方は変えておりませんが、その後台風があり、海外経済の動向があり、そして輸出・生産が弱含んだということ、そして、暖冬がありということで、10-12月はなかなか厳しい数字になるのかと思っております。国会でも答弁いたしましたが、14年のときは二四半期連続GDPはマイナスになって、その後、緩やかに戻ってきているということでありますけれども、今回は、多くの商業、百貨店等の皆さんと意見交換しましたが、「年末の商戦でぜひ取り戻したい」と何人かの方がおっしゃっておられて、是非そうなるようにと期待感を持っていましたが、暖冬があり、ここにきて新型コロナウィルスの影響がありますので、しっかりとみながら、まずは補正予算が成立しましたので、中小企業対策もありますので、しっかりと実行して、経済運営に万全を期していきたいというふうに考えております。
(以上)
|