令和6年10月1日石破内閣総理大臣記者会見終了後の書面による質問に対する回答

【産経新聞】
 拉致対策について、憲法改正について

(回答)
 我が国の北朝鮮に対する基本方針は、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化を実現するというものです。とりわけ、拉致被害者やその御家族も御高齢となる中で、時間的制約のある拉致問題は、ひとときもゆるがせにできない人道問題であるとともに、その本質は国家主権の侵害であり、政権の最重要課題です。
 拉致問題の解決に向けた今後の対応について具体的にお答えすることは差し控えますが、全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現するとともに、北朝鮮との諸問題を解決するため、内閣総理大臣である私自身の強い決意の下、総力を挙げて取り組んで参ります。
 また、憲法改正について、内閣総理大臣の立場からは、具体的な議論の進め方等について直接申し上げることは控えますが、私の総理・総裁任期中に、国会への発議を実現していただくべく、今後、憲法審査会において、与野党の枠を超え、建設的な議論を行い、国民的な議論を積極的に深めていただくことを期待します。

【東京新聞】
 選択的夫婦別氏について、マイナ保険証について

(回答)
 選択的夫婦別氏制度の導入を求める声があることは承知をしていますが、夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方については、国民の間に様々な意見があると承知しています。
 家族の在り方の根幹に関わる問題でもあり、最高裁決定においても、国会で論ぜられ、判断されるべき事柄であるとの指摘がなされています。
 政府としては、国民各層の意見や国会における議論の動向等を踏まえ、必要な検討を行ってまいりたいと考えております。
 マイナ保険証は、本人の健康・医療情報を活用した適切な医療の提供に大きく寄与するものです。一方で、マイナ保険証が使えないといった様々な不安の声に丁寧に対応する必要があります。
 現行の健康保険証の新規発行終了については、法に定められたスケジュールにより進めていきますが、マイナ保険証が利用できない方も確実に保険診療が受けられるよう、資格確認書の活用も図ってまいります。
 さらに、資格確認書でも保険診療が受けられることなど、高齢者の方にも伝わるよう周知を徹底し、不安の払しょくに向け、丁寧に進めてまいります。

【西日本新聞】
 九州の防衛力整備について

(回答)
 戦後最も厳しく複雑な安全保障環境を踏まえれば、九州を含む南西地域の防衛体制の強化は喫緊の課題です。
 南西地域の防衛体制の強化に向けては、これまで南西地域の陸自部隊の空白を埋めるべく奄美大島(あまみおおしま)を含む南西島嶼(とうしょ)部への部隊配備を行ってきました。今後も、令和6年度に大分県湯布院駐屯地に地対艦誘導弾部隊を配備するほか、令和7年度には佐賀駐屯地(仮称)を開設してⅤ-22オスプレイを配備する予定です。さらに、南西方面における後方支援基盤として、崎辺東地区において大規模な岸壁の整備や補給施設等の後方支援施設の整備を行うことも計画しています。
 このような防衛体制の強化は、力による一方的な現状変更やその試みを決して許容しないとの我が国の意思を示すとともに、我が国の抑止力・対処力を高めることで、我が国への武力攻撃そのものの可能性を低下させるものであり、我が国国民の安全につながるものと考えています。
 自衛隊施設の安定的な運用、部隊活動の円滑な実施にあたっては、地元のご協力が必要不可欠です。今後とも、地元の皆様に対する丁寧な説明や適切な情報提供に努めてまいります。

【中国新聞】
 核の持ち込みについて、核共有について

(回答)
 政府としては、非核三原則を政策上の方針として堅持しており、これを見直すような考えはありません。
 現下の安全保障環境を踏まえれば、核抑止力を含む米国の拡大抑止の信頼性を維持・強化していくことが不可欠であると考えています。

【信濃毎日新聞】
 防災省構想について、文科省の地震調査研究推進本部や火山調査研究推進本部との連携について

(回答)
 火山噴火や地震への備えも含め、事前防災の徹底に向けて、まず、現在の内閣府防災担当の機能を予算・人員の両面において抜本的に強化するとともに、平時から不断に万全の備えを行うため、専任の大臣を置き、災害対応のエキスパートを揃(そろ)えた防災庁を設置すべく、準備を進めていきます。
 こうした各種の取組が、将来的な「防災省」の設置にもつながっていくものと考えています。
 また、文部科学大臣を本部長とする地震調査研究推進本部や火山調査研究推進本部が行う調査研究の成果は、政府の防災対策の企画立案のために役立てられているところであり、引き続き、防災庁の設置準備を進める中で、関係機関の連携を強化してまいります。

【新潟日報】
 拉致対策及び拉致被害者御家族等との面会について

(回答)
 我が国の北朝鮮に対する基本方針は、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化を実現するというものです。
 とりわけ、拉致被害者やその御家族も御高齢となる中で、時間的制約のある拉致問題は、ひとときもゆるがせにできない人道問題であるとともに、その本質は国家主権の侵害であり、政権の最重要課題です。
 10月2日、拉致被害者の「家族会」の方々に電話で就任の御挨拶をした際、様々な御意見や切実な思いをおうかがいしました。また、10月17日には、拉致被害者の御家族の方々と官邸でお会いし、長年にわたり肉親との再会を強く求める御家族の思いや切迫感を受け止めました。
 拉致問題の解決に向けた今後の対応について具体的にお答えすることは差し控えますが、全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現するとともに、北朝鮮との諸問題を解決するため、内閣総理大臣である私自身の強い決意の下、総力を挙げて取り組んで参ります。

【南日本新聞】
 エネルギー政策について

(回答)
 AI(人工知能)時代の電力需要の激増が見込まれる中、脱炭素化を進めながらエネルギー自給率を抜本的に高めることが重要です。
 そのため、省エネルギーを徹底し、再生可能エネルギーを拡大するとともに、安全性の確保を大前提とした原子力発電を利活用することも必要です。
 再生可能エネルギーか原子力か、という議論ではなく、利用可能な脱炭素電源は適切にしっかりと活用していくという考えです。
 こうした足元の情勢も踏まえて、次期エネルギー基本計画について、国の審議会でしっかりと検討してまいります。

【琉球新報】
 日米地位協定について

(回答)
 10月1日の記者会見で既に回答したとおりです。

【ニッポン放送】
 内閣の人選について

(回答)
 すべての人が「安心と安全」を感じることができる日本を作り上げるため、閣僚にはそれぞれの担当分野に精通し、本人の能力や経験を最大限発揮できる人物を起用しました。
 ご指摘の村上総務大臣についてもこの方針の下で、任命したものです。また、旧派閥の影響については一切ありません。

【日刊ゲンダイ】
 マイナ保険証について

(回答)
 マイナ保険証は、本人の健康・医療情報を活用した適切な医療の提供に大きく寄与するものです。一方で、マイナ保険証が使えないといった様々な不安の声に丁寧に対応する必要があります。
 現行の健康保険証の新規発行終了については、法に定められたスケジュールにより進めていきますが、マイナ保険証が利用できない方も確実に保険診療が受けられるよう、資格確認書の活用も図ってまいります。
 さらに、資格確認書でも保険診療が受けられることなど、高齢者の方にも伝わるよう周知を徹底し、不安の払しょくに向け、丁寧に進めてまいります。

【畠山理仁氏(フリーランス)】
 被災地における選挙について

(回答)
 被災地においては、総務省と連携しながら、投票所の確保など、選挙の執行に向けた準備を進めていただいております。
 政府においては、選挙事務に精通したアドバイザーを被災地に派遣し、現地の状況把握及び選挙の執行に向けた助言等を実施しているところでもあり、引き続き、県選挙管理委員会とも緊密に連携し、被災地における選挙の実施に万全を期してまいります。

【大川豊氏(フリーランス)】
 福祉支援の強化を含む防災体制の強化について

(回答)
 我が国の災害対応力の強化に向け、まず、現在の内閣府防災担当の機能を予算・人員の両面において抜本的に強化するとともに、平時から不断に万全の備えを行うため、専任の大臣を置き、災害対応のエキスパートを揃えた防災庁を設置すべく、準備を進めていきます。
 災害対応は初動から復旧・復興まで多くの省庁が密接に連携して対応する必要があるため、防災庁が機動的に各省の総合調整を行えるよう、必要な体制を整備していきます。
 防災庁を設置し、自然災害における事前防災や発災後の対処を万全なものとすることは、原子力災害等への対応にも役立つものと考えています。
 また、災害時における福祉支援の強化については、DWAT(災害派遣福祉チーム)等による活動範囲の見直しや、災害救助法の改正等を検討しているところです。高齢者や障害者等の要配慮者に対し、災害時に福祉的な支援を継続して行うことができるよう、政府として必要な対応を行ってまいります。

【ロイター通信】
 経済環境の認識及び金融政策について

(回答)
 政府として、「デフレ脱却」とは、「物価が持続的に下落する状況を脱し、再びそうした状況に戻る見込みがないこと」と定義しています。
 足下の物価動向を見ると、消費者物価は緩やかに上昇しており、日本経済は、デフレの状況にはありませんが、「再びデフレに戻る見込みがない」といえる状況には至っておらず、「デフレ脱却」には至っていないと考えています。
 金融政策の具体的な手法については日銀に委ねられるべきと考えており、政府としてそれ以上のコメントをすることは差し控えます。

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