令和5年3月17日岸田内閣総理大臣記者会見終了後の書面による質問に対する回答
【東京新聞】
LGBT理解増進法案等について
(回答)
G7各国とは、LGBTの問題を含め、様々なやりとりをしておりますが、その一つ一つについて明らかにすることは差し控えさせていただきます。
いずれにせよ、性的指向、性自認を理由とする不当な差別や偏見は、あってはならず、政府としては、多様性が尊重され、全ての人々がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる社会の実現に向け、引き続き、様々な国民の声を受け止め、しっかりと取り組んでまいります。
御指摘の差別解消法案については、昨年の通常国会で、議員立法の法案として衆議院に提出され、継続審議となっていると承知していますが、超党派の議連におる議論の結果、理解増進法案が策定され、現在、自民党においては、同法案の提出に向けた準備が進められています。政府としては、こうした議員立法の動きを尊重しつつ、見守っていきたいと考えています。
本年G7議長を務める日本政府として、こうしたことを改めて国の内外に対して丁寧に説明をしていく努力を続けてまいります。
【テレビ東京】
日本学生支援機構の利益や有価証券・現預金の取り扱いと、奨学金制度のあり方について
(回答)
御指摘の「利益」は、利息収入などの事業収入によって計上されたものではなく、「貸倒引当金戻入益」によるものです。
また、「有価証券・現預金」については、貸与・給付といった奨学金事業を実施するための運転資金です。
これらの資金は、日本学生支援機構の翌年度以降における奨学金事業を実施するための資金として活用されております。
なお、有利子奨学金の利率は財政投融資の利率等をもとに決定されており、その利息は、財政投融資における利払いに充てられています。
高等教育費の負担軽減については、令和6年度から、給付型奨学金等について、多子世帯や理工農系の学生等の中間層へ対象を拡大するとともに、出世払い型の奨学金制度の導入にも取り組むこととしています。
さらに、結婚や出産などライフイベントに応じた柔軟な返済が可能となるよう、減額返済制度の見直しを行います。
【信濃毎日新聞】
中央省庁の地方移転について
(回答)
政府関係機関の地方移転の取組については、平成28年に決定した「政府関係機関移転基本方針」等に基づき、京都における文化庁の全面的な移転や、徳島における消費者庁の恒常的拠点の設置等をはじめ、中央省庁7機関、研究機関・研修機関等23機関50案件に関して地方移転の取組を進めてきたところです。
令和4年12月に閣議決定された「デジタル田園都市国家構想総合戦略」においては、これらの取組について、「2023年度中に地方創生上の効果、国の機関としての機能の発揮等について総括的な評価を行い、これを踏まえ必要な対応を行う」こととされています。
このため、今年度は、具体的な評価の方法について検討してきており、2023年度には総括的評価を行い、政府関係機関移転の今後の対応については、その内容を踏まえて検討してまいります。
【大川豊氏(フリーランス)】
強度行動障害者の方々の支援について
(回答)
「強度行動障害」は、重度の知的障害と自閉症のある方などが、自傷・他害行為等の行動上の課題が著しく高い頻度で表れるようになっている「状態」であり、周囲の関わり方や環境によって、大きく状態が変化するものと承知しています。
厚生労働省では、これまで、強度行動障害を有する方について、
・障害特性や支援の手法等を理解した支援人材の育成を進めるとともに、
・強度行動障害を有する方に支援を行う障害福祉サービス事業所について、報酬上の評価を充実する
など、その支援の推進を図ってきたところです。
昨年10月から、厚生労働省において、「強度行動障害を有する者の地域支援体制に関する検討会」を開催し、困難な状況を抱えてきたご家族や支援現場の実践等の報告も受けながら、有識者による議論を進めていただいているところであります。
検討会は今年度中に報告書をとりまとめる予定であり、その内容も踏まえながら、引き続き、地域における支援体制の整備に関する好事例の横展開を含め、強度行動障害を有する方への支援の充実を図ってまいりたいと考えています。