令和4年6月15日岸田内閣総理大臣記者会見終了後の書面による質問に対する回答

【東京新聞】
 家計の値上げ許容度について

(回答)
 ロシアによるウクライナ侵略がもたらした世界的な物価上昇は、我が国の家計にも大きな影響を与えていると認識しています。
 我が国の物価上昇のほとんどは外的な要因によるエネルギーと食料品価格の上昇によるものであり、ガソリン価格の激変緩和や小麦の国内価格の抑制など、切れ目ない物価高対策を行ってきました。さらに、先般、「物価・賃金・生活総合対策本部」を立ち上げ、電気代や食料品価格の更なる負担軽減策を決めたところです。
 また、地方創生臨時交付金を1兆円確保し、低所得者など物価高騰の影響を受ける方々に対し、地域の実情に応じたきめ細かな支援を実行しています。さらに、秋以降の切れ目ない支援のため、必要に応じ、地方創生臨時交付金のさらなる増額を行います。
 今後とも、生活に直結する食料品価格や穀物価格、エネルギー価格等の物価動向やその経済に及ぼす影響を注視し、きめ細かく、そして切れ目なく対応してまいります。

【CBCテレビ】
 大規模インフラ施設の維持管理について

(回答)
 インフラ施設は、国民の安全・安心や社会経済活動の基盤であり、整備後も適切に機能維持を図ることが必要です。現在、高度経済成長期以降に整備し、老朽化した施設の割合が加速度的に高くなっており、維持管理・更新を計画的に進めていくことが重要です。
 このため、「防災・減災、国土強靱(きょうじん)化のための5か年加速化対策」に基づき、早期に措置が必要な施設について集中的な老朽化対策を進めるとともに、施設ごとに長寿命化計画を策定して計画的に修繕を行うなど、不具合が生じる前に対策をする予防保全型のインフラメンテナンスへの転換を推進してまいります。
 また、多くのインフラを管理する地方公共団体等において適切かつ効率的な維持管理・更新が図られるよう、引き続き、新技術や官民連携手法の導入促進などの取組も進めてまいります。

【日刊現代】
 消費減税について

(回答)
 今般の物価上昇が消費税収に与える影響について、試算は行っていませんが、我が国の物価上昇のほとんどは外的な要因によるエネルギーと食料品価格の上昇によるものであり、ガソリン価格の激変緩和や小麦の国内価格の抑制など、切れ目ない物価高対策を行ってきました。さらに、先般、「物価・賃金・生活総合対策本部」を立ち上げ、電気代や食料品価格の更なる負担軽減策を決めたところです。
 また、低所得者など物価高騰の影響を受ける方々に対しては、この春に住民税非課税世帯の方々に10万円の給付金を、また、低所得の子育て世帯には、子ども1人当たり5万円の給付金を5月末から順次支給しています。さらに、地方創生臨時交付金を1兆円確保し、地域の実情に応じたきめ細かな支援を実行しており、今後、秋以降の切れ目ない支援のため、必要に応じ、地方創生臨時交付金のさらなる増額を行います。
 このように、コロナ禍で物価高騰等に直面し、困窮されている方々にきめ細かく支援をお届けすることとしており、また、消費税は、社会保障の安定財源として位置付けられていることから、御指摘の消費税減税については考えていません。

【京都新聞】
 「岸田インフレ」との批判について

(回答)
 足下の物価上昇は、為替の影響もあるものの、そのほとんどは、ロシアによるウクライナ侵略がもたらした世界的なエネルギー価格や食料価格等の上昇によるものであり、「岸田インフレ」との指摘は当たらないと考えています。
 しかしながら、物価上昇が国民生活に影響を与えていることを重く受け止め、ガソリン価格の激変緩和や小麦の国内価格の抑制など、エネルギーと食品に集中的に物価高対策を行ってきました。
 さらに、先般、「物価・賃金・生活総合対策本部」を立ち上げ、電気代や食料品価格の更なる負担軽減策を決めたところであり、今後とも、生活に直結する食料品価格や穀物価格、エネルギー価格等の物価動向やその経済に及ぼす影響を注視し、きめ細かく、そして切れ目なく対応してまいります。
 なお、金融政策については、日本銀行において適切に対処されるべきものと考えていますが、今、金融緩和を是正することについては、資源価格上昇という景気下押し圧力も受けている中で、金利の上昇による中小企業等への影響なども総合的に勘案する必要があると考えています。

【大川豊氏(フリーランス)】
 ベーシックインカムについて(福島県において、限定ベーシックインカムによる復興&スタートアップの実証実験を行う考えがあるか)。

(回答)
 国が全ての個人に対して最低限の所得保障を無条件に与える、ベーシックインカムについては、我が国の社会保障制度が、社会保険方式を基本としていること等を踏まえれば、慎重な検討が必要と考えています。
 福島の復興に向けては、帰還・移住の促進や、創造的復興の中核的拠点となる福島国際研究教育機構の整備など、政府一丸となって対応してまいります。
 また、社会的起業家をはじめとするスタートアップは、社会課題を成長のエンジンに転換して、持続可能な経済社会を実現する、新しい資本主義の考え方を体現するものだと考えています。このため、戦後に次ぐ第二の創業ブームを起こすべく、本年中に5か年計画を設定し、大規模なスタートアップの創出に取り組んでまいります。

【江川紹子氏(フリーランス)】
 ロシア制裁の効果、核兵器を使わせないためのロシアへの働きかけについて

(回答)
 我が国は、G7を始めとする国際社会と連携し、ロシアに対し、厳しい制裁措置を着実かつ速やかに実施してきています。我が国を含む各国の制裁措置により、物価の上昇や、外国企業の撤退、操業停止など、ロシア経済への様々な影響が出ていると認識しています。
 また、ロシアによるウクライナ侵略により、核兵器の使用や威嚇の可能性が現実の問題となっていることを深く懸念しています。核兵器による威嚇も使用もあってはならないことを唯一の戦争被爆国の総理大臣として強く訴えており、先般のG7エルマウ・サミットでもこの点で一致しました。
 その上で、ロシアへの働きかけについては、国連事務総長やいくつかの国が仲介努力を行ってきましたが、プーチン大統領は、ウクライナ侵略を重ねて正当化しています。自らの強硬な立場を和らげ歩み寄ろうとする兆しは全くありません。
 このような状況において、ロシアに一刻も早く侵略を止めさせ、その上で対話への道筋を作るため、今、必要なことは、国際社会が結束して、強力な対露制裁措置を講じつつ、ロシアに侵略されているウクライナを支援していくことであり、先般のG7エルマウ・サミットにおいても、この点につき確認しました。

関連リンク