▽労働力調査(六月等結果)………………………総 務 省
政府開発援助(ODA)白書のあらまし
第T部 二十一世紀における政府開発援助(ODA)
第一章 グローバル化する世界と途上国の開発問題
日本が援助を開始(一九五四年)してから約半世紀になる。この間、援助の対象となる途上国の状況も大きく変化した。特に、九〇年代以降に顕著となったグローバル化がもたらす変化は、開発の正負両面にわたり大きな影響を及ぼした。ここではまず、そうした変化のうち援助の需要側、すなわち途上国側の状況を概観した上で、わが国をはじめとした国際社会が途上国の問題にどのように取り組んできたかを説明する。
第一節 途上国の開発問題
(一) グローバル化と貧困問題
グローバル化によってもたらされる恩恵を享受できる国とそうでない途上国との格差の拡大は、南北問題を新たな形で先鋭化するなど、グローバル化の進展に対する大きな足枷となる可能性がある。そうした認識から、グローバル化の中での途上国の開発問題は、改めて国際社会が一致して取り組むべき中心的課題の一つとなっている。
また、貧困問題の解決は国際社会の喫緊の課題となっている。こうした貧困問題に対処する上では、人々の暮らしに直接関係する分野(いわゆる基礎生活分野(BHN))への支援と同時に中長期的な経済成長の展望を切り開き、成長の果実(成果)を途上国の国民各層に衡平に行きわたらせていくことが重要となる。
(二) 地域紛争と開発の役割
冷戦後の国際社会において、地域紛争、特に途上国における紛争が頻発した。
紛争解決やその予防のためには、開発援助を通じて、紛争発生時の緊急人道支援や、紛争終結後の復旧・復興支援等に取り組むことに加えて、貧困対策や民主化の推進をはじめ「良い統治(グッド・ガバナンス)」の構築・強化に対する支援を行うことが重要である。
(三) 地球規模問題と国際公共益
地球温暖化や砂漠化をはじめとする環境問題や、HIV/AIDS等の感染症の問題は、国際社会が一致して取り組むべき重要な課題である。したがって、これらの課題に取り組む途上国の対応能力向上を図るために、また国際社会全体としてこれらの課題の解決に一致協力していけるよう、開発援助を有効に活用していくことが求められている。
世界が平和と繁栄を享受し、地球規模での持続的な発展を進めていくために、国際社会が協力して確保・構築していくべき財やシステムを国際公共財と言う。現在、それによってもたらされる利益、すなわち「国際公共益」をいかに確保していくかが国際的にも議論されている。
こうした国際社会全体の利益を図るための努力に途上国が十分に参画していくための能力向上(キャパシティー・ビルディング)を支援していくことは、開発援助の大きな課題である。
第二節 国際的開発パートナーシップの構築
現在、多様な援助主体間の連携・協力(パートナーシップ)を強化しながら開発援助を進めていくことが、国際社会全体の大きな流れとなっている。
これに加えて、途上国の開発を実現するためには、貿易や投資の役割が大きくなっていることから、開発援助とこれらの政策が一貫性をもって進められていくことの重要性が強く認識されるようになっている。
(一) 国際社会による開発目標の共有
九〇年代を通じ、国連を中心として、多くのサミットや国際会議が開催され、主要な開発課題ごとに、国際社会としての取組を議論し、具体的な目標を定めた。
一方、先進援助国のグループである経済開発協力機構(OECD)開発援助委員会(DAC)は、九六年、七つの具体的な国際開発目標(IDGs)を掲げたDAC新開発戦略(「21世紀に向けて:開発協力を通じた貢献」)を発表した。
(二) 開発援助主体の多様化
現在、企業や財団、国際的NGOなどさまざまな主体が、重要な開発援助の担い手として活躍している。加えて、開発努力が効果を挙げ、かつ持続的であるために、途上国住民の参画が不可欠である。さらには、自らの開発経験を踏まえて援助を行う途上国間の協力(南南協力)も脚光を浴びている。
このように、開発に関わる主体が多様化し大幅に増加していることも、近年の顕著な傾向である。
(三) 援助協調の推進
援助協調は、開発援助のより効果的・効率的な実施を目指してさまざまな形で試行されつつある。しかし、従来の援助のやり方を一時に変更することは容易ではない。わが国としては、今後とも援助協調の推進に努めていく方針だが、その際には、対象となる途上国の現状等を十分に勘案しつつ、途上国政府を含めた開発当事者間の協議を踏まえ、可能な分野から着実に実施していくことが肝要であると考えている。
第二章 国際社会の平和と繁栄の維持・強化―ODAの果たす役割
アジア諸国をはじめとする途上国の発展に積極的に貢献していくことは、世界の平和と繁栄に向け積極的に貢献し、国際社会から信頼と評価を得ることを通じ、わが国自身の平和と繁栄を維持し発展させていく上で重要な意義を有するものである。
また、貧困、テロ、環境、感染症、難民などの地球規模の問題にODAが果たせる役割には大きなものがある。さらに、紛争の予防や平和の構築についても、近年ODAが果たしうる役割が注目されている。本章では、こうした視点から、人(人造りとそのネットワークの構築)、地球(地球規模の問題)、平和(紛争予防、平和構築)に焦点を当てて解説する。
第一節 人造りとそのネットワークの構築、活動環境の整備:繁栄のために
(一) 基礎教育
人造りが国造りの基本であることは、わが国自身の開発の経験、そして東アジアでの開発協力を通じての経験に根ざしたわが国の信念ともいえるものである。ODA中期政策においては、途上国への基礎教育支援をわが国援助の「重点課題」の一つとしている。
(二) 人材育成・知的支援
体制移行国を含めた途上国が、グローバル化する世界経済の恩恵を享受していくためには、市場経済システムの整備や貿易・投資の自由化等への取組に必要な政策の策定・実施、これら政策の実現に必要な法制度や行政機構等の整備に取り組む必要がある。
また、国内産業の健全な発展や諸外国からの技術移転が円滑に進むためには、知的財産権の取得、行使が途上国において厳格に保護されることが求められている。
さらに、途上国の人々がグローバル化がもたらす急速な変化に適応するために必要な能力を備えることも重要であり、人材育成に対する支援への途上国の期待は大きいものがある。
(三) 広域協力、南南協力の推進
より開発の進んだ途上国が、自国の開発経験などを活用して他の途上国への協力を行う「南南協力」や、近隣諸国の間における国境をまたいだ「広域協力」は、社会・文化・経済事情などが比較的似通った国々による協力であることから、開発協力の効率・効果や費用対効果を高める有効な手段である。
南南協力に関しては、わが国は、日本より移転した技術を活用する「第三国研修」や、途上国の人材を専門家として別の途上国へ派遣する「第三国専門家」等の制度を通じた支援を実施している。
第二節 地球規模の課題への取組:共生のために
(一) 地球環境問題
近年、地球温暖化問題などの地球環境問題が脚光を浴びている。こうした地球温暖化に加えて、開発活動に関連した環境破壊とともに貧困と密接に関連した環境基盤の脆弱化も、途上国において併せ進行している。このような環境破壊の悪循環を断ち、「持続可能な開発」を達成していくことが重要であり、途上国と先進国が連携を強化していくことが不可欠である。
(二) 感染症対策
HIV/AIDSなどの感染症は、人間ひとりひとりの生命への直接的脅威であり「人間の安全保障」に係わる問題であるのみならず、途上国の経済・社会発展を阻害する大きな要因となっている。また、これらの感染症は容易に国境を越え、人類全体に拡がるおそれもある。
二〇〇〇年のG8九州・沖縄サミットにおいて、わが国は議長国として、感染症の問題を開発上の主要課題の一つとして取り上げ、さらに「沖縄感染症対策イニシアティブ」を打ち出した。
また、これまで感染症対策分野で指導力を発揮してきたわが国としては、二〇〇二年一月に発足した「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」への二億ドルの拠出を含め、感染症対策への具体的取組を一層強化していく考えである。
第三節 紛争予防・平和構築:平和のために
紛争の予防や解決、紛争後の平和構築に当たっては、政治や安全保障、また軍事的な側面も含めて総合的に取り組む必要があるが、そうした紛争に対する包括的取組の中で開発援助も大きな役割を果たしうるものである。わが国は、紛争予防に関して開発援助による取組をまとめたイニシアティブ「紛争と開発に関する日本からの行動」(アクション・フロム・ジャパン)を発表した。本節では、このイニシアティブを踏まえた最近の取組を紹介する。
(一) 紛争予防のための協力
ひとたび紛争が発生すると、それまでの開発の成果は短期間で破壊されてしまう上、その復興には多大な時間と労力、資金を必要とする。まさに、「予防は治療に優る」であり、国際社会全体に「(紛争)予防の文化」をはぐくむことが大切である。
(二) 緊急人道支援
武力紛争が起きてしまった場合には、早急に緊急人道支援を行うことにより、紛争犠牲者や難民の窮状を緩和することが重要である。
緊急人道支援の実施においては、現地のニーズに対して柔軟かつ迅速に応えることができるNGOの活動が、極めて効果的である。わが国は、NGOの活動を迅速に支援するため、二〇〇〇年度より、申請後短期間で、緊急活動資金をわが国NGOに供与する「NGO緊急活動支援無償」を設けた。
また、アフガニスタンへは、難民支援、各国際機関を通じた支援、さらに、NGO、経済界、政府が協力して活動を実施する「ジャパン・プラットフォーム」の枠組みの下で難民支援活動を行った。
(三) 平和構築
紛争終了後は、国際社会が一致団結して、紛争の再発を防止するため、速やかに被災国に対する復旧・復興支援を行うことが重要である。また、被災国及びその国民が一刻も早く自ら開発努力を進めていけるようにしていくことが必要である。そのためには、緊急人道支援段階と開発支援段階の間のギャップを埋め、援助国、人道支援機関及び開発機関がNGO等の市民社会とも協力しつつ有機的に連携して支援を行う必要がある。
第三章 国民の参加と理解の増進―三つのP
援助実施においてわが国の技術やわが国自身の経験に根ざしたノウハウを活用し、また国民各層の幅広い参加を得て援助を進めていくことは、今後、わが国ODAをより一層効率的・効果的に実施していく上で不可欠である。
以下では、これまでの政府の取組と今後の方向について、新たな官民の連携(パートナーシップ)、国民各層の幅広い参加(パーティシペーション)、官民双方向の交流(パブリック・プライベート・インターアクション)という三つのキーワードに整理して説明する。
第一節 新たな官民の連携(パートナーシップ)
二〇〇一年一月のインド西部地震に際して、ジャパン・プラットフォームを通じた緊急人道支援が実施されたが、その際活用された超軽量大型テントは、本邦企業が開発した製品をメンバーNGOが、製造元の企業と協力して、緊急援助の現場で適応・活用しやすいように改良したもので、現地ではその性能と品質が高く評価された。わが国の民間部門が有する優れた技術・ノウハウを国際貢献に役立てることは、「顔の見える援助」実現のための重要な方途を提供するものと言える。
また、二〇〇〇年度からは、NGOや民間企業の知見を活かして協力案件の発掘を行う「民間提案型プロジェクト形成調査」が導入されている。JBICにおいても、幅広い国民各層から、円借款の調査について提案を募集する「提案型案件形成調査」や、円借款の案件発掘・形成に資する調査を高度な専門性を持つ多様な専門家集団の参画を得て実施する「発掘型案件形成調査」を導入している。
第二節 国民各層の幅広い参加(パーティシペーション)
国際協力に関心をもち、また、開発援助に参加しようとする国民の裾野が、地域や世代をこえて広がりつつある。こうした国民参加型援助の典型として挙げられるのが、国際協力事業団(JICA)を通じて派遣される青年海外協力隊(JOCV)やシニア海外ボランティアである。
さらに、国民参加型援助の代表的なものとしてのNGOがある。
政府としても、国民参加型援助のより一層の拡充に向け、青年海外協力隊、シニア海外ボランティア事業の強化やNGOによる事業実施に対する支援を拡充していくとともに、これらの活動に進んで参加する有為の人材の育成や帰国後の就職問題、わが国NGOの組織運営能力や専門性の向上等のキャパシティー・ビルディング支援にも取り組んでいる。
第三節 双方向の交流(パブリック・プライベート・インターアクション)
国民各層が途上国の状況と開発援助について認識を深め、併せODA事業への積極的な参加を促していくためには、ODAに関する透明性の向上に努め、積極的に情報公開を推進していくとともに、教育の現場をはじめとして国民各層にODAの意義と役割を幅広く伝えていく必要がある。
政府は、ODA事業の入札プロセスに関する一層の情報公開を推進するとともに、事業実績や、評価結果に関する情報をインターネット上のホームページで迅速に公表するなどの努力を行っている。
また、国民の側からの意見をどのようにODA政策や事業に反映させていくかも併せて重要である。二〇〇一年五月に開始された「第二次ODA改革懇談会」では、外務省ホームページを通じて懇談会の議論の概要を紹介するとともに、ODA改革についての意見を幅広く募集している。また、計四回にわたりタウン・ミーティングを開催し、ODAについて国民との直接対話を行った。
ODAの意義については、特に若い人たちに知っていただくことが重要であり、開発教育の推進が重要な課題として挙げられる。この観点から、政府やJICA、JBICは各地で開発教育セミナーの開催や学校での授業の実施、教材・資料、広報ビデオの配布など情報の提供に努めている。
また、全国から公募の上選出された一般のモニターが、途上国における日本の経済協力プロジェクトを視察するという「ODA民間モニター制度」が九九年度より導入されている。
第四章 ODA改革の推進
川口外務大臣は、二〇〇二年二月中旬に「開かれた外務省のための10の改革」(骨太の方針)を発表し、その柱の一つとしてODAの効率化・透明化に取り組む方針を示した。従来より政府は、ODAの効率的・効果的な実施のための改善や評価システムの拡充等を図る努力を積み重ねてきており、今後とも「骨太の方針」も踏まえて、更なるODA改革を進めていく考えである。以下、ODA改革の取組及び今後の方向性について説明する。
第一節 「第二次ODA改革懇談会」最終報告
第二次ODA改革懇談会は、ODAを巡る国内外の状況変化(厳しい経済・財政状況やODAに対する国民の支持の低下、急速なグローバル化に伴う援助ニーズの変化等)を踏まえ、今後のODAのあり方について提言を得るべく、二〇〇一年五月、外務大臣の私的懇談会として設置されたものである。
同最終報告は、国民参加を中心概念として、@国民の心、知力と活力を総結集したODA、A戦略を持った重点的・効果的なODA、BODA実施体制の抜本的な整備、という三つの柱からなるODA改革の具体的方策を提示している。
第二節 ODAの透明性・効率性の向上
厳しい経済・財政状況の下で、国民の理解と幅広い支持を得ながらODAを実施していくためには、ODAの透明性・効率性を高めることが極めて重要である。ここでは、ODAの透明性・効率性を高めるための具体的取組を、(一)援助政策、(二)事業実施、(三)評価、(四)政府内における調整・連携の四つの側面から説明する。
(一) 援助政策における透明性・効率性の向上
政府は、援助政策の透明性を高めるため、わが国援助の理念や方針を明確にし、ODAに関する政策枠組みの整備に努めている。九二年、政府は四十年近くに及ぶわが国援助の実績、経験、教訓等を踏まえ、ODAの基本理念や原則などをまとめた「政府開発援助大綱」(ODA大綱)を策定した。
その後、「ODA大綱」で示された援助の基本的方向性を具体的に示すものとして、今後五年程度を目途とした政策指針として、九九年、「政府開発援助に関する中期政策」(ODA中期政策)を策定した。
さらに、二〇〇〇年以降、ODA中期政策を踏まえつつ、国ごとに異なる援助需要を踏まえ効果的な援助を実施しうるよう、主要な被援助国に対し、援助の目的、重点分野等を具体的に記した「国別援助計画」を順次策定している。
さらに政府は、感染症や環境、紛争予防等、特定の開発課題に応えるべく、分野・課題別政策イニシアティブも順次策定している。
このように、わが国のODAはODA大綱の下、ODA中期政策、国別援助計画、分野・課題別政策イニシアティブという政策枠組みに基づき実施されており、援助資源の効果的投入に努めている。
なお、実施機関レベルでも、こうした政府の政策枠組みを踏まえた事業実施計画等を策定して、事業の方向性を明確にしている。
(二) 事業実施における透明性・効率性の向上
個々のODA事業に関しては、プロジェクト・サイクルのはじめ(案件選定段階)から終わり(事後評価)に至るまで、一貫して透明性を確保し、不正が行われないように最大限の努力を図ってきている。
(三) 評価体制の充実
ODAの公正、適正な実施のためには、評価体制をさらに強化していくことが必要である。二〇〇一年二月、河野外務大臣(当時)に提出された「ODA評価研究会」の報告書の提言を踏まえ、政府レベルでは、ODAのプログラム・レベル及び政策レベルでの評価活動の拡充、一貫した評価プロセスの確立に向けた取組が行われている。JICA及びJBICにおいては二〇〇一年度以降、「事業事前評価表」の作成・公表を開始した。また、「ODA評価内部フィードバック連絡会議」及び「外部有識者評価フィードバック委員会」を設置するなど評価体制の充実を図っている。
現在は、評価ガイドラインやマニュアルの改訂のための準備を進めており、今後もODA評価をより公平かつ客観的なものにする努力を続けていく考えである。
(四) 政府内における調整・連携の強化
現在、わが国政府においては、一府十省がODA予算を有している。予算額の大半を占めるのは、外務省、財務省、経済産業省、文部科学省であり、外務省及び財務省を除いた各府省のODA予算の大半は技術協力予算である。そうした事業が全体として整合性を保ち、効果的・効率的に実施されるよう、ODAに関係する府省庁間や各種制度間での連携・調整を強化することが重要である。
第三節 ODA制度の見直し
限られたODA資源を透明性を確保しながらより効率的に活用していくためには、ODAの各種制度について総点検し、その改善を図る必要がある。
円借款制度については、より効果的、効率的なものとすべく、「円借款制度に関する懇談会」(外務省経済協力局長の私的懇談会)、円借款の償還期間の短縮化オプションの導入、ブラジル等中進国に対する円借款の対象分野の拡大とともに従来の優遇金利制度の簡素化や日本の優れた技術を活用してわが国の「顔の見える援助」を促進するために「本邦技術活用条件」の導入等の円借款の供与条件の改善を図ることとした。
無償資金協力の改善例としては、債務救済無償及び食糧増産援助によって供与した資金の使途については、従来、物品の輸入に充てることのみを認めていたが、被援助国側の要望を踏まえ、二〇〇一年度より、サービスの輸入や援助協調の一形態であるコモン・ファンドへの投入に充てることも認めることとした。
また、技術協力においては、二〇〇二年度より、個別専門家派遣等とプロジェクト方式技術協力の予算を整理・統合し、達成すべき目標に見合った投入(専門家、研修、機材等)を自由かつ柔軟に組み合わせて実施する体制を整備した。
各スキーム間の連携についても、さまざまな改善策が講じられている。例えば、わが国が行うさまざまな形態の技術協力と資金協力をこれまで以上に効果的に連携させて実施するための新しい支援形態として、二〇〇一年度に開始された「セクタープログラム開発調査」がある。
第四節 開発人材の発掘・育成・活用
インフラ建設をはじめとして、ソフト面、さらには経済・社会制度の設計や構築のための支援、加えて、国際社会と協調しながら援助を進めていくためには、多くの人材の確保や育成が不可欠である。援助人材の発掘・育成は、前述の実施体制の改善と併せ、ODA改革の成否を握る鍵の一つであり、国民参加型援助を推進していく上での重要な要素となる。
第二次ODA改革懇談会最終報告においても、開発人材を発掘・育成・活用する方策が取り上げられており、例えば義務教育における開発教育の充実や「国際協力人材開発センター(仮称)」の創設、外務省や援助実施機関における外部人材の起用などの具体的提言が示されている。
第U部 二〇〇〇年度のODA実績
第一章 援助世界における日本の位置
二〇〇〇年のわが国のODA実績(確定値)は、ODA全体で対前年比一七・五%減の一兆四千四百六十五億円となった。こうしたわが国のODA実績を他のOECD・DACメンバー国の実績と比較してみると、二〇〇〇年もわが国は昨年に続き世界第一位となった。なお、ODAの対GNI比率は、DAC全体で〇・二二%だったが、その中で日本は〇・二八%であり、DAC諸国中第十二位だった(前年七位)。
供与の条件を示す指標として「贈与比率」と「グラント・エレメント」が国際的に広く用いられている。国際比較を可能とするために、九八/九九年の平均で比較すれば、わが国の「贈与比率」は四五・四%であり、また、「グラント・エレメント」は八三・六%と、ともにDAC諸国中最も低いものであった。しかし、贈与を絶対額で比較すれば、九八/九九年の日本の実績は八十六億五千六百万ドルで米国に次いで第二位であり、大きな貢献となっている。
第二章 ODA中期政策の実施状況
第一節 重点課題別の取組の現況
(一) 貧困対策や社会開発分野への支援
国際社会においては、開発援助において貧困削減や社会開発を重視する流れが強くなっている。こうした流れの中で、わが国も「人間中心の開発」と「人間の安全保障」の視点に立ちつつ、経済発展への支援とバランスのとれた形での貧困対策や社会開発分野への支援に積極的に取り組んでいる。
(イ) 基礎教育
わが国は、基礎教育分野において、二国間での援助では、小・中学校の校舎をはじめ教育関連施設の建設・整備といったハード面と、教員の養成・再教育、理数科教育、放送教育の拡充等のソフト面での支援も行っている。また、二国間援助とともに国連教育科学文化機関(UNESCO)や国連児童基金(UNICEF)等国際機関を通じた援助を行っており、女子教育の改善や識字教育普及事業を行っている。
(ロ) 保健医療
わが国は、より多くの人々に平等に基礎的な保健医療サービスを提供するという「プライマリー・ヘルス・ケア」の視点を重視しており、また、子どもや女性といった特に影響を被りやすい人々への支援が重要との観点から、子どもの健康や栄養問題、人口問題、母子保健、女性・家庭の役割向上、基礎教育・識字率向上などに積極的に取り組んでいる。また、病院の整備・建設などのハード面での支援のみならず、人材育成、調査研究等のソフト面における支援も併せて行うように努めている。なお、こうした分野できめ細かい援助を実現するためには、NGOとの連携が不可欠であり、案件の調査段階から活発なNGOの参加、協力を得るよう努めている。
(ハ) 開発における女性支援(WID:Women in Development)/ジェンダー
世界の十二億以上の貧困人口の約七割は女性によって占められている。また、一般的に女性は教育、健康、雇用等の面で男性に比して脆弱な立場に置かれている。
わが国は、九五年の北京における第四回世界女性会議で表明した「途上国の女性支援(WID)イニシアティブ」に基づき、女性の教育や健康の改善、経済・社会活動への参加といった分野を中心に、積極的な支援を実施している。
(二) 経済・社会インフラへの支援
わが国の場合、インフラ分野への事業は、有償資金協力(円借款)の比重が高くなっている(運輸分野では全体の約九〇%)。加えて、近年は、都市計画や国土計画の策定や、建設したインフラ施設の運営・管理のための技術者訓練(人材育成)や必要な機材の供与といったより幅広い援助も実施されている。
(三) 人材育成・知的支援
人造りの基礎となる基礎教育分野の支援に加えて国造りに直接貢献する人材の育成も途上国にとって極めて重要な課題である。また、グローバル化に適応するため社会・経済体制の変革をせまられている途上国や市場経済化を図る体制移行国への支援などでは、政策・制度面での知的支援が不可欠となる。また、社会の長期的な安定と良い統治をもたらし、開発の確たる基礎となる民主化に向けての途上国による努力への支援についても開発協力の余地が広がっている。
(イ) 人材育成
人材育成事業の中でも、留学生や研修員の本邦受入れ事業は、途上国の人々がわが国の経済・社会に直接触れ、わが国国民との交流を深めるよい機会を提供する。わが国は、「留学生受入れ10万人計画」(二〇〇一年五月現在で約七万九千人)に基づき、留学生受入れのための各種施策を総合的に推進している。
わが国はアジアの市場経済移行国において経済実務に携わる人材を育成することを主な目的として、これら諸国に「人材協力センター(日本センター)」を開設している。日本センターでは、シニア海外ボランティアの協力によりビジネス講座やセミナー、留学生派遣事業を効果的かつ円滑に進めるための日本語学習支援、ICT教育を行っている。
また、途上国の自助努力への支援の基本理念の下、途上国における職業能力開発分野での支援についても、関連施設の設置・設営に対する協力や、専門家派遣、研修員受入れ等を通じて行っている。
わが国は、人材育成に当たり、情報通信技術(ICT)を積極的に活用している。「J−NET事業」は、東京・沖縄に設置されたコア・センターと途上国の人造り拠点に設置するサテライト・センターを衛星回線等で結び、遠隔教育・遠隔研究等の実施を通じて、機動的な技術協力や政策助言を行うことを目指している。
(ロ) 知的支援
わが国の具体的な取組として、途上国の長期的な開発戦略のあり方を提言するとの目的を持った知的支援として九五年からベトナムで実施されてきた「ベトナム市場経済化支援計画策定調査」がある。このプロジェクトは、ベトナムの市場経済化を支援するために、日・ベトナム間で合意されたテーマごとに日本の有識者とベトナムの政策当局者が共同で研究を行い、ベトナム政府に対して政策提言を行うことを目的としている。本プロジェクトの提言は、ベトナムの第六次五か年計画(九六〜二〇〇〇年)及び第七次五か年計画(二〇〇一〜二〇〇五年)に盛り込まれる等、ベトナム政府からも高く評価された。
(ハ) 民主化支援
途上国における民主化の促進は、統治(ガバナンス)の改善や開発への国民の参画、人権の擁護につながり、中長期的な社会の安定と経済の発展にとって極めて重要な基盤となる。わが国は、九六年のリヨン・サミットに際し「民主的発展のためのパートナーシップ(PDD)」イニシアティブを発表し、法・司法制度や選挙制度の整備、司法官・行政官などの育成、人権の擁護・促進といった分野で途上国の自助努力(オーナーシップ)を積極的に支援していくとの方針を明らかにした。
(四) 地球規模問題への取組
(イ) 環境保全
わが国は、九七年の国連環境開発特別総会において発表した「二十一世紀に向けた環境開発支援構想(ISD)」に基づき具体的支援を進めている。
また、円借款においては、九七年九月より、省エネルギー、森林の造成・保全等の温暖化対策に代表される地球環境問題対策案件や公害対策案件について、金利〇・七五%、償還期間四十年(うち十年据置)の最優遇条件を設定しており、途上国の地球環境問題に対する取組を積極的に支援している。
(ロ) 人口・エイズ
わが国は、九四年に二〇〇〇年度までの七年間に三十億ドルを目途に支援を推進していくことを内容とした「人口・エイズに関する地球規模問題イニシアティブ(GII)」を発表し、九八年度までの五年間でその目標を達成した。
(ハ) 食料
わが国は農業分野に対して、食糧増産援助のほか、灌漑施設整備、漁港の整備、流通システム改善等に関する無償資金協力や、農業技術向上等のための研修員受入れ、専門家派遣、青年海外協力隊による農業技術の研究・普及に対する支援、円借款による支援等さまざまな形態による協力を実施している。
(ニ) エネルギー
わが国は、途上国におけるエネルギー供給体制整備の支援に際しては、持続可能な開発の観点から、省エネルギー及び環境保全に留意して実施している。
この分野での協力は、近年、民生向上や貧困対策のための地域電化や送配電の整備といった案件が増えている。
(ホ) 薬物
途上国における薬物対策は、問題の背景に貧困問題があることに留意し、貧困対策と併せて実施していくことが必要である。
わが国は、薬物関連の犯罪防止や捜査能力向上のための研修員受入れ(二〇〇〇年度は二十五人)、第三国研修(同、タイに対して十八人)、個別専門家派遣(同、タイ・ミャンマーに対して十二人)等に加え、薬物問題の背景にある貧困緩和のため、食糧増産援助等による代替作物栽培への支援(同、ミャンマーに対して個別専門家を三人派遣)、草の根無償協力等による薬物中毒者のリハビリや職業訓練への支援、薬物乱用防止のための啓蒙活動推進への支援などを進めている。
(五) アジア通貨・経済危機への対応等経済構造改革支援
アジア通貨・経済危機発生以降のアジア諸国に対するわが国の支援は総額約八百億ドルに達し、そのうちODAは経済構造改革、社会的弱者救済、人材育成・留学生支援を柱としてアジア諸国の努力を積極的に支援してきた。現在も九八年十月に表明した「新宮澤構想」をはじめ、「経済構造改革支援のための特別円借款」、小渕イニシアティブ等の方策を通じてアジア諸国の開発分野における課題への取組を支援している。
(六) 紛争・災害と開発
わが国は 、ODA中期政策に掲げられている「人間の安全保障」の考え方に立脚した「人間中心の開発」の視点から積極的な支援活動を行っている。
(イ) 紛争と開発
すでに第T部で述べた「アクション・フロム・ジャパン」では紛争予防、紛争発生時の緊急人道支援、紛争後の持続的な成長に向けた復興・開発支援の各段階における援助の強化及びNGO等市民社会との連携の重要性が強調されている。
特にNGO支援に関しては、二〇〇〇年八月に外務省、経団連、NGOの三者の協力により、NGOの連合体である「ジャパン・プラットフォーム」が発足し、二〇〇一年一月のインドにおける地震災害において初めて救援活動やアフガニスタン難民・避難民への支援活動を展開した。
(ロ) 防災と災害復興
自然災害は、特に生活基盤の脆弱な貧困層に大きな被害を与えるため、貧困対策の観点からも開発援助を通じた支援が重要である。こうした観点から、わが国は、海外の大規模な災害に際し、国際緊急援助隊の派遣や緊急援助物資の供与、資金協力を行っている。
(七) 債務問題への取組
多くの途上国が円借款を適切に利用し、開発に成功してきたが、中には経済政策の失敗や政治的不安定、自然災害などの原因で借入を有効に活用することができず、深刻な債務問題に直面している国もある。国際社会は、グローバルな政治・経済問題として債務救済への取組を強化しており、わが国としても従来からこの面で積極的な貢献を行ってきている。
また、わが国は、債務削減により利用可能となった資金が重債務貧困国の貧困対策や、教育、保健・医療分野などに有効に活用されるよう支援していくとともに、途上国のオーナーシップ強化及びキャパシティー・ビルディング(能力構築)を支援するとの観点から、これらの債務管理能力や経済運営能力の向上を図るための技術協力を積極的に行っている。
(八) その他
ODA中期政策公表(九九年八月)後の動きとして、急速に進歩する情報通信技術(ICT)と開発の関係が注目されている。ICTは、二十一世紀の経済社会に活力をもたらす鍵を握っていると考えられている。しかし、先進国と途上国の間の情報格差(デジタル・ディバイド)を放置すると、経済的格差を増幅し、将来の国際社会の安定をも揺るがしかねないと懸念されている。
わが国は、二〇〇〇年七月に開かれた九州・沖縄サミットに先だって「国際的な情報格差問題に対する包括的協力策」を発表し、ICTを活用した途上国支援に積極的に取り組んでいる。
第二節 各地域へのわが国援助の現況
(一) 東アジア地域
二国間援助全体に占める割合が四〇・〇%である東アジア地域は、わが国と歴史的、地理的に深いつながりがあるだけでなく、政治・経済的に相互依存関係にあることから、わが国ODAの重点地域として、これまで積極的に支援を行ってきている。しかしながら、同地域は、国の状況・情勢がさまざまであり、他の途上国に対して援助をはじめた「新興援助国」もあり、異なる開発ニーズに対応する支援・協力が必要となっている。
こうした状況の下、わが国は、各国の開発ニーズ・要望を踏まえた二国間支援を行うとともに、域内協力や南南協力の促進に積極的に協力している。
(二) 南西アジア地域
南西アジア地域においては、貧困削減や貧困層の生活にかかる援助需要が大きく、保健医療や初等教育といった分野での支援に力を入れており、また感染症、人口問題といった地球規模問題への対応にも配慮している。
二〇〇一年九月に発生した米国における同時多発テロを受け、わが国は、アフガニスタン周辺国支援を含めた七項目の措置を発表した。中でも難民の流入、経済状況の悪化等で緊急を要するパキスタンに対し、わが国は緊急の経済支援として、四十七億円の二国間支援、公的債務の繰り延べ、国際金融機関を通じた融資への支持・支援を行うことを発表し、既にそのほとんどを実施した。
(三) 中央アジア・コーカサス地域
わが国は、研修員受入れや専門家派遣等を通じ、民主化、市場経済化に不可欠な人造り支援やノウハウの提供といったソフト型支援のほか、保健・医療を中心とした基礎生活分野への支援を実施している。
(四) 中近東地域
わが国は、九八年以降五千二百万ドル以上に及ぶ対アフガニスタン支援を実施していたが、二〇〇一年九月の米国における同時多発テロ以降のアフガニスタンにおける状況の変化に対応して、アフガニスタン及びその周辺国への積極的な支援を表明した。二〇〇一年九月に発表された難民・避難民に関する国連のドナー・アラート(五億八千四百万ドル)に対し、わが国はその約二〇%、最大一億二千万ドルまでの支援を行う用意があると発表し、各人道支援国際機関からの緊急支援の要請に対する約一億ドルの支援等を実施している。
(五) アフリカ地域
アフリカは、世界で最も貧困人口の割合が高く、また紛争や飢饉、感染症、さらには累積債務など困難な課題が集中している地域であり、開発援助の世界で最も大きな課題を抱えた地域であると言える。
九〇年以降、日本の二国間援助の約一割がこの地域に向けられている。スキーム別では、無償資金協力では基礎生活分野を中心に、技術協力では開発を支えるさまざまな分野での人造りを中心とした支援を実施している。
わが国はアフリカ開発会議(TICAD)を通じ、アフリカ諸国の自助努力(オーナーシップ)と、それを支援する国際社会のパートナーシップの重要性を提唱するとともに、九八年に開催された第二回アフリカ開発会議(TICADU)で採択された「東京行動計画」の実施に向けさまざまな施策を講じている。また、二〇〇三年後半にはTICADVを開催することが表明されている。
(六) 中南米地域
わが国は、中南米諸国が取り組んでいる民主化、経済改革努力に対しODAを通じて積極的に支援している。また、中南米は経済成長が進んでいる反面、地域間の貧富の格差が大きく、貧困問題緩和のための支援と開発の基盤となる環境の保全を図るための支援等も重要である。
中南米諸国にはチリ、ブラジル、アルゼンチンなどの国が新たな援助国として他の途上国の支援を行っている。わが国は、それら新興援助国とパートナーシップ・プログラムを結び、南南協力を積極的に進めている。
(七) 大洋州地域
大洋州地域の国々は、国ごとに経済規模、天然資源の有無、発展段階に格差があり、地域の特殊性に起因する共通問題と、各国に特有な事情の両面を勘案しながら支援を実施している。
また、二〇〇〇年四月に宮崎で開催された「太平洋・島サミット」の森総理(当時)による基調演説において「太平洋フロンティア外交」を提唱、その具体化のために「太平洋諸島各国の持続可能な開発」「地域及び地球規模の共通の課題」「日本と太平洋諸島各国間のパートナーシップの強化」という三つの分野での協力を盛り込んだ「宮崎イニシアティブ」を表明し、具体的案件の実施に努めているところである。
(八) 欧州地域
中・東欧諸国の一部及び欧州地域の旧ソ連邦諸国の多くは、依然として市場経済への移行段階にあり、わが国はこれら諸国の努力を開発援助を通じて支援している。また、旧ユーゴスラビア地域の安定の確保は国際的な課題であり、わが国も難民支援等の人道支援、復旧・復興のための経済社会支援、基礎生活分野支援、選挙支援等を通じて積極的に南東欧諸国の努力に協力している。
第三節 援助手法に関する取組の現況
(一) ODAの政府全体を通じた調整及び各種協力形態・機関間の連携
一府十省にまたがるODAを政府全体として効果的・効率的に実施していくためには、省庁間の緊密な連携及び調整が重要である。外務省はODAに関する政府全体を通じた調整の中核としての機能を果たすための諸施策を行っている。今後もODAに関する関係省庁間の連絡・連携を通じ、関係省庁・機関や地方自治体の知見、情報、ノウハウの交換、共有が進み、ODAがより効果的、効率的に実施されるよう努めていく。
(二) ODA以外の政府資金(OOF)及び民間部門との連携
途上国への資金の流れを世界的にみると、九二年から九九年の間に民間資金がほぼ倍増している。したがって、ODAを実施する際には、ODA以外の資金、すなわち国際協力銀行(JBIC)による公的輸出金融などODA以外の政府資金(OOF)や貿易保険の付保、さらには民間セクターからの海外直接投資(FDI)や銀行貸出などの資金の流れも見据え、特にJBICのアンタイド・ローンとのそれぞれ固有の目的を踏まえた役割分担と連携を図りつつ、効果的な開発援助を進めていくことが必要である。
また、民間部門との新たな連携の試みも進められている。二〇〇〇年度に導入された「民間提案型プロジェクト形成調査」はそうしたものの一つである。これは、途上国の開発において民間部門による経済基盤の整備やNGOによる地域住民への社会サービス提供のための協力が重要な役割を担っている現状を踏まえ、民間部門や市民社会からのアイデアをODA事業に採り入れるため、NGO・民間企業の提案に基づいてプロジェクトを発掘・形成するために行う調査である。
(三) NGO等への支援及び連携
NGO等市民社会による援助活動は、多様化する途上国の開発ニーズにきめ細かく応えることができ、また、緊急人道支援への迅速性などの利点を有しており、政府としてもその支援と連携強化に努めている。九六年以来、外務省はNGOとの定期協議会を行ってきたが、最近では、対話のみならず、事業実施レベルでの協力も本格化している。
わが国のNGO支援策は多岐にわたっており、「NGO事業補助金」や「草の根無償資金協力」に加え、二〇〇〇年度には、「NGO緊急活動支援無償」が新たに設けられる等、わが国の支援策は多様かつNGOにとって利便性の増したものとなっている。また、現在政府は、組織運営能力強化のための「NGO活動環境整備支援事業」を実施している。
(四) 他の援助国及び国際機関との協調
世界全体のODA資金総額が減少している中、国際社会においては援助の効率性や効果を高めることを目的として、他の援助国や国際機関との援助協調を進める傾向が強まっている。わが国は他のドナーとの政策協議を積極的に行っており、二〇〇〇年度に二国間援助協議を行った国は九か国にのぼった。
(五) 南南協力への支援
「南南協力」と呼ばれる途上国間の開発協力は、被援助国の発展段階により適した技術の移転を可能にするだけでなく、開発援助主体を広げ、援助にかかるコストを下げる効果がある。わが国はそうした途上国の努力を積極的に支援してきており、今では南南協力への支援を最も積極的に推進している援助国の一つとなっている。
わが国は、南南協力を積極的に進める「新興援助国」との間で、第三国研修のコース数や費用の分担、専門家の共同派遣等に関する中期的な目標・計画を設定し、総合的な南南協力の枠組みを定める「パートナーシップ・プログラム」を結び、これら諸国がより主体的な援助国へと移行できるよう支援している。また、わが国は南南協力に関する国際会議も開催しており、国際社会において南南協力の重要性をアピールしてきている。
第四節 実施・運用上の留意点に関する取組の現況
(一) 途上国ごとの状況把握と国別援助計画の策定
ODAの効果を高めるためには途上国ごとの開発課題を把握し、各国の状況を十分踏まえた上で援助を行うことが重要である。わが国は、このような観点から「国別援助計画」を順次策定しており、これまでに十二か国について策定・公表した。
(二) 事前調査、環境配慮、実施段階でのモニタリング及び事後評価
二〇〇〇年三月に提出された、「『ODA評価体制』の改善に関する報告書」の提言に基づき、同年七月、ODA関係省庁の参加も得て外務省内に「ODA評価研究会」が立ち上げられ、二〇〇一年二月には、その検討結果がODA評価研究会報告書として外務大臣に提出された。また、二〇〇一年一月には、評価の結果を以後の政策に活かしていくため、外務省の経済協力局長を委員長とした「ODA評価フィードバック委員会」が設置され、また、同年五月にはODA事業の事前・中間・及び事後の段階での一貫した評価プロセスを構築していく一環として、JBIC及びJICAにより、従来の事後評価の公表に加え、「事業事前評価表」が公表された。ODA関係省庁間の連絡・調整も定期的に行われることとなり、二〇〇一年七月には「ODA関係省庁評価部門連絡会議」が設置され、以後、定期的に会合が開かれている。なお、政府部外の動きとしては二〇〇〇年九月に日本評価学会が設立され、今後、本格的な評価研究とODA評価専門家の育成が期待される。
ODA事業での環境配慮については、既にJICA、JBICにおいて分野別環境配慮ガイドラインが策定されていたが、現在、JBICにおいて国際金融業務(旧日本輸出入銀行が実施していた業務)と海外経済協力業務(旧海外経済協力基金(OECF)が実施していた業務)で共通な「統合ガイドライン」の策定作業が進められている。
(三) 開発人材の育成
今後のわが国ODAのあり方を中長期的に考えた場合、新たな開発援助ニーズに対応していける人材を育成していくことが重要である。そうした人材を育成するためには国内での人材の養成を拡充するとともに、他の援助国・機関との人的交流、人の派遣を積極的に行っていくことも効果的である。
さらに、JICA専門家に政府の専門家のみならず多くの民間の人材を活用するため、一般公募制度による人材募集を行い、二〇〇〇年度は保健医療、理数科教育、ICT等の専門家を計四十人採用した。また、わが国の高等レベルでの開発教育への取組としては、二〇〇〇年度より政策研究大学院大学(GRIPS)と国際開発高等教育機構(FASID)との連携による大学院レベルの開発援助人材の育成コースが開設され、実践的な開発援助教育が行われている。
(四) 国民の理解と参加の促進
ODAが国民の税金等を原資として行われている以上、ODA事業を続けていくためには、広報や開発教育の推進を通じてODAに対する国民の理解と支持を得るよう努力しなければならない。同時に国民参加型のODAを一層推進することにより、ODAを国民に身近なものとすることも大切である。
国民参加型の国際協力の代表例として、青年海外協力隊(JOCV)やシニア海外ボランティア制度がある。また、第二次ODA改革懇談会の中間報告発表(二〇〇一年八月)後、ODAに関する市民対話の一環として二〇〇一年八月から十月にかけて、計四回にわたりODAタウンミーティングが開催され、懇談会委員の代表と一般の市民との間で率直な意見交換が行われた。さらに、九九年度からODAの透明性と情報公開の拡充努力の一環として国民からの公募により選出されたモニターをODA事業の現場に派遣する「ODA民間モニター制度」を開始し、二〇〇〇年度は、同制度により百四名の方が十か国に派遣された。
(五) 情報公開の推進
ODA事業を継続する上で、国民からの理解と支持は不可欠であり、そのために政府としてもODAに関する情報の一層の公開に取り組んでいる。ODA関連のホームページにおいても情報公開の充実化が図られており、外務省、JBIC及びJICAの各ホームページともODAをわかりやすく紹介している。
また、わが国ODA事業の透明性を高める措置の一環として、円借款案件のより効果的・効率的な実施(案件の発掘・形成・採択)に資するため、円借款を供与する可能性のある案件のリスト(ロング・リスト)を順次確定・公表することとしている。
(六) その他
(イ) ODA事業の調達に係わる不正防止
二〇〇〇年四月より、わが国は、ODAの適正実施の観点から、ODA事業の調達に係わる不正防止のための新たな措置を導入した。これは、国籍を問わずコンサルタント企業や施工・調達業者がわが国ODA事業の調達に関して不正行為を行った場合、それらの企業などを日本のODA事業の契約者として不適格とし、入札・契約から原則として二週間から最長二年間の間排除するものである。この措置により、ODAを巡る不正行為がなくなり、より透明で公正な調達手続きが徹底されるよう政府としても厳格に対応していくことにしている。
(ロ) 援助関係者の安全確保
日本のODA供与対象国が百五十を超える中で、着実に援助活動を続けていくためには、援助活動に従事する関係者の安全確保が欠かせない。援助関係者の安全対策は、ODA大綱上も実施体制等の強化を図る上で重要な課題として位置付けられ、従来からできる限りの措置を講じてきている。しかしながら、援助関係者が活動する途上国の治安状況はさまざまであり、また刻々と変化しているのが実情である。こうした中、外務省は、技術協力の実施機関であるJICAや円借款の実施機関であるJBICと緊密に連携を取りつつ、援助関係者の安全確保のためにさまざまな対策を実施してきている。
第V部 ODA大綱原則の運用状況
九二年六月に閣議決定された政府開発援助大綱(ODA大綱)には、国際連合憲章の諸原則(特に主権、平等、内政不干渉)及び四つの原則を踏まえ、相手国の要請、経済・社会状況、二国間関係等を総合的に判断した上でODAを実施すべき旨規定されている。
また、ODA大綱原則の運用に当たっては、特に軍事支出や武器の輸出入、民主化、人権保障等の諸点について、各国の状況をモニターして適時・適切に対応している。その具体例について、中国、インド、パキスタン、ミャンマーについて説明している。
第W部 国別援助計画の概要(二〇〇一年十月以降に公表されたもの)
二〇〇一年十月以降に策定・公表された国別援助計画(中国(経済協力計画)、カンボジア、マレーシア)の概要について記述している。
第X部 資料編
第一章 二〇〇一年度政府開発援助予算と事業の概要
第二章 二〇〇〇年の我が国の政府開発援助(ODA)実績
第三章 主な事業と援助関係機関の実績
第四章 世界各国の政府開発援助(ODA)実績
第五章 参考資料(ODA大綱、ODA中期政策等)
第六章 その他(年表、ODA関連ホームページ・アドレス一覧)
火祭り
祭りに火をたくのは、神を招くというのが本来の目的だったようですが、そのたき火が次第に大がかりになって、御火焚(おひたき)が中心行事となったのが、今日多く見られる火祭りです。
阿蘇火焚神事(熊本県・霜神社)や鳥羽火祭(愛知県・神明社)など、有名な火祭りは各地にありますが、吉田の火祭(山梨県・北口本宮富士浅間神社)と並んで火祭りの代名詞ともなっているのが鞍馬の火祭。毎年十月二十二日に行われる京都市左京区、鞍馬山の中腹にある由岐(ゆき)神社の祭りで、今宮のやすらい祭、広隆寺の牛祭とともに、京都の三大奇祭とされています。
この日、鞍馬の里に夕闇(ゆうやみ)が迫るころ、「神事に参らっしゃれ」の触れ声で街道沿いの家々の軒先にかがり火がたかれ、祭りが始まります。最初は小さなたいまつを持った子どもたちが、夜がふけるにしたがって大たいまつを肩に担いだ若者たちが加わります。若者たちは向こう鉢巻き、裸の上半身に肩から腕を覆った独特のいでたちで「サイレイ、サイリョウ」と唱えながら町中を練り歩き、路上のたいまつに点火、町中が炎の明かりに包まれます。
たいまつが燃え尽きるころ、山門石段に張ったしめ縄が切られ、二基の神輿(みこし)が里に向かって降りてくると、祭りはクライマックスを迎えます。この後、神輿は御旅所に渡御(とぎよ)。御旅所での儀式を済ませると、翌朝神輿が帰還して祭りは終わり、鞍馬の山は再び静寂に包まれます。
総 論
(我が国経済の基調判断)
景気は、一部に持ち直しの動きがみられるものの、環境は厳しさを増している。
・雇用情勢は、一部に改善への動きがみられるものの、失業率が高水準で推移するなど、依然として厳しい。
・個人消費は、横ばいで推移するなかで、一部に底固さもみられる。
・企業収益は横ばいとなっており、設備投資は下げ止まりの兆しがみられる。
・輸出は増加している。生産は持ち直しの動きが緩やかになっている。
先行きについては、景気は持ち直しに向かうことが期待されるが、アメリカ経済等への先行き懸念や我が国の株価の下落など、環境は厳しさを増しており、我が国の最終需要が下押しされる懸念が強まりつつある。
(政策の基本的態度)
政府は、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」を早期に具体化するなかで、「金融システム改革」、「税制改革」をはじめとした構造改革の取組を加速し、デフレ克服を進める。
また、デフレ克服に向け、政府・日本銀行は引き続き一体となって強力かつ総合的な取組を行う。
各 論
一 消費・投資などの需要動向
平成十四年四〜六月期の実質GDP(国内総生産)の成長率は、民間企業設備がマイナスに寄与したものの、財貨・サービスの純輸出(輸出―輸入)がプラスに寄与したことなどから、前期比で〇・六%増(年率二・六%増)となった。また、名目GDPの成長率は前期比で〇・一%減となった。
◇個人消費は、横ばいで推移するなかで、一部に底固さもみられる。
個人消費は、需要側と販売側の動向を総合してみると、横ばいで推移するなかで、一部に底固さもみられる。所得面で弱い動きが続いていることなどから全体的な基調の改善には至らないものの、消費者マインドに持ち直しの動きがみられることなどから一部の業種や支出項目においては増加の動きがみられる。
需要側の動向をみると、昨秋以降底固さがみられる。消費総合指数は三か月前と比べほぼ横ばいとなっている。支出項目ごとの動向について家計調査をみると、実質消費支出は、一時的な要因による増減がみられるものの、このところの基礎的な支出項目にみられる底固さには変化がない。
販売側の動向をみると、天候等の一時的な要因もあって、全体的に弱い動きとなっている。小売業販売額は弱い動きが続いている。チェーンストア販売額は、食料品が前年並みにとどまったものの、全体では大きく前年を下回った。百貨店販売額は、昨夏以降一進一退を続けているものの、足元で弱含んできている。新車販売台数は、軽乗用車と小型乗用車が引き続き好調に推移し、特に小型乗用車が大きく増加したことから、前年を大きく上回った。家電販売金額は、テレビ等が引き続き増加しているものの、パソコンやエアコンが前年を大きく下回っていることから、全体では前年を大きく下回った。旅行は、国内旅行、海外旅行とも前年を下回っているものの、前月と比べて減少幅を縮小している。
消費者マインドは、依然として水準は低いものの、持ち直しの動きがみられる。
◇設備投資は、下げ止まりの兆しがみられる。
設備投資は、生産及び企業収益の減少等を背景に平成十三年に入って以降減少が続いてきたが、このところ下げ止まりの兆しがみられる。需要側統計である「法人企業統計季報」でみると、平成十三年一〜三月期以降減少が続いてきたが、このところ減少幅が縮小している。規模別にみると大中堅企業に比べ中小企業の減少幅の方が大きい。また、機械設備投資の供給側統計である資本財出荷は、平成十三年に入って以降減少が続いていたが、このところ下げ止まりつつある。なお、これまで堅調に推移してきたソフトウェア投資は、弱含んでいる。
設備投資の今後の動向については、機械設備投資の先行指標である機械受注が平成十三年一〜三月期以降減少基調で推移してきたが、底入れから反転に向かいつつあるとみられることから、次第に底入れから反転に向かうものとみられる。ただし、日銀短観の平成十四年度設備投資計画において減少が見込まれていることなどを考慮すれば、底入れした後も低調に推移することが見込まれる。
◇住宅建設は、弱含みとなっている。
平成十三年度の住宅建設は、貸家は増加したものの、これまで堅調であったマンションの着工が落ち着いてきたことに加え、公庫持家の着工が大きく水準を下げて推移したこと等から、前年度比三・三%減の百十七万三千戸と平成十年度以来三年ぶりに百二十万戸を下回る低い水準となった。平成十四年四〜六月期についても、年率百十八万戸と百二十万戸を下回った。
七月は、持家は増加したものの、マンションが大きく減少したことなどから、年率百十三万六千戸となった。先行きについては、雇用・所得環境が厳しいこと、不動産価格の長期的下落傾向により買い換えが困難となっていることなどから、消費者の住宅取得マインドが低下しており、こうしたことが引き続き住宅着工を減少させる要因になるものと見込まれる。
◇公共投資は、総じて低調に推移している。
公共投資は、総じて低調に推移している。平成十四年度当初における公共事業関連予算をみると、国、地方とも歳出の徹底した見直しと重点的な配分を行っていることから、国の施設費を含む公共投資関係費は、前年度比一〇・七%減、地方の投資的経費のうち単独事業費は、地方財政計画では、前年度比一〇・〇%減となっている。
このような状況のなかで、公共工事請負金額、大手五十社受注額は、五月に前年を上回るなど今年度に繰り越された平成十三年度第二次補正予算の下支え効果がみられたが、四〜六月期では、引き続き前年を下回った。
七〜九月期の公共投資については、七月の公共工事請負金額も前年を下回っており、国、地方の予算状況を踏まえると、引き続き前年を下回るものと考えられる。
◇輸出は、アジア向けを中心に増加している。輸入は、緩やかに増加している。貿易・サービス収支の黒字は、増加している。
輸出は、世界的な景気回復を背景に、半導体等電子部品などの電気機器や一般機械が増加、輸送用機器も堅調に推移しており、全体でも増加している。地域別にみると、アジア向け輸出は、電気機器、一般機械、輸送用機器を中心に増加している。アメリカ向け輸出は、電気機器と一般機械を中心に緩やかに増加している。EU向け輸出は、電気機器、輸送用機器を中心に緩やかに増加している。今後については、世界景気の緩やかな回復が、引き続き我が国輸出にとっての増加要因になるとみられるが、アメリカ経済等への先行き懸念が高まりつつあることなどに留意する必要がある。
輸入は、電気機械などにおける生産の持ち直しの動きを背景に、IT関連など機械機器の輸入が増加しており 、全体として緩やかに増加している。地域別にみると、アジアからの輸入は、機械機器 、化学製品などの輸入が堅調に推移しており、増加している。EUからの輸入は横ばいとなっている。アメリカからの輸入は、航空機など機械機器の輸入が増加していることを背景に、増加している。
国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、増加している。輸出数量の増加幅が輸入数量の増加幅を上回っていることが、黒字幅の拡大に寄与している。
二 企業活動と雇用情勢
◇生産は、持ち直しの動きが緩やかになっている。
鉱工業生産は、輸出が増加していることや在庫調整が終了していること等を背景に2四半期連続で増加してきたが、このところほぼ横ばいで推移しており、持ち直しの動きが緩やかになっている。
また、世界経済の先行き不透明感の高まり等、懸念すべき点もあることには留意する必要がある。なお、製造工業生産予測調査によると八月は増加、九月は減少が見込まれている。
一方、第三次産業活動の動向をみると、おおむね横ばいで推移している。
◇企業収益は、横ばいとなっている。また、企業の業況判断は、中小企業を中心に依然厳しさがみられるものの、全体として改善がみられる。倒産件数は、高い水準となっている。
企業収益は、「法人企業統計季報」によると、平成十三年七〜九月期以降、電機機械などの製造業を中心に大幅な減益となっていた。平成十四年四〜六月期は製造業で減益幅が大幅に縮小し、全体として減益幅はおおむね横ばいとなった。また、日銀短観によると、平成十四年度については、上期はおおむね横ばい、下期は大幅な増益を見込んでいる。「法人企業動向調査」によると、平成十四年四〜六月期における大中堅企業の経常利益の判断(前期比「増加」−「減少」)は、「減少」超幅が縮小している。
企業の業況判断について、日銀短観をみると、中小企業を中心に低い水準にあり、依然厳しさがみられるものの、製造業、非製造業ともすべての規模で改善している。先行きについても、中小企業非製造業で若干悪化が見込まれている以外は、改善を見込んでいる。また、「法人企業動向調査」で大中堅企業の業界景気の判断(前期比「上昇」−「下降」)をみると、「下降」超幅が縮小している。
また、倒産件数は、東京商工リサーチ調べで八月は一千五百七十八件となるなど、高い水準となっている。
◇雇用情勢は、依然として厳しい。雇用者数が下げ止まるなど、一部に改善への動きがみられるものの、完全失業率が高水準で推移し、賃金も弱い動きが続いている。
七月の完全失業率は、前月比同水準の五・四%となった。完全失業者について求職理由別にみると、最も多い非自発的な離職による者の増加幅は、七月は縮小した。完全失業者全体に占める失業期間一年以上の者の割合は、引き続き増加している。雇用者数については下げ止まっており、前月比で二か月連続増加している。
新規求人数は、増加傾向にある。新規求職件数が同時に大幅に増加したため、新規求人倍率は前月比低下したが、有効求人倍率については、前月比で若干上昇している。製造業の残業時間については、引き続き増加傾向にある。四〜六月期に「残業規制」等の雇用調整を実施した事業所割合は、低下している。
賃金の動きをみると、定期給与は前月比で増加したものの、前年同月比では減少が続いている。また、ボーナスを含む特別給与も前年を下回っており、弱い動きが続いている。
三 物価と金融情勢
◇国内卸売物価は、横ばいとなっている。消費者物価は、弱含んでいる。
輸入物価は、このところ、契約通貨ベースでは上昇している。円ベースでは円高・ドル安により下落していたが、足元では上昇している。国内卸売物価は、横ばいとなっている。最近の動きをみると、電気機器、非鉄金属が下落している一方、在庫調整の進展により鉄鋼が上昇しているほか、足元では石油・石炭製品などが上昇している。また、企業向けサービス価格は、前年同月比で下落が続いている。
消費者物価は、平成十二年秋以降弱含んでいる。最近の動きをみると、一般サービスはほぼ横ばいとなっているものの、耐久消費財の下落などにより一般商品は下落していることから、全体としては下落している。
こうした動向を総合してみると、持続的な物価下落という意味において、緩やかなデフレにある。
◇金融情勢をみると、株式相場は、八月下旬以降下落した。長期金利は、八月下旬以降低下した。
短期金利についてみると、オーバーナイトレートは、八月は、日本銀行による金融緩和措置を反映して、〇・〇〇一〜〇・〇〇二%で推移した。二、三か月ものは、八月は、おおむね横ばいで推移した。長期金利は、八月中旬まで横ばいで推移した後、八月下旬以降は、株価の下落などを背景に債券の需要が高まり、低下した。
株式相場は、八月中旬まで横ばいで推移した後、八月下旬以降は、日米経済の先行き不透明感の高まりなどを背景に、下落した。
対米ドル円相場(インターバンク直物中心相場)は、七月中旬から八月上旬にかけて、百十五円台から百二十一円台まで下落し、その後、百二十円台から百十七円台で推移した。対ユーロ円相場(インターバンク十七時時点)は、七月中旬以降、百十五円台から百十七円台で推移し、八月中旬に、一時百十四円台まで上昇した後、百十五円台から百十七円台で推移した。
マネタリーベース(月中平均残高)は、日本銀行の潤沢な資金供給など(八月日銀当座預金平均残高十五兆一千億円)を背景に、二割台の高い伸びとなっているが、伸び率は鈍化している(八月:前年同月比二六・一%)。M2+CD(月中平均残高)は、このところ、三%台半ばで推移している(八月速報:前年同月比三・五%増)。民間金融機関の貸出(総貸出平残前年比)は、九六年秋以来マイナスが続いており、企業の資金需要の低迷等を背景に、依然低調に推移している。貸出金利は、金融緩和等を背景に、昨年初来低下傾向で推移してきたが、このところ横ばい圏で推移している。企業の資金繰り状況をみるとやや改善の動きがみられ、民間債と国債との流通利回りスプレッドはこのところ横ばいで推移している。
四 海外経済
◇世界の景気は、緩やかに回復しているものの、アメリカ経済等への先行き懸念が高まりつつある。
世界の景気は、緩やかに回復しているものの、アメリカ経済等への先行き懸念が高まりつつある。
アメリカでは、景気の回復は緩やかになっており、マインド悪化の影響が懸念される。個人消費は耐久財消費を中心にこのところ増加がみられるが、消費者信頼感の低下が続いている。住宅建設は高い水準にある。設備投資は機械設備等を中心に下げ止まっている。生産の増加は緩やかになっており、企業の景況感は低下している。失業率は低下したものの、雇用は、製造業での減少が続くなど、回復は緩やかになっている。物価は安定している。
アジアをみると、景気は回復している。中国では、景気の拡大テンポは高まっている。韓国では、景気は拡大しているが、対米輸出が鈍化している。タイでは、景気は拡大している。台湾、シンガポール、マレイシアでは、景気は回復している。
ヨーロッパをみると、@ユーロ圏では、景気は持ち直し傾向にある。ドイツでは、景気は持ち直しの動きが一層弱まっている。また、洪水の悪影響が懸念材料となっている。フランスでは、景気は持ち直し傾向にある。Aイギリスでは、景気に回復の動きがみられる。
金融情勢をみると、ドルは、八月前半は、十三日のFOMCの開催を控え変動がみられたが、その後はおおむね横ばいで推移した。アメリカの株価は、企業会計不信の一段落等を受けて八月中旬まで上昇基調で推移したが、その後景気先行き懸念等から下落した。アメリカの長期金利は、八月を通じて、証券市場における米国債への資金シフト等から低下基調で推移した。
国際商品市況をみると、原油価格は、イラクを巡る情勢の緊迫等から上昇基調で推移した。
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平成13年
<調査の概要>
調査の目的
我が国のすべての事業所及び企業を対象として、事業の種類や従業者数等、事業所及び企業の基本的事項を調査し、行政施策のための基礎資料並びに各種統計調査実施のための事業所及び企業の名簿を得ることを目的としている。
調査の沿革
本調査は統計法に基づく指定統計調査(指定統計第二号)として、「事業所統計調査」の名称で昭和二十二年に開始され、平成八年の調査以降「事業所・企業統計調査」と名称を変更した。調査は昭和二十三年調査から昭和五十六年調査までは三年ごと、昭和五十六年以降は五年ごとに実施している。なお、平成元年及び平成六年に民営事業所を対象として名簿整備を目的とする調査を実施しており、平成八年調査の際、この中間年の調査は、事業所・企業統計調査の簡易調査と位置づけられ、平成十一年にこの簡易調査が実施されている。
調査日
平成十三年十月一日
調査の対象
調査日現在、国内に所在するすべての事業所。ただし、次の事業所は調査対象外としている。
(1) 日本標準産業分類(平成五年十月四日総務庁告示第六〇号)の「大分類A−農業」、「大分類B−林業」及び「大分類C−漁業」に属する個人経営の事業所
(2) 同日本標準産業分類の「小分類741家事サービス業(住込みのもの)」、「同742家事サービス業(住込みでないもの)」及び「中分類96−外国公務」に属する事業所
T事業所数及び従業者数の動向
1 概況
事業所数は五年前に比べ五・五%の減少、従業者数は四・一%の減少
平成十三年十月一日現在の我が国の総事業所数は六百四十九万二千事業所、このうち、事業内容等が不詳の事業所を除くと、事業所数は六百三十五万事業所、従業者数は六千十八万七千人である(事業内容等が不詳の事業所については、今回調査から集計対象とした。以下では、事業内容等が不詳の事業所を除く)。
平成八年に比べると、事業所数は五・五%(年率一・一%)の減、従業者数は四・一%(年率〇・八%)の減となっている(第1表参照)。
2 産業大分類別
「卸売・小売業,飲食店」、「製造業」は昭和六十一年をピークに減少を続け、サービス業が一貫して増加
事業所数を産業大分類別にみると、「卸売・小売業,飲食店」が二百六十万二千事業所(全産業の四一・〇%)で最も多く、次いで「サービス業」が百八十二万七千事業所(同二八・八%)、「製造業」が六十五万一千事業所(同一〇・三%)、「建設業」が六十万七千事業所(同九・六%)となっている。
昭和四十七年以降の産業大分類別事業所数の推移をみると、一貫して増加していた「建設業」、「運輸・通信業」、「金融・保険業」、「不動産業」、「サービス業」のうち「建設業」、「金融・保険業」、「不動産業」の三産業が今回初めて減少に転じた。また、「卸売・小売業,飲食店」、「製造業」は昭和六十一年をピークに減少を続けている(第2表参照)。
従業者数では「サービス業」が初めて最大の産業になる
産業大分類別に従業者数をみると、「サービス業」が一千七百六十五万三千人(全産業の二九・三%)で最も多く、次いで「卸売・小売業,飲食店」が一千七百六十二万二千人(同二九・三%)、「製造業」が一千百十二万四千人(同一八・五%)となっており、これら三産業で全体の約八割を占めている。
「サービス業」の従業者数は調査開始以来、一貫して増加してきたが、今回初めて「卸売・小売業,飲食店」を上回る数となった(第3表参照)。
3 経営組織別
個人経営の事業所数、従業者数が大幅に減少
事業所数を経営組織別にみると、民営が六百十三万八千事業所(事業所全体の九六・七%)、国及び地方公共団体等が二十一万二千事業所(同三・三%)となっている。民営の内訳では、個人経営が三百十三万二千事業所(民営事業所の五一・〇%)、法人が二百九十七万一千事業所(同四八・四%)、うち、株式会社が百五十九万五千事業所(同二六・〇%)となっている。
従業者数についてみると、民営が五千四百九十四万二千人(従業者全体の九一・三%)、国及び地方公共団体等が五百二十四万五千人(同八・七%)、民営の内訳では、個人経営が九百万七千人(民営事業所の従業者の一六・四%)、法人が四千五百七十八万八千人(同八三・三%)、うち、株式会社が三千二百六十一万九千人(同五九・四%)となっている。
個人経営は、事業所数、従業者数共に昭和五十六年以後、減少を続けてきたが、今回は平成八年に比べて事業所数、従業者数共に一〇%を超える大幅な減少となっている(第4表参照)。
4 従業上の地位別従業者数(民営、非農林漁業)
「正社員・正職員」、「臨時雇用者」が減り、「正社員・正職員以外」の常用雇用者が増加
民営・非農林漁業の従業者数を従業上の地位別にみると、個人業主が三百九万一千人(民営・非農林漁業従業者の五・七%)、家族従業者が九十四万七千人(同一・七%)、有給役員が四百九万七千人(同七・五%)、雇用者が四千六百五十七万四千人(同八五・一%)となっている。
雇用者のうち、「正社員・正職員」は三千七十一万四千人(雇用者の六五・九%)、パート、アルバイト等「正社員・正職員以外」の常用雇用者が一千四百三十四万五千人(同三〇・八%)、臨時雇用者が百五十一万五千人(同三・三%)となっている。
これを平成八年と比べると、パート、アルバイト等「正社員・正職員以外」の常用雇用者が三〇・二%増となっているほかは、すべて減少している(第5表参照)。
U会社企業数の動向
1 会社企業数
企業数は三・四%減少、株式会社は六・七%の減少
我が国の会社企業(以下「企業」という)数は百六十一万八千で、平成八年と比べて、五万七千企業の減少となっている。この内訳をみると、有限会社が八十五万企業(企業全体の五二・五%)で過半数を占め、次いで株式会社が七十四万五千企業(同四六・〇%)、合名・合資・相互会社が二万三千企業(同一・四%)となっている。
これを平成八年と比べると、有限会社が一千企業増(〇・一%増)とわずかながら増加したのに対し、株式会社は五万四千企業減(六・七%減)と大幅に減少している(第6表参照)。
2 企業産業大分類別
「製造業」が一割以上減少
企業産業大分類別に企業数をみると、「卸売・小売業,飲食店」が五十六万九千企業(企業全体の三五・二%)で最も多く、次いで「建設業」が二十九万九千企業(同一八・五%)、「製造業」が二十九万八千企業(同一八・四%)、「サービス業」が二十七万企業(同一六・七%)となっており、この四産業で企業全体の約九割(八八・七%)を占めている。平成八年と比べると、「製造業」、「卸売・小売業,飲食店」が共に三万五千企業の減少となり、「製造業」の企業数が「建設業」を下回った。増加率では「電気・ガス・熱供給・水道業」が一三・九%増、「金融・保険業」が六・九%増と大幅な増加、「鉱業」が一五・三%減、「製造業」が一〇・六%減と、一〇%以上の大幅な減少となっている(第7表参照)。
3 資本金階級別
資本金三千万円以上の規模では企業数が増加
資本金階級別に企業数をみると、「一千万〜三千万円未満」が六十七万三千企業(企業全体の四一・六%)で最も多く、次いで「五百万円未満」が六十万三千企業(同三七・三%)、「五百万〜一千万円未満」が二十万六千企業(同一二・七%)となっており、全企業の九割以上(九一・六%)が資本金三千万円未満の企業である。
平成八年と比べると、「五十億円以上」が九・八%増、「十億〜五十億円未満」が七・四%増など、三千万円以上の各階級で増加、一方、「五百万〜一千万円未満」が八・〇%減など、三千万円未満の各階級では減少となっている(第8表参照)。
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六月の雇用・失業の動向
◇就業状態別の人口
平成十四年六月末の就業状態別人口をみると、就業者は六千三百七十三万人、完全失業者は三百六十八万人、非労働力人口は四千百八十万人と、前年同月に比べそれぞれ九十三万人(一・四%)減、三十万人(八・九%)増、百十一万人(二・七%)増となっている。
◇就業者
(1) 就業者
就業者数は六千三百七十三万人と、前年同月に比べ九十三万人(一・四%)の減少となり、十五か月連続の減少となっている。男女別にみると、男性は三千七百四十八万人、女性は二千六百二十五万人で、前年同月と比べると、男性は四十七万人(一・二%)減、女性は四十六万人(一・七%)減となっている。
(2) 従業上の地位
就業者数を従業上の地位別にみると、雇用者は五千三百四十八万人、自営業主・家族従業者は九百九十八万人となっている。前年同月と比べると、雇用者は六十五万人(一・二%)減、自営業主・家族従業者は三十四万人減となり、雇用者は十か月連続の減少となっている。
雇用者のうち、非農林業雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○非農林業雇用者…五千三百三万人と、七十一万人(一・三%)減、十か月連続の減少
・常 雇…四千五百七十七万人と、百二十五万人(二・七%)減、十一か月連続の減少
・臨時雇…六百二万人と、五十万人(九・一%)増、六か月連続の増加
・日 雇…百二十四万人と、五万人(四・二%)増、五か月ぶりの増加
(3) 産 業
主な産業別就業者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○農林業…三百十一万人と、十五万人(四・六%)減
○建設業…五百九十四万人と、二十七万人(四・三%)減、十九か月連続の減少
○製造業…一千二百四十三万人と、四十九万人(三・八%)減、十四か月連続の減少
○運輸・通信業…四百三万人と、十三万人(三・一%)減、五か月連続の減少
○卸売・小売業,飲食店…一千四百三十七万人と、五十七万人(三・八%)減、七か月連続の減少
○サービス業…一千八百二万人と、三十三万人(一・九%)増、二十八か月連続の増加
また、主な産業別雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○建設業…四百八十九万人と、二十九万人(五・六%)減
○製造業…一千百五十六万人と、四十万人(三・三%)減
○運輸・通信業…三百八十三万人と、十四万人(三・五%)減
○卸売・小売業,飲食店…一千百九十一万人と、三十三万人(二・七%)減
○サービス業…一千五百六十一万人と、十七万人(一・一%)増
(4) 従業者規模
企業の従業者規模別非農林業雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○一〜二十九人規模…一千七百四十三万人と、八万人(〇・五%)増、二か月ぶりの増加
○三十〜四百九十九人規模…一千七百九十九万人と、十万人(〇・六%)減、三か月連続の減少
○五百人以上規模…一千百九十二万人と、七十三万人(五・八%)減、十四か月連続の減少
(5) 就業時間
六月末一週間の就業時間階級別の従業者数(就業者から休業者を除いた者)及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○一〜三十五時間未満…一千四百四十一万人と、五十二万人(三・七%)増加
・うち一〜三十時間未満…一千六十九万人と、四十七万人(四・六%)増加
○三十五時間以上…四千七百九十二万人と、百六十万人(三・二%)減少
・うち四十九時間以上…一千八百六十八万人と、一万人(〇・一%)増加
また、非農林業の従業者一人当たりの平均週間就業時間は四二・七時間で、前年同月と比べ〇・五時間の減少となっている。
◇完全失業者
(1) 完全失業者数
完全失業者数は三百六十八万人と、前年同月に比べ三十万人(八・九%)増となり、十五か月連続の増加となっている。男女別にみると、男性は二百二十二万人、女性は百四十五万人で、前年同月に比べ、男性は十四万人(六・七%)の増加、女性は十四万人(一〇・七%)の増加となっている。
また、世帯主の続き柄別完全失業者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○世帯主…九十九万人と、九万人増加
○世帯主の配偶者…四十四万人と、五万人増加
○その他の家族…百六十九万人と、十六万人増加
○単身世帯…五十六万人と、同数
(2) 完全失業率(季節調整値)
季節調整値でみた完全失業率(労働力人口に占める完全失業者の割合)は五・四%と前月と同率となっている。男女別にみると、男性は五・五%、女性は五・二%と、前月に比べ男性は同率、女性は〇・一ポイントの低下となっている。
(3) 完全失業率(原数値)
完全失業率は五・五%と、前年同月に比べ〇・五ポイントの上昇となっている。男女別にみると、男性は五・六%、女性は五・二%と、男性は〇・四ポイントの上昇、女性は〇・五ポイントの上昇となっている。
(4) 年齢階級別完全失業者数及び完全失業率(原数値)
年齢階級別完全失業者数、完全失業率及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
[男]
○十五〜二十四歳…四十一万人(同数)、一一・一%(〇・六ポイント上昇)
○二十五〜三十四歳…五十六万人(四万人増)、六・一%(〇・五ポイント上昇)
○三十五〜四十四歳…二十九万人(三万人増)、三・七%(〇・三ポイント上昇)
○四十五〜五十四歳…三十六万人(同数)、三・九%(〇・一ポイント上昇)
○五十五〜六十四歳…五十二万人(十万人増)、七・八%(一・三ポイント上昇)
・五十五〜五十九歳…二十四万人(九万人増)、六・一%(二・二ポイント上昇)
・六十〜六十四歳…二十八万人(一万人増)、一〇・一%(同率)
○六十五歳以上…九万人(二万人減)、二・九%(〇・六ポイント低下)
[女]
○十五〜二十四歳…三十二万人(同数)、九・二%(〇・四ポイント上昇)
○二十五〜三十四歳…四十九万人(五万人増)、七・九%(〇・八ポイント上昇)
○三十五〜四十四歳…二十四万人(五万人増)、四・六%(〇・九ポイント上昇)
○四十五〜五十四歳…二十二万人(同数)、三・三%(〇・一ポイント上昇)
○五十五〜六十四歳…十七万人(五万人増)、四・〇%(一・一ポイント上昇)
・五十五〜五十九歳…九万人(二万人増)、三・四%(〇・六ポイント上昇)
・六十〜六十四歳…八万人(三万人増)、四・八%(一・六ポイント上昇)
○六十五歳以上…一万人(一万人減)、〇・五%(〇・五ポイント低下)
(5) 求職理由別完全失業者数
求職理由別完全失業者数は、次のとおりとなっている。
○定年等…三十八万人
○勤め先都合…百十六万人
○自己都合…百十七万人
○学卒未就職…二十二万人
○新たに収入が必要…四十一万人
○その他…二十九万人
(6) 地域別完全失業率
平成十四年四〜六月平均の地域別完全失業率及び対前年同期増減は、次のとおりとなっている。
○北海道…五・六%(〇・三ポイント低下)
○東 北…六・四%(一・六ポイント上昇)
○南関東…五・七%(〇・六ポイント上昇)
○北関東・甲信…四・六%(〇・九ポイント上昇)
○北 陸…三・九%(同率)
○東 海…四・四%(〇・三ポイント上昇)
○近 畿…六・八%(〇・四ポイント上昇)
○中 国…四・三%(〇・二ポイント上昇)
○四 国…五・二%(〇・二ポイント上昇)
○九 州…六・三%(〇・四ポイント上昇)
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