らい予防法による被害者の名誉回復及び追悼の日 あいさつ内閣総理大臣の菅直人です。私にとっても大変思いの深い、この「らい予防法」、そして、今日の名誉回復の碑の除幕というこの時当にあたって、ひと言、「らい予防法による被害者の名誉回復及び追悼の日」ということで、申し上げさせて頂きます。 始めに、「らい予防法」に基づく国のハンセン病施策によって、長きにわたる多大な苦しみを受けつつ逝去されたハンセン病患者の方々の御霊に対し、謹んで哀悼の誠を捧げます。 平成八年、私は厚生大臣に就任し、その一週間後、ハンセン病患者の方々にお目にかかり、「らい予防法」廃止への取組をお約束しました。この法律が抜本的に見直されることなく存在し続けた結果、ハンセン病患者とその御家族の尊厳が傷つけられ、筆舌に尽くしがたい苦しみを与えてしまったことを痛感し、厚生大臣として心から陳謝し、深く反省をいたしました。当時の思いは、十五年を経た今日も、全く薄れることなく私の心に刻まれております。 長年に渡り放置されてきたハンセン病問題に対する政府の対応は、この「らい予防法」の廃止をきっかけに大きく前進し、謝罪・名誉回復、社会復帰の支援、補償、療養環境の整備、普及啓発などの施策を講じてまいりました。 平成十三年には、らい予防法違憲国家賠償請求訴訟に控訴しない旨を決定し、さらに、「ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律」を制定し、患者や元患者の皆様との協議の場を設けました。 平成二十年には、超党派で「ハンセン病問題の解決の促進に関する法律」が成立し、こうした施策をさらに強化することとなっています。 今後も、先程除幕された「らい予防法による被害者の名誉回復及び追悼の碑」に記された言葉を胸に、多くの方々に苦痛と苦難を与えてきたこの問題の解決に全力を尽くすとともに、二度とこのような悲劇を繰り返さぬよう、政府を代表して、ここにお誓いを申し上げます。 結びに、御霊の安らかならんことをお祈りし、御遺族の今後の御平安を切に祈念し、また、これからの生涯を元気に全うされるよう心からお祈りをいたしまして、私のごあいさつとさせていただきます。 平成二十三年六月二十二日
内閣総理大臣 菅 直人
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