済生会創立百周年記念式典 祝辞


 本日ここに、天皇・皇后両陛下の御臨席を仰ぎ、社会福祉法人恩賜財団済生会の創立百周年記念式典が盛大に開催されますことは、誠に慶賀の至りに存じます。

 済生会は、明治四十四年に、生活に困窮した人々に対し、医療を提供するようにとの明治天皇の勅語により、御下賜金を基に創立されました。爾来、百年もの間、恵まれない多くの人々に対して医療と福祉のサービスを提供し、地域の中核的医療機関として、我が国医療・福祉の向上に貢献してこられました。ここにお集まりの皆様を始め、関係各位の永きにわたる御尽力に対し、心から敬意を表します。

 現在、政府は、東北地方を中心に各地で甚大な被害をもたらした東日本大震災からの復旧、そして復興に向け、全力で取り組んでいます。復興に当たり、「人に優しい、特に弱い人に優しい社会を築くこと」が大切であると考えます。関東大震災に際して救護活動を行った歴史を有する済生会は、発災直後から、被災地に医師や看護師を派遣するとともに、避難所に診療所を開設するなど、この未曾有の震災に直面して、社会福祉活動・医療活動に率先して取り組んでこられました。こうした活動は、「優しい社会」づくりの礎として、大変重要となると考えます。

 済生会におかれましては、この記念すべき日を節目に、その使命達成に向け、更に御貢献されますよう期待申し上げます。

 結びに、済生会の今後ますますの御発展と御列席の皆様の御健勝を祈念いたしまして、私のお祝いの言葉とさせていただきます。


 平成二十三年五月三十日 

内閣総理大臣 菅直人