地震発生から2週間を迎えました。被災された多くの皆さんに、改めて心からお見舞いを申し上げます。
政府は現時点で、2つのことに全力を挙げて取り組んでおります。その第1は、福島第一原発事故の事態収拾と放射能汚染へのしっかりした対応であります。第2は、被災者の方々への支援と、更に復興に向けての準備を本格化させることであります。
まず第1の福島第一原発について申し上げます。東京電力、自衛隊、警察、更には東京や大阪などからの消防隊。そういった皆さんが本当に命がけで活動をされていることに、心から敬意と感謝を表したいと思います。
昨日、被曝により病院に搬送された方々にも、心からお見舞いを申し上げます。安全性に十分留意し、冷却機能復旧に向けて、事故対策統合本部を中心に官民一体で、更には米軍などの支援もいただいて、事態収拾に全力を挙げているところであります。
また一方、放射性物質の食物や水などへの影響については、自治体と連携をして、しっかりモニタリングをするよう、そのモニタリングの強化を進めてきました。得られた情報は迅速に開示し、すべてを国民の皆さんに、あるいは国際社会に対しても透明性高く公開をしてまいりました。同時に、健康に及ぼす影響についても、しっかりと説明をしてまいりました。これからもこうした姿勢で臨んでいきたいと考えます。
更に農家や酪農家など、事業者の皆さんには、大きな損害を与えていることに心からお詫びを申し上げたいと思います。こうした皆さんには、確実な補償と支援を行うという点で万全を期したい。こう考えております。
また、第2の被災者支援とこれからの復興に向けて申し上げます。支援物資の供給は引き続き充実させてまいります。また、ボランティアの円滑な活動を「震災ボランティア連携室」が支援する態勢を取りました。岩手、宮城、福島を始め、更に茨城、千葉など、被害は広範囲に及んでおります。そうしたすべての地域を漏れなく支援してまいります。その上で、今後は本格的な復旧、復興にも目を向けて、準備を進めていかなくてはなりません。住宅、医療、介護、教育、雇用など、そうした生活の面と同時に漁業、農業、そして工業など、生産活動の両面から、この地域全体の、そして、暮らし全体の再建が必要と考えております。
政府は被災者生活支援のための対策本部を設けました。ここを中心に人材を総動員して、各地域の要望を実現できる、そうした態勢をつくりました。その一環として、被災地域の行政について、政府の職員も派遣をして、支援する、そうした取組みを進めたい。こう考えております。震災に伴う負担を個人や個々の家庭だけに押し付けるのではなくて、社会全体、国全体が負担を分かち合う。こういう姿勢で臨んでまいりますので、どうか被災を受けられた方も、勇気を奮って復興に向けて歩んでいただきたい。そのようにお願いを申しあげます。
このように、政府はすべての能力を発揮する姿勢で、昼夜を分かたず全力を挙げていることを是非国民の皆様にもお伝えしたいと思います。そして、同時に被災を受けられた皆さんを始め、すべての国民がこの戦後最大の危機に対して、それぞれ力を合わせ、力を奮って立ち向かっていただいていることに心から敬意を表すと同時に、これからもその姿勢でもって、この危機を共に乗り越えていこうではありませんか。
震災発生から2週間目に当たって、これからの国民の皆さんの一層の団結と一層のこの危機を乗り越えていこうというそういう気持ちを一つにする、そのことをもって、今日、2週間目に当たっての私からの国民の皆さんへのメッセージとさせていただきます。
【質疑応答】
(内閣広報官)
それでは、質問を3〜4問受けさせていただくことといたします。坂尻さん、どうぞ。
(記者)
朝日新聞の坂尻です。
今日は2週間という節目ですので、やや振り返ったことをお伺いしたいのですが、それは福島第一原発をめぐる政府の対応です。総理が住民の方々に出されている避難指示は、当初3〜10km、20kmと変わりまして、20〜30kmは屋内退避という指示になっております。今日はその20〜30kmの屋内退避の方々に対して、自主的な避難を要請するということが公表されています。この間の経緯を振り返ると、悪化する事態に対して、政府の対応はその事態を後追いしているのではないかという面も否めないかと思うのですが、政権の危機管理という観点から、総理はこの間の対応はどのように考えていらっしゃいますでしょうか。
(菅総理)
この退避の範囲については、原子力発電所の状況。また、放射性物質が気候の関係も含めて、どこにどう行くのかという予測。そして、何よりも各地域で得られたモニタリングの数値などに基づいて、原子力安全委員会が中心となって、その専門家の皆さんが分析・判断をいただいた上で、最終的に政府として退避の指示を出しております。そういった専門家の皆さんの判断を尊重した対応でこれまでもありましたし、これからもそうした姿勢で臨んでいきたいと考えております。
(内閣広報官)
青山さん、どうぞ。
(記者)
これに関連してですけれども、菅総理は現段階での原子炉、福島第一原発の現状をどのように認識されているのか、改めてお伺いしたいのと、これを収束させるめどについて、どう考えているのか。あと避難指示などの範囲を拡大するお考えはないのか、お聞かせください。
(菅総理)
今日の福島第一原子力発電所の状況は、まだまだ予断を許す状況には至っていない。悪化を防ぐという形で対応しておりますけれども、予断を許す状況には立ち至ってはいないという認識を持っております。
引き続き、極めて高い緊張感を持って、一つひとつの事態に当たっていかなければならない局面が続いていると、このように認識をいたしております。
(内閣広報官)
山口さん、どうぞ。
(記者)
NHKの山口です。
現在も多くの方が避難所で厳しい生活を余儀なくされていますけれども、一番は仮設住宅の希望というのが多いということなんですけれども、国はこの仮設住宅についてどういうスケジュール感を持って考えていらっしゃるのか教えてください。
(菅総理)
仮設住宅については、震災発生直後から、国交省大畠大臣を中心に、関係方面にその仮設住宅に使うプレハブの発注などを進めてきております。早いところでは、月内にもそういう作業が始まるのではないかと思いますが、いずれにしても、大変大規模な震災でありますので、しっかりと地元の皆さんの希望を聞いて、対応していきたい。それぞれ先ほど申し上げました被災者支援対策本部において、そうした計画をしっかりと立てて、進めていきたいと考えております。
(内閣広報官)
それでは、最後の質問とさせていただきます。
伊藤さん、どうぞ。
(記者)
ジャパンタイムズの伊藤と申します。
先ほどからお話に出ていますけれども、日本政府は20km圏内の住民の方々に避難指示を出されている一方で、各国政府が大使館などを通じて80kmなどという指示を出されたりしていて、特に在日外国人のコミュニティの中では混乱や不安が生じました。
そういう意味で、日本政府がうまく諸外国とコミュニケーションをとれていないのではないか、または情報などが必ずしもすべて出ていないのではないかということも指摘されるんですけれども、それに対する総理の受け止めと、今後どのようにこの状況を改善し、諸外国との情報を共有されるつもりかお考えをお聞かせください。
(菅総理)
まず最初の点は、先ほども申し上げましたけれども、この退避の範囲については、原子力発電所の状況とか、放射性物質がどう拡散していくのかという予測、更には各地域で得られたモニタリングの数値などを中心にして、原子力安全委員会、これは専門家の皆さんの集まりですので、この皆さんを中心に、専門家の皆さんに分析、判断をしていただいた上で、そこの助言あるいは勧告をいただいた中で、この退避の範囲を決めているところであります。
各国の考え方について、それぞれの国による基準が設定されていると思いますが、我が国がそれらの国に対してしっかりと情報を提供するというのは当然のことでありますし、それに努めております。この間、いろいろな形で各国に情報提供をしておりますけれども、例えば各大使館、あるいは英語による記者会見等、状況についてすべての国々あるいは国際機関に透明性高く情報提供をしておりまして、その点については、各国政府からも我が国の情報提供については、十分透明性があるというふうに理解が深まってきているものと、このように認識をいたしております。
(内閣広報官)
それでは、これで総理からのメッセージを終わります。ありがとうございました。