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日本・パキスタン共同声明
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ザルダリ大統領は、菅総理の招待を受け、2011年2月21日から23日まで日本を訪問した。
2. ザルダリ大統領は訪問中、菅総理及び閣僚と詳細な協議を行うとともに、重要な日本企業の長及び財界との対話を実施した。 3. 両首脳は、平和と発展のための包括的なパートナーシップに二国間関係を強化していくことで一致した。 4. 両首脳は、外相会談、政策協議、ハイレベル経済協議、安全保障対話や官民合同経済対話等のハイレベルの対話に満足の意を表明するとともに、引き続き相互の関心事項に関し、定期的かつ詳細な意見交換を継続していくことで一致した。 5. ザルダリ大統領はパキスタンの貿易、投資及び開発の促進における主要なパートナーとしての日本の役割を評価した。 6. 両首脳は、民間セクター協力、合弁事業、金融・銀行セクター協力、農業・食料協力、鉱物資源開発協力及びエネルギー・セクター協力、並びにパキスタンにおける日本向け工業地区の設置の促進並びそのための適切な方途を見いだすことにより、互恵的な経済及び貿易活動を強化していくことで一致した。 7. ザルダリ大統領は、より広範なアジア太平洋地域の平和、安定及び繁栄の確保における日本の役割、特に、アフガニスタンにおける安定と発展を促進するための日本の取組を評価した。 8. 菅総理は、パキスタンの地政学的重要性を認識し、グローバル及び地域の平和、安全保障及び安定を促進する上でパキスタンが行っている重要な貢献を評価した。 9. 両首脳は、アフガニスタンの安定と発展が地域の安定に決定的に重要であることを認識し、両政府はアフガニスタンに対する支援を継続することを表明した。両首脳は、地域開発協力を促進する重要性に留意した。 10. 両首脳は、あらゆる形態及び主張によるテロリズムを断固として非難することを再確認し、能力向上等を通じて脅威を減じる取組を強化していく決意を表明した。 11. 菅総理は、テロリズム及び過激主義との闘いにおいてパキスタンが果たしている役割を評価し、テロリズム及び過激主義と闘うために継続している努力の中で、パキスタンが払っている甚大な人的及び物質的犠牲を認識した。ザルダリ大統領は、この二つの脅威と闘うことへのパキスタンの継続したコミットメントを強調した。 12. 菅総理は、2011年2月6日にブータンのティンプーで行われたパキスタン・インド外務次官協議の結果、パキスタンとインドが全ての事項に関する対話を再開することに合意したことを歓迎した。 13. 両首脳は、南アジア地域における平和と繁栄はアジア全体及び世界の平和と繁栄を実現する上で極めて重要であることを改めて確認した。この関連で、菅総理は、南アジア地域協力連合(SAARC)が南アジアの地域協力の促進に果たす役割を支援していくとのコミットメントを表明した。ザルダリ大統領は同フォーラムへの日本の関心を歓迎した。 14. ザルダリ大統領は、持続的及びあまねく広がる成長及び発展を確保するため、パキスタンが喫緊の優先事項として取り組んでいる広範囲にわたる経済改革を実施していくとのパキスタン政府のコミットメントを強調した。 15. ザルダリ大統領は、日本政府による社会経済開発のための50年以上にわたる寛大な支援及びパキスタンの人命、財産及びインフラに甚大な被害を与えた最近の大洪水の直後のパキスタンによる救援及び早期復興の取組への支援に対し、パキスタン政府及び国民の感謝の意を伝達した。パキスタン政府は、引き続き日本の支援をパキスタン国民の利益のために効果的に活用するとの約束を維持する旨を表明した。両首脳は、防災に関する経験の共有及び措置の実施が重要であることを認識した。 16. 菅総理は、日本政府は電力セクター、水資源の管理・運営及びインフラ開発におけるパキスタンの取組を引き続き支援していく旨表明した。 17. 菅総理は、人間の安全保障の概念が重要であることを指摘し、昨年ミレニアム開発目標国連首脳会合で表明した「菅コミットメント」の着実な実施を通じて、教育・人材育成、雇用促進及びパキスタンのポリオ・イニシアチブを含む保健分野においてパキスタンに支援を行う用意がある旨表明した。 18. ザルダリ大統領はパキスタンが多くの互恵的な投資の機会を提供していること、及び日本の投資を促進するためパキスタン政府が行動計画を準備している旨を強調した。菅総理はこのイニシアティブを歓迎し、かかる努力を支援していくとの日本政府の意図を表明した。ザルダリ大統領は、パキスタン産マンゴウの輸入を認めた日本側の決定を歓迎した。 19. 両首脳は、両国の実務者に対し、貿易、投資やインフラ整備の分野を含め、経済関係強化の方途を検討することを指示した。 20. 両首脳は、公的及び民間セクター双方の協力を強化するため、官民合同経済対話を開催することの重要性を強調した。 21. 両首脳は、特に国会議員、ビジネス界の交流、並びにとりわけ21世紀東アジア青少年大交流計画(JENESYS)を通じた青少年交流に焦点をあてて人的交流を強化していくことで一致した。ザルダリ大統領は、両国における査証手続き簡素化による交流の促進の必要性を強調しつつ、パキスタン政府は、日本人ビジネスマン及び観光客に対する査証免除及び査証手続きの簡素化を前向きに検討する旨表明した。 22. 両首脳は、両国間及び両国国民の長年の友好関係を更に強化するため、両国間の文化及び学術交流を強化することの重要性を認識した。また、両首脳は、両国の深遠で歴史的な文化面でのつながりを強化していく重要性を強調した。 23. 両首脳は、学生の交流を促進すること等を通じて、科学技術分野における二国間の協力の重要性を強調した。 24. 両首脳は、二国間の防衛及び安全保障協力の拡大に満足の意をもって留意した。両首脳は、防衛要員の訓練及びそれぞれの防衛教育機関間の協力を通じて防衛分野における協力を強化していくことで一致した。 25. 両首脳は、海上航行の安全を確保することの重要性を認識し、この点における協力を更に拡大させていくことで一致した。 26. 両首脳は軍縮・不拡散のグローバルな目標を共有する旨表明した。両首脳は緊密な協議を通じて、これらの分野における協力を深化させることで一致した。 27. 両首脳は、国連気候変動枠組条約第16回締約国会議で採択されたカンクン合意を歓迎した。両首脳は、南アフリカでの国連気候変動枠組条約第17回締約国会議の成功に向け、建設的に協働していく決意を再確認した。 28. 両首脳は、国際的なフォーラムにおいて協議し、協力していくことの重要性を強調した。両首脳は、国連安全保障理事会の改革の必要性を強調した。 29. 菅総理は、北朝鮮に関して、核開発、ミサイル開発、及び拉致問題を含む日本にとっての北朝鮮に係るすべての懸案を包括的に解決することが極めて重要であるとの日本の立場を改めて表明した。特に、菅総理は、国際的な義務に違反する北朝鮮のウラン濃縮計画に対する重大な懸念を表明した。ザルダリ大統領は、核兵器の存在しない朝鮮半島及び緊張の緩和を支持するとのパキスタン政府の立場を表明し、また、すべての問題が平和的手段によって解決されることを希望した。 30. 両首脳は、2012年の両国の外交関係樹立60周年を適切な形で祝うことで一致した。 31. ザルダリ大統領は日本政府の温かい歓迎及びもてなしに感謝した。ザルダリ大統領は、菅総理のパキスタン訪問を心より招請した。菅総理は、この招待を受け、深甚なる感謝の意を表した。 2011年2月22日、東京 日本国内閣総理大臣 パキスタン・イスラム共和国大統領菅 直人 アーシフ・アリー・ザルダリ |